JP2004084143A - 透明柔軟剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていてもよいC12−36の炭化水素基を分子内に1つ以上有し、かつ3級アミノ基又はその酸塩もしくは4級アンモニウム基を有する化合物であって、該炭化水素基の合計数に対する炭素−炭素不飽和結合を1つ以上有する炭化水素基の数が70〜97%である化合物を3〜50質量%、(b)logPが1.0〜3.0の有機溶剤を5質量%を超え40質量%以下、(c)C1−10の炭化水素基を有する多価カルボン酸又はヒドロキシカルボン酸(但し窒素原子を含有するものは除く)から選ばれる1種以上の化合物を0.1〜5質量%、(d)酸化防止剤を5〜8000mg/kg含有する透明柔軟剤組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は透明柔軟剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、柔軟剤には長鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩や3級アミンの酸塩等が用いられており、これらは水不溶性であるため組成物中に分散状態で存在する。近年、審美的観点から透明又は半透明な柔軟剤の開発が行われており、特開平7−229061号公報には不飽和アルキル基を有する柔軟剤及び非水性溶剤を用いた組成物が開示されている。特開平7−3650号公報には芳香族カルボン酸塩又は芳香族スルホン酸塩を含有する透明柔軟剤組成物が開示されている。しかしながらこれら組成物は室温付近では安定であるが、40℃等の高温保存時に液の変色が起こるなどの不都合が生じる。また、このような貯蔵条件は現実に起こりうるため、商品としての価値を維持する目的から改善することが望まれる。
【0003】
本発明者らは特開2001−164466号公報、あるいは特開平11−43863号公報に、飽和炭化水素基からなる柔軟基剤と特定の溶剤を用いた臭いや色の安定性に優れる透明柔軟剤組成物を開示している。しかしながら、飽和炭化水素基からなる柔軟基剤を用いた柔軟剤組成物はタオルなどに水が染み込みにくく、吸水性に乏しいという欠点がある。吸水性を改善する方法としては特開平4−333667号公報、特開平6−228874号公報に記載されているように不飽和炭化水素基を有する柔軟基剤を用いることがすでに知られている。しかしながら、これら技術は臭いや色の安定性の問題を解決するものではなく、特開平2001−164466号公報又は特開平11−43863号公報に記載の溶剤を併用すると臭いや色の劣化をある程度抑制できるが未だ満足できるものではない。
【0004】
一方、特開平9−310276号公報には臭いの発生や増粘の抑制に特定の酸化防止剤やアミノポリカルボン酸と溶剤を含有する組成物が有効であることが開示されている。さらに、特表平11−509277号公報にはアミノポリカルボン酸を含有する透明な柔軟剤が開示されている。しかしながらこれら組成物においても、高温貯蔵における液の変色などの色の劣化を満足できるレベルまで抑制することができない。
【0005】
本発明の課題は、高温保存条件において外観の変化を引き起こさず、臭いの貯蔵安定性に問題ない透明液体柔軟剤組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数12〜36の炭化水素基を分子内に1つ以上有し、かつ3級アミノ基又はその酸塩もしくは4級アンモニウム基を有する化合物であって、該炭化水素基の合計数に対する炭素−炭素不飽和結合を1つ以上有する炭化水素基の数が70〜97%である化合物を3〜50質量%、(b)logPが1.0〜3.0の有機溶剤を5質量%を超え40質量%以下、(c)炭素数1〜10の炭化水素基を有する多価カルボン酸又はヒドロキシカルボン酸(但し窒素原子を含有するものは除く)から選ばれる1種以上の化合物を0.1〜5質量%、(d)酸化防止剤を5〜8000mg/kg含有する透明柔軟剤組成物を提供する。
【0007】
なお、本発明でいう透明とは、測定セルの光路長10mmの石英セルを使用し、対照側セルにイオン交換水を入れた場合に660nmの波長の光透過率が30%以上であることをいう。
【0008】
【発明の実施の形態】
[(a)成分]
本発明の(a)成分は、アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数12〜36の炭化水素基を分子内に1つ以上有し、かつ3級アミノ基又はその酸塩もしくは4級アンモニウム基を有する化合物であって、該炭化水素基の合計数に対する炭素−炭素不飽和結合を1つ以上有する炭化水素基の数が70〜97%、好ましくは80〜97%である化合物である。
【0009】
また、本発明では、炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有する炭化水素基の数が、炭化水素基の合計数に対して3〜15%、好ましくは5〜12%である化合物を、(a)成分として用いることで、透明化が容易になり且つ優れた吸水性を付与することができ特に好ましい。
【0010】
本発明でいう炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基が好ましく、途中がアミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていてもよい。
【0011】
このような(a)成分として好ましい具体例は、一般式(1)で表される化合物(以下化合物(1)という)及び一般式(2)で表される化合物(以下化合物(2)という)から選ばれる1種以上である。
【0012】
【化2】
【0013】
〔式中、R1及びR3はそれぞれ独立に、炭素数12〜36、好ましくは13〜21、更に好ましくは13〜18の炭化水素基であり、R5は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はR1−[A−R2]a−で表される基である。また、分子中に存在するR1及びR3の合計数に対して、炭素−炭素不飽和結合を1つ以上有する炭化水素基の数が70〜97%、好ましくは80〜97%であり、好ましくは炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有する炭化水素基の数が3〜15%、特に5〜12%である。R2及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜6、好ましくは2〜4、特に好ましくは2又は3のアルキレン基である。但し、R1とR2の合計炭素数、及びR3とR4の合計炭素数は36を超えない。R6は、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基である。A及びBはそれぞれ独立に、−COO−、−OCO−、−CONH−及び−NHCO−から選ばれる基、好ましくは−COO−又は−CONH−である。a及びbはそれぞれ0又は1の数、好ましくは1の数である。Y−は陰イオン、好ましくは硫酸イオン、ハロゲンイオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1〜12の脂肪酸イオン、炭素数1〜3のアルキル基が1〜3個置換していてもよいアリールスルホン酸イオン及びリン酸イオンから選ばれる陰イオンである〕。
【0014】
化合物(1)としては、特に下記一般式(1−1)〜(1−3)で表される化合物が好ましく、化合物(2)としては、下記一般式(2−1)〜(2−3)で表される化合物が好ましい。
【0015】
【化3】
【0016】
〔式中、R1、R3、R6及びY−は前記と同じ意味であり、R7はメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、又はR1−COO(CH2)i−で表される基である。i及びjは2又は3の数である。〕
通常(a)成分は牛脂やパーム油由来の脂肪酸を原料として製造されるが、例えば牛脂由来の脂肪酸は、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸を32〜58質量%、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸を42〜68質量%含有しており、このような脂肪酸組成を有する炭化水素基を本発明の(a)成分の原料として用いると、柔軟剤を透明化することは可能であるが、低温での保存時に濁る問題が生ずる。本発明では例えば特開平4−306296号公報に記載されているような晶析や、特開平6−41578号公報に記載されているようにメチルエステルを減圧蒸留する方法等で飽和脂肪酸を低減化させた脂肪酸等を用いて(a)成分を製造することができる。
【0017】
具体的に好ましい原料脂肪酸は、不飽和脂肪酸を好ましくは70〜97モル%、より好ましくは80〜97モル%含有するものである。また、本発明では透明化及び吸水性の点から、炭素−炭素不飽和結合を2つ以上含有する脂肪酸の含有量が全脂肪酸中3〜15モル%、好ましくは5〜12モル%であるものが好適であり、このような組成を有する脂肪酸は、上記減圧蒸留や、晶析法による精製の他に、例えば特開平8−99036号公報に記載の選択水素化反応を行うことで炭素−炭素不飽和結合を2つ以上含有する脂肪酸の割合を制御する方法等により製造することができる。
【0018】
(a)成分の好ましい製造方法としては、上述の脂肪酸とメチルジエタノ−ルアミンとの脱水エステル化反応により、式(1−1)で表される化合物を得ることができ、さらに式(1−1)で表される化合物をメチルクロリド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のアルキル化剤でアルキル化することで、式(2−1)で表される化合物を得ることができる。また、上述の脂肪酸とN,N−ジアミノプロピル−N−メチルアミンとのアミド化反応により、式(1−2)で表される化合物を得ることができ、同様にアルキル化することで、式(2−2)で表される化合物を得ることができる。さらに、上述の脂肪酸とN−ヒドロキシエチル−N−アミノプロピル−N−メチルアミンとの反応により、式(1−3)で表される化合物が得られ、さらに同様にアルキル化することで、式(2−3)で表される化合物を得ることができる。
【0019】
本発明では柔軟効果を向上させる目的から、(a)成分として、上記式(1−1)〜(2−3)で表される化合物から選ばれる長鎖炭化水素基を2つ以上有する化合物(以下(ad)成分という)と、下記式(1−4)〜(2−6)で表される化合物から選ばれる長鎖炭化水素基を1つ有する化合物(以下(am)成分という)を併用することが好ましく、am/adは質量比で、好ましくは1/100〜1/2、より好ましくは1/50〜1/3、特に好ましくは1/15〜1/5が好適である。
【0020】
【化4】
【0021】
〔式中、R1、R3、R6及びY−は前記と同一の意味であり、R8はメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基である。〕
本発明の(a)成分が3級アミンの場合には、無機の酸で中和した塩であってもよい。また、塩として使用する場合は、柔軟剤組成物に配合する前にアミノ基を酸剤により中和したものを用いることもでき、柔軟剤組成物に(a)成分を配合した後、アミノ基を酸剤で中和してもよい。中和のための酸としては塩酸、硫酸、リン酸が好ましい。中和に用いるこれらの酸剤は、単独で用いても複数で用いてもよい。
【0022】
[(b)成分]
本発明の(b)成分は、logPが1.0〜3.0、好ましくはlogPが1.0〜2.0、更に好ましくは1.1〜1.8、特に好ましくは1.1〜1.7の有機溶剤である。
【0023】
ここでlogPとは、有機化合物の水と1−オクタノールに対する親和性を示す係数である。1−オクタノール/水分配係数Pは、1−オクタノールと水の2液相の溶媒に微量の化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡で、それぞれの溶媒中における化合物の平衡濃度の比であり、底10に対するそれらの対数logPの形で示すのが一般的である。多くの化合物のlogP値が報告され、Daylight Chemical Information Systems, Inc. (Daylight CIS)等から入手しうるデータベースには多くの値が掲載されているので参照できる。本発明におけるlogPは、Daylight CISから入手できるプログラム“CLOGP”で得られる計算値を用いる。このプログラムは、実測のlogP値がある場合にはそれと伴に、Hansch, Leoのフラグメントアプローチにより算出される“計算logP(ClogP)”の値を出力する。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している(cf. A. Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch, P.G. Sammens, J.B. Taylor and C.A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990)。このClogP値は現在最も汎用的で信頼できる推定値であるので、化合物の選択に際して実測のlogP値の代わりに用いることができる。
【0024】
より具体的に好ましい(b)成分としては、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−フェノキシプロピレングリコール、2−ベンジルオキシエタノール、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル、ノナンー1,6−ジオール、2−メチルオクタン−1,8−ジオール、プロピレングリコールモノ(n−ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノ(n−ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、2−ブトキシ−1−プロパノール、ジプロピレングリコールモノ(n−ブチル)エーテル、2−フェノキシ−1−プロパノール、2−エトキシプロピル−1−アセテート、2−プロポキシプロピル−1−アセテート、ヘキシルグリセリルエーテルを挙げることができる。
【0025】
これらの中でも特にベンジルアルコール、フェネチルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノ(n−ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノ(n−ブチル)エーテルが好ましく、組成物の透明化及び貯蔵安定性の点から最も好ましい(b)成分は、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル及びジプロピレングリコールモノ(n−ブチル)エーテルから選ばれる1種以上である。
【0026】
[(c)成分]
本発明の(c)成分は炭素数1〜10、好ましくは1〜7の炭化水素基を有する多価カルボン酸又はヒドロキシカルボン酸(但し窒素原子を含有するものは除く)から選ばれる1種以上の化合物である。(c)成分の融点は、好ましくは25℃以上、更に好ましくは50〜300℃、特に好ましくは50〜200℃である。窒素原子を含有する化合物は色の安定性の点から、(c)成分としては好ましくない。
【0027】
具体的に好ましい(c)成分としては、グリコール酸(mp80℃)、蓚酸(mp102℃)、乳酸(mp26℃)、マロン酸(mp135℃)、コハク酸(mp185℃)、マレイン酸(mp130℃)、リンゴ酸(mp100℃)、酒石酸(mp170℃)、グルタル酸(mp98℃)、アジピン酸(mp153℃)、n−ブチルマロン酸(mp102℃)、アゼライン酸(mp107℃)、クエン酸(mp153℃)、フタル酸(mp191℃)を挙げることができる。これらの中でも特にグリコール酸、クエン酸、蓚酸、乳酸が臭いや色の劣化抑制効果の点から良好である。
【0028】
[(d)成分]
本発明では(d)成分として酸化防止剤を含有する。(d)成分として、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール及び/又は2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールを用いることが好適である。
【0029】
[柔軟剤組成物]
本発明の柔軟剤組成物中の(a)成分の含有量は、3〜50質量%、好ましくは4〜40質量%、特に好ましくは5〜35質量%である。(b)成分の含有量は5質量%を超え、40質量%以下、好ましくは5質量%を超え、30質量%以下、特に好ましくは8〜27質量%である。(c)成分の含有量は、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜5質量%、特に好ましくは0.3〜4質量%である。(d)成分の含有量は、5〜8000mg/kg、好ましくは10〜2000mg/kg、特に好ましくは50〜1200mg/kg、最も好ましくは100〜1000mg/kgである。
【0030】
また、色及び臭いの安定性の点から、(a)成分と(c)成分の質量比、(a)成分/(c)成分が、好ましくは99.5/0.5〜40/60、より好ましくは99/1〜70/30である。また、臭いの劣化、液の透明化及び貯蔵安定性の点から、(a)成分と(b)成分の質量比、(a)成分/(b)成分が、好ましくは30/70〜80/20、より好ましくは45/55〜70/30である。
【0031】
本発明の柔軟剤組成物は、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を水で稀釈した水溶液の形態であり、使用する水は蒸留水又はイオン交換水が好ましい。貯蔵安定性の点で、水は組成物中に好ましくは30〜95質量%、更に好ましくは50〜85質量%配合される。
【0032】
さらに、本発明の組成物は、貯蔵安定性の点から、組成物の20℃におけるpHを2〜8.5、更に2〜8、特に2〜5に調整することが好ましい。
【0033】
本発明の組成物は、上記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分に加えて(e)成分として、炭素数1〜9のアルキル基又はアリール基を有し、かつ−SO3M及び−OSO3M〔Mは水素原子又は無機陽イオンである〕から選ばれる基を少なくとも一つ有する化合物を含有することが貯蔵安定性の点から好適である。
【0034】
具体的にはベンゼン環の水素原子の1〜3個が炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよいベンゼンスルホン酸及びその塩から選ばれる1種以上が好適である。本発明の組成物中の(e)成分の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜3質量%である。
【0035】
本発明の組成物は柔軟効果の観点から、(f)成分として、パルミトレイン酸、オレイン酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。本発明の組成物中の(f)成分の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、特に好ましくは0.05〜3質量%である。また、本発明の組成物中の(a)成分に対する(f)成分の質量比、(f)成分/(a)成分は、柔軟効果の点から、好ましくは1/100〜1/5、更に好ましくは1/80〜1/7である。
【0036】
本発明では貯蔵安定性の点から、(g)成分としてさらに非イオン界面活性剤を配合することが好ましい。非イオン界面活性剤としては炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、及び/又は油脂又は油脂の部分加水分解物にアルキレンオキシドを付加した化合物が好ましい。炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミドの特に好ましい例として下記一般式(3)で表される非イオン界面活性剤が良好である。また、油脂又は油脂の部分加水分解物にアルキレンオキシドを付加した化合物の特に好ましい例として、硬化ヒマシ油のポリオキシアルキレン付加物(平均付加モル数30〜100、好ましくは50〜80)が挙げられる。
【0037】
R9−U−[(R10O)m−H]n (3)
〔式中、R9は炭素数10〜18、好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R10は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。mは2〜100、好ましくは5〜80、特に好ましくは10〜60の数を示す。Uは−O−、−CON−又は−N−であり、Uが−O−の場合はnは1であり、Uが−CON−又は−N−の場合はnは2である。〕
一般式(3)で表される化合物の具体例として以下の一般式(3−1)〜(3−4)で表される化合物を挙げることができる。
【0038】
R9−O−(C2H4O)p−H (3−1)
〔式中、R9は前記の意味を示す。pは8〜100、好ましくは10〜60の数である。〕
R9−O−(C2H4O)q−(C3H6O)r−H (3−2)
〔式中、R9は前記の意味を示す。q及びrはそれぞれ独立に2〜40、好ましくは5〜40の数であり、オキシエチレン基とオキシプロピレン基はランダムあるいはブロック付加体であってもよい。〕
【0039】
【化5】
【0040】
〔式中、R9は前記の意味を示す。s,t,u及びvはそれぞれ独立に0〜40、好ましくは5〜40の数であり、s+t+u+vは5〜60、好ましくは5〜40の数である。オキシエチレン基とオキシプロピレン基はランダムあるいはブロック付加体であってもよい。〕
上記非イオン界面活性剤の配合量は安定性の点から組成物中0.3〜10質量%、特に1〜8質量%が好ましい。
【0041】
また、本発明の柔軟剤組成物は、(h)成分として無機塩を含有することができ、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム及び/又は塩化カルシウムが貯蔵安定性の点から好ましく、さらに好ましくは塩化ナトリウム、塩化マグネシウムである。(h)成分は、組成物中に、0〜3質量%、好ましくは0.01〜1質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%、特に好ましくは0.05〜0.44質量%添加することが良好である。但し、脂肪酸塩類等の界面活性剤にはナトリウム塩やカリウム塩が含まれているが、このような界面活性剤の使用によって組成物に混入する無機塩は上記制限を受けるものではない。
【0042】
本発明の柔軟剤組成物には、通常繊維処理剤に配合されるシリコーン、香料(特に好ましくは特開平8−11387号公報記載の成分(c)及び(d)にて示された香気成分の組み合わせ)、あるいは色素等の成分を配合しても差し支えない。
【0043】
【実施例】
合成例1:(a−1)の合成
特開平8−99036号公報段落番号0017の表1に示す炭化水素組成を有する脂肪酸とN−メチル−N−ヒドロキシエチル−N−アミノプロピルアミンとを脂肪酸/アミン=1.94/1のモル比で通常の方法により脱水縮合反応してN−オレオイルオキシエチル−N−オレオイルアミノプロピル−N−メチルアミンを主成分とする反応物(以下(a−1)という)を得た(尚、反応溶媒はエタノールを使用し、合成品中のエタノール含有量は10質量%であった)。(a−1)の炭化水素基の組成及びam/ad質量比を表1に示す。
【0044】
合成例2:(a−2)の合成
特開平8−99036号公報段落番号0023の表2の比較例2に示す炭化水素組成を有する脂肪酸とトリエタノールアミンとを脂肪酸/アミン=1.9/1のモル比で通常の方法により脱水縮合反応してN,N−ジオレオイルオキシエチル−N−ヒドロキシエチルアミンを得た。この化合物をメチルクロリドを用いて通常の方法によりアルキル化してN,N−ジオレオイルオキシエチル−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウム クロリドを主成分とする反応物(以下(a−2)という)を得た(尚、反応溶媒はエタノールを使用し、合成品中のエタノール含有量は10質量%であった)。(a−2)の炭化水素基の組成及びam/adの質量比を表1に示す。
【0045】
合成例3:(a−3)の合成
特開平8−99036号公報段落番号0030の表3の比較例5に示す炭化水素組成を有する脂肪酸とN−メチル−N,N−ジエタノールアミンとを脂肪酸/アミン=1.94/1のモル比で通常の方法により脱水縮合反応してN,N−ジオレオイルオキシエチル−N−メチルアミンを得た。この化合物をメチルクロリドを用いて通常の方法によりアルキル化してN,N−ジオレオイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム クロリドを主成分とする反応物(以下(a−3)という)を得た(尚、反応溶媒はエタノールを使用し、合成品中のエタノール含有量は10質量%であった)。(a−3)の炭化水素基の組成及びam/adの質量比を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例1
下記配合成分を用いて、下記方法で表2に示す組成の柔軟剤組成物を調製し、下記方法で外観及び貯蔵安定性を評価した。結果を表2に示す。
【0048】
<配合成分>
(a−1):合成例1で得たN−オレオイルオキシエチル−N−オレオイルアミノプロピル−N−メチルアミンを主成分とする反応物
(a−2):合成例2で得たN,N−ジオレオイルオキシエチル−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウム クロリドを主成分とする反応物
(a−3):合成例3で得たN,N−ジオレオイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム クロリドを主成分とする反応物
(a’−1):N−アルカノイルオキシエチル−N−オレオイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム クロリド(アルカノイル基組成:パルミトイル基:0.3%(アルカノイル基の合計数に対する各基の数、以下同じ)、ステアロイル基:1.0%、オレオイル基:93%、リノロイル基:5.7%)
(b−1):2−フェノキシエタノール(ClogP=1.19)
(b−2):ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(ClogP=1.25)
(b−3):トリエチレングリコールモノフェニルエーテル(ClogP=1.32)
(b−4):ジプロピレングリコールモノ(n−ブチル)エーテル(ClogP=1.52)
(b’−1):n−ペンチルグリセリルエーテル(ClogP=0.54)
(c−1):クエン酸
(c−2):グリコール酸
(c−3):乳酸
(c−4):蓚酸
(d−1):2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール
(e−1):p−トルエンスルホン酸ナトリウム
(f−1):オレイン酸(特開平8−99036号公報段落番号0023の表2の実施例1に示す炭化水素組成)
(f−2):オレイン酸(特開平8−99036号公報段落番号0017の表1に示す炭化水素組成を有する脂肪酸)
(g−1):炭素数12の飽和アルコールにエチレンオキシド(以下EOという)を平均20モル付加させたもの
(g−2):未硬化牛脂アルキルアミンにEOを平均30モル付加させたもの
(g−3):ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(EO平均縮合度60)
(h−1):塩化マグネシウム
(i−1):シリコーン(ジーイー東芝シリコーン製、TSA730)。
(i−2):香料〔ヘキシルシンナミックアルデヒド(18)、ネロリンヤラヤラ(4)、トリシクロデセニルアセテート(4)、ベンジルアセテート(10)、ムスクケトン(5)、アニシルアセトン(2)、サンダルマイソールコア(2)、アルデヒドC14ピーチ(1)、リナロール(18)、ジヒドロキシミルセノール(8)、ボルネオール(4)、セドロール(4)、ムゴール(5)、ベンジルアルコール(5)、ジプロピレングリコール(10)の混合物:カッコ内は香料中の質量%〕。
【0049】
<柔軟剤組成物の調製法>
300mLビーカーに、柔軟剤組成物の出来あがり質量が200gになるのに必要な量の95%相当量のイオン交換水を入れ、ウォーターバスで60℃に昇温した。一つの羽根の長さが2cmの攪拌羽根が3枚ついたタービン型の攪拌羽根で攪拌しながら(300r/min)、所要量の(b)成分[又は(b’−1)]を溶解させた。次に所要量の(a)成分[又は(a’−1)]と(f)成分、及び(e)成分を予め混合した混合品(40℃)を添加した。そのまま5分攪拌後、順次、(c)成分、(d)成分、(g)成分、(h)成分、(i)成分を添加し、5分攪拌後、35%塩酸水溶液と48%水酸化ナトリウム水溶液で目標のpHに調整し、出来あがり質量にするのに必要な量の60℃のイオン交換水を添加した。その後10分間攪拌し、5℃の水を入れたウォーターバスにビーカーを移し、攪拌しながら20℃に冷却した。なお、表2に示すpHは冷却後(20℃)のpHを記載した。記載のpH範囲では(a−1)成分はほぼすべて塩酸塩の状態で組成物に存在する。
【0050】
<外観評価法>
表2の組成物を調製後1時間放置したサンプルの光透過率を測定した。光透過率は島津製作所製UV−2500PC型測定器を用い、測定セルは光路長10mmの石英セルを使用し、対照側セルにイオン交換水を入れた場合に660nmの波長の光透過率により評価した。光透過率が30%以上であり、明らかに透明なものを「○」、僅かに濁っているが、光透過率が30%以上で、許容範囲内のものを「△」、光透過率が30%未満のものを「×」とした。尚、○及び△が合格、×が不合格である。
【0051】
<貯蔵安定性の評価法>
柔軟剤組成物を広口規格瓶(PS−No.6)に25g入れ、40℃一定で30日間保存し、25℃まで冷却した後の色目を下記基準で評価し、匂いを10人の匂いパネラーにより下記の判定基準で判定し、その平均点が1以上、1.5未満を○、1.5以上2未満を△、2以上を×とした。
・色目
○:色目変化なし
△:若干色目が変色している
×:明らかに色目が変色している
・匂い
3…組成物の匂いが変化している
2…組成物の匂いがやや変化している
1…全く変化がない
【0052】
【表2】
Claims (5)
- (a)アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数12〜36の炭化水素基を分子内に1つ以上有し、かつ3級アミノ基又はその酸塩もしくは4級アンモニウム基を有する化合物であって、該炭化水素基の合計数に対する炭素−炭素不飽和結合を1つ以上有する炭化水素基の数が70〜97%である化合物を3〜50質量%、(b)logPが1.0〜3.0の有機溶剤を5質量%を超え40質量%以下、(c)炭素数1〜10の炭化水素基を有する多価カルボン酸又はヒドロキシカルボン酸(但し窒素原子を含有するものは除く)から選ばれる1種以上の化合物を0.1〜5質量%、(d)酸化防止剤を5〜8000mg/kg含有する透明柔軟剤組成物。
- (a)成分が下記一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物である請求項1記載の透明柔軟剤組成物。
- 酸化防止剤が2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール及び/又は2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールである請求項1又は2記載の透明柔軟剤組成物。
- さらに(e)成分として、炭素数1〜9のアルキル基又はアリール基を有し、かつ−SO3M及び−OSO3M〔Mは水素原子又は無機陽イオンである〕から選ばれる基を少なくとも一つ有する化合物を0.01〜5質量%含有する請求項1〜3いずれか記載の透明柔軟剤組成物。
- さらに(f)成分として、パルミトレイン酸、オレイン酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜4いずれか記載の透明柔軟剤組成物。
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