JPH0544487Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、内燃機関の排気管に設けられる消音
器に関するものである。

［従来の技術］ 従来の消音器の一つに、排気管の一部に多数の
通気孔を貫設し、該排気管の一部の外周に直接、
吸音材として一般的なグラスウールを包囲したも
のがある。

しかし、内燃機関の排気管内を高速で通過する
高温の排気ガスが、前記通気孔を通つて直接グラ
スウールに脈動波を及ぼすため、該グラスウール
は次第に劣化して短く分断され、通気孔から排気
管内へ吸引されて外気に飛散し、これに伴つて
徐々に消音効果が低下する問題がある。

そこで、前記排気管の外周に、まずステンレス
鋼繊維等の金属繊維をランダムに積層した綿状マ
ツトを筒状に巻き付け、その外周にグラスウール
を包囲するようにして、グラスウールの劣化及び
飛散を防止したものが開発された。

しかし、金属繊維をランダムに積層した綿状マ
ツトは、金属繊維の密度があまり高くなくしかも
密度むらが大きいため、特に密度の低い部分にお
いて、グラスウールの飛散を防止できない問題が
ある。

そこで、第３図に示すように、多数の通気孔１
２を貫設した排気管１１の外周に、金属繊維を一
定量束ねてこれに撚りをかけてなるロープ１３
を、隣接するロープ１３相互が接触するように巻
装してフイルタ層１４を形成し、その外周にグラ
スウール１５を巻装して消音層１６を形成し、そ
の外周に外管１７を被せてなる消音装置が考えら
れている（実開昭63−168205号公報）。この消音
装置によれば、前記のように金属繊維をランダム
に積層した綿状マツトに比べて、金属繊維の密度
が非常に高いため、グラスウール１５の飛散防止
効果も向上する。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、上述実開昭63−168205号の消音装置
においては、一定量の金属繊維を束ねただけでな
く、さらに撚りをかけて金属繊維相互を強固に結
合してなるロープ１３を使用しているため、該ロ
ープ１３を排気管１１の外周に巻回したとき、該
ロープ１３は容易には変形せず、円形の断面形状
を維持しようとする。従つて、確かにロープ１３
内における金属繊維の密度は非常に高いけれど
も、隣接するロープ１３相互は第３図に示すよう
に線接触に近い状態で接触し、フイルタ層１４の
厚さには波状のむらが生じる。そのため、金属繊
維が少ないロープ１３相互の接触部分において、
グラスウール１５の飛散が起こるおそれがある。

本考案の目的は、上記問題点を解消し、金属繊
維の密度が適度に高く、しかも厚さが均一でむら
のないフイルタ層を実現し、グラスウールの飛散
を全面的に防止することができる新規な内燃機関
の消音器を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の消音器に
おいては、排気管の一部に多数の通気孔を貫設
し、該排気管の一部の外周に、多数本の金属繊維
を撚りをかけないように集束してなるトウを、隣
接するトウ同志が面接触するように螺旋状に巻回
することにより、厚さが略均一のフイルタ層を形
成し、該フイルタ層の外周にグラスウールよりな
る筒状の消音層を形成した。

［作用］ 多数本の金属繊維を撚りをかけないように集束
してなるトウは、従来の金属繊維をランダムに積
層した綿状マツトに比べて金属繊維同志が整然と
接近しているため、適度に高い密度を有してい
る。しかもこのトウは、従来の金属繊維に撚りを
かけたロープに比べて金属繊維相互が締め付けら
れていないため、該トウを排気管の外周に巻回し
たとき、該トウの円形の断面形状は容易かつ自在
に変形し、隣接するトウ相互は面接触状態で接触
する。そのため、厚さが略均一なフイルタ層が得
られ、高温排気ガスの脈動波によるグラスウール
の劣化及び飛散が全面的に防止される。

［実施例］ 以下、本考案を具体化した実施例について、第
１図及び第２図を参照して説明する。

内燃機関の排気管１の途中における所定長さ部
分には、その全周に分散するように多数の通気孔
２が貫設されている。この排気管１の所定長さ部
分の外周には、多数本の金属繊維を撚りをかけな
いように集束してなるトウ３を、隣接するトウ３
同志が面接触するように螺旋状に巻回することに
より、厚さが略均一のフイルタ層４が形成されて
いる。

前記金属繊維の材質としては、最も一般的であ
るステンレス鋼をはじめ、クロム−ニツケル系等
のステンレス合金、高ニツケル合金、高コバルト
合金等の耐熱合金、その他の耐熱性及び耐食性を
備えた金属を例示することができる。また、金属
繊維の直径は、該金属繊維が容易に曲げられる程
度の範囲であれば、特に限定されない。

前記金属繊維の集束方法としては、多数本の金
属繊維をローラや板で挟んで軸中心方向に絞る方
法等を例示することができる。また、トウ３に集
束させる金属繊維の本数は、前記金属繊維の直径
にも左右され、特に限定されないが、集束後のト
ウ３の太さが２mm〜15mmになる程度の本数が一般
的である。

なお、前記トウ３は通常は一層に巻回すれば十
分であるが、トウ３が細い場合等は二層以上巻回
することもできる。

続いて、前記フイルタ層４の外周にはグラスウ
ール５よりなる筒状の消音層６が形成されてい
る。この消音層６には公知のものを適用すること
ができ、例えば柔軟なグラスウールマツトを巻回
して形成したものでもよいし、予め筒状に成形さ
れたグラスウール成形品を外嵌したものでもよ
い。

さらに、前記消音層６の外周には、該消音層６
の外周面と両側面とを覆う外管７が被せられ、外
管７の縮径された両端部は排気管１の外周に固定
されている。

以上のように構成された本実施例の消音器にお
いて、多数本の金属繊維を撚りをかけないように
集束してなるトウ３は、従来の金属繊維をランダ
ムに積層した綿状マツトに比べて金属繊維同志が
整然と接近しているため、適度に高い密度を有し
ている。しかもこのトウ３は、従来の金属繊維に
撚りをかけたロープに比べて金属繊維相互が締め
付けられていないため、該トウ３を排気管１の外
周に巻回したとき、該トウ３の円形の断面形状は
容易かつ自在に変形する。そのため、隣接するト
ウ３相互を面接触状態で接触させることができ、
厚さが略均一なフイルタ層４を得ることができ
る。

上記の通り適正な密度を有し、厚さにむらのな
いフイルタ層４によつて、高温排気ガスの脈動波
が消音層６のいかなる位置のグラスウール５にも
直接及ぶことを防ぐことができるため、該グラス
ウール５の劣化及び飛散が全面的に防止され、消
音効果の維持を図ることができる。

なお、本考案は前記実施例の構成に限定される
ものではなく、考案の趣旨から逸脱しない範囲で
任意に変更して具体化することもできる。

［考案の効果］ 本考案の内燃機関の消音器は、上記の通り構成
されているので、金属繊維の密度が適度に高く、
しかも厚さが略均一でむらのないフイルタ層を実
現し、グラスウールの劣化及び飛散を全面的に防
止することができるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本実施例の消音器を一部破断して示す
斜視図、第２図は同消音器の断面図、第３図は従
来例の断面図である。 １……排気管、２……通気孔、３……トウ、４
……フイルタ層、５……グラスウール、６……消
音層、７……外管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内燃機関の排気管１の一部に多数の通気孔２を
   貫設し、該排気管２の一部の外周に、多数本の金
   属繊維を撚りをかけないように集束してなるトウ
   ３を、隣接するトウ３同志が面接触するように螺
   旋状に巻回することにより、厚さが略均一のフイ
   ルタ層４を形成し、該フイルタ層４の外周にグラ
   スウール５よりなる筒状の消音層６を形成したこ
   とを特徴とする内燃機関の消音器。