JP2004084594A - ベーンポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】カバー側のオイルシールに高圧が作用しないベーンポンプを提供することである。
【解決手段】ロータ20のボディ側側面22から漏れた圧油を、シャフト10の周囲からドレン通路18に導くベーンポンプにおいて、上記シャフト10を貫通させたロータ20の貫通孔20aの内周又はシャフト10の外周に、ロータ20のボディ側側面22とカバー側側面23とを連通させる逃げ溝21を形成するとともに、この逃げ溝21によって、カバー側側面23に漏れた圧油を、シャフト10の周囲を介してドレン通路18に導く構成にした。
【選択図】 図1
【解決手段】ロータ20のボディ側側面22から漏れた圧油を、シャフト10の周囲からドレン通路18に導くベーンポンプにおいて、上記シャフト10を貫通させたロータ20の貫通孔20aの内周又はシャフト10の外周に、ロータ20のボディ側側面22とカバー側側面23とを連通させる逃げ溝21を形成するとともに、この逃げ溝21によって、カバー側側面23に漏れた圧油を、シャフト10の周囲を介してドレン通路18に導く構成にした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内部リークを逃がすためのドレン通路を備えたベーンポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に示す従来のベーンポンプば、ボディ1に収納穴2を形成するとともに、この収納穴2にサイドプレート3を組み込んでいる。また、この収納穴2には、楕円形の内壁を持つカムリング4を組み込むとともに、このカムリング4内にはロータ5を設けている。このロータ5には、出没自在に複数枚のベーン6を放射状に組み込んでいる。そして、上記サイドプレート3、カムリング4、ロータ5、及びベーン6を組み込んだ状態で、収納穴2の開口部をカバー7によって塞いでいる。
【0003】
上記ボディ1には軸穴8を形成し、カバー7には軸穴9を形成している。上記軸穴8のカバー7と反対側の開口部分にはベアリング11を組み込み、上記軸穴9の内周にはブッシュ12を組み込んでいる。そして、これらベアリング11とブッシュ12とによって、シャフト10を回転自在に支持している。
上記シャフト10は、ボディ1とカバー7とを貫通させているが、ロータ5に形成した貫通孔5aも貫通させている。そして、このロータ5を貫通させたシャフト10の外周及び貫通孔5aの内周にスプラインを形成し、ロータ5とシャフト10とをスプライン結合している。したがって、シャフト10が回転すればロータ5も一体となって回転する。
【0004】
上記ボディ1内には、オイルシール13を組み込んでいる。また、カバー7内にもオイルシール14を組み込んでいる。そして、これらオイルシール13,14によって、シャフト10の周囲をシールするようにしている。なお、上記のようにオイルシール13,14をシャフト10の両側に設けたのは、シャフト10の両端が、ボディ1及びカバー7を貫通しているからである。
また、ボディ1から突出させたシャフト10の端部10aには、プーリ15aを固定するとともに、このプーリ15aに図示していないベルトを介してエンジンなどの駆動源を連結するようにしている。また、カバー7から突出させたシャフト10の端部10bにもプーリ15bを固定し、このプーリ15bにコンプレッサーなどを連結するようにしている。
【0005】
次に、この従来のベーンポンプの作用を説明する。
図示していない駆動源によってシャフト10を回転させると、ロータ5も回転する。ロータ5が回転すると、このロータ5に組み込んだベーン6が遠心力によってロータ5から突出する。そして、このロータ5から突出したベーン6の先端が、カムリング4の内壁に押し付けられることによって、各ベーン6間に独立した室が形成される。これら室の容積というのは、楕円形のカムリング4の内壁面に沿ってベーン6が出入りすることで変化する。
【0006】
そして、室の容積が拡大する行程においては、その室に油が吸い込まれる。また、室の容積が収縮する行程においては、その室から油が吐出される。つまり、ロータ5の回転に応じて、室が吸い込み行程と吐出行程とを繰り返す。このように室が吸い込み行程と吐出行程とを繰り返すことによって、ボディ1内に形成した高圧室16に高圧の油が吐出される。高圧室16に吐出された高圧油は、図示していない通路を通って外部に吐出される。
【0007】
上記したように、ロータ5が回転することによって高圧の油が吐出されるが、この高圧の油は、各摺動箇所の微少隙間等により、どうしてもロータ5の両側に漏れてしまう。そこで、ロータ5のサイドプレート3側の側面に漏れた油を、シャフト10の周囲の隙間17に沿ってオイルシール13側に導き、ドレン通路18を介してバイパス通路19に戻すようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一方、ロータ5のカバー7側の側面から漏れた油は、シャフト10とブッシュ12との隙間を介してオイルシール14側に導かれる。このオイルシール14側に導かれた圧油は、上記のようなドレン通路がないために、そこに圧力が残留してしまう。そして、この残留した圧力がオイルシール14に作用すると、そのメインリップがシャフト10に強く押し付けられることにより、その摩耗が激しくなる。つまり、ロータ5のカバー7側側面から漏れる圧油のために、オイルシール14の製品寿命が短くなるという問題があった。
この発明の目的は、カバー側のオイルシールに高圧が作用しないベーンポンプを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、ボディ内に設けたカムリングと、このカムリング内に回転自在に組み込んだロータと、このロータの周囲に突出自在に組み込んだ複数のベーンと、ボディの側面に固定したカバーと、上記ボディ、カバー及びロータを貫通するとともに、外周にロータを固定したシャフトと、ボディに組み込むとともに上記シャフトの外周をシールするボディ側シールと、上記カバーに組み込むとともにシャフトの外周をシールするカバー側シールと、ボディ内に形成したドレン通路とを備え、上記ロータのボディ側側面から漏れた圧油を、シャフトの周囲からドレン通路に導くベーンポンプにおいて、上記シャフトを貫通させたロータの貫通孔の内周又はシャフトの外周に、ロータのボディ側側面とカバー側側面とを連通させる逃げ溝を形成するとともに、この逃げ溝によって、カバー側側面に漏れた圧油を、シャフトの周囲を介してドレン通路に導く構成にしたことを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、ロータの貫通孔の内周またはシャフトの外周に、複数の逃げ溝を周方向等間隔に配置したことを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、ロータとシャフトとをスプライン結合するとともに、ロータまたはシャフトに形成したスプラインの一山又は複数山削除して、その削除したスペースを逃げ溝としたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に示すこの発明の一実施形態は、ロータ20の形状に特徴を有するものであり、その他の構成要素については前記従来例と全く同じである。したがって、以下では、ロータ20の構成を中心に説明し、従来と同じ構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
なお、この実施形態におけるオイルシール13がこの発明のボディ側シールに相当し、オイルシール14がこの発明のカバー側シールに相当する。
【0013】
図1に示すように、カムリング4内にはロータ20を回転自在に設けている。このロータ20の貫通孔20aには、シャフト10を貫通させている。そして、ロータ20を貫通させたシャフト10の外周にスプラインSaを形成している。また、図2に示すように、ロータ20の貫通孔20aの内周にもスプラインSbを形成している。ただし、このロータ20側のスプラインSbは、貫通孔20aの内周全域に形成せずに、図3に示すように、スプライン山を一山分だけ削除している。そして、この削除した部分に対向するスプライン山も、一山分だけ削除している。つまり、スプライン山を2箇所削除している。
【0014】
このようにスプライン山を部分的に削除したロータ20の貫通孔20aに、シャフト10を挿入すると、これら両者がスプライン結合される。ただし、図4に示すように、スプライン山を削除した部分には、この発明の逃げ溝に相当するスペース21,21が形成される。これらスペース21、21は、ロータ20とシャフト10との間に軸線方向に形成されている。したがって、これらスペース21,21を介してロータ20のボディ側側面22とカバー側側面23とが連通する。
【0015】
上記のようにロータ20のボディ側側面22とカバー側側面23とを連通させたので、カバー側側面23に漏れた圧油は、スペース21,21を介してボディ側側面22に導かれる。そして、このボディ側側面22に導かれた圧油は、シャフト10の周囲の隙間17を介してドレン通路18に導かれる。つまり、カバー側側面23に漏れた圧油は、オイルシール14側に残留することなく、ドレン通路18を介してタンク側に排出される。
したがって、オイルシール14に高圧が作用することがなく、残留した圧油の影響で、オイルシール14のメインリップの摩耗が激しくなるという従来の問題を防止することができる。
【0016】
また、上記実施形態では、圧油を逃がすためのスペース21を、ロータ20の内周に二箇所形成しているが、このスペース21は1箇所でもよいし、三箇所以上でもよい。ただし、複数の箇所に逃げ溝であるスペース21を設ける場合には、その位置を貫通孔20aの内周等間隔に配置するとよい。等間隔にスペース21を配置すれば、シャフト10やロータ20に作用する圧力がバランスするとともに、ロータ20の質量による遠心力もバランスするため、シャフト10やロータ20に対する偏荷重を防止することができる。すなわち、シャフト10やロータ20に偏荷重が作用すると、それが騒音や振動の原因となるが、上記のように等間隔に逃げ溝を配置すれば、そのような不都合が生じない。
【0017】
また、上記実施形態では、ロータ20のスプライン山を削除してスペース21を形成しているが、シャフト10側のスプライン山を削除してスペース21を形成してもよい。ただし、シャフト10のスプラインSaは、切削加工によって形成しているので、金型で製造するロータ20側のスプライン山を削除した方がコストがかからない。なぜなら、金型の段階において予めスプライン山を一山削除しておけば、ロータについてはスプライン山を切削加工する必要がないからである。
【0018】
さらに、この実施形態では、スプライン山を削除することによってこの発明の逃げ溝であるスペース21を形成しているが、スプライン山を削除する変わりに、ロータの内周またはシャフトの外周に凹部を直接形成して、それを逃げ溝としてもよい。この場合でも、ロータ20のカバー側側面23に漏れた圧油を、ドレン通路側に逃がすことができる。
【0019】
【発明の効果】
第1の発明によれば、シャフトを貫通させたロータの貫通孔の内周又はシャフトの外周に、ロータのボディ側側面とカバー側側面とを連通させる逃げ溝を形成するとともに、この逃げ溝によって、カバー側側面に漏れた圧油を、シャフトの周囲を介してドレン通路に導く構成にしたので、カバー側シール側に漏れた圧油が残留しない。
したがって、カバー側シールにに高圧が作用することがなく、カバー側シールのメインリップの摩耗が激しくなるという従来の問題を防止することができる。
【0020】
第2の発明によれば、ロータの内周またはシャフトの外周に、複数の逃げ溝を周方向等間隔に配置したので、ロータやシャフトに作用する圧力及びこれらロータやシャフトの質量による遠心力がバランスする。したがって、ロータやシャフトに偏荷重が作用することがなく、騒音や振動の発生を防止することができる。
【0021】
第3の発明によれば、ロータとシャフトとを結合するためのスプライン山の一部を削ることによって逃げ溝を形成しているので、特別な加工を施す場合に比べて加工コストを安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の断面図である。
【図2】ロータ20の側面図である。
【図3】ロータ20のIII−III線断面図である。
【図4】貫通孔20aの説明図である。
【図5】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 ボディ
4 カムリング
6 ベーン
7 カバー
10 シャフト
13 この発明のボディ側シールに相当するオイルシール
14 この発明のカバー側シールに相当するオイルシール
18 ドレン通路
20 ロータ
20a 貫通孔
21 この発明の逃げ溝に相当するスペース
22 ロータのボディ側側面
23 ロータのカバー側側面
Sa スプライン
Sb スプライン
【発明の属する技術分野】
この発明は、内部リークを逃がすためのドレン通路を備えたベーンポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に示す従来のベーンポンプば、ボディ1に収納穴2を形成するとともに、この収納穴2にサイドプレート3を組み込んでいる。また、この収納穴2には、楕円形の内壁を持つカムリング4を組み込むとともに、このカムリング4内にはロータ5を設けている。このロータ5には、出没自在に複数枚のベーン6を放射状に組み込んでいる。そして、上記サイドプレート3、カムリング4、ロータ5、及びベーン6を組み込んだ状態で、収納穴2の開口部をカバー7によって塞いでいる。
【0003】
上記ボディ1には軸穴8を形成し、カバー7には軸穴9を形成している。上記軸穴8のカバー7と反対側の開口部分にはベアリング11を組み込み、上記軸穴9の内周にはブッシュ12を組み込んでいる。そして、これらベアリング11とブッシュ12とによって、シャフト10を回転自在に支持している。
上記シャフト10は、ボディ1とカバー7とを貫通させているが、ロータ5に形成した貫通孔5aも貫通させている。そして、このロータ5を貫通させたシャフト10の外周及び貫通孔5aの内周にスプラインを形成し、ロータ5とシャフト10とをスプライン結合している。したがって、シャフト10が回転すればロータ5も一体となって回転する。
【0004】
上記ボディ1内には、オイルシール13を組み込んでいる。また、カバー7内にもオイルシール14を組み込んでいる。そして、これらオイルシール13,14によって、シャフト10の周囲をシールするようにしている。なお、上記のようにオイルシール13,14をシャフト10の両側に設けたのは、シャフト10の両端が、ボディ1及びカバー7を貫通しているからである。
また、ボディ1から突出させたシャフト10の端部10aには、プーリ15aを固定するとともに、このプーリ15aに図示していないベルトを介してエンジンなどの駆動源を連結するようにしている。また、カバー7から突出させたシャフト10の端部10bにもプーリ15bを固定し、このプーリ15bにコンプレッサーなどを連結するようにしている。
【0005】
次に、この従来のベーンポンプの作用を説明する。
図示していない駆動源によってシャフト10を回転させると、ロータ5も回転する。ロータ5が回転すると、このロータ5に組み込んだベーン6が遠心力によってロータ5から突出する。そして、このロータ5から突出したベーン6の先端が、カムリング4の内壁に押し付けられることによって、各ベーン6間に独立した室が形成される。これら室の容積というのは、楕円形のカムリング4の内壁面に沿ってベーン6が出入りすることで変化する。
【0006】
そして、室の容積が拡大する行程においては、その室に油が吸い込まれる。また、室の容積が収縮する行程においては、その室から油が吐出される。つまり、ロータ5の回転に応じて、室が吸い込み行程と吐出行程とを繰り返す。このように室が吸い込み行程と吐出行程とを繰り返すことによって、ボディ1内に形成した高圧室16に高圧の油が吐出される。高圧室16に吐出された高圧油は、図示していない通路を通って外部に吐出される。
【0007】
上記したように、ロータ5が回転することによって高圧の油が吐出されるが、この高圧の油は、各摺動箇所の微少隙間等により、どうしてもロータ5の両側に漏れてしまう。そこで、ロータ5のサイドプレート3側の側面に漏れた油を、シャフト10の周囲の隙間17に沿ってオイルシール13側に導き、ドレン通路18を介してバイパス通路19に戻すようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一方、ロータ5のカバー7側の側面から漏れた油は、シャフト10とブッシュ12との隙間を介してオイルシール14側に導かれる。このオイルシール14側に導かれた圧油は、上記のようなドレン通路がないために、そこに圧力が残留してしまう。そして、この残留した圧力がオイルシール14に作用すると、そのメインリップがシャフト10に強く押し付けられることにより、その摩耗が激しくなる。つまり、ロータ5のカバー7側側面から漏れる圧油のために、オイルシール14の製品寿命が短くなるという問題があった。
この発明の目的は、カバー側のオイルシールに高圧が作用しないベーンポンプを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、ボディ内に設けたカムリングと、このカムリング内に回転自在に組み込んだロータと、このロータの周囲に突出自在に組み込んだ複数のベーンと、ボディの側面に固定したカバーと、上記ボディ、カバー及びロータを貫通するとともに、外周にロータを固定したシャフトと、ボディに組み込むとともに上記シャフトの外周をシールするボディ側シールと、上記カバーに組み込むとともにシャフトの外周をシールするカバー側シールと、ボディ内に形成したドレン通路とを備え、上記ロータのボディ側側面から漏れた圧油を、シャフトの周囲からドレン通路に導くベーンポンプにおいて、上記シャフトを貫通させたロータの貫通孔の内周又はシャフトの外周に、ロータのボディ側側面とカバー側側面とを連通させる逃げ溝を形成するとともに、この逃げ溝によって、カバー側側面に漏れた圧油を、シャフトの周囲を介してドレン通路に導く構成にしたことを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、ロータの貫通孔の内周またはシャフトの外周に、複数の逃げ溝を周方向等間隔に配置したことを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、ロータとシャフトとをスプライン結合するとともに、ロータまたはシャフトに形成したスプラインの一山又は複数山削除して、その削除したスペースを逃げ溝としたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に示すこの発明の一実施形態は、ロータ20の形状に特徴を有するものであり、その他の構成要素については前記従来例と全く同じである。したがって、以下では、ロータ20の構成を中心に説明し、従来と同じ構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
なお、この実施形態におけるオイルシール13がこの発明のボディ側シールに相当し、オイルシール14がこの発明のカバー側シールに相当する。
【0013】
図1に示すように、カムリング4内にはロータ20を回転自在に設けている。このロータ20の貫通孔20aには、シャフト10を貫通させている。そして、ロータ20を貫通させたシャフト10の外周にスプラインSaを形成している。また、図2に示すように、ロータ20の貫通孔20aの内周にもスプラインSbを形成している。ただし、このロータ20側のスプラインSbは、貫通孔20aの内周全域に形成せずに、図3に示すように、スプライン山を一山分だけ削除している。そして、この削除した部分に対向するスプライン山も、一山分だけ削除している。つまり、スプライン山を2箇所削除している。
【0014】
このようにスプライン山を部分的に削除したロータ20の貫通孔20aに、シャフト10を挿入すると、これら両者がスプライン結合される。ただし、図4に示すように、スプライン山を削除した部分には、この発明の逃げ溝に相当するスペース21,21が形成される。これらスペース21、21は、ロータ20とシャフト10との間に軸線方向に形成されている。したがって、これらスペース21,21を介してロータ20のボディ側側面22とカバー側側面23とが連通する。
【0015】
上記のようにロータ20のボディ側側面22とカバー側側面23とを連通させたので、カバー側側面23に漏れた圧油は、スペース21,21を介してボディ側側面22に導かれる。そして、このボディ側側面22に導かれた圧油は、シャフト10の周囲の隙間17を介してドレン通路18に導かれる。つまり、カバー側側面23に漏れた圧油は、オイルシール14側に残留することなく、ドレン通路18を介してタンク側に排出される。
したがって、オイルシール14に高圧が作用することがなく、残留した圧油の影響で、オイルシール14のメインリップの摩耗が激しくなるという従来の問題を防止することができる。
【0016】
また、上記実施形態では、圧油を逃がすためのスペース21を、ロータ20の内周に二箇所形成しているが、このスペース21は1箇所でもよいし、三箇所以上でもよい。ただし、複数の箇所に逃げ溝であるスペース21を設ける場合には、その位置を貫通孔20aの内周等間隔に配置するとよい。等間隔にスペース21を配置すれば、シャフト10やロータ20に作用する圧力がバランスするとともに、ロータ20の質量による遠心力もバランスするため、シャフト10やロータ20に対する偏荷重を防止することができる。すなわち、シャフト10やロータ20に偏荷重が作用すると、それが騒音や振動の原因となるが、上記のように等間隔に逃げ溝を配置すれば、そのような不都合が生じない。
【0017】
また、上記実施形態では、ロータ20のスプライン山を削除してスペース21を形成しているが、シャフト10側のスプライン山を削除してスペース21を形成してもよい。ただし、シャフト10のスプラインSaは、切削加工によって形成しているので、金型で製造するロータ20側のスプライン山を削除した方がコストがかからない。なぜなら、金型の段階において予めスプライン山を一山削除しておけば、ロータについてはスプライン山を切削加工する必要がないからである。
【0018】
さらに、この実施形態では、スプライン山を削除することによってこの発明の逃げ溝であるスペース21を形成しているが、スプライン山を削除する変わりに、ロータの内周またはシャフトの外周に凹部を直接形成して、それを逃げ溝としてもよい。この場合でも、ロータ20のカバー側側面23に漏れた圧油を、ドレン通路側に逃がすことができる。
【0019】
【発明の効果】
第1の発明によれば、シャフトを貫通させたロータの貫通孔の内周又はシャフトの外周に、ロータのボディ側側面とカバー側側面とを連通させる逃げ溝を形成するとともに、この逃げ溝によって、カバー側側面に漏れた圧油を、シャフトの周囲を介してドレン通路に導く構成にしたので、カバー側シール側に漏れた圧油が残留しない。
したがって、カバー側シールにに高圧が作用することがなく、カバー側シールのメインリップの摩耗が激しくなるという従来の問題を防止することができる。
【0020】
第2の発明によれば、ロータの内周またはシャフトの外周に、複数の逃げ溝を周方向等間隔に配置したので、ロータやシャフトに作用する圧力及びこれらロータやシャフトの質量による遠心力がバランスする。したがって、ロータやシャフトに偏荷重が作用することがなく、騒音や振動の発生を防止することができる。
【0021】
第3の発明によれば、ロータとシャフトとを結合するためのスプライン山の一部を削ることによって逃げ溝を形成しているので、特別な加工を施す場合に比べて加工コストを安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の断面図である。
【図2】ロータ20の側面図である。
【図3】ロータ20のIII−III線断面図である。
【図4】貫通孔20aの説明図である。
【図5】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 ボディ
4 カムリング
6 ベーン
7 カバー
10 シャフト
13 この発明のボディ側シールに相当するオイルシール
14 この発明のカバー側シールに相当するオイルシール
18 ドレン通路
20 ロータ
20a 貫通孔
21 この発明の逃げ溝に相当するスペース
22 ロータのボディ側側面
23 ロータのカバー側側面
Sa スプライン
Sb スプライン
Claims (3)
- ボディ内に設けたカムリングと、このカムリング内に回転自在に組み込んだロータと、このロータの周囲に突出自在に組み込んだ複数のベーンと、ボディの側面に固定したカバーと、上記ボディ、カバー及びロータを貫通するとともに、外周にロータを固定したシャフトと、ボディに組み込むとともに上記シャフトの外周をシールするボディ側シールと、上記カバーに組み込むとともにシャフトの外周をシールするカバー側シールと、ボディ内に形成したドレン通路とを備え、上記ロータのボディ側側面から漏れた圧油を、シャフトの周囲からドレン通路に導くベーンポンプにおいて、上記シャフトを貫通させたロータの貫通孔の内周又はシャフトの外周に、ロータのボディ側側面とカバー側側面とを連通させる逃げ溝を形成するとともに、この逃げ溝によって、カバー側側面に漏れた圧油を、シャフトの周囲を介してドレン通路に導く構成にしたことを特徴とするベーンポンプ。
- ロータの貫通孔の内周またはシャフトの外周に、複数の逃げ溝を周方向等間隔に配置したことを特徴とする請求項1記載のベーンポンプ。
- ロータとシャフトとをスプライン結合するとともに、ロータまたはシャフトに形成したスプラインの一山又は複数山削除して、その削除したスペースを逃げ溝としたことを特徴とする請求項1又は2記載のベーンポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002248301A JP2004084594A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | ベーンポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002248301A JP2004084594A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | ベーンポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004084594A true JP2004084594A (ja) | 2004-03-18 |
Family
ID=32055718
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002248301A Pending JP2004084594A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | ベーンポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004084594A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109931489A (zh) * | 2019-04-08 | 2019-06-25 | 湖南机油泵股份有限公司 | 一种便于将残余油液排入油底壳的转子泵 |
-
2002
- 2002-08-28 JP JP2002248301A patent/JP2004084594A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109931489A (zh) * | 2019-04-08 | 2019-06-25 | 湖南机油泵股份有限公司 | 一种便于将残余油液排入油底壳的转子泵 |
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Legal Events
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Effective date: 20041028 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070515 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20071002 |