JP2004085622A - ポジ型感光性樹脂前駆体組成物およびそれを用いた半導体用電子部品ならびに有機電界発光素子用表示装置 - Google Patents
ポジ型感光性樹脂前駆体組成物およびそれを用いた半導体用電子部品ならびに有機電界発光素子用表示装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】(a)と、(b1)および/または(b2)と、(c)とを含有するポジ型感光性樹脂前駆体組成物。
(a)アルカリ可溶性の耐熱性樹脂前駆体ポリマー
(b1)フェノール性水酸基含有熱重合性化合物であって、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和結合を含有する化合物
【化1】
(式中、R1、R2、R3は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または、フェノキシ基を示す。αは0〜5の整数を示す。)
(b2)熱重合性化合物であって、一般式(2)で表されるアセチレン性不飽和結合を含有する化合物。
【化2】
(式中、R1は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または、フェノキシ基を示す。αは0〜5の整数を示す。)
(c)エステル化したキノンジアジド化合物
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などに適した、紫外線で露光することによりアルカリ水溶液に溶解するポジ型の感光性ポリイミド前駆体組成物およびそれを用いたレリ−フパターンの製造法、電子部品、表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
露光した部分がアルカリ現像により溶解するポジ型の耐熱性樹脂前駆体組成物としては、ポリアミド酸にナフトキノンジアジドを添加したもの(特開昭52−13315号公報)、水酸基を有した可溶性ポリイミドにナフトキノンジアジドを添加したもの(特開昭64−60630号公報)、水酸基を有したポリアミドにナフトキノンジアジドを添加したもの(特開昭56−27140号公報)などが知られている。
【0003】
しかし、通常のポリアミド酸にナフトキノンジアジドを添加したものではナフトキノンジアジドのアルカリに対する溶解阻害効果よりポリアミド酸のカルボキシル基の溶解性が高いために、ほとんどの場合希望するパターンを得ることが出来ないという問題点があった。そこで、ポリアミド酸のアルカリ溶解性をコントロールするために、ポリアミド酸のカルボキシル基を、エステル基で保護したポリアミド酸誘導体が開発された。しかしながら、このポリアミド酸誘導体にナフトキノンジアジドを添加したものでは、ナフトキノンジアジドのアルカリに対する溶解阻害効果が非常に大きくなり、ほとんどの場合、希望するパターンを得ることはできるものの、非常に大きな感度低下を招くという問題点があった。
【0004】
これに対して、このポリアミド酸誘導体にナフトキノンジアジドを添加したものに、種々のフェノール性水酸基を有する化合物を添加することが検討されたが、この場合感度上昇は容易に達成されるが、ポリイミド膜を形成するキュアの過程において、該化合物が飛散してしまい、キュア後の収縮率を大きくするなどの弊害があり、この両特性を両立するには問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、アルカリ水溶液で現像でき、解像度、感度に優れ、さらにキュア後の収縮率が小さいポジ型感光性樹脂前駆体組成物およびそれを用いたレリーフパターンの製造法と半導体用電子部品ならびに有機電界発光素子用表示装置を提供することをその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、(a)と、(b1)および/または(b2)と、(c)とを含有するものである。
(a)アルカリ可溶性の耐熱性樹脂前駆体ポリマー
(b1)フェノール性水酸基含熱重合性化合物であって、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和結合を含有する化合物
【0007】
【化8】
(式中、R1、R2、R3は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または、フェノキシ基を示す。αは0〜5の整数を示す。)
(b2)熱重合性化合物であって、一般式(2)で表されるアセチレン性不飽和結合を含有する化合物
【0008】
【化9】
(式中、R1は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または、フェノキシ基を示す。αは0〜5の整数を示す。)
(c)エステル化したキノンジアジド化合物
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は感度向上とキュア後の熱収縮を抑えるという両方の特性を両立するために、ポリイミド前駆体及びナフトキノンジアジド化合物に、アルカリ可溶性のフェノール性水酸基を有しかつ特定の熱重合性基を含有する熱重合性化合物および/または特定のアセチレン性不飽和結合を含有する熱重合性化合物を添加することに特徴を有し、これによって得られるポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、露光前はアルカリ現像液にほとんど溶解せず、露光すると容易にアルカリ現像液に溶解するために、現像による膜減りが少なく、かつ短時間に現像でき、キュア後の収縮率を少なく押さえることができるものである。
【0010】
本発明における(a)アルカリ可溶性の耐熱性樹脂前駆体ポリマーとは、加熱あるいは適当な触媒により、イミド環、オキサゾール環、その他の環状構造を有するポリマーとなり得るものである。環構造となることで、耐熱性、耐溶剤性が飛躍的に向上する。
【0011】
本発明で使用される上記(a)成分のポリマーとしては、一般式(3)および/または下記一般式(8)〜(11)で表される構造単位を主成分とするポリマーが挙げられる。
【0012】
【化10】
式中、R4は、2個以上の炭素原子を有する2価〜8価の有機基、R5は、2個以上の炭素原子を有する2価〜6価の有機基、R6 は水素、または炭素数1〜20の有機基、R20は2価の有機基、X,Yは、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基より選ばれる基を少なくとも一つ有する2価〜8価の有機基を示す。n、n1は10〜100000の整数、mは0〜2の整数、m1は0〜10の整数、p、qは0〜4の整数を示す。ただしp+q>0である。
【0013】
これらは、ポリマー主鎖内部またはポリマー主鎖末端に、ポリアミド酸由来のカルボキシル基以外のアルカリ可溶性基を有しており、このアルカリ可溶性基の存在のために、アルカリ水溶液に対する溶解性がアルカリ可溶性基を有さないポリアミド酸よりも良好になる。
【0014】
本発明における上記一般式(3)は、ポリマー主鎖内部にポリアミド酸由来のカルボキシル基以外のアルカリ可溶性基を有するものに属する。
【0015】
半導体用フォトレジスト用のアルカリ現像を行う場合、アルカリ可溶性基が、特に、フェノール性の水酸基であることがアルカリ水溶液に対する溶解性の点で好ましい。また、一般式(3)は、フッ素原子を、式中に10重量%以上有することで、アルカリ水溶液で現像する際に、膜の界面に撥水性が適度に出るために、界面のしみこみなどが抑えられる。しかしながら、フッ素原子含有量が20重量%を越えると、アルカリ水溶液に対する溶解性が低下すること、熱処理により環状構造にしたポリマーの耐有機溶媒性が低下すること、発煙硝酸に対する溶解性が低下するために好ましくない。このように、フッ素原子は10重量%以上20重量%以下含まれることが好ましい。
【0016】
上記一般式(3)中、R4は酸二無水物の構造成分を表しており、この酸二無水物は芳香族環を含有し、かつ、水酸基を1個〜4個有した、少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価〜8価の有機基であることが好ましく、炭素数6〜30の3価または4価の有機基がさらに好ましい。
【0017】
具体的には、一般式(3)の(COOR6)mR4(OH)pが、一般式(4)
【0018】
【化11】
に示されるような構造のものが好ましい。
【0019】
ここで、R7、R9は炭素数2〜20であって2価〜4価の有機基を示し、得られるポリマーの耐熱性のため芳香族環を含んだものが好ましく、その中でも特に好ましい構造としてトリメリット酸、トリメシン酸、ナフタレントリカルボン酸残基のようなものを挙げることができる。またR8は炭素数3〜20であって水酸基を有する3価〜6価の有機基であり、水酸基はアミド結合と隣り合った位置にあることが好ましい。このような例として、フッ素原子を含んだ、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、フッ素原子を含まない、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,4−ジアミノ−フェノール、2,5−ジアミノフェノール、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼンのアミノ基が結合したものなどを挙げることができる。
【0020】
また、R10、R11は同じでも異なっていてもよく、水素、あるいは炭素数1〜20の有機基である。炭素数が20より大きくなるとアルカリ現像液に対する溶解性が低下する。o、sは0〜2の整数を示し、rは1〜4の整数を表している。rが5以上になると、得られる耐熱性樹脂膜の特性が低下する。
【0021】
一般式(3)の(COOR6)mR4(OH)pが一般式(4)で表される化合物の中で、好ましい化合物を例示すると、特にこれらに限定されないが、下記に示したような構造のもの
【0022】
【化12】
が挙げられる。
【0023】
また、アルカリに対する溶解性、感光性能、耐熱性を損なわない範囲で、水酸基を有していないテトラカルボン酸、ジカルボン酸で(COOR6)mR4(OH)pの部分を変性することもできる。この例としては、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸やそのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基にしたジエステル化合物、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族のテトラカルボン酸やそのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基にしたジエステル化合物、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。これらは、酸成分の50モル%以下の変性が好ましいが、さらに好ましくは30モル%以下である。50モル%を超える変性を行うと、アルカリに対する溶解性、感光性が損なわれる恐れがある。
【0024】
上記一般式(3)中、R5はジアミンの構造成分を表している。この中で、R5の好ましい例としては、得られるポリマーの耐熱性のため芳香族を有し、かつ水酸基を有するものが好ましく、具体的な例としてはフッ素原子を有した、ビス(アミノ−ヒドロキシ−フェニル)ヘキサフルオロプロパン、フッ素原子を有さない、ジアミノジヒドロキシピリミジン、ジアミノジヒドロキシピリジン、ヒドロキシ−ジアミノ−ピリミジン、ジアミノフェノール、ジヒドロキシベンチジンなどの化合物やR5(OH)qが一般式(5)、(6)、(7)に示す構造のものをあげることができる。
【0025】
【化13】
R12、R14は炭素数2〜20であって水酸基を有する3価〜4価の有機基を示し、R13は炭素数2〜30であって2価の有機基を示す。t、uは1あるいは2の整数を示す。
【0026】
【化14】
R15、R17は炭素数2〜20であって2価の有機基を示し、R16は、炭素数3〜20であって水酸基を有する3価〜6価の有機基を示す。vは1〜4の整数を示す。
【0027】
【化15】
R18は炭素数2〜20であって2価の有機基を示し、R19は、炭素数3〜20であって水酸基を有する3価〜6価の有機基を示す。wは1〜4の整数を示す。
【0028】
この中で、一般式(5)のR12、R14、一般式(6)のR16、一般式(7)のR19は、得られるポリマーの耐熱性のため芳香族環、および水酸基を有する有機基が好ましい。一般式(5)のR13、一般式(6)のR15、R17、一般式(7)のR18は、得られるポリマーの耐熱性のため芳香族環を有する有機基が好ましい。
【0029】
一般式(3)のR5(OH)qが一般式(5)で表される具体例を下記
【0030】
【化16】
に示す。
【0031】
また、一般式(3)のR5(OH)qが一般式(6)で表される具体例を下記
【0032】
【化17】
に示す。
【0033】
一般式 (3)のR5(OH)qが一般式(7)で表される具体例を下記
【0034】
【化18】
に示す。
【0035】
一般式(5)において、R12、R14は炭素数2〜20であって水酸基を有する3価〜4価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性のために芳香族環を有したものが好ましい。具体的にはヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基、ヒドロキシビフェニル基、ジヒドロキシビフェニル基、ビス(ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン基、ヒドロキシジフェニルエーテル基、ジヒドロキシジフェニルエーテル基などを表す。また、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘキシル基などの脂肪族の基も使用することができる。R13は炭素数2〜30の2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性のためには芳香族環を有した2価の基がよく、このような例としてはフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルヘキサフルオロプロパン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルスルホン基などをあげることができるが、これ以外にも脂肪族のシクロヘキシル基なども使用することができる。
【0036】
一般式(6)において、R15、R17は炭素数2〜20の2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性のために芳香族環を有した2価の基がよく、このような例としてはフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルヘキサフルオロプロパン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルスルホン基などをあげることができるが、これ以外にも脂肪族のシクロヘキシル基なども使用することができる。R16は、炭素数3〜20であって水酸基を有する3価〜6価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性のために芳香族環を有したものが好ましい。具体的にはヒロドキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基、ヒドロキシビフェニル基、ジヒドロキシビフェニル基、ビス(ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン基、ヒドロキシジフェニルエーテル基、ジヒドロキシジフェニルエーテル基などを表す。また、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘキシル基などの脂肪族の基も使用することができる。
【0037】
一般式(7)においてR18は炭素数2〜20であって2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性から芳香族環を有した2価の基がよく、このような例としてはフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルヘキサフルオロプロパン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルスルホン基などをあげることができるが、これ以外にも脂肪族のシクロヘキシル基なども使用することができる。R19は炭素数3〜20であって水酸基を有する3価〜6価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性のために芳香族環を有したものが好ましい。具体的にはヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基、ヒドロキシビフェニル基、ジヒドロキシビフェニル基、ビス(ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン基、ヒドロキシジフェニルエーテル基、ジヒドロキシジフェニルエーテル基などを表す。また、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘキシル基などの脂肪族の基も使用することができる。
【0038】
また、1〜40モル%の範囲で他のジアミン成分を用いてR5(OH)q基を変性することもできる。このような例として、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、アミノフェノキシベンゼン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(トリフルオロメチル)ベンチジン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホンあるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物など、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。このようなジアミン成分を40モル%より多く共重合すると得られるポリマーの耐熱性が低下する。
【0039】
一般式(3)のR6は水素、または炭素数1〜20の有機基を表している。得られるポジ型感光性樹脂前駆体組成物の溶液の安定性からは、R6は有機基が好ましいが、アルカリ水溶液の溶解性の点からは水素が好ましい。本発明においては、水素原子と有機基を混在させることができる。このR6の水素と有機基の量を制御することで、アルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、この調整により適度な溶解速度を有したポジ型感光性樹脂前駆体組成物を得ることができる。好ましい範囲は、R6の10%〜90%が水素原子であることである。R6の炭素数が20を越えるとアルカリ水溶液に溶解しなくなる。以上よりR6は、好ましくは炭素数1〜16の炭化水素基を少なくとも1つ以上含有し、その他は水素原子であることがよい。
【0040】
また一般式(3)のmはカルボキシル基の数を示しており、0〜2の整数を示している。一般式(3)のnは本発明の(a)成分のポリマーの構造単位の繰り返し数を示しており、10〜100000の範囲である。
【0041】
ポリアミド酸と類似の耐熱性高分子前駆体すなわち(a)成分ポリマーとしてポリヒドロキシアミドをポリアミド酸の代わりに使用することも出来る。このようなポリヒドロキシアミドの製造方法としては、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸を縮合反応させることで得ることが出来る。具体的には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のような脱水縮合剤と酸を反応させ、ここにビスアミノフェノール化合物を加える方法やピリジンなどの3級アミンを加えたビスアミノフェノール化合物の溶液にジカルボン酸ジクロリドの溶液を滴下するなどがある。
【0042】
ポリヒドロキシアミドを使用する場合、ポリヒドロキシアミドの溶液にナフトキノンジアジドスルホン酸エステルのような感光剤を加えることで、紫外線で露光した部分をアルカリ水溶液で除去できるポジ型の感光性耐熱性樹脂前駆体組成物を得ることが出来る。
【0043】
さらに、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲で 一般式(3)のR4、R5にシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどがあげられる。
【0044】
本発明の(a)成分のうち、ポリマー主鎖内部にアルカリ可溶性基を有するものは、一般式(3)で表される構造単位のみからなるものであっても良いし、他の構造単位との共重合体あるいはブレンド体であっても良い。その際、一般式(3)で表される構造単位を90モル%以上含有していることが好ましい。共重合あるいはブレンドに用いられる構造単位の種類および量は最終加熱処理によって得られるポリイミド系ポリマーの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0045】
本発明の上記一般式(3)で表されるポリマーは公知の方法により合成される。例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後アミンと縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、アミンと反応させる方法などで合成することができる。
【0046】
また、上記一般式(8)〜(11)は、ポリマー主鎖末端にポリアミド酸由来のカルボキシル基以外のアルカリ可溶性基を有するものに属する。
【0047】
一般式(8)、一般式(9)の構造成分である−NH−(R20)m1−Xは、下記一般式(12)で示されるものであることが好ましく、
【0048】
【化19】
これらは、末端封止剤である1級モノアミンに由来する成分である。
【0049】
Xは、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基より選ばれる基を少なくとも一つ有する2価〜8価の有機基が好ましく、フェノール性水酸基、チオール基より選ばれる基を少なくとも一つ有する2価〜8価の有機基が更に好ましい。
【0050】
また、一般式(10)、一般式(11)の構造成分である−CO−(R20)m1−Yは、一般式(13)、一般式(14)で示されることが好ましく、
【0051】
【化20】
これらは、末端封止剤である酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物から選ばれるものに由来する成分である。
【0052】
Yはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基より選ばれる基を少なくとも一つ有する2価〜8価の有機基が好ましく、フェノール性水酸基、チオール基より選ばれる基を少なくとも一つ有する2価〜8価の有機基が更に好ましい。また一般式(10)、一般式(11)を構成するYは一般式(13)で表される末端封止基のみ、一般式(14)で表される末端封止基のみ、一般式(13)、一般式(14)の両方を含むもののいずれであってもよい。
【0053】
一般式(12)、一般式(13)、一般式(14)中、R20は−CR26R27−、−CH2O−、−CH2SO2−より選ばれる2価の基を示し、R26、R27は水素原子、水酸基、炭素数1〜10の炭化水素基より選ばれる1価の基を示す。
R23は水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基より選ばれる1価の基を示す。なかでも水素原子、炭素数1〜4の炭化水素基が好ましく、特に好ましくは水素原子、メチル基、t−ブチル基である。R24、R25は、水素原子、炭素数1〜4の炭化水素基より選ばれる1価の基、あるいは、R24とR25が直接結合した環構造を示す(例えばナジイミド環等)。また、R21、R22は水素原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、炭素数1〜10の炭化水素基より選ばれ、少なくとも一つは水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基を示す。A1、B1、C1は炭素原子、または窒素原子であり、各々同じでも異なっていてもよい。m1は0〜10の整数であり、好ましくは0〜4の整数である。
l1は0または1であり、好ましくは0である。u1は0または1であり、好ましくは0である。v1は1〜3の整数であり、好ましくは1または2である。r1、s1、t1は0または1である。
【0054】
一般式(12)が由来する1級モノアミンとは、具体的には、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、4−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−8−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−ヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−ヒドロキシナフタレン、1−カルボキシ−8−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−4−アミノナフタレン、1−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−カルボキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−カルボキシナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−4−アミノナフタレン、2−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−カルボキシナフタレン、2−アミノニコチン酸、4−アミノニコチン酸、5−アミノニコチン酸、6−アミノニコチン酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、3−アミノ−o−トルイック酸、アメライド、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、5−アミノ−8−メルカプトキノリン、4−アミノ−8−メルカプトキノリン、1−メルカプト−8−アミノナフタレン、1−メルカプト−7−アミノナフタレン、1−メルカプト−6−アミノナフタレン、1−メルカプト−5−アミノナフタレン、1−メルカプト−4−アミノナフタレン、1−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−メルカプト−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−メルカプトナフタレン、2−メルカプト−7−アミノナフタレン、2−メルカプト−6−アミノナフタレン、2−メルカプト−5−アミノナフタレン、2−メルカプト−4−アミノナフタレン、2−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−メルカプトナフタレン、3−アミノ−4,6−ジメルカプトピリミジン、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール等が挙げられる。
【0055】
これらのうち、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール等が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0056】
一般式(13)及び一般式(14)が由来する酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物の具体例は、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物等の酸無水物、2−カルボキシフェノール、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、2−カルボキシチオフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−8−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−4−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−3−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−8−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−4−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−3−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−2−カルボキシナフタレン、2−カルボキシベンゼンスルホン酸、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸等のモノカルボン酸類及びこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物及び、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、3−ヒドロキシフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、1,2−ジカルボキシナフタレン、1,3−ジカルボキシナフタレン、1,4−ジカルボキシナフタレン、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、1,8−ジカルボキシナフタレン、2,3−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレン、2,7−ジカルボキシナフタレン等のジカルボン酸類のモノカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物、が挙げられる。
【0057】
これらのうち、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物等の酸無水物、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸等のモノカルボン酸類及びこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物及びテレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレン等のジカルボン酸類のモノカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物等が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0058】
一般式(12)で表される成分(一般式(8)、(9)のX成分)の導入割合は、その元成分である末端封止剤の1級モノアミン成分で換算すると、全アミン成分に対して、0.1〜60モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜50モル%である。
【0059】
一般式(13)や一般式(14)で表される成分(一般式(10)、(11)のY成分)の導入割合は、その元成分である末端封止剤の酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物成分で換算すると、ジアミン成分に対して、0.1〜60モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜55モル%である。
【0060】
一般式(8)及び一般式(9)または一般式(10)及び一般式(11)のn、n1は本発明の(a)成分ポリマーの構造単位の繰り返し数を示しており、10〜100000の範囲であることが好ましい。
【0061】
さらに、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲で R19、R20にシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどがあげられる。
【0062】
本発明において(a)成分ポリマーのうち、ポリマー主鎖末端にアルカリ可溶性基を有するものは、一般式(8)および/または一般式(9)、あるいは一般式(10)および/または一般式(11)で表される構造単位のみからなるものであっても良いし、他の構造単位との共重合体あるいはブレンド体であっても良い。その際、一般式(8)および/または一般式(9)、あるいは一般式(10)および/または一般式(11)で表される構造単位を50モル%以上含有していることが好ましい。共重合あるいはブレンドに用いられる構造単位の種類および量は最終加熱処理によって得られるポリイミド系ポリマーの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0063】
本発明において上記一般式(8)〜(11)で表される(a)成分ポリマーは、ジアミンの一部をモノアミンである末端封止剤に置き換えて、または、酸二無水物を、モノカルボン酸、酸無水物、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物である末端封止剤に置き換えて、公知の方法を利用して合成される。例えば、低温中でテトラカルボン酸2無水物とジアミン化合物(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)を反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸2無水物(一部を酸無水物またはモノ酸クロリド化合物あるいはモノ活性エステル化合物である末端封止剤に置換)とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸2無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸2無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と反応させる方法などの方法を利用して合成することができる。
【0064】
また、ポリマー中に導入された、本発明に使用の末端封止剤は、以下の方法で容易に検出できる。例えば、末端封止剤が導入されたポリマーを、酸性溶液に溶解し、ポリマーの構成単位であるアミン成分と酸無水成分に分解、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMR測定することにより、容易に検出できる。
これとは別に、末端封止剤が導入されたポリマー成分を直接、熱分解ガスクロクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトル及びC13NMRスペクトル測定でも、容易に検出可能である。
【0065】
本発明において(a)成分のポリマーは、上記一般式(3)、一般式(8)〜(11)で表される構造単位を主成分としており、これらのうち、好ましくは、上記一般式(3)で表される構造単位を主成分としているものである。また、特に好ましくは、一般式(3)で表される構造単位を含有しかつ、一般式(8)〜(11)で表される構造単位から選ばれる1種以上を含有する構造単位を主成分とするものである。
【0066】
この場合、一般式(3)表される構造単位と、一般式(8)〜(11)で表される構造単位は共重合体あるいはブレンド体であっても良い。その際、一般式(3)で表される単位を10モル%以上含有していることが好ましく、特に好ましくは、50モル%以上である。
【0067】
本発明で使用される(b1)フェノール性水酸基含有熱重合性化合物であって、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和結合を含有する化合物としては、たとえば、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン(三井化学(株)製)、p−ヒドロキシ安息香酸ビニル(日本酢ビ・ポバール(株)製)、一般式(15)の有機基を含有するフェノール性化合物、
【0068】
【化21】
ここで、R26、R27は水素原子、炭素数1〜4の炭化水素基、水酸基を示す。
【0069】
たとえば、DAL−BPA、DAL−BPZ、DAL−oo−BPF、DAL−op−BPF、DAL−BP、DAL−BPE、DAL−BPF、DAL−pp−BPF、(商品名、本州化学工業(株)製)が挙げられる。
【0070】
これらのうち、本発明では、一般式(15)で表される基を少なくとも1つ含有するものや、p−ヒドロキシ安息香酸ビニルが好ましく、特に好ましくは、一般式(15)で表される基を2つ以上有するもである。
【0071】
これら一般式(15)の熱重合性基を含有するフェノール性化合物は、以下のように、
【0072】
【化22】
フェノール性化合物に、アリルブロマイドをアルカリ触媒下で付加反応させ、エーテル体にした後に加熱、転移反応を起こさせることによって、一般に得られる。
【0073】
一般式(15)の熱重合性基を含有するフェノール性化合物を合成するのに用いられるフェノール性化合物しては、Bis−Z、BisOC−Z、BisOPP−Z、BisP−CP、Bis26X−Z、BisOTBP−Z、BisOCHP−Z、BisOCR−CP、BisP−MZ、BisP−EZ、Bis26X−CP、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisCR−IPZ、BisOCP−IPZ、BisOIPP−CP、Bis26X−IPZ、BisOTBP−CP、TekP−4HBPA(テトラキスP−DO−BPA)、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisOFP−Z、BisRS−2P、BisPG−26X、BisRS−3P、BisOC−OCHP、BisPC−OCHP、Bis25X−OCHP、Bis26X−OCHP、BisOCHP−OC、Bis236T−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、BisRS−OCHP(商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA、メチレンビスフェノール、BisP−AP(商品名、本州化学工業(株)製)などの化合物を好ましいものとして例示することが出来るが、これ以外の化合物を使用することもできる。
【0074】
本発明で使用される(b2)熱重合性化合物であって、一般式(2)で表されるアセチレン性不飽和結合を含有する化合物としては、たとえば、p−ヒドロキシ−エチニルベンゼン、一般式(16)の有機基を含有するフェノール性化合物が挙げられる。
【0075】
【化23】
ここで、R26、R27は水素原子、炭素数1〜4の炭化水素基、水酸基を示す。また、w1は1〜3の整数を表す。
【0076】
これらのうち、本発明では、一般式(16)で表される基を少なくとも1つ含有するものが好ましく、特に好ましくは、一般式(16)で表される基を2以上有するもである。
【0077】
これら一般式(16)の熱重合性基を含有するフェノール性化合物は、以下のように、
【0078】
【化24】
ハロゲン化されたフェノール性化合物に、トリメチルシリルアセチレンを、パラジウム化合物および銅化合物の触媒下で反応させ、アセチレン付加体にした後に、アルカリ触媒下、トリメチルシリル基の脱離反応を起こさせることによって、一般に得られる。
【0079】
一般式(16)の熱重合性基を含有するフェノール性化合物を合成するのに用いられるハロゲン化されたフェノール性化合物としては、ペンタハロゲン化物である、BisDFP−FBA、テトラハロゲン化物である、BisDFP−F、BisDFP−BA、TF−DHTPM、Bis26DC−A、BPF−TB、BPA−TB、BPA−TI、BP−TF、トリハロゲン化物である、BisOFP−FBA、BisFP−PFP、ジハロゲン化物である、BisCMP−F、BPA−DC、BisC−DC、BisOFP−Z、BisFP−BA、BisFP−FL、DF−DHTPM、BP−DF、BisOFP−A、BisOFP−F、MB−PFP、BisFP−OC、BisPFP−PC、モノハロゲン化物である、BisP−BA−Cl、BisP−PBrBA、BisP−FBA、TrisFPP−PA、TrisFPOC−PA、TrisFP26X−PA、TrisFPOS−PA(以上商品名、本州化学工業(株)社製)、さらに、上記一般式(15)の熱重合性基を含有するフェノール性化合物を合成するのに使用されるフェノール性化合物のハロゲン化物が、好ましいものとして例示することが出来るが、これ以外の化合物を使用することもできる。
【0080】
上記(b1)および/または(b2)成分を添加することで、得られる樹脂組成物は、露光前はアルカリ現像液にほとんど溶解せず、露光すると容易にアルカリ現像液に溶解するために、現像による膜減りが少なく、かつ短時間で現像ができ、加えて、キュア後、熱重合性基が重合を起こすことにより、収縮率が少なくなる。
【0081】
上記(b1)および/または(b2)成分の添加量としては、(a)ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.5〜50重量部であり、さらに好ましくは3〜40重量部の範囲である。
【0082】
本発明に添加される(c)エステル化したキノンジアジド化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物にナフトキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合した化合物が好ましい。ここで用いられるフェノール性水酸基を有する化合物としては、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PCHP、DML−PC、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP,DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP(商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A、46DMOC、46DMOEP、TM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール、ナフトール、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA、メチレンビスフェノール、BisP−AP(商品名、本州化学工業(株)製)などの化合物が挙げられ、これに4−ナフトキノンジアジドスルホン酸あるいは5−ナフトキノンジアジドスルホン酸をエステル結合で導入したものが好ましいものとして例示することが出来るが、これ以外の化合物を使用することもできる。
【0083】
また、本発明で用いる(c)エステル化したキノンジアジド化合物の分子量が1000より大きくなると、その後の熱処理において該キノンジアジド化合物が十分に熱分解しないために、得られる膜の耐熱性が低下する、機械特性が低下する、接着性が低下するなどの問題が生じる可能性がある。このような観点より見ると、好ましい前記キノンジアジド化合物の分子量は1000以下であり、より好ましくは300〜800である。特に好ましくは350〜800である。前記キノンジアジド化合物の添加量としては、(a)ポリマー100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部である。
【0084】
本発明においては、(c)成分として4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物のどちらも好ましく使用することが出来るが、露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましい。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を併用した、ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を得ることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を混合して使用することもできる。
【0085】
本発明において(c)エステル化したキノンジアジド化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物と、キノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応によって、合成することが可能であって、公知の方法により合成することができる。
【0086】
(c)エステル化したキノンジアジド化合物を使用することで解像度、感度、残膜率が向上する。
【0087】
また、必要に応じて上記本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物の感度を向上させる目的で、さらにフェノール性水酸基を有する化合物を添加することができる。
【0088】
このフェノール性水酸基を有する化合物としては、たとえば、Bis−Z、BisOC−Z、BisOPP−Z、BisP−CP、Bis26X−Z、BisOTBP−Z、BisOCHP−Z、BisOCR−CP、BisP−MZ、BisP−EZ、Bis26X−CP、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisCR−IPZ、BisOCP−IPZ、BisOIPP−CP、Bis26X−IPZ、BisOTBP−CP、TekP−4HBPA(テトラキスP−DO−BPA)、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisOFP−Z、BisRS−2P、BisPG−26X、BisRS−3P、BisOC−OCHP、BisPC−OCHP、Bis25X−OCHP、Bis26X−OCHP、BisOCHP−OC、Bis236T−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、BisRS−OCHP(商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)が挙げられる。
【0089】
これらのうち、好ましいフェノール性水酸基を有する化合物としては、たとえば、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−BIPC−F等が挙げられる。これらのうち、特に好ましいフェノール性水酸基を有する化合物としては、たとえば、Bis−Z、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisRS−2P、BisRS−3P、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−BIPC−Fである。このフェノール性水酸基を有する化合物を添加することで、得られるポジ型感光性樹脂前駆体組成物は、より一層、露光前はアルカリ現像液にほとんど溶解せず、露光すると容易にアルカリ現像液に溶解するために、現像による膜減りが少なく、かつ短時間で現像が容易になる。
【0090】
このようなフェノール性水酸基を有する化合物の添加量としては、ポリマー100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部であり、さらに好ましくは3〜40重量部の範囲である。
【0091】
さらに、必要に応じて本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物と基板との塗れ性を向上させる目的で界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエ−テル類を混合しても良い。また、2酸化ケイ素、2酸化チタンなどの無機粒子、あるいはポリイミドの粉末などを添加することもできる。
【0092】
また、シリコンウエハーなどの下地基板との接着性を高めるために、シランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミキレート剤などをポジ型感光性樹脂前駆体組成物のワニスに0.5〜10重量%添加したり、下地基板をこのような薬液で前処理したりすることもできる。
【0093】
ワニスに添加する場合、メチルメタクリロキシジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、などのシランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミキレート剤をワニス中のポリマーに対して0.5〜10重量%添加する。
【0094】
基板を処理する場合、上記で述べたカップリング剤をイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの溶媒に0.5〜20重量%溶解させた溶液をスピンコート、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などで表面処理をする。場合によっては、その後50℃から300℃までの温度をかけることで、基板と上記カップリング剤との反応を進行させる。
【0095】
しかしながらポジ型感光性樹脂前駆体組成物はアルカリ水溶液に対する(a)成分の溶解を阻害する効果のある化合物として、オニウム塩、ジアリル化合物又はテトラアルキルアンモニウム塩等は含有してはいけない。これらを含有した場合、その後の熱処理でその化合物の分解が起こり、酸または塩基が発生し、これが原因で膜が劣化し、得られる膜の耐熱性が低下する、機械特性が低下する、接着性が低下する等の問題が生じる可能性がある。
【0096】
次に、本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物を用いて耐熱性樹脂パターンを形成する方法について説明する。
【0097】
本発明のレリーフパターンの製造法は、上記ポジ型感光性樹脂前駆体組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、アルカリ現像液を用いて現像する工程および加熱処理する工程を含むものである。以下、該製造法についてさらに詳述する。
【0098】
まず、ポジ型感光性樹脂前駆体組成物を基板上に塗布する。基板としてはシリコンウエハー、セラミックス類、ガリウムヒ素などが用いられるが、これらに限定されない。塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティングなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが通常、乾燥後の膜厚が、0.1〜150μmになるように塗布される。
【0099】
次にポジ型感光性樹脂前駆体組成物を塗布した基板を乾燥して、感光性耐熱性前駆体組成物皮膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、50〜150℃の範囲で1分〜数時間行うのが好ましい。
【0100】
次に、この感光性耐熱性前駆体組成物皮膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。
【0101】
耐熱性樹脂のパタ−ンを形成するには、露光後、現像液を用いて露光部を除去することによって達成される。現像液としては、テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液があげられる。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクロン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加してもよい。現像後は水にてリンス処理をする。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしても良い。
【0102】
現像後、200〜500℃の温度を加えて耐熱性樹脂皮膜に変換する。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分から5時間実施する。一例としては、130℃、200℃、350℃で各30分づつ熱処理する。あるいは室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
【0103】
本発明の半導体用電子部品は、上記製造法により得られるレリーフパターンを表面保護膜または層間絶縁膜として有するものである。本発明のポジ型感光性樹脂前駆体組成物により形成した耐熱性樹脂皮膜は、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の保護膜、高密度実装用多層配線の層間絶縁膜などの用途に用いられる。
【0104】
さらに、本発明の有機電界発光素子用表示装置は、基板上に形成された第一電極と、第一電極を部分的に露出せしめるように第一電極上に形成された絶縁層と、第一電極に対向して設けられた第二電極とを含む表示装置であって、前記絶縁層が上記製造法により得られるレリーフパターンからなるものであり、LCD、ECD、ELD、有機電界発光素子を用いた表示装置(有機電界発光装置)である。
【0105】
【実施例】
以下実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例中の感光性ポリイミド前駆体膜の作製と露光と現像およびポジ型感光性樹脂前駆体組成物の各評価は、以下の方法により行った。
【0106】
(1)感光性ポリイミド前駆体膜の作製
6インチシリコンウエハー上に、ポジ型感光性樹脂前駆体組成物(以下ワニスと呼ぶ)をプリベーク後の膜厚が7μmとなるように塗布し、ついでホットプレート(東京エレクトロン(株)製Mark−7)を用いて、120℃で3分プリベークすることにより、感光性ポリイミド前駆体膜を得た。
【0107】
(2)露光
露光機(GCA社製i線ステッパーDSW−8000)に、パターンの切られたレチクルをセットし、露光時間を変化させ(365nmの強度)てi線露光を行った。
【0108】
(3)現像
東京エレクトロン(株)製Mark−7の現像装置を用い、50回転で水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を10秒間噴霧した。この後、0回転で60秒間静置し、400回転で水にてリンス処理、3000回転で10秒振り切り乾燥した。
【0109】
(4)膜厚の測定方法
大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM−602を使用し、屈折率1.64で測定を行った。
【0110】
(5)残膜率の算出
残膜率は以下の式に従って算出した。
残膜率(%)=現像後の膜厚÷プリベーク後の膜厚×100
(6)感度の算出
露光、現像後、50μmのライン・アンド・スペースパターン(1L/1S)を1対1の幅に形成する露光時間(以下、これを最適露光時間という)を求めた。
【0111】
(7)解像度の算出
露光、現像後、50μmのライン・アンド・スペースパターン(1L/1S)を1対1の幅に形成する最適露光時間における最小のパターン寸法を解像度とした。
【0112】
(8)収縮率の算出
作製された感光性ポリイミド前駆体膜を、光洋リンドバーグ(株)製イナートオーブンINH−21CDを用いて、窒素気流下(酸素濃度20ppm以下)、140℃で30分、その後350℃まで1時間で昇温して350℃で1時間熱処理をし、キュア膜を作製した。収縮率は以下の式
収縮率(%)=(プリベーク後の膜厚−キュア後の膜厚)÷プリベーク後の膜厚×100
に従って算出した。
【0113】
合成例1 ヒドロキシル基含有酸無水物(a)の合成
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)18.3g(0.05モル)とアリルグリシジルエーテル34.2g(0.3モル)をガンマブチロラクトン(GBL)100gに溶解させ、−15℃に冷却した。ここにGBL50gに溶解させた無水トリメリット酸クロリド22.1g(0.11モル)を反応液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、0℃で4時間反応させた。この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、トルエン1lに投入してヒドロキシル基含有酸無水物(a)
【0114】
【化25】
を得た。
【0115】
合成例2 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(b)の合成
BAHF18.3g(0.05モル)をアセトン100ml、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに4−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mlに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。析出した白色固体をろ別し、50℃で真空乾燥した。
【0116】
固体30gを300mlのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセルソルブ250mlに分散させ、5%パラジウム−炭素を2g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行った。約2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、ろ過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(b)を得た。
【0117】
【化26】
得られた固体をそのまま反応に使用した。
【0118】
合成例3 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(c)の合成
2−アミノ−4−ニトロフェノール15.4g(0.1モル)をアセトン50ml、プロピレンオキシド30g(0.34モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここにイソフタル酸クロリド11.2g(0.055モル)をアセトン60mlに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させた。その後、室温に戻して生成している沈殿をろ過で集めた。
【0119】
この沈殿をGBL200mlに溶解させて、5%パラジウム−炭素3gを加えて、激しく攪拌した。ここに水素ガスを入れた風船を取り付け、室温で水素ガスの風船がこれ以上縮まない状態になるまで攪拌を続け、さらに2時間水素ガスの風船を取り付けた状態で攪拌した。攪拌終了後、ろ過でパラジウム化合物を除き、溶液をロータリーエバポレーターで半量になるまで濃縮した。ここにエタノールを加えて、再結晶を行い、目的の化合物
【0120】
【化27】
の結晶を得た。
【0121】
合成例4 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(d)の合成
2−アミノ−4−ニトロフェノール15.4g(0.1モル)をアセトン100ml、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに4−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mlに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させた。その後、室温に戻して生成している沈殿をろ過で集めた。この後、合成例2と同様にして目的の化合物
【0122】
【化28】
の結晶を得た。
【0123】
合成例5 キノンジアジド化合物(e)の合成
乾燥窒素気流下、BisRS−2P(商品名、本州化学工業(株)製)16.10g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.86g(0.1モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン10.12gを系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、ろ液を水に投入させた。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、キノンジアジド化合物(e)
【0124】
【化29】
を得た。
【0125】
合成例6 キノンジアジド化合物(f)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−HAP(商品名、本州化学工業(株)製)、15.31g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド40.28g(0.15モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.18gを用い、合成例5と同様にしてキノンジアジド化合物(f)
【0126】
【化30】
を得た。
【0127】
合成例7 キノンジアジド化合物(g)の合成
乾燥窒素気流下、BIR−PTBP(商品名、旭有機材工業(株)製)19.72g(0.05モル)と4−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.86g(0.1モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン10.12gを用い、合成例5と同様にしてキノンジアジド化合物(g)
【0128】
【化31】
を得た。
【0129】
合成例8 キノンジアジド化合物(h)の合成
乾燥窒素気流下、ビスフェノールA 11.41g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.86g(0.1モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン10.12gを用い、合成例5と同様にしてキノンジアジド化合物(h)
【0130】
【化32】
を得た。
【0131】
合成例9 2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物のジエチルエステルジクロリド溶液(i)の合成
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物35.54g(0.08モル)、エチルアルコール36.9g(0.8モル)を95℃6時間攪拌反応させた。余剰のエタノールを減圧下、留去して、ピロメリット酸ジエチルエステルを得た。ついで塩化チオニルを95.17g(0.8モル)、テトラヒドロフラン(THF)70gを仕込み40℃で3時間反応させた。つづいて、N−メチルピロピドン331gを添加し、減圧により、余剰の塩化チオニル及びTHFを除去し、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジエチルエステルジクロリド溶液(i)376.86g(0.08モル)を得た。
【0132】
合成例10 3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジエチルエステルジクロリド溶液(j)の合成
乾燥窒素気流下、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物25.78g(0.08モル)、エタノール36.90g(0.8モル)を95℃6時間攪拌反応させた。余剰のエタノールを減圧下、留去して、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジエチルエステルを得た。ついで塩化チオニルを95.17g(0.8モル)、テトラヒドロフラン(THF)70gを仕込み40℃で3時間反応させた。つづいて、N−メチルピロピドン200gを添加し、減圧により、余剰の塩化チオニル及びTHFを除去し、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジエチルエステルジクロリド溶液(j)233.15g(0.08モル)を得た。
【0133】
合成例11 トリアリル化合物(k)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(本州化学工業(株)社製)25.78g(0.08モル)、ガンマブチロラクトン36.90g(0.8モル)、アリルブロマイド(東京化成工業(株)社製)を、炭酸水素カリウム媒下で、60℃4時間反応させた。反応溶液中析出してきた臭化カリウムを濾別し、濾液を180℃で4時間加熱、転移反応を起こさせ、ガンマブチロラクトンを減圧下、留去することによって、トリアリル化合物(k)233.15g(0.08モル)を得た。
【0134】
合成例12 テトラエチニル化合物(l)の合成
乾燥窒素気流下、ハロゲン化されたフェノール化合物であるBPA−TB(本州化学工業(株)社製)35.16g(66ミリモル)に、無水酢酸100gを溶媒として、150℃で、2時間反応させた。反応後、水100g、ジエチルエーテル200gを添加し、分液ロートを用いて反応物を有機層側に抽出した。
【0135】
【化33】
有機層のジエチルエーテル溶剤を留去する事によって、フェノー性水酸基をアセチル化した、アセチル化合物(a)39.0g(62mmol)を得た。
【0136】
アセチル化合物(a)17.58g(28mmol)、トリメチルシリルアセチレン(東京化成工業(株)社製)11.28g(115mmol)を、PdCl2(PC6H5)2(東京化成工業(株)社製)0.075g(0.106mmol)およびCuI(東京化成工業(株)社製)0.101g(0.532mmol)の触媒下で、トリエチルアミン140mlを溶媒として、80℃で8時間反応させ、アセチレン付加体にした。反応後、反応によって生じたトリエチルアミンの臭化水素塩および、添加触媒を、濾別し、トリエチルアミンを留去した。続いて、水10g、酢酸エチル200gを添加し、水酸化カリウム10gを添加して、40℃で2時間反応させることにより、アセチル基および、トリメチルシリル基を脱離させた。
【0137】
【化34】
1NのHCl水を添加して、分液ロートを用いて反応物を有機層側に抽出し、有機層の酢酸エチル溶剤を留去する事によって、テトラエチニル化合物(l)8.22g(25mmol)を得た。
【0138】
合成例13 モノエチニル化合物(m)の合成
乾燥窒素気流下、ハロゲン化されたフェノール化合物であるBisP−PBrBA(本州化学工業(株)社製)22.89g(66ミリモル)に、無水酢酸100gを溶媒として、150℃で、2時間反応させた。反応後、水100g、ジエチルエーテル200gを添加し、分液ロートを用いて反応物を有機層側に抽出した。
【0139】
【化35】
有機層のジエチルエーテル溶剤を留去する事によって、フェノー性水酸基をアセチル化した、アセチル化合物(b)26.3g(60mmol)を得た。
【0140】
アセチル化合物(b)12.26g(28mmol)、トリメチルシリルアセチレン(東京化成工業(株)社製)11.28g(115mmol)を、PdCl2(PC6H5)2(東京化成工業(株)社製)0.075g(0.106mmol)およびCuI(東京化成工業(株)社製)0.101g(0.532mmol)の触媒下で、トリエチルアミン140mlを溶媒として、80℃で8時間反応させ、アセチレン付加体にした。反応後、反応によって生じたトリエチルアミンの臭化水素塩および、添加触媒を、濾別し、トリエチルアミンを留去した。続いて、水10g、酢酸エチル200gを添加し、水酸化カリウム10gを添加して、40℃で2時間反応させることにより、アセチル基および、トリメチルシリル基を脱離させた。
【0141】
【化36】
1NのHCl水を添加して、分液ロートを用いて反応物を有機層側に抽出し、有機層の酢酸エチル溶剤を留去する事によって、モノエチニル
化合物(m)6.61g(22mmol)を得た。
【0142】
各実施例、比較例に使用したフェノール性水酸基を有する化合物、フェノール性水酸基含有熱重合性化合物は下記
【0143】
【化37】
のとおりである。
【0144】
実施例1
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノフェニルエーテル5.01g(0.025モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50gに溶解させた。ここに合成例1で得られたヒドロキシ基含有酸無水物(a)21.4g(0.03モル)をNMP14gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間反応させた。その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール7.14g(0.06モル)をNMP5gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間攪拌した。
【0145】
得られた溶液40gに合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)2g、熱重合性化合物DAL−BPA(商品名、本州化学工業(株)製)1.5gを加えて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスAを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハー上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製、露光、現像し、ワニスの感度、残膜率、解像度、収縮率について評価を行った。
【0146】
実施例2
乾燥窒素気流下、合成例2で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(b)15.1g(0.025モル)をNMP50gに溶解させた。ここに合成例1で得られたヒドロキシ基含有酸無水物(a)17.5g(0.025モル)をピリジン30gとともに加えて、60℃で6時間反応させた。反応終了後、溶液を水2lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0147】
このようにして得たポリマーの固体10gを計り、合成例6で得られたキノンジアジド化合物(f)2g、熱重合性化合物DAL−BPA(商品名、本州化学工業(株)製)2g、Bis−Z(商品名、本州化学工業(株)製)1.5g、ビニルトリメトキシシラン1gとをGBL30gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスBを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハー上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製、露光、現像し、ワニスの感度、残膜率、解像度、収縮率について評価を行った。
【0148】
実施例3
乾燥窒素気流下、合成例3で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(c)17g(0.045モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)をNMP50gに溶解させた。ここに3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物12.4g(0.04モル)をNMP21gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で2時間反応させた。ここに無水マレイン酸0.98g(0.01モル)を加え、50℃で2時間攪拌後、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール14.7g(0.1モル)をNMP5gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間攪拌した。
【0149】
得られた溶液30gに合成例7で得られたキノンジアジド化合物(g)2.0g、熱重合性化合物p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン(商品名、三井化学(株)製)3gを溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスCを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハー上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製、露光、現像し、ワニスの感度、残膜率、解像度、収縮率について評価を行った。
【0150】
実施例4
乾燥窒素気流下、合成例4で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(d)6.08g(0.025モル)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.51g(0.0225モル)と1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.62g(0.0025モル)をNMP70gに溶解させた。ヒドロキシル基含有酸無水物(a)24.99g(0.035モル)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物4.41g(0.015モル)を室温でNMP25gとともに加え、そのまま室温で1時間、その後50℃で2時間攪拌した。ついで、グリシジルメチルエーテル17.6g(0.2モル)をNMP10gで希釈した溶液を加え、70℃で6時間攪拌した。
【0151】
このポリマー溶液40gに合成例8で得られたキノンジアジド化合物(h)2.5g、熱重合性化合物である合成例11のトリアリル化合物(k)3.5gを溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスDを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハー上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製、露光、現像し、ワニスの感度、残膜率、解像度、収縮率について評価を行った。
【0152】
実施例5
実施例3で得られたポリマー溶液50gに実施例1で用いたキノンジアジド化合物(e)2.5g、熱重合性化合物である合成例12のテトラエチニル化合物(l)2g、BisRS−2P(商品名、本州化学工業(株)製)2gを溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスEを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハー上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製、露光、現像し、ワニスの感度、残膜率、解像度、収縮率について評価を行った。
【0153】
実施例6
実施例1で得られたポリマー溶液40gに実施例2で用いたキノンジアジド化合物(f)2g、熱重合性化合物である合成例13のモノエチニル化合物(m)2.5g、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)2.5gを溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスFを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハー上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製、露光、現像し、ワニスの感度、残膜率、解像度、収縮率について評価を行った。
【0154】
実施例7
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10.89g(0.054モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.86g(0.007モル)、末端封止剤として、3−アミノフェノール(東京化成工業(株)製)2.05g(0.019モル)をNMP20gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物23.27g(0.075モル)をNMP15gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間反応させた。その後、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール15.19g(0.127モル)をNMP4gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間攪拌した。続いてNMP46.0gを加え、ポリマー溶液を得た。
【0155】
得られたポリマー溶液に上記に示したキノンジアジド化合物(e)7g、熱重合性化合物としてDAL−BPZ(商品名、本州化学工業(株)製)3.5g、フェノール性水酸基を有する化合物としてBis−Z(商品名、本州化学工業(株)製)4gを加えて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスGを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製、露光、現像し、ワニスの感度、残膜率、解像度、収縮率について評価を行った。
【0156】
実施例8
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン3.97g(0.016モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.39g(0.0056モル)、ピリジン6.16g(0.078モル)をNMP50gに溶解させ、室温で2時間反応した。ここに、合成例10で得られた3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジエチルエステルジクロリド溶液(j)113.66g(0.039モル)を、系内が10℃以上にならないように滴下した。滴下後、室温で4時間攪拌した。つづいて、末端封止剤として、無水マレイン酸2.72g(0.0278モル)を添加し、50℃で3時間攪拌反応した。反応終了後、溶液を水2lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0157】
このようにして得られたポリマーの固体10gに上記にしめしたキノンジアジド化合物(g)2g、熱重合性化合物として合成例12のテトラエチニル化合物(l)0.42g、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)1.0gをNMP22gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスHを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製、露光、現像し、ワニスの感度、残膜率、解像度、収縮率について評価を行った。
【0158】
実施例9
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン18.3g(0.05モル)をNMP50g、グリシジルメチルエーテル26.4g(0.3モル)に溶解させ、溶液の温度を−15℃まで冷却した。ここにジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド7.38g(0.025モル)、イソフタル酸ジクロリド5.08g(0.025モル)をGBL25gに溶解させた溶液を内部の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、6時間、−15℃で攪拌を続けた。
【0159】
反応終了後、溶液を水3lに投入して白色の沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0160】
このようにして得られたポリマー粉体10gにキノンジアジド化合物(f)2.0g、熱重合性化合物DAL−BPA(商品名、本州化学工業(株)製)1gをNMP30gに溶解させて感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物のワニスIを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハー上に感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体膜を作製、露光、現像し、ワニスの感度、残膜率、解像度、収縮率について評価を行った。
【0161】
実施例10
厚さ1.1mmの無アルカリガラス表面にスパッタリング蒸着法によって厚さ130nmのITO透明電極膜が形成されたガラス基板を120×100mmの大きさに切断した。ITO基板上にフォトレジストを塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によってパターニングした。ITOの不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、ITO膜をストライプ形状にパターニングした。このストライプ状第一電極は100μmピッチである。
【0162】
次に、実施例1で得られたワニスAの濃度調整をNMPを用いて行い、スピンコート法により第一電極を形成した基板上に塗布し、ホットプレート上で120℃で3分間プリベークした。この膜にフォトマスクを介してUV露光した後、2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液で露光部分のみを溶解させることで現像し、純水でリンスした。得られたポリイミド前駆体パターンをクリーンオーブン中の窒素雰囲気下で170℃、30分、さらに、320℃で60分加熱してキュアし、絶縁層を第一電極のエッジを覆うように形成した。絶縁層の厚さは約1μmであった。
【0163】
次に、絶縁層を形成した基板を用いて有機電界発光装置の作製を行った。発光層を含む薄膜層は、抵抗線加熱方式による真空蒸着法によって形成した。基板有効エリア全面に蒸着して正孔輸送層を形成し、シャドーマスクを用いて発光層、第二電極のアルミニウムを形成した。
【0164】
得られた上記基板を蒸着機から取り出し、基板と封止用ガラス板とを硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止した。このようにしてITOストライプ状第一電極上に、パターニングされた発光層が形成され、第一電極と直交するようにストライプ状第二電極が配置された単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、良好な表示特性を得ることができた。絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄くなったり段切れを起こすようなこともなく、スムーズに成膜されたので、発光領域内での輝度ムラは認められず、安定な発光が得られた。まだ断面は順テーパーになっていた。
【0165】
実施例11
実施例2で得られたワニスBを用い、キュア条件を230℃で30分にした他は、実施例10と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラも認められず良好な表示特性を得ることができた。
【0166】
実施例12
実施例5で得られたワニスEを用い、キュア条件を230℃で30分にした他は、実施例10と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラも認められず良好な表示特性を得ることができた。
【0167】
実施例13
キュア条件をオーブンの空気雰囲気下で230℃で30分加熱、絶縁層の厚さを3μmにした以外は実施例10と同様の方法で、第一電極を形成した基板上に感光性ポリイミドからなる絶縁層を形成した。体積抵抗率は少なくとも5×1010Ωcmあることを確認した。絶縁層の境界部分の断面は、順テーパー形状であり、テーパー角度は約45°であった。また、絶縁層の赤外吸収スペクトルを反射配置で測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。
【0168】
次に、絶縁層を形成した基板を用いて有機電界発光装置の作製を行った。絶縁層を形成したガラス基板上に、酸素プラズマまたはUV照射処理をした。その後、アルコールに溶解した正孔注入材料または正孔輸送材料を、基板上にスピンコートして製膜した。オーブンを用いて、200℃で30分の加熱を行った。
【0169】
さらに、インクジェット法を用いて、トルエンに溶解した有機発光材料(赤色、青色、緑色の各材料)を各開口部にパターン塗布した。オーブンを用いて、80℃で30分の加熱を行った。最後に、実施例10と同様の方法で、第二電極を形成し、封止を行った。
【0170】
このようにして幅80μm、ピッチ100μm、本数816本のITOストライプ状第一電極上に、パターニングされた緑色発光層、赤色発光層および青色発光層が形成され、第一電極と直交するように幅250μm、ピッチ300μmのストライプ状第二電極が200本配置された単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。赤、緑、青の3つの発光領域が1画素を形成するので、本発光装置は300μmピッチで272×200画素を有する。絶縁層が第一電極を露出せしめる部分のみが発光するので、1つの発光領域は幅70μm、長さ250μmの長方形である。
【0171】
本表示装置を線順次駆動したところ、良好な表示特性を得ることができた。第一電極のエッジ部分が絶縁層で覆われているために、電界集中による短絡は認められなかった。また、断面が順テーパー形状であることから、絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄くなったり段切れを起こすようなこともなく、スムーズに成膜されたので、発光領域内での輝度ムラは認められず、安定な発光が得られた。また、耐久性試験として、85℃で250時間保持した後の発光特性を評価したところ、初期と比べて発光領域が小さくなることなく良好な発光を示した。
【0172】
実施例14
スイッチング素子を有する基板(TFT基板)の平坦化膜上に、平坦化膜上にあるソース・ドレイン電極に接触した、所望のパターンのITO電極(画素)を設けた。
【0173】
本基板を用いて、実施例13と同様に、絶縁層、正孔注入材料または正孔輸送材料、発光材料、第二電極を形成し、封止を行った。
【0174】
本表示装置をアクティブマトリックス方式で駆動したところ、良好な表示特性を得ることができた。第一電極のエッジ部分が絶縁層で覆われているために、電界集中による短絡は認められなかった。また、断面が順テーパー形状であることから、絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄くなったり段切れを起こすようなこともなく、スムーズに成膜されたので、発光領域内での輝度ムラは認められず、安定な発光が得られた。また、耐久性試験として、85℃で250時間保持した後の発光特性を評価したところ、初期と比べて発光領域が小さくなることなく良好な発光を示した。
【0175】
比較例1
実施例1と同様に合成したポリイミド前駆体溶液40gに実施例1で用いたキノンジアジド化合物(e)2.0gを溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスA1を得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハー上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製、露光、現像し、ワニスの感度、残膜率、解像度、収縮率について評価を行った。
【0176】
比較例2
実施例1と同様に合成したポリイミド前駆体溶液40gに実施例1で用いたキノンジアジド化合物(e)2g、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)1g、フェノール性水酸基を有しない熱重合性化合物であるp−ジエチニルベンゼン(東京化成工業(株)製)2.5gを溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスA2を得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハー上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製、露光、現像し、ワニスの感度、残膜率、解像度、収縮率について評価を行った。
【0177】
比較例3
実施例3と同様に合成したポリイミド前駆体溶液30gに実施例3で用いたキノンジアジド化合物(g)1.6g、Bis−Z(商品名、本州化学工業(株)製)0.8g、フェノール性水酸基を有しない熱重合性化合物であるジビニルベンゼン(東京化成工業(株)製)2.0gを溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスA3を得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハー上に感光性ポリイミド前駆体膜を作製、露光、現像し、ワニスの感度、残膜率、解像度、収縮率について評価を行った。
【0178】
比較例4
比較例1で得られたワニスA1を用いて、キュア条件を300℃で60分にした他は、実施例10と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラは認められなかったが、発光表示部のエッジ部に発光ムラが多数認められ、良好な表示特性を得ることができなかった。
【0179】
比較例5
比較例2で得られたワニスA2を用いて、キュア条件を230℃で30分にした他は、実施例10と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラは認められなかったが、発光表示部のエッジ部に発光ムラが多数認められ、良好な表示特性を得ることができなかった。
【0180】
比較例6
比較例3で得られたワニスA3を用いて、キュア条件を250℃で30分にした他は、実施例10と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラは認められなかったが、発光表示部のエッジ部に発光ムラが多数認められ、良好な表示特性を得ることができなかった。
【0181】
実施例1〜9、比較例1〜3の評価結果については以下の表1に示した。
【0182】
【表1】
【0183】
【発明の効果】
本発明によれば、アルカリ水溶液で現像でき、解像度、感度に優れ、なかでも未露光部の膜減りが小さく(残膜率が小さく)、さらにキュア後の収縮率が小さいという優れたポジ型感光性樹脂前駆体組成物を得ることができ、得られた組成物は特に、半導体素子の保護膜、層間絶縁膜、ディスプレイの絶縁層に好適に用いることができる。
【0184】
上記ポジ型感光性樹脂前駆体組成物を用いた、本発明の有機電界発光素子用表示装置は、発光領域内での輝度ムラがなく安定した発光が可能であり、耐久性に優れる。
Claims (9)
- (a)と、(b1)および/または(b2)と、(c)とを含有することを特徴とするポジ型感光性樹脂前駆体組成物。
(a)アルカリ可溶性の耐熱性樹脂前駆体ポリマー
(b1)フェノール性水酸基含有熱重合性化合物であって、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和結合を含有する化合物
(b2)熱重合性化合物であって、一般式(2)で表されるアセチレン性不飽和結合を含有する化合物
(c)エステル化したキノンジアジド化合物。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂前駆体組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、アルカリ現像液を用いて現像する工程および加熱処理する工程を含むレリーフパターンの製造法。
- 請求項7記載の製造法により得られるレリーフパターンを表面保護膜または層間絶縁膜として有する半導体用電子部品。
- 基板上に形成された第一電極と、第一電極を部分的に露出せしめるように第一電極上に形成された絶縁層と、第一電極に対向して設けられた第二電極とを含む表示装置であって、前記絶縁層が請求項7記載の製造法により得られるレリーフパターンからなる有機電界発光素子用表示装置。
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