JP2004079012A - 光ディスク判別方法および装置ならびに光ディスク装置 - Google Patents

光ディスク判別方法および装置ならびに光ディスク装置 Download PDF

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渋谷 義一
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Abstract

【課題】多種類の光ディスクを速やかに判別する。
【解決手段】光ディスク判別センサ10は、半導体レーザ14と光検出器13とを有している。半導体レーザ14から出射され、光ディスク1に照射されたレーザ光は、光ディスク1の情報記録面1aで反射されると共に複数のトラックによって回折される。その結果、光ディスク1から反射光と回折光とが出射される。光検出器13は、光ディスク1の半径方向に沿って一列に配列された複数の検出部13aを含んでいる。光検出器13は、上記反射光および1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含む回折パターン情報を検出する。この回折パターン情報は、光ディスク1の種類を判別するために用いられる。
【選択図】     図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの種類を判別する光ディスク判別方法および装置、ならびに光ディスク判別機能を有する光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置は、円板状の記録媒体である光ディスクに対して光学的に情報を記録することと光ディスクから光学的に情報を再生することの少なくとも一方を行う装置である。光ディスク装置は、情報の記録または再生に用いられる光ビームを光ディスクに照射する光ヘッドを有している。
【0003】
近年、光ディスクの種類が多様化しているため、光ディスク装置には、1台で複数の種類の光ディスクに対応することのできる機能が求められている。この機能を実現するために、光ヘッドとしては、開口数の異なる複数の対物レンズを搭載したものや、互いに波長の異なる光を出射する複数の光源を搭載したものが実用化されている。
【0004】
ところで、複数の種類の光ディスクに対応可能な光ディスク装置では、任意の光ディスクが装着されたら、記録または再生の動作に先立ち、装着された光ディスクの種類を判別する必要がある。
【0005】
従来、光ディスクの種類を判別する方法としては、光ディスクの内周部近傍の領域に、例えばバーコードのような形態で、光ディスクの種類を表わす情報を記録しておき、この情報を読み出すという方法があった。また、光ディスクの種類を判別する他の方法としては、TOC(テーブル・オブ・コンテンツ)と呼ばれる最初に読み込む情報が記録された領域に、予め光ディスクの種類を表わす情報を書き込んでおき、この情報を読み出すという方法があった。
【0006】
しかしながら、上記の2つの方法では、いずれも、フォーカスサーボが働き、合焦状態になってからでなければ、光ディスクの種類を表わす情報を読み出すことができない。ここで、これらの方法を採用した光ディスク装置で使用可能な光ディスクと、その装置で使用不能な光ディスクとで、光ディスクのクランプ面から情報記録面までの距離が異なる場合を考える。この場合、光ディスク装置で使用不能な光ディスクが装着されたときには、光ディスク装置は、合焦状態の探索に失敗して初めて、使用不能な光ディスクが装着されたこと認識することができる。そのため、上記の2つの方法には、使用不能な光ディスクが装着されたことを認識するのに時間がかかってしまうという欠点があった。なお、光ディスクのクランプ面から情報記録面までの距離が異なる2種類の光ディスクとしては、例えば、DVD(ディジタル・ビデオ・ディスクまたはディジタル・ヴァーサタイル・ディスク)とCD(コンパクト・ディスク)とがある。これらは、互いに、保護層の厚さの違いによってクランプ面から情報記録面までの距離が異なる。
【0007】
上記の2つの方法の欠点を克服するために、合焦状態になることを待たずに、光ヘッドとは別に設けられた判別装置によって光ディスクの種類を判別する技術が、いくつか提案されている。例えば、特許第2559348号公報には、光ディスクに光を照射する1つの半導体レーザと、この半導体レーザによって照射され、光ディスクの記録トラックによって回折された回折光を受光する2つの受光素子とを用いて、光ディスクの記録トラックピッチを判別する技術が記載されている。2つの受光素子は、2種類の記録トラックピッチに対応した2種類の回折光を受光する2つの位置に配置される。この技術によれば、2種類の記録トラックピッチに対応した2種類の光ディスクを判別することが可能になる。
【0008】
また、特開平10−74331号公報には、光ディスクに光を照射し、光ディスクによる反射光の位置および強度を検出し、これに基づいて光ディスクを判別する技術が記載されている。この技術では、反射光の位置および強度に基づいて、光ディスクにおける情報記録層の位置の違いを判別して、これにより、光ディスクの種類を判別する。この技術によれば、DVDとCDのように、保護層の厚さや反射率が異なる複数種類の光ディスクを判別することが可能になる。
【0009】
また、特開平10−143986号公報には、保護層の厚さによって異なる光ディスクの静電容量を検出することによって、光ディスクの種類を判別する技術が記載されている。この技術によれば、保護層の厚さが異なる複数種類の光ディスクを判別することが可能になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
近年、情報技術の発達が目覚しく、様々な状況下において、扱われる情報量の増加が著しい。そのため、光ディスクはますます多様化し、光ディスクの種類も増加している。現在、利用されている光ディスクだけでも、以下のようなものがある。CDファミリーと呼ばれるグループには、再生専用のCD−ROM、一度だけ記録が可能なCD−R、初期化を行うことによって何度でも記録が可能なCD−RWがある。DVDファミリーと呼ばれるグループには、再生専用のDVD−ROM、一度だけ記録が可能なDVD−R、繰り返し記録が可能なDVD−RAM、DVD−RW、DVD+RWがある。このように、現在でも、ほぼ同一の機能を持つにもかかわらずフォーマットが異なる複数種類の光ディスクが市場に存在している。
【0011】
また、最近、青紫色の短波長のレーザ光を用いる新しい光ディスク装置向けに、DVR(ディジタル・ビデオ・レコーディング・システム)−blueという新しい規格の光ディスクが開発されている。このDVR−blueでは、保護層の厚さが、従来のCDともDVDとも異なる0.1mmとなっている。
【0012】
このような状況において、光ディスク装置には、その光ディスク装置で使用不能な光ディスクを含む多種類の光ディスクを、より速く、効率よく判別できることが求められている。
【0013】
特許第2559348号公報に記載された技術では、2種類の光ディスクしか判別することができない。また、この技術では、予め、判別対象となる光ディスクの記録トラックピッチに合わせて受光素子を配置する必要がある。そのため、この技術は、多種類の光ディスクが存在している今の状況下においては、利用することが難しい。
【0014】
また、特開平10−74331号公報に記載された技術では、保護層の厚さや反射率の違いによって複数種類の光ディスクを判別することはできるが、トラックピッチの違いによって複数種類の光ディスクを判別することはできない。
【0015】
また、特開平10−143986号公報に記載された技術では、保護層の厚さの違いによって複数種類の光ディスクを判別することはできるが、トラックピッチの違いによって複数種類の光ディスクを判別したり、光ディスクの反射率の違いによって光ディスクが記録専用型か記録可能型かを判別したりすることはできない。また、この技術では、光ディスクを判別する際に光ディスクに電極を接触させるため、電極によって光ディスクを傷付けないように配慮する必要がある。
【0016】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、多種類の光ディスクを速やかに判別することのできる光ディスク判別方法および装置ならびに光ディスク装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ディスク判別方法は、
光ディスクにレーザ光を照射する手順と、
レーザ光が光ディスクによって回折されて発生する1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含む回折パターン情報を検出する手順と、
回折パターン情報に基づいて、光ディスクの種類を判別する手順と
を備えたものである。
【0018】
本発明の光ディスク判別方法では、レーザ光が光ディスクによって回折されて発生する1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含む回折パターン情報に基づいて、光ディスクの種類が判別される。
【0019】
本発明の光ディスク判別装置は、光ディスクの種類を判別するために用いられる装置であって、
光ディスクにレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、
レーザ光が光ディスクによって回折されて発生する1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含み、光ディスクの種類を判別するために用いられる回折パターン情報を検出する検出手段と
を備えたものである。
【0020】
本発明の光ディスク装置は、光ディスクに対して光学的に情報を記録することと光ディスクから光学的に情報を再生することの少なくとも一方を行うための光ヘッドと、本発明の光ディスク判別装置とを備えたものである。
【0021】
本発明の光ディスク判別装置または光ディスク装置では、レーザ光照射手段によって光ディスクにレーザ光が照射され、検出手段によって、レーザ光が光ディスクによって回折されて発生する1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含み、光ディスクの種類を判別するために用いられる回折パターン情報が検出される。
【0022】
本発明の光ディスク判別装置は、更に、検出手段によって検出された回折パターン情報に基づいて、光ディスクの種類を判別する判別手段を備えていてもよい。
【0023】
また、本発明の光ディスク装置において、光ディスク判別装置は、更に、検出手段によって検出された回折パターン情報に基づいて、光ディスクの種類を判別する判別手段を有していてもよい。
【0024】
また、本発明の光ディスク判別装置または光ディスク装置において、検出手段は、それぞれ独立して光を検出する複数の検出部を含んでいてもよい。複数の検出部は、一列に配列されていてもよい。また、複数の検出部は、光ディスクの複数のトラックを横断する方向に沿って配列されていてもよい。
【0025】
また、本発明の光ディスク判別装置または光ディスク装置において、レーザ光照射手段は、レーザ光を光ディスクの面に対して斜めに入射させてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
始めに、本発明の一実施の形態に係る光ディスク判別装置について説明する。本実施の形態に係る光ディスク判別装置は、後述する本実施の形態に係る光ディスク装置に用いられる。この光ディスク装置は、円板状の記録媒体である光ディスクに対して光学的に情報を記録することと光ディスクから光学的に情報を再生することの少なくとも一方を行う装置である。光ディスクは、情報が記録される面である情報記録面を有している。この情報記録面の上には保護層が設けられている。また、光ディスクは、情報が記録される複数のトラックを有している。この複数のトラックは、所定のピッチで同心円状に配置されている。トラックのピッチは、光ディスクの記録密度を決定する一要素である。また、光ディスクにおいて、トラックは、例えばグルーブ(溝)によって形成される。
【0027】
本実施の形態に係る光ディスク判別装置は、光ディスクの種類を判別するために用いられる装置である。光ディスク判別装置は、図1および図2に示した光ディスク判別センサを備えている。図1は光ディスク判別センサの外観を示す斜視図である。図2は光ディスク判別センサの構成と作用とを説明するための説明図である。
【0028】
図1および図2に示したように、本実施の形態に係る光ディスク判別センサ10の全体形状は、一方向に長い直方体形状になっている。光ディスク判別センサ10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、一方向に長い長方形形状の1つの面11aを有している。この面11aは、光ディスク1の2つの面のうちの記録または再生用の光が入出射する面に対向するようになっている。光ディスク判別センサ10は、面11aに取り付けられたコリメータレンズ12および光検出器13を備えている。
【0029】
光検出器13は、それぞれ独立して光を検出する複数の検出部13aを含んでいる。各検出部13aは、例えばフォトダイオードによって構成されている。複数の検出部13aは、光ディスク1の複数のトラックを横断する方向、例えば光ディスク1の半径方向に沿って、一列に配列されている。コリメータレンズ12は、光検出器13の長手方向の一方の端部の外側に配置されている。
【0030】
図2に示したように、光ディスク判別センサ10は、更に、ハウジング11内に設けられた半導体レーザ14および立ち上げミラー15を備えている。半導体レーザ14から出射されたレーザ光は、立ち上げミラー15によって反射された後、コリメータレンズ12を通過して、光ディスク1に照射されるようになっている。コリメータレンズ12は、半導体レーザ14から出射されたレーザ光を集光して、平行光束にする。なお、光ディスク1に照射されるレーザ光は、平行光束に限らず、収束する光や発散する光であってもよい。光ディスク1の面におけるレーザ光の直径は、例えば1〜5mmとする。
【0031】
本実施の形態では、半導体レーザ14、立ち上げミラー15およびコリメータレンズ12は、レーザ光を光ディスク1の面に対して斜めに入射させるように配置されている。なお、半導体レーザ14、立ち上げミラー15およびコリメータレンズ12は、レーザ光を光ディスク1の面に対して垂直に入射させるように配置されていてもよい。半導体レーザ14、立ち上げミラー15およびコリメータレンズ12は、本発明におけるレーザ光照射手段に対応する。
【0032】
図2に示したように、光ディスク1に照射されたレーザ光は、光ディスク1の情報記録面1aで反射されると共に複数のトラックによって回折される。その結果、光ディスク1から反射光と回折光とが出射される。図2おいて、符号D0,D1,D2,D3は、それぞれ反射光(ゼロ次光)、+1次回折光、+2次回折光、+3次回折光を示している。
【0033】
光検出器13は、上記反射光および1以上の回折光を受光する。これにより、光検出器13は、上記反射光および1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含む回折パターン情報を検出する。光検出器13によって検出された回折パターン情報は、光ディスク1の種類を判別するために用いられる。光検出器13は、本発明における検出手段に対応する。
【0034】
次に、図3および図4を参照して、光ディスク装置における光ディスク判別センサ10の配置の2つの例について説明する。図3および図4に示したように、光ディスク装置は、光ディスク1に対向するように配置された光ヘッド2を備えている。光ヘッド2は、光ディスク1に対して光学的に情報を記録することと光ディスク1から光学的に情報を再生することの少なくとも一方を行う。光ヘッド2は、平行に配置された2本のレール3によって、光ディスク1のトラックを横断する方向に移動可能に支持されている。
【0035】
図3に示した第1の例では、光ヘッド2は光ディスク1の下側に配置され、光ディスク判別センサ10は光ヘッド2の下側に配置されている。この例では、光ヘッド2の位置によっては、光ヘッド2が光ディスク1と光ディスク判別センサ10との間に入り込む。しかしながら、光ディスク判別センサ10は基本的には光ヘッド2と同時に動作させる必要はないため、問題はない。光ディスク判別センサ10が動作している間は、例えば、図3に示したように、光ヘッド2を可動範囲の一方の端、例えば光ディスク1の内周部側の端に配置して、光ヘッド2が光ディスク1と光ディスク判別センサ10との間に入り込まないようにすればよい。
【0036】
図4に示した第2の例では、光ヘッド2と光ディスク判別センサ10は、光ディスク1の下側において、光ディスク1の中心を挟んで互いに反対側に配置されている。第2の例によれば、第1の例に比べて、光ヘッド2と光ディスク判別センサ10が配置される空間の厚さを小さくすることができる。そのため、第2の例は、薄型の光ディスク装置に適している。
【0037】
次に、図5を参照して、光ディスク判別装置を含む本実施の形態に係る光ディスク装置の構成について説明する。本実施の形態に係る光ディスク装置は、光ディスク1が取り付けられるスピンドル4と、このスピンドル4を回転させるスピンドルモータ5と、光ヘッド2と、この光ヘッド2をトラック横断方向に移動させる光ヘッド移動機構6と、光ディスク判別センサ10と、スキュー調整機構7とを備えている。スキュー調整機構7については、後で詳しく説明する。なお、本実施の形態に係る光ディスク装置における記録再生方式は、情報の記録または再生のために光ディスクに対して光を照射することを含む方式であればよい。本実施の形態に係る光ディスク装置は、複数の記録再生方式に対応できるものであってもよい。記録再生方式としては、ピットを利用する方式や、相変化を利用する方式や、光磁気方式等がある。また、ここでは、光ヘッド2は情報の記録と再生の両方を行うものとする。
【0038】
光ディスク装置は、更に、光ヘッド制御回路8と、機構制御回路9と、判別センサ制御回路18と、これらに接続されたドライブコントローラ20と、光ディスク装置の外部の装置とドライブコントローラ20との間で信号をやり取りするドライブインターフェイス19とを備えている。
【0039】
図示しないが、光ヘッド2は、情報の記録または再生に用いられるレーザ光を出射する半導体レーザと、光ディスク1からの戻り光を検出する光検出器と、光ヘッド2の半導体レーザの出射光を光ディスク1に照射すると共に、光ディスク1からの戻り光を光ヘッド2の光検出器に導く光ヘッド光学系とを有している。光ヘッド光学系は、光ディスク1に対向するように配置された対物レンズを含んでいる。光ヘッド2は、更に、対物レンズを光ディスク1の面に垂直な方向とトラックを横断する方向とに移動可能なアクチュエータを備えている。
【0040】
光ヘッド制御回路8は、光ヘッド2の半導体レーザを制御すると共に、光ヘッド2の光検出器の出力信号に基づいてフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号および情報再生信号を生成するようになっている。情報再生信号は、ドライブコントローラ20に送られる。また、光ヘッド制御回路8は、フォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号に基づいて、光ヘッド2のアクチュエータを制御して、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボを行うようになっている。
【0041】
機構制御回路9は、スピンドルモータ5、光ヘッド移動機構6およびスキュー調整機構7を制御するようになっている。また、図5には示していないが、光ディスク装置は、光ディスク1のロード(装着)およびアンロード(取り出し)を行うロード・アンロード機構を有している。機構制御回路9は、このロード・アンロード機構も制御するようになっている。
【0042】
判別センサ制御回路18は、光ディスク判別センサ10の半導体レーザ14を制御すると共に、光検出器13から出力される回折パターン情報をディジタルデータに変換して、ドライブコントローラ20に送るようになっている。ドライブコントローラ20は、判別センサ制御回路18からのデータに基づいて、ソフトウェアによる処理によって、光ディスク1の種類を判別する。従って、ドライブコントローラ20は、本発明における判別手段を含む。本実施の形態に係る光ディスク判別は、光ディスク判別センサ10と判別センサ制御回路18とドライブコントローラ20とによって構成されている。
【0043】
図6は、ドライブコントローラ20の構成を示すブロック図である。このドライブコントローラ20は、中央処理装置(以下、CPUと記す。)21と、リードオンリメモリ(以下、ROMと記す。)22と、ランダムアクセスメモリ(以下、RAMと記す。)23と、ドライブコントローラ20の外部の回路との間でデータのやり取りを行う入出力制御部24と、これらを互いに接続するバス25とを備えている。CPU21は、RAM23を作業領域として、ROM22に記録されたプログラムを実行することにより、光ディスク装置における種々の制御機能を発揮するようになっている。
【0044】
次に、スキュー調整機構7の2つの例について説明する。スキューとは、光ディスク1の反り等に起因して、光ディスク1が正規の位置から傾くことを言う。スキュー調整とは、スキューに起因する光ディスク1と光ヘッド2との位置関係のずれを補正することを言う。
【0045】
図7および図8は、スキュー調整機構7の第1の例を示している。第1の例では、スピンドル4を傾けることによってスキュー調整を行う。図7は、第1の例のスキュー調整機構7の平面図、図8は図7のA−A線断面図である。第1の例のスキュー調整機構7は、スピンドルモータ5を支持する支持板31を有している。スピンドルモータ5は、固定具32によって支持板31に固定されている。支持板31は、2つの軸33によって回動可能に支持されている。スキュー調整機構7は、更に、支持板31の上下動可能な端部に取り付けられたラック34と、このラック34に噛み合うピニオン35と、このピニオン35を回転させるモータ36とを有している。この第1の例では、モータ36を回転させることにより支持板31が回動し、これによりスピンドル4が傾けられ、その結果、光ディスク1が傾けられる。
【0046】
図9および図10は、スキュー調整機構7の第2の例を示している。第2の例では、光ヘッド2を支持するレール3を傾けることによってスキュー調整を行う。図9は、第2の例のスキュー調整機構7の平面図、図10は図9に示したスキュー調整機構7を矢印B方向から見た側面図である。第2の例のスキュー調整機構7は、第2の例のスキュー調整機構7は、2本のレール3,3を支持する支持板41を有している。支持板41は、2つの軸43によって回動可能に支持されている。スキュー調整機構7は、更に、支持板41の上下動可能な端部に取り付けられたラック44と、このラック44に噛み合うピニオン45と、このピニオン45を回転させるモータ46とを有している。この第2の例では、モータ46を回転させることにより支持板41が回動し、これによりレール3が傾けられ、その結果、光ヘッド2が傾けられる。
【0047】
次に、本実施の形態に係る光ディスク装置の作用について説明する。この光ディスク装置では、機構制御回路9は、ドライブコントローラ20からの指令に基づいて、スピンドルモータ5、光ヘッド移動機構6、スキュー調整機構7およびロード・アンロード機構を制御する。
【0048】
また、光ヘッド制御回路8は、ドライブコントローラ20からの指令に基づいて、光ヘッド2の半導体レーザを制御する。この半導体レーザから出射された光は、光ディスク1に照射され、これにより、情報の記録または再生が行われる。
【0049】
また、光ヘッド制御回路8は、光ヘッド2の光検出器の出力信号に基づいてフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号および情報再生信号を生成する。情報再生信号は、ドライブコントローラ20に送られる。光ヘッド制御回路8は、フォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号に基づいて、光ヘッド2のアクチュエータを制御して、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボを行う。
【0050】
以下、本実施の形態に係る光ディスク判別装置の作用および本実施の形態に係る光ディスク判別方法について詳しく説明する。判別センサ制御回路18は、光ディスク判別センサ10の半導体レーザ14を制御する。この半導体レーザ14から出射されたレーザ光は、光ディスク1に照射される。光ディスク1に照射されたレーザ光は、光ディスク1の情報記録面1aで反射されると共に複数のトラックによって回折される。その結果、光ディスク1から反射光と1以上の回折光とが出射される。光ディスク判別センサ10の光検出器13は、上記反射光および1以上の回折光を受光し、反射光および1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含む回折パターン情報を検出する。光検出器13によって検出された回折パターン情報は、判別センサ制御回路18によってディジタルデータに変換されて、ドライブコントローラ20に送られる。ドライブコントローラ20は、判別センサ制御回路18からのデータに基づいて、光ディスク1の種類を判別する。その後、ドライブコントローラ20は、判別した光ディスク1の種類に応じた動作を行う。
【0051】
また、本実施の形態では、ドライブコントローラ20は、上記回折パターン情報に含まれる反射光の位置情報に基づいて、光ディスク1の正規の位置からの傾きの量を求める。また、ドライブコントローラ20は、求めた傾きの量に従って、機構制御回路9を介してスキュー調整機構7を制御して、スキュー調整を行う。
【0052】
次に、本実施の形態に係る光ディスク判別装置による光ディスクの種類の判別の原理について説明する。複数種類の光ディスク1では、それぞれ種類毎に、トラックのピッチや、グルーブの深さや、保護層の厚さや、反射率等が異なっている。従って、光ディスク1に、コヒーレントな光であるレーザ光を照射すると、種類毎に異なった回折パターンが得られる。本実施の形態では、この回折パターンの違いを判別することによって、光ディスク1の種類を判別する。
【0053】
ここで、図11ないし図18に、種々の光ディスク1について、シミュレーションで求めた回折パターンの例を示す。このシミュレーションでは、光ディスク1に照射するレーザ光の波長を635nmとし、光ディスク1の光の入出射面と光ディスク判別センサ10の光検出器13との間の距離を3mmとし、光ディスク1の光の入出射面に対してレーザ光を垂直に入射させると仮定した。レーザ光は、平行光束、すなわち平面波であると仮定した。また、シミュレーションでは、光ディスク1の種類毎に、トラックのピッチ、グルーブの深さ、保護層の厚さ、反射率等についての典型的なデータを用いて、位相変調反射型回折格子のモデルを作成した。そして各モデル毎に、フラウンホーファー回折式に基づいて、回折パターンを求めた。
【0054】
図11ないし図18において、横軸はトラックに垂直な方向における反射光または回折光の受光位置を表し、縦軸は反射光または回折光の強度を表している。強度の単位は任意であり、図中の数字は相対値を表している。図11はCD−ROMの回折パターンを示している。図12は80分記録用CD−Rの回折パターンを示している。図13は74分記録用CD−RWの回折パターンを示している。図14はDVD−ROMの回折パターンを示している。図15はDVD−Rの回折パターンを示している。図16はDVD−RWの回折パターンを示している。図17はDVD−RAMの回折パターンを示している。図18はDVR−blueの回折パターンを示している。図11ないし図18において、位置が0mmの近傍に存在するピークは反射光に対応し、他の位置に存在するピークは回折光に対応する。
【0055】
図11ないし図18に示した回折パターンは互いに異なっている。従って、これらの回折パターンの違いを判別することによって、光ディスク1の種類を瞬時に判別することができる。特に、本実施の形態では、光ディスク1の反射率に依存する反射光および回折光の絶対的な強度に基づいて、光ディスク1が再生専用型か記録可能型かを判別することができる。また、本実施の形態では、複数の回折光の検出位置の間隔や、複数の回折光の相対的な強度に基づいて、保護層の厚さやトラックのピッチやグルーブの深さが異なる複数種類の光ディスク1を判別することができる。なお、光ディスク装置に対して、光ディスク1を誤って裏返しに装着した場合には、光ディスク1に照射されたレーザ光は、光ディスク1の印刷面によって散乱されて回折パターンは形成されない。従って、本実施の形態では、回折パターンが形成されないことを判別して、光ディスク1が裏返しに装着されたことを判別することもできる。
【0056】
複数の回折パターンを判別するには、光ディスク判別センサ10の光検出器13における検出部13aの数は多いほどよい。しかし、現在、利用されている光ディスク1の種類の数から考えると、検出部13aの数は8〜12程度でも十分である。
【0057】
ここで、一例として、図11に示した回折パターンを形成する反射光および回折光を、10個の検出部13aを有する光検出器13で受光した場合について考える。10個の検出部13aには、コリメータレンズ12に近い方から順に番号1〜10を付す。この場合、光検出器13の出力信号で表される回折パターン情報は、例えば図19に示したようになる。図19において、横軸は検出部13aの番号を表し、縦軸は検出部13aの出力の大きさ(相対値)を表している。
【0058】
次に、ドライブコントローラ20が光ディスク1の種類を判別する方法の一例について説明する。この例では、ドライブコントローラ20は、予め、光ディスク1の各種類毎に、得られると想定される回折パターン情報を表す標準パターン情報を保持している。例えば、光検出器13の検出部13aの数を10とした場合には、図11に示した回折パターンを形成する光ディスク1に対する標準パターン情報は、図19に示したようになる。
【0059】
以下、図20の流れ図を参照して、光ディスク1の種類の判別に関わるドライブコントローラ20の動作について説明する。まず、ドライブコントローラ20は、判別センサ制御回路18からのディジタルの回折パターン情報を入力する(ステップS101)。
【0060】
ドライブコントローラ20は、次に、回折パターン情報を、保持している複数の標準パターン情報と比較する(ステップS102)。そして、ドライブコントローラ20は、整合する標準パターン情報があるか否かを判断する(ステップS103)。整合の度合いを表す指標としては、例えば、差の2乗和や、差の絶対値和等がある。差の2乗和は、検出部13aの番号毎に、回折パターン情報における検出部13aの出力の大きさと標準パターン情報における検出部13aの出力の大きさとの差の2乗を求め、これらを足し合わせることによって求められる。差の絶対値和は、検出部13aの番号毎に、回折パターン情報における検出部13aの出力の大きさと標準パターン情報における検出部13aの出力の大きさとの差の絶対値を求め、これらを足し合わせることによって求められる。整合の度合いを表す指標として、差の2乗和や、差の絶対値和を用いた場合には、指標の値が小さいほど、整合の度合いが大きいと言える。このような指標を用いた場合には、ドライブコントローラ20は、最小となる指標の値が所定値以下となる場合に、その指標の値に対応する標準パターン情報を、整合する標準パターン情報と判断する。また、ドライブコントローラ20は、最小となる指標の値が所定値を超える場合には、整合する標準パターン情報はないと判断する。
【0061】
ドライブコントローラ20は、整合する標準パターン情報があると判断した場合(ステップS103;Y)には、光ディスク装置に装着された光ディスク1は、整合する標準パターン情報に対応する光ディスクであると判断して(ステップS104)、光ディスクの判別処理を終了する。
【0062】
また、ドライブコントローラ20は、整合する標準パターン情報がないと判断した場合(ステップS103;N)には、光ディスク装置に装着された光ディスク1は、使用不能な光ディスクであると判断して(ステップS105)、光ディスクの判別処理を終了する。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態では、光ディスク1にレーザ光を照射し、このレーザ光が光ディスク1によって回折されて発生する1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含む回折パターン情報を検出する。そして、この回折パターン情報に基づいて、光ディスク1の種類を判別する。従って、本実施の形態によれば、多種類の光ディスクを速やかに判別することが可能になる。
【0064】
また、本実施の形態において、レーザ光を光ディスク1の面に対して斜めに入射させた場合には、レーザ光が光ディスク1によって反射されて発生する反射光の位置情報と強度情報も光検出器13によって検出することができる。この場合には、反射光の位置情報と強度情報は、光ディスク1の種類の判別に利用することができる。また、反射光の位置情報と強度情報は、スキュー調整等の他の目的のために利用することができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、実施の形態では、光検出器13が光ディスク1からの反射光および1以上の回折光を検出するようにしているが、光検出器13が1以上の回折光のみを検出するようにしてもよい。
【0066】
また、光ディスク判別装置の検出手段は、例えば固体撮像素子を用いて、2次元な回折パターン情報を検出してもよい。
【0067】
また、実施の形態では、ソフトウェアによる処理によって光ディスク1の種類を判別するようにしたが、専用のハードウェアのみによって光ディスク1の種類を判別するようにしてもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の光ディスク判別方法では、光ディスクにレーザ光を照射し、このレーザ光が光ディスクによって回折されて発生する1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含む回折パターン情報を検出し、この回折パターン情報に基づいて、光ディスクの種類を判別する。従って、本発明によれば、多種類の光ディスクを速やかに判別することが可能になるという効果を奏する。
【0069】
また、請求項2ないし7のいずれかに記載の光ディスク判別装置、または請求項8ないし13のいずれかに記載の光ディスク装置では、光ディスクにレーザ光を照射し、このレーザ光が光ディスクによって回折されて発生する1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含む回折パターン情報を検出する。従って、本発明によれば、この回折パターン情報に基づいて、多種類の光ディスクを速やかに判別することが可能になるという効果を奏する。
【0070】
また、請求項7記載の光ディスク判別装置または請求項13記載の光ディスク装置では、レーザ光を光ディスクの面に対して斜めに入射させる。この場合には、検出手段によって、レーザ光が光ディスクによって反射されて発生する反射光の位置情報と強度情報も検出することができる。従って、本発明によれば、回折光の位置情報と強度情報のみならず、反射光の位置情報と強度情報も光ディスクの種類の判別に利用することができると共に、反射光の位置情報と強度情報をスキュー調整等の他の目的のために利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る光ディスク判別装置の光ディスク判別センサの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示した光ディスク判別センサの構成と作用とを説明するための説明図である。
【図3】図1に示した光ディスク判別センサの配置の一例を示す説明図である。
【図4】図1に示した光ディスク判別センサの配置の他の例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図5におけるドライブコントローラの構成を示すブロック図である。
【図7】図5におけるスキュー調整機構の第1の例を示す平面図である。
【図8】図7のA−A線断面図である。
【図9】図5におけるスキュー調整機構の第2の例を示す平面図である。
【図10】図9に示したスキュー調整機構を矢印B方向から見た側面図である。
【図11】CD−ROMの回折パターンを示す特性図である。
【図12】CD−Rの回折パターンを示す特性図である。
【図13】CD−RWの回折パターンを示す特性図である。
【図14】DVD−ROMの回折パターンを示す特性図である。
【図15】DVD−Rの回折パターンを示す特性図である。
【図16】DVD−RWの回折パターンを示す特性図である。
【図17】DVD−RAMの回折パターンを示す特性図である。
【図18】DVR−blueの回折パターンを示す特性図である。
【図19】本発明の一実施の形態における回折パターン情報の一例を示す説明図である。
【図20】図5におけるドライブコントローラの光ディスクの種類の判別に関わる動作を示す流れ図である。
【符号の説明】
1…光ディスク、2…光ヘッド、6…光ヘッド移動機構、7…スキュー調整機構、8…光ヘッド制御回路、9…機構制御回路、10…光ディスク判別センサ、12…コリメータレンズ、13…光検出器、13a…検出部、14…半導体レーザ、18…判別センサ制御回路、20…ドライブコントローラ。

Claims (13)

  1. 光ディスクにレーザ光を照射する手順と、
    前記レーザ光が前記光ディスクによって回折されて発生する1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含む回折パターン情報を検出する手順と、
    前記回折パターン情報に基づいて、光ディスクの種類を判別する手順と
    を備えたことを特徴とする光ディスク判別方法。
  2. 光ディスクの種類を判別するために用いられる光ディスク判別装置であって、
    光ディスクにレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、
    前記レーザ光が前記光ディスクによって回折されて発生する1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含み、光ディスクの種類を判別するために用いられる回折パターン情報を検出する検出手段と
    を備えたことを特徴とする光ディスク判別装置。
  3. 更に、前記検出手段によって検出された回折パターン情報に基づいて、光ディスクの種類を判別する判別手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の光ディスク判別装置。
  4. 前記検出手段は、それぞれ独立して光を検出する複数の検出部を含むことを特徴とする請求項2または3記載の光ディスク判別装置。
  5. 前記複数の検出部は、一列に配列されていることを特徴とする請求項4記載の光ディスク判別装置。
  6. 前記複数の検出部は、光ディスクの複数のトラックを横断する方向に沿って配列されていることを特徴とする請求項5記載の光ディスク判別装置。
  7. レーザ光照射手段は、レーザ光を光ディスクの面に対して斜めに入射させることを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の光ディスク判別装置。
  8. 光ディスクに対して光学的に情報を記録することと光ディスクから光学的に情報を再生することの少なくとも一方を行うための光ヘッドと、光ディスクの種類を判別するために用いられる光ディスク判別装置とを備えた光ディスク装置であって、
    前記光ディスク判別装置は、
    光ディスクにレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、
    前記レーザ光が前記光ディスクによって回折されて発生する1以上の回折光の位置情報と強度情報とを含み、光ディスクの種類を判別するために用いられる回折パターン情報を検出する検出手段とを有することを特徴とする光ディスク装置。
  9. 前記光ディスク判別装置は、更に、前記検出手段によって検出された回折パターン情報に基づいて、光ディスクの種類を判別する判別手段を有することを特徴とする請求項8記載の光ディスク装置。
  10. 前記検出手段は、それぞれ独立して光を検出する複数の検出部を含むことを特徴とする請求項8または9記載の光ディスク装置。
  11. 前記複数の検出部は、一列に配列されていることを特徴とする請求項10記載の光ディスク装置。
  12. 前記複数の検出部は、光ディスクの複数のトラックを横断する方向に沿って配列されていることを特徴とする請求項11記載の光ディスク装置。
  13. レーザ光照射手段は、レーザ光を光ディスクの面に対して斜めに入射させることを特徴とする請求項8ないし12のいずれかに記載の光ディスク装置。
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