JP2004077885A - フォトニック結晶及びその製造方法並びに機能性素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】機能性材料を組込んだフォトニック結晶及びその簡便且つ汎用的な製造方法を提供する。
【解決手段】ドナー基板400上の離型層401に所定のパターンを有する複数の薄膜パーツ4a〜4dを形成し、各薄膜パーツ4a〜4d上に接着性マトリックス材料と機能性材料の混合物600を供給する。次に、アクセプター基板500を用いて接着性マトリックス材料と機能性材料の混合物600が供給された各薄膜パーツ4a〜4dを順次ドナー基板400上の離型層401から剥離してアクセプター基板500上に積層転写して、フォトニック結晶を作製する。
【選択図】 図5
【解決手段】ドナー基板400上の離型層401に所定のパターンを有する複数の薄膜パーツ4a〜4dを形成し、各薄膜パーツ4a〜4d上に接着性マトリックス材料と機能性材料の混合物600を供給する。次に、アクセプター基板500を用いて接着性マトリックス材料と機能性材料の混合物600が供給された各薄膜パーツ4a〜4dを順次ドナー基板400上の離型層401から剥離してアクセプター基板500上に積層転写して、フォトニック結晶を作製する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトニクス分野や電磁波分野等に有用なフォトニック結晶及びその製造方法、並びにフォトニック結晶を活用したレーザー素子、光スイッチ、波長可変フィルタ等の機能性素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
屈折率の周期的な分布を有する屈折率周期構造体は、電磁波に対する回折/干渉作用を示し、特定周波数領域の電磁波の伝播を禁止する。この現象は、半導体結晶中の電子に対するバンド構造に相応するものであり、一般的に、このような屈折率周期構造体をフォトニック結晶、伝播を禁止される周波数帯域をフォトニックバンドギャップと称する。20世紀末に開花したIT産業は、電子を制御する半導体材料に基づくエレクトロニクス技術によって支えられてきたが、本質的な技術的限界に近づきつつあり、21世紀のさらなる発展のためには、エレクトロニクス技術の限界を打破し得るフォトニクス技術への移行が不可欠であるものと考えられている。フォトニック結晶は、電磁波を制御することができることから、エレクトロニクス技術における半導体材料と同様に、フォトニクス技術のKey材料と位置付けられ、超高効率レーザー、超小型光集積回路等の次世代光デバイスを具現化するための重要な要素として期待されている。
【0003】
フォトニック結晶が有効に機能するためには、制御したい電磁波の波長と同程度の空間スケールの屈折率周期構造を有し、且つ高屈折率相と低屈折率相との屈折率の比が所定の値以上である必要がある。要求される最低の屈折率比は、周期構造の形態に応じ異なるが、一般的に大きい程、好ましい。フォトニクス分野においては、対象とする波長域は一般的に可視光域から近赤外光域であることから、サブミクロンからミクロンオーダーの周期を有するフォトニック結晶を作製しなければならない。これを具現化し得る方法としては、例えばLinらによって、半導体微細加工技術を駆使し、Si製の角材を数ミクロン周期で積み重ねたWoodpile(積み木)状のフォトニック結晶を作製した例が開示されている{Nature,Vol.394,pp.251−253(1998)}。また、Nodaらによって、GaAsやInP製の角材を数ミクロン周期で積み重ねたWoodpile状のフォトニック結晶を作製する方法として、ウエハ融着法が開示されている{App.Phys.Lett.,Vol.75,pp.905−907(1999)}。また、Kawakamiらは、独自のバイアススパッタ堆積/エッチング法にて、SiとSiO2からなるサブミクロンオーダーの特殊な3次元周期構造を有するフォトニック結晶の作製に成功しており{Electron.Lett.,Vol.33,pp.1260−1261(1997)}、この方法を自己クローニング法と称している。また、Vosらは、ポリスチレン製単分散微粒子の自己組織化によるオパール構造の空隙にチタニアをゾル−ゲル法にて堆積させ、チタニアの焼成と同時に、鋳型のポリスチレン微粒子を焼失除去させることによって、サブミクロンオーダーのインバースオパール型フォトニック結晶を作製した{Science,Vol.281,pp.802−804(1998)}。また、Misawaらは、2光子重合法にて、光硬化製樹脂からなるサブミクロンオーダーのWoodpile状フォトニック結晶を作製した{Appl.Phys.Lett.,Vol.74,pp.786−788(1999)}。
【0004】
しかしながら、Linらの方法は、複雑な半導体微細加工技術を組み合わせた多くの工程から成ることから、大掛かりな装置が必要、生産性が低い、コストが高い、等の問題があり、また、適用できる材料種も少なく、汎用的な方法とは言えない。Nodaらの方法は、適用材料種が豊富であり、構造の自由度も高く非常に優れた方法であるが、ウエハ融着を行うのに、水素雰囲気下にて700℃程度の加熱と云う非常に過酷な条件を用いており、製造上の安全性等に問題がある。Kawakamiらの方法は、適用材料種が豊富であり、生産性も高く、非常に優れた方法であるが、特殊な構造しか作り得ず、汎用性に欠けると云う重大な問題がある。オパール型およびインバースオパール型のフォトニック結晶は、作製が非常に簡単であるため、実験室レベルの研究活動においては広く使用されているが、構造の自由度が小さく、デバイス化するに当たっては製造方法上の何らかのブレークスルーが不可欠である。また、理論計算から、オパール型およびインバースオパール型のフォトニック結晶では、完全なフォトニックバンドギャップを形成するに必要とされる屈折率条件が、Woodpile状フォトニック結晶において必要とされるものよりも格段に厳しいと予想されており、材料選択性の点でも不利である。また、インバースオパール型フォトニック結晶においては、オパール鋳型の空隙に高屈折率材料を充填する必要があるが、微細な3次元空隙に均一に充填することは困難、充填に伴い鋳型が変形する、等の問題がある。光硬化性樹脂を用いフォトニック結晶を作製する方法としては、上記の2光子重合法を用いる方法に加え、通常の光造形法による方法も提案されている。光硬化性樹脂を用いる方法では、樹脂の屈折率が高々1.7程度までと低いため、大きな屈折率比が取れないと云う問題がある。また、2光子重合法を用いる方法では、非常に高価なフェムト秒レーザーを使用しなければならず、量産化に不適と云う問題もある。一方、光造形法は、ラピッドプロトタイピング法として家電製品等の製造工程において実用化されている方法であるが、現状の装置では解像度が低く、光波長域のフォトニック結晶の作製は不可能である。
【0005】
また、最近、フォトニック結晶に機能性材料を組入れ、外部刺激に対する機能性材料の応答特性を利用して、フォトニック結晶に新たな機能を付加し、機能性素子に展開しようと云う試みがなされている。例えば、Buschらによって、インバースオパール型フォトニック結晶の空隙に、電界や熱によって屈折率が変化する液晶材料を充填したフォトニック結晶が作製されている{Phys.Rev.Lett.,Vol.83,pp.967−970(1999)}。このフォトニック結晶は、電界の印加によってフォトニックバンドギャップの開閉を制御でき、光スイッチやイメージング素子等の機能性素子として応用できる。また、Meierらによって、蜂の巣状フォトニック結晶の空隙および表面に光吸収によって蛍光や燐光を発する発光性材料を充填したフォトニック結晶が作製されている{J.Appl.Phys.,Vol.86,pp.3502−3507(1999)}。このフォトニック結晶は、フォトニック結晶構造が共振器として機能することによって、光励起のレーザー素子として応用できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のいずれの場合においても、フォトニック結晶構造を作製した後、機能性材料を充填する方法が取られているが、フォトニック結晶構造の微細な3次元空隙に機能性材料を均質に充填することは困難であることから、実用化に向けては簡便且つ生産性の高い製造方法の開発が切望されている。
このように、所望の屈折率および周期構造を有するフォトニック結晶の汎用的な製造方法、並びに機能性材料を組入れたフォトニック結晶の簡便な製造方法は未だ確立されておらず、よってフォトニック結晶を活用したフォトニックデバイスも未だ本格的な実用化には至っていない。
【0007】
本発明は、上述の実情に鑑みなされたものであって、機能性材料を組込んだフォトニック結晶及びその簡便且つ汎用的な製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明の他の目的は、フォトニック結晶を活用した、フォトニクス分野や電磁波分野で有用な機能性素子を安価に提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、先に、簡便且つ汎用的な製造方法にて作製可能な屈折率周期構造体として、所定のパターンを有する複数の薄膜パーツの積層体と、各薄膜パーツのパターン空隙部に充填された接着性有機材料とを備えた屈折率周期構造体を提案し、この構造体がフォトニック結晶として有効であることを確認している(特願2002−69275)。本発明者は、この技術を、機能性材料を組込んだフォトニック結晶に応用展開すべく、鋭意検討を行ってきた。その結果、先に提案した構造体の接着性有機材料として、接着性マトリックス材料を用い、且つその中に機能性材料を添加することによって、上述の諸問題を解決し得ることを見出し本発明を完成するに至ったものである。ここで、機能性材料とは、熱や光のような外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される材料をいう。
【0009】
すなわち、本発明に係るフォトニック結晶は、所定のパターンを有する複数の薄膜パーツの積層体と、各薄膜パーツのパターン空隙部に充填された、外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される機能性材料ならびに接着性マトリックス材料とを備えるものである。この場合、後述のように機能性材料は出来上がったフォトニック結晶構造の3次元微細空隙に充填するのではなく、薄膜パーツの2次元パターン空隙部に充填するだけで済むため、均質に機能性材料が充填出来るとともに、接着性マトリックス材料を併用しているため、機能性材料自体にはフォトニック結晶構造を堅固に固定するための接着性は不要であることから、材料選択の自由度が格段に向上する。
【0010】
ここで、機能性材料に誘起される物性変化は、屈折率、誘電率、吸収強度、スペクトルおよび伝導度の少なくとも1つの変化とすることができる。また、機能性材料に誘起される構造変化は、収縮、伸長および曲がりの少なくとも1つとすることができる。機能性材料は、例えば、蛍光性材料、燐光性材料、電界発光材料、化学発光材料等の発光材料;非線形光学材料;エレクトロクロミック材料;サーモクロミック材料;フォトクロミック材料;およびスマートゲル材料の少なくとも1つからなる。蛍光性材料は好適には蛍光性有機色素である。
また、薄膜パーツの材料は、金属、セラミックス、無機半導体、または架橋系有機材料とすることができ、接着性マトリックス材料は、有機高分子化合物または有機−無機複合ゾルゲル材料とすることができる。尚、薄膜パーツの材料と、機能性材料が添加された接着性マトリックス材料との屈折率の比は、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2.1以上である。
【0011】
さらに、本発明に係るフォトニック結晶は、所定のパターンを有する複数の薄膜パーツの積層体と、各薄膜パーツのパターン空隙部に充填された、外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される機能を有する接着性材料とを備えるものである。このように接着性材料自身が機能性を有する場合には、別途、機能性材料を用いなくてもよい。
【0012】
本発明に係るフォトニック結晶の製造方法は、ドナー基板上に所定のパターンを有する複数の薄膜パーツを形成する第1の工程と、各薄膜パーツ上に外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される機能性材料ならびに接着性マトリックス材料を供給する第2の工程と、アクセプター基板を用いて前記機能性材料および接着性マトリックス材料が供給された各薄膜パーツを順次ドナー基板上から剥離してアクセプター基板上に積層転写する第3の工程とを含むものである。
ここで、第2の工程において、機能性材料は接着性マトリックス材料中に相溶化または分散された状態で供給することができる。この場合、接着性マトリックス材料と機能性材料とを含有する溶液または分散液を用いて塗布法により行うことができる。また、第3の工程において、各薄膜パーツを積層転写する際に、光照射、加熱および加圧の少なくとも1つを行うことができる。
【0013】
また、ドナー基板の表面には、例えば、予め、フッ素原子を含有する材料よりなる離型層が形成されていることが好ましい。このような製造方法により、上述のようなフォトニック結晶を好適に作製することができる。
さらに、本発明に係るフォトニック結晶の製造方法は、ドナー基板上に所定のパターンを有する複数の薄膜パーツを形成する第1の工程と、各薄膜パーツ上に外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される機能を有する接着性材料を供給する第2の工程と、アクセプター基板を用いて前記機能を有する接着性材料が供給された各薄膜パーツを順次ドナー基板上から剥離してアクセプター基板上に積層転写する第3の工程とを含むものである。本製造方法では、接着性材料自身が機能性を有する材料が用いられる。
上述のような機能性材料を組込んだフォトニック結晶を活用することによって、レーザー素子、光スイッチ、波長可変フィルタ等の機能性素子を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のフォトニック結晶の製造方法を具現化するための製造システムの一例を示すブロック図である。この製造システムは、ドナー基板上に薄膜を成膜する成膜装置1と、成膜された薄膜を所望のパターンにパターニングするパターニング装置2と、パターニングされた複数の薄膜パーツ上に接着性マトリックス材料と機能性材料とを供給する供給装置5と、接着性マトリックス材料と機能性材料とを供給された複数の薄膜パーツをアクセプター基板上に転写接合する転写装置3とを有して構成されている。
【0015】
成膜装置1は、Siウエハ、ガラス基板、セラミックス基板、プラスティック基板等からなるドナー基板の上に薄膜を形成するサブシステムであって、膜厚制御性が良好で、且つ基板全体に亘って膜厚均一性に優れた成膜方法を用いることが好ましく、薄膜作製応用ハンドブック{権田俊一監修,エヌ・ティー・エス,1995}等に記載の公知の方法が適用できる。例えば、加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング法、超微粒子ジェットプリンティング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、レーザーアブレーション法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、あるいはラミネート法、エンボス成形法、等の乾式成膜法、またはスピンコート法、インクジェットプリンティング法、メッキ法、無電解メッキ法、電解析出法、電気泳動堆積法、CBD(Chemical Bath Deposition)法、ゾル−ゲル法、LB法、液相エピタキシー法、射出成形法、等の湿式成膜法が挙げられる。
【0016】
薄膜を構成する材料は、任意のものが利用できるが、接着を担う有機材料よりも機械的強度ならびに耐熱性が高いものが好ましい。例えば、W、Pt、Au、Al、Ti、Ni、Zr、Cu、Fe、等の金属あるいはそれらの合金;アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、フェライト、酸化亜鉛、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Florine−doped Tin Oxide)、ゼオライト等のセラミックス;Si、GaAs、InP、CdS、CdTe、GaN、CuInS2、CuInSe2、ZnS、FeS、FeSi2等の無機半導体;熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の架橋系有機材料;無機材料または有機材料を樹脂中に分散させた複合材料;あるいは、導電性高分子;カーボン;ダイアモンド;SiC等が挙げられる。これらの中でも、金属、セラミックス、無機半導体、架橋系有機材料は、高品質の薄膜を形成するための作製方法が確立されており、且つ機械的強度、耐熱性に優れるため特に好ましい。
【0017】
薄膜の膜厚は、応用目的に応じ異なるため一概に規定することはできないが、各成膜方法によって、高品質の膜を成膜できる膜厚領域が異なるため、所望の膜厚を得るに最も適した方法を選択することが望ましい。また、薄膜の面内膜厚ムラの許容範囲は、これも応用目的に応じ異なるため一概に規定することはできないが、一般的に所定膜厚の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。尚、面内膜厚ムラを所望の値に抑える方法としては、成膜時に、成膜方法、成膜条件を制御し、所望の面内膜厚ムラ内にて成膜させる方法に加え、成膜後に所望の面内膜厚ムラ内まで、表面を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等の任意の方法によって平滑化する方法でもよい。また、成膜装置1にて薄膜を作製する前に予めドナー基板の表面に離型性の高い離型層を形成することが望ましい。離型層は、ドナー基板表面にフッ素系樹脂等を蒸着あるいは塗布して形成してもよく、また、基板を加熱処理して表面に熱酸化膜を形成させる、あるいは、基板表面をフッ素原子含有ガスに晒し化学的にフッ素化する、等の方法によって形成してもよい。フッ素原子を含む薄膜の形成や表面のフッ素化により、非常に高い離型性が得られ、特に好ましい結果が得られる。
【0018】
パターニング装置2は、例えば、フォトリソグラフ法、リフトオフ法、集束イオンビーム(FIB)法、電子ビーム直接描画法、機械的切削法、等によって、薄膜を複数の薄膜パーツのセットに分割すると共に、複数の薄膜パーツに所望のパターンを施すものである。フォトリソグラフ法によれば、サブミクロンオーダーの形状精度が得られ、且つ高い量産性が実現される。但し、フォトマスクの作製が不可欠であり、多品種少量生産には不向きである。一方、FIB法および電子ビーム直接描画法は、装置が非常に高額と云う問題があるものの、ビーム走査により任意の形状が高精度で直接描画でき、フォトマスクを用いる必要もない。尚、図1においては、成膜工程とパターニング工程を別々に行う例を示したが、成膜とパターニングを同時に行う方法、例えば、蒸着法やCVD法等においてメタルマスクを用いパターン状に薄膜を堆積させる方法を用いてもよい。また、成膜後および/またはパターニング後の薄膜に、加熱処理、紫外線照射処理、オゾン処理、研磨処理、等の各種処理を施してもよい。
【0019】
パターニングを施した後、その空隙部および/または表面に接着性マトリックス材料並びに機能性材料を供給する方法としては、任意の方法を用いることができる。例えば、両者が共に固体であれば、それらの適量を直接、あるいはラミネート法、ソリッドインクジェット法、射出成形法、蒸着法等によって間接的に供給してもよい。また、両者が適当な溶剤に溶解または分散可能な場合には、その溶液または分散液を用い、スピンコート法、インクジェット法、浸漬塗布法、キャスト法等の湿式塗布法によって供給してもよい。この供給操作は、複数の薄膜パーツの全体に一度に行ってもよいが、各転写工程毎に、転写部分のみに選択的に行ってもよい。また、転写工程毎にこの供給操作を行う場合には、薄膜パーツ側ではなく、アクセプター基板側に供給してもよい。接着性マトリックス材料の供給量は、各薄膜パーツおよび各レーヤー間を接着するに十分な量以上であれば構わないが、薄膜のパターニングに応じ形成される空隙部を満たすに足る量を供給することが好ましい。機能性材料の供給量は、期待される機能を発現するに充分且つ必要な量とすべきであるが、機能性材料毎にその適当量は異なるため一概に規定することはできない。
【0020】
接着性マトリックス材料としては、接着性を有し、且つ機能性材料を内包し得るものであれば、如何なるものでも構わないが、薄膜が変形あるいは破壊されない温度ならびに圧力条件にて、可塑成形可能な有機高分子化合物または有機−無機複合ゾルゲル材料を用いることが、好ましい。また、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。該有機高分子化合物の具体例としては、JSR製Arton樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂;エポキシ樹脂等の紫外線硬化樹脂;等が挙げられる。
【0021】
機能性材料としては、外部刺激に応じて物性および/または構造等の変化が誘起されるものであれば如何なるものを用いてもよく、単独で用いても複数混合して用いてもよい。外部刺激としては、熱;圧力;X線、紫外光、可視光、赤外光、THz波、マイクロ波等の電磁波;pH変化;ガス、溶質、溶剤等への暴露;電子、イオン等の荷電粒子;等が挙げられる。物性の変化としては、屈折率、誘電率、吸収強度および/またはスペクトル、伝導度、等の変化が挙げられる。また、構造の変化としては、収縮、伸長、曲がり、等が挙げられる。また、機能性材料としては、光励起、電流励起、あるいは化学的励起により発光現象を示す材料も有効である。機能性材料の具体例としては、光励起や電流励起によって、蛍光や燐光を発する、蛍光性有機色素、燐光性有機色素、有機電界発光材料、ZnSやポーラスシリコン等の無機発光材料;電界や熱によって屈折率あるいは誘電率が変化する液晶等の非線形光学材料;電解によって吸収スペクトル等が変化するエレクトロクロミック材料;熱によって吸収スペクトル等が変化するサーモクロミック材料;光によって吸収スペクトル等が変化するフォトクロミック材料;pH変化やイオンの取込みによって伸縮するスマートゲル材料;等が挙げられる。
【0022】
機能性材料は、接着性マトリックス材料中に相溶化された状態、または粒子分散された状態にて、用いられることが好ましい。機能性材料および接着性マトリックス材料の両方が高分子化合物である場合は、相溶性のもの、またはミクロ相分離性のものを選択することが好ましく、マクロ相分離する組み合わせでは、フォトニック結晶として有効に機能しない場合がある。また、機能性材料および接着性マトリックス材料以外、任意の材料を必要に応じて添加させることができる。尚、接着性マトリックス材料自身が機能性を有する場合には、別途、機能性材料を用いなくてもよい。
【0023】
図2は、転写装置3の一例を示す模式構成図である。転写装置3は、ドナー基板400が載置される基板ホルダ301と、ドナー基板400上に形成された薄膜が転写されるアクセプター基板500が載置されるステージ302と、ステージ302に取り付けられ、基板400上のアライメントマーク403(図4)を検出する顕微鏡の如きマーク検出部306と、ステージ302をx軸モータ(図示省略)によってx軸方向(図2において左右方向)に移動させると共に、x軸位置検出部(図示省略)によってステージ302のx軸上の位置を検出するx軸テーブル310と、ステージ302をy軸モータ(図示省略)によってy軸方向(図2において紙面に垂直な方向)に移動させると共に、y軸位置検出部(図示省略)によってステージ302のy軸上の位置を検出するy軸テーブル320とが配設されている。アクセプター基板500は、例えば、Siウエハ、ガラス基板、セラミックス基板、プラスティック基板、等からなる。また、転写装置3は、基板ホルダ301をz軸モータ(図示省略)によってz軸方向(図2において上下方向)に移動させると共に、z軸位置検出部(図示省略)によって基板ホルダ301のz軸上の位置を検出するz軸テーブル330と、アライメント調整の際にθモータ(図示省略)によって基板ホルダ301をz軸回りに回転させると共に、θ位置検出部(図示省略)によって基板ホルダ301のθ方向の角度位置を検出するθテーブル340、とを具備している。x軸位置検出部、y軸位置検出部、z軸位置検出部およびθ位置検出部は、例えば、レーザー干渉計やガラススケール等を用いることによって実現することができる。
【0024】
次に、本製造システムの動作を図3および図4を参照して説明する。図3は、下記実施例にて作製したフォトニック結晶の部分的斜視図である。このフォトニック結晶4は、ストライプ状に2次元配列した角材群からなる薄膜パーツ4a、4b、4c、4dをWoodpile状に積み重ねたものである。図3において、各角材群の間の空隙部には、接着性マトリックス材料と機能性材料(図示省略)が充填されている。
図4は、成膜工程およびパターニング工程の一例を示す模式図で、(a)および(b)は断面図、(c)は平面図である。以下、実施例にて詳細を説明する。
【0025】
(実施例1)
[1]ドナー基板表面への離型層の形成: 図4(a)に示すように、ドナー基板400として石英硝子基板を準備し、そのドナー基板400をドライエッチング装置に導入し、CF4 ガスを用いたプラズマ処理(ガス流量100sccm、放電パワー500W、圧力10Pa、時間10分)を行うことにより、ドナー基板の表面をフッ素化し、離型層401とした。
【0026】
[2]ドナー基板上への薄膜の形成とそのパターニング: 表面に離型層401を形成したドナー基板の上に、成膜装置1を用いて、LPCVD(Low−Pressure Chemical Vapor Deposition)法により多結晶Si薄膜402を形成した。堆積中は水晶振動子式膜厚計にて常時膜厚をモニターし、膜厚が160μmに達したところで成膜を終了した。尚、原子間力顕微鏡による表面観察の結果、得られたSi薄膜の面内膜厚ムラは±0.2μm以内であった。
【0027】
次に、パターニング装置2を用いて、通常のフォトリソグラフ法により、図4(b)および(c)に示すように、フォトニック結晶4の各レーヤー形状に対応した4セットの薄膜パーツ4a、4b、4c、4dを形成した。すなわち、ドナー基板400上に離型層401を介して形成したSi薄膜402の表面にポジ型のフォトレジストをスピンコート法にて塗布し、フォトマスクを介してフォトレジストを露光し、露光した部分のフォトレジストを溶剤によって取り去った後、薄膜402が露出した部分を反応性イオンエッチング法にてエッチングし、さらにその後、未露光のフォトレジストを剥離液にて除去して、それぞれパターニングが施された4セットの薄膜パーツを得た。尚、図4(c)に示すように、このパターニング工程で、次工程においてドナー基板400の位置決めのために使用する複数のアライメントマーク403も形成しておいた。
【0028】
[3]薄膜上への接着性マトリックス材料と機能性材料の供給: 接着性マトリックス材料として電荷輸送性ポリエステル(75重量部)を、機能性材料として蛍光性色素のAlキノリニューム錯体Alq3(25重量部)と共にTHF700重量部に溶解させた溶液を、パターニングを施した薄膜上にキャスト法により塗布し、減圧下120℃にて1時間、乾燥した。
【0029】
[4]積層転写工程: 図5(a)〜(f)は、積層転写工程を模式的に示したものである。図5(a)に示すように、パターニングされ且つ接着性マトリックス材料と機能性材料の混合物600で被覆された薄膜を有するドナー基板400を転写装置3の基板ホルダ301上に、アクセプター基板500としてのSiウエハを転写装置3のステージ302上に、それぞれ載置した。
アクセプター基板500とドナー基板400とのアライメント調整をアライメントマーク403(図4)を用いて行った。すなわち、x軸モータおよびy軸モータを制御してステージ302をx方向およびy方向に移動してマーク検出部306からのマーク検出信号を取り込み、このマーク検出信号に基づいてアライメントマーク403とアクセプター基板500との相対的位置関係を測定し、この相対的位置関係の測定結果に基づいてアライメントマーク403およびアクセプター基板500が原点位置に達するようにx軸モータ、y軸モータおよびθモータを制御した。これにより、薄膜が形成されたドナー基板400を載置する位置にずれがあっても、アクセプター基板500とアライメントマーク403の相対的な位置決めが正確に行われる。
【0030】
そして、図5(b)に示すように、z軸位置検出部の検出信号に基づいてz軸モータを制御して基板ホルダ301を上昇させ、アクセプター基板500の表面に、薄膜パーツ4aの表面を接触させ、ステージ302に取り付けた抵抗加熱器(図示省略)によってアクセプター基板を加熱しながら、所定の荷重(本実施例では1.5kgf/cm2)にて所定の時間(本実施例では5分間)、押し付けた後、加熱を止め、常温まで冷却するのを待った。この過程により、蛍光色素が添加された電荷輸送性ポリエステルが熱可塑変形してSi製ストライプで規定されるWoodpile構造のパターン空隙部に充填されると共に、該ポリエステルの接着力によって、Siストライプが一体的に接合された状態にて、アクセプター基板表面に接着される。
【0031】
次に、図5(b)および(c)に示すように、ステージ302の4辺に取付けたカッター501を押し下げながら、z軸位置検出部の検出信号に基づいてz軸モータを駆動して、基板ホルダ301を図5(a)に示す元の位置まで下降させた。基板ホルダ301を下降させると、薄膜パーツ4aとアクセプター基板との接着力の方が、薄膜パーツ4aと離型層との接着力よりも遥かに大きく、且つカッターにより薄膜パーツ4aの輪郭部のポリエステルが切断されているため、薄膜パーツ4aはドナー基板400側から剥離し、アクセプター基板500側に転写される。
【0032】
続いて、図5(d)に示すように、x軸モータおよびy軸モータを制御して、ステージ302を薄膜パーツ4b上に移動させる。そして、図5(e)に示すように、z軸位置検出部の検出信号に基づいてz軸モータを制御して基板ホルダ301を上昇させ、アクセプター基板500の表面に、薄膜パーツ4bの表面を接触させ、上記と同様の操作を行う。次に、上記と同様に、カッター501を押し下げながら、図5(f)に示すように基板ホルダ301を元の位置まで降下させた。
【0033】
以降、同様にして各薄膜パーツを順次、積層転写することにより、目的とするSiと、有機高分子化合物および蛍光性材料とから構成されるWoodpile状フォトニック結晶4を得た。尚、各ストライプの幅は120μm、ストライプの周期は420μmとした。
【0034】
以上のように、最終的にWoodpile構造の微細3元空隙部に機能性材料が均質に充填されたフォトニック結晶が、微細3次元空隙に機能性材料を充填すると云う困難を避けて、パターン化薄膜上にキャスト法にて機能性材料を塗布すると云う非常に簡便な方法にて、作製することができた。
【0035】
尚、本実施例では、基板ホルダ301のみがz方向に移動する場合を示したが、基板ホルダ301とステージ302の両方が共にz方向に移動する機構でもよく、基板ホルダ301がx方向およびy方向に移動し、ステージ302がz方向に移動する機構でもよく、さらにまた、基板ホルダ301とステージ302の両方がx方向、y方向およびz方向に移動する機構でもよい。また、本実施例では、一括して薄膜の成膜、パターニングを行ったが、薄膜パーツ毎に成膜、パターニングを順次、行ってもよい。また、本実施例では、抵抗加熱法によって加熱を行ったが、高周波誘導加熱法、赤外線照射加熱法、サーマルヘッド加熱法等の方法によって加熱を行ってもよい。尚、接着を担う接着性マトリックス材料として、本実施例では、熱圧着性を有する熱可塑性ポリエステルを用いたが、紫外線硬化樹脂を用いる場合には、加熱装置に代わって、紫外線照射装置を付備する必要がある。
【0036】
(実施例2)
実施例1の工程[3]において、接着性マトリックス材料を、有機−無機複合ゾルゲル材料の一種であるフェニルトリエトキシシラン(95重量部)に、機能性材料を、非線形光学材料の一種であるDisperse Red 1(5重量部)に、溶剤をTHF/EtOH混合溶剤(4:1)に、乾燥条件を大気下100℃10分に変更し、且つ4層の積層転写の後に、減圧下180℃にて1時間、アニーリング処理を施した以外は、実施例1と同様にして、目的とするSiと、有機−無機複合ゾルゲル材料および非線形材料とから構成されるWoodpile状フォトニック結晶4を得た。
【0037】
(実施例3)
図6は、Triangular状フォトニック結晶の薄膜パターンの一例を示す図である。本例では、図示のように、薄膜61がTriangular状に形成されている。この種の薄膜パターンは、例えばJ.Appl.Phys,Vol.86,p.3503の図1に記載されている。Triangular状フォトニック結晶の膜厚を1μmに変更し、これを等間隔に4層にスライスしたものに対応する薄膜パーツを準備し、実施例1と同様にして、Triangular状フォトニック結晶を作製した。尚、薄膜材料としては、市販のUV硬化性エポキシ樹脂を、接着性マトリックス材料としては、JSR製ARTON樹脂(75重量部)を、機能性材料としては、Alq3(24.重量部)とレーザー色素DCM(1重量部)を、それぞれ用いた。
本発明によれば、従来法では作製困難なアスペクト比の高い構造体をも、本実施例に示すように、それをスライスしたものに対応する薄膜パーツを積層することによって、容易に作製することができる。
【0038】
(比較例1)
図7は、パターニング工程の他の例を示す模式図で、(a)は断面図、(b)は平面図である。図示のように、各薄膜パーツ7a〜7dには接合用の枠部710が設けられている。本実施例では、各薄膜パーツ7a〜7dのパターン空隙部には何も充填されず、各薄膜パーツの枠部710間を接着性有機材料で接着する。接着性有機材料は、図示のように、各薄膜パーツの枠部外側に設けられた切り欠き部720にインクジェット方式で配置される。このような製造方法にて、Woodpile構造の空隙部には何も充填されていない以外は本実施例1と同じWoodpile状フォトニック結晶を作製した。このWoodpile状フォトニック結晶(以降Aと略称する)の3次元空隙に、実施例1で用いた、接着性マトリックス材料と機能性材料を充填すべく、実施例1で準備した、接着性マトリックス材料と機能性材料とを溶解させた溶液(以降Bと略称する)中に、Aを浸漬し、その空隙内部に、Bを充填した。Bは、Aの空隙に均質に充填されたが、不要な溶剤を除去すべく、乾燥を行った所、気泡が発生し、結果として不均質な充填体しか得られなかった。この溶剤除去に伴う問題を避けるため、接着性マトリックス材料と機能性材料との混合物を溶融流動化させたものを、A上にキャストし、Aの空隙に充填させることを試みたが、溶融物の粘度が高く、微細な空隙には浸透し難く、この方法でも、均質な充填体を得ることはできなかった。
【0039】
(実施例4)
図8は、実施例3で得られたTriangular状フォトニック結晶を用いた機能性素子の一例を示す図である。本機能性素子80に、J.Appl.Phys,Vol.86,p.3505の図4と同様にして、窒素レーザー81(波長=337nm、パルス幅=約5nsec、強度=約300μJ/cm2)を照射し、それに伴い出射される光82を光検出器にて観測した。約50μJ/cm2の発信閾値を持ってDCMのレーザー発信に対応する鋭い発光ピーク(約630nm)が観測された。これにより、フォトニック結晶を用いた本機能性素子がレーザー素子として有効に機能することが確認された。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、機能性材料を均質に取り込んだ有用且つ新規なフォトニック結晶を得ることができる。さらに、そのようなフォトニック結晶を、容易且つ安価に作製できるフォトニック結晶の製造方法が実現され、また、それらを用いた有用且つ新規な機能性素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に係る製造システムの一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の製造方法に係る転写装置の一例を示す模式図である。
【図3】本発明のフォトニック結晶の一例を示す部分的斜視図である。
【図4】本発明における形成工程およびパターニング工程の一例を示す模式図であって、(a)および(b)は断面図、(c)平面図である。
【図5】(a)〜(f)は本発明における転写工程の一例を示す模式図である。
【図6】Triangular状フォトニック結晶の薄膜パターンの一例を示す図である。
【図7】パターニング工程の他の例を示す模式図で、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図8】Triangular状フォトニック結晶を用いた機能性素子の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 成膜装置
2 パターニング装置
3 転写装置
4 フォトニック結晶
4a〜d 薄膜パーツ
5 供給装置
301 基板ホルダ
302 ステージ
400 ドナー基板
401 離型層
402 薄膜
403 アライメントマーク
500 アクセプター基板
501 カッター
600 接着性マトリックス材料と機能性材料の混合物
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトニクス分野や電磁波分野等に有用なフォトニック結晶及びその製造方法、並びにフォトニック結晶を活用したレーザー素子、光スイッチ、波長可変フィルタ等の機能性素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
屈折率の周期的な分布を有する屈折率周期構造体は、電磁波に対する回折/干渉作用を示し、特定周波数領域の電磁波の伝播を禁止する。この現象は、半導体結晶中の電子に対するバンド構造に相応するものであり、一般的に、このような屈折率周期構造体をフォトニック結晶、伝播を禁止される周波数帯域をフォトニックバンドギャップと称する。20世紀末に開花したIT産業は、電子を制御する半導体材料に基づくエレクトロニクス技術によって支えられてきたが、本質的な技術的限界に近づきつつあり、21世紀のさらなる発展のためには、エレクトロニクス技術の限界を打破し得るフォトニクス技術への移行が不可欠であるものと考えられている。フォトニック結晶は、電磁波を制御することができることから、エレクトロニクス技術における半導体材料と同様に、フォトニクス技術のKey材料と位置付けられ、超高効率レーザー、超小型光集積回路等の次世代光デバイスを具現化するための重要な要素として期待されている。
【0003】
フォトニック結晶が有効に機能するためには、制御したい電磁波の波長と同程度の空間スケールの屈折率周期構造を有し、且つ高屈折率相と低屈折率相との屈折率の比が所定の値以上である必要がある。要求される最低の屈折率比は、周期構造の形態に応じ異なるが、一般的に大きい程、好ましい。フォトニクス分野においては、対象とする波長域は一般的に可視光域から近赤外光域であることから、サブミクロンからミクロンオーダーの周期を有するフォトニック結晶を作製しなければならない。これを具現化し得る方法としては、例えばLinらによって、半導体微細加工技術を駆使し、Si製の角材を数ミクロン周期で積み重ねたWoodpile(積み木)状のフォトニック結晶を作製した例が開示されている{Nature,Vol.394,pp.251−253(1998)}。また、Nodaらによって、GaAsやInP製の角材を数ミクロン周期で積み重ねたWoodpile状のフォトニック結晶を作製する方法として、ウエハ融着法が開示されている{App.Phys.Lett.,Vol.75,pp.905−907(1999)}。また、Kawakamiらは、独自のバイアススパッタ堆積/エッチング法にて、SiとSiO2からなるサブミクロンオーダーの特殊な3次元周期構造を有するフォトニック結晶の作製に成功しており{Electron.Lett.,Vol.33,pp.1260−1261(1997)}、この方法を自己クローニング法と称している。また、Vosらは、ポリスチレン製単分散微粒子の自己組織化によるオパール構造の空隙にチタニアをゾル−ゲル法にて堆積させ、チタニアの焼成と同時に、鋳型のポリスチレン微粒子を焼失除去させることによって、サブミクロンオーダーのインバースオパール型フォトニック結晶を作製した{Science,Vol.281,pp.802−804(1998)}。また、Misawaらは、2光子重合法にて、光硬化製樹脂からなるサブミクロンオーダーのWoodpile状フォトニック結晶を作製した{Appl.Phys.Lett.,Vol.74,pp.786−788(1999)}。
【0004】
しかしながら、Linらの方法は、複雑な半導体微細加工技術を組み合わせた多くの工程から成ることから、大掛かりな装置が必要、生産性が低い、コストが高い、等の問題があり、また、適用できる材料種も少なく、汎用的な方法とは言えない。Nodaらの方法は、適用材料種が豊富であり、構造の自由度も高く非常に優れた方法であるが、ウエハ融着を行うのに、水素雰囲気下にて700℃程度の加熱と云う非常に過酷な条件を用いており、製造上の安全性等に問題がある。Kawakamiらの方法は、適用材料種が豊富であり、生産性も高く、非常に優れた方法であるが、特殊な構造しか作り得ず、汎用性に欠けると云う重大な問題がある。オパール型およびインバースオパール型のフォトニック結晶は、作製が非常に簡単であるため、実験室レベルの研究活動においては広く使用されているが、構造の自由度が小さく、デバイス化するに当たっては製造方法上の何らかのブレークスルーが不可欠である。また、理論計算から、オパール型およびインバースオパール型のフォトニック結晶では、完全なフォトニックバンドギャップを形成するに必要とされる屈折率条件が、Woodpile状フォトニック結晶において必要とされるものよりも格段に厳しいと予想されており、材料選択性の点でも不利である。また、インバースオパール型フォトニック結晶においては、オパール鋳型の空隙に高屈折率材料を充填する必要があるが、微細な3次元空隙に均一に充填することは困難、充填に伴い鋳型が変形する、等の問題がある。光硬化性樹脂を用いフォトニック結晶を作製する方法としては、上記の2光子重合法を用いる方法に加え、通常の光造形法による方法も提案されている。光硬化性樹脂を用いる方法では、樹脂の屈折率が高々1.7程度までと低いため、大きな屈折率比が取れないと云う問題がある。また、2光子重合法を用いる方法では、非常に高価なフェムト秒レーザーを使用しなければならず、量産化に不適と云う問題もある。一方、光造形法は、ラピッドプロトタイピング法として家電製品等の製造工程において実用化されている方法であるが、現状の装置では解像度が低く、光波長域のフォトニック結晶の作製は不可能である。
【0005】
また、最近、フォトニック結晶に機能性材料を組入れ、外部刺激に対する機能性材料の応答特性を利用して、フォトニック結晶に新たな機能を付加し、機能性素子に展開しようと云う試みがなされている。例えば、Buschらによって、インバースオパール型フォトニック結晶の空隙に、電界や熱によって屈折率が変化する液晶材料を充填したフォトニック結晶が作製されている{Phys.Rev.Lett.,Vol.83,pp.967−970(1999)}。このフォトニック結晶は、電界の印加によってフォトニックバンドギャップの開閉を制御でき、光スイッチやイメージング素子等の機能性素子として応用できる。また、Meierらによって、蜂の巣状フォトニック結晶の空隙および表面に光吸収によって蛍光や燐光を発する発光性材料を充填したフォトニック結晶が作製されている{J.Appl.Phys.,Vol.86,pp.3502−3507(1999)}。このフォトニック結晶は、フォトニック結晶構造が共振器として機能することによって、光励起のレーザー素子として応用できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のいずれの場合においても、フォトニック結晶構造を作製した後、機能性材料を充填する方法が取られているが、フォトニック結晶構造の微細な3次元空隙に機能性材料を均質に充填することは困難であることから、実用化に向けては簡便且つ生産性の高い製造方法の開発が切望されている。
このように、所望の屈折率および周期構造を有するフォトニック結晶の汎用的な製造方法、並びに機能性材料を組入れたフォトニック結晶の簡便な製造方法は未だ確立されておらず、よってフォトニック結晶を活用したフォトニックデバイスも未だ本格的な実用化には至っていない。
【0007】
本発明は、上述の実情に鑑みなされたものであって、機能性材料を組込んだフォトニック結晶及びその簡便且つ汎用的な製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明の他の目的は、フォトニック結晶を活用した、フォトニクス分野や電磁波分野で有用な機能性素子を安価に提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、先に、簡便且つ汎用的な製造方法にて作製可能な屈折率周期構造体として、所定のパターンを有する複数の薄膜パーツの積層体と、各薄膜パーツのパターン空隙部に充填された接着性有機材料とを備えた屈折率周期構造体を提案し、この構造体がフォトニック結晶として有効であることを確認している(特願2002−69275)。本発明者は、この技術を、機能性材料を組込んだフォトニック結晶に応用展開すべく、鋭意検討を行ってきた。その結果、先に提案した構造体の接着性有機材料として、接着性マトリックス材料を用い、且つその中に機能性材料を添加することによって、上述の諸問題を解決し得ることを見出し本発明を完成するに至ったものである。ここで、機能性材料とは、熱や光のような外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される材料をいう。
【0009】
すなわち、本発明に係るフォトニック結晶は、所定のパターンを有する複数の薄膜パーツの積層体と、各薄膜パーツのパターン空隙部に充填された、外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される機能性材料ならびに接着性マトリックス材料とを備えるものである。この場合、後述のように機能性材料は出来上がったフォトニック結晶構造の3次元微細空隙に充填するのではなく、薄膜パーツの2次元パターン空隙部に充填するだけで済むため、均質に機能性材料が充填出来るとともに、接着性マトリックス材料を併用しているため、機能性材料自体にはフォトニック結晶構造を堅固に固定するための接着性は不要であることから、材料選択の自由度が格段に向上する。
【0010】
ここで、機能性材料に誘起される物性変化は、屈折率、誘電率、吸収強度、スペクトルおよび伝導度の少なくとも1つの変化とすることができる。また、機能性材料に誘起される構造変化は、収縮、伸長および曲がりの少なくとも1つとすることができる。機能性材料は、例えば、蛍光性材料、燐光性材料、電界発光材料、化学発光材料等の発光材料;非線形光学材料;エレクトロクロミック材料;サーモクロミック材料;フォトクロミック材料;およびスマートゲル材料の少なくとも1つからなる。蛍光性材料は好適には蛍光性有機色素である。
また、薄膜パーツの材料は、金属、セラミックス、無機半導体、または架橋系有機材料とすることができ、接着性マトリックス材料は、有機高分子化合物または有機−無機複合ゾルゲル材料とすることができる。尚、薄膜パーツの材料と、機能性材料が添加された接着性マトリックス材料との屈折率の比は、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2.1以上である。
【0011】
さらに、本発明に係るフォトニック結晶は、所定のパターンを有する複数の薄膜パーツの積層体と、各薄膜パーツのパターン空隙部に充填された、外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される機能を有する接着性材料とを備えるものである。このように接着性材料自身が機能性を有する場合には、別途、機能性材料を用いなくてもよい。
【0012】
本発明に係るフォトニック結晶の製造方法は、ドナー基板上に所定のパターンを有する複数の薄膜パーツを形成する第1の工程と、各薄膜パーツ上に外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される機能性材料ならびに接着性マトリックス材料を供給する第2の工程と、アクセプター基板を用いて前記機能性材料および接着性マトリックス材料が供給された各薄膜パーツを順次ドナー基板上から剥離してアクセプター基板上に積層転写する第3の工程とを含むものである。
ここで、第2の工程において、機能性材料は接着性マトリックス材料中に相溶化または分散された状態で供給することができる。この場合、接着性マトリックス材料と機能性材料とを含有する溶液または分散液を用いて塗布法により行うことができる。また、第3の工程において、各薄膜パーツを積層転写する際に、光照射、加熱および加圧の少なくとも1つを行うことができる。
【0013】
また、ドナー基板の表面には、例えば、予め、フッ素原子を含有する材料よりなる離型層が形成されていることが好ましい。このような製造方法により、上述のようなフォトニック結晶を好適に作製することができる。
さらに、本発明に係るフォトニック結晶の製造方法は、ドナー基板上に所定のパターンを有する複数の薄膜パーツを形成する第1の工程と、各薄膜パーツ上に外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される機能を有する接着性材料を供給する第2の工程と、アクセプター基板を用いて前記機能を有する接着性材料が供給された各薄膜パーツを順次ドナー基板上から剥離してアクセプター基板上に積層転写する第3の工程とを含むものである。本製造方法では、接着性材料自身が機能性を有する材料が用いられる。
上述のような機能性材料を組込んだフォトニック結晶を活用することによって、レーザー素子、光スイッチ、波長可変フィルタ等の機能性素子を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のフォトニック結晶の製造方法を具現化するための製造システムの一例を示すブロック図である。この製造システムは、ドナー基板上に薄膜を成膜する成膜装置1と、成膜された薄膜を所望のパターンにパターニングするパターニング装置2と、パターニングされた複数の薄膜パーツ上に接着性マトリックス材料と機能性材料とを供給する供給装置5と、接着性マトリックス材料と機能性材料とを供給された複数の薄膜パーツをアクセプター基板上に転写接合する転写装置3とを有して構成されている。
【0015】
成膜装置1は、Siウエハ、ガラス基板、セラミックス基板、プラスティック基板等からなるドナー基板の上に薄膜を形成するサブシステムであって、膜厚制御性が良好で、且つ基板全体に亘って膜厚均一性に優れた成膜方法を用いることが好ましく、薄膜作製応用ハンドブック{権田俊一監修,エヌ・ティー・エス,1995}等に記載の公知の方法が適用できる。例えば、加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング法、超微粒子ジェットプリンティング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、レーザーアブレーション法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、あるいはラミネート法、エンボス成形法、等の乾式成膜法、またはスピンコート法、インクジェットプリンティング法、メッキ法、無電解メッキ法、電解析出法、電気泳動堆積法、CBD(Chemical Bath Deposition)法、ゾル−ゲル法、LB法、液相エピタキシー法、射出成形法、等の湿式成膜法が挙げられる。
【0016】
薄膜を構成する材料は、任意のものが利用できるが、接着を担う有機材料よりも機械的強度ならびに耐熱性が高いものが好ましい。例えば、W、Pt、Au、Al、Ti、Ni、Zr、Cu、Fe、等の金属あるいはそれらの合金;アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、フェライト、酸化亜鉛、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Florine−doped Tin Oxide)、ゼオライト等のセラミックス;Si、GaAs、InP、CdS、CdTe、GaN、CuInS2、CuInSe2、ZnS、FeS、FeSi2等の無機半導体;熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の架橋系有機材料;無機材料または有機材料を樹脂中に分散させた複合材料;あるいは、導電性高分子;カーボン;ダイアモンド;SiC等が挙げられる。これらの中でも、金属、セラミックス、無機半導体、架橋系有機材料は、高品質の薄膜を形成するための作製方法が確立されており、且つ機械的強度、耐熱性に優れるため特に好ましい。
【0017】
薄膜の膜厚は、応用目的に応じ異なるため一概に規定することはできないが、各成膜方法によって、高品質の膜を成膜できる膜厚領域が異なるため、所望の膜厚を得るに最も適した方法を選択することが望ましい。また、薄膜の面内膜厚ムラの許容範囲は、これも応用目的に応じ異なるため一概に規定することはできないが、一般的に所定膜厚の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。尚、面内膜厚ムラを所望の値に抑える方法としては、成膜時に、成膜方法、成膜条件を制御し、所望の面内膜厚ムラ内にて成膜させる方法に加え、成膜後に所望の面内膜厚ムラ内まで、表面を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等の任意の方法によって平滑化する方法でもよい。また、成膜装置1にて薄膜を作製する前に予めドナー基板の表面に離型性の高い離型層を形成することが望ましい。離型層は、ドナー基板表面にフッ素系樹脂等を蒸着あるいは塗布して形成してもよく、また、基板を加熱処理して表面に熱酸化膜を形成させる、あるいは、基板表面をフッ素原子含有ガスに晒し化学的にフッ素化する、等の方法によって形成してもよい。フッ素原子を含む薄膜の形成や表面のフッ素化により、非常に高い離型性が得られ、特に好ましい結果が得られる。
【0018】
パターニング装置2は、例えば、フォトリソグラフ法、リフトオフ法、集束イオンビーム(FIB)法、電子ビーム直接描画法、機械的切削法、等によって、薄膜を複数の薄膜パーツのセットに分割すると共に、複数の薄膜パーツに所望のパターンを施すものである。フォトリソグラフ法によれば、サブミクロンオーダーの形状精度が得られ、且つ高い量産性が実現される。但し、フォトマスクの作製が不可欠であり、多品種少量生産には不向きである。一方、FIB法および電子ビーム直接描画法は、装置が非常に高額と云う問題があるものの、ビーム走査により任意の形状が高精度で直接描画でき、フォトマスクを用いる必要もない。尚、図1においては、成膜工程とパターニング工程を別々に行う例を示したが、成膜とパターニングを同時に行う方法、例えば、蒸着法やCVD法等においてメタルマスクを用いパターン状に薄膜を堆積させる方法を用いてもよい。また、成膜後および/またはパターニング後の薄膜に、加熱処理、紫外線照射処理、オゾン処理、研磨処理、等の各種処理を施してもよい。
【0019】
パターニングを施した後、その空隙部および/または表面に接着性マトリックス材料並びに機能性材料を供給する方法としては、任意の方法を用いることができる。例えば、両者が共に固体であれば、それらの適量を直接、あるいはラミネート法、ソリッドインクジェット法、射出成形法、蒸着法等によって間接的に供給してもよい。また、両者が適当な溶剤に溶解または分散可能な場合には、その溶液または分散液を用い、スピンコート法、インクジェット法、浸漬塗布法、キャスト法等の湿式塗布法によって供給してもよい。この供給操作は、複数の薄膜パーツの全体に一度に行ってもよいが、各転写工程毎に、転写部分のみに選択的に行ってもよい。また、転写工程毎にこの供給操作を行う場合には、薄膜パーツ側ではなく、アクセプター基板側に供給してもよい。接着性マトリックス材料の供給量は、各薄膜パーツおよび各レーヤー間を接着するに十分な量以上であれば構わないが、薄膜のパターニングに応じ形成される空隙部を満たすに足る量を供給することが好ましい。機能性材料の供給量は、期待される機能を発現するに充分且つ必要な量とすべきであるが、機能性材料毎にその適当量は異なるため一概に規定することはできない。
【0020】
接着性マトリックス材料としては、接着性を有し、且つ機能性材料を内包し得るものであれば、如何なるものでも構わないが、薄膜が変形あるいは破壊されない温度ならびに圧力条件にて、可塑成形可能な有機高分子化合物または有機−無機複合ゾルゲル材料を用いることが、好ましい。また、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。該有機高分子化合物の具体例としては、JSR製Arton樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂;エポキシ樹脂等の紫外線硬化樹脂;等が挙げられる。
【0021】
機能性材料としては、外部刺激に応じて物性および/または構造等の変化が誘起されるものであれば如何なるものを用いてもよく、単独で用いても複数混合して用いてもよい。外部刺激としては、熱;圧力;X線、紫外光、可視光、赤外光、THz波、マイクロ波等の電磁波;pH変化;ガス、溶質、溶剤等への暴露;電子、イオン等の荷電粒子;等が挙げられる。物性の変化としては、屈折率、誘電率、吸収強度および/またはスペクトル、伝導度、等の変化が挙げられる。また、構造の変化としては、収縮、伸長、曲がり、等が挙げられる。また、機能性材料としては、光励起、電流励起、あるいは化学的励起により発光現象を示す材料も有効である。機能性材料の具体例としては、光励起や電流励起によって、蛍光や燐光を発する、蛍光性有機色素、燐光性有機色素、有機電界発光材料、ZnSやポーラスシリコン等の無機発光材料;電界や熱によって屈折率あるいは誘電率が変化する液晶等の非線形光学材料;電解によって吸収スペクトル等が変化するエレクトロクロミック材料;熱によって吸収スペクトル等が変化するサーモクロミック材料;光によって吸収スペクトル等が変化するフォトクロミック材料;pH変化やイオンの取込みによって伸縮するスマートゲル材料;等が挙げられる。
【0022】
機能性材料は、接着性マトリックス材料中に相溶化された状態、または粒子分散された状態にて、用いられることが好ましい。機能性材料および接着性マトリックス材料の両方が高分子化合物である場合は、相溶性のもの、またはミクロ相分離性のものを選択することが好ましく、マクロ相分離する組み合わせでは、フォトニック結晶として有効に機能しない場合がある。また、機能性材料および接着性マトリックス材料以外、任意の材料を必要に応じて添加させることができる。尚、接着性マトリックス材料自身が機能性を有する場合には、別途、機能性材料を用いなくてもよい。
【0023】
図2は、転写装置3の一例を示す模式構成図である。転写装置3は、ドナー基板400が載置される基板ホルダ301と、ドナー基板400上に形成された薄膜が転写されるアクセプター基板500が載置されるステージ302と、ステージ302に取り付けられ、基板400上のアライメントマーク403(図4)を検出する顕微鏡の如きマーク検出部306と、ステージ302をx軸モータ(図示省略)によってx軸方向(図2において左右方向)に移動させると共に、x軸位置検出部(図示省略)によってステージ302のx軸上の位置を検出するx軸テーブル310と、ステージ302をy軸モータ(図示省略)によってy軸方向(図2において紙面に垂直な方向)に移動させると共に、y軸位置検出部(図示省略)によってステージ302のy軸上の位置を検出するy軸テーブル320とが配設されている。アクセプター基板500は、例えば、Siウエハ、ガラス基板、セラミックス基板、プラスティック基板、等からなる。また、転写装置3は、基板ホルダ301をz軸モータ(図示省略)によってz軸方向(図2において上下方向)に移動させると共に、z軸位置検出部(図示省略)によって基板ホルダ301のz軸上の位置を検出するz軸テーブル330と、アライメント調整の際にθモータ(図示省略)によって基板ホルダ301をz軸回りに回転させると共に、θ位置検出部(図示省略)によって基板ホルダ301のθ方向の角度位置を検出するθテーブル340、とを具備している。x軸位置検出部、y軸位置検出部、z軸位置検出部およびθ位置検出部は、例えば、レーザー干渉計やガラススケール等を用いることによって実現することができる。
【0024】
次に、本製造システムの動作を図3および図4を参照して説明する。図3は、下記実施例にて作製したフォトニック結晶の部分的斜視図である。このフォトニック結晶4は、ストライプ状に2次元配列した角材群からなる薄膜パーツ4a、4b、4c、4dをWoodpile状に積み重ねたものである。図3において、各角材群の間の空隙部には、接着性マトリックス材料と機能性材料(図示省略)が充填されている。
図4は、成膜工程およびパターニング工程の一例を示す模式図で、(a)および(b)は断面図、(c)は平面図である。以下、実施例にて詳細を説明する。
【0025】
(実施例1)
[1]ドナー基板表面への離型層の形成: 図4(a)に示すように、ドナー基板400として石英硝子基板を準備し、そのドナー基板400をドライエッチング装置に導入し、CF4 ガスを用いたプラズマ処理(ガス流量100sccm、放電パワー500W、圧力10Pa、時間10分)を行うことにより、ドナー基板の表面をフッ素化し、離型層401とした。
【0026】
[2]ドナー基板上への薄膜の形成とそのパターニング: 表面に離型層401を形成したドナー基板の上に、成膜装置1を用いて、LPCVD(Low−Pressure Chemical Vapor Deposition)法により多結晶Si薄膜402を形成した。堆積中は水晶振動子式膜厚計にて常時膜厚をモニターし、膜厚が160μmに達したところで成膜を終了した。尚、原子間力顕微鏡による表面観察の結果、得られたSi薄膜の面内膜厚ムラは±0.2μm以内であった。
【0027】
次に、パターニング装置2を用いて、通常のフォトリソグラフ法により、図4(b)および(c)に示すように、フォトニック結晶4の各レーヤー形状に対応した4セットの薄膜パーツ4a、4b、4c、4dを形成した。すなわち、ドナー基板400上に離型層401を介して形成したSi薄膜402の表面にポジ型のフォトレジストをスピンコート法にて塗布し、フォトマスクを介してフォトレジストを露光し、露光した部分のフォトレジストを溶剤によって取り去った後、薄膜402が露出した部分を反応性イオンエッチング法にてエッチングし、さらにその後、未露光のフォトレジストを剥離液にて除去して、それぞれパターニングが施された4セットの薄膜パーツを得た。尚、図4(c)に示すように、このパターニング工程で、次工程においてドナー基板400の位置決めのために使用する複数のアライメントマーク403も形成しておいた。
【0028】
[3]薄膜上への接着性マトリックス材料と機能性材料の供給: 接着性マトリックス材料として電荷輸送性ポリエステル(75重量部)を、機能性材料として蛍光性色素のAlキノリニューム錯体Alq3(25重量部)と共にTHF700重量部に溶解させた溶液を、パターニングを施した薄膜上にキャスト法により塗布し、減圧下120℃にて1時間、乾燥した。
【0029】
[4]積層転写工程: 図5(a)〜(f)は、積層転写工程を模式的に示したものである。図5(a)に示すように、パターニングされ且つ接着性マトリックス材料と機能性材料の混合物600で被覆された薄膜を有するドナー基板400を転写装置3の基板ホルダ301上に、アクセプター基板500としてのSiウエハを転写装置3のステージ302上に、それぞれ載置した。
アクセプター基板500とドナー基板400とのアライメント調整をアライメントマーク403(図4)を用いて行った。すなわち、x軸モータおよびy軸モータを制御してステージ302をx方向およびy方向に移動してマーク検出部306からのマーク検出信号を取り込み、このマーク検出信号に基づいてアライメントマーク403とアクセプター基板500との相対的位置関係を測定し、この相対的位置関係の測定結果に基づいてアライメントマーク403およびアクセプター基板500が原点位置に達するようにx軸モータ、y軸モータおよびθモータを制御した。これにより、薄膜が形成されたドナー基板400を載置する位置にずれがあっても、アクセプター基板500とアライメントマーク403の相対的な位置決めが正確に行われる。
【0030】
そして、図5(b)に示すように、z軸位置検出部の検出信号に基づいてz軸モータを制御して基板ホルダ301を上昇させ、アクセプター基板500の表面に、薄膜パーツ4aの表面を接触させ、ステージ302に取り付けた抵抗加熱器(図示省略)によってアクセプター基板を加熱しながら、所定の荷重(本実施例では1.5kgf/cm2)にて所定の時間(本実施例では5分間)、押し付けた後、加熱を止め、常温まで冷却するのを待った。この過程により、蛍光色素が添加された電荷輸送性ポリエステルが熱可塑変形してSi製ストライプで規定されるWoodpile構造のパターン空隙部に充填されると共に、該ポリエステルの接着力によって、Siストライプが一体的に接合された状態にて、アクセプター基板表面に接着される。
【0031】
次に、図5(b)および(c)に示すように、ステージ302の4辺に取付けたカッター501を押し下げながら、z軸位置検出部の検出信号に基づいてz軸モータを駆動して、基板ホルダ301を図5(a)に示す元の位置まで下降させた。基板ホルダ301を下降させると、薄膜パーツ4aとアクセプター基板との接着力の方が、薄膜パーツ4aと離型層との接着力よりも遥かに大きく、且つカッターにより薄膜パーツ4aの輪郭部のポリエステルが切断されているため、薄膜パーツ4aはドナー基板400側から剥離し、アクセプター基板500側に転写される。
【0032】
続いて、図5(d)に示すように、x軸モータおよびy軸モータを制御して、ステージ302を薄膜パーツ4b上に移動させる。そして、図5(e)に示すように、z軸位置検出部の検出信号に基づいてz軸モータを制御して基板ホルダ301を上昇させ、アクセプター基板500の表面に、薄膜パーツ4bの表面を接触させ、上記と同様の操作を行う。次に、上記と同様に、カッター501を押し下げながら、図5(f)に示すように基板ホルダ301を元の位置まで降下させた。
【0033】
以降、同様にして各薄膜パーツを順次、積層転写することにより、目的とするSiと、有機高分子化合物および蛍光性材料とから構成されるWoodpile状フォトニック結晶4を得た。尚、各ストライプの幅は120μm、ストライプの周期は420μmとした。
【0034】
以上のように、最終的にWoodpile構造の微細3元空隙部に機能性材料が均質に充填されたフォトニック結晶が、微細3次元空隙に機能性材料を充填すると云う困難を避けて、パターン化薄膜上にキャスト法にて機能性材料を塗布すると云う非常に簡便な方法にて、作製することができた。
【0035】
尚、本実施例では、基板ホルダ301のみがz方向に移動する場合を示したが、基板ホルダ301とステージ302の両方が共にz方向に移動する機構でもよく、基板ホルダ301がx方向およびy方向に移動し、ステージ302がz方向に移動する機構でもよく、さらにまた、基板ホルダ301とステージ302の両方がx方向、y方向およびz方向に移動する機構でもよい。また、本実施例では、一括して薄膜の成膜、パターニングを行ったが、薄膜パーツ毎に成膜、パターニングを順次、行ってもよい。また、本実施例では、抵抗加熱法によって加熱を行ったが、高周波誘導加熱法、赤外線照射加熱法、サーマルヘッド加熱法等の方法によって加熱を行ってもよい。尚、接着を担う接着性マトリックス材料として、本実施例では、熱圧着性を有する熱可塑性ポリエステルを用いたが、紫外線硬化樹脂を用いる場合には、加熱装置に代わって、紫外線照射装置を付備する必要がある。
【0036】
(実施例2)
実施例1の工程[3]において、接着性マトリックス材料を、有機−無機複合ゾルゲル材料の一種であるフェニルトリエトキシシラン(95重量部)に、機能性材料を、非線形光学材料の一種であるDisperse Red 1(5重量部)に、溶剤をTHF/EtOH混合溶剤(4:1)に、乾燥条件を大気下100℃10分に変更し、且つ4層の積層転写の後に、減圧下180℃にて1時間、アニーリング処理を施した以外は、実施例1と同様にして、目的とするSiと、有機−無機複合ゾルゲル材料および非線形材料とから構成されるWoodpile状フォトニック結晶4を得た。
【0037】
(実施例3)
図6は、Triangular状フォトニック結晶の薄膜パターンの一例を示す図である。本例では、図示のように、薄膜61がTriangular状に形成されている。この種の薄膜パターンは、例えばJ.Appl.Phys,Vol.86,p.3503の図1に記載されている。Triangular状フォトニック結晶の膜厚を1μmに変更し、これを等間隔に4層にスライスしたものに対応する薄膜パーツを準備し、実施例1と同様にして、Triangular状フォトニック結晶を作製した。尚、薄膜材料としては、市販のUV硬化性エポキシ樹脂を、接着性マトリックス材料としては、JSR製ARTON樹脂(75重量部)を、機能性材料としては、Alq3(24.重量部)とレーザー色素DCM(1重量部)を、それぞれ用いた。
本発明によれば、従来法では作製困難なアスペクト比の高い構造体をも、本実施例に示すように、それをスライスしたものに対応する薄膜パーツを積層することによって、容易に作製することができる。
【0038】
(比較例1)
図7は、パターニング工程の他の例を示す模式図で、(a)は断面図、(b)は平面図である。図示のように、各薄膜パーツ7a〜7dには接合用の枠部710が設けられている。本実施例では、各薄膜パーツ7a〜7dのパターン空隙部には何も充填されず、各薄膜パーツの枠部710間を接着性有機材料で接着する。接着性有機材料は、図示のように、各薄膜パーツの枠部外側に設けられた切り欠き部720にインクジェット方式で配置される。このような製造方法にて、Woodpile構造の空隙部には何も充填されていない以外は本実施例1と同じWoodpile状フォトニック結晶を作製した。このWoodpile状フォトニック結晶(以降Aと略称する)の3次元空隙に、実施例1で用いた、接着性マトリックス材料と機能性材料を充填すべく、実施例1で準備した、接着性マトリックス材料と機能性材料とを溶解させた溶液(以降Bと略称する)中に、Aを浸漬し、その空隙内部に、Bを充填した。Bは、Aの空隙に均質に充填されたが、不要な溶剤を除去すべく、乾燥を行った所、気泡が発生し、結果として不均質な充填体しか得られなかった。この溶剤除去に伴う問題を避けるため、接着性マトリックス材料と機能性材料との混合物を溶融流動化させたものを、A上にキャストし、Aの空隙に充填させることを試みたが、溶融物の粘度が高く、微細な空隙には浸透し難く、この方法でも、均質な充填体を得ることはできなかった。
【0039】
(実施例4)
図8は、実施例3で得られたTriangular状フォトニック結晶を用いた機能性素子の一例を示す図である。本機能性素子80に、J.Appl.Phys,Vol.86,p.3505の図4と同様にして、窒素レーザー81(波長=337nm、パルス幅=約5nsec、強度=約300μJ/cm2)を照射し、それに伴い出射される光82を光検出器にて観測した。約50μJ/cm2の発信閾値を持ってDCMのレーザー発信に対応する鋭い発光ピーク(約630nm)が観測された。これにより、フォトニック結晶を用いた本機能性素子がレーザー素子として有効に機能することが確認された。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、機能性材料を均質に取り込んだ有用且つ新規なフォトニック結晶を得ることができる。さらに、そのようなフォトニック結晶を、容易且つ安価に作製できるフォトニック結晶の製造方法が実現され、また、それらを用いた有用且つ新規な機能性素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に係る製造システムの一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の製造方法に係る転写装置の一例を示す模式図である。
【図3】本発明のフォトニック結晶の一例を示す部分的斜視図である。
【図4】本発明における形成工程およびパターニング工程の一例を示す模式図であって、(a)および(b)は断面図、(c)平面図である。
【図5】(a)〜(f)は本発明における転写工程の一例を示す模式図である。
【図6】Triangular状フォトニック結晶の薄膜パターンの一例を示す図である。
【図7】パターニング工程の他の例を示す模式図で、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図8】Triangular状フォトニック結晶を用いた機能性素子の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 成膜装置
2 パターニング装置
3 転写装置
4 フォトニック結晶
4a〜d 薄膜パーツ
5 供給装置
301 基板ホルダ
302 ステージ
400 ドナー基板
401 離型層
402 薄膜
403 アライメントマーク
500 アクセプター基板
501 カッター
600 接着性マトリックス材料と機能性材料の混合物
Claims (14)
- 所定のパターンを有する複数の薄膜パーツの積層体と、各薄膜パーツのパターン空隙部に充填された、外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される機能性材料ならびに接着性マトリックス材料とを備えたことを特徴とするフォトニック結晶。
- 機能性材料に誘起される物性変化が、屈折率、誘電率、吸収強度、スペクトルおよび伝導度の少なくとも1つの変化であることを特徴とする請求項1記載のフォトニック結晶。
- 機能性材料が、発光材料、非線形光学材料、エレクトロクロミック材料、サーモクロミック材料、フォトクロミック材料およびスマートゲル材料の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1記載のフォトニック結晶。
- 発光材料が蛍光性有機色素であることを特徴とする請求項3記載のフォトニック結晶。
- 薄膜パーツの材料が金属、セラミックス、無機半導体、または架橋系有機材料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフォトニック結晶。
- 接着性マトリックス材料が有機高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトニック結晶。
- 接着性マトリックス材料が有機−無機複合ゾルゲル材料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトニック結晶。
- 所定のパターンを有する複数の薄膜パーツの積層体と、各薄膜パーツのパターン空隙部に充填された、外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される機能を有する接着性材料とを備えたことを特徴とするフォトニック結晶。
- ドナー基板上に所定のパターンを有する複数の薄膜パーツを形成する第1の工程と、各薄膜パーツ上に外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される機能性材料ならびに接着性マトリックス材料を供給する第2の工程と、アクセプター基板を用いて前記機能性材料および接着性マトリックス材料が供給された各薄膜パーツを順次ドナー基板上から剥離してアクセプター基板上に積層転写する第3の工程とを含むことを特徴とするフォトニック結晶の製造方法。
- 第2の工程において、機能性材料が接着性マトリックス材料中に相溶化または分散された状態で供給されることを特徴とする請求項9記載の製造方法。
- 第3の工程において、各薄膜パーツを積層転写する際に、光照射、加熱および加圧の少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項9または10に記載の製造方法。
- ドナー基板の表面に離型層が形成されていることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の製造方法。
- ドナー基板上に所定のパターンを有する複数の薄膜パーツを形成する第1の工程と、各薄膜パーツ上に外部刺激に応じて物性変化および/または構造変化が誘起される機能を有する接着性材料を供給する第2の工程と、アクセプター基板を用いて前記機能を有する接着性材料が供給された各薄膜パーツを順次ドナー基板上から剥離してアクセプター基板上に積層転写する第3の工程とを含むことを特徴とするフォトニック結晶の製造方法。
- 請求項9〜13のいずれかに記載の製造方法により製造されたフォトニック結晶を用いたことを特徴とする機能性素子。
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