JP2860790B2 - 粒子回転型ディスプレイ - Google Patents
粒子回転型ディスプレイInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野
本発明は色分けされた粒子を電界によって回転あるい
は停止する制御を行なう事により、キャラクタ、グラフ
ィック、ビデオ等の画像情報を表示する受光型フラット
パネル形電子ディスプレイデバイスに関するものであ
る。 発明の背景 情報処理産業のマン・マシンインターフェースとして
の電子ディスプレイデバイスとしてCRT(Cathode Ray T
ube:陰極線管)ディスプレイは最も歴史のある方式であ
り、その表示品質、経済性の良さから現在でもディスプ
レイデバイスの主流となっている。しかし、近年半導体
技術の急速な進歩による各種電子装置の小型化に伴って
ディスプレイデバイスに対しても、小型、軽量、低駆動
電圧、低消費電力のフラットパネル化の要求が強くなっ
てきている。 現在実用化あるいは研究開発されているフラットパネ
ル形電子ディスプレイデバイスは、発光型としては、PD
P(Plasma Display Panel;プラズマディスプレイ)、EL
D(Electroluminescent Display;エレクトロルミネセン
トディスプレイ)、VFD(Vacuum Fluorescent Display;
蛍光表示管)、LED(Light Emitting Diode;発光ダイオ
ード)あるいは平板形CRT等があり、受光型ではLCD(Li
quid Crystal Display;液晶ディスプレイ)、ECD(Elec
trochemical Display;エレクトロケミカルディスプレ
イ)、EPID(Electrophoretic Image Display;電気泳動
ディスプレイ)、SPD(Suspended Particle Display;分
散粒子配向形ディスプレイ)、MPD(Magnetic Particle
Display;磁気粒子回転形ディスプレイ)等、非常に多
くの種類がある。 テレビ受像機以外の情報産業の分野で、最も電子ディ
スプレイ、とりわけフラットパネルディスプレイ技術の
発展が望まれる分野は、コンピューターを中心とする情
報処理産業の分野である。この分野、中でもOA産業にお
いては、その情報の大半は数字やキャラクタ、及びグラ
フィックである。我々は長期に渡り、これら数字、キャ
ラクタ、グラフィックの情報表示メディアとして、印刷
物という手段に慣れ親しんできた。従って、とりわけこ
の分野においては印刷物の様に目になじみ易く、また外
光によって見にくくなったり、ちらつき等による目の疲
労の無いディスプレイデバイスは非常に魅力のあるもの
である。その点においてはCRTを始めとする発光型ディ
スプレイは不利であろう。また、発光型ディスプレイデ
バイスは一般にECDを除く受光型ディスプレイデバイス
に比べ消費電流が大きいという欠点を有する。また発光
型ディスプレイでは、発光体のちらつきや電磁波(例え
ばCRTにおけるマイクロ波)の人体への影響について、
特にCRT以外の新しい方式については未知の部分も多
い。 一方受光型ディスプレイデバイスの内、LCDは低消費
電力、低コストという特徴があり、CRTに次ぐシェアを
持っている。しかしこの方式は表示コントラストが視る
方向に依存し視野が制約されるという問題や、低温度で
の応答性が悪い等の問題がある。更に印刷の様に白地を
背景とするくっきりとした表示とはほど遠い状況にあ
る。 非発光型表示のもう一つの代表であるECDは、近年、
十分な表示コントラストの得られる材料の発見により、
通常の光源下で印刷物同様目になじみ易い、外光の影響
のない表示品質を有する様になった。また、電気化学的
酸化還元反応を利用する本方式は、LCDと異なり電源を
切ってもメモリ性を有する。更に、素子構造が簡単で大
面積化が容易であり、使用温度範囲も広い。しかしなが
ら本方式は電気化学的反応を用いる為応答性には限界が
あり(0.1s)、動画あるいは速い表示には適さない。ま
た、着色消去反応を可逆的に行なう事は消費電力の増大
をまねくばかりではなく材料の長期的安定性を保つこと
を困難にしている。 近年、受光型ディスプレイデバイスの一種として電気
泳動現象を利用する方法(EPID)の発表がなされた。微
粒子分散液体では、固液界面での電荷の授受により電気
二重層が形成され、粒子は正または負に帯電する。この
様な分散系に電圧を印加すると、粒子は電界に応じ泳動
する。着色分散媒を背景(あるいは表示部)としてこの
原理を応用した本方式は表示の見易さ、メモリ性、低電
力、低コスト、大面積化の容易性に優れている。 しかし本方式は分散媒の染料が粒子や電極表面に吸収
されコントラストや表示機能の低下をまねくという問題
や長期の間には粒子が沈澱、凝集するという問題があ
る。更に粒子は電極間というある距離を移動しなければ
ならず応答性限度が低い。また、この様な分散系をDC電
場で用いる場合、材料の電気化学的変化も無視しえな
い。 最近、受光型ディスプレイとして、もう一つの興味あ
る発表が行なわれた。MPD(Magnetic Particle Dispal
y;磁気粒子回転形ディスプレイ)と称される方法であ
り、半球ずつ色分けされた磁化球状粒子を表示媒体とし
て用いる方法である。透明シートに色分けされた磁気粒
子を敷きつめ、粒子を磁気力で回転制御して画像を形成
する。当初は粒子を集合体として用いていたが、この方
法だと粒子は回転運動だけでなく、表示面方向への運動
や、粒子同士の凝集等が生じ良好な表示が得られなかっ
たため、個々の粒子をマイクロカプセル化する方法が採
られた。MPDは視角、コントラストとも良く、大面積化
も容易であるが、磁気粒子に対するアドレス法、メモリ
性、閾値特性、製造性等に問題がある。 発明の目的 本発明の目的は、印刷物並の表示品質をもつ電子ディ
スプレイデバイスを提供することにある。 本発明の他の目的は、平板あるいは薄膜状の電子ディ
スプレイデバイスを提供することにある。 本発明の他の目的は、電源を切っても表示情報が保存
されるメモリ性のある電子ディスプレイデバイスを提供
することにある。 本発明の他の目的は、安価な電子ディスプレイデバイ
スを提供することにある。 本発明の他の目的は、大面積化の容易な電子ディスプ
レイデバイスの構成を提供することにある。 本発明のまた他の目的は、応答性の良い粒子回転型デ
ィスプレイを提供することにある。 本発明の別の目的は、偏光板を要せずにカラー表示の
出来る電子ディスプレイデバイスを提供することにあ
る。 本発明の他の目的は、動作寿命の長い電子ディスプレ
イデバイスを提供することにある。 本発明の更に別の目的は、製造性に優れた電子ディス
プレイデバイスを提供することにある。 本発明の更にまた他の目的は、消費電力の小さな電子
ディスプレイデバイスを提供することにある。 発明の概略 本発明は、第1図乃至第3図に示す様に、特に光学的
に透明な基体2中に、表面が色の異なる2つ以上の領域
を持つ様に調整された表示用回転粒子1が誘電性液体4
で満たされた球状等の空間3で、自由に回転、その他の
運動が出来る様な状態に分散されてなり、かつその表示
用回転粒子1の運動を主に電界によって制御する構成の
フラットパネル形電子ディスプレイデバイスに関するも
のである。 先に記した様に液体中の粒子は、粒子と液体の間で電
荷の授受が行なわれ電気二重層が形成され、粒子は正ま
たは負に帯電する。表示用回転粒子1はその表面が少な
くとも2つ以上の色の異なる領域を持つとともに液体中
での帯電特性が異なる2つ以上の領域を持つ様に調整さ
れている。上記特性を持つ最も簡単な表示用回転粒子1
は、例えば粒子表面をその両半球表面が異なる色を示す
様に異なる物質で構成した場合である。両半球が異なる
物質で構成されることで、液体中での粒子の表面電荷量
も両半球で異なり、粒子は液体中でその極方向にモーメ
ントを有する。この様な粒子に電場を印加すると粒子に
はその極方向を電界方向にそろえようとするトルクが働
き、粒子はいずれかの半球面を一方向にそろえる。電界
の方向を逆転すれば粒子は反転し、表示の反射色が変化
する。 各表示用回転粒子1は、前記の様に電界に従って自由
に回転等の運動が出来る様な状態に、板状あるいは薄膜
状の光学的に透明な基体2中に分散されなければならな
い。その為、各表示用回転粒子1は、これら粒子の動き
を妨げない様な空隙3を持って基体2中に分散される。
空隙3は、例えば表示用回転粒子1より大きな球状空間
によって作られ、さらにこの空隙3は誘電性液体4で満
たされる。表示用回転粒子1の回転、その他の運動及び
停止には、表示用回転粒子1の帯電特性や空隙3の大き
さ、形状ばかりでなく、表示用回転粒子1の形状、大き
さ、比重等が大きく影響する。加えて、誘電性液体4の
比重、動粘性率等も表示用回転粒子1の運動に影響す
る。 また、表示用回転粒子1及び誘電性液体4は少なくと
も本発明の粒子回転型ディスプレイの使用環境下におい
て、それぞれ化学的に安定であり、かつ表示用回転粒子
1の溶解等の相互作用が無いか、あるいは無視し得るほ
ど小さい材料によって構成される。 前記の表示用回転粒子1が空隙3を持って分散してな
る表示用回転粒子分散パネル5は、例えば次に示す様な
製造方法によって提供される。もちろん本発明の製造法
は下記の製造法に限られるものではない。 まず、少なくとも表面が半球ずつ顔料等で2色に色分
けされたワックス状物質を主成分とする粒子、すなわち
表示用回転粒子1を準備する。この表示用回転粒子の形
状は、例えば球状である。表示用回転粒子1の液体中で
の帯電性能を制御するため、あるいはその他の目的でワ
ックス状物質、顔料、染料等以外に他の材料を加えても
良い。尚、2色に色分けされた領域の面積の比は、ディ
スプレイデバイスとして構成したときのキャラクタやグ
ラフィックやビデオ等の表示の見やすさに大きく影響す
る。 次に表示用回転粒子1は架橋反応前のシリコーンゴム
(液状)とよく混合、分散される。この分散系を板状あ
るいは膜状に延ばし、その後シリコーンゴムを架橋反応
させる。架橋反応は、表示用回転粒子1に影響を与えな
い環境下で進むことが好ましく、例えば室温加硫(RT
V)あるいは低温加硫(LTV)等が扱い易い。この様にし
て作られた表示用回転粒子分散シリコーンゴムでは、表
示用回転粒子1の回りには空隙が無い。 次いで、表示用回転粒子分散シリコーンゴムの板は誘
電性液体の中に浸けられ適切な時間放置される。シリコ
ーンゴム分子中には、誘電性液体4の分子が浸入し、シ
リコーンゴムは膨潤し、一方表示用回転粒子1は誘電性
液体4に不溶であるか、あるいは表示用回転粒子1への
誘電性液体4の吸収が極めて遅いため、表示用回転粒子
1の回りには空隙3が生じ、かつこの空隙3は誘電性液
体4で満たされる。 表示用回転粒子分散パネル5は、例えば上記方法によ
って作成されるが、光学的に透明な基体2の機械的加工
等、別の方法によって予め空隙3を作り、表示用回転粒
子1及び誘電性液体4を空隙3に封入する等の方法によ
っても入手出来る。また、光学的に透明な基体2は、エ
ラストマーである必要は無く、例えばポリエチレンや、
ポリスチレン、プレキシガラス等の硬質の樹脂、あるい
はケイ酸塩ガラス等であっても良い。 表示用回転粒子分散パネル5に、表示用回転粒子1を
駆動するための電場を印加する手段、例えば光学的に透
明な電極8等が付与されて、ディスプレイデバイスが構
成される。なお、表示用回転粒子分散パネル5は単層で
用いても複層で用いても良い。 本発明の粒子回転型ディスプレイはEPIDと異なり、単
に表示用回転粒子1が回転するだけで像を表示する事が
出来るため応答性に優れる。また、本発明の粒子回転型
ディスプレイは、磁力に比べ取り扱いの簡単な静電的ア
ドレスが出来る。更に前記した表示用回転粒子1の基体
2中への封入方法はMPDに比べはるかに簡単である。 本発明の構成 本発明の構成をより詳細に説明する。 本発明の粒子回転型ディスプレイは第1図乃至第3図
で先に説明した様にエラストマー、硬質樹脂、ガラス等
の光学的に透明な基体2中に表面の色及び液体中での帯
電特性を制御したワックス状物質を主成分とする表示用
回転粒子1をその回りに誘電性液体4で満たされた空隙
3を保つように分散されてなる表示用回転粒子分散パネ
ル5が表示用回転粒子1の運動を制御するための電界を
印加する手段、例えば光学的に透明な2枚の電極8によ
って挾まれた構造をしている。 表示用回転粒子1はその表面が2領域以上に分割さ
れ、それぞれ異なる色相及び/あるいは明度及び/ある
いは彩度に調整される事で光学的コントラストがつけら
れており、さらに表示用回転粒子1表面は、帯電特性の
異なる2つ以上の領域を持つ様に調整されている。 表示用回転粒子1の主たる材料は、ポリスチレン、ポ
リエチレン等の樹脂や、ガラス等でも良いが、分子量50
000以下のワックス状物質が特に扱い易い。表示用回転
粒子1の主成分としては、製造性の上からその形状の制
御、色分け、帯電性制御の容易な物質が望ましく、また
粒子の回転、停止等の運動の制御の上から帯電制御性、
形状の大きさの制御の容易さに加え、比重も重要であ
る。更に化学的に安定であり、特に本発明で使用される
誘電性液体に不溶あるいは無視し得るなど相互作用の小
さな物質でなければならない。この様な物質としては分
子量50000以下、比重0.70〜1.20であるワックス状物質
が適切である。すなわち、その様なワックス状物質とは
ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン
酸等の高級脂肪酸類、ステアリン酸アルミニウム、ステ
アリン酸カリウム、パルミチン酸亜鉛等の高級脂肪酸金
属塩類、水添ヒマシ油、ココア脂、メチルヒドロキシス
テアレート、グリセロールモノヒドロキシステアレート
等の高級脂肪酸の誘導体類、木ロウ、密ロウ、カルナバ
ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン
ワックス等のワックス類、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニル
アルキルエーテル等の低分子量のオレフィン重合体及び
共重合体等である。 表示用回転粒子1は、電界の印加、電界方向の逆転に
追従して回転等の運動が速やかに行なわれなければなら
ない。この様な運動にとって最も重要な特性は、粒子の
帯電特性である。固/液相において、固体の表面電位を
知るには、よく知られている様に電気浸透、流動電位、
電気泳動、沈降電位等の界面動電現象を利用する方法が
ある。この様な方法によりゼータ電位を求めて材料選択
を行なう事は非常に有効な方法ではあるが、本発明者等
はより直接的かつ簡易な方法として第4図及び第5図に
示す装置を使った方法を採用した。すなわち、第4図に
示す様に本発明で使用される誘電性液体4に各種材料の
粒子13を分散し電極11によって電界を印加し、各種材料
粒子13の電気泳動を見るという方法である。更に第5図
は表示用回転粒子1の回転性及びその他の運動を観察す
る装置である。第5図の装置によって選択された材料、
すなわち、表示用回転粒子1の大部分を構成する材料及
び着色剤、その他の材料を組み合わせて表示用回転粒子
1とし、これを誘電性液体4の満たされた穴9に入れ電
極6によって電界を印加し、表示用回転粒子1の回転等
の運動を観察する。ワックス状物質は、染顔料及び/あ
るいは帯電制御剤及び/あるいはその他材料との複合材
料としたときの主成分として製造性に優れ、化学的に安
定であるばかりでなく、第4図に示す装置によるワック
ス状物質粒子の泳動観察でも、優れた特性を示した。材
料によっては電極間での運動が緩慢あるいは止まったま
まであったり電極間で往復運動する等の動きが観察され
る。帯電制御を表示用回転粒子1の主成分以外の材料で
行なう場合には上記の電極11間での粒子の泳動特性はそ
れほど重要ではないが、主成分が表示用回転粒子1表面
の一部にでも露出する構造では重要である。 また、表示用回転粒子1の主成分の比重は表示用回転
粒子1の回転等の運動に影響する。特に、表示用回転粒
子1の比重と帯電性液体4の比重との差は0.5以内であ
る事が望ましい。表示用回転粒子1の比重と誘電性液体
4の比重との差が0.5よりも大きいと表示用回転粒子1
は空隙3の内壁へ浮力あるいは重力によって圧接され表
示用回転粒子1の運動が著しく阻害される。更に、表示
用回転粒子1の質量が大きいと、回転等の運動に要する
エネルギーが大きくなり、印加電圧を高くする必要があ
る。その為、表示用回転粒子1の粒径が300μm以上で
は表示用回転粒子1の比重は1.4以下が望ましく、表示
用回転粒子1の主成分材料の比重は1.2以下であること
が望ましい。以上から実用的材料という事を考慮して、
表示用回転粒子1の主たる材料としては、その比重が0.
70〜1.20、一方誘電性液体4としては、その比重が0.70
〜1.20である物質が望まれる。 誘電性液体4は化学的に安定であり、表示用回転粒子
1と不溶あるい無視し得る程相互作用の小さな物質であ
るとともに光学的に透明であり、かつ前記の比重範囲の
物質である事が望ましい。加えて表示用回転粒子1の運
動には、誘電性液体4の粘度が大きく影響するため動粘
性率0.65〜1000000cSt(室温下)の範囲、特に0.90〜50
00cStの範囲の誘電性液体4が望ましい。動粘性率が100
0000cSt以上では表示用回転粒子1の運動が著しく阻害
され、場合によっては電界強度に係りなく全く動かなく
なってしまう。 表示用回転粒子1の形状、大きさも、先に記した様に
その運動性能及びディスプレイデバイスとしたときの画
像表示性能に大きく関与する。 表示用回転粒子1の形状は、回転によって異なる色を
表示出来る形状であればどの様な形状でも良い。しか
し、球状以外の表示用回転粒子1の形状では粒子表面の
凸部あるいは凹部と空隙3の内壁との干渉によって表示
用回転粒子1の回転運動が妨げられ応答速度が遅くなっ
たり、十分回転せず表示品質が悪くなったりする事がな
る。特にクーロン力、浮力、重力等が大きな場合、異形
粒子では粒子表面と空隙3の内壁と接する部分の圧力が
回転その他の運動とともに大きく変動し、表示用回転粒
子1の回転が著しく阻害され、場合によっては回転途中
で停止してしまう。 更に、粒子表面のある領域がある色に調整されるとと
もにある帯電能を持つ様に調整される場合、とりわけ粒
子表面を2色に着色あるいは調整するとともに各着色剤
で帯電性能も制御する場合には、着色(あるいは調整さ
れた色)の面積は、粒子の帯電性能と密接な関係を持
ち、帯電性能は粒子回転と密接な関係を持つ為粒子の形
状は極めて重要である。すなわち、色面積で粒子の帯電
性能が制御されてしまうと、粒子の回転の運動性つまり
帯電性能と反転したときの反転色の認識性、つまり別の
色の色面積の大きさの両者の要求を満たす事が、球形で
ない異形粒子では困難になってしまう。また表示品質の
上からディスプレイデバイスの表示素子、すなわち表示
用回転粒子1の形状は、すべて同じ形状である事が望ま
しいが、球状以外の形状で同一形状の粒子を多量に得る
事は困難である。更に先に記した様に、表示用回転粒子
分散パネル5の作製時の膨潤によって空隙3を得る方法
を採る場合には、空隙3形状の上から表示用回転粒子1
は球形である事が望ましい。 以上の事を考慮し、鋭意検討した結果、表示用回転粒
子は、ワーデル(Wadell)の実用球形度Ψwが0.7以
上、1.0以下の範囲にある様な実質的に球形の粒子であ
る場合に、極めて応答性が良くかつ表示品質、製造性に
優れた粒子回転型ディスプレイを得られる事が明らかと
なった。 表示用回転粒子1の大きさも、ディスプレイデバイス
とした時の表示品質や表示の見やすさに大きく影響す
る。表示用回転粒子1の粒径はその様な観点からは小さ
い方が望ましい。更に、表示用回転粒子1の粒径が大き
いと表示用回転粒子分散パネル5が厚くなり、必要とす
る印加電圧が大きくなる。しかし、粒径が5μmよりも
小さくなると、表示用回転粒子1の色調整、帯電性能制
御等や、基体2への均一分散、空隙3形状、大きさ制御
等、製造性が悪くなるばかりでなく、ディスプレイデバ
イスとしたとき光の散乱、吸収等により表示コントラス
トが十分にとれなくなる。検討の結果、表示用回転粒子
1の粒子径が5〜3000μmである場合、本発明の目的を
十分に満たす事がわかった。 表示用回転粒子1を収納する空間は、少なくとも表示
用回転粒子1の回りに誘電性液体4を満たす事ができる
空隙3を持ち、かつ表示用回転粒子1が回転運動する事
が出来るだけの大きさがなくてはならない。表示用回転
粒子1を収納する空間3が十分に大きければ表示用回転
粒子1の運動は妨げられる事は無いがメモリ性能が悪化
する傾向がある。本発明の粒子回転型ディスプレイで
は、電界を取り除いた状態では表示用回転粒子1は、通
常空隙3の内壁に接触して停止する。表示用回転粒子1
と誘電性液体4の比重が近い場合等、表示用回転粒子1
と空隙3内壁との接触圧が近いと比較的小さな力で表示
用回転粒子1は動いてしまい、自由に運動できる空間が
広い場合にはメモリ性を失ってしまう。あるいは電源を
切ってから表示用回転粒子1が空隙3中で安定な位置に
移動する間に慣性等により表示用回転粒子1が回転し、
メモリ性を失う場合がある。第6図にこの様にしてメモ
リ性が失われる一例を示す。当然の事ながら、メモリ性
能には、表示用回転粒子1の帯電性能、形状、比重、大
きさ、あるいは誘電性液体4の比重、粘度等多くの要因
が絡むが、空間3の大きさをある範囲に限定する事で、
十分なメモリ性を持たせる事が可能である。すなわち、
表示用回転粒子1を収納できる最小の球、つまり表示用
回転粒子1の外接球の大きさと、空間3に収納できる最
大の球、つまり空間3の内接球の大きさがある関係にあ
るときにはメモリ性は良好である。しかし、表示用回転
粒子1の外接球あるいは空間3の内接球の大きさが容易
に求まるのは表示用回転粒子1、空間3が規則的形状を
している場合に限られ、上記関係を求めるのは極めて困
難である。そこで本発明者等はより実用的方法として第
7図に示す様に表示用回転粒子1の投影像に外接する最
小の円の直径aと空間3の投影像に内接する最大の円の
直径bを用いる方法を採った。第8図は、aとbの比b/
aとメモリ性との関係を示したものである。なおメモリ
性とは、電界を取り除いた後、表示用回転粒子1がくり
返し実験を行なって10°以上回転して静止した回数の割
合で表わし0%のときメモリ性良好である。 空隙3は隣接する空隙と重なってはならず、かつ表示
用回転粒子1は表示品質の上から稠密あるいはそれに近
い程度に密に分散されなければならない。また、空隙3
が大きいと誘電性液体4による光の吸収、散乱により表
示品質が悪くなる。メモリ性以外にもこれらの事から空
隙3の大きさは小さい方が望ましい。メモリ性、表示品
質及び回転性の上から鋭意検討の結果、先に記した表示
用回転粒子1の投影像の最小外接円直径aと、空隙3投
影像の最大内接円直径bとの関係が、a<b≦4aとなる
様、より望ましくは、1.05a≦b≦2.5aとなる様に制御
する必要がある事を確認した。 表示用回転粒子1は、その表面が2つ以上の色の異な
る領域を持つ様に調整される。一般には、表示用回転粒
子は、2領域すなわち半球に分割され、それぞれの領域
はそれぞれ異なる色相及び/あるいは明度及び/あるい
は彩度に調整されていれば良い。この場合、2色に色分
けされた各領域の面積は、ディスプレイデバイスとして
の表示品質、表示の見やすさの上から、自ずから上限と
下限が存在する。理想的には、とりわけ表示用回転粒子
1が球状の場合には、両領域の面積及び形状が完全に等
しくなる様に、すなわち、完全に半球ずつに分割される
べきであるが、実際にはその様に色分けする事は極めて
困難である。球体を半球ずつ色分けした場合、第9図に
示す様に球体を回転したときにどちらか一方の色15しか
見えず、他の一方の色が完全に隠蔽される位置が存在す
る場合、その時の色分けされるべき面積の大きさには、
ある程度の自由度があり、どちらの色でもよい領域16が
存在する。本発明の表示用回転粒子1は極めて微細であ
り観察者も粒径に比し通常十分遠くに存在する(第10
図)。この場合には上記の自由度は極めて小さい。しか
し実際にはミクロンオーダーの表示用回転粒子1は、く
り返し述べたように、空隙3、誘電性液体4とともに基
体2中に分散、それも通常稠密に分散するという光学的
には極めて複雑な構造をとる為、光の吸収、散乱、反射
等により、表示用回転粒子1の色分け面積の比は、ディ
スプレイデバイスの表示品質あるいは表示の見易さの点
からも十分妥協できる範囲が存在する。第11図は、表示
用回転粒子1を2色に半球ずつ色分けしたとき、その2
領域の面積A、Bの比A/Bが、表示品質とどの様な関係
にあるか示したものである。なお、ここで言う表示品質
とは、表示用回転粒子1が一方の色を表示する様に電界
を印加したとき、ぬり分け面積が不適切なために他の一
方の表示色が観察されるかどうか、という観点で判断さ
れるものであり、限度見本によりグレード付けして、そ
の良否を比べている。大くの実験から、本発明者は2領
域の面積の比A/Bが0.1以上、10以下の範囲、より望まし
くは0.2以上、5以下の範囲にあれば、表示品質に問題
を生じない事を確認した。また、表示用回転粒子1を2
領域に色分けするとともに、各着色剤で帯電性能も制御
する場合、着色(あるいは調整された色)面積の比A/B
は表示用回転粒子の運動、停止の性能の観点からも0.1
以上、10以下の範囲にある事が望ましい。 また、この様に表示用回転粒子1表面を2色に色分け
する場合、染料と顔料を組み合わせて使用する方法、あ
るいは2種類以上の顔料あるいは染料を用いる方法等が
ある。これら2種以上の着色剤、染料、顔料は、色及び
比重及び/あるいは電気的特性及び/あるいは磁気的特
性等の異なる物を選び、表示用回転粒子1の主成分であ
るワックス状物質中に分散し、ワックス状物質を溶融状
態に保持したまま重力、電気的な力、磁力、遠心力等を
加える事により、表示用回転粒子1を2領域に色分けす
る事ができる。 発明の効果 以上の様に構成された本発明の粒子回転型ディスプレ
イは、平板あるいは薄膜状であり、メモリ性、表示品
質、応答性、消費電力、視野角に極めて優れた特性を有
す。本発明で使用する材料は特殊な物質でなく、また、
機能部材の製造、あるいはデバイスの駆動にも特殊な方
法を必要としない。電極間距離の制御もそれほどの精度
を必要としない。その為、大面積化も極めて容易であ
り、かつ動作寿命も長く、更に安価でもある。更にま
た、本方式のディスプレイは表示用回転粒子の色を自由
に選べる為、偏光板無しでカラー化が可能である。 実施例1 三井ハイワックス100P(三井石油化学工業(株))に
酸化チタン、タイベークCR-50(石原産業社製)7wt%添
加調整後、スプレードライヤー法により造粒し、篩分に
よって平均粒径50μの白色ワックス粒子を得た。この粒
子の半球をカーボンブラックSpecial Black 5(デグサ
社製)4wt%分散アルキド樹脂エナメルによってスプレ
ー着色し、表示用回転粒子とした。この粒子のワーデル
の実用球形度Ψwはいずれも、ほぼ1.0であり、また色
分けされた2領域の面積比は、いずれも0.4〜0.5であっ
た。次いで、これらの表示用回転粒子を二液性RTVゴムK
E103/Cat-103(信越化学工業(株))に十分に分散後、
コーターを用いて、厚さ1.0mm板状に調整後、25℃にて1
8時間放置硬化させ表示用回転粒子の分散したシリコー
ンゴムの板を得た。 次いで、このシリコーンゴムの板をシリコーンオイル
KF96(信越化学工業(株))中に浸漬し、約48時間放置
後取り出し、表示用回転粒子分散パネルとした。このと
き表示用回転粒子の回りにはシリコーンオイルで満たさ
れた球状の空隙が形成されており、表示用回転粒子の空
隙内で回転等の運動が自由に出来た。空隙の投影像に内
接する最大の円の直径bは60〜65μであった。更に表示
用回転粒子分散パネルの表裏に透明電極を密着させディ
スプレイデバイスとし電場を印加したところ表示品質、
応答性に極めて優れた性能を示した。また、本電子ディ
スプレイデバイスは、電源オフ後5カ月以上を経ても表
示情報は完全に保存される事を確認した。 実施例2 モービルワックス130(モービル石油(株))にステ
アリン酸30wt%及び青色顔料PB-27(大日精化工業
(株))50wt%を分散調整後、造粒し、更に風力を利用
して分級を行ない平均粒径30μの粒子を得た。この粒子
をRTVゴムKE106/Cat-RG(信越化学工業(株))に室温
にて分散後厚さ1.0mmの板状に調整し、70℃で90分間加
熱硬化させた。次いで、このシリコーンゴムの板をガラ
ス製の板に挾み、回転台の上に固定し、80℃下で遠心力
を加えながら更に5分間加熱し、表示用回転粒子の分散
したシリコーンゴムの板を得た。更にこのシリコーンゴ
ムの板をシリコーンオイルKF618(信越化学工業
(株))中に48時間浸し、表示用回転粒子分散パネルと
した。このとき表示用回転粒子はほぼ完全な球状であ
り、また粒子の回りの空隙も球状であり、b=37μであ
った。この表示用回転粒子分散パネルに駆動電場印加手
段を付与しディスプレイデバイスとしたところ表示品質
応答性、メモリ性等に非常に優れた特性を示した。 実施例3 モービルワックス135(モービル石油(株))にHeart
olan(β−Naphtol Benzoate)1wt%、及び緑色顔料PG-
36(大日精化工業(株))45wt%を分散調整後、造粒、
篩分し平均粒径100μの粒子を得た。この粒子をRTVゴム
KE119(信越化学工業(株))に分散後室温にて1晩放
置硬化させた。次いでこの粒子分散ゴム塊を90℃に加熱
しながら遠心力を加えて色分けを行なった。冷却後この
ゴムを薄板状に切って表示用回転粒子を取り出した。こ
の粒子の色分け面積比は0.4〜0.5であった。これら表示
用回転粒子を十分に洗浄した後実施例1と同様の処理を
行ない表示用回転粒子分散シリコーンゴムの板を得た。
この板をフッ素変性シリコーンオイルX-22-819(信越化
学工業(株))中に48時間浸け、表示用回転粒子分散パ
ネルとし、更にディスプレイデバイスとして組んだとこ
ろディスプレイとして優れた性能を示した。 実施例4 サンワックスE-200(三洋化成工業(株))を用いて
実施例1と同様に処理して、粒径30〜45μmの表示用回
転粒子を得た。Ψw=1.0であり、色分け面積比はいず
れもほぼ0.5であった。この表示用回転粒子を用いて実
施例1と同様の過程を経て、ディスプレイデバイスを組
んだところディスプレイとして優れた特性を示した。 実施例5 Fischer-Tropsh Wax FT-150に赤色顔料Lake Carmine
B(住友化学工業(株))10%を分散調整後、造粒、篩
分し平均粒径150μの粒径を得た。この粒子を実施例3
と同様に120℃下で遠心力を加えて色分けを行ない表示
用回転粒子を得た。一方、機械的加工法により直径200
μmの穴が一面に空けられた厚さ200μmのアクリル樹
脂の板を用意し、各々の穴へ先の表示用回転粒子及びシ
リコーンオイルKF96H(信越化学工業(株))を入れ、
上下を厚さ50μmのPETフィルムで挾んでシーリング
し、表示用回転粒子分散パネルとした。この表示用回転
粒子分散パネルを2枚重ね、更に透明電極を取り付け
て、ディスプレイデバイスとしたところ、その表示機能
は十分実用に耐えるものであった。 実施例6 Fischer-Tropsh Wax FT-100 Hに赤色顔料ベンガラ1
号50wt%を分散調整後、造粒、篩分し、平均粒径40μの
粒子を得た。この粒子を実施例3と同様、120℃下で遠
心力を加える事によって色分けを行ない表示用回転粒子
とした。これら粒子のΨwはほぼ10であり、色分けの面
積比は0.4〜0.5であった。次いでこれらの表示用回転粒
子を実施例1と同様の方法により、厚さ1.0mmのRTVゴム
KE103/cat-103(信越化学工業(株))中に分散、硬化
させた。この表示用回転粒子分散シリコーンゴムの板を
エタノール中に48時間浸漬したあと取り出し表示用回転
粒子分散パネルとした。このときb=48〜52μであっ
た。 実施例7 鮮黄赤色顔料Lake Red GG(IG社製)によって着色さ
れたカルナバワックスを実施例1と同様造粒、篩分し、
平均粒径50μの赤色ワックス粒子を得た。この粒子の半
球をスプレーガンを用いて、酸化チタン(タイベークCR
-50)5wt%分散アルキド樹脂エナメルで着色し、表示用
回転粒子とした。このとき、本粒子のΨwはいずれもほ
ぼ1.0であり、色分けされた面積の比はほぼ0.5であっ
た。 比較例1 三井ハイワックス100PにタイベークCR-50を7wt%分散
調整後スプレードライヤー法により造粒し、白色ワック
ス粒子を得た。これら粒子の内、卵形、繭形、ひょうた
ん形等Ψw<0.7、粒径50〜100μである粒子を選別し実
施例1と同様の方法で半球を色分け面積比0.4〜0.5にな
る様に着色して異形の表示用回転粒子を得た。次いでこ
れらの異形(球形でない)の表示用回転粒子を用いて、
実施例1と同様の手順によって表示用回転粒子分散パネ
ルを得た。異形表示用回転粒子の回りにはシリコーンオ
リルで満たされた空隙が形成されており、空隙投影像内
接円直径bは、表示用回転粒子投影像外接円直径aの1.
2〜2.0倍であった。この表示用回転粒子分散パネルに電
極を付与し、電場を印加したところ、いずれの粒子も回
転運動が極めて不安定であり、ディスプレイデバイスと
しての表示品質を満足出来るレベルではなかった。 比較例2 実施例3と同様の手順によって得たモービルワックス
135を主成分とする平均粒径30μの表示用回転粒子をKE1
06/Cat-RGに室温にて分散後、厚さ1.0mmの板状に調整
し、50℃で30分間保った。次いでこの板をKF618中に48
時間放置後取り出し表示用回転粒子分散パネルとした。
表示用回転粒子の回りの空隙は、ほぼ球状であり、空隙
投影像に内接する最大円の直径bは約130μmであっ
た。この表示用回転粒子分散パネルに電場を印加したと
ころ表示用回転粒子の回転、停止の機能は良好であっ
た。しかし電源オフとともに表示用回転粒子は空隙内を
わずかの回転運動を伴いながら重力方向に移動してから
停止するため、メモリ性に問題があった。 比較例3 実施例1と同様の方法により得られた三井ハイワック
ス100Pを主成分とする白色ワックス粒子を実施例1と同
様Special Black分散アルキド樹脂エナメルによってス
プレー着色した。このときこの表示用回転粒子の色分け
面積比は、黒色部:白色部=1:15であった。 本粒子を用いて実施例1同様の過程を経てディスプレ
イデバイスとして組んだところ表示用回転粒子の回転運
動は極めて不安定であり、表示品質、応答性とも満足出
来るレベルではなかった。
は停止する制御を行なう事により、キャラクタ、グラフ
ィック、ビデオ等の画像情報を表示する受光型フラット
パネル形電子ディスプレイデバイスに関するものであ
る。 発明の背景 情報処理産業のマン・マシンインターフェースとして
の電子ディスプレイデバイスとしてCRT(Cathode Ray T
ube:陰極線管)ディスプレイは最も歴史のある方式であ
り、その表示品質、経済性の良さから現在でもディスプ
レイデバイスの主流となっている。しかし、近年半導体
技術の急速な進歩による各種電子装置の小型化に伴って
ディスプレイデバイスに対しても、小型、軽量、低駆動
電圧、低消費電力のフラットパネル化の要求が強くなっ
てきている。 現在実用化あるいは研究開発されているフラットパネ
ル形電子ディスプレイデバイスは、発光型としては、PD
P(Plasma Display Panel;プラズマディスプレイ)、EL
D(Electroluminescent Display;エレクトロルミネセン
トディスプレイ)、VFD(Vacuum Fluorescent Display;
蛍光表示管)、LED(Light Emitting Diode;発光ダイオ
ード)あるいは平板形CRT等があり、受光型ではLCD(Li
quid Crystal Display;液晶ディスプレイ)、ECD(Elec
trochemical Display;エレクトロケミカルディスプレ
イ)、EPID(Electrophoretic Image Display;電気泳動
ディスプレイ)、SPD(Suspended Particle Display;分
散粒子配向形ディスプレイ)、MPD(Magnetic Particle
Display;磁気粒子回転形ディスプレイ)等、非常に多
くの種類がある。 テレビ受像機以外の情報産業の分野で、最も電子ディ
スプレイ、とりわけフラットパネルディスプレイ技術の
発展が望まれる分野は、コンピューターを中心とする情
報処理産業の分野である。この分野、中でもOA産業にお
いては、その情報の大半は数字やキャラクタ、及びグラ
フィックである。我々は長期に渡り、これら数字、キャ
ラクタ、グラフィックの情報表示メディアとして、印刷
物という手段に慣れ親しんできた。従って、とりわけこ
の分野においては印刷物の様に目になじみ易く、また外
光によって見にくくなったり、ちらつき等による目の疲
労の無いディスプレイデバイスは非常に魅力のあるもの
である。その点においてはCRTを始めとする発光型ディ
スプレイは不利であろう。また、発光型ディスプレイデ
バイスは一般にECDを除く受光型ディスプレイデバイス
に比べ消費電流が大きいという欠点を有する。また発光
型ディスプレイでは、発光体のちらつきや電磁波(例え
ばCRTにおけるマイクロ波)の人体への影響について、
特にCRT以外の新しい方式については未知の部分も多
い。 一方受光型ディスプレイデバイスの内、LCDは低消費
電力、低コストという特徴があり、CRTに次ぐシェアを
持っている。しかしこの方式は表示コントラストが視る
方向に依存し視野が制約されるという問題や、低温度で
の応答性が悪い等の問題がある。更に印刷の様に白地を
背景とするくっきりとした表示とはほど遠い状況にあ
る。 非発光型表示のもう一つの代表であるECDは、近年、
十分な表示コントラストの得られる材料の発見により、
通常の光源下で印刷物同様目になじみ易い、外光の影響
のない表示品質を有する様になった。また、電気化学的
酸化還元反応を利用する本方式は、LCDと異なり電源を
切ってもメモリ性を有する。更に、素子構造が簡単で大
面積化が容易であり、使用温度範囲も広い。しかしなが
ら本方式は電気化学的反応を用いる為応答性には限界が
あり(0.1s)、動画あるいは速い表示には適さない。ま
た、着色消去反応を可逆的に行なう事は消費電力の増大
をまねくばかりではなく材料の長期的安定性を保つこと
を困難にしている。 近年、受光型ディスプレイデバイスの一種として電気
泳動現象を利用する方法(EPID)の発表がなされた。微
粒子分散液体では、固液界面での電荷の授受により電気
二重層が形成され、粒子は正または負に帯電する。この
様な分散系に電圧を印加すると、粒子は電界に応じ泳動
する。着色分散媒を背景(あるいは表示部)としてこの
原理を応用した本方式は表示の見易さ、メモリ性、低電
力、低コスト、大面積化の容易性に優れている。 しかし本方式は分散媒の染料が粒子や電極表面に吸収
されコントラストや表示機能の低下をまねくという問題
や長期の間には粒子が沈澱、凝集するという問題があ
る。更に粒子は電極間というある距離を移動しなければ
ならず応答性限度が低い。また、この様な分散系をDC電
場で用いる場合、材料の電気化学的変化も無視しえな
い。 最近、受光型ディスプレイとして、もう一つの興味あ
る発表が行なわれた。MPD(Magnetic Particle Dispal
y;磁気粒子回転形ディスプレイ)と称される方法であ
り、半球ずつ色分けされた磁化球状粒子を表示媒体とし
て用いる方法である。透明シートに色分けされた磁気粒
子を敷きつめ、粒子を磁気力で回転制御して画像を形成
する。当初は粒子を集合体として用いていたが、この方
法だと粒子は回転運動だけでなく、表示面方向への運動
や、粒子同士の凝集等が生じ良好な表示が得られなかっ
たため、個々の粒子をマイクロカプセル化する方法が採
られた。MPDは視角、コントラストとも良く、大面積化
も容易であるが、磁気粒子に対するアドレス法、メモリ
性、閾値特性、製造性等に問題がある。 発明の目的 本発明の目的は、印刷物並の表示品質をもつ電子ディ
スプレイデバイスを提供することにある。 本発明の他の目的は、平板あるいは薄膜状の電子ディ
スプレイデバイスを提供することにある。 本発明の他の目的は、電源を切っても表示情報が保存
されるメモリ性のある電子ディスプレイデバイスを提供
することにある。 本発明の他の目的は、安価な電子ディスプレイデバイ
スを提供することにある。 本発明の他の目的は、大面積化の容易な電子ディスプ
レイデバイスの構成を提供することにある。 本発明のまた他の目的は、応答性の良い粒子回転型デ
ィスプレイを提供することにある。 本発明の別の目的は、偏光板を要せずにカラー表示の
出来る電子ディスプレイデバイスを提供することにあ
る。 本発明の他の目的は、動作寿命の長い電子ディスプレ
イデバイスを提供することにある。 本発明の更に別の目的は、製造性に優れた電子ディス
プレイデバイスを提供することにある。 本発明の更にまた他の目的は、消費電力の小さな電子
ディスプレイデバイスを提供することにある。 発明の概略 本発明は、第1図乃至第3図に示す様に、特に光学的
に透明な基体2中に、表面が色の異なる2つ以上の領域
を持つ様に調整された表示用回転粒子1が誘電性液体4
で満たされた球状等の空間3で、自由に回転、その他の
運動が出来る様な状態に分散されてなり、かつその表示
用回転粒子1の運動を主に電界によって制御する構成の
フラットパネル形電子ディスプレイデバイスに関するも
のである。 先に記した様に液体中の粒子は、粒子と液体の間で電
荷の授受が行なわれ電気二重層が形成され、粒子は正ま
たは負に帯電する。表示用回転粒子1はその表面が少な
くとも2つ以上の色の異なる領域を持つとともに液体中
での帯電特性が異なる2つ以上の領域を持つ様に調整さ
れている。上記特性を持つ最も簡単な表示用回転粒子1
は、例えば粒子表面をその両半球表面が異なる色を示す
様に異なる物質で構成した場合である。両半球が異なる
物質で構成されることで、液体中での粒子の表面電荷量
も両半球で異なり、粒子は液体中でその極方向にモーメ
ントを有する。この様な粒子に電場を印加すると粒子に
はその極方向を電界方向にそろえようとするトルクが働
き、粒子はいずれかの半球面を一方向にそろえる。電界
の方向を逆転すれば粒子は反転し、表示の反射色が変化
する。 各表示用回転粒子1は、前記の様に電界に従って自由
に回転等の運動が出来る様な状態に、板状あるいは薄膜
状の光学的に透明な基体2中に分散されなければならな
い。その為、各表示用回転粒子1は、これら粒子の動き
を妨げない様な空隙3を持って基体2中に分散される。
空隙3は、例えば表示用回転粒子1より大きな球状空間
によって作られ、さらにこの空隙3は誘電性液体4で満
たされる。表示用回転粒子1の回転、その他の運動及び
停止には、表示用回転粒子1の帯電特性や空隙3の大き
さ、形状ばかりでなく、表示用回転粒子1の形状、大き
さ、比重等が大きく影響する。加えて、誘電性液体4の
比重、動粘性率等も表示用回転粒子1の運動に影響す
る。 また、表示用回転粒子1及び誘電性液体4は少なくと
も本発明の粒子回転型ディスプレイの使用環境下におい
て、それぞれ化学的に安定であり、かつ表示用回転粒子
1の溶解等の相互作用が無いか、あるいは無視し得るほ
ど小さい材料によって構成される。 前記の表示用回転粒子1が空隙3を持って分散してな
る表示用回転粒子分散パネル5は、例えば次に示す様な
製造方法によって提供される。もちろん本発明の製造法
は下記の製造法に限られるものではない。 まず、少なくとも表面が半球ずつ顔料等で2色に色分
けされたワックス状物質を主成分とする粒子、すなわち
表示用回転粒子1を準備する。この表示用回転粒子の形
状は、例えば球状である。表示用回転粒子1の液体中で
の帯電性能を制御するため、あるいはその他の目的でワ
ックス状物質、顔料、染料等以外に他の材料を加えても
良い。尚、2色に色分けされた領域の面積の比は、ディ
スプレイデバイスとして構成したときのキャラクタやグ
ラフィックやビデオ等の表示の見やすさに大きく影響す
る。 次に表示用回転粒子1は架橋反応前のシリコーンゴム
(液状)とよく混合、分散される。この分散系を板状あ
るいは膜状に延ばし、その後シリコーンゴムを架橋反応
させる。架橋反応は、表示用回転粒子1に影響を与えな
い環境下で進むことが好ましく、例えば室温加硫(RT
V)あるいは低温加硫(LTV)等が扱い易い。この様にし
て作られた表示用回転粒子分散シリコーンゴムでは、表
示用回転粒子1の回りには空隙が無い。 次いで、表示用回転粒子分散シリコーンゴムの板は誘
電性液体の中に浸けられ適切な時間放置される。シリコ
ーンゴム分子中には、誘電性液体4の分子が浸入し、シ
リコーンゴムは膨潤し、一方表示用回転粒子1は誘電性
液体4に不溶であるか、あるいは表示用回転粒子1への
誘電性液体4の吸収が極めて遅いため、表示用回転粒子
1の回りには空隙3が生じ、かつこの空隙3は誘電性液
体4で満たされる。 表示用回転粒子分散パネル5は、例えば上記方法によ
って作成されるが、光学的に透明な基体2の機械的加工
等、別の方法によって予め空隙3を作り、表示用回転粒
子1及び誘電性液体4を空隙3に封入する等の方法によ
っても入手出来る。また、光学的に透明な基体2は、エ
ラストマーである必要は無く、例えばポリエチレンや、
ポリスチレン、プレキシガラス等の硬質の樹脂、あるい
はケイ酸塩ガラス等であっても良い。 表示用回転粒子分散パネル5に、表示用回転粒子1を
駆動するための電場を印加する手段、例えば光学的に透
明な電極8等が付与されて、ディスプレイデバイスが構
成される。なお、表示用回転粒子分散パネル5は単層で
用いても複層で用いても良い。 本発明の粒子回転型ディスプレイはEPIDと異なり、単
に表示用回転粒子1が回転するだけで像を表示する事が
出来るため応答性に優れる。また、本発明の粒子回転型
ディスプレイは、磁力に比べ取り扱いの簡単な静電的ア
ドレスが出来る。更に前記した表示用回転粒子1の基体
2中への封入方法はMPDに比べはるかに簡単である。 本発明の構成 本発明の構成をより詳細に説明する。 本発明の粒子回転型ディスプレイは第1図乃至第3図
で先に説明した様にエラストマー、硬質樹脂、ガラス等
の光学的に透明な基体2中に表面の色及び液体中での帯
電特性を制御したワックス状物質を主成分とする表示用
回転粒子1をその回りに誘電性液体4で満たされた空隙
3を保つように分散されてなる表示用回転粒子分散パネ
ル5が表示用回転粒子1の運動を制御するための電界を
印加する手段、例えば光学的に透明な2枚の電極8によ
って挾まれた構造をしている。 表示用回転粒子1はその表面が2領域以上に分割さ
れ、それぞれ異なる色相及び/あるいは明度及び/ある
いは彩度に調整される事で光学的コントラストがつけら
れており、さらに表示用回転粒子1表面は、帯電特性の
異なる2つ以上の領域を持つ様に調整されている。 表示用回転粒子1の主たる材料は、ポリスチレン、ポ
リエチレン等の樹脂や、ガラス等でも良いが、分子量50
000以下のワックス状物質が特に扱い易い。表示用回転
粒子1の主成分としては、製造性の上からその形状の制
御、色分け、帯電性制御の容易な物質が望ましく、また
粒子の回転、停止等の運動の制御の上から帯電制御性、
形状の大きさの制御の容易さに加え、比重も重要であ
る。更に化学的に安定であり、特に本発明で使用される
誘電性液体に不溶あるいは無視し得るなど相互作用の小
さな物質でなければならない。この様な物質としては分
子量50000以下、比重0.70〜1.20であるワックス状物質
が適切である。すなわち、その様なワックス状物質とは
ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン
酸等の高級脂肪酸類、ステアリン酸アルミニウム、ステ
アリン酸カリウム、パルミチン酸亜鉛等の高級脂肪酸金
属塩類、水添ヒマシ油、ココア脂、メチルヒドロキシス
テアレート、グリセロールモノヒドロキシステアレート
等の高級脂肪酸の誘導体類、木ロウ、密ロウ、カルナバ
ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン
ワックス等のワックス類、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニル
アルキルエーテル等の低分子量のオレフィン重合体及び
共重合体等である。 表示用回転粒子1は、電界の印加、電界方向の逆転に
追従して回転等の運動が速やかに行なわれなければなら
ない。この様な運動にとって最も重要な特性は、粒子の
帯電特性である。固/液相において、固体の表面電位を
知るには、よく知られている様に電気浸透、流動電位、
電気泳動、沈降電位等の界面動電現象を利用する方法が
ある。この様な方法によりゼータ電位を求めて材料選択
を行なう事は非常に有効な方法ではあるが、本発明者等
はより直接的かつ簡易な方法として第4図及び第5図に
示す装置を使った方法を採用した。すなわち、第4図に
示す様に本発明で使用される誘電性液体4に各種材料の
粒子13を分散し電極11によって電界を印加し、各種材料
粒子13の電気泳動を見るという方法である。更に第5図
は表示用回転粒子1の回転性及びその他の運動を観察す
る装置である。第5図の装置によって選択された材料、
すなわち、表示用回転粒子1の大部分を構成する材料及
び着色剤、その他の材料を組み合わせて表示用回転粒子
1とし、これを誘電性液体4の満たされた穴9に入れ電
極6によって電界を印加し、表示用回転粒子1の回転等
の運動を観察する。ワックス状物質は、染顔料及び/あ
るいは帯電制御剤及び/あるいはその他材料との複合材
料としたときの主成分として製造性に優れ、化学的に安
定であるばかりでなく、第4図に示す装置によるワック
ス状物質粒子の泳動観察でも、優れた特性を示した。材
料によっては電極間での運動が緩慢あるいは止まったま
まであったり電極間で往復運動する等の動きが観察され
る。帯電制御を表示用回転粒子1の主成分以外の材料で
行なう場合には上記の電極11間での粒子の泳動特性はそ
れほど重要ではないが、主成分が表示用回転粒子1表面
の一部にでも露出する構造では重要である。 また、表示用回転粒子1の主成分の比重は表示用回転
粒子1の回転等の運動に影響する。特に、表示用回転粒
子1の比重と帯電性液体4の比重との差は0.5以内であ
る事が望ましい。表示用回転粒子1の比重と誘電性液体
4の比重との差が0.5よりも大きいと表示用回転粒子1
は空隙3の内壁へ浮力あるいは重力によって圧接され表
示用回転粒子1の運動が著しく阻害される。更に、表示
用回転粒子1の質量が大きいと、回転等の運動に要する
エネルギーが大きくなり、印加電圧を高くする必要があ
る。その為、表示用回転粒子1の粒径が300μm以上で
は表示用回転粒子1の比重は1.4以下が望ましく、表示
用回転粒子1の主成分材料の比重は1.2以下であること
が望ましい。以上から実用的材料という事を考慮して、
表示用回転粒子1の主たる材料としては、その比重が0.
70〜1.20、一方誘電性液体4としては、その比重が0.70
〜1.20である物質が望まれる。 誘電性液体4は化学的に安定であり、表示用回転粒子
1と不溶あるい無視し得る程相互作用の小さな物質であ
るとともに光学的に透明であり、かつ前記の比重範囲の
物質である事が望ましい。加えて表示用回転粒子1の運
動には、誘電性液体4の粘度が大きく影響するため動粘
性率0.65〜1000000cSt(室温下)の範囲、特に0.90〜50
00cStの範囲の誘電性液体4が望ましい。動粘性率が100
0000cSt以上では表示用回転粒子1の運動が著しく阻害
され、場合によっては電界強度に係りなく全く動かなく
なってしまう。 表示用回転粒子1の形状、大きさも、先に記した様に
その運動性能及びディスプレイデバイスとしたときの画
像表示性能に大きく関与する。 表示用回転粒子1の形状は、回転によって異なる色を
表示出来る形状であればどの様な形状でも良い。しか
し、球状以外の表示用回転粒子1の形状では粒子表面の
凸部あるいは凹部と空隙3の内壁との干渉によって表示
用回転粒子1の回転運動が妨げられ応答速度が遅くなっ
たり、十分回転せず表示品質が悪くなったりする事がな
る。特にクーロン力、浮力、重力等が大きな場合、異形
粒子では粒子表面と空隙3の内壁と接する部分の圧力が
回転その他の運動とともに大きく変動し、表示用回転粒
子1の回転が著しく阻害され、場合によっては回転途中
で停止してしまう。 更に、粒子表面のある領域がある色に調整されるとと
もにある帯電能を持つ様に調整される場合、とりわけ粒
子表面を2色に着色あるいは調整するとともに各着色剤
で帯電性能も制御する場合には、着色(あるいは調整さ
れた色)の面積は、粒子の帯電性能と密接な関係を持
ち、帯電性能は粒子回転と密接な関係を持つ為粒子の形
状は極めて重要である。すなわち、色面積で粒子の帯電
性能が制御されてしまうと、粒子の回転の運動性つまり
帯電性能と反転したときの反転色の認識性、つまり別の
色の色面積の大きさの両者の要求を満たす事が、球形で
ない異形粒子では困難になってしまう。また表示品質の
上からディスプレイデバイスの表示素子、すなわち表示
用回転粒子1の形状は、すべて同じ形状である事が望ま
しいが、球状以外の形状で同一形状の粒子を多量に得る
事は困難である。更に先に記した様に、表示用回転粒子
分散パネル5の作製時の膨潤によって空隙3を得る方法
を採る場合には、空隙3形状の上から表示用回転粒子1
は球形である事が望ましい。 以上の事を考慮し、鋭意検討した結果、表示用回転粒
子は、ワーデル(Wadell)の実用球形度Ψwが0.7以
上、1.0以下の範囲にある様な実質的に球形の粒子であ
る場合に、極めて応答性が良くかつ表示品質、製造性に
優れた粒子回転型ディスプレイを得られる事が明らかと
なった。 表示用回転粒子1の大きさも、ディスプレイデバイス
とした時の表示品質や表示の見やすさに大きく影響す
る。表示用回転粒子1の粒径はその様な観点からは小さ
い方が望ましい。更に、表示用回転粒子1の粒径が大き
いと表示用回転粒子分散パネル5が厚くなり、必要とす
る印加電圧が大きくなる。しかし、粒径が5μmよりも
小さくなると、表示用回転粒子1の色調整、帯電性能制
御等や、基体2への均一分散、空隙3形状、大きさ制御
等、製造性が悪くなるばかりでなく、ディスプレイデバ
イスとしたとき光の散乱、吸収等により表示コントラス
トが十分にとれなくなる。検討の結果、表示用回転粒子
1の粒子径が5〜3000μmである場合、本発明の目的を
十分に満たす事がわかった。 表示用回転粒子1を収納する空間は、少なくとも表示
用回転粒子1の回りに誘電性液体4を満たす事ができる
空隙3を持ち、かつ表示用回転粒子1が回転運動する事
が出来るだけの大きさがなくてはならない。表示用回転
粒子1を収納する空間3が十分に大きければ表示用回転
粒子1の運動は妨げられる事は無いがメモリ性能が悪化
する傾向がある。本発明の粒子回転型ディスプレイで
は、電界を取り除いた状態では表示用回転粒子1は、通
常空隙3の内壁に接触して停止する。表示用回転粒子1
と誘電性液体4の比重が近い場合等、表示用回転粒子1
と空隙3内壁との接触圧が近いと比較的小さな力で表示
用回転粒子1は動いてしまい、自由に運動できる空間が
広い場合にはメモリ性を失ってしまう。あるいは電源を
切ってから表示用回転粒子1が空隙3中で安定な位置に
移動する間に慣性等により表示用回転粒子1が回転し、
メモリ性を失う場合がある。第6図にこの様にしてメモ
リ性が失われる一例を示す。当然の事ながら、メモリ性
能には、表示用回転粒子1の帯電性能、形状、比重、大
きさ、あるいは誘電性液体4の比重、粘度等多くの要因
が絡むが、空間3の大きさをある範囲に限定する事で、
十分なメモリ性を持たせる事が可能である。すなわち、
表示用回転粒子1を収納できる最小の球、つまり表示用
回転粒子1の外接球の大きさと、空間3に収納できる最
大の球、つまり空間3の内接球の大きさがある関係にあ
るときにはメモリ性は良好である。しかし、表示用回転
粒子1の外接球あるいは空間3の内接球の大きさが容易
に求まるのは表示用回転粒子1、空間3が規則的形状を
している場合に限られ、上記関係を求めるのは極めて困
難である。そこで本発明者等はより実用的方法として第
7図に示す様に表示用回転粒子1の投影像に外接する最
小の円の直径aと空間3の投影像に内接する最大の円の
直径bを用いる方法を採った。第8図は、aとbの比b/
aとメモリ性との関係を示したものである。なおメモリ
性とは、電界を取り除いた後、表示用回転粒子1がくり
返し実験を行なって10°以上回転して静止した回数の割
合で表わし0%のときメモリ性良好である。 空隙3は隣接する空隙と重なってはならず、かつ表示
用回転粒子1は表示品質の上から稠密あるいはそれに近
い程度に密に分散されなければならない。また、空隙3
が大きいと誘電性液体4による光の吸収、散乱により表
示品質が悪くなる。メモリ性以外にもこれらの事から空
隙3の大きさは小さい方が望ましい。メモリ性、表示品
質及び回転性の上から鋭意検討の結果、先に記した表示
用回転粒子1の投影像の最小外接円直径aと、空隙3投
影像の最大内接円直径bとの関係が、a<b≦4aとなる
様、より望ましくは、1.05a≦b≦2.5aとなる様に制御
する必要がある事を確認した。 表示用回転粒子1は、その表面が2つ以上の色の異な
る領域を持つ様に調整される。一般には、表示用回転粒
子は、2領域すなわち半球に分割され、それぞれの領域
はそれぞれ異なる色相及び/あるいは明度及び/あるい
は彩度に調整されていれば良い。この場合、2色に色分
けされた各領域の面積は、ディスプレイデバイスとして
の表示品質、表示の見やすさの上から、自ずから上限と
下限が存在する。理想的には、とりわけ表示用回転粒子
1が球状の場合には、両領域の面積及び形状が完全に等
しくなる様に、すなわち、完全に半球ずつに分割される
べきであるが、実際にはその様に色分けする事は極めて
困難である。球体を半球ずつ色分けした場合、第9図に
示す様に球体を回転したときにどちらか一方の色15しか
見えず、他の一方の色が完全に隠蔽される位置が存在す
る場合、その時の色分けされるべき面積の大きさには、
ある程度の自由度があり、どちらの色でもよい領域16が
存在する。本発明の表示用回転粒子1は極めて微細であ
り観察者も粒径に比し通常十分遠くに存在する(第10
図)。この場合には上記の自由度は極めて小さい。しか
し実際にはミクロンオーダーの表示用回転粒子1は、く
り返し述べたように、空隙3、誘電性液体4とともに基
体2中に分散、それも通常稠密に分散するという光学的
には極めて複雑な構造をとる為、光の吸収、散乱、反射
等により、表示用回転粒子1の色分け面積の比は、ディ
スプレイデバイスの表示品質あるいは表示の見易さの点
からも十分妥協できる範囲が存在する。第11図は、表示
用回転粒子1を2色に半球ずつ色分けしたとき、その2
領域の面積A、Bの比A/Bが、表示品質とどの様な関係
にあるか示したものである。なお、ここで言う表示品質
とは、表示用回転粒子1が一方の色を表示する様に電界
を印加したとき、ぬり分け面積が不適切なために他の一
方の表示色が観察されるかどうか、という観点で判断さ
れるものであり、限度見本によりグレード付けして、そ
の良否を比べている。大くの実験から、本発明者は2領
域の面積の比A/Bが0.1以上、10以下の範囲、より望まし
くは0.2以上、5以下の範囲にあれば、表示品質に問題
を生じない事を確認した。また、表示用回転粒子1を2
領域に色分けするとともに、各着色剤で帯電性能も制御
する場合、着色(あるいは調整された色)面積の比A/B
は表示用回転粒子の運動、停止の性能の観点からも0.1
以上、10以下の範囲にある事が望ましい。 また、この様に表示用回転粒子1表面を2色に色分け
する場合、染料と顔料を組み合わせて使用する方法、あ
るいは2種類以上の顔料あるいは染料を用いる方法等が
ある。これら2種以上の着色剤、染料、顔料は、色及び
比重及び/あるいは電気的特性及び/あるいは磁気的特
性等の異なる物を選び、表示用回転粒子1の主成分であ
るワックス状物質中に分散し、ワックス状物質を溶融状
態に保持したまま重力、電気的な力、磁力、遠心力等を
加える事により、表示用回転粒子1を2領域に色分けす
る事ができる。 発明の効果 以上の様に構成された本発明の粒子回転型ディスプレ
イは、平板あるいは薄膜状であり、メモリ性、表示品
質、応答性、消費電力、視野角に極めて優れた特性を有
す。本発明で使用する材料は特殊な物質でなく、また、
機能部材の製造、あるいはデバイスの駆動にも特殊な方
法を必要としない。電極間距離の制御もそれほどの精度
を必要としない。その為、大面積化も極めて容易であ
り、かつ動作寿命も長く、更に安価でもある。更にま
た、本方式のディスプレイは表示用回転粒子の色を自由
に選べる為、偏光板無しでカラー化が可能である。 実施例1 三井ハイワックス100P(三井石油化学工業(株))に
酸化チタン、タイベークCR-50(石原産業社製)7wt%添
加調整後、スプレードライヤー法により造粒し、篩分に
よって平均粒径50μの白色ワックス粒子を得た。この粒
子の半球をカーボンブラックSpecial Black 5(デグサ
社製)4wt%分散アルキド樹脂エナメルによってスプレ
ー着色し、表示用回転粒子とした。この粒子のワーデル
の実用球形度Ψwはいずれも、ほぼ1.0であり、また色
分けされた2領域の面積比は、いずれも0.4〜0.5であっ
た。次いで、これらの表示用回転粒子を二液性RTVゴムK
E103/Cat-103(信越化学工業(株))に十分に分散後、
コーターを用いて、厚さ1.0mm板状に調整後、25℃にて1
8時間放置硬化させ表示用回転粒子の分散したシリコー
ンゴムの板を得た。 次いで、このシリコーンゴムの板をシリコーンオイル
KF96(信越化学工業(株))中に浸漬し、約48時間放置
後取り出し、表示用回転粒子分散パネルとした。このと
き表示用回転粒子の回りにはシリコーンオイルで満たさ
れた球状の空隙が形成されており、表示用回転粒子の空
隙内で回転等の運動が自由に出来た。空隙の投影像に内
接する最大の円の直径bは60〜65μであった。更に表示
用回転粒子分散パネルの表裏に透明電極を密着させディ
スプレイデバイスとし電場を印加したところ表示品質、
応答性に極めて優れた性能を示した。また、本電子ディ
スプレイデバイスは、電源オフ後5カ月以上を経ても表
示情報は完全に保存される事を確認した。 実施例2 モービルワックス130(モービル石油(株))にステ
アリン酸30wt%及び青色顔料PB-27(大日精化工業
(株))50wt%を分散調整後、造粒し、更に風力を利用
して分級を行ない平均粒径30μの粒子を得た。この粒子
をRTVゴムKE106/Cat-RG(信越化学工業(株))に室温
にて分散後厚さ1.0mmの板状に調整し、70℃で90分間加
熱硬化させた。次いで、このシリコーンゴムの板をガラ
ス製の板に挾み、回転台の上に固定し、80℃下で遠心力
を加えながら更に5分間加熱し、表示用回転粒子の分散
したシリコーンゴムの板を得た。更にこのシリコーンゴ
ムの板をシリコーンオイルKF618(信越化学工業
(株))中に48時間浸し、表示用回転粒子分散パネルと
した。このとき表示用回転粒子はほぼ完全な球状であ
り、また粒子の回りの空隙も球状であり、b=37μであ
った。この表示用回転粒子分散パネルに駆動電場印加手
段を付与しディスプレイデバイスとしたところ表示品質
応答性、メモリ性等に非常に優れた特性を示した。 実施例3 モービルワックス135(モービル石油(株))にHeart
olan(β−Naphtol Benzoate)1wt%、及び緑色顔料PG-
36(大日精化工業(株))45wt%を分散調整後、造粒、
篩分し平均粒径100μの粒子を得た。この粒子をRTVゴム
KE119(信越化学工業(株))に分散後室温にて1晩放
置硬化させた。次いでこの粒子分散ゴム塊を90℃に加熱
しながら遠心力を加えて色分けを行なった。冷却後この
ゴムを薄板状に切って表示用回転粒子を取り出した。こ
の粒子の色分け面積比は0.4〜0.5であった。これら表示
用回転粒子を十分に洗浄した後実施例1と同様の処理を
行ない表示用回転粒子分散シリコーンゴムの板を得た。
この板をフッ素変性シリコーンオイルX-22-819(信越化
学工業(株))中に48時間浸け、表示用回転粒子分散パ
ネルとし、更にディスプレイデバイスとして組んだとこ
ろディスプレイとして優れた性能を示した。 実施例4 サンワックスE-200(三洋化成工業(株))を用いて
実施例1と同様に処理して、粒径30〜45μmの表示用回
転粒子を得た。Ψw=1.0であり、色分け面積比はいず
れもほぼ0.5であった。この表示用回転粒子を用いて実
施例1と同様の過程を経て、ディスプレイデバイスを組
んだところディスプレイとして優れた特性を示した。 実施例5 Fischer-Tropsh Wax FT-150に赤色顔料Lake Carmine
B(住友化学工業(株))10%を分散調整後、造粒、篩
分し平均粒径150μの粒径を得た。この粒子を実施例3
と同様に120℃下で遠心力を加えて色分けを行ない表示
用回転粒子を得た。一方、機械的加工法により直径200
μmの穴が一面に空けられた厚さ200μmのアクリル樹
脂の板を用意し、各々の穴へ先の表示用回転粒子及びシ
リコーンオイルKF96H(信越化学工業(株))を入れ、
上下を厚さ50μmのPETフィルムで挾んでシーリング
し、表示用回転粒子分散パネルとした。この表示用回転
粒子分散パネルを2枚重ね、更に透明電極を取り付け
て、ディスプレイデバイスとしたところ、その表示機能
は十分実用に耐えるものであった。 実施例6 Fischer-Tropsh Wax FT-100 Hに赤色顔料ベンガラ1
号50wt%を分散調整後、造粒、篩分し、平均粒径40μの
粒子を得た。この粒子を実施例3と同様、120℃下で遠
心力を加える事によって色分けを行ない表示用回転粒子
とした。これら粒子のΨwはほぼ10であり、色分けの面
積比は0.4〜0.5であった。次いでこれらの表示用回転粒
子を実施例1と同様の方法により、厚さ1.0mmのRTVゴム
KE103/cat-103(信越化学工業(株))中に分散、硬化
させた。この表示用回転粒子分散シリコーンゴムの板を
エタノール中に48時間浸漬したあと取り出し表示用回転
粒子分散パネルとした。このときb=48〜52μであっ
た。 実施例7 鮮黄赤色顔料Lake Red GG(IG社製)によって着色さ
れたカルナバワックスを実施例1と同様造粒、篩分し、
平均粒径50μの赤色ワックス粒子を得た。この粒子の半
球をスプレーガンを用いて、酸化チタン(タイベークCR
-50)5wt%分散アルキド樹脂エナメルで着色し、表示用
回転粒子とした。このとき、本粒子のΨwはいずれもほ
ぼ1.0であり、色分けされた面積の比はほぼ0.5であっ
た。 比較例1 三井ハイワックス100PにタイベークCR-50を7wt%分散
調整後スプレードライヤー法により造粒し、白色ワック
ス粒子を得た。これら粒子の内、卵形、繭形、ひょうた
ん形等Ψw<0.7、粒径50〜100μである粒子を選別し実
施例1と同様の方法で半球を色分け面積比0.4〜0.5にな
る様に着色して異形の表示用回転粒子を得た。次いでこ
れらの異形(球形でない)の表示用回転粒子を用いて、
実施例1と同様の手順によって表示用回転粒子分散パネ
ルを得た。異形表示用回転粒子の回りにはシリコーンオ
リルで満たされた空隙が形成されており、空隙投影像内
接円直径bは、表示用回転粒子投影像外接円直径aの1.
2〜2.0倍であった。この表示用回転粒子分散パネルに電
極を付与し、電場を印加したところ、いずれの粒子も回
転運動が極めて不安定であり、ディスプレイデバイスと
しての表示品質を満足出来るレベルではなかった。 比較例2 実施例3と同様の手順によって得たモービルワックス
135を主成分とする平均粒径30μの表示用回転粒子をKE1
06/Cat-RGに室温にて分散後、厚さ1.0mmの板状に調整
し、50℃で30分間保った。次いでこの板をKF618中に48
時間放置後取り出し表示用回転粒子分散パネルとした。
表示用回転粒子の回りの空隙は、ほぼ球状であり、空隙
投影像に内接する最大円の直径bは約130μmであっ
た。この表示用回転粒子分散パネルに電場を印加したと
ころ表示用回転粒子の回転、停止の機能は良好であっ
た。しかし電源オフとともに表示用回転粒子は空隙内を
わずかの回転運動を伴いながら重力方向に移動してから
停止するため、メモリ性に問題があった。 比較例3 実施例1と同様の方法により得られた三井ハイワック
ス100Pを主成分とする白色ワックス粒子を実施例1と同
様Special Black分散アルキド樹脂エナメルによってス
プレー着色した。このときこの表示用回転粒子の色分け
面積比は、黒色部:白色部=1:15であった。 本粒子を用いて実施例1同様の過程を経てディスプレ
イデバイスとして組んだところ表示用回転粒子の回転運
動は極めて不安定であり、表示品質、応答性とも満足出
来るレベルではなかった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による粒子回転型ディスプレイの構成
を示す断面図、 第2図は、ディスプレイの分解斜視図、 第3図は、ディスプレイの表示用回転粒子分散パネル部
の拡大図、 第4図は、表示用回転粒子の帯電特性を測定する装置の
概要図、 第5図は、表示用回転粒子の運動を観察する装置の概要
図、 第6図は、表示用回転粒子のメモリー性喪失の説明図、 第7図及び第8図は、各々表示用回転粒子と空隙の大き
さ(形状)の関係を説明するための空隙部拡大断面図及
び大きさの比とメモリ性の関係を表わすグラフ、 第9図及び第10図は、表示用回転粒子の色分けと視感と
の関係の説明図、 第11図は、色分け面積比と表示品質との関係を表わすグ
ラフである。 図中符号: 1……表示用回転粒子;2……基体;3……空隙(空間);4
……誘電性液体;5……表示用回転粒子分散パネル;6……
電極;7……透明パネル;8……透明電極;9……電源;10…
…観察者;11……電極;12……セル;13……粒子;14……
穴;15……2つに色分けした一方の色;16……色分けに自
由度のある領域。
を示す断面図、 第2図は、ディスプレイの分解斜視図、 第3図は、ディスプレイの表示用回転粒子分散パネル部
の拡大図、 第4図は、表示用回転粒子の帯電特性を測定する装置の
概要図、 第5図は、表示用回転粒子の運動を観察する装置の概要
図、 第6図は、表示用回転粒子のメモリー性喪失の説明図、 第7図及び第8図は、各々表示用回転粒子と空隙の大き
さ(形状)の関係を説明するための空隙部拡大断面図及
び大きさの比とメモリ性の関係を表わすグラフ、 第9図及び第10図は、表示用回転粒子の色分けと視感と
の関係の説明図、 第11図は、色分け面積比と表示品質との関係を表わすグ
ラフである。 図中符号: 1……表示用回転粒子;2……基体;3……空隙(空間);4
……誘電性液体;5……表示用回転粒子分散パネル;6……
電極;7……透明パネル;8……透明電極;9……電源;10…
…観察者;11……電極;12……セル;13……粒子;14……
穴;15……2つに色分けした一方の色;16……色分けに自
由度のある領域。
フロントページの続き
(72)発明者 寺尾 和男
神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ
ロックス株式会社海老名事業所内
(72)発明者 重廣 清
神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ
ロックス株式会社海老名事業所内
(72)発明者 ニコラス・キース・シェリドン
アメリカ合衆国,カリホルニア州,サル
トウガ,ブロックトン・レイン 19285
(56)参考文献 特開 昭53−57998(JP,A)
特開 昭60−256186(JP,A)
特開 昭58−122519(JP,A)
特開 昭56−67886(JP,A)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.(a)誘電性液体で満たされた空隙が内部に分散し
て存在する光学的に透明な基体; (b)表面が色の異なる2つ以上の領域を持ち、かつ該
領域は帯電特性が異なるように調整された表示用回転粒
子;および (c)該基体に電場を印加する手段; とからなり、該空隙に該表示用回転粒子を封入した状態
で存在させることにより、該基体に電場を印加すること
によって、電場を印加した領域の該表示用回転粒子を回
転させ、これにより文字や画像等を表示することを特徴
とする粒子回転型ディスプレイであって、表示用回転粒
子が主としてワックス状物質からなる、ワーデルの実用
球形度ΨWが、 0.7≦ΨW≦1.0 の範囲にある実質的に球形の粒子であり、該表示用回転
粒子の投影像に外接する最小円の直径をa、該表示用回
転粒子を収納する該空隙の投影像に内接する最大の円の
直径をbとしたとき、aとbが次式 a<b≦4a で示される関係にある粒子回転型ディスプレイ。 2.該表示用回転粒子の主たる材料が、分子量50000以
下、比重0.70〜1.20のワックス状物質である特許請求の
範囲第1項記載の粒子回転型ディスプレイ。 3.該表示用回転粒子の粒子径が、5〜3000μmである
特許請求の範囲第1項記載の粒子回転型ディスプレイ。 4.該空隙を満たす該誘電性液体が、光学的に透明であ
り、比重0.70〜1.20、動粘性率0.65〜1000000cStである
特許請求の範囲第1項記載の粒子回転型ディスプレイ。 5.該表示用回転粒子表面は2領域、すなわち半球に分
割され、それぞれの領域はそれぞれ異なる色相及び/あ
るいは明度及び/あるいは彩度に調整される事で光学的
コントラストがつけられ、かつ2領域の面積A、Bの比
A/Bが、 0.1≦A/B≦10 である特許請求の範囲第1項記載の粒子回転型ディスプ
レイ。 6.該表示用回転粒子は、ワックス状物質及び染料及び
顔料等から成り、かつ該表示用回転粒子表面は2領域
A、Bに分割され、領域Aは染料、領域Bは顔料によっ
てそれぞれ異なる色に色分けされてなる特許請求の範囲
第5項記載の粒子回転型ディスプレイ。 7.該表示用回転粒子表面は、該誘電性液体中において
帯電特性の異なる2領域を持ち、この帯電特性の非対称
の為に電場によって該表示用回転粒子の回転等の運動が
引き起こされることを特徴とする特許請求の範囲第5項
記載の粒子回転型ディスプレイ。 8.該表示用回転粒子は、ワックス状物質及び色相及び
/あるいは明度及び/あるいは彩度の異なる2種類の顔
料あるいは2種類の染料からなり、かつ該表示用回転粒
子表面は2領域に分割され、それぞれの領域はそれぞれ
異なる顔料あるいは染料によって異なる色に色分けされ
てなる特許請求の範囲第5項記載の粒子回転型ディスプ
レイ。 9.ワックス状物質を溶融状態に保持している間に重力
及び/あるいは電気的な力及び/あるいは磁力及び/あ
るいは遠心力によって染料あるいは顔料粒子を該表示用
回転粒子表面あるいは表面近傍のある限られた領域に分
散させる方法により該表示用回転粒子が色分けされるこ
とを特徴とする特許請求の範囲第6項記載の粒子回転型
ディスプレイ。 10.2種類の顔料あるいは染料が重力及び/あるいは
電気的な力及び/あるいは磁力及び/あるいは遠心力に
よって効果的に分離できる異なる物性を持つことを特徴
とする特許請求の範囲第8項記載の粒子回転型ディスプ
レイ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62198030A JP2860790B2 (ja) | 1987-08-10 | 1987-08-10 | 粒子回転型ディスプレイ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62198030A JP2860790B2 (ja) | 1987-08-10 | 1987-08-10 | 粒子回転型ディスプレイ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6442683A JPS6442683A (en) | 1989-02-14 |
JP2860790B2 true JP2860790B2 (ja) | 1999-02-24 |
Family
ID=16384358
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62198030A Expired - Lifetime JP2860790B2 (ja) | 1987-08-10 | 1987-08-10 | 粒子回転型ディスプレイ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2860790B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013146902A1 (ja) | 2012-03-28 | 2013-10-03 | 凸版印刷株式会社 | カラーフィルタの製造方法及びカラー反射型ディスプレイ |
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JP3630990B2 (ja) | 1997-09-11 | 2005-03-23 | キヤノン株式会社 | 回転ボールの製造方法及び表示媒体の製造方法及び表示装置の製造方法 |
CA2289382C (en) * | 1998-11-25 | 2007-03-06 | Xerox Corporation | Gyricon displays utilizing magnetic addressing and latching mechanisms |
US6184789B1 (en) * | 1999-06-22 | 2001-02-06 | Xerox Corporation | Method and apparatus for visually determining object location |
JP4748624B2 (ja) * | 2000-01-26 | 2011-08-17 | 株式会社パイロットコーポレーション | 磁性体反転表示パネル |
JP4659169B2 (ja) * | 2000-02-28 | 2011-03-30 | 学校法人東海大学 | 球体回転表示装置 |
US6985132B2 (en) | 2000-11-29 | 2006-01-10 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Display device and method for manufacturing the same |
JP2007286208A (ja) * | 2006-04-13 | 2007-11-01 | Soken Chem & Eng Co Ltd | 2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法及びその粒子を用いる画像表示装置 |
JP5224589B2 (ja) | 2008-12-17 | 2013-07-03 | 綜研化学株式会社 | 表示性能を向上させた二色粒子 |
JP5604480B2 (ja) | 2012-08-01 | 2014-10-08 | 綜研化学株式会社 | 二色粒子 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5357998A (en) * | 1976-11-05 | 1978-05-25 | Seiko Epson Corp | Display body |
-
1987
- 1987-08-10 JP JP62198030A patent/JP2860790B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013146902A1 (ja) | 2012-03-28 | 2013-10-03 | 凸版印刷株式会社 | カラーフィルタの製造方法及びカラー反射型ディスプレイ |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6442683A (en) | 1989-02-14 |
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