JP2004080635A - 信号符号化装置及び方法、信号復号装置及び方法、並びにプログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】信号符号化装置10は、入力された時系列信号をある遮断周波数以下の低域信号に制限し、この低域信号を符号化した低域符号列を出力する符号列に含める。また、信号符号化装置10は、復号側での高域信号の生成に用いられる折り返し周波数fa又はシフト周波数fsh、或いはトーンノイズ合成情報rを適応的に決定し、これらの情報を高域信号生成情報として、高域スペクトル包絡情報と共に出力する符号列に含める。信号復号装置は、符号列に含まれる高域信号生成情報と高域スペクトル包絡を用いて、低域信号から高域信号を生成し、この生成高域信号と低域信号とを足し合わせることで、高域信号まで拡張された時系列信号を出力する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、符号化側である周波数帯域に制限された時系列信号を、復号側でより広い周波数帯域に拡張する場合に用いて好適な信号符号化装置及びその方法、信号復号装置及びその方法、並びにプログラム及び記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オーディオ信号の高能率符号化では、人間の聴覚の仕組みを利用することで、CD(Compact Disk)相当の音質を元のCDの1/10程度のデータ量に圧縮することが可能となっている。現在、市場にもこれらの技術を利用した商品が流通しており、より小さな記録媒体に記録したり、ネットワークを通じて配信したりすることが実現している。
【0003】
このような高能率圧縮では、それぞれ独自のフォーマットが採用されており、フォーマットの範囲内であれば、符号化側で音質とビットレートとをある程度自由にコントロールすることが可能である。例えば、ミニディスク(MD)(ソニー株式会社商標)についても、長時間記録モードとして同じ高能率圧縮技術を採用したLP2とLP4の2つのモードが存在しており、LP4はLP2に対してさらに半分に圧縮することで、音質は劣るもののLP2の2倍の記録時間を可能としている。
【0004】
しかしながら、このような高能率圧縮技術は、ビットレートと音質に明確なターゲットを定めて設計、規格化されているため、規格(フォーマット)を維持したままさらにビットレートを下げると極端に音質が劣化することになる。このような状況を避けるために、符号化側の高能率符号化アルゴリズムの改善や、人間の聴覚が鈍感な高域の信号を制限し、余ったビットを低域の信号に振り分けるといった方法が一般的にとられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したようにフォーマットを維持したまま、音質を維持しビットレートを下げるために高域の信号を制限した場合において、高域の信号を復号側で再現する試みもある。例えば、特開平2−311006号公報記載の、44.1kHzサンプリングのPCM信号の再生帯域を2倍にするような技術や、特開平9−55778号公報記載の、電話の周波数帯域を受信側で拡大するような技術がある。
【0006】
こうした技術はフォーマットの変更が必要なく、復号側だけの改善ですむといった利点があるが、受信した信号のみから帯域を拡大させる必要があるため、音質的には劇的な効果はみられず、また、入力される音源によっては、特に低域と高域に相関があまりない場合など、高域に聴覚上の歪みが耳につくようになる。
【0007】
また、上述した特開平9−55778号公報では、復号時にピッチ分析を行い、そのn倍の周波数のスペクトルを高域に付加することにより、電話の周波数帯域を受信側で拡大しているが、電話用途の音声の場合ではピッチが複数あることが稀であるのに対して、一般のオーディオ信号では複数のピッチを含むことが多々あるため、このような方法をとることは有効でなく、そもそもピッチ分析が機能しない場合が多い。
【0008】
一方、フォーマットを拡張して、従来のフォーマットを採用する機器では帯域が制限された再生が可能で、新しいフォーマットを採用する機器では帯域が拡張された高品位の再生が可能であるようにする場合は、符号化側と復号側との双方で変更が必要になるが、復号側だけでの改善よりもよい結果を得ることができる。例えば、HDCDと呼ばれるCDのダイナミックレンジ及び再生帯域を改善する技術では、帯域を拡張するためのフィルタ種別等のパラメータを、従来フォーマットの中に可聴レベル以下に隠蔽することで、品質の改善を図っている。
【0009】
また、こうしたフォーマットの拡張に限らず、携帯電話やフラッシュメディア等の半導体録音機器等では、低ビットレートでより高音質であることが望まれており、現状の波形符号化によるコーデックに対して新たな技術を導入することによる、さらなる性能向上が求められている。
【0010】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、複雑な高調波が存在する場合であっても、復号時に拡張する周波数帯域で最適な高調波を生成することを可能とする信号符号化装置及びその方法、信号符号化装置から出力された符号列を復号する信号復号装置及びその方法、並びにそのような信号符号化処理及び信号復号処理をコンピュータに実行させるプログラム及びそのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明に係る信号符号化装置及びその方法は、入力された時系列信号を直交変換して符号化する際に、上記入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する制限帯域のスペクトルを符号化すると共に、復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号を上記制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、該写像の方法を示す写像情報を適応的に生成し、符号化された上記制限帯域のスペクトルと上記写像情報とを出力する。
【0012】
また、上述した目的を達成するために、本発明に係る信号復号装置及びその方法は、符号化側で入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する符号化された制限帯域のスペクトルと、復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号を上記制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、適応的に生成された該写像の方法を示す写像情報とを入力し、符号化された上記制限帯域のスペクトルを復号して制限帯域の時系列信号を生成すると共に、上記写像情報に基づいて、上記制限帯域のスペクトルから、拡張すべき拡張帯域のスペクトルを求め、当該拡張帯域のスペクトルを逆直交変換して拡張帯域の時系列信号を生成し、上記制限帯域の時系列信号と上記拡張帯域の時系列信号とを加算して出力する。
【0013】
このような信号符号化装置及びその方法、並びに信号復号装置及びその方法によれば、符号化側において、入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する制限帯域のスペクトルを符号化すると共に、復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号をこの制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、該写像の方法を示す写像情報を適応的に生成する。そして、復号側において、符号化された上記制限帯域のスペクトルを復号して制限帯域の時系列信号を生成すると共に、上記写像情報に基づいて、上記制限帯域のスペクトルから、拡張すべき拡張帯域の時系列信号を生成し、上記制限帯域の時系列信号と上記拡張帯域の時系列信号とを加算して出力する。
【0014】
また、本発明に係るプログラムは、上述した信号符号化処理又は信号復号処理をコンピュータに実行させるものであり、本発明に係る記録媒体は、そのようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能なものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、入力された時系列信号を低周波数帯域(低域信号)に制限する信号符号化装置及びその方法と、その時系列信号を、周波数軸上の低域スペクトルの写像、例えば折り返し又はシフト(平行移動)を用いて、高周波数帯域(高域信号)まで拡張する信号復号装置及びその方法とに適用したものである。
【0016】
簡単には、本実施の形態の符号化側では、入力された時系列信号をある遮断周波数fc以下の低域信号に制限する一方で、復号側での高域信号の生成に用いられる折り返し周波数fa又はシフト周波数fsh等を適応的に決定する。そして、復号側では、周波数軸上の低域スペクトルを、符号化側から入力した折り返し周波数faを中心として対称に折り返し、又はシフト周波数fshに基づいて2fc−fshだけシフトさせ、この折り返され又はシフトされたスペクトルに基づいて高域信号を生成する。
【0017】
先ず、本実施の形態における信号符号化装置の概略構成を図1に示す。図1に示すように、本実施の形態における信号符号化装置10は、ローパスフィルタ(LPF)11と、低域信号符号化回路12と、遅延回路13と、差分回路14と、スペクトル包絡分析生成回路15,16と、高域信号生成情報抽出回路17と、マルチプレクサ18とから構成されている。
【0018】
ローパスフィルタ11は、入力された時系列信号をある遮断周波数fc以下の低域信号に制限し、この低域信号を低域信号符号化回路12、差分回路14及びスペクトル包絡分析生成回路15に供給する。
【0019】
低域信号符号化回路12は、ローパスフィルタ11を介した低域信号を一定フレーム毎に直交変換して符号化し、得られた低域符号列をマルチプレクサ18に供給する。
【0020】
遅延回路13は、ローパスフィルタ11と同じ遅延時間を持ち、入力された時系列信号についてローパスフィルタ11において濾波された低域信号との同期をとった後、この時系列信号を差分回路14に供給する。
【0021】
差分回路14は、遅延回路13から供給された時系列信号とローパスフィルタ11から供給された低域信号との差分をとり、高域信号を生成する。差分回路14は、この高域信号をスペクトル包絡分析生成回路16に供給する。
【0022】
スペクトル包絡分析生成回路15は、供給された低域信号を分析して低域スペクトル包絡を生成し、この低域スペクトル包絡によって低域スペクトルを規格化した規格化低域スペクトルを高域信号生成情報抽出回路17に供給する。
【0023】
同様に、スペクトル包絡分析生成回路16は、供給された高域信号を一定フレーム毎に直交変換した高域スペクトルを分析して高域スペクトル包絡を生成し、この高域スペクトル包絡を出力するための高域スペクトル包絡情報と、その高域スペクトル包絡で高域スペクトルを規格化した規格化高域スペクトルとを生成する。そして、スペクトル包絡分析生成回路16は、規格化高域スペクトルを高域信号生成情報抽出回路17に供給すると共に、高域スペクトル包絡情報をマルチプレクサ18に供給する。
【0024】
高域信号生成情報抽出回路17は、規格化高域スペクトルと規格化低域スペクトルとに基づいて分析を行い、復号側で高域信号を生成するための高域信号生成情報を生成する。ここで、この高域信号生成情報としては、折り返し周波数faやシフト周波数fshの他、トーン性、ノイズ性を示すトーン・ノイズ混合情報r(0.0≦r≦1.0)が挙げられる。このトーンノイズ混合情報rは、例えば規格化低域スペクトルの生成開始周波数から規格化高域スペクトルの終端周波数までの間で、以下のような式(1)に従って求めることができる。ここで、式(1)において、Smaxはスペクトルの最大値を示し、Saveはスペクトルの平均値を示す。また、Aは所定の定数を示す。
【0025】
【数1】
【0026】
マルチプレクサ18は、低域信号符号化回路12から供給された低域符号列と、スペクトル包絡分析生成回路16から供給された高域信号生成情報と、高域信号生成情報抽出回路17から供給された高域スペクトル包絡情報とをまとめて、1つの符号列として出力する。
【0027】
ここで、スペクトル包絡分析生成回路15,16におけるスペクトルの規格化の様子を図2に模式的に示す。図2(A)は、符号列にパラメータ化して含まれる高域スペクトル包絡と低域信号から作り出した低域スペクトル包絡とを併せて示したものである。なお、図2(A)におけるf1〜f6は、スペクトルのピーク位置を示し、fCはローパスフィルタ11(図1)の遮断周波数を示す。このスペクトル包絡に基づいてスペクトルを規格化する。規格化されたスペクトルのスペクトル包絡を図2(B)に示す。
【0028】
このように、スペクトルをスペクトル包絡で規格化することにより、スペクトルのピーク位置に重きを置いて折り返し周波数faやシフト周波数fshを決定することができ、復号側で生成される高域信号の精度がよくなる。但し、処理時間やハードウェア的な制約が存在する場合には、精度を犠牲にした上で、この規格化の処理を省略しても構わない。
【0029】
以下、このような規格化低域スペクトル及び規格化高域スペクトルに基づいて、上述した高域信号生成情報抽出回路17において折り返し周波数fa又はシフト周波数fshを決定する手順について、順に説明する。
【0030】
先ず、高域信号生成情報抽出回路17において折り返し周波数faを決定する手順について、図3のフローチャートを用いて説明する。以下では、規格化高域スペクトルをF_highと表し、特にF_high(f)は、周波数fよりも高域のスペクトルを表すこととする。また、規格化低域スペクトルをF_lowと表し、特にF_low’(f)は、周波数f以下の低域スペクトルF_low(f)を、周波数fを中心に線対称に折り返して得られるスペクトルを表すこととする。また、fa_min及びfa_maxは、それぞれ折り返し周波数faを決定する際の探索範囲となる周波数の下限値と上限値を示す。このfa_min及びfa_maxは、規格で固定としてもよく、またその規格の範囲内でエンコーダが任意に設定してもよい。
【0031】
先ずステップS1において、初期値として内部変数である最小値minを無限大に、周波数fをfa_minにそれぞれ設定する。
【0032】
次にステップS2において、以下の式(2)に従って、F_high(f)及びF_low’(f)をそれぞれベクトルと見なした場合におけるベクトル間の距離dfを計算する。ここで、式(2)において、iは離散周波数のインデックスを示し、nfは周波数fまでのサンプル数を示す。また、S_low’(i)は離散周波数iにおけるF_low’(f)の大きさを示し、S_high(i)は離散周波数iにおけるF_high(f)の大きさを示す。
【0033】
【数2】
【0034】
すなわち、図4に模式的に示すように、離散周波数fから離散周波数2fまでについて、F_low’(f)とF_high(f)との大きさ(レベル)の差の自乗(=|S_low’(i)−S_high(i)|2)を累積加算し、距離dfとする。
【0035】
再び図3に戻って、ステップS3では、距離dfが最小値min未満であるか否かが判別される。距離dfが最小値min未満である場合(Yes)には、続くステップS4において最小値minをdfに更新し、そのときの周波数fを折り返し周波数faとして保存する。一方、距離dfが最小値min以上である場合(No)には、ステップS5に進む。
【0036】
ステップS5では、周波数fがfa_minからfa_maxの範囲内にあるか否かが判別され、fa_minからfa_maxの範囲内である場合(Yes)には、ステップS6において周波数fをインクリメントして、ステップS2に戻る。一方、周波数fがfa_minからfa_maxの範囲内にない場合(No)には、現在保存されている折り返し周波数faを確定し、上述した高域信号生成情報の中に含める。
【0037】
次に、高域信号生成情報抽出回路17においてシフト周波数fshを決定する手順について、図5のフローチャートを用いて説明する。上述と同様に、規格化高域スペクトルをF_highと表し、特にF_high(f)は周波数fよりも高域のスペクトルを表すこととする。また、規格化低域スペクトルをF_lowと表し、特にF_low’(f)は周波数f以下の周波数の低域スペクトルF_low(f)を、例えば2fc−fだけシフトして得られるスペクトルを表すこととする。また、fsh_min及びfsh_maxは、それぞれシフト周波数fshを決定する際の探索範囲となる周波数の下限値と上限値を示す。このfsh_min及びfsh_maxは、規格で固定としてもよく、またその規格の範囲内でエンコーダが任意に設定してもよい。
【0038】
先ずステップS10において、初期値として内部変数である最小値minを無限大に、周波数fをfsh_minにそれぞれ設定する。
【0039】
次にステップS11において、以下の式(3)に従って、F_high(f)及びF_low’(f)をそれぞれベクトルと見なした場合におけるベクトル間の距離dfを計算する。ここで、式(3)において、iは離散周波数のインデックスを示し、nfは周波数fまでのサンプル数を示す。また、S_low’(i)は離散周波数iにおけるF_low’(f)の大きさを示し、S_high(i)は離散周波数iにおけるF_high(f)の大きさを示す。
【0040】
【数3】
【0041】
すなわち、図6に模式的に示すように、離散周波数2fc−fから離散周波数2fまでについて、F_low’(f)とF_high(f)との大きさの差の自乗(=|S_low’(i)−S_high(i)|2)を累積加算し、距離dfとする。
【0042】
再び図5に戻って、ステップS12では、距離dfが最小値min未満であるか否かが判別される。距離dfが最小値min未満である場合(Yes)には、続くステップS13において最小値minをdfに更新し、そのときの周波数fをシフト周波数fshとして保存する。一方、距離dfが最小値min以上である場合(No)には、ステップS14に進む。
【0043】
ステップS14では、周波数fがfsh_minからfsh_maxの範囲内にあるか否かが判別され、fsh_minからfsh_maxの範囲内である場合(Yes)には、ステップS15において周波数fをインクリメントして、ステップS11に戻る。一方、周波数fがfsh_minからfsh_maxの範囲内にない場合(No)には、現在保存されているシフト周波数fshを確定し、上述した高域信号生成情報の中に含める。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態における信号符号化装置10は、入力された時系列信号をある遮断周波数fc以下の低域信号に制限し、この低域信号を符号化した低域符号列を出力する符号列に含める。
【0045】
また、信号符号化装置10は、復号側での高域信号の生成に用いられる折り返し周波数fa又はシフト周波数fsh、或いはトーンノイズ合成情報rを適応的に決定し、これらの情報を高域信号生成情報として、高域スペクトル包絡情報と共に出力する符号列に含める。
【0046】
続いて、上述した高域信号生成情報等を用いながら高域信号を生成する本実施の形態における信号復号装置の概略構成を図7に示す。図7に示すように、本実施の形態における信号復号装置30は、デマルチプレクサ31と、低域信号復号回路32と、スペクトル包絡生成回路33と、スペクトル包絡分析生成回路34と、高域信号生成回路35と、加算回路36とから構成されている。
【0047】
デマルチプレクサ31は、信号符号化装置10(図1)から入力した符号列を低域信号符号列、高域スペクトル包絡情報及び高域信号生成情報の3つの情報に分離し、それぞれ低域信号復号回路32、スペクトル包絡生成回路33及び高域信号生成回路35に供給する。
【0048】
低域信号復号回路32は、デマルチプレクサ31から供給された低域信号符号列を復号し、得られた復号低域信号をスペクトル包絡分析生成回路34、高域信号生成回路35及び加算回路36に供給する。
【0049】
スペクトル包絡生成回路33は、デマルチプレクサ31から供給された高域スペクトル包絡情報に基づいて高域スペクトル包絡を生成し、この高域スペクトル包絡を高域信号生成回路35に供給する。
【0050】
スペクトル包絡分析生成回路34は、低域信号復号回路32から供給された復号低域信号を分析して低域スペクトル包絡を生成し、この低域スペクトル包絡を高域信号生成回路35に供給する。
【0051】
高域信号生成回路35は、高域スペクトル包絡及び低域スペクトル包絡、低域信号、及び高域信号生成情報とを用いて後述のように高域信号を生成し、得られた生成高域信号を加算回路36に供給する。
【0052】
加算回路36は、低域信号復号回路32から供給された復号低域信号と高域信号生成回路35から供給された生成高域信号とを加算し、最終的な時系列信号を出力する。
【0053】
ここで、上述した高域信号生成回路35の内部構成を図8に概略的に示す。図8に示すように、高域信号生成回路35は、ノイズ信号発生回路40と、トーン信号発生回路41と、比較合成回路42とから構成されている。
【0054】
ノイズ信号発生回路40は、高域スペクトル包絡及び高域信号生成情報を用いてノイズ信号を生成する。このノイズ信号は、以下の式(4)で示すように、周波数領域上で高域スペクトル包絡を振幅とし位相をランダムとする信号である。なお、式(4)において、kは離散周波数、NSは複素数であるノイズスペクトル、Re{}は複素数の実部、Im{}は複素数の虚部、rは上述したトーン・ノイズ混合情報をそれぞれ示す。また、Eは高域スペクトル包絡、θrはランダム位相、RND()は0から1までの範囲に一様に分布する乱数をそれぞれ示す。
【0055】
【数4】
【0056】
ノイズ信号発生回路40は、この式(4)で得られるノイズ信号スペクトルを比較合成回路42に供給する。
【0057】
一方、トーン信号発生回路41は、高域スペクトル包絡、高域信号生成情報、低域スペクトル包絡及び復号低域信号を用いて、後述のようにトーン信号スペクトルを生成する。トーン信号発生回路41は、生成したトーン信号スペクトルを比較合成回路42に供給する。
【0058】
比較合成回路42は、ノイズ信号発生回路40から供給されたノイズ信号スペクトルとトーン信号発生回路41から供給されたトーン信号スペクトルとについて、周波数軸上での大きさを比較し、離散周波数毎に大きい方のスペクトルを選択して合成スペクトルを生成する。そして、比較合成回路42は、この合成スペクトルを逆離散フーリエ変換(IDFT)して時系列信号に変換し、さらに窓がけを行って前フレームの出力信号とオーバーラップ合成した信号を上述した生成高域信号として出力する。
【0059】
ここで、トーン信号発生回路41における具体的な処理手順を図9乃至図12を用いて説明する。このトーン信号発生回路41は、高域信号生成情報中に含まれる折り返し周波数fa又はシフト周波数fshに基づいて、トーン信号スペクトルを生成することができる。
【0060】
先ず、折り返し周波数faを利用してトーン信号スペクトルを生成する場合の処理手順を図9に示す。図9のステップS20において、復号低域信号を離散フーリエ変換(DFT)して復号低域スペクトルを生成し、続くステップS21において、得られた復号低域スペクトルを低域スペクトル包絡で割って規格化する。
【0061】
続いてステップS22において、規格化低域スペクトルを高域信号生成情報に含まれる折り返し周波数faを中心として線対称に折り返す。
【0062】
この規格化低域スペクトルの折り返しの様子を図10に模式的に示す。なお、この図10では、規格化低域スペクトルにおけるピーク位置のスペクトルのみを表したものである。ピーク位置のスペクトルの周波数を低域からそれぞれf1,f2,f3とすると、折り返し周波数faを用いて、f1,f2,f3は、それぞれf’ 1,f’ 2,f’ 3へと折り返される。このfn(n=1,2,3)とf’ nとの関係は、以下のような式(5)で表すことができる。
【0063】
【数5】
【0064】
再び図9に戻って、ステップS23では、この折り返してできた生成高域スペクトルに高域スペクトル包絡を掛ける。
【0065】
そして、ステップS24において、高域信号生成情報に含まれるトーン・ノイズ混合情報rを用いてゲインの補正を行う。
【0066】
次に、シフト周波数fshを利用してトーン信号スペクトルを生成する場合の処理手順を図11に示す。図11のステップS30において、復号低域信号を離散フーリエ変換(DFT)して復号低域スペクトルを生成し、続くステップS31において、得られた復号低域スペクトルを低域スペクトル包絡で割って規格化する。
【0067】
続いてステップS32において、規格化低域スペクトルを高域信号生成情報に含まれるシフト周波数fshを用いて2fc−fshだけシフトさせる。
【0068】
この規格化低域スペクトルのシフトの様子を図12に模式的に示す。なお、この図12では、規格化低域スペクトルにおけるピーク位置のスペクトルのみを表したものである。ピーク位置のスペクトルの周波数を低域からそれぞれf1,f2,f3とすると、シフト周波数fshを用いて、f1,f2,f3は、それぞれf’ 1,f’ 2,f’ 3へとシフトされる。このfn(n=1,2,3)とf’ nとの関係は、以下のような式(6)で表すことができる。
【0069】
【数6】
【0070】
再び図11に戻って、ステップS33では、この折り返してできた生成高域スペクトルに高域スペクトル包絡を掛ける。
【0071】
そして、ステップS34において、高域信号生成情報に含まれるトーンノイズ合成情報rを用いてゲインの補正を行う。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態における信号復号装置30は、符号列に含まれる折り返し周波数fa、シフト周波数fsh及びトーン・ノイズ混合情報rを含む高域信号生成情報と高域スペクトル包絡を用いて、低域信号から高域信号を生成し、この生成高域信号と低域信号とを足し合わせることで、高域信号まで拡張された時系列信号を出力することができる。
【0073】
なお、上述の説明では、折り返し処理又はシフト処理の一方のみを行うものとして説明したが、処理に余裕がある場合には、フレーム毎に両方の処理を並行して行い、よい結果が得られる方を高域生成法フラグによって指定するようにしても構わない。
【0074】
この場合の信号符号化装置10における処理手順を図13のフローチャートを用いて説明する。先ずステップS40において、先に図3、図4を用いて説明した手順で折り返し処理を行い、最小自乗誤差daとその折り返し周波数faとを保存する。
【0075】
次にステップS41において、先に図5、図6を用いて説明した手順でシフト処理を行い、最小自乗誤差dshとそのシフト周波数fshとを保存する。
【0076】
続いてステップS42では、2つの最小自乗誤差が比較される。具体的には、例えば折り返し処理を行う場合の最小自乗誤差daがシフト処理を行う場合の最小自乗誤差dsh未満であるか否かが判別される。そして、最小自乗誤差daが最小自乗誤差dsh未満である場合(Yes)には折り返し処理の方がよいと判定され、ステップS43において高域生成法フラグが0に設定される。一方、最小自乗誤差daが最小自乗誤差dsh以上である場合(No)にはシフト処理の方がよいと判定され、ステップS44において高域生成法フラグが1に設定される。なお、この高域生成用フラグは、上述した高域信号生成情報に含めることができる。
【0077】
続いて、信号復号装置30における処理手順を図14のフローチャートを用いて説明する。先ずステップS50において、高域生成情報中に含まれる高域生成法フラグを参照し、フラグが0であるか否かが判別される。フラグが0である場合(Yes)には、ステップS51において、折り返し処理によって高域スペクトルの生成を行う。一方、フラグが1である場合(No)には、ステップS52において、シフト処理によって高域スペクトルの生成を行う。
【0078】
ここで、上述した本実施の形態における信号符号化装置10及び信号復号装置30が適用されるシステム全体の構成を図15に示す。
【0079】
図15において、信号復号装置200は、従来の符号化復号システム間を伝送される符号列を復号するものである。この従来規格の信号復号装置200が扱うデータ列のフォーマットの一例を図16(A)に示す。図16(A)に示すように、例えば0番地から99番地までのヘッダ部に、フレームデータ長、メインデータ長、拡張データ長を記録する領域があり、フレームデータ長600のうち、ヘッダ長100を除く500がメインデータに割り当てられており、従来規格の符号列は、この領域に記録される。
【0080】
信号符号化装置100は、上述した信号符号化装置10と同様の構成であり、時系列信号に基づいて、従来の周波数帯域制限された信号の符号列と、その制限された周波数帯域以外の帯域を復号時に生成するための情報とを符号化する。この信号符号化装置100から出力されるデータ列のフォーマットの一例を図16(B)に示す。図16(B)に示すように、0番地から99番地までのヘッダ部に、フレームデータ長、メインデータ長、拡張データ長を記録する領域がある。また、フレームデータ600のうち、メインデータには400が割り当てられ、拡張データに100の領域が割り当てられている。
【0081】
信号復号装置201は、上述した信号復号装置30と同様の構成であり、メインデータを復号すると共に、図16(B)の500番地の拡張データ種別がこの信号復号装置201の規格である場合には、501番地以降の領域についても復号する。これにより、信号復号装置201は、信号符号化装置100により符号化された符号列及び帯域生成情報をもとに、周波数帯域制限された符号列を復号し、また、帯域生成情報をもとに、新たな周波数帯域の信号を生成し、両者を重畳させて最終的な時系列信号を得ることができる。
【0082】
一方、上述の従来規格の信号復号装置200は、この拡張データ領域を理解することができないが、この拡張データ領域を無視するように設計されているため、従来通りにメインデータのみを復号し、周波数帯域制限された時系列信号を得ることができる。
【0083】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0084】
例えば、上述の実施の形態では、ローパスフィルタで帯域制限した低域信号を一定フレーム毎に直交変換して符号化するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、入力された時系列信号を直交変換し、低域スペクトルを抽出して符号化するようにしても構わない。
【0085】
また、上述の実施の形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではなく、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、記録媒体に記録して提供することも可能であり、また、インターネットその他の伝送媒体を介して伝送することにより提供することも可能である。
【0086】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係る信号符号化装置及びその方法は、入力された時系列信号を直交変換して符号化する際に、上記入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する制限帯域のスペクトルを符号化すると共に、復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号を上記制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、該写像の方法を示す写像情報を適応的に生成し、符号化された上記制限帯域のスペクトルと上記写像情報とを出力する。
【0087】
また、本発明に係る信号復号装置及びその方法は、符号化側で入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する符号化された制限帯域のスペクトルと、復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号を上記制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、適応的に生成された該写像の方法を示す写像情報とを入力し、符号化された上記制限帯域のスペクトルを復号して制限帯域の時系列信号を生成すると共に、上記写像情報に基づいて、上記制限帯域のスペクトルから、拡張すべき拡張帯域のスペクトルを求め、当該拡張帯域のスペクトルを逆直交変換して拡張帯域の時系列信号を生成し、上記制限帯域の時系列信号と上記拡張帯域の時系列信号とを加算して出力する。
【0088】
このような信号符号化装置及びその方法、並びに信号復号装置及びその方法によれば、符号化側において、入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する制限帯域のスペクトルを符号化すると共に、復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号をこの制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、該写像の方法を示す写像情報を適応的に生成する。そして、復号側において、符号化された上記制限帯域のスペクトルを復号して制限帯域の時系列信号を生成すると共に、上記写像情報に基づいて、上記制限帯域のスペクトルから、拡張すべき拡張帯域の時系列信号を生成し、上記制限帯域の時系列信号と上記拡張帯域の時系列信号とを加算して出力する。
【0089】
これにより、複雑な高調波が存在する場合であっても、復号時に拡張する周波数帯域で最適な高調波を生成することが可能とされる。
【0090】
また、本発明に係るプログラムは、上述した信号符号化処理又は信号復号処理をコンピュータに実行させるものであり、本発明に係る記録媒体は、そのようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能なものである。
【0091】
このようなプログラム及び記録媒体によれば、上述した信号符号化処理及び信号復号処理をソフトウェアにより実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における信号符号化装置の概略構成を説明する図である。
【図2】同信号符号化装置のスペクトル包絡分析生成回路におけるスペクトルの規格化の様子を模式的に示す図であり、同図(A)は、低域信号及び高域信号のスペクトル包絡を示し、同図(B)は、このスペクトル包絡に基づいて規格化されたスペクトルのスペクトル包絡を示す。
【図3】同信号符号化装置の高域信号生成情報抽出回路において折り返し周波数を決定する手順を説明するフローチャートである。
【図4】折り返し周波数を決定する様子を模式的に示す図である。
【図5】同信号符号化装置の高域信号生成情報抽出回路においてシフト周波数を決定する手順を説明するフローチャートである。
【図6】シフト周波数を決定する様子を模式的に示す図である。
【図7】本実施の形態における信号復号装置の概略構成を説明する図である。
【図8】同信号復号装置における高域信号生成回路の内部構成を概略的に示す図である。
【図9】同高域信号生成回路内のトーン信号発生回路において、折り返し周波数を利用してトーン信号スペクトルを生成する場合の処理手順を説明するフローチャートである。
【図10】同トーン信号発生回路における規格化低域スペクトルの折り返しの様子を模式的に示す図である。
【図11】同高域信号生成回路内のトーン信号発生回路において、シフト周波数を利用してトーン信号スペクトルを生成する場合の処理手順を説明するフローチャートである。
【図12】同トーン信号発生回路における規格化低域スペクトルのシフトの様子を模式的に示す図である。
【図13】高域生成法フラグによって折り返し処理又はシフト処理を指定する場合の信号符号化装置の処理手順を説明するフローチャートである。
【図14】高域生成法フラグによって折り返し処理又はシフト処理が指定されている場合の信号復号装置の処理手順を説明するフローチャートである。
【図15】同信号符号化装置及び同信号復号装置が適用されるシステムの全体構成を示す図である。
【図16】従来規格及び本実施の形態の規格におけるデータ列のフォーマットの一例を示す図であり、同図(A)は、拡張データ領域を有さない従来規格のデータ列を示し、同図(B)は、拡張データ領域を有する本実施の形態の規格のデータ列を示す。
【符号の説明】
10 信号符号化装置、11 ローパスフィルタ、12 低域信号符号化回路、13 遅延回路、14 差分回路、15,16 スペクトル包絡分析生成回路、17 高域信号生成情報抽出回路、18 マルチプレクサ、30 信号復号装置、31 デマルチプレクサ、32 低域信号復号回路、33 スペクトル包絡生成回路、34 スペクトル包絡分析生成回路、35 高域信号生成回路、36加算回路、40 ノイズ信号発生回路、41 トーン信号発生回路、42 比較合成回路
Claims (23)
- 入力された時系列信号を直交変換して符号化する信号符号化装置において、
上記入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する制限帯域のスペクトルを符号化する符号化手段と、
復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号を上記制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、該写像の方法を示す写像情報を適応的に生成する写像情報生成手段と、
符号化された上記制限帯域のスペクトルと上記写像情報とを出力する出力手段と
を備えることを特徴とする信号符号化装置。 - 上記写像は、上記制限帯域のスペクトルを周波数軸上のある位置で折り返す折り返し処理であり、
上記写像情報生成手段は、折り返し位置を適応的に決定して上記写像情報を生成すること
を特徴とする請求項1記載の信号符号化装置。 - 上記写像生成手段は、上記制限帯域のスペクトルをそのスペクトル包絡で規格化し、規格化された上記制限帯域のスペクトルを折り返す位置を適応的に決定して上記写像情報を生成することを特徴とする請求項2記載の信号符号化装置。
- 上記写像生成手段は、周波数軸上のある位置で折り返された上記制限帯域のスペクトルと、復号側で拡張すべき拡張帯域のスペクトルとの距離を算出し、当該距離に基づいて上記折り返し位置を決定することを特徴とする請求項2記載の信号符号化装置。
- 上記距離は、各周波数における上記制限帯域のスペクトルと上記拡張帯域のスペクトルとのレベル差の自乗和であることを特徴とする請求項4記載の信号符号化装置。
- 上記写像は、上記制限帯域のスペクトルを周波数軸上のある位置で平行移動する平行移動処理であり、
上記写像情報生成手段は、平行移動位置を適応的に決定して上記写像情報を生成すること
を特徴とする請求項1記載の信号符号化装置。 - 上記写像生成手段は、上記制限帯域のスペクトルをそのスペクトル包絡で規格化し、規格化された上記制限帯域のスペクトルを平行移動する位置を適応的に決定して上記写像情報を生成することを特徴とする請求項6記載の信号符号化装置。
- 上記写像生成手段は、周波数軸上のある位置で平行移動した上記制限帯域のスペクトルと、復号側で拡張すべき拡張帯域のスペクトルとの距離を算出し、当該距離に基づいて上記平行移動位置を決定することを特徴とする請求項6記載の信号符号化装置。
- 上記写像は、上記制限帯域のスペクトルを周波数軸上のある位置で折り返す折り返し処理、又は上記制限帯域のスペクトルを周波数軸上のある位置で平行移動する平行移動処理であり、
上記写像情報生成手段は、入力された時系列信号の状態に応じて、上記折り返し処理又は上記平行移動処理を適応的に決定して上記写像情報を生成すること
を特徴とする請求項1記載の信号符号化装置。 - 上記拡張すべき周波数帯域は、上記所定の周波数帯域よりも高域であることを特徴とする請求項1記載の信号符号化装置。
- 入力された時系列信号を直交変換して符号化する信号符号化方法において、
上記入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する制限帯域のスペクトルを符号化する符号化工程と、
復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号を上記制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、該写像の方法を示す写像情報を適応的に生成する写像情報生成工程と、
符号化された上記制限帯域のスペクトルと上記写像情報とを出力する出力工程と
を有することを特徴とする信号符号化方法。 - 入力された時系列信号を直交変換して符号化する信号符号化処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
上記入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する制限帯域のスペクトルを符号化する符号化工程と、
復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号を上記制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、該写像の方法を示す写像情報を適応的に生成する写像情報生成工程と、
符号化された上記制限帯域のスペクトルと上記写像情報とを出力する出力工程と
を有することを特徴とするプログラム。 - 入力された時系列信号を直交変換して符号化する信号符号化処理をコンピュータに実行させるプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、
上記入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する制限帯域のスペクトルを符号化する符号化工程と、
復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号を上記制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、該写像の方法を示す写像情報を適応的に生成する写像情報生成工程と、
符号化された上記制限帯域のスペクトルと上記写像情報とを出力する出力工程と
を有することを特徴とするプログラムが記録された記録媒体。 - 符号化側で入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する符号化された制限帯域のスペクトルと、復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号を上記制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、適応的に生成された該写像の方法を示す写像情報とを入力する入力手段と、
符号化された上記制限帯域のスペクトルを復号し、制限帯域の時系列信号を生成する復号手段と、
上記写像情報に基づいて、上記制限帯域のスペクトルから、拡張すべき拡張帯域のスペクトルを求め、当該拡張帯域のスペクトルを逆直交変換して拡張帯域の時系列信号を生成する帯域拡張手段と、
上記制限帯域の時系列信号と上記拡張帯域の時系列信号とを加算して出力する出力手段と
を備えることを特徴とする信号復号装置。 - 上記写像は、上記制限帯域のスペクトルを周波数軸上のある位置で折り返す折り返し処理であり、
上記帯域拡張手段は、符号化側から入力した折り返し位置を示す情報に基づいて、上記拡張帯域のスペクトルを求めること
を特徴とする請求項14記載の信号復号装置。 - 上記帯域拡張手段は、上記制限帯域のスペクトルをそのスペクトル包絡で規格化し、規格化された上記制限帯域のスペクトルを、上記符号化側から入力した折り返し位置を示す情報に基づいて折り返して、上記拡張帯域のスペクトルを求めることを特徴とする請求項15記載の信号復号装置。
- 上記写像は、上記制限帯域のスペクトルを周波数軸上のある位置で平行移動する平行移動処理であり、
上記帯域拡張手段は、符号化側から入力した平行移動位置を示す情報に基づいて、上記拡張帯域のスペクトルを求めること
を特徴とする請求項14記載の信号復号装置。 - 上記帯域拡張手段は、上記制限帯域のスペクトルをそのスペクトル包絡で規格化し、規格化された上記制限帯域のスペクトルを、上記符号化側から入力した平行移動位置を示す情報に基づいて平行移動して、上記拡張帯域のスペクトルを求めることを特徴とする請求項17記載の信号復号装置。
- 上記写像は、上記制限帯域のスペクトルを周波数軸上のある位置で折り返す折り返し処理、又は上記制限帯域のスペクトルを周波数軸上のある位置で平行移動する平行移動処理であり、
上記帯域拡張手段は、入力された時系列信号の状態に応じて設定された選択情報に基づいて上記折り返し処理又は上記平行移動処理を選択し、上記拡張帯域のスペクトルを求めること
を特徴とする請求項14記載の信号復号装置。 - 上記拡張すべき周波数帯域は、上記所定の周波数帯域よりも高域であることを特徴とする請求項14記載の信号復号装置。
- 符号化側で入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する符号化された制限帯域のスペクトルと、復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号を上記制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、適応的に生成された該写像の方法を示す写像情報とを入力する入力工程と、
符号化された上記制限帯域のスペクトルを復号し、制限帯域の時系列信号を生成する復号工程と、
上記写像情報に基づいて、上記制限帯域のスペクトルから、拡張すべき拡張帯域のスペクトルを求め、当該拡張帯域のスペクトルを逆直交変換して拡張帯域の時系列信号を生成する帯域拡張工程と、
上記制限帯域の時系列信号と上記拡張帯域の時系列信号とを加算して出力する出力工程と
を有することを特徴とする信号復号方法。 - 所定の処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
符号化側で入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する符号化された制限帯域のスペクトルと、復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号を上記制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、適応的に生成された該写像の方法を示す写像情報とを入力する入力工程と、
符号化された上記制限帯域のスペクトルを復号し、制限帯域の時系列信号を生成する復号工程と、
上記写像情報に基づいて、上記制限帯域のスペクトルから、拡張すべき拡張帯域のスペクトルを求め、当該拡張帯域のスペクトルを逆直交変換して拡張帯域の時系列信号を生成する帯域拡張工程と、
上記制限帯域の時系列信号と上記拡張帯域の時系列信号とを加算して出力する出力工程と
を有することを特徴とするプログラム。 - 所定の処理をコンピュータに実行させるプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、
符号化側で入力された時系列信号の所定の周波数帯域に対応する符号化された制限帯域のスペクトルと、復号側で拡張すべき周波数帯域の時系列信号を上記制限帯域のスペクトルの写像に基づいて求めるために、適応的に生成された該写像の方法を示す写像情報とを入力する入力工程と、
符号化された上記制限帯域のスペクトルを復号し、制限帯域の時系列信号を生成する復号工程と、
上記写像情報に基づいて、上記制限帯域のスペクトルから、拡張すべき拡張帯域のスペクトルを求め、当該拡張帯域のスペクトルを逆直交変換して拡張帯域の時系列信号を生成する帯域拡張工程と、
上記制限帯域の時系列信号と上記拡張帯域の時系列信号とを加算して出力する出力工程と
を有することを特徴とするプログラムが記録された記録媒体。
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