JP2004077228A - Gpsによる自律測位方法、自律航法装置及びコンピュータプログラム - Google Patents

Gpsによる自律測位方法、自律航法装置及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】基地局を使用しなくとも精度の高い測位を可能にする。
【解決手段】GPS受信機20を測位点に置き、GPS受信機20に接続された測位装置10で、単独測位と搬送波測位とを行う。単独測位では、4つのGPS衛星をGPS受信機20で観測してGPS実測データを取得し、このGPS実測データの現在値と過去に推定した値とに基づく将来の推定値の算定を推定誤差共分散が搬送波の1波長以内に収束するまで繰り返し、収束した時点の推定値を仮想基準局の位置を表す測位基準情報としてメモリに保存する。搬送波測位では、測位基準情報を参照情報としてた測位点での搬送波測位を行い、測位精度を上げる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、GPS(Global Positioning System)測位方式に係り、特に、実時間単独測位を可能にする自律航法装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
GPSを利用した測位方式として、単独測位方式と相対測位方式とがある。
単独測位方式は、測位点にGPS受信機を置き、このGPS受信機で、同時に4個以上のGPS衛星からデータコード(時間、衛星位置)を受信して、このデータコードを分析することによって測位点の3次元位置情報(座標値)を算出する方式である。
【0003】
相対測位方式は、その3次元の位置情報が既知である基地局と測位点にあるGPS受信機とを用いた測位方式であり、ディファレンシャル方式と、干渉測位方式とに大別される。
ディファレンシャル方式は、基地局およびGPS受信機でそれぞれデータコードによる単独測位を行い、共通の誤差を相殺する方式である。一方、干渉測位方式は、基地局とGPS受信機とで、それぞれGPS衛星からの搬送波の位相を観測した後、既知点と測位点との間の相対位置を求めることで、測位点の位置情報を算定する方式である。この干渉測位方式は、測位点が移動した場合にもほぼリアルタイムに位置情報を算定できることから、リアルタイムキネマティック(real time kinematics:以下、「RTK」)方式とも呼ばれる。
【0004】
RTK方式では、基地局からGPS受信機までの距離と、GPS受信機から4つのGPS衛星までの距離との行路差を逐次計算により求める。距離と行路差は、GPS衛星からの搬送波の位相、すなわち搬送波位相に基づいて求めることができる。搬送波位相には、電離層等による遅延誤差、時計誤差等も含まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
単独測位方式は、簡易な測位方式であるが、誤差が大きい。一方、相対測位方式、特にRTK方式は、測位による誤差が基地局の観測結果との間で相殺されるために誤差は少ないが、測位可能な範囲が基地局の覆域内に限られる。
つまり、簡易に使える測位装置は精度が悪く、精度が高いものは制約が多い(時間、位置およびGPS誤差が明確な基地局が必要となる)。
【0006】
本発明は、基地局が存在しない場合であっても、高精度の測位を可能にする自律測位方法を提供することを、その課題とする。
本発明の他の課題は、自律測位方法の実施に適した自律航法装置及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明が提供する自律測位方法は、GPS受信機及びメモリを有する1つの自律航法装置を測位点に置き、この自律航法装置で、複数のGPS衛星を前記GPS受信機で観測して1つのGPS実測データを取得するとともに、取得したGPS実測データの現在値と過去に推定した値とに基づく将来の推定値の算定を当該推定値による推定誤差共分散が所定値以内に収束するまで繰り返し、収束した時点の推定値を仮想基準局の位置を表す測位基準情報として前記メモリに保存する段階と、前記自律航法装置が、前記メモリに保存されている測位基準情報を参照情報として前記測位点での搬送波測位を行う段階とを有することを特徴とする方法である。
【0008】
誤差収束の時間をより短縮させる観点からは、現在値による測位誤差が最小となる4つのGPS衛星の組合せを検出し、検出した4つのGPS衛星の各々を前記GPS受信機で2種類の周波数で観測して比較することによりノイズ成分を削除した1つの前記GPS実測データを取得するようにする。
前記所定値は、例えば、観測するGPS衛星が発信する搬送波の1波長以内の値とする。これにより、位相角の修正によって誤差をさらに小さくすることができる。
【0009】
前記自律航法装置は、例えば、誤差値の収束を可能にするためのパラメータを現在値及び過去に推定した値による推定誤差共分散に基づいて算定する処理、現在値、前回求めた推定値に現在値に基づいて修正した推定誤差共分散を加えることにより算定する処理、誤差共分散を、前回求めた推定共分散誤差から現在値による共分散の値を差し引くことにより修正する処理、将来推定値を、現在値を前回まで求めた推定値推移のパラメータを用いて修正することで算定する処理、推定共分散誤差を、共分散の変化と非不定値の変化を加えることで算定する処理を繰り返して実行することにより、前記推定誤差共分散の値を収束させる。
【0010】
前記測位点が移動したときの前記搬送波測位による測位結果を新たな測位基準情報として前記メモリに記録することにより、測位点が移動した場合であっても、測位誤差が増加することがなくなり、高精度の測位が可能になる。
前記搬送波測位は、例えば、前記メモリに保存されている測位基準情報により特定される仮想位置を起点とした前記複数のGPS衛星までの距離をそれぞれ各GPS衛星からの搬送波の周波数と当該搬送波の伝達時間との関数により算定し、これにより算定された距離を前記搬送波の周波数で除算して整数値バイアスを算定し、さらに、この整数値バイアスから前記搬送波の1波長以内の位相角を算定し、この位相角が表す長さに基づいて、測位点の位置を特定する手法である。
【0011】
本発明が提供する自律航法装置は、2種類の周波数で複数のGPS衛星の各々を観測可能なGPS受信機で受信した2種類の周波数の信号を入力する入力手段と、入力したこれらの信号から各周波数で共通となるノイズ成分を削除して1つのGPS実測データを得る前処理手段と、この前処理手段により得られたGPS実測データを取得するとともに、取得したGPS実測データの現在値と過去に推定した値とに基づく将来の推定値の算定を、推定される誤差共分散が所定値以内に収束するまで繰り返し、これにより得られた推定値を測位基準情報として所定のメモリに保存する測位基準情報生成手段と、前記メモリに保存されている測位基準情報を参照情報とした搬送波測位を行う搬送波測位手段とを有する、装置である。前記測位基準情報決定手段は、具体的には、推定誤差共分散を最小にするためのフィルタ部を含み、このフィルタ部により前記将来の推定値を算定するように構成される。
【0012】
本発明のコンピュータプログラムは、2種類の周波数で複数のGPS衛星の各々を観測可能なGPS受信機と接続可能なコンピュータに読み込まれて実行されることにより、コンピュータを上記の自律航法装置として動作させるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の自律航法装置を、コンピュータ搭載の測位装置10と、この測位装置10にケーブル等を介して接続されるGPS受信機20とにより構成する場合の実施形態を示した図である。この自律航法装置は、複数のGPS衛星(図示の場合は6つのGPS衛星GS1〜GS6)から発信されているGPSデータを受信して、任意の測位点の位置を単独で測定する。
【0014】
GPS衛星は、測位に必要なデータコードをL1帯(1.5GHz帯)とL2帯(1.2GHz)の2つの周波数の搬送波にのせて、これを常時送信している。GPS受信機20は、これらのGPS衛星の中から、GDOP(Geometrical Dilution of Precision)を用いて最適な4つのGPS衛星を選択する。GDOPは、測位に使うGPS衛星が測位点に対して誤差の少ない配置にあるかどうかの偏差であり、この値が大きいほど、位置の推定値と実測値との誤差が大きくなる。GPS受信機20は、このGDOPが小さくなる最適な組み合わせを自動的に決定している。
【0015】
GPS受信機20は、図2に示されるように、上記の各GPS衛星GS1〜GS6が送信している2種類の周波数を受信するGPSアンテナ21と、GPS受信機20が移動したときの移動量を検出して移動量データを出力する加速度計等からなる移動検出センサ22と、GPSアンテナ21及び移動検出センサ22からのデータを受信して高周波増幅及び検波等を行い、位置、時間等の情報を含むGPSデータを出力するデータ受信回路23と、このデータ受信回路23から出力されるGPSデータ及び移動量データを測位装置に送出するためのインタフェース回路24とを有している。
【0016】
測位装置10は、外部記憶装置と、プロセッサ及びメモリを含むコンピュータと、ディスプレイとを有し、必要に応じてプリンタが接続されるようになっている。この実施形態では、外部記憶装置に記録されている測位用プログラムと、オペレーティングシステム等の基本プログラムとをプロセッサが読み取って実行することにより、コンピュータ内に、図3に示すような機能ブロック、すなわち、GPSデータ入力部11、移動量データ入力部12、ノイズ除去部13、フィルタ部14、位置座標算定部15、測位基準情報管理部16、表示画像生成部18及び出力制御部19の機能を実現するための機能ブロックを構築するとともに、外部記憶装置に、測位基準情報格納部17を形成する。好ましくは、測位基準情報格納部17は、不揮発性のメモリ領域に形成する。
【0017】
GPSデータ入力部11は、GPS受信機20で受信した2種類の周波数の信号のうちGPSデータを時系列に入力するものであり、移動量データ入力部12は、GPS受信機20の移動検出センサ22で検出した移動量データを入力するものである。
【0018】
ノイズ除去部13は、入力されたGPSデータから各周波数で共通となるノイズ成分を削除して1つのGPS実測データを得るものである。GPS衛星より受信したデータには、対流圏ないし電離層での電波遅延等のノイズが含まれているが、2周波同時受信を行い、これらを比較することにより、ノイズを除去することができる。
【0019】
フィルタ部14は、GPS実測データによる測位点の位置座標の推定を、特徴的なフィルタリングにより行う。
GPSデータから測位点の位置座標を推定すること自体は、従来のRTK方式においても行われているが、精度よく推定するためには、多大な時間がかかる。すなわち、従来のRTK方式では、測位点の位置座標(x、y、z)と、4つのGPS衛星のアンビギュイティ(整数値バイアスと同義)という、7種類の未知パラメータが存在していたため、FLOAT解、すなわち未知数である測位点の位置座標と整数値バイアスを最小自乗法などで推定する手法によって仮のアンビギュイティを推定した後、基地局からの付加情報、例えばGPS衛星からの距離、基地局の位置座標、現在時刻等を用いて真のアンビギュイティを確定する必要があり、そのために、多大な計算量が必要になっていた。
【0020】
これに対し、本実施形態では、単独の測位結果であるGPS実測データを、誤差が収束する方向にフィルタイリングすることにより推定値の誤差を低減させる。このように実測した値をフィルタリングするという発想は、従来は存在しない。本実施形態によるフィルタリングは、GPS実測データの現在値及び過去の推定値から将来の推定値を算定するという処理を、推定値による推定誤差共分散が収束するまで繰り返す処理である。収束点は、例えば、搬送波の1波長(20〜24cm)に設定しておく。
【0021】
上記のフィルタリングを行うためのフィルタ部14の具体的なパラメータ構成例を図4に示す。フィルタ部14は、4種類のパラメータを図示のように組み合わせて実現される。
図4中、「K」は初段に設けられるパラメータであり、推定誤差値の最適な条件を得るために共分散を最小にするフィルタゲインである。フィルタゲインKは、具体的には比例行列の形で用意される。「F」は前回まで求めた推定値推移を導出するためのパラメータであり、「H」は将来推定値を導出するためのパラメータであり、「Z−1」は過去値により過去推定値を導出するためのパラメータである。また、「vt」は時刻tにおける推定共分散誤差を含んだGPS実測データの現在値であり、ax(t/t)は現時点(t)での推定値であり、「ax(t/t−1)」は現時点(t)の推定値から推定した過去推定値であり、「ax(t−1/t−1)」は前回測定(t−1)の値から推定した過去推定値である。
【0022】
時系列に入力されるGPS実測データには、真値といえるものは存在しない。これらのGPS実測データは、真値であるデータ成分に伝搬過程で付加されたノイズ成分が重畳したものとなっている。フィルタ部14は、このノイズ成分を過去推定値と現在値との誤差を考慮してなるべく分解していき、データ成分だけを抜き出すものである。
【0023】
図4は、GPS実測データyt(ノイズ成分が加えられた状態)がパラメータKに入力され、このパラメータKの出力データとパラメータFから出力された推定値ax(t/t−1)とを発散防止のために合算して得た推定値ax(t/t)がパラメータZ−1に入力される様子を示している。パラメータZ−1からは推定値ax(t−1/t−1)が位置座標算定部15に出力されるが、その分岐出力がパラメータFにも入力されるようになっている。パラメータFから出力された上記推定値ax(t/t−1)は、パラメータHで将来推定値としてパラメータKの入力段に帰還される。
【0024】
上記のように構成されるフィルタ部14において、過去の推定値と現在値に基づく誤差値の共分散を「P(t/t−1)」、観測するGPS衛星の数により決定されるn×n(nは1以上の自然数:通常は4)行列を「R」とすると、
誤差値の収束を可能にするための最適なパラメータKは、以下の式より求めることができる。
K=P(t/t−1)・H・[H・P(t/t−1)・H +R]−1
【0025】
また、推定値ax(t/t)は、前回求めた推定値(過去の推定値)に、GPS実測データの現在値に基づいて修正した推定誤差共分散を加えることにより求めることができる。すなわち、以下の式により算出される。
ax(t/t)=ax(t/t−1)+K|yt−H・ax(t/t−1)|
【0026】
共分散P(t/t)は、前回算出した推定共分散誤差から、今回得た情報に基づいて求めた共分散の値を差し引くことにより修正することができる。すなわち、以下の式により算出される。
P(t/t)=P(t/t−1)−K・H・P(t/t−1)
【0027】
また、将来推定値ax(t+1/t)と、推定共分散誤差P(t+1/t)は、以下のようにして求めることができる。
将来推定値ax(t+1/t)は、F・x(t/t)の演算、すなわち、現在値を前回まで求めた推定値推移のパラメータを用いて修正することで求めることができる。
推定共分散誤差P(t+1/t)は、求めた共分散の変化と非不定値Qの変化を加えることで、求めることができる。すなわち、Gを新たなパラメータ(行列)として用いて以下の式により求めることができる。
P(t+1/t)=F・P(t/t)・F+G・Q・G
以上の処理を繰り返し、推定誤差共分散の値を限りなくゼロ値に近づけることができる。
【0028】
図3に戻り、位置座標算定部15は、測位点の3次元位置座標を算定する。3次元位置座標の算定は、少なくとも2つの場面において行う。
一つの場面は、単独測位により位置座標を算定する場面であり、もう一つは搬送波測位により位置座標を算定する場面である。
単独測位による位置座標の算定は、上記のようなフィルタ部14でフィルタリングし、指定誤差共分散が収束したときの推定値をもとに、3次元の位置座標(x,y,z)を算定する処理である。フィルタ部14では、上記のように、誤差を収束させる方向に推定値を算定するので、FLOAT解によって推定値を求めていた従来方式に比べて、誤差が収束するまでの時間が著しく短縮される。この位置座標を仮想基地局の位置を表す測位基準情報として、測位基準情報管理部16を通じて測位基準情報格納部17に格納させる。
一旦、測位基準情報が生成された後であっても、例えば、測位点が大きく変更された場合や、誤差が大きくなった場合には、適宜上記の手順で再測定を行い、これにより得られた測位結果に基づいて、既に格納されている測位基準情報を更新する。連続して測位を行う場合は、既に格納されている測位基準情報との差分値に基づいて新たな測位点での測位を行うことにより、効率的な測位が可能になる。
【0029】
搬送波測位では、電波の性質を利用して整数値バイアスを求める。整数値バイアスは、信号受信開始時における搬送波波長の整数部分の個数+α(上記位相角の部分)であり、同一のGPS衛星の組合せからの搬送波を受信し続ける限り、整数値バイアスは一定値となる。一方のGPS衛星からの距離が+になれば、他方のGPS衛星からの距離が−となるためである。この点に着目し、この実施形態では、整数部分の個数についてはGPS衛星からの距離と搬送波の周波数との演算、あるいは搬送波個数の計数により求め、さらに、上記のフィルタリングによって、誤差を+αの範囲まで絞り込む。そして、図5に示すように、+α分を表す位相角から、測位基準情報の誤差をさらに小さくする。その結果、最終的な誤差は、数cmとなる。
【0030】
<動作>
次に、この実施形態による自律航法装置の動作を、図6及び図7を参照して説明する。この自律航法装置の動作は、大きく分けて、単独測位により仮想基準局の位置情報である測位基準情報を生成して保存する段階と、この測位基準情報に基づく搬送波測位を行う段階とに分かれる。
【0031】
単独測位に際しては、図6に示すように、まず、GPS受信機20で最適な4つのGPS衛星を選定し(ステップS101)、L1帯(1.5GHz)及びL2帯(1.2GHz)の2つの周波数を用いてこれらのGPS衛星を観測する(ステップS102)。GPS衛星の数4個は、未知数に対して連立方程式が成り立つ最低単位である。ここでの留意点は、精度の悪い情報は使用しない、すなわち、最適な情報をもたらすGPS衛星のみを選択するということである。
【0032】
測位装置10では、各周波数のデータを比較して、それらに共通に含まれるノイズ成分を除去し、2種類のデータから1つのGPS実測データを生成する(ステップS103)。そして、過去、現在及び将来の推定値をパラメータとして用いたフィルタリングにより、GPS実測データによる測位誤差を搬送波の1波長以内まで収束させ、測位基準情報を得る(ステップS104)。
【0033】
図7(a)は、仮想基準局と測位基準情報との関係を示している。図中、円は誤差範囲を表している。両者が完全一致の場合には誤差なしということになるが、種々の要因により、それはあり得ない。そのため、フィルタリングの結果を最適化する方法を確立する。この実施形態のフィルタリングは、過去の推定値に基づいて測位誤差を積極的に収束させていく手法なので、測位誤差が1波長以内まで達する時間は数分程度で足りる。なお、実測により得られた情報自身をフィルタリングするという考え方は、従来は存在しない。
【0034】
この測位基準情報を仮想基準局の位置情報として用いるために、測位装置10は、この測位基準情報を測位基準情報格納部17に保存する(ステップS105)。そして、この測位基準情報を用いて整数値バイアスを算定し(ステップS106)、1波長内の位相角を検出する。この検出結果に基づいて搬送波測位を行い(ステップS107)、測位点の位置を確定する(ステップS108)。必要に応じて測位結果を新たな測位基準情報として選定し、測位基準情報格納部17を更新する。
【0035】
図7(b)は、搬送波測位を行うことにより、測位基準情報の誤差がさらに小さくなり、最大の誤差であったとしても、それが仮想基準局としての誤差内に入りきることを示している。このように誤差が小さくなっている状態では、図7(c)のように自律航法装置が移動した場合であっても、仮想基準局自体は変動しないため、安定的な測位が可能になる。
以上のような測位方式を、従来のRTK方式と比較して説明すると、以下のようになる。図8(a)は従来のRTK方式、(b)は本実施形態の測位方式の概要を示している。
【0036】
従来のRTK方式では、図8(a)に示されるように、測位点の大まかな位置を測定した後、基準局からの付加情報(距離、時間等)に基づく測位点の位置を推定し、仮アンビギュイティ(仮整数値バイアス)を計算する。未知パラメータは、GPS受信機の位置情報(x,y,z)と4つのGPS衛星のアンビギュイティ(整数値バイアス)の7つである。そのため、FLOAT解を用いなければならず、多大な時間がかかる。測位点の位置を推定した後は、真の整数値バイアスを算定する。その際、基地局からの付加情報に基づいて仮アンビギュイティを再計算する。基準局からの付加情報に基づく搬送波測位の未知パラメータは、受信機位置情報(x,y,z)の3つとなる。その後、FIX解により測位点の位置を確定する。
【0037】
これに対し、本実施形態の測位方式では、最適な4つのGPS衛星を選択し、2周波観測及び観測結果の推定誤差共分散を収束させるフィルタリングにより、測位基準情報(仮想基準局の位置情報)を推定するので、長くとも数分程度の測定を行うだけで、測位基準情報を装置内に保存することができる。
測位基準情報がほぼ正確に求められているので、整数値バイアスの算定、すなわち測位基準情報により真のアンビギュイティを算定する処理が迅速に行われる。測位基準情報に基づく搬送波測位を行って、誤差をさらに修正する。このときの未知パラメータは、GPS受信機の位置情報(x,y,z)の3つとなる。その後、FIX解により測位点の位置を確定する。
移動量データ入力部12から移動量データが入力されたときには、その移動量データと、測位基準情報とに基づいて、移動した測位点の位置座標(x,y,z)を算定する。
【0038】
このように、本実施形態の自律航法装置では、基準局を用いることなくともほぼリアルタイムに高精度の搬送波測位ができるため、基準局が設置されていない山岳地域での測位、海上での船舶による測位、基地局が存在しない未開発地域の測位、電波の使用が抑制されている離着陸時の飛行機の測位も可能となる。また、基準局を受信する必要がないので、自律航法装置自体のコスト低減化も可能になる。
【0039】
なお、本実施形態では、測位装置10とGPS受信機20とを分離した場合の例について説明したが、両者は一体型であってもよい。
また、メモリ及びプロセッサを搭載したPDA(Personal Digital(Data) Assistants)にGPS受信機構を付加するとともに、本発明のコンピュータプログラムをメモリにロードして、プロセッサでそれを実行させることにより、本発明の自律測位方法を実施することもできる。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、既存のGPS衛星、GPS受信機を利用して、高精度且つリアルタイムの測位を行うことができる。また、コンピュータによって測位のアルゴリズムを実現することができるので、アルゴリズムの改良やパラメータの追加によるさらなる最適化にも柔軟に対応できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した自律航法装置の使用状態説明図。
【図2】GPS受信器の構成図。
【図3】測位装置の機能ブロック図。
【図4】測位装置のフィルタ部のパラメータ構成図。
【図5】本発明の一実施形態による搬送波測位方式の原理説明図。
【図6】本発明の一実施形態による測位の手順説明図。
【図7】(a)〜(c)は本発明の測位方法の概念説明図。
【図8】従来の測位方式と本発明の測位方式の比較説明図。
【符号の説明】
10 測位装置
11 GPSデータ入力部
12 移動量データ入力部
13 ノイズ除去部
14 フィルタ部
15 位置座標算定部
16 測位基準情報管理部
17 測位基準情報格納部
18 表示画像生成部
19 出力制御部
20 GPS受信機
21 GPSアンテナ
22 移動検出センサ
23 データ受信回路
24 インタフェース回路
DD 記憶装置
PR プリンタ
DP ディスプレイ
GS1〜GS6 GPS衛星

Claims (9)

  1. GPS受信機とメモリを有する1つの自律航法装置を測位点に置き、この自律航法装置で、複数のGPS衛星を前記GPS受信機で観測して1つのGPS実測データを取得するとともに、取得したGPS実測データの現在値と過去に推定した値とに基づく将来の推定値の算定を当該推定値による推定誤差共分散が所定値以内に収束するまで繰り返し、収束した時点の推定値を仮想基準局の位置を表す測位基準情報として前記メモリに保存する段階と、
    前記自律航法装置が、前記メモリに保存されている測位基準情報を参照情報として前記測位点での搬送波測位を行う段階とを有することを特徴とする、
    GPSによる自律測位方法。
  2. 現在値による測位誤差が最小となる4つのGPS衛星の組合せを検出し、検出した4つのGPS衛星の各々を前記GPS受信機で2種類の周波数で観測して比較することによりノイズ成分を削除した1つの前記GPS実測データを取得することを特徴とする、
    請求項1記載の自律測位方法。
  3. 前記所定値は、観測するGPS衛星が発信する搬送波の1波長以内の値であることを特徴とする、
    請求項1記載の自律測位方法。
  4. 前記自律航法装置が、誤差値の収束を可能にするためのパラメータを現在値及び過去に推定した値による推定誤差共分散に基づいて算定する処理、現在値、前回求めた推定値に現在値に基づいて修正した推定誤差共分散を加えることにより算定する処理、誤差共分散を、前回求めた推定共分散誤差から現在値による共分散の値を差し引くことにより修正する処理、将来推定値を、現在値を前回まで求めた推定値推移のパラメータを用いて修正することで算定する処理、推定共分散誤差を、共分散の変化と非不定値の変化を加えることで算定する処理を繰り返して実行することにより、前記推定誤差共分散の値を収束させることを特徴とする、
    請求項1記載の自律測位方法。
  5. 前記測位点が移動したときの前記搬送波測位による測位結果を新たな測位基準情報として前記メモリに記録することを特徴とする、
    請求項1記載の自律測位方法。
  6. 前記搬送波測位は、前記メモリに保存されている測位基準情報により特定される仮想位置を起点とした前記複数のGPS衛星までの距離をそれぞれ各GPS衛星からの搬送波の周波数と当該搬送波の伝達時間との関数により算定し、これにより算定された距離を前記搬送波の周波数で除算して整数値バイアスを算定し、さらに、この整数値バイアスから前記搬送波の1波長以内の位相角を算定し、この位相角が表す長さに基づいて、測位点の位置を特定することを特徴とする、
    請求項1記載の自律測位方法。
  7. 2種類の周波数で複数のGPS衛星の各々を観測可能なGPS受信機で受信した2種類の周波数の信号を入力する入力手段と、
    入力したこれらの信号から各周波数で共通となるノイズ成分を削除して1つのGPS実測データを得る前処理手段と、
    この前処理手段により得られたGPS実測データを取得するとともに、取得したGPS実測データの現在値と過去に推定した値とに基づく将来の推定値の算定を、推定される誤差共分散が所定値以内に収束するまで繰り返し、これにより得られた推定値を測位基準情報として所定のメモリに保存する測位基準情報生成手段と、
    前記メモリに保存されている測位基準情報を参照情報とした搬送波測位を行う搬送波測位手段とを有する、
    自律航法装置。
  8. 前記測位基準情報決定手段が、推定誤差共分散を最小にするためのフィルタ部を含み、このフィルタ部により前記将来の推定値を算定するように構成されている、
    請求項7記載の自律航法装置。
  9. 2種類の周波数で複数のGPS衛星の各々を観測可能なGPS受信機と接続可能なコンピュータに、
    前記GPS受信機で受信した2種類の周波数の信号を入力し、入力したこれらの信号から各周波数で共通となるノイズ成分を削除して1つのGPS実測データを得る前処理手段と、
    この前処理手段により得られたGPS実測データを取得するとともに、取得したGPS実測データの現在値と過去の推定値とに基づく将来の推定値の算定を、前記現在値との差分が所定値に収束するまで繰り返し、これにより得られた推定値を測位基準情報として所定のメモリに保存する測位基準情報決定手段と、
    前記メモリに保存されている測位基準情報を参照情報とした搬送波測位を行う搬送波測位手段とを形成するための、コンピュータプログラム。
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