JP2004084697A - バックラッシュ除去機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】バックラッシュを除去するための構造を簡略化して、製造コストを低減することができるバックラッシュ除去機構を提供すること。
【解決手段】コイルバネ17cは、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを、出力軸3と略平行に貫通する貫通孔17dに設置されるので、コイルバネ17cを設置するための空間を形成する場合には、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを重ね合わせ、その重ね合わせた第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを貫通する貫通孔17dを同時に形成すれば良い。従って、各歯車ごとにコイルバネ17cを設置するための空間を形成する必要はなく、製造工程を削減でき、低コストでバックラッシュ除去機構を構成することができる。
【選択図】 図5
【解決手段】コイルバネ17cは、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを、出力軸3と略平行に貫通する貫通孔17dに設置されるので、コイルバネ17cを設置するための空間を形成する場合には、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを重ね合わせ、その重ね合わせた第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを貫通する貫通孔17dを同時に形成すれば良い。従って、各歯車ごとにコイルバネ17cを設置するための空間を形成する必要はなく、製造工程を削減でき、低コストでバックラッシュ除去機構を構成することができる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バックラッシュを除去するための構造を簡略化して、製造コストを低減することができるバックラッシュ除去機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、歯車伝達機構において生じるバックラッシュを除去するためのバックラッシュ除去機構が知られている。ここで、図8を参照して、駆動歯車100と、その駆動歯車100と噛合う被駆動歯車101とのバックラッシュ除去機構について説明する。図8(a)は駆動歯車と噛合する被駆動歯車の側面図であり、図8(b)は、被駆動歯車の断面図である。尚、図8(a)においては、構造を理解し易いように、被駆動歯車101の内部構成も図示している。
【0003】
図8に示すように、被駆動歯車101は、回転軸102の方向に、回転軸102に固定された固定歯車104と、回転軸102に回転可能に挿嵌された回転歯車105とに分割して構成されている。固定歯車104の回転歯車105と重なる面には、コイルバネ106と収納するための凹部107が凹設されている。同様に、回転歯車105には、凹部108が凹設されている。この凹部107,108は、回転軸102と略直交する方向に延び(図8(a)参照)、それと平行にコイルバネ106が設置されている。また、固定歯車104と回転歯車105とは、無負荷状態で、所定の位相差を有するように連結されている。
【0004】
上述のように構成された被駆動歯車101が駆動歯車100と噛合すると、回転歯車105の歯108が、駆動歯車101の歯109によって位相差を少なくする方に押圧するが、回転歯車105の歯108は、コイルバネ106によって付勢されているので、駆動歯車100の歯109を円周方向に押圧する。よって、駆動歯車100の歯109は、隣接する固定歯車104の歯110と回転歯車105の歯108とに挟まれ、バックラッシュを除去することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したバックラッシュ除去機構においては、コイルバネ106を収納するための空間は、固定歯車104に凹設された凹部107と、回転歯車105に凹部108とを重ね合わせて形成されるものである。よって、コイルバネ106を収納するための空間を形成するには、各歯車毎の所定の位置に凹部107,108を形成しなければならない。また、コイルバネ106を固定するために、フック状に形成したコイルバネの両端を係止する小孔を歯車に穿設し、その小孔にコイルバネの両端を係止する必要があった。従って、コイルバネ106を収納するための空間を形成するには、複数の製造工程を経る必要があり、バックラッシュ除去機構を製造する場合のコストが増加するという問題点があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、バックラッシュを除去するための構造を簡略化して、製造コストを低減することができるバックラッシュ除去機構を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、請求項1記載のバックラッシュ除去機構は、回転軸に固定される固定歯車と、前記回転軸に遊嵌される回転歯車とに分割して構成され、且つ、前記固定歯車と回転歯車とが、予め所定の位相差を有するように構成される被駆動歯車と、その被駆動歯車に噛合する駆動歯車と、前記被駆動歯車に前記駆動歯車が噛合した場合に、前記駆動歯車によって前記固定歯車と回転歯車との前記位相差を変化させる方向に働く噛合力に反発して、前記位相差を回復させる方向に前記固定歯車又は回転歯車を付勢する弾性体と、その弾性体を設置するために、前記固定歯車と前記回転歯車とを、前記回転軸と略平行に貫通する貫通孔とを備えている。
【0008】
この請求項1記載のバックラッシュ除去機構によれば、駆動歯車と噛合する被駆動歯車は、回転軸に固定される固定歯車と、前記回転軸に遊嵌される回転歯車とに分割して構成され、且つ、前記固定歯車と回転歯車とが、予め所定の位相差を有するように構成されている。また、固定歯車と回転歯車とを、回転軸と略平行に貫通する貫通孔には、弾性体が設置されている。被駆動歯車が駆動歯車と噛合すると、この弾性体は、駆動歯車によって前記固定歯車と回転歯車との位相差を変化させる方向に働く噛合力に反発して、位相差を回復させる方向に固定歯車又は回転歯車を付勢する。
【0009】
請求項2記載のバックラッシュ除去機構は、請求項1記載のバックラッシュ除去機構において、前記被駆動歯車には、複数個の貫通孔が等配状に穿設されている。
【0010】
請求項2記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1記載のバックラッシュ除去機構と同様に作用する上、被駆動歯車に穿設された複数個の貫通孔は、等配状に配置される。
【0011】
請求項3記載のバックラッシュ除去機構は、請求項1又は2記載のバックラッシュ除去機構において、前記弾性体の一端を固定するために、前記貫通孔の端部には、前記貫通孔の内周面から内側に向かって突出する突起が突設されている。
【0012】
請求項3記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1から3のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構と同様に作用する上、弾性体の一端は、突起によって固定され、貫通孔の内部に設置される。
【0013】
請求項4記載のバックラッシュ除去機構は、請求項1から3のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構において、前記突起は、前記貫通孔の端部をプレス加工して形成される。
【0014】
請求項5記載のバックラッシュ除去機構は、請求項1から4のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構において、前記弾性体は、コイルバネによって構成されている。
【0015】
請求項6記載のバックラッシュ除去機構は、請求項1から5のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構において、モータと、外周にねじ状の歯形が設けられ前記モータに連結されるウォームと、そのウォームを介して入力される前記モータの回転力を出力する出力軸と、前記ウォームの回転軸に段違いに交差すると共に前記出力軸に略平行な回転軸を有し、前記ウォームに噛合可能な歯形が外周に設けられた第1歯車と、その第1歯車に略平行な回転軸を有すると共に外周に歯形が設けられて前記第1歯車の回転力を所定の速比で出力軸に伝達する少なくとも1組以上の中間歯車と、その中間歯車と前記第1歯車とを支持する支持部材を前記出力軸と共に備えて構成される歯車ユニットと、その歯車ユニットを挿通可能な開口とその開口に連続して前記歯車ユニット及び前記ウォームを収容する収容空間とが形成された収容部材とを備えており、前記中間歯車を構成する少なくとも一方の歯車は、前記被駆動歯車で構成されている。
【0016】
請求項6記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1から5のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構と同様に作用する上、モータの回転力は、モータに連結されたウォームを介して、そのウォームに噛合可能な歯形が外周に設けられた第1歯車に伝達され、更に、中間歯車によって所定の速比に変換された後に出力軸から出力される。ここで、歯車ユニットは、中間歯車と第1歯車と出力軸とが支持部材に支持されてユニット化される。このユニット化された歯車ユニットは、収容部材の開口に挿通されて収容空間に配置される。また、中間歯車を構成する少なくとも一方の歯車は、被駆動歯車で構成されているので、所定の変速比に変換される過程で生じるバックラッシュを除去することができる。
【0017】
請求項7記載のバックラッシュ除去機構は、請求項1から6のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構において、前記回転歯車の軸方向の幅は、前記固定歯車の軸方向の幅以下の厚さに構成されている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明のバックラッシュ除去機構を搭載した小型ウォーム併用ギヤードモータ(以下、ギヤードモータと略す)1の外観を示した正面図である。なお、図1においては、理解の容易のために、ウォーム10に噛合されるハスバ歯車11、並びに、複数の平歯車で形成される小歯車(駆動歯車)12,14,16及び大歯車(被駆動歯車)13,15,17は、ピッチ円を2点鎖線で示している。また、図中のA〜Dで示す各点は、歯車11〜17の回転軸線を示す仮想線を軸視したものである。
【0019】
ギヤードモータ1は、モータ2から供給される回転トルクを増幅して出力軸3から出力する装置である。このギヤードモータ1は、ケース4を備えており、そのケース4の側面には、出力軸3を回転させる回転トルクを供給するモータ2が間座5を介してねじ止めで固定されている。なお、モータ2に突設されたモータ軸2aには、後述するウォーム10が設けられている。
【0020】
ケース4には、正面視円形の開口4aが穿設されており、その開口4aの奥側に凹状の収容空間4b(図2参照)が開口4aに連続して形成されている。収容空間4bには、複数の歯車11〜17や出力軸3などを備えて構成された歯車ユニット6(図2参照)が配設されており、開口4aの口元側(図1の紙面垂直方向手前側)に出力軸3を挿通する穴を有して開口4aと略同一の外形に形成された蓋7が開口4aに圧入されている。
【0021】
ケース4の開口4aの周りには、ギヤードモータ1を相手部品に取り付けるための3つのボルト孔4cが設けられている。このボルト孔4cは、出力軸3と同方向に延びており、出力軸3に対して垂直に形成された取付面が相手部品の取付面に対向して配置され、相手部品に螺設されたボルト穴に3つのボルトで取り付けられる。このボルト孔4cに対する出力軸3の相対位置は、製品の開発段階において減速比が変更された場合にも同一位置となることが好ましく、ギヤードモータ1においては、歯車ユニット6に設けられる複数の歯車11〜17の速比を変更することにより、ボルト孔4cに対する出力軸3の相対位置を一定位置に固定することができる。
【0022】
次に、図2及び図3を参照して、歯車ユニット6について説明する。図2は、図1のII−ABCD−II線で切断したギヤードモータ1を展開して示した断面図である。また、図3は、図1のIII−III線におけるギヤードモータ1の断面図である。なお、図3においては、図面の理解を容易にするために、断面より奥側に配置されるモータ2、ウォーム10及びハスバ歯車11等を省略して示している。
【0023】
歯車ユニット6は、図2に示すように、ケース4の収容空間4b内に対向して配設された一対のプレート18,19と、その一対のプレート18,19を所定距離離間した位置に連結支持する円筒状の支柱25(図3参照)とを備えている。一対のプレート18,19は、正面視においてはケース4の開口4aに対して外周に一定隙間が設けられるように略円盤状に形成されている。かかる一対のプレート18,19には、出力軸3が直交して回動可能に軸支されると共に、出力軸3と略平行に第1〜第3軸芯20〜22が軸支されている。また、収容空間4bの奥側に配設される一方のプレート18の上部には穴が設けられており、その穴がケース4から突設された突起4dに嵌合することにより、歯車ユニット6が収容空間4bの所定位置に配置される。なお、出力軸3及び第1〜第3軸芯20〜22は、各プレート18,19に圧入された円筒状の軸受23a〜23hに挿通して支持されており、各軸芯20〜22の回転時の抵抗が軽減されるようになっている。
【0024】
支柱25は、図3に示すように、2枚のプレート18,19の間に設けられた筒状の部材であり、その両端部にプレート18,19がそれぞれ圧入支持されている。この支柱25は、正面視において歯車ユニット6を固定する3本の固定ビス26と略同一位置に配置されており(図1参照)、プレート18,19の外縁部に沿って3箇所に略等間隔に離間して設けられている。この3箇所に設けられた支柱25によって、一対のプレート18,19が出力軸3の軸方向に沿った両端側(図3の左右両側)から第1〜第3軸芯20〜22を支持する所定位置に配置されて、歯車ユニット6が形成される。
【0025】
支柱25の内面側には、図3に示すように、歯車ユニット6をケース4に固定するための固定ビス26が挿通されている。この固定ビス26は、支柱25の内面側に配設された円柱状に形成され、その先端側(図3の左側)にねじ山が形成されたビス部26aと、ビス部26aの他端側(図3の右側)に形成されビス部26より大径に形成されてプレート19の外面側(図3の右側)に係合する頭部26bとを備えている。
【0026】
固定ビス26のビス部26aの先端がケース4に螺着されると、ケース4に対する固定ビス26の相対位置が定められる。その相対位置が定められた固定ビス26の頭部26bがプレート19の外面側に係合することにより、プレート19は、ケース4に対する相対位置が規制される。このため、ケース4の開口4a側へプレート19が移動することがなく、固定ビス26を使用して、一対のプレート18,19を離間させないように支持して歯車ユニット6を形成させると共に歯車ユニット6をケース4に収容した状態を維持させることができる。なお、固定ビス26は、必ずしも支柱25及びプレート18,19を貫通させる必要は無く、プレート19のみを貫通してケース体4に固定するものであっても良い。即ち、固定ビスは、プレート19が収容空間4bから開口4a側へ移動することを規制するものであれば良い。
【0027】
プレート18,19に支持される出力軸3は、図2に示すように、一端部が蓋7から外側へ突出した略円柱状の部材であり、プレート18,19に軸受23a,23bを介して軸支されている。また、収容空間4bに設けられた出力軸3の端部は、小径の部位を有する段付き状に形成され、小径の端部が円筒状の軸受23bに当接して収容空間4b奥側への移動が規制されている。また、この出力軸3の略中央部には、複数の歯が外周に設けられた外歯車で形成される大歯車17が固設されており、歯車ユニット6の最終の変速段を構成している。
【0028】
更に、出力軸3には、大歯車17の配置位置より収容空間4bの開口4a側(図2の右側)に筒状のスペーサ24aが挿通されており、このスペーサ24aが大歯車17と軸受23との間に介在して、開口4a側への大歯車17(出力軸3)の移動が規制される。
【0029】
第1〜第3軸芯20〜22には、ハスバ歯車11、小歯車12,14,16及び大歯車13,15,17が設けられており、各歯車11〜17がウォーム10と共に第1変速段から第4変速段までの4つの変速段を構成している。この第1〜第4変速段によってウォーム10から入力されるモータ2の回転トルクは増幅されて出力軸3から出力される。なお、第1〜第3軸芯20〜22は、各軸芯20〜22に固設された小歯車12,14,16の軸方向に沿った一端側、又は、両端側に配設された筒状のスペーサ24b〜24fによって軸方向の配置位置が定められている。また、本実施例において、小歯車12,14,16は、圧入と加締めとをして第1〜第3軸芯に固設され、ずれなどが発生しないようになっている。
【0030】
ここで、第1〜第4変速段について具体的に説明する。第1変速段は、モータ軸2aの先端に設けられ、外周にねじ状の歯形が設けられたウォーム10と、ウォーム10の軸方向に段違いに直交する第1軸芯20に設けられてウォーム10に噛合可能な歯形が外周に設けられたハスバ歯車11とで構成されている。このウォーム10の進み角は、略6度に設定されており、ハスバ歯車11とウォーム10との歯面の摩擦抵抗により、ハスバ歯車11の回転からではウォーム10を回すことができない自動締まり(セルフロック)を生じるようになっている。
【0031】
このウォーム10の進み角は、必ずしも6度とする必要はないが、セルフロックを行わせる場合には、略2度から略6度の範囲内で設定することが好ましい。一方、ウォーム10の進み角を大きくしてセルフロックを生じさせない設定としても良い。セルフロックを生じさせない設定とする場合には、ウォームの進み角を略6.5度以上とすることが好ましい。出力軸3を直接的に動作させることができるので、出力軸3を相手部品に組み付ける際の位置調整を容易にすることができると共に、ウォームの進み角の増大に伴って動力の伝達効率を上昇させることができる。
【0032】
また、ウォーム及びハスバ歯車は、ウォームの進み角を一定間隔をあけて設定した複数種類の組み合わせを標準部品として設定し、必要に応じて所望の進み角に近いウォーム及びハスバ歯車の組み合わせを選択して使用しても良い。例えば、ウォームの進み角を2度おきに設定し、4度、6度、8度の進み角に設定したウォーム及びハスバ歯車を標準部品としても良い。標準部品の設定により、部品種類の増加を抑制しつつ多種の要求仕様に適応したギヤードモータを低コストで製造することができる。
【0033】
なお、ウォーム10は、外周面が円柱状に形成された円筒ウォームであっても、鼓形に形成された鼓形ウォームであっても良い。また、ウォーム10に噛合される歯車として、ハスバ歯車11の代わりに周方向に沿って凹状の溝が形成されたウォームホイールを使用しても良い。
【0034】
第2変速段は、ハスバ歯車11と一体的に回転可能に第1軸芯20に固設された第1小歯車12と、第2軸芯21に固設されて第1小歯車12に噛合する第1大歯車13との組み合わせで構成されている。第3変速段は、第2変速段を構成する第1大歯車13と一体的に回転可能に第2軸芯21に固設された第2小歯車14と、第3軸芯22に固設されて第2小歯車14に噛合する第2大歯車15との組み合わせで構成されている。
【0035】
最終段である第4変速段は、第3変速段を構成する第2大歯車15と一体的に回転可能に第3軸芯22に固設された第3小歯車16と、出力軸3に固設されて第3小歯車16に噛合する第3大歯車17との組み合わせで構成されている。
【0036】
このように、ギヤードモータ1には、第1変速段を構成するウォーム10及びハスバ歯車11の他に、第2〜第4変速段を構成する3組の歯車12〜17が設けられている。よって、ウォーム10及びハスバ歯車11を標準部品としつつ3組の歯車12〜17の変速比を歯数で調整することにより、出力軸3の位置を一定に保ちつつギヤードモータ1の減速比を変更することができる。
【0037】
また、被駆動歯車として機能する第1〜第3大歯車13,15,17には、駆動歯車として機能する第1〜第3小歯車12,14,16と噛み合う場合に、バックラッシュを除去するための機構が備えられている。即ち、第1大歯車13は、第2軸心21に固定される第1固定歯車13a(図右側)と、第2軸心21に回転可能に挿嵌される第1回転歯車13b(図左側)とに分割して構成されている。また、第1固定歯車13aと第1回転歯車13bとの間には、第1回転歯車13bを第1小歯車12の歯に押圧するためのコイルバネ13cが介在されている。尚、本実施例においては、弾性体としてコイルバネ13c等を使用するが、弾性体としては、かかるコイルバネ13c等に限定されるものではなく、棒状の弾性体等であっても良い。同様に、第2大歯車15は、第2固定歯車15aと第2回転歯車15bとに分割され、第2固定歯車15aと第1回転歯車15bとの間には、コイルバネ15cが介在されている。第3大歯車17は、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとに分割され、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとの間には、コイルバネ17cが介在されている。
【0038】
また、出力軸3に回転可能に挿嵌されている第3回転歯車17bの一側であって、隣接する第3固定歯車17aの反対側には、第3回転歯車17bが軸方向に移動するのを防止するための、ワッシャー17fとE形止め輪17gとが出力軸3に固定されている。第3回転歯車17bが軸方向に移動するのを防止するためには、ワッシャー17fとイーリング17gとに代えて、軸用C形止め輪、プッシューナット軸用、CS形止め輪等を出力軸3に固定するように構成しても良い。尚、第1回転歯車13bと第2回転歯車15bとの一側にも、第3回転歯車17bと同様にワッシャーとイーリングとが軸心に固定されているが、図示は省略する。
【0039】
ここで、図4を参照して、上述のように構成された第1〜第3大歯車13,15,17のうち、第3大歯車17について詳細に説明する。尚、第1大歯車13,第2大歯車15については、第3大歯車17と同様であるため、その説明は省略する。図4は、第3歯車17に第3小歯車16が作用していない状態(無負荷の状態)を示した図である。図4の(a)は、第3大歯車17の一部を拡大した拡大断面図であり、図4の(b)は、第3大歯車17の一部を拡大した拡大側面図である。
【0040】
第3大歯車17は、出力軸3に固定される第3固定歯車17a(図右側)と、出力軸3に回転可能に挿嵌される第3回転歯車17b(図左側)とに分割して構成されている。また、第3固定歯車17aと第1回転歯車17bとの間には、コイルバネ17cが介在されている。
【0041】
第3固定歯車17aは、第3小歯車16と噛合して、第3小歯車16からの駆動を出力軸3に伝達する歯車である。第3回転歯車17bは、バックラッシュを防止するための歯車である。第3固定歯車17aと、第3回転歯車17bとは、平歯車で構成されており、両歯車は略同一外形を有している。但し、第3回転歯車17bの出力軸3方向の厚さt2は、第3固定歯車17aの出力軸3方向の厚さt1より薄く構成されている。第3固定歯車17aは、第3小歯車16からの駆動を出力軸3に伝達する歯車であるため、トルクを十分に出力軸3に伝達する必要があり、その厚さt1を十分に確保する必要がある。一方、第3回転歯車17bは、バックラッシュを防止するための歯車であるため、第3小歯車16が大歯車17と噛み合う際に、第3小歯車16が第3大歯車17に及ぼす力に耐えうる厚さであれば良いからである。従って、第3固定歯車17aの厚さを確保すれば、第3回転歯車17bの厚さの調整によって、コンパクトに本機構を搭載することができる。また、第3固定歯車17aの厚さt1と第3回転歯車17bの厚さt2とを同等に構成しても良い。かかる場合には、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとの部材を共通化することができ、汎用性を得ることができる。
【0042】
コイルバネ17cは、弾性力を利用して、第3回転歯車17bを第3小歯車16の歯16aに押圧させるためのものである。図4(b)に示すように、第3大歯車17の第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとは、無負荷状態では、半歯程度の位相差を有するように構成されている。コイルバネ17cは、その状態おいて、固定歯車17aと第3回転歯車17bとを貫通する貫通孔17dに設置されている。
【0043】
コイルバネ17cを設置する貫通孔17dは、無負荷の状態で半歯程度の位相差を有する第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを、出力軸3と略平行に貫通している。よって、その貫通孔17dに設置されるコイルバネ17cも出力軸3と略平行に設置されることになる。貫通孔17dの両端部は、断面視テーパー状に構成されている。これは、コイルバネ17cを貫通孔17dの内部に固定するための突起17eを形成するためのものである。突起17eは、貫通孔17dの両端部から、最大径部分が貫通孔17dの直径より大きいテーパー状になるように、プレス加工によって施される。プレス加工によって押しのけられた部分は、貫通孔17dの両端部に、貫通孔17dの内周面から内側に向かって突出する突起17eを形成する。
【0044】
このように、貫通孔17dの内部に収納されるコイルバネ17cは、突起17eによって、その両端部が固定される。従って、従来のように、フック状に形成されたコイルバネの両端を係止する小孔を歯車の所定の位置に穿設し、その小孔にコイルバネの両端を係止させるという手間のかかる工程が不要となり、簡易にコイルバネ17cを設置することができる。
【0045】
次に、図5を参照して、上述のように構成された第3大歯車17と、その第3大歯車17と噛合する第3小歯車16とによって、バックラッシュを除去する作用について説明する。図5は、無負荷状態にある第3大歯車17(図4参照)に対し、その第3大歯車17に第3小歯車16が噛合した状態を示す図である。図5の(a)は、第3大歯車17の一部を拡大した拡大断面図であり、図5の(b)は、第3大歯車17の一部を拡大した拡大側面図である。
【0046】
図4(b)で示したように、第3大歯車17の第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとは、無負荷状態では、半歯程度の位相差を有するように構成されている。このように構成された第3大歯車17に、時計回り(反矢印Z方向)に回転する第3小歯車16が噛合すると、このときの第3小歯車16の歯16aの噛合力をうけて、第3回転歯車17bの歯17fは、第3固定歯車17aの歯17gと一致する方向(反矢印Y方向)に移動する。即ち、当初、第3回転歯車17bの歯17fは、第3固定歯車17aの歯17gに対して半歯車程度の位相差を有するが、第3小歯車16の噛合力によって、その位相差を減少させる方向に移動する。この状態では、図5(b)に示すように、コイルバネ17cは、一致していた状態から円周方向を示す反矢印X方向に移動する。
【0047】
このように、第3小歯車16との噛合によって第3回転歯車17bの歯17fが、第3固定歯車17aの歯17gと一致する方向に移動すると、コイルバネ17cの弾性力によって、第3回転歯車17bの歯17fを、最初の位相差に回復させようとする。即ち、第3回転歯車17bの歯17fは、コイルバネ17cによって矢印Y(矢印X)方向に付勢される。従って、第3小歯車16の歯16aは、隣接する第3固定歯車17aの歯17gと、矢印Y方向に付勢されている第3回転歯車17bの歯17fとに挟まれ、がたつきのない噛合状態となり、このことによってバックラッシュを除去することができる。
【0048】
以上説明したように、第3大歯車17と第3小歯車16との噛合においてバックラッシュを除去することができる上、コイルバネ17cは、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを、出力軸3と略平行に貫通する貫通孔17dに設置されるので、コイルバネ17cを設置するための空間を形成する場合には、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを重ね合わせ、その重ね合わせた第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを貫通する貫通孔17dを同時に形成すれば良い。従って、従来のように重ね合わせた両歯車内にコイルバネ17dを埋め込む空間を形成する場合に比較して、構造を簡略化することができる。また、各歯車ごとにコイルバネ17cを設置するための孔を形成する場合に比較して、製造工程を削減でき、低コストでバックラッシュ除去機構を形成することができる。
【0049】
次に、図6を参照して、モータ2に連結されるウォーム10の支持構造について説明する。図6は、モータとウォームとの連結部を断面視して示した図である。なお、図6においては、図面の理解の容易のために、歯車ユニット6を省略して示している。
【0050】
モータ軸2aの先端部には、モータ軸2aに回転軸を一致させてウォーム10が連結固定されている。ウォーム10は、モータ2から離れた側の外周にねじ状の歯形が設けられている。また、モータ2に近い側の外周は、平滑に形成されており、その外側にころがり軸受31が設けられている。
【0051】
ころがり軸受31は、一般的な深溝玉軸受であり、環状に形成されてウォーム10の外面に固定された内輪31aと、その内輪31aの外周面に沿って回転自在に球状に形成された複数の回転体31bと、その回転体31bの外側に配設されて内輪31aに対して回転自在に連結される外輪31cとを備えている。このころがり軸受31は、外輪31cがケース4やモータ2の一部に当接した状態であっても、回転体31bが回転することにより内輪31aは、少ない抵抗で回転可能となる。
【0052】
ケース4におけるモータ2が固定された一側面には、段付きの円筒状に穿設されたモータ軸穴4eが設けられており、モータ軸穴4eの内側にウォーム10及びころがり軸受31が配設されている。モータ軸穴4eには、その段差部4fにころがり軸受31の外輪31cのみが、ウォーム10の軸方向に沿って対向するようになっている。即ち、モータ軸穴4eに設けられた段差部4fの高さは、ころがり軸受31の外輪31cに対向し、内輪31aには対向しない高さに形成されている。このため、ウォーム10がその軸方向に沿ってモータ2から離間する場合、段差部4fに外輪31cが当接してウォーム10の移動が規制される。
【0053】
また、ころがり軸受31よりモータ2側には、鋼で形成された環状のワッシャー32が、ころがり軸受31とモータ2との間に配設されている。このワッシャー32は、モータ軸穴4eの段差部4fの高さと略同一の幅を設けて形成されており、その段差部4fと同様にころがり軸受31の外輪31cのみが対向する。このため、ウォーム10が軸方向に沿ってモータ2側へ近づく場合には、ワッシャー32に外輪31cが当接してウォーム10の移動が規制される。
【0054】
ここで、一般に、モータは、モータ軸の軸方向に沿った力が入力された場合に破損しやすく、その軸方向に沿った入力荷重を少なくすることが好ましい。しかし、ウォームギヤを使用したギヤードモータにおいては、ウォームからハスバ歯車などに伝達される回転力は、その方向が変換されて、ウォームの軸方向に沿ったものとなる。このウォームの軸方向に沿った力(推力)が直接的な反力としてウォームに加えられるので、ウォームギヤを有するギヤードモータに用いるモータへの要求性能が高められ、高価なモータを使用しなければならなかった。
【0055】
この問題に対処する方法として、ウォームの軸方向の移動を規制する部材を設けてモータへの入力荷重を軽減させることも考えられるが、モータから入力された回転トルクがロスしやすく、モータの回転に対する出力効率が低下してしまうという問題点があった。また、ウォームとハスバ歯車との噛合は接触力が高く、モータの軸に推力がかかるので、モータの出力効率を顕著に低下させると共に、モータの寿命が著しく短命になっていた。
【0056】
これに対し、ギヤードモータ1は、ウォーム10に連結されるころがり軸受31の外輪31cが段差部4e又はワッシャー32に当接することにより、ウォーム10に連結されるモータ軸2aに加えられる軸方向(スラスト方向)の力を軽減することができる。よって、低性能で安価なモータ2をギヤードモータ1に使用することができる。また、外輪31cは、ウォーム10に回転体31bを介して回転自在に連結されているので、段差部4e又はワッシャー32に外輪31cの移動が規制された状態におけるウォーム10の回転ロスを少なくして、モータ2の回転をより高効率で出力軸3に伝達することができる。
【0057】
なお、ころがり軸受31は、必ずしも深溝玉軸受で構成する必要は無く、回転軸に平行なスラスト荷重を受けても回転摩擦を生じさせないものであれば良い。例えば、円筒ころ軸受などのラジアル軸受であっても良く、又は、一般に用いられるスラスト軸受であっても良い。また、ワッシャー32は、必ずしも設ける必要はなく、間座5やモータ2の一部をころがり軸受31の外輪31cに対向させ、その外輪31cの移動を規制させるものであっても良い。
【0058】
次に、図6及び図7を参照してモータ2とケース4とを連結する間座5について説明する。図7は、図1の矢印V方向から見た間座5を示した図である。
【0059】
モータ2には、図6に示すように、モータ2の位置を固定するための取付穴が、モータ軸2を中心とした上下2箇所に設けられている。この取付穴にモータ2を固定するための固定ビス27が螺着されることにより、モータ2は間座5に固定される。
【0060】
間座5は、一枚の金属板で略矩形状に形成されており、多種のモータをケース4に固定するための部材である。この間座5には、図7に示すように、その外縁に沿った四隅に間座5をケース4に固定するための固定ビス28を挿通する固定穴5fが設けられると共に、その略中央部にモータ軸2を挿通する軸穴5aが設けられている。
【0061】
間座5の軸穴5aを中心とした上下2箇所には、図7に示すように、軸穴5aを中心に放射状に穿設された固定穴5b,5cが設けられている。この固定穴5b,5cは、モータ2と間座5とを固定するためのものである。モータ2に設けられる取付穴は、一般に、軸穴5aを中心に周方向に沿って所定の角度を隔てて略等間隔に配設されており、モータの容量に応じて軸穴5aからの距離が異なって形成されるものである。即ち、容量の大きなモータほど軸穴5aから離間した位置に取付穴が設けられ、容量の小さいモータは、軸穴5aに近い位置に取付穴が設けられるのである。本実施例の間座5には、固定穴5b,5cが軸穴5aを中心とした放射状に穿設されているので、容量の大小に関わらず多種のモータに間座5を適合させることができる。
【0062】
また、間座5には、その固定穴5bに対し、軸穴5aを中心とする周方向に沿って略120度の角度を隔てた2箇所に固定穴5d,5eが設けられている。つまり、軸穴5aの周りには、略180度の角度を隔てた2箇所に固定穴5b,5cが設けられると共に、略120度の角度を隔てた3箇所に固定穴5b,5d,5eが設けられるのである。メーカや種類に依っては、必ずしも略180度の角度を隔てた2箇所にモータ2の取付穴が配置されるものでなく、異なる角度で離間して配置されることもある。間座5には、モータ軸に対して略180度の角度を隔てた位置に取付穴を有するモータであっても、略120度の角度を隔てた位置に取付穴を有するモータであっても間座5を適合させることができる。
【0063】
このように、1の間座を多種のモータに適合させることができるので、減速比などの仕様に基づいて決定される複数種類のモータの取付穴に合わせてわざわざ固定穴を設ける必要がなく、少ない部品種類にして型費を低減することができる。なお、間座5に設けられる固定穴の配置間隔は、必ずしも120度と180度に限定されるものでなく、60度や90度などの別の角度に設定されても良い。
【0064】
以上説明したように、また、ギヤードモータ1には、第1変速段を構成するウォーム10及びハスバ歯車11の他に、第2〜第4変速段を構成する3組の歯車12〜17が設けたので、ウォーム10及びハスバ歯車11を標準部品としつつ3組の歯車12〜17の変速比を歯数で調整することにより、出力軸3の位置を一定に保ちつつギヤードモータ1の減速比を変更することができる。また、第2〜第4変速段の調整時に軸芯20〜22の位置変更が必要な場合であっても、円盤状のプレート18,19に穿設される軸受固定用の穴位置を変更すれば良く、ギヤードモータ1の構成部品のうち最も型費が高いケース4は同一形状のまま多種の減速比に対応させることができる。
【0065】
更に、ハスバ歯車11と第2〜第4変速段を構成する3組の歯車12〜17と、各歯車11〜17が固設された軸芯20〜22及び出力軸3を支持するプレート18,19等で形成される歯車ユニット6を挿通可能な開口4aがケース4に設けられているので、予め各部材の配置位置を調整して歯車ユニット6を形成した状態で、ケース4に収容することができる。よって、限られた作業スペースしかとれないケース4の収容空間4aに個別に軸芯20〜22や歯車11〜17などを設ける場合に比較して組み付け時の作業性を向上することができる。
【0066】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0067】
例えば、上記各実施例では、コイルバネを設置する貫通孔を1つの被駆動歯車に関し、互いに対峙する位置に2つ設けたが、コイルバネを設置するための貫通孔は、かかる位置または数に限定されるものでなく、3個を等配状に配置してもよく、1個又は4個以上であっても良い。かかる場合には、各所において、バックラッシュ効果を均等に得ることができる。
【0068】
また、本実施例では、1つの貫通孔に1つのコイルバネを設置する場合について説明したが、1つの貫通孔に設置されるコイルバネは1つに限定されるものではない。例えば、大径の第1のコイルバネの内部に小径の第2のコイルバネを挿嵌するように、1つの貫通孔に複数のコイルバネを設置するようにしても良い。これによれば、バックラッシュ除去のための圧力を増加させたい場合に、新たなコイルバネを設置するための新なた貫通孔を設ける必要はなく、既設のコイルバネに他のコイルバネを組み合わせれば良く、容易にバックラッシュ除去のための圧力を増加させることができる。
【0069】
また、本実施例では、本発明のバックラッシュ除去機構を搭載した装置として、小型ウォーム併用ギヤードモータについて説明した。しかし、本発明のバックラッシュ除去機構を搭載した装置としては、かかる小型ウォーム併用ギヤードモータに限定されるものではない。例えば、本実施例におけるウォームに代えて、モータの出力軸に小型歯車で構成されるモーターピニオンを連結し、その出力を中間歯車を介して出力軸に伝達する小型ギヤードモータに搭載しても良く、歯車機構を搭載する装置であれば如何なる装置であっても良い。
【0070】
また、第1〜第3軸芯20〜22と、各軸芯20〜22にそれぞれ支持される各歯車11〜17と、各軸芯20〜22に挿通されるスペーサ24b〜24fとが別部品で構成されているが、必ずしも別部品で形成する必要は無く、一体で形成されるものであっても良い。例えば、スペーサと軸芯とを一体で形成した軸部材に歯車を固設しても良く。或いは、スペーサと軸芯と歯車とを一体的に形成しても良い。
【0071】
また、上記実施例では、各変速段を構成する小歯車12,14,16,51,53,61及び大歯車13,15,17,52,54,62を平歯車で形成したが、必ずしも各歯車を平歯車で形成する必要はなく、少なくとも一部の変速段を構成する各歯車をハスバ歯車で形成しても良く、全ての歯車をハスバ歯車で形成しても良い。ギヤードモータの駆動時に発生する音が小さくなり、音圧などの規制が設けられた部品に適したギヤードモータを提供することができる。
【0072】
【発明の効果】請求項1記載のバックラッシュ除去機構によれば、被駆動歯車が駆動歯車と噛合すると、弾性体が、駆動歯車によって前記固定歯車と回転歯車との位相差を変化させる方向に働く噛合力に反発して、位相差を回復させる方向に固定歯車又は回転歯車を付勢する。よって、バックラッシュを防止することができる。また、弾性体は、固定歯車と回転歯車とを、回転軸と略平行に貫通する貫通孔に設置されるので、弾性体を設置するための空間を形成する場合には、固定歯車と回転歯車とを重ね合わせ、その重ね合わせた固定歯車と回転歯車とを貫通する貫通孔を同時に形成すれば良い。従って、重ね合わせた両歯車内に弾性体を埋め込む空間を形成する場合に比較して、構造を簡略化することができる。また、各歯車ごとに弾性体を設置するための孔を形成する場合に比較して、製造工程を削減でき、低コストでバックラッシュ除去機構を形成することができるという効果がある。
【0073】
請求項2記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1記載のバックラッシュ除去機構の奏する効果に加え、被駆動歯車に穿設された複数個の貫通孔は、等配状に配置されるので、各所において均等にバックラッシュ効果を発揮させることができるという効果がある。
【0074】
請求項3記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1又は2に記載のバックラッシュ除去機構の奏する効果に加え、弾性体の一端は、突起によって固定され、貫通孔の内部に設置される。よって、貫通孔に弾性体を設置する場合であっても、貫通孔に弾性体を安定して設置することができるという効果がある。
【0075】
請求項4記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1から3のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構の奏する効果に加え、突起は、前記貫通孔の端部をプレス加工して形成される。よって、弾性体を固定するための突起を、新たに溶接等によって形成する場合に比べ、容易に形成することができるという効果がある。
【0076】
請求項5記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1から4のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構の奏する効果に加え、弾性体は、コイルバネによって構成されている。よって、安価な部品でバックラッシュ除去機構を構成することができ、製造コストを削減することができるという効果がある。
【0077】
請求項6記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1から5のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構の奏する効果に加え、中間歯車によってウォームに噛合される第1歯車の回転力が所定の速比で出力軸に伝達されるので、モジュールや条数が一定に設定されたウォームを使用する場合であっても、中間歯車の速比を調整することにより、出力軸の位置を一定に保ちつつ減速比を変更することができるという効果がある。また、第1歯車と中間歯車とが支持部材によって支持されるので、減速比の変更時に中間歯車及び第1歯車の回転軸を移動させても歯車ユニットを収容する収容部材の形状は変更する必要がなく、収容部材の型費を低減してギヤードモータを低コストで製造することができる。更に、第1歯車と中間歯車と出力軸とを備えて構成された歯車ユニットが挿通可能な開口が収容部材に設けられているので、予め各部材の配置位置を調整して歯車ユニットを形成した状態で、収容部材に収容することができる。よって、限られた作業スペースしかとれない収容部材の収容空間に個別に中間歯車や第1歯車を設ける場合に比較して組み付け時の作業性を向上することができるという効果がある。更に、小型ウォーム併用ギヤードモータにおけるバックラッシュを防止することができるという効果がある。
【0078】
請求項7記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1から6のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構の奏する効果に加え、回転歯車の軸方向の幅は、固定歯車の軸方向の幅以下の厚さに構成されている。固定歯車は駆動を伝達する歯車であるのに対し、回転歯車はバックラッシュを防止するための歯車であるため固定歯車に必要とされるトルクは回転歯車には不要である。よって、回転歯車の軸方向の幅を固定歯車の軸方向の幅より薄く構成した場合には、省スペースでバックラッシュ除去機構を構成することができる。また、回転歯車の軸方向の幅と固定歯車の軸方向の幅とを同等にした場合には、両部材を共通化することができ、汎用性を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるバックラッシュ除去機構を搭載した小型ウォーム併用ギヤードモータの正面図である。
【図2】図1のII−ABCD−II線における小型ウォーム併用ギヤードモータの展開断面図である。
【図3】図1のIII−III線における小型ウォーム併用ギヤードモータの断面図である。
【図4】第3大歯車に小歯車が作用していない状態(無負荷の状態)を示した図である。図
【図5】第3大歯車17に小歯車が噛合した状態を示した図である。
【図6】モータとウォームとの連結部を断面視して示した図である。
【図7】図1の矢印V方向から見た間座を示した図である。
【図8】従来のバックラッシュ除去機構を説明するための図である。
【符号の説明】
2 モータ
3 出力軸
4 ケース(収容部材)
4a 開口
4b 収容空間
4e 段差部(対向部の一部)
5 間座
6 歯車ユニット
10 ウォーム
11 ハスバ歯車(第1歯車)
12,14,16,51,53,61 小歯車(中間歯車の一部)
13,15,17,52,54,62 大歯車(中間歯車の一部)
17a 第3固定歯車(固定歯車)
17b 第3回転歯車(回転歯車)
17c コイルバネ(弾性体)
17d 貫通孔
17e 突起
18 プレート(支持部材の一部)
【発明の属する技術分野】本発明は、バックラッシュを除去するための構造を簡略化して、製造コストを低減することができるバックラッシュ除去機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、歯車伝達機構において生じるバックラッシュを除去するためのバックラッシュ除去機構が知られている。ここで、図8を参照して、駆動歯車100と、その駆動歯車100と噛合う被駆動歯車101とのバックラッシュ除去機構について説明する。図8(a)は駆動歯車と噛合する被駆動歯車の側面図であり、図8(b)は、被駆動歯車の断面図である。尚、図8(a)においては、構造を理解し易いように、被駆動歯車101の内部構成も図示している。
【0003】
図8に示すように、被駆動歯車101は、回転軸102の方向に、回転軸102に固定された固定歯車104と、回転軸102に回転可能に挿嵌された回転歯車105とに分割して構成されている。固定歯車104の回転歯車105と重なる面には、コイルバネ106と収納するための凹部107が凹設されている。同様に、回転歯車105には、凹部108が凹設されている。この凹部107,108は、回転軸102と略直交する方向に延び(図8(a)参照)、それと平行にコイルバネ106が設置されている。また、固定歯車104と回転歯車105とは、無負荷状態で、所定の位相差を有するように連結されている。
【0004】
上述のように構成された被駆動歯車101が駆動歯車100と噛合すると、回転歯車105の歯108が、駆動歯車101の歯109によって位相差を少なくする方に押圧するが、回転歯車105の歯108は、コイルバネ106によって付勢されているので、駆動歯車100の歯109を円周方向に押圧する。よって、駆動歯車100の歯109は、隣接する固定歯車104の歯110と回転歯車105の歯108とに挟まれ、バックラッシュを除去することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したバックラッシュ除去機構においては、コイルバネ106を収納するための空間は、固定歯車104に凹設された凹部107と、回転歯車105に凹部108とを重ね合わせて形成されるものである。よって、コイルバネ106を収納するための空間を形成するには、各歯車毎の所定の位置に凹部107,108を形成しなければならない。また、コイルバネ106を固定するために、フック状に形成したコイルバネの両端を係止する小孔を歯車に穿設し、その小孔にコイルバネの両端を係止する必要があった。従って、コイルバネ106を収納するための空間を形成するには、複数の製造工程を経る必要があり、バックラッシュ除去機構を製造する場合のコストが増加するという問題点があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、バックラッシュを除去するための構造を簡略化して、製造コストを低減することができるバックラッシュ除去機構を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、請求項1記載のバックラッシュ除去機構は、回転軸に固定される固定歯車と、前記回転軸に遊嵌される回転歯車とに分割して構成され、且つ、前記固定歯車と回転歯車とが、予め所定の位相差を有するように構成される被駆動歯車と、その被駆動歯車に噛合する駆動歯車と、前記被駆動歯車に前記駆動歯車が噛合した場合に、前記駆動歯車によって前記固定歯車と回転歯車との前記位相差を変化させる方向に働く噛合力に反発して、前記位相差を回復させる方向に前記固定歯車又は回転歯車を付勢する弾性体と、その弾性体を設置するために、前記固定歯車と前記回転歯車とを、前記回転軸と略平行に貫通する貫通孔とを備えている。
【0008】
この請求項1記載のバックラッシュ除去機構によれば、駆動歯車と噛合する被駆動歯車は、回転軸に固定される固定歯車と、前記回転軸に遊嵌される回転歯車とに分割して構成され、且つ、前記固定歯車と回転歯車とが、予め所定の位相差を有するように構成されている。また、固定歯車と回転歯車とを、回転軸と略平行に貫通する貫通孔には、弾性体が設置されている。被駆動歯車が駆動歯車と噛合すると、この弾性体は、駆動歯車によって前記固定歯車と回転歯車との位相差を変化させる方向に働く噛合力に反発して、位相差を回復させる方向に固定歯車又は回転歯車を付勢する。
【0009】
請求項2記載のバックラッシュ除去機構は、請求項1記載のバックラッシュ除去機構において、前記被駆動歯車には、複数個の貫通孔が等配状に穿設されている。
【0010】
請求項2記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1記載のバックラッシュ除去機構と同様に作用する上、被駆動歯車に穿設された複数個の貫通孔は、等配状に配置される。
【0011】
請求項3記載のバックラッシュ除去機構は、請求項1又は2記載のバックラッシュ除去機構において、前記弾性体の一端を固定するために、前記貫通孔の端部には、前記貫通孔の内周面から内側に向かって突出する突起が突設されている。
【0012】
請求項3記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1から3のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構と同様に作用する上、弾性体の一端は、突起によって固定され、貫通孔の内部に設置される。
【0013】
請求項4記載のバックラッシュ除去機構は、請求項1から3のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構において、前記突起は、前記貫通孔の端部をプレス加工して形成される。
【0014】
請求項5記載のバックラッシュ除去機構は、請求項1から4のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構において、前記弾性体は、コイルバネによって構成されている。
【0015】
請求項6記載のバックラッシュ除去機構は、請求項1から5のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構において、モータと、外周にねじ状の歯形が設けられ前記モータに連結されるウォームと、そのウォームを介して入力される前記モータの回転力を出力する出力軸と、前記ウォームの回転軸に段違いに交差すると共に前記出力軸に略平行な回転軸を有し、前記ウォームに噛合可能な歯形が外周に設けられた第1歯車と、その第1歯車に略平行な回転軸を有すると共に外周に歯形が設けられて前記第1歯車の回転力を所定の速比で出力軸に伝達する少なくとも1組以上の中間歯車と、その中間歯車と前記第1歯車とを支持する支持部材を前記出力軸と共に備えて構成される歯車ユニットと、その歯車ユニットを挿通可能な開口とその開口に連続して前記歯車ユニット及び前記ウォームを収容する収容空間とが形成された収容部材とを備えており、前記中間歯車を構成する少なくとも一方の歯車は、前記被駆動歯車で構成されている。
【0016】
請求項6記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1から5のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構と同様に作用する上、モータの回転力は、モータに連結されたウォームを介して、そのウォームに噛合可能な歯形が外周に設けられた第1歯車に伝達され、更に、中間歯車によって所定の速比に変換された後に出力軸から出力される。ここで、歯車ユニットは、中間歯車と第1歯車と出力軸とが支持部材に支持されてユニット化される。このユニット化された歯車ユニットは、収容部材の開口に挿通されて収容空間に配置される。また、中間歯車を構成する少なくとも一方の歯車は、被駆動歯車で構成されているので、所定の変速比に変換される過程で生じるバックラッシュを除去することができる。
【0017】
請求項7記載のバックラッシュ除去機構は、請求項1から6のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構において、前記回転歯車の軸方向の幅は、前記固定歯車の軸方向の幅以下の厚さに構成されている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明のバックラッシュ除去機構を搭載した小型ウォーム併用ギヤードモータ(以下、ギヤードモータと略す)1の外観を示した正面図である。なお、図1においては、理解の容易のために、ウォーム10に噛合されるハスバ歯車11、並びに、複数の平歯車で形成される小歯車(駆動歯車)12,14,16及び大歯車(被駆動歯車)13,15,17は、ピッチ円を2点鎖線で示している。また、図中のA〜Dで示す各点は、歯車11〜17の回転軸線を示す仮想線を軸視したものである。
【0019】
ギヤードモータ1は、モータ2から供給される回転トルクを増幅して出力軸3から出力する装置である。このギヤードモータ1は、ケース4を備えており、そのケース4の側面には、出力軸3を回転させる回転トルクを供給するモータ2が間座5を介してねじ止めで固定されている。なお、モータ2に突設されたモータ軸2aには、後述するウォーム10が設けられている。
【0020】
ケース4には、正面視円形の開口4aが穿設されており、その開口4aの奥側に凹状の収容空間4b(図2参照)が開口4aに連続して形成されている。収容空間4bには、複数の歯車11〜17や出力軸3などを備えて構成された歯車ユニット6(図2参照)が配設されており、開口4aの口元側(図1の紙面垂直方向手前側)に出力軸3を挿通する穴を有して開口4aと略同一の外形に形成された蓋7が開口4aに圧入されている。
【0021】
ケース4の開口4aの周りには、ギヤードモータ1を相手部品に取り付けるための3つのボルト孔4cが設けられている。このボルト孔4cは、出力軸3と同方向に延びており、出力軸3に対して垂直に形成された取付面が相手部品の取付面に対向して配置され、相手部品に螺設されたボルト穴に3つのボルトで取り付けられる。このボルト孔4cに対する出力軸3の相対位置は、製品の開発段階において減速比が変更された場合にも同一位置となることが好ましく、ギヤードモータ1においては、歯車ユニット6に設けられる複数の歯車11〜17の速比を変更することにより、ボルト孔4cに対する出力軸3の相対位置を一定位置に固定することができる。
【0022】
次に、図2及び図3を参照して、歯車ユニット6について説明する。図2は、図1のII−ABCD−II線で切断したギヤードモータ1を展開して示した断面図である。また、図3は、図1のIII−III線におけるギヤードモータ1の断面図である。なお、図3においては、図面の理解を容易にするために、断面より奥側に配置されるモータ2、ウォーム10及びハスバ歯車11等を省略して示している。
【0023】
歯車ユニット6は、図2に示すように、ケース4の収容空間4b内に対向して配設された一対のプレート18,19と、その一対のプレート18,19を所定距離離間した位置に連結支持する円筒状の支柱25(図3参照)とを備えている。一対のプレート18,19は、正面視においてはケース4の開口4aに対して外周に一定隙間が設けられるように略円盤状に形成されている。かかる一対のプレート18,19には、出力軸3が直交して回動可能に軸支されると共に、出力軸3と略平行に第1〜第3軸芯20〜22が軸支されている。また、収容空間4bの奥側に配設される一方のプレート18の上部には穴が設けられており、その穴がケース4から突設された突起4dに嵌合することにより、歯車ユニット6が収容空間4bの所定位置に配置される。なお、出力軸3及び第1〜第3軸芯20〜22は、各プレート18,19に圧入された円筒状の軸受23a〜23hに挿通して支持されており、各軸芯20〜22の回転時の抵抗が軽減されるようになっている。
【0024】
支柱25は、図3に示すように、2枚のプレート18,19の間に設けられた筒状の部材であり、その両端部にプレート18,19がそれぞれ圧入支持されている。この支柱25は、正面視において歯車ユニット6を固定する3本の固定ビス26と略同一位置に配置されており(図1参照)、プレート18,19の外縁部に沿って3箇所に略等間隔に離間して設けられている。この3箇所に設けられた支柱25によって、一対のプレート18,19が出力軸3の軸方向に沿った両端側(図3の左右両側)から第1〜第3軸芯20〜22を支持する所定位置に配置されて、歯車ユニット6が形成される。
【0025】
支柱25の内面側には、図3に示すように、歯車ユニット6をケース4に固定するための固定ビス26が挿通されている。この固定ビス26は、支柱25の内面側に配設された円柱状に形成され、その先端側(図3の左側)にねじ山が形成されたビス部26aと、ビス部26aの他端側(図3の右側)に形成されビス部26より大径に形成されてプレート19の外面側(図3の右側)に係合する頭部26bとを備えている。
【0026】
固定ビス26のビス部26aの先端がケース4に螺着されると、ケース4に対する固定ビス26の相対位置が定められる。その相対位置が定められた固定ビス26の頭部26bがプレート19の外面側に係合することにより、プレート19は、ケース4に対する相対位置が規制される。このため、ケース4の開口4a側へプレート19が移動することがなく、固定ビス26を使用して、一対のプレート18,19を離間させないように支持して歯車ユニット6を形成させると共に歯車ユニット6をケース4に収容した状態を維持させることができる。なお、固定ビス26は、必ずしも支柱25及びプレート18,19を貫通させる必要は無く、プレート19のみを貫通してケース体4に固定するものであっても良い。即ち、固定ビスは、プレート19が収容空間4bから開口4a側へ移動することを規制するものであれば良い。
【0027】
プレート18,19に支持される出力軸3は、図2に示すように、一端部が蓋7から外側へ突出した略円柱状の部材であり、プレート18,19に軸受23a,23bを介して軸支されている。また、収容空間4bに設けられた出力軸3の端部は、小径の部位を有する段付き状に形成され、小径の端部が円筒状の軸受23bに当接して収容空間4b奥側への移動が規制されている。また、この出力軸3の略中央部には、複数の歯が外周に設けられた外歯車で形成される大歯車17が固設されており、歯車ユニット6の最終の変速段を構成している。
【0028】
更に、出力軸3には、大歯車17の配置位置より収容空間4bの開口4a側(図2の右側)に筒状のスペーサ24aが挿通されており、このスペーサ24aが大歯車17と軸受23との間に介在して、開口4a側への大歯車17(出力軸3)の移動が規制される。
【0029】
第1〜第3軸芯20〜22には、ハスバ歯車11、小歯車12,14,16及び大歯車13,15,17が設けられており、各歯車11〜17がウォーム10と共に第1変速段から第4変速段までの4つの変速段を構成している。この第1〜第4変速段によってウォーム10から入力されるモータ2の回転トルクは増幅されて出力軸3から出力される。なお、第1〜第3軸芯20〜22は、各軸芯20〜22に固設された小歯車12,14,16の軸方向に沿った一端側、又は、両端側に配設された筒状のスペーサ24b〜24fによって軸方向の配置位置が定められている。また、本実施例において、小歯車12,14,16は、圧入と加締めとをして第1〜第3軸芯に固設され、ずれなどが発生しないようになっている。
【0030】
ここで、第1〜第4変速段について具体的に説明する。第1変速段は、モータ軸2aの先端に設けられ、外周にねじ状の歯形が設けられたウォーム10と、ウォーム10の軸方向に段違いに直交する第1軸芯20に設けられてウォーム10に噛合可能な歯形が外周に設けられたハスバ歯車11とで構成されている。このウォーム10の進み角は、略6度に設定されており、ハスバ歯車11とウォーム10との歯面の摩擦抵抗により、ハスバ歯車11の回転からではウォーム10を回すことができない自動締まり(セルフロック)を生じるようになっている。
【0031】
このウォーム10の進み角は、必ずしも6度とする必要はないが、セルフロックを行わせる場合には、略2度から略6度の範囲内で設定することが好ましい。一方、ウォーム10の進み角を大きくしてセルフロックを生じさせない設定としても良い。セルフロックを生じさせない設定とする場合には、ウォームの進み角を略6.5度以上とすることが好ましい。出力軸3を直接的に動作させることができるので、出力軸3を相手部品に組み付ける際の位置調整を容易にすることができると共に、ウォームの進み角の増大に伴って動力の伝達効率を上昇させることができる。
【0032】
また、ウォーム及びハスバ歯車は、ウォームの進み角を一定間隔をあけて設定した複数種類の組み合わせを標準部品として設定し、必要に応じて所望の進み角に近いウォーム及びハスバ歯車の組み合わせを選択して使用しても良い。例えば、ウォームの進み角を2度おきに設定し、4度、6度、8度の進み角に設定したウォーム及びハスバ歯車を標準部品としても良い。標準部品の設定により、部品種類の増加を抑制しつつ多種の要求仕様に適応したギヤードモータを低コストで製造することができる。
【0033】
なお、ウォーム10は、外周面が円柱状に形成された円筒ウォームであっても、鼓形に形成された鼓形ウォームであっても良い。また、ウォーム10に噛合される歯車として、ハスバ歯車11の代わりに周方向に沿って凹状の溝が形成されたウォームホイールを使用しても良い。
【0034】
第2変速段は、ハスバ歯車11と一体的に回転可能に第1軸芯20に固設された第1小歯車12と、第2軸芯21に固設されて第1小歯車12に噛合する第1大歯車13との組み合わせで構成されている。第3変速段は、第2変速段を構成する第1大歯車13と一体的に回転可能に第2軸芯21に固設された第2小歯車14と、第3軸芯22に固設されて第2小歯車14に噛合する第2大歯車15との組み合わせで構成されている。
【0035】
最終段である第4変速段は、第3変速段を構成する第2大歯車15と一体的に回転可能に第3軸芯22に固設された第3小歯車16と、出力軸3に固設されて第3小歯車16に噛合する第3大歯車17との組み合わせで構成されている。
【0036】
このように、ギヤードモータ1には、第1変速段を構成するウォーム10及びハスバ歯車11の他に、第2〜第4変速段を構成する3組の歯車12〜17が設けられている。よって、ウォーム10及びハスバ歯車11を標準部品としつつ3組の歯車12〜17の変速比を歯数で調整することにより、出力軸3の位置を一定に保ちつつギヤードモータ1の減速比を変更することができる。
【0037】
また、被駆動歯車として機能する第1〜第3大歯車13,15,17には、駆動歯車として機能する第1〜第3小歯車12,14,16と噛み合う場合に、バックラッシュを除去するための機構が備えられている。即ち、第1大歯車13は、第2軸心21に固定される第1固定歯車13a(図右側)と、第2軸心21に回転可能に挿嵌される第1回転歯車13b(図左側)とに分割して構成されている。また、第1固定歯車13aと第1回転歯車13bとの間には、第1回転歯車13bを第1小歯車12の歯に押圧するためのコイルバネ13cが介在されている。尚、本実施例においては、弾性体としてコイルバネ13c等を使用するが、弾性体としては、かかるコイルバネ13c等に限定されるものではなく、棒状の弾性体等であっても良い。同様に、第2大歯車15は、第2固定歯車15aと第2回転歯車15bとに分割され、第2固定歯車15aと第1回転歯車15bとの間には、コイルバネ15cが介在されている。第3大歯車17は、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとに分割され、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとの間には、コイルバネ17cが介在されている。
【0038】
また、出力軸3に回転可能に挿嵌されている第3回転歯車17bの一側であって、隣接する第3固定歯車17aの反対側には、第3回転歯車17bが軸方向に移動するのを防止するための、ワッシャー17fとE形止め輪17gとが出力軸3に固定されている。第3回転歯車17bが軸方向に移動するのを防止するためには、ワッシャー17fとイーリング17gとに代えて、軸用C形止め輪、プッシューナット軸用、CS形止め輪等を出力軸3に固定するように構成しても良い。尚、第1回転歯車13bと第2回転歯車15bとの一側にも、第3回転歯車17bと同様にワッシャーとイーリングとが軸心に固定されているが、図示は省略する。
【0039】
ここで、図4を参照して、上述のように構成された第1〜第3大歯車13,15,17のうち、第3大歯車17について詳細に説明する。尚、第1大歯車13,第2大歯車15については、第3大歯車17と同様であるため、その説明は省略する。図4は、第3歯車17に第3小歯車16が作用していない状態(無負荷の状態)を示した図である。図4の(a)は、第3大歯車17の一部を拡大した拡大断面図であり、図4の(b)は、第3大歯車17の一部を拡大した拡大側面図である。
【0040】
第3大歯車17は、出力軸3に固定される第3固定歯車17a(図右側)と、出力軸3に回転可能に挿嵌される第3回転歯車17b(図左側)とに分割して構成されている。また、第3固定歯車17aと第1回転歯車17bとの間には、コイルバネ17cが介在されている。
【0041】
第3固定歯車17aは、第3小歯車16と噛合して、第3小歯車16からの駆動を出力軸3に伝達する歯車である。第3回転歯車17bは、バックラッシュを防止するための歯車である。第3固定歯車17aと、第3回転歯車17bとは、平歯車で構成されており、両歯車は略同一外形を有している。但し、第3回転歯車17bの出力軸3方向の厚さt2は、第3固定歯車17aの出力軸3方向の厚さt1より薄く構成されている。第3固定歯車17aは、第3小歯車16からの駆動を出力軸3に伝達する歯車であるため、トルクを十分に出力軸3に伝達する必要があり、その厚さt1を十分に確保する必要がある。一方、第3回転歯車17bは、バックラッシュを防止するための歯車であるため、第3小歯車16が大歯車17と噛み合う際に、第3小歯車16が第3大歯車17に及ぼす力に耐えうる厚さであれば良いからである。従って、第3固定歯車17aの厚さを確保すれば、第3回転歯車17bの厚さの調整によって、コンパクトに本機構を搭載することができる。また、第3固定歯車17aの厚さt1と第3回転歯車17bの厚さt2とを同等に構成しても良い。かかる場合には、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとの部材を共通化することができ、汎用性を得ることができる。
【0042】
コイルバネ17cは、弾性力を利用して、第3回転歯車17bを第3小歯車16の歯16aに押圧させるためのものである。図4(b)に示すように、第3大歯車17の第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとは、無負荷状態では、半歯程度の位相差を有するように構成されている。コイルバネ17cは、その状態おいて、固定歯車17aと第3回転歯車17bとを貫通する貫通孔17dに設置されている。
【0043】
コイルバネ17cを設置する貫通孔17dは、無負荷の状態で半歯程度の位相差を有する第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを、出力軸3と略平行に貫通している。よって、その貫通孔17dに設置されるコイルバネ17cも出力軸3と略平行に設置されることになる。貫通孔17dの両端部は、断面視テーパー状に構成されている。これは、コイルバネ17cを貫通孔17dの内部に固定するための突起17eを形成するためのものである。突起17eは、貫通孔17dの両端部から、最大径部分が貫通孔17dの直径より大きいテーパー状になるように、プレス加工によって施される。プレス加工によって押しのけられた部分は、貫通孔17dの両端部に、貫通孔17dの内周面から内側に向かって突出する突起17eを形成する。
【0044】
このように、貫通孔17dの内部に収納されるコイルバネ17cは、突起17eによって、その両端部が固定される。従って、従来のように、フック状に形成されたコイルバネの両端を係止する小孔を歯車の所定の位置に穿設し、その小孔にコイルバネの両端を係止させるという手間のかかる工程が不要となり、簡易にコイルバネ17cを設置することができる。
【0045】
次に、図5を参照して、上述のように構成された第3大歯車17と、その第3大歯車17と噛合する第3小歯車16とによって、バックラッシュを除去する作用について説明する。図5は、無負荷状態にある第3大歯車17(図4参照)に対し、その第3大歯車17に第3小歯車16が噛合した状態を示す図である。図5の(a)は、第3大歯車17の一部を拡大した拡大断面図であり、図5の(b)は、第3大歯車17の一部を拡大した拡大側面図である。
【0046】
図4(b)で示したように、第3大歯車17の第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとは、無負荷状態では、半歯程度の位相差を有するように構成されている。このように構成された第3大歯車17に、時計回り(反矢印Z方向)に回転する第3小歯車16が噛合すると、このときの第3小歯車16の歯16aの噛合力をうけて、第3回転歯車17bの歯17fは、第3固定歯車17aの歯17gと一致する方向(反矢印Y方向)に移動する。即ち、当初、第3回転歯車17bの歯17fは、第3固定歯車17aの歯17gに対して半歯車程度の位相差を有するが、第3小歯車16の噛合力によって、その位相差を減少させる方向に移動する。この状態では、図5(b)に示すように、コイルバネ17cは、一致していた状態から円周方向を示す反矢印X方向に移動する。
【0047】
このように、第3小歯車16との噛合によって第3回転歯車17bの歯17fが、第3固定歯車17aの歯17gと一致する方向に移動すると、コイルバネ17cの弾性力によって、第3回転歯車17bの歯17fを、最初の位相差に回復させようとする。即ち、第3回転歯車17bの歯17fは、コイルバネ17cによって矢印Y(矢印X)方向に付勢される。従って、第3小歯車16の歯16aは、隣接する第3固定歯車17aの歯17gと、矢印Y方向に付勢されている第3回転歯車17bの歯17fとに挟まれ、がたつきのない噛合状態となり、このことによってバックラッシュを除去することができる。
【0048】
以上説明したように、第3大歯車17と第3小歯車16との噛合においてバックラッシュを除去することができる上、コイルバネ17cは、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを、出力軸3と略平行に貫通する貫通孔17dに設置されるので、コイルバネ17cを設置するための空間を形成する場合には、第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを重ね合わせ、その重ね合わせた第3固定歯車17aと第3回転歯車17bとを貫通する貫通孔17dを同時に形成すれば良い。従って、従来のように重ね合わせた両歯車内にコイルバネ17dを埋め込む空間を形成する場合に比較して、構造を簡略化することができる。また、各歯車ごとにコイルバネ17cを設置するための孔を形成する場合に比較して、製造工程を削減でき、低コストでバックラッシュ除去機構を形成することができる。
【0049】
次に、図6を参照して、モータ2に連結されるウォーム10の支持構造について説明する。図6は、モータとウォームとの連結部を断面視して示した図である。なお、図6においては、図面の理解の容易のために、歯車ユニット6を省略して示している。
【0050】
モータ軸2aの先端部には、モータ軸2aに回転軸を一致させてウォーム10が連結固定されている。ウォーム10は、モータ2から離れた側の外周にねじ状の歯形が設けられている。また、モータ2に近い側の外周は、平滑に形成されており、その外側にころがり軸受31が設けられている。
【0051】
ころがり軸受31は、一般的な深溝玉軸受であり、環状に形成されてウォーム10の外面に固定された内輪31aと、その内輪31aの外周面に沿って回転自在に球状に形成された複数の回転体31bと、その回転体31bの外側に配設されて内輪31aに対して回転自在に連結される外輪31cとを備えている。このころがり軸受31は、外輪31cがケース4やモータ2の一部に当接した状態であっても、回転体31bが回転することにより内輪31aは、少ない抵抗で回転可能となる。
【0052】
ケース4におけるモータ2が固定された一側面には、段付きの円筒状に穿設されたモータ軸穴4eが設けられており、モータ軸穴4eの内側にウォーム10及びころがり軸受31が配設されている。モータ軸穴4eには、その段差部4fにころがり軸受31の外輪31cのみが、ウォーム10の軸方向に沿って対向するようになっている。即ち、モータ軸穴4eに設けられた段差部4fの高さは、ころがり軸受31の外輪31cに対向し、内輪31aには対向しない高さに形成されている。このため、ウォーム10がその軸方向に沿ってモータ2から離間する場合、段差部4fに外輪31cが当接してウォーム10の移動が規制される。
【0053】
また、ころがり軸受31よりモータ2側には、鋼で形成された環状のワッシャー32が、ころがり軸受31とモータ2との間に配設されている。このワッシャー32は、モータ軸穴4eの段差部4fの高さと略同一の幅を設けて形成されており、その段差部4fと同様にころがり軸受31の外輪31cのみが対向する。このため、ウォーム10が軸方向に沿ってモータ2側へ近づく場合には、ワッシャー32に外輪31cが当接してウォーム10の移動が規制される。
【0054】
ここで、一般に、モータは、モータ軸の軸方向に沿った力が入力された場合に破損しやすく、その軸方向に沿った入力荷重を少なくすることが好ましい。しかし、ウォームギヤを使用したギヤードモータにおいては、ウォームからハスバ歯車などに伝達される回転力は、その方向が変換されて、ウォームの軸方向に沿ったものとなる。このウォームの軸方向に沿った力(推力)が直接的な反力としてウォームに加えられるので、ウォームギヤを有するギヤードモータに用いるモータへの要求性能が高められ、高価なモータを使用しなければならなかった。
【0055】
この問題に対処する方法として、ウォームの軸方向の移動を規制する部材を設けてモータへの入力荷重を軽減させることも考えられるが、モータから入力された回転トルクがロスしやすく、モータの回転に対する出力効率が低下してしまうという問題点があった。また、ウォームとハスバ歯車との噛合は接触力が高く、モータの軸に推力がかかるので、モータの出力効率を顕著に低下させると共に、モータの寿命が著しく短命になっていた。
【0056】
これに対し、ギヤードモータ1は、ウォーム10に連結されるころがり軸受31の外輪31cが段差部4e又はワッシャー32に当接することにより、ウォーム10に連結されるモータ軸2aに加えられる軸方向(スラスト方向)の力を軽減することができる。よって、低性能で安価なモータ2をギヤードモータ1に使用することができる。また、外輪31cは、ウォーム10に回転体31bを介して回転自在に連結されているので、段差部4e又はワッシャー32に外輪31cの移動が規制された状態におけるウォーム10の回転ロスを少なくして、モータ2の回転をより高効率で出力軸3に伝達することができる。
【0057】
なお、ころがり軸受31は、必ずしも深溝玉軸受で構成する必要は無く、回転軸に平行なスラスト荷重を受けても回転摩擦を生じさせないものであれば良い。例えば、円筒ころ軸受などのラジアル軸受であっても良く、又は、一般に用いられるスラスト軸受であっても良い。また、ワッシャー32は、必ずしも設ける必要はなく、間座5やモータ2の一部をころがり軸受31の外輪31cに対向させ、その外輪31cの移動を規制させるものであっても良い。
【0058】
次に、図6及び図7を参照してモータ2とケース4とを連結する間座5について説明する。図7は、図1の矢印V方向から見た間座5を示した図である。
【0059】
モータ2には、図6に示すように、モータ2の位置を固定するための取付穴が、モータ軸2を中心とした上下2箇所に設けられている。この取付穴にモータ2を固定するための固定ビス27が螺着されることにより、モータ2は間座5に固定される。
【0060】
間座5は、一枚の金属板で略矩形状に形成されており、多種のモータをケース4に固定するための部材である。この間座5には、図7に示すように、その外縁に沿った四隅に間座5をケース4に固定するための固定ビス28を挿通する固定穴5fが設けられると共に、その略中央部にモータ軸2を挿通する軸穴5aが設けられている。
【0061】
間座5の軸穴5aを中心とした上下2箇所には、図7に示すように、軸穴5aを中心に放射状に穿設された固定穴5b,5cが設けられている。この固定穴5b,5cは、モータ2と間座5とを固定するためのものである。モータ2に設けられる取付穴は、一般に、軸穴5aを中心に周方向に沿って所定の角度を隔てて略等間隔に配設されており、モータの容量に応じて軸穴5aからの距離が異なって形成されるものである。即ち、容量の大きなモータほど軸穴5aから離間した位置に取付穴が設けられ、容量の小さいモータは、軸穴5aに近い位置に取付穴が設けられるのである。本実施例の間座5には、固定穴5b,5cが軸穴5aを中心とした放射状に穿設されているので、容量の大小に関わらず多種のモータに間座5を適合させることができる。
【0062】
また、間座5には、その固定穴5bに対し、軸穴5aを中心とする周方向に沿って略120度の角度を隔てた2箇所に固定穴5d,5eが設けられている。つまり、軸穴5aの周りには、略180度の角度を隔てた2箇所に固定穴5b,5cが設けられると共に、略120度の角度を隔てた3箇所に固定穴5b,5d,5eが設けられるのである。メーカや種類に依っては、必ずしも略180度の角度を隔てた2箇所にモータ2の取付穴が配置されるものでなく、異なる角度で離間して配置されることもある。間座5には、モータ軸に対して略180度の角度を隔てた位置に取付穴を有するモータであっても、略120度の角度を隔てた位置に取付穴を有するモータであっても間座5を適合させることができる。
【0063】
このように、1の間座を多種のモータに適合させることができるので、減速比などの仕様に基づいて決定される複数種類のモータの取付穴に合わせてわざわざ固定穴を設ける必要がなく、少ない部品種類にして型費を低減することができる。なお、間座5に設けられる固定穴の配置間隔は、必ずしも120度と180度に限定されるものでなく、60度や90度などの別の角度に設定されても良い。
【0064】
以上説明したように、また、ギヤードモータ1には、第1変速段を構成するウォーム10及びハスバ歯車11の他に、第2〜第4変速段を構成する3組の歯車12〜17が設けたので、ウォーム10及びハスバ歯車11を標準部品としつつ3組の歯車12〜17の変速比を歯数で調整することにより、出力軸3の位置を一定に保ちつつギヤードモータ1の減速比を変更することができる。また、第2〜第4変速段の調整時に軸芯20〜22の位置変更が必要な場合であっても、円盤状のプレート18,19に穿設される軸受固定用の穴位置を変更すれば良く、ギヤードモータ1の構成部品のうち最も型費が高いケース4は同一形状のまま多種の減速比に対応させることができる。
【0065】
更に、ハスバ歯車11と第2〜第4変速段を構成する3組の歯車12〜17と、各歯車11〜17が固設された軸芯20〜22及び出力軸3を支持するプレート18,19等で形成される歯車ユニット6を挿通可能な開口4aがケース4に設けられているので、予め各部材の配置位置を調整して歯車ユニット6を形成した状態で、ケース4に収容することができる。よって、限られた作業スペースしかとれないケース4の収容空間4aに個別に軸芯20〜22や歯車11〜17などを設ける場合に比較して組み付け時の作業性を向上することができる。
【0066】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0067】
例えば、上記各実施例では、コイルバネを設置する貫通孔を1つの被駆動歯車に関し、互いに対峙する位置に2つ設けたが、コイルバネを設置するための貫通孔は、かかる位置または数に限定されるものでなく、3個を等配状に配置してもよく、1個又は4個以上であっても良い。かかる場合には、各所において、バックラッシュ効果を均等に得ることができる。
【0068】
また、本実施例では、1つの貫通孔に1つのコイルバネを設置する場合について説明したが、1つの貫通孔に設置されるコイルバネは1つに限定されるものではない。例えば、大径の第1のコイルバネの内部に小径の第2のコイルバネを挿嵌するように、1つの貫通孔に複数のコイルバネを設置するようにしても良い。これによれば、バックラッシュ除去のための圧力を増加させたい場合に、新たなコイルバネを設置するための新なた貫通孔を設ける必要はなく、既設のコイルバネに他のコイルバネを組み合わせれば良く、容易にバックラッシュ除去のための圧力を増加させることができる。
【0069】
また、本実施例では、本発明のバックラッシュ除去機構を搭載した装置として、小型ウォーム併用ギヤードモータについて説明した。しかし、本発明のバックラッシュ除去機構を搭載した装置としては、かかる小型ウォーム併用ギヤードモータに限定されるものではない。例えば、本実施例におけるウォームに代えて、モータの出力軸に小型歯車で構成されるモーターピニオンを連結し、その出力を中間歯車を介して出力軸に伝達する小型ギヤードモータに搭載しても良く、歯車機構を搭載する装置であれば如何なる装置であっても良い。
【0070】
また、第1〜第3軸芯20〜22と、各軸芯20〜22にそれぞれ支持される各歯車11〜17と、各軸芯20〜22に挿通されるスペーサ24b〜24fとが別部品で構成されているが、必ずしも別部品で形成する必要は無く、一体で形成されるものであっても良い。例えば、スペーサと軸芯とを一体で形成した軸部材に歯車を固設しても良く。或いは、スペーサと軸芯と歯車とを一体的に形成しても良い。
【0071】
また、上記実施例では、各変速段を構成する小歯車12,14,16,51,53,61及び大歯車13,15,17,52,54,62を平歯車で形成したが、必ずしも各歯車を平歯車で形成する必要はなく、少なくとも一部の変速段を構成する各歯車をハスバ歯車で形成しても良く、全ての歯車をハスバ歯車で形成しても良い。ギヤードモータの駆動時に発生する音が小さくなり、音圧などの規制が設けられた部品に適したギヤードモータを提供することができる。
【0072】
【発明の効果】請求項1記載のバックラッシュ除去機構によれば、被駆動歯車が駆動歯車と噛合すると、弾性体が、駆動歯車によって前記固定歯車と回転歯車との位相差を変化させる方向に働く噛合力に反発して、位相差を回復させる方向に固定歯車又は回転歯車を付勢する。よって、バックラッシュを防止することができる。また、弾性体は、固定歯車と回転歯車とを、回転軸と略平行に貫通する貫通孔に設置されるので、弾性体を設置するための空間を形成する場合には、固定歯車と回転歯車とを重ね合わせ、その重ね合わせた固定歯車と回転歯車とを貫通する貫通孔を同時に形成すれば良い。従って、重ね合わせた両歯車内に弾性体を埋め込む空間を形成する場合に比較して、構造を簡略化することができる。また、各歯車ごとに弾性体を設置するための孔を形成する場合に比較して、製造工程を削減でき、低コストでバックラッシュ除去機構を形成することができるという効果がある。
【0073】
請求項2記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1記載のバックラッシュ除去機構の奏する効果に加え、被駆動歯車に穿設された複数個の貫通孔は、等配状に配置されるので、各所において均等にバックラッシュ効果を発揮させることができるという効果がある。
【0074】
請求項3記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1又は2に記載のバックラッシュ除去機構の奏する効果に加え、弾性体の一端は、突起によって固定され、貫通孔の内部に設置される。よって、貫通孔に弾性体を設置する場合であっても、貫通孔に弾性体を安定して設置することができるという効果がある。
【0075】
請求項4記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1から3のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構の奏する効果に加え、突起は、前記貫通孔の端部をプレス加工して形成される。よって、弾性体を固定するための突起を、新たに溶接等によって形成する場合に比べ、容易に形成することができるという効果がある。
【0076】
請求項5記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1から4のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構の奏する効果に加え、弾性体は、コイルバネによって構成されている。よって、安価な部品でバックラッシュ除去機構を構成することができ、製造コストを削減することができるという効果がある。
【0077】
請求項6記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1から5のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構の奏する効果に加え、中間歯車によってウォームに噛合される第1歯車の回転力が所定の速比で出力軸に伝達されるので、モジュールや条数が一定に設定されたウォームを使用する場合であっても、中間歯車の速比を調整することにより、出力軸の位置を一定に保ちつつ減速比を変更することができるという効果がある。また、第1歯車と中間歯車とが支持部材によって支持されるので、減速比の変更時に中間歯車及び第1歯車の回転軸を移動させても歯車ユニットを収容する収容部材の形状は変更する必要がなく、収容部材の型費を低減してギヤードモータを低コストで製造することができる。更に、第1歯車と中間歯車と出力軸とを備えて構成された歯車ユニットが挿通可能な開口が収容部材に設けられているので、予め各部材の配置位置を調整して歯車ユニットを形成した状態で、収容部材に収容することができる。よって、限られた作業スペースしかとれない収容部材の収容空間に個別に中間歯車や第1歯車を設ける場合に比較して組み付け時の作業性を向上することができるという効果がある。更に、小型ウォーム併用ギヤードモータにおけるバックラッシュを防止することができるという効果がある。
【0078】
請求項7記載のバックラッシュ除去機構によれば、請求項1から6のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構の奏する効果に加え、回転歯車の軸方向の幅は、固定歯車の軸方向の幅以下の厚さに構成されている。固定歯車は駆動を伝達する歯車であるのに対し、回転歯車はバックラッシュを防止するための歯車であるため固定歯車に必要とされるトルクは回転歯車には不要である。よって、回転歯車の軸方向の幅を固定歯車の軸方向の幅より薄く構成した場合には、省スペースでバックラッシュ除去機構を構成することができる。また、回転歯車の軸方向の幅と固定歯車の軸方向の幅とを同等にした場合には、両部材を共通化することができ、汎用性を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるバックラッシュ除去機構を搭載した小型ウォーム併用ギヤードモータの正面図である。
【図2】図1のII−ABCD−II線における小型ウォーム併用ギヤードモータの展開断面図である。
【図3】図1のIII−III線における小型ウォーム併用ギヤードモータの断面図である。
【図4】第3大歯車に小歯車が作用していない状態(無負荷の状態)を示した図である。図
【図5】第3大歯車17に小歯車が噛合した状態を示した図である。
【図6】モータとウォームとの連結部を断面視して示した図である。
【図7】図1の矢印V方向から見た間座を示した図である。
【図8】従来のバックラッシュ除去機構を説明するための図である。
【符号の説明】
2 モータ
3 出力軸
4 ケース(収容部材)
4a 開口
4b 収容空間
4e 段差部(対向部の一部)
5 間座
6 歯車ユニット
10 ウォーム
11 ハスバ歯車(第1歯車)
12,14,16,51,53,61 小歯車(中間歯車の一部)
13,15,17,52,54,62 大歯車(中間歯車の一部)
17a 第3固定歯車(固定歯車)
17b 第3回転歯車(回転歯車)
17c コイルバネ(弾性体)
17d 貫通孔
17e 突起
18 プレート(支持部材の一部)
Claims (7)
- 回転軸に固定される固定歯車と、前記回転軸に遊嵌される回転歯車とに分割して構成され、且つ、前記固定歯車と回転歯車とが、予め所定の位相差を有するように構成される被駆動歯車と、その被駆動歯車に噛合する駆動歯車とを備えたバックラッシュ除去機構において、
前記被駆動歯車に前記駆動歯車が噛合した場合に、前記駆動歯車によって前記固定歯車と回転歯車との前記位相差を変化させる方向に働く噛合力に反発して、前記位相差を回復させる方向に前記固定歯車又は回転歯車を付勢する弾性体と、その弾性体を設置するために、前記固定歯車と前記回転歯車とを、前記回転軸と略平行に貫通する貫通孔とを備えていることを特徴とするバックラッシュ除去機構。 - 前記被駆動歯車には、複数個の貫通孔が等配状に穿設されていることを特徴とする請求項1に記載のバックラッシュ除去機構。
- 前記弾性体の一端を固定するために、前記貫通孔の端部には、前記貫通孔の内周面から内側に向かって突出する突起が突設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバックラッシュ除去機構。
- 前記突起は、前記貫通孔の端部をプレス加工して形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構。
- 前記弾性体は、コイルバネによって構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構。
- モータと、外周にねじ状の歯形が設けられ前記モータに連結されるウォームと、そのウォームを介して入力される前記モータの回転力を出力する出力軸と、前記ウォームの回転軸に段違いに交差すると共に前記出力軸に略平行な回転軸を有し、前記ウォームに噛合可能な歯形が外周に設けられた第1歯車と、その第1歯車に略平行な回転軸を有すると共に外周に歯形が設けられて前記第1歯車の回転力を所定の速比で出力軸に伝達する少なくとも1組以上の中間歯車と、その中間歯車と前記第1歯車とを支持する支持部材を前記出力軸と共に備えて構成される歯車ユニットと、その歯車ユニットを挿通可能な開口とその開口に連続して前記歯車ユニット及び前記ウォームを収容する収容空間とが形成された収容部材とを備えており、
前記中間歯車を構成する少なくとも一方の歯車は、前記被駆動歯車で構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構。 - 前記回転歯車の軸方向の幅は、前記固定歯車の軸方向の幅以下の厚さに構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のバックラッシュ除去機構。
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