JP2004084571A - 内燃機関のフィルタ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルタのオール金属化を実現し、耐熱、耐久性を改善し、リサイクル、環境性を高め、フィルタ特性を最適化して、装置の汎用性を拡張する。
【解決手段】内燃機関の排気管1の一部に、多数の通気孔2を貫設し、通気孔2を覆うようにフィルタ3を被せる。フィルタ3を内周フィルタ層3Aと外周フィルタ層3Bとから構成する。内周フィルタ層3Aを嵩高加工した金属糸8を用いた金属繊維集合材で形成する。外周フィルタ層3Bを嵩高のニードルマット10を用いた金属繊維集合材で形成する。両集合材の繊維密度を相違させ、フィルタ3に管径方向の密度勾配を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】内燃機関の排気管1の一部に、多数の通気孔2を貫設し、通気孔2を覆うようにフィルタ3を被せる。フィルタ3を内周フィルタ層3Aと外周フィルタ層3Bとから構成する。内周フィルタ層3Aを嵩高加工した金属糸8を用いた金属繊維集合材で形成する。外周フィルタ層3Bを嵩高のニードルマット10を用いた金属繊維集合材で形成する。両集合材の繊維密度を相違させ、フィルタ3に管径方向の密度勾配を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気系において、消音器又は排気ガス成分除去器として用いられるフィルタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のフィルタ装置として、排気管の一部に多数の通気孔を貫設し、該排気管の一部の外周に金属繊維よりなる内周フィルタ層を配設し、その外周にグラスウールよりなる外周フィルタ層を配設し、その外周に金属よりなる外管を被せたものが知られている。この装置によれば、耐熱、耐久性に優れた金属繊維でグラスウールを内張し、高温排気ガスの脈動波によるグラスウールの劣化及び飛散を防止することができる。なお、グラスウールは安価で嵩高性がよいためフィルタの必須材料として広く用いられ、従来、フィルタ全体を金属材料で形成した装置は知られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、グラスウールは、耐熱、耐久性が不充分であるから、経年劣化した場合の廃棄物処理に問題があった。例えば、排気管、内周フィルタ層及び外管等がステンレス鋼からなるフィルタ装置の場合、これをリサイクルするには、外周フィルタ層のグラスウールだけ取り除く必要があり、リサイクル性が低く、環境対策上好ましくなかった。そこで、本発明者は、外周フィルタ層に金属ウール等を用い、フィルタ層のオール金属化を試みた。しかし、単に材料を統一しただけでは、所望の消音効果が得られなかったり、所要の排気ガス成分(要除去成分)を除去できなかったりするなど、フィルタ特性の点で問題が残った。また、材料を統一することで、排気ガスの量や濃度等の処理条件に応じてフィルタ特性を変更することが困難となり、装置の汎用性が低下するという問題点もあった。
【0004】
本発明の目的は、フィルタのオール金属化を実現し、耐熱、耐久性を改善し、リサイクル、環境性を高め、フィルタ特性を容易に最適化できて、装置の汎用性を拡張することができる内燃機関のフィルタ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のフィルタ装置は、内燃機関の排気管の一部に多数の通気孔を貫設し、通気孔を覆うフィルタを排気管の外周に設け、フィルタを嵩高加工した金属繊維集合材で形成し、フィルタの繊維密度に管径方向の勾配を設けたことを特徴とする。
【0006】
ここで、フィルタは、消音器の場合に消音層として機能し、排気ガス成分除去器の場合に排気ガス成分除去層として機能する。フィルタの構造は、特に限定されず、単層構造のものでも、2層、3層又はそれ以上の多層構造のものでもよい。嵩高加工した金属繊維集合材とは、金属繊維間に適度な空隙を有する集合材であり、その構造や加工方法は特に限定されない。例えば、金属繊維よりなる嵩高加工糸の集合材、金属繊維を嵩高に集束した索状の集合材(トウ)、嵩高の金属ウールをニードルパンチ加工したマット状の集合材等を用いることができる。多層フィルタの場合は、これらの集合材を複数組み合わせて使用することができる。
【0007】
嵩高加工糸は、金属短繊維又は金属長繊維を紡いだ紡績糸を嵩高加工したものでも、金属連続繊維よりなるフィラメント糸を嵩高加工したものでもよい。フィラメント糸の場合、例えば、繊維をジグザグ波形、正弦波形等の波形に成形する嵩高加工や、繊維に曲がりぐせをつける捲縮嵩高加工や、糸の長さ方向の各部において繊維長を不揃いにしてループを形成する構造嵩高加工等を例示できる。また、芯糸の周りにからみ糸を螺旋状に撚り合わせた嵩高加工糸や、随所にループ、リング、節等を形成したいわゆる意匠ヤーン(飾り糸)等を用いることもできる。なお、金属繊維の材質は、特に限定されないが、ステンレス鋼、クロム−ニッケル系合金、高ニッケル合金、高コバルト合金等の耐熱金属が好ましく、さらに耐食性も備えたものが好ましい。
【0008】
フィルタの繊維密度とは、フィルタに占める金属繊維の割合を意味し、この割合を単位体積あたりの金属繊維の質量又は体積で表すこともでき、単位断面積あたりの金属繊維の本数で表すこともできる。フィルタの繊維密度に勾配を設けるにあたっては、金属繊維の外径、集合材の嵩高加工率、金属糸やトウの巻回数又は巻回ピッチ等を、排気管の径方向に連続的又は段階的に変化させる手法を例示できる。単層フィルタの場合は、フィルタ内周側部分の密度を高く、外周側部分の密度を低くした態様と、その逆の態様とを例示できる。2層フィルタの場合は、内周フィルタ層の密度を高く、外周フィルタ層の密度を低くする態様と、その逆の態様とを例示できる。なお、フィルタ層の内外どちら側の密度を高く又は低くするかは、フィルタ装置の用途、設置条件、排ガス処理条件等に応じて適宜に選択される。
【0009】
多層フィルタに密度勾配を容易に付与できる点では、フィルタを繊維密度が異なる複数の金属繊維集合材で形成し、各集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管の外周に重ね巻きし、フィルタ全体の繊維密度に管径方向の勾配を設けるのが好ましい。同じ観点から、フィルタを連続する1本の金属繊維集合材で形成し、この集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管の外周に重ね巻きし、フィルタ全体の繊維密度に管径方向の勾配を設けてもよい。1本の金属繊維集合材の繊維密度に階層的序列を与えるにあたっては、例えば、嵩高加工糸やトウを巻き付けるときに、張力を強くして繊維密度を高めたり、張力を弱くして繊維密度を低くしたり、或いは、巻回ピッチを小さくして繊維密度を高くしたり、巻回ピッチを大きくして繊維密度を低くしたりするなどの手法を採用できる。
【0010】
上記密度勾配は次のような作用を奏する。
▲1▼ 消音器の場合に、フィルタの周波数−吸音特性が管径方向の各部で異なる結果、お互いに補い合って広い周波数帯域で消音効果が得られる。
▲2▼ 排気ガス成分除去器の場合に、フィルタの高密度部分が排ガス成分を効率よく捕集し、低密度部分がフィルタの目詰まりを防止する。
▲3▼ どちらの用途においても、フィルタの高密度部分が金属繊維の飛散を防止する。消音器の場合は、金属繊維が排気ガスの圧力で排気管の内側に吸引されるので、フィルタの内周側部分の密度を高くする方が、飛散防止の観点から有利である。同じ観点から、排気ガス成分除去器の場合は、排気ガスがフィルタの内から外へ流れるため、フィルタの外周側部分の密度を高くする方が有利である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5は本発明によるフィルタ装置の第一実施形態を示す。図1に示すように、内燃機関の排気管1には、その途中部分の全周に多数の通気孔2が貫設されるとともに、外周に通気孔2を覆うフィルタ3が設けられている。この実施形態のフィルタ3は内周フィルタ層3Aと外周フィルタ層3Bとから内外2層に構成され、内周フィルタ層3Aは金属糸8を用いた金属繊維集合材で形成され、外周フィルタ層3Bはニードルマット10を用いた金属繊維集合材で形成されている。そして、フィルタ3の外周に、その外周面と両端面とを覆うように外管5が被せられ、外管5の両端部はテーパ状に絞り加工されて排気管1の外周に溶接されている。
【0012】
消音器として用いるフィルタ装置は、図2(a)に示すように、排気ガスが排気管1の内側を通り抜けるように構成される。また、排気ガス成分除去器として用いるフィルタ装置は、図2(b)(c)に示すように、排気ガスを端板11でせき止めるように構成される。端板11は、外管5内を仕切る状態で排気管1の終端(外管5内で終わる)を塞ぎ、排気管1の外周側部分に多数の通気孔12を備えている。従って、排気ガス成分除去器の場合、排気ガスは排気管1の通気孔2を経てフィルタ3を通過した後、端板11の通気孔12を経て取出用の排気管4(外管5内に開口する)に取り込まれて排気される。
【0013】
内周フィルタ層3Aに用いられる金属糸8は、図3(a)に示すように、ステンレス鋼よりなる繊維径600μm程度の撚りのない芯線6の周りに、ステンレス鋼よりなる繊維径600μm程度のからみ線7を螺旋状に絡むように巻き付けて嵩高加工されている。金属糸8の直径は、からみ線7の螺旋外径であって細かく変化しているが、平均すると約2.5mm程度である。そして、金属糸8は、図3(b)に示すように、排気管1の所定長さ部分の外周に巻回され、フィルタ3の内周側部分に繊維密度が低い金属繊維集合材を構成し、該集合材によって内周フィルタ層3Aが形成されている。なお、図4(a)(b)に示すように、ジグザグ波形に嵩高加工した金属糸13を排気管1の外周に巻回して金属繊維集合材を構成し、この集合材で内周フィルタ層3Aを形成してもよい。
【0014】
外周フィルタ層3Bに用いられるニードルマット10は、図5(a)に示すように、繊維径100μm程度(金属糸8の繊維径より小さい)のステンレス鋼繊維を嵩高に集合した金属ウールをニードルパンチ加工によりマット状に形成されている。このニードルマット10は、図5(b)に示すように、内周フィルタ層3Aの外周に巻回され、フィルタ3の外周側部分に繊維密度が高い金属繊維集合材を構成し、該集合材によって外周フィルタ層3Bが形成されている。従って、この実施形態のフィルタ3は繊維密度が異なる内外2種類の金属繊維集合材で形成され、両集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管1の外周に重ね巻きすることで、フィルタ3全体の繊維密度に管径方向内側が低く外側が高い2段階の勾配が設けられている。
【0015】
なお、ニードルマット10の繊維密度は、300〜1000kg/m3が好ましく、400〜800kg/m3がさらに好ましい。金属糸8の繊維密度は100〜500kg/m3が好ましく、200〜400kg/m3がさらに好ましい。密度が高すぎると目詰まりしやすくなり、密度が低すぎると硬くて巻回等しにくくなる(また、消音器の場合に消音効果が小さくなる)。
【0016】
このように構成されたフィルタ装置によれば、フィルタ3の全体が熱酸化しにくい金属であるステンレス鋼で統一して形成されているため、耐熱、耐久性を改善し、リサイクル、環境性を高めることができる。また、内外の金属繊維集合材の繊維密度を相違させることで、フィルタ3に管径方向の密度勾配を設けたので、次の作用効果▲1▼〜▲7▼を得ることができる。
【0017】
▲1▼ 消音器の場合に、両フィルタ層3A,3Bの周波数−吸音特性が異なる結果、お互いに補い合って広い周波数帯域で消音効果が得られる。
▲2▼ 排気ガス成分除去器の場合に、内周フィルタ層3Aは粒子径の大きい排気ガス成分を捕集でき、外周フィルタ層3Bは粒子径の小さい排気ガス成分を捕集できる。両フィルタ層3A,3Bが捕集する排ガス成分(要除去成分)の粒子径が異なる結果、お互いに補い合って色々な粒子径の排ガス成分を効率よく除去できる。
▲3▼ 消音器であっても排気ガス成分除去器であっても、内周フィルタ層3Aは排気管1に接触し、常時高温に晒されている部分であるために耐熱性が要求される。本実施形態の内周フィルタ層3Aは繊維径の相対的に大きいステンレス鋼繊維を用いて形成されているため、耐熱性が高く、熱酸化しにくい。
【0018】
▲4▼ 内周フィルタ層3Aの金属繊維集合材に金属糸8,13を用いたので、巻回するときの引張り強度が高く、太さが安定しているため、厚さと密度にムラを生じない。よって、消音器の場合には吸音作用による消音効果にムラがなく、排気ガス成分除去器の場合には排気ガス成分の除去効果にムラがない。
▲5▼ 外周フィルタ層3Bの金属繊維集合材にニードルマット10を用いたので、繊維径を小さくし、柔軟性を与えて、取付作業を容易にし、内周フィルタ層3Aと外管5との間の大きなスペースを安価な材料で迅速に埋めることができる。
▲6▼ 排気ガスの圧力で金属繊維が排気管1の内側に吸引される消音器の場合に、内周フィルタ層3Aの繊維密度を高くし、排気ガスがフィルタ3の内から外へ流れる排気ガス成分除去器の場合には、外周フィルタ層3Bの繊維密度を高くすることで、どちらの用途においても、金属繊維の飛散を効果的に防止することができる。
▲7▼ 密度勾配の程度又は向きを変更することで、フィルタ特性を排気ガスの処理条件又は装置の設置条件、用途等に応じて容易に最適化でき、フィルタ装置の汎用性を拡張することができる。
【0019】
図6は本発明によるフィルタ装置の第二実施形態を示す。この実施形態では、フィルタ3が繊維密度の異なる内外2層の金属繊維集合材で形成され、各集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管1の外周に重ね巻きすることで、フィルタ3全体の繊維密度に管径方向の勾配が設けられている。すなわち、内周フィルタ層3A及び外周フィルタ層3Bは共にステンレス鋼繊維を嵩高に集合した金属ウールで形成され、この金属ウールはニードルパンチによりマット状に加工されている。
【0020】
図6(a)に示すフィルタ3では、内周フィルタ層3Aに繊維密度の高いニードルマット10Aが用いられ、外周フィルタ層3Bに繊維密度の低いニードルマット10Bが用いられ、フィルタ3全体の繊維密度に、管径方向内側が高く外側が低い2段階の勾配が設けられている。これとは逆に、図6(b)に示すフィルタ3では、内周フィルタ層3Aに繊維密度の低いニードルマット10Bが用いられ、外周フィルタ層3Bに繊維密度の高いニードルマット10Aが用いられ、フィルタ3全体の繊維密度に、管径方向内側が低く外側が高い2段階の勾配が設けられている。従って、この実施形態のフィルタ装置によっても、第一実施形態とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0021】
図7は本発明によるフィルタ装置の第三実施形態を示す。この実施形態では、フィルタ3が連続する1本の金属繊維集合材で形成され、この集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管1の外周に重ね巻きすることで、フィルタ3全体の繊維密度に管径方向の勾配が設けられている。すなわち、フィルタ3は嵩高加工したステンレス鋼製の1本の連続金属糸14(図3、図4の金属糸8,13と同じ構成のものでもよい)からなる集合材によって形成され、この金属糸14が排気管1の外周に多重に巻回されている。
【0022】
図7(a)に示すフィルタ3では、巻回時に金属糸14に付与する張力をフィルタ3の内から外へ徐々に弱くなるように変化させることで、フィルタ3全体の繊維密度に、管径方向内側が高く外側が低い連続勾配が設けられている。これとは逆に、図7(b)に示すフィルタ3では、巻回時に金属糸14に付与する張力をフィルタ3の内から外へ徐々に強くなるように変化させることで、フィルタ3全体の繊維密度に、管径方向内側が低く外側が高い連続勾配が設けられている。従って、この実施形態のフィルタ装置によっても、第一実施形態とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0023】
なお、第三実施形態のフィルタ装置において、フィルタ3を嵩高加工率(例えば、図3のからみ線7の螺旋外径)が異なる複数本の金属糸14を用いて形成することも可能である。この場合、各金属糸14の嵩高加工率にフィルタ3の内から外へ徐々に大きくなる階層的序列を与えることで、フィルタ3全体の繊維密度に図7(a)と同様の勾配を設けることができる。逆に、各金属糸14の嵩高加工率にフィルタ3の内から外へ徐々に小さくなる階層的序列を与えることで、フィルタ3全体の繊維密度に図7(b)と同様の勾配を設けることができる。
【0024】
図8は本発明によるフィルタ装置の第四実施形態を示すものである。この実施形態では、フィルタ3が連続する1本の金属繊維集合材で形成され、この集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管1の外周に重ね巻きすることで、フィルタ3全体の繊維密度に管径方向の勾配が設けられている。すなわち、フィルタ3は嵩高加工したステンレス鋼製のトウ15によって形成されている。トウ15は、図8(a)に示すように、多数本のステンレス鋼繊維を実質的に撚りをかけないように集束し、外周に1本〜数本のステンレス鋼製のカバー線16を螺旋状に巻回することで、嵩高の索状に加工されている。
【0025】
そして、連続する1本のトウ15が排気管1の外周に多重に巻回されている。図8(b)に示すフィルタ3では、巻回時にトウ15に付与する張力をフィルタ3の内から外へ徐々に弱くなるように変化させることで、フィルタ3全体の繊維密度に、管径方向内側が高く外側が低い連続勾配が設けられている。これとは逆に、図8(c)に示すフィルタ3では、巻回時にトウ15に付与する張力をフィルタ3の内から外へ徐々に強くなるように変化させることで、フィルタ3全体の繊維密度に、管径方向内側が低く外側が高い連続勾配が設けられている。従って、この実施形態のフィルタ装置によっても、第一実施形態とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0026】
なお、第四実施形態のフィルタ装置において、フィルタ3を繊維密度(ステンレス鋼繊維の集束密度)が異なる複数本のトウ15を用いて形成することも可能である。この場合、各トウ15の繊維密度にフィルタ3の内から外へ徐々に低くなる階層的序列を与えることで、フィルタ3全体の繊維密度に図8(b)と同様の勾配を設けることができる。逆に、各トウ15の繊維密度にフィルタ3の内から外へ徐々に高くなる階層的序列を与えることで、フィルタ3全体の繊維密度に図8(c)と同様の勾配を設けることができる。
【0027】
なお、本発明は前記実施形態の構成に限定されず、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)フィルタ素材として、ステンレス鋼繊維の集合材である金属ウールをニードルパンチ加工しないで用いること。
(2)フィルタ素材として、ニードルマット10とトウ15とを組み合わせて用いること。
(3)フィルタ素材として、金属糸8,13,14とトウ15とを組み合わせて用いること。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係るフィルタ装置によれば、フィルタを嵩高加工した金属繊維集合材で形成し、該集合材の繊維密度に管径方向の勾配を設けたので、フィルタのオール金属化を実現し、耐熱、耐久性を改善して、リサイクル、環境性を高めることができ、しかも、密度勾配を変化させることでフィルタ特性を容易に最適化できて、装置の汎用性を拡張することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第一実施形態のフィルタ装置を示す斜視図である。
【図2】同フィルタ装置の内部構造図である。
【図3】同フィルタ装置の内周フィルタ層に用いられる金属繊維集合材の構成説明図である。
【図4】内周フィルタ層に用いられる別の金属繊維集合材の構成説明図である。
【図5】同フィルタ装置の外周フィルタ層に用いられる金属繊維集合材の構成説明図である。
【図6】本発明を具体化した第二実施形態のフィルタ装置を示す断面図である。
【図7】本発明を具体化した第三実施形態のフィルタ装置を示す断面図である。
【図8】本発明を具体化した第四実施形態のフィルタ装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 排気管
2 通気孔
3 フィルタ
5 外管
8 金属糸
9 金属ウール
10 ニードルマット
13 金属糸
14 金属糸
15 トウ
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気系において、消音器又は排気ガス成分除去器として用いられるフィルタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のフィルタ装置として、排気管の一部に多数の通気孔を貫設し、該排気管の一部の外周に金属繊維よりなる内周フィルタ層を配設し、その外周にグラスウールよりなる外周フィルタ層を配設し、その外周に金属よりなる外管を被せたものが知られている。この装置によれば、耐熱、耐久性に優れた金属繊維でグラスウールを内張し、高温排気ガスの脈動波によるグラスウールの劣化及び飛散を防止することができる。なお、グラスウールは安価で嵩高性がよいためフィルタの必須材料として広く用いられ、従来、フィルタ全体を金属材料で形成した装置は知られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、グラスウールは、耐熱、耐久性が不充分であるから、経年劣化した場合の廃棄物処理に問題があった。例えば、排気管、内周フィルタ層及び外管等がステンレス鋼からなるフィルタ装置の場合、これをリサイクルするには、外周フィルタ層のグラスウールだけ取り除く必要があり、リサイクル性が低く、環境対策上好ましくなかった。そこで、本発明者は、外周フィルタ層に金属ウール等を用い、フィルタ層のオール金属化を試みた。しかし、単に材料を統一しただけでは、所望の消音効果が得られなかったり、所要の排気ガス成分(要除去成分)を除去できなかったりするなど、フィルタ特性の点で問題が残った。また、材料を統一することで、排気ガスの量や濃度等の処理条件に応じてフィルタ特性を変更することが困難となり、装置の汎用性が低下するという問題点もあった。
【0004】
本発明の目的は、フィルタのオール金属化を実現し、耐熱、耐久性を改善し、リサイクル、環境性を高め、フィルタ特性を容易に最適化できて、装置の汎用性を拡張することができる内燃機関のフィルタ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のフィルタ装置は、内燃機関の排気管の一部に多数の通気孔を貫設し、通気孔を覆うフィルタを排気管の外周に設け、フィルタを嵩高加工した金属繊維集合材で形成し、フィルタの繊維密度に管径方向の勾配を設けたことを特徴とする。
【0006】
ここで、フィルタは、消音器の場合に消音層として機能し、排気ガス成分除去器の場合に排気ガス成分除去層として機能する。フィルタの構造は、特に限定されず、単層構造のものでも、2層、3層又はそれ以上の多層構造のものでもよい。嵩高加工した金属繊維集合材とは、金属繊維間に適度な空隙を有する集合材であり、その構造や加工方法は特に限定されない。例えば、金属繊維よりなる嵩高加工糸の集合材、金属繊維を嵩高に集束した索状の集合材(トウ)、嵩高の金属ウールをニードルパンチ加工したマット状の集合材等を用いることができる。多層フィルタの場合は、これらの集合材を複数組み合わせて使用することができる。
【0007】
嵩高加工糸は、金属短繊維又は金属長繊維を紡いだ紡績糸を嵩高加工したものでも、金属連続繊維よりなるフィラメント糸を嵩高加工したものでもよい。フィラメント糸の場合、例えば、繊維をジグザグ波形、正弦波形等の波形に成形する嵩高加工や、繊維に曲がりぐせをつける捲縮嵩高加工や、糸の長さ方向の各部において繊維長を不揃いにしてループを形成する構造嵩高加工等を例示できる。また、芯糸の周りにからみ糸を螺旋状に撚り合わせた嵩高加工糸や、随所にループ、リング、節等を形成したいわゆる意匠ヤーン(飾り糸)等を用いることもできる。なお、金属繊維の材質は、特に限定されないが、ステンレス鋼、クロム−ニッケル系合金、高ニッケル合金、高コバルト合金等の耐熱金属が好ましく、さらに耐食性も備えたものが好ましい。
【0008】
フィルタの繊維密度とは、フィルタに占める金属繊維の割合を意味し、この割合を単位体積あたりの金属繊維の質量又は体積で表すこともでき、単位断面積あたりの金属繊維の本数で表すこともできる。フィルタの繊維密度に勾配を設けるにあたっては、金属繊維の外径、集合材の嵩高加工率、金属糸やトウの巻回数又は巻回ピッチ等を、排気管の径方向に連続的又は段階的に変化させる手法を例示できる。単層フィルタの場合は、フィルタ内周側部分の密度を高く、外周側部分の密度を低くした態様と、その逆の態様とを例示できる。2層フィルタの場合は、内周フィルタ層の密度を高く、外周フィルタ層の密度を低くする態様と、その逆の態様とを例示できる。なお、フィルタ層の内外どちら側の密度を高く又は低くするかは、フィルタ装置の用途、設置条件、排ガス処理条件等に応じて適宜に選択される。
【0009】
多層フィルタに密度勾配を容易に付与できる点では、フィルタを繊維密度が異なる複数の金属繊維集合材で形成し、各集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管の外周に重ね巻きし、フィルタ全体の繊維密度に管径方向の勾配を設けるのが好ましい。同じ観点から、フィルタを連続する1本の金属繊維集合材で形成し、この集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管の外周に重ね巻きし、フィルタ全体の繊維密度に管径方向の勾配を設けてもよい。1本の金属繊維集合材の繊維密度に階層的序列を与えるにあたっては、例えば、嵩高加工糸やトウを巻き付けるときに、張力を強くして繊維密度を高めたり、張力を弱くして繊維密度を低くしたり、或いは、巻回ピッチを小さくして繊維密度を高くしたり、巻回ピッチを大きくして繊維密度を低くしたりするなどの手法を採用できる。
【0010】
上記密度勾配は次のような作用を奏する。
▲1▼ 消音器の場合に、フィルタの周波数−吸音特性が管径方向の各部で異なる結果、お互いに補い合って広い周波数帯域で消音効果が得られる。
▲2▼ 排気ガス成分除去器の場合に、フィルタの高密度部分が排ガス成分を効率よく捕集し、低密度部分がフィルタの目詰まりを防止する。
▲3▼ どちらの用途においても、フィルタの高密度部分が金属繊維の飛散を防止する。消音器の場合は、金属繊維が排気ガスの圧力で排気管の内側に吸引されるので、フィルタの内周側部分の密度を高くする方が、飛散防止の観点から有利である。同じ観点から、排気ガス成分除去器の場合は、排気ガスがフィルタの内から外へ流れるため、フィルタの外周側部分の密度を高くする方が有利である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5は本発明によるフィルタ装置の第一実施形態を示す。図1に示すように、内燃機関の排気管1には、その途中部分の全周に多数の通気孔2が貫設されるとともに、外周に通気孔2を覆うフィルタ3が設けられている。この実施形態のフィルタ3は内周フィルタ層3Aと外周フィルタ層3Bとから内外2層に構成され、内周フィルタ層3Aは金属糸8を用いた金属繊維集合材で形成され、外周フィルタ層3Bはニードルマット10を用いた金属繊維集合材で形成されている。そして、フィルタ3の外周に、その外周面と両端面とを覆うように外管5が被せられ、外管5の両端部はテーパ状に絞り加工されて排気管1の外周に溶接されている。
【0012】
消音器として用いるフィルタ装置は、図2(a)に示すように、排気ガスが排気管1の内側を通り抜けるように構成される。また、排気ガス成分除去器として用いるフィルタ装置は、図2(b)(c)に示すように、排気ガスを端板11でせき止めるように構成される。端板11は、外管5内を仕切る状態で排気管1の終端(外管5内で終わる)を塞ぎ、排気管1の外周側部分に多数の通気孔12を備えている。従って、排気ガス成分除去器の場合、排気ガスは排気管1の通気孔2を経てフィルタ3を通過した後、端板11の通気孔12を経て取出用の排気管4(外管5内に開口する)に取り込まれて排気される。
【0013】
内周フィルタ層3Aに用いられる金属糸8は、図3(a)に示すように、ステンレス鋼よりなる繊維径600μm程度の撚りのない芯線6の周りに、ステンレス鋼よりなる繊維径600μm程度のからみ線7を螺旋状に絡むように巻き付けて嵩高加工されている。金属糸8の直径は、からみ線7の螺旋外径であって細かく変化しているが、平均すると約2.5mm程度である。そして、金属糸8は、図3(b)に示すように、排気管1の所定長さ部分の外周に巻回され、フィルタ3の内周側部分に繊維密度が低い金属繊維集合材を構成し、該集合材によって内周フィルタ層3Aが形成されている。なお、図4(a)(b)に示すように、ジグザグ波形に嵩高加工した金属糸13を排気管1の外周に巻回して金属繊維集合材を構成し、この集合材で内周フィルタ層3Aを形成してもよい。
【0014】
外周フィルタ層3Bに用いられるニードルマット10は、図5(a)に示すように、繊維径100μm程度(金属糸8の繊維径より小さい)のステンレス鋼繊維を嵩高に集合した金属ウールをニードルパンチ加工によりマット状に形成されている。このニードルマット10は、図5(b)に示すように、内周フィルタ層3Aの外周に巻回され、フィルタ3の外周側部分に繊維密度が高い金属繊維集合材を構成し、該集合材によって外周フィルタ層3Bが形成されている。従って、この実施形態のフィルタ3は繊維密度が異なる内外2種類の金属繊維集合材で形成され、両集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管1の外周に重ね巻きすることで、フィルタ3全体の繊維密度に管径方向内側が低く外側が高い2段階の勾配が設けられている。
【0015】
なお、ニードルマット10の繊維密度は、300〜1000kg/m3が好ましく、400〜800kg/m3がさらに好ましい。金属糸8の繊維密度は100〜500kg/m3が好ましく、200〜400kg/m3がさらに好ましい。密度が高すぎると目詰まりしやすくなり、密度が低すぎると硬くて巻回等しにくくなる(また、消音器の場合に消音効果が小さくなる)。
【0016】
このように構成されたフィルタ装置によれば、フィルタ3の全体が熱酸化しにくい金属であるステンレス鋼で統一して形成されているため、耐熱、耐久性を改善し、リサイクル、環境性を高めることができる。また、内外の金属繊維集合材の繊維密度を相違させることで、フィルタ3に管径方向の密度勾配を設けたので、次の作用効果▲1▼〜▲7▼を得ることができる。
【0017】
▲1▼ 消音器の場合に、両フィルタ層3A,3Bの周波数−吸音特性が異なる結果、お互いに補い合って広い周波数帯域で消音効果が得られる。
▲2▼ 排気ガス成分除去器の場合に、内周フィルタ層3Aは粒子径の大きい排気ガス成分を捕集でき、外周フィルタ層3Bは粒子径の小さい排気ガス成分を捕集できる。両フィルタ層3A,3Bが捕集する排ガス成分(要除去成分)の粒子径が異なる結果、お互いに補い合って色々な粒子径の排ガス成分を効率よく除去できる。
▲3▼ 消音器であっても排気ガス成分除去器であっても、内周フィルタ層3Aは排気管1に接触し、常時高温に晒されている部分であるために耐熱性が要求される。本実施形態の内周フィルタ層3Aは繊維径の相対的に大きいステンレス鋼繊維を用いて形成されているため、耐熱性が高く、熱酸化しにくい。
【0018】
▲4▼ 内周フィルタ層3Aの金属繊維集合材に金属糸8,13を用いたので、巻回するときの引張り強度が高く、太さが安定しているため、厚さと密度にムラを生じない。よって、消音器の場合には吸音作用による消音効果にムラがなく、排気ガス成分除去器の場合には排気ガス成分の除去効果にムラがない。
▲5▼ 外周フィルタ層3Bの金属繊維集合材にニードルマット10を用いたので、繊維径を小さくし、柔軟性を与えて、取付作業を容易にし、内周フィルタ層3Aと外管5との間の大きなスペースを安価な材料で迅速に埋めることができる。
▲6▼ 排気ガスの圧力で金属繊維が排気管1の内側に吸引される消音器の場合に、内周フィルタ層3Aの繊維密度を高くし、排気ガスがフィルタ3の内から外へ流れる排気ガス成分除去器の場合には、外周フィルタ層3Bの繊維密度を高くすることで、どちらの用途においても、金属繊維の飛散を効果的に防止することができる。
▲7▼ 密度勾配の程度又は向きを変更することで、フィルタ特性を排気ガスの処理条件又は装置の設置条件、用途等に応じて容易に最適化でき、フィルタ装置の汎用性を拡張することができる。
【0019】
図6は本発明によるフィルタ装置の第二実施形態を示す。この実施形態では、フィルタ3が繊維密度の異なる内外2層の金属繊維集合材で形成され、各集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管1の外周に重ね巻きすることで、フィルタ3全体の繊維密度に管径方向の勾配が設けられている。すなわち、内周フィルタ層3A及び外周フィルタ層3Bは共にステンレス鋼繊維を嵩高に集合した金属ウールで形成され、この金属ウールはニードルパンチによりマット状に加工されている。
【0020】
図6(a)に示すフィルタ3では、内周フィルタ層3Aに繊維密度の高いニードルマット10Aが用いられ、外周フィルタ層3Bに繊維密度の低いニードルマット10Bが用いられ、フィルタ3全体の繊維密度に、管径方向内側が高く外側が低い2段階の勾配が設けられている。これとは逆に、図6(b)に示すフィルタ3では、内周フィルタ層3Aに繊維密度の低いニードルマット10Bが用いられ、外周フィルタ層3Bに繊維密度の高いニードルマット10Aが用いられ、フィルタ3全体の繊維密度に、管径方向内側が低く外側が高い2段階の勾配が設けられている。従って、この実施形態のフィルタ装置によっても、第一実施形態とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0021】
図7は本発明によるフィルタ装置の第三実施形態を示す。この実施形態では、フィルタ3が連続する1本の金属繊維集合材で形成され、この集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管1の外周に重ね巻きすることで、フィルタ3全体の繊維密度に管径方向の勾配が設けられている。すなわち、フィルタ3は嵩高加工したステンレス鋼製の1本の連続金属糸14(図3、図4の金属糸8,13と同じ構成のものでもよい)からなる集合材によって形成され、この金属糸14が排気管1の外周に多重に巻回されている。
【0022】
図7(a)に示すフィルタ3では、巻回時に金属糸14に付与する張力をフィルタ3の内から外へ徐々に弱くなるように変化させることで、フィルタ3全体の繊維密度に、管径方向内側が高く外側が低い連続勾配が設けられている。これとは逆に、図7(b)に示すフィルタ3では、巻回時に金属糸14に付与する張力をフィルタ3の内から外へ徐々に強くなるように変化させることで、フィルタ3全体の繊維密度に、管径方向内側が低く外側が高い連続勾配が設けられている。従って、この実施形態のフィルタ装置によっても、第一実施形態とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0023】
なお、第三実施形態のフィルタ装置において、フィルタ3を嵩高加工率(例えば、図3のからみ線7の螺旋外径)が異なる複数本の金属糸14を用いて形成することも可能である。この場合、各金属糸14の嵩高加工率にフィルタ3の内から外へ徐々に大きくなる階層的序列を与えることで、フィルタ3全体の繊維密度に図7(a)と同様の勾配を設けることができる。逆に、各金属糸14の嵩高加工率にフィルタ3の内から外へ徐々に小さくなる階層的序列を与えることで、フィルタ3全体の繊維密度に図7(b)と同様の勾配を設けることができる。
【0024】
図8は本発明によるフィルタ装置の第四実施形態を示すものである。この実施形態では、フィルタ3が連続する1本の金属繊維集合材で形成され、この集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管1の外周に重ね巻きすることで、フィルタ3全体の繊維密度に管径方向の勾配が設けられている。すなわち、フィルタ3は嵩高加工したステンレス鋼製のトウ15によって形成されている。トウ15は、図8(a)に示すように、多数本のステンレス鋼繊維を実質的に撚りをかけないように集束し、外周に1本〜数本のステンレス鋼製のカバー線16を螺旋状に巻回することで、嵩高の索状に加工されている。
【0025】
そして、連続する1本のトウ15が排気管1の外周に多重に巻回されている。図8(b)に示すフィルタ3では、巻回時にトウ15に付与する張力をフィルタ3の内から外へ徐々に弱くなるように変化させることで、フィルタ3全体の繊維密度に、管径方向内側が高く外側が低い連続勾配が設けられている。これとは逆に、図8(c)に示すフィルタ3では、巻回時にトウ15に付与する張力をフィルタ3の内から外へ徐々に強くなるように変化させることで、フィルタ3全体の繊維密度に、管径方向内側が低く外側が高い連続勾配が設けられている。従って、この実施形態のフィルタ装置によっても、第一実施形態とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0026】
なお、第四実施形態のフィルタ装置において、フィルタ3を繊維密度(ステンレス鋼繊維の集束密度)が異なる複数本のトウ15を用いて形成することも可能である。この場合、各トウ15の繊維密度にフィルタ3の内から外へ徐々に低くなる階層的序列を与えることで、フィルタ3全体の繊維密度に図8(b)と同様の勾配を設けることができる。逆に、各トウ15の繊維密度にフィルタ3の内から外へ徐々に高くなる階層的序列を与えることで、フィルタ3全体の繊維密度に図8(c)と同様の勾配を設けることができる。
【0027】
なお、本発明は前記実施形態の構成に限定されず、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)フィルタ素材として、ステンレス鋼繊維の集合材である金属ウールをニードルパンチ加工しないで用いること。
(2)フィルタ素材として、ニードルマット10とトウ15とを組み合わせて用いること。
(3)フィルタ素材として、金属糸8,13,14とトウ15とを組み合わせて用いること。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係るフィルタ装置によれば、フィルタを嵩高加工した金属繊維集合材で形成し、該集合材の繊維密度に管径方向の勾配を設けたので、フィルタのオール金属化を実現し、耐熱、耐久性を改善して、リサイクル、環境性を高めることができ、しかも、密度勾配を変化させることでフィルタ特性を容易に最適化できて、装置の汎用性を拡張することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第一実施形態のフィルタ装置を示す斜視図である。
【図2】同フィルタ装置の内部構造図である。
【図3】同フィルタ装置の内周フィルタ層に用いられる金属繊維集合材の構成説明図である。
【図4】内周フィルタ層に用いられる別の金属繊維集合材の構成説明図である。
【図5】同フィルタ装置の外周フィルタ層に用いられる金属繊維集合材の構成説明図である。
【図6】本発明を具体化した第二実施形態のフィルタ装置を示す断面図である。
【図7】本発明を具体化した第三実施形態のフィルタ装置を示す断面図である。
【図8】本発明を具体化した第四実施形態のフィルタ装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 排気管
2 通気孔
3 フィルタ
5 外管
8 金属糸
9 金属ウール
10 ニードルマット
13 金属糸
14 金属糸
15 トウ
Claims (3)
- 内燃機関の排気管の一部に多数の通気孔を貫設し、通気孔を覆うフィルタを排気管の外周に設け、フィルタを嵩高加工した金属繊維集合材で形成し、フィルタの繊維密度に管径方向の勾配を設けたことを特徴とする内燃機関のフィルタ装置。
- フィルタを繊維密度が異なる複数の金属繊維集合材で形成し、各集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管の外周に重ね巻きし、フィルタ全体の繊維密度に管径方向の勾配を設けた請求項1記載の内燃機関のフィルタ装置。
- フィルタを連続する1本の金属繊維集合材で形成し、該集合材を繊維密度に階層的序列を与えて排気管の外周に重ね巻きし、フィルタ全体の繊維密度に管径方向の勾配を設けた請求項1記載の内燃機関のフィルタ装置。
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Cited By (3)
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WO2011099093A1 (ja) * | 2010-02-09 | 2011-08-18 | ニッタ株式会社 | 粒子分級に用いる慣性フィルタ |
JP2012530850A (ja) * | 2009-06-25 | 2012-12-06 | ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム | ディーゼル煤微粒子フィルタカートリッジ |
CN110861628A (zh) * | 2019-11-29 | 2020-03-06 | 安徽江淮汽车集团股份有限公司 | 气流消音装置及具有该气流消音装置的卸荷阀 |
-
2002
- 2002-08-27 JP JP2002247267A patent/JP2004084571A/ja active Pending
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