JP2004079896A - 面発光レーザ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光通信等への応用が可能なだけの出力を有する長波長帯面発光レーザ装置を提供する。
【解決手段】面発光レーザ装置は、0.98μm帯面発光レーザ素子41の上に円柱状の1.3μm帯共振器42を設けた構成を採る。0.98μm帯面発光レーザ素子41は、非酸化p型クラッド層4と非酸化多層反射膜6及び酸化多層膜5で構成され、平面的に見た面積が1.3μm帯共振器42よりも小さい光導波路を有しているので、波長0.98μmのレーザ光の回折損失を小さくできる。また、誘電体多層反射膜26は断熱性の誘電体で構成されているので、熱による性能劣化を低減する。
【選択図】 図1
【解決手段】面発光レーザ装置は、0.98μm帯面発光レーザ素子41の上に円柱状の1.3μm帯共振器42を設けた構成を採る。0.98μm帯面発光レーザ素子41は、非酸化p型クラッド層4と非酸化多層反射膜6及び酸化多層膜5で構成され、平面的に見た面積が1.3μm帯共振器42よりも小さい光導波路を有しているので、波長0.98μmのレーザ光の回折損失を小さくできる。また、誘電体多層反射膜26は断熱性の誘電体で構成されているので、熱による性能劣化を低減する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体を用いた面発光レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
面発光レーザは、半導体基板の主面に対して垂直方向に光を出射するレーザで、2次元に高密度で集積することが可能なデバイスである。そのため、面発光レーザは、並列光情報処理用、光通信用、光インターコネクション用光源として期待されている。
【0003】
しかし、面発光レーザの共振器長は端面発光レーザの共振器長に比べて極めて短いため、利得を確保するために99.9%に近い高反射率の反射膜が必要である。また、面発光レーザにおいては、共振器が極めて小さいことと抵抗が通常のレーザよりはるかに大きいことのために駆動中に多量の熱が発生してキャリアのオーバーフローが起こり、光出力が飽和しやすいという課題があった。特に長波長帯材料では、価電子帯間吸収及びオージェ非発光再結合が短波長帯材料に比べて起こりやすい上、一般的な長波長帯レーザの材料であるInGaAsP(インジウム/ガリウム/ヒ素/リン)系材料では伝導帯オフセットが小さいためキャリアのオーバーフローが起こりやすく、高温度での長波長帯レーザ発振が困難である。
【0004】
以下に、図4を参照して、従来の長波長帯面発光レーザ装置を説明する。
【0005】
図4は、特開2000−232250号公報に開示された従来の長波長帯面発光レーザ装置の構成を模式的に示す断面図である。
【0006】
同図に示すように、従来の長波長帯面発光レーザ装置は、n型GaAs基板101上に形成され、0.98μm帯面発光レーザ素子141と、0.98μm帯面発光レーザ素子141の上に円柱状に形成された0.98μm帯面発光レーザ素子141を励起光源とする1.3μm帯共振器142とから構成されている。
【0007】
0.98μm帯面発光レーザ素子141は、n型GaAs基板101上に順に設けられたn型半導体多層反射膜102、InGaAsからなる波長0.98μmの活性層103、p型クラッド層及び多層反射膜106と、多層反射膜106の上に、1.3μm帯共振器142を挟んで設けられたp側電極108と、n型GaAs基板101の裏面上に設けられたn側電極110を有している。また、0.98μm帯面発光レーザ素子141の上面側には、n型半導体多層反射膜102まで達する溝109が設けられている。そして、p型クラッド層のうち、1.3μm帯共振器142の直下方に位置する領域の一部は非酸化クラッド層104であり、残りの部分は選択酸化クラッド層105となっている。なお、多層反射膜106は、p−GaAs/p−Al0.98GaAsの18ペアからなっているDBRミラーである。ここで、p−GaAs/p−Al0.98GaAsとは、1組のp−GaAs層とp−Al0.98GaAs層を示す表記である。本明細書中では、この他の積層膜についても同様の表記を行なう。
【0008】
一方、1.3μm帯共振器142は、下から順に、アモルファスシリコン(以下、a−Siと表記する)層とAl2O3層の6ペアからなる第1の高反射膜126、p型InPクラッド層125、波長1.3μmの活性層124、n型InPクラッド層123及びa−Si層とAl2O3層の多数ペアからなる第2の高反射膜127とを有している。また、1.3μm帯共振器142の側面及び溝109を含む0.98μm帯面発光レーザ素子141の上面を覆うようにSiO2膜が設けられている。このSiO2膜は、p型電極108を周りの層から電気的に分離させるためのものである。
【0009】
この長波長帯面発光レーザ装置では、波長0.98μmの活性層103に電流を流して波長0.98μmのレーザ光を発光させ、このレーザ光で波長1.3μmの活性層124を励起し、1.3μmのレーザ発振を実現する。
【0010】
このため、従来の長波長帯面発光レーザ装置の温度特性は、温度特性に優れたGaAs系の0.98μm帯面発光レーザ素子141の特性で決定される。すなわち、この構造により、温度特性が改善された長波長帯面発光レーザ装置が実現されている。
【0011】
以上のような構造の従来の長波長帯面発光レーザ装置は、次のようにして製造される。
【0012】
まず、n型GaAs基板101とInP基板とを準備する。そして、n型GaAs基板101上には0.98μm帯面発光レーザ素子141を形成し、InP基板上にはエッチストップ層、n型InPクラッド層123、波長1.3μmの活性層124、p型InPクラッド層125及びa−Si/Al2O3の6ペアからなる第1の高反射膜126を順に形成する。
【0013】
次に、0.98μm帯面発光レーザ素子141の多層反射膜106と第1の高反射膜126とをウエハ融着により接着することで、2つの基板を接着する。続いて、InP基板及びエッチストップ層を除去してから、n型InPクラッド層123の上に多数ペアのa−Si/Al2O3からなる第2の高反射膜127を形成する。
【0014】
そして、第1の高反射膜126及び第2の高反射膜127と、この両層に挟まれた各層とをエッチングによってパターニングし、直径約20μmの円柱状の1.3μm帯共振器142を形成する。次いで、0.98μm帯面発光レーザ素子141の上部に溝109を設ける。その後、0.98μm帯面発光レーザ素子141のAlを含むp型クラッド層を水蒸気下で選択酸化させて、p型クラッド層のうち1.3μm帯共振器142の直下方に位置する領域の一部で、直径約15μmの領域を非酸化クラッド層104とし、残りの部分を選択酸化クラッド層105とする。次に、基板の上面全体にSiO2 を堆積してから第2の高反射膜127の上面と、多層反射膜106の一部を露出させる。そして、多層反射膜106の露出部分の上にp側電極108を、n型GaAs基板101の裏面上にn側電極110を、それぞれ設けることにより、従来の長波長帯面発光レーザ装置が作製される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従来の長波長帯面発光レーザ装置は、波長の短い面発光レーザでより波長の長い面発光レーザの活性層を励起する構成を採っている。しかし、面発光レーザは、端面発光レーザに比べて出力が小さいので、従来の長波長帯面発光レーザ装置において、1.3μm帯共振器に入射される途中で0.98μm帯面発光レーザ素子の励起レーザ光の損失があれば、1.3μm帯共振器142から光通信等に十分な出力のレーザ光を得るのは難しい。
【0016】
ところが、上述した従来の長波長帯面発光レーザ装置では、波長0.98μmの励起レーザ光の回折損失は、選択酸化層がない場合よりも小さくなっているものの、無視できないだけの回折損失はやはり生じている。また、0.98μm帯面発光レーザ素子141の活性層103からの熱が上記第1及び第2の多層膜を通して1.3μm帯共振器142の活性層124に伝導するためキャリアのオーバーフローが起こりやすいという不具合がある。
【0017】
本発明の目的は、光通信等への応用が可能なだけの出力を有する長波長帯面発光レーザ装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の面発光レーザ装置は、半導体基板と、上記半導体基板の上方に設けられた第1の活性層と、上記第1の活性層上に設けられたクラッド層と、上記クラッド層の上に設けられ、複数の層を積層してなる第1の多層膜とを有する面発光レーザ素子と、上記面発光レーザ素子の上方に設けられた第2の多層膜と、上記第2の多層膜の上方に設けられ、上記面発光レーザ素子を励起光源とする第2の活性層と、上記第2の活性層の上方に設けられた第3の多層膜とを有する共振器とを備え、上記クラッド層と、上記第1の多層膜の上記複数の層のうち上記クラッド層から連続する少なくとも2つの層とは、共に上記共振器の直下方に位置する中央部を除いて酸化されており、且つ光導波路を構成している。
【0019】
この構成により、クラッド層及び第1の多層膜の酸化部分と非酸化部分とから構成される光導波路を、従来の面発光レーザ装置よりも光導波路を長くすることができるので、励起光の閉じこめが良好に行われ、第2の活性層を効率良く励起することが可能になる。そのため、光通信等の用途に利用できるだけの出力を有する面発光レーザ装置を実現することができる。
【0020】
上記第1の多層膜を構成する上記少なくとも2つの層の各層は、Alを含んでいることにより、第1の多層膜を選択酸化することで、従来よりも長い光導波路を容易に設けることが可能になる。
【0021】
上記第2の多層膜は、誘電体からなることにより、第2の多層膜が半導体から構成される場合に比べて、膜厚を薄くすることができる。例えば、2つの層が交互に積層される場合、積層されるペア数が少なくてすむ。このため、励起光の回折損失を低減することが可能となる。
【0022】
上記第2の多層膜は、断熱性材料からなることにより、第1の活性層で生じる熱が第2の活性層に伝播しにくくなっているので、熱による面発光レーザ装置の出力低下を抑えることができる。
【0023】
上記第2の多層膜は交互に積層された第1の層及び第2の層から構成され、上記第1の層と上記第2の層の組み合わせは、SiO2とZrO2、SiO2とHfO2、SiO2とTiO2、LaF3とZrO2、LaF3とTiO2のうちから選ばれた1組であることが好ましい。
【0024】
上記第3の多層膜は、上記第2の多層膜を構成する材料よりも熱伝導率の大きい材料から構成されていることにより、第1の活性層で生じる熱が第2の活性層に伝播する場合でも、上方に熱を逃がすことで第2の活性層の温度の上昇を防ぐことができる。そのため、熱による面発光レーザ装置の出力低下をより効果的に抑えることができる。
【0025】
平面的に見て、上記中央部の面積は、上記面発光レーザ素子の面積よりも小さいことにより、面発光レーザ素子から発振された光がより確実に第2の活性層に照射されるので、面発光レーザ装置の出力をさらに向上させることができる。
【0026】
本発明の第2の面発光レーザ装置は、半導体基板と、上記半導体基板の上方に設けられた第1の活性層と、上記第1の活性層上に設けられたクラッド層と、上記クラッド層の上に設けられた第1の多層膜とを有する面発光レーザ素子と、上記面発光レーザ素子の上方に設けられた第2の多層膜と、上記第2の多層膜の上方に設けられ、上記面発光レーザ素子を励起光源とする第2の活性層と、上記第2の活性層の上方に設けられた第3の多層膜とを有する共振器とを備え、上記クラッド層は、上記共振器の直下方に位置する中央部を除いて酸化されるとともに光導波路を構成しており、上記第2の多層膜は、断熱性材料を含んでいることにより、第1の活性層で生じる熱が第2の活性層に伝播しにくくなっているので、熱による面発光レーザ装置の出力低下を抑えることができる。
【0027】
上記第2の多層膜は交互に積層された第1の層及び第2の層から構成され、上記第1の層と上記第2の層の組み合わせは、SiO2とZrO2、SiO2とHfO2、SiO2とTiO2、LaF3とZrO2、LaF3とTiO2のうちから選ばれた1組であることが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明に係る面発光レーザ装置は、従来の長波長帯面発光レーザ装置と同様に、より短い波長帯の面発光レーザを長波長帯共振器の励起光源として用いる構成を採っている。
【0029】
この構成を採用するに際して、本願発明者らは、他の構成を含めて検討を行った。例えば、長波長帯共振器に電流を直接流す一般的な面発光レーザや、面発光レーザに比べて出力が大きい端面発光レーザを長波長帯共振器の励起光源として用いる構成なども検討した。
【0030】
長波長帯共振器に電流を直接流す駆動方法では、上述のように多層反射膜の抵抗が高いため発熱が起こり、これによる不具合を防ぐためには複雑な構成が必要となる。また、端面発光レーザを長波長帯共振器の側方に配置する場合には、活性層の位置合わせ等が困難である上製造コストも高いため、実用的ではなかった。
【0031】
そのため、従来の構成を利用でき、且つ改良の余地がある構成として、従来と同様の構成を採ることとした。そして、種々の検討の結果、回折損失の低減するために、励起用面発光レーザのp型クラッド層から複数層の多層反射膜に亘る選択酸化を行い、光導波路を形成することと、該光導波路の直径を長波長帯共振器の直径よりも十分に小さくすること、及び誘電体で第2の多層膜を構成してペア数を低減することが有効であることが見いだされた。
【0032】
本願発明者らはまた、励起用面発光レーザで発生する熱の長波長帯共振器への影響を低減する手段の検討も行い、長波長帯共振器の多層反射膜のうち励起用面発光レーザに対向する層を断熱性の誘電体材料で構成することが長波長帯共振器の発光効率を向上させる上で有効であることを見いだした。以下に本発明の実施形態を説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る長波長帯面発光レーザ装置の構成を示す断面図である。
【0034】
同図に示すように、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置は、0.98μm帯面発光レーザ素子41上に、0.98μm帯面発光レーザ素子41からのレーザ光によって励起される直径が約20μmの1.3μm帯共振器42が設けられた構造になっている。
【0035】
0.98μm帯面発光レーザ素子41は、n型GaAs基板1の上面上に下から順に設けられたn型半導体多層反射膜2、波長0.98μmの活性層3と、波長0.98μmの活性層3の上であって少なくとも1.3μm帯共振器42の直下方に位置する中央部に設けられた非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6と、波長0.98μmの活性層3の上に設けられ、非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6と同じ層の一部を酸化することにより形成された酸化多層膜5と、非酸化多層反射膜6の上に、1.3μm帯共振器42を挟んで設けられたp側電極8と、n型GaAs基板1の裏面上に設けられたn側電極10を有している。そして、0.98μm帯面発光レーザ素子41の上面側には、n型半導体多層反射膜2まで達する溝9が設けられている。なお、図1に示す例では、非酸化多層反射膜6の一部は、電極とのコンタクトを取るため、酸化多層膜5の上にも設けられている。
【0036】
また、n型半導体多層反射膜2はn−AlGaAs/n−Al0.98GaAsの25ペアからなり、波長0.98μmの活性層3はInGaAsからなる。そして、非酸化p型クラッド層4はp−AlAsからなり、非酸化多層反射膜6はp−AlGaAs/p−AlAsの20ペアからなる。非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6の直径は、ここでは約10μmとなっている。また、n型半導体多層反射膜2及び非酸化多層反射膜6を構成するn−AlGaAs/n−Al0.98GaAs及びp−AlGaAs/p−AlAsの各層の厚みはλ/4n(λ:発振波長、n:屈折率)となっている。
【0037】
次に、1.3μm帯共振器42は、下から順に、SiO2/ZrO2(ジルコニウムオキサイド)の11ペアからなる誘電体多層反射膜26、p型InPクラッド層25、波長1.3μmの活性層24、n型InPクラッド層23及びa−Si/Al2O3の6ペアからなる多層反射膜27とを有している。また、1.3μm帯共振器42の側面及び溝9を含む0.98μm帯面発光レーザ素子41の上面(1.3μm帯共振器42との接触面を除く)を覆うようにSiO2膜7が設けられている。ここで、誘電体多層反射膜26及び多層反射膜27を構成する各層の厚みは、それぞれλ/4nである。また、図1には示されていないが、実際には活性層3の下にもクラッド層がある。
【0038】
本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置が従来のものと異なっている主な点は4つある。
【0039】
まず第1は、p−AlAsにより構成されたクラッド層から複数のp−AlGaAs/p−AlAs層に亘る多数層を選択酸化することにより酸化多層膜5が設けられている点である。本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置では、多層反射膜を構成する全層にAlが含まれているため、多層反射膜を酸化することで、従来よりも厚みのある酸化多層膜5が形成される。
【0040】
これに比べて従来の長波長帯面発光レーザ装置においては、p−AlAsにより構成されたクラッド層のみ酸化している。
【0041】
多層反射膜が酸化されて酸化多層膜5になると、酸化前に比べて屈折率が低くなり、波長0.98μmの活性層3で生じた光は、非酸化p型クラッド層4と非酸化多層反射膜6に集中する。すなわち、非酸化p型クラッド層4と非酸化多層反射膜6と酸化多層膜5とが光導波路としての機能を果たしている。そして、誘電体多層反射膜26を通過して波長1.3μmの活性層24に照射される。
【0042】
ここで、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置では、従来のものより光導波路が長くなっているので、波長0.98μmの光が確実に波長1.3μmの活性層24を励起できるように絞り込まれる。これにより、波長1.3μmの活性層24を励起する際の回折によるエネルギー損失が抑えられ、出力が比較的小さい面発光レーザ素子を用いて長波長帯の共振器を励起させることが可能になる。
【0043】
次に、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置が従来と異なる第2の点は、1.3μm帯共振器42のうち、0.98μm帯面発光レーザ素子41側にある誘電体多層反射膜26が、断熱性材料からなることである。
【0044】
長波長帯面発光レーザ装置の動作時に、波長0.98μmの活性層3は100℃以上もの高温になる。一方で、波長1.3μmの活性層24は、熱の影響を受けるとキャリアのオーバーフローが起こりやすくなり、光出力が低下する。そのため、誘電体多層反射膜26が断熱性材料からなることにより、波長0.98μmの活性層3で発生した熱が波長1.3μmの活性層24に伝わりにくくなり、波長帯面発光レーザ装置を安定して動作させることが可能となる。ここで、断熱性材料とは、熱伝導率が比較的小さい物質を指し、具体的にはSiO2,ZrO2、HfO2,TiO2及びLaF3などの物質である。ただし、多層反射膜として機能させるためには、SiO2/ZrO2のように、屈折率に差がある材料ペアを選択する必要がある。
【0045】
図3(a)は、多層膜の材料として用いられる誘電体の熱伝導率と屈折率の一覧を示す図であり、(b)は、参考までに、多層膜の材料として用いられる半導体の熱伝導率と屈折率の一覧を示す図である。なお、各材料の屈折率は光の波長のより若干変わるが、大きく変わることはない。また、熱伝導率は資料によって多少の違いがあるため、おおよその値を示している。
【0046】
同図(a)を参照して、本実施形態において誘電体多層反射膜26として使用可能な材料の組み合わせは、例えば、SiO2/ZrO2、SiO2/HfO2、SiO2/TiO2、LaF3/ZrO2、LaF3/TiO2などである。これらの組み合わせでは、多層膜がa−Siや半導体からなる場合に比べて熱伝導率が著しく小さくなっていることが分かる。
【0047】
なお、本実施形態においては、誘電体多層反射膜26を誘電体材料で構成している。このため、半導体材料から構成する場合に比べて屈折率の差を取りやすくなっており、ペア数を少なくすることができる。例えば、半導体材料で多層反射膜を構成した場合20ペア以上必要であったが、本実施形態の誘電体多層反射膜26では11ペアのみで反射鏡として機能させることが可能である。反射鏡の各層の厚みは発振波長λと屈折率nによりλ/4nと表せるが、nの絶対値としては半導体も誘電体も大きな差異はないので、ペア数が少ない程厚みを薄くすることができる。そして、誘電体多層反射膜26の厚みが薄いことで、誘電体多層反射膜26を通過する際の波長0.98μmの光の回折損失をさらに小さく抑えることができる。この構造により、さらに効率良く波長1.3μmの活性層24を励起できるようになっている。
【0048】
次に、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置が従来と異なる第3の点は、多層反射膜27が誘電体多層反射膜26の構成材料よりも熱伝導率の大きい材料で構成されている点である。
【0049】
本実施形態では従来と同じa−Si/Al2O3から多層反射膜27を構成する例を示しているが、これに代えてa−Si/MgOやa−Si/NaFなどを用いてもよい。図3(a)から分かるように、これらの材料ペアは、a−Si/Al2O3と同等の熱伝導率を示す上、大きな屈折率差を取ることができる。
【0050】
多層反射膜27を熱伝導性の良い物質で構成することにより、波長1.3μmの活性層24に伝わる熱を速やかに上方に逃がすことができる。誘電体多層反射膜26の厚さは数μm程度であるので、断熱性材料で構成されていても、完全に熱を遮断することは難しい。それ故、多層反射膜27の上方へ熱を逃がすことにより、波長1.3μmの活性層24の温度を下げ、長波長帯面発光レーザ装置の動作をより安定化することができる。
【0051】
次に、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置が従来と異なる第4の点は、1.3μm帯共振器42の直下方に設けられた非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6の上方から見たときの面積が、1.3μm帯共振器42の上方から見たときの面積よりも小さい点である。特に、本実施形態においては、波長0.98μmのレーザ光が、より少ない損失で波長1.3μmの活性層24に照射されるように、非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6の面積と1.3μm帯共振器42の面積の比が最適に調整されている。なぜなら、非酸化層の断面積が大きすぎると波長0.98μmのレーザ光が効率良く波長1.3μmの活性層24に入射されず、0.98μm帯面発光レーザ素子41が正常にレーザ発振しなくなるからである。
【0052】
以上のように、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置によれば、光の回折による損失と、熱の発生による出力及び安定性の低下とを考慮した構成を採ることにより、光通信などに十分な出力で長波長レーザ光を発射することができる。なお、本実施形態の例では出力するレーザ光の波長は1.3μmであったが、長波長帯に限らず、同様の励起構造を用いて他の波長のレーザ光を出力する面発光レーザを作製することが可能である。
【0053】
次に、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置の製造方法について簡単に説明する。
【0054】
図2(a)〜(c)は、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置の製造方法を示す断面図である。
【0055】
まず、図2(a)に示す工程で、n型GaAs基板1とInP基板とを準備する。そして、n型GaAs基板1上には0.98μm帯面発光レーザ素子41を形成し、InP基板上にはエッチストップ層、n型InPクラッド層23、波長1.3μmの活性層24、p型InPクラッド層25及びSiO2/ZrO2の11ペアからなる誘電体多層反射膜26を順に形成する。なお、0.98μm帯面発光レーザ素子41は、p−AlGaAs/p−AlAsの20ペアからなる多層反射膜5aと、p−AlAsからなるp型クラッド層4aと、波長0.98μmの活性層3とを有している。
【0056】
次に、0.98μm帯面発光レーザ素子41の多層反射膜5aと誘電体多層反射膜26とをウエハ融着により接着することで、2つの基板を接着する。続いて、InP基板及びエッチストップ層を除去してから、n型InPクラッド層23の上に6ペアのa−Si/Al2O3からなる多層反射膜27を形成する。
【0057】
そして、誘電体多層反射膜26及び多層反射膜27と、この両層に挟まれた各層とをエッチングによってパターニングし、直径約20μmの円柱状の1.3μm帯共振器42を形成する。次いで、0.98μm帯面発光レーザ素子41の上部に溝9を設ける。
【0058】
次に、図2(b)に示す工程で、0.98μm帯面発光レーザ素子41のp型クラッド層4a及び多層反射膜5aを水蒸気下で選択酸化させて、p型クラッド層4a及び多層反射膜5aのうち1.3μm帯共振器42の直下方に位置する領域で、直径約10μmの領域をそれぞれ非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6とする。また、p型クラッド層4a及び多層反射膜5aのうち酸化された層は、酸化多層膜5とする。
【0059】
次に、図2(c)に示す工程で、基板の上面全体にSiO2 を堆積してから多層反射膜27の上面と、非酸化多層反射膜6の一部を露出させることによりSiO2 膜7を形成する。そして、非酸化多層反射膜6の露出部分の上にp側電極8を、n型GaAs基板1の裏面上にn側電極10を、それぞれ設けることにより、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置が作製される。以上で説明したように、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置は、公知技術を用いて製造することができる。
【0060】
なお、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置では上述の4つの特徴すべてを有する例を示したが、それぞれ1つの特徴のみを有する長波長帯面発光レーザ装置であっても、従来のものに比べて優れた性能を発揮する。
【0061】
例えば、非酸化p型クラッド層4と非酸化多層反射膜6と酸化多層膜5が光導波路としての機能を有し、従来と同じ構成の1.3μm帯共振器42を有する場合でも、波長0.98μmのレーザ光の回折損失が小さくなるので、従来よりも高出力の長波長帯面発光レーザ装置を実現できる。
【0062】
また、誘電体多層反射膜26が断熱性材料からなり、それ以外は従来と同様の構成を有する長波長帯面発光レーザ装置や、多層反射膜27を熱良導体で構成する以外は従来と同様の構成を有する長波長帯面発光レーザ装置であっても、従来よりも高い出力が期待できる。
【0063】
また、非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6と1.3μm帯共振器42の各面積が、0.98μm帯面発光レーザ素子が正常に発振でき、波長0.98μmのレーザ光が最も効率的に波長1.3μmの活性層24に照射されるとともに1.3μmのレーザ光が単一横モードで発振できるように最適化されている構成であれば、1.3μm帯共振器42は従来と同一の構成であってよい。
【0064】
なお、波長0.98μmの活性層3で生じる熱を下方に逃がすために、n側電極10の下方に例えばSiCなどの熱良導体からなる放熱板をさらに設けてもよい。
【0065】
【発明の効果】
本発明の長波長帯面発光レーザ装置によれば、1.3μm帯共振器42よりも面積の小さい光導波路を0.98μm帯面発光レーザ素子41に設けることにより、0.98μm帯面発光レーザ素子41からの光の回折損失を小さくできるので、光通信への応用に使用できるだけの高出力を実現することができる。また、誘電体多層反射膜26を断熱性材料から構成するなど、熱への対策を講ずることにより、より出力を大きくすることが可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る長波長帯面発光レーザ装置の構成を示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る長波長帯面発光レーザ装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】(a),(b)は、それぞれ多層膜の材料として用いられる誘電体の熱伝導率と屈折率の一覧を示す図、及び多層膜の材料として用いられる半導体の熱伝導率と屈折率の一覧を示す図である。
【図4】従来の長波長帯面発光レーザ装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 n型GaAs基板
2 n型半導体多層反射膜
3 波長0.98μmの活性層
4 非酸化p型クラッド層
4a p型クラッド層
5 酸化多層膜
5a 多層反射膜
6 非酸化多層反射膜
7 SiO2膜
8 p側電極
9 溝
10 n型電極
23 n型InPクラッド層
24 波長1.3μmの活性層
25 p型InPクラッド層
26 誘電体多層反射膜
27 多層反射膜
41 0.98μm帯面発光レーザ素子
42 1.3μm帯共振器
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体を用いた面発光レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
面発光レーザは、半導体基板の主面に対して垂直方向に光を出射するレーザで、2次元に高密度で集積することが可能なデバイスである。そのため、面発光レーザは、並列光情報処理用、光通信用、光インターコネクション用光源として期待されている。
【0003】
しかし、面発光レーザの共振器長は端面発光レーザの共振器長に比べて極めて短いため、利得を確保するために99.9%に近い高反射率の反射膜が必要である。また、面発光レーザにおいては、共振器が極めて小さいことと抵抗が通常のレーザよりはるかに大きいことのために駆動中に多量の熱が発生してキャリアのオーバーフローが起こり、光出力が飽和しやすいという課題があった。特に長波長帯材料では、価電子帯間吸収及びオージェ非発光再結合が短波長帯材料に比べて起こりやすい上、一般的な長波長帯レーザの材料であるInGaAsP(インジウム/ガリウム/ヒ素/リン)系材料では伝導帯オフセットが小さいためキャリアのオーバーフローが起こりやすく、高温度での長波長帯レーザ発振が困難である。
【0004】
以下に、図4を参照して、従来の長波長帯面発光レーザ装置を説明する。
【0005】
図4は、特開2000−232250号公報に開示された従来の長波長帯面発光レーザ装置の構成を模式的に示す断面図である。
【0006】
同図に示すように、従来の長波長帯面発光レーザ装置は、n型GaAs基板101上に形成され、0.98μm帯面発光レーザ素子141と、0.98μm帯面発光レーザ素子141の上に円柱状に形成された0.98μm帯面発光レーザ素子141を励起光源とする1.3μm帯共振器142とから構成されている。
【0007】
0.98μm帯面発光レーザ素子141は、n型GaAs基板101上に順に設けられたn型半導体多層反射膜102、InGaAsからなる波長0.98μmの活性層103、p型クラッド層及び多層反射膜106と、多層反射膜106の上に、1.3μm帯共振器142を挟んで設けられたp側電極108と、n型GaAs基板101の裏面上に設けられたn側電極110を有している。また、0.98μm帯面発光レーザ素子141の上面側には、n型半導体多層反射膜102まで達する溝109が設けられている。そして、p型クラッド層のうち、1.3μm帯共振器142の直下方に位置する領域の一部は非酸化クラッド層104であり、残りの部分は選択酸化クラッド層105となっている。なお、多層反射膜106は、p−GaAs/p−Al0.98GaAsの18ペアからなっているDBRミラーである。ここで、p−GaAs/p−Al0.98GaAsとは、1組のp−GaAs層とp−Al0.98GaAs層を示す表記である。本明細書中では、この他の積層膜についても同様の表記を行なう。
【0008】
一方、1.3μm帯共振器142は、下から順に、アモルファスシリコン(以下、a−Siと表記する)層とAl2O3層の6ペアからなる第1の高反射膜126、p型InPクラッド層125、波長1.3μmの活性層124、n型InPクラッド層123及びa−Si層とAl2O3層の多数ペアからなる第2の高反射膜127とを有している。また、1.3μm帯共振器142の側面及び溝109を含む0.98μm帯面発光レーザ素子141の上面を覆うようにSiO2膜が設けられている。このSiO2膜は、p型電極108を周りの層から電気的に分離させるためのものである。
【0009】
この長波長帯面発光レーザ装置では、波長0.98μmの活性層103に電流を流して波長0.98μmのレーザ光を発光させ、このレーザ光で波長1.3μmの活性層124を励起し、1.3μmのレーザ発振を実現する。
【0010】
このため、従来の長波長帯面発光レーザ装置の温度特性は、温度特性に優れたGaAs系の0.98μm帯面発光レーザ素子141の特性で決定される。すなわち、この構造により、温度特性が改善された長波長帯面発光レーザ装置が実現されている。
【0011】
以上のような構造の従来の長波長帯面発光レーザ装置は、次のようにして製造される。
【0012】
まず、n型GaAs基板101とInP基板とを準備する。そして、n型GaAs基板101上には0.98μm帯面発光レーザ素子141を形成し、InP基板上にはエッチストップ層、n型InPクラッド層123、波長1.3μmの活性層124、p型InPクラッド層125及びa−Si/Al2O3の6ペアからなる第1の高反射膜126を順に形成する。
【0013】
次に、0.98μm帯面発光レーザ素子141の多層反射膜106と第1の高反射膜126とをウエハ融着により接着することで、2つの基板を接着する。続いて、InP基板及びエッチストップ層を除去してから、n型InPクラッド層123の上に多数ペアのa−Si/Al2O3からなる第2の高反射膜127を形成する。
【0014】
そして、第1の高反射膜126及び第2の高反射膜127と、この両層に挟まれた各層とをエッチングによってパターニングし、直径約20μmの円柱状の1.3μm帯共振器142を形成する。次いで、0.98μm帯面発光レーザ素子141の上部に溝109を設ける。その後、0.98μm帯面発光レーザ素子141のAlを含むp型クラッド層を水蒸気下で選択酸化させて、p型クラッド層のうち1.3μm帯共振器142の直下方に位置する領域の一部で、直径約15μmの領域を非酸化クラッド層104とし、残りの部分を選択酸化クラッド層105とする。次に、基板の上面全体にSiO2 を堆積してから第2の高反射膜127の上面と、多層反射膜106の一部を露出させる。そして、多層反射膜106の露出部分の上にp側電極108を、n型GaAs基板101の裏面上にn側電極110を、それぞれ設けることにより、従来の長波長帯面発光レーザ装置が作製される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従来の長波長帯面発光レーザ装置は、波長の短い面発光レーザでより波長の長い面発光レーザの活性層を励起する構成を採っている。しかし、面発光レーザは、端面発光レーザに比べて出力が小さいので、従来の長波長帯面発光レーザ装置において、1.3μm帯共振器に入射される途中で0.98μm帯面発光レーザ素子の励起レーザ光の損失があれば、1.3μm帯共振器142から光通信等に十分な出力のレーザ光を得るのは難しい。
【0016】
ところが、上述した従来の長波長帯面発光レーザ装置では、波長0.98μmの励起レーザ光の回折損失は、選択酸化層がない場合よりも小さくなっているものの、無視できないだけの回折損失はやはり生じている。また、0.98μm帯面発光レーザ素子141の活性層103からの熱が上記第1及び第2の多層膜を通して1.3μm帯共振器142の活性層124に伝導するためキャリアのオーバーフローが起こりやすいという不具合がある。
【0017】
本発明の目的は、光通信等への応用が可能なだけの出力を有する長波長帯面発光レーザ装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の面発光レーザ装置は、半導体基板と、上記半導体基板の上方に設けられた第1の活性層と、上記第1の活性層上に設けられたクラッド層と、上記クラッド層の上に設けられ、複数の層を積層してなる第1の多層膜とを有する面発光レーザ素子と、上記面発光レーザ素子の上方に設けられた第2の多層膜と、上記第2の多層膜の上方に設けられ、上記面発光レーザ素子を励起光源とする第2の活性層と、上記第2の活性層の上方に設けられた第3の多層膜とを有する共振器とを備え、上記クラッド層と、上記第1の多層膜の上記複数の層のうち上記クラッド層から連続する少なくとも2つの層とは、共に上記共振器の直下方に位置する中央部を除いて酸化されており、且つ光導波路を構成している。
【0019】
この構成により、クラッド層及び第1の多層膜の酸化部分と非酸化部分とから構成される光導波路を、従来の面発光レーザ装置よりも光導波路を長くすることができるので、励起光の閉じこめが良好に行われ、第2の活性層を効率良く励起することが可能になる。そのため、光通信等の用途に利用できるだけの出力を有する面発光レーザ装置を実現することができる。
【0020】
上記第1の多層膜を構成する上記少なくとも2つの層の各層は、Alを含んでいることにより、第1の多層膜を選択酸化することで、従来よりも長い光導波路を容易に設けることが可能になる。
【0021】
上記第2の多層膜は、誘電体からなることにより、第2の多層膜が半導体から構成される場合に比べて、膜厚を薄くすることができる。例えば、2つの層が交互に積層される場合、積層されるペア数が少なくてすむ。このため、励起光の回折損失を低減することが可能となる。
【0022】
上記第2の多層膜は、断熱性材料からなることにより、第1の活性層で生じる熱が第2の活性層に伝播しにくくなっているので、熱による面発光レーザ装置の出力低下を抑えることができる。
【0023】
上記第2の多層膜は交互に積層された第1の層及び第2の層から構成され、上記第1の層と上記第2の層の組み合わせは、SiO2とZrO2、SiO2とHfO2、SiO2とTiO2、LaF3とZrO2、LaF3とTiO2のうちから選ばれた1組であることが好ましい。
【0024】
上記第3の多層膜は、上記第2の多層膜を構成する材料よりも熱伝導率の大きい材料から構成されていることにより、第1の活性層で生じる熱が第2の活性層に伝播する場合でも、上方に熱を逃がすことで第2の活性層の温度の上昇を防ぐことができる。そのため、熱による面発光レーザ装置の出力低下をより効果的に抑えることができる。
【0025】
平面的に見て、上記中央部の面積は、上記面発光レーザ素子の面積よりも小さいことにより、面発光レーザ素子から発振された光がより確実に第2の活性層に照射されるので、面発光レーザ装置の出力をさらに向上させることができる。
【0026】
本発明の第2の面発光レーザ装置は、半導体基板と、上記半導体基板の上方に設けられた第1の活性層と、上記第1の活性層上に設けられたクラッド層と、上記クラッド層の上に設けられた第1の多層膜とを有する面発光レーザ素子と、上記面発光レーザ素子の上方に設けられた第2の多層膜と、上記第2の多層膜の上方に設けられ、上記面発光レーザ素子を励起光源とする第2の活性層と、上記第2の活性層の上方に設けられた第3の多層膜とを有する共振器とを備え、上記クラッド層は、上記共振器の直下方に位置する中央部を除いて酸化されるとともに光導波路を構成しており、上記第2の多層膜は、断熱性材料を含んでいることにより、第1の活性層で生じる熱が第2の活性層に伝播しにくくなっているので、熱による面発光レーザ装置の出力低下を抑えることができる。
【0027】
上記第2の多層膜は交互に積層された第1の層及び第2の層から構成され、上記第1の層と上記第2の層の組み合わせは、SiO2とZrO2、SiO2とHfO2、SiO2とTiO2、LaF3とZrO2、LaF3とTiO2のうちから選ばれた1組であることが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明に係る面発光レーザ装置は、従来の長波長帯面発光レーザ装置と同様に、より短い波長帯の面発光レーザを長波長帯共振器の励起光源として用いる構成を採っている。
【0029】
この構成を採用するに際して、本願発明者らは、他の構成を含めて検討を行った。例えば、長波長帯共振器に電流を直接流す一般的な面発光レーザや、面発光レーザに比べて出力が大きい端面発光レーザを長波長帯共振器の励起光源として用いる構成なども検討した。
【0030】
長波長帯共振器に電流を直接流す駆動方法では、上述のように多層反射膜の抵抗が高いため発熱が起こり、これによる不具合を防ぐためには複雑な構成が必要となる。また、端面発光レーザを長波長帯共振器の側方に配置する場合には、活性層の位置合わせ等が困難である上製造コストも高いため、実用的ではなかった。
【0031】
そのため、従来の構成を利用でき、且つ改良の余地がある構成として、従来と同様の構成を採ることとした。そして、種々の検討の結果、回折損失の低減するために、励起用面発光レーザのp型クラッド層から複数層の多層反射膜に亘る選択酸化を行い、光導波路を形成することと、該光導波路の直径を長波長帯共振器の直径よりも十分に小さくすること、及び誘電体で第2の多層膜を構成してペア数を低減することが有効であることが見いだされた。
【0032】
本願発明者らはまた、励起用面発光レーザで発生する熱の長波長帯共振器への影響を低減する手段の検討も行い、長波長帯共振器の多層反射膜のうち励起用面発光レーザに対向する層を断熱性の誘電体材料で構成することが長波長帯共振器の発光効率を向上させる上で有効であることを見いだした。以下に本発明の実施形態を説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る長波長帯面発光レーザ装置の構成を示す断面図である。
【0034】
同図に示すように、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置は、0.98μm帯面発光レーザ素子41上に、0.98μm帯面発光レーザ素子41からのレーザ光によって励起される直径が約20μmの1.3μm帯共振器42が設けられた構造になっている。
【0035】
0.98μm帯面発光レーザ素子41は、n型GaAs基板1の上面上に下から順に設けられたn型半導体多層反射膜2、波長0.98μmの活性層3と、波長0.98μmの活性層3の上であって少なくとも1.3μm帯共振器42の直下方に位置する中央部に設けられた非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6と、波長0.98μmの活性層3の上に設けられ、非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6と同じ層の一部を酸化することにより形成された酸化多層膜5と、非酸化多層反射膜6の上に、1.3μm帯共振器42を挟んで設けられたp側電極8と、n型GaAs基板1の裏面上に設けられたn側電極10を有している。そして、0.98μm帯面発光レーザ素子41の上面側には、n型半導体多層反射膜2まで達する溝9が設けられている。なお、図1に示す例では、非酸化多層反射膜6の一部は、電極とのコンタクトを取るため、酸化多層膜5の上にも設けられている。
【0036】
また、n型半導体多層反射膜2はn−AlGaAs/n−Al0.98GaAsの25ペアからなり、波長0.98μmの活性層3はInGaAsからなる。そして、非酸化p型クラッド層4はp−AlAsからなり、非酸化多層反射膜6はp−AlGaAs/p−AlAsの20ペアからなる。非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6の直径は、ここでは約10μmとなっている。また、n型半導体多層反射膜2及び非酸化多層反射膜6を構成するn−AlGaAs/n−Al0.98GaAs及びp−AlGaAs/p−AlAsの各層の厚みはλ/4n(λ:発振波長、n:屈折率)となっている。
【0037】
次に、1.3μm帯共振器42は、下から順に、SiO2/ZrO2(ジルコニウムオキサイド)の11ペアからなる誘電体多層反射膜26、p型InPクラッド層25、波長1.3μmの活性層24、n型InPクラッド層23及びa−Si/Al2O3の6ペアからなる多層反射膜27とを有している。また、1.3μm帯共振器42の側面及び溝9を含む0.98μm帯面発光レーザ素子41の上面(1.3μm帯共振器42との接触面を除く)を覆うようにSiO2膜7が設けられている。ここで、誘電体多層反射膜26及び多層反射膜27を構成する各層の厚みは、それぞれλ/4nである。また、図1には示されていないが、実際には活性層3の下にもクラッド層がある。
【0038】
本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置が従来のものと異なっている主な点は4つある。
【0039】
まず第1は、p−AlAsにより構成されたクラッド層から複数のp−AlGaAs/p−AlAs層に亘る多数層を選択酸化することにより酸化多層膜5が設けられている点である。本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置では、多層反射膜を構成する全層にAlが含まれているため、多層反射膜を酸化することで、従来よりも厚みのある酸化多層膜5が形成される。
【0040】
これに比べて従来の長波長帯面発光レーザ装置においては、p−AlAsにより構成されたクラッド層のみ酸化している。
【0041】
多層反射膜が酸化されて酸化多層膜5になると、酸化前に比べて屈折率が低くなり、波長0.98μmの活性層3で生じた光は、非酸化p型クラッド層4と非酸化多層反射膜6に集中する。すなわち、非酸化p型クラッド層4と非酸化多層反射膜6と酸化多層膜5とが光導波路としての機能を果たしている。そして、誘電体多層反射膜26を通過して波長1.3μmの活性層24に照射される。
【0042】
ここで、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置では、従来のものより光導波路が長くなっているので、波長0.98μmの光が確実に波長1.3μmの活性層24を励起できるように絞り込まれる。これにより、波長1.3μmの活性層24を励起する際の回折によるエネルギー損失が抑えられ、出力が比較的小さい面発光レーザ素子を用いて長波長帯の共振器を励起させることが可能になる。
【0043】
次に、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置が従来と異なる第2の点は、1.3μm帯共振器42のうち、0.98μm帯面発光レーザ素子41側にある誘電体多層反射膜26が、断熱性材料からなることである。
【0044】
長波長帯面発光レーザ装置の動作時に、波長0.98μmの活性層3は100℃以上もの高温になる。一方で、波長1.3μmの活性層24は、熱の影響を受けるとキャリアのオーバーフローが起こりやすくなり、光出力が低下する。そのため、誘電体多層反射膜26が断熱性材料からなることにより、波長0.98μmの活性層3で発生した熱が波長1.3μmの活性層24に伝わりにくくなり、波長帯面発光レーザ装置を安定して動作させることが可能となる。ここで、断熱性材料とは、熱伝導率が比較的小さい物質を指し、具体的にはSiO2,ZrO2、HfO2,TiO2及びLaF3などの物質である。ただし、多層反射膜として機能させるためには、SiO2/ZrO2のように、屈折率に差がある材料ペアを選択する必要がある。
【0045】
図3(a)は、多層膜の材料として用いられる誘電体の熱伝導率と屈折率の一覧を示す図であり、(b)は、参考までに、多層膜の材料として用いられる半導体の熱伝導率と屈折率の一覧を示す図である。なお、各材料の屈折率は光の波長のより若干変わるが、大きく変わることはない。また、熱伝導率は資料によって多少の違いがあるため、おおよその値を示している。
【0046】
同図(a)を参照して、本実施形態において誘電体多層反射膜26として使用可能な材料の組み合わせは、例えば、SiO2/ZrO2、SiO2/HfO2、SiO2/TiO2、LaF3/ZrO2、LaF3/TiO2などである。これらの組み合わせでは、多層膜がa−Siや半導体からなる場合に比べて熱伝導率が著しく小さくなっていることが分かる。
【0047】
なお、本実施形態においては、誘電体多層反射膜26を誘電体材料で構成している。このため、半導体材料から構成する場合に比べて屈折率の差を取りやすくなっており、ペア数を少なくすることができる。例えば、半導体材料で多層反射膜を構成した場合20ペア以上必要であったが、本実施形態の誘電体多層反射膜26では11ペアのみで反射鏡として機能させることが可能である。反射鏡の各層の厚みは発振波長λと屈折率nによりλ/4nと表せるが、nの絶対値としては半導体も誘電体も大きな差異はないので、ペア数が少ない程厚みを薄くすることができる。そして、誘電体多層反射膜26の厚みが薄いことで、誘電体多層反射膜26を通過する際の波長0.98μmの光の回折損失をさらに小さく抑えることができる。この構造により、さらに効率良く波長1.3μmの活性層24を励起できるようになっている。
【0048】
次に、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置が従来と異なる第3の点は、多層反射膜27が誘電体多層反射膜26の構成材料よりも熱伝導率の大きい材料で構成されている点である。
【0049】
本実施形態では従来と同じa−Si/Al2O3から多層反射膜27を構成する例を示しているが、これに代えてa−Si/MgOやa−Si/NaFなどを用いてもよい。図3(a)から分かるように、これらの材料ペアは、a−Si/Al2O3と同等の熱伝導率を示す上、大きな屈折率差を取ることができる。
【0050】
多層反射膜27を熱伝導性の良い物質で構成することにより、波長1.3μmの活性層24に伝わる熱を速やかに上方に逃がすことができる。誘電体多層反射膜26の厚さは数μm程度であるので、断熱性材料で構成されていても、完全に熱を遮断することは難しい。それ故、多層反射膜27の上方へ熱を逃がすことにより、波長1.3μmの活性層24の温度を下げ、長波長帯面発光レーザ装置の動作をより安定化することができる。
【0051】
次に、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置が従来と異なる第4の点は、1.3μm帯共振器42の直下方に設けられた非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6の上方から見たときの面積が、1.3μm帯共振器42の上方から見たときの面積よりも小さい点である。特に、本実施形態においては、波長0.98μmのレーザ光が、より少ない損失で波長1.3μmの活性層24に照射されるように、非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6の面積と1.3μm帯共振器42の面積の比が最適に調整されている。なぜなら、非酸化層の断面積が大きすぎると波長0.98μmのレーザ光が効率良く波長1.3μmの活性層24に入射されず、0.98μm帯面発光レーザ素子41が正常にレーザ発振しなくなるからである。
【0052】
以上のように、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置によれば、光の回折による損失と、熱の発生による出力及び安定性の低下とを考慮した構成を採ることにより、光通信などに十分な出力で長波長レーザ光を発射することができる。なお、本実施形態の例では出力するレーザ光の波長は1.3μmであったが、長波長帯に限らず、同様の励起構造を用いて他の波長のレーザ光を出力する面発光レーザを作製することが可能である。
【0053】
次に、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置の製造方法について簡単に説明する。
【0054】
図2(a)〜(c)は、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置の製造方法を示す断面図である。
【0055】
まず、図2(a)に示す工程で、n型GaAs基板1とInP基板とを準備する。そして、n型GaAs基板1上には0.98μm帯面発光レーザ素子41を形成し、InP基板上にはエッチストップ層、n型InPクラッド層23、波長1.3μmの活性層24、p型InPクラッド層25及びSiO2/ZrO2の11ペアからなる誘電体多層反射膜26を順に形成する。なお、0.98μm帯面発光レーザ素子41は、p−AlGaAs/p−AlAsの20ペアからなる多層反射膜5aと、p−AlAsからなるp型クラッド層4aと、波長0.98μmの活性層3とを有している。
【0056】
次に、0.98μm帯面発光レーザ素子41の多層反射膜5aと誘電体多層反射膜26とをウエハ融着により接着することで、2つの基板を接着する。続いて、InP基板及びエッチストップ層を除去してから、n型InPクラッド層23の上に6ペアのa−Si/Al2O3からなる多層反射膜27を形成する。
【0057】
そして、誘電体多層反射膜26及び多層反射膜27と、この両層に挟まれた各層とをエッチングによってパターニングし、直径約20μmの円柱状の1.3μm帯共振器42を形成する。次いで、0.98μm帯面発光レーザ素子41の上部に溝9を設ける。
【0058】
次に、図2(b)に示す工程で、0.98μm帯面発光レーザ素子41のp型クラッド層4a及び多層反射膜5aを水蒸気下で選択酸化させて、p型クラッド層4a及び多層反射膜5aのうち1.3μm帯共振器42の直下方に位置する領域で、直径約10μmの領域をそれぞれ非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6とする。また、p型クラッド層4a及び多層反射膜5aのうち酸化された層は、酸化多層膜5とする。
【0059】
次に、図2(c)に示す工程で、基板の上面全体にSiO2 を堆積してから多層反射膜27の上面と、非酸化多層反射膜6の一部を露出させることによりSiO2 膜7を形成する。そして、非酸化多層反射膜6の露出部分の上にp側電極8を、n型GaAs基板1の裏面上にn側電極10を、それぞれ設けることにより、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置が作製される。以上で説明したように、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置は、公知技術を用いて製造することができる。
【0060】
なお、本実施形態の長波長帯面発光レーザ装置では上述の4つの特徴すべてを有する例を示したが、それぞれ1つの特徴のみを有する長波長帯面発光レーザ装置であっても、従来のものに比べて優れた性能を発揮する。
【0061】
例えば、非酸化p型クラッド層4と非酸化多層反射膜6と酸化多層膜5が光導波路としての機能を有し、従来と同じ構成の1.3μm帯共振器42を有する場合でも、波長0.98μmのレーザ光の回折損失が小さくなるので、従来よりも高出力の長波長帯面発光レーザ装置を実現できる。
【0062】
また、誘電体多層反射膜26が断熱性材料からなり、それ以外は従来と同様の構成を有する長波長帯面発光レーザ装置や、多層反射膜27を熱良導体で構成する以外は従来と同様の構成を有する長波長帯面発光レーザ装置であっても、従来よりも高い出力が期待できる。
【0063】
また、非酸化p型クラッド層4及び非酸化多層反射膜6と1.3μm帯共振器42の各面積が、0.98μm帯面発光レーザ素子が正常に発振でき、波長0.98μmのレーザ光が最も効率的に波長1.3μmの活性層24に照射されるとともに1.3μmのレーザ光が単一横モードで発振できるように最適化されている構成であれば、1.3μm帯共振器42は従来と同一の構成であってよい。
【0064】
なお、波長0.98μmの活性層3で生じる熱を下方に逃がすために、n側電極10の下方に例えばSiCなどの熱良導体からなる放熱板をさらに設けてもよい。
【0065】
【発明の効果】
本発明の長波長帯面発光レーザ装置によれば、1.3μm帯共振器42よりも面積の小さい光導波路を0.98μm帯面発光レーザ素子41に設けることにより、0.98μm帯面発光レーザ素子41からの光の回折損失を小さくできるので、光通信への応用に使用できるだけの高出力を実現することができる。また、誘電体多層反射膜26を断熱性材料から構成するなど、熱への対策を講ずることにより、より出力を大きくすることが可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る長波長帯面発光レーザ装置の構成を示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る長波長帯面発光レーザ装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】(a),(b)は、それぞれ多層膜の材料として用いられる誘電体の熱伝導率と屈折率の一覧を示す図、及び多層膜の材料として用いられる半導体の熱伝導率と屈折率の一覧を示す図である。
【図4】従来の長波長帯面発光レーザ装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 n型GaAs基板
2 n型半導体多層反射膜
3 波長0.98μmの活性層
4 非酸化p型クラッド層
4a p型クラッド層
5 酸化多層膜
5a 多層反射膜
6 非酸化多層反射膜
7 SiO2膜
8 p側電極
9 溝
10 n型電極
23 n型InPクラッド層
24 波長1.3μmの活性層
25 p型InPクラッド層
26 誘電体多層反射膜
27 多層反射膜
41 0.98μm帯面発光レーザ素子
42 1.3μm帯共振器
Claims (9)
- 半導体基板と、上記半導体基板の上方に設けられた第1の活性層と、上記第1の活性層上に設けられたクラッド層と、上記クラッド層の上に設けられ、複数の層を積層してなる第1の多層膜とを有する面発光レーザ素子と、
上記面発光レーザ素子の上方に設けられた第2の多層膜と、上記第2の多層膜の上方に設けられ、上記面発光レーザ素子を励起光源とする第2の活性層と、上記第2の活性層の上方に設けられた第3の多層膜とを有する共振器と
を備え、
上記クラッド層と、上記第1の多層膜の上記複数の層のうち上記クラッド層から連続する少なくとも2つの層とは、共に上記共振器の直下方に位置する中央部を除いて酸化されており、且つ光導波路を構成していることを特徴とする面発光レーザ装置。 - 請求項1に記載の面発光レーザ装置において、
上記第1の多層膜を構成する上記少なくとも2つの層の各層は、Alを含んでいることを特徴とする面発光レーザ装置。 - 請求項1または2に記載の面発光レーザ装置において、
上記第2の多層膜は、誘電体からなることを特徴とする面発光レーザ装置。 - 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の面発光レーザ装置において、
上記第2の多層膜は、断熱性材料からなることを特徴とする面発光レーザ装置。 - 請求項4に記載の面発光レーザ装置において、
上記第2の多層膜は交互に積層された第1の層及び第2の層から構成され、
上記第1の層と上記第2の層の組み合わせは、SiO2とZrO2、SiO2とHfO2、SiO2とTiO2、LaF3とZrO2、LaF3とTiO2のうちから選ばれた1組であることを特徴とする面発光レーザ装置。 - 請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の面発光レーザ装置において、
上記第3の多層膜は、上記第2の多層膜を構成する材料よりも熱伝導率の大きい材料から構成されていることを特徴とする面発光レーザ装置。 - 請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の面発光レーザ装置において、
平面的に見て、上記中央部の面積は、上記面発光レーザ素子の面積よりも小さいことを特徴とする面発光レーザ装置。 - 半導体基板と、上記半導体基板の上方に設けられた第1の活性層と、上記第1の活性層上に設けられたクラッド層と、上記クラッド層の上に設けられた第1の多層膜とを有する面発光レーザ素子と、
上記面発光レーザ素子の上方に設けられた第2の多層膜と、上記第2の多層膜の上方に設けられ、上記面発光レーザ素子を励起光源とする第2の活性層と、上記第2の活性層の上方に設けられた第3の多層膜とを有する共振器と
を備え、
上記クラッド層は、上記共振器の直下方に位置する中央部を除いて酸化されるとともに光導波路を構成しており、
上記第2の多層膜は、断熱性材料を含んでいることを特徴とする面発光レーザ装置。 - 請求項8に記載の面発光レーザ装置において、
上記第2の多層膜は交互に積層された第1の層及び第2の層から構成され、
上記第1の層と上記第2の層の組み合わせは、SiO2とZrO2、SiO2とHfO2、SiO2とTiO2、LaF3とZrO2、LaF3とTiO2のうちから選ばれた1組であることを特徴とする面発光レーザ装置。
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