JP2004079229A - レドックスフロー電池用電極の再賦活方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】増大したセル抵抗を回復させて電池効率を改善することができるレドックスフロー電池用電極の再賦活方法を提供する。
【解決手段】電解液が含浸されるレドックスフロー電池用電極に付着した有機物を有機溶剤で洗浄する。レドックスフロー電池の構成材料に用いられる有機化合物からの分解物・溶出物が電解液に混入し、その状態で電解液がセル内を流通することで電極に付着した有機物を有機溶剤で洗浄して、セル抵抗を効果的に回復させる。
【選択図】 なし
【解決手段】電解液が含浸されるレドックスフロー電池用電極に付着した有機物を有機溶剤で洗浄する。レドックスフロー電池の構成材料に用いられる有機化合物からの分解物・溶出物が電解液に混入し、その状態で電解液がセル内を流通することで電極に付着した有機物を有機溶剤で洗浄して、セル抵抗を効果的に回復させる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解液が浸漬されるレドックスフロー電池用電極の再賦活方法に関するものである。特に、増大したセル抵抗を回復させるのに最適なレドックスフロー電池用電極の再賦活方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レドックスフロー電池は、従来、負荷平準化や瞬停対策用として利用されている。図1はレドックスフロー電池の動作原理を示す説明図である。この電池は、イオン交換膜からなる隔膜103で正極セル100Aと負極セル100Bとに分離されたセル100を具える。正極セル100Aと負極セル100Bの各々には正極電極104と負極電極105とを内蔵している。正極セル100Aには正極電解液を供給・排出するための正極用タンク101が導管106、107を介して接続されている。負極セル100Bにも負極電解液を導入・排出する負極用タンク102が同様に導管109、110を介して接続されている。各電解液にはバナジウムイオンなど原子価が変化するイオンの水溶液を用い、ポンプ108、111で循環させ、正負極電極104、105におけるイオンの価数変化反応に伴って充放電を行う。例えば、バナジウムイオンを含む電解液を用いた場合、セル内で充放電時に生じる反応は次のとおりである。
正極:V4+→V5++e−(充電) V4+←V5++e−(放電)
負極:V3++e−→V2+(充電) V3++e−←V2+(放電)
【0003】
このようなレドックスフロー電池は、電極にごみなどの異物が付着することで電池効率が徐々に低下する。そこで、電池効率を回復させる方法として、例えば、特開平10−308232号公報記載の技術や、特開2000−200615号公報記載の技術がある。
【0004】
前者には、電極にごみなどの異物が付着して電極が目詰まりし、セルの内部抵抗が増加することで低下した電池効率を改善するために、運転時と逆方向から蒸留水などの洗浄液を送り込み、異物を除去する技術が開示されている。
【0005】
後者には、電極表面にバナジウムの酸化物などが析出して電極面積が減少することで低下した電池効率を改善するために、電極表面をアルカリ洗浄して、析出物を溶解除去する技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術では、電極表面に付着した有機物を除去することができないという問題がある。
本発明者らは、電池効率が低下する原因として、種々検討した結果、レドックスフロー電池の構成材料に用いられている有機化合物が分解・溶出して電解液中に混入し、これら有機物が電極に付着することで電極の性能が低下する、即ちセル抵抗が増大する可能性が高いことを見出した。
【0007】
そこで、本発明の主目的は、増大したセル抵抗を回復させて電池効率を改善することができるレドックスフロー電池用電極の再賦活方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電極に付着した有機物を有機溶剤により分解除去することで上記目的を達成する。
即ち、本発明レドックスフロー電池用電極の再賦活方法は、電解液が含浸されるレドックスフロー電池用電極に付着した有機物を有機溶剤で洗浄することを特徴とする。
【0009】
従来、電池効率が低下する原因として、電極に異物が付着することや電極表面にバナジウムの酸化物・硫酸塩などが析出することが知られており、これら異物や析出物を蒸留水やアルカリなどで除去することが行われている。しかし、本発明者らは、電極に異物や析出物以外に有機物が付着して、電極の性能を低下させる可能性があることを見出した。レドックスフロー電池は、例えば、配管、電解液のタンク、セルフレーム、隔膜など、その構成材料に有機化合物が多く用いられている。これら構成材料は、通常、耐酸性であるが、電解液としてよく用いられる硫酸バナジウムイオン溶液などに長時間含浸されることで、上記有機物がわずかずつであるが分解、溶出する。そして、この分解物・溶出物が電解液中に混入し、その状態で電解液がセル内を流通することで、電極に有機物が付着すると推測される。
【0010】
ここで、特開平10−308232号公報に記載される蒸留水や希硫酸などの洗浄液や、特開2000−200615号公報に記載されるアルカリ洗浄では、有機物の洗浄液への溶解度が極めて小さく、有機物を効果的に除去することは困難である。一方、有機溶剤は、その親和性によって電極表面に付着した有機物を分解除去できると考えられる。そこで、本発明は、電極に付着した有機物を効果的に分解除去すべく、有機溶剤で洗浄する。
【0011】
本発明において電極の洗浄は、電池から取り出された電極を洗浄する場合と、電池から電極を取り出すことなく洗浄する場合、即ち電極を電池に具えたままの状態で電極を洗浄する場合とが考えられる。前者の場合、例えば、レドックスフロー電池のセル抵抗を測定しておき、セル抵抗が一定値以上になったら、電池の運転を停止し、電池を分解して電極を取り出した後、電極を有機溶剤で超音波洗浄したり、還流条件下で洗浄させたりすることで行うとよい。超音波洗浄は、公知の超音波洗浄器などを用いて行うとよい。還流条件下で洗浄させる場合は、例えば、容器に電極と有機溶剤とを入れ、容器の上部に冷却器を設置して、容器を加熱して還流させるなどが挙げられる。有機溶剤で洗浄した電極は、再びレドックスフロー電池に用いる。
【0012】
有機溶剤は、炭化水素類、含ハロゲン類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類から選ばれる少なくとも1種が好ましい。より具体的には、炭化水素類はn−ヘキサン、ベンゼンなど、含ハロゲン類はクロロホルム、ジクロロメタンなど、アルコール類はエタノールなど、ケトン類はアセトンなど、エステル類は酢酸エチルなど、エーテル類はジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。なお、これら有機溶剤により電極を洗浄した後は、室温などで乾燥させることで有機溶剤を除去する。
【0013】
上記は、レドックスフロー電池から電極が取り出された状態で洗浄する場合を説明したが、電池から取り出さず電極を電池に具えたままで、有機溶剤を電池のセル内に導入して電極を洗浄してもよい。
【0014】
有機溶剤の電池内への導入は、例えば、以下のように行うとよい。図2は、本発明再賦活方法の概念を示す説明図であり、セル及び両極用タンク側を中心に示しており、変換器などは省略している。
【0015】
(1) 図2に示すように別途用意した有機溶剤タンク10を電解液の供給側導管106及び109、排出側導管107及び110に接続し、各導管106、107、109、110にバルブ11、12、13、14を設けておく。また、有機溶剤タンク10と各導管との接続管にも、バルブ15、16、17、18を設けておく。電池を運転する際は、バルブ11、12、13、14を開け、バルブ15、16、17、18を閉じる。
(2) レドックスフロー電池のセル抵抗を測定しておき、セル抵抗が一定値以上になったら、電池の運転を停止する。
(3) 電解液のタンク側に有機溶剤が流れ込まないようにバルブ11、12、13、14を閉じ、バルブ15、16、17、18を開ける。
(4) 有機溶剤をセル100内に導入して電極104、105を洗浄する。このとき、ポンプ19、20などを用いて、供給側導管106及び109を介してセル100内に有機溶剤を導入し、排出側導管107、110から有機溶剤タンク10に戻す。このようにそれぞれの極において、有機溶剤を循環させることにより電極104、105の洗浄を行う。このとき、有機溶剤を循環させることで、有機溶剤中の有機物が電極に再付着することが考えられる。そこで、セルに有機溶剤を導入する導入側又は排出する排出側の少なくとも一方に、有機物の吸着能を有するろ過手段を具えることが好ましい。ろ過手段は、有機物の吸着に優れる活性炭フィルタなどが好ましい。
(5) 洗浄が終わったら、バルブ15、16、17、18を閉じ、バルブ11、12、13、14を開けて、再び、電解液を流通させて運転を再開する。なお、有機溶剤で洗浄後、乾燥空気をセル内に導入させることで乾燥させて、有機溶剤の除去を行う。
【0016】
なお、有機溶剤を電池内に導入して電極を洗浄する場合、電極以外の電池構成材料が有機溶剤により劣化させる恐れがあるため、劣化させる恐れのある有機溶剤は用いない。或いは、有機溶剤の量、電極に接触させる時間などを制限することで有機溶剤による電池構成材料の劣化を防止する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(試験例)
有機物を付着させた電極を用いて小型のレドックスフロー電池を作製し、充放電試験を行った後、有機溶剤を用いて電極を洗浄処理し、処理前後のセル抵抗を見積もった。試験の手順を以下に示す。
【0018】
(1) 有機物を後述するようにして電極に付着させる。
(2) 有機物を付着させた電極を用いてレドックスフロー電池を作製し、下記の充放電条件で1回目の充放電試験を行い、セル抵抗を見積もる。
(3) 充放電後、レドックスフロー電池を分解して電極を取り出し、電極を有機溶剤で洗浄する。
(4) 電極を有機溶剤で洗浄後、室温で乾燥させて有機溶剤を除去する。
(5) 洗浄し、有機溶剤を除去した電極を用いて、再びレドックスフロー電池を作製し、下記の充放電条件で2回目の充放電試験を行い、セル抵抗を見積もる。
【0019】
有機物は、電池構成物質から分解・溶出すると考えられる物質、具体的には、アクリル酸、カルボン酸、脂質、脂肪酸、フェノール類、エステル類、エーテル類、酸無水物、スチレン類、有機シリコン類、ピリジン類、含ハロゲン化合物を用意した。そして、上記物質をそれぞれ等量秤量し、これら有機物を溶解する有機溶剤、例えば、アセトンなどを用いて0.1重量%の濃度に薄め、この有機物溶液に電極を浸漬し、取り出して有機溶剤を揮発させることで、電極表面に有機物を塗布する。
【0020】
レドックスフロー電池は、図1に示す構成のもので、3cm×3cmの電極を1枚使用した小型のもの(セル全体:8cm×6cm)を用いた。電解液は、硫酸バナジウムイオン溶液を用いた。
【0021】
有機溶剤は、表1に示すもの(エタノール、アセトン)を用い、これら溶剤(25℃)で15分間超音波洗浄することで電極の再賦活処理を行った。超音波洗浄には、シャープ株式会社製 UC−302超音波洗浄槽を用いた。
【0022】
(充放電条件)
充放電方法:定電流
電流密度 :70(mA/cm2)
充電終了電圧:1.55(V)
放電終了電圧:1.00(V)
温度 :25℃
【0023】
試験の結果を表1に示す。また、比較として、洗浄に水を用いたもの、希硫酸を用いたものも表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1に示すように、エタノールやアセトンで洗浄した試料No.3及び4は、セル抵抗の回復量(洗浄処理前のセル抵抗▲1▼から洗浄処理後のセル抵抗▲2▼を引いたもの)が大きく、セル抵抗を低減していることがわかる。従って、有機溶剤で電極を洗浄することで、電池効率を改善できると推測される。
【0026】
これに対し、水で洗浄した試料No.1は、洗浄前後でセル抵抗がほとんど変化していない。また、溶解度が小さい希硫酸を用いた試料No.2も、試料No.3及び4と比較して回復量が小さかった。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電極を有機溶剤で洗浄することで有機物に汚染された電極を再賦活することができるという優れた効果を奏し得る。従って、本発明は、増大したセル抵抗を低減させて電池効率を改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】レドックスフロー電池の動作原理を示す説明図である。
【図2】本発明再賦活方法の概念を示す説明図である。
【符号の説明】
10 有機溶剤タンク 11、12、13、14、15、16、17、18 バルブ
19、20 ポンプ
100 セル 100A 正極セル 100B 負極セル 101 正極用タンク
102 負極用タンク 103 隔膜 104 正極電極 104 正負極電極
105 負極電極 106、107、109、110 導管 108 ポンプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解液が浸漬されるレドックスフロー電池用電極の再賦活方法に関するものである。特に、増大したセル抵抗を回復させるのに最適なレドックスフロー電池用電極の再賦活方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レドックスフロー電池は、従来、負荷平準化や瞬停対策用として利用されている。図1はレドックスフロー電池の動作原理を示す説明図である。この電池は、イオン交換膜からなる隔膜103で正極セル100Aと負極セル100Bとに分離されたセル100を具える。正極セル100Aと負極セル100Bの各々には正極電極104と負極電極105とを内蔵している。正極セル100Aには正極電解液を供給・排出するための正極用タンク101が導管106、107を介して接続されている。負極セル100Bにも負極電解液を導入・排出する負極用タンク102が同様に導管109、110を介して接続されている。各電解液にはバナジウムイオンなど原子価が変化するイオンの水溶液を用い、ポンプ108、111で循環させ、正負極電極104、105におけるイオンの価数変化反応に伴って充放電を行う。例えば、バナジウムイオンを含む電解液を用いた場合、セル内で充放電時に生じる反応は次のとおりである。
正極:V4+→V5++e−(充電) V4+←V5++e−(放電)
負極:V3++e−→V2+(充電) V3++e−←V2+(放電)
【0003】
このようなレドックスフロー電池は、電極にごみなどの異物が付着することで電池効率が徐々に低下する。そこで、電池効率を回復させる方法として、例えば、特開平10−308232号公報記載の技術や、特開2000−200615号公報記載の技術がある。
【0004】
前者には、電極にごみなどの異物が付着して電極が目詰まりし、セルの内部抵抗が増加することで低下した電池効率を改善するために、運転時と逆方向から蒸留水などの洗浄液を送り込み、異物を除去する技術が開示されている。
【0005】
後者には、電極表面にバナジウムの酸化物などが析出して電極面積が減少することで低下した電池効率を改善するために、電極表面をアルカリ洗浄して、析出物を溶解除去する技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術では、電極表面に付着した有機物を除去することができないという問題がある。
本発明者らは、電池効率が低下する原因として、種々検討した結果、レドックスフロー電池の構成材料に用いられている有機化合物が分解・溶出して電解液中に混入し、これら有機物が電極に付着することで電極の性能が低下する、即ちセル抵抗が増大する可能性が高いことを見出した。
【0007】
そこで、本発明の主目的は、増大したセル抵抗を回復させて電池効率を改善することができるレドックスフロー電池用電極の再賦活方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電極に付着した有機物を有機溶剤により分解除去することで上記目的を達成する。
即ち、本発明レドックスフロー電池用電極の再賦活方法は、電解液が含浸されるレドックスフロー電池用電極に付着した有機物を有機溶剤で洗浄することを特徴とする。
【0009】
従来、電池効率が低下する原因として、電極に異物が付着することや電極表面にバナジウムの酸化物・硫酸塩などが析出することが知られており、これら異物や析出物を蒸留水やアルカリなどで除去することが行われている。しかし、本発明者らは、電極に異物や析出物以外に有機物が付着して、電極の性能を低下させる可能性があることを見出した。レドックスフロー電池は、例えば、配管、電解液のタンク、セルフレーム、隔膜など、その構成材料に有機化合物が多く用いられている。これら構成材料は、通常、耐酸性であるが、電解液としてよく用いられる硫酸バナジウムイオン溶液などに長時間含浸されることで、上記有機物がわずかずつであるが分解、溶出する。そして、この分解物・溶出物が電解液中に混入し、その状態で電解液がセル内を流通することで、電極に有機物が付着すると推測される。
【0010】
ここで、特開平10−308232号公報に記載される蒸留水や希硫酸などの洗浄液や、特開2000−200615号公報に記載されるアルカリ洗浄では、有機物の洗浄液への溶解度が極めて小さく、有機物を効果的に除去することは困難である。一方、有機溶剤は、その親和性によって電極表面に付着した有機物を分解除去できると考えられる。そこで、本発明は、電極に付着した有機物を効果的に分解除去すべく、有機溶剤で洗浄する。
【0011】
本発明において電極の洗浄は、電池から取り出された電極を洗浄する場合と、電池から電極を取り出すことなく洗浄する場合、即ち電極を電池に具えたままの状態で電極を洗浄する場合とが考えられる。前者の場合、例えば、レドックスフロー電池のセル抵抗を測定しておき、セル抵抗が一定値以上になったら、電池の運転を停止し、電池を分解して電極を取り出した後、電極を有機溶剤で超音波洗浄したり、還流条件下で洗浄させたりすることで行うとよい。超音波洗浄は、公知の超音波洗浄器などを用いて行うとよい。還流条件下で洗浄させる場合は、例えば、容器に電極と有機溶剤とを入れ、容器の上部に冷却器を設置して、容器を加熱して還流させるなどが挙げられる。有機溶剤で洗浄した電極は、再びレドックスフロー電池に用いる。
【0012】
有機溶剤は、炭化水素類、含ハロゲン類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類から選ばれる少なくとも1種が好ましい。より具体的には、炭化水素類はn−ヘキサン、ベンゼンなど、含ハロゲン類はクロロホルム、ジクロロメタンなど、アルコール類はエタノールなど、ケトン類はアセトンなど、エステル類は酢酸エチルなど、エーテル類はジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。なお、これら有機溶剤により電極を洗浄した後は、室温などで乾燥させることで有機溶剤を除去する。
【0013】
上記は、レドックスフロー電池から電極が取り出された状態で洗浄する場合を説明したが、電池から取り出さず電極を電池に具えたままで、有機溶剤を電池のセル内に導入して電極を洗浄してもよい。
【0014】
有機溶剤の電池内への導入は、例えば、以下のように行うとよい。図2は、本発明再賦活方法の概念を示す説明図であり、セル及び両極用タンク側を中心に示しており、変換器などは省略している。
【0015】
(1) 図2に示すように別途用意した有機溶剤タンク10を電解液の供給側導管106及び109、排出側導管107及び110に接続し、各導管106、107、109、110にバルブ11、12、13、14を設けておく。また、有機溶剤タンク10と各導管との接続管にも、バルブ15、16、17、18を設けておく。電池を運転する際は、バルブ11、12、13、14を開け、バルブ15、16、17、18を閉じる。
(2) レドックスフロー電池のセル抵抗を測定しておき、セル抵抗が一定値以上になったら、電池の運転を停止する。
(3) 電解液のタンク側に有機溶剤が流れ込まないようにバルブ11、12、13、14を閉じ、バルブ15、16、17、18を開ける。
(4) 有機溶剤をセル100内に導入して電極104、105を洗浄する。このとき、ポンプ19、20などを用いて、供給側導管106及び109を介してセル100内に有機溶剤を導入し、排出側導管107、110から有機溶剤タンク10に戻す。このようにそれぞれの極において、有機溶剤を循環させることにより電極104、105の洗浄を行う。このとき、有機溶剤を循環させることで、有機溶剤中の有機物が電極に再付着することが考えられる。そこで、セルに有機溶剤を導入する導入側又は排出する排出側の少なくとも一方に、有機物の吸着能を有するろ過手段を具えることが好ましい。ろ過手段は、有機物の吸着に優れる活性炭フィルタなどが好ましい。
(5) 洗浄が終わったら、バルブ15、16、17、18を閉じ、バルブ11、12、13、14を開けて、再び、電解液を流通させて運転を再開する。なお、有機溶剤で洗浄後、乾燥空気をセル内に導入させることで乾燥させて、有機溶剤の除去を行う。
【0016】
なお、有機溶剤を電池内に導入して電極を洗浄する場合、電極以外の電池構成材料が有機溶剤により劣化させる恐れがあるため、劣化させる恐れのある有機溶剤は用いない。或いは、有機溶剤の量、電極に接触させる時間などを制限することで有機溶剤による電池構成材料の劣化を防止する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(試験例)
有機物を付着させた電極を用いて小型のレドックスフロー電池を作製し、充放電試験を行った後、有機溶剤を用いて電極を洗浄処理し、処理前後のセル抵抗を見積もった。試験の手順を以下に示す。
【0018】
(1) 有機物を後述するようにして電極に付着させる。
(2) 有機物を付着させた電極を用いてレドックスフロー電池を作製し、下記の充放電条件で1回目の充放電試験を行い、セル抵抗を見積もる。
(3) 充放電後、レドックスフロー電池を分解して電極を取り出し、電極を有機溶剤で洗浄する。
(4) 電極を有機溶剤で洗浄後、室温で乾燥させて有機溶剤を除去する。
(5) 洗浄し、有機溶剤を除去した電極を用いて、再びレドックスフロー電池を作製し、下記の充放電条件で2回目の充放電試験を行い、セル抵抗を見積もる。
【0019】
有機物は、電池構成物質から分解・溶出すると考えられる物質、具体的には、アクリル酸、カルボン酸、脂質、脂肪酸、フェノール類、エステル類、エーテル類、酸無水物、スチレン類、有機シリコン類、ピリジン類、含ハロゲン化合物を用意した。そして、上記物質をそれぞれ等量秤量し、これら有機物を溶解する有機溶剤、例えば、アセトンなどを用いて0.1重量%の濃度に薄め、この有機物溶液に電極を浸漬し、取り出して有機溶剤を揮発させることで、電極表面に有機物を塗布する。
【0020】
レドックスフロー電池は、図1に示す構成のもので、3cm×3cmの電極を1枚使用した小型のもの(セル全体:8cm×6cm)を用いた。電解液は、硫酸バナジウムイオン溶液を用いた。
【0021】
有機溶剤は、表1に示すもの(エタノール、アセトン)を用い、これら溶剤(25℃)で15分間超音波洗浄することで電極の再賦活処理を行った。超音波洗浄には、シャープ株式会社製 UC−302超音波洗浄槽を用いた。
【0022】
(充放電条件)
充放電方法:定電流
電流密度 :70(mA/cm2)
充電終了電圧:1.55(V)
放電終了電圧:1.00(V)
温度 :25℃
【0023】
試験の結果を表1に示す。また、比較として、洗浄に水を用いたもの、希硫酸を用いたものも表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1に示すように、エタノールやアセトンで洗浄した試料No.3及び4は、セル抵抗の回復量(洗浄処理前のセル抵抗▲1▼から洗浄処理後のセル抵抗▲2▼を引いたもの)が大きく、セル抵抗を低減していることがわかる。従って、有機溶剤で電極を洗浄することで、電池効率を改善できると推測される。
【0026】
これに対し、水で洗浄した試料No.1は、洗浄前後でセル抵抗がほとんど変化していない。また、溶解度が小さい希硫酸を用いた試料No.2も、試料No.3及び4と比較して回復量が小さかった。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電極を有機溶剤で洗浄することで有機物に汚染された電極を再賦活することができるという優れた効果を奏し得る。従って、本発明は、増大したセル抵抗を低減させて電池効率を改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】レドックスフロー電池の動作原理を示す説明図である。
【図2】本発明再賦活方法の概念を示す説明図である。
【符号の説明】
10 有機溶剤タンク 11、12、13、14、15、16、17、18 バルブ
19、20 ポンプ
100 セル 100A 正極セル 100B 負極セル 101 正極用タンク
102 負極用タンク 103 隔膜 104 正極電極 104 正負極電極
105 負極電極 106、107、109、110 導管 108 ポンプ
Claims (4)
- 電解液が含浸されるレドックスフロー電池用電極に付着した有機物を有機溶剤で洗浄することを特徴とするレドックスフロー電池用電極の再賦活方法。
- 電池から取り出された電極を洗浄することを特徴とする請求項1に記載のレドックスフロー電池用電極の再賦活方法。
- 電池から取り出すことなく電極を洗浄することを特徴とする請求項1に記載のレドックスフロー電池用電極の再賦活方法。
- 有機溶剤は、炭化水素類、含ハロゲン類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のレドックスフロー電池用電極の再賦活方法。
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JP2002234537A JP2004079229A (ja) | 2002-08-12 | 2002-08-12 | レドックスフロー電池用電極の再賦活方法 |
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JP2002234537A JP2004079229A (ja) | 2002-08-12 | 2002-08-12 | レドックスフロー電池用電極の再賦活方法 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2004079229A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014198546A1 (de) | 2013-06-13 | 2014-12-18 | Cellstrom Gmbh | Redox-durchflussbatterie und verfahren zu ihrer reaktivierung |
CN116689395A (zh) * | 2023-08-07 | 2023-09-05 | 纬景储能科技有限公司 | 一种液流电池的清洗装置以及液流电池 |
-
2002
- 2002-08-12 JP JP2002234537A patent/JP2004079229A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014198546A1 (de) | 2013-06-13 | 2014-12-18 | Cellstrom Gmbh | Redox-durchflussbatterie und verfahren zu ihrer reaktivierung |
CN116689395A (zh) * | 2023-08-07 | 2023-09-05 | 纬景储能科技有限公司 | 一种液流电池的清洗装置以及液流电池 |
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