JP2004077539A - 識別型光ファイバ心線並びにそれを用いた光ファイバケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】光ファイバ心線に多量の識別機能を付与できるようにすること、またその識別機能も用いるインクの無駄がなく識別力が低下することもなく、かつ光ファイバ心線に伝送損失が生じないようにした識別型光ファイバ心線、並びにそれを用いた識別力の優れた光ファイバケーブルを提供することを目的とするものである。
【解決手段】光ファイバ素線上の適所に、特定の大きさのインクによって形成した識別層を設け、かつその上に厚さ10μm以下の着色層を被覆した識別型光ファイバ心線とすること、さらに好ましくは、前記識別層が光ファイバ素線上に設けられた時に、長さが100μm以上でかつ光ファイバ直径の2倍以下のインク微細粒によって形成された識別型光ファイバ心線とすることによって、解決される。
【選択図】 図2
【解決手段】光ファイバ素線上の適所に、特定の大きさのインクによって形成した識別層を設け、かつその上に厚さ10μm以下の着色層を被覆した識別型光ファイバ心線とすること、さらに好ましくは、前記識別層が光ファイバ素線上に設けられた時に、長さが100μm以上でかつ光ファイバ直径の2倍以下のインク微細粒によって形成された識別型光ファイバ心線とすることによって、解決される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数本の光ファイバ心線の識別が可能なインクによる識別層を有する識別型光ファイバ心線、並びにそれを用いた光ファイバケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信分野では伝送容量の増大に伴って、光ファイバケーブルの多芯化が急速に進んでいる。そのことに伴い前記光ファイバケーブルを構成する光ファイバ心線は、より多くの識別機能が要求されている。従来の光ファイバ心線では、光ファイバ素線上に着色層を設けることで対応してきた。すなわち、光ファイバ上に施されるポリアミド樹脂等の樹脂被覆そのものを着色型のものとするか、或いは光ファイバ素線に紫外線硬化型のインクや熱硬化型のインク等によって着色層を形成させたものである。しかしながらこの種インク等による着色には色の限度があり、大幅な心線数の増加に対して対応しきれなくなってきている。このため、前記着色層上にさらにインク等を間欠的に吹き付けて、識別層を形成して識別力を付与することが考えられているが、前記着色層上にインク等による識別層を設ける場合は、この部分に何かが触れたり薬品等に触れると、前記インクによる識別層が剥がれたり、溶解したりして識別機能がなくなると言う問題がある。そこで、このような問題がない識別機能を有する光ファイバ心線として、前記インク層による識別層を前記着色層の内側に形成することが考えられている。しかしながら、このような構成の光ファイバ心線においても、種々の問題点が指摘されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
よって本発明が解決しようとする課題は、光ファイバ心線に多量の識別機能を付与できるようにすること、またその識別機能も用いるインクの無駄がなく識別力が低下することもなく、かつ光ファイバ心線に伝送損失が生じないようにした識別型光ファイバ心線並びにそれを用いた識別力の優れた光ファイバケーブルを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記解決しようとする課題は、請求項1に記載されるように、光ファイバ素線上の適所に、特定の大きさのインクによって形成した識別層を設け、かつその上に厚さ10μm以下の着色層を被覆した識別型光ファイバ心線とすることによって、解決される。
【0005】
また請求項2に記載されるように、前記識別層は、光ファイバ素線上に設けられた時に、長さが100μm以上でかつ光ファイバ直径の2倍以下のインク微細粒によって形成された識別型光ファイバ心線とすることによって、解決される。
【0006】
さらに請求項3に記載されるように、前記識別型光ファイバ心線の多数本からなる光ファイバケーブルとすることによって、解決される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。まず請求項1に記載される発明は、光ファイバ素線上の適所に、特定の大きさのインクによる識別層を設け、かつその上に厚さ10μm以下の着色層を被覆した識別型光ファイバ心線としたので、光ファイバ心線に多量の識別機能を付与できるようになり、またその識別機能も用いるインクの無駄がなく識別力が低下することもなく、かつ光ファイバ心線に伝送損失が生じないようにした識別型光ファイバ心線が得られるようになる。
【0008】
図1の概略断面図によって説明すると、本発明の識別型光ファイバ心線1は、光ファイバ素線2上の適所に間欠的に、特定の大きさのインクによる識別層3が施され、その上に厚さ10μm以下の着色層4が設けられて構成されたもので、前記光ファイバ素線2は、通常光ファイバ上にポリアミド樹脂等の紫外線硬化型の被覆を有するものである。そして前記識別層3は、通常インクをインクジェットプリンタヘッド等から噴射して形成するものであるが、その形成の方法によっては無駄なインクが多くなったり、また識別機能が十分でない場合があった。この問題を解決するために本発明では、インクの微細粒を調整することにより、光ファイバ素線上に付着させたときに特定の大きさとなり、これを適当数形成することにより、種々の大きさの識別層として識別機能を有するものとすることができるようになる。すなわち、特定の大きさのインクによる識別層として構成した場合に、インクが十分に光ファイバ素線に付着し、またインク量が多くなり過ぎて無駄になったり、識別型光ファイバ心線の伝送損失を生じたりすることが無いようにすることにある。また前記インクの微細粒による特定の大きさの識別層3は、光ファイバ心線の長手方向に識別力が損なわれないように、必要な間隔を持って施される。
【0009】
このような特定の大きさのインクによって形成する識別層3は、種々の方法によって形成することが可能であるが、使用するインクは光ファイバ素線2と密着性が良く柔軟性を有し、また速乾性や硬化速度の速いものが好ましい。例えば、揮発性の高い有機溶剤中に顔料や染料等を分散させたインク状のもので、紫外線硬化型インク、電子線硬化型インク、熱硬化型インク等があるが、紫外線硬化型のインクが好ましく用いられる。このようなインクは、例えばインクジェットプリンタヘッドから連続して光ファイバ素線上に必要数を噴射し、必要な長さのマーキングを形成することによって、識別層3を構成させるものである。なお、前記識別層3は、その厚さも調整することは好ましいことである。そして、この識別層3上には着色層4が通常の方法で被覆されるが、その厚さは好ましくは10μm以下とするのが良い。すなわち、前記着色層の厚さが10μm以下である識別型光ファイバ心線とすることによって、識別層の識別力を維持すると同時に、光ファイバ心線としては伝送損失が増加することがなく好ましいものである。そしてこの着色層4は、従来使用されている着色層と同様のもので良いが、前記インクからなる特定の大きさの識別層3が良く見えるように透明、半透明なものとされる。通常は紫外線硬化型樹脂からなる着色層として、形成される。本発明ではこのように、前記種々の大きさの識別層3と着色層4との組合せによって識別力を向上させることができるので、光ファイバ心線の数が多くなっても十分識別機能を持たせることができるようになる。
【0010】
つぎに前記特定の大きさのインクによって形成される好ましい識別層について規定する、請求項2の発明について説明する。ここで特定されたインク微細粒によって形成される識別層は、特に好ましいものである。すなわち前記識別層は、特定の大きさになるインクの微細粒によって形成されるもので、光ファイバ素線に付着させたときの大きさが、長さが100μm以上でかつ前記光ファイバの直径の2倍以下となるような大きさであり、このようになるインク微細粒を用いた識別型光ファイバ心線とすることによって、光ファイバ心線には多量の識別機能を付与できると同時に、前記識別層を形成するためのインクの量を最適なものとし、インクの無駄がなくまたインク量が足りずに識別力が低下すると言うようなこともなくなる。さらに前記識別型光ファイバ心線に、伝送損失が生じないようにすることにもなる。
【0011】
図2によって、説明する。この図面は、本発明の識別層を判り易く説明するための模式的なもので、光ファイバ素線2上には、3で示す特定の大きさの識別層が施されるものである。そしてこの識別層3は、5として示した1個のインクの微細粒によって形成された付着物の、連続した複数個によって形成されるものである。この例の識別層3は、前記インク微細粒5が、4個連続して構成された場合であるが、これに限定されるものではない。通常は、インク微細粒5が2個以上によって形成するされるものである。そして前記インク微細粒5そのものは、通常球形のものであるが、前記光ファイバ素線2上に噴射されて付着すると、前記素線2の長さ方向に楕円状の付着物として、識別層3を形成できることになるので、その長さ(L)で特定することによって、好ましい識別層を形成することができるようになる。そこでインク微細粒5の長さ(L)は、100μm以上でかつ光ファイバ直径の2倍以下のものとされる。これは、100μm未満のものでは得られた識別層の識別力に若干問題が生じ、また光ファイバの直径の2倍以下とするのは、これよりも大きなものとなるとインクがかなり無駄になるだけではなく、伝送損失にも影響することがあるためである。
【0012】
このように、特定のインク微細粒5の連続した層によって形成された識別層3は、その長さや厚さを調整することで好ましい識別力を生じるように、種々選定することができるようになる。また識別層3どうしの間隔についても、識別層3の種類やその組合せ方により、好ましい間隔に選定される。そして、このような識別層3を形成した光ファイバ心線には、着色層4が被覆されて識別型光ファイバ心線となるものである。この着色層4は、前述の着色層の説明にあるものと同様のものを被覆すれば良い。そしてその厚さも、10μm以下のものとすることによって、識別層の識別力を維持すると同時に、光ファイバ心線として伝送損失の増加がなく好ましいものとなる。以上のような識別型光ファイバ心線とすることによって、光ファイバ心線に多量の識別機能を付与できると同時に、前記識別層を形成するためのインクの量も最適なものとなり、インクの無駄がなくまたインク量が足りずに識別力が低下すると言うようなこともなくなる。さらには前記識別型光ファイバ心線に、伝送損失が生じると言うような問題もないものとすることができる。
【0013】
つぎに、請求項3に記載される前述の識別型光ファイバ心線を用いた、光ファイバケーブルについて説明すると、集合された複数本の前記識別型光ファイバ心線を、フォーミングパイプ内に収納し、ついで前記フォーミングパイプにはテンションメンバーやリップコード等が設けられたプラスチックの被覆が施されて製造されるもので、その心線数が4〜64本等にもなるものであるが、前述の識別型の光ファイバ心線を用いることによって、前記光ファイバケーブルは口出し作業等において、確実に目的とする心線を選別できるので誤った接続等がなくなり、このことにより作業性の大幅な改善が期待できることになる。なお、本発明の識別型光ファイバ心線は、前記光ファイバケーブルのみだけではなく、光ファイバユニットと称される光ファイバ心線を多数本集合した、集合体上に1層または多層の被覆層を設けたような構造のものにも使用することができ、前記光ファイバケーブルと同様の効果を得ることができる。
【0014】
【実施例】
以下に実験例を示して、本発明の効果を述べる。250μmのシングルモード光ファイバ素線2上に、インクジェットプリンタを用いて、100mm間隔で表1に示す長さのインク微細粒5を噴射して、識別層3を形成した。前記識別層3は、長さが2mm、厚さを1μmとした。また用いた前記インクは、紫外線硬化型インクである。ついでこの上に、厚さ5μmの紫外線硬化型樹脂からなる着色層4を被覆して、識別型光ファイバ心線を得た。これらの実験例を用いて、目視による識別性を調べた。また併せて、前記識別用インクの同量(約100g)を用いた場合の、製造可能な識別型光ファイバ心線の製造長を、インク微細粒を光ファイバ素線上に付着させたときの長さが100μmの場合を、100としたときの相対値として記載した。結果を、表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
表1から明らかな如く、実験例1に記載されるインク微細粒(光ファイバ素線上の長さが80μm)を用いて識別層を形成すると、その識別層は光ファイバ素線円周の狭い部分にしか存在せず、細い線のような状態になっており、識別性に若干問題がある。これに対して、実験例2〜7に記載されるインク微細粒(光ファイバ素線上の長さが100〜600μm)によって形成した識別層の場合は、全てが十分な識別力を有するものであった。さらに、光ファイバ心線の製造長として記載されるインクの使用量と併せて考察すると、数値が80〜100となる1個のインク微細粒による光ファイバ素線上の長さが、200〜400μm当りのものを用いるのが、製造コスト等から最も好ましい範囲のものと言える。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の識別型光ファイバ心線は、光ファイバ素線上の適所に識別のための識別層を、特定の大きさの付着物が得られるインク微細粒から構成し、かつその上に設けられた厚さ10μm以下の着色層からなる識別型光ファイバ心線とすることによって、さらに好ましくは、前記インク微細粒による光ファイバ素線上の付着物の大きさが、長さ100μm以上でかつ前記光ファイバの直径の2倍以下のものとすることにより、光ファイバ心線に多量の識別機能を付与できるようになり、前記識別層を形成するためのインクの量も最適なものとすることができるのでインクの無駄がなく、またインク量が足りずに識別力が低下すると言うようなこともなくなる。さらには、光ファイバ心線に伝送損失が生じないようにした、識別型光ファイバ心線を提供することができるようになる。そして、前述の識別型の光ファイバ心線を多数本用いた光ファイバケーブルとすることによって、前述の効果に併せて前記光ファイバケーブルは、口出し作業等において確実に目的とする心線を選別できることになるので、誤った接続等がなくなり、このことにより作業性の大幅な改善が期待できる。なお、本発明の識別型光ファイバ心線は、前記光ファイバケーブルのみだけではなく、光ファイバユニットにも使用することができ、前記光ファイバケーブルと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の識別型光ファイバ心線の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の識別層を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1 識別型光ファイバ心線
2 光ファイバ素線
3 識別層
4 着色層
5 1個のインク微細粒
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数本の光ファイバ心線の識別が可能なインクによる識別層を有する識別型光ファイバ心線、並びにそれを用いた光ファイバケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信分野では伝送容量の増大に伴って、光ファイバケーブルの多芯化が急速に進んでいる。そのことに伴い前記光ファイバケーブルを構成する光ファイバ心線は、より多くの識別機能が要求されている。従来の光ファイバ心線では、光ファイバ素線上に着色層を設けることで対応してきた。すなわち、光ファイバ上に施されるポリアミド樹脂等の樹脂被覆そのものを着色型のものとするか、或いは光ファイバ素線に紫外線硬化型のインクや熱硬化型のインク等によって着色層を形成させたものである。しかしながらこの種インク等による着色には色の限度があり、大幅な心線数の増加に対して対応しきれなくなってきている。このため、前記着色層上にさらにインク等を間欠的に吹き付けて、識別層を形成して識別力を付与することが考えられているが、前記着色層上にインク等による識別層を設ける場合は、この部分に何かが触れたり薬品等に触れると、前記インクによる識別層が剥がれたり、溶解したりして識別機能がなくなると言う問題がある。そこで、このような問題がない識別機能を有する光ファイバ心線として、前記インク層による識別層を前記着色層の内側に形成することが考えられている。しかしながら、このような構成の光ファイバ心線においても、種々の問題点が指摘されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
よって本発明が解決しようとする課題は、光ファイバ心線に多量の識別機能を付与できるようにすること、またその識別機能も用いるインクの無駄がなく識別力が低下することもなく、かつ光ファイバ心線に伝送損失が生じないようにした識別型光ファイバ心線並びにそれを用いた識別力の優れた光ファイバケーブルを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記解決しようとする課題は、請求項1に記載されるように、光ファイバ素線上の適所に、特定の大きさのインクによって形成した識別層を設け、かつその上に厚さ10μm以下の着色層を被覆した識別型光ファイバ心線とすることによって、解決される。
【0005】
また請求項2に記載されるように、前記識別層は、光ファイバ素線上に設けられた時に、長さが100μm以上でかつ光ファイバ直径の2倍以下のインク微細粒によって形成された識別型光ファイバ心線とすることによって、解決される。
【0006】
さらに請求項3に記載されるように、前記識別型光ファイバ心線の多数本からなる光ファイバケーブルとすることによって、解決される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。まず請求項1に記載される発明は、光ファイバ素線上の適所に、特定の大きさのインクによる識別層を設け、かつその上に厚さ10μm以下の着色層を被覆した識別型光ファイバ心線としたので、光ファイバ心線に多量の識別機能を付与できるようになり、またその識別機能も用いるインクの無駄がなく識別力が低下することもなく、かつ光ファイバ心線に伝送損失が生じないようにした識別型光ファイバ心線が得られるようになる。
【0008】
図1の概略断面図によって説明すると、本発明の識別型光ファイバ心線1は、光ファイバ素線2上の適所に間欠的に、特定の大きさのインクによる識別層3が施され、その上に厚さ10μm以下の着色層4が設けられて構成されたもので、前記光ファイバ素線2は、通常光ファイバ上にポリアミド樹脂等の紫外線硬化型の被覆を有するものである。そして前記識別層3は、通常インクをインクジェットプリンタヘッド等から噴射して形成するものであるが、その形成の方法によっては無駄なインクが多くなったり、また識別機能が十分でない場合があった。この問題を解決するために本発明では、インクの微細粒を調整することにより、光ファイバ素線上に付着させたときに特定の大きさとなり、これを適当数形成することにより、種々の大きさの識別層として識別機能を有するものとすることができるようになる。すなわち、特定の大きさのインクによる識別層として構成した場合に、インクが十分に光ファイバ素線に付着し、またインク量が多くなり過ぎて無駄になったり、識別型光ファイバ心線の伝送損失を生じたりすることが無いようにすることにある。また前記インクの微細粒による特定の大きさの識別層3は、光ファイバ心線の長手方向に識別力が損なわれないように、必要な間隔を持って施される。
【0009】
このような特定の大きさのインクによって形成する識別層3は、種々の方法によって形成することが可能であるが、使用するインクは光ファイバ素線2と密着性が良く柔軟性を有し、また速乾性や硬化速度の速いものが好ましい。例えば、揮発性の高い有機溶剤中に顔料や染料等を分散させたインク状のもので、紫外線硬化型インク、電子線硬化型インク、熱硬化型インク等があるが、紫外線硬化型のインクが好ましく用いられる。このようなインクは、例えばインクジェットプリンタヘッドから連続して光ファイバ素線上に必要数を噴射し、必要な長さのマーキングを形成することによって、識別層3を構成させるものである。なお、前記識別層3は、その厚さも調整することは好ましいことである。そして、この識別層3上には着色層4が通常の方法で被覆されるが、その厚さは好ましくは10μm以下とするのが良い。すなわち、前記着色層の厚さが10μm以下である識別型光ファイバ心線とすることによって、識別層の識別力を維持すると同時に、光ファイバ心線としては伝送損失が増加することがなく好ましいものである。そしてこの着色層4は、従来使用されている着色層と同様のもので良いが、前記インクからなる特定の大きさの識別層3が良く見えるように透明、半透明なものとされる。通常は紫外線硬化型樹脂からなる着色層として、形成される。本発明ではこのように、前記種々の大きさの識別層3と着色層4との組合せによって識別力を向上させることができるので、光ファイバ心線の数が多くなっても十分識別機能を持たせることができるようになる。
【0010】
つぎに前記特定の大きさのインクによって形成される好ましい識別層について規定する、請求項2の発明について説明する。ここで特定されたインク微細粒によって形成される識別層は、特に好ましいものである。すなわち前記識別層は、特定の大きさになるインクの微細粒によって形成されるもので、光ファイバ素線に付着させたときの大きさが、長さが100μm以上でかつ前記光ファイバの直径の2倍以下となるような大きさであり、このようになるインク微細粒を用いた識別型光ファイバ心線とすることによって、光ファイバ心線には多量の識別機能を付与できると同時に、前記識別層を形成するためのインクの量を最適なものとし、インクの無駄がなくまたインク量が足りずに識別力が低下すると言うようなこともなくなる。さらに前記識別型光ファイバ心線に、伝送損失が生じないようにすることにもなる。
【0011】
図2によって、説明する。この図面は、本発明の識別層を判り易く説明するための模式的なもので、光ファイバ素線2上には、3で示す特定の大きさの識別層が施されるものである。そしてこの識別層3は、5として示した1個のインクの微細粒によって形成された付着物の、連続した複数個によって形成されるものである。この例の識別層3は、前記インク微細粒5が、4個連続して構成された場合であるが、これに限定されるものではない。通常は、インク微細粒5が2個以上によって形成するされるものである。そして前記インク微細粒5そのものは、通常球形のものであるが、前記光ファイバ素線2上に噴射されて付着すると、前記素線2の長さ方向に楕円状の付着物として、識別層3を形成できることになるので、その長さ(L)で特定することによって、好ましい識別層を形成することができるようになる。そこでインク微細粒5の長さ(L)は、100μm以上でかつ光ファイバ直径の2倍以下のものとされる。これは、100μm未満のものでは得られた識別層の識別力に若干問題が生じ、また光ファイバの直径の2倍以下とするのは、これよりも大きなものとなるとインクがかなり無駄になるだけではなく、伝送損失にも影響することがあるためである。
【0012】
このように、特定のインク微細粒5の連続した層によって形成された識別層3は、その長さや厚さを調整することで好ましい識別力を生じるように、種々選定することができるようになる。また識別層3どうしの間隔についても、識別層3の種類やその組合せ方により、好ましい間隔に選定される。そして、このような識別層3を形成した光ファイバ心線には、着色層4が被覆されて識別型光ファイバ心線となるものである。この着色層4は、前述の着色層の説明にあるものと同様のものを被覆すれば良い。そしてその厚さも、10μm以下のものとすることによって、識別層の識別力を維持すると同時に、光ファイバ心線として伝送損失の増加がなく好ましいものとなる。以上のような識別型光ファイバ心線とすることによって、光ファイバ心線に多量の識別機能を付与できると同時に、前記識別層を形成するためのインクの量も最適なものとなり、インクの無駄がなくまたインク量が足りずに識別力が低下すると言うようなこともなくなる。さらには前記識別型光ファイバ心線に、伝送損失が生じると言うような問題もないものとすることができる。
【0013】
つぎに、請求項3に記載される前述の識別型光ファイバ心線を用いた、光ファイバケーブルについて説明すると、集合された複数本の前記識別型光ファイバ心線を、フォーミングパイプ内に収納し、ついで前記フォーミングパイプにはテンションメンバーやリップコード等が設けられたプラスチックの被覆が施されて製造されるもので、その心線数が4〜64本等にもなるものであるが、前述の識別型の光ファイバ心線を用いることによって、前記光ファイバケーブルは口出し作業等において、確実に目的とする心線を選別できるので誤った接続等がなくなり、このことにより作業性の大幅な改善が期待できることになる。なお、本発明の識別型光ファイバ心線は、前記光ファイバケーブルのみだけではなく、光ファイバユニットと称される光ファイバ心線を多数本集合した、集合体上に1層または多層の被覆層を設けたような構造のものにも使用することができ、前記光ファイバケーブルと同様の効果を得ることができる。
【0014】
【実施例】
以下に実験例を示して、本発明の効果を述べる。250μmのシングルモード光ファイバ素線2上に、インクジェットプリンタを用いて、100mm間隔で表1に示す長さのインク微細粒5を噴射して、識別層3を形成した。前記識別層3は、長さが2mm、厚さを1μmとした。また用いた前記インクは、紫外線硬化型インクである。ついでこの上に、厚さ5μmの紫外線硬化型樹脂からなる着色層4を被覆して、識別型光ファイバ心線を得た。これらの実験例を用いて、目視による識別性を調べた。また併せて、前記識別用インクの同量(約100g)を用いた場合の、製造可能な識別型光ファイバ心線の製造長を、インク微細粒を光ファイバ素線上に付着させたときの長さが100μmの場合を、100としたときの相対値として記載した。結果を、表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
表1から明らかな如く、実験例1に記載されるインク微細粒(光ファイバ素線上の長さが80μm)を用いて識別層を形成すると、その識別層は光ファイバ素線円周の狭い部分にしか存在せず、細い線のような状態になっており、識別性に若干問題がある。これに対して、実験例2〜7に記載されるインク微細粒(光ファイバ素線上の長さが100〜600μm)によって形成した識別層の場合は、全てが十分な識別力を有するものであった。さらに、光ファイバ心線の製造長として記載されるインクの使用量と併せて考察すると、数値が80〜100となる1個のインク微細粒による光ファイバ素線上の長さが、200〜400μm当りのものを用いるのが、製造コスト等から最も好ましい範囲のものと言える。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の識別型光ファイバ心線は、光ファイバ素線上の適所に識別のための識別層を、特定の大きさの付着物が得られるインク微細粒から構成し、かつその上に設けられた厚さ10μm以下の着色層からなる識別型光ファイバ心線とすることによって、さらに好ましくは、前記インク微細粒による光ファイバ素線上の付着物の大きさが、長さ100μm以上でかつ前記光ファイバの直径の2倍以下のものとすることにより、光ファイバ心線に多量の識別機能を付与できるようになり、前記識別層を形成するためのインクの量も最適なものとすることができるのでインクの無駄がなく、またインク量が足りずに識別力が低下すると言うようなこともなくなる。さらには、光ファイバ心線に伝送損失が生じないようにした、識別型光ファイバ心線を提供することができるようになる。そして、前述の識別型の光ファイバ心線を多数本用いた光ファイバケーブルとすることによって、前述の効果に併せて前記光ファイバケーブルは、口出し作業等において確実に目的とする心線を選別できることになるので、誤った接続等がなくなり、このことにより作業性の大幅な改善が期待できる。なお、本発明の識別型光ファイバ心線は、前記光ファイバケーブルのみだけではなく、光ファイバユニットにも使用することができ、前記光ファイバケーブルと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の識別型光ファイバ心線の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の識別層を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1 識別型光ファイバ心線
2 光ファイバ素線
3 識別層
4 着色層
5 1個のインク微細粒
Claims (3)
- 光ファイバ素線上の適所に、特定の大きさのインクによって形成した識別層を設け、かつその上に厚さ10μm以下の着色層を被覆したことを特徴とする、識別型光ファイバ心線。
- 前記識別層は、光ファイバ素線上に設けられた時に、長さが100μm以上でかつ光ファイバ直径の2倍以下のインク微細粒によって形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の識別型光ファイバ心線。
- 前記識別型光ファイバ心線の多数本からなることを特徴とする、光ファイバケーブル。
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