JP2004085398A - 液体分離装置および液体分離方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】送液部4、分離部5、不要成分の廃棄ならびに溶離物質を供給する切換部9、製品取出部7A、7B1、7B2、容積調整輸送管付き液供給部10、輸送管8とを備え、前記容積調整輸送管付き液供給部10は、原料供給部2または溶離物質供給部3の少なくとも一方と、容積調整部V1、V2、V3とを有する液体分離装置1aであって、前記原料供給部2から供給された液体原料の前後に、前記分離部5で抽出された順序に、各目的成分の低濃度部分および各目的成分の低濃度部分の重複部分が配列され、前記液体分離装置1a内に循環される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも2成分を含む液体原料を、各成分に分離し、少なくとも1成分を製品として取得する液体分離装置および液体分離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の液体原料から所望の成分を分離して取り出す液体分離装置として、少なくとも2成分を含む液体原料を、水または有機溶媒等の溶離物質と共に、吸着剤等が充填された分離カラム内に供給し、この液体原料中の各成分の溶離物質および吸着剤等に対する親和性の差を利用して、分離カラム内で各成分に分離、抽出して、製品として取り出す液体分離装置が挙げられる。
【0003】
そして、このような液体分離装置においては、▲1▼充分長い分離カラムが必要である、▲2▼多量の溶離物質が必要である、▲3▼取り出された製品が溶離物質で希釈され、製品濃度が低下するという問題があった。そこで、この問題を解決するために、以下のような回収分離方式の液体分離装置が提案されている。
【0004】
図10は従来の1例の液体分離装置を模式的に示す流路図である。図10に示す液体分離装置11は、分離カラム15、検出器16、送液ポンプ13、輸送管17、検出器16の下流に備えられた切換バルブ12、14で構成されている。(学術誌 Ghimire,K.N.& Ishida,M.;Chem.Eng.Japan,Vol.30,No.3,pp.406−411,1997に記載されている)。
【0005】
この液体分離装置11における液体分離方法は、以下の通りである。
(1a)まず、溶離物質が切換バルブ12から供給され、3成分(成分A、B、Cとする)が含まれた液体原料が切換バルブ14から一定量供給される。そして、送液ポンプ13にて分離カラム15内に液体原料および溶離物質が流される。(2a)次に、分離カラム15内で成分A、成分B、成分Cの順に分離され、抽出される。ここでは、目的成分は成分Bであり、この成分Bに先行して抽出される成分Aと、この成分Bに後行して抽出される成分Cとが廃棄物質となる。
(3a)続いて、検出器16にて検出された目的成分Bの濃度分布のうち高濃度製品部分が、切換バルブ14から製品Bとして取り出される。そして、輸送管17内には目的成分Bの低濃度部分が残される。この低濃度部分には成分A、Cの一部が含まれている。ここで、高濃度とは所望の製品濃度を満たす濃度であり、低濃度とは所望の製品濃度を満たさない濃度である。
(4a)この際、製品Bと入れ替えに切換バルブ14から新たな液体原料が供給され、この液体原料の前後には目的成分Bの低濃度部分が配列されて、送液ポンプ13により、分離カラム15内に回収される。また、成分A、Cが主で目的成分Bがほとんど含まれていない部分(廃棄物質)は切換バルブ12から排出され、この際、廃棄物質と入れ替えに、新たな溶離物質が供給される。
(5a)そして、前記(2a)〜(4a)の操作は、所望する製品量が得られるまで複数回繰り返される。
【0006】
一方、図11は従来の他の例の液体分離装置を模式的に示す流路図である。図11に示す液体分離装置21は、分離カラム30、検出器31、原料供給部22、切換バルブ32、溶離物質供給部27、輸送管33で構成されている。また、原料供給部22は原料リザーバ23、インジェクションポンプ24、インジェクションバルブ25、インジェクションループ26から構成され、さらに、溶離物質供給部27は溶離物質リザーバ28、送液ポンプ29から構成されている(米国特許第6063284号公報に記載されている)。
【0007】
この液体分離装置21における液体分離方法は、以下の通りである。
(1b)まず、溶離物質が溶離物質リザーバ28から送液ポンプ29によって分離カラム30内に流される。
(2b)次に、原料リザーバ23からインジェクションポンプ24でインジェクションバルブ25を通してインジェクションループ26に、成分A、Bを含む液体原料が充填される。そして、この液体原料は、送液ポンプ29により、切換バルブ32を経て、分離カラム30内に一定時間流される。
(3b)続いて、分離カラム30によって成分A、成分Bの順に分離され、抽出される。そして、検出器31にて検出された成分Aの濃度分布のうち、濃度のきわめて薄い部分は廃棄物質として切換バルブ32の廃棄バルブ32dから排出され、製品部分(高濃度部分+低濃度部分)は切換バルブ32の製品バルブ32aから製品Aとして取り出される。
(4b)引き続いて、切換バルブ32が回収バルブ32cに切り換えられ、分離カラム30により抽出された抽出物のうちの製品Aが除かれた残りの残留物が、分離カラム30内に回収される。さらに、残留物の中心部が切換バルブ32を通過し、送液ポンプ29を通過する適当な時に、原料供給部22から新たな原料(予めインジェクションループ26に充填されていた原料)が分離カラム30に供給される。
(5b)次に、検出器31にて検出された成分Bの濃度分布のうちの製品部分(高濃度部分+低濃度部分)が、切換バルブ32の製品バルブ32bから製品Bとして取り出される。その後、切換バルブ32が廃棄バルブ32dに切り換えられて、成分Bの濃度のきわめて薄い部分は廃棄物質として排出される。
(6b)(5b)と次の(3b)の期間内に、原料リザーバ23からインジェクションポンプ24でインジェクションバルブ25を通してインジェクションループ26に、成分A、Bを含む液体原料が充填される。
(7b)そして、前記(3b)〜(6b)の操作は、所望する製品量が得られるまで複数回繰り返される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記の液体分離装置11(図10参照)においては、目的成分Bの低濃度部分が新たな液体原料と共に回収されるため、分離カラム15内での目的成分Bの拡散が妨げられるので、製品の高濃度化、収率の向上ならびに溶離物質の消費量の低減を図ることができるとされる。しかしながら、この液体分離装置11は1成分のみの製品取出を目的とした装置であるため、2成分の製品を同時に取り出すことができないという問題があった。また、製品Bを取り出した部分と同じ位置に、製品Bの入れ替えとして新たに液体原料を供給するため、製品Bの取出幅(取出時間)を液体原料の供給幅(供給時間)と一致させる必要があった。その結果、分離カラム15で分離、抽出された目的成分Bの最高濃度は、液体原料中の濃度よりも低くなるため、液体原料供給幅と同じ時間幅で製品を取り出すと製品収率が低くなり、100%に近い収率を実現させるのが難しいという問題があった。
【0009】
また、液体分離装置21(図11参照)においては、2成分の製品取出を目的としたもので、2成分(成分A、B)が製品として取り出された間の、成分Aと成分Bの低濃度部分の重複部分が回収されるため、前記液体分離装置11と同様に、製品収率の向上ならびに溶離物質の消費量の低減を図ることができるとされる。しかしながら、収率を上げるために、成分A、Bの低濃度部分をも製品として取り出すために、製品濃度が低下してしまう。また、液体原料の供給がインジェクションループ26を介して行われるため、この液体原料がインジェクションループ26内に存在していた溶離物質と混合され、この混合された部分を廃棄する必要が生じ、比較的多量の液体原料を損失してしまうことになる。さらに、成分Bの製品部分(高濃度部分+低濃度部分)を取り出す際に、輸送管33の区間33aの部分に、成分Bの低濃度部分あるいは成分A、Bの低濃度部分の重複部分が残留してしまうことになり、この残留物を別途処理することが必要になる。なお、この残留物の量をなるべく少なくするためには、例えば、輸送管33の区間33aを短くすることが必要である。このように、この液体分離装置21においては、得られる製品の濃度が低くなると共に、液体原料の損失が著しく、満足できる濃度の製品を高収率で得るのが難しいという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、このような問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、少なくとも2成分を含む液体原料から、各目的成分の製品を、高濃度かつ高純度で、しかも高収率で得ることができ、なおかつ、液体原料の損失は全くなく、溶離物質の消費量を低減できる液体分離装置または液体分離方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも2成分を含む液体原料と、この液体原料から各成分を溶離させる溶離物質とを送液して循環させる送液部と、前記液体原料に含まれる各成分を前記溶離物質で分離して抽出する分離部と、前記分離部で抽出された各成分のうち、不要成分の廃棄ならびに溶離物質を供給する切換部と、各目的成分の高濃度製品部分を取り出す製品取出部と、前記分離部で抽出された各成分のうち、各目的成分の高濃度製品部分の周辺部分の回収と新たな液体原料または溶離物質の供給を受け持つ容積調整輸送管付き液供給部と、前記送液部、分離部、切換部、製品取出部および容積調整輸送管付き液供給部を連通する輸送管とを備え、前記送液部と製品取出部との間に設けられた前記容積調整輸送管付き液供給部は、前記液体原料を供給する原料供給部または前記溶離物質を供給する溶離物質供給部の少なくとも一方と、前記原料供給部または前記溶離物質供給部と前記製品取出部との間の前記輸送管の内容積が調整される容積調整部とを有し、前記液体原料を前記送液部により送液して循環させることにより、前記液体原料から所望の成分を取り出す液体分離装置であって、前記容積調整部は、前記分離部で抽出された各成分のうち、高濃度製品部分の周辺の各目的成分の低濃度部分または各目的成分の低濃度部分の重複部分の少なくも一方を収容し、前記製品取出部、前記原料供給部、前記溶離物質供給部および前記容積調整部は、前記原料供給部から供給された液体原料の前後に、前記分離部で抽出された順序に、前記各目的成分の低濃度部分および各目的成分の低濃度部分の重複部分が配列され、この配列された前記各目的成分の低濃度部分、各目的成分の低濃度部分の重複部分および液体原料が、前記送液部により、液体分離装置内に循環されて、所望の成分が複数回にわたって繰り返し取り出されるように配置される液体分離装置として構成したものである。
【0012】
このように構成すれば、前記送液部と製品取出部の間に設けられた前記容積調整輸送管付き液供給部の容積調整部に、各目的成分の低濃度部分、各目的成分の低濃度部分の重複部分の少なくとも一方が収容されるようになる。そして、前記製品取出部、原料供給部、溶離物質供給部および容積調整部が、前記原料供給部から供給される液体原料の前後に、前記分離部で抽出された順序に、前記各目的成分の低濃度部分および各目的成分の低濃度部分の重複部分が配列されるように配置されるので、前記配列された各目的成分の低濃度部分、各目的成分の低濃度部分の重複部分および液体原料が、前記送液部により、前記分離部に循環されるようになる。その結果、分離部での各目的成分の拡散が妨げられて、各目的成分の高濃度製品部分の領域が広がると共に、各目的成分の低濃度部分および各目的成分の低濃度部分の重複部分の溶離物質が液体分離装置内に残り、この部分の溶離物質を補充する必要がなくなるので、溶離物質の消費量を低減できる。
【0013】
前記課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液体分離装置を用いて、少なくとも2成分を含む液体原料から溶離物質で所望の成分を分離して取り出す液体分離方法であって、前記液体原料と、この液体原料から各成分を溶離させる溶離物質とを送液させる送液段階と、前記液体原料に含まれる各成分を分離部で前記溶離物質により分離して抽出する分離段階と、前記分離部で抽出された各成分のうち、不要成分の廃棄ならびに溶離物質の供給の段階と、各目的成分の高濃度製品部分を取り出す製品取出段階と、前記分離段階で前記分離部から抽出された各成分のうち、前記製品取出段階で取り出された各目的成分の高濃度製品部分の周辺の各目的成分の低濃度部分および各目的成分の低濃度部分の重複部分とを、原料供給部から供給された液体原料の前後に、前記分離段階で抽出された順序に配列させた回収液体原料を作製する回収液体原料作製段階と、前記回収液体原料作成段階で得られた回収液体原料を前記分離部に送液部により循環する回収液体原料循環段階とを備え、前記分離段階で前記分離部で抽出された各目的成分の低濃度部分および各目的成分の低濃度部分の重複部分を回収して、前記両者を各々、前記液体原料の前後に配列し、送液部により液体分離装置内に送液して循環させ、所望の成分を複数回にわたって繰り返し取り出す液体分離方法として構成したものである。
【0014】
このように構成すれば、前記分離段階で前記分離部から抽出された各成分のうち、前記製品取出段階で取り出された各目的成分の高濃度製品部分を除く、各目的成分の低濃度部分および各目的成分の低濃度部分の重複部分が、前記回収液体原料作製段階で原料供給部から供給された液体原料の前後に、前記分離段階で抽出された順序に配列し、前記回収液体原料循環段階で前記分離部に送液部により循環されるので、分離段階での各目的成分の拡散が妨げられ、各目的成分の高濃度製品部分の領域が広がるようになる。また、このようにすれば、回収液体原料作製段階で各目的成分の低濃度部分および各目的成分の低濃度部分の重複部分の溶離物質が液体分離装置内に残り、この部分の溶離物質を補充する必要がなくなるので、溶離物質の消費量を低減できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る1例の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明に係る液体分離装置の構成を示す流路図であり、図2、図3、図4はそれぞれ他の例の本発明に係る液体分離装置の構成を示す流路図であり、図5は容積調整部の容積調整方法を示す説明図、図6、7はそれぞれ本発明に係る液体分離方法を示す説明図であり、図8は本発明に係る液体分離装置および液体分離方法のクロマトグラムを示す説明図である。図9は図4の液体分離方法を示す説明図である。図1〜図9では、液体原料として2成分のものを使用した形態を記載したが、本発明では、前記液体原料は2成分に限定されるものではなく、3成分以上が含まれるものであってもよい。すなわち、本発明は、少なくとも2成分を含む液体原料に用いる液体分離装置および液体分離方法に関するものである。以下では、液体原料は2成分(成分A、B)として説明する。
【0016】
図1に示すように、液体分離装置1aは、送液部4と、分離部5と、検出部6と、不要成分の廃棄ならびに溶離物質を供給する切換部9と、製品取出部7A、7B1、7B2と、液体原料回収部10と、これらを環状に連通する輸送管8とを備える。そして、送液部4と製品取出部7A、7B1、7B2との間に設けられた容積調整輸送管付き液供給部10は、原料供給部2と、溶離物質供給部3と、容積調整部V1、V2、V3とを有して構成されている。そして、2成分(成分A、B)を含む液体原料を送液部4で液体分離装置内1aに送液して循環させることにより、前記液体原料から成分A、Bの高濃度製品部分を製品A、Bとして取り出すものである。
【0017】
送液部4は、液体原料と、この液体原料から成分A、Bを溶離させる溶離物質とを液体分離装置1a内に送液して循環させるものであり、従来公知の各種ポンプ、例えば、プランジャー型、シリンジ型、ガス圧型といった各種ポンプが使用される。そして、このようなポンプの中から、その送液の各種の形態、例えば、連続送液、無脈流送液、大流量送液等の各種の形態に応じて適宜選択される。また、前記した各種ポンプに送液圧の異常時にポンプを自動停止させる機能を付加してもよい。
【0018】
分離部5は、前記液体原料に含まれる成分A、Bを溶離物質で分離して抽出するものであり、従来公知の各種分離カラムが使用される。この分離カラムには、充填剤として液体、吸着剤、イオン交換体、多孔性粒子等が必要に応じて、適宜量、充填される。そして、液体分離装置1aに送液される液体原料に含まれる成分A、Bの前記充填剤と前記溶離物質に対する親和性の差が、分離カラムを通過する間に増幅されることにより、成分A、Bの分離、抽出が達成される。
【0019】
液体分離装置1aの分離部5に含まれる分離抽出機構としては、従来公知の、例えば、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー等が挙げられる。前記溶離物質と充填剤は、このような分離抽出機構の形態に応じて適宜選択される。なお、前記分配クロマトグラフィーまたは吸着クロマトグラフィーでは、溶離物質として水、有機溶媒またはそれらの混合溶液が用いられ、充填剤としてはシリカゲル単体や極性基で表面修飾したシリカゲルが通常用いられる。前記イオン交換クロマトグラフィーでは、溶離物質として酸、塩基または水溶液(緩衝液+塩等)が用いられ、充填剤としてはイオン交換基を表面に導入したシリカゲルや有機ポリマーゲルが通常用いられる。前記ゲルクロマトグラフィーでは、溶離物質として充填剤のゲルを十分膨潤させ、低粘性で原料をよく溶かす水系溶媒(例えば、塩を水に溶かした溶媒)または有機系溶媒(例えば、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド)が用いられ、充填剤としてはシリカゲルまたは有機ポリマーゲル(例えば、ポリスチレンゲル、ポリビニルアルコールゲル)が通常用いられる。
【0020】
検出部6は、液体原料の成分A、Bの濃度を測定するための指標となる特性(以下、単に特性という)を検知して、成分A、Bの濃度分布を検出して濃度分布情報(濃度と時間との関係)を得るためのものである。そして、この濃度分布情報は、後記する製品取出部7A、7B1、7B2の切換時間を決定する際に用いられる。また、実験等により予め液体原料の前記濃度分布情報が明らかになっていて、しかも、前記分離部5の分離カラム特性に経時変化がない場合には、本発明の液体分離装置1aから省略することも可能である。検出部6は、成分A、Bの特性によって適宜選択され、従来公知の吸光光度計、蛍光光度計、電気化学計、電気伝導度計、化学発光計、示差屈折計、蒸発光散乱計、旋光度計、レーザー光散乱計、質量分析計等が用いられる。
【0021】
不要成分の廃棄ならびに溶離物質を供給する切換部9は、目的成分がほとんど含まれていない部分(廃棄物質)を排出し、この際、廃棄物質と入れ替えに溶離物質が供給される。例えば、図1に示すように、四方バルブで構成される。
【0022】
製品取出部7A、7B1、7B2は、成分A、Bの濃度分布情報に基づき、成分A、Bの高濃度製品部分を取り出すものである。例えば、この製品取出部7A、7B1、7B2は、図1に示すように、三方バルブで構成される。そして、成分Aの高濃度製品部分である製品Aの取出部として製品取出部7A、成分Bの高濃度製品部分である製品Bの取出部として製品取出部7B1、7B2が設けられる。また、この製品取出部7A、7B1、7B2を構成する三方バルブの各々には図示しない製品収容容器が接続される。さらに、製品Bの取り出し方については、成分Bの高濃度製品部分を製品B1および製品B2の2回に分けて取り出すべく、各々の取出に対応した2つの製品取出部7B1、7B2を設けることができる。なお、本発明で備えられる製品取出部の数については特に限定されるものではなく、製品A、Bの量、純度および収率、製品取出の作業効率等を考慮して適宜決定される。そして、図1では、製品A、Bの両者を取り出す場合について例示しているが、本発明では製品A、Bのうちのどちらか一方の取出を行うように構成することも可能である。また、製品の取出時間については、前記の検出部6からの液体原料の濃度分布情報、または、前記予め測定された液体原料の濃度分布情報から決定される。
【0023】
容積調整輸送管付き液供給部10は、前記分離部5で抽出された成分A、Bのうち、それぞれの高濃度製品部分を除いた部分を回収して液体原料の前後に配列するためのものである。また、容積調整輸送管付き液供給部10は、前記送液部4と製品取出部7A、7B1、7B2の各間に設けられ、液体原料を供給する原料供給部2または溶離物質を供給する溶離物質供給部3の少なくとも一方と、前記原料供給部2または溶離物質供給部3と前記製品取出部7A、7B1、7B2との各間の輸送管8の内容積が調整される容積調整部V1、V2、V3とを備えて構成される。
【0024】
原料供給部2は、所定量の液体原料を供給できるものであれば特に限定されない。通常、図1に示すように、三方バルブが使用される。また、供給方式は手動方式、自動方式のいずれでもよく、あるいは、前記両者を併用してもよい。さらに、本発明では、六方バルブを使用することもできる。また、原料物質を貯留する図示しない貯留槽が接続される。
【0025】
溶離物質供給部3は、所定量の溶離物質を供給できるものであれば特に限定されない。例えば、図1に示すように、三方バルブが使用される。また、溶離物質を貯留する図示しない貯留槽が接続される。
【0026】
容積調整部V1、V2、V3には、成分A、Bの低濃度部分、成分A、Bの低濃度部分の重複部分の少なくとも一方が収容され、図6に示すように、低濃度部分は、成分Aの先行部Aoおよび成分Bの後行部Boであり、重複部分は、成分Aの後行部Aiおよび成分Bの先行部Biである。そして、図1に示す容積調整部V1は先行部Aoを、容積調整部V2は先行部Ao+後行部Ai+先行部Biを、容積調整部V3は先行部Biを収容する。
【0027】
また、容積調整部V1、V2、V3の容積の調整方法は、例えば、輸送管8の長さ、内径を変化させることによって行なわれる。すなわち、容積調整部V1の容積は先行部Aoの幅に対応し、容積調整部V2の容積は先行部Ao+後行部Ai+先行部Biの幅に対応し、容積調整部V3の容積は先行部Biの幅に対応する体積に調整される。さらに、容積調整部V1、V2、V3の容積をこのように各々対応した体積に固定することもできるが、図5に示すように、前記濃度分布情報に基づいて、容積調整部V1、V2、V3の輸送管8内にシール材41を介して挿入された移動自在の容積調整用針40を、輸送管8内で適宜移動させることにより、容積調整部V1、V2、V3の容積を自動調整することも可能である。
【0028】
また、後記する液体分離方法で詳細に説明するが、前記原料供給部2から新たに供給される液体原料の前後には、前記分離部6で抽出された順序に、成分A、Bの低濃度部分および成分A、Bの低濃度部分の重複部分が配列される。具体的には、図7に示すように、液体原料の前方に成分Aの先行部Aoと後行部Ai、液体原料の後方に成分Bの先行部Biと後行部Boが配列される。このような配列を形成するために、図1に示すように、容積調整部V1、V2、V3の前方には前記原料供給部2または溶離物質供給部3の少なくとも一方を、後方には製品取出部7A、7B1、7B2を配置する。また、図1においては3つの容積調整部が設けられているが、前記のような配列を形成できれば、このような3つの容積調整部のみに限定されず、2つ以下または4つ以上の容積調整部を設けてもよい。さらに、成分A、Bの低濃度部分の重複部分のみを液体原料の前後に配列してもよい。
【0029】
さらに、前記のように配列されたものが前記送液部4により液体分離装置1a内に循環され、分離カラム5で分離、抽出され、製品取出部7A、7B1、7B2から製品A、Bが、所望の量、取り出されるまで、複数回にわたって繰り返し循環されて取り出される。
【0030】
前記のように液体分離装置1aを構成し、液体原料の前後に、分離部5で抽出された順序に、成分A、Bの低濃度部分および成分A、Bの低濃度部分の重複部分が配列され、液体分離装置1a内に循環されることにより、分離部5での成分A、Bの拡散が妨げられ、成分A、Bの高濃度製品部分の領域が広がる。また、成分A、Bの低濃度部分および成分A、Bの低濃度部分の重複部分の溶離液は廃棄されずに液体分離装置1a内を循環され、この部分の溶離物質を補充する必要がなくなる。さらに、原料供給部2と溶離物質供給部3とが別々の位置に配置されているために、液体原料中に溶離物質が混入することがなく、溶離物質が混入した液体原料を廃棄するようなことがなく、液体原料が無駄なく供給できる。その結果、製品A、Bを高濃度、高純度、高収率で得ることができ、しかも、液体原料の損失は全くなく、溶離物質の消費量も低減できる。
【0031】
次に、前記液体分離装置1aの他の形態の液体分離装置1b、1c、1dについて説明する。図2に示すように、容積調節部V1、V2への溶離物質供給を1つの溶離物質供給部3で行なっているため、溶離物質供給部3の数が前記液体分離装置1aより少ない。それにより、液体分離装置1bは、製品取出部7A、7B1の位置が前記液体分離装置1aと相違する。しかしながら、他の構成については液体分離装置1aと同一である。
【0032】
図3に示すように、液体分離装置1cは、製品A、B(B1、B2)の取出を1つの製品取出部7で行なうため、前記液体分離装置1aと異なった形態を有する。このため、原料供給部2、溶離物質供給部3の位置も液体分離装置1aと異なっている。しかしながら、他の構成については液体分離装置1aと同一である。
【0033】
液体分離装置1b、1cは、前記液体分離装置1aと構成上において相違点を有しているが、前記液体分離装置1aと同一の作用効果を有するものである。
【0034】
図4に示すように、液体分離装置1dは、置換クロマトグラフィーに使用されるもので、液体分離装置1aとの構成上の相違点は、溶離物質として2種類の溶離物質を使用し、分離部5a、5bの分離カラム内に充填されている充填剤に対する吸着性が異なる弱吸着性溶離物質E(α)と強吸着性溶離物質E(β)を使用することにある。そして、液体分離装置1aの構成(ただし、検出部6を除く)に加えて、図9に示すように、新しく供給される強吸着性溶離物質E(β)と強吸着性溶離物質E(β)の高濃度部分が前記後行部Boの後方に配列されるように、強吸着性溶離物質供給部3b、回収強吸着性溶離物質収容用容積調整部VE、中濃度強吸着性溶離物質取出部7cを備えたものである。それにより、強吸着性溶離物質E(β)の高濃度部分が回収強吸着性溶離物質収容用容積調整部VEに収容され、分離部5a、5bに回収される分、新しい強吸着性溶離物質の消費量を削減できる。なお、強吸着性溶離物質E(β)の中濃度部分が中濃度強吸着性溶離物質取出部7cから取り出され、図示しないが、後に再生される。
【0035】
なお、強吸着性溶離物質E(β)は、液体原料の各目的成分A、Bのいずれよりも充填剤に対して強い吸着性をもった溶離物質を使用し、弱吸着性溶離物質E(α)は液体分離装置1aの溶離物質と同じ溶離物質を使用する。そして、この強吸着性溶離物質E(β)は、充填剤への高吸着性により分離部(分離カラム)内に残存するので、図4に示すように、不要成分の廃棄ならびに弱吸着性溶離物質E(α)(液体分離装置1aにおける溶離物質)を供給する切換部9、弱吸着性溶離物質送液部4aを備えた洗浄用輸送管8aにより、分離部(分離カラム)5a、5bの下部より弱吸着性溶離物質E(α)を供給して分離部(分離カラム)5a、5bを洗浄して、分離部(分離カラム)5a、5bの上部で廃棄物質として廃棄することが、分離部(分離カラム)5a、5bでの分離性能の維持のために好ましい。
【0036】
さらに、図4に示すように、液体分離装置1dにおける生産性を向上させるために、液体分離装置1aの構成に、強吸着性溶離物質供給部3b、回収強吸着性溶離物質収容用容積調整部VEおよび中濃度強吸着性溶離物質取出部7cを加えた構成Dを2つ備えた液体分離装置1dが好ましい。この構成においては、分離部5a、5bの一方に液体原料が循環された後に、分離部5a、5bのもう一方の洗浄を行う。
【0037】
液体分離装置1dは、前記液体分離装置1aと構成上において相違点を有しているが、前記液体分離装置1aと同一の作用効果を有するものである。また、前記構成Dにおいて、液体分離装置1aの代わりに、液体分離装置1b、1cの構成を使用してもよいことは言うまでもない。さらに、効力が残存している高濃度強吸着性溶離物質E(β)を回収強吸着性溶離物質収容用容積調整部VEに収容し、その末端の中濃度強吸着性溶離物質取出部7cで中濃度強吸着性溶離物質E(β)を取り出し、それと同時に、その先端の強吸着性溶離物質供給部3bから新しい強吸着性溶離物質E(β)を供給し、それにより強吸着性溶離物質E(β)の消費量を削減できる構成は、前記液体分離装置1aと同一の作用効果を有するものである。
【0038】
次に、液体分離装置1aで3成分(成分A、B、C)を含む液体原料を用いて、その液体原料から成分A、B、Cの高濃度製品部分を製品A、B、Cとして取り出す場合について説明する。この場合、液体原料の前方に成分Aの低濃度部分と、成分A、Bの低濃度部分の重複部分を配列させ、そして、液体原料の後方に成分B、Cの低濃度部分の重複部分と、成分Cの低濃度部分を配列させる(図示省略)。そして、このような配列を形成させるように、前記した製品取出部、原料供給部、溶離物質供給部、容積調整部を配置する。そして、成分Cの高濃度製品部分である製品Cの製品取出部、成分Cの低濃度部分を収容する容積調整部を適宜設ける。
【0039】
次に、本発明に係る液体分離方法について、図1に示す液体分離装置1aを例にとって図6、図7を参照しながら説明する。
(a1)送液段階
まず、溶離物質供給部3から溶離物質を供給し、原料供給部2から2成分(成分A、B)を含む液体原料を供給し、送液部4にて分離部5に送液する。
【0040】
(a2)分離段階
次に、分離部5で前記のように送液された液体原料から成分A、Bが分離、抽出される。
【0041】
(a3)検出段階
検出部6で成分A、Bの濃度を測定するために指標となる特性を検知して、成分A、Bの濃度分布を検出して濃度分布情報を得る。具体的には、図6に示すように、成分Aの低濃度部分(先行部Ao)、成分Aの高濃度製品部分(製品A)、成分Aの低濃度部分(後行部Ai)、成分Bの低濃度部分(先行部Bi)、成分Bの高濃度製品部分(製品B1、B2)、成分Bの低濃度部分(後行部Bo)の順序で分離、抽出された濃度分布情報が得られる。ここで、後行部Ai、先行部Biは、図6に示すように、成分A、Bの低濃度部分の重複部分である。そして、この濃度分布情報は、後記する製品取出部7A、7B1、7B2のバルブ切換時刻の決定に用いられる。また、実験等により予め液体原料の前記濃度分布情報が明らかになっていて、しかも前記分離部5の分離カラム特性に経時変化がない場合には、検出部6を本発明の液体分離方法から省略することも可能である。
【0042】
(a4)製品取出段階1
次に、前記濃度分布情報に基づいて製品取出部7Aのバルブを切り換えて、成分Aの高濃度製品部分を製品Aとして取り出す。
【0043】
(a5)回収液体原料作製段階1
そして、前記製品取出部7Aのバルブの動作に連動して溶離物質供給部3のバルブを切り換えて、容積調整部V1の前方に、前記製品A取出時間と同一時間分(図6の製品Aの時間幅)の量だけ溶離物質を供給する。この際、容積調整部V1の内容積は先行部Aoを収容するように調整されている。
【0044】
(a6)製品取出段階2
次に、前記濃度分布情報に基づいて製品取出部7B1のバルブを切り換えて、成分Bの高濃度製品部分の一部を製品B1として取り出す。この時、容積調整部V1の先行部Aoは容積調整部V2に移動している。
【0045】
(a7)回収液体原料作製段階2
そして、前記製品取出部7B1のバルブの動作に連動して溶離物質供給部3のバルブを切り換えて、容積調整部V2の前方に、前記製品B1取出時間と同一時間分(図6の製品B1の時間幅)の量だけ、溶離物質を供給する。この際、容積調整部V2の内容積は先行部Ao、後行部Aiおよび先行部Biを収容するように調整されている。
【0046】
(a8)製品取出段階3
次に、前記濃度分布情報に基づいて製品取出部7B2のバルブを切り換えて、成分Bの高濃度製品部分の一部を製品B2として取り出す。この時、容積調整部V2の先行部Aoと後行部Aiは容積調整部V3より先に進み、先行部Biは容積調整部V3に移動している。
【0047】
(a9)回収液体原料作製段階3
そして、前記製品取出部7B2のバルブの動作に連動して原料供給部2のバルブを切り換えて、容積調整部V3の前方に、前記製品B2取出時間と同一時間分(図6の製品B2の時間幅)の量だけ、液体原料を新たに供給する。この際、容積調整部V3の内容積は先行部Biを収容するように調整されているので、後行部Aiと先行部Biの間に液体原料が供給される。これにより、図7に示すように、液体原料の前方に先行部Aoと後行部Aiが、液体原料の後方に先行部Biと後行部Boが配列した回収液体原料が作製される。そして、先行部Aoの前方には製品A、B1の時間幅の溶離物質が配列されている。ここで、製品取出位置と液体原料供給位置とが異なるため、従来のように製品取出幅と液体原料供給幅を一致させる必要がない。それにより、製品B(製品B1+製品B2)取出幅として、液体原料の供給幅よりも広い、成分B取出についての最適幅が選択できる。その結果、製品Bを高収率で得ることができる。
【0048】
(a10)回収液体原料循環段階
次に、図6に示すように、前記(a1)〜(a9)第1周期の残留物Biiと、後記第2周期の成分Aが薄い濃度で混合している部分Aiiとを、不要成分の廃棄ならびに溶離物質を供給する切換部9から廃棄物質として排出し、同時に、その位置で、溶離物質の供給を行う。次いで、前記(a9)で作製された回収液体原料を送液部4により分離部5に循環させる。
【0049】
(a11)次に、前記(a2)〜(a10)を繰り返す第2周期を行い、このような操作を所望する製品量が得られるまで複数回行なう。
【0050】
前記の各段階を備えて本発明に係る液体分離方法を構成し、液体原料の前後に、前記分離段階で抽出された順序に、成分A、Bの低濃度部分および成分A、Bの低濃度部分の重複部分を配列させ、液体分離装置1a内に循環させることにより,前記分離段階での成分A、Bの拡散が妨げられ、成分A、Bの高濃度製品部分の領域が広がる。また、本発明では、前記回収液体原料作製段階で成分A、Bの低濃度部分の溶離液を廃棄することなく液体分離装置1a内に循環させ、この部分での溶離物質の補充を不要とすることができる。また、本発明では、新たな液体原料を後行部Aiと先行部Biとの間に供給し、溶離物質を液体原料に混入させないので、溶離物質が混入した液体原料を廃棄することがなくなり、液体原料および溶離物質の損失を抑えることができる。さらに、液体原料の供給幅と製品回収幅を一致させる必要がないので、成分取出について最適幅を選択できる。その結果、本発明では、製品A、Bを高濃度、高純度、かつ高収率で得ることができ、しかも、液体原料の損失は全くなく、溶離物質の消費量も低減できる。
【0051】
次に、他の液体分離方法について、液体分離装置1b、1cを例にとって説明する。図2に示すように、液体分離装置1bにおける液体分離方法は、容積調整部V1に後行部Aiと先行部Biが収容され、容積調整部V2に先行部Aoが収容され、容積調整部V3に先行部Biが収容されるように前記(a1)〜(a11)を適宜変更して行なう。また、図3に示すように、液体分離装置1cにおける液体分離方法は、容積調整部V1に先行部Aoが収容され、容積調整部V1およびV2に先行部Biが収容され、容積調整部V1、V2およびV3に先行部Ao、後行部Aiおよび先行部Biが収容されるように、前記(a1)〜(a11)を適宜変更して行なう。その結果、液体分離装置1b、1cの液体分離方法は、前記液体分離装置1aの液体分離方法と同様の作用効果を有する。
【0052】
さらに、置換クロマトグラフィーに使用される他の液体分離方法について、液体分離装置1dを例にとって説明する。図4、図9に示すように、液体分離装置1dにおける液体分離方法は、前記したように溶離物質として、弱吸着性溶離物質E(α)と強吸着性溶離物質E(β)を使用する。
【0053】
(b1)送液段階
まず、図4の下部の構成Dにより、溶離物質(ここでは弱吸着性溶離物質E(α))と液体原料を送液部4にて分離部5aに送液した後、強吸着性溶離物質E(β)を送液部4にて分離部5aに送液する。
【0054】
(b2)分離段階
図9に示すように、前記のように送液された液体原料の各目的成分A、Bおよび強吸着性溶離物質E(β)が階段状に分離、溶出してくる。
【0055】
(b3)製品取出段階〜回収液体原料作製段階
次に、
(i)前記(a4)〜(a9)と同様な操作を図4の上部の構成Dを利用して行なう。なお、液体原料の各目的成分A、Bおよび強吸着性溶離物質E(β)の濃度分布情報は、予め実験等で明らかにしておく。
【0056】
(ii)前記の上部の構成Dの回収強吸着性溶離物質収容用容積調整部VEの容積を、図9に示す回収強吸着性溶離物質E(β)の高濃度部分の幅に調整し、この回収強吸着性溶離物質収容用容積調整部VEに強吸着性溶離物質E(β)の高濃度部分を収容する。
【0057】
(iii)強吸着性溶離物質E(β)の中濃度部分(図9の製品C(再生用中濃度強吸着性溶離物質E(β)))を図4の中濃度強吸着性溶離物質取出部7cから製品Cとして取り出す。そして、この取出に連動して、図4、図9に示すように、回収強吸着性溶離物質収容用容積調整部VEの前方に新しい強吸着性溶離物質E(β)を強吸着性溶離物質供給部3bから供給する。
【0058】
(iv)前記により、図9に示すように、(a9)で作製された回収液体原料(液体原料の前方に先行部Aoと後行部Ai、後方に先行部Biと後行部Boが配列したもの)の後方に、新たな強吸着性溶離物質E(β)と、強吸着性溶離物質E(β)の高濃度部分とが配列した回収液体原料が作製される。
【0059】
(b4−1)回収液体原料循環段階
次に、図4に示すように、前記回収液体原料を、上部の構成Dの送液部4により分離部5bに循環する。
【0060】
(b4−2)分離部洗浄段階
そして、図4に示すように、前記回収液体原料が分離部5bに循環された後に、分離部5aに弱吸着性溶離物質E(α)を弱吸着性溶離物質送液部4aを介して洗浄用輸送管8aから導入して、分離部5aの洗浄を行い、洗浄後の溶液は不要成分の廃棄ならびに弱吸着性溶離物質E(α)(液体分離装置1aにおける溶離物質)を供給する切換部9を廃棄物質側に切り換えて廃棄物質として排出する。
【0061】
(b5)続いて、前記(b2)〜(b4−2)と同様な操作を、図4の分離部5b、下部の構成Dで行い、回収液体原料を分離部5aに循環する。ここで、(b4−2)は分離部5bの洗浄段階である。
【0062】
(b6)引き続いて、前記(b2)〜(b5)を所望する製品量が得られるまで複数回行なう。
【0063】
また、構成Dの製品取出部7A、7B1、7B2、弱吸着性溶離物質供給部3a(図1の溶離物質供給部3に相当する)、液体原料供給部2、容積調整部V1、V2、V3として液体分離装置1aの構成を使用したが、液体分離装置1bおよび液体分離装置1cの構成を使用し、前記(b1)〜(b6)を適宜変更して行なってもよい。さらに、弱吸着性溶離物質E(α)の代わりに、分離部5a、5bの充填剤に対して吸着性のない溶離物質を使用してもよい。さらに、前記のような各段階を備えて液体分離装置1dの液体分離方法を構成することにより、液体分離装置1aと同様な作用効果を有する。
【0064】
【実施例】
以下に本発明に係る実施例を用いて、本発明を具体的に説明する。
図1に示す液体分離装置1aを用いて、以下の条件で液体分離を行い、取り出された製品の濃度、純度、収率を確認した。
(1)液体原料
(2,3−epoxypropyl)benzeneのラセミ体(Aldlich Chem.社製 純度98%)。l体を成分Aとし、d体を成分Bとした。
(2)分離部
長さ250mmの(株)資生堂製のsodium magnesium silicate(粒径5μm)分離カラムを分離部として使用した。
(3)溶離物質
和光純薬工業(株)製の純度99.8%のメタノールを使用した。
(4)分離周期回数:30回
【0065】
図8に示すように、分離周期回数が増すごとに、成分A、Bの濃度が増加している。なお、図8において縦軸の濃度は、成分A、Bの濃度の和で記載している。そして、製品の収率は、分離周期回数が10回で成分A、B共に90%、分離周期回数が20回で成分A、B共に97%であった。また、製品の純度は、分離周期回数が30回で成分Aは約99.2%、成分Bは約98.7%であった。
【0066】
製品の濃度、収率、純度は、従来の液体分離装置に比べて、高濃度、高純度、高収率であった。しかも、成分Aと成分Bの低濃度重複部分を回収するため、分離カラムは両者を完全に分離するだけの長さは必要なく、また、分離作業の約56%が回収液体原料の作製、循環となるので、この作業期間での溶離物質が低減できた。
【0067】
【発明の効果】
以上説明した通りに構成される本発明によれば、液体原料の前後に、分離部または分離段階で抽出される順序で、各目的成分の低濃度部分および各目的成分の低濃度部分の重複部分を配列して、液体分離装置内で循環させるので、少なくとも2成分の製品が高濃度、高純度、高収率で得られるようになり、しかも、液体原料の損失は全くなく、溶離物質の消費量が低減されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る1例の液体分離装置の構成を模式的に示す流路図である。
【図2】本発明に係る他の例の液体分離装置の構成を模式的に示す流路図である。
【図3】本発明に係る他の例の液体分離装置の構成を模式的に示す流路図である。
【図4】本発明に係る他の例の液体分離装置の構成を模式的に示す流路図である。
【図5】本発明の容積調整部の容積調整方法を示す説明図である。
【図6】本発明に係る液体分離方法を示す説明図である。
【図7】本発明に係る液体分離方法を示す説明図である。
【図8】本発明に係る液体分離装置および液体分離方法のクロマトグラムを示す説明図である。
【図9】図4の液体分離方法を示す説明図である。
【図10】従来の1例の液体分離装置の構成を模式的に示す流路図である。
【図11】従来の他の例の液体分離装置の構成を模式的に示す流路図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c、1d 液体分離装置
2 原料供給部
3 溶離物質供給部
3a 弱吸着性溶離物質供給部
3b 強吸着性溶離物質供給部
4 送液部
4a 弱吸着性溶離物質送液部
5、5a、5b 分離部
6 検出部
7、7A、7B1、7B2 製品取出部
7c 中濃度強吸着性溶離物質取出部
8 輸送管
8a 洗浄用輸送管
9 切換部
10 容積調整輸送管付き液供給部
V1、V2、V3 容積調整部
VE 回収強吸着性溶離物質収容用容積調整部
Claims (2)
- 少なくとも2成分を含む液体原料と、この液体原料から各成分を溶離させる溶離物質とを送液して循環させる送液部と、
前記液体原料に含まれる各成分を前記溶離物質で分離して抽出する分離部と、
前記分離部で抽出された各成分のうち、不要成分の廃棄ならびに溶離物質を供給する切換部と、各目的成分の高濃度製品部分を取り出す製品取出部と、
前記分離部で抽出された各成分のうち、各目的成分の高濃度製品部分の周辺部分の回収と新たな液体原料または溶離物質の供給を受け持つ容積調整輸送管付き液供給部と、
前記送液部、分離部、切換部、製品取出部および容積調整輸送管付き液供給部を連通する輸送管とを備え、
前記送液部と製品取出部との間に設けられた前記容積調整輸送管付き液供給部は、前記液体原料を供給する原料供給部または前記溶離物質を供給する溶離物質供給部の少なくとも一方と、前記原料供給部または前記溶離物質供給部と前記製品取出部との間の前記輸送管の内容積が調整される容積調整部とを有し、
前記液体原料を前記送液部により送液して循環させることにより、前記液体原料から所望の成分を取り出す液体分離装置であって、
前記容積調整部は、前記分離部で抽出された各成分のうち、高濃度製品部分の周辺の各目的成分の低濃度部分または各目的成分の低濃度部分の重複部分の少なくも一方を収容し、
前記製品取出部、前記原料供給部、前記溶離物質供給部および前記容積調整部は、前記原料供給部から供給された液体原料の前後に、前記分離部で抽出された順序に、前記各目的成分の低濃度部分および各目的成分の低濃度部分の重複部分が配列され、この配列された前記各目的成分の低濃度部分、各目的成分の低濃度部分の重複部分および液体原料が、前記送液部により、液体分離装置内に循環されて、所望の成分が複数回にわたって繰り返し取り出されるように配置されることを特徴とする液体分離装置。 - 請求項1に記載の液体分離装置を用いて、少なくとも2成分を含む液体原料から溶離物質で所望の成分を分離して取り出す液体分離方法であって、
前記液体原料と、この液体原料から各成分を溶離させる溶離物質とを送液させる送液段階と、
前記液体原料に含まれる各成分を分離部で前記溶離物質により分離して抽出する分離段階と、
前記分離部で抽出された各成分のうち、不要成分の廃棄ならびに溶離物質の供給の段階と、各目的成分の高濃度製品部分を取り出す製品取出段階と、
前記分離段階で前記分離部から抽出された各成分のうち、前記製品取出段階で取り出された各目的成分の高濃度製品部分の周辺の各目的成分の低濃度部分および各目的成分の低濃度部分の重複部分とを、原料供給部から供給された液体原料の前後に、前記分離段階で抽出された順序に配列させた回収液体原料を作製する回収液体原料作製段階と、
前記回収液体原料作成段階で得られた回収液体原料を前記分離部に送液部により循環する回収液体原料循環段階とを備え、
前記分離段階で前記分離部で抽出された各目的成分の低濃度部分および各目的成分の低濃度部分の重複部分を回収して、前記両者を各々、前記液体原料の前後に配列し、送液部により液体分離装置内に送液して循環させ、所望の成分を複数回にわたって繰り返し取り出すことを特徴とする液体分離方法。
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