JP2004084075A - 曲げ強度に優れた肌焼鋼 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高価なCr、Mo、Ni、Si、Mnなどの合金元素を低減し、Bを添加することで焼入性を補い、浸炭時のオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制し、曲げ強度に優れた肌焼鋼を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.03〜0.09%、Mn:0.20〜2.0%、B:0.0005〜0.0050%、Ti:0.1%超〜0.2%、N:0.01%以下、Al:0.005〜0.050%、Cr:1.04〜2.0%を含有し、さらにMo:1.5%以下、Ni:3.0%以下のうち1種または2種を含有し、かつV:0.02〜0.10%、Nb:0.02〜0.10%を1種または2種含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、Ti炭化物を鋼中に微細分散させた曲げ強度に優れた肌焼鋼である。
【選択図】 なし
【解決手段】 質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.03〜0.09%、Mn:0.20〜2.0%、B:0.0005〜0.0050%、Ti:0.1%超〜0.2%、N:0.01%以下、Al:0.005〜0.050%、Cr:1.04〜2.0%を含有し、さらにMo:1.5%以下、Ni:3.0%以下のうち1種または2種を含有し、かつV:0.02〜0.10%、Nb:0.02〜0.10%を1種または2種含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、Ti炭化物を鋼中に微細分散させた曲げ強度に優れた肌焼鋼である。
【選択図】 なし
Description
本発明は浸炭時のオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制することができることを特徴とする曲げ強度に優れた肌焼鋼に関するものである。
近年、低コスト化の傾向が強まり材料費の低減や冷間鍛造による生産工程の簡略化が望まれている。そのような流れの中で使用される材料も高価なCr、Mo、Ni、Si、Mnなどの合金元素を低減しBを添加することによって焼入性を補った肌焼鋼が使用されるようになっている。しかしながら、B添加鋼では、鋼中のfree−Nが存在するとBNを形成して固溶Bがなくなり、焼入性を向上させる効果がなくなる。そこで、通常Tiを0.01〜0.05%程度添加しfree−Nを固定する方法が採られるが、このことによってオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制するAlNが減少し、浸炭時に混粒あるいは粗粒となり曲げ強度特性に悪影響を及ぼす。そのため、浸炭時のオーステナイト結晶粒の粗大化を防ぎ整粒かつ微細粒にする必要がある。
特開平10−81938号公報
本発明が解決しようとする課題は、高価なCr、Mo、Ni、Si、Mnなどの合金元素を低減し、Bを添加することによって焼入性を補い、かつ、曲げ強度を大幅に向上させた肌焼鋼において、浸炭時のオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制し、曲げ強度に優れた肌焼鋼を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.03〜0.09%、Mn:0.20〜2.0%、B:0.0005〜0.0050%、Ti:0.1%超〜0.2%、N:0.01%以下、Al:0.005〜0.050%、Cr:1.04〜2.0%を含有し、さらにMo:1.5%以下、Ni:3.0%以下のうち1種または2種を含有し、かつ、V:0.02〜0.10%、Nb:0.02〜0.10%を1種または2種含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、Ti炭化物を鋼中に微細分散させたことを特徴とし、B添加により曲げ強度を大幅に向上させ、かつTiを0.1%超〜0.2%添加することによってfree−Nを固定し、Ti炭化物、Tiを含有する複合炭化物、Ti窒化物を微細に析出させることによって浸炭時のオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制した、曲げ強度に優れた肌焼鋼である。
本発明は、上記のようにB添加により曲げ強度を大幅に向上させ、かつTiを含有する微細析出物によって浸炭時のオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制し、さらにV、Nbを添加することによってより結晶粒粗大化抑制効果を高め、曲げ強度を向上させたものである。
本発明の組成割合の限定理由を述べる。以下%は質量%を表す。
C:Cは機械構造用部品として浸炭処理後の芯部強度を確保するために必要な元素であり、0.10%未満ではその効果が十分に得られず、反対に0.35%を超えると芯部の靭性を低下させる。そのため、含有量を0.10〜0.35%とした。
C:Cは機械構造用部品として浸炭処理後の芯部強度を確保するために必要な元素であり、0.10%未満ではその効果が十分に得られず、反対に0.35%を超えると芯部の靭性を低下させる。そのため、含有量を0.10〜0.35%とした。
Si:Siは0.03%未満では脱酸効果が十分に得られず、過剰に含有させると加工性を低下させると共に、ガス浸炭時の粒界酸化層の形成を助長し、疲労特性についても低下させるためる。すなわち、低減するほどガス選択時の粒界酸化が抑制されるため初期欠陥が小さくなり、疲労限度が向上する。したがって上限を0.09%とした。
Mn:Mnは焼入性を確保するのに必要な元素であり、0.20%以下ではその効果が十分に得られず、また2.0%を超えると鋼中で偏析し加工性を低下させる。そのため、含有量を0.20〜2.0%とした。
B:Bは極微量の添加によって鋼の焼入性を著しく向上させる元素であり、かつ浸炭焼入焼戻処理後の曲げ特性を大幅に改善するが、0.0005%未満ではその効果は十分でなく、0.0050%を超えると逆に焼入性を低下させる。そのため、含有量を0.0005〜0.0050%とした。
Ti:Tiは鋼中のfree−Nを固定しBの焼入性への効果を向上させると共にTi炭化物、Tiを含有する複合炭化物、Ti窒化物を微細に析出させることによって浸炭時のオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制するために必要な元素であり、0.1%以下ではその効果は十分でなく、0.2%を超えると析出物の量が過剰となり加工性を低下させる。そのため、含有量を0.1%超〜0.2%とした。
N:Nは0.01%を超えて含有するとTiNが増加し、疲労特性に悪影響を及ぼす。そのため、含有量を0.01%以下とした。
Al:Alは脱酸材として使用される元素であり、0.005%未満ではその効果が十分でなく0.050%を超えるとアルミナ系酸化物が増加し疲労特性、加工性を低下させる。そのため、含有量を0.005〜0.050%とした。
Cr:浸炭層の焼入性の向上および曲げ強度向上に効果のある元素であり、下限が1.04%未満であるとその効果は十分でなく、2.0%より多すぎると効果は飽和するので上限を2.0%とする。
Mo、Ni:焼入性の向上および曲げ強度向上に効果のある元素で選択的に添加できるが、多すぎると効果は飽和する。Cr:2.0%以下、Mo:1.5%以下、Ni:3.0%以下のうち1種または2種を材料の用途に応じて適宜に選択して使用しても良い。
V、Nb:炭化物を形成しTi同様にオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制する効果があり、0.02%未満ではその効果が得られず、0.10%を超えて含有させると析出物の量が過剰となり加工性を低下させる。V:0.02〜0.10%、Nb:0.02〜0.10%のうち1種または2種を材料の用途に応じて適宜使用しても良い。
以上に説明した通り、本発明の鋼は、Tiを0.1%超〜0.2%添加することにより、結晶粒の粗大化を抑制し、さらにSiを0.09%以下とすることにより、ガス浸炭時の粒界酸化を抑制して初期欠陥を小さくし、疲労限度を向上させ、Crを1.04〜2.0%添加することで浸炭層の焼入性を改善し、曲げ強度を向上させ、さらにMo、Niを選択的に添加することによって焼入性および曲げ強度をさらに向上させ、なお、さらに、V、Nbを選択的に添加することによって、結晶粒粗大化抑制効果をより高めるという優れた効果を奏するものである。
表1に示す化学成分組成の供試鋼を100kg真空溶解炉にて溶製し、熱間鍛造で32mmφに鍛伸し、焼ならし後、曲げ試験片(カク10mm×70mmL、2mmVノッチ)に加工し、浸炭焼入焼戻処理後、曲げ試験に供した。
本発明を実施するための最良の形態の鋼組成は、表1の実施例1あるいは実施例2に示すものである。これらの実施例は、炭素含有量がS20C鋼を基本とする鋼に相当するものであり、実施例1はBを0.0019%、Tiを0.145%、Crを1.05%、Moを0.15%、さらにVを0.05%を含有するものであり、実施例2はBを0.0017%、Tiを0.145%、Crを1.04%、Moを0.15%、さらにVに代えてNbを0.04%を含有したものである。さらにAlはそれぞれの鋼の溶製中に脱酸材として添加されて含有されるものである。
曲げ試験の試験条件を示す。上記の表1に示す種々の成分組成材を32mmφ棒鋼に鍛伸し、カク10mm×70mmLに加工し、930℃×6時間で浸炭後830℃から60℃の油中に焼入れ、180℃で焼戻した後、曲げ試験を行った。初期亀裂発生荷重の比および破断荷重の比で評価した。
表1に今回実験に用いた鋼の成分を示す。比較例1はS20C鋼にBとTiを添加したものである。比較例2は比較例1にCrを添加したもの、比較例3は比較例1にMoを添加したもの、比較例4は比較例1にNiを添加したものである。比較例5は比較例1にCrとMoを添加したものである。
これらの比較例に比してTiを0.145%添加した実施例1または実施例2は、本発明の実施の形態を示す実施例である。
比較例1の初期亀裂発生荷重および破断荷重をそれぞれ1とし、これに対する初期亀裂発生荷重比および破断荷重比で評価を行い、表2に示した。なお、Cr、Mo、Niにおいてハッチで示したものは本発明の範囲にあるものである。
表2に示すように、Crを添加している比較例2、Moを添加している比較例3、Niを添加している比較例4、CrおよびMoを添加している比較例5に対し、Tiを0.145%を添加し、さらに実施例1はVを0.05%を添加し、あるいは実施例2はNbを0.04%添加しており、これらは、それぞれ初期亀裂発生荷重および破断荷重が向上していることがわかる。
さらに、実施例1あるいは実施例2は比較例に対して浸炭時の結晶粒はいずれも粒度No.で10.5であり、安定していることが確認された。
Claims (1)
- 質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.03〜0.09%、Mn:0.20〜2.0%、B:0.0005〜0.0050%、Ti:0.1%超〜0.2%、N:0.01%以下、Al:0.005〜0.050%、Cr:1.04〜2.0%を含有し、さらにMo:1.5%以下、Ni:3.0%以下のうち1種または2種を含有し、かつ、V:0.02〜0.10%、Nb:0.02〜0.10%を1種または2種含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、Ti炭化物を鋼中に微細分散させたことを特徴とする曲げ強度に優れた肌焼鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003411086A JP2004084075A (ja) | 2003-12-09 | 2003-12-09 | 曲げ強度に優れた肌焼鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10236730A Division JP2000063983A (ja) | 1998-08-24 | 1998-08-24 | 曲げ強度に優れた肌焼鋼 |
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JP2003411086A Pending JP2004084075A (ja) | 2003-12-09 | 2003-12-09 | 曲げ強度に優れた肌焼鋼 |
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- 2003-12-09 JP JP2003411086A patent/JP2004084075A/ja active Pending
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