JP2004084062A - プラズマ処理方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロプラズマによるマスクレスのパターニング加工において、パターニング形状を制御できるプラズマ処理方法を提供する。
【解決手段】被処理膜3の近傍に配置したマイクロプラズマ源1のプラズマ放出口からシート状のマイクロプラズマ2を放出させ、被処理膜3とマイクロプラズマ源1を相対的に走査させてパターニング加工を行なうに際し、被処理膜3の表面に対してマイクロプラズマ源1のプラズマ放出口面1aを角度θだけ傾斜させて走査して加工する。
【選択図】 図1
【解決手段】被処理膜3の近傍に配置したマイクロプラズマ源1のプラズマ放出口からシート状のマイクロプラズマ2を放出させ、被処理膜3とマイクロプラズマ源1を相対的に走査させてパターニング加工を行なうに際し、被処理膜3の表面に対してマイクロプラズマ源1のプラズマ放出口面1aを角度θだけ傾斜させて走査して加工する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロプラズマ源と被処理物を相対的に走査して加工するプラズマ処理方法及び装置に関し、レジストマスクレスで薄膜パターンを形成する技術に好適に適用されるプラズマ処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、表面に薄膜が形成された基板に代表される被処理物にパターニング加工を行なう場合には、レジストプロセスが適用されている。このレジストプロセスの一例を、図9を参照して説明する。図9において、まず(a)のように基板51上に形成された被処理膜52の表面にレジスト53を塗布する。次に、露光機を用いて露光した後現像することで、(b)のようにレジスト53を所定の形状にパターニングする。その後、基板51を真空容器内に載置し、真空容器内にプラズマを発生させ、(c)のようにレジスト53をマスクとして被処理膜52をエッチング加工し、被処理膜52をパターニングする。最後に、レジスト53を酸素プラズマや有機溶剤などで除去することで、(d)のように加工が完了する。
【0003】
以上のようなレジストプロセスは、微細パターンを精度良く形成するのに適しているため、半導体などの電子デバイスの製造において重要な役割を果たすに至っている。しかしながら、工程が長く、複雑であるという課題もある。
【0004】
そこで、レジストプロセスを用いない、新しい加工方法としてマイクロプラズマによるパターン形成が検討されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この特許文献1に開示された基板電極プラズマ発生装置の概略構成を、図10を参照して説明すると、表面を酸化したシリコン基板61上にタングステン膜をスパッタ蒸着した後ドライエッチングすることにより薄膜電極対62、63を形成し、これら薄膜電極対62、63に高周波電力を供給することで、薄膜電極対62、63間の微小ギャップ64にプラズマが発生し、対向させて設置した被処理物にエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理を行なうように構成されている。図11に、被処理物のパターニング後の形状を示す。ステンレス基板71上のSiO2 膜72上に被処理膜73が形成されており、この被処理膜73にエッチング加工を行なってパターン溝70が形成されている。
【0006】
また、このとき、被処理物のパターニングは線状に形成され、パターニングの線方向の長さは、薄膜電極対62、63の線方向の長さMと等しい長さとなった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−164395号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のマイクロプラズマ加工においては、エッチングにより形成されるパターニング形状に関して、そのテーパー状態を制御することが困難であるという問題があった。特に、パターン上部のエッジ角度が急になるため、その上に形成される膜の段差被覆性の低さから、配線膜の場合断線したり、また層間絶縁膜の場合は絶縁不良を引き起こすという問題があった。
【0009】
また、エッチングにより形成されるパターニングはプラズマ放出口の形状によって決まり、例えば、線状のプラズマ放出口を有するプラズマ源では点形状のパターニング形状を形成することが難しく、パターニングが複雑になると、より多種類のプラズマ放出口を有するプラズマ源が必要になるという問題もあった。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、パターニング形状の制御性に優れ、また1つのプラズマ源で複数のパターニングを形成できるプラズマ処理方法及び装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願の第1発明のプラズマ処理方法は、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物と前記マイクロプラズマ源とを相対的に走査させてパターニング加工を行なうプラズマ処理方法であって、被処理物の表面に対してマイクロプラズマ源のプラズマ放出口面を角度θだけ傾斜させて加工するものであり、被処理物の表面に対してマイクロプラズマ源のプラズマ供給口面を傾斜させて加工することでパターニング形状を制御できかつ加工精度に優れたプラズマ処理を行なうことができる。
【0012】
好適には、走査方向に傾斜させることが望ましく、またプラズマ放出口面と被処理物の表面との距離が小さい方から大きい方へ被処理物の表面を走査して加工するのが望ましく、あるいはプラズマ放出口面と被処理物の表面との距離が大きい方から小さい方へ被処理物の表面を走査して加工してもよい。
【0013】
本願の第2発明のプラズマ処理方法は、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物と前記マイクロプラズマ源とを相対的に走査させてパターニング加工を行なうプラズマ処理方法であって、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口を略台形状にして加工するものであり、プラズマ放出口を略台形状の形状にして加工することでパターニング形状を制御できかつ加工精度に優れたプラズマ処理を行なうことができる。
【0014】
好適には、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口における台形の高さ方向を走査方向として加工することが望ましく、またその台形の短辺側から長辺側に被処理物を走査して加工するのが望ましく、あるいは台形の長辺側から短辺側に被処理物を走査して加工してもよい。
【0015】
本願の第3発明のプラズマ処理方法は、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物のパターニング加工を行なうプラズマ処理方法であって、被処理物の表面に対してマイクロプラズマ源のプラズマ放出口を角度θだけ傾斜させて加工するものであり、1つのプラズマ源を用いて複数のパターニング形状を形成できるプラズマ処理を行うことができる。
【0016】
好適には、マイクロプラズマ源と被処理物との間に形成される空間には、容量結合によるプラズマを発生させることが望ましく、また角度θは3°より大きく45°以下であることが望ましい。さらに、マイクロプラズマ源は、プラズマ放出口が線状をなしていることが望ましい。
【0017】
本願の第4発明のプラズマ処理装置は、マイクロプラズマを放出させるプラズマ放出口を有するマイクロプラズマ源を備え、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させて前記被処理物を加工するプラズマ処理装置であって、被処理物の表面に対するプラズマ放出口の角度θを調整可能にマイクロプラズマ源を配設したものであり、角度θを任意に調整することで、1つのプラズマ源を用いて複数のパターニング形状を形成できる。
【0018】
本願の第5発明のプラズマ処理装置は、マイクロプラズマを放出させるプラズマ放出口を有するマイクロプラズマ源を備え、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させて前記被処理物を加工するプラズマ処理装置であって、被処理物の表面に対するプラズマ放出口の角度θを調整可能にマイクロプラズマ源を配設し、マイクロプラズマ源を走査させる手段を備えるものであり、角度θを任意に調整することで、1つのプラズマ源を用いて複数のパターニング形状を形成できる。
【0019】
本願の第6発明のプラズマ処理装置は、マイクロプラズマを放出させるプラズマ放出口を有するマイクロプラズマ源を備え、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させて前記被処理物を加工するプラズマ処理装置であって、前記マイクロプラズマ源におけるプラズマ放出口を略台形状とし、前記マイクロプラズマ源とを相対的に走査させる走査手段を設けたものであり、プラズマ放出口を略台形状の形状にして加工することでパターニング形状を制御できかつ加工精度に優れたプラズマ処理を行なうことができる。
【0020】
本願の第7発明のプラズマ処理装置は、マイクロプラズマを放出させるプラズマ放出口を有するマイクロプラズマ源を備え、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させて前記被処理物を加工するプラズマ処理装置であって、マイクロプラズマ源は、不活性ガスを噴出する噴出口と、その両側又は周囲の反応性ガスまたはエッチング性ガスの噴出口とを有し、かつマイクロプラズマ源と被処理物との間の空間に容量結合によるプラズマ発生領域を形成できる電極を有するものであり、中央にのみマイクロプラズマを発生させて被処理物の微小な部分に対するプラズマ処理を施すことができる。
【0021】
また、マイクロプラズマ源を、被処理物の表面に対するプラズマ放出口の角度θを調整可能に配設すると、複数のパターニング形状を形成できるので望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプラズマ処理方法及び装置の第1の実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
【0023】
図1において、1は平たい直方体形状のマイクロプラズマ源であり、その一側端面のプラズマ放出口面1aには、シート状のマイクロプラズマ2を放出するプラズマ放出口が形成されている。3はMoからなる被処理膜で、SiO2 膜からなる下地層4を介してステンレス製の基板5上に形成され、これら被処理物3と下地層4と基板5にて被処理基板6が構成されている。
【0024】
マイクロプラズマ源1の内部構造を示す図2において、11は長さL:30mm、深さd:0.1mmの溝が一側端から他側端にわたって貫通させて加工されたアルミナ基板、12はこのアルミナ基板11に合わせられる平板状のアルミナ基板である。13はこれらアルミナ基板11、12間に形成された断面形状が矩形の放電空間であり、この放電空間13の一端は前記マイクロプラズマ2を放出するプラズマ放出口として開口し、放電空間13の他端からガス供給手段(図示せず)にて反応ガスが供給される。14はアルミナ基板12の外面に配設されるとともに接地された接地電極、15はアルミナ基板11の外面に配設されるとともに高周波電源16に接続された高周波電極である。
【0025】
このような構成のマイクロプラズマ源1における放電空間13に反応ガスを供給し、高周波電極15に高周波電力を印加することによって放電空間13にプラズマが発生し、プラズマ放出口からシート状のマイクロプラズマ2が放出される。このマイクロプラズマ2から漏れ出る活性粒子を被処理膜3に作用させることで被処理膜3を加工することができる。ここで、シート状のマイクロプラズマ2を用いている理由は、処理面積を拡大し、処理速度を向上させることができるためである。
【0026】
図1(a)において、図2の示したマイクロプラスマ源1をMoからなる被処理膜3に対向させて配置し、被処理基板6を矢印のようにシート状のマイクロプラズマ2の長手方向に走査させることで被処理膜3にパターニング加工を行なう。その際に、図1(b)に示すように、マイクロプラズマ源1を、被処理膜3に対して矩形状の放電空間13の長手方向(L方向)に角度θだけ傾斜させて設置する。このようにマイクロプラズマ源1を傾斜させて設置することで、マイクロプラズマ源1と被処理膜3との距離が小さい方から大きい方へ向かって処理されることになる。
【0027】
マイクロプラズマ源1と被処理膜3との距離が大きい場合、活性粒子の拡散が進むため、パターニング幅はマイクロプラズマ2のギャップ(概略は放電空間13のギャップ寸法のd)に対して拡大率が大きくなる。かくして、本方法による被処理膜3のパターニング形状は、図3に示すように、図11に示した従来例に比べてパターン溝10の上部のエッジ角度が滑らかなテーパー状になる。
【0028】
なお、角度θの設定は、マイクロプラズマ源1の長さLと狙いのテーパー角によって設定するのが望ましいが、被処理膜3と遠い方のプラズマ放出口との距離が放電安定性やラジカル到達量によって決まる処理能率によって制約されるため、3°以下が望ましい。
【0029】
次に、具体的な加工条件の一例を示す。マイクロプラズマ源1として、長さ;L=30mm、ギャップ;d=0.1mmの放電空間13を有するものを用い、6フッ化硫黄ガスを1%含むヘリウムガスを2l/min供給し、大気圧下でマイクロプラズマ源1に13.56MHzの高周波電力10Wを供給し、マイクロプラズマ2を発生させる。マイクロプラズマ源1は、被処理膜3と傾斜角度θ=2°で配置し、マイクロプラズマ源1と被処理膜3との距離の小さい方は0.5mm、大きい方は1.55mmとし、基板5下のヒータ(図示せず)により70℃に加熱制御した被処理基板6を1mm/minの速度で移動させながら、被処理膜3のエッチングを行なった。
【0030】
被処理膜3を構成するMoはプラズマ中の活性なFラジカルあるいはFイオンと反応し、反応生成物としてMoF6 を生成する。MoF6 の沸点は大気圧時に35℃であるため、ガスとして排気され、その結果パターニングができた。このとき、被処理膜3のパターン溝10の幅は下部で0.10mm、上部で0.12mmの順テーパー形状であった。
【0031】
次に、本発明の第2の実施形態について、図4を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一の構成要素については同一の参照符号を付して説明を省略し、主として相違点のみを説明する。
【0032】
第1の実施形態では、被処理膜3の表面に対してプラズマ源1のプラズマ放出口面1aを傾斜させ、被処理膜3の表面とプラズマ放出口との間の距離を変化させることでパターン溝10をテーパー形状とする例を示したが、本実施形態では放電空間の断面形状を台形状にし、放電空間のギャップを変化させることでパターン溝10をテーパー形状にするものである。
【0033】
本実施形態のマイクロプラズマ源1は、図4に示すように、深さに傾斜を持たせた溝を形成したアルミナ基板17、18を合わせて構成し、放電空間19の断面形状を台形状に形成している。この放電空間19のギャップ長辺、すなわち前記台形状の底辺の長さは、所定の順テーパー形状の上部長さに合わせて設定するのが望ましい。
【0034】
このシート状のマイクロプラズマ源1を、Moからなる被処理膜3に略平行あるいは傾斜対向させて配置し、被処理基板6を走査させることで、パターニングを行なう。その際に、被処理膜3をマイクロプラズマ源1の放電空間19の台形状の短辺側から長辺側へと走査させることで、被処理膜3のパターニング領域が徐々に拡大するため、パターニング上部のエッジ角度を滑らかなテーパー状にすることができる。
【0035】
具体的な加工条件の一例を示す。マイクロプラズマ源1として、長さ;L=30mm、ギャップ短辺=0.1mm、ギャップ長辺=0.12mmの放電空間19を有するものを用い、6フッ化硫黄ガスを1%含むヘリウムガスを2l/min供給し、大気圧下でマイクロプラズマ源1に13.56MHzの高周波電力10Wを供給し、マイクロプラズマ2を発生させる。マイクロプラズマ源1は、被処理膜3と略平行に配置し、基板5下のヒータ(図示せず)により70℃に加熱制御した被処理基板6を1mm/minの速度で移動させながら、被処理膜3のエッチングを行なった。このとき、被処理膜3のパターン溝10の幅は下部で0.10mm、上部で0.12mmの順テーパー形状であった。
【0036】
次に、本発明の第3の実施形態について、図5〜図8を参照して説明する。図5〜図7にマイクロプラズマ源を搭載したプラズマ処理装置の構成を示し、図5はマイクロプラズマ源の分解図を示す。
【0037】
図5、図6において、マイクロプラズマ源20は、セラミック製の外側板21、内側板22、23、外側板24から成り、外側板21、24には、外側ガス流路25及び外側ガス噴出口26が設けられ、内側板22、23には、内側ガス流路27及び内側ガス噴出口28が設けられている。そして、図6に示すように、外側板21と内側板22の間と、内側板23と外側板24の間に外側ガス噴出口26が設けられ、内側板22と23の間に内側ガス噴出口28が設けられている。なお、内側ガス噴出口28の線方向の長さeは30mmとし、外側ガス噴出口26の線方向の長さfは内側ガス噴出口28の線方向の長さeよりも大きくし、36mmとした。
【0038】
内側ガス噴出口28から噴出するガスの原料ガスは、外側板21に設けられた内側ガス供給口29から内側板22に設けられた貫通穴30を介して内側ガス流路27に導入される。また、外側ガス噴出口26から噴出するガスの原料ガスは、外側板21に設けられた外側ガス供給口31から内側板22に設けられた貫通穴32、内側板23に設けられた貫通穴33を介して外側ガス流路25に導入される。
【0039】
高周波電源が印加される電極34は、内側板22及び23に設けられた電極固定穴35に挿入され、外側板21及び24に設けられた貫通穴36を通して高周波電力供給のための配線と冷却が行われる。
【0040】
このような構成のマイクロプラズマ源20を搭載したプラズマ処理装置において、内側ガス噴出口28からヘリウム(He)を、外側ガス噴出口26から六フッ化硫黄(SF6 )を供給しつつ、電極34に高周波電力を印加することにより、図7に示すように、被処理物37の微小な線状部分をエッチングすることができる。これは、ヘリウムと六フッ化硫黄の大気圧付近の圧力下における放電し易さの差(ヘリウムの方が格段に放電し易い)を利用することで、ヘリウムが高濃度となる内側ガス噴出口28の近傍にのみマイクロプラズマを発生させることができるからである。
【0041】
図7においては、マイクロプラズマ源20を被処理物37と角度θをなして配置しており、この場合マイクロプラズマ源20から照射されるプラズマ発生領域38の被処理物37との接触長さNが被処理物37に形成されるパターニング形状の線方向長さとなる。
【0042】
内側ガスとしてHeを1000sccm、外側ガスとしてSF6 を300sccm導入し、電極34には13.56MHzの高周波電力を60W印加した。また、マイクロプラズマ源と被処理物37との間のギャップ短辺gは0.3mmとして被処理物37のエッチングを行った。
【0043】
図8に、角度θに対する被処理物37に形成されるパターニング形状の線方向長さの関係を示す。これにより、角度θを0°〜3°の範囲における線方向の長さは接触長さNと等しく30mmであったが、角度を3°より大きくすることで、線方向長さを変化させることができ、角度θが45°では直径0.5mmの点状のパターニングを形成できた。
【0044】
上記第1の実施形態においては、マイクロプラズマ源1として、平行平板型キャピラリタイプのものを用いた例を示したが、誘導結合型キャピラリタイプなどの他方式のキャピラリタイプや、マイクロギャップ方式、誘導結合型チューブタイプなど、様々なマイクロプラズマ源を用いることができる。
【0045】
また、上記第1、第2の実施形態において、被処理基板6を載置するための電極に高周波電力を印加することにより、マイクロプラズマ中のイオンを引き込む作用を強めることも可能である。
【0046】
また、第3の実施形態において、被処理物37を載置するための電極に直流電圧または高周波電力を印加することにより、マイクロプラズマ中のイオンを引き込む作用を強めることも可能である。
【0047】
また、第1〜第3の実施形態において、被処理基板6及び被処理物37に直流電圧または高周波電力を供給することより、マイクロプラズマ中のイオンを引き込む作用を強めることも可能である。この場合、電極を設置してもよいし、電極を用いないタイプのマイクロプラズマ源を利用する場合にも、本発明の適用が可能である。
【0048】
また、上記実施形態の説明では、13.56MHzの高周波電力を用いてマイクロプラズマ源を発生させる場合を例示したが、数百KHzから数GHzまでの高周波電力を用いてマイクロプラズマを発生させることが可能である。あるいは、直流電力を用いてもよいし、パルス電力を供給することも可能である。
【0049】
また、第1の実施形態の説明では、Moからなる被処理膜3をエッチングする場合を例示したが、加工対象はこれに限定されるものではなく、種々の基板の加工、又は、種々の膜がコーティングされた被処理基板の加工に適用できる。
【0050】
また、エッチング加工に際して六フッ化硫黄ガスを用いる場合を例示したが、ガスはこれに限定されるものではなく、四フッ化炭素や、被処理物の材質に応じて、マスク又はマイクロプラズマ源を構成する物質とのエッチング選択比が高められるガスを選定することができる。
【0051】
また、第3の実施形態において、不活性ガスとしてHeを、反応性ガスまたはエッチング性ガスとしてSF6 を用いた場合を例示したが、これら以外のガスを適宜用いることができることはいうまでもない。例えば、不活性ガスとしてHe、Ne、Ar、Kr、Xeなどを、反応性・エッチング性ガスとしてSF6 、CF4 などのCx Fy (x及びyは自然数)、NF3 、Cl2 、HBr等のハロゲン含有ガスを用いることができる。
【0052】
また、上記各実施形態では、大気圧でのパターニング加工の例を示したが、真空容器内において実施した場合も同様の効果が得られ、被加工膜により適宜選択すれば良い。
【0053】
【発明の効果】
本発明のプラズマ処理方法及び装置によれば、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物とマイクロプラズマ源とを相対的に走査させてパターニング加工を行なうに際し、被処理物の表面に対してマイクロプラズマ源のプラズマ放出口面を角度θだけ傾斜させて加工するので、パターニング形状を制御できかつ加工精度に優れたプラズマ処理を行なうことができる。
【0054】
また、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させながら前記被処理物とマイクロプラズマ源とを相対的に走査させてパターニング加工を行なうに際し、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口を略台形状にして加工するので、パターニング形状を制御できかつ加工精度に優れたプラズマ処理を行なうことができる。
【0055】
また、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物のパターニング加工を行うに際し、被処理物の表面に対してマイクロプラズマ源のプラズマ放出口面を角度θだけ傾斜させて加工するので、1つのプラズマ源で複数のパターニングを形成できるプラズマ処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のプラズマ処理方法を示し、(a)は処理工程の斜視図、(b)は断面図。
【図2】同実施形態におけるマイクロプラズマ源の横断面図。
【図3】同実施形態におけるパターニング形状を示す断面図。
【図4】本発明の第2の実施形態のプラズマ処理方法におけるマイクロプラズマ源の横断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態のプラズマ処理方法におけるマイクロプラズマ源の分解斜視図。
【図6】同実施形態におけるマイクロプラズマ源のプラズマ放出口側から見た端面図。
【図7】同実施形態におけるマイクロプラズマ源の縦断側面図。
【図8】同実施形態における角度θに対する線方向長さを示すグラフ。
【図9】従来例のレジストマスクプロセスを用いたパターニング工程図。
【図10】従来例のマイクロプラズマ源の概略構成を示す斜視図。
【図11】同従来例のマイクロプラズマによるパターニング形状を示す断面図。
【符号の説明】
1 マイクロプラズマ源
1a プラズマ放出口面
2 マイクロプラズマ
3 被処理膜
13 矩形状の放電空間
16 高周波電源
19 台形状の放電空間
20 マイクロプラズマ源
26 外側ガス噴出口
28 内側ガス噴出口
34 電極
37 被処理物
38 プラズマ発生領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロプラズマ源と被処理物を相対的に走査して加工するプラズマ処理方法及び装置に関し、レジストマスクレスで薄膜パターンを形成する技術に好適に適用されるプラズマ処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、表面に薄膜が形成された基板に代表される被処理物にパターニング加工を行なう場合には、レジストプロセスが適用されている。このレジストプロセスの一例を、図9を参照して説明する。図9において、まず(a)のように基板51上に形成された被処理膜52の表面にレジスト53を塗布する。次に、露光機を用いて露光した後現像することで、(b)のようにレジスト53を所定の形状にパターニングする。その後、基板51を真空容器内に載置し、真空容器内にプラズマを発生させ、(c)のようにレジスト53をマスクとして被処理膜52をエッチング加工し、被処理膜52をパターニングする。最後に、レジスト53を酸素プラズマや有機溶剤などで除去することで、(d)のように加工が完了する。
【0003】
以上のようなレジストプロセスは、微細パターンを精度良く形成するのに適しているため、半導体などの電子デバイスの製造において重要な役割を果たすに至っている。しかしながら、工程が長く、複雑であるという課題もある。
【0004】
そこで、レジストプロセスを用いない、新しい加工方法としてマイクロプラズマによるパターン形成が検討されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この特許文献1に開示された基板電極プラズマ発生装置の概略構成を、図10を参照して説明すると、表面を酸化したシリコン基板61上にタングステン膜をスパッタ蒸着した後ドライエッチングすることにより薄膜電極対62、63を形成し、これら薄膜電極対62、63に高周波電力を供給することで、薄膜電極対62、63間の微小ギャップ64にプラズマが発生し、対向させて設置した被処理物にエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理を行なうように構成されている。図11に、被処理物のパターニング後の形状を示す。ステンレス基板71上のSiO2 膜72上に被処理膜73が形成されており、この被処理膜73にエッチング加工を行なってパターン溝70が形成されている。
【0006】
また、このとき、被処理物のパターニングは線状に形成され、パターニングの線方向の長さは、薄膜電極対62、63の線方向の長さMと等しい長さとなった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−164395号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のマイクロプラズマ加工においては、エッチングにより形成されるパターニング形状に関して、そのテーパー状態を制御することが困難であるという問題があった。特に、パターン上部のエッジ角度が急になるため、その上に形成される膜の段差被覆性の低さから、配線膜の場合断線したり、また層間絶縁膜の場合は絶縁不良を引き起こすという問題があった。
【0009】
また、エッチングにより形成されるパターニングはプラズマ放出口の形状によって決まり、例えば、線状のプラズマ放出口を有するプラズマ源では点形状のパターニング形状を形成することが難しく、パターニングが複雑になると、より多種類のプラズマ放出口を有するプラズマ源が必要になるという問題もあった。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、パターニング形状の制御性に優れ、また1つのプラズマ源で複数のパターニングを形成できるプラズマ処理方法及び装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願の第1発明のプラズマ処理方法は、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物と前記マイクロプラズマ源とを相対的に走査させてパターニング加工を行なうプラズマ処理方法であって、被処理物の表面に対してマイクロプラズマ源のプラズマ放出口面を角度θだけ傾斜させて加工するものであり、被処理物の表面に対してマイクロプラズマ源のプラズマ供給口面を傾斜させて加工することでパターニング形状を制御できかつ加工精度に優れたプラズマ処理を行なうことができる。
【0012】
好適には、走査方向に傾斜させることが望ましく、またプラズマ放出口面と被処理物の表面との距離が小さい方から大きい方へ被処理物の表面を走査して加工するのが望ましく、あるいはプラズマ放出口面と被処理物の表面との距離が大きい方から小さい方へ被処理物の表面を走査して加工してもよい。
【0013】
本願の第2発明のプラズマ処理方法は、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物と前記マイクロプラズマ源とを相対的に走査させてパターニング加工を行なうプラズマ処理方法であって、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口を略台形状にして加工するものであり、プラズマ放出口を略台形状の形状にして加工することでパターニング形状を制御できかつ加工精度に優れたプラズマ処理を行なうことができる。
【0014】
好適には、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口における台形の高さ方向を走査方向として加工することが望ましく、またその台形の短辺側から長辺側に被処理物を走査して加工するのが望ましく、あるいは台形の長辺側から短辺側に被処理物を走査して加工してもよい。
【0015】
本願の第3発明のプラズマ処理方法は、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物のパターニング加工を行なうプラズマ処理方法であって、被処理物の表面に対してマイクロプラズマ源のプラズマ放出口を角度θだけ傾斜させて加工するものであり、1つのプラズマ源を用いて複数のパターニング形状を形成できるプラズマ処理を行うことができる。
【0016】
好適には、マイクロプラズマ源と被処理物との間に形成される空間には、容量結合によるプラズマを発生させることが望ましく、また角度θは3°より大きく45°以下であることが望ましい。さらに、マイクロプラズマ源は、プラズマ放出口が線状をなしていることが望ましい。
【0017】
本願の第4発明のプラズマ処理装置は、マイクロプラズマを放出させるプラズマ放出口を有するマイクロプラズマ源を備え、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させて前記被処理物を加工するプラズマ処理装置であって、被処理物の表面に対するプラズマ放出口の角度θを調整可能にマイクロプラズマ源を配設したものであり、角度θを任意に調整することで、1つのプラズマ源を用いて複数のパターニング形状を形成できる。
【0018】
本願の第5発明のプラズマ処理装置は、マイクロプラズマを放出させるプラズマ放出口を有するマイクロプラズマ源を備え、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させて前記被処理物を加工するプラズマ処理装置であって、被処理物の表面に対するプラズマ放出口の角度θを調整可能にマイクロプラズマ源を配設し、マイクロプラズマ源を走査させる手段を備えるものであり、角度θを任意に調整することで、1つのプラズマ源を用いて複数のパターニング形状を形成できる。
【0019】
本願の第6発明のプラズマ処理装置は、マイクロプラズマを放出させるプラズマ放出口を有するマイクロプラズマ源を備え、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させて前記被処理物を加工するプラズマ処理装置であって、前記マイクロプラズマ源におけるプラズマ放出口を略台形状とし、前記マイクロプラズマ源とを相対的に走査させる走査手段を設けたものであり、プラズマ放出口を略台形状の形状にして加工することでパターニング形状を制御できかつ加工精度に優れたプラズマ処理を行なうことができる。
【0020】
本願の第7発明のプラズマ処理装置は、マイクロプラズマを放出させるプラズマ放出口を有するマイクロプラズマ源を備え、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させて前記被処理物を加工するプラズマ処理装置であって、マイクロプラズマ源は、不活性ガスを噴出する噴出口と、その両側又は周囲の反応性ガスまたはエッチング性ガスの噴出口とを有し、かつマイクロプラズマ源と被処理物との間の空間に容量結合によるプラズマ発生領域を形成できる電極を有するものであり、中央にのみマイクロプラズマを発生させて被処理物の微小な部分に対するプラズマ処理を施すことができる。
【0021】
また、マイクロプラズマ源を、被処理物の表面に対するプラズマ放出口の角度θを調整可能に配設すると、複数のパターニング形状を形成できるので望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプラズマ処理方法及び装置の第1の実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
【0023】
図1において、1は平たい直方体形状のマイクロプラズマ源であり、その一側端面のプラズマ放出口面1aには、シート状のマイクロプラズマ2を放出するプラズマ放出口が形成されている。3はMoからなる被処理膜で、SiO2 膜からなる下地層4を介してステンレス製の基板5上に形成され、これら被処理物3と下地層4と基板5にて被処理基板6が構成されている。
【0024】
マイクロプラズマ源1の内部構造を示す図2において、11は長さL:30mm、深さd:0.1mmの溝が一側端から他側端にわたって貫通させて加工されたアルミナ基板、12はこのアルミナ基板11に合わせられる平板状のアルミナ基板である。13はこれらアルミナ基板11、12間に形成された断面形状が矩形の放電空間であり、この放電空間13の一端は前記マイクロプラズマ2を放出するプラズマ放出口として開口し、放電空間13の他端からガス供給手段(図示せず)にて反応ガスが供給される。14はアルミナ基板12の外面に配設されるとともに接地された接地電極、15はアルミナ基板11の外面に配設されるとともに高周波電源16に接続された高周波電極である。
【0025】
このような構成のマイクロプラズマ源1における放電空間13に反応ガスを供給し、高周波電極15に高周波電力を印加することによって放電空間13にプラズマが発生し、プラズマ放出口からシート状のマイクロプラズマ2が放出される。このマイクロプラズマ2から漏れ出る活性粒子を被処理膜3に作用させることで被処理膜3を加工することができる。ここで、シート状のマイクロプラズマ2を用いている理由は、処理面積を拡大し、処理速度を向上させることができるためである。
【0026】
図1(a)において、図2の示したマイクロプラスマ源1をMoからなる被処理膜3に対向させて配置し、被処理基板6を矢印のようにシート状のマイクロプラズマ2の長手方向に走査させることで被処理膜3にパターニング加工を行なう。その際に、図1(b)に示すように、マイクロプラズマ源1を、被処理膜3に対して矩形状の放電空間13の長手方向(L方向)に角度θだけ傾斜させて設置する。このようにマイクロプラズマ源1を傾斜させて設置することで、マイクロプラズマ源1と被処理膜3との距離が小さい方から大きい方へ向かって処理されることになる。
【0027】
マイクロプラズマ源1と被処理膜3との距離が大きい場合、活性粒子の拡散が進むため、パターニング幅はマイクロプラズマ2のギャップ(概略は放電空間13のギャップ寸法のd)に対して拡大率が大きくなる。かくして、本方法による被処理膜3のパターニング形状は、図3に示すように、図11に示した従来例に比べてパターン溝10の上部のエッジ角度が滑らかなテーパー状になる。
【0028】
なお、角度θの設定は、マイクロプラズマ源1の長さLと狙いのテーパー角によって設定するのが望ましいが、被処理膜3と遠い方のプラズマ放出口との距離が放電安定性やラジカル到達量によって決まる処理能率によって制約されるため、3°以下が望ましい。
【0029】
次に、具体的な加工条件の一例を示す。マイクロプラズマ源1として、長さ;L=30mm、ギャップ;d=0.1mmの放電空間13を有するものを用い、6フッ化硫黄ガスを1%含むヘリウムガスを2l/min供給し、大気圧下でマイクロプラズマ源1に13.56MHzの高周波電力10Wを供給し、マイクロプラズマ2を発生させる。マイクロプラズマ源1は、被処理膜3と傾斜角度θ=2°で配置し、マイクロプラズマ源1と被処理膜3との距離の小さい方は0.5mm、大きい方は1.55mmとし、基板5下のヒータ(図示せず)により70℃に加熱制御した被処理基板6を1mm/minの速度で移動させながら、被処理膜3のエッチングを行なった。
【0030】
被処理膜3を構成するMoはプラズマ中の活性なFラジカルあるいはFイオンと反応し、反応生成物としてMoF6 を生成する。MoF6 の沸点は大気圧時に35℃であるため、ガスとして排気され、その結果パターニングができた。このとき、被処理膜3のパターン溝10の幅は下部で0.10mm、上部で0.12mmの順テーパー形状であった。
【0031】
次に、本発明の第2の実施形態について、図4を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一の構成要素については同一の参照符号を付して説明を省略し、主として相違点のみを説明する。
【0032】
第1の実施形態では、被処理膜3の表面に対してプラズマ源1のプラズマ放出口面1aを傾斜させ、被処理膜3の表面とプラズマ放出口との間の距離を変化させることでパターン溝10をテーパー形状とする例を示したが、本実施形態では放電空間の断面形状を台形状にし、放電空間のギャップを変化させることでパターン溝10をテーパー形状にするものである。
【0033】
本実施形態のマイクロプラズマ源1は、図4に示すように、深さに傾斜を持たせた溝を形成したアルミナ基板17、18を合わせて構成し、放電空間19の断面形状を台形状に形成している。この放電空間19のギャップ長辺、すなわち前記台形状の底辺の長さは、所定の順テーパー形状の上部長さに合わせて設定するのが望ましい。
【0034】
このシート状のマイクロプラズマ源1を、Moからなる被処理膜3に略平行あるいは傾斜対向させて配置し、被処理基板6を走査させることで、パターニングを行なう。その際に、被処理膜3をマイクロプラズマ源1の放電空間19の台形状の短辺側から長辺側へと走査させることで、被処理膜3のパターニング領域が徐々に拡大するため、パターニング上部のエッジ角度を滑らかなテーパー状にすることができる。
【0035】
具体的な加工条件の一例を示す。マイクロプラズマ源1として、長さ;L=30mm、ギャップ短辺=0.1mm、ギャップ長辺=0.12mmの放電空間19を有するものを用い、6フッ化硫黄ガスを1%含むヘリウムガスを2l/min供給し、大気圧下でマイクロプラズマ源1に13.56MHzの高周波電力10Wを供給し、マイクロプラズマ2を発生させる。マイクロプラズマ源1は、被処理膜3と略平行に配置し、基板5下のヒータ(図示せず)により70℃に加熱制御した被処理基板6を1mm/minの速度で移動させながら、被処理膜3のエッチングを行なった。このとき、被処理膜3のパターン溝10の幅は下部で0.10mm、上部で0.12mmの順テーパー形状であった。
【0036】
次に、本発明の第3の実施形態について、図5〜図8を参照して説明する。図5〜図7にマイクロプラズマ源を搭載したプラズマ処理装置の構成を示し、図5はマイクロプラズマ源の分解図を示す。
【0037】
図5、図6において、マイクロプラズマ源20は、セラミック製の外側板21、内側板22、23、外側板24から成り、外側板21、24には、外側ガス流路25及び外側ガス噴出口26が設けられ、内側板22、23には、内側ガス流路27及び内側ガス噴出口28が設けられている。そして、図6に示すように、外側板21と内側板22の間と、内側板23と外側板24の間に外側ガス噴出口26が設けられ、内側板22と23の間に内側ガス噴出口28が設けられている。なお、内側ガス噴出口28の線方向の長さeは30mmとし、外側ガス噴出口26の線方向の長さfは内側ガス噴出口28の線方向の長さeよりも大きくし、36mmとした。
【0038】
内側ガス噴出口28から噴出するガスの原料ガスは、外側板21に設けられた内側ガス供給口29から内側板22に設けられた貫通穴30を介して内側ガス流路27に導入される。また、外側ガス噴出口26から噴出するガスの原料ガスは、外側板21に設けられた外側ガス供給口31から内側板22に設けられた貫通穴32、内側板23に設けられた貫通穴33を介して外側ガス流路25に導入される。
【0039】
高周波電源が印加される電極34は、内側板22及び23に設けられた電極固定穴35に挿入され、外側板21及び24に設けられた貫通穴36を通して高周波電力供給のための配線と冷却が行われる。
【0040】
このような構成のマイクロプラズマ源20を搭載したプラズマ処理装置において、内側ガス噴出口28からヘリウム(He)を、外側ガス噴出口26から六フッ化硫黄(SF6 )を供給しつつ、電極34に高周波電力を印加することにより、図7に示すように、被処理物37の微小な線状部分をエッチングすることができる。これは、ヘリウムと六フッ化硫黄の大気圧付近の圧力下における放電し易さの差(ヘリウムの方が格段に放電し易い)を利用することで、ヘリウムが高濃度となる内側ガス噴出口28の近傍にのみマイクロプラズマを発生させることができるからである。
【0041】
図7においては、マイクロプラズマ源20を被処理物37と角度θをなして配置しており、この場合マイクロプラズマ源20から照射されるプラズマ発生領域38の被処理物37との接触長さNが被処理物37に形成されるパターニング形状の線方向長さとなる。
【0042】
内側ガスとしてHeを1000sccm、外側ガスとしてSF6 を300sccm導入し、電極34には13.56MHzの高周波電力を60W印加した。また、マイクロプラズマ源と被処理物37との間のギャップ短辺gは0.3mmとして被処理物37のエッチングを行った。
【0043】
図8に、角度θに対する被処理物37に形成されるパターニング形状の線方向長さの関係を示す。これにより、角度θを0°〜3°の範囲における線方向の長さは接触長さNと等しく30mmであったが、角度を3°より大きくすることで、線方向長さを変化させることができ、角度θが45°では直径0.5mmの点状のパターニングを形成できた。
【0044】
上記第1の実施形態においては、マイクロプラズマ源1として、平行平板型キャピラリタイプのものを用いた例を示したが、誘導結合型キャピラリタイプなどの他方式のキャピラリタイプや、マイクロギャップ方式、誘導結合型チューブタイプなど、様々なマイクロプラズマ源を用いることができる。
【0045】
また、上記第1、第2の実施形態において、被処理基板6を載置するための電極に高周波電力を印加することにより、マイクロプラズマ中のイオンを引き込む作用を強めることも可能である。
【0046】
また、第3の実施形態において、被処理物37を載置するための電極に直流電圧または高周波電力を印加することにより、マイクロプラズマ中のイオンを引き込む作用を強めることも可能である。
【0047】
また、第1〜第3の実施形態において、被処理基板6及び被処理物37に直流電圧または高周波電力を供給することより、マイクロプラズマ中のイオンを引き込む作用を強めることも可能である。この場合、電極を設置してもよいし、電極を用いないタイプのマイクロプラズマ源を利用する場合にも、本発明の適用が可能である。
【0048】
また、上記実施形態の説明では、13.56MHzの高周波電力を用いてマイクロプラズマ源を発生させる場合を例示したが、数百KHzから数GHzまでの高周波電力を用いてマイクロプラズマを発生させることが可能である。あるいは、直流電力を用いてもよいし、パルス電力を供給することも可能である。
【0049】
また、第1の実施形態の説明では、Moからなる被処理膜3をエッチングする場合を例示したが、加工対象はこれに限定されるものではなく、種々の基板の加工、又は、種々の膜がコーティングされた被処理基板の加工に適用できる。
【0050】
また、エッチング加工に際して六フッ化硫黄ガスを用いる場合を例示したが、ガスはこれに限定されるものではなく、四フッ化炭素や、被処理物の材質に応じて、マスク又はマイクロプラズマ源を構成する物質とのエッチング選択比が高められるガスを選定することができる。
【0051】
また、第3の実施形態において、不活性ガスとしてHeを、反応性ガスまたはエッチング性ガスとしてSF6 を用いた場合を例示したが、これら以外のガスを適宜用いることができることはいうまでもない。例えば、不活性ガスとしてHe、Ne、Ar、Kr、Xeなどを、反応性・エッチング性ガスとしてSF6 、CF4 などのCx Fy (x及びyは自然数)、NF3 、Cl2 、HBr等のハロゲン含有ガスを用いることができる。
【0052】
また、上記各実施形態では、大気圧でのパターニング加工の例を示したが、真空容器内において実施した場合も同様の効果が得られ、被加工膜により適宜選択すれば良い。
【0053】
【発明の効果】
本発明のプラズマ処理方法及び装置によれば、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物とマイクロプラズマ源とを相対的に走査させてパターニング加工を行なうに際し、被処理物の表面に対してマイクロプラズマ源のプラズマ放出口面を角度θだけ傾斜させて加工するので、パターニング形状を制御できかつ加工精度に優れたプラズマ処理を行なうことができる。
【0054】
また、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させながら前記被処理物とマイクロプラズマ源とを相対的に走査させてパターニング加工を行なうに際し、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口を略台形状にして加工するので、パターニング形状を制御できかつ加工精度に優れたプラズマ処理を行なうことができる。
【0055】
また、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物のパターニング加工を行うに際し、被処理物の表面に対してマイクロプラズマ源のプラズマ放出口面を角度θだけ傾斜させて加工するので、1つのプラズマ源で複数のパターニングを形成できるプラズマ処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のプラズマ処理方法を示し、(a)は処理工程の斜視図、(b)は断面図。
【図2】同実施形態におけるマイクロプラズマ源の横断面図。
【図3】同実施形態におけるパターニング形状を示す断面図。
【図4】本発明の第2の実施形態のプラズマ処理方法におけるマイクロプラズマ源の横断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態のプラズマ処理方法におけるマイクロプラズマ源の分解斜視図。
【図6】同実施形態におけるマイクロプラズマ源のプラズマ放出口側から見た端面図。
【図7】同実施形態におけるマイクロプラズマ源の縦断側面図。
【図8】同実施形態における角度θに対する線方向長さを示すグラフ。
【図9】従来例のレジストマスクプロセスを用いたパターニング工程図。
【図10】従来例のマイクロプラズマ源の概略構成を示す斜視図。
【図11】同従来例のマイクロプラズマによるパターニング形状を示す断面図。
【符号の説明】
1 マイクロプラズマ源
1a プラズマ放出口面
2 マイクロプラズマ
3 被処理膜
13 矩形状の放電空間
16 高周波電源
19 台形状の放電空間
20 マイクロプラズマ源
26 外側ガス噴出口
28 内側ガス噴出口
34 電極
37 被処理物
38 プラズマ発生領域
Claims (17)
- マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物と前記マイクロプラズマ源とを相対的に走査させてパターニング加工を行なうプラズマ処理方法であって、被処理物の表面に対してマイクロプラズマ源のプラズマ放出口面を角度θだけ傾斜させて加工することを特徴とするプラズマ処理方法。
- 走査方向に傾斜させることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理方法。
- プラズマ放出口面と被処理物の表面との距離が小さい方から大きい方へ被処理物の表面を走査して加工することを特徴とする請求項2記載のプラズマ処理方法。
- プラズマ放出口面と被処理物の表面との距離が大きい方から小さい方へ被処理物の表面を走査して加工することを特徴とする請求項2記載のプラズマ処理方法。
- マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物と前記マイクロプラズマ源とを相対的に走査させてパターニング加工を行なうプラズマ処理方法であって、マイクロプラズマ源のプラズマ放出口を略台形状にして加工することを特徴とするプラズマ処理方法。
- マイクロプラズマ源のプラズマ放出口における台形の高さ方向を走査方向として加工することを特徴とする請求項5記載のプラズマ処理方法。
- 台形の短辺側から長辺側に被処理物を走査して加工することを特徴とする請求項6記載のプラズマ処理方法。
- 台形の長辺側から短辺側に被処理物を走査して加工することを特徴とする請求項6記載のプラズマ処理方法。
- マイクロプラズマ源のプラズマ放出口からマイクロプラズマを放出させ、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に吹きつけながら前記被処理物のパターニング加工を行なうプラズマ処理方法であって、被処理物の表面に対してマイクロプラズマ源のプラズマ放出口を角度θだけ傾斜させて加工することを特徴とするプラズマ処理方法。
- マイクロプラズマ源と被処理物との間に形成される空間には、容量結合によるプラズマを発生させることを特徴とする請求項9記載のプラズマ処理方法。
- 角度θは3°より大きく45°以下であることを特徴とする請求項9記載のプラズマ処理方法。
- マイクロプラズマ源は、プラズマ放出口が線状をなしてしていることを特徴とする請求項9記載のプラズマ処理方法。
- マイクロプラズマを放出させるプラズマ放出口を有するマイクロプラズマ源を備え、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させて前記被処理物を加工するプラズマ処理装置であって、被処理物の表面に対するプラズマ放出口の角度θを調整可能にマイクロプラズマ源を配設したことを特徴とするプラズマ処理装置。
- マイクロプラズマを放出させるプラズマ放出口を有するマイクロプラズマ源を備え、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させて前記被処理物を加工するプラズマ処理装置であって、被処理物の表面に対するプラズマ放出口の角度θを調整可能にマイクロプラズマ源を配設し、マイクロプラズマ源を走査させる手段を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
- マイクロプラズマを放出させるプラズマ放出口を有するマイクロプラズマ源を備え、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させて前記被処理物を加工するプラズマ処理装置であって、前記マイクロプラズマ源におけるプラズマ放出口を略台形状とし、マイクロプラズマ源を走査させる手段を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
- マイクロプラズマを放出させるプラズマ放出口を有するマイクロプラズマ源を備え、前記マイクロプラズマ中の活性粒子を被処理物に作用させて前記被処理物を加工するプラズマ処理装置であって、マイクロプラズマ源は、不活性ガスを噴出する噴出口とその両側又は周囲の反応性ガスまたはエッチング性ガスの噴出口とを有し、かつマイクロプラズマ源と被処理物との間の空間に容量結合によるプラズマ発生領域を形成できる電極を有することを特徴とするプラズマ処理装置。
- マイクロプラズマ源を、被処理物の表面に対するプラズマ放出口の角度θを調整可能に配設したことを特徴とする請求項16記載のプラズマ処理装置。
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