JP2004085673A - オートフォーカスシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】映像信号の高域周波数成分により画像の鮮鋭度を示す焦点評価値を求め、その焦点評価値に基づいて撮影レンズのオートフォーカス制御を行う場合に、フォーカスを移動させたときの焦点評価値の変化の大きさに基づいてフォーカスの移動速度を変更するようにし、例えば、焦点評価値の変化が小さい場合には、フォーカスを高速で移動させることで、フォーカスを迅速且つ安定した動作で確実に合焦位置に移動させることができるオートフォーカスシステムを提供する。
【解決手段】AF制御時においてレンズ装置10のCPU40は、ピント状態検出用撮像素子32A、32Bから得られる焦点評価値に基づいて、フォーカスを移動させたときの焦点評価値の変化の大きさを判断し、その判断に基づいてフォーカスレンズ16の移動速度を変更しながらフォーカスレンズ16を合焦位置に移動させる。
【選択図】 図1
【解決手段】AF制御時においてレンズ装置10のCPU40は、ピント状態検出用撮像素子32A、32Bから得られる焦点評価値に基づいて、フォーカスを移動させたときの焦点評価値の変化の大きさを判断し、その判断に基づいてフォーカスレンズ16の移動速度を変更しながらフォーカスレンズ16を合焦位置に移動させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオートフォーカスシステムに係り、特にコントラスト方式によって撮影レンズのフォーカスを制御するオートフォーカスシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ビデオカメラなどのオートフォーカスは、コントラスト方式によるものが一般的である。このコントラスト方式は、撮像素子から得られた映像信号のうちある範囲(フォーカスエリア)内の映像信号の高域周波数成分を積算して焦点評価値とし、その焦点評価値が最大(極大)となるようにピント調整を自動で行うものである。これによって、撮像素子で撮像された画像の鮮鋭度(コントラスト)が最大となる最良ピント(合焦)が得られる。
【0003】
また、合焦位置(焦点評価値の極大点)にフォーカスを設定する方法として、山登り方式と呼ばれるものが広く知られている。この方法は、フォーカスを動かしたときの異なる2点での焦点評価値の比較により焦点評価値が増加する方向を検出すると共に、その方向にフォーカスを動かし、焦点評価値が増加から減少に変わると、焦点評価値が減少する前の位置にフォーカスを戻してフォーカスを焦点評価値の極大点に設定するというものである。
【0004】
また、上述の山登り方式の場合、フォーカスを実際に動かさないと焦点評価値の増加方向や合焦を判断することができないという欠点があるため、光路長の異なる位置に複数の撮像素子を配置してフォーカスを動かさなくても撮影レンズのピント状態(前ピン、後ピン、合焦)を検出できるようにしたピント状態検出方法が提案されている(特願2001−168246号、特願2001−168247号、特願2001−168248号、特願2001−168249号等)。このピント状態検出方法によれば、各撮像素子から得られる現時点の焦点評価値の大小関係により現時点のピント状態を即座に知ることができるため、フォーカスの移動方向や合焦をフォーカスを動かすことなく判断することができる。したがって、この方法を用いたオートフォーカスでは、フォーカスを合焦位置に迅速に設定することができる等の利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フォーカス位置に対する焦点評価値の分布は、通常、焦点評価値の極大点を頂点とする山型の分布を示しているが、従来は、フォーカスの現在位置がその焦点評価値分布のどの部分にあるかを考慮することなく、フォーカスを焦点評価値の極大点に向けて移動させるようにしていた。
【0006】
一方、フォーカスが山型の焦点評価値分布の裾にある場合、即ち、フォーカスの移動量に対して焦点評価値の変化(焦点評価値の傾き)が小さい部分にある場合には、フォーカスが合焦位置に対してある程度離れており、フォーカスを高速で移動させても不具合は生じないが、焦点評価値の極大点付近でフォーカスを高速で移動させると、焦点評価値の極大点を検出できずに不安定なフォーカス動作となるおそれがある。
【0007】
このため、フォーカスの移動速度は、焦点評価値の極大点を確実に検出できる速度に制限され、フォーカスが焦点評価値分布の裾にある場合には合焦位置に移動するまでの時間が長くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、撮影レンズのフォーカスを迅速に且つ安定した動作で確実に合焦位置に移動させることができるオートフォーカスシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、撮影レンズに入射した被写体光を撮像して映像信号を生成し、該映像信号から被写体像の鮮鋭度を示す焦点評価値を生成する焦点評価値生成手段と、該焦点評価値生成手段により生成される焦点評価値が合焦を示す状態となるように前記撮影レンズのフォーカスを制御するフォーカス制御手段と、を備えたオートフォーカスシステムにおいて、前記フォーカス制御手段は、前記撮影レンズのフォーカスを移動させる場合に、フォーカスを移動させたときの焦点評価値の変化の大きさを考慮してフォーカスの移動速度を変更することを特徴としている。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記焦点評価値生成手段は、光路長が異なる位置に配置された複数の撮像面において前記撮影レンズに入射した被写体光を撮像して各撮像面に対する複数の焦点評価値を生成し、前記フォーカス制御手段は、前記焦点評価値の変化の大きさを評価する値として、同一のフォーカス位置において前記焦点評価値生成手段によって生成されたいずれか2つの焦点評価値の差又は比を求め、該焦点評価値の差又は比に基づいて前記フォーカスの移動速度を変更することを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記フォーカス制御手段は、前記焦点評価値の変化の大きさが小さい程、前記フォーカスの移動速度を速くすることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、フォーカスを移動させたときの焦点評価値の変化の大きさに基づいてフォーカスの移動速度を変更するようにし、例えば、焦点評価値の変化が小さい場合には、フォーカスを高速で移動させ、その後、焦点評価値の変化が大きくなった場合にはフォーカスを低速で移動させるようにすることで、フォーカスを迅速且つ安定した動作で確実に合焦位置に移動させることができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るオートフォーカスシステムの好ましい実施の形態について詳説する。
【0014】
図1は、本発明に係るオートフォーカスシステムが適用されたテレビカメラシステムのブロック図である。同図に示すように、このテレビカメラシステムは、レンズ装置10とカメラ本体12等から構成されており、カメラ本体12には、放映用の映像を撮影し、所定形式の映像信号を出力又は記録媒体に記録するための撮像素子(以下、映像用撮像素子という)や所要の回路等が搭載されている。
【0015】
レンズ装置10は、カメラ本体12に着脱可能に装着され、主に光学系(撮影レンズ)と制御系とから構成されている。まず、撮影レンズの構成について説明すると、撮影レンズには、フォーカスレンズ(群)16、ズームレンズ(群)18、アイリス20、前側リレーレンズ22Aと後側リレーレンズ22Bとからなるリレーレンズ(リレー光学系)等が配置されている。そして、リレー光学系の前側リレーレンズ22Aと後側リレーレンズ22Bとの間には、撮影レンズに入射した被写体光からピント状態検出用の被写体光を分岐するためのハーフミラー24が配置されている。
【0016】
ハーフミラー24は、撮影レンズの光軸Oに対して略45度傾斜して設置されており、前側リレーレンズ22Aを通過した被写体光の一部(例えば1/3の光量)がピント状態検出用の被写体光として直角に反射するようになっている。
【0017】
ハーフミラー24を透過した被写体光は、映像用の被写体光として撮影レンズの後端側から射出されたのち、カメラ本体12の撮像部14に入射する。撮像部14の構成については省略するが、撮像部14に入射した被写体光は、例えば色分解光学系により、赤色光、緑色光、青色光の3色に分解され、各色ごとの映像用撮像素子の撮像面に入射する。これによって放映用のカラー映像が撮影される。なお、図中のピント面Pは、各映像用撮像素子の撮像面に対して光学的に等価な位置を撮影レンズの光軸O上に示したものである。
【0018】
一方、ハーフミラー24で反射された被写体光は、ピント状態検出用の被写体光として光軸Oに対して垂直な光軸O′に沿って進行し、リレーレンズ26に入射する。そして、このリレーレンズ26で集光されてピント状態検出部28に入射する。
【0019】
ピント状態検出部28は、光分割光学系を構成する2つのプリズム30A、30Bと、ピント状態検出用の一対の撮像素子32A、32B(以下、ピント状態検出用撮像素子32A、32Bという)とで構成されている。
【0020】
上述したようにハーフミラー24で反射した被写体光は、光軸O′に沿って進行し、まず、第1プリズム30Aに入射する。そして、第1プリズム30Aのハーフミラー面Mで反射光と透過光に等分割される。このうち反射光は一方のピント状態検出用撮像素子32Aの撮像面に入射し、透過光は他方のピント状態検出用撮像素子32Bに入射する。尚、各ピント状態検出用撮像素子32A、32Bのそれぞれの撮像面には、例えば、撮影レンズに入射した全被写体光のうちの1/6の光量が入射する。
【0021】
図2は、カメラ本体12の映像用撮像素子に入射する被写体光の光軸と一対のピント状態検出用撮像素子32A、32Bに入射する被写体光の光軸を同一直線上に表示したものである。同図に示すように、一方のピント状態検出用撮像素子32Aに入射する被写体光の光路長は、他方のピント状態検出用撮像素子32Bに入射する被写体光の光路長よりも短く設定され、映像用撮像素子の撮像面(ピント面P)に入射する被写体光の光路長は、その中間の長さとなるように設定されている。すなわち、一対のピント状態検出用撮像素子32A、32B(の撮像面)は、それぞれ映像用撮像素子の撮像面(ピント面P)に対して前後等距離の位置に配置されている。
【0022】
このように配置された一対のピント状態検出用撮像素子32A、32Bにより、撮影レンズに入射した被写体光が映像用撮像素子の撮像面(ピント面P)に対して前後等距離の位置で撮像されるようになっている。尚、ピント状態検出用撮像素子32A、32Bは後述のようにピント状態検出(オートフォーカス制御)のための映像信号を取得するものであり、カラー映像を撮像するものである必要はなく、本実施の形態では白黒画像を撮像するCCDであるものとする。
【0023】
続いて、レンズ装置10の制御系について説明すると、上記フォーカスレンズ16、ズームレンズ18、アイリス20は、それぞれ図1に示すフォーカスモータ42、ズームモータ46、アイリスモータ50と図示しない動力伝達機構を介して連結されており、フォーカスモータ42を駆動すると、フォーカスレンズ16が光軸方向に移動して撮影レンズの焦点位置(撮影距離)が変更され、ズームモータ46を駆動すると、ズームレンズ18が光軸方向に移動して撮影レンズのズーム倍率が変更され、アイリスモータ50を駆動すると、アイリス20の絞り羽根が開閉動作して絞り径(絞り値)が変更されるようになっている。
【0024】
各モータ42、46、50には、それぞれフォーカスモータ駆動回路44、ズームモータ駆動回路48、アイリスモータ駆動回路52から駆動電圧が与えられ、各駆動回路44、48、52には、D/A変換器54を介してレンズ装置10に搭載されたCPU40から出力された制御信号が与えられるようになっている。
【0025】
CPU40から出力される上記制御信号は、例えば、駆動するモータの回転速度、即ち、駆動する対象(フォーカスレンズ16、ズームレンズ18、アイリス20)の動作速度に対応する電圧値を示しており、その電圧値がD/A変換器54によってアナログ信号に変換されて対応する駆動回路44、48、52に与えられると、各駆動回路44、48、52によって電圧増幅され、その増幅された電圧が駆動電圧として対応するモータ42、46、50に印加される。これによって、各モータ42、46、50の回転速度がCPU40によって制御される。
【0026】
また、フォーカスレンズ16、ズームレンズ18、アイリス20の現在位置がそれぞれポテンショメータ等のフォーカスレンズ位置検出器56、ズームレンズ位置検出器58、アイリス位置検出器60によって検出されており、それらの位置検出器56、58、60から出力された検出信号がA/D変換器68を介してCPU40に与えられるようになっている。
【0027】
従って、CPU40の処理において、上述のように各モータ42、46、50の回転速度を制御することにより、フォーカスレンズ16、ズームレンズ18、アイリス20の動作速度を所望の速度に制御することができると共に、各位置検出器56、58、60からの検出信号によりフォーカスレンズ16、ズームレンズ18、アイリス20の現在位置を読み取りながら、各モータ42、46、50の回転速度を制御することにより、フォーカスレンズ16、ズームレンズ18、アイリス20の設定位置を所望の位置に制御することができる。
【0028】
撮影レンズのフォーカスやズームは、一般にフォーカスデマンド62やズームデマンド64等のコントローラをレンズ装置10に接続することによって操作者がマニュアル操作することができるようになっており、例えば、フォーカスデマンド62からは、マニュアル操作部材(フォーカスリング)の回動位置に対応した電圧のフォーカス指令信号(フォーカスデマンドデータ)が出力され、A/D変換器68を介してCPU40に与えられる。CPU40は、例えば、そのフォーカスデマンドデータの値をフォーカスレンズ16の移動目標位置を示す値として、その移動目標位置と、フォーカスレンズ位置検出器56から取得される現在位置(フォーカス位置データ)との差に応じた移動速度での移動を指令する制御信号を上述のようにD/A変換器54を介してフォーカスモータ駆動回路44に出力する。これによりフォーカスレンズ16がフォーカスデマンド62によって指令された移動目標位置に移動し、停止する。
【0029】
尚、ズームデマンド64からは、一般に、操作部材(サムリング)の回動位置に対応した電圧がズームレンズ18の移動目標速度を示す値としてCPU40に与えられ、CPU40は、その移動目標速度での移動を指令する制御信号をズームモータ駆動回路48に出力し、ズームレンズ18をズームデマンド64によって指令された移動目標速度で移動させる。また、アイリス20については、一般にカメラ本体12からアイリス20の動作目標位置を指令する指令信号がCPU40に与えられ、その動作目標位置となるようにアイリス20の位置がCPU40によって制御される。
【0030】
また、撮影レンズのフォーカスの制御には、上記フォーカスデマンド62を用いたマニュアルフォーカス(MF)制御と、上記ピント状態検出用撮像素子32A、32Bからの映像信号に基づくオートフォーカス(AF)制御とがあり、このようなMF制御とAF制御を切り替えるAFスイッチ66がレンズ装置10又はフォーカスデマンド62等に設けられている。AFスイッチ66のオン/オフ状態は、CPU40によって検出され、AFスイッチ66がオフの場合にはMF制御が行われ、上述のようにフォーカスデマンド62からのフォーカス指令信号(フォーカスデマンドデータ)に基づいてフォーカスレンズ16が制御される。
【0031】
一方、AFスイッチ66がオンされた場合には、AF制御が行われる。即ち、上記一対のピント状態検出用撮像素子32A、32Bで撮像された画像(映像)は、その各画素値を1画面を構成する複数の走査線(水平ライン)にそって順次伝送する映像信号として出力され、焦点評価値生成部70に入力される。焦点評価値生成部70の構成、処理については後述するが、焦点評価値生成部70において、その入力された映像信号から、各ピント状態検出用撮像素子32A、32Bで撮像された各画像のコントラスト(鮮鋭度)の高低を示す焦点評価値が生成され、それらの生成された焦点評価値がCPU40に与えられるようになっている。尚、ピント状態検出用撮像素子32Aからの映像信号に基づいて生成された焦点評価値を、チャンネルA(chA)の焦点評価値といい、ピント状態検出用撮像素子32Bからの映像信号に基づいて生成された焦点評価値を、チャンネルB(chB)の焦点評価値という。CPU40では、詳細を後述するように、焦点評価値生成部70から取得したchAとchBの焦点評価値を取得し、その取得した焦点評価値に基づいて、撮影レンズのピント状態(前ピン、後ピン、合焦)を検出すると共に、撮影レンズのピント状態が合焦となるようにフォーカスレンズ16の位置を制御する。
【0032】
以上の如く構成されたカメラシステムにおけるAFの制御について以下詳説する。まず、焦点評価値生成部70の構成及び処理について説明する。図3に示すように、各ピント状態検出用撮像素子32A、32Bから出力された映像信号は、焦点評価値生成部70のハイパスフィルタ(HPF)80A、80Bに入力される。ここでピント状態検出用撮像素子32A、32Bは、いずれも白黒画像を撮影するCCDであることから、各ピント状態検出用撮像素子32A、32Bから出力される映像信号は、それぞれの画面を構成する各画素の輝度値を示す輝度信号である。
【0033】
HPF80A、80Bに入力された映像信号は、それぞれHPF80A、80Bによってその高域周波数成分が抽出され、その高域周波数成分の信号は、続いてA/D変換器82A、82Bによってデジタル信号に変換される。そして、ピント状態検出用撮像素子32A、32Bにより撮像された画像の1画面分(1フィールド分)のデジタル信号のうち所定のフォーカスエリア内(例えば、画面中央部分)の画素に対応するデジタル信号のみがゲート回路84A、84Bによって抽出され、抽出された範囲のデジタル信号の値が加算器86A、86Bによって加算される。これにより、フォーカスエリア内における映像信号の高域周波数成分の値の総和が求められる。加算器86A、86Bによって得られた値は、フォーカスエリア内における画像の鮮鋭度の高低を示す焦点評価値であり、加算器86Aで得られた焦点評価値はチャンネルA(chA)の焦点評価値として、加算器86Bで得られた焦点評価値はチャンネルB(chB)の焦点評価値としてCPU40に与えられる。
【0034】
尚、同図に示す同期信号発生回路88からは、各種同期信号が各ピント状態検出用撮像素子32A、32Bやゲート回路84A、84B等の各回路に与えられており、各回路の処理の同期が図られている。また、同期信号発生回路88からCPU40には、映像信号の1フィールドごとの垂直同期信号(V信号)が与えられている。
【0035】
次に、上記焦点評価値に基づくピント状態の検出及びフォーカス(フォーカスレンズ16)の制御について説明する。上記のように焦点評価値生成部70から取得されるchAとchBの焦点評価値により映像用撮像素子の撮像面(ピント面P)に対する撮影レンズの現在のピント状態を検出することができる。
【0036】
図4は、横軸に撮影レンズのフォーカスレンズ16の位置(フォーカス位置)、縦軸に焦点評価値をとり、ある被写体を撮影した際のフォーカス位置に対する焦点評価値の様子を示した図である。図中点線で示す曲線Cは、映像用撮像素子(又は映像用撮像素子と共役の位置に配置された撮像素子)からの映像信号により焦点評価値を求めたと仮定した場合にその焦点評価値をフォーカス位置に対して示したものであり、図中実線で示す曲線A、Bは、それぞれピント状態検出用撮像素子32A、32Bから得られるchAとchBの焦点評価値をフォーカス位置に対して示したものである。同図において、曲線Cの焦点評価値が最大(極大)となる位置F3が合焦位置である。
【0037】
撮影レンズのフォーカス位置が同図のF1に設定された場合、chAの焦点評価値VA1は、曲線Aの位置F1に対応する値となり、chBの焦点評価値VB1は、曲線Bの位置F1に対応する値となる。そして、この場合、chAの焦点評価値VA1の方が、chBの焦点評価値VB1よりも大きくなり、このことから、フォーカス位置が合焦位置(F3)よりも至近側に設定された状態、すなわち、前ピンの状態であることが分かる。
【0038】
一方、撮影レンズのフォーカス位置が同図のF2に設定された場合、chAの焦点評価値VA2は、曲線Aの位置F2に対応する値となり、chBの焦点評価値VB2は、曲線Bの位置F2に対応する値となる。そして、この場合、chAの焦点評価値VA2の方が、chBの焦点評価値VB2よりも小さくなり、このことから、フォーカス位置が合焦位置(F3)よりも無限遠側に設定された状態、すなわち、後ピンの状態であることが分かる。
【0039】
これに対して、撮影レンズのフォーカス位置がF3、すなわち合焦位置に設定された場合、chAの焦点評価値VA3は、曲線Aの位置F3に対応する値となり、chBの焦点評価値VB3は、曲線Bの位置F3に対応する値となる。このとき、chAの焦点評価値VA3とchBの焦点評価値VB3は等しくなり、このことから、フォーカス位置が合焦位置(F3)に設定された状態であることが分かる。
【0040】
このように、焦点評価値生成部70から得られるchAとchBの焦点評価値により、撮影レンズの現在のピント状態が前ピン、後ピン、合焦のいずれの状態であるかを検出することができる。
【0041】
従って、焦点評価値生成部70から得られるchAとchBの焦点評価値に基づいてフォーカスレンズ16の位置を制御することにより、フォーカスレンズ16を合焦位置に移動させることができる。即ち、chAとchBの焦点評価値が、前ピンであると判断される状態の場合には、フォーカスレンズ16を無限遠方向に移動させ、後ピンであると判断される状態の場合には、フォーカスレンズ16を至近方向に移動させ、合焦であると判断される状態となった場合には、フォーカスレンズ16をその位置で停止させることによって、フォーカスレンズ16を合焦位置に移動させることができる。
【0042】
上記説明に対応するCPU40の処理について具体的に説明すると、焦点評価値生成部70から取得されるchAの焦点評価値をAFV_A、chBの焦点評価値をAFV_Bとすると、AFV_A>AFV_Bの場合には前ピンの状態であることからCPU40は、現在設定されているフォーカスレンズ16の移動目標位置を無限遠側に後述する移動量分(正の値)だけ変化させ、その新たな移動目標位置にフォーカスレンズ16を移動させる制御信号を上記D/A変換器54を介してフォーカスモータ駆動回路44に出力する。反対にAFV_A<AFV_Bの場合には後ピンの状態であることから、現在設定されているフォーカスレンズ16の移動目標位置を至近側に後述する移動量分(負の値)だけ変化させ、その新たな移動目標位置にフォーカスレンズ16を移動させる制御信号を上記D/A変換器54を介してフォーカスモータ駆動回路44に出力する。このような処理を繰り返し、AFV_A=AFV_Bとなった場合にはフォーカスレンズ16の移動を停止させる。これによってフォーカスレンズ16が合焦位置に移動する。
【0043】
ここで、フォーカスレンズ位置検出器56から取得されるフォーカスレンズ16の現在位置を示す検出信号の値(フォーカス位置データ)をF_POSIとし、上述のように設定されるフォーカスレンズ16の移動目標位置をAF_CTRLとすると、CPU40は移動目標位置AF_CTRLから現在位置F_POSIを引いた値、即ち、AF_CTRL−F_POSIをフォーカスモータ駆動回路44に出力する制御信号の値F_SPEEDとする。フォーカスモータ駆動回路44に出力される制御信号は、フォーカスモータ駆動回路44に指令するフォーカスモータ42の回転速度(フォーカスレンズ16の移動速度)に対応した値であり、上述のように設定した制御信号の値F_SPEEDをフォーカスモータ駆動回路44に出力することで、移動目標位置AF_CTRLと現在位置F_POSIとの差(AF_CTRL−F_POSI)に対応した速度でフォーカスレンズ16が移動することになる。
【0044】
次に、上述のようにフォーカスレンズ16を合焦位置に移動させる際のフォーカスレンズ16の移動速度について説明する。CPU40は、上述のような処理によりフォーカスレンズ16を合焦位置に移動させる際に、フォーカスレンズ16を迅速且つ安定した動作で合焦位置に移動させるために、現在のフォーカス位置(フォーカス現在位置)における焦点評価値(例えば、図4の曲線Cで示した映像用撮像素子から得られる焦点評価値)の傾き(変化の大きさ)を考慮して移動速度を決定するようにしている。
【0045】
即ち、フォーカス現在位置における焦点評価値の傾きが、例えば図4の曲線Cに示す山型の焦点評価値の裾の部分のように小さい場合、フォーカス現在位置が合焦位置に対して大きく離れていることを示しており、この場合、フォーカスレンズ16をできるだけ高速で移動させ、短時間で合焦位置まで近づけることによって合焦状態となるまでに要するの時間を短縮することができる。また、焦点評価値の傾きが小さい場合には、フォーカスレンズ16を移動させた場合の焦点評価値の変化が少ない(フォーカス現在位置が合焦位置に対して大きく離れている)ため、フォーカスレンズ16を高速で移動させることによってフォーカスレンズ16の移動量に対してピント状態を検出(焦点評価値を取得)する間隔が比較的長くなっても特に不具合は生じない。
【0046】
一方、フォーカス現在位置における焦点評価値の傾きが大きい場合には、フォーカス現在位置が合焦位置に対して近いことを示しており、この場合に、もし、フォーカスレンズ16を高速で移動させることによってフォーカスレンズ16の移動量に対してピント状態を検出(焦点評価値を取得)する間隔が長くなると、合焦位置を検出できずに不安定な動作となるおそれがある。そのため、フォーカス現在位置における焦点評価値の傾きが大きい場合には、フォーカスレンズ16の移動速度を遅くすることによって安定した動作で確実にフォーカスレンズ16を合焦位置に移動させることができる。尚、ピント状態を検出(焦点評価値を取得)する時間間隔は、少なくとも1画面分の映像信号がピント状態検出用撮像素子32A、32Bから出力されるのに要する時間を必要とし、フォーカスレンズ16の移動速度が大きい程、ピント状態が検出されるフォーカス位置の間隔が広くなる。
【0047】
フォーカス現在位置における焦点評価値の傾き(変化)の大きさは、次のように評価することができる。図5は、図4と同様にchAとchBの焦点評価値の曲線A、Bと映像用撮像素子による焦点評価値の曲線Cを示した図である。同図において、フォーカス現在位置がF1にあるとすると、そのときの曲線Cの焦点評価値の傾き、即ち、焦点評価値の変化量は、フォーカス位置F1において検出されるchAの焦点評価値AFV_Aと、chBの焦点評価値AFV_Bの差ΔAFV(=AFV_A−AFV_B)によって評価することができる。フォーカス現在位置が同図のF1にある場合とF2にある場合の焦点評価値の差ΔAFVを比較すると、焦点評価値の傾きが小さいフォーカス位置F1での値の方が、焦点評価値の傾きが大きいフォーカス位置F2での値よりも小さくなることが分かる。
【0048】
従って、chAとchBの焦点評価値の差ΔAFVを求め、その焦点評価値の差ΔAFVが小さい程、フォーカスレンズ16の移動速度が速くなるように、逆に、焦点評価値の差ΔAFVが大きい程、フォーカスレンズ16の移動速度が遅くなるように制御することで、上述のように迅速且つ安定した動作でフォーカスレンズ16を合焦位置に移動させることができる。
【0049】
CPU40の処理を具体的に説明すると、上述のように現在のフォーカス位置F_POSIとその移動目標位置AF_CTRLとの差は、フォーカスレンズ16の移動速度に対応しており、新たな移動目標位置AF_CTRLを設定する際に現在の移動目標位置に加算する上記移動量が大きいほど、フォーカスレンズ16の移動速度を速くすることができる。そこで、この移動量を上記chAとchBの焦点評価値の差ΔAFVに基づいて変更する。即ち、ΔAFVに所定のAFゲインAFGをかけた値ΔAFV*AFGを、現在の移動目標位置に加算する上記移動量とすると、ΔAFVが小さい程、AFゲインAFGの値を大きくし、移動量ΔAFV*AFGの値が大きくなるように設定する。そして、その移動量ΔAFV*AFGを現在設定されている移動目標位置に加算して新たな移動目標位置として設定する(AF_CTRL=AF_CTRL+ΔAFV*AFG)。これによって、フォーカス現在位置における焦点評価値の傾きが小さい程(フォーカス現在位置が合焦位置に対して遠い程)、フォーカスレンズ16が高速で移動し、フォーカス現在位置における焦点評価値の傾きが大きい程(フォーカス現在位置が合焦位置に近い程)、フォーカスレンズ16が低速で移動するようになる。
【0050】
尚、上記説明では、焦点評価値の傾きの大きさをchAとchBの焦点評価値の差ΔAFVにより評価したが、これに限らずchAの焦点評価値AFV_AとchBの焦点評価値AFV_Bの比ΔAFV=AFV_A/AFV_Bにより評価することもできる。即ち、フォーカス現在位置が合焦位置より至近側にある場合、chAとchBの焦点評価値の比ΔAFV=AFV_A/AFV_B(>1となる)が小さい程、焦点評価値の傾きが小さく、フォーカス現在位置が合焦位置に対して遠くにあると判断することができる。フォーカス現在位置が合焦位置より無限遠側にある場合には、chAとchBの焦点評価値の比ΔAFV=AFV_A/AFV_Bの逆数1/ΔAFV(=AFV_B/AFV_A)が小さい程、焦点評価値の傾きが小さく、フォーカス現在位置が合焦位置に対して遠くにあると判断することができる。従って、比ΔAFVに基づいて上記移動量を変更することによって上記説明と同様にフォーカスレンズ16の移動速度を変更することができる。
【0051】
また、焦点評価値の傾きは、極大点にある程度近づくと、それ以降徐々に小さくなり0となるため、上述のように焦点評価値の傾きが小さい程、フォーカスレンズ16を高速で移動させるようにすると、極大点近傍でフォーカスレンズ16が高速で移動するようになる。このため、フォーカスレンズ16が焦点評価値の極大点近傍にある場合には、焦点評価値の傾きが小さい場合でもフォーカスレンズ16を低速で移動させるようにすることが適切である。そこで、フォーカスレンズ16が焦点評価値の極大点近傍にあることを検出する方法として、例えば、合焦位置方向へのフォーカスレンズ16の移動に対してchA又はchBの焦点評価値が減少傾向を示した場合には、焦点評価値の極大点近傍にあると判断する方法や、映像用撮像素子又は映像用撮像素子と共役の位置(光路長が等しい位置)にある撮像素子によりchA又はchB以外の焦点評価値(図4、図5の曲線Cで示す焦点評価値)を取得し、その焦点評価値がchA又はchBの焦点評価値より大きくなった場合には、フォーカスレンズ16が焦点評価値の極大点近傍にあると判断する方法等が考えられる。
【0052】
次に、CPU40におけるAF制御の処理手順について説明する。まず、CPU40における処理全体の流れについて図6のフローチャートで説明すると、CPU40は、所要の初期設定を行った後(ステップS10)、カメラ本体12から与えられるアイリス指令信号に基づいてアイリス制御を行う(ステップS12)。次いで、ズームデマンド64からのズーム指令信号に基づいてズーム制御を行う(ステップS14)。
【0053】
次に、CPU40はAFスイッチ66がONになっているか否かを判定し(ステップS16)、YESと判定した場合には、AFスタートフラグをONにした後(ステップS18)、フォーカス制御の処理を実行する(ステップS20)。一方、ステップS16においてNOと判定した場合にはAFスタートフラグをONにすることなく、フォーカス制御の処理を実行する(ステップS20)。ステップS20のフォーカス制御の処理が終了すると、ステップS12の処理に戻り、ステップS12からステップS20までの処理を繰り返し実行する。
【0054】
図7は、上記ステップS20におけるフォーカス制御の処理を示したフローチャートである。フォーカス制御の処理を実行する場合、まず、CPU40は、焦点評価値生成部70からピント状態検出用撮像素子32A(chA)の焦点評価値AFV_Aを取得する(ステップS30)と共に、ピント状態検出用撮像素子32B(chB)の焦点評価値AFV_Bを取得する(ステップS32)。
【0055】
次に、CPU40は、AFスタートフラグがONに設定されているか否かを判定する(ステップS34)。NOと判定した場合はMFの処理を実行する。
【0056】
MFの処理の場合、CPU40は、フォーカスレンズ位置検出器56からフォーカスレンズ16の現在位置を示すフォーカス位置データF_POSIを取得するとともに(ステップS36)、フォーカスデマンド62からフォーカスレンズ16の移動目標位置を示すフォーカスデマンドデータF_CTRLを取得する(ステップS38)。そして、取得したフォーカス位置データF_POSIとフォーカスデマンドデータF_CTRLとの差F_POSI−F_CTRLを求め、その値を、フォーカスデマンド62により指令された移動目標位置にフォーカスレンズ16を移動させるための移動速度F_SPEEDとして設定する(ステップS40)。そして、その移動速度F_SPEEDを制御信号としてD/A変換器54を介してフォーカスモータ駆動回路44に出力する(ステップS44)。
【0057】
一方、ステップS34においてYES、即ち、AFスタートフラグがONと判定された場合には、CPU40はAFの処理を実行する(ステップS42)。
【0058】
図8は、ステップS42におけるAFの処理手順を示したフローチャートである。まず、CPU40は、パラメータF_MEMO_FLGが1に設定されているか否かを判断する(ステップS50)。MF制御からAF制御に移行した最初の処理では、NOと判定され、その場合、フォーカスデマンド62から現在の移動目標位置を示すフォーカスデマンドデータを取得し、そのデータ値を初期(現在)の移動目標位置F_CTRLとして設定する(ステップS52)。次に、上記パラメータF_MEMO_FLGを1に設定する(ステップS54)。上記ステップS50においてYESと判定した場合には、これらのステップS52、ステップS54の処理は行わない。
【0059】
次に、CPU40は、上記図7のステップS30及びステップS32で取得したchAの焦点評価値AFV_AとchBの焦点評価値AFV_Bとの差ΔAFV=AFV_A−AFV_Bを求める(ステップS56)。そして、ΔAFVに基づいてAFゲインAFGを設定する(ステップS58)。尚、AFゲインAFGは、ΔAFVが小さい程、大きな値に設定される。
【0060】
続いて、CPU40は、上記ΔAFVにAFゲインAFGをかけた値(移動量)ΔAFV*AFGを現在の移動目標位置AF_CTRLに加算し、その値を新たな移動目標位置AF_CTRLとする(ステップS60)。即ち、AF_CTRL=AF_CTRL+ΔAFV*AFGとする。
【0061】
次にCPU40は、フォーカスレンズ位置検出器56からフォーカスレンズ16の現在位置を示すフォーカス位置データF_POSIを読み込み(ステップS62)、そのフォーカス位置データF_POSIと、ステップS60で設定した移動目標位置AF_CTRLとの差AF_CTRL−F_POSIを、フォーカスレンズ16を移動させるための移動速度F_SPEEDとして設定する(ステップS64)。そして、図7のフローチャートに戻り、その移動速度F_SPEEDを制御信号としてD/A変換器54を介してフォーカスモータ駆動回路44に出力する(ステップS44)。
【0062】
以上の処理により、焦点評価値の傾きが小さい場合にはフォーカスレンズ16が高速で移動し、焦点評価値の傾きが大きい場合にはフォーカスレンズ16が低速で移動して、フォーカスレンズ16を合焦位置に設定されるようになる。
【0063】
尚、図8に示したAF処理のようにAFゲインAFGをchAの焦点評価値AFV_AとchBの焦点評価値AFV_Bとの差ΔAFV=AFV_A−AFV_Bに基づいて設定するのではなく、上述のようにchAの焦点評価値AFV_AとchBの焦点評価値AFV_Bの比ΔAFV=AFV_A/AFV_Bに基づいて設定することも可能であり、この場合のAF処理を図9のフローチャートで説明する。
【0064】
まず、CPU40は、図8の場合と同様にパラメータF_MEMO_FLGが1に設定されているか否かを判断する(ステップS70)。NOと判定された場合、フォーカスデマンド62から現在の移動目標位置を示すフォーカスデマンドデータを取得し、そのデータ値を初期の移動目標位置F_CTRLとして設定する(ステップS72)。次に、上記パラメータF_MEMO_FLGを1に設定する(ステップS74)。上記ステップS70においてYESと判定した場合には、これらのステップS72、ステップS74の処理は行わない。
【0065】
次に、CPU40は、上記図7のステップS30及びステップS32で取得したchAの焦点評価値AFV_AとchBの焦点評価値AFV_Bとの比ΔAFV=AFV_A/AFV_Bを求める(ステップS76)。そして、比ΔAFVに基づいてAFゲインAFGを設定する(ステップS78)。尚、AFゲインAFGは、比ΔAFVが小さい程、大きな値に設定される。
【0066】
次に、CPU40は、焦点評価値の比ΔAFVが1.0以上か否かを判定する(ステップS80)。YESと判定した場合には、ΔAFV=(ΔAFV−1.0)*AFGとする(ステップS82)。一方、NOと判定した場合には、−ΔAFV=(1/ΔAFV−1.0)*AFGとする(ステップS84)。そして、CPU40は、上記求めた値(移動量)ΔAFVを現在の移動目標位置AF_CTRLに加算し、その値を新たな移動目標位置AF_CTRLとする(ステップS86)。即ち、AF_CTRL=AF_CTRL+ΔAFVとする。
【0067】
次にCPU40は、フォーカスレンズ位置検出器56からフォーカスレンズ16の現在位置を示すフォーカス位置データF_POSIを読み込み(ステップS88)、そのフォーカス位置データF_POSIと、ステップS86で設定した移動目標位置AF_CTRLとの差AF_CTRL−F_POSIを、フォーカスレンズ16を移動させるための移動速度F_SPEEDとして設定する(ステップS90)。そして、図7のフローチャートに戻り、その移動速度F_SPEEDを制御信号としてD/A変換器54を介してフォーカスモータ駆動回路44に出力する(ステップS44)。
【0068】
以上、上記実施の形態では、2つのピント状態検出用撮像素子32A、32Bから2つの焦点評価値を取得してAF制御を行う場合について説明したが、これに限らず、光路長が異なる位置に配置された3つ以上の撮像素子から得られる3つ以上の焦点評価値に基づいてAF制御を行う場合でもいずれか2つの焦点評価値を上記chA、chBの焦点評価値として扱うことにより本発明を適用することができる。また、1つの撮像素子から得られる1つの焦点評価値に基づいてAF制御を行う場合においても、フォーカスレンズを移動させている際に順次得られた2つ焦点評価値を用いて焦点評価値の傾きの大きさを評価することで本発明を適用することができる。
【0069】
また、上記実施の形態では、AF制御において、焦点評価値の傾きの大きさに基づいてフォーカスレンズ16の移動目標位置を設定し、その移動目標位置と現在位置との差に対応した移動速度でフォーカスレンズ16を移動させるようにしたが、これに限らず、焦点評価値の傾きに基づいて直接移動速度を設定し、その移動速度でフォーカスレンズ16を移動させるようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、本発明をテレビカメラシステムに適用した場合を例に説明したが、本発明はこれに限らず、ビデオカメラや静止画を撮影するスチルカメラにも適用することができる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るオートフォーカスシステムによれば、フォーカスを移動させたときの焦点評価値の変化の大きさに基づいてフォーカスの移動速度を変更するようにし、例えば、焦点評価値の変化が小さい場合には、フォーカスを高速で移動させ、その後、焦点評価値の変化が大きくなった場合にはフォーカスを低速で移動させるようにすることで、フォーカスを迅速且つ安定した動作で確実に合焦位置に移動させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るオートフォーカスシステムが適用されたテレビカメラシステムのブロック図である。
【図2】図2は、映像用撮像素子に入射する被写体光の光軸と一対のピント状態検出用撮像素子に入射する被写体光の光軸を同一直線上に表示した図である。
【図3】図3は、焦点評価値生成部の構成を示したブロック図である。
【図4】図4は、横軸に撮影レンズのフォーカス位置、縦軸に焦点評価値をとり、ある被写体を撮影した際のフォーカス位置に対する焦点評価値の様子を示した図である。
【図5】図5は、フォーカスの移動速度の説明に使用した説明図である。
【図6】図6は、CPUにおける処理全体の流れを示したフローチャートである。
【図7】図7は、図6におけるフォーカス制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図8】図8は、図7におけるAF処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図9】図9は、AF処理の他の形態における処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
10…レンズ装置、12…カメラ本体、14…撮像部、16…フォーカスレンズ(群)、18…ズームレンズ(群)、20…アイリス、22A…前側リレーレンズ、22B…後側リレーレンズ、24…ハーフミラー、26…リレーレンズ、28…ピント状態検出部、30A…第1プリズム、30B…第2プリズム、32A、32B…ピント状態検出用撮像素子、40…CPU、42…フォーカスモータ、44…フォーカスモータ駆動回路、56…フォーカスレンズ位置検出器、62…フォーカスデマンド、66…AFスイッチ、70…焦点評価値生成部、80A、80B…ハイパスフィルタ(HPF)、82A、82B…A/D変換器、84A、84B…ゲート回路、86A、86B…加算器
【発明の属する技術分野】
本発明はオートフォーカスシステムに係り、特にコントラスト方式によって撮影レンズのフォーカスを制御するオートフォーカスシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ビデオカメラなどのオートフォーカスは、コントラスト方式によるものが一般的である。このコントラスト方式は、撮像素子から得られた映像信号のうちある範囲(フォーカスエリア)内の映像信号の高域周波数成分を積算して焦点評価値とし、その焦点評価値が最大(極大)となるようにピント調整を自動で行うものである。これによって、撮像素子で撮像された画像の鮮鋭度(コントラスト)が最大となる最良ピント(合焦)が得られる。
【0003】
また、合焦位置(焦点評価値の極大点)にフォーカスを設定する方法として、山登り方式と呼ばれるものが広く知られている。この方法は、フォーカスを動かしたときの異なる2点での焦点評価値の比較により焦点評価値が増加する方向を検出すると共に、その方向にフォーカスを動かし、焦点評価値が増加から減少に変わると、焦点評価値が減少する前の位置にフォーカスを戻してフォーカスを焦点評価値の極大点に設定するというものである。
【0004】
また、上述の山登り方式の場合、フォーカスを実際に動かさないと焦点評価値の増加方向や合焦を判断することができないという欠点があるため、光路長の異なる位置に複数の撮像素子を配置してフォーカスを動かさなくても撮影レンズのピント状態(前ピン、後ピン、合焦)を検出できるようにしたピント状態検出方法が提案されている(特願2001−168246号、特願2001−168247号、特願2001−168248号、特願2001−168249号等)。このピント状態検出方法によれば、各撮像素子から得られる現時点の焦点評価値の大小関係により現時点のピント状態を即座に知ることができるため、フォーカスの移動方向や合焦をフォーカスを動かすことなく判断することができる。したがって、この方法を用いたオートフォーカスでは、フォーカスを合焦位置に迅速に設定することができる等の利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フォーカス位置に対する焦点評価値の分布は、通常、焦点評価値の極大点を頂点とする山型の分布を示しているが、従来は、フォーカスの現在位置がその焦点評価値分布のどの部分にあるかを考慮することなく、フォーカスを焦点評価値の極大点に向けて移動させるようにしていた。
【0006】
一方、フォーカスが山型の焦点評価値分布の裾にある場合、即ち、フォーカスの移動量に対して焦点評価値の変化(焦点評価値の傾き)が小さい部分にある場合には、フォーカスが合焦位置に対してある程度離れており、フォーカスを高速で移動させても不具合は生じないが、焦点評価値の極大点付近でフォーカスを高速で移動させると、焦点評価値の極大点を検出できずに不安定なフォーカス動作となるおそれがある。
【0007】
このため、フォーカスの移動速度は、焦点評価値の極大点を確実に検出できる速度に制限され、フォーカスが焦点評価値分布の裾にある場合には合焦位置に移動するまでの時間が長くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、撮影レンズのフォーカスを迅速に且つ安定した動作で確実に合焦位置に移動させることができるオートフォーカスシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、撮影レンズに入射した被写体光を撮像して映像信号を生成し、該映像信号から被写体像の鮮鋭度を示す焦点評価値を生成する焦点評価値生成手段と、該焦点評価値生成手段により生成される焦点評価値が合焦を示す状態となるように前記撮影レンズのフォーカスを制御するフォーカス制御手段と、を備えたオートフォーカスシステムにおいて、前記フォーカス制御手段は、前記撮影レンズのフォーカスを移動させる場合に、フォーカスを移動させたときの焦点評価値の変化の大きさを考慮してフォーカスの移動速度を変更することを特徴としている。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記焦点評価値生成手段は、光路長が異なる位置に配置された複数の撮像面において前記撮影レンズに入射した被写体光を撮像して各撮像面に対する複数の焦点評価値を生成し、前記フォーカス制御手段は、前記焦点評価値の変化の大きさを評価する値として、同一のフォーカス位置において前記焦点評価値生成手段によって生成されたいずれか2つの焦点評価値の差又は比を求め、該焦点評価値の差又は比に基づいて前記フォーカスの移動速度を変更することを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記フォーカス制御手段は、前記焦点評価値の変化の大きさが小さい程、前記フォーカスの移動速度を速くすることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、フォーカスを移動させたときの焦点評価値の変化の大きさに基づいてフォーカスの移動速度を変更するようにし、例えば、焦点評価値の変化が小さい場合には、フォーカスを高速で移動させ、その後、焦点評価値の変化が大きくなった場合にはフォーカスを低速で移動させるようにすることで、フォーカスを迅速且つ安定した動作で確実に合焦位置に移動させることができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るオートフォーカスシステムの好ましい実施の形態について詳説する。
【0014】
図1は、本発明に係るオートフォーカスシステムが適用されたテレビカメラシステムのブロック図である。同図に示すように、このテレビカメラシステムは、レンズ装置10とカメラ本体12等から構成されており、カメラ本体12には、放映用の映像を撮影し、所定形式の映像信号を出力又は記録媒体に記録するための撮像素子(以下、映像用撮像素子という)や所要の回路等が搭載されている。
【0015】
レンズ装置10は、カメラ本体12に着脱可能に装着され、主に光学系(撮影レンズ)と制御系とから構成されている。まず、撮影レンズの構成について説明すると、撮影レンズには、フォーカスレンズ(群)16、ズームレンズ(群)18、アイリス20、前側リレーレンズ22Aと後側リレーレンズ22Bとからなるリレーレンズ(リレー光学系)等が配置されている。そして、リレー光学系の前側リレーレンズ22Aと後側リレーレンズ22Bとの間には、撮影レンズに入射した被写体光からピント状態検出用の被写体光を分岐するためのハーフミラー24が配置されている。
【0016】
ハーフミラー24は、撮影レンズの光軸Oに対して略45度傾斜して設置されており、前側リレーレンズ22Aを通過した被写体光の一部(例えば1/3の光量)がピント状態検出用の被写体光として直角に反射するようになっている。
【0017】
ハーフミラー24を透過した被写体光は、映像用の被写体光として撮影レンズの後端側から射出されたのち、カメラ本体12の撮像部14に入射する。撮像部14の構成については省略するが、撮像部14に入射した被写体光は、例えば色分解光学系により、赤色光、緑色光、青色光の3色に分解され、各色ごとの映像用撮像素子の撮像面に入射する。これによって放映用のカラー映像が撮影される。なお、図中のピント面Pは、各映像用撮像素子の撮像面に対して光学的に等価な位置を撮影レンズの光軸O上に示したものである。
【0018】
一方、ハーフミラー24で反射された被写体光は、ピント状態検出用の被写体光として光軸Oに対して垂直な光軸O′に沿って進行し、リレーレンズ26に入射する。そして、このリレーレンズ26で集光されてピント状態検出部28に入射する。
【0019】
ピント状態検出部28は、光分割光学系を構成する2つのプリズム30A、30Bと、ピント状態検出用の一対の撮像素子32A、32B(以下、ピント状態検出用撮像素子32A、32Bという)とで構成されている。
【0020】
上述したようにハーフミラー24で反射した被写体光は、光軸O′に沿って進行し、まず、第1プリズム30Aに入射する。そして、第1プリズム30Aのハーフミラー面Mで反射光と透過光に等分割される。このうち反射光は一方のピント状態検出用撮像素子32Aの撮像面に入射し、透過光は他方のピント状態検出用撮像素子32Bに入射する。尚、各ピント状態検出用撮像素子32A、32Bのそれぞれの撮像面には、例えば、撮影レンズに入射した全被写体光のうちの1/6の光量が入射する。
【0021】
図2は、カメラ本体12の映像用撮像素子に入射する被写体光の光軸と一対のピント状態検出用撮像素子32A、32Bに入射する被写体光の光軸を同一直線上に表示したものである。同図に示すように、一方のピント状態検出用撮像素子32Aに入射する被写体光の光路長は、他方のピント状態検出用撮像素子32Bに入射する被写体光の光路長よりも短く設定され、映像用撮像素子の撮像面(ピント面P)に入射する被写体光の光路長は、その中間の長さとなるように設定されている。すなわち、一対のピント状態検出用撮像素子32A、32B(の撮像面)は、それぞれ映像用撮像素子の撮像面(ピント面P)に対して前後等距離の位置に配置されている。
【0022】
このように配置された一対のピント状態検出用撮像素子32A、32Bにより、撮影レンズに入射した被写体光が映像用撮像素子の撮像面(ピント面P)に対して前後等距離の位置で撮像されるようになっている。尚、ピント状態検出用撮像素子32A、32Bは後述のようにピント状態検出(オートフォーカス制御)のための映像信号を取得するものであり、カラー映像を撮像するものである必要はなく、本実施の形態では白黒画像を撮像するCCDであるものとする。
【0023】
続いて、レンズ装置10の制御系について説明すると、上記フォーカスレンズ16、ズームレンズ18、アイリス20は、それぞれ図1に示すフォーカスモータ42、ズームモータ46、アイリスモータ50と図示しない動力伝達機構を介して連結されており、フォーカスモータ42を駆動すると、フォーカスレンズ16が光軸方向に移動して撮影レンズの焦点位置(撮影距離)が変更され、ズームモータ46を駆動すると、ズームレンズ18が光軸方向に移動して撮影レンズのズーム倍率が変更され、アイリスモータ50を駆動すると、アイリス20の絞り羽根が開閉動作して絞り径(絞り値)が変更されるようになっている。
【0024】
各モータ42、46、50には、それぞれフォーカスモータ駆動回路44、ズームモータ駆動回路48、アイリスモータ駆動回路52から駆動電圧が与えられ、各駆動回路44、48、52には、D/A変換器54を介してレンズ装置10に搭載されたCPU40から出力された制御信号が与えられるようになっている。
【0025】
CPU40から出力される上記制御信号は、例えば、駆動するモータの回転速度、即ち、駆動する対象(フォーカスレンズ16、ズームレンズ18、アイリス20)の動作速度に対応する電圧値を示しており、その電圧値がD/A変換器54によってアナログ信号に変換されて対応する駆動回路44、48、52に与えられると、各駆動回路44、48、52によって電圧増幅され、その増幅された電圧が駆動電圧として対応するモータ42、46、50に印加される。これによって、各モータ42、46、50の回転速度がCPU40によって制御される。
【0026】
また、フォーカスレンズ16、ズームレンズ18、アイリス20の現在位置がそれぞれポテンショメータ等のフォーカスレンズ位置検出器56、ズームレンズ位置検出器58、アイリス位置検出器60によって検出されており、それらの位置検出器56、58、60から出力された検出信号がA/D変換器68を介してCPU40に与えられるようになっている。
【0027】
従って、CPU40の処理において、上述のように各モータ42、46、50の回転速度を制御することにより、フォーカスレンズ16、ズームレンズ18、アイリス20の動作速度を所望の速度に制御することができると共に、各位置検出器56、58、60からの検出信号によりフォーカスレンズ16、ズームレンズ18、アイリス20の現在位置を読み取りながら、各モータ42、46、50の回転速度を制御することにより、フォーカスレンズ16、ズームレンズ18、アイリス20の設定位置を所望の位置に制御することができる。
【0028】
撮影レンズのフォーカスやズームは、一般にフォーカスデマンド62やズームデマンド64等のコントローラをレンズ装置10に接続することによって操作者がマニュアル操作することができるようになっており、例えば、フォーカスデマンド62からは、マニュアル操作部材(フォーカスリング)の回動位置に対応した電圧のフォーカス指令信号(フォーカスデマンドデータ)が出力され、A/D変換器68を介してCPU40に与えられる。CPU40は、例えば、そのフォーカスデマンドデータの値をフォーカスレンズ16の移動目標位置を示す値として、その移動目標位置と、フォーカスレンズ位置検出器56から取得される現在位置(フォーカス位置データ)との差に応じた移動速度での移動を指令する制御信号を上述のようにD/A変換器54を介してフォーカスモータ駆動回路44に出力する。これによりフォーカスレンズ16がフォーカスデマンド62によって指令された移動目標位置に移動し、停止する。
【0029】
尚、ズームデマンド64からは、一般に、操作部材(サムリング)の回動位置に対応した電圧がズームレンズ18の移動目標速度を示す値としてCPU40に与えられ、CPU40は、その移動目標速度での移動を指令する制御信号をズームモータ駆動回路48に出力し、ズームレンズ18をズームデマンド64によって指令された移動目標速度で移動させる。また、アイリス20については、一般にカメラ本体12からアイリス20の動作目標位置を指令する指令信号がCPU40に与えられ、その動作目標位置となるようにアイリス20の位置がCPU40によって制御される。
【0030】
また、撮影レンズのフォーカスの制御には、上記フォーカスデマンド62を用いたマニュアルフォーカス(MF)制御と、上記ピント状態検出用撮像素子32A、32Bからの映像信号に基づくオートフォーカス(AF)制御とがあり、このようなMF制御とAF制御を切り替えるAFスイッチ66がレンズ装置10又はフォーカスデマンド62等に設けられている。AFスイッチ66のオン/オフ状態は、CPU40によって検出され、AFスイッチ66がオフの場合にはMF制御が行われ、上述のようにフォーカスデマンド62からのフォーカス指令信号(フォーカスデマンドデータ)に基づいてフォーカスレンズ16が制御される。
【0031】
一方、AFスイッチ66がオンされた場合には、AF制御が行われる。即ち、上記一対のピント状態検出用撮像素子32A、32Bで撮像された画像(映像)は、その各画素値を1画面を構成する複数の走査線(水平ライン)にそって順次伝送する映像信号として出力され、焦点評価値生成部70に入力される。焦点評価値生成部70の構成、処理については後述するが、焦点評価値生成部70において、その入力された映像信号から、各ピント状態検出用撮像素子32A、32Bで撮像された各画像のコントラスト(鮮鋭度)の高低を示す焦点評価値が生成され、それらの生成された焦点評価値がCPU40に与えられるようになっている。尚、ピント状態検出用撮像素子32Aからの映像信号に基づいて生成された焦点評価値を、チャンネルA(chA)の焦点評価値といい、ピント状態検出用撮像素子32Bからの映像信号に基づいて生成された焦点評価値を、チャンネルB(chB)の焦点評価値という。CPU40では、詳細を後述するように、焦点評価値生成部70から取得したchAとchBの焦点評価値を取得し、その取得した焦点評価値に基づいて、撮影レンズのピント状態(前ピン、後ピン、合焦)を検出すると共に、撮影レンズのピント状態が合焦となるようにフォーカスレンズ16の位置を制御する。
【0032】
以上の如く構成されたカメラシステムにおけるAFの制御について以下詳説する。まず、焦点評価値生成部70の構成及び処理について説明する。図3に示すように、各ピント状態検出用撮像素子32A、32Bから出力された映像信号は、焦点評価値生成部70のハイパスフィルタ(HPF)80A、80Bに入力される。ここでピント状態検出用撮像素子32A、32Bは、いずれも白黒画像を撮影するCCDであることから、各ピント状態検出用撮像素子32A、32Bから出力される映像信号は、それぞれの画面を構成する各画素の輝度値を示す輝度信号である。
【0033】
HPF80A、80Bに入力された映像信号は、それぞれHPF80A、80Bによってその高域周波数成分が抽出され、その高域周波数成分の信号は、続いてA/D変換器82A、82Bによってデジタル信号に変換される。そして、ピント状態検出用撮像素子32A、32Bにより撮像された画像の1画面分(1フィールド分)のデジタル信号のうち所定のフォーカスエリア内(例えば、画面中央部分)の画素に対応するデジタル信号のみがゲート回路84A、84Bによって抽出され、抽出された範囲のデジタル信号の値が加算器86A、86Bによって加算される。これにより、フォーカスエリア内における映像信号の高域周波数成分の値の総和が求められる。加算器86A、86Bによって得られた値は、フォーカスエリア内における画像の鮮鋭度の高低を示す焦点評価値であり、加算器86Aで得られた焦点評価値はチャンネルA(chA)の焦点評価値として、加算器86Bで得られた焦点評価値はチャンネルB(chB)の焦点評価値としてCPU40に与えられる。
【0034】
尚、同図に示す同期信号発生回路88からは、各種同期信号が各ピント状態検出用撮像素子32A、32Bやゲート回路84A、84B等の各回路に与えられており、各回路の処理の同期が図られている。また、同期信号発生回路88からCPU40には、映像信号の1フィールドごとの垂直同期信号(V信号)が与えられている。
【0035】
次に、上記焦点評価値に基づくピント状態の検出及びフォーカス(フォーカスレンズ16)の制御について説明する。上記のように焦点評価値生成部70から取得されるchAとchBの焦点評価値により映像用撮像素子の撮像面(ピント面P)に対する撮影レンズの現在のピント状態を検出することができる。
【0036】
図4は、横軸に撮影レンズのフォーカスレンズ16の位置(フォーカス位置)、縦軸に焦点評価値をとり、ある被写体を撮影した際のフォーカス位置に対する焦点評価値の様子を示した図である。図中点線で示す曲線Cは、映像用撮像素子(又は映像用撮像素子と共役の位置に配置された撮像素子)からの映像信号により焦点評価値を求めたと仮定した場合にその焦点評価値をフォーカス位置に対して示したものであり、図中実線で示す曲線A、Bは、それぞれピント状態検出用撮像素子32A、32Bから得られるchAとchBの焦点評価値をフォーカス位置に対して示したものである。同図において、曲線Cの焦点評価値が最大(極大)となる位置F3が合焦位置である。
【0037】
撮影レンズのフォーカス位置が同図のF1に設定された場合、chAの焦点評価値VA1は、曲線Aの位置F1に対応する値となり、chBの焦点評価値VB1は、曲線Bの位置F1に対応する値となる。そして、この場合、chAの焦点評価値VA1の方が、chBの焦点評価値VB1よりも大きくなり、このことから、フォーカス位置が合焦位置(F3)よりも至近側に設定された状態、すなわち、前ピンの状態であることが分かる。
【0038】
一方、撮影レンズのフォーカス位置が同図のF2に設定された場合、chAの焦点評価値VA2は、曲線Aの位置F2に対応する値となり、chBの焦点評価値VB2は、曲線Bの位置F2に対応する値となる。そして、この場合、chAの焦点評価値VA2の方が、chBの焦点評価値VB2よりも小さくなり、このことから、フォーカス位置が合焦位置(F3)よりも無限遠側に設定された状態、すなわち、後ピンの状態であることが分かる。
【0039】
これに対して、撮影レンズのフォーカス位置がF3、すなわち合焦位置に設定された場合、chAの焦点評価値VA3は、曲線Aの位置F3に対応する値となり、chBの焦点評価値VB3は、曲線Bの位置F3に対応する値となる。このとき、chAの焦点評価値VA3とchBの焦点評価値VB3は等しくなり、このことから、フォーカス位置が合焦位置(F3)に設定された状態であることが分かる。
【0040】
このように、焦点評価値生成部70から得られるchAとchBの焦点評価値により、撮影レンズの現在のピント状態が前ピン、後ピン、合焦のいずれの状態であるかを検出することができる。
【0041】
従って、焦点評価値生成部70から得られるchAとchBの焦点評価値に基づいてフォーカスレンズ16の位置を制御することにより、フォーカスレンズ16を合焦位置に移動させることができる。即ち、chAとchBの焦点評価値が、前ピンであると判断される状態の場合には、フォーカスレンズ16を無限遠方向に移動させ、後ピンであると判断される状態の場合には、フォーカスレンズ16を至近方向に移動させ、合焦であると判断される状態となった場合には、フォーカスレンズ16をその位置で停止させることによって、フォーカスレンズ16を合焦位置に移動させることができる。
【0042】
上記説明に対応するCPU40の処理について具体的に説明すると、焦点評価値生成部70から取得されるchAの焦点評価値をAFV_A、chBの焦点評価値をAFV_Bとすると、AFV_A>AFV_Bの場合には前ピンの状態であることからCPU40は、現在設定されているフォーカスレンズ16の移動目標位置を無限遠側に後述する移動量分(正の値)だけ変化させ、その新たな移動目標位置にフォーカスレンズ16を移動させる制御信号を上記D/A変換器54を介してフォーカスモータ駆動回路44に出力する。反対にAFV_A<AFV_Bの場合には後ピンの状態であることから、現在設定されているフォーカスレンズ16の移動目標位置を至近側に後述する移動量分(負の値)だけ変化させ、その新たな移動目標位置にフォーカスレンズ16を移動させる制御信号を上記D/A変換器54を介してフォーカスモータ駆動回路44に出力する。このような処理を繰り返し、AFV_A=AFV_Bとなった場合にはフォーカスレンズ16の移動を停止させる。これによってフォーカスレンズ16が合焦位置に移動する。
【0043】
ここで、フォーカスレンズ位置検出器56から取得されるフォーカスレンズ16の現在位置を示す検出信号の値(フォーカス位置データ)をF_POSIとし、上述のように設定されるフォーカスレンズ16の移動目標位置をAF_CTRLとすると、CPU40は移動目標位置AF_CTRLから現在位置F_POSIを引いた値、即ち、AF_CTRL−F_POSIをフォーカスモータ駆動回路44に出力する制御信号の値F_SPEEDとする。フォーカスモータ駆動回路44に出力される制御信号は、フォーカスモータ駆動回路44に指令するフォーカスモータ42の回転速度(フォーカスレンズ16の移動速度)に対応した値であり、上述のように設定した制御信号の値F_SPEEDをフォーカスモータ駆動回路44に出力することで、移動目標位置AF_CTRLと現在位置F_POSIとの差(AF_CTRL−F_POSI)に対応した速度でフォーカスレンズ16が移動することになる。
【0044】
次に、上述のようにフォーカスレンズ16を合焦位置に移動させる際のフォーカスレンズ16の移動速度について説明する。CPU40は、上述のような処理によりフォーカスレンズ16を合焦位置に移動させる際に、フォーカスレンズ16を迅速且つ安定した動作で合焦位置に移動させるために、現在のフォーカス位置(フォーカス現在位置)における焦点評価値(例えば、図4の曲線Cで示した映像用撮像素子から得られる焦点評価値)の傾き(変化の大きさ)を考慮して移動速度を決定するようにしている。
【0045】
即ち、フォーカス現在位置における焦点評価値の傾きが、例えば図4の曲線Cに示す山型の焦点評価値の裾の部分のように小さい場合、フォーカス現在位置が合焦位置に対して大きく離れていることを示しており、この場合、フォーカスレンズ16をできるだけ高速で移動させ、短時間で合焦位置まで近づけることによって合焦状態となるまでに要するの時間を短縮することができる。また、焦点評価値の傾きが小さい場合には、フォーカスレンズ16を移動させた場合の焦点評価値の変化が少ない(フォーカス現在位置が合焦位置に対して大きく離れている)ため、フォーカスレンズ16を高速で移動させることによってフォーカスレンズ16の移動量に対してピント状態を検出(焦点評価値を取得)する間隔が比較的長くなっても特に不具合は生じない。
【0046】
一方、フォーカス現在位置における焦点評価値の傾きが大きい場合には、フォーカス現在位置が合焦位置に対して近いことを示しており、この場合に、もし、フォーカスレンズ16を高速で移動させることによってフォーカスレンズ16の移動量に対してピント状態を検出(焦点評価値を取得)する間隔が長くなると、合焦位置を検出できずに不安定な動作となるおそれがある。そのため、フォーカス現在位置における焦点評価値の傾きが大きい場合には、フォーカスレンズ16の移動速度を遅くすることによって安定した動作で確実にフォーカスレンズ16を合焦位置に移動させることができる。尚、ピント状態を検出(焦点評価値を取得)する時間間隔は、少なくとも1画面分の映像信号がピント状態検出用撮像素子32A、32Bから出力されるのに要する時間を必要とし、フォーカスレンズ16の移動速度が大きい程、ピント状態が検出されるフォーカス位置の間隔が広くなる。
【0047】
フォーカス現在位置における焦点評価値の傾き(変化)の大きさは、次のように評価することができる。図5は、図4と同様にchAとchBの焦点評価値の曲線A、Bと映像用撮像素子による焦点評価値の曲線Cを示した図である。同図において、フォーカス現在位置がF1にあるとすると、そのときの曲線Cの焦点評価値の傾き、即ち、焦点評価値の変化量は、フォーカス位置F1において検出されるchAの焦点評価値AFV_Aと、chBの焦点評価値AFV_Bの差ΔAFV(=AFV_A−AFV_B)によって評価することができる。フォーカス現在位置が同図のF1にある場合とF2にある場合の焦点評価値の差ΔAFVを比較すると、焦点評価値の傾きが小さいフォーカス位置F1での値の方が、焦点評価値の傾きが大きいフォーカス位置F2での値よりも小さくなることが分かる。
【0048】
従って、chAとchBの焦点評価値の差ΔAFVを求め、その焦点評価値の差ΔAFVが小さい程、フォーカスレンズ16の移動速度が速くなるように、逆に、焦点評価値の差ΔAFVが大きい程、フォーカスレンズ16の移動速度が遅くなるように制御することで、上述のように迅速且つ安定した動作でフォーカスレンズ16を合焦位置に移動させることができる。
【0049】
CPU40の処理を具体的に説明すると、上述のように現在のフォーカス位置F_POSIとその移動目標位置AF_CTRLとの差は、フォーカスレンズ16の移動速度に対応しており、新たな移動目標位置AF_CTRLを設定する際に現在の移動目標位置に加算する上記移動量が大きいほど、フォーカスレンズ16の移動速度を速くすることができる。そこで、この移動量を上記chAとchBの焦点評価値の差ΔAFVに基づいて変更する。即ち、ΔAFVに所定のAFゲインAFGをかけた値ΔAFV*AFGを、現在の移動目標位置に加算する上記移動量とすると、ΔAFVが小さい程、AFゲインAFGの値を大きくし、移動量ΔAFV*AFGの値が大きくなるように設定する。そして、その移動量ΔAFV*AFGを現在設定されている移動目標位置に加算して新たな移動目標位置として設定する(AF_CTRL=AF_CTRL+ΔAFV*AFG)。これによって、フォーカス現在位置における焦点評価値の傾きが小さい程(フォーカス現在位置が合焦位置に対して遠い程)、フォーカスレンズ16が高速で移動し、フォーカス現在位置における焦点評価値の傾きが大きい程(フォーカス現在位置が合焦位置に近い程)、フォーカスレンズ16が低速で移動するようになる。
【0050】
尚、上記説明では、焦点評価値の傾きの大きさをchAとchBの焦点評価値の差ΔAFVにより評価したが、これに限らずchAの焦点評価値AFV_AとchBの焦点評価値AFV_Bの比ΔAFV=AFV_A/AFV_Bにより評価することもできる。即ち、フォーカス現在位置が合焦位置より至近側にある場合、chAとchBの焦点評価値の比ΔAFV=AFV_A/AFV_B(>1となる)が小さい程、焦点評価値の傾きが小さく、フォーカス現在位置が合焦位置に対して遠くにあると判断することができる。フォーカス現在位置が合焦位置より無限遠側にある場合には、chAとchBの焦点評価値の比ΔAFV=AFV_A/AFV_Bの逆数1/ΔAFV(=AFV_B/AFV_A)が小さい程、焦点評価値の傾きが小さく、フォーカス現在位置が合焦位置に対して遠くにあると判断することができる。従って、比ΔAFVに基づいて上記移動量を変更することによって上記説明と同様にフォーカスレンズ16の移動速度を変更することができる。
【0051】
また、焦点評価値の傾きは、極大点にある程度近づくと、それ以降徐々に小さくなり0となるため、上述のように焦点評価値の傾きが小さい程、フォーカスレンズ16を高速で移動させるようにすると、極大点近傍でフォーカスレンズ16が高速で移動するようになる。このため、フォーカスレンズ16が焦点評価値の極大点近傍にある場合には、焦点評価値の傾きが小さい場合でもフォーカスレンズ16を低速で移動させるようにすることが適切である。そこで、フォーカスレンズ16が焦点評価値の極大点近傍にあることを検出する方法として、例えば、合焦位置方向へのフォーカスレンズ16の移動に対してchA又はchBの焦点評価値が減少傾向を示した場合には、焦点評価値の極大点近傍にあると判断する方法や、映像用撮像素子又は映像用撮像素子と共役の位置(光路長が等しい位置)にある撮像素子によりchA又はchB以外の焦点評価値(図4、図5の曲線Cで示す焦点評価値)を取得し、その焦点評価値がchA又はchBの焦点評価値より大きくなった場合には、フォーカスレンズ16が焦点評価値の極大点近傍にあると判断する方法等が考えられる。
【0052】
次に、CPU40におけるAF制御の処理手順について説明する。まず、CPU40における処理全体の流れについて図6のフローチャートで説明すると、CPU40は、所要の初期設定を行った後(ステップS10)、カメラ本体12から与えられるアイリス指令信号に基づいてアイリス制御を行う(ステップS12)。次いで、ズームデマンド64からのズーム指令信号に基づいてズーム制御を行う(ステップS14)。
【0053】
次に、CPU40はAFスイッチ66がONになっているか否かを判定し(ステップS16)、YESと判定した場合には、AFスタートフラグをONにした後(ステップS18)、フォーカス制御の処理を実行する(ステップS20)。一方、ステップS16においてNOと判定した場合にはAFスタートフラグをONにすることなく、フォーカス制御の処理を実行する(ステップS20)。ステップS20のフォーカス制御の処理が終了すると、ステップS12の処理に戻り、ステップS12からステップS20までの処理を繰り返し実行する。
【0054】
図7は、上記ステップS20におけるフォーカス制御の処理を示したフローチャートである。フォーカス制御の処理を実行する場合、まず、CPU40は、焦点評価値生成部70からピント状態検出用撮像素子32A(chA)の焦点評価値AFV_Aを取得する(ステップS30)と共に、ピント状態検出用撮像素子32B(chB)の焦点評価値AFV_Bを取得する(ステップS32)。
【0055】
次に、CPU40は、AFスタートフラグがONに設定されているか否かを判定する(ステップS34)。NOと判定した場合はMFの処理を実行する。
【0056】
MFの処理の場合、CPU40は、フォーカスレンズ位置検出器56からフォーカスレンズ16の現在位置を示すフォーカス位置データF_POSIを取得するとともに(ステップS36)、フォーカスデマンド62からフォーカスレンズ16の移動目標位置を示すフォーカスデマンドデータF_CTRLを取得する(ステップS38)。そして、取得したフォーカス位置データF_POSIとフォーカスデマンドデータF_CTRLとの差F_POSI−F_CTRLを求め、その値を、フォーカスデマンド62により指令された移動目標位置にフォーカスレンズ16を移動させるための移動速度F_SPEEDとして設定する(ステップS40)。そして、その移動速度F_SPEEDを制御信号としてD/A変換器54を介してフォーカスモータ駆動回路44に出力する(ステップS44)。
【0057】
一方、ステップS34においてYES、即ち、AFスタートフラグがONと判定された場合には、CPU40はAFの処理を実行する(ステップS42)。
【0058】
図8は、ステップS42におけるAFの処理手順を示したフローチャートである。まず、CPU40は、パラメータF_MEMO_FLGが1に設定されているか否かを判断する(ステップS50)。MF制御からAF制御に移行した最初の処理では、NOと判定され、その場合、フォーカスデマンド62から現在の移動目標位置を示すフォーカスデマンドデータを取得し、そのデータ値を初期(現在)の移動目標位置F_CTRLとして設定する(ステップS52)。次に、上記パラメータF_MEMO_FLGを1に設定する(ステップS54)。上記ステップS50においてYESと判定した場合には、これらのステップS52、ステップS54の処理は行わない。
【0059】
次に、CPU40は、上記図7のステップS30及びステップS32で取得したchAの焦点評価値AFV_AとchBの焦点評価値AFV_Bとの差ΔAFV=AFV_A−AFV_Bを求める(ステップS56)。そして、ΔAFVに基づいてAFゲインAFGを設定する(ステップS58)。尚、AFゲインAFGは、ΔAFVが小さい程、大きな値に設定される。
【0060】
続いて、CPU40は、上記ΔAFVにAFゲインAFGをかけた値(移動量)ΔAFV*AFGを現在の移動目標位置AF_CTRLに加算し、その値を新たな移動目標位置AF_CTRLとする(ステップS60)。即ち、AF_CTRL=AF_CTRL+ΔAFV*AFGとする。
【0061】
次にCPU40は、フォーカスレンズ位置検出器56からフォーカスレンズ16の現在位置を示すフォーカス位置データF_POSIを読み込み(ステップS62)、そのフォーカス位置データF_POSIと、ステップS60で設定した移動目標位置AF_CTRLとの差AF_CTRL−F_POSIを、フォーカスレンズ16を移動させるための移動速度F_SPEEDとして設定する(ステップS64)。そして、図7のフローチャートに戻り、その移動速度F_SPEEDを制御信号としてD/A変換器54を介してフォーカスモータ駆動回路44に出力する(ステップS44)。
【0062】
以上の処理により、焦点評価値の傾きが小さい場合にはフォーカスレンズ16が高速で移動し、焦点評価値の傾きが大きい場合にはフォーカスレンズ16が低速で移動して、フォーカスレンズ16を合焦位置に設定されるようになる。
【0063】
尚、図8に示したAF処理のようにAFゲインAFGをchAの焦点評価値AFV_AとchBの焦点評価値AFV_Bとの差ΔAFV=AFV_A−AFV_Bに基づいて設定するのではなく、上述のようにchAの焦点評価値AFV_AとchBの焦点評価値AFV_Bの比ΔAFV=AFV_A/AFV_Bに基づいて設定することも可能であり、この場合のAF処理を図9のフローチャートで説明する。
【0064】
まず、CPU40は、図8の場合と同様にパラメータF_MEMO_FLGが1に設定されているか否かを判断する(ステップS70)。NOと判定された場合、フォーカスデマンド62から現在の移動目標位置を示すフォーカスデマンドデータを取得し、そのデータ値を初期の移動目標位置F_CTRLとして設定する(ステップS72)。次に、上記パラメータF_MEMO_FLGを1に設定する(ステップS74)。上記ステップS70においてYESと判定した場合には、これらのステップS72、ステップS74の処理は行わない。
【0065】
次に、CPU40は、上記図7のステップS30及びステップS32で取得したchAの焦点評価値AFV_AとchBの焦点評価値AFV_Bとの比ΔAFV=AFV_A/AFV_Bを求める(ステップS76)。そして、比ΔAFVに基づいてAFゲインAFGを設定する(ステップS78)。尚、AFゲインAFGは、比ΔAFVが小さい程、大きな値に設定される。
【0066】
次に、CPU40は、焦点評価値の比ΔAFVが1.0以上か否かを判定する(ステップS80)。YESと判定した場合には、ΔAFV=(ΔAFV−1.0)*AFGとする(ステップS82)。一方、NOと判定した場合には、−ΔAFV=(1/ΔAFV−1.0)*AFGとする(ステップS84)。そして、CPU40は、上記求めた値(移動量)ΔAFVを現在の移動目標位置AF_CTRLに加算し、その値を新たな移動目標位置AF_CTRLとする(ステップS86)。即ち、AF_CTRL=AF_CTRL+ΔAFVとする。
【0067】
次にCPU40は、フォーカスレンズ位置検出器56からフォーカスレンズ16の現在位置を示すフォーカス位置データF_POSIを読み込み(ステップS88)、そのフォーカス位置データF_POSIと、ステップS86で設定した移動目標位置AF_CTRLとの差AF_CTRL−F_POSIを、フォーカスレンズ16を移動させるための移動速度F_SPEEDとして設定する(ステップS90)。そして、図7のフローチャートに戻り、その移動速度F_SPEEDを制御信号としてD/A変換器54を介してフォーカスモータ駆動回路44に出力する(ステップS44)。
【0068】
以上、上記実施の形態では、2つのピント状態検出用撮像素子32A、32Bから2つの焦点評価値を取得してAF制御を行う場合について説明したが、これに限らず、光路長が異なる位置に配置された3つ以上の撮像素子から得られる3つ以上の焦点評価値に基づいてAF制御を行う場合でもいずれか2つの焦点評価値を上記chA、chBの焦点評価値として扱うことにより本発明を適用することができる。また、1つの撮像素子から得られる1つの焦点評価値に基づいてAF制御を行う場合においても、フォーカスレンズを移動させている際に順次得られた2つ焦点評価値を用いて焦点評価値の傾きの大きさを評価することで本発明を適用することができる。
【0069】
また、上記実施の形態では、AF制御において、焦点評価値の傾きの大きさに基づいてフォーカスレンズ16の移動目標位置を設定し、その移動目標位置と現在位置との差に対応した移動速度でフォーカスレンズ16を移動させるようにしたが、これに限らず、焦点評価値の傾きに基づいて直接移動速度を設定し、その移動速度でフォーカスレンズ16を移動させるようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、本発明をテレビカメラシステムに適用した場合を例に説明したが、本発明はこれに限らず、ビデオカメラや静止画を撮影するスチルカメラにも適用することができる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るオートフォーカスシステムによれば、フォーカスを移動させたときの焦点評価値の変化の大きさに基づいてフォーカスの移動速度を変更するようにし、例えば、焦点評価値の変化が小さい場合には、フォーカスを高速で移動させ、その後、焦点評価値の変化が大きくなった場合にはフォーカスを低速で移動させるようにすることで、フォーカスを迅速且つ安定した動作で確実に合焦位置に移動させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るオートフォーカスシステムが適用されたテレビカメラシステムのブロック図である。
【図2】図2は、映像用撮像素子に入射する被写体光の光軸と一対のピント状態検出用撮像素子に入射する被写体光の光軸を同一直線上に表示した図である。
【図3】図3は、焦点評価値生成部の構成を示したブロック図である。
【図4】図4は、横軸に撮影レンズのフォーカス位置、縦軸に焦点評価値をとり、ある被写体を撮影した際のフォーカス位置に対する焦点評価値の様子を示した図である。
【図5】図5は、フォーカスの移動速度の説明に使用した説明図である。
【図6】図6は、CPUにおける処理全体の流れを示したフローチャートである。
【図7】図7は、図6におけるフォーカス制御の処理手順を示したフローチャートである。
【図8】図8は、図7におけるAF処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図9】図9は、AF処理の他の形態における処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
10…レンズ装置、12…カメラ本体、14…撮像部、16…フォーカスレンズ(群)、18…ズームレンズ(群)、20…アイリス、22A…前側リレーレンズ、22B…後側リレーレンズ、24…ハーフミラー、26…リレーレンズ、28…ピント状態検出部、30A…第1プリズム、30B…第2プリズム、32A、32B…ピント状態検出用撮像素子、40…CPU、42…フォーカスモータ、44…フォーカスモータ駆動回路、56…フォーカスレンズ位置検出器、62…フォーカスデマンド、66…AFスイッチ、70…焦点評価値生成部、80A、80B…ハイパスフィルタ(HPF)、82A、82B…A/D変換器、84A、84B…ゲート回路、86A、86B…加算器
Claims (3)
- 撮影レンズに入射した被写体光を撮像して映像信号を生成し、該映像信号から被写体像の鮮鋭度を示す焦点評価値を生成する焦点評価値生成手段と、該焦点評価値生成手段により生成される焦点評価値が合焦を示す状態となるように前記撮影レンズのフォーカスを制御するフォーカス制御手段と、を備えたオートフォーカスシステムにおいて、
前記フォーカス制御手段は、前記撮影レンズのフォーカスを移動させる場合に、フォーカスを移動させたときの焦点評価値の変化の大きさを考慮してフォーカスの移動速度を変更することを特徴とするオートフォーカスシステム。 - 前記焦点評価値生成手段は、光路長が異なる位置に配置された複数の撮像面において前記撮影レンズに入射した被写体光を撮像して各撮像面に対する複数の焦点評価値を生成し、
前記フォーカス制御手段は、前記焦点評価値の変化の大きさを評価する値として、同一のフォーカス位置において前記焦点評価値生成手段によって生成されたいずれか2つの焦点評価値の差又は比を求め、該焦点評価値の差又は比に基づいて前記フォーカスの移動速度を変更することを特徴とする請求項1のオートフォーカスシステム。 - 前記フォーカス制御手段は、前記焦点評価値の変化の大きさが小さい程、前記フォーカスの移動速度を速くすることを特徴とする請求項1又は2のオートフォーカスシステム。
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