JP2004084032A - 真空処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱される基板の温度分布を均一に保って基板の変形を防止し、また、後の基板処理を安定に且つ素早く実施可能とする信頼性及び処理能力の向上を図った真空処理装置を提供する。
【解決手段】減圧環境とされる処理室内に、製膜等の処理がなされる基板Kの全面に渡って加熱を行う加熱部を有する基板加熱手段15を備えた真空処理装置において、前記処理室内に、前記基板Kを挟んで前記基板加熱手段15と対向配置されるとともに、前記基板Kの周部に沿って配設された第2の加熱部を有する第2の基板加熱手段16が備えられる構成とした。また、処理室の内壁面にニッケルを主とする金属箔や、シースヒータを設置する構成を追加し、基板の温度分布をさらに均一にする構成とした。
【選択図】 図1
【解決手段】減圧環境とされる処理室内に、製膜等の処理がなされる基板Kの全面に渡って加熱を行う加熱部を有する基板加熱手段15を備えた真空処理装置において、前記処理室内に、前記基板Kを挟んで前記基板加熱手段15と対向配置されるとともに、前記基板Kの周部に沿って配設された第2の加熱部を有する第2の基板加熱手段16が備えられる構成とした。また、処理室の内壁面にニッケルを主とする金属箔や、シースヒータを設置する構成を追加し、基板の温度分布をさらに均一にする構成とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板の加熱を行って製膜等の基板処理を行うプラズマCVD、スパッタリング装置、ドライエッチング装置などの真空処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プラズマCVD、スパッタリング装置、ドライエッチング装置などの真空処理装置において、基板に製膜等の処理を施す際には該基板を加熱する必要がある。図5を用いて真空処理装置の1つであるプラズマCVD装置1を例に挙げてその構成を説明するとともに基板Kの加熱処理について説明する。
【0003】
図5に示されるプラズマCVD装置1は、各製膜室70A〜70E、ロード室10、アンロード室20、予備室80などが共通搬送室30を中心としてクラスタ型(星型とも言う。)に配置されたものである(特許文献1参照。)。
なお、この他にも各製膜室が直列に配置されたものや、基板に対するp型層や、n型層などの製膜処理を一貫して行う製膜室を備えたプラズマCVD装置もある。
【0004】
図5のプラズマCVD装置では、まず始めに、基板Kが台車8に載せられた状態で搬送されてロード室10(処理室)内に搬入される。すると、この内部は密閉された状態となって真空ポンプ(図示せず)により10Pa程度以下に減圧されることで真空状態となる。そして、真空状態となったロード室10内では、ここに備わる赤外線ランプ等で構成された基板加熱ヒータ(基板加熱手段)によって基板Kの予備加熱が行われる。
このような加熱処理は、後に共通搬送室30を通って製膜室70Aに基板Kが搬入されて製膜処理がなされる際の前段階として行われ、また、製膜処理前のベーキングとして行われるものでもある。
【0005】
もちろん、各製膜室70A〜70Eなどにも製膜処理に要求される数百℃の高い基板温度を確保するための基板加熱ヒータ(基板加熱手段)が備えられており、基板Kは基板処理に必要とされる所定の温度に加熱されることになる。
図6を用いて製膜室の一例である図示の製膜室70Aの概略構成を説明すると、この内部の中央には製膜ユニット72が備わり、これを挟むように基板加熱ヒータ75がその両側にそれぞれ備えられている。製膜ユニット72における基板加熱ヒータ75と向き合う面には、製膜ガス供給一体型のラダー電極73が備わり、このラダー電極73と基板加熱ヒータ75との間には、ヒータカバー74上に基板Kが設置される。
【0006】
そして、ラダー電極73に対してヒータカバー74が他方の電極として機能し、ラダー電極73に高周波電力が印加されることで、基板Kとラダー電極73との間にプラズマが発生し、また、この際に基板Kがヒータカバー74を介して基板加熱ヒータ75によって加熱されることで、基板Kに目的とするアモルファスシリコン等の製膜が施される。
【0007】
また、基板K及びラダー電極を挟んで基板加熱ヒータに対向配置される赤外線ヒータを備えたプラズマCVD装置が開示されている(特許文献2参照。)。
また、ラダー電極と基板加熱ヒータとの間に発生したプラズマに赤外線を照射する赤外線ヒータを備えたプラズマCVD装置が開示されている(特許文献3参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−127133号公報(第14−25段落、第1図)
【特許文献2】
特開平9−162131号公報(第10−21段落、第1図)
【特許文献3】
特開平11−61418号公報(第8−12段落、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
さて、上述したように減圧環境とされるロード室や製膜室等の処理室にて基板を加熱する場合において、従来から多様に用いられている厚みが1mm程度の薄い基板であれば、この全面が比較的均一な温度分布となって加熱がなされていた。これは、基板厚みが薄いことによる基板の熱吸収率の低さと、処理室の壁部の加熱特性が比較的高いことによるものである。前者の熱吸収率とは、基板加熱ヒータの総発熱量に対して基板が吸収する熱量の割合が低いことを意味しており、また、後者については、処理室の壁部が加熱されることで高温化し、基板周囲が高温な状態になることを意味している。
したがって、1mm程度の薄い基板であれば、この全面における温度分布が均一化していたために加熱処理やその後の製膜等の処理に大きな問題が生じていなかった。
【0010】
しかし、大型の太陽電池パネルに用いられるような、一辺が1mを超える基板の場合では、強度上この基板厚みを4mm程度とする必要があるため、基板の面積と同程度の加熱部を有する基板加熱ヒータを用いた場合、基板の赤外線吸収率が70%と高くなり、基板加熱ヒータはこの基板のみを主に加熱する加熱系を構成してしまっていた。このため、処理室の壁部に対する加熱量が少なくなって壁部の内壁面温度があまり上がらず、この内壁面付近に位置する基板周部の温度を著しく低下させていた。
つまり、温度が上昇しやすい基板中央部に比べて、基板周部の温度が低くなり、基板の全面における温度分布にばらつきが生じていた。
【0011】
そして、このように基板周部の温度が低下して基板中央部が高い温度であると、それぞれの部分における熱膨張の差によって基板に変形が生じることとなり、真空処理装置における基板の加熱処理において信頼性を欠く大きな問題となっていた。また、この後に行う製膜等の基板処理にて予備加熱での温度分布にばらつきがあると、安定且つ高精度な製膜を行うことが困難となったり、温度分布を均一に導くために多くの時間が必要となり装置処理能力を低下させる要因となっていた。
【0012】
上記の問題を解決すべく、図7に示すように、基板Kの左右両端部側に面して高い発熱密度、言い換えれば発熱量大となる高発熱部を有する基板加熱ヒータ15を用いる構成が既にあるが、この場合においても、基板加熱ヒータ15の構造上、基板周部全てを網羅することは困難であり、基板周部のいずれかで温度低下の部分が生じていた。
【0013】
また、基板周囲の温度を上昇させるために基板加熱ヒータを大きくすることが考えられるが、これによれば基板加熱ヒータの大型化によるプラズマCVD装置などの真空処理装置の大型化が招かれてしまう可能性が高く、また、基板の中央部がさらに温度上昇してしまって温度分布の均一化がより困難となってしまう可能性も高い。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、加熱される基板の温度分布を均一に保って基板の変形を防止し、また、後になされる基板処理を安定に且つ迅速に実施可能とする信頼性及び処理能力の向上が図られた真空処理装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
請求項1に記載の発明は、減圧環境とされる処理室内に、製膜等の処理がなされる基板の全面に渡って加熱を行う加熱部を有する基板加熱手段を備えた真空処理装置において、前記処理室内には、前記基板を挟んで前記基板加熱手段と対向配置されるとともに、前記基板の周部に沿って配設された第2の加熱部を有する第2の基板加熱手段が備えられてなることを特徴としている。
【0016】
このような構成により、従来より備わる基板加熱手段による基板への加熱処理に加えて、第2の基板加熱手段による基板周部への加熱処理がなされることとなる。このことは、比較的温度低下しやすい基板周部の温度を、温度上昇しやすい基板中央部の温度に合わせられることになり、基板の全面における温度分布の均一化がなされる。
また、基板を挟んでこれら両基板加熱手段が備わる構成により、基板に対する加熱の速度、言い換えれば、基板が温度上昇して目標温度に達するまでの時間が短縮されることになる。そして、それぞれの基板加熱手段における発熱量を低減しても、基板に対して必要とされる熱量が十分に確保されることにもなる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、減圧環境とされる処理室内に、製膜等の処理がなされる基板の全面に渡って加熱を行う加熱部を有する基板加熱手段を備えた真空処理装置において、前記加熱部は、前記基板の両側部に面して基板中央部よりも高い発熱密度を有する高発熱部を有してなり、前記処理室内には、前記基板を挟んで前記基板加熱手段と対向配置されるとともに、前記基板の他の両側部に面して基板中央部よりも高い発熱密度を有する第3の高発熱部が配設された第3の加熱部を有する第3の基板加熱手段が備えられてなることを特徴としている。
【0018】
このような構成により、基板の一方側の面から加熱する際にこの周部である、例えば4辺(基板が長方形の場合)全てを高い発熱密度を有する高発熱部を用いて加熱できない場合であっても、基板を挟んで対向配置された第3の基板加熱手段に備わる第3の加熱部によって、基板の他方側の面から基板の全面に渡って加熱が行われつつ、加熱が不十分とされた基板の他の両側部が高い発熱密度を有する第3の高発熱部によって補うように加熱されることとなる。
したがって、基板周部の全てが高い発熱密度によって加熱されて基板全面における温度分布の均一化がなされるとともに、それぞれの基板加熱手段の発熱量が抑えられて基板に局所的な高加熱領域が発生しないことになり、さらに、基板における温度上昇の速度も高められる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の真空処理装置において、前記処理室の壁部には、この内壁面を昇温させる内壁面昇温手段が備えられてなることを特徴としている。
【0020】
請求項1又は請求項2記載の各基板加熱手段を用いて基板を加熱するにあたり、処理室の内壁面が温度低下していると、この周辺付近に位置する基板周部の温度低下が容易に推測できる。本発明ではこのことを回避するべく、処理室の壁部に内壁面昇温手段が備えられた構成とされており、このことによれば、内壁面の温度低下が回避されて、基板周部の温度低下が大幅に低減、または皆無となる。このことによれば、基板の全面における温度分布の均一化がなされる。また、処理室の内壁面が即座に昇温されることによれば、基板に対する加熱処理が素早く効率的に行われることとなる。なお、内壁面昇温手段は自発的に内壁面を昇温させるものであってもよいし、基板加熱手段等からの熱を受けて受動的に内壁面を昇温させるものであってもよい。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の真空処理装置において、前記内壁面昇温手段が、前記処理室の内壁面を覆うように設けられたニッケルを含有する金属箔であることを特徴としている。
【0022】
ニッケルを含む金属箔によって処理室の内壁面が覆われる構成により、上記の請求項に記載の内壁面昇温手段が形成されることになる。したがって、各基板加熱手段の熱が金属箔に作用すると、該金属箔は素早く昇温することになり、処理室の内壁面付近は高い温度状態が確保される。この結果、基板周部の温度低下が大幅に低減されて基板温度の均一化が図られ、また、加熱対象が処理室の壁部から基板に早急に移るため、基板に対する加熱効率が向上する。また、赤外線の反射作用を促して基板を加熱することにもなる。
【0023】
特に本発明では、ニッケルを含んだ金属箔が用いられることによれば、大気中の酸素と触れる場合であっても、これが酸化して劣化することは皆無に等しく、また、耐熱性の点においても優れているために、この金属箔が処理室内で劣化することはない。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4記載の真空処理装置において、前記内壁面昇温手段が、処理室の内壁面に沿って配設された加熱部を有する壁面加熱装置であることを特徴としている。
【0025】
基板周部の温度低下を回避するには処理室内の温度をより高めることが望ましく、本発明によれば処理室内の温度が壁面加熱装置からの赤外線等によって高められることになるので、基板周部の熱が処理室内に放熱されにくくなり、基板周部の温度低下が回避される。そして、先に説明した各基板加熱手段に加えて追加されることにより、この壁面加熱装置を処理室内の温度に限定して監視し動作させることができ、処理室内の温度雰囲気が適切な状態に維持管理されることにもなる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態における真空処理装置に備わる2つの各基板加熱ヒータ15(基板加熱手段),16(第2の基板加熱手段)の概略構成を説明する斜視図である。なお、以下の説明に用いる基板Kの表面及び裏面の表記については、紙面から見た場合を基準として説明するものであり、製膜等の処理における表面及び裏面とは異なるものとする。また、ここに示される基板Kは、この材質が熱を吸収しやすいソーダガラスからなるものであり、一例としてその大きさは一辺が1m以上とされ、厚さが4mm程度とされている。
【0027】
図1において、符号15は、10Pa程度以下の減圧環境となる処理室内に従来より設けられている基板加熱ヒータ(基板加熱手段)であり、紙面において基板Kの裏面側に設けられている。この基板加熱ヒータ15は、上部ヘッダ15aと下部ヘッダ15bとの間に基板Kとほぼ同一な大きさとなる加熱部が備わり、この加熱部は、基板Kの左右方向全域に渡って縦方向に複数配設されたヒートパイプPにより構成されている。また、この加熱部には、基板Kの周部である左右両端側を基板Kの中央部よりも高い発熱量で加熱する高発熱部が備えられている。なお、このような発熱量の差は、ヒートパイプPに出力する電流値の差によって調整されるものである。
【0028】
そして、本発明においては、基板Kを挟んで上記基板加熱ヒータ15に対向配置されるように第2基板加熱ヒータ16(第2の基板加熱手段)が基板Kよりも紙面手前側に設けられている。
この第2基板加熱ヒータ16は、従来の基板加熱ヒータ15と同様にヒートパイプPが複数組み合わされて構成されているが、異なる点として、基板Kに面して縦方向に配置されるヒートパイプPが、基板Kの周部である左右両端側に数本ずつ上下の各ヘッダ16aに接続され配設されており、基板Kの中央部には縦方向のヒートパイプPが配設されていない構造とされている。さらに、左右のヒートパイプPの群を繋ぐように、両側の上下各ヘッダ16aに接続される横方向のヒートパイプPが数本づつ基板Kの周部である上下端側に面して配設されている。
【0029】
このように、第2基板加熱ヒータ16は、基板Kの周部に面して配設された縦方向及び横方向の複数のヒートパイプPからなる長方形の枠された加熱部(第2の加熱部)を有して構成されることになり、第2基板加熱ヒータ16に電力が供給されると、基板Kの周部が主に加熱されることとなる。
【0030】
以上説明した本実施形態に係る各基板加熱ヒータ15,16を備えた真空処理装置によれば、従来より用いられている基板加熱ヒータ15に加えて、温度低下しやすい基板Kの周部を第2基板加熱ヒータ16を用いてさらに加熱することができ、基板Kの全面における温度分布の均一化を図って基板の変形を防止することができる。特に、本実施形態における実験結果では、1.1m×1.4mの大きさで基板厚みが4mmの場合、従来では温度分布に80℃の差が生じていたが、この温度差が30℃にまで抑えることが可能となった。この結果、基板Kの熱変形はほとんど生じることなく反りの発生はない。
【0031】
また、2つの基板加熱ヒータ15,16を用いることによれば、これらの発熱量を抑えることが可能となり、基板Kに局所的な高加熱領域(例えば、基板Kの表面)が発生しなくなる。したがって、耐熱性に優れないガラス以外の基板であっても、該基板を破損させることなく安定して加熱処理を行うことができる。
また、製膜処理における予備加熱として基板Kの温度分布が均一化されることによれば、その後に行う製膜処理においてヒータカバー74(図6参照)での加熱処理も均一且つ迅速に実施されることになり、製膜処理の迅速化による太陽電池パネルの生産性の向上や、温度分布の均一化による膜圧分布の均一化によって高品質な太陽電池パネルを実現することができる。
【0032】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る第2の実施形態について図2を参照しながら説明する。なお、図2に示される構成は、第1の実施形態と比較して従来より備わる基板加熱ヒータ15に対向配置される追加の基板加熱ヒータ17(以下、第3基板加熱ヒータ17と称する。)の構成が異なるので、この点について詳しく説明するものとし、その他の構成については第1の実施形態と同様であるので、同一符号を付してその説明を一部省略する。
【0033】
従来より備わる基板加熱ヒータ15に対し基板Kを挟んで対向配置される第3基板加熱ヒータ17(第3の基板加熱手段)は、左右の各ヘッダ17a,17bに支持された横方向に配設される各ヒートパイプPによって構成された加熱部(第3の加熱部)を有しており、この加熱部の大きさは基板Kの面積と同等とされている。
【0034】
従来の基板加熱ヒータ15に備わる縦方向のヒートパイプPに対して横方向のヒートパイプPからなる第3基板加熱ヒータ17の加熱部には、基板Kの上端側と下端側に面して発熱量が中央部よりも大となる高発熱部を有しており、基板Kの周部である上下それぞれの端部を基板Kの中央部よりも高い熱量で加熱することが可能とされている。
【0035】
つまり、従来より備わる基板加熱ヒータ15が同一平面上で90度回転して基板Kの反対側に設置された構成とほぼ同等である。これにより、従来の基板加熱ヒータ15の高加熱部と、第3基板加熱ヒータ17の高加熱部とが基板Kの周部に面して互い違いとなるように配置されることになる。
【0036】
このような構成により、温度低下しやすい基板Kの周部における左右両端側は、裏面側に備わる従来の基板加熱ヒータ15による高い熱量によって加熱され、上下両端側は、基板Kの表面側に備わる第3基板加熱ヒータ17による高い熱量によって加熱されることになる。
この結果、基板Kの周部の全てが高い発熱密度による熱量によってもれなく加熱されることになり、温度上昇しやすい基板Kの中央部と同等な温度に昇温されて基板Kの全面における温度分布の均一化がなされることとなる。
【0037】
以上説明した本実施形態に係る各基板加熱ヒータ15,17を備えた真空処理装置によれば、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。また、異なる効果として、寸法を除いてこれら各基板加熱ヒータ15,17をほぼ同等に形成することができ、追加する第3基板加熱ヒータ17のコストを抑えることができる。また、基板Kの全面を両側から加熱することになるので、これら基板加熱ヒータ15,17の発熱量をさらに抑えることが可能となり、基板Kを破損させることなくさらに迅速な加熱処理を行うことができる。
【0038】
[第3の実施形態]
次に、本発明に係る第3の実施形態について図3を参照しながら説明する。なお、図3に示される構成は、第1の実施形態の構成に追加して、各基板加熱ヒータ15,16が備えられる処理室10の内壁面にニッケル箔F(金属箔)が取り付けた構成が異なるので、この点について詳しく説明するものとし、その他の構成については第1の実施形態と同様であるので、同一符号を付してその説明を一部省略する。
【0039】
図に示すように、処理室10の内壁面のそれぞれには、2点鎖線で示されるようなニッケル(Ni)を主とするニッケル箔Fが取り付けられている。このニッケル箔Fは、真空状態に導かれる箱形の処理室10の内壁面の一部を除いてほぼ全面に渡って取り付けられている。ニッケル箔の厚さは0.1mm程度であり、この表面は鏡面研磨がなされている。
【0040】
薄く鏡面研磨されたニッケル箔は、輻射率が低く、常温から400℃程度の温度環境に耐えうり、また、このような温度環境における空気中の酸素と接触しても酸化することがないものとして選定されている。なお、これらの要件を満たす金属箔であれば、ニッケル以外の材質からなるものでもよい。
【0041】
さて、このような構成により、各基板加熱ヒータ15,16の赤外線がニッケル箔Fに作用すると、このニッケル箔Fは熱容量が小さい為、素早く昇温して処理室10の内壁面付近の温度を高い状態に維持する。この結果、基板Kの周部の温度低下が大幅に低減されて基板Kの全面における温度の均一化が図られ、また、各基板加熱ヒータ15,16の加熱対象が処理室10の壁部から基板Kに早急に移るため、基板Kに対する加熱効率が向上する。
【0042】
以上説明した本実施形態に係る処理室10を備えた真空処理装置によれば、第1の実施形態の効果に加えて、基板Kの周部の温度低下をより確実に回避することができ、温度分布の均一化をより迅速に実現することができる。また、基板Kに対する加熱効率の向上による加熱時間をさらに短縮することができる。
また、ニッケル箔Fを用いることによって、高い信頼性を得て加熱処理を実施することができ、より詳細には、このニッケル箔Fが腐食することもないので、基板Kの処理にて不純物の付着などのない高品質な基板を得ることができる。
【0043】
なお、本実施形態では第1の実施形態に示した構成に加えてニッケル箔Fを取り付けた構成を説明したが、第1の実施形態に変更して第2の実施形態を用い、この構成に本実施形態の構成を追加することとしてもよい。
【0044】
[第4の実施形態]
次に、本発明に係る第4の実施形態について図4を参照しながら説明する。なお、図4に示される構成は、第3の実施形態にて説明した構成に追加して、各基板加熱ヒータ15,16が備えられる処理室10の壁部に内壁面加熱手段をなすシースヒータ19(壁面加熱装置)が取り付けられた構成が異なる。したがって、この異なる点について詳しく説明するものとし、その他の構成については第3の実施形態と同様であるので、同一符号を付してその説明を一部省略する。
【0045】
シースヒータ19は、処理室10の内壁面を覆うようにニッケル箔Fの上側、言い換えれば、ニッケル箔箔Fよりも基板K側に取り付けられている。なお、図においては正面に取り付けられたシースヒータ19のみを示しているが、その他の壁部にも同様に取り付けられているものとする。
シースヒータ19に備わる連続するヒートパイプは、インコネルの被覆がなされており、処理室10内に取り込まれる酸素との接触による酸化が防止されている。また、インコネル被覆によって耐熱性が確保されている。
【0046】
このような構成により、処理室10の内壁面はシースヒータ19による加熱作用により数百℃に維持され、内壁面付近に位置する基板Kの周部が温度低下することが回避される。そして、シースヒータ19からの赤外線は、処理室10内の温度雰囲気を上昇させて基板Kを加熱したり、ニッケル箔Fに反射して基板Kを加熱したりすることになる。
【0047】
以上説明した本実施形態の真空処理装置によれば、シースヒータ19の設置により処理室10内の温度を確実に高め、基板Kの周部の温度低下を回避して基板Kの全面における温度分布を均一にすることができる。そして、処理室10内の温度に限定して監視しつつシースヒータ19を動作させることができるので、処理室10内の温度雰囲気を適切な状態に維持管理し、処理室10に搬入される多数の基板Kを同様に加熱することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、第3の実施形態の構成にシースヒータ19を追加した構成を例に挙げて説明したが、第2の実施形態に追加することとしてもよい。また、シースヒータ19とニッケル箔Fとを本発明に係る内壁面昇温手段として共に備える構成を示したが、それぞれ個別に備える構成であってもよい。また、シースヒータ19がニッケル箔Fの表面上である基板K側に設置された場合を示したが、ニッケル箔F等の金属箔を備えない場合、シースヒータ19の取り付け位置を処理室10の壁部内としてもよい。このような構成であっても、必要十分に処理室10内を加熱して基板Kの周部の温度低下を回避することができる。また、上記場合であれば大気と触れることがないので、インコネルなどによる被覆に替えて耐熱性のある別な材質を用いた構成であってもよい。
【0049】
さらに、以上説明した各実施形態においては、図5にて説明した基板Kの予備加熱を行う処理室をなすロード室10に備えられる場合として説明したが、各製膜室70A〜70Eなどに同様な構成を用いることも可能である。
つまり、製膜ユニット72(図6参照)側に上述した第2基板加熱ヒータ16や、第3基板加熱ヒータ17を備える構成である。この場合、ヒータカバー74上の基板Kに対してラダー電極73の裏面側に設けることがプラズマの発生に際して望ましいが、プラズマの発生を阻害しないように第2又は第3基板加熱ヒータ16,17を構成し、ラダー電極73と基板Kとの間に上記各基板加熱ヒータ16,17を設けることも可能である。
【0050】
また、図5に示すように、基板Kは台車8の治具に立て掛けられた状態で処理室10などに搬入されることになるが、この治具によって基板Kの一部が隠れてしまうと基板加熱ヒータからの赤外線が伝わらなくなる。本発明では、従来から備わる基板Kの片面側の基板加熱ヒータ15に加えて基板Kの反対側の面からも加熱されることになるので、基板Kを立て掛ける治具による遮へい部分を加熱することも可能である。したがって、上述した部分をより効果的に加熱するために、治具が位置する部分の裏面側に加熱部を有する基板加熱ヒータを備えるが望ましい。
【0051】
【発明の効果】
以上説明した本発明の真空処理装置においては以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明は、基板を挟んで基板加熱手段と対向配置されるとともに、基板の周部に沿って配設された第2の加熱部を有する第2の基板加熱手段が処理室内に備えられているので、温度低下しやすい基板周部を、第2の加熱部を有する第2の基板加熱手段を用いてさらに加熱することで、基板の全面における温度分布の均一化を図って基板の変形を防止することができる。この結果、基板を加熱するにあたり、不具合のない高品質な加熱処理された基板を供給することができる。
また、両基板加熱手段の発熱量を抑えられることによれば、基板に局所的な高加熱領域が発生しなくなり、基板の破損を抑えることができる。また、加熱後になされる製膜等の基板処理において、温度分布の均一化により確実且つ安定した処理がなされ、信頼性の高い高品質な基板を得ることが可能となる。
【0052】
請求項2記載の発明は、基板を挟んで基板加熱手段と対向配置されるとともに、前記基板の他の両側部に面して基板中央部よりも高い発熱密度を有する第3の高発熱部が配設された第3の加熱部を有する第3の基板加熱手段が処理室内に備えられているので、温度低下しやすい基板周部の温度を全て部分で高める調整を行うことができ、基板の全面における温度分布の均一化を図って基板の変形を防止することができる。
また、基板を両面から加熱することができるので、両基板加熱手段の発熱量を抑えることができ、これによれば基板に局所的な高加熱領域が発生することが回避されて、基板の損傷を抑えることができる。また、加熱後になされる製膜等の基板処理において、温度分布の均一化により確実且つ安定した処理がなされ、信頼性の高い高品質な基板を得ることが可能となる。
【0053】
請求項3記載の発明は、処理室の壁部に、この内壁面を昇温させる内壁面昇温手段が備えられているので、処理室の壁部が加熱されて基板周部の温度低下が大幅に低減され、基板の全面における温度分布の均一化をより確実に且つ素早く導くことができる。これによって基板の変形を確実に防止することができる。また、加熱処理を必要とする基板処理の作業効率を高めて基板の生産性を向上させることができる。
【0054】
請求項4記載の発明は、内壁面昇温手段が、処理室の内壁面を覆うように設けられたニッケルを含有する金属箔であるので、基板周部を素早く昇温させて基板の温度分布の均一化を図って変形を防止することができる。また、耐熱性と耐酸化性に優れる金属箔であるため、処理室内の清浄度を高く維持して加熱の処理能力を向上させることができ、製膜等の基板処理が行われる場合でも、清浄度が維持されることによって高品質な基板を得ることができる。
【0055】
請求項5記載の発明は、内壁面昇温手段が処理室の内壁面に沿って配設された加熱部を有する壁面加熱装置であるので、処理室内の温度を確実に高めて基板周部の温度低下を回避することができる。そして、処理室内の温度に限定して監視しつつ壁面加熱装置を動作させることができるので、処理室内の温度雰囲気を適切な状態に維持管理して多数の基板を同様に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における真空処理装置の内部構成を部分的に示した斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における真空処理装置の内部構成を部分的に示した斜視図である。
【図3】本発明の第3の実施形態における真空処理装置の内部構成を部分的に示した斜視図である。
【図4】本発明の第4の実施形態における真空処理装置の内部構成を部分的に示した斜視図である。
【図5】クラスタ型に配置された真空処理装置をなすプラズマCVD装置のシステム構成を説明する全体斜視図である。
【図6】真空処理装置に備わる処理室の内部構成を説明する概略構成図である。
【図7】従来の真空処理装置の内部構成を部分的に示した斜視図である。
【符号の説明】
1 プラズマCVD装置(真空処理装置)
10 ロード室(処理室)
15 基板加熱ヒータ(基板加熱手段)
16 第2基板加熱ヒータ(第2の基板加熱手段)
17 第3基板加熱ヒータ(第3の基板加熱手段)
19 シースヒータ(内壁面加熱手段,壁面加熱装置)
K 基板
F ニッケル箔(金属箔)
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板の加熱を行って製膜等の基板処理を行うプラズマCVD、スパッタリング装置、ドライエッチング装置などの真空処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プラズマCVD、スパッタリング装置、ドライエッチング装置などの真空処理装置において、基板に製膜等の処理を施す際には該基板を加熱する必要がある。図5を用いて真空処理装置の1つであるプラズマCVD装置1を例に挙げてその構成を説明するとともに基板Kの加熱処理について説明する。
【0003】
図5に示されるプラズマCVD装置1は、各製膜室70A〜70E、ロード室10、アンロード室20、予備室80などが共通搬送室30を中心としてクラスタ型(星型とも言う。)に配置されたものである(特許文献1参照。)。
なお、この他にも各製膜室が直列に配置されたものや、基板に対するp型層や、n型層などの製膜処理を一貫して行う製膜室を備えたプラズマCVD装置もある。
【0004】
図5のプラズマCVD装置では、まず始めに、基板Kが台車8に載せられた状態で搬送されてロード室10(処理室)内に搬入される。すると、この内部は密閉された状態となって真空ポンプ(図示せず)により10Pa程度以下に減圧されることで真空状態となる。そして、真空状態となったロード室10内では、ここに備わる赤外線ランプ等で構成された基板加熱ヒータ(基板加熱手段)によって基板Kの予備加熱が行われる。
このような加熱処理は、後に共通搬送室30を通って製膜室70Aに基板Kが搬入されて製膜処理がなされる際の前段階として行われ、また、製膜処理前のベーキングとして行われるものでもある。
【0005】
もちろん、各製膜室70A〜70Eなどにも製膜処理に要求される数百℃の高い基板温度を確保するための基板加熱ヒータ(基板加熱手段)が備えられており、基板Kは基板処理に必要とされる所定の温度に加熱されることになる。
図6を用いて製膜室の一例である図示の製膜室70Aの概略構成を説明すると、この内部の中央には製膜ユニット72が備わり、これを挟むように基板加熱ヒータ75がその両側にそれぞれ備えられている。製膜ユニット72における基板加熱ヒータ75と向き合う面には、製膜ガス供給一体型のラダー電極73が備わり、このラダー電極73と基板加熱ヒータ75との間には、ヒータカバー74上に基板Kが設置される。
【0006】
そして、ラダー電極73に対してヒータカバー74が他方の電極として機能し、ラダー電極73に高周波電力が印加されることで、基板Kとラダー電極73との間にプラズマが発生し、また、この際に基板Kがヒータカバー74を介して基板加熱ヒータ75によって加熱されることで、基板Kに目的とするアモルファスシリコン等の製膜が施される。
【0007】
また、基板K及びラダー電極を挟んで基板加熱ヒータに対向配置される赤外線ヒータを備えたプラズマCVD装置が開示されている(特許文献2参照。)。
また、ラダー電極と基板加熱ヒータとの間に発生したプラズマに赤外線を照射する赤外線ヒータを備えたプラズマCVD装置が開示されている(特許文献3参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−127133号公報(第14−25段落、第1図)
【特許文献2】
特開平9−162131号公報(第10−21段落、第1図)
【特許文献3】
特開平11−61418号公報(第8−12段落、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
さて、上述したように減圧環境とされるロード室や製膜室等の処理室にて基板を加熱する場合において、従来から多様に用いられている厚みが1mm程度の薄い基板であれば、この全面が比較的均一な温度分布となって加熱がなされていた。これは、基板厚みが薄いことによる基板の熱吸収率の低さと、処理室の壁部の加熱特性が比較的高いことによるものである。前者の熱吸収率とは、基板加熱ヒータの総発熱量に対して基板が吸収する熱量の割合が低いことを意味しており、また、後者については、処理室の壁部が加熱されることで高温化し、基板周囲が高温な状態になることを意味している。
したがって、1mm程度の薄い基板であれば、この全面における温度分布が均一化していたために加熱処理やその後の製膜等の処理に大きな問題が生じていなかった。
【0010】
しかし、大型の太陽電池パネルに用いられるような、一辺が1mを超える基板の場合では、強度上この基板厚みを4mm程度とする必要があるため、基板の面積と同程度の加熱部を有する基板加熱ヒータを用いた場合、基板の赤外線吸収率が70%と高くなり、基板加熱ヒータはこの基板のみを主に加熱する加熱系を構成してしまっていた。このため、処理室の壁部に対する加熱量が少なくなって壁部の内壁面温度があまり上がらず、この内壁面付近に位置する基板周部の温度を著しく低下させていた。
つまり、温度が上昇しやすい基板中央部に比べて、基板周部の温度が低くなり、基板の全面における温度分布にばらつきが生じていた。
【0011】
そして、このように基板周部の温度が低下して基板中央部が高い温度であると、それぞれの部分における熱膨張の差によって基板に変形が生じることとなり、真空処理装置における基板の加熱処理において信頼性を欠く大きな問題となっていた。また、この後に行う製膜等の基板処理にて予備加熱での温度分布にばらつきがあると、安定且つ高精度な製膜を行うことが困難となったり、温度分布を均一に導くために多くの時間が必要となり装置処理能力を低下させる要因となっていた。
【0012】
上記の問題を解決すべく、図7に示すように、基板Kの左右両端部側に面して高い発熱密度、言い換えれば発熱量大となる高発熱部を有する基板加熱ヒータ15を用いる構成が既にあるが、この場合においても、基板加熱ヒータ15の構造上、基板周部全てを網羅することは困難であり、基板周部のいずれかで温度低下の部分が生じていた。
【0013】
また、基板周囲の温度を上昇させるために基板加熱ヒータを大きくすることが考えられるが、これによれば基板加熱ヒータの大型化によるプラズマCVD装置などの真空処理装置の大型化が招かれてしまう可能性が高く、また、基板の中央部がさらに温度上昇してしまって温度分布の均一化がより困難となってしまう可能性も高い。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、加熱される基板の温度分布を均一に保って基板の変形を防止し、また、後になされる基板処理を安定に且つ迅速に実施可能とする信頼性及び処理能力の向上が図られた真空処理装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
請求項1に記載の発明は、減圧環境とされる処理室内に、製膜等の処理がなされる基板の全面に渡って加熱を行う加熱部を有する基板加熱手段を備えた真空処理装置において、前記処理室内には、前記基板を挟んで前記基板加熱手段と対向配置されるとともに、前記基板の周部に沿って配設された第2の加熱部を有する第2の基板加熱手段が備えられてなることを特徴としている。
【0016】
このような構成により、従来より備わる基板加熱手段による基板への加熱処理に加えて、第2の基板加熱手段による基板周部への加熱処理がなされることとなる。このことは、比較的温度低下しやすい基板周部の温度を、温度上昇しやすい基板中央部の温度に合わせられることになり、基板の全面における温度分布の均一化がなされる。
また、基板を挟んでこれら両基板加熱手段が備わる構成により、基板に対する加熱の速度、言い換えれば、基板が温度上昇して目標温度に達するまでの時間が短縮されることになる。そして、それぞれの基板加熱手段における発熱量を低減しても、基板に対して必要とされる熱量が十分に確保されることにもなる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、減圧環境とされる処理室内に、製膜等の処理がなされる基板の全面に渡って加熱を行う加熱部を有する基板加熱手段を備えた真空処理装置において、前記加熱部は、前記基板の両側部に面して基板中央部よりも高い発熱密度を有する高発熱部を有してなり、前記処理室内には、前記基板を挟んで前記基板加熱手段と対向配置されるとともに、前記基板の他の両側部に面して基板中央部よりも高い発熱密度を有する第3の高発熱部が配設された第3の加熱部を有する第3の基板加熱手段が備えられてなることを特徴としている。
【0018】
このような構成により、基板の一方側の面から加熱する際にこの周部である、例えば4辺(基板が長方形の場合)全てを高い発熱密度を有する高発熱部を用いて加熱できない場合であっても、基板を挟んで対向配置された第3の基板加熱手段に備わる第3の加熱部によって、基板の他方側の面から基板の全面に渡って加熱が行われつつ、加熱が不十分とされた基板の他の両側部が高い発熱密度を有する第3の高発熱部によって補うように加熱されることとなる。
したがって、基板周部の全てが高い発熱密度によって加熱されて基板全面における温度分布の均一化がなされるとともに、それぞれの基板加熱手段の発熱量が抑えられて基板に局所的な高加熱領域が発生しないことになり、さらに、基板における温度上昇の速度も高められる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の真空処理装置において、前記処理室の壁部には、この内壁面を昇温させる内壁面昇温手段が備えられてなることを特徴としている。
【0020】
請求項1又は請求項2記載の各基板加熱手段を用いて基板を加熱するにあたり、処理室の内壁面が温度低下していると、この周辺付近に位置する基板周部の温度低下が容易に推測できる。本発明ではこのことを回避するべく、処理室の壁部に内壁面昇温手段が備えられた構成とされており、このことによれば、内壁面の温度低下が回避されて、基板周部の温度低下が大幅に低減、または皆無となる。このことによれば、基板の全面における温度分布の均一化がなされる。また、処理室の内壁面が即座に昇温されることによれば、基板に対する加熱処理が素早く効率的に行われることとなる。なお、内壁面昇温手段は自発的に内壁面を昇温させるものであってもよいし、基板加熱手段等からの熱を受けて受動的に内壁面を昇温させるものであってもよい。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の真空処理装置において、前記内壁面昇温手段が、前記処理室の内壁面を覆うように設けられたニッケルを含有する金属箔であることを特徴としている。
【0022】
ニッケルを含む金属箔によって処理室の内壁面が覆われる構成により、上記の請求項に記載の内壁面昇温手段が形成されることになる。したがって、各基板加熱手段の熱が金属箔に作用すると、該金属箔は素早く昇温することになり、処理室の内壁面付近は高い温度状態が確保される。この結果、基板周部の温度低下が大幅に低減されて基板温度の均一化が図られ、また、加熱対象が処理室の壁部から基板に早急に移るため、基板に対する加熱効率が向上する。また、赤外線の反射作用を促して基板を加熱することにもなる。
【0023】
特に本発明では、ニッケルを含んだ金属箔が用いられることによれば、大気中の酸素と触れる場合であっても、これが酸化して劣化することは皆無に等しく、また、耐熱性の点においても優れているために、この金属箔が処理室内で劣化することはない。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4記載の真空処理装置において、前記内壁面昇温手段が、処理室の内壁面に沿って配設された加熱部を有する壁面加熱装置であることを特徴としている。
【0025】
基板周部の温度低下を回避するには処理室内の温度をより高めることが望ましく、本発明によれば処理室内の温度が壁面加熱装置からの赤外線等によって高められることになるので、基板周部の熱が処理室内に放熱されにくくなり、基板周部の温度低下が回避される。そして、先に説明した各基板加熱手段に加えて追加されることにより、この壁面加熱装置を処理室内の温度に限定して監視し動作させることができ、処理室内の温度雰囲気が適切な状態に維持管理されることにもなる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態における真空処理装置に備わる2つの各基板加熱ヒータ15(基板加熱手段),16(第2の基板加熱手段)の概略構成を説明する斜視図である。なお、以下の説明に用いる基板Kの表面及び裏面の表記については、紙面から見た場合を基準として説明するものであり、製膜等の処理における表面及び裏面とは異なるものとする。また、ここに示される基板Kは、この材質が熱を吸収しやすいソーダガラスからなるものであり、一例としてその大きさは一辺が1m以上とされ、厚さが4mm程度とされている。
【0027】
図1において、符号15は、10Pa程度以下の減圧環境となる処理室内に従来より設けられている基板加熱ヒータ(基板加熱手段)であり、紙面において基板Kの裏面側に設けられている。この基板加熱ヒータ15は、上部ヘッダ15aと下部ヘッダ15bとの間に基板Kとほぼ同一な大きさとなる加熱部が備わり、この加熱部は、基板Kの左右方向全域に渡って縦方向に複数配設されたヒートパイプPにより構成されている。また、この加熱部には、基板Kの周部である左右両端側を基板Kの中央部よりも高い発熱量で加熱する高発熱部が備えられている。なお、このような発熱量の差は、ヒートパイプPに出力する電流値の差によって調整されるものである。
【0028】
そして、本発明においては、基板Kを挟んで上記基板加熱ヒータ15に対向配置されるように第2基板加熱ヒータ16(第2の基板加熱手段)が基板Kよりも紙面手前側に設けられている。
この第2基板加熱ヒータ16は、従来の基板加熱ヒータ15と同様にヒートパイプPが複数組み合わされて構成されているが、異なる点として、基板Kに面して縦方向に配置されるヒートパイプPが、基板Kの周部である左右両端側に数本ずつ上下の各ヘッダ16aに接続され配設されており、基板Kの中央部には縦方向のヒートパイプPが配設されていない構造とされている。さらに、左右のヒートパイプPの群を繋ぐように、両側の上下各ヘッダ16aに接続される横方向のヒートパイプPが数本づつ基板Kの周部である上下端側に面して配設されている。
【0029】
このように、第2基板加熱ヒータ16は、基板Kの周部に面して配設された縦方向及び横方向の複数のヒートパイプPからなる長方形の枠された加熱部(第2の加熱部)を有して構成されることになり、第2基板加熱ヒータ16に電力が供給されると、基板Kの周部が主に加熱されることとなる。
【0030】
以上説明した本実施形態に係る各基板加熱ヒータ15,16を備えた真空処理装置によれば、従来より用いられている基板加熱ヒータ15に加えて、温度低下しやすい基板Kの周部を第2基板加熱ヒータ16を用いてさらに加熱することができ、基板Kの全面における温度分布の均一化を図って基板の変形を防止することができる。特に、本実施形態における実験結果では、1.1m×1.4mの大きさで基板厚みが4mmの場合、従来では温度分布に80℃の差が生じていたが、この温度差が30℃にまで抑えることが可能となった。この結果、基板Kの熱変形はほとんど生じることなく反りの発生はない。
【0031】
また、2つの基板加熱ヒータ15,16を用いることによれば、これらの発熱量を抑えることが可能となり、基板Kに局所的な高加熱領域(例えば、基板Kの表面)が発生しなくなる。したがって、耐熱性に優れないガラス以外の基板であっても、該基板を破損させることなく安定して加熱処理を行うことができる。
また、製膜処理における予備加熱として基板Kの温度分布が均一化されることによれば、その後に行う製膜処理においてヒータカバー74(図6参照)での加熱処理も均一且つ迅速に実施されることになり、製膜処理の迅速化による太陽電池パネルの生産性の向上や、温度分布の均一化による膜圧分布の均一化によって高品質な太陽電池パネルを実現することができる。
【0032】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る第2の実施形態について図2を参照しながら説明する。なお、図2に示される構成は、第1の実施形態と比較して従来より備わる基板加熱ヒータ15に対向配置される追加の基板加熱ヒータ17(以下、第3基板加熱ヒータ17と称する。)の構成が異なるので、この点について詳しく説明するものとし、その他の構成については第1の実施形態と同様であるので、同一符号を付してその説明を一部省略する。
【0033】
従来より備わる基板加熱ヒータ15に対し基板Kを挟んで対向配置される第3基板加熱ヒータ17(第3の基板加熱手段)は、左右の各ヘッダ17a,17bに支持された横方向に配設される各ヒートパイプPによって構成された加熱部(第3の加熱部)を有しており、この加熱部の大きさは基板Kの面積と同等とされている。
【0034】
従来の基板加熱ヒータ15に備わる縦方向のヒートパイプPに対して横方向のヒートパイプPからなる第3基板加熱ヒータ17の加熱部には、基板Kの上端側と下端側に面して発熱量が中央部よりも大となる高発熱部を有しており、基板Kの周部である上下それぞれの端部を基板Kの中央部よりも高い熱量で加熱することが可能とされている。
【0035】
つまり、従来より備わる基板加熱ヒータ15が同一平面上で90度回転して基板Kの反対側に設置された構成とほぼ同等である。これにより、従来の基板加熱ヒータ15の高加熱部と、第3基板加熱ヒータ17の高加熱部とが基板Kの周部に面して互い違いとなるように配置されることになる。
【0036】
このような構成により、温度低下しやすい基板Kの周部における左右両端側は、裏面側に備わる従来の基板加熱ヒータ15による高い熱量によって加熱され、上下両端側は、基板Kの表面側に備わる第3基板加熱ヒータ17による高い熱量によって加熱されることになる。
この結果、基板Kの周部の全てが高い発熱密度による熱量によってもれなく加熱されることになり、温度上昇しやすい基板Kの中央部と同等な温度に昇温されて基板Kの全面における温度分布の均一化がなされることとなる。
【0037】
以上説明した本実施形態に係る各基板加熱ヒータ15,17を備えた真空処理装置によれば、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。また、異なる効果として、寸法を除いてこれら各基板加熱ヒータ15,17をほぼ同等に形成することができ、追加する第3基板加熱ヒータ17のコストを抑えることができる。また、基板Kの全面を両側から加熱することになるので、これら基板加熱ヒータ15,17の発熱量をさらに抑えることが可能となり、基板Kを破損させることなくさらに迅速な加熱処理を行うことができる。
【0038】
[第3の実施形態]
次に、本発明に係る第3の実施形態について図3を参照しながら説明する。なお、図3に示される構成は、第1の実施形態の構成に追加して、各基板加熱ヒータ15,16が備えられる処理室10の内壁面にニッケル箔F(金属箔)が取り付けた構成が異なるので、この点について詳しく説明するものとし、その他の構成については第1の実施形態と同様であるので、同一符号を付してその説明を一部省略する。
【0039】
図に示すように、処理室10の内壁面のそれぞれには、2点鎖線で示されるようなニッケル(Ni)を主とするニッケル箔Fが取り付けられている。このニッケル箔Fは、真空状態に導かれる箱形の処理室10の内壁面の一部を除いてほぼ全面に渡って取り付けられている。ニッケル箔の厚さは0.1mm程度であり、この表面は鏡面研磨がなされている。
【0040】
薄く鏡面研磨されたニッケル箔は、輻射率が低く、常温から400℃程度の温度環境に耐えうり、また、このような温度環境における空気中の酸素と接触しても酸化することがないものとして選定されている。なお、これらの要件を満たす金属箔であれば、ニッケル以外の材質からなるものでもよい。
【0041】
さて、このような構成により、各基板加熱ヒータ15,16の赤外線がニッケル箔Fに作用すると、このニッケル箔Fは熱容量が小さい為、素早く昇温して処理室10の内壁面付近の温度を高い状態に維持する。この結果、基板Kの周部の温度低下が大幅に低減されて基板Kの全面における温度の均一化が図られ、また、各基板加熱ヒータ15,16の加熱対象が処理室10の壁部から基板Kに早急に移るため、基板Kに対する加熱効率が向上する。
【0042】
以上説明した本実施形態に係る処理室10を備えた真空処理装置によれば、第1の実施形態の効果に加えて、基板Kの周部の温度低下をより確実に回避することができ、温度分布の均一化をより迅速に実現することができる。また、基板Kに対する加熱効率の向上による加熱時間をさらに短縮することができる。
また、ニッケル箔Fを用いることによって、高い信頼性を得て加熱処理を実施することができ、より詳細には、このニッケル箔Fが腐食することもないので、基板Kの処理にて不純物の付着などのない高品質な基板を得ることができる。
【0043】
なお、本実施形態では第1の実施形態に示した構成に加えてニッケル箔Fを取り付けた構成を説明したが、第1の実施形態に変更して第2の実施形態を用い、この構成に本実施形態の構成を追加することとしてもよい。
【0044】
[第4の実施形態]
次に、本発明に係る第4の実施形態について図4を参照しながら説明する。なお、図4に示される構成は、第3の実施形態にて説明した構成に追加して、各基板加熱ヒータ15,16が備えられる処理室10の壁部に内壁面加熱手段をなすシースヒータ19(壁面加熱装置)が取り付けられた構成が異なる。したがって、この異なる点について詳しく説明するものとし、その他の構成については第3の実施形態と同様であるので、同一符号を付してその説明を一部省略する。
【0045】
シースヒータ19は、処理室10の内壁面を覆うようにニッケル箔Fの上側、言い換えれば、ニッケル箔箔Fよりも基板K側に取り付けられている。なお、図においては正面に取り付けられたシースヒータ19のみを示しているが、その他の壁部にも同様に取り付けられているものとする。
シースヒータ19に備わる連続するヒートパイプは、インコネルの被覆がなされており、処理室10内に取り込まれる酸素との接触による酸化が防止されている。また、インコネル被覆によって耐熱性が確保されている。
【0046】
このような構成により、処理室10の内壁面はシースヒータ19による加熱作用により数百℃に維持され、内壁面付近に位置する基板Kの周部が温度低下することが回避される。そして、シースヒータ19からの赤外線は、処理室10内の温度雰囲気を上昇させて基板Kを加熱したり、ニッケル箔Fに反射して基板Kを加熱したりすることになる。
【0047】
以上説明した本実施形態の真空処理装置によれば、シースヒータ19の設置により処理室10内の温度を確実に高め、基板Kの周部の温度低下を回避して基板Kの全面における温度分布を均一にすることができる。そして、処理室10内の温度に限定して監視しつつシースヒータ19を動作させることができるので、処理室10内の温度雰囲気を適切な状態に維持管理し、処理室10に搬入される多数の基板Kを同様に加熱することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、第3の実施形態の構成にシースヒータ19を追加した構成を例に挙げて説明したが、第2の実施形態に追加することとしてもよい。また、シースヒータ19とニッケル箔Fとを本発明に係る内壁面昇温手段として共に備える構成を示したが、それぞれ個別に備える構成であってもよい。また、シースヒータ19がニッケル箔Fの表面上である基板K側に設置された場合を示したが、ニッケル箔F等の金属箔を備えない場合、シースヒータ19の取り付け位置を処理室10の壁部内としてもよい。このような構成であっても、必要十分に処理室10内を加熱して基板Kの周部の温度低下を回避することができる。また、上記場合であれば大気と触れることがないので、インコネルなどによる被覆に替えて耐熱性のある別な材質を用いた構成であってもよい。
【0049】
さらに、以上説明した各実施形態においては、図5にて説明した基板Kの予備加熱を行う処理室をなすロード室10に備えられる場合として説明したが、各製膜室70A〜70Eなどに同様な構成を用いることも可能である。
つまり、製膜ユニット72(図6参照)側に上述した第2基板加熱ヒータ16や、第3基板加熱ヒータ17を備える構成である。この場合、ヒータカバー74上の基板Kに対してラダー電極73の裏面側に設けることがプラズマの発生に際して望ましいが、プラズマの発生を阻害しないように第2又は第3基板加熱ヒータ16,17を構成し、ラダー電極73と基板Kとの間に上記各基板加熱ヒータ16,17を設けることも可能である。
【0050】
また、図5に示すように、基板Kは台車8の治具に立て掛けられた状態で処理室10などに搬入されることになるが、この治具によって基板Kの一部が隠れてしまうと基板加熱ヒータからの赤外線が伝わらなくなる。本発明では、従来から備わる基板Kの片面側の基板加熱ヒータ15に加えて基板Kの反対側の面からも加熱されることになるので、基板Kを立て掛ける治具による遮へい部分を加熱することも可能である。したがって、上述した部分をより効果的に加熱するために、治具が位置する部分の裏面側に加熱部を有する基板加熱ヒータを備えるが望ましい。
【0051】
【発明の効果】
以上説明した本発明の真空処理装置においては以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明は、基板を挟んで基板加熱手段と対向配置されるとともに、基板の周部に沿って配設された第2の加熱部を有する第2の基板加熱手段が処理室内に備えられているので、温度低下しやすい基板周部を、第2の加熱部を有する第2の基板加熱手段を用いてさらに加熱することで、基板の全面における温度分布の均一化を図って基板の変形を防止することができる。この結果、基板を加熱するにあたり、不具合のない高品質な加熱処理された基板を供給することができる。
また、両基板加熱手段の発熱量を抑えられることによれば、基板に局所的な高加熱領域が発生しなくなり、基板の破損を抑えることができる。また、加熱後になされる製膜等の基板処理において、温度分布の均一化により確実且つ安定した処理がなされ、信頼性の高い高品質な基板を得ることが可能となる。
【0052】
請求項2記載の発明は、基板を挟んで基板加熱手段と対向配置されるとともに、前記基板の他の両側部に面して基板中央部よりも高い発熱密度を有する第3の高発熱部が配設された第3の加熱部を有する第3の基板加熱手段が処理室内に備えられているので、温度低下しやすい基板周部の温度を全て部分で高める調整を行うことができ、基板の全面における温度分布の均一化を図って基板の変形を防止することができる。
また、基板を両面から加熱することができるので、両基板加熱手段の発熱量を抑えることができ、これによれば基板に局所的な高加熱領域が発生することが回避されて、基板の損傷を抑えることができる。また、加熱後になされる製膜等の基板処理において、温度分布の均一化により確実且つ安定した処理がなされ、信頼性の高い高品質な基板を得ることが可能となる。
【0053】
請求項3記載の発明は、処理室の壁部に、この内壁面を昇温させる内壁面昇温手段が備えられているので、処理室の壁部が加熱されて基板周部の温度低下が大幅に低減され、基板の全面における温度分布の均一化をより確実に且つ素早く導くことができる。これによって基板の変形を確実に防止することができる。また、加熱処理を必要とする基板処理の作業効率を高めて基板の生産性を向上させることができる。
【0054】
請求項4記載の発明は、内壁面昇温手段が、処理室の内壁面を覆うように設けられたニッケルを含有する金属箔であるので、基板周部を素早く昇温させて基板の温度分布の均一化を図って変形を防止することができる。また、耐熱性と耐酸化性に優れる金属箔であるため、処理室内の清浄度を高く維持して加熱の処理能力を向上させることができ、製膜等の基板処理が行われる場合でも、清浄度が維持されることによって高品質な基板を得ることができる。
【0055】
請求項5記載の発明は、内壁面昇温手段が処理室の内壁面に沿って配設された加熱部を有する壁面加熱装置であるので、処理室内の温度を確実に高めて基板周部の温度低下を回避することができる。そして、処理室内の温度に限定して監視しつつ壁面加熱装置を動作させることができるので、処理室内の温度雰囲気を適切な状態に維持管理して多数の基板を同様に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における真空処理装置の内部構成を部分的に示した斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における真空処理装置の内部構成を部分的に示した斜視図である。
【図3】本発明の第3の実施形態における真空処理装置の内部構成を部分的に示した斜視図である。
【図4】本発明の第4の実施形態における真空処理装置の内部構成を部分的に示した斜視図である。
【図5】クラスタ型に配置された真空処理装置をなすプラズマCVD装置のシステム構成を説明する全体斜視図である。
【図6】真空処理装置に備わる処理室の内部構成を説明する概略構成図である。
【図7】従来の真空処理装置の内部構成を部分的に示した斜視図である。
【符号の説明】
1 プラズマCVD装置(真空処理装置)
10 ロード室(処理室)
15 基板加熱ヒータ(基板加熱手段)
16 第2基板加熱ヒータ(第2の基板加熱手段)
17 第3基板加熱ヒータ(第3の基板加熱手段)
19 シースヒータ(内壁面加熱手段,壁面加熱装置)
K 基板
F ニッケル箔(金属箔)
Claims (5)
- 減圧環境とされる処理室内に、製膜等の処理がなされる基板の全面に渡って加熱を行う加熱部を有する基板加熱手段を備えた真空処理装置において、
前記処理室内には、前記基板を挟んで前記基板加熱手段と対向配置されるとともに、前記基板の周部に沿って配設された第2の加熱部を有する第2の基板加熱手段が備えられてなることを特徴とする真空処理装置。 - 減圧環境とされる処理室内に、製膜等の処理がなされる基板の全面に渡って加熱を行う加熱部を有する基板加熱手段を備えた真空処理装置において、
前記加熱部は、前記基板の両側部に面して基板中央部よりも高い発熱密度を有する高発熱部を有してなり、
前記処理室内には、前記基板を挟んで前記基板加熱手段と対向配置されるとともに、前記基板の他の両側部に面して基板中央部よりも高い発熱密度を有する第3の高発熱部が配設された第3の加熱部を有する第3の基板加熱手段が備えられてなることを特徴とする真空処理装置。 - 前記処理室の壁部には、この内壁面を昇温させる内壁面昇温手段が備えられてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の真空処理装置。
- 前記内壁面昇温手段は、前記処理室の内壁面を覆うように設けられたニッケルを含有する金属箔であることを特徴とする請求項3記載の真空処理装置。
- 前記内壁面昇温手段は、処理室の内壁面に沿って配設された加熱部を有する壁面加熱装置であることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の真空処理装置。
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