JP2004085135A - 揮発性有機化合物の蓄熱燃焼式処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】揮発性有機化合物(VOC)の蓄熱燃焼式処理装置において、被処理および処理済のガス間のリーク率を下げてVOC除去率を高め、かつ、パージガスを用いてメンテナンス性に優れるエアーシールを実現する。
【解決手段】VOCを直接あるいは触媒燃焼処理して浄化しその排熱を再生する装置で、熱源12を内蔵した燃焼炉11と、該炉11に連結し互いに独立した固定蓄熱部10と、固定蓄熱部10にVOC含有の被処理ガス、パージガス、処理済ガスの3種類を切り替え供給排出するための分配器13とからなり、分配器13の中空回転軸15に互い180°方向に空けられた開孔22、23より軸内からパージガスを供給することにより、軸廻りでのVOC含有ガスと処理済ガス間のリークを抑制するシール構造を備えた。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は揮発性有機化合物の蓄熱燃焼式処理装置に係り、特に、揮発性有機化合物(以下、VOCともいう)を含むガスを燃焼処理してVOCを除去し、さらにその熱を再生する回転分配式の燃焼蓄熱式のVOC処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の塗装工場や印刷工場、あるいは金属洗浄工程などからは、トルエン、キシレン、スチレン等の揮発性有機化合物(VOC)を含んだ排ガスが発生する。このようなVOCガスは、せいぜい数十ppmから数%程度の濃度であるが、環境への影響がかなり大きいことが明らかになってきた。
【0003】
例えば、(1)NOxと反応して光化学スモッグが発生し、森林が枯死したり人体への悪影響を及ぼす。(2)発ガン性など人体に健康障害を起こさせる。(3)光化学オキシダントの主成分であるオゾンの対流圏内での増加により地球温暖化が生じる。このため、前記工場や工程では、VOC排ガスを処理し無害化して大気に排出する動向にある。
【0004】
従来、VOC処理方法としては、直接燃焼式、触媒燃焼式、触媒燃焼/蓄熱方式、濃縮方式、生物処理方式があるが、VOC濃度量変動への対応やランニングコスト、あるいは保守保全などを考慮すると、蓄熱触媒燃焼並びに蓄熱燃焼式が有力視されている。
【0005】
蓄熱触媒燃焼並びに蓄熱燃焼式では、蓄熱体で熱交換することにより補助燃料を極力減らし、VOC処理に必要なユーティリティーの低減を図っている。蓄熱式の熱交換に必要なガスの切替装置には、切替弁方式と回転分配弁方式が挙げられる。この中でも回転分配弁方式はコンパクト化が可能であり、ガスを連続的に分配できるという特長を有しているため、広く普及しつつある。
【0006】
この方法では軸と上部分配室間のシールが重要になる。シールが不十分であると、上部分配室の仕切室間が軸と上部分配室間の隙間を介して導通してしまい被処理ガスが処理済ガス中にリークしてしまう。そのため、シールエアを別途供給し、エアシールによって被処理ガスの漏洩を阻止するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−74225号公報
【0008】
【発明が解決する課題】
上記従来の回転分配弁方式による蓄熱式の処理装置には次のような問題点があった。すなわち、被処理ガスを余さず燃焼部に押し込むために、分配器の中空回転軸内から上部分配室へパージガスを分配するが、軸と上部分配室間のシールが不十分であると、上部分配室の仕切室間が軸と上部分配室間の隙間を介して導通してしまい被処理ガスが処理済ガス中にリークしてしまう。VOC除去率を高めるためにはこの分配弁のリーク率を以下に下げるかが課題であった。
【0009】
この部分は摺動も伴うため、樹脂製のブッシュを挿入するが、ガスのリーク経路が多くリーク量が多かった。ブッシュを用いない方法では、軸と上部分配室との間の隙間をできるだけ小さくしななければならないが、軸経の大きな分配弁ではこの隙間管理のために軸や上部分配室の非常に精密な加工が求められ、事実上不可能であった。
【0010】
また、上記特許文献1に記載された方法では、シールエアの供給装置が別に必要となり、部品点数が増えるとともに構造も複雑化し、コストが高くなるという問題があった。
【0011】
本発明の課題は、揮発性有機化合物の蓄熱燃焼式処理装置(VOC処理装置)において、分配弁のリーク率を下げてVOC除去率を高めるために、パージガスを用いてメンテナンス性に優れるエアーシールを実現する技術を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、被処理ガスに含まれる揮発性有機化合物を燃焼あるいは触媒燃焼により浄化処理して処理済ガスにする燃焼部と、前記被処理ガスを加熱したり前記処理済ガスから熱回収したりする固定蓄熱部とを有し、該固定蓄熱部に、前記被処理ガス、前記処理済ガス、および前記被処理ガスを前記燃焼部に押し込むためのパージガスの3種類のガスを切り替えて供給および排出する分配器を備え、該分配器は中空回転軸の周囲に複数の仕切室を有する分配室が固定され、該回転軸に形成したパージガス供給孔と該仕切室に形成した孔とが合致したときに、該回転軸内のパージガスが前記仕切室内に供給される揮発性有機化合物の蓄熱燃焼式処理装置において、前記回転軸のパージガス供給孔は、該回転軸の円周上の互いに180度方向に対向する2箇所に配設されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明による作用を説明する。分配器の中空回転軸がパージガスを分配する機能を持ち、VOCを含まないパージガスを中空回転軸の対向した2つのパージガス供給孔から仕切室内に供給し、パージガスは他のガスよりも高圧に保たれているため、仕切室内の被処理ガスを燃焼部に押し込むと共に、回転軸の径方向の両端から供給することにより、回転軸と分配室間の隙間にも流れ込み、この部分で被処理ガスと処理済ガスの間をシールできる。
【0014】
そのため、被処理ガス昇温に用いられた蓄熱体を通過中の被処理ガスからそのまま処理済ガスに切り替えた場合、蓄熱塔内に残っている未燃の被処理ガスが、処理済ガスに混入することが防がれ、ガス浄化効率の低下を防止できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の概要は、揮発性有機化合物(VOC)の蓄熱燃焼式処理装置において、図2に示した分配器13の中空回転軸15に、図1に示すように180度の径方向に対向して開口部(パージ用開孔22、シール用開孔23)を形成したものである。高圧のパージガスを開孔22から仕切室内の被処理ガスを燃焼部に押し込むと共に、開孔23から回転軸の周囲に供給して仕切室や隙間をシールできる。そのため、被処理ガスの処理済ガスへのリークが抑制される。
【0016】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明が適用される蓄熱燃焼式VOC処理装置の全体構成を図2に示す。本装置は、分配器13、蓄熱室10、燃焼室11などで構成される。
【0017】
分配器13により分配された被処理ガス1は、連結管8を通り蓄熱室10に入る。蓄熱室10は隔壁により複数の塔に分割されており、各塔には熱媒体となる蓄熱体10aが装填されている。被処理ガス1は蓄熱塔を通過中、蓄熱体10aにより加熱され昇温する。その後、被処理ガス1中の有機ガス成分(VOC)は燃焼室を通過する間に完全燃焼し処理される。
【0018】
また、蓄熱塔においての被処理ガス1の昇温が不十分な場合、燃焼室11に設置された補助熱源12(バーナ、電熱ヒータ等)を用いて被処理ガス1を完全燃焼させる。完全燃焼した処理済ガス3は被処理ガス1とは別の蓄熱塔に流入する。高温の処理済ガス3は蓄熱塔を通過中に蓄熱体10aによって熱が回収され、蓄熱塔出口では低温となる。蓄熱塔通過後の処理済ガス3は連結管8により分配器13に導かれる。
【0019】
これらの動作を連続させるために、被処理ガス1と高温の処理済ガス3とを交互に切り替える必要がある。分配器13はこのガス入れ替えの機能を持つ。また被処理ガス昇温に用いられた蓄熱体10aを、通過中の被処理ガス1からそのまま処理済ガス3に切り替えた場合、蓄熱塔内に残っている未燃の被処理ガス1が、処理済ガス3に混入するため、ガス浄化効率が低下する。
【0020】
これを防ぐために蓄熱塔が被処理ガスの昇温から、処理済ガスの熱回収に切り替わる間に、VOCを含まないパージ空気2を蓄熱塔内に送り、蓄熱塔内の未燃被処理ガス1を燃焼炉内に押し込む機構が必要となる。分配器13はこのパージ空気2を分配する機能も併せ持つ。
【0021】
分配器13は、被処理ガスヘッダ4、処理済ガスヘッダ5、回転弁6、上部分配室の仕切室26により構成される。被処理ガスヘッダ4、処理済ガスヘッダ5は回転弁6により仕切室26とは隔てられている。回転弁6には、被処理ガス用開口61、処理済ガス用開口62が形成されており、それぞれの開口を介して被処理ガスヘッダ4と処理済ガスヘッダ5は、複数の仕切室26のうちそれぞれ異なる複数の仕切室と連通している。
【0022】
被処理ガス1は被処理ガスヘッダ4に流入後、回転弁6の被処理ガス用開口61と連続した上部分配室の仕切室26に入る。その後、被処理ガス1は連結管8により蓄熱塔に導かれる。また、処理済ガス3は蓄熱塔から連結管8により仕切室26に導かれた後、回転弁6の処理済ガス用開口62を通過し、処理済ガスヘッダ5に入り、その後、排ガスダクトを通り排出される。なお、中空回転軸15はスプロケット16を介してチェーン17で回転駆動される。
【0023】
本発明におけるパージ空気の分配方法を図1に示す。図1は図2のA−A断面図である。中空の回転軸15には、被処理ガス用開口61と処理済ガス用開口62の間に位置する角度位置に、互いに180°方向の位置にスリット状の開孔22、23が形成されている。また、上部分配室内筒21にも、各仕切室26ごとにスリット状の開孔21aが形成され、両者の開孔が一致したところにパージ空気2が供給されるようになっている。
【0024】
また、中空回転軸15の外経と上部分配室内筒21の内径間には、比較的大きい隙間25が設けられ、軸15と内筒21の両者に精密な加工をしなくても接触しないようになっている。
【0025】
図1では、回転軸15に設けられた2つの開孔22、23が、上部分配室内筒21の開孔21aに合致し、2つの開孔22、23からパージガス2が仕切室26に供給される。パージガス2は他のガスよりも高圧に保たれているため、回転軸15と上部分配室内筒21との間の隙間25にも流れ込み、この部分でも被処理ガス1と処理済ガス3との間をシールできる。
【0026】
図3は、図1に示した状態から、回転軸15や回転弁6がある程度回転し、中空回転軸15内のパージ空気用のスリット22、23が、上部分配室内筒21のスリット21aと合致しない時点での図である。この場合でもパージ空気2が被処理ガスや処理済ガスよりも比較的静圧が高く保たれることを利用し、回転軸と上部分配室内筒間の隙間25から、積極的にパージガスをリークさせることにより、被処理ガス1の処理済ガス3へのリーク経路はシャットダウンされる。
【0027】
本実施形態にしたがって、処理流量200m/minの畜熱直接燃焼式VOC除去装置を製作した。その結果、被処理ガス中のトルエンを99%以上の高除去率で処理することができ、8000時間以上安定して装置を運転することができた。
【0028】
図4は、回転分配式蓄熱燃焼装置の一参考例の断面図である。本例では、中空回転軸にはパージエア供給用の開孔22が1箇所のみに形成されている。また、中空回転軸15の外周面と上部分配室内筒21の内周面とは摺動を伴うため、その間にブッシュ24を介在させている。本例では、ガスのリーク経路が多く、1箇所から供給される押込用のパージガスだけでは、十分なリーク防止の効果が得られなかった。
【0029】
【発明の効果】
上述のとおり本発明によれば、分配器の中空回転軸にパージガス供給用の開孔を対向させて2箇所に形成したので、パージガスをシールガスとして回転軸の周囲に供給できるため、分配弁のリーク率を下げてVOC除去率が高められ、また、パージガスを用いてメンテナンス性に優れるエアーシールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の回転分配式蓄熱燃焼装置の断面図である。
【図2】回転分配式蓄熱燃焼装置の構成図である。
【図3】本発明の実施例の回転分配式蓄熱燃焼装置の断面図である。
【図4】回転分配式蓄熱燃焼装置の一参考例の断面図である。
【符号の説明】
1 被処理ガス
2 パージガス
3 処理済ガス
4 被処理ガスヘッダ
5 処理済ガスヘッダ
6 回転弁
8 連結管
10 蓄熱室
11 燃焼室
12 バーナ
13 分配器
15 中空回転軸
21 上部分配室内筒
21a パージガス流入用開孔
22 パージガス供給用開孔
23 シール用パージガス供給用開孔
24 ブッシュ
25 隙間
26 仕切室
61 被処理ガス用開口
62 処理済ガス用開口

Claims (2)

  1. 被処理ガスに含まれる揮発性有機化合物を燃焼あるいは触媒燃焼により浄化処理して処理済ガスにする燃焼部と、前記被処理ガスを加熱したり前記処理済ガスから熱回収したりする固定蓄熱部とを有し、該固定蓄熱部に、前記被処理ガス、前記処理済ガス、および前記被処理ガスを前記燃焼部に押し込むためのパージガスの3種類のガスを切り替えて供給および排出する分配器を備え、該分配器は中空回転軸の周囲に複数の仕切室を有する分配室が固定され、該回転軸に形成したパージガス供給孔と該仕切室に形成した孔とが合致したときに、該回転軸内のパージガスが前記仕切室内に供給される揮発性有機化合物の蓄熱燃焼式処理装置において、前記回転軸のパージガス供給孔は、該回転軸の円周上の互いに180度方向に対向する2箇所に配設されていることを特徴とする揮発性有機化合物の蓄熱燃焼式処理装置。
  2. 前記回転軸の外周と、前記分配室の内周との間に隙間を有し、前記回転軸内のパージガスは、前記隙間を介して該回転軸の周囲に供給される請求項1に記載の揮発性有機化合物の蓄熱燃焼式処理装置。
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