JP2004083055A - 金属製キャップ用モールディング型ライナー - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、挫屈が発生しない弱い荷重で巻締めできるキャップ用モールディング型ライナーを提供することにある。
【解決手段】ライナー硬度(JIS K6301におけるスプリング式硬さ試験A形)が65〜85である熱可塑性樹脂組成物よりなり、0.06〜0.08KPaの低圧縮荷重で巻締め可能な耐熱性、密封性に優れた金属製キャップモールディング型ライナー。
【選択図】 なし
【解決手段】ライナー硬度(JIS K6301におけるスプリング式硬さ試験A形)が65〜85である熱可塑性樹脂組成物よりなり、0.06〜0.08KPaの低圧縮荷重で巻締め可能な耐熱性、密封性に優れた金属製キャップモールディング型ライナー。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低圧縮荷重で巻締めを可能にする金属製キャップ用モールディング型ライナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
ネジキャップを冠着させるための口頸部を備えたネジ付き缶(以下、ボトル缶と称する)等の薄肉缶はホットパックされるジュース等の非炭酸系飲料に適用する場合には、内容物充填直後のヘッドスペース部に液体窒素封入(LN充填)することにより缶内を陽圧にして0.1〜0.13kPaの圧縮荷重を掛けて巻き締められている。このような陽圧缶のための金属製キャップ用ライナーに関する技術としては、特開平11−106565号公報、特開2000−38495号公報、特開2000−239481号公報、特開2000−297198号公報などがある。しかし、これを薄肉缶で陰圧缶として使用すると、圧縮荷重に弱いため巻締め時の荷重により挫屈が発生し、更に内容物の冷却により減圧されることにより缶胴部が醜く変形して商品価値が無くなる等の問題があり実用化出来ていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、挫屈が発生しない弱い荷重で巻締めできる金属製キャップ用モールディング型ライナーを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
薄肉の前記ネジ付き缶が蓋巻締め時に挫屈が発生しないようにするためには、缶胴部にパネル部を設けて圧縮強度を強くする方法と弱い圧縮荷重で巻締めても密封性等の要求性能を満足させるキャップの開発が必要である。そこで、本発明者らの研究によれば現在0.1〜0.13kPaの荷重で巻き締められているキャップを、0.06〜0.08kPaの荷重で巻き締めることができれば性能上問題のないキャップが得られることが分った。
【0005】
本発明の第1は、ライナー硬度(JIS K6301におけるスプリング式硬さ試験A形)が65〜85である熱可塑性樹脂組成物よりなり、0.06〜0.08KPaの低圧縮荷重で巻締め可能な耐熱性、密封性に優れた金属製キャップモールディング型ライナーに関する。
本発明の第2は、前記熱可塑性樹脂組成物が、ポリプロピレン樹脂20〜40重量%、スチレン系エラストマー20〜40重量%および炭化水素油25〜45重量%を含むものである請求項1記載の金属製キャップモールディング型ライナーに関する。ポリプロピレン樹脂が20重量%を下回る場合には、耐熱性が不充分となり、40重量%を上回る場合には密封性が不充分となる。またスチレン系エラストマーが20重量%を下回る場合には弾性が劣り、耐衝撃性、密封性が悪くなり、40重量%の上回る場合にはゴム的性質が強くなりすぎ、MFRが小さくなってモールディング作業性が悪くなり所望のライナー硬度が保てなくなる。炭化水素油が25重量%を下回る場合にはライナーが硬くなり過ぎ弱い巻き締め圧力では密封性が劣り、45重量%を上回るとライナーが軟らかくなりすぎ開栓トルクが増大する。
【0006】
現在市販されている金属製キャップモールディング型ライナーには硬度(JIS K6301におけるスプリング式硬さ試験A形)が95〜90程度のエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)や直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)を主成分としたライナーが使用され、挫屈の恐れのないガラス瓶やペットボトルで陰圧内容物の場合0.13kPa前後の荷重を掛けて巻締められている。またボトル缶における陽圧缶の場合も0.1〜0.13kPaの荷重を掛けて巻締められている。
【0007】
しかし、EPR、EVAやL−LDPEを主成分とするライナーでは耐熱性が無く、且つ低荷重でしか巻締められないボトル缶における陰圧缶では密封性、特に耐衝撃密封性が劣り、陰圧缶への適用は困難であった。
【0008】
ポリプロピレン樹脂を必須成分とする理由は、陰圧缶は90〜95℃の熱間充填となるので耐熱性が必要となるので、耐熱性のないEPR、EPAやPE樹脂は主成分としては使用できない。なお、ライナー硬度及びモールディング押出成形条件などの点からポリプロピレン樹脂硬度(ロックウェルR型)は70〜90〔JIS K7202〕、MFR(メルトフローレート)0.1〜20g/10min〔JIS K6758〕であることが望ましく、このようなポリプロピレン樹脂としては、出光石油化学(株)のJ−466H、(株)グランドポリマーのJ−702L、704、(株)チッソのK7014、(株)トクヤマのWS641等の樹脂が該当する。
【0009】
スチレン系エラストマーを必須成分とする理由は、耐熱性があり、プラスチックと同様の成形性を持ち、且つゴム弾性を持った材料であるためである。該エラストマーは、ハード成分が水素添加ポリスチレン、ソフト成分がポリブタジエン、ポリイソプレンまたはポリオレフィンのブロックコポリマーであることが好ましく、具体的な商品としては、旭化成工業(株)タフテックH1052、アロン化成(株)のAR1035、(株)クラレのセプトン4055、4077、三菱化成(株)のラバロン4300、8301等が挙げられる。
【0010】
炭化水素油は軟化剤であり、これを加えることにより、ライナーの硬度を任意に変えることが出来る。鉱物油系軟化剤として、分子中に炭素原子20個以上を含むものが好ましく、カーボンタイプの含有割合により、パラフィン系・ナフテン系・芳香族系(アロマ系)に分類されるが、芳香族系成分が10%以下のパラフィン系オイルがとくに好ましく、このような炭化水素としては、出光興産(株)のダイアナプロセスオイルPW−90、エッソスタンダード石油(株)のモレスコホワイト−70、松村石油研究所のスモイルP−70等がある。
【0011】
必須成分以外の熱可塑性樹脂・顔料・充填剤・潤滑剤等の添加量は、多くても全体の10%以下で、樹脂としてはEVA、LDPE、高密度ポリエチレン(HDPE)、L−LDPE等を主に流動特性を調節するために加えてよく、顔料は酸化チタン等を着色の目的で添加し、充填剤はシリカ等を流動特性調節のために加え、潤滑剤は開栓性を調節するために各種ワックスやシリコーン等を添加することができる。
【0012】
本発明のライナーは、圧縮荷重0.1〜0.13kPaで巻締められる陽圧缶や瓶・ペットボトルの陰圧・陽圧製品にも適用できる。
【0013】
【実施例】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0014】
を一軸押出機で混練してペレットを作成し、このペレットで厚さ2mmのシートを造り、このシートより0.4gを角状に切り抜き、直径28mmのアルミニウム製キャップに装填・加熱して所定の金型でモールディングを行って、評価試験用キャップを作成した。このライナー硬度(本明細書におけるライナー硬度は、JIS K6301におけるスプリング式硬さ試験A形によるものである)は65であった。評価試験の結果は表1に示す。
【0015】
実施例2
実施例1のポリプロピレン樹脂を 27重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 32重量部
実施例1の炭化水素油を 41重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は70であった。評価試験の結果は表1に示す。
【0016】
実施例3
実施例1のポリプロピレン樹脂を 31重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 30重量部
実施例1の炭化水素油を 39重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は75であった。評価試験の結果は表1に示す。
【0017】
実施例4
実施例1のポリプロピレン樹脂を 35重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 28重量部
実施例1の炭化水素油を 37重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は80であった。評価試験の結果は表1に示す。
【0018】
実施例5
実施例1のポリプロピレン樹脂を 37重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 31重量部
実施例1の炭化水素油を 32重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は85であった。評価試験の結果は表1に示す。
【0019】
比較例1
実施例1のポリプロピレン樹脂を 10重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 45重量部
実施例1の炭化水素油を 45重量部
に変更した以外は実施例1に同じある。このライナー硬度は40であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0020】
比較例2
実施例1のポリプロピレン樹脂を 15重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 40重量部
実施例1の炭化水素油を 45重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は50であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0021】
比較例3
実施例1のポリプロピレン樹脂を 20重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 30重量部
実施例1の炭化水素油を 50重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は60であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0022】
比較例4
実施例1のポリプロピレン樹脂を 43重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 34重量部
実施例1の炭化水素油を 23重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は90であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0023】
比較例5
実施例1のポリプロピレン樹脂を 45重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 36重量部
実施例1の炭化水素油を 19重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は94であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0024】
比較例6
実施例1のポリプロピレン樹脂を 50重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 40重量部
実施例1の炭化水素油を 10重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は96であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0025】
比較例7
市販品で、熱間充填陽圧缶に使用されている直鎖状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを主原料とする(株)日本化学研究所製#441ライナーを用い、モールディング法は実施例1に準じた。このライナー硬度は95であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0026】
比較例8
市販品で、冷間充填陽圧缶に使用されている直鎖状低密度ポリエチレンとEPRを主原料とする(株)グレース社製DF6416WJライナー。モールディング法は実施例1に準じた。このライナー硬度88はであった。評価試験の結果は表2に示す。
【0027】
〔評価試験〕
(1)陰圧缶充填
500mlボトル缶に90〜95℃に加熱した温水をほぼ満中充填(約520g、表面張力により盛り上らずに逆に凹む程度に一杯に充填)してキャップを巻締め(n=30ケ)約1分間横置き殺菌後、水槽に投入して冷却した。巻締め条件は圧縮荷重が0.06、0.07、0.08kPaの3水準、横方向からのネジロール荷重は0.03kPaの1水準で行った。
(2)炭酸飲料充填(陽圧缶)
350mlボトル缶に5℃に冷却したコカ・コーラ365gを充填し、(1)と同じ条件で巻締め、50℃10分の温水処理を行った。
(3)ホットLN(液体窒素)充填(陽圧缶)
500mlボトル缶に90〜95℃の温水を480g充填し、キャップ巻締め直前にLN(液体窒素)を冷却後の内圧が、1.0〜1.5kg/cm2となる様にフローして巻締めた。他は(1)陰圧缶充填と同じである。
(4)
レトルト使用(陽圧缶)充填及び巻締めは上記(3)のホットLN充填と同じで、レトルト処理は121℃×30分行い、冷却は0.7kg/cm2の加圧冷却を行った。
これらの実缶につき、充填2日後に全数の巻締め状態と密封性の評価(肉眼検査及び触圧試験による漏れ確認)を行い、その後落錘試験(衝撃面10°傾斜の500g錘を30cm高さより巻締め部に落下 n=5)、単体倒置落下試験(30cm高さより20°傾斜の鉄板上に巻締め部を下にして落下 n=5)及び開栓性調査(開栓トルクを調査すると共にシール長さの調査 n=5)を行った。尚、落錘・落下の衝撃試験は、試験後触圧試験による漏れ調査後、55℃に7日間貯蔵して重量変化の有無も調査した。判定は
として、巻締め・密封性・耐衝撃性は1缶でも異常品が発生すれば×(△)とし開栓性に関しては平均値で判断した。なお異常のないものは○とした。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】
本発明により、キャップ巻締め時に挫屈が発生せず、耐熱性でかつ密封性とくに耐衝撃密封性に優れた陰圧缶用金属製キャップモールディング型ライナーを提供できた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、低圧縮荷重で巻締めを可能にする金属製キャップ用モールディング型ライナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
ネジキャップを冠着させるための口頸部を備えたネジ付き缶(以下、ボトル缶と称する)等の薄肉缶はホットパックされるジュース等の非炭酸系飲料に適用する場合には、内容物充填直後のヘッドスペース部に液体窒素封入(LN充填)することにより缶内を陽圧にして0.1〜0.13kPaの圧縮荷重を掛けて巻き締められている。このような陽圧缶のための金属製キャップ用ライナーに関する技術としては、特開平11−106565号公報、特開2000−38495号公報、特開2000−239481号公報、特開2000−297198号公報などがある。しかし、これを薄肉缶で陰圧缶として使用すると、圧縮荷重に弱いため巻締め時の荷重により挫屈が発生し、更に内容物の冷却により減圧されることにより缶胴部が醜く変形して商品価値が無くなる等の問題があり実用化出来ていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、挫屈が発生しない弱い荷重で巻締めできる金属製キャップ用モールディング型ライナーを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
薄肉の前記ネジ付き缶が蓋巻締め時に挫屈が発生しないようにするためには、缶胴部にパネル部を設けて圧縮強度を強くする方法と弱い圧縮荷重で巻締めても密封性等の要求性能を満足させるキャップの開発が必要である。そこで、本発明者らの研究によれば現在0.1〜0.13kPaの荷重で巻き締められているキャップを、0.06〜0.08kPaの荷重で巻き締めることができれば性能上問題のないキャップが得られることが分った。
【0005】
本発明の第1は、ライナー硬度(JIS K6301におけるスプリング式硬さ試験A形)が65〜85である熱可塑性樹脂組成物よりなり、0.06〜0.08KPaの低圧縮荷重で巻締め可能な耐熱性、密封性に優れた金属製キャップモールディング型ライナーに関する。
本発明の第2は、前記熱可塑性樹脂組成物が、ポリプロピレン樹脂20〜40重量%、スチレン系エラストマー20〜40重量%および炭化水素油25〜45重量%を含むものである請求項1記載の金属製キャップモールディング型ライナーに関する。ポリプロピレン樹脂が20重量%を下回る場合には、耐熱性が不充分となり、40重量%を上回る場合には密封性が不充分となる。またスチレン系エラストマーが20重量%を下回る場合には弾性が劣り、耐衝撃性、密封性が悪くなり、40重量%の上回る場合にはゴム的性質が強くなりすぎ、MFRが小さくなってモールディング作業性が悪くなり所望のライナー硬度が保てなくなる。炭化水素油が25重量%を下回る場合にはライナーが硬くなり過ぎ弱い巻き締め圧力では密封性が劣り、45重量%を上回るとライナーが軟らかくなりすぎ開栓トルクが増大する。
【0006】
現在市販されている金属製キャップモールディング型ライナーには硬度(JIS K6301におけるスプリング式硬さ試験A形)が95〜90程度のエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)や直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)を主成分としたライナーが使用され、挫屈の恐れのないガラス瓶やペットボトルで陰圧内容物の場合0.13kPa前後の荷重を掛けて巻締められている。またボトル缶における陽圧缶の場合も0.1〜0.13kPaの荷重を掛けて巻締められている。
【0007】
しかし、EPR、EVAやL−LDPEを主成分とするライナーでは耐熱性が無く、且つ低荷重でしか巻締められないボトル缶における陰圧缶では密封性、特に耐衝撃密封性が劣り、陰圧缶への適用は困難であった。
【0008】
ポリプロピレン樹脂を必須成分とする理由は、陰圧缶は90〜95℃の熱間充填となるので耐熱性が必要となるので、耐熱性のないEPR、EPAやPE樹脂は主成分としては使用できない。なお、ライナー硬度及びモールディング押出成形条件などの点からポリプロピレン樹脂硬度(ロックウェルR型)は70〜90〔JIS K7202〕、MFR(メルトフローレート)0.1〜20g/10min〔JIS K6758〕であることが望ましく、このようなポリプロピレン樹脂としては、出光石油化学(株)のJ−466H、(株)グランドポリマーのJ−702L、704、(株)チッソのK7014、(株)トクヤマのWS641等の樹脂が該当する。
【0009】
スチレン系エラストマーを必須成分とする理由は、耐熱性があり、プラスチックと同様の成形性を持ち、且つゴム弾性を持った材料であるためである。該エラストマーは、ハード成分が水素添加ポリスチレン、ソフト成分がポリブタジエン、ポリイソプレンまたはポリオレフィンのブロックコポリマーであることが好ましく、具体的な商品としては、旭化成工業(株)タフテックH1052、アロン化成(株)のAR1035、(株)クラレのセプトン4055、4077、三菱化成(株)のラバロン4300、8301等が挙げられる。
【0010】
炭化水素油は軟化剤であり、これを加えることにより、ライナーの硬度を任意に変えることが出来る。鉱物油系軟化剤として、分子中に炭素原子20個以上を含むものが好ましく、カーボンタイプの含有割合により、パラフィン系・ナフテン系・芳香族系(アロマ系)に分類されるが、芳香族系成分が10%以下のパラフィン系オイルがとくに好ましく、このような炭化水素としては、出光興産(株)のダイアナプロセスオイルPW−90、エッソスタンダード石油(株)のモレスコホワイト−70、松村石油研究所のスモイルP−70等がある。
【0011】
必須成分以外の熱可塑性樹脂・顔料・充填剤・潤滑剤等の添加量は、多くても全体の10%以下で、樹脂としてはEVA、LDPE、高密度ポリエチレン(HDPE)、L−LDPE等を主に流動特性を調節するために加えてよく、顔料は酸化チタン等を着色の目的で添加し、充填剤はシリカ等を流動特性調節のために加え、潤滑剤は開栓性を調節するために各種ワックスやシリコーン等を添加することができる。
【0012】
本発明のライナーは、圧縮荷重0.1〜0.13kPaで巻締められる陽圧缶や瓶・ペットボトルの陰圧・陽圧製品にも適用できる。
【0013】
【実施例】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0014】
を一軸押出機で混練してペレットを作成し、このペレットで厚さ2mmのシートを造り、このシートより0.4gを角状に切り抜き、直径28mmのアルミニウム製キャップに装填・加熱して所定の金型でモールディングを行って、評価試験用キャップを作成した。このライナー硬度(本明細書におけるライナー硬度は、JIS K6301におけるスプリング式硬さ試験A形によるものである)は65であった。評価試験の結果は表1に示す。
【0015】
実施例2
実施例1のポリプロピレン樹脂を 27重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 32重量部
実施例1の炭化水素油を 41重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は70であった。評価試験の結果は表1に示す。
【0016】
実施例3
実施例1のポリプロピレン樹脂を 31重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 30重量部
実施例1の炭化水素油を 39重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は75であった。評価試験の結果は表1に示す。
【0017】
実施例4
実施例1のポリプロピレン樹脂を 35重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 28重量部
実施例1の炭化水素油を 37重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は80であった。評価試験の結果は表1に示す。
【0018】
実施例5
実施例1のポリプロピレン樹脂を 37重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 31重量部
実施例1の炭化水素油を 32重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は85であった。評価試験の結果は表1に示す。
【0019】
比較例1
実施例1のポリプロピレン樹脂を 10重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 45重量部
実施例1の炭化水素油を 45重量部
に変更した以外は実施例1に同じある。このライナー硬度は40であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0020】
比較例2
実施例1のポリプロピレン樹脂を 15重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 40重量部
実施例1の炭化水素油を 45重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は50であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0021】
比較例3
実施例1のポリプロピレン樹脂を 20重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 30重量部
実施例1の炭化水素油を 50重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は60であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0022】
比較例4
実施例1のポリプロピレン樹脂を 43重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 34重量部
実施例1の炭化水素油を 23重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は90であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0023】
比較例5
実施例1のポリプロピレン樹脂を 45重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 36重量部
実施例1の炭化水素油を 19重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は94であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0024】
比較例6
実施例1のポリプロピレン樹脂を 50重量部
実施例1のスチレン系エラストマーを 40重量部
実施例1の炭化水素油を 10重量部
に変更した以外は実施例1に同じである。このライナー硬度は96であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0025】
比較例7
市販品で、熱間充填陽圧缶に使用されている直鎖状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを主原料とする(株)日本化学研究所製#441ライナーを用い、モールディング法は実施例1に準じた。このライナー硬度は95であった。評価試験の結果は表2に示す。
【0026】
比較例8
市販品で、冷間充填陽圧缶に使用されている直鎖状低密度ポリエチレンとEPRを主原料とする(株)グレース社製DF6416WJライナー。モールディング法は実施例1に準じた。このライナー硬度88はであった。評価試験の結果は表2に示す。
【0027】
〔評価試験〕
(1)陰圧缶充填
500mlボトル缶に90〜95℃に加熱した温水をほぼ満中充填(約520g、表面張力により盛り上らずに逆に凹む程度に一杯に充填)してキャップを巻締め(n=30ケ)約1分間横置き殺菌後、水槽に投入して冷却した。巻締め条件は圧縮荷重が0.06、0.07、0.08kPaの3水準、横方向からのネジロール荷重は0.03kPaの1水準で行った。
(2)炭酸飲料充填(陽圧缶)
350mlボトル缶に5℃に冷却したコカ・コーラ365gを充填し、(1)と同じ条件で巻締め、50℃10分の温水処理を行った。
(3)ホットLN(液体窒素)充填(陽圧缶)
500mlボトル缶に90〜95℃の温水を480g充填し、キャップ巻締め直前にLN(液体窒素)を冷却後の内圧が、1.0〜1.5kg/cm2となる様にフローして巻締めた。他は(1)陰圧缶充填と同じである。
(4)
レトルト使用(陽圧缶)充填及び巻締めは上記(3)のホットLN充填と同じで、レトルト処理は121℃×30分行い、冷却は0.7kg/cm2の加圧冷却を行った。
これらの実缶につき、充填2日後に全数の巻締め状態と密封性の評価(肉眼検査及び触圧試験による漏れ確認)を行い、その後落錘試験(衝撃面10°傾斜の500g錘を30cm高さより巻締め部に落下 n=5)、単体倒置落下試験(30cm高さより20°傾斜の鉄板上に巻締め部を下にして落下 n=5)及び開栓性調査(開栓トルクを調査すると共にシール長さの調査 n=5)を行った。尚、落錘・落下の衝撃試験は、試験後触圧試験による漏れ調査後、55℃に7日間貯蔵して重量変化の有無も調査した。判定は
として、巻締め・密封性・耐衝撃性は1缶でも異常品が発生すれば×(△)とし開栓性に関しては平均値で判断した。なお異常のないものは○とした。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】
本発明により、キャップ巻締め時に挫屈が発生せず、耐熱性でかつ密封性とくに耐衝撃密封性に優れた陰圧缶用金属製キャップモールディング型ライナーを提供できた。
Claims (2)
- ライナー硬度(JIS K6301におけるスプリング式硬さ試験A形)が65〜85である熱可塑性樹脂組成物よりなり、0.06〜0.08KPaの低圧縮荷重で巻締め可能な耐熱性、密封性に優れた金属製キャップモールディング型ライナー。
- 前記熱可塑性樹脂組成物が、ポリプロピレン樹脂20〜40重量%、スチレン系エラストマー20〜40重量%および炭化水素油25〜45重量%を含むものである請求項1記載の金属製キャップモールディング型ライナー。
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-
2002
- 2002-08-26 JP JP2002245058A patent/JP2004083055A/ja active Pending
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