JP2004082252A - 研削盤における砥石とクーラントノズルの隙間調節機構 - Google Patents

研削盤における砥石とクーラントノズルの隙間調節機構 Download PDF

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Yuichi Saito
斉藤 雄一
Takehiro Kubo
久保 武丈
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Abstract

【課題】砥石とクーラントノズルとの隙間をワークの研削作業に先だって調節する間隔調節機構の部品を安価なものにして、コストを低減することができる研削盤における砥石とクーラントノズルの隙間調節機構を提供する。
【解決手段】ベッド1に装着した砥石台8に砥石13を装着する。砥石カバー15の上部にクーラントノズル16を前後方向の調節可能に装着し、同じく砥石カバー15の上面に対し、砥石13の外周面とクーラントノズル16の先端部との隙間Gを調節する隙間調節機構31を装着する。ドレッシング作業の回数によって砥石13の累積ドレッシング量が予め検出できるので、ドレッシング回数が所定回数となって、砥石13の累積ドレッシング量が設定値に達したとき、ワークの研削作業に先だって、電動モータ34を作動させてクーラントノズル16を所定量だけ砥石13に接近させ、隙間Gを適正に調節する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、研削盤における砥石とクーラントノズルの隙間調節機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に研削盤においては回転される砥石により例えばクランクシャフト等のワークの研削作業時間が長くなると、砥石の外周面の切れ味が悪くなって、研削作業の能率が低下するとともにワークの研削面の精度も低下する。このため、研削盤に備えられたドレス装置によって砥石のドレッシング作業を行う。
【0003】
砥石の外周面とクーラントノズルの先端部との隙間は、加工作業の開始時に通常0.5mmに設定される。CBN(六方晶窒化ほう素)砥石はCBN層が3mmであり、このCBN層が全部消費されたとしても前記隙間は全体として3.5mmとなる。この程度の隙間の変化では従来、加工品位上特に問題が生じないと考えられていた。このため、従来はCBN砥石をドレッシングを行って砥石とノズルの隙間が多少広くなったとしてもクーラントノズルを所定位置に固定して使用するようになっていた。そして、砥石とクーラントノズルの隙間の調節は砥石の交換時にのみ作業者によって行われるようになっていた。
【0004】
しかしながら、実際には砥石とクーラントノズルとの隙間が1.5mm以上になると、砥石の回転によりその大きくなった隙間によって砥石の外周面にクーラントが巻き付き、そのクーラントとワークとの間に空気の層が形成されて、この層が砥石の外周面に沿うように形成される。このため、クーラントによるワークと砥石の冷却効果が十分に得られない。従って、ワークと砥石の温度上昇により砥石自体の研削精度が低下して適正な研削作業ができないという問題があった。実験の結果、前記隙間は0.5〜1.5mmの範囲に保持しないと研削精度が向上しないことが判った。
【0005】
上記問題点を解消するために第一の従来例として、クーラントノズルの取付位置の調節が手作業によって行われている。又、第ニの従来例として、特開2001−9720号公報に示す数値制御研削盤も提案されている。この研削盤はクーラントノズルを具備し、ノズル移動部材を数値制御装置を用いて制御する高価なサーボモータを備えている。そして、ドレッシングの切り込み量に対応させてクーラントノズルを数値制御により砥石に接近する方向に移動させるようになっている。
【0006】
さらに、第三の従来例として、特開平9−248760号公報に示された研削盤におけるクーラントノズルの位置調節装置も提案されている。この装置は、ドレッシング作業に際してドレッサをテーブルに固定するとともに、それに隣接してクーラントノズル位置調節用治具を固定する。ドレッサが砥石に切り込むように砥石を下降した状態で、砥石を回転するとともにテーブルを移動すると、前記治具のローラがノズルの底面に当接し、上記切り込み量に見合った量だけノズルを持ち上げる。砥石のカバーにはホルダが固定され、該ホルダには前記ノズルの上面に立設されたパイプが貫通され、ホルダとパイプとの間にはラチェットが設けられている。そして、ノズルはパイプとともに上方への移動が許容され、かつラチェットにより持ち上げられた位置に保持されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、第一の従来例の手作業による隙間の調節方法においては、微小寸法の調節の際に、研削盤の運転を一々停止しなければならないため、ドレッシング作業の能率が低下するという問題があった。
【0008】
又、第ニの従来例の数値制御研削盤においては、数値制御装置によりサーボモータを駆動して砥石とクーラントノズルとの隙間を調節するため、砥石とクーラントノズルの隙間の調節精度の問題はないが、装置が大型化して高価になるという問題があった。
【0009】
さらに、第三の従来例のクーラントノズルの位置調節装置は、数値制御装置を用いていないので、安価に提供することができるが、ラチェットを用いているので、例えば0.25mmの微小移動装置の製作が不可能であるという問題があった。又、クーラントノズルの位置調節用治具を必要とするため装置が大掛かりになるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、砥石とクーラントノズルの隙間の調節を適正に行うことができるとともに、製造及び組み付け作業を容易に行い、コストの低減を図ることができる研削盤における砥石とクーラントノズルの隙間調節機構を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ベッド上に回転砥石を有する砥石台と、ワークを支持する支持テーブルとを装着し、該支持テーブル側に前記砥石のドレス装置を設け、前記砥石台に砥石の外周面にクーラントを供給するクーラントノズルを装着し、前記砥石台とクーラントノズルとの間に砥石とクーラントノズルとの隙間を調節する隙間調節機構を設けた研削盤において、前記隙間調節機構は、減速機構を備えた誘導電動モータと、この誘導電動モータの回転軸に連結され、前記クーラントノズルを砥石に向かって移動するようにした移動機構と、上記移動機構によるクーラントノズルの送り量を検出する送り量検出手段と、前記ドレス装置による砥石のドレッシング量を検出するドレッシング量検出手段と、前記ドレッシング量検出手段により検出されたドレッシング量が予め設定された設定値に達したとき、ワークの研削作業に先だって、前記誘導電動モータを作動してクーラントノズルを所定距離だけ砥石に接近させ、前記送り量検出手段によって所定の送り量が検出されたとき前記誘導電動モータを停止する制御を行う制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記送り量検出手段は、誘導電動モータの回転軸又は該回転軸により回転される移動機構を構成する回転部材に所定の間隔をおいて設けられた複数の被検出部と、各被検出部の旋回軌跡と対応して固定部材側に設けられた検出器とにより構成され、前記ドレッシング量検出手段は、砥石の一回のドレッシング作業によりドレッシングされる砥石の単位ドレッシング量を設定する設定手段と、前記単位ドレッシング量を記憶する記憶手段と、ドレッシング作業の回数をカウントする作業回数カウント手段と、前記単位ドレッシング量と作業回数のカウント数から累積ドレッシング量を演算する演算手段とにより構成されていることを要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記制御手段は砥石のドレッシング量が予め設定された0.1〜1. 0mmとなったとき、前記誘導電動モータを作動して、クーラントノズルを0.1〜1.0mmだけ砥石に接近する制御動作を行うようになっていることを要旨とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項において、前記誘導電動モータの回転軸とクーラントノズルとの間には前記移動機構として送りねじ機構が連結され、クーラントノズルは直線移動されるように構成されていることを要旨とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項において、前記誘導電動モータの回転軸にはクーラントノズルの基端部が連結され、クーラントノズルは前記回転軸を中心に傾動されるようになっていることを要旨とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第一の実施形態)
以下、本発明を具体化した研削盤における砥石とクーラントノズルの隙間調節機構の第一の実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0017】
図2は研削盤の平面図を示す。ベッド1の上面にはX軸方向に案内レール2が互いに平行に敷設され、この案内レール2に支持テーブル3がサーボモータ4によってX軸方向の往復動可能に装設されている。この支持テーブル3の上面には例えばカムシャフト等のワークWの両端部を把持するための一対の主軸台5,6が装設されている。
【0018】
一方、前記ベッド1には前記X軸案内レール2と直交するようにY軸案内レール7が敷設されている。このY軸案内レール7には砥石台8がサーボモータ9によってY軸方向の往復動可能に装設されている。前記砥石台8には回転軸12によってCBN(六方晶窒化ほう素)等の高硬度の砥石13が回転可能に支持されている。前記回転軸12及び砥石13は前記砥石台8の上面に設けた駆動モータ10及びベルト伝動機構11によって高速で回転されるようになっている。
【0019】
前記砥石台8の側壁面(図1において手前側)には、前記砥石13を被覆するように砥石カバー15が装着されている。この砥石カバー15の上面にはクーラントノズル16が前後方向の移動可能に装着されている。前記砥石カバー15の上面には取付台座17がボルトにより固定されている。図3に示すようにこの取付台座17に前後方向に形成した案内孔17aには横長円筒状の支持管18が水平方向の往復動可能に貫通支持され、この支持管18の先端部にはブラケット19が溶接によって固定されている。このブラケット19の下面には前記クーラントノズル16の上端部がボルトによって連結されている。前記ブラケット19にはクーラントの通路19aが形成され、支持管18から通路19aを介してクーラントノズル16にクーラントを供給するようになっている。前記支持管18の基端部には連結管20を介して可撓管21が接続され、この可撓管21は図示しないクーラント供給源に接続され、クーラントをノズル16に供給するようになっている。
【0020】
前記ブラケット19の一側面には上下一対の回動規制部材22の一端がボルトにより固定されている。両回動規制部材22の間には案内溝22aが水平方向に形成され、前記取付台座17の一側面に支持した案内ピン23を前記案内溝22a内に係合している。そして、前記クーラントノズル16、支持管18及びブラケット19が前後方向に移動される際に、支持管18及びクーラントノズル16の回動が規制されるようになっている。
【0021】
図1に示すように前記主軸台5にはドレス装置24が設けられている。このドレス装置24はドレッサ25を備え、このドレッサ25を前記砥石13の外周面に向かって水平(X軸)方向に複数回トラバースしながらY軸方向へ所定の送りピッチでドレッシングするようになっている。ワークWの研削中において、前記クーラントノズル16からクーラントが砥石13の外周面に供給されるようになっている。
【0022】
次に、図3を中心に砥石13の外周面とクーラントノズル16の先端部との隙間Gを調節するための隙間調節機構31について説明する。
前記取付台座17に対し前記案内孔17aと平行に形成した取付孔17bには、前後一対のベアリング32を介して回転部材としての回転軸筒33が所定位置において回転可能に支持されている。前記取付台座17の後端部には誘導電動モータ34が取り付けられ、この誘導電動モータ34の回転軸35は前記回転軸筒33に連結されている。前記誘導電動モータ34には減速機構(図示略)及びブレーキ機構(図示略)が設けられ、回転軸35を低速で回転するようにしている。前記回転軸筒33の先端部にはボールねじナット36が設けられ、このボールねじナット36にはボールねじ37の後端部が螺合されている。前記ブラケット19の一側部に設けたアーム部19bには貫通孔19cが形成され、この貫通孔19cには前記ボールねじ37の先端ねじ部が貫通されナット38によりアーム部19bに固定している。前記ボールねじナット36及びボールねじ37により送りねじ機構が構成されている。前記取付台座17の前端部とアーム部19bの間にはテレスコカバー41が装着されている。
【0023】
図4に示すように前記回転軸筒33の外周面には複数(この実施形態では図4に示すように8個)の被検出部としてのドック42が所定のピッチで等間隔に突設されている。前記取付台座17の側面には前記取付孔17bに連通する取付穴17cが形成され、この取付穴17cを利用して検出器としての近接スイッチ43が取り付けられている。この近接スイッチ43によって前記ドック42が検出され、回転軸筒33の回転角度を検出し、クーラントノズル16の送り量をパルス数として検出するようになっている。前記各ドック42のピッチは形成角にして45°であるため、ボールねじ37の送りピッチが例えば2mmとすると、一パルス当たりのクーラントノズル16の送り量Δeは次の式で示される。
【0024】
Δe=(45°/360°)×2mm=0.25mm
前記近接スイッチ43によって一つのドック42が一パルスとして検出されると、クーラントノズル16が前記送り量Δeだけ移動されることになる。近接スイッチ43の検出信号は後述する制御装置44に入力されるようになっている。
【0025】
前記取付台座17の側面にはブラケット45が片持ち支持され、その先端部には近接スイッチ46が取り付けられている。一方、前記ブラケット19のアーム部19bの端部には取付板47が片持ち支持され、この取付板47には前後ニ箇所にドック48,49が取り付けられている。そして、一方のドック49が検出されると、制御装置44によってノズルの移動範囲の限界であることを報知するようになっている。又、他方のドック48が近接スイッチ46によって検出されると、砥石13からクーラントノズル16が最も離隔した位置に移動された状態で前記誘導電動モータ34の回転が停止されるようになっている。
【0026】
次に、図3に基づいて制御手段としての前記制御装置44の構成について説明する。
制御装置44は各種の演算処理を行う中央演算処理装置(CPU)51を備え、研削作業のプログラムやドレッシング作業のプログラムを記憶するためのリードオンリーメモリ(ROM)52と、各種のデータを記憶するためのランダムアクセスメモリ(RAM)53を備えている。制御装置44は一回のドレッシング作業でドレッシングされる砥石13のドレッシング量を記憶するための単位ドレッシング量記憶部54を備えている。そして、設定手段としての操作パネル55のキー操作によって例えば一回の単位ドレッシング量を、0.01〜0.02mmに設定して前記記憶部54に記憶するようになっている。又、前記制御装置44は、ドレッシング作業の回数をカウントするための作業回数カウント手段としてのドレッシング回数カウント部56を備えている。さらに、制御装置44は単位ドレッシング量記憶部54とドレッシング回数カウント部56からのデータに基づいて累積ドレッシング量を演算するための累積ドレッシング量演算手段としての累積ドレッシング量演算部57を備えている。そして、前記累積ドレッシング量が予め記憶手段としてのRAM53に記憶された設定値(例えば0.25mm)になったとき、制御装置44から前記誘導電動モータ34の駆動回路58に動作信号を出力し、前記砥石13とクーラントノズル16との隙間Gを調節するようになっている。
【0027】
次に、前記のように構成した研削盤について、その動作を説明する。
最初に、前記操作パネル55を操作して1回のドレッシング作業のドレッシング量を例えば(0.02mm/砥石の半径)に設定して、単位ドレッシング量記憶部54に記憶する。又、前記隙間Gの調節を行う基準となる累積ドレッシング量の設定値を、操作パネル55を操作して例えば(0.25mm/砥石の半径)に設定し、これを前記RAM53に記憶させる。
【0028】
砥石13は、ワークWの最初の研削作業を行う前に、ドレス装置24によって一回目のドレッシング作業が行われる。このドレッシング作業に先立って、図1において砥石13とクーラントノズル16との隙間Gがほぼ0.5mmになるようにクーラントノズル16の位置が設定される。この位置設定において、誘導電動モータ34の停止動作は、八個のドック42のうちいずれか一つのドック42が近接スイッチ43に対応した位置で行われる。そして、一回目のドレッシング作業においては砥石13の単位ドレッシング量は(0.02mm/砥石の半径)であるため、一回目のドレッシング作業では、間隔調節が必要な設定値(0.25mm/砥石の半径)に達しないので、クーラントノズル16の移動は行われない。
【0029】
ワークWの研削作業が繰り返し行われて、ドレッシング作業が十三回になると、累積ドレッシング量演算部57により演算される累積ドレッシング量が0.02mm×13=0.26mmとなって、設定値である(0.25mm/砥石の半径)を超える。このため、前記隙間Gが0.5mmから0.74mmに拡大されたことになる。このとき、制御装置44から誘導電動モータ34に動作信号が出力されて、回転軸35が回動され、クーラントノズル16は前記隙間Gを減少する方向に移動される。そして、旋回して近接スイッチ43に近づく一つ目のドック42が近接スイッチ43によって一パルスとして検出されると、制御装置44から誘導電動モータ34に停止信号が出力されて、クーラントノズル16の移動が停止される。この結果、前記クーラントノズル16が前述したように送り量Δe(0.25mm)だけ移動され、この移動によって前記隙間が0.76mmから0.51mmに減少される。
【0030】
従って、前記隙間が適正な0.51mmになるので、砥石によるワークWの研削作業が適正に行われる。
以上の隙間Gの調整動作は、砥石13によるワークWの研削作業に先だって、繰り返し行われるので、砥石13の外周面とクーラントノズル16の先端部の隙間Gは、最大で0.76mm、最小で0.5mmに管理される。この結果、クーラントノズル16からクーラントが砥石13の外周面に対して適正に供給されるので、砥石13が異常に加熱されることはなく、ワークWの研削作業が適正に行われる。
【0031】
上記実施形態の研削盤における砥石とクーラントノズルの隙間調節機構31によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)上記実施形態では、制御装置44によって、砥石13のドレッシング量を予め検出し、このドレッシング量が設定値(例えば0.25mm)に達したときに、制御装置44から電動モータ34に対し動作信号を出力する。そして、クーラントノズル16を砥石13に所定距離(例えば0.25mm)だけ接近させ隙間Gを減少する方向に調節するようにした。このため、減速機構付の誘導電動モータ34、ドッグ42及び近接スイッチ43等の安価な部品、研削盤に元来備えられている制御装置44を用いて前記隙間Gを適正に調節することができ、前記隙間Gの調整に高価なサーボモータを有する数値制御装置を用いる必要がなく、コストの低減を図ることができる。又、砥石13に対するクーラントノズル16の隙間Gが適正に保持されるので、ワークWの研削作業中においてクーラントによる砥石13の冷却が適正に行われ、砥石13の硬度が低下することはなく、ワークWの研削精度を向上することができる。
【0032】
(2)上記実施形態では、クーラントノズル16の送り量検出手段として、回転軸筒33の外周面に設けた複数のドック42と、いずれか一つのドック42に対応して設けられた近接スイッチ43とにより構成した。このため、送り量検出手段の構成を簡素化して製造及び組み付け作業を容易に行い、コストの低減を図ることができる。
【0033】
(3)上記実施形態では、砥石13のドレッシング作業による累積ドレッシング量検出手段として、一回のドレッシング作業における砥石13の単位ドレッシング量を制御装置44の単位ドレッシング量記憶部54に予め記憶する。そして、ドレッシング作業の回数をドレッシング回数カウント部56によってカウントして記憶する。さらに、累積ドレッシング量演算部57によって砥石の累積ドレッシング量を演算するようにした。このため、砥石13のドレッシング量検出手段の構成を既存の制御装置のコンピューターのプログラムを変更して、容易に実施できるので、装置を簡素化して製造及び組み付け作業を容易に行いコストの低減を図ることができる。
【0034】
(第ニの実施形態)
本発明を具体化した第ニの実施形態を図5,図6に従って説明する。なお、第ニの実施形態は、第一の実施形態のクーラントノズル16の駆動形態が直線往復運動から傾動運動に変更され、これに伴ってクーラントノズル16の移動機構も変更されている。第一の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0035】
蓋61aを有する収容ケース61の外側面には基板62が取り付けられ、この基板62には支持筒63が取り付けられている。前記支持筒63には回転軸筒64が回転可能に挿入され、この回転軸筒64にはクーラントノズル16の基端部が連結されている。前記回転軸筒64内には通路64aが形成され、支持筒63に形成された入口ポート63aに連結管20が連結されている。前記支持筒63と回転軸筒64との間にはシールリング65が二箇所に介在されている。なお、前記通路64aの先端開口縁は栓66によって閉鎖されている。
【0036】
前記回転軸35の他端部にはディスク67が取り付けられている。このディスク67にはドック42が複数箇所に設けられている。一方、前記収容ケース61と回転軸35との間には取付板68が固定取付部材69及び連結ロッド70によって取付られている。前記取付板68には前記ドック42と対応して近接スイッチ43が取り付けられている。
【0037】
上記第ニの実施形態によれば、砥石13の累積ドレッシング量が設定値に達する毎にクーラントノズル16を回転軸筒64を中心に傾斜運動を行うことにより、砥石13とクーラントノズル16の隙間Gを砥石によるワークWの研削作業に先だって自動的に調節することができる。
【0038】
従って、第ニの実施形態によれば、前記第一の実施形態に記載の特徴に加えて以下の特徴を得ることができる。
(1)上記実施形態では、第一の実施形態と比較して部品点数を減少して構造を簡素化し製造及び組み付け作業を容易に行い、コストの低減を図ることができる。
【0039】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 前記実施形態ではドレッシング量の累積が設定値として0.25mmに達したとき、それに見合うだけクーラントノズルを砥石に接近させようにしたが、この設定値を0.1〜1.0mmの範囲に設定してもよい。
【0040】
○ 前記実施形態ではドック42と近接スイッチ43によってクーラントノズル16の送り量を検出するようにしたが、これをロータリーエンコーダに代えたり、その他の検出機構を採用したりしてもよい。
【0041】
○ 前記実施形態では、砥石13のドレッシング量の検出手段を、制御装置44の単位ドレッシング量記憶部54、ドレッシング回数カウント部56及び累積ドレッシング量演算部57等によって構成した。これに代えて、砥石13の外周面と対応して所定位置に砥石13のドレッシング量を検出するための距離センサを配置するようにしてもよい。
【0042】
○ 前記砥石台及びワークWの少なくとも一方を移動させてワークの研削を行うようにしてもよい。
○ 被検出部として、前記ドック42以外に凹部を複数箇所に形成したり、溝や突条を複数箇所に形成したりしてもよい。
【0043】
○ 前記各実施形態おいては、ワークWを把持して回転させる方式の研削盤に具体化したが、これを平面研削盤あるいは他の研削盤に具体化してもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明は砥石とクーラントノズルの隙間の調節をワークの研削作業に先だって適正に行うことができるとともに、間隔調節機構の部品を安価なものにして、その製造及び組み付け作業を容易に行い、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を円筒研削盤における砥石とクーラントノズルの間隔調節機構に具体化した第一の実施形態を示す側面図。
【図2】研削盤全体を示す平面図。
【図3】要部の拡大平断面図。
【図4】クーラントノズルの送り量検出手段を示す部分断面図。
【図5】この発明の第ニの実施形態を示す要部の断面図。
【図6】図6の平断面図。
【符号の説明】G…隙間、1…ベッド、8…砥石台、13…砥石、14…回転駆動軸、16…クーラントノズル、24…ドレス装置、31…隙間調節機構、33,64…回転軸筒、34…誘導電動モータ、35…回転軸。

Claims (5)

  1. ベッド上に回転砥石を有する砥石台と、ワークを支持する支持テーブルとを装着し、該支持テーブル側に前記砥石のドレス装置を設け、前記砥石台に砥石の外周面にクーラントを供給するクーラントノズルを装着し、前記砥石台とクーラントノズルとの間に砥石とクーラントノズルとの隙間を調節する隙間調節機構を設けた研削盤において、
    前記隙間調節機構は、減速機構を備えた誘導電動モータと、この誘導電動モータの回転軸に連結され、前記クーラントノズルを砥石に向かって移動するようにした移動機構と、上記移動機構によるクーラントノズルの送り量を検出する送り量検出手段と、前記ドレス装置による砥石のドレッシング量を検出するドレッシング量検出手段と、前記ドレッシング量検出手段により検出されたドレッシング量が予め設定された設定値に達したとき、ワークの研削作業に先だって、前記誘導電動モータを作動してクーラントノズルを所定距離だけ砥石に接近させ、前記送り量検出手段によって所定の送り量が検出されたとき前記誘導電動モータを停止する制御を行う制御手段とを備えた研削盤における砥石とクーラントノズルの隙間調節機構。
  2. 請求項1において、前記送り量検出手段は、
    誘導電動モータの回転軸又は該回転軸により回転される移動機構を構成する回転部材に所定の間隔をおいて設けられた複数の被検出部と、
    各被検出部の旋回軌跡と対応して固定部材側に設けられた検出器とにより構成され、
    前記ドレッシング量検出手段は、
    砥石の一回のドレッシング作業によりドレッシングされる砥石の単位ドレッシング量を設定する設定手段と、
    前記単位ドレッシング量を記憶する記憶手段と、
    ドレッシング作業の回数をカウントする作業回数カウント手段と、
    前記単位ドレッシング量と作業回数のカウント数から累積ドレッシング量を演算する演算手段と
    により構成されている研削盤における砥石とクーラントノズルの隙間調節機構。
  3. 請求項1又は2において、前記制御手段は砥石のドレッシング量が予め設定された0.1〜1. 0mmとなったとき、前記誘導電動モータを作動して、クーラントノズルを0.1〜1.0mmだけ砥石に接近する制御動作を行うようになっている研削盤における砥石とクーラントノズルの隙間調節機構。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、前記誘導電動モータの回転軸とクーラントノズルとの間には前記移動機構として送りねじ機構が連結され、クーラントノズルは直線移動されるように構成されている研削盤における砥石とクーラントノズルの隙間調節機構。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項において、前記誘導電動モータの回転軸にはクーラントノズルの基端部が連結され、クーラントノズルは前記回転軸を中心に傾動されるようになっている研削盤における砥石とクーラントノズルの隙間調節機構。
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