JP2004082509A - 射出成形法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリプロピレン樹脂からなる製品の表面に気泡に起因する凹部が形成されるのを防止することができる射出成形法を提供する。
【解決手段】発泡剤が混入したポリプロピレンの溶融樹脂を通路21からキャビティ4に充填する。このとき、ポリプロピレン樹脂の温度は、180°〜240°Cにしておく。また、下型2及び上型3は、60°〜95°Cに予め加熱しておく。充填後、上型3を下型2に対して所定距離だけ離間移動させ、発泡剤を発泡させる。その後、冷却水通路31に冷却水を供給して成形品を急冷する。ポリプロピレン樹脂が固化したら、上型3を下型2から離型させて金型1から製品たる成形品を取り出す。
【選択図】 図1
【解決手段】発泡剤が混入したポリプロピレンの溶融樹脂を通路21からキャビティ4に充填する。このとき、ポリプロピレン樹脂の温度は、180°〜240°Cにしておく。また、下型2及び上型3は、60°〜95°Cに予め加熱しておく。充填後、上型3を下型2に対して所定距離だけ離間移動させ、発泡剤を発泡させる。その後、冷却水通路31に冷却水を供給して成形品を急冷する。ポリプロピレン樹脂が固化したら、上型3を下型2から離型させて金型1から製品たる成形品を取り出す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、射出成形法、特にポリプロピレン樹脂に発泡剤を混入させておき、その発泡剤を金型内において発泡させるようにした射出成形法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、車両のドア内張り品やリヤゲート内張り品等の自動車内装品をポリプロピレン樹脂を発泡成形することが研究されている。これは、ポリプロピレン樹脂がリサイクル可能であるという利点があるからであり、ポリプロピレン樹脂を発泡させるのは、内装品の触感を向上させるためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ポリプロピレン樹脂を射出成形法によって発泡成形すると、成形品の表面に気泡に起因する凹部等が形成されてしまい、その外観が悪化するという問題があった。
なお、成形品の表面に表皮を設ければ、外観の悪化という問題を解消することができるが、そのようにすると、表皮の分だけ製造費が嵩むとともに、重量が大きくなる。また、表皮の材質がポリプロピレン樹脂と異なる樹脂を用いると、リサイクルが困難になってしまう。
【0004】
成形品の外観の悪化という問題について鋭意研究したところ、その原因が射出成形時におけるポリプロピレン樹脂の流動性が低い点にあることが判明した。すなわち、発泡剤の発泡によって形成された気泡の大部分は、溶融したポリプロピレン樹脂の内部に留まるが、一部の気泡は金型のキャビティの内面とポリプロピレン樹脂との間に移動する。このとき、溶融したポリプロピレン樹脂の流動性が低いと、気泡がキャビティの内面に接触した状態でポリプロピレン樹脂が固化してしまう。この結果、成形品の表面に凹部が形成されていたのである。また、キャビティ内において互いに逆方向から流れるポリプロピレン樹脂どうしがぶつかる箇所においては、ポリプロピレン樹脂間の気体がキャビティの内面に押し付けられた状態でポリプロピレン樹脂が固化する。このため、成形品の表面にスジ状の凹部が形成されてしまい、その外観が悪化していたのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の知見に基づいてなされたもので、発泡剤が混入した溶融状態のポリプロピレン樹脂を金型のキャビティ内に充填して発泡成形品を成形する射出成形法において、上記ポリプロピレン樹脂の上記キャビティ内に充填するときの温度を180°〜240°Cにしたことを特徴としている。
この場合、上記キャビティ内に上記溶融したポリプロピレン樹脂を充填するときの上記金型の温度は、60°〜95°Cにすることが望ましく、90°〜95°Cにするのがより望ましい。
また、上記キャビティ内に充填された溶融状態のポリプロピレン樹脂を急冷するために、上記金型の内部に冷却水通路を形成することが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図1及び図2を参照して説明する。
図1及び図2は、この発明に係る射出成形法を実施するための射出成形用金型1を示す図である。金型1は、上下方向に互いに対向して配置された下型2と上型3とを有している。下型2と上型3との間には、キャビティ4が形成されている。
【0007】
下型2の内部には、通路21が形成されている。この通路21は、二酸化炭素を発生する発泡剤が混入したポリプロピレン樹脂の溶融樹脂をキャビティ4に導入するためのものであり、一端が下型2の下面に開口し、他端がキャビティ4に臨む下型2の上面に開口している。下型2の上面には、その周縁部に沿って環状に延びる凹部22が形成されている。一方、上型3は、下型2に対して接近離間することができるよう、上下方向へ移動可能に配置されている。上型3の内部には、冷却水通路31が形成されている。この冷却水通路31に冷却水を流すことにより、成形された製品をその成形後直ちに冷却することができるようになっている。上型3の下面には、その周縁部に沿って環状に延びる突出部32が形成されている。この突出部32は、製品の成形時には下型2の凹部22に上下方向へ摺動可能に嵌合させられている。これにより、キャビティ4がそこから樹脂が漏れないように密閉されている。
【0008】
上記構成の金型1を用いて射出成形する場合には、下型2及び上型3を予め60°〜95°に、好ましくは90°〜95°Cに加熱しておく。この理由は後述する。次に、図1に示すように、上型3の突出部32の先端面(下端面)が凹部22の底面に突き当たるまで凹部22に嵌合させ、型締めをする。その後、二酸化炭素を発生する発泡剤が混入したポリプロピレンの溶融樹脂を通路21からキャビティ4に充填する。発泡剤としては、例えばセルマイクMB3064(三協化成株式会社の商品名)、ファインブローS−20N(日東化工販売株式会社の商品名)を用いることができる。ポリプロピレン樹脂と発泡剤との混合割合は、発泡材を必ず混合することを前提として、100:2.5(重量%)以下にする。ポリプロピレン樹脂の温度は、180°〜240°Cにする。180°Cより低くすると、成形品の表面の悪化を防止するという効果が得られず、240°Cを越えると、ポリプロピレン樹脂が熱分解して成形品の品質が低下するおそれがあるからである。
【0009】
発泡剤が混入した溶融ポリプロピレン樹脂をキャビティ4全体に充填したら、図2に示すように、上型3を上方へ所定距離だけ移動させる(以下、キャビバックという。)。この結果、キャビティ4の内部形状が製品の形状と同一になる。しかも、上型3をキャビバックさせると、キャビティ4内の圧力が低下するので、溶融したポリプロピレン樹脂内に混入していた発泡剤が発泡して二酸化炭素を発生する。これにより、発泡した樹脂製品が成形される。
【0010】
ここで、ポリプロピレン樹脂の溶融温度を180°C以上に設定しておくと、製品の表面に気泡による凹部が形成されることがない。その理由は次のようなものであると推測される。すなわち、発泡剤が発泡して気泡が発生すると、その大部分は溶融したポリプロピレン樹脂内に止まるが、一部の気泡は金型の内面とポリプロピレン樹脂との間に移動する。この場合、ポリプロピレン樹脂の流動性が低いと、ポリプロピレン樹脂は気泡が金型の内面に接触した状態のまま固化してしまう。しかるに、ポリプロピレン樹脂の温度が180°以上であると、その流動性が高いので気泡が金型の内面に接触した後、ポリプロピレン樹脂が金型の内面に沿って流れ、金型の内面と気泡との間に入り込む。この結果、金型に接触していた気泡がポリプロピレン樹脂内に埋没することになり、成形品の表面に凹部が形成されることがなくなるのである。これは、キャビティ内を異なる方向からポリプロピレン樹脂がぶつかるときに生じるすじ状の気泡についても同様である。したがって、成形品の表面に凹部が形成されてその外観が悪化するのを防止することができる。
【0011】
その後、冷却水通路31に冷却水を供給し、上型3を介してポリプロピレン樹脂を急冷する。ポリプロピレン樹脂をキャビティ全体に充填してから急冷するまでの時間は、各成形品毎に実験に基づいて決定する。ポリプロピレン樹脂が急冷されると、全ての気泡がポリプロピレン樹脂内に留まった状態でポリプロピレン樹脂が固化する。したがって、製品の表面に気泡による凹部が発生するのをより一層確実に防止することができる。
【0012】
前述したように、キャビティ4内に溶融したポリプロピレン樹脂を充填する際には、下型2及び上型3を60°〜95°Cに、好ましくは90°〜95°Cに加熱しておくのが望ましい。下型2及び上型3の温度が60°Cより低いと、ポリプロピレン樹脂がキャビティ4に充填されるときに、その温度が下型2及び上型3によって低下させられてしまい、気泡が製品の表面に現れるのを防止することができる高い流動性を維持することができなくなってしまうからである。一方、95°Cより高くすると、成形品の表面にガス焼けが発生し、外観がより一層悪化するおそれがあるからである。
【0013】
次に、上記効果を確認するために行った実験結果を紹介する。この実験は、自動車用ドアトリムを射出成形したものであり、ポリプロピレン樹脂のペレットに二酸化炭素の発泡剤を重量比で2.5%混合し、これを加熱シリンダ(図示せず)において混練、攪拌しながら加熱溶融した後、通路21を介してキャビティ4全体に充填した。その後、上型3を所定距離だけキャビバックさせて発泡剤を発泡させた。ポリプロピレン樹脂のキャビティへの充填後、冷却水通路31に冷却水を供給して上型3を冷却した。その後、上型3を下型2から離型させて金型1から製品を取り出した。
【0014】
上記の条件は、この発明に係る射出成形法と比較対象となる従来の射出成形法とで同一にした。しかし、従来の射出成形法のうちの第1比較例では、ポリプロピレン樹脂の溶融温度を175°Cにし、第2比較例ではポリプロピレン樹脂の溶融温度を245°Cにした。一方、この発明に係る射出成形法の第1実験例では、ポリプロピレン樹脂の溶融温度を180°Cにし、第2実験例では240°Cにした。
【0015】
このような条件の下でドアトリムを各例につき10個宛て成形したところ、第1比較例では60%の製品の表面に凹部が形成された。第2比較例では、90%の製品にポリプロピレン樹脂の熱分解による品質の低下が見られた。これに対し、第1、第2実験例では、表面に凹部が形成された製品が皆無であった。また、ポリプロピレン樹脂の熱分解による品質の低下も見られなかった。
【0016】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、上型3を下型2に対して接近離間移動させるようにしているが、下型2を上型3に対して移動させるようにしてもよい。
また、金型を左右一対の型によって構成し、この一対の型を左右方向へ接近離間移動させるようにしてもよい。
さらに、上記の実施の形態においては、冷却水通路31を上型3にのみ形成しているが、下型2にも形成するのが望ましい。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ポリプロピレン樹脂内に混入させた発泡剤を発泡させて製品を射出成形するに際し、製品の表面に気泡に起因する凹部が形成されるのを防止することができ、それによって製品の外観の向上を達成することができ、しかもポリプロピレンが熱分解して製品の品質が低下するのを防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る射出成形法を実施するための金型を型締めした状態で示す断面図である。
【図2】同金型をキャビバックさせた状態で示す断面図である。
【符号の説明】
1 金型
2 下型
3 上型
4 キャビティ
21 通路
31 冷却水通路
【発明の属する技術分野】
この発明は、射出成形法、特にポリプロピレン樹脂に発泡剤を混入させておき、その発泡剤を金型内において発泡させるようにした射出成形法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、車両のドア内張り品やリヤゲート内張り品等の自動車内装品をポリプロピレン樹脂を発泡成形することが研究されている。これは、ポリプロピレン樹脂がリサイクル可能であるという利点があるからであり、ポリプロピレン樹脂を発泡させるのは、内装品の触感を向上させるためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ポリプロピレン樹脂を射出成形法によって発泡成形すると、成形品の表面に気泡に起因する凹部等が形成されてしまい、その外観が悪化するという問題があった。
なお、成形品の表面に表皮を設ければ、外観の悪化という問題を解消することができるが、そのようにすると、表皮の分だけ製造費が嵩むとともに、重量が大きくなる。また、表皮の材質がポリプロピレン樹脂と異なる樹脂を用いると、リサイクルが困難になってしまう。
【0004】
成形品の外観の悪化という問題について鋭意研究したところ、その原因が射出成形時におけるポリプロピレン樹脂の流動性が低い点にあることが判明した。すなわち、発泡剤の発泡によって形成された気泡の大部分は、溶融したポリプロピレン樹脂の内部に留まるが、一部の気泡は金型のキャビティの内面とポリプロピレン樹脂との間に移動する。このとき、溶融したポリプロピレン樹脂の流動性が低いと、気泡がキャビティの内面に接触した状態でポリプロピレン樹脂が固化してしまう。この結果、成形品の表面に凹部が形成されていたのである。また、キャビティ内において互いに逆方向から流れるポリプロピレン樹脂どうしがぶつかる箇所においては、ポリプロピレン樹脂間の気体がキャビティの内面に押し付けられた状態でポリプロピレン樹脂が固化する。このため、成形品の表面にスジ状の凹部が形成されてしまい、その外観が悪化していたのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の知見に基づいてなされたもので、発泡剤が混入した溶融状態のポリプロピレン樹脂を金型のキャビティ内に充填して発泡成形品を成形する射出成形法において、上記ポリプロピレン樹脂の上記キャビティ内に充填するときの温度を180°〜240°Cにしたことを特徴としている。
この場合、上記キャビティ内に上記溶融したポリプロピレン樹脂を充填するときの上記金型の温度は、60°〜95°Cにすることが望ましく、90°〜95°Cにするのがより望ましい。
また、上記キャビティ内に充填された溶融状態のポリプロピレン樹脂を急冷するために、上記金型の内部に冷却水通路を形成することが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図1及び図2を参照して説明する。
図1及び図2は、この発明に係る射出成形法を実施するための射出成形用金型1を示す図である。金型1は、上下方向に互いに対向して配置された下型2と上型3とを有している。下型2と上型3との間には、キャビティ4が形成されている。
【0007】
下型2の内部には、通路21が形成されている。この通路21は、二酸化炭素を発生する発泡剤が混入したポリプロピレン樹脂の溶融樹脂をキャビティ4に導入するためのものであり、一端が下型2の下面に開口し、他端がキャビティ4に臨む下型2の上面に開口している。下型2の上面には、その周縁部に沿って環状に延びる凹部22が形成されている。一方、上型3は、下型2に対して接近離間することができるよう、上下方向へ移動可能に配置されている。上型3の内部には、冷却水通路31が形成されている。この冷却水通路31に冷却水を流すことにより、成形された製品をその成形後直ちに冷却することができるようになっている。上型3の下面には、その周縁部に沿って環状に延びる突出部32が形成されている。この突出部32は、製品の成形時には下型2の凹部22に上下方向へ摺動可能に嵌合させられている。これにより、キャビティ4がそこから樹脂が漏れないように密閉されている。
【0008】
上記構成の金型1を用いて射出成形する場合には、下型2及び上型3を予め60°〜95°に、好ましくは90°〜95°Cに加熱しておく。この理由は後述する。次に、図1に示すように、上型3の突出部32の先端面(下端面)が凹部22の底面に突き当たるまで凹部22に嵌合させ、型締めをする。その後、二酸化炭素を発生する発泡剤が混入したポリプロピレンの溶融樹脂を通路21からキャビティ4に充填する。発泡剤としては、例えばセルマイクMB3064(三協化成株式会社の商品名)、ファインブローS−20N(日東化工販売株式会社の商品名)を用いることができる。ポリプロピレン樹脂と発泡剤との混合割合は、発泡材を必ず混合することを前提として、100:2.5(重量%)以下にする。ポリプロピレン樹脂の温度は、180°〜240°Cにする。180°Cより低くすると、成形品の表面の悪化を防止するという効果が得られず、240°Cを越えると、ポリプロピレン樹脂が熱分解して成形品の品質が低下するおそれがあるからである。
【0009】
発泡剤が混入した溶融ポリプロピレン樹脂をキャビティ4全体に充填したら、図2に示すように、上型3を上方へ所定距離だけ移動させる(以下、キャビバックという。)。この結果、キャビティ4の内部形状が製品の形状と同一になる。しかも、上型3をキャビバックさせると、キャビティ4内の圧力が低下するので、溶融したポリプロピレン樹脂内に混入していた発泡剤が発泡して二酸化炭素を発生する。これにより、発泡した樹脂製品が成形される。
【0010】
ここで、ポリプロピレン樹脂の溶融温度を180°C以上に設定しておくと、製品の表面に気泡による凹部が形成されることがない。その理由は次のようなものであると推測される。すなわち、発泡剤が発泡して気泡が発生すると、その大部分は溶融したポリプロピレン樹脂内に止まるが、一部の気泡は金型の内面とポリプロピレン樹脂との間に移動する。この場合、ポリプロピレン樹脂の流動性が低いと、ポリプロピレン樹脂は気泡が金型の内面に接触した状態のまま固化してしまう。しかるに、ポリプロピレン樹脂の温度が180°以上であると、その流動性が高いので気泡が金型の内面に接触した後、ポリプロピレン樹脂が金型の内面に沿って流れ、金型の内面と気泡との間に入り込む。この結果、金型に接触していた気泡がポリプロピレン樹脂内に埋没することになり、成形品の表面に凹部が形成されることがなくなるのである。これは、キャビティ内を異なる方向からポリプロピレン樹脂がぶつかるときに生じるすじ状の気泡についても同様である。したがって、成形品の表面に凹部が形成されてその外観が悪化するのを防止することができる。
【0011】
その後、冷却水通路31に冷却水を供給し、上型3を介してポリプロピレン樹脂を急冷する。ポリプロピレン樹脂をキャビティ全体に充填してから急冷するまでの時間は、各成形品毎に実験に基づいて決定する。ポリプロピレン樹脂が急冷されると、全ての気泡がポリプロピレン樹脂内に留まった状態でポリプロピレン樹脂が固化する。したがって、製品の表面に気泡による凹部が発生するのをより一層確実に防止することができる。
【0012】
前述したように、キャビティ4内に溶融したポリプロピレン樹脂を充填する際には、下型2及び上型3を60°〜95°Cに、好ましくは90°〜95°Cに加熱しておくのが望ましい。下型2及び上型3の温度が60°Cより低いと、ポリプロピレン樹脂がキャビティ4に充填されるときに、その温度が下型2及び上型3によって低下させられてしまい、気泡が製品の表面に現れるのを防止することができる高い流動性を維持することができなくなってしまうからである。一方、95°Cより高くすると、成形品の表面にガス焼けが発生し、外観がより一層悪化するおそれがあるからである。
【0013】
次に、上記効果を確認するために行った実験結果を紹介する。この実験は、自動車用ドアトリムを射出成形したものであり、ポリプロピレン樹脂のペレットに二酸化炭素の発泡剤を重量比で2.5%混合し、これを加熱シリンダ(図示せず)において混練、攪拌しながら加熱溶融した後、通路21を介してキャビティ4全体に充填した。その後、上型3を所定距離だけキャビバックさせて発泡剤を発泡させた。ポリプロピレン樹脂のキャビティへの充填後、冷却水通路31に冷却水を供給して上型3を冷却した。その後、上型3を下型2から離型させて金型1から製品を取り出した。
【0014】
上記の条件は、この発明に係る射出成形法と比較対象となる従来の射出成形法とで同一にした。しかし、従来の射出成形法のうちの第1比較例では、ポリプロピレン樹脂の溶融温度を175°Cにし、第2比較例ではポリプロピレン樹脂の溶融温度を245°Cにした。一方、この発明に係る射出成形法の第1実験例では、ポリプロピレン樹脂の溶融温度を180°Cにし、第2実験例では240°Cにした。
【0015】
このような条件の下でドアトリムを各例につき10個宛て成形したところ、第1比較例では60%の製品の表面に凹部が形成された。第2比較例では、90%の製品にポリプロピレン樹脂の熱分解による品質の低下が見られた。これに対し、第1、第2実験例では、表面に凹部が形成された製品が皆無であった。また、ポリプロピレン樹脂の熱分解による品質の低下も見られなかった。
【0016】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、上型3を下型2に対して接近離間移動させるようにしているが、下型2を上型3に対して移動させるようにしてもよい。
また、金型を左右一対の型によって構成し、この一対の型を左右方向へ接近離間移動させるようにしてもよい。
さらに、上記の実施の形態においては、冷却水通路31を上型3にのみ形成しているが、下型2にも形成するのが望ましい。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ポリプロピレン樹脂内に混入させた発泡剤を発泡させて製品を射出成形するに際し、製品の表面に気泡に起因する凹部が形成されるのを防止することができ、それによって製品の外観の向上を達成することができ、しかもポリプロピレンが熱分解して製品の品質が低下するのを防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る射出成形法を実施するための金型を型締めした状態で示す断面図である。
【図2】同金型をキャビバックさせた状態で示す断面図である。
【符号の説明】
1 金型
2 下型
3 上型
4 キャビティ
21 通路
31 冷却水通路
Claims (3)
- 発泡剤が混入した溶融状態のポリプロピレン樹脂を金型のキャビティ内に充填して発泡成形品を成形する射出成形法において、
上記ポリプロピレン樹脂の上記キャビティ内に充填するときの温度を180°〜240°Cにしたことを特徴とする射出成形法。 - 上記キャビティ内に上記溶融したポリプロピレン樹脂を充填するときの上記金型の温度を65°〜95°Cにしたことを特徴とする請求項1に記載の射出成形法。
- 上記キャビティ内に充填された溶融状態のポリプロピレン樹脂を急冷するために、上記金型の内部に冷却水通路を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002246342A JP2004082509A (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | 射出成形法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002246342A JP2004082509A (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | 射出成形法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004082509A true JP2004082509A (ja) | 2004-03-18 |
Family
ID=32054264
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002246342A Pending JP2004082509A (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | 射出成形法 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2004082509A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104960133A (zh) * | 2015-06-09 | 2015-10-07 | 台州市黄岩星泰塑料模具有限公司 | 微孔发泡注塑模具的开发方法 |
-
2002
- 2002-08-27 JP JP2002246342A patent/JP2004082509A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104960133A (zh) * | 2015-06-09 | 2015-10-07 | 台州市黄岩星泰塑料模具有限公司 | 微孔发泡注塑模具的开发方法 |
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