JP2004085635A - 表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動作の安定性、信頼性を保持すると共に、人体に対する安全性に加えて、火気に対する高い安全性を有した表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の表示装置は、複数の粒子体2の空間分布変化の違いにより表示を行う表示装置であって、粒子体2は表面にフッ素化合物を有し、かつ、粒子体2はフッ素系溶剤1に分散してフッ素系溶剤1中を泳動することを特徴とする。フッ素系溶剤1には、脂肪族、脂環式、または芳香族化合物の水素をフッ素に置換した完全フッ化炭素、または/及び、一部の水素をフッ素に置換したフッ素系溶剤を選択することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の表示装置は、複数の粒子体2の空間分布変化の違いにより表示を行う表示装置であって、粒子体2は表面にフッ素化合物を有し、かつ、粒子体2はフッ素系溶剤1に分散してフッ素系溶剤1中を泳動することを特徴とする。フッ素系溶剤1には、脂肪族、脂環式、または芳香族化合物の水素をフッ素に置換した完全フッ化炭素、または/及び、一部の水素をフッ素に置換したフッ素系溶剤を選択することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散溶媒中における複数の粒子体の空間分布変化の違いにより表示を行う、電子ペーパーとして使用可能な表示装置に関し、特に、電気泳動を利用した表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ペーパーは、従来の紙による表示(いわゆる「ハードコピー」)と、CRTや液晶等に代表される電子表示(いわゆる「ソフトコピー」)の中間に位置するもので、電子新聞紙等の用途が期待されている。電子ペーパーは従来の電子表示装置と異なり、一度表示をした後でも無電源で表示ができること(自己保持性)が要求される。さらに、特に長時間見ても疲労感の無い、印刷物と同等の高い視認性(コントラスト)が要求される。
【0003】
従来より、このような電子ペーパーに画像を表示させる技術手法として、着色粒子の回転、電気泳動、サーマルリライタブル、液晶、エレクトロクロミー等の技術が知られている。
【0004】
例えば、特許公告昭和50年第15120号公報には、電気泳動現象を利用した表示装置で基板間に泳動粒子を含む分散系を封入し、分散系内の電気泳動粒子の分布状態を制御することによって光学的反射特性に変化を与えて所要の表示動作を行わせるものが開示されている。このように電気泳動表示装置は、分散溶媒中に泳動する泳動粒子を分散させた分散系(表示組成物)が封入された構造を有し、泳動粒子の分布状態を制御することで所要の図形や文字を表示させることができる。
【0005】
電気泳動表示装置の基本構造は、少なくとも一方が透明な2枚の基板を対向するように配置し、これら基板の間に、有機溶媒からなる分散溶媒中に泳動する電気泳動粒子を分散させた分散系を有している構造である。また、それぞれの基板の対向する表面には電極が設けられている。このような電気泳動表示装置では、電極間に電圧を印加し、電気泳動粒子に対して電界を与えることにより、表示面側に泳動粒子を引き付け、又は離反させて分布状態を制御し、表示面の反射率を変化させることで、所要の図形や文字を表示させることができる。また、基板に電極を設けることなく、外部の装置を用いて電気泳動粒子に対して電界を与えてもよい。
【0006】
また、特開2001−265261号公報には、フッ素系溶剤が電気泳動表示装置の分散溶媒として使用可能なことが記載されているが、用いる粒子については特別の記載もない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの表示装置は、電子新聞、電子雑誌のように電子ペーパーとして幅広く利用され、屋内外の様々な環境下で使用される。さらに、通常の紙と同様に複数の電子ペーパーを束ねて本の状態での使用も想定されている。しかし、従来の電気泳動表示装置は分散溶媒として有機溶剤が使われているため、分散溶媒と泳動粒子の比重差が大きく異なり、振動、衝撃、重力及び経時的要因により表示を構成する泳動粒子が分散溶媒中に再分散や沈降し、表示が消失する恐れがある。また、有機溶剤の使用により有機溶剤の装置外部への揮発や空気中の水分の装置内部への拡散等により、泳動表示組成物の成分比や分散溶媒の誘電率、絶縁抵抗値、泳動粒子の表面電位の変動が推測される。これらの変動により、泳動粒子の凝集、表示面への付着などによる表示速度の低下や表示品質の低下を招く恐れがある。
【0008】
さらに、煙草等の身近な火気や表示装置内部の回路の短絡等により着火する可能性を有している。着火した場合、激しく燃焼する可能性があるため、その使用には火気に対する注意を必要としていた。また、表示装置の破損、劣化により、分散溶媒が漏洩した場合の引火に対する危険性も少なからず存在する。
【0009】
本発明の目的は、分散溶媒と泳動粒子の比重差を無くし、かつ、外部の水分の影響を極力排除することにより、動作の安定性、信頼性を保持すると共に、人体に対する安全性に加えて、火気に対する高い安全性を有した表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上のような問題点を解決するために考案されたものである。すなわち、
第1の発明は、複数の粒子体の空間分布変化の違いにより表示を行う表示装置であって、粒子体は表面にフッ素化合物を有し、かつ、粒子体はフッ素系溶剤に分散してフッ素系溶剤中を泳動することを特徴とする表示装置である。
【0011】
また、第2の発明は、第1の発明の構成で更に、フッ素系溶剤は、脂肪族、脂環式、または芳香族化合物の水素をフッ素に置換した完全フッ化炭素、または/及び、一部の水素をフッ素に置換したフッ素系溶剤であることを特徴とする表示装置である。
【0012】
また、第3の発明は、上記いずれかの構成で更に、粒子体表面のフッ素化合物の前駆体が、シラザン基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、塩化アシル基、塩素基、または臭素基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有すること、または/及び、粒子体表面がフッ素系高分子体に被覆されていること、を特徴とする表示装置である。
【0013】
また、第4の発明は、上記いずれかの構成で更に、フッ素系溶剤は、パーフルオロポリエーテル、または/及び、低重合ハロゲン化エチレンを含有することを特徴とする表示装置である。
【0014】
また、第5の発明は、上記いずれかの構成で更に、粒子体の空間分布変化は、電界作用により発生する電気泳動表示装置であることを特徴とする表示装置である。
【0015】
また、第6の発明は、上記いずれかの構成で更に、粒子体が分散したフッ素系溶剤からなる分散系が対向する基板間に封入され、対向する基板は共に可撓性を有し、かつ、少なくとも一方の基板は透明な樹脂フィルムからなる、可撓性を有することを特徴とする表示装置である。
【0016】
また、第7の発明は、上記いずれかの構成で更に、基板は分散系と接触する面にフッ素化合物を有することを特徴とする表示装置である。
【0017】
上記いずれかの構成によれば、分散溶媒と泳動粒子の比重差が無くなり、かつ、外部の水分の影響を極力排除されて、動作の安定性、信頼性を保持し、火気に対する高い安全性を有する表示装置が提供できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
図1は本発明の実施形態の一例の構成を示す断面図である。基板11bと表示面である透明な基板11aは、対向して配置されている。基板11bは、基板11aと対向する面に電極12bが形成されている。また、基板11aは基板11bと対向する表面に透明電極12aが形成されている。そして、対向する基板11b、11aの間に、分散溶媒1中に泳動する複数の泳動粒子2を分散させた分散系を有している。そして、電極12bおよび電極12aの間に電圧を印加して泳動粒子2の分布状態を変化させることにより、所要の表示動作を行わせることができる。
【0020】
「主溶媒」
本発明において粒子体が分散し、泳動する溶媒は、フッ素系溶剤を用いる。フッ素系溶剤は、脂肪族、脂環式または芳香族化合物の水素をフッ素に置換した完全フッ化炭素、または、一部の水素をフッ素に置換したフッ素化合物のうち少なくとも1つを含有したものである。
【0021】
本発明における完全フッ化炭素(FC)とは、脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素や、その他多くの有機化合物の水素が全てフッ素に置換された化合物である。水素の一部をフッ素に置換したフッ素化合物とは、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、ハロン(BFC:ブロモクロロフルオロカーボン)等のフッ素を分子中に含む化合物である。特に好ましくは、FC及びHFEである。これらの溶剤は液相状態の温度範囲が広く、取り扱いが簡便である。
【0022】
FCとして、例えば、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロ−2,7−ジメチルオクタン、パーフルオロ−15−クラウン−5−エーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロ−(1,2−ジメチルシクロヘキサン)、パーフルオロ(メチルデカリン)、パーフルオロパーヒドロフェナトレン、パーフルオロ−1,3,5−トリメチルシクロヘキサン、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリペンチルアミンが挙げられる。また、HFEとして、例えば、2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデカフルオロヘキサン、エトキシノナフルオロブタンが挙げられる。これらの溶剤は適宜使用することができる。尚、これらの溶剤は上記に限定されるものでは無く、他の溶剤も利用することもできる。
【0023】
これらの溶剤は、人体に対する安全性が、従来公知の電気泳動溶媒に比べてはるかに高い。かつ、熱的、化学的、電気的に安定性が高く、不燃性、低表面張力、極低水分溶解性である。また、完全フッ化炭素においては殆どの有機溶剤や水に対する溶解能が極めて低いため、混入物や水分などによる化学的物理的変化が極めて起こりにくく、長期間にわたって泳動特性を保持することが可能である。
【0024】
本発明において、特に好ましく用いるフッ素系溶剤は、例えば、パーフルオロアルキルアミンを主成分とした住友3M社製、フロリナートFC−40、フロリナートFC−3283、フロリナートFC−43及び2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデカフルオロヘキサン(米国3M社製、HFE7500)などである。これらの液体は、粘性、揮発性ともに低く、取り扱いが簡便であり、また、粘度調整、揮発性制御等を目的として適宜混合し使用することができる。
【0025】
「添加溶媒」
また、このフッ素系溶剤の特性を更に向上させるため、本発明の表示装置のフッ素系溶剤には、パーフルオロポリエーテル、または/及び、低重合ハロゲン化エチレンを溶媒添加剤として含有することが好ましい。パーフルオロポリエーテルとは、主鎖分子内にエーテル結合が規則的に配置された分子量1×102〜105のフッ素、炭素、酸素のみで構成された化合物であり、優れた熱/酸化安定性、化学的に極めて安定で不活性、不燃性、低表面張力、優れた潤滑性を有する。一方、低重合ハロゲン化エチレンは四フッ化エチレンの一部を塩素等で置換した低重合体であり、パーフルオロポリエーテルと同様の特性を持つ。これらの添加により、泳動溶媒との相乗効果で泳動粒子の表面を濡らし、立体障害斥力による粒子間力の低減が図られる。このことから分散安定性の改善に寄与し、さらに分散系の粘度調整を行うことができる。添加量は、溶媒に対して0.1〜50重量%が好ましく、特に好ましくは0.5〜25重量%である。上記範囲未満では添加効果が顕著でなく、上記範囲を超えると泳動速度の低下、泳動粒子の凝集を招く。
【0026】
パーフルオロポリエーテルとしては、例えば、ダイキン工業社製デムナム、アウジモント社製ガルデン、フォンブリン、デュポン社製クライトックスなどが挙げられる。低重合ハロゲン化エチレンとしては、例えば、ダイキン工業社製ダイフロイル(三フッ化塩化エチレン重合体)が挙げられ、用途に応じて適宜重合度を選ぶことができる。本発明においては、20℃において動粘度が1×10−7〜10−2m2/sの範囲のパーフルオロポリエーテル類、または/及び、低重合ハロゲン化エチレンを使用することが好ましい。上記範囲未満では沸点が低く火災危険性が増加し、上記範囲を超えると粒子の泳動速度が遅くなる。
【0027】
本発明において、特に好ましく用いる溶媒添加剤(パーフルオロポリエーテル類、または/及び、低重合ハロゲン化エチレン)は、例えば、ダイキン工業製デムナムS−200(動粘度:5×10−4m2/s)、S−20(動粘度:5.3×10−5m2/s)デュポン社製クライトックスGPL107(動粘度:1.6×10−3m2/s)、アウジモント社製フォンブリンPFS−1(動粘度:7.5×10−7m2/s)、ガルデンHT170(動粘度:1.8×10−6m2/s)である。
【0028】
なお、本発明の分散溶媒として、上記のフッ素系溶媒に加えて従来公知の電気泳動表示装置用の各種分散溶媒、例えば、シリコーンオイル、アイソパー、ケロシン、トルエン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼン等と混合することも可能である。しかし、表示装置の火災安全性維持のためには、フッ素系溶媒の混合比率は少なくとも50重量%以上、好ましくは70重量%以上である。上記範囲を超えると、着火した際に燃え広がる危険性が高い。なお、上限は100%である。
【0029】
「泳動粒子」
本発明の表示装置に用いられる泳動粒子そのものには特に限定はない。電気泳動粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、カーボンブラック、紺青、または、フタロシアニングリーンや周知のコロイド粒子の他、種々の有機および無機顔料、染料、金属粉、ガラス、あるいは樹脂等の微粉末などが使用できる。無機顔料や金属粉などの高比重物質を泳動粒子に用いる場合、比重調整のために樹脂等との複合化が好ましい。複合化は、樹脂表面に高比重物質を付着させる方法や、樹脂内部に高比重物質を内包する方法などが一般的である。電気泳動粒子の粒径としては、0.01〜10μm程度が好ましい。0.01μm未満では凝集しやすく、泳動粒子の分散安定性に問題があり、10μmを超えると泳動溶媒に対する流動抵抗が増大するため、泳動粒子の応答性の低下を招き、また、泳動粒子が自重で沈降しやすくなる。
【0030】
複合方法としては、例えば、基となる粒子(母粒子)の表面に化学的物理的機能を有する微粒子を固定する方法や、母粒子の内部に微粒子を内包する方法、粒子を染料等により着色する方法が挙げられる。母粒子は樹脂が好ましく、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロン等が挙げられる。これらの樹脂製粒子表面には官能基が存在することが好ましく、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、塩化アシル基、ハロゲン化物が粒子表面に存在することにより、フッ素化合物前駆体との結合サイトとして機能する。また樹脂を泳動粒子に用いる場合、可視光線、紫外線による劣化、変色等が想定されるため、安定剤、吸収剤等の耐久性を向上させるための化合物を添加することが好ましい。
【0031】
本発明において、特に好ましく用いる泳動粒子は、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、及びそれらを複合化した真球状アクリル粒子、真球状スチレン粒子などである。二酸化チタン及びカーボンブラックは白色及び黒色を得るためには最も優れた材料であり、かつ、耐久性、耐光性にも優れている。従って、長期に渡って退色、変色することなく、安定したコントラスト比を得ることができる。
【0032】
複合粒子の形状は特に限定されないが、真球状粒子が好ましい。真球状粒子を用いることで、溶媒に対する流動抵抗が低減するため、電界に対する応答性が向上し、かつ、接触面積を低減させることができる。このため、凝集防止、電極等への付着防止に効果的である。
【0033】
化学的物理的機能を有する微粒子としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、紺青又はフタロシアニングリーンや周知のコロイド粒子の他、種々の有機および無機顔料、染料、金属粉、ガラスなどを使用できる。ここで化学的物理的機能とは、泳動粒子に付与する化学的機能、及び物理的機能を指す。具体的に化学的機能とは表面修飾に関する機能であり、泳動粒子表面に表面処理を施す際のサイトを提供するものである。物理的機能とは、表面電位、色彩、質量、立体障害などに関するものである。
【0034】
「表面フッ化処理」
本発明において、泳動粒子はそのままではフッ素系溶剤に対して親和性に乏しいため、親和性を高める処理が必要である。さらに、表面電荷量の制御目的で、泳動粒子表面に、例えば、フッ素系アルコキシシラン、フッ素系シラザン、フッ素系クロロシラン、フッ素アルコール、フッ素カルボン酸、フッ素系エポキシ、フッ素系ビニル、フッ素アミン、酸塩化物、塩素、または臭素等のフッ化化合物のいずれかまたは混合物(フッ素化合物の前駆体)を用い、処理することで、表面にフッ素化合物を有する泳動粒子となり、好ましい。
【0035】
すなわち、酸化チタンをそのままフッ素系溶剤中に投入し、ホモジナイザーで撹拌後、静置すると、徐々に凝集及び沈降が進行する。この原因は、酸化チタン粒子間の引力(van der Waals引力、水素結合)によるものと考えられる。
【0036】
本発明においては、泳動粒子表面に含有されるフッ素化合物の存在が必須要件である。例えば、酸化チタン表面にフッ化炭素鎖を修飾することで酸化チタンの表面エネルギーを低下させることが可能であり、フッ素系溶剤との親和性を高めることができる。ここで、フッ化炭素鎖とは、脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素等の有機化合物の水素が、全てまたは一部がフッ素に置換された置換基をいう。
【0037】
また、フッ化炭素鎖以外にパーフルオロポリエーテル鎖やその他多くのフッ素化合物鎖を使用することができる。さらに、フッ素系樹脂を上記粒子表面に被覆しても良い。この際、用いられる樹脂は、例えば、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−ビニリデンフロライド共重合体、ポリアクリル酸フルオロアルキル類などのフッ素系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
フッ素系溶剤に対する親和性度は、フッ化炭素鎖の長さ、置換元素の種類、フッ素の置換率で調整することが可能である。これらの要因は明らかにフッ素系溶剤に対する親和性度に影響を与えるものであるが、パーフルオロポリエーテル等の添加剤により更に影響されるため、これらの要因の最適条件に傾向は見当たらない。従って、実際の組み合わせの中で最適値を決定する子とが好ましい。
【0039】
泳動粒子表面への化学修飾方法は、シラザン系及びクロロシラン系においては泳動粒子表面の水酸基と常温にて速やかに反応するため、泳動粒子が懸濁したフッ素溶剤中に滴下、混合するだけで処理が可能である。一方、アルコキシシラン系、アルコール系、カルボン酸系、アミン系、酸塩化物、塩素化物、臭素化物は、一般的に加熱下において触媒の存在により脱水縮合反応が進行するが、本発明者らは、触媒の存在しない環境下においても、活性処理を施した泳動粒子が懸濁したフッ素溶剤中130℃以上に加熱することで処理効果を見出した。但し、180℃以上では泳動粒子が着色してしまうため、この温度以下が好ましい。エポキシ系、ビニル系処理剤は、予め泳動粒子表面に、例えば、エポキシ基、ビニル基を有するカップリング剤等の化合物を修飾し、それぞれ重合反応により修飾することができる。
【0040】
本発明の表示装置の泳動粒子表面に含有されるフッ素化合物処理剤(フッ素化合物の前駆体)としては、例えば、シラザン基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、塩化アシル基、塩素基、または臭素基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する。
【0041】
シラザン基を含む化合物としては、例えば、テトラメチルジパーフルオロアルキルジシラザンが挙げられる。
【0042】
水酸基を含む化合物としては、例えば、3−(パーフルオロオクチル)プロパノール、ペンタフルオロフェノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エタノール、1H,1H−2,5−ジ(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサウンデカフルオロノナノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、2−パーフルオロプロポキシ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパノール、1H,1H−パーフルオロ−3,7−ジメチルオクタン−1−オル、1H,1H−パーフルオロ−1−テトラデカノール、1H,1H−パーフルオロ−3,5,5−トリメチルヘキサン−1−オル等が挙げられる。
【0043】
カルボキシ基を含む化合物としては、例えば、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、パーフルオロウンデカン酸、パーフルオロデカン酸、パーフルオロドデカン酸、パーフルオロヘキサデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸、パーフルオロ−3,6−ジオキサデカン酸、パーフルオロ−3,7−ジメチルオクタン酸、ペンタフルオロ安息香酸、パーフルオロ−3,5,5−トリメチルヘキサン酸、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサデカン酸、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサトリデカン酸、及びこれらのエステル化合物を挙げることができる。
【0044】
アルコキシ基を含む化合物としては、例えば、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルメチルジメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリイソプロポキシシラン、1H,2H,2H−パーフルオロドデシルトリエトキシシラン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、分子内にパーフルオロポリエーテルを含むトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0045】
アミノ基を含む化合物としては、例えば、1H,1H−ヘプタフルオロブチルアミン、1H,1H−トリデカフルオロヘプチルアミン、1H,1H−ペンタデカフルオロオクチルアミン、1H,1H−ヘプタデカフルオロノニルアミン、ペンタフルオロアニリン、ペンタフルオロベンズアミド、ペンタフルオロフェニルヒドラジン、パーフルオロオクタンスルホンアミド、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアミン、ペンタフルオロプロピオンアミド等が挙げられる。
【0046】
エポキシ基を含む化合物としては、例えば、3−パーフルオロブチル−1,2−エポキシプロパン、3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパン、3−パーフルオロオクチル−1,2−エポキシプロパン、3−パーフルオロデシル−1,2−エポキシプロパン、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−1,2−エポキシプロパン、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−1,2−エポキシプロパン、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−1,2−エポキシプロパン、1H,1H,2H−パーフルオロ−(1,2−エポキシ)ヘキサン等が挙げられる。
【0047】
ビニル基を含む化合物としては、例えば、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、(パーフルオロオクチル)エチレン、(パーフルオロデシル)エチレン、1,4−ジビニルオクタフルオロブタン、1,6−ジビニルドデカフルオロブタン、1,8−ジビニルヘキサデカフルオロブタン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等が挙げられる。
【0048】
塩化アシル基としては、例えば、パーフルオロ(2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカノイル)フロライド、パーフルオロ(2,5,8,11−テトラメチル−3,6,9,12−テトラオキサペンタデカノイル)フロライド、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピオニルフロライド、パーフルオロヘプタノイルクロライド、パーフルオロノナノイルクロライド、パーフルオロオクタノイルクロライド等が挙げられる。
【0049】
塩素基、臭素基とは、その分子末端に塩素または臭素を有するハロゲン化物を指し、例えば、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルメチルジクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリクロロシラン、臭化パーフルオロプロピル、臭化パーフルオロブチル、臭化パーフルオロヘキシル、臭化パーフルオロヘプチル、臭化パーフルオロオクチル、臭化パーフルオロデシル、臭化2−(パーフルオロデシル)エチル、ヘプタフルオロ−2−ヨードプロパン、臭化パーフルオロ−7−メチルオクチル、ペンタフルオロプロパノイルブロマイド、パーフルオロブタンスルホニルフロライド、パーフルオロオクタンスルホニルフロライド、パーフルオロ−2,5−ジオキサヘキシルブロマイド、パーフルオロヘプチルブロマイド、パーフルオロオクチルブロマイド等を挙げることができる。
【0050】
上記の化合物は適宜使用することができる。尚、これらの化合物は上記に限定されるものでは無く、他の化合物も利用することもできる。
【0051】
これらのフッ素化合物処理剤(フッ素化合物の前駆体)は、泳動粒子表面の水酸基等の結合サイトに結合される。特に、クロロシランやシラザンでは常温にて反応が可能であることから、有用ではあるが、クロロシランでは反応時に塩素が発生するため注意を用する。一方、シラザンにおいては反応時にアンモニアが生成するが速やかに大気中に拡散し、残留するようなことも無いので、特に有用な表面処理剤である。アルコキシシラン系やアルコール系、カルボン酸系、アミノ系では通常、触媒下において加熱処理されるが、本発明においてはフッ素溶剤中にて被処理粒子と共に130℃以上に加熱することで処理効果が得られることが判明した。また、より反応を促進させるために泳動粒子表面の結合サイトの活性化が有用である。結合サイトの活性化の方法として、酸処理、アルカリ処理、アシル化処理、プラズマ処理、オゾン等の接触や酸化剤による酸化処理、還元処理、脱水処理等が挙げられ、これらの処理により、強固かつ速やかに表面処理を行うことが可能である。エポキシ系、ビニル系処理剤は、予め泳動粒子表面にエポキシ基、ビニル基を有するカップリング剤等の化合物を修飾し、それぞれ重合反応により修飾することができる。
【0052】
一方、フッ素系高分子体に該当する一例としては、パーフルオロポリエーテル類、ポリアクリル酸フルオロアルキル類、フッ素系樹脂が挙げられる。これらをディップ法や噴霧法、混練法などにより処理することができる。また、使用する分散溶媒によってこれらの皮膜が溶解する恐れがある場合は、予め反応性基を有するカップリング剤で事前に泳動粒子表面に処理を施し、フッ化炭素鎖またはその誘導体を有する反応性モノマーと共に重合させ、高分子鎖をその表面に結合させることも可能である。
【0053】
本発明において、特に好ましく用いる泳動粒子体表面のフッ素化合物の前駆体は、泳動粒子の種類により異なる。例えば、二酸化チタンでは、パーフルオロアルキルシラザン(信越化学工業社製:KP801M)、カーボンブラックは反応性に乏しいため、塩化チオニルで塩化処理した物を用いることで、パーフルオロポリエーテルアルコキシシラン(ダイキン工業社製:オプツールDSX)、アクリル粒子(特にカルボキシ基修飾)も塩化チオニルで処理することにより、パーフルオロポリエーテルアルコキシシラン(ダイキン工業社製:オプツールDSX)が好ましく用いられる。
【0054】
「基板、その他」
基板の材質は特に制限はないが、厚さ500μm以下の可撓性樹脂フィルムが好ましく、透明基板としては、可撓性樹脂フィルムが特に好ましい。これにより、表示装置に可撓性を付与することが可能となり、電子ペーパーとして幅広い適用が可能となる。
【0055】
また、特に好ましくは、熱により収縮する素材を用いた基板が好ましい。燃焼した際に収縮し、燃焼部以外からの表示素子組成物の漏洩を防止するからである。このような、熱により収縮する素材としては、各種の樹脂が知られている。
【0056】
本発明において、分散溶媒は不燃性であるが、その他の材料も不燃性または自己消火性物質であることが好ましく、特に相対的に表示装置全体体積に占める割合の大きな基板は不燃性であることが好ましい。
【0057】
好ましい可撓性を有する不燃性基板としては、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン類(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTTE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、尿素・メラミン樹脂、フェノール樹脂、あるいは上記樹脂の混合材料が挙げられる。
【0058】
なお、本発明の表示装置の粒子体表面にある上記フッ素化合物は、表示装置の分散系(溶媒および粒子)が直接接する表面にも用いることが特に好ましい。例えば、電極としてITOを用いる場合には、ITO表面にフッ素化合物を設けることで、電極表面への粒子の付着を防止することができ、長期にわたり、高いコントラストを維持することが可能となる。 本発明において、特に好ましく用いるフッ素系表面処理剤は、パーフルオロアルキルシラザン(信越化学工業社製、KP801M)、信越化学工業社製、X−71−130である。
【0059】
電極は、金属やカーボンブラック、酸化物等の導電性材料を用いることができる。また、表示面となる透明基板に形成される電極はITO、SnO2、ZnOなどの透明導電体を用いればよい。電極は、これらの材料を用いて膜状に形成される。電極は、湿式法、蒸着法などの形成方法や塗布法による形成方法により形成すればよい。
【0060】
また、本発明の表示装置は、基板の対向する表面に形成された電極により泳動粒子に電界を与える電気泳動表示装置ばかりではなく、外部の装置(電場印加ヘッド、静電イオンフロー装置、等)により粒子に電界、帯電を与え、粒子の分布状態を制御して表示を行う表示装置とすることもできる。さらに、本発明の表示装置は、磁気泳動を利用し、外部から磁界を印加して泳動粒子の分布状態を制御して表示を行う磁気泳動表示装置とすることもできる。
【0061】
また、分散系を包含したマイクロカプセルを用いることも好ましく、マイクロカプセルは、オリフィス法など公知の方法により作製することができる。特に、球状の弾力性を有するマイクロカプセルを、基板上に配設した後に、対向する基板で圧力を加えて、マイクロカプセルを押しつぶし断面が長方形となるようにすることが好ましい。この場合に表示面から観察すると、マイクロカプセルは概ね六角形となる。サイズの異なるマイクロカプセルが混在した場合には、三角形、五角形等の形状も混在するが、全体として表示面を隙間無く占める構造となる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明の実施例を従来例と比較することで、本発明をより具体的に説明する。
【0063】
[実施例1]
基板として、2枚の100μm厚テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド共重合体を用いた。そして、ITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。
【0064】
電気泳動粒子として酸化チタン(石原産業製:CR−EL、粒径0.25μm)を、フッ素系表面処理剤としてフッ素系シラザンオリゴマー(信越化学製:KP−801M)を用い表面処理を施した。この酸化チタン粒子5部、および溶媒添加剤として3部のパーフルオロポリエーテル(ダイキン工業製:デムナムS−200)と、フッ素系溶剤として95部のフロリナートFC−40(住友3M製)とを超音波分散により混和し表示素子組成物(分散系)とした。
【0065】
次に、直径100μmの黒色PMMAボールを、予め紫外線硬化性樹脂が薄く塗布された1枚の基板上に、2次元に密に付着させた後、UV照射を行い固定した。その後、上記表示素子組成物(分散系)を塗布し、別の1枚の基板を対向させて減圧下、圧着接合し、電気泳動表示装置としたものを実施例1とした。
【0066】
[実施例2]
フッ素系溶剤としてフロリナートFC−3283(住友3M製)を用い、かつパーフルオロポリエーテル添加しないこと以外は、実施例1と同様とした電気泳動表示装置を実施例2とした。
【0067】
[実施例3]
フッ素系表面処理剤としてフッ素系アルコキシシラン(信越化学製:KBM−7803)を用いた以外、実施例1と同様とした電気泳動表示装置を実施例3とした。
【0068】
[実施例4]
フッ素系表面処理剤としてフッ素系アルコキシシラン(ダイキン工業製:オプツールDSX)を用いた以外、実施例1と同様とした電気泳動表示装置を実施例4とした。
【0069】
[実施例5]
パーフルオロポリエーテルを添加しないこと以外、実施例1と同様とした電気泳動表示装置を実施例5とした。
【0070】
[実施例6]
下地基板として、50μm厚テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド共重合体を用いた。そして、ITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。更にその上面に、深さ50μmの半球状の空隙が密に配置された厚さ70μmの高分子層を形成した。また、別途準備した表示面となる100μm厚のμm厚テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド共重合体にITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。
【0071】
次に、電気泳動粒子としてカルボキシ基を表面に有する平均粒径1μmの球状アクリル粒子(黒色着色粒子)及び酸化チタンを表面に固着させた平均粒径3.5μmの球状アクリル粒子(白色粒子)をフッ素系表面処理剤としてフッ素系シラザンオリゴマー(信越化学製:KP−801M)を用いて表面処理を施した。この黒色粒子8部、白色粒子3部および溶媒添加剤として3部のフルオロポリエーテル(ダイキン工業製:デムナムS−20)とフッ素系溶剤として95部のフロリナートFC−40(住友3M製)及び15部のHFE7500(3M製)とを超音波分散により混和し表示素子組成物とした。
【0072】
この表示素子組成物を、上記下部基板の半球上空隙に充填し、表示面基板を対向させて減圧下圧着し、電気泳動表示装置を実施例6とした。なお、本実施例では、泳動粒子の比重が溶媒とほぼ等しい。
【0073】
[実施例7]
白色電気泳動粒子として酸化チタン(石原産業製:CR−EL)をフッ素系表面処理剤として、フッ素系シラザンオリゴマー(信越化学製:KP−801M)を用いて表面処理を施し、また、黒色電気泳動粒子としてカルボキシ基を表面に有する平均粒径3.6μmの球状アクリル粒子(黒色着色粒子)を塩化チオニルにて塩化処理し、フッ素系表面処理剤としてフッ素系アルコキシシラン(ダイキン工業製:オプツールDSX)を用いた以外は、実施例6と同様とした電気泳動表示装置を実施例7とした。
【0074】
[実施例8]
実施例1の基板である100μm厚テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド共重合体フィルムのITO透明導電膜成膜面を、フッ素系表面処理剤、X−71−130(信越化学工業社製)にて処理を行い、表面にフッ素化合物を有する状態にして、作成した電気泳動表示装置を実施例8とした。
【0075】
[比較例1]
基板として、100μm厚ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いた。そして、ITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。また、表示面となる100μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム基板にITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。
【0076】
次に、電気泳動粒子としてカーボンブラックを表面に固着させた平均粒径1.3μmの球状架橋アクリル粒子(黒色粒子)5部、分散剤としてマリアリム(日本油脂製)0.5部、分散溶媒としてドデシルベンゼン95部を超音波分散により混和し表示素子組成物とした。
【0077】
直径100μmの白色架橋PMMAボールを、予め紫外線硬化性粘着体が薄く塗布された表示面基板上に密に付着させた後、UV照射を行い固定した。その後、上記表示素子組成物を塗布し、下部基板を対向させて減圧下圧着し、電気泳動表示装置としたものを比較例1とした。
【0078】
[比較例2]
分散溶媒としてジエチルベンゼンを用いた以外、比較例1と同様としたものを比較例2とした。
【0079】
[比較例3]
基板として、50μm厚ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いた。そして、ITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。更にその上面に、半球状の空隙を有し、白色に着色された厚さ50μmの高分子層を形成した。また、表示面となる100μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム基板に、ITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。
【0080】
次に、電気泳動粒子としてカーボンブラックを表面に固着させた平均粒径500nmの球状アクリル粒子(黒色粒子)5部、チタニアを表面に固着させた平均粒径3.5μmの球状アクリル粒子(白色粒子)3部、分散剤としてマリアリム0.8部と92部のジエチルベンゼンを超音波分散により混和し、表示素子組成物とした。
【0081】
この表示素子組成物を、上記下部基板の半球上空隙に充填し、表示面基板を対向させて減圧下圧着し、電気泳動表示装置としたものを比較例3とした。
【0082】
[比較例4]
実施例1において、フッ素系シラザンオリゴマーを用いた表面処理を施さないカーボンブラックを表面に固着させた平均粒径1.3μmの球状架橋アクリル粒子を用い、実施例1と同様に超音波分散により混和したが、均一に分散することはできず、表示素子組成物を得ることはできなかった。
【0083】
[実施例9,10,比較例4]
実施例1において、分散溶媒として、3部のパーフルオロポリエーテル(ダイキン工業製:デムナムS−200)、75部のフロリナートFC−40(住友3M製)、20部のジエチルベンゼンを用いた以外は、実施例1と同様としたものを実施例9とした。
【0084】
実施例1において、分散溶媒として、3部のパーフルオロポリエーテル(ダイキン工業製:デムナムS−200)、55部のフロリナートFC−40(住友3M製)、40部のジエチルベンゼンを用いた以外は、実施例1と同様としたものを実施例10とした。
【0085】
実施例1において、分散溶媒として、2部のパーフルオロポリエーテル(ダイキン工業製:デムナムS−200)、38部のフロリナートFC−40(住友3M製)、58部のジエチルベンゼンを用いた以外は、実施例1と同様としたものを実施例11とした。
【0086】
[評価]
実施例1〜8、及び比較例1〜3の評価結果を、表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
表1において、コントラスト比の評価は一定の入射光に対して明暗それぞれの状態での反射率の比であり、自己保持時間は暗状態で電界の印加を停止してから反射率が50%変化した時の経過時間である。また、寿命は1秒毎に明暗状態を交互に表示した時にコントラスト比が半減するまでの回数であり、水分含有量率は85℃85%1000時間放置後の分散溶媒中の水分含有率である。
【0089】
なお、実施例1〜8、及び、比較例1〜3の表示装置の中央部にガスバーナーにより着火を試みた。実施例1〜8では炎が直接接した部分はこげてしまったが、炎を取り去ると、それ以上に燃え広がることは無かった。これに対して比較例1〜3では、表示装置全体が激しく燃焼してしまった。
【0090】
さらに実施例9の表示装置は炎が直接接した部分はこげてしまったが、炎を取り去ると、それ以上に燃え広がることは無かった。これに対して実施例10の表示装置は炎が直接接した部分から着火したが一部が燃焼しただけで自己消火した。しかし、比較例4は、表示装置全体が激しく燃焼してしまった。
【0091】
また、実施例8の表示装置は、実施例1と比べると、寿命は、共に107回以上と同じであったが、107回経過時のコントラストは、実施例1が初期の80%であったのに対して、実施例7では初期の95%と、更に良い結果となった。これは、表示基板表面に粒子が付着していないためであった。
【0092】
また、本発明の表示装置には、有機溶剤等の人体に対する有害物は一切使用していないことは明らかである。
【0093】
以上の結果から、本発明の効果は明らかである。
【0094】
以上、添付図面を参照しながら本発明の表示装置の好適な実施形態、実施例について説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。いわゆる当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、、外部の水分の影響を極力排除することにより、動作の安定性、信頼性を保持すると共に、人体に対する安全性に加えて、火気に対する高い安全性を有した表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置の一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 分散溶媒
2 泳動粒子
11a 透明基板
11b 基板
12a 透明電極
12b 電極
13a、13b 隔壁
14 電源
15 スイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散溶媒中における複数の粒子体の空間分布変化の違いにより表示を行う、電子ペーパーとして使用可能な表示装置に関し、特に、電気泳動を利用した表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ペーパーは、従来の紙による表示(いわゆる「ハードコピー」)と、CRTや液晶等に代表される電子表示(いわゆる「ソフトコピー」)の中間に位置するもので、電子新聞紙等の用途が期待されている。電子ペーパーは従来の電子表示装置と異なり、一度表示をした後でも無電源で表示ができること(自己保持性)が要求される。さらに、特に長時間見ても疲労感の無い、印刷物と同等の高い視認性(コントラスト)が要求される。
【0003】
従来より、このような電子ペーパーに画像を表示させる技術手法として、着色粒子の回転、電気泳動、サーマルリライタブル、液晶、エレクトロクロミー等の技術が知られている。
【0004】
例えば、特許公告昭和50年第15120号公報には、電気泳動現象を利用した表示装置で基板間に泳動粒子を含む分散系を封入し、分散系内の電気泳動粒子の分布状態を制御することによって光学的反射特性に変化を与えて所要の表示動作を行わせるものが開示されている。このように電気泳動表示装置は、分散溶媒中に泳動する泳動粒子を分散させた分散系(表示組成物)が封入された構造を有し、泳動粒子の分布状態を制御することで所要の図形や文字を表示させることができる。
【0005】
電気泳動表示装置の基本構造は、少なくとも一方が透明な2枚の基板を対向するように配置し、これら基板の間に、有機溶媒からなる分散溶媒中に泳動する電気泳動粒子を分散させた分散系を有している構造である。また、それぞれの基板の対向する表面には電極が設けられている。このような電気泳動表示装置では、電極間に電圧を印加し、電気泳動粒子に対して電界を与えることにより、表示面側に泳動粒子を引き付け、又は離反させて分布状態を制御し、表示面の反射率を変化させることで、所要の図形や文字を表示させることができる。また、基板に電極を設けることなく、外部の装置を用いて電気泳動粒子に対して電界を与えてもよい。
【0006】
また、特開2001−265261号公報には、フッ素系溶剤が電気泳動表示装置の分散溶媒として使用可能なことが記載されているが、用いる粒子については特別の記載もない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの表示装置は、電子新聞、電子雑誌のように電子ペーパーとして幅広く利用され、屋内外の様々な環境下で使用される。さらに、通常の紙と同様に複数の電子ペーパーを束ねて本の状態での使用も想定されている。しかし、従来の電気泳動表示装置は分散溶媒として有機溶剤が使われているため、分散溶媒と泳動粒子の比重差が大きく異なり、振動、衝撃、重力及び経時的要因により表示を構成する泳動粒子が分散溶媒中に再分散や沈降し、表示が消失する恐れがある。また、有機溶剤の使用により有機溶剤の装置外部への揮発や空気中の水分の装置内部への拡散等により、泳動表示組成物の成分比や分散溶媒の誘電率、絶縁抵抗値、泳動粒子の表面電位の変動が推測される。これらの変動により、泳動粒子の凝集、表示面への付着などによる表示速度の低下や表示品質の低下を招く恐れがある。
【0008】
さらに、煙草等の身近な火気や表示装置内部の回路の短絡等により着火する可能性を有している。着火した場合、激しく燃焼する可能性があるため、その使用には火気に対する注意を必要としていた。また、表示装置の破損、劣化により、分散溶媒が漏洩した場合の引火に対する危険性も少なからず存在する。
【0009】
本発明の目的は、分散溶媒と泳動粒子の比重差を無くし、かつ、外部の水分の影響を極力排除することにより、動作の安定性、信頼性を保持すると共に、人体に対する安全性に加えて、火気に対する高い安全性を有した表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上のような問題点を解決するために考案されたものである。すなわち、
第1の発明は、複数の粒子体の空間分布変化の違いにより表示を行う表示装置であって、粒子体は表面にフッ素化合物を有し、かつ、粒子体はフッ素系溶剤に分散してフッ素系溶剤中を泳動することを特徴とする表示装置である。
【0011】
また、第2の発明は、第1の発明の構成で更に、フッ素系溶剤は、脂肪族、脂環式、または芳香族化合物の水素をフッ素に置換した完全フッ化炭素、または/及び、一部の水素をフッ素に置換したフッ素系溶剤であることを特徴とする表示装置である。
【0012】
また、第3の発明は、上記いずれかの構成で更に、粒子体表面のフッ素化合物の前駆体が、シラザン基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、塩化アシル基、塩素基、または臭素基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有すること、または/及び、粒子体表面がフッ素系高分子体に被覆されていること、を特徴とする表示装置である。
【0013】
また、第4の発明は、上記いずれかの構成で更に、フッ素系溶剤は、パーフルオロポリエーテル、または/及び、低重合ハロゲン化エチレンを含有することを特徴とする表示装置である。
【0014】
また、第5の発明は、上記いずれかの構成で更に、粒子体の空間分布変化は、電界作用により発生する電気泳動表示装置であることを特徴とする表示装置である。
【0015】
また、第6の発明は、上記いずれかの構成で更に、粒子体が分散したフッ素系溶剤からなる分散系が対向する基板間に封入され、対向する基板は共に可撓性を有し、かつ、少なくとも一方の基板は透明な樹脂フィルムからなる、可撓性を有することを特徴とする表示装置である。
【0016】
また、第7の発明は、上記いずれかの構成で更に、基板は分散系と接触する面にフッ素化合物を有することを特徴とする表示装置である。
【0017】
上記いずれかの構成によれば、分散溶媒と泳動粒子の比重差が無くなり、かつ、外部の水分の影響を極力排除されて、動作の安定性、信頼性を保持し、火気に対する高い安全性を有する表示装置が提供できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
図1は本発明の実施形態の一例の構成を示す断面図である。基板11bと表示面である透明な基板11aは、対向して配置されている。基板11bは、基板11aと対向する面に電極12bが形成されている。また、基板11aは基板11bと対向する表面に透明電極12aが形成されている。そして、対向する基板11b、11aの間に、分散溶媒1中に泳動する複数の泳動粒子2を分散させた分散系を有している。そして、電極12bおよび電極12aの間に電圧を印加して泳動粒子2の分布状態を変化させることにより、所要の表示動作を行わせることができる。
【0020】
「主溶媒」
本発明において粒子体が分散し、泳動する溶媒は、フッ素系溶剤を用いる。フッ素系溶剤は、脂肪族、脂環式または芳香族化合物の水素をフッ素に置換した完全フッ化炭素、または、一部の水素をフッ素に置換したフッ素化合物のうち少なくとも1つを含有したものである。
【0021】
本発明における完全フッ化炭素(FC)とは、脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素や、その他多くの有機化合物の水素が全てフッ素に置換された化合物である。水素の一部をフッ素に置換したフッ素化合物とは、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、ハロン(BFC:ブロモクロロフルオロカーボン)等のフッ素を分子中に含む化合物である。特に好ましくは、FC及びHFEである。これらの溶剤は液相状態の温度範囲が広く、取り扱いが簡便である。
【0022】
FCとして、例えば、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロ−2,7−ジメチルオクタン、パーフルオロ−15−クラウン−5−エーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロ−(1,2−ジメチルシクロヘキサン)、パーフルオロ(メチルデカリン)、パーフルオロパーヒドロフェナトレン、パーフルオロ−1,3,5−トリメチルシクロヘキサン、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリペンチルアミンが挙げられる。また、HFEとして、例えば、2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデカフルオロヘキサン、エトキシノナフルオロブタンが挙げられる。これらの溶剤は適宜使用することができる。尚、これらの溶剤は上記に限定されるものでは無く、他の溶剤も利用することもできる。
【0023】
これらの溶剤は、人体に対する安全性が、従来公知の電気泳動溶媒に比べてはるかに高い。かつ、熱的、化学的、電気的に安定性が高く、不燃性、低表面張力、極低水分溶解性である。また、完全フッ化炭素においては殆どの有機溶剤や水に対する溶解能が極めて低いため、混入物や水分などによる化学的物理的変化が極めて起こりにくく、長期間にわたって泳動特性を保持することが可能である。
【0024】
本発明において、特に好ましく用いるフッ素系溶剤は、例えば、パーフルオロアルキルアミンを主成分とした住友3M社製、フロリナートFC−40、フロリナートFC−3283、フロリナートFC−43及び2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデカフルオロヘキサン(米国3M社製、HFE7500)などである。これらの液体は、粘性、揮発性ともに低く、取り扱いが簡便であり、また、粘度調整、揮発性制御等を目的として適宜混合し使用することができる。
【0025】
「添加溶媒」
また、このフッ素系溶剤の特性を更に向上させるため、本発明の表示装置のフッ素系溶剤には、パーフルオロポリエーテル、または/及び、低重合ハロゲン化エチレンを溶媒添加剤として含有することが好ましい。パーフルオロポリエーテルとは、主鎖分子内にエーテル結合が規則的に配置された分子量1×102〜105のフッ素、炭素、酸素のみで構成された化合物であり、優れた熱/酸化安定性、化学的に極めて安定で不活性、不燃性、低表面張力、優れた潤滑性を有する。一方、低重合ハロゲン化エチレンは四フッ化エチレンの一部を塩素等で置換した低重合体であり、パーフルオロポリエーテルと同様の特性を持つ。これらの添加により、泳動溶媒との相乗効果で泳動粒子の表面を濡らし、立体障害斥力による粒子間力の低減が図られる。このことから分散安定性の改善に寄与し、さらに分散系の粘度調整を行うことができる。添加量は、溶媒に対して0.1〜50重量%が好ましく、特に好ましくは0.5〜25重量%である。上記範囲未満では添加効果が顕著でなく、上記範囲を超えると泳動速度の低下、泳動粒子の凝集を招く。
【0026】
パーフルオロポリエーテルとしては、例えば、ダイキン工業社製デムナム、アウジモント社製ガルデン、フォンブリン、デュポン社製クライトックスなどが挙げられる。低重合ハロゲン化エチレンとしては、例えば、ダイキン工業社製ダイフロイル(三フッ化塩化エチレン重合体)が挙げられ、用途に応じて適宜重合度を選ぶことができる。本発明においては、20℃において動粘度が1×10−7〜10−2m2/sの範囲のパーフルオロポリエーテル類、または/及び、低重合ハロゲン化エチレンを使用することが好ましい。上記範囲未満では沸点が低く火災危険性が増加し、上記範囲を超えると粒子の泳動速度が遅くなる。
【0027】
本発明において、特に好ましく用いる溶媒添加剤(パーフルオロポリエーテル類、または/及び、低重合ハロゲン化エチレン)は、例えば、ダイキン工業製デムナムS−200(動粘度:5×10−4m2/s)、S−20(動粘度:5.3×10−5m2/s)デュポン社製クライトックスGPL107(動粘度:1.6×10−3m2/s)、アウジモント社製フォンブリンPFS−1(動粘度:7.5×10−7m2/s)、ガルデンHT170(動粘度:1.8×10−6m2/s)である。
【0028】
なお、本発明の分散溶媒として、上記のフッ素系溶媒に加えて従来公知の電気泳動表示装置用の各種分散溶媒、例えば、シリコーンオイル、アイソパー、ケロシン、トルエン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼン等と混合することも可能である。しかし、表示装置の火災安全性維持のためには、フッ素系溶媒の混合比率は少なくとも50重量%以上、好ましくは70重量%以上である。上記範囲を超えると、着火した際に燃え広がる危険性が高い。なお、上限は100%である。
【0029】
「泳動粒子」
本発明の表示装置に用いられる泳動粒子そのものには特に限定はない。電気泳動粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、カーボンブラック、紺青、または、フタロシアニングリーンや周知のコロイド粒子の他、種々の有機および無機顔料、染料、金属粉、ガラス、あるいは樹脂等の微粉末などが使用できる。無機顔料や金属粉などの高比重物質を泳動粒子に用いる場合、比重調整のために樹脂等との複合化が好ましい。複合化は、樹脂表面に高比重物質を付着させる方法や、樹脂内部に高比重物質を内包する方法などが一般的である。電気泳動粒子の粒径としては、0.01〜10μm程度が好ましい。0.01μm未満では凝集しやすく、泳動粒子の分散安定性に問題があり、10μmを超えると泳動溶媒に対する流動抵抗が増大するため、泳動粒子の応答性の低下を招き、また、泳動粒子が自重で沈降しやすくなる。
【0030】
複合方法としては、例えば、基となる粒子(母粒子)の表面に化学的物理的機能を有する微粒子を固定する方法や、母粒子の内部に微粒子を内包する方法、粒子を染料等により着色する方法が挙げられる。母粒子は樹脂が好ましく、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロン等が挙げられる。これらの樹脂製粒子表面には官能基が存在することが好ましく、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、塩化アシル基、ハロゲン化物が粒子表面に存在することにより、フッ素化合物前駆体との結合サイトとして機能する。また樹脂を泳動粒子に用いる場合、可視光線、紫外線による劣化、変色等が想定されるため、安定剤、吸収剤等の耐久性を向上させるための化合物を添加することが好ましい。
【0031】
本発明において、特に好ましく用いる泳動粒子は、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、及びそれらを複合化した真球状アクリル粒子、真球状スチレン粒子などである。二酸化チタン及びカーボンブラックは白色及び黒色を得るためには最も優れた材料であり、かつ、耐久性、耐光性にも優れている。従って、長期に渡って退色、変色することなく、安定したコントラスト比を得ることができる。
【0032】
複合粒子の形状は特に限定されないが、真球状粒子が好ましい。真球状粒子を用いることで、溶媒に対する流動抵抗が低減するため、電界に対する応答性が向上し、かつ、接触面積を低減させることができる。このため、凝集防止、電極等への付着防止に効果的である。
【0033】
化学的物理的機能を有する微粒子としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、紺青又はフタロシアニングリーンや周知のコロイド粒子の他、種々の有機および無機顔料、染料、金属粉、ガラスなどを使用できる。ここで化学的物理的機能とは、泳動粒子に付与する化学的機能、及び物理的機能を指す。具体的に化学的機能とは表面修飾に関する機能であり、泳動粒子表面に表面処理を施す際のサイトを提供するものである。物理的機能とは、表面電位、色彩、質量、立体障害などに関するものである。
【0034】
「表面フッ化処理」
本発明において、泳動粒子はそのままではフッ素系溶剤に対して親和性に乏しいため、親和性を高める処理が必要である。さらに、表面電荷量の制御目的で、泳動粒子表面に、例えば、フッ素系アルコキシシラン、フッ素系シラザン、フッ素系クロロシラン、フッ素アルコール、フッ素カルボン酸、フッ素系エポキシ、フッ素系ビニル、フッ素アミン、酸塩化物、塩素、または臭素等のフッ化化合物のいずれかまたは混合物(フッ素化合物の前駆体)を用い、処理することで、表面にフッ素化合物を有する泳動粒子となり、好ましい。
【0035】
すなわち、酸化チタンをそのままフッ素系溶剤中に投入し、ホモジナイザーで撹拌後、静置すると、徐々に凝集及び沈降が進行する。この原因は、酸化チタン粒子間の引力(van der Waals引力、水素結合)によるものと考えられる。
【0036】
本発明においては、泳動粒子表面に含有されるフッ素化合物の存在が必須要件である。例えば、酸化チタン表面にフッ化炭素鎖を修飾することで酸化チタンの表面エネルギーを低下させることが可能であり、フッ素系溶剤との親和性を高めることができる。ここで、フッ化炭素鎖とは、脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素等の有機化合物の水素が、全てまたは一部がフッ素に置換された置換基をいう。
【0037】
また、フッ化炭素鎖以外にパーフルオロポリエーテル鎖やその他多くのフッ素化合物鎖を使用することができる。さらに、フッ素系樹脂を上記粒子表面に被覆しても良い。この際、用いられる樹脂は、例えば、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−ビニリデンフロライド共重合体、ポリアクリル酸フルオロアルキル類などのフッ素系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
フッ素系溶剤に対する親和性度は、フッ化炭素鎖の長さ、置換元素の種類、フッ素の置換率で調整することが可能である。これらの要因は明らかにフッ素系溶剤に対する親和性度に影響を与えるものであるが、パーフルオロポリエーテル等の添加剤により更に影響されるため、これらの要因の最適条件に傾向は見当たらない。従って、実際の組み合わせの中で最適値を決定する子とが好ましい。
【0039】
泳動粒子表面への化学修飾方法は、シラザン系及びクロロシラン系においては泳動粒子表面の水酸基と常温にて速やかに反応するため、泳動粒子が懸濁したフッ素溶剤中に滴下、混合するだけで処理が可能である。一方、アルコキシシラン系、アルコール系、カルボン酸系、アミン系、酸塩化物、塩素化物、臭素化物は、一般的に加熱下において触媒の存在により脱水縮合反応が進行するが、本発明者らは、触媒の存在しない環境下においても、活性処理を施した泳動粒子が懸濁したフッ素溶剤中130℃以上に加熱することで処理効果を見出した。但し、180℃以上では泳動粒子が着色してしまうため、この温度以下が好ましい。エポキシ系、ビニル系処理剤は、予め泳動粒子表面に、例えば、エポキシ基、ビニル基を有するカップリング剤等の化合物を修飾し、それぞれ重合反応により修飾することができる。
【0040】
本発明の表示装置の泳動粒子表面に含有されるフッ素化合物処理剤(フッ素化合物の前駆体)としては、例えば、シラザン基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、塩化アシル基、塩素基、または臭素基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する。
【0041】
シラザン基を含む化合物としては、例えば、テトラメチルジパーフルオロアルキルジシラザンが挙げられる。
【0042】
水酸基を含む化合物としては、例えば、3−(パーフルオロオクチル)プロパノール、ペンタフルオロフェノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エタノール、1H,1H−2,5−ジ(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサウンデカフルオロノナノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、2−パーフルオロプロポキシ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパノール、1H,1H−パーフルオロ−3,7−ジメチルオクタン−1−オル、1H,1H−パーフルオロ−1−テトラデカノール、1H,1H−パーフルオロ−3,5,5−トリメチルヘキサン−1−オル等が挙げられる。
【0043】
カルボキシ基を含む化合物としては、例えば、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、パーフルオロウンデカン酸、パーフルオロデカン酸、パーフルオロドデカン酸、パーフルオロヘキサデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸、パーフルオロ−3,6−ジオキサデカン酸、パーフルオロ−3,7−ジメチルオクタン酸、ペンタフルオロ安息香酸、パーフルオロ−3,5,5−トリメチルヘキサン酸、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサデカン酸、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサトリデカン酸、及びこれらのエステル化合物を挙げることができる。
【0044】
アルコキシ基を含む化合物としては、例えば、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルメチルジメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリイソプロポキシシラン、1H,2H,2H−パーフルオロドデシルトリエトキシシラン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、分子内にパーフルオロポリエーテルを含むトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0045】
アミノ基を含む化合物としては、例えば、1H,1H−ヘプタフルオロブチルアミン、1H,1H−トリデカフルオロヘプチルアミン、1H,1H−ペンタデカフルオロオクチルアミン、1H,1H−ヘプタデカフルオロノニルアミン、ペンタフルオロアニリン、ペンタフルオロベンズアミド、ペンタフルオロフェニルヒドラジン、パーフルオロオクタンスルホンアミド、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアミン、ペンタフルオロプロピオンアミド等が挙げられる。
【0046】
エポキシ基を含む化合物としては、例えば、3−パーフルオロブチル−1,2−エポキシプロパン、3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパン、3−パーフルオロオクチル−1,2−エポキシプロパン、3−パーフルオロデシル−1,2−エポキシプロパン、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−1,2−エポキシプロパン、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−1,2−エポキシプロパン、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−1,2−エポキシプロパン、1H,1H,2H−パーフルオロ−(1,2−エポキシ)ヘキサン等が挙げられる。
【0047】
ビニル基を含む化合物としては、例えば、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、(パーフルオロオクチル)エチレン、(パーフルオロデシル)エチレン、1,4−ジビニルオクタフルオロブタン、1,6−ジビニルドデカフルオロブタン、1,8−ジビニルヘキサデカフルオロブタン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等が挙げられる。
【0048】
塩化アシル基としては、例えば、パーフルオロ(2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカノイル)フロライド、パーフルオロ(2,5,8,11−テトラメチル−3,6,9,12−テトラオキサペンタデカノイル)フロライド、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピオニルフロライド、パーフルオロヘプタノイルクロライド、パーフルオロノナノイルクロライド、パーフルオロオクタノイルクロライド等が挙げられる。
【0049】
塩素基、臭素基とは、その分子末端に塩素または臭素を有するハロゲン化物を指し、例えば、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルメチルジクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリクロロシラン、臭化パーフルオロプロピル、臭化パーフルオロブチル、臭化パーフルオロヘキシル、臭化パーフルオロヘプチル、臭化パーフルオロオクチル、臭化パーフルオロデシル、臭化2−(パーフルオロデシル)エチル、ヘプタフルオロ−2−ヨードプロパン、臭化パーフルオロ−7−メチルオクチル、ペンタフルオロプロパノイルブロマイド、パーフルオロブタンスルホニルフロライド、パーフルオロオクタンスルホニルフロライド、パーフルオロ−2,5−ジオキサヘキシルブロマイド、パーフルオロヘプチルブロマイド、パーフルオロオクチルブロマイド等を挙げることができる。
【0050】
上記の化合物は適宜使用することができる。尚、これらの化合物は上記に限定されるものでは無く、他の化合物も利用することもできる。
【0051】
これらのフッ素化合物処理剤(フッ素化合物の前駆体)は、泳動粒子表面の水酸基等の結合サイトに結合される。特に、クロロシランやシラザンでは常温にて反応が可能であることから、有用ではあるが、クロロシランでは反応時に塩素が発生するため注意を用する。一方、シラザンにおいては反応時にアンモニアが生成するが速やかに大気中に拡散し、残留するようなことも無いので、特に有用な表面処理剤である。アルコキシシラン系やアルコール系、カルボン酸系、アミノ系では通常、触媒下において加熱処理されるが、本発明においてはフッ素溶剤中にて被処理粒子と共に130℃以上に加熱することで処理効果が得られることが判明した。また、より反応を促進させるために泳動粒子表面の結合サイトの活性化が有用である。結合サイトの活性化の方法として、酸処理、アルカリ処理、アシル化処理、プラズマ処理、オゾン等の接触や酸化剤による酸化処理、還元処理、脱水処理等が挙げられ、これらの処理により、強固かつ速やかに表面処理を行うことが可能である。エポキシ系、ビニル系処理剤は、予め泳動粒子表面にエポキシ基、ビニル基を有するカップリング剤等の化合物を修飾し、それぞれ重合反応により修飾することができる。
【0052】
一方、フッ素系高分子体に該当する一例としては、パーフルオロポリエーテル類、ポリアクリル酸フルオロアルキル類、フッ素系樹脂が挙げられる。これらをディップ法や噴霧法、混練法などにより処理することができる。また、使用する分散溶媒によってこれらの皮膜が溶解する恐れがある場合は、予め反応性基を有するカップリング剤で事前に泳動粒子表面に処理を施し、フッ化炭素鎖またはその誘導体を有する反応性モノマーと共に重合させ、高分子鎖をその表面に結合させることも可能である。
【0053】
本発明において、特に好ましく用いる泳動粒子体表面のフッ素化合物の前駆体は、泳動粒子の種類により異なる。例えば、二酸化チタンでは、パーフルオロアルキルシラザン(信越化学工業社製:KP801M)、カーボンブラックは反応性に乏しいため、塩化チオニルで塩化処理した物を用いることで、パーフルオロポリエーテルアルコキシシラン(ダイキン工業社製:オプツールDSX)、アクリル粒子(特にカルボキシ基修飾)も塩化チオニルで処理することにより、パーフルオロポリエーテルアルコキシシラン(ダイキン工業社製:オプツールDSX)が好ましく用いられる。
【0054】
「基板、その他」
基板の材質は特に制限はないが、厚さ500μm以下の可撓性樹脂フィルムが好ましく、透明基板としては、可撓性樹脂フィルムが特に好ましい。これにより、表示装置に可撓性を付与することが可能となり、電子ペーパーとして幅広い適用が可能となる。
【0055】
また、特に好ましくは、熱により収縮する素材を用いた基板が好ましい。燃焼した際に収縮し、燃焼部以外からの表示素子組成物の漏洩を防止するからである。このような、熱により収縮する素材としては、各種の樹脂が知られている。
【0056】
本発明において、分散溶媒は不燃性であるが、その他の材料も不燃性または自己消火性物質であることが好ましく、特に相対的に表示装置全体体積に占める割合の大きな基板は不燃性であることが好ましい。
【0057】
好ましい可撓性を有する不燃性基板としては、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン類(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTTE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、尿素・メラミン樹脂、フェノール樹脂、あるいは上記樹脂の混合材料が挙げられる。
【0058】
なお、本発明の表示装置の粒子体表面にある上記フッ素化合物は、表示装置の分散系(溶媒および粒子)が直接接する表面にも用いることが特に好ましい。例えば、電極としてITOを用いる場合には、ITO表面にフッ素化合物を設けることで、電極表面への粒子の付着を防止することができ、長期にわたり、高いコントラストを維持することが可能となる。 本発明において、特に好ましく用いるフッ素系表面処理剤は、パーフルオロアルキルシラザン(信越化学工業社製、KP801M)、信越化学工業社製、X−71−130である。
【0059】
電極は、金属やカーボンブラック、酸化物等の導電性材料を用いることができる。また、表示面となる透明基板に形成される電極はITO、SnO2、ZnOなどの透明導電体を用いればよい。電極は、これらの材料を用いて膜状に形成される。電極は、湿式法、蒸着法などの形成方法や塗布法による形成方法により形成すればよい。
【0060】
また、本発明の表示装置は、基板の対向する表面に形成された電極により泳動粒子に電界を与える電気泳動表示装置ばかりではなく、外部の装置(電場印加ヘッド、静電イオンフロー装置、等)により粒子に電界、帯電を与え、粒子の分布状態を制御して表示を行う表示装置とすることもできる。さらに、本発明の表示装置は、磁気泳動を利用し、外部から磁界を印加して泳動粒子の分布状態を制御して表示を行う磁気泳動表示装置とすることもできる。
【0061】
また、分散系を包含したマイクロカプセルを用いることも好ましく、マイクロカプセルは、オリフィス法など公知の方法により作製することができる。特に、球状の弾力性を有するマイクロカプセルを、基板上に配設した後に、対向する基板で圧力を加えて、マイクロカプセルを押しつぶし断面が長方形となるようにすることが好ましい。この場合に表示面から観察すると、マイクロカプセルは概ね六角形となる。サイズの異なるマイクロカプセルが混在した場合には、三角形、五角形等の形状も混在するが、全体として表示面を隙間無く占める構造となる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明の実施例を従来例と比較することで、本発明をより具体的に説明する。
【0063】
[実施例1]
基板として、2枚の100μm厚テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド共重合体を用いた。そして、ITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。
【0064】
電気泳動粒子として酸化チタン(石原産業製:CR−EL、粒径0.25μm)を、フッ素系表面処理剤としてフッ素系シラザンオリゴマー(信越化学製:KP−801M)を用い表面処理を施した。この酸化チタン粒子5部、および溶媒添加剤として3部のパーフルオロポリエーテル(ダイキン工業製:デムナムS−200)と、フッ素系溶剤として95部のフロリナートFC−40(住友3M製)とを超音波分散により混和し表示素子組成物(分散系)とした。
【0065】
次に、直径100μmの黒色PMMAボールを、予め紫外線硬化性樹脂が薄く塗布された1枚の基板上に、2次元に密に付着させた後、UV照射を行い固定した。その後、上記表示素子組成物(分散系)を塗布し、別の1枚の基板を対向させて減圧下、圧着接合し、電気泳動表示装置としたものを実施例1とした。
【0066】
[実施例2]
フッ素系溶剤としてフロリナートFC−3283(住友3M製)を用い、かつパーフルオロポリエーテル添加しないこと以外は、実施例1と同様とした電気泳動表示装置を実施例2とした。
【0067】
[実施例3]
フッ素系表面処理剤としてフッ素系アルコキシシラン(信越化学製:KBM−7803)を用いた以外、実施例1と同様とした電気泳動表示装置を実施例3とした。
【0068】
[実施例4]
フッ素系表面処理剤としてフッ素系アルコキシシラン(ダイキン工業製:オプツールDSX)を用いた以外、実施例1と同様とした電気泳動表示装置を実施例4とした。
【0069】
[実施例5]
パーフルオロポリエーテルを添加しないこと以外、実施例1と同様とした電気泳動表示装置を実施例5とした。
【0070】
[実施例6]
下地基板として、50μm厚テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド共重合体を用いた。そして、ITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。更にその上面に、深さ50μmの半球状の空隙が密に配置された厚さ70μmの高分子層を形成した。また、別途準備した表示面となる100μm厚のμm厚テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド共重合体にITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。
【0071】
次に、電気泳動粒子としてカルボキシ基を表面に有する平均粒径1μmの球状アクリル粒子(黒色着色粒子)及び酸化チタンを表面に固着させた平均粒径3.5μmの球状アクリル粒子(白色粒子)をフッ素系表面処理剤としてフッ素系シラザンオリゴマー(信越化学製:KP−801M)を用いて表面処理を施した。この黒色粒子8部、白色粒子3部および溶媒添加剤として3部のフルオロポリエーテル(ダイキン工業製:デムナムS−20)とフッ素系溶剤として95部のフロリナートFC−40(住友3M製)及び15部のHFE7500(3M製)とを超音波分散により混和し表示素子組成物とした。
【0072】
この表示素子組成物を、上記下部基板の半球上空隙に充填し、表示面基板を対向させて減圧下圧着し、電気泳動表示装置を実施例6とした。なお、本実施例では、泳動粒子の比重が溶媒とほぼ等しい。
【0073】
[実施例7]
白色電気泳動粒子として酸化チタン(石原産業製:CR−EL)をフッ素系表面処理剤として、フッ素系シラザンオリゴマー(信越化学製:KP−801M)を用いて表面処理を施し、また、黒色電気泳動粒子としてカルボキシ基を表面に有する平均粒径3.6μmの球状アクリル粒子(黒色着色粒子)を塩化チオニルにて塩化処理し、フッ素系表面処理剤としてフッ素系アルコキシシラン(ダイキン工業製:オプツールDSX)を用いた以外は、実施例6と同様とした電気泳動表示装置を実施例7とした。
【0074】
[実施例8]
実施例1の基板である100μm厚テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド共重合体フィルムのITO透明導電膜成膜面を、フッ素系表面処理剤、X−71−130(信越化学工業社製)にて処理を行い、表面にフッ素化合物を有する状態にして、作成した電気泳動表示装置を実施例8とした。
【0075】
[比較例1]
基板として、100μm厚ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いた。そして、ITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。また、表示面となる100μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム基板にITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。
【0076】
次に、電気泳動粒子としてカーボンブラックを表面に固着させた平均粒径1.3μmの球状架橋アクリル粒子(黒色粒子)5部、分散剤としてマリアリム(日本油脂製)0.5部、分散溶媒としてドデシルベンゼン95部を超音波分散により混和し表示素子組成物とした。
【0077】
直径100μmの白色架橋PMMAボールを、予め紫外線硬化性粘着体が薄く塗布された表示面基板上に密に付着させた後、UV照射を行い固定した。その後、上記表示素子組成物を塗布し、下部基板を対向させて減圧下圧着し、電気泳動表示装置としたものを比較例1とした。
【0078】
[比較例2]
分散溶媒としてジエチルベンゼンを用いた以外、比較例1と同様としたものを比較例2とした。
【0079】
[比較例3]
基板として、50μm厚ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いた。そして、ITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。更にその上面に、半球状の空隙を有し、白色に着色された厚さ50μmの高分子層を形成した。また、表示面となる100μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム基板に、ITO透明導電膜をスパッタ法により成膜した。
【0080】
次に、電気泳動粒子としてカーボンブラックを表面に固着させた平均粒径500nmの球状アクリル粒子(黒色粒子)5部、チタニアを表面に固着させた平均粒径3.5μmの球状アクリル粒子(白色粒子)3部、分散剤としてマリアリム0.8部と92部のジエチルベンゼンを超音波分散により混和し、表示素子組成物とした。
【0081】
この表示素子組成物を、上記下部基板の半球上空隙に充填し、表示面基板を対向させて減圧下圧着し、電気泳動表示装置としたものを比較例3とした。
【0082】
[比較例4]
実施例1において、フッ素系シラザンオリゴマーを用いた表面処理を施さないカーボンブラックを表面に固着させた平均粒径1.3μmの球状架橋アクリル粒子を用い、実施例1と同様に超音波分散により混和したが、均一に分散することはできず、表示素子組成物を得ることはできなかった。
【0083】
[実施例9,10,比較例4]
実施例1において、分散溶媒として、3部のパーフルオロポリエーテル(ダイキン工業製:デムナムS−200)、75部のフロリナートFC−40(住友3M製)、20部のジエチルベンゼンを用いた以外は、実施例1と同様としたものを実施例9とした。
【0084】
実施例1において、分散溶媒として、3部のパーフルオロポリエーテル(ダイキン工業製:デムナムS−200)、55部のフロリナートFC−40(住友3M製)、40部のジエチルベンゼンを用いた以外は、実施例1と同様としたものを実施例10とした。
【0085】
実施例1において、分散溶媒として、2部のパーフルオロポリエーテル(ダイキン工業製:デムナムS−200)、38部のフロリナートFC−40(住友3M製)、58部のジエチルベンゼンを用いた以外は、実施例1と同様としたものを実施例11とした。
【0086】
[評価]
実施例1〜8、及び比較例1〜3の評価結果を、表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
表1において、コントラスト比の評価は一定の入射光に対して明暗それぞれの状態での反射率の比であり、自己保持時間は暗状態で電界の印加を停止してから反射率が50%変化した時の経過時間である。また、寿命は1秒毎に明暗状態を交互に表示した時にコントラスト比が半減するまでの回数であり、水分含有量率は85℃85%1000時間放置後の分散溶媒中の水分含有率である。
【0089】
なお、実施例1〜8、及び、比較例1〜3の表示装置の中央部にガスバーナーにより着火を試みた。実施例1〜8では炎が直接接した部分はこげてしまったが、炎を取り去ると、それ以上に燃え広がることは無かった。これに対して比較例1〜3では、表示装置全体が激しく燃焼してしまった。
【0090】
さらに実施例9の表示装置は炎が直接接した部分はこげてしまったが、炎を取り去ると、それ以上に燃え広がることは無かった。これに対して実施例10の表示装置は炎が直接接した部分から着火したが一部が燃焼しただけで自己消火した。しかし、比較例4は、表示装置全体が激しく燃焼してしまった。
【0091】
また、実施例8の表示装置は、実施例1と比べると、寿命は、共に107回以上と同じであったが、107回経過時のコントラストは、実施例1が初期の80%であったのに対して、実施例7では初期の95%と、更に良い結果となった。これは、表示基板表面に粒子が付着していないためであった。
【0092】
また、本発明の表示装置には、有機溶剤等の人体に対する有害物は一切使用していないことは明らかである。
【0093】
以上の結果から、本発明の効果は明らかである。
【0094】
以上、添付図面を参照しながら本発明の表示装置の好適な実施形態、実施例について説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。いわゆる当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、、外部の水分の影響を極力排除することにより、動作の安定性、信頼性を保持すると共に、人体に対する安全性に加えて、火気に対する高い安全性を有した表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置の一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 分散溶媒
2 泳動粒子
11a 透明基板
11b 基板
12a 透明電極
12b 電極
13a、13b 隔壁
14 電源
15 スイッチ
Claims (7)
- 複数の粒子体の空間分布変化の違いにより表示を行う表示装置であって、
前記粒子体は表面にフッ素化合物を有し、
かつ、前記粒子体はフッ素系溶剤に分散して前記フッ素系溶剤中を泳動することを特徴とする表示装置。 - 前記フッ素系溶剤は、脂肪族、脂環式、または芳香族化合物の水素をフッ素に置換した完全フッ化炭素、または/及び、一部の水素をフッ素に置換したフッ素系溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
- 前記粒子体表面の前記フッ素化合物の前駆体が、シラザン基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、塩化アシル基、塩素基、または臭素基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有すること、または/及び、前記粒子体表面がフッ素系高分子体に被覆されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の表示装置。
- 前記フッ素系溶剤は、パーフルオロポリエーテル、または/及び、低重合ハロゲン化エチレンを含有することを特徴とする請求項1、2、または3のうちのいずれか1項に記載の表示装置。
- 前記粒子体の空間分布変化は、電界作用により発生する電気泳動表示装置であることを特徴とする請求項1、2、3、または4のうちのいずれか1項に記載の表示装置。
- 前記粒子体が分散したフッ素系溶剤からなる分散系が対向する基板間に封入され、前記対向する基板は共に可撓性を有し、かつ、少なくとも一方の基板は透明な樹脂フィルムからなる、
可撓性を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、または5のうちのいずれか1項に記載の表示装置。 - 前記基板は前記分散系と接触する面に前記フッ素化合物を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、または6のうちのいずれか1項に記載の表示装置。
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