JP2004079823A - 封止構造及びその封止構造を用いた太陽電池モジュール及び封止方法及び太陽電池モジュールの封止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水分の浸入を阻止する封止構造及びその封止構造を用いた太陽電池モジュール及び封止方法及び太陽電池モジュールの封止方法を提供する。
【解決手段】透明な絶縁性のガラス基板1に導電体9を設け、基板1に形成された太陽電池ユニット2(透明導電膜3、発電膜4、裏面金属膜5)を封止するように、絶縁層8を有する金属製の封止部材6で太陽電池ユニット2を覆うとともに低融点金属10を用いて封止部材6を導電体9に接合する。
【選択図】 図1
【解決手段】透明な絶縁性のガラス基板1に導電体9を設け、基板1に形成された太陽電池ユニット2(透明導電膜3、発電膜4、裏面金属膜5)を封止するように、絶縁層8を有する金属製の封止部材6で太陽電池ユニット2を覆うとともに低融点金属10を用いて封止部材6を導電体9に接合する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁性の基板上の電気素子等を封止する封止構造及び封止方法に関し、例えば、太陽光の入射側となるガラス等の透明絶縁体上の太陽電池素子が気密封止された太陽電池モジュール等に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
屋外で使用される電気素子には、高い耐環境性が要求される。例えば、太陽電池モジュールは、屋外で、通常20年程度使用されるものであり、そのため、長期間の耐環境性が要求される。求められる耐環境性は、主として耐光性と耐湿性であり、太陽電池素子の周囲に設けられた封止部材等が、それらの機能を果たしている。
【0003】
太陽電池素子の封止部材としては、有機材料が使われることが多く、耐光性に関しては、有機材料でも経年劣化の少ないものが開発されており、現在ではほとんど問題を起こすことはない。しかし、耐湿性に関しては、どんな有機材料を用いても、多少の透湿性を有しており、完全に水分(水蒸気)の浸入を阻止することはできない。そのため、水分の浸入を阻止する封止(シール)方法が求められている。
【0004】
図4は、従来の太陽電池モジュールの一般的な封止構造を示す断面図である。
図4では、スーパーストレート型太陽電池モジュールを図示した。
【0005】
図4に示すように、従来の太陽電池モジュールは、太陽光の入射側となる透明絶縁体のガラス基板1と、ガラス基板1上に形成され、一方の電極となる透明導電膜3(透明電極)と、透明導電膜3上に形成され、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電膜4と、発電膜4上に形成され、他方の電極となる裏面金属膜5とを有している。これらの膜は、上記順に形成されており、透明導電膜3、発電膜4、裏面金属膜5により、太陽電池ユニット2を構成する。透明導電膜3としては、酸化錫等が用いられ、発電膜4としては、薄膜のシリコン等が用いられ、裏面金属膜5としては、アルミニウム等が用いられる。
【0006】
太陽電池ユニット2の背面側(ガラス基板1の反対側面)には、太陽電池ユニット2の封止部材として、被覆部材16等が設けられており、被覆部材16が接着層7を介して太陽電池ユニット2上に積層(ラミネート)されている。
【0007】
被覆部材16としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)/アルミニウム/PETの積層シートやETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体)等のフッ素樹脂系のシート等が用いられる。有機材料だけのシートでは透湿性があるために、上述の積層シートのように金属のアルミニウム層を挟んだり、無機防湿膜をコーティングしたりして、水分(水蒸気)の透過を遮断している。
【0008】
又、接着層7としては、主としてEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等のシートが使用される。通常は、真空中において、被覆部材16の上から熱と圧力をかけつつ、EVAシートを溶融することで封止が行われる。
【0009】
なお、太陽電池ユニット2では、発電領域とその周縁部とを電気的に隔離するため、周縁部に絶縁溝13を設けている。又、ガラス基板1の周縁部には、面取り部分1aが形成されている。
【0010】
図5は、従来の他の太陽電池モジュールの封止構造を示す断面図である。
図5では、カバーガラスを用いた太陽電池モジュールを図示した。
【0011】
図5に示すように、従来の太陽電池モジュールは、発電膜及び電極からなる太陽電池ユニット2に、透明な接着層7を介して、太陽光の入射側にカバーガラス11を設け、その反対側の面に被覆部材16を設けた構造である。太陽電池ユニット2の発電膜としては、結晶シリコンやCIS(CuInSe2)等を用いる。
【0012】
【特許文献1】
特開平11−359331号公報(第2−3頁、第2図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の太陽電池モジュールでは、いずれの場合でも、その端部において、封止部材の一部となり、有機材料からなる接着層7が、外部に露出した状態である。そのため、その端部に更に樹脂を被覆したり(特許文献1参照)、ゴム製のガスケットを接着剤で接合したりして、端部を保護してシールしている(図4、図5では図示していない。)。
【0014】
しかしながら、上述のような保護部材を有していても、太陽電池モジュールの端部を完全に接合していないと、容易に水分の浸入を許すことになる。たとえ完全に接合した状態であっても、上記保護部材も有機材料を使用しているため、徐々にではあるが水分(水蒸気)の浸入は免れない。水分(水蒸気)の浸入は、太陽電池ユニット2の絶縁抵抗の低下や発電性能の低下を引き起こすおそれがあり、太陽電池モジュールを長期間使用することができないおそれがある。
【0015】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、水分の浸入を阻止する封止構造及びその封止構造を用いた太陽電池モジュール及び封止方法及び太陽電池モジュールの封止方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1に係る封止構造は、絶縁性の基板に導電体を設け、前記基板に形成された電気素子を封止するように、前記電気素子を金属製の封止部材で覆うとともに前記封止部材を前記導電体に接合したことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する本発明の請求項2に係る封止構造は、前記封止部材の前記導電体への接合に、低融点金属を用いたことを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決する本発明の請求項3に係る封止構造は、前記導電体と接合する部分を除く前記封止部材の部分に、絶縁性部材を設けたことを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決する本発明の請求項4に係る太陽電池モジュールは、基板を透明な絶縁体とし、電気素子を太陽光により発電する太陽電池素子とし、前記太陽電池素子の前記絶縁体側の導電体を透明電極として、上記いずれかの封止構造を用いて、前記太陽電池素子を封止したことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する本発明の請求項5に係る封止方法は、絶縁性の基板上に電気素子の一方の電極となる導電膜を形成し、前記導電膜とは分離され、絶縁された導電体を絶縁性の基板上に形成し、前記導電膜上に電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に低融点金属を形成し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記導電体に接合して、前記電気素子を封止することを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決する本発明の請求項6に係る封止方法は、絶縁性の基板上に導電体を形成し、前記導電体を除く部分の絶縁性の基板上に、絶縁性部材に挟み込んで電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に低融点金属を形成し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記導電体に接合して、前記電気素子を封止することを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決する本発明の請求項7に係る封止方法は、絶縁性の基板上に電気素子の一方の電極となる導電膜を形成し、前記導電膜とは分離され、絶縁された導電体を絶縁性の基板上に形成し、前記導電膜上に電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を接合し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記金属箔に接合して、前記電気素子を封止することを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決する本発明の請求項8に係る封止方法は、絶縁性の基板上に導電体を形成し、前記導電体を除く部分の絶縁性の基板上に、絶縁性部材に挟み込んで電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を接合し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記金属箔に接合して、前記電気素子を封止することを特徴とする。
【0024】
上記課題を解決する本発明の請求項9に係る封止方法は、前記導電体又は前記金属箔と接合する部分を除く前記封止部材の部分に、絶縁性部材を設けることを特徴とする。
【0025】
上記課題を解決する本発明の請求項10に係る封止方法は、前記導電体又は前記金属箔と接合する前記封止部材の部分に、低融点金属を形成することを特徴とする。
【0026】
上記課題を解決する本発明の請求項11に係る太陽電池モジュールの封止方法は、基板を透明な絶縁体とし、電気素子を太陽光により発電する太陽電池素子とし、前記太陽電池素子の前記絶縁体側の導電体を透明電極として、上記いずれかの封止方法を用いて、前記太陽電池素子を封止することを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、本実施形態に記載された構成部品の種類、形状、その相対配置等は、本発明の範囲をそれのみに限定するものではなく、適宜に変更可能である。
【0028】
又、本実施形態では、本発明に係る封止構造の具体的な適用例として、太陽電池モジュールを用いている。しかしながら、本発明に係る封止構造は、太陽電池モジュールのみならず、耐環境性が要求される他の電気素子にも十分適用可能である。
【0029】
図1は、本発明に係る実施形態の一例を示す太陽電池モジュールの断面図である。
図1では、スーパーストレート型太陽電池モジュールに、本発明を適用したものである。
【0030】
図1に示すように、本発明に係る太陽電池モジュールは、封止に係る部分を除いて、その基本的な構造は、図4に示す従来の太陽電池モジュールと同等である。即ち、本発明に係る太陽電池モジュールは、太陽光の入射側となる透明な絶縁性の基板であるガラス基板1と、ガラス基板1上に全面に形成され、一方の電極となる透明導電膜3(透明電極)と、透明導電膜3上に形成され、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電膜4と、発電膜4上に形成され、他方の電極となる裏面金属膜5とを有している。これらの膜は、上記順に形成されており、透明導電膜3、発電膜4、裏面金属膜5により、太陽電池ユニット2を構成する。透明導電膜3としては、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(インジウム錫複合酸化物)等が用いられ、太陽電池素子となる発電膜4としては、薄膜のシリコン等が用いられ、裏面金属膜5としては、アルミニウム等が用いられる。
【0031】
本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、太陽電池ユニット2を気密封止する封止構造は、レーザスクライブ又は研磨加工の溝によって、ガラス基板1の周縁部における透明導電膜3を分離、絶縁して設けられた導電体9と、太陽電池ユニット2の背面側(ガラス基板1の反対側面)に設けられ、太陽電池ユニット2を覆う金属製の封止部材6とを有し、ガラス基板1の周縁部の導電体9に、封止部材6の周縁部を、はんだ等の低融点金属10を用いて接合したものである。
【0032】
金属製の封止部材6の内側(太陽電池ユニット2側)には、絶縁性部材として、絶縁層8が積層され、更に絶縁性を有する接着層7が絶縁層8と太陽電池ユニット2との隙間に設けられている。なお、接着層7としては、主としてEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等のシートが使用される。
【0033】
太陽電池ユニット2への水分の浸入を阻止する気密封止構造にするには、透湿性のない材料を用いて封止することが理想的であり、金属はその1つである。しかしながら、金属と絶縁体の接着性は、何ら工夫のない状態では、接着性が悪く、気密封止するのは困難である。特に、太陽電池モジュールにおいて、絶縁体である透明なガラス基板1は、必須の構成要素であるため、このガラス基板1に、金属製の封止部材6をいかに接着性よく接合して、気密封止するかが、本発明の特徴となる。本発明では、ガラス基板1上に、ガラス基板1に密着性のよい導電体9を形成し、更に、導電体9と封止部材6との接合を、低融点金属10を溶融することで、接着性よく接合して、気密封止するようにした。
【0034】
封止部材6と導電体9との接合に用いる低融点金属10は、ガラス等の絶縁体に対しては濡れ性が悪く、接着強度が低くなる。しかし、金属や導電酸化物等の導電体に対しては濡れ性がよく、接着強度が高くなる。つまり、接合時における気密封止(シール)の性能を高くすることができる。又、はんだ等の低融点の金属を用いることにより、接合の加工性を容易にし、加工時における太陽電池ユニット2への温度の影響を最小限に抑えることもできる。
【0035】
次に、図1に示した本発明に係る太陽電池モジュールの封止方法を説明する。
【0036】
(ステップ1)
ガラス基板1の全面に、酸化錫等の透明導電膜(導電体)3を形成し、その周縁部を、レーザスクライブ又は研磨加工の溝によって分離、絶縁して、導電体9を形成する。なお、ガラス基板1の周縁部は発電に寄与しない部分であり、極力狭いほうがよく、そのため、導電体9の幅も封止部材6との接合に最低限必要な幅となる。
【0037】
(ステップ2)
ガラス基板1の周縁部を除く透明導電膜3上に、発電膜4及び裏面金属膜5を形成して、太陽電池ユニット2を形成する。
【0038】
(ステップ3)
アルミニウム又はステンレス等の上に銅、亜鉛若しくはニッケルをコーティングして封止部材6を形成し、更に、封止部材6に絶縁層8をコーティングする。封止部材6を接着層7となるEVAシートを介して太陽電池ユニット2上に積層し、真空中で熱圧着する。
【0039】
(ステップ4)
ガラス基板1の周縁部の導電体9上に、はんだ等の低融点金属10を、熱と超音波を印加しながら塗布し、バンプを形成する。
【0040】
(ステップ5)
最後に、封止部材6の周縁部を、導電体9上の低融点金属10に圧接して、熱と超音波を印加しながら低融点金属10を溶融して接合・封止する。
【0041】
なお、導電体9は、同時に積層された透明導電膜3から分離、絶縁して形成するものに限定するのではなく、例えば、ガラス基板1の周縁部を研磨して、ガラス基板1を露出させた後、透明導電膜3と同じの材質又は異なる材質を用いて、導電体9を新たに形成してもよい。
【0042】
又、導電体9上にはんだ等の低融点金属10を塗布する他の方法として、発電膜4の形成前に、クリームはんだを導電体9上にスクリーン印刷して焼成することで、導電体9上にはんだバンプ(低融点金属10)を形成してもよい。この場合、封止部材6をめくって導電体9の狭い領域にはんだを塗布する必要がないため、より簡便にはんだバンプを形成することができる。
【0043】
又、確実な気密封止を期するため、上記のように導電体9上に、はんだバンプを形成するとともに、ステンレス等の封止部材6の周縁部にも、クリームはんだをスクリーン印刷して焼成して、はんだバンプを形成し、その後、その封止部材6の周縁部を導電体9上に圧接して、熱と超音波を印加しながら接合してもよい。
【0044】
図2は、本発明に係る実施形態の他の一例を示す太陽電池モジュールの断面図である。
図2では、カバーガラスを用いた太陽電池モジュールに、本発明を適用したものである。
【0045】
図2に示すように、本発明に係る太陽電池モジュールは、発電膜及び電極からなる太陽電池ユニット2に、透明な接着層7を介して、太陽光の入射側に、透明な絶縁性の基板であるカバーガラス11を設け、その反対側の面に、絶縁層8が積層された金属製の封止部材6を設けた構造である。つまり、太陽電池ユニット2は、接着層7に挟み込まれて、カバーガラス11上に設けられたものである。接着層7、絶縁層8は、太陽電池ユニット2の周囲を絶縁する絶縁部材となる。
【0046】
本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、太陽電池ユニット2を気密封止する封止構造は、カバーガラス11上の周縁部に形成された導電体9と、太陽電池ユニット2の背面側(ガラス基板1の反対側面)に設けられ、太陽電池ユニット2を覆う金属製の封止部材6とを有し、ガラス基板1の周縁部の導電体9に、封止部材6の周縁部を、はんだ等の低融点金属10を用いて接合したものである。
【0047】
次に、図2に示した本発明に係る太陽電池モジュールの封止方法を説明する。
【0048】
(ステップ1)
カバーガラス11の周縁部に、銅又は銀ペーストをスクリーン印刷後、高温で焼成して導電体9を形成する。
【0049】
(ステップ2)
カバーガラス11上の導電体9が形成された周縁部を除く部分に、接着層7となるEVAシート、太陽電池ユニット2、EVAシートを順番に積層し、その上から絶縁層8をコーティングした金属製の封止部材6を積層し、真空中で熱圧着する。
【0050】
(ステップ3)
導電体9上に、はんだ等の低融点金属10を、熱と超音波を印加して塗布しバンプを形成する。
【0051】
(ステップ4)
最後に、封止部材6の周縁部を、低融点金属10に圧接して、熱と超音波を印加しながら低融点金属10を溶融して接合・封止する。
【0052】
なお、導電体9上のはんだバンプの形成は、導電体9を形成後に、はんだ槽にカバーガラス11ごと浸漬して形成する方法でもよく、はんだ塗布作業がより簡便になる。
【0053】
図3は、本発明に係る実施形態の更なる他の一例を示す太陽電池モジュールの断面図である。
本実施例は、図1に示したスーパーストレート型太陽電池モジュール及び図2に示したカバーガラスを用いた太陽電池モジュールの双方に適用できるものであるが、図3では、一例としてスーパーストレート型太陽電池モジュールを用いたものを図示した。
【0054】
本発明に係る太陽電池モジュールは、図1に示したものと同等であるため、基本的な部分の詳細な説明は省略し、本発明に係る封止構造の部分を説明する。
【0055】
本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、太陽電池ユニット2を気密封止する封止構造は、図3に示すように、カバーガラス11上の周縁部に形成された導電体9と、太陽電池ユニット2の背面側(ガラス基板1の反対側面)に設けられ、太陽電池ユニット2を覆う金属製の封止部材6とを有し、ガラス基板1の周縁部の導電体9に、封止部材6の周縁部を、金属箔12を介して2層の低融点金属10a及び10bを用いて接合したものである。
【0056】
これは、低融点金属での封止部材6と導電体9との接合において、予め、片面又は両面に低融点金属を有する金属箔12を作製しておき、その金属箔12を導電体9へ接合することで、より作業性よく低融点金属を領域の狭い導電体9へ形成するためである。
【0057】
次に、図3に示した本発明に係る太陽電池モジュールの封止方法を説明する。
【0058】
(ステップ1)
予め、銅箔等の金属箔12の片面に低融点金属10aを形成しておく。具体的には、金属の箔板の片面にはんだを塗布後、3〜5mm程の幅の線に切断して形成する。
【0059】
(ステップ2)
図3に示すスーパーストレート型太陽電池モジュールの場合、透明絶縁体であるガラス基板1上に、透明導電膜からなる導電体9を形成する。その導電体9の上に、低融点金属10a付き金属箔12を接合する。
【0060】
(ステップ2’)
カバーガラスを用いた太陽電池モジュールの場合は、カバーガラスの周縁部に、銅又は銀ペーストを印刷後、高温で焼成し、導電体9を形成する。その導電体9の上に低融点金属10a付き金属箔12を接合する。
【0061】
(ステップ3)
太陽電池ユニット2及び封止部材6、接着層7、絶縁層8等を形成する。これらの作製工程は自由に設定できるので詳細は省略するが、前述した図1、図2の太陽電池モジュールの封止方法での工程と同等でよい。
【0062】
(ステップ4)
最後に、予め低融点金属10bが塗布されている封止部材6の周縁部を、導電体9上の金属箔12に圧接して、熱と超音波を印可しながら低融点金属10bを溶融して接合・封止する。
【0063】
又、図3に示した本発明に係る太陽電池モジュールの他の封止方法として、予め、銅箔等の金属箔12の両面に、低融点金属10a、10bを形成しておき、導電体9と封止部材6の周縁部の金属部分との間に挟んで、同時に接合・封止してもよい。金属箔12は、具体的には、金属の箔板をはんだ槽に浸漬して両面にはんだを塗布後、3〜5mm程の幅の線に切断して形成する。
【0064】
上記封止方法では、基板の周縁部の狭い領域でのはんだの塗布作業が不要になり、製造の作業性が向上する。又、封止部材6の周縁部の金属部分への低融点金属10の塗布作業は、ガラス基板1より軽く、ハンドリングしやすい(持ち運びしやすい)封止部材6への作業であるため、クリームはんだのスクリーン印刷等も可能であり、作業性に問題はない。
【0065】
図1、図2及び図3に示した実施例において、封止部材6の内側に積層された絶縁層8は、接着層7の絶縁性を高めるため設けたものであるが、接着層7の絶縁性が十分高ければ、必ずしも設ける必要はない。
【0066】
又、EVAシート等の接着層7を用いた熱圧着作業は、必須のものではなく、省略してもよい。ちなみに、EVAシート等の接着層7は弾性があり衝撃吸収性があるので、EVAシート等の熱圧着作業を行わない場合は、絶縁層8に弾性のあるものを使用すればよい。
【0067】
又、前述のPET/アルミニウム/PETの積層シートのように、金属製の封止部材6の両側を絶縁層で被覆するようにしてもよい。但し、この場合、封止部材6の周縁部で金属部分を露出したり、又は封止部材6の周縁部に新たに金属部分を形成したりして、封止部材6の導電体9と接合する部分に金属を、その他の封止部材6の部分に絶縁性部材を設ける構成にする必要がある。
【0068】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、絶縁性の基板に導電体を設け、前記基板に形成された電気素子を封止するように、前記電気素子を金属製の封止部材で覆うとともに前記封止部材を前記導電体に接合した封止構造であるので、有機材料ではなく金属製の封止部材と導電体とを接合することにより、絶縁性の基板上に設けた電気素子への水分(水蒸気)の浸入を阻止する気密封止構造とすることができ、電気素子の長期間の信頼性の向上を図ることができる。
【0069】
請求項2に係る発明によれば、前記封止部材の前記導電体への接合に、低融点金属を用いた封止構造であるので、金属製の封止部材と導電体とを、低融点金属を用いて接合することにより、封止性能(シール性能)を向上させることができる。又、電気素子に与える温度の影響を最小限に抑えることができる。
【0070】
請求項3に係る発明によれば、前記導電体と接合する部分を除く前記封止部材の部分に、絶縁性部材を設けた封止構造であるので、電気素子と金属製の封止部材を確実に絶縁することができる。
【0071】
請求項4に係る発明によれば、基板を透明な絶縁体とし、電気素子を太陽光により発電する太陽電池素子とし、前記太陽電池素子の前記絶縁体側の導電体を透明電極として、上記いずれかの封止構造を用いて、前記太陽電池素子を封止した太陽電池モジュールであるので、金属製の封止部材と導電体とを接合することにより、絶縁性の基板上に設けた電気素子への水分(水蒸気)の浸入を阻止する気密封止構造とすることができる。この封止構造により、有機材料を用いて気密封止していた従来技術では避けられなかった水分(水蒸気)の浸入の問題が解消され、太陽電池モジュールの長期間の信頼性の向上を図ることができる。
【0072】
請求項5に係る発明によれば、絶縁性の基板上に電気素子の一方の電極となる導電膜を形成し、前記導電膜とは分離され、絶縁された導電体を絶縁性の基板上に形成し、前記導電膜上に電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に低融点金属を形成し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記導電体に接合して、前記電気素子を封止する封止方法であるので、金属製の封止部材と導電体とを接合することにより、絶縁性の基板上に設けられた電気素子を、気密封止することができ、水分(水蒸気)の浸入を阻止することができる。
【0073】
請求項6に係る発明によれば、絶縁性の基板上に導電体を形成し、前記導電体を除く部分の絶縁性の基板上に、絶縁性部材に挟み込んで電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に低融点金属を形成し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記導電体に接合して、前記電気素子を封止する封止方法であるので、金属製の封止部材と導電体とを接合することにより、絶縁性の基板上に設けられた電気素子を、気密封止することができ、水分(水蒸気)の浸入を阻止することができる。
【0074】
請求項7に係る発明によれば、絶縁性の基板上に電気素子の一方の電極となる導電膜を形成し、前記導電膜とは分離され、絶縁された導電体を絶縁性の基板上に形成し、前記導電膜上に電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を接合し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記金属箔に接合して、前記電気素子を封止する封止方法であるので、金属製の封止部材と導電体とを金属箔を介して接合することにより、絶縁性の基板上に設けられた電気素子を、気密封止することができ、水分(水蒸気)の浸入を阻止することができる。又、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を用いることにより、導電体での低融点金属の形成作業が簡便となり、作業性を向上させることができる。
【0075】
請求項8に係る発明によれば、絶縁性の基板上に導電体を形成し、前記導電体を除く部分の絶縁性の基板上に、絶縁性部材に挟み込んで電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を接合し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記金属箔に接合して、前記電気素子を封止する封止方法であるので、金属製の封止部材と導電体とを金属箔を介して接合することにより、絶縁性の基板上に設けられた電気素子を、気密封止することができ、水分(水蒸気)の浸入を阻止することができる。又、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を用いることにより、導電体での低融点金属の形成作業が簡便となり、作業性を向上させることができる。
【0076】
請求項9に係る発明によれば、前記導電体又は前記金属箔と接合する部分を除く前記封止部材の部分に、絶縁性部材を設ける封止方法であるので、電気素子と金属製の封止部材を確実に絶縁することができる。
【0077】
請求項10に係る発明によれば、前記導電体又は前記金属箔と接合する前記封止部材の部分に、低融点金属を形成する封止方法であるので、金属製の封止部材の導電体等と接合する部分にも低融点金属を形成することで、導電体等との接合がより確実になり、封止性(シール性)を確実なものとすることができる。
【0078】
請求項11に係る発明によれば、基板を透明な絶縁体とし、電気素子を太陽光により発電する太陽電池素子とし、前記太陽電池素子の前記絶縁体側の導電体を透明電極として、上記いずれかの封止方法を用いて、前記太陽電池素子を封止する太陽電池モジュールの封止方法であるので、金属製の封止部材と導電体とを接合することにより、絶縁性の基板上に設けられた電気素子を、気密封止することができ、水分(水蒸気)の浸入を阻止することができる。この封止方法により、有機材料を用いて気密封止していた従来技術では避けられなかった水分(水蒸気)の浸入の問題が解消され、太陽電池モジュールの長期間の信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の一例であるスーパーストレート型太陽電池モジュールの封止構造を示す断面図である。
【図2】本発明に係る実施形態の他の一例であるカバーガラスを用いた太陽電池モジュールの封止構造を示す断面図である。
【図3】本発明に係る実施形態の他の一例である太陽電池モジュールの封止構造を示す断面図である。
【図4】従来のスーパーストレート型太陽電池モジュールの封止構造を示す断面図である。
【図5】従来のカバーガラスを用いた太陽電池モジュールの封止構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板(絶縁性基板)
2 太陽電池ユニット(電気素子)
3 透明導電膜
4 発電膜
5 裏面金属膜
6 封止部材
7 接着層(絶縁性部材)
8 絶縁層(絶縁性部材)
9 導電体
10 低融点金属
10a 低融点金属
10b 低融点金属
11 カバーガラス(絶縁性基板)
12 金属箔
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁性の基板上の電気素子等を封止する封止構造及び封止方法に関し、例えば、太陽光の入射側となるガラス等の透明絶縁体上の太陽電池素子が気密封止された太陽電池モジュール等に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
屋外で使用される電気素子には、高い耐環境性が要求される。例えば、太陽電池モジュールは、屋外で、通常20年程度使用されるものであり、そのため、長期間の耐環境性が要求される。求められる耐環境性は、主として耐光性と耐湿性であり、太陽電池素子の周囲に設けられた封止部材等が、それらの機能を果たしている。
【0003】
太陽電池素子の封止部材としては、有機材料が使われることが多く、耐光性に関しては、有機材料でも経年劣化の少ないものが開発されており、現在ではほとんど問題を起こすことはない。しかし、耐湿性に関しては、どんな有機材料を用いても、多少の透湿性を有しており、完全に水分(水蒸気)の浸入を阻止することはできない。そのため、水分の浸入を阻止する封止(シール)方法が求められている。
【0004】
図4は、従来の太陽電池モジュールの一般的な封止構造を示す断面図である。
図4では、スーパーストレート型太陽電池モジュールを図示した。
【0005】
図4に示すように、従来の太陽電池モジュールは、太陽光の入射側となる透明絶縁体のガラス基板1と、ガラス基板1上に形成され、一方の電極となる透明導電膜3(透明電極)と、透明導電膜3上に形成され、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電膜4と、発電膜4上に形成され、他方の電極となる裏面金属膜5とを有している。これらの膜は、上記順に形成されており、透明導電膜3、発電膜4、裏面金属膜5により、太陽電池ユニット2を構成する。透明導電膜3としては、酸化錫等が用いられ、発電膜4としては、薄膜のシリコン等が用いられ、裏面金属膜5としては、アルミニウム等が用いられる。
【0006】
太陽電池ユニット2の背面側(ガラス基板1の反対側面)には、太陽電池ユニット2の封止部材として、被覆部材16等が設けられており、被覆部材16が接着層7を介して太陽電池ユニット2上に積層(ラミネート)されている。
【0007】
被覆部材16としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)/アルミニウム/PETの積層シートやETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体)等のフッ素樹脂系のシート等が用いられる。有機材料だけのシートでは透湿性があるために、上述の積層シートのように金属のアルミニウム層を挟んだり、無機防湿膜をコーティングしたりして、水分(水蒸気)の透過を遮断している。
【0008】
又、接着層7としては、主としてEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等のシートが使用される。通常は、真空中において、被覆部材16の上から熱と圧力をかけつつ、EVAシートを溶融することで封止が行われる。
【0009】
なお、太陽電池ユニット2では、発電領域とその周縁部とを電気的に隔離するため、周縁部に絶縁溝13を設けている。又、ガラス基板1の周縁部には、面取り部分1aが形成されている。
【0010】
図5は、従来の他の太陽電池モジュールの封止構造を示す断面図である。
図5では、カバーガラスを用いた太陽電池モジュールを図示した。
【0011】
図5に示すように、従来の太陽電池モジュールは、発電膜及び電極からなる太陽電池ユニット2に、透明な接着層7を介して、太陽光の入射側にカバーガラス11を設け、その反対側の面に被覆部材16を設けた構造である。太陽電池ユニット2の発電膜としては、結晶シリコンやCIS(CuInSe2)等を用いる。
【0012】
【特許文献1】
特開平11−359331号公報(第2−3頁、第2図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の太陽電池モジュールでは、いずれの場合でも、その端部において、封止部材の一部となり、有機材料からなる接着層7が、外部に露出した状態である。そのため、その端部に更に樹脂を被覆したり(特許文献1参照)、ゴム製のガスケットを接着剤で接合したりして、端部を保護してシールしている(図4、図5では図示していない。)。
【0014】
しかしながら、上述のような保護部材を有していても、太陽電池モジュールの端部を完全に接合していないと、容易に水分の浸入を許すことになる。たとえ完全に接合した状態であっても、上記保護部材も有機材料を使用しているため、徐々にではあるが水分(水蒸気)の浸入は免れない。水分(水蒸気)の浸入は、太陽電池ユニット2の絶縁抵抗の低下や発電性能の低下を引き起こすおそれがあり、太陽電池モジュールを長期間使用することができないおそれがある。
【0015】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、水分の浸入を阻止する封止構造及びその封止構造を用いた太陽電池モジュール及び封止方法及び太陽電池モジュールの封止方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1に係る封止構造は、絶縁性の基板に導電体を設け、前記基板に形成された電気素子を封止するように、前記電気素子を金属製の封止部材で覆うとともに前記封止部材を前記導電体に接合したことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する本発明の請求項2に係る封止構造は、前記封止部材の前記導電体への接合に、低融点金属を用いたことを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決する本発明の請求項3に係る封止構造は、前記導電体と接合する部分を除く前記封止部材の部分に、絶縁性部材を設けたことを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決する本発明の請求項4に係る太陽電池モジュールは、基板を透明な絶縁体とし、電気素子を太陽光により発電する太陽電池素子とし、前記太陽電池素子の前記絶縁体側の導電体を透明電極として、上記いずれかの封止構造を用いて、前記太陽電池素子を封止したことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する本発明の請求項5に係る封止方法は、絶縁性の基板上に電気素子の一方の電極となる導電膜を形成し、前記導電膜とは分離され、絶縁された導電体を絶縁性の基板上に形成し、前記導電膜上に電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に低融点金属を形成し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記導電体に接合して、前記電気素子を封止することを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決する本発明の請求項6に係る封止方法は、絶縁性の基板上に導電体を形成し、前記導電体を除く部分の絶縁性の基板上に、絶縁性部材に挟み込んで電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に低融点金属を形成し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記導電体に接合して、前記電気素子を封止することを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決する本発明の請求項7に係る封止方法は、絶縁性の基板上に電気素子の一方の電極となる導電膜を形成し、前記導電膜とは分離され、絶縁された導電体を絶縁性の基板上に形成し、前記導電膜上に電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を接合し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記金属箔に接合して、前記電気素子を封止することを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決する本発明の請求項8に係る封止方法は、絶縁性の基板上に導電体を形成し、前記導電体を除く部分の絶縁性の基板上に、絶縁性部材に挟み込んで電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を接合し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記金属箔に接合して、前記電気素子を封止することを特徴とする。
【0024】
上記課題を解決する本発明の請求項9に係る封止方法は、前記導電体又は前記金属箔と接合する部分を除く前記封止部材の部分に、絶縁性部材を設けることを特徴とする。
【0025】
上記課題を解決する本発明の請求項10に係る封止方法は、前記導電体又は前記金属箔と接合する前記封止部材の部分に、低融点金属を形成することを特徴とする。
【0026】
上記課題を解決する本発明の請求項11に係る太陽電池モジュールの封止方法は、基板を透明な絶縁体とし、電気素子を太陽光により発電する太陽電池素子とし、前記太陽電池素子の前記絶縁体側の導電体を透明電極として、上記いずれかの封止方法を用いて、前記太陽電池素子を封止することを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、本実施形態に記載された構成部品の種類、形状、その相対配置等は、本発明の範囲をそれのみに限定するものではなく、適宜に変更可能である。
【0028】
又、本実施形態では、本発明に係る封止構造の具体的な適用例として、太陽電池モジュールを用いている。しかしながら、本発明に係る封止構造は、太陽電池モジュールのみならず、耐環境性が要求される他の電気素子にも十分適用可能である。
【0029】
図1は、本発明に係る実施形態の一例を示す太陽電池モジュールの断面図である。
図1では、スーパーストレート型太陽電池モジュールに、本発明を適用したものである。
【0030】
図1に示すように、本発明に係る太陽電池モジュールは、封止に係る部分を除いて、その基本的な構造は、図4に示す従来の太陽電池モジュールと同等である。即ち、本発明に係る太陽電池モジュールは、太陽光の入射側となる透明な絶縁性の基板であるガラス基板1と、ガラス基板1上に全面に形成され、一方の電極となる透明導電膜3(透明電極)と、透明導電膜3上に形成され、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電膜4と、発電膜4上に形成され、他方の電極となる裏面金属膜5とを有している。これらの膜は、上記順に形成されており、透明導電膜3、発電膜4、裏面金属膜5により、太陽電池ユニット2を構成する。透明導電膜3としては、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(インジウム錫複合酸化物)等が用いられ、太陽電池素子となる発電膜4としては、薄膜のシリコン等が用いられ、裏面金属膜5としては、アルミニウム等が用いられる。
【0031】
本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、太陽電池ユニット2を気密封止する封止構造は、レーザスクライブ又は研磨加工の溝によって、ガラス基板1の周縁部における透明導電膜3を分離、絶縁して設けられた導電体9と、太陽電池ユニット2の背面側(ガラス基板1の反対側面)に設けられ、太陽電池ユニット2を覆う金属製の封止部材6とを有し、ガラス基板1の周縁部の導電体9に、封止部材6の周縁部を、はんだ等の低融点金属10を用いて接合したものである。
【0032】
金属製の封止部材6の内側(太陽電池ユニット2側)には、絶縁性部材として、絶縁層8が積層され、更に絶縁性を有する接着層7が絶縁層8と太陽電池ユニット2との隙間に設けられている。なお、接着層7としては、主としてEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等のシートが使用される。
【0033】
太陽電池ユニット2への水分の浸入を阻止する気密封止構造にするには、透湿性のない材料を用いて封止することが理想的であり、金属はその1つである。しかしながら、金属と絶縁体の接着性は、何ら工夫のない状態では、接着性が悪く、気密封止するのは困難である。特に、太陽電池モジュールにおいて、絶縁体である透明なガラス基板1は、必須の構成要素であるため、このガラス基板1に、金属製の封止部材6をいかに接着性よく接合して、気密封止するかが、本発明の特徴となる。本発明では、ガラス基板1上に、ガラス基板1に密着性のよい導電体9を形成し、更に、導電体9と封止部材6との接合を、低融点金属10を溶融することで、接着性よく接合して、気密封止するようにした。
【0034】
封止部材6と導電体9との接合に用いる低融点金属10は、ガラス等の絶縁体に対しては濡れ性が悪く、接着強度が低くなる。しかし、金属や導電酸化物等の導電体に対しては濡れ性がよく、接着強度が高くなる。つまり、接合時における気密封止(シール)の性能を高くすることができる。又、はんだ等の低融点の金属を用いることにより、接合の加工性を容易にし、加工時における太陽電池ユニット2への温度の影響を最小限に抑えることもできる。
【0035】
次に、図1に示した本発明に係る太陽電池モジュールの封止方法を説明する。
【0036】
(ステップ1)
ガラス基板1の全面に、酸化錫等の透明導電膜(導電体)3を形成し、その周縁部を、レーザスクライブ又は研磨加工の溝によって分離、絶縁して、導電体9を形成する。なお、ガラス基板1の周縁部は発電に寄与しない部分であり、極力狭いほうがよく、そのため、導電体9の幅も封止部材6との接合に最低限必要な幅となる。
【0037】
(ステップ2)
ガラス基板1の周縁部を除く透明導電膜3上に、発電膜4及び裏面金属膜5を形成して、太陽電池ユニット2を形成する。
【0038】
(ステップ3)
アルミニウム又はステンレス等の上に銅、亜鉛若しくはニッケルをコーティングして封止部材6を形成し、更に、封止部材6に絶縁層8をコーティングする。封止部材6を接着層7となるEVAシートを介して太陽電池ユニット2上に積層し、真空中で熱圧着する。
【0039】
(ステップ4)
ガラス基板1の周縁部の導電体9上に、はんだ等の低融点金属10を、熱と超音波を印加しながら塗布し、バンプを形成する。
【0040】
(ステップ5)
最後に、封止部材6の周縁部を、導電体9上の低融点金属10に圧接して、熱と超音波を印加しながら低融点金属10を溶融して接合・封止する。
【0041】
なお、導電体9は、同時に積層された透明導電膜3から分離、絶縁して形成するものに限定するのではなく、例えば、ガラス基板1の周縁部を研磨して、ガラス基板1を露出させた後、透明導電膜3と同じの材質又は異なる材質を用いて、導電体9を新たに形成してもよい。
【0042】
又、導電体9上にはんだ等の低融点金属10を塗布する他の方法として、発電膜4の形成前に、クリームはんだを導電体9上にスクリーン印刷して焼成することで、導電体9上にはんだバンプ(低融点金属10)を形成してもよい。この場合、封止部材6をめくって導電体9の狭い領域にはんだを塗布する必要がないため、より簡便にはんだバンプを形成することができる。
【0043】
又、確実な気密封止を期するため、上記のように導電体9上に、はんだバンプを形成するとともに、ステンレス等の封止部材6の周縁部にも、クリームはんだをスクリーン印刷して焼成して、はんだバンプを形成し、その後、その封止部材6の周縁部を導電体9上に圧接して、熱と超音波を印加しながら接合してもよい。
【0044】
図2は、本発明に係る実施形態の他の一例を示す太陽電池モジュールの断面図である。
図2では、カバーガラスを用いた太陽電池モジュールに、本発明を適用したものである。
【0045】
図2に示すように、本発明に係る太陽電池モジュールは、発電膜及び電極からなる太陽電池ユニット2に、透明な接着層7を介して、太陽光の入射側に、透明な絶縁性の基板であるカバーガラス11を設け、その反対側の面に、絶縁層8が積層された金属製の封止部材6を設けた構造である。つまり、太陽電池ユニット2は、接着層7に挟み込まれて、カバーガラス11上に設けられたものである。接着層7、絶縁層8は、太陽電池ユニット2の周囲を絶縁する絶縁部材となる。
【0046】
本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、太陽電池ユニット2を気密封止する封止構造は、カバーガラス11上の周縁部に形成された導電体9と、太陽電池ユニット2の背面側(ガラス基板1の反対側面)に設けられ、太陽電池ユニット2を覆う金属製の封止部材6とを有し、ガラス基板1の周縁部の導電体9に、封止部材6の周縁部を、はんだ等の低融点金属10を用いて接合したものである。
【0047】
次に、図2に示した本発明に係る太陽電池モジュールの封止方法を説明する。
【0048】
(ステップ1)
カバーガラス11の周縁部に、銅又は銀ペーストをスクリーン印刷後、高温で焼成して導電体9を形成する。
【0049】
(ステップ2)
カバーガラス11上の導電体9が形成された周縁部を除く部分に、接着層7となるEVAシート、太陽電池ユニット2、EVAシートを順番に積層し、その上から絶縁層8をコーティングした金属製の封止部材6を積層し、真空中で熱圧着する。
【0050】
(ステップ3)
導電体9上に、はんだ等の低融点金属10を、熱と超音波を印加して塗布しバンプを形成する。
【0051】
(ステップ4)
最後に、封止部材6の周縁部を、低融点金属10に圧接して、熱と超音波を印加しながら低融点金属10を溶融して接合・封止する。
【0052】
なお、導電体9上のはんだバンプの形成は、導電体9を形成後に、はんだ槽にカバーガラス11ごと浸漬して形成する方法でもよく、はんだ塗布作業がより簡便になる。
【0053】
図3は、本発明に係る実施形態の更なる他の一例を示す太陽電池モジュールの断面図である。
本実施例は、図1に示したスーパーストレート型太陽電池モジュール及び図2に示したカバーガラスを用いた太陽電池モジュールの双方に適用できるものであるが、図3では、一例としてスーパーストレート型太陽電池モジュールを用いたものを図示した。
【0054】
本発明に係る太陽電池モジュールは、図1に示したものと同等であるため、基本的な部分の詳細な説明は省略し、本発明に係る封止構造の部分を説明する。
【0055】
本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、太陽電池ユニット2を気密封止する封止構造は、図3に示すように、カバーガラス11上の周縁部に形成された導電体9と、太陽電池ユニット2の背面側(ガラス基板1の反対側面)に設けられ、太陽電池ユニット2を覆う金属製の封止部材6とを有し、ガラス基板1の周縁部の導電体9に、封止部材6の周縁部を、金属箔12を介して2層の低融点金属10a及び10bを用いて接合したものである。
【0056】
これは、低融点金属での封止部材6と導電体9との接合において、予め、片面又は両面に低融点金属を有する金属箔12を作製しておき、その金属箔12を導電体9へ接合することで、より作業性よく低融点金属を領域の狭い導電体9へ形成するためである。
【0057】
次に、図3に示した本発明に係る太陽電池モジュールの封止方法を説明する。
【0058】
(ステップ1)
予め、銅箔等の金属箔12の片面に低融点金属10aを形成しておく。具体的には、金属の箔板の片面にはんだを塗布後、3〜5mm程の幅の線に切断して形成する。
【0059】
(ステップ2)
図3に示すスーパーストレート型太陽電池モジュールの場合、透明絶縁体であるガラス基板1上に、透明導電膜からなる導電体9を形成する。その導電体9の上に、低融点金属10a付き金属箔12を接合する。
【0060】
(ステップ2’)
カバーガラスを用いた太陽電池モジュールの場合は、カバーガラスの周縁部に、銅又は銀ペーストを印刷後、高温で焼成し、導電体9を形成する。その導電体9の上に低融点金属10a付き金属箔12を接合する。
【0061】
(ステップ3)
太陽電池ユニット2及び封止部材6、接着層7、絶縁層8等を形成する。これらの作製工程は自由に設定できるので詳細は省略するが、前述した図1、図2の太陽電池モジュールの封止方法での工程と同等でよい。
【0062】
(ステップ4)
最後に、予め低融点金属10bが塗布されている封止部材6の周縁部を、導電体9上の金属箔12に圧接して、熱と超音波を印可しながら低融点金属10bを溶融して接合・封止する。
【0063】
又、図3に示した本発明に係る太陽電池モジュールの他の封止方法として、予め、銅箔等の金属箔12の両面に、低融点金属10a、10bを形成しておき、導電体9と封止部材6の周縁部の金属部分との間に挟んで、同時に接合・封止してもよい。金属箔12は、具体的には、金属の箔板をはんだ槽に浸漬して両面にはんだを塗布後、3〜5mm程の幅の線に切断して形成する。
【0064】
上記封止方法では、基板の周縁部の狭い領域でのはんだの塗布作業が不要になり、製造の作業性が向上する。又、封止部材6の周縁部の金属部分への低融点金属10の塗布作業は、ガラス基板1より軽く、ハンドリングしやすい(持ち運びしやすい)封止部材6への作業であるため、クリームはんだのスクリーン印刷等も可能であり、作業性に問題はない。
【0065】
図1、図2及び図3に示した実施例において、封止部材6の内側に積層された絶縁層8は、接着層7の絶縁性を高めるため設けたものであるが、接着層7の絶縁性が十分高ければ、必ずしも設ける必要はない。
【0066】
又、EVAシート等の接着層7を用いた熱圧着作業は、必須のものではなく、省略してもよい。ちなみに、EVAシート等の接着層7は弾性があり衝撃吸収性があるので、EVAシート等の熱圧着作業を行わない場合は、絶縁層8に弾性のあるものを使用すればよい。
【0067】
又、前述のPET/アルミニウム/PETの積層シートのように、金属製の封止部材6の両側を絶縁層で被覆するようにしてもよい。但し、この場合、封止部材6の周縁部で金属部分を露出したり、又は封止部材6の周縁部に新たに金属部分を形成したりして、封止部材6の導電体9と接合する部分に金属を、その他の封止部材6の部分に絶縁性部材を設ける構成にする必要がある。
【0068】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、絶縁性の基板に導電体を設け、前記基板に形成された電気素子を封止するように、前記電気素子を金属製の封止部材で覆うとともに前記封止部材を前記導電体に接合した封止構造であるので、有機材料ではなく金属製の封止部材と導電体とを接合することにより、絶縁性の基板上に設けた電気素子への水分(水蒸気)の浸入を阻止する気密封止構造とすることができ、電気素子の長期間の信頼性の向上を図ることができる。
【0069】
請求項2に係る発明によれば、前記封止部材の前記導電体への接合に、低融点金属を用いた封止構造であるので、金属製の封止部材と導電体とを、低融点金属を用いて接合することにより、封止性能(シール性能)を向上させることができる。又、電気素子に与える温度の影響を最小限に抑えることができる。
【0070】
請求項3に係る発明によれば、前記導電体と接合する部分を除く前記封止部材の部分に、絶縁性部材を設けた封止構造であるので、電気素子と金属製の封止部材を確実に絶縁することができる。
【0071】
請求項4に係る発明によれば、基板を透明な絶縁体とし、電気素子を太陽光により発電する太陽電池素子とし、前記太陽電池素子の前記絶縁体側の導電体を透明電極として、上記いずれかの封止構造を用いて、前記太陽電池素子を封止した太陽電池モジュールであるので、金属製の封止部材と導電体とを接合することにより、絶縁性の基板上に設けた電気素子への水分(水蒸気)の浸入を阻止する気密封止構造とすることができる。この封止構造により、有機材料を用いて気密封止していた従来技術では避けられなかった水分(水蒸気)の浸入の問題が解消され、太陽電池モジュールの長期間の信頼性の向上を図ることができる。
【0072】
請求項5に係る発明によれば、絶縁性の基板上に電気素子の一方の電極となる導電膜を形成し、前記導電膜とは分離され、絶縁された導電体を絶縁性の基板上に形成し、前記導電膜上に電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に低融点金属を形成し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記導電体に接合して、前記電気素子を封止する封止方法であるので、金属製の封止部材と導電体とを接合することにより、絶縁性の基板上に設けられた電気素子を、気密封止することができ、水分(水蒸気)の浸入を阻止することができる。
【0073】
請求項6に係る発明によれば、絶縁性の基板上に導電体を形成し、前記導電体を除く部分の絶縁性の基板上に、絶縁性部材に挟み込んで電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に低融点金属を形成し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記導電体に接合して、前記電気素子を封止する封止方法であるので、金属製の封止部材と導電体とを接合することにより、絶縁性の基板上に設けられた電気素子を、気密封止することができ、水分(水蒸気)の浸入を阻止することができる。
【0074】
請求項7に係る発明によれば、絶縁性の基板上に電気素子の一方の電極となる導電膜を形成し、前記導電膜とは分離され、絶縁された導電体を絶縁性の基板上に形成し、前記導電膜上に電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を接合し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記金属箔に接合して、前記電気素子を封止する封止方法であるので、金属製の封止部材と導電体とを金属箔を介して接合することにより、絶縁性の基板上に設けられた電気素子を、気密封止することができ、水分(水蒸気)の浸入を阻止することができる。又、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を用いることにより、導電体での低融点金属の形成作業が簡便となり、作業性を向上させることができる。
【0075】
請求項8に係る発明によれば、絶縁性の基板上に導電体を形成し、前記導電体を除く部分の絶縁性の基板上に、絶縁性部材に挟み込んで電気素子を形成し、前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、前記導電体上に、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を接合し、前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記金属箔に接合して、前記電気素子を封止する封止方法であるので、金属製の封止部材と導電体とを金属箔を介して接合することにより、絶縁性の基板上に設けられた電気素子を、気密封止することができ、水分(水蒸気)の浸入を阻止することができる。又、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を用いることにより、導電体での低融点金属の形成作業が簡便となり、作業性を向上させることができる。
【0076】
請求項9に係る発明によれば、前記導電体又は前記金属箔と接合する部分を除く前記封止部材の部分に、絶縁性部材を設ける封止方法であるので、電気素子と金属製の封止部材を確実に絶縁することができる。
【0077】
請求項10に係る発明によれば、前記導電体又は前記金属箔と接合する前記封止部材の部分に、低融点金属を形成する封止方法であるので、金属製の封止部材の導電体等と接合する部分にも低融点金属を形成することで、導電体等との接合がより確実になり、封止性(シール性)を確実なものとすることができる。
【0078】
請求項11に係る発明によれば、基板を透明な絶縁体とし、電気素子を太陽光により発電する太陽電池素子とし、前記太陽電池素子の前記絶縁体側の導電体を透明電極として、上記いずれかの封止方法を用いて、前記太陽電池素子を封止する太陽電池モジュールの封止方法であるので、金属製の封止部材と導電体とを接合することにより、絶縁性の基板上に設けられた電気素子を、気密封止することができ、水分(水蒸気)の浸入を阻止することができる。この封止方法により、有機材料を用いて気密封止していた従来技術では避けられなかった水分(水蒸気)の浸入の問題が解消され、太陽電池モジュールの長期間の信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の一例であるスーパーストレート型太陽電池モジュールの封止構造を示す断面図である。
【図2】本発明に係る実施形態の他の一例であるカバーガラスを用いた太陽電池モジュールの封止構造を示す断面図である。
【図3】本発明に係る実施形態の他の一例である太陽電池モジュールの封止構造を示す断面図である。
【図4】従来のスーパーストレート型太陽電池モジュールの封止構造を示す断面図である。
【図5】従来のカバーガラスを用いた太陽電池モジュールの封止構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板(絶縁性基板)
2 太陽電池ユニット(電気素子)
3 透明導電膜
4 発電膜
5 裏面金属膜
6 封止部材
7 接着層(絶縁性部材)
8 絶縁層(絶縁性部材)
9 導電体
10 低融点金属
10a 低融点金属
10b 低融点金属
11 カバーガラス(絶縁性基板)
12 金属箔
Claims (11)
- 絶縁性の基板に導電体を設け、前記基板に形成された電気素子を封止するように、前記電気素子を金属製の封止部材で覆うとともに前記封止部材を前記導電体に接合したことを特徴とする封止構造。
- 請求項1記載の封止構造において、
前記封止部材の前記導電体への接合に、低融点金属を用いたことを特徴とする封止構造。 - 請求項1又は請求項2記載の封止構造において、
前記導電体と接合する部分を除く前記封止部材の部分に、絶縁性部材を設けたことを特徴とする封止構造。 - 太陽光により発電を行う太陽電池モジュールにおいて、
基板を透明な絶縁体とし、電気素子を太陽光により発電する太陽電池素子とし、前記太陽電池素子の前記絶縁体側の導電体を透明電極として、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の封止構造を用いて、前記太陽電池素子を封止したことを特徴とする太陽電池モジュール。 - 絶縁性の基板上に電気素子の一方の電極となる導電膜を形成し、
前記導電膜とは分離され、絶縁された導電体を絶縁性の基板上に形成し、
前記導電膜上に電気素子を形成し、
前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、
前記導電体上に低融点金属を形成し、
前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記導電体に接合して、前記電気素子を封止することを特徴とする封止方法。 - 絶縁性の基板上に導電体を形成し、
前記導電体を除く部分の絶縁性の基板上に、絶縁性部材に挟み込んで電気素子を形成し、
前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、
前記導電体上に低融点金属を形成し、
前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記導電体に接合して、前記電気素子を封止することを特徴とする封止方法。 - 絶縁性の基板上に電気素子の一方の電極となる導電膜を形成し、
前記導電膜とは分離され、絶縁された導電体を絶縁性の基板上に形成し、
前記導電膜上に電気素子を形成し、
前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、
前記導電体上に、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を接合し、
前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記金属箔に接合して、前記電気素子を封止することを特徴とする封止方法。 - 絶縁性の基板上に導電体を形成し、
前記導電体を除く部分の絶縁性の基板上に、絶縁性部材に挟み込んで電気素子を形成し、
前記電気素子を覆う金属製の封止部材を形成し、
前記導電体上に、片面又は両面に低融点金属を設けた金属箔を接合し、
前記封止部材を、前記低融点金属を溶融して前記金属箔に接合して、前記電気素子を封止することを特徴とする封止方法。 - 請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の封止方法において、
前記導電体又は前記金属箔と接合する部分を除く前記封止部材の部分に、絶縁性部材を設けることを特徴とする封止方法。 - 請求項5乃至請求項9のいずれかに記載の封止方法において、
前記導電体又は前記金属箔と接合する前記封止部材の部分に、低融点金属を形成することを特徴とする封止方法。 - 太陽光により発電を行う太陽電池モジュールの封止方法において、
基板を透明な絶縁体とし、電気素子を太陽光により発電する太陽電池素子とし、前記太陽電池素子の前記絶縁体側の伝導体を透明電極として、請求項5乃至請求項10のいずれかに記載の封止方法を用いて、前記太陽電池素子を封止することを特徴とする太陽電池モジュールの封止方法。
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