JP2004082520A - 記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被記録材の規制ローラとの不必要な強さでの接触をなくして、高い印刷品質が得られる記録装置を提供することにある。
【解決手段】排紙駆動ローラ21と排紙従動ローラ22で狭持された被記録材の高さ位置を調節する調節手段としての付勢手段30は、排紙駆動ローラ軸24の周面に配設される基端部31と、基端部31から延び、被記録材搬送経路を側視して、排紙駆動ローラ21の周面21aから突出した複数の自由端部32を有し、被記録材を所定の付勢力で付勢可能に構成されている。
【選択図】 図4
【解決手段】排紙駆動ローラ21と排紙従動ローラ22で狭持された被記録材の高さ位置を調節する調節手段としての付勢手段30は、排紙駆動ローラ軸24の周面に配設される基端部31と、基端部31から延び、被記録材搬送経路を側視して、排紙駆動ローラ21の周面21aから突出した複数の自由端部32を有し、被記録材を所定の付勢力で付勢可能に構成されている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は被記録材に記録を行う記録装置に係り、より詳しくは、記録を行った被記録材を排出する排紙部に特徴を有する記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録装置の1つにインクジェットプリンタがあり、当該インクジェットプリンタの記録部周囲の構成は、図8に示す如く、用紙を副走査方向に精密送りする搬送ローラ83と、搬送ローラ83の下流側近傍の上方に設けられ、複数のノズルを有し記録用紙にインク滴を吐出する記録ヘッド84と、この記録ヘッド84の対向する位置に配置されて記録用紙を下側から支持するプラテン85を有している。記録部の下流には排紙部が構成されており、この排紙部は、排紙駆動ローラ91と排紙従動ローラ92とから構成される、印刷の行われた記録用紙を排出する排紙ローラ93を有し、さらに記録ヘッド84と排紙従動ローラ92との間には規制ローラ94が配設されている。排紙従動ローラ92と規制ローラ94はともに排紙フレーム90に軸支されているとともに、周面に複数の歯を有する歯付きローラから構成されている。また、排紙駆動ローラ91と規制ローラ94は、一部が干渉するような高さ位置に配置されている。すなわち、排紙駆動ローラ91の上端より規制ローラ94の下端の高さ位置を低く配置することによって、排紙駆動ローラ91と規制ローラ94がオーバーラップするように構成されている。
【0003】
このような構成において、記録用紙は搬送ローラ83によって記録ヘッド84とプラテン85の間に搬送されて、記録ヘッド84のノズルからインク滴を吐出することにより、印刷が行われる。そして、印刷の行われた記録用紙は下流に搬送されて、排紙ローラ93に狭持されて排出されるようになっている。
【0004】
ところで、被記録材として比較的薄い用紙(以下、「薄紙」という。)を使用した場合、印刷面に多量のインク滴が付着することによって、該薄紙の搬送方向と直交する方向(図8において紙面表裏方向)に山谷を発生させる、いわゆるコックリング現象を生じることがある。また薄紙の後端が搬送ローラ83から外れたのちに、当該薄紙の後端側が跳ね上がることがある。このコックリング現象や跳ね上がりを生じると薄紙がプラテン85から浮き上がって記録ヘッド84との距離を正確に規定できなくなったり、記録ヘッド84と接触することによって、高精度の印刷品質を得ることができなくなったり、記録ヘッド84との接触による汚損を生じたりすることがある。前記規制ローラ94は、これを防止するため設けられたものであり、該薄紙に接触してプラテン85に押しつけることによって、プラテン85からの浮き上がりを規制している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、被記録材として比較的厚い紙(以下、「厚紙」という。)を使用した場合に、この厚紙の先端側を排紙ローラ93で、後端側を搬送ローラ83で狭持した状態、すなわち、排紙ローラ93と搬送ローラ83の2点で厚紙を支持した状態においては、該厚紙は略水平姿勢となるため、排紙駆動ローラ91と規制ローラ94のオーバーラップによって、該厚紙の印刷面に規制ローラ94が強く接触して接触痕を生じさせ、印刷品質を低下させることがあった。
【0006】
すなわち、従来、排紙駆動ローラ91と規制ローラ94との相対的な高さ位置(排紙駆動ローラ91と規制ローラ94のオーバーラップ量)を調節することによって、薄紙に対しては規制ローラ94に当接してプラテン85からの浮き上がりを防止できるように、厚紙に対しては規制ローラ94に不必要に強く接触しないように調整して構成している。しかし、薄紙に対して確実に規制を行うべくオーバーラップ量を大きく設定しすぎると、厚紙を使用した場合においては上記のように規制ローラ94との接触による問題を生じていた。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであって、その課題は、被記録材の規制ローラとの不必要な強さでの接触をなくして、高い印刷品質が得られる記録装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の記録装置の発明は、被記録材を副走査方向に搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラの下流側近傍に設けられ、被記録材に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドと対向して配置され、被記録材を支持するプラテンと、前記記録ヘッドの下流側下方に設けられ、回動することにより記録の行われた被記録材を排出する排紙駆動ローラと、主走査方向に長く形成され、かつ前記排紙駆動ローラが固着され、回転駆動する排紙駆動ローラ軸と、前記排紙駆動ローラの上方に配置され、従動回転可能な排紙従動ローラと、前記記録ヘッドと前記排紙従動ローラとの間に配置され、自由回動可能な規制ローラと、を有する記録装置であって、前記排紙駆動ローラと前記排紙従動ローラで狭持された被記録材の高さ位置を調節する調節手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明の記録装置によれば、排紙駆動ローラと排紙従動ローラで狭持された被記録材の高さ位置を調節する調節手段を備えているので、例えば、被記録材として比較的薄い紙(以下、「薄紙」という。)を使用して、これを排紙する場合に、該薄紙を高い位置(後述する厚紙の場合より高い位置)で支持することにより規制ローラに確実に接触させて、該薄紙のプラテンからの浮き上がりを確実に規制することができる。
【0010】
一方、被記録材として比較的厚い紙(以下、「厚紙」という。)を使用して、これを排紙する場合に、該厚紙を低い位置(前記薄紙の場合より低い位置)で支持することにより、該厚紙の規制ローラとの不必要な強さでの接触を確実に回避することができ、該厚紙の印刷面が規制ローラに接触することによる接触痕を生じることがない。
【0011】
すなわち、調節手段を設けることにより、薄紙への規制を確実に行いつつ、規制ローラが厚紙に強く接触することを回避できる程度まで排紙駆動ローラと規制ローラとのオーバーラップ量を小さく設定することが可能になる。
もって、被記録材の種類に応じた最適な高さ位置に調節して、当該被記録材を排出することが可能であり、高精度の印刷品質が得られる。
【0012】
また、請求項2に記載の記録装置の発明は、請求項1において、前記調節手段は、前記排紙駆動ローラ軸の周面に配設される基端部と、前記基端部から延び、被記録材搬送経路を側視して、前記排紙駆動ローラの周面から突出した複数の自由端部を有し、被記録材を所定の付勢力で付勢可能な付勢部材から構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の記録装置によれば、調節手段は、前記排紙駆動ローラ軸の周面に配設される基端部と、前記基端部から延び、被記録材搬送経路を側視して、前記排紙駆動ローラの周面から突出した複数の自由端部を有し、被記録材を所定の付勢力で付勢可能な付勢部材から構成されているため、例えば、被記録材が薄紙である場合には、付勢部材の付勢力を該薄紙の自重より大なるように設定しておくことによって、該薄紙を自由端部の先端位置、すなわち、通常の位置である排紙駆動ローラ周面位置より高い位置に付勢して支持することにより、該薄紙を確実に規制ローラに接触させることができ、プラテンからの浮き上がりを規制することが可能である。また、薄紙を通常の位置である排紙駆動ローラ周面位置より高い位置である自由端部の先端位置で支持することにより、排紙駆動ローラと規制ローラとのオーバーラップ量を低減することが可能であり、例えば規制ローラの高さ位置を上げることができる。
【0014】
一方、被記録材が厚紙である場合には、付勢部材の付勢力を該厚紙の自重より小なるように設定しておくことにより、該厚紙の自重により自由端部が押しつぶされて、該厚紙が通常の位置である排紙駆動ローラの周面位置、すなわち低い位置で支持される。そして、排紙駆動ローラと規制ローラとのオーバーラップ量が低減しているので、該厚紙の規制ローラとの不必要な強さでの接触を確実に回避することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の記録装置の発明は、請求項2において、前記付勢部材は、定形サイズの被記録材端部の内側近傍に当接する位置に配置されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の記録装置によれば、調節手段は、定形サイズの被記録材端部の内側近傍に当接する位置に配置されているので、それぞれのサイズの被記録材を確実に支持することができる。また、付勢部材が排紙駆動ローラと共に排紙駆動ローラ軸を中心として同軸回転することにより、被記録材をスリップすることなく確実に排出することが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態について説明する。
<インクジェットプリンタの構成>
ここで、図1は本発明に係るインクジェットプリンタ100の要部側断面図である。図2は同インクジェットプリンタ100の前方側下方からみた外観斜視図である。
【0018】
インクジェットプリンタ100は、装置後方に給紙装置2を備えている。この給紙装置2は、被記録材としての用紙Pを傾斜姿勢で複数枚堆積保持可能なホッパ3と、ホッパ3下端の対向した位置に配置された給紙ローラ4を有している。ホッパ3は上流側に揺動支点(図示せず)を有しており、この揺動支点を中心として揺動することにより、下端が給紙ローラ4に対して圧接および離間動作を行うことができるようになっている。給紙ローラ4は側面視略D形形状をなしており、その表面には高摩擦部材が配設されていて、該給紙ローラ4に接触した用紙を確実に給紙できるようになっている。このような構成により、ホッパ3が給紙ローラ4に対して圧接動作を行うことによって、該ホッパ3に保持されている最上位の用紙Pが給紙ローラ4に接触する。その状態で給紙ローラ4を回動(図1において反時計回り)させることにより、当該最上位の用紙を次位以降の用紙から分離して下流側に給紙できるようになっている。
【0019】
給紙装置2の下流には、給紙された用紙Pをガイドする用紙ガイド12が配設されており、用紙を搬送ローラ16に向けてガイドすることができるようなっている。
【0020】
搬送ローラ16は被記録材を副走査方向(図1において左右方向)に精密送りするものである。当該搬送ローラ16は、図示しない駆動手段によって回転駆動する搬送駆動ローラ14と、この搬送駆動ローラ14の上方に配置され、該搬送駆動ローラ14の回転に従って従動回転する搬送従動ローラ15とから構成されている。
【0021】
搬送駆動ローラ14は、主走査方向(図1において紙面表裏方向)に長い棒状のローラから構成され、表面には高摩擦部材が形成されていて用紙の裏面(印刷面の反対面)に接触して精密送り動作を確実に実行可能となっている。一方の搬送従動ローラ15は、搬送駆動ローラ14より小なる、主走査方向に短い複数のローラが所定の間隔で配置され、搬送従動ローラホルダ18の下流側において自由回転可能に軸支されている。
【0022】
搬送従動ローラホルダ18は、回動支点18aを中心に回動可能に設けられ、図示しない付勢手段(例えば、ねじりコイルバネ)によって搬送駆動ローラ14に向けて回動付勢されている。また、この付勢手段の付勢力に抗して回動支点18aを中心として搬送駆動ローラ14から退避する方向に回動可能となっている。すなわち、搬送従動ローラ15は搬送駆動ローラ14に対して相対的に上下方向に変位可能に構成されている。このように通常使用時において搬送従動ローラ15は搬送駆動ローラ14に向けて付勢されて圧接状態であり、搬送従動ローラホルダ18が回動することによって搬送従動ローラ15が上方に退避(すなわち、搬送駆動ローラ14から離間)することで、厚みの異なる被記録材を狭持して搬送することができるようになっている。
【0023】
搬送ローラ16の下流側近傍には、記録部が構成されている。この記録部は、用紙印刷面と対向する面に複数のノズル(図示せず)を有し、インクを吐出する記録ヘッド9と、この記録ヘッド9に対向した位置に配設されたプラテン10を備えている。記録ヘッド9はキャリッジ6の下面に設けられ、該キャリッジ6に搭載されたインクカートリッジ8からインクの供給を受け、ノズルから用紙に向けてインク滴を吐出する。キャリッジ6は、主走査方向に延びるキャリッジガイド軸7によって支持され、このキャリッジガイド軸7に沿って主走査方向に往復移動可能に構成されている。プラテン10は、主走査方向に長く構成され、用紙を下側から支持して、該用紙の印刷面と記録ヘッド9との距離を規定できるようになっている。
【0024】
記録部の下流には排紙部が構成されている。排紙部は、図示しない駆動源によって回動することにより印刷の行われた用紙を排出する排紙駆動ローラ21と、この排紙駆動ローラ21の上方に配置され、従動回転可能な排紙従動ローラ22とから構成される排紙ローラ23を備えている。また、記録ヘッド9と排紙従動ローラ22との間には、用紙のプラテン10からの浮き上がりを規制する規制ローラ25が配置されている。
【0025】
規制ローラ25は、外周面に複数の歯を有する歯付きローラから構成され、図示しないホルダを介して排紙フレーム20に自由回転可能に軸支されており、主走査方向に所定の間隔をもって複数配設されている。
【0026】
排紙駆動ローラ21は、図示しない駆動手段によって回転駆動する、主走査方向に延びる排紙駆動ローラ軸24上に所定の間隔をもって複数固着して設けられており、用紙搬送経路を側視して円形となる面一なローラに形成されている。さらに排紙駆動ローラ21は、高摩擦部材(例えば、エラストマーなど)から構成されていて、用紙の裏面に接触して該用紙をスリップすることなく確実に排出することができるようになっている。この排紙駆動ローラ21の上方には排紙従動ローラ22が配置されており、これら2つのローラが上下に対となって排紙ローラ23を構成している。
【0027】
排紙ローラ23の下流には、スタッカ29が設けられ、排紙された用紙を支持することができるようになっている。このスタッカ29は、上流側の回動支点29aを中心として回動可能に構成されており、使用時には図1に示す如くインクジェットプリンタ100の載置面側に回動して排紙された用紙を支持可能となり、非使用時には装置本体部側に回動することによって載置スペースを節約している。
【0028】
<調節手段>
排紙駆動ローラ軸24には、排紙駆動ローラ21と排紙従動ローラ22(すなわち、排紙ローラ23)で狭持された用紙の高さ位置を調節する調節手段としての付勢部材30が設けられている。ここで図3はインクジェットプリンタ100の要部拡大斜視図であり、図4は本発明に係る付勢部材30の説明に供する側面図である。
【0029】
本実施形態における付勢部材30は、図3に示す如く、排紙駆動ローラ軸24に設けられ、該排紙駆動ローラ軸24上に所定の間隔をもって複数設けられている排紙駆動ローラ21の間に位置するように配置されている。
【0030】
また、該付勢部材30は、図4に示す如く、用紙搬送経路を側視して、排紙駆動ローラ軸24の周面に基端部31を有し、複数の自由端部32の先端部32aが排紙駆動ローラ周面21aより突出して構成されている。すなわち、自由端部32は、排紙駆動ローラ軸24を中心として所定の間隔をもって放射状に配置された構成となっている。
【0031】
該付勢部材30は、エラストマーなどの弾性素材から形成することができる。具体的な付勢部材30の形状、配置数等は、被記録材種や付勢部材の弾性強度等により適宜設定することができる。また、排紙駆動ローラ周面21aから自由端部の先端部32aまでの長さ、すなわち自由端部先端部32aの排紙駆動ローラ周面21aからの突出量Hについても同様に記録ヘッド9や規制ローラ25などとの相対的な位置関係等によって適宜設定することが可能であり、例えば0.1〜0.5mm程度とすることができる。なお、付勢手段30は排紙駆動ローラ21と同様に排紙駆動ローラ軸24に対して加工形成して設けたり、または付勢部材30のみから成る部材を排紙駆動ローラ軸24に備え付けたりすることができる。
【0032】
ここで、図5および図6を参照しつつ、本発明に係る付勢部材30の作用について説明する。なおここで、図5は薄紙を排紙する場合の状態を示した側面図であり、図6は厚紙を排紙する場合の状態を示した側面図である。
【0033】
まず、図5に沿って薄紙を排紙する場合について説明する。薄紙を排紙する場合には、該薄紙が自由端部32の先端部32a、すなわち、通常の位置である排紙駆動ローラ周面21aよりHだけ高い位置で支持されつつ、排紙される。これにより薄紙の高さ位置が高くなるため、薄紙の上面(すなわち印刷面)が確実に規制ローラ25に接触して、該薄紙のプラテン10からの浮き上がりを確実に抑制することが可能になる。従って、相対的に規制ローラ25の高さ位置を上げても薄紙の浮き上がりを防止できるようになり、排紙駆動ローラ21と規制ローラ25とのオーバーラップ量を低減することができる。具体的には、例えば、従来よりも規制ローラ25の高さ位置を上げる、もしくは排紙駆動ローラ21の高さ位置を下げることによって、排紙駆動ローラ21と規制ローラ25との相対位置を変位させて、厚紙に規制ローラ25の接触痕が残らない程度までオーバーラップ量を抑制した設定が可能になる。
【0034】
すなわち、従来、薄紙を使用した場合、該薄紙にコックリング現象が生じることによってプラテンから浮き上がり、記録ヘッドとの距離を正確に規定できなくなって、正常な印刷品質を得ることができない場合があった。さらに、該薄紙の後端が搬送ローラから外れた後に当該薄紙の後端部がプラテンから跳ね上がり、記録ヘッドと接触して汚損を生じるなどの不具合があった。
【0035】
しかし、本発明のインクジェットプリンタ100によれば、付勢部材30によって薄紙を高い位置で支持することにより、該薄紙が規制ローラ25に接触するように積極的に付勢可能であるため、薄紙が規制ローラ25に接触することで該薄紙のプラテン10からの浮き上がりを確実に規制することができ、もって上記したような不具合を生じることがなく、高精度の印刷品質を得ることが可能である。
【0036】
次に、図6に沿って厚紙を排紙する場合について説明する。厚紙を排紙する場合には、該厚紙の自重により自由端部32が変形する。これにより該厚紙は図示の如く通常の位置である排紙駆動ローラ21の周面21a、すなわち自由端部先端32a位置よりHだけ低い位置で支持されつつ、排紙される。また、上述したように排紙駆動ローラ21と規制ローラ25とのオーバーラップ量が低減可能であるので、相対的に規制ローラ25の高さ位置を上げておくことにより、厚紙が必要以上の強さで規制ローラ25と接触することがなく排紙され、規制ローラ25との接触痕を生じることがない。
【0037】
すなわち、従来、厚紙を使用した場合、該厚紙の先端側を排紙ローラで、後端側を搬送ローラで狭持することによって、該厚紙は略水平姿勢で搬送されるので、排紙駆動ローラと規制ローラとのオーバーラップによって印刷面が規制ローラ25に強く接触して接触痕を生じさせ、印刷品質を低下させるなどの不具合があった。
【0038】
しかし、本発明のインクジェットプリンタ100によれば、排紙駆動ローラ21と規制ローラ25とのオーバーラップ量が低減した状態で、厚紙を通常の位置である排紙駆動ローラ21の周面21aで支持することにより、該厚紙の規制ローラ25との不必要な強さでの接触が確実に回避され、もって上記したような不具合を生じることがなく、高精度の印刷品質を得ることが可能である。
【0039】
図5および図6に基づいて説明したように、薄紙を通常の位置である排紙駆動ローラ21の周面21aではなく、付勢部材30の自由端部先端部32aで支持することにより、排紙駆動ローラ21と規制ローラ25とのオーバーラップ量を低減することができる。具体的には、規制ローラ25の高さ位置を上げる、もしくは排紙駆動ローラ21の高さ位置を下げることが可能である。従って、厚紙を使用した場合には、該厚紙を排紙駆動ローラ21の周面21aで支持することにより、規制ローラ25と該厚紙との不必要な強さでの接触を回避することができ、もって該厚紙に規制ローラ25との接触痕を生じさせることがない。
【0040】
このように付勢部材30は、薄紙を支持可能であり、かつ、厚紙に対しては押しつぶされる程度の付勢力で用紙を付勢するものである。
【0041】
また付勢部材30は、図7に示す如く、例えば、A4、B5、5×8’、4×6’、ハガキなどの定形サイズ紙における幅方向の紙端の内側近傍に当接する位置に配置することができる。このような位置に配置することにより、上記定形サイズ紙の紙端近傍を確実に支持することが可能であるとともに、付勢部材30が排紙駆動ローラ21と共に排紙駆動ローラ軸24を中心として回動することにより、当該用紙をスリップすることなく確実に排紙することができる。各定形サイズ紙紙端から付勢部材30縁部までの距離Kは、それぞれの用紙サイズ等により適宜設定可能であるが、例えば3〜5mm程度とすることができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、付勢部材の付勢力を調節することにより、薄紙を排紙する場合には該薄紙を高い位置で支持することで、規制ローラに接触させて、該薄紙のプラテンからの浮き上がりを確実に規制することができる。従って、従来と比し排紙駆動ローラと規制ローラとのオーバーラップ量を低減可能であり、厚紙を排紙する場合には該厚紙の自重により付勢部材が折れ曲がり、通常位置である低い位置で支持することで、規制ローラとの接触を回避、もしくは接触痕が残らない程度まで接触を弱めて排紙することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタの要部側断面図である。
【図2】同インクジェットプリンタの前方側下方からみた外観斜視図である。
【図3】同インクジェットプリンタの要部拡大斜視図である。
【図4】本発明に係る付勢部材の説明に供する側面図である。
【図5】同付勢部材における薄紙を排紙する場合の説明に供する側面図である。
【図6】同付勢部材における厚紙を排紙する場合の説明に供する側面図である。
【図7】同付勢部材の配置位置の一例を示す平面図である。
【図8】従来技術の説明に供する要部側断面図である。
【符号の説明】
2 給紙装置
3 ホッパ
4 給紙ローラ
6 キャリッジ
7 キャリッジガイド軸
8 インクカートリッジ
9 記録ヘッド
10 プラテン
12 用紙ガイド
14 搬送駆動ローラ
15 搬送従動ローラ
16 搬送ローラ
18 搬送従動ローラホルダ
20 排紙フレーム
21 排紙駆動ローラ
21a 排紙駆動ローラ周面
22 排紙従動ローラ
23 排紙ローラ
24 排紙駆動ローラ軸
25 規制ローラ
29 スタッカ
30 付勢部材
31 基端部
32 自由端部
32a 自由端部先端部
100 インクジェットプリンタ
H 自由端部の突出量
K 定形サイズ紙紙端から付勢部材縁部までの距離
P 用紙
【発明の属する技術分野】
本発明は被記録材に記録を行う記録装置に係り、より詳しくは、記録を行った被記録材を排出する排紙部に特徴を有する記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録装置の1つにインクジェットプリンタがあり、当該インクジェットプリンタの記録部周囲の構成は、図8に示す如く、用紙を副走査方向に精密送りする搬送ローラ83と、搬送ローラ83の下流側近傍の上方に設けられ、複数のノズルを有し記録用紙にインク滴を吐出する記録ヘッド84と、この記録ヘッド84の対向する位置に配置されて記録用紙を下側から支持するプラテン85を有している。記録部の下流には排紙部が構成されており、この排紙部は、排紙駆動ローラ91と排紙従動ローラ92とから構成される、印刷の行われた記録用紙を排出する排紙ローラ93を有し、さらに記録ヘッド84と排紙従動ローラ92との間には規制ローラ94が配設されている。排紙従動ローラ92と規制ローラ94はともに排紙フレーム90に軸支されているとともに、周面に複数の歯を有する歯付きローラから構成されている。また、排紙駆動ローラ91と規制ローラ94は、一部が干渉するような高さ位置に配置されている。すなわち、排紙駆動ローラ91の上端より規制ローラ94の下端の高さ位置を低く配置することによって、排紙駆動ローラ91と規制ローラ94がオーバーラップするように構成されている。
【0003】
このような構成において、記録用紙は搬送ローラ83によって記録ヘッド84とプラテン85の間に搬送されて、記録ヘッド84のノズルからインク滴を吐出することにより、印刷が行われる。そして、印刷の行われた記録用紙は下流に搬送されて、排紙ローラ93に狭持されて排出されるようになっている。
【0004】
ところで、被記録材として比較的薄い用紙(以下、「薄紙」という。)を使用した場合、印刷面に多量のインク滴が付着することによって、該薄紙の搬送方向と直交する方向(図8において紙面表裏方向)に山谷を発生させる、いわゆるコックリング現象を生じることがある。また薄紙の後端が搬送ローラ83から外れたのちに、当該薄紙の後端側が跳ね上がることがある。このコックリング現象や跳ね上がりを生じると薄紙がプラテン85から浮き上がって記録ヘッド84との距離を正確に規定できなくなったり、記録ヘッド84と接触することによって、高精度の印刷品質を得ることができなくなったり、記録ヘッド84との接触による汚損を生じたりすることがある。前記規制ローラ94は、これを防止するため設けられたものであり、該薄紙に接触してプラテン85に押しつけることによって、プラテン85からの浮き上がりを規制している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、被記録材として比較的厚い紙(以下、「厚紙」という。)を使用した場合に、この厚紙の先端側を排紙ローラ93で、後端側を搬送ローラ83で狭持した状態、すなわち、排紙ローラ93と搬送ローラ83の2点で厚紙を支持した状態においては、該厚紙は略水平姿勢となるため、排紙駆動ローラ91と規制ローラ94のオーバーラップによって、該厚紙の印刷面に規制ローラ94が強く接触して接触痕を生じさせ、印刷品質を低下させることがあった。
【0006】
すなわち、従来、排紙駆動ローラ91と規制ローラ94との相対的な高さ位置(排紙駆動ローラ91と規制ローラ94のオーバーラップ量)を調節することによって、薄紙に対しては規制ローラ94に当接してプラテン85からの浮き上がりを防止できるように、厚紙に対しては規制ローラ94に不必要に強く接触しないように調整して構成している。しかし、薄紙に対して確実に規制を行うべくオーバーラップ量を大きく設定しすぎると、厚紙を使用した場合においては上記のように規制ローラ94との接触による問題を生じていた。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであって、その課題は、被記録材の規制ローラとの不必要な強さでの接触をなくして、高い印刷品質が得られる記録装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の記録装置の発明は、被記録材を副走査方向に搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラの下流側近傍に設けられ、被記録材に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドと対向して配置され、被記録材を支持するプラテンと、前記記録ヘッドの下流側下方に設けられ、回動することにより記録の行われた被記録材を排出する排紙駆動ローラと、主走査方向に長く形成され、かつ前記排紙駆動ローラが固着され、回転駆動する排紙駆動ローラ軸と、前記排紙駆動ローラの上方に配置され、従動回転可能な排紙従動ローラと、前記記録ヘッドと前記排紙従動ローラとの間に配置され、自由回動可能な規制ローラと、を有する記録装置であって、前記排紙駆動ローラと前記排紙従動ローラで狭持された被記録材の高さ位置を調節する調節手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明の記録装置によれば、排紙駆動ローラと排紙従動ローラで狭持された被記録材の高さ位置を調節する調節手段を備えているので、例えば、被記録材として比較的薄い紙(以下、「薄紙」という。)を使用して、これを排紙する場合に、該薄紙を高い位置(後述する厚紙の場合より高い位置)で支持することにより規制ローラに確実に接触させて、該薄紙のプラテンからの浮き上がりを確実に規制することができる。
【0010】
一方、被記録材として比較的厚い紙(以下、「厚紙」という。)を使用して、これを排紙する場合に、該厚紙を低い位置(前記薄紙の場合より低い位置)で支持することにより、該厚紙の規制ローラとの不必要な強さでの接触を確実に回避することができ、該厚紙の印刷面が規制ローラに接触することによる接触痕を生じることがない。
【0011】
すなわち、調節手段を設けることにより、薄紙への規制を確実に行いつつ、規制ローラが厚紙に強く接触することを回避できる程度まで排紙駆動ローラと規制ローラとのオーバーラップ量を小さく設定することが可能になる。
もって、被記録材の種類に応じた最適な高さ位置に調節して、当該被記録材を排出することが可能であり、高精度の印刷品質が得られる。
【0012】
また、請求項2に記載の記録装置の発明は、請求項1において、前記調節手段は、前記排紙駆動ローラ軸の周面に配設される基端部と、前記基端部から延び、被記録材搬送経路を側視して、前記排紙駆動ローラの周面から突出した複数の自由端部を有し、被記録材を所定の付勢力で付勢可能な付勢部材から構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の記録装置によれば、調節手段は、前記排紙駆動ローラ軸の周面に配設される基端部と、前記基端部から延び、被記録材搬送経路を側視して、前記排紙駆動ローラの周面から突出した複数の自由端部を有し、被記録材を所定の付勢力で付勢可能な付勢部材から構成されているため、例えば、被記録材が薄紙である場合には、付勢部材の付勢力を該薄紙の自重より大なるように設定しておくことによって、該薄紙を自由端部の先端位置、すなわち、通常の位置である排紙駆動ローラ周面位置より高い位置に付勢して支持することにより、該薄紙を確実に規制ローラに接触させることができ、プラテンからの浮き上がりを規制することが可能である。また、薄紙を通常の位置である排紙駆動ローラ周面位置より高い位置である自由端部の先端位置で支持することにより、排紙駆動ローラと規制ローラとのオーバーラップ量を低減することが可能であり、例えば規制ローラの高さ位置を上げることができる。
【0014】
一方、被記録材が厚紙である場合には、付勢部材の付勢力を該厚紙の自重より小なるように設定しておくことにより、該厚紙の自重により自由端部が押しつぶされて、該厚紙が通常の位置である排紙駆動ローラの周面位置、すなわち低い位置で支持される。そして、排紙駆動ローラと規制ローラとのオーバーラップ量が低減しているので、該厚紙の規制ローラとの不必要な強さでの接触を確実に回避することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の記録装置の発明は、請求項2において、前記付勢部材は、定形サイズの被記録材端部の内側近傍に当接する位置に配置されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の記録装置によれば、調節手段は、定形サイズの被記録材端部の内側近傍に当接する位置に配置されているので、それぞれのサイズの被記録材を確実に支持することができる。また、付勢部材が排紙駆動ローラと共に排紙駆動ローラ軸を中心として同軸回転することにより、被記録材をスリップすることなく確実に排出することが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態について説明する。
<インクジェットプリンタの構成>
ここで、図1は本発明に係るインクジェットプリンタ100の要部側断面図である。図2は同インクジェットプリンタ100の前方側下方からみた外観斜視図である。
【0018】
インクジェットプリンタ100は、装置後方に給紙装置2を備えている。この給紙装置2は、被記録材としての用紙Pを傾斜姿勢で複数枚堆積保持可能なホッパ3と、ホッパ3下端の対向した位置に配置された給紙ローラ4を有している。ホッパ3は上流側に揺動支点(図示せず)を有しており、この揺動支点を中心として揺動することにより、下端が給紙ローラ4に対して圧接および離間動作を行うことができるようになっている。給紙ローラ4は側面視略D形形状をなしており、その表面には高摩擦部材が配設されていて、該給紙ローラ4に接触した用紙を確実に給紙できるようになっている。このような構成により、ホッパ3が給紙ローラ4に対して圧接動作を行うことによって、該ホッパ3に保持されている最上位の用紙Pが給紙ローラ4に接触する。その状態で給紙ローラ4を回動(図1において反時計回り)させることにより、当該最上位の用紙を次位以降の用紙から分離して下流側に給紙できるようになっている。
【0019】
給紙装置2の下流には、給紙された用紙Pをガイドする用紙ガイド12が配設されており、用紙を搬送ローラ16に向けてガイドすることができるようなっている。
【0020】
搬送ローラ16は被記録材を副走査方向(図1において左右方向)に精密送りするものである。当該搬送ローラ16は、図示しない駆動手段によって回転駆動する搬送駆動ローラ14と、この搬送駆動ローラ14の上方に配置され、該搬送駆動ローラ14の回転に従って従動回転する搬送従動ローラ15とから構成されている。
【0021】
搬送駆動ローラ14は、主走査方向(図1において紙面表裏方向)に長い棒状のローラから構成され、表面には高摩擦部材が形成されていて用紙の裏面(印刷面の反対面)に接触して精密送り動作を確実に実行可能となっている。一方の搬送従動ローラ15は、搬送駆動ローラ14より小なる、主走査方向に短い複数のローラが所定の間隔で配置され、搬送従動ローラホルダ18の下流側において自由回転可能に軸支されている。
【0022】
搬送従動ローラホルダ18は、回動支点18aを中心に回動可能に設けられ、図示しない付勢手段(例えば、ねじりコイルバネ)によって搬送駆動ローラ14に向けて回動付勢されている。また、この付勢手段の付勢力に抗して回動支点18aを中心として搬送駆動ローラ14から退避する方向に回動可能となっている。すなわち、搬送従動ローラ15は搬送駆動ローラ14に対して相対的に上下方向に変位可能に構成されている。このように通常使用時において搬送従動ローラ15は搬送駆動ローラ14に向けて付勢されて圧接状態であり、搬送従動ローラホルダ18が回動することによって搬送従動ローラ15が上方に退避(すなわち、搬送駆動ローラ14から離間)することで、厚みの異なる被記録材を狭持して搬送することができるようになっている。
【0023】
搬送ローラ16の下流側近傍には、記録部が構成されている。この記録部は、用紙印刷面と対向する面に複数のノズル(図示せず)を有し、インクを吐出する記録ヘッド9と、この記録ヘッド9に対向した位置に配設されたプラテン10を備えている。記録ヘッド9はキャリッジ6の下面に設けられ、該キャリッジ6に搭載されたインクカートリッジ8からインクの供給を受け、ノズルから用紙に向けてインク滴を吐出する。キャリッジ6は、主走査方向に延びるキャリッジガイド軸7によって支持され、このキャリッジガイド軸7に沿って主走査方向に往復移動可能に構成されている。プラテン10は、主走査方向に長く構成され、用紙を下側から支持して、該用紙の印刷面と記録ヘッド9との距離を規定できるようになっている。
【0024】
記録部の下流には排紙部が構成されている。排紙部は、図示しない駆動源によって回動することにより印刷の行われた用紙を排出する排紙駆動ローラ21と、この排紙駆動ローラ21の上方に配置され、従動回転可能な排紙従動ローラ22とから構成される排紙ローラ23を備えている。また、記録ヘッド9と排紙従動ローラ22との間には、用紙のプラテン10からの浮き上がりを規制する規制ローラ25が配置されている。
【0025】
規制ローラ25は、外周面に複数の歯を有する歯付きローラから構成され、図示しないホルダを介して排紙フレーム20に自由回転可能に軸支されており、主走査方向に所定の間隔をもって複数配設されている。
【0026】
排紙駆動ローラ21は、図示しない駆動手段によって回転駆動する、主走査方向に延びる排紙駆動ローラ軸24上に所定の間隔をもって複数固着して設けられており、用紙搬送経路を側視して円形となる面一なローラに形成されている。さらに排紙駆動ローラ21は、高摩擦部材(例えば、エラストマーなど)から構成されていて、用紙の裏面に接触して該用紙をスリップすることなく確実に排出することができるようになっている。この排紙駆動ローラ21の上方には排紙従動ローラ22が配置されており、これら2つのローラが上下に対となって排紙ローラ23を構成している。
【0027】
排紙ローラ23の下流には、スタッカ29が設けられ、排紙された用紙を支持することができるようになっている。このスタッカ29は、上流側の回動支点29aを中心として回動可能に構成されており、使用時には図1に示す如くインクジェットプリンタ100の載置面側に回動して排紙された用紙を支持可能となり、非使用時には装置本体部側に回動することによって載置スペースを節約している。
【0028】
<調節手段>
排紙駆動ローラ軸24には、排紙駆動ローラ21と排紙従動ローラ22(すなわち、排紙ローラ23)で狭持された用紙の高さ位置を調節する調節手段としての付勢部材30が設けられている。ここで図3はインクジェットプリンタ100の要部拡大斜視図であり、図4は本発明に係る付勢部材30の説明に供する側面図である。
【0029】
本実施形態における付勢部材30は、図3に示す如く、排紙駆動ローラ軸24に設けられ、該排紙駆動ローラ軸24上に所定の間隔をもって複数設けられている排紙駆動ローラ21の間に位置するように配置されている。
【0030】
また、該付勢部材30は、図4に示す如く、用紙搬送経路を側視して、排紙駆動ローラ軸24の周面に基端部31を有し、複数の自由端部32の先端部32aが排紙駆動ローラ周面21aより突出して構成されている。すなわち、自由端部32は、排紙駆動ローラ軸24を中心として所定の間隔をもって放射状に配置された構成となっている。
【0031】
該付勢部材30は、エラストマーなどの弾性素材から形成することができる。具体的な付勢部材30の形状、配置数等は、被記録材種や付勢部材の弾性強度等により適宜設定することができる。また、排紙駆動ローラ周面21aから自由端部の先端部32aまでの長さ、すなわち自由端部先端部32aの排紙駆動ローラ周面21aからの突出量Hについても同様に記録ヘッド9や規制ローラ25などとの相対的な位置関係等によって適宜設定することが可能であり、例えば0.1〜0.5mm程度とすることができる。なお、付勢手段30は排紙駆動ローラ21と同様に排紙駆動ローラ軸24に対して加工形成して設けたり、または付勢部材30のみから成る部材を排紙駆動ローラ軸24に備え付けたりすることができる。
【0032】
ここで、図5および図6を参照しつつ、本発明に係る付勢部材30の作用について説明する。なおここで、図5は薄紙を排紙する場合の状態を示した側面図であり、図6は厚紙を排紙する場合の状態を示した側面図である。
【0033】
まず、図5に沿って薄紙を排紙する場合について説明する。薄紙を排紙する場合には、該薄紙が自由端部32の先端部32a、すなわち、通常の位置である排紙駆動ローラ周面21aよりHだけ高い位置で支持されつつ、排紙される。これにより薄紙の高さ位置が高くなるため、薄紙の上面(すなわち印刷面)が確実に規制ローラ25に接触して、該薄紙のプラテン10からの浮き上がりを確実に抑制することが可能になる。従って、相対的に規制ローラ25の高さ位置を上げても薄紙の浮き上がりを防止できるようになり、排紙駆動ローラ21と規制ローラ25とのオーバーラップ量を低減することができる。具体的には、例えば、従来よりも規制ローラ25の高さ位置を上げる、もしくは排紙駆動ローラ21の高さ位置を下げることによって、排紙駆動ローラ21と規制ローラ25との相対位置を変位させて、厚紙に規制ローラ25の接触痕が残らない程度までオーバーラップ量を抑制した設定が可能になる。
【0034】
すなわち、従来、薄紙を使用した場合、該薄紙にコックリング現象が生じることによってプラテンから浮き上がり、記録ヘッドとの距離を正確に規定できなくなって、正常な印刷品質を得ることができない場合があった。さらに、該薄紙の後端が搬送ローラから外れた後に当該薄紙の後端部がプラテンから跳ね上がり、記録ヘッドと接触して汚損を生じるなどの不具合があった。
【0035】
しかし、本発明のインクジェットプリンタ100によれば、付勢部材30によって薄紙を高い位置で支持することにより、該薄紙が規制ローラ25に接触するように積極的に付勢可能であるため、薄紙が規制ローラ25に接触することで該薄紙のプラテン10からの浮き上がりを確実に規制することができ、もって上記したような不具合を生じることがなく、高精度の印刷品質を得ることが可能である。
【0036】
次に、図6に沿って厚紙を排紙する場合について説明する。厚紙を排紙する場合には、該厚紙の自重により自由端部32が変形する。これにより該厚紙は図示の如く通常の位置である排紙駆動ローラ21の周面21a、すなわち自由端部先端32a位置よりHだけ低い位置で支持されつつ、排紙される。また、上述したように排紙駆動ローラ21と規制ローラ25とのオーバーラップ量が低減可能であるので、相対的に規制ローラ25の高さ位置を上げておくことにより、厚紙が必要以上の強さで規制ローラ25と接触することがなく排紙され、規制ローラ25との接触痕を生じることがない。
【0037】
すなわち、従来、厚紙を使用した場合、該厚紙の先端側を排紙ローラで、後端側を搬送ローラで狭持することによって、該厚紙は略水平姿勢で搬送されるので、排紙駆動ローラと規制ローラとのオーバーラップによって印刷面が規制ローラ25に強く接触して接触痕を生じさせ、印刷品質を低下させるなどの不具合があった。
【0038】
しかし、本発明のインクジェットプリンタ100によれば、排紙駆動ローラ21と規制ローラ25とのオーバーラップ量が低減した状態で、厚紙を通常の位置である排紙駆動ローラ21の周面21aで支持することにより、該厚紙の規制ローラ25との不必要な強さでの接触が確実に回避され、もって上記したような不具合を生じることがなく、高精度の印刷品質を得ることが可能である。
【0039】
図5および図6に基づいて説明したように、薄紙を通常の位置である排紙駆動ローラ21の周面21aではなく、付勢部材30の自由端部先端部32aで支持することにより、排紙駆動ローラ21と規制ローラ25とのオーバーラップ量を低減することができる。具体的には、規制ローラ25の高さ位置を上げる、もしくは排紙駆動ローラ21の高さ位置を下げることが可能である。従って、厚紙を使用した場合には、該厚紙を排紙駆動ローラ21の周面21aで支持することにより、規制ローラ25と該厚紙との不必要な強さでの接触を回避することができ、もって該厚紙に規制ローラ25との接触痕を生じさせることがない。
【0040】
このように付勢部材30は、薄紙を支持可能であり、かつ、厚紙に対しては押しつぶされる程度の付勢力で用紙を付勢するものである。
【0041】
また付勢部材30は、図7に示す如く、例えば、A4、B5、5×8’、4×6’、ハガキなどの定形サイズ紙における幅方向の紙端の内側近傍に当接する位置に配置することができる。このような位置に配置することにより、上記定形サイズ紙の紙端近傍を確実に支持することが可能であるとともに、付勢部材30が排紙駆動ローラ21と共に排紙駆動ローラ軸24を中心として回動することにより、当該用紙をスリップすることなく確実に排紙することができる。各定形サイズ紙紙端から付勢部材30縁部までの距離Kは、それぞれの用紙サイズ等により適宜設定可能であるが、例えば3〜5mm程度とすることができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、付勢部材の付勢力を調節することにより、薄紙を排紙する場合には該薄紙を高い位置で支持することで、規制ローラに接触させて、該薄紙のプラテンからの浮き上がりを確実に規制することができる。従って、従来と比し排紙駆動ローラと規制ローラとのオーバーラップ量を低減可能であり、厚紙を排紙する場合には該厚紙の自重により付勢部材が折れ曲がり、通常位置である低い位置で支持することで、規制ローラとの接触を回避、もしくは接触痕が残らない程度まで接触を弱めて排紙することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタの要部側断面図である。
【図2】同インクジェットプリンタの前方側下方からみた外観斜視図である。
【図3】同インクジェットプリンタの要部拡大斜視図である。
【図4】本発明に係る付勢部材の説明に供する側面図である。
【図5】同付勢部材における薄紙を排紙する場合の説明に供する側面図である。
【図6】同付勢部材における厚紙を排紙する場合の説明に供する側面図である。
【図7】同付勢部材の配置位置の一例を示す平面図である。
【図8】従来技術の説明に供する要部側断面図である。
【符号の説明】
2 給紙装置
3 ホッパ
4 給紙ローラ
6 キャリッジ
7 キャリッジガイド軸
8 インクカートリッジ
9 記録ヘッド
10 プラテン
12 用紙ガイド
14 搬送駆動ローラ
15 搬送従動ローラ
16 搬送ローラ
18 搬送従動ローラホルダ
20 排紙フレーム
21 排紙駆動ローラ
21a 排紙駆動ローラ周面
22 排紙従動ローラ
23 排紙ローラ
24 排紙駆動ローラ軸
25 規制ローラ
29 スタッカ
30 付勢部材
31 基端部
32 自由端部
32a 自由端部先端部
100 インクジェットプリンタ
H 自由端部の突出量
K 定形サイズ紙紙端から付勢部材縁部までの距離
P 用紙
Claims (3)
- 被記録材を副走査方向に搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラの下流側近傍に設けられ、被記録材に記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドと対向して配置され、被記録材を支持するプラテンと、
前記記録ヘッドの下流側下方に設けられ、回動することにより記録の行われた被記録材を排出する排紙駆動ローラと、
主走査方向に長く形成され、かつ前記排紙駆動ローラが固着され、回転駆動する排紙駆動ローラ軸と、
前記排紙駆動ローラの上方に配置され、従動回転可能な排紙従動ローラと、
前記記録ヘッドと前記排紙従動ローラとの間に配置され、自由回動可能な規制ローラと、を有する記録装置であって、
前記排紙駆動ローラと前記排紙従動ローラで狭持された被記録材の高さ位置を調節する調節手段を備えていることを特徴とする、記録装置。 - 請求項1において、前記調節手段は、前記排紙駆動ローラ軸の周面に配設される基端部と、前記基端部から延び、被記録材搬送経路を側視して、前記排紙駆動ローラの周面から突出した複数の自由端部を有し、被記録材を所定の付勢力で付勢可能な付勢部材から構成されていることを特徴とする、記録装置。
- 請求項2において、前記付勢部材は、定形サイズの被記録材端部の内側近傍に当接する位置に配置されていることを特徴とする、記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002246770A JP2004082520A (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | 記録装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008037534A (ja) * | 2006-08-02 | 2008-02-21 | Canon Inc | シート搬送装置と画像形成装置 |
-
2002
- 2002-08-27 JP JP2002246770A patent/JP2004082520A/ja active Pending
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