JP2004077223A - 光ヘテロダイン干渉計 - Google Patents
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Abstract
【課題】CCDカメラの電子シャッタ機能を利用せず、計測対象物の形状を二次元的に計測する光ヘテロダイン干渉計。
【解決手段】光源LSから射出されたビームのうち、計測対象物2の被計測面を経たビームと該ビームと周波数が異なり被計測面に対する基準の参照面Mrを経たビームとを干渉させて生じる干渉縞を複数の検出素子で観察し各検出素子からヘテロダイン信号を得て該信号と同一周波数の基準信号を基準に各ヘテロダイン信号に生じた位相のずれを検出することで被計測面の形状を計測する干渉計であって、基準信号に同期してビームを被計測面と参照面Mrとへ一定時間だけ入射させ該一定時間におけるヘテロダイン信号の積分値を求める動作を、基準信号の一周期内の位相が異なる少なくとも3点に同期して行い少なくとも3つの積分値を求め該積分値に基づき基準信号に対するヘテロダイン信号の位相のずれを検出する。
【選択図】図1
【解決手段】光源LSから射出されたビームのうち、計測対象物2の被計測面を経たビームと該ビームと周波数が異なり被計測面に対する基準の参照面Mrを経たビームとを干渉させて生じる干渉縞を複数の検出素子で観察し各検出素子からヘテロダイン信号を得て該信号と同一周波数の基準信号を基準に各ヘテロダイン信号に生じた位相のずれを検出することで被計測面の形状を計測する干渉計であって、基準信号に同期してビームを被計測面と参照面Mrとへ一定時間だけ入射させ該一定時間におけるヘテロダイン信号の積分値を求める動作を、基準信号の一周期内の位相が異なる少なくとも3点に同期して行い少なくとも3つの積分値を求め該積分値に基づき基準信号に対するヘテロダイン信号の位相のずれを検出する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光ヘテロダイン干渉計に関し、特に半導体産業において用いられるウェハやコンパクトディスク等のガラス基板表面の平坦度、反り、厚さムラの計測、又は光学部材の形状の計測に利用される光ヘテロダイン干渉計に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、平面基板や光学部材の形状の二次元的な計測を正確に行うための計測装置として、レーザ干渉計が利用されている。さらに、この二次元的な計測を高速で行うためのレーザ干渉計として、例えば特開平8−233553号公報に開示されている光ヘテロダイン干渉装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に開示されている光ヘテロダイン干渉装置では、ヘテロダイン信号を精度良く処理するために、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)カメラの電子シャッタ機能を利用する必要がある。このため、電子シャッタ機能を有しないCCDカメラ、例えば一次元のCCDカメラ等を光ヘテロダイン干渉装置に用いる場合、ヘテロダイン信号の処理を精度良く行うことができない。従って斯かる場合、平面基板や光学部材の形状の二次元的な計測を行うことができないという問題がある。
【0004】
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、CCDカメラの電子シャッタ機能を利用することなくヘテロダイン信号の処理を精度良く行うことができ、計測対象物の被計測面形状の二次元的な計測を高精度に行うことができる光ヘテロダイン干渉計を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、
光源から射出された可干渉性を有するビームのうち、計測対象物の被計測面を経た計測ビームと、当該計測ビームと周波数が僅かに異なり前記被計測面に対する基準となる参照面を経た参照ビームとを互いに干渉させることによって生じる干渉縞を複数の検出素子からなる検出器で観察し、それぞれの前記検出素子からヘテロダイン信号を得て、当該ヘテロダイン信号と同一の周波数を有する基準信号を基準としてそれぞれの前記ヘテロダイン信号に生じた位相のずれを検出することにより、前記計測対象物の前記被計測面の形状を計測する光ヘテロダイン干渉計であって、
前記基準信号に同期して、前記可干渉性を有するビームを前記計測対象物の前記被計測面と前記参照面とへ一定時間だけ入射させ、当該一定時間における前記ヘテロダイン信号の出力の積分値を求める動作を、
前記基準信号の一周期内の位相が異なる少なくとも3点に同期して行うことによって少なくとも3つの積分値を求め、当該積分値に基づいて前記基準信号に対する前記ヘテロダイン信号の位相のずれを検出することを特徴とする光ヘテロダイン干渉計を提供する。
【0006】
また、請求項2に記載の光ヘテロダイン干渉計は、
請求項1に記載の光ヘテロダイン干渉計において、
前記動作を、前記基準信号の一周期内の任意の点と、当該任意の点より位相がπ/2大きい点と、前記任意の点より位相がπ大きい点との3つの点に同期して行うことによって3つの積分値を求め、当該3つの積分値に基づいて前記基準信号に対する前記ヘテロダイン信号の位相のずれを検出することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の光ヘテロダイン干渉計は、
請求項1に記載の光ヘテロダイン干渉計において、
前記動作を、前記基準信号の一周期内の任意の点と、当該任意の点より位相がπ/2大きい点と、前記任意の点より位相がπ大きい点と、前記任意の点より位相が3π/2大きい点との4つの点に同期して行うことによって4つの積分値を求め、当該4つの積分値に基づいて前記基準信号に対する前記ヘテロダイン信号の位相のずれを検出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の光ヘテロダイン干渉計は、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光ヘテロダイン干渉計において、
前記光源は、半導体レーザと、互いに周波数が僅かに異なる2つの発振器と、前記2つの発振器によって駆動される2つの周波数変調素子とを含み、
前記2つの発振器より得られる信号同士のビート信号を生成し、当該ビート信号を前記基準信号として、
前記半導体レーザから発せられたビームを2つのビームに分離し、当該2つのビームを前記2つの周波数変調素子によってそれぞれ変調して周波数の僅かに異なる2つのビームとし、
前記動作における前記計測対象物の前記被計測面と前記参照面とへの前記可干渉性を有するビームの前記一定時間の入射は、前記基準信号に同期して前記一定時間だけ前記半導体レーザを点灯させることによって行い、前記周波数の僅かに異なる2つのビームのうちの一方を前記計測対象物の前記被計測面へ前記一定時間だけ入射させ、前記周波数の僅かに異なる2つのビームのうちのもう一方を前記参照面へ前記一定時間だけ入射させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に記載の光ヘテロダイン干渉計は、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光ヘテロダイン干渉計において、
前記光源は、偏光方向が異なりかつ周波数の僅かに異なる2つのビームを発するゼーマンレーザと、当該ゼーマンレーザから発せられた前記2つのビームを遮断するためのシャッタとを含み、
前記ゼーマンレーザから発せられた前記2つのビームを干渉させることによって生じるビート信号を前記基準信号として、
前記動作における前記計測対象物の前記被計測面と前記参照面とへの前記可干渉性を有するビームの前記一定時間の入射は、前記基準信号に同期して前記一定時間だけシャッタを開けて前記ゼーマンレーザから発せられた前記2つのビームを通過させることによって行い、前記2つのビームのうちの一方を前記計測対象物の前記被計測面へ前記一定時間だけ入射させ、前記2つのビームのうちのもう一方を前記参照面へ前記一定時間だけ入射させることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を添付図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計の全体的な構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を示す概略構成図である。
図1に示すように本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、二周波光源部LSと、ヘテロダイン干渉計ユニットIUとを備えた二次元のヘテロダイン干渉計である。そして本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、計測対象物の被計測面の形状、即ちホルダ1上に固定された平面基板2の表面の平坦度を計測するものである。
【0011】
図1において、二周波光源部LS内に光源として配置された半導体レーザ3は、可干渉性を有する直線偏光のビームBdoを射出する。半導体レーザ3より射出されたビームBdoは、コリメータレンズL1によって平行光に変換される。この平行光は、1/4波長板4を通ることによって円偏光のビームとなる。そしてこの円偏光のビームは、偏光ビームスプリッタPBS1によってS偏光のビームとP偏光のビームとに分割される。
【0012】
偏光ビームスプリッタPBS1によって反射されたS偏光のビームは、周波数変調素子5sによって変調されて変調周波数fのビームとなる。この変調周波数fのビームは、平面鏡Msと偏光ビームスプリッタPBS2とを介してヘテロダイン干渉計ユニットIUへと導かれる。ここで、このヘテロダイン干渉計ユニットIUへ導かれたビームをビームBdsとする。
一方、偏光ビームスプリッタPBS1を透過したP偏光のビームは、周波数変調素子5pによって変調されて、変調周波数f+Δfのビームとなる。この変調周波数f+Δfのビームは、平面鏡Mpと偏光ビームスプリッタPBS2とを介してヘテロダイン干渉計ユニットIUへと導かれる。ここで、このヘテロダイン干渉計ユニットIUへ導かれたビームをビームBdpとする。
ここで、周波数変調素子5s,5pはそれぞれ、ブラッグ回折を利用してビームの周波数を変調するものであり、発振回路6s,6pによって駆動されている。
【0013】
ヘテロダイン干渉計ユニットIUへ導かれたビームBdsは、偏光ビームスプリッタPBS3によって反射され、1/4波長板7rを経て固定平面鏡Mrに入射する。そしてビームBdsは、この固定平面鏡Mrによって反射されて再び1/4波長板7rを経て偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。ここで、ビームBdsは1/4波長板7rを往復することによってP偏光のビームとなる。このため、偏光ビームスプリッタPBS3に入射したビームBdsは、該偏光ビームスプリッタPBS3を透過する。そしてこのビームは、偏光板8を通過した後、レンズL2を介して二次元CCD9へ入射する。
【0014】
また、ヘテロダイン干渉計ユニットIUへ導かれたビームBdpは、偏光ビームスプリッタPBS3を透過し、1/4波長板7mを経て、レンズL3に入射する。このビームBdpは、レンズL3とレンズL4とによって、ビーム径の大きな平行ビームに変換され、ホルダ1上に固定された平面基板2に入射する。そしてビーム径の大きな平行ビームは、この平面基板2によって反射され、レンズL4とレンズL3とによってビーム径の小さな平行ビームに変換される。ビーム径の小さな平行ビームは、再び1/4波長板7mを経て偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。ここで、このビームは1/4波長板7mを往復することによってS偏光のビームとなる。このため、偏光ビームスプリッタPBS3に入射したビームは、該偏光ビームスプリッタPBS3によって反射される。そしてこのビームは、偏光板8を通過した後、レンズL2を介して二次元CCD9へ入射する。
尚、平面基板2の表面と二次元CCD9の表面とは共役な位置関係にある。
【0015】
上述のようにビームBds,Bdpは、二次元CCD9に入射する直前に偏光板8を通過する。偏光板8の光学軸は両ビームの偏光方向に対して45度傾いており、これによりビームBds,Bdpは、偏光方向が揃い、互いに干渉することが可能となる。従って、二次元CCD9にはビームBds,Bdpによる干渉縞が形成される。ここでこの干渉縞は、ヘテロダイン干渉計ユニットIUが二次元の構成であるため、時間的に変化しかつ平面基板2の各部の高さに依存して位相の異なる干渉縞となる。
以上の構成の下、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計では、二次元CCD9に形成された干渉縞の時間変化を処理することによって、平面基板2の表面における各部の高さ(平面基板2上の一点を基準とした全点の高さ)を計測することが可能となる。詳細には、干渉縞からヘテロダイン信号(ビート信号)を得て、該ヘテロダイン信号と同一の周波数を有する基準信号を基準としてヘテロダイン信号の位相のずれを検出することにより、平面基板2の表面における各部の高さを計測することが可能となる。
【0016】
以下、平面基板2の表面における各部の高さを求めるために行われる、二次元CCD9に形成された干渉縞の時間変化の処理について数式を用いて詳細に説明する。
まず、二次元CCD9に形成された干渉縞に基づき、該二次元CCD9の任意の一画素において得られるビート信号I(t)について説明する。
変調周波数fのビームBdsと変調周波数f+ΔfのビームBdpとが二次元CCD9に入射して干渉することによって、該二次元CCD9においてビート信号I(t)が得られる。二次元CCD9の任意の一画素から得られるビート信号I(t)の位相は、該画素と共役な位置関係にある平面基板2上の一点の高さに応じて変化し、以下の式(1)のように表される。
【0017】
但し、
I(t):二次元CCD9の任意の一画素から得られるビート信号,
a,b:定数,
X :二次元CCD9の一画素と共役な位置関係にある平面基板2上の一点の高さ(変位量),
λ :半導体レーザ3より発せらたビームの波長,
f :変調周波数(ビームBdsの変調周波数),
Δf :ヘテロダイン周波数(ビームBdsとビームBdpの変調周波数の差).
尚、位相の定数項については、特に重要ではないので簡単のために無視するものとする。
【0018】
次に、ビート信号I(t)の位相のずれを検出するための基準となる基準信号I0(t)について説明する。
基準信号I0(t)は、ビート信号I(t)と同一の周波数を有する信号であり、図1における発振回路6s,6pによって次のように作られる。発振回路6s,6pより発せられる信号を正弦波形とした場合、それぞれcos2πft,cos2π(f+Δf)tと表すことができる。従って、これらを掛け算回路10によって掛け合わせることによって、式(2)に表される信号Im(t)が得られる。
【0019】
そして、掛け算回路10において得られた信号Im(t)は、ローパスフィルタ回路部11によって、式(2)において高周波成分を示す周波数(2f+Δf)の項が消去される。このようにして、式(2)におけるcos2πΔftの項のみを取り出すことができ、これを基準信号I0(t)とする。
この基準信号I0(t)に対するビート信号I(t)の位相のずれを計測することによって、変位量Xの値を計測することができる。
【0020】
次に、ビート信号I(t)の位相のずれの検出方法について詳細に説明する。図2は、基準信号とビート信号の信号処理について説明する図である。
ローパスフィルタ回路部11にて得られた基準信号I0(t)がパルス発生回路PGに導かれることにより、該パルス発生回路PGでは図2に示すように基準信号I0(t)における位相0の位置に同期して、時間幅Tsの矩形パルスPld1が生成される。そしてパルス発生回路PGは、この矩形パルスPld1を半導体レーザ駆動回路12に指令信号Sg1として送出することによって、図2の区間U1における黒く塗りつぶした間(Ts)だけ半導体レーザ駆動回路12によって半導体レーザ3を点灯させる。
尚、この間二次元CCD9は、光電変換を行うことによって電荷を蓄積している。
【0021】
またパルス発生回路PGでは、矩形パルスPld1の生成から一定時間遅れて矩形パルスPccd1が生成される。そしてパルス発生回路PGは、この矩形パルスPccd1をCCD駆動回路13に指令信号Sg2として送出することによって、二次元CCD9の蓄積した電荷を電圧に変換して位相検出回路14へ転送させる。
これらの動作により、ビート信号I(t)は図2の区間U1に示す時間Tsだけ積分されたこととなる。
【0022】
さらにパルス発生回路PGは、矩形パルスPccd1を位相検出回路14に指令信号Sg3として送出することによって、矩形パルスPccd1の立下りに同期して位相検出回路14に、CCD駆動回路13より転送される電圧信号を受信させてその信号の値(情報)を記憶させる。
ここで、以上の動作は二次元CCD9の全ての画素からのビート信号に対して行われる。
【0023】
以上の動作によって得られる積分値をSI1とすると、積分値SI1は次の式(3)のように表される。
但し、
Ts :時間(レーザ点灯時間).
【0024】
ここで、Xを求めるに当たってa,bの値が不明である。このため、少なくとも3つ以上の条件式を用い、それらを連立して解くことによってa,bを消去し変位量Xを求める。以下、条件式を3つ用いて解く場合と、条件式を4つ用いて解く場合の2つの場合について説明する。
【0025】
まず、条件式を3つ用いて解く場合について説明する。この場合、図2に示す基準信号I0(t)に対する位相がπ/2,πだけシフトした(ずれた)区間U2,U3においても、それぞれI0(t)の位相π/2,πの位置に同期した矩形パルスPld2及びPccd2,Pld3及びPccd3をパルス発生回路PGにて生成し、上述した積分値SI1を求めるために行った動作と同様の動作をそれぞれ行う。
以上より、区間U2,U3において得られる積分値をSI2,SI3とすると、積分値SI2,SI3は次の式(4),(5)のように表される。
【0026】
以上の式(3),(4),(5)から、次式(6)の演算を行うことによりa,bを消去することができる。
従って、位相検出回路14によって式(6)から得られる次式(7)の演算を行うことにより、変位量Xを求めることができる。
【0027】
次に、条件式を4つ用いて解く場合について説明する。この場合、基準信号I0(t)に対する位相が3π/2だけずれた図2に示す区間U4においても、基準信号I0(t)の位相3π/2の位置に同期した矩形パルスPld4,Pccd4をパルス発生回路PGにて生成し、積分値を求めるために行った上述の動作と同様の動作をさらに行う。
以上より、区間U4において得られる積分値をSI4とすると、積分値SI4は次の式(8)のように表される。
【0028】
以上の式(3),(4),(5),(8)から、次式(9)の演算を行うことによりa,bを消去することができる。
従って、位相検出回路14によって式(9)から得られる次式(10)の演算を行うことにより、変位量Xを求めることができる。
【0029】
ここで、tan−1は−π/2〜π/2の範囲においてのみ定義されているものであるため、式(7),(10)によって求めた変位量Xの値には、λ/4の整数倍の値が含まれていない。しかし、二次元CCD9の全ての画素に対して変位量Xの計測を行い、隣接する画素から得られる変位量Xの値に±λ/8以上の差が生じないように、全ての変位量Xの値をつなぎ合わせる(補正する)ことによって、平面基板2上の一点を基準とした全点の高さ(X)を知ることができる。斯かる補正演算を行うため、位相検出回路14において求められた変位量Xの値は、計数回路15へ導かれる。
【0030】
また、式(7),(10)にはそれぞれ以下の定数項が含まれている。
しかし平面基板2の形状の計測を行う場合、平面基板2上の一点を基準とした各部の高さ(変位量X)を相対的に求めれば良い。従って、上記定数項は特に重要ではないため、無視して考えても差支え無い。
以上のように、二次元CCD9における全ての画素において、干渉縞からビート信号を得て、基準信号を基準としてビート信号の位相のずれを検出することにより、平面基板2上の一点を基準とした全点の高さ(X)、即ち平面基板2の表面の平坦度を計測することができる。
【0031】
以上、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、基準信号に同期して一定時間だけ光源である半導体レーザを点灯させて、計測対象物の被計測面(平面基板2の表面)と参照面(固定平面鏡Mr)のそれぞれへビームを入射させる構成である。これにより、CCDカメラが電子シャッタ機能を有していなくとも、ヘテロダイン信号の処理を精度良く行う(ヘテロダイン信号の出力の積分時間を正確に制御する)ことができ、計測対象物の被計測面形状の二次元的な計測を高精度に行うことができる。
また、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、上述のように基準信号に同期して半導体レーザを一定時間点灯させる構成である。従って、半導体レーザを断続的に点灯させて用いていることから、半導体レーザ自体の寿命を延ばすことができる。
尚、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計におけるビート信号の位相ずれの検出方法は、半導体レーザの替わりにゼーマンレーザを光源として用いたヘテロダイン干渉計にも適用することができる。
【0032】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を示す概略構成図である。
図3に示すように本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、光源として配置されたゼーマンレーザ16と、ヘテロダイン干渉計ユニットIUとを備えた二次元のヘテロダイン干渉計である。ヘテロダイン干渉計ユニットIUは、上記第1実施形態と全く同様の構成である。以下、上記第1実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計と同様の構成である部分には同じ符号を付して重複する説明を省略し、特徴的な部分について詳細に説明する。
【0033】
図3において、ゼーマンレーザ16より射出されたビームBzoは、無偏光プリズムPZに入射する。ここで、このビームBzoは、図3紙面に対して垂直な偏光成分を有するビームBzsと、図3紙面に対して平行な偏光成分を有するビームBzpとからなる。また、ビームBzpの周波数はビームBzsの周波数よりもΔf’だけ高いものとする。
無偏光プリズムPZに入射したビームBzoのうち、ビームBzsの一部とビームBzpの一部は、該無偏光プリズムPZによって反射され、光学軸が45度傾いて配置された偏光板17を通過した後、光電素子18へ入射する。この光電素子18へ入射するビームBzs,Bzpは、偏光板17を通過することによって偏光方向が揃い、互いに干渉することが可能となる。
【0034】
これにより、ビームBzs,Bzpは互いに干渉し、光電素子18ではビート信号が得られる。ここで、上述のようにビームBzsの周波数とビームBzpの周波数とはΔf’だけ異なるため、干渉によって得られるビート信号の強度は、周波数Δf’で時間的に変化することとなる。つまり、光電素子18ではcos2πΔf’tで表されるビート信号が得られることになる。このビート信号を基準信号I0’(t)とする。
【0035】
光電素子18にて得られた基準信号I0’(t)が制御回路19を介してパルス発生回路PGに導かれることにより、該パルス発生回路PGでは図2に示すように基準信号I0’(t)に同期して、時間幅Tsの矩形パルスPld1が生成される。そしてパルス発生回路PGは、この矩形パルスPld1をシャッタ20に指令信号Sg’1として送出することによって、図2の区間U1における黒く塗りつぶした間(Ts)だけシャッタ20を開けるようにする。従って、シャッタ20が開いている間(Ts)、ゼーマンレーザ16からのビームがヘテロダイン干渉計ユニットIUへ入射することとなる。これは、上記第1実施形態における半導体レーザ3の点灯と等価である。尚、シャッタ20は、高速で動作する必要があるため、ブラッグ回折を利用した光変調素子等を用いることが望ましい。
尚、この間二次元CCD9は光電変換を行うことによって電荷を蓄積している。
【0036】
またパルス発生回路PGでは、矩形パルスPld1の生成から一定時間遅れて矩形パルスPccd1が生成される。そしてパルス発生回路PGは、この矩形パルスPccd1をCCD駆動回路13に指令信号Sg’2として送出することによって、二次元CCD9の蓄積した電荷を電圧に変換して位相検出回路14へ転送させる。
これらの動作によってビート信号I’(t)は、図2の区間U1に示す時間Tsだけ積分されたこととなる。
【0037】
さらにパルス発生回路PGは、矩形パルスPccd1を位相検出回路14に指令信号Sg’3として送出することによって、矩形パルスPccd1の立下りに同期して位相検出回路14に、CCD駆動回路13より転送される電圧信号を受信させてその信号の値(情報)を記憶させる。
ここで、以上の動作を二次元CCD9における全ての画素からの信号に対して行うことにより、積分値(上記第1実施形態における積分値SI1に当たる積分値)が得られる。
【0038】
さらに、基準信号I0’(t)に対する位相がπ/2,πだけずれた図2に示す区間U2,U3においても、それぞれI0’(t)の位相π/2,πの位置に同期した矩形パルスPld2及びPccd2,Pld3及びPccd3をパルス発生回路PGにて生成し、上述の積分値を求めるために行った動作と同様の動作をそれぞれ行う。以上の動作によって各積分値(上記第1実施形態における積分値SI2,SI3に当たる積分値)が得られる。
ここで、本実施形態は、上記第1実施形態におけるビート信号I(t)と周波数とが異なる以外、上記第1実施形態と同様であるため、式を用いた詳細な説明は省略する。
【0039】
各積分値から、上記第1実施形態における式(7)に当たる演算を位相検出回路14において行うことにより、λ/4の整数倍を除いた変位量Xの値が求められる。この変位量Xの値は計数回路15に導かれ、該計数回路15によって上記実施形態と同様に補正が行われる。これによって、平面基板2上の一点を基準とした全点の高さ(X)、即ち平面基板2の表面の平坦度を知ることができる。
【0040】
尚、位相がπ/2,π,3π/2だけずれた図2に示す区間U2,U3,U4においても各積分値(上記第1実施形態における積分値SI2,SI3,SI4に当たる積分値)を得て、上記第1実施形態と同様の演算及び補正を行うことにより、平面基板2上の一点を基準とした全点の高さ(X)を知ることができる。
【0041】
以上、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、基準信号に同期して一定時間だけシャッタ20を開けて、計測対象物の被計測面(平面基板2の表面)と参照面(固定平面鏡Mr)のそれぞれへ光源であるゼーマンレーザ16から射出されたビームを入射させる構成である。これにより、CCDカメラが電子シャッタ機能を有していなくとも、ヘテロダイン信号の処理を精度良く行うことができ、計測対象物の被計測面形状の二次元的な計測を高精度に行うことができる。
【0042】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を示す概略構成図である。
図4に示すように本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、二周波光源部LSと、一次元のヘテロダイン干渉計ユニットLIUとを備えたヘテロダイン干渉計である。二周波光源部LSは、上記第1実施形態と全く同様の構成である。本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、ホルダ1上に固定された平面基板2表面の一次元の平坦度(図4紙面に対して垂直な方向の平坦度)を一度に計測する。そして、一次元のヘテロダイン干渉計ユニットLIUによって、斯かる一次元的な平坦度の計測を図4中の矢印As方向へ走査しながら繰り返し行うことによって平面基板2表面の二次元の平坦度を計測するものである。
尚、図5は、一次元のヘテロダイン干渉計ユニットLIUを立体的に示す構成図である。
【0043】
二周波光源部LSから射出されて一次元のヘテロダイン干渉計ユニットLIUへ導かれた周波数の異なるビームBds,Bdpは、円筒レンズLS1,LS2によって図4紙面に対して垂直な一次元方向へ拡大される。この拡大されたビームBds,Bdpは、3つの三角プリズムからなる偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。
【0044】
偏光ビームスプリッタPBS3に入射したビームBdpは、P偏光のビームであるため、境界面S1を透過して1/4波長板21rに入射する。1/4波長板21rの裏面Mは鏡面にて構成されているため、該1/4波長板21rに入射したビームBdpは、裏面Mにて反射されて再び偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。このビームは、1/4波長板21rを往復することによってS偏光のビームとなっているため、境界面S1にて反射され、さらに境界面S2においても反射されて、再び1/4波長板21rに入射する。そしてこのビームは、裏面Mにて再び反射されて偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。さらにこのビームは、1/4波長板21rを往復することによってP偏光のビームとなるため、境界面S2を透過して偏光ビームスプリッタPBS3から射出される。この偏光ビームスプリッタPBS3から射出されたビームBdpは、レンズLC1と、レンズLC2と、偏光板22とを介して一次元CCD23へ入射する。ここで、レンズLC1,LC2には、それぞれ円筒レンズLS2,LS1との機械的な干渉を避けるために上下部分を切り落としたレンズが用いられている。
以上、一次元CCD23に入射したビームBdpは、偏光ビームスプリッタPBS3の境界面S1を透過してから一次元CCD23に入射するまでの光路長が平面基板2の状態に関わらず常に一定のビームである。
【0045】
一方、偏光ビームスプリッタPBS3に入射したビームBdsは、S偏光のビームであるため、境界面S1にて反射されて1/4波長板21muを経て基準平面鏡24に入射する。このビームは、基準平面鏡24によって反射されて再び1/4波長板21muを経て偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。このビームは、1/4波長板21muを往復することによってP偏光のビームとなっているため、境界面S1を透過し、さらに境界面S2を透過し、1/4波長板21mdを経て、ホルダ1上に固定された平面基板2に入射する。そしてこのビームは、この平面基板2によって反射され、再び1/4波長板21mdを経て、偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。このビームは、1/4波長板21mdを往復することによってS偏光のビームとなっているため、境界面S2にて反射され、偏光ビームスプリッタPBS3から射出される。この偏光ビームスプリッタPBS3から射出されたビームBdsは、レンズLC1と、レンズLC2と、偏光板22とを介して一次元CCD23へ入射する。尚、一次元CCD23の結像面と平面基板2の表面とは共役な位置関係にある。
以上、一次元CCD23に入射したビームBdsは、偏光ビームスプリッタPBS3の境界面S1で反射されてから一次元CCD23に入射するまでの光路長が平面基板2表面の凹凸の状態によって変化するビームである。
【0046】
上述のようにビームBdp,Bdsは、一次元CCD23に入射する直前に光学軸が45度傾いて配置された偏光板22を通過する。これによりビームBdp,Bdsは、偏光方向が揃い、互いに干渉することが可能となる。このようにして一次元CCD23に干渉縞が形成される。この干渉縞は、ビームBdsの光路長が変化することによって明暗が変化するため、該干渉縞の時間変化を処理することによって平面基板2における各部の高さ、即ち平面基板2の表面の平坦度を計測することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計では、上記第1実施形態におけるCCD駆動回路13、位相検出回路14、及び計数回路15に対応するように、一次元CCD23の各画素に応じた数の複数の信号を処理可能なCCD駆動回路25、位相検出回路26、及び計数回路27が配置されている。従って、上述の干渉縞の時間変化の処理は、原理的に上記第1実施形態の場合と全く同様に、一次元CCD23の各画素からの出力に対して行えばよい。
【0048】
以上、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、上記第1実施形態と同様に、基準信号に同期して一定時間だけ光源である半導体レーザを点灯させて、計測対象物の被計測面(平面基板2の表面)と参照面(基準平面鏡24)のそれぞれへビームを入射させる構成である。これにより、CCDカメラが電子シャッタ機能を有していなくとも、ヘテロダイン信号の処理を精度良く行うことができ、計測対象物の被計測面形状の二次元的な計測を高精度に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、上述のように基準信号に同期して半導体レーザを一定時間点灯させる構成である。従って、半導体レーザを断続的に点灯させて用いていることから、半導体レーザ自体の寿命を延ばすことができる。
さらに、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、上述のように二周波光源部LSを配置して構成されている。しかしこれに限られず、上記第2実施形態と同様にゼーマンレーザを光源として用いて構成することもできる。
尚、上記各実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計において被検物の表面は平面である。しかし本発明はこれに限られず、球面等の反射面の形状を計測するための二次元干渉計にも適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、CCDカメラの電子シャッタ機能を利用することなくヘテロダイン信号の処理を精度良く行うことができ、計測対象物の被計測面形状の二次元的な計測を高精度に行うことができる光ヘテロダイン干渉計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を示す概略構成図である。
【図2】基準信号とビート信号の信号処理について説明する図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を示す概略構成図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を示す概略構成図である。
【図5】第3実施形態における一次元のヘテロダイン干渉計ユニットLIUを立体的に示す構成図である。
【符号の説明】
1 ホルダ
2 平面基板
3 半導体レーザ
4,7r,7m,21r,21mu,21md 1/4波長板
5s,5p 周波数変調素子
6s,6p 発振回路
8,17,22 偏光板
9 二次元CCD
10 掛け算回路
11 ローパスフィルタ回路部
12 半導体レーザ駆動回路
13,25 CCD駆動回路
14,26 位相検出回路
15,27 計数回路
16 ゼーマンレーザ
18 光電素子
19 制御回路
20 シャッタ
23 一次元CCD
24 基準平面鏡
PG パルス発生回路
【発明の属する技術分野】
本発明は光ヘテロダイン干渉計に関し、特に半導体産業において用いられるウェハやコンパクトディスク等のガラス基板表面の平坦度、反り、厚さムラの計測、又は光学部材の形状の計測に利用される光ヘテロダイン干渉計に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、平面基板や光学部材の形状の二次元的な計測を正確に行うための計測装置として、レーザ干渉計が利用されている。さらに、この二次元的な計測を高速で行うためのレーザ干渉計として、例えば特開平8−233553号公報に開示されている光ヘテロダイン干渉装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に開示されている光ヘテロダイン干渉装置では、ヘテロダイン信号を精度良く処理するために、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)カメラの電子シャッタ機能を利用する必要がある。このため、電子シャッタ機能を有しないCCDカメラ、例えば一次元のCCDカメラ等を光ヘテロダイン干渉装置に用いる場合、ヘテロダイン信号の処理を精度良く行うことができない。従って斯かる場合、平面基板や光学部材の形状の二次元的な計測を行うことができないという問題がある。
【0004】
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、CCDカメラの電子シャッタ機能を利用することなくヘテロダイン信号の処理を精度良く行うことができ、計測対象物の被計測面形状の二次元的な計測を高精度に行うことができる光ヘテロダイン干渉計を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、
光源から射出された可干渉性を有するビームのうち、計測対象物の被計測面を経た計測ビームと、当該計測ビームと周波数が僅かに異なり前記被計測面に対する基準となる参照面を経た参照ビームとを互いに干渉させることによって生じる干渉縞を複数の検出素子からなる検出器で観察し、それぞれの前記検出素子からヘテロダイン信号を得て、当該ヘテロダイン信号と同一の周波数を有する基準信号を基準としてそれぞれの前記ヘテロダイン信号に生じた位相のずれを検出することにより、前記計測対象物の前記被計測面の形状を計測する光ヘテロダイン干渉計であって、
前記基準信号に同期して、前記可干渉性を有するビームを前記計測対象物の前記被計測面と前記参照面とへ一定時間だけ入射させ、当該一定時間における前記ヘテロダイン信号の出力の積分値を求める動作を、
前記基準信号の一周期内の位相が異なる少なくとも3点に同期して行うことによって少なくとも3つの積分値を求め、当該積分値に基づいて前記基準信号に対する前記ヘテロダイン信号の位相のずれを検出することを特徴とする光ヘテロダイン干渉計を提供する。
【0006】
また、請求項2に記載の光ヘテロダイン干渉計は、
請求項1に記載の光ヘテロダイン干渉計において、
前記動作を、前記基準信号の一周期内の任意の点と、当該任意の点より位相がπ/2大きい点と、前記任意の点より位相がπ大きい点との3つの点に同期して行うことによって3つの積分値を求め、当該3つの積分値に基づいて前記基準信号に対する前記ヘテロダイン信号の位相のずれを検出することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の光ヘテロダイン干渉計は、
請求項1に記載の光ヘテロダイン干渉計において、
前記動作を、前記基準信号の一周期内の任意の点と、当該任意の点より位相がπ/2大きい点と、前記任意の点より位相がπ大きい点と、前記任意の点より位相が3π/2大きい点との4つの点に同期して行うことによって4つの積分値を求め、当該4つの積分値に基づいて前記基準信号に対する前記ヘテロダイン信号の位相のずれを検出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の光ヘテロダイン干渉計は、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光ヘテロダイン干渉計において、
前記光源は、半導体レーザと、互いに周波数が僅かに異なる2つの発振器と、前記2つの発振器によって駆動される2つの周波数変調素子とを含み、
前記2つの発振器より得られる信号同士のビート信号を生成し、当該ビート信号を前記基準信号として、
前記半導体レーザから発せられたビームを2つのビームに分離し、当該2つのビームを前記2つの周波数変調素子によってそれぞれ変調して周波数の僅かに異なる2つのビームとし、
前記動作における前記計測対象物の前記被計測面と前記参照面とへの前記可干渉性を有するビームの前記一定時間の入射は、前記基準信号に同期して前記一定時間だけ前記半導体レーザを点灯させることによって行い、前記周波数の僅かに異なる2つのビームのうちの一方を前記計測対象物の前記被計測面へ前記一定時間だけ入射させ、前記周波数の僅かに異なる2つのビームのうちのもう一方を前記参照面へ前記一定時間だけ入射させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に記載の光ヘテロダイン干渉計は、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光ヘテロダイン干渉計において、
前記光源は、偏光方向が異なりかつ周波数の僅かに異なる2つのビームを発するゼーマンレーザと、当該ゼーマンレーザから発せられた前記2つのビームを遮断するためのシャッタとを含み、
前記ゼーマンレーザから発せられた前記2つのビームを干渉させることによって生じるビート信号を前記基準信号として、
前記動作における前記計測対象物の前記被計測面と前記参照面とへの前記可干渉性を有するビームの前記一定時間の入射は、前記基準信号に同期して前記一定時間だけシャッタを開けて前記ゼーマンレーザから発せられた前記2つのビームを通過させることによって行い、前記2つのビームのうちの一方を前記計測対象物の前記被計測面へ前記一定時間だけ入射させ、前記2つのビームのうちのもう一方を前記参照面へ前記一定時間だけ入射させることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を添付図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計の全体的な構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を示す概略構成図である。
図1に示すように本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、二周波光源部LSと、ヘテロダイン干渉計ユニットIUとを備えた二次元のヘテロダイン干渉計である。そして本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、計測対象物の被計測面の形状、即ちホルダ1上に固定された平面基板2の表面の平坦度を計測するものである。
【0011】
図1において、二周波光源部LS内に光源として配置された半導体レーザ3は、可干渉性を有する直線偏光のビームBdoを射出する。半導体レーザ3より射出されたビームBdoは、コリメータレンズL1によって平行光に変換される。この平行光は、1/4波長板4を通ることによって円偏光のビームとなる。そしてこの円偏光のビームは、偏光ビームスプリッタPBS1によってS偏光のビームとP偏光のビームとに分割される。
【0012】
偏光ビームスプリッタPBS1によって反射されたS偏光のビームは、周波数変調素子5sによって変調されて変調周波数fのビームとなる。この変調周波数fのビームは、平面鏡Msと偏光ビームスプリッタPBS2とを介してヘテロダイン干渉計ユニットIUへと導かれる。ここで、このヘテロダイン干渉計ユニットIUへ導かれたビームをビームBdsとする。
一方、偏光ビームスプリッタPBS1を透過したP偏光のビームは、周波数変調素子5pによって変調されて、変調周波数f+Δfのビームとなる。この変調周波数f+Δfのビームは、平面鏡Mpと偏光ビームスプリッタPBS2とを介してヘテロダイン干渉計ユニットIUへと導かれる。ここで、このヘテロダイン干渉計ユニットIUへ導かれたビームをビームBdpとする。
ここで、周波数変調素子5s,5pはそれぞれ、ブラッグ回折を利用してビームの周波数を変調するものであり、発振回路6s,6pによって駆動されている。
【0013】
ヘテロダイン干渉計ユニットIUへ導かれたビームBdsは、偏光ビームスプリッタPBS3によって反射され、1/4波長板7rを経て固定平面鏡Mrに入射する。そしてビームBdsは、この固定平面鏡Mrによって反射されて再び1/4波長板7rを経て偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。ここで、ビームBdsは1/4波長板7rを往復することによってP偏光のビームとなる。このため、偏光ビームスプリッタPBS3に入射したビームBdsは、該偏光ビームスプリッタPBS3を透過する。そしてこのビームは、偏光板8を通過した後、レンズL2を介して二次元CCD9へ入射する。
【0014】
また、ヘテロダイン干渉計ユニットIUへ導かれたビームBdpは、偏光ビームスプリッタPBS3を透過し、1/4波長板7mを経て、レンズL3に入射する。このビームBdpは、レンズL3とレンズL4とによって、ビーム径の大きな平行ビームに変換され、ホルダ1上に固定された平面基板2に入射する。そしてビーム径の大きな平行ビームは、この平面基板2によって反射され、レンズL4とレンズL3とによってビーム径の小さな平行ビームに変換される。ビーム径の小さな平行ビームは、再び1/4波長板7mを経て偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。ここで、このビームは1/4波長板7mを往復することによってS偏光のビームとなる。このため、偏光ビームスプリッタPBS3に入射したビームは、該偏光ビームスプリッタPBS3によって反射される。そしてこのビームは、偏光板8を通過した後、レンズL2を介して二次元CCD9へ入射する。
尚、平面基板2の表面と二次元CCD9の表面とは共役な位置関係にある。
【0015】
上述のようにビームBds,Bdpは、二次元CCD9に入射する直前に偏光板8を通過する。偏光板8の光学軸は両ビームの偏光方向に対して45度傾いており、これによりビームBds,Bdpは、偏光方向が揃い、互いに干渉することが可能となる。従って、二次元CCD9にはビームBds,Bdpによる干渉縞が形成される。ここでこの干渉縞は、ヘテロダイン干渉計ユニットIUが二次元の構成であるため、時間的に変化しかつ平面基板2の各部の高さに依存して位相の異なる干渉縞となる。
以上の構成の下、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計では、二次元CCD9に形成された干渉縞の時間変化を処理することによって、平面基板2の表面における各部の高さ(平面基板2上の一点を基準とした全点の高さ)を計測することが可能となる。詳細には、干渉縞からヘテロダイン信号(ビート信号)を得て、該ヘテロダイン信号と同一の周波数を有する基準信号を基準としてヘテロダイン信号の位相のずれを検出することにより、平面基板2の表面における各部の高さを計測することが可能となる。
【0016】
以下、平面基板2の表面における各部の高さを求めるために行われる、二次元CCD9に形成された干渉縞の時間変化の処理について数式を用いて詳細に説明する。
まず、二次元CCD9に形成された干渉縞に基づき、該二次元CCD9の任意の一画素において得られるビート信号I(t)について説明する。
変調周波数fのビームBdsと変調周波数f+ΔfのビームBdpとが二次元CCD9に入射して干渉することによって、該二次元CCD9においてビート信号I(t)が得られる。二次元CCD9の任意の一画素から得られるビート信号I(t)の位相は、該画素と共役な位置関係にある平面基板2上の一点の高さに応じて変化し、以下の式(1)のように表される。
【0017】
但し、
I(t):二次元CCD9の任意の一画素から得られるビート信号,
a,b:定数,
X :二次元CCD9の一画素と共役な位置関係にある平面基板2上の一点の高さ(変位量),
λ :半導体レーザ3より発せらたビームの波長,
f :変調周波数(ビームBdsの変調周波数),
Δf :ヘテロダイン周波数(ビームBdsとビームBdpの変調周波数の差).
尚、位相の定数項については、特に重要ではないので簡単のために無視するものとする。
【0018】
次に、ビート信号I(t)の位相のずれを検出するための基準となる基準信号I0(t)について説明する。
基準信号I0(t)は、ビート信号I(t)と同一の周波数を有する信号であり、図1における発振回路6s,6pによって次のように作られる。発振回路6s,6pより発せられる信号を正弦波形とした場合、それぞれcos2πft,cos2π(f+Δf)tと表すことができる。従って、これらを掛け算回路10によって掛け合わせることによって、式(2)に表される信号Im(t)が得られる。
【0019】
そして、掛け算回路10において得られた信号Im(t)は、ローパスフィルタ回路部11によって、式(2)において高周波成分を示す周波数(2f+Δf)の項が消去される。このようにして、式(2)におけるcos2πΔftの項のみを取り出すことができ、これを基準信号I0(t)とする。
この基準信号I0(t)に対するビート信号I(t)の位相のずれを計測することによって、変位量Xの値を計測することができる。
【0020】
次に、ビート信号I(t)の位相のずれの検出方法について詳細に説明する。図2は、基準信号とビート信号の信号処理について説明する図である。
ローパスフィルタ回路部11にて得られた基準信号I0(t)がパルス発生回路PGに導かれることにより、該パルス発生回路PGでは図2に示すように基準信号I0(t)における位相0の位置に同期して、時間幅Tsの矩形パルスPld1が生成される。そしてパルス発生回路PGは、この矩形パルスPld1を半導体レーザ駆動回路12に指令信号Sg1として送出することによって、図2の区間U1における黒く塗りつぶした間(Ts)だけ半導体レーザ駆動回路12によって半導体レーザ3を点灯させる。
尚、この間二次元CCD9は、光電変換を行うことによって電荷を蓄積している。
【0021】
またパルス発生回路PGでは、矩形パルスPld1の生成から一定時間遅れて矩形パルスPccd1が生成される。そしてパルス発生回路PGは、この矩形パルスPccd1をCCD駆動回路13に指令信号Sg2として送出することによって、二次元CCD9の蓄積した電荷を電圧に変換して位相検出回路14へ転送させる。
これらの動作により、ビート信号I(t)は図2の区間U1に示す時間Tsだけ積分されたこととなる。
【0022】
さらにパルス発生回路PGは、矩形パルスPccd1を位相検出回路14に指令信号Sg3として送出することによって、矩形パルスPccd1の立下りに同期して位相検出回路14に、CCD駆動回路13より転送される電圧信号を受信させてその信号の値(情報)を記憶させる。
ここで、以上の動作は二次元CCD9の全ての画素からのビート信号に対して行われる。
【0023】
以上の動作によって得られる積分値をSI1とすると、積分値SI1は次の式(3)のように表される。
但し、
Ts :時間(レーザ点灯時間).
【0024】
ここで、Xを求めるに当たってa,bの値が不明である。このため、少なくとも3つ以上の条件式を用い、それらを連立して解くことによってa,bを消去し変位量Xを求める。以下、条件式を3つ用いて解く場合と、条件式を4つ用いて解く場合の2つの場合について説明する。
【0025】
まず、条件式を3つ用いて解く場合について説明する。この場合、図2に示す基準信号I0(t)に対する位相がπ/2,πだけシフトした(ずれた)区間U2,U3においても、それぞれI0(t)の位相π/2,πの位置に同期した矩形パルスPld2及びPccd2,Pld3及びPccd3をパルス発生回路PGにて生成し、上述した積分値SI1を求めるために行った動作と同様の動作をそれぞれ行う。
以上より、区間U2,U3において得られる積分値をSI2,SI3とすると、積分値SI2,SI3は次の式(4),(5)のように表される。
【0026】
以上の式(3),(4),(5)から、次式(6)の演算を行うことによりa,bを消去することができる。
従って、位相検出回路14によって式(6)から得られる次式(7)の演算を行うことにより、変位量Xを求めることができる。
【0027】
次に、条件式を4つ用いて解く場合について説明する。この場合、基準信号I0(t)に対する位相が3π/2だけずれた図2に示す区間U4においても、基準信号I0(t)の位相3π/2の位置に同期した矩形パルスPld4,Pccd4をパルス発生回路PGにて生成し、積分値を求めるために行った上述の動作と同様の動作をさらに行う。
以上より、区間U4において得られる積分値をSI4とすると、積分値SI4は次の式(8)のように表される。
【0028】
以上の式(3),(4),(5),(8)から、次式(9)の演算を行うことによりa,bを消去することができる。
従って、位相検出回路14によって式(9)から得られる次式(10)の演算を行うことにより、変位量Xを求めることができる。
【0029】
ここで、tan−1は−π/2〜π/2の範囲においてのみ定義されているものであるため、式(7),(10)によって求めた変位量Xの値には、λ/4の整数倍の値が含まれていない。しかし、二次元CCD9の全ての画素に対して変位量Xの計測を行い、隣接する画素から得られる変位量Xの値に±λ/8以上の差が生じないように、全ての変位量Xの値をつなぎ合わせる(補正する)ことによって、平面基板2上の一点を基準とした全点の高さ(X)を知ることができる。斯かる補正演算を行うため、位相検出回路14において求められた変位量Xの値は、計数回路15へ導かれる。
【0030】
また、式(7),(10)にはそれぞれ以下の定数項が含まれている。
しかし平面基板2の形状の計測を行う場合、平面基板2上の一点を基準とした各部の高さ(変位量X)を相対的に求めれば良い。従って、上記定数項は特に重要ではないため、無視して考えても差支え無い。
以上のように、二次元CCD9における全ての画素において、干渉縞からビート信号を得て、基準信号を基準としてビート信号の位相のずれを検出することにより、平面基板2上の一点を基準とした全点の高さ(X)、即ち平面基板2の表面の平坦度を計測することができる。
【0031】
以上、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、基準信号に同期して一定時間だけ光源である半導体レーザを点灯させて、計測対象物の被計測面(平面基板2の表面)と参照面(固定平面鏡Mr)のそれぞれへビームを入射させる構成である。これにより、CCDカメラが電子シャッタ機能を有していなくとも、ヘテロダイン信号の処理を精度良く行う(ヘテロダイン信号の出力の積分時間を正確に制御する)ことができ、計測対象物の被計測面形状の二次元的な計測を高精度に行うことができる。
また、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、上述のように基準信号に同期して半導体レーザを一定時間点灯させる構成である。従って、半導体レーザを断続的に点灯させて用いていることから、半導体レーザ自体の寿命を延ばすことができる。
尚、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計におけるビート信号の位相ずれの検出方法は、半導体レーザの替わりにゼーマンレーザを光源として用いたヘテロダイン干渉計にも適用することができる。
【0032】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を示す概略構成図である。
図3に示すように本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、光源として配置されたゼーマンレーザ16と、ヘテロダイン干渉計ユニットIUとを備えた二次元のヘテロダイン干渉計である。ヘテロダイン干渉計ユニットIUは、上記第1実施形態と全く同様の構成である。以下、上記第1実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計と同様の構成である部分には同じ符号を付して重複する説明を省略し、特徴的な部分について詳細に説明する。
【0033】
図3において、ゼーマンレーザ16より射出されたビームBzoは、無偏光プリズムPZに入射する。ここで、このビームBzoは、図3紙面に対して垂直な偏光成分を有するビームBzsと、図3紙面に対して平行な偏光成分を有するビームBzpとからなる。また、ビームBzpの周波数はビームBzsの周波数よりもΔf’だけ高いものとする。
無偏光プリズムPZに入射したビームBzoのうち、ビームBzsの一部とビームBzpの一部は、該無偏光プリズムPZによって反射され、光学軸が45度傾いて配置された偏光板17を通過した後、光電素子18へ入射する。この光電素子18へ入射するビームBzs,Bzpは、偏光板17を通過することによって偏光方向が揃い、互いに干渉することが可能となる。
【0034】
これにより、ビームBzs,Bzpは互いに干渉し、光電素子18ではビート信号が得られる。ここで、上述のようにビームBzsの周波数とビームBzpの周波数とはΔf’だけ異なるため、干渉によって得られるビート信号の強度は、周波数Δf’で時間的に変化することとなる。つまり、光電素子18ではcos2πΔf’tで表されるビート信号が得られることになる。このビート信号を基準信号I0’(t)とする。
【0035】
光電素子18にて得られた基準信号I0’(t)が制御回路19を介してパルス発生回路PGに導かれることにより、該パルス発生回路PGでは図2に示すように基準信号I0’(t)に同期して、時間幅Tsの矩形パルスPld1が生成される。そしてパルス発生回路PGは、この矩形パルスPld1をシャッタ20に指令信号Sg’1として送出することによって、図2の区間U1における黒く塗りつぶした間(Ts)だけシャッタ20を開けるようにする。従って、シャッタ20が開いている間(Ts)、ゼーマンレーザ16からのビームがヘテロダイン干渉計ユニットIUへ入射することとなる。これは、上記第1実施形態における半導体レーザ3の点灯と等価である。尚、シャッタ20は、高速で動作する必要があるため、ブラッグ回折を利用した光変調素子等を用いることが望ましい。
尚、この間二次元CCD9は光電変換を行うことによって電荷を蓄積している。
【0036】
またパルス発生回路PGでは、矩形パルスPld1の生成から一定時間遅れて矩形パルスPccd1が生成される。そしてパルス発生回路PGは、この矩形パルスPccd1をCCD駆動回路13に指令信号Sg’2として送出することによって、二次元CCD9の蓄積した電荷を電圧に変換して位相検出回路14へ転送させる。
これらの動作によってビート信号I’(t)は、図2の区間U1に示す時間Tsだけ積分されたこととなる。
【0037】
さらにパルス発生回路PGは、矩形パルスPccd1を位相検出回路14に指令信号Sg’3として送出することによって、矩形パルスPccd1の立下りに同期して位相検出回路14に、CCD駆動回路13より転送される電圧信号を受信させてその信号の値(情報)を記憶させる。
ここで、以上の動作を二次元CCD9における全ての画素からの信号に対して行うことにより、積分値(上記第1実施形態における積分値SI1に当たる積分値)が得られる。
【0038】
さらに、基準信号I0’(t)に対する位相がπ/2,πだけずれた図2に示す区間U2,U3においても、それぞれI0’(t)の位相π/2,πの位置に同期した矩形パルスPld2及びPccd2,Pld3及びPccd3をパルス発生回路PGにて生成し、上述の積分値を求めるために行った動作と同様の動作をそれぞれ行う。以上の動作によって各積分値(上記第1実施形態における積分値SI2,SI3に当たる積分値)が得られる。
ここで、本実施形態は、上記第1実施形態におけるビート信号I(t)と周波数とが異なる以外、上記第1実施形態と同様であるため、式を用いた詳細な説明は省略する。
【0039】
各積分値から、上記第1実施形態における式(7)に当たる演算を位相検出回路14において行うことにより、λ/4の整数倍を除いた変位量Xの値が求められる。この変位量Xの値は計数回路15に導かれ、該計数回路15によって上記実施形態と同様に補正が行われる。これによって、平面基板2上の一点を基準とした全点の高さ(X)、即ち平面基板2の表面の平坦度を知ることができる。
【0040】
尚、位相がπ/2,π,3π/2だけずれた図2に示す区間U2,U3,U4においても各積分値(上記第1実施形態における積分値SI2,SI3,SI4に当たる積分値)を得て、上記第1実施形態と同様の演算及び補正を行うことにより、平面基板2上の一点を基準とした全点の高さ(X)を知ることができる。
【0041】
以上、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、基準信号に同期して一定時間だけシャッタ20を開けて、計測対象物の被計測面(平面基板2の表面)と参照面(固定平面鏡Mr)のそれぞれへ光源であるゼーマンレーザ16から射出されたビームを入射させる構成である。これにより、CCDカメラが電子シャッタ機能を有していなくとも、ヘテロダイン信号の処理を精度良く行うことができ、計測対象物の被計測面形状の二次元的な計測を高精度に行うことができる。
【0042】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を示す概略構成図である。
図4に示すように本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、二周波光源部LSと、一次元のヘテロダイン干渉計ユニットLIUとを備えたヘテロダイン干渉計である。二周波光源部LSは、上記第1実施形態と全く同様の構成である。本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、ホルダ1上に固定された平面基板2表面の一次元の平坦度(図4紙面に対して垂直な方向の平坦度)を一度に計測する。そして、一次元のヘテロダイン干渉計ユニットLIUによって、斯かる一次元的な平坦度の計測を図4中の矢印As方向へ走査しながら繰り返し行うことによって平面基板2表面の二次元の平坦度を計測するものである。
尚、図5は、一次元のヘテロダイン干渉計ユニットLIUを立体的に示す構成図である。
【0043】
二周波光源部LSから射出されて一次元のヘテロダイン干渉計ユニットLIUへ導かれた周波数の異なるビームBds,Bdpは、円筒レンズLS1,LS2によって図4紙面に対して垂直な一次元方向へ拡大される。この拡大されたビームBds,Bdpは、3つの三角プリズムからなる偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。
【0044】
偏光ビームスプリッタPBS3に入射したビームBdpは、P偏光のビームであるため、境界面S1を透過して1/4波長板21rに入射する。1/4波長板21rの裏面Mは鏡面にて構成されているため、該1/4波長板21rに入射したビームBdpは、裏面Mにて反射されて再び偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。このビームは、1/4波長板21rを往復することによってS偏光のビームとなっているため、境界面S1にて反射され、さらに境界面S2においても反射されて、再び1/4波長板21rに入射する。そしてこのビームは、裏面Mにて再び反射されて偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。さらにこのビームは、1/4波長板21rを往復することによってP偏光のビームとなるため、境界面S2を透過して偏光ビームスプリッタPBS3から射出される。この偏光ビームスプリッタPBS3から射出されたビームBdpは、レンズLC1と、レンズLC2と、偏光板22とを介して一次元CCD23へ入射する。ここで、レンズLC1,LC2には、それぞれ円筒レンズLS2,LS1との機械的な干渉を避けるために上下部分を切り落としたレンズが用いられている。
以上、一次元CCD23に入射したビームBdpは、偏光ビームスプリッタPBS3の境界面S1を透過してから一次元CCD23に入射するまでの光路長が平面基板2の状態に関わらず常に一定のビームである。
【0045】
一方、偏光ビームスプリッタPBS3に入射したビームBdsは、S偏光のビームであるため、境界面S1にて反射されて1/4波長板21muを経て基準平面鏡24に入射する。このビームは、基準平面鏡24によって反射されて再び1/4波長板21muを経て偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。このビームは、1/4波長板21muを往復することによってP偏光のビームとなっているため、境界面S1を透過し、さらに境界面S2を透過し、1/4波長板21mdを経て、ホルダ1上に固定された平面基板2に入射する。そしてこのビームは、この平面基板2によって反射され、再び1/4波長板21mdを経て、偏光ビームスプリッタPBS3に入射する。このビームは、1/4波長板21mdを往復することによってS偏光のビームとなっているため、境界面S2にて反射され、偏光ビームスプリッタPBS3から射出される。この偏光ビームスプリッタPBS3から射出されたビームBdsは、レンズLC1と、レンズLC2と、偏光板22とを介して一次元CCD23へ入射する。尚、一次元CCD23の結像面と平面基板2の表面とは共役な位置関係にある。
以上、一次元CCD23に入射したビームBdsは、偏光ビームスプリッタPBS3の境界面S1で反射されてから一次元CCD23に入射するまでの光路長が平面基板2表面の凹凸の状態によって変化するビームである。
【0046】
上述のようにビームBdp,Bdsは、一次元CCD23に入射する直前に光学軸が45度傾いて配置された偏光板22を通過する。これによりビームBdp,Bdsは、偏光方向が揃い、互いに干渉することが可能となる。このようにして一次元CCD23に干渉縞が形成される。この干渉縞は、ビームBdsの光路長が変化することによって明暗が変化するため、該干渉縞の時間変化を処理することによって平面基板2における各部の高さ、即ち平面基板2の表面の平坦度を計測することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計では、上記第1実施形態におけるCCD駆動回路13、位相検出回路14、及び計数回路15に対応するように、一次元CCD23の各画素に応じた数の複数の信号を処理可能なCCD駆動回路25、位相検出回路26、及び計数回路27が配置されている。従って、上述の干渉縞の時間変化の処理は、原理的に上記第1実施形態の場合と全く同様に、一次元CCD23の各画素からの出力に対して行えばよい。
【0048】
以上、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、上記第1実施形態と同様に、基準信号に同期して一定時間だけ光源である半導体レーザを点灯させて、計測対象物の被計測面(平面基板2の表面)と参照面(基準平面鏡24)のそれぞれへビームを入射させる構成である。これにより、CCDカメラが電子シャッタ機能を有していなくとも、ヘテロダイン信号の処理を精度良く行うことができ、計測対象物の被計測面形状の二次元的な計測を高精度に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、上述のように基準信号に同期して半導体レーザを一定時間点灯させる構成である。従って、半導体レーザを断続的に点灯させて用いていることから、半導体レーザ自体の寿命を延ばすことができる。
さらに、本実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計は、上述のように二周波光源部LSを配置して構成されている。しかしこれに限られず、上記第2実施形態と同様にゼーマンレーザを光源として用いて構成することもできる。
尚、上記各実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計において被検物の表面は平面である。しかし本発明はこれに限られず、球面等の反射面の形状を計測するための二次元干渉計にも適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、CCDカメラの電子シャッタ機能を利用することなくヘテロダイン信号の処理を精度良く行うことができ、計測対象物の被計測面形状の二次元的な計測を高精度に行うことができる光ヘテロダイン干渉計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を示す概略構成図である。
【図2】基準信号とビート信号の信号処理について説明する図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を示す概略構成図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る光ヘテロダイン干渉計を示す概略構成図である。
【図5】第3実施形態における一次元のヘテロダイン干渉計ユニットLIUを立体的に示す構成図である。
【符号の説明】
1 ホルダ
2 平面基板
3 半導体レーザ
4,7r,7m,21r,21mu,21md 1/4波長板
5s,5p 周波数変調素子
6s,6p 発振回路
8,17,22 偏光板
9 二次元CCD
10 掛け算回路
11 ローパスフィルタ回路部
12 半導体レーザ駆動回路
13,25 CCD駆動回路
14,26 位相検出回路
15,27 計数回路
16 ゼーマンレーザ
18 光電素子
19 制御回路
20 シャッタ
23 一次元CCD
24 基準平面鏡
PG パルス発生回路
Claims (5)
- 光源から射出された可干渉性を有するビームのうち、計測対象物の被計測面を経た計測ビームと、当該計測ビームと周波数が僅かに異なり前記被計測面に対する基準となる参照面を経た参照ビームとを互いに干渉させることによって生じる干渉縞を複数の検出素子からなる検出器で観察し、それぞれの前記検出素子からヘテロダイン信号を得て、当該ヘテロダイン信号と同一の周波数を有する基準信号を基準としてそれぞれの前記ヘテロダイン信号に生じた位相のずれを検出することにより、前記計測対象物の前記被計測面の形状を計測する光ヘテロダイン干渉計であって、
前記基準信号に同期して、前記可干渉性を有するビームを前記計測対象物の前記被計測面と前記参照面とへ一定時間だけ入射させ、当該一定時間における前記ヘテロダイン信号の出力の積分値を求める動作を、
前記基準信号の一周期内の位相が異なる少なくとも3点に同期して行うことによって少なくとも3つの積分値を求め、当該積分値に基づいて前記基準信号に対する前記ヘテロダイン信号の位相のずれを検出することを特徴とする光ヘテロダイン干渉計。 - 請求項1に記載の光ヘテロダイン干渉計において、
前記動作を、前記基準信号の一周期内の任意の点と、当該任意の点より位相がπ/2大きい点と、前記任意の点より位相がπ大きい点との3つの点に同期して行うことによって3つの積分値を求め、当該3つの積分値に基づいて前記基準信号に対する前記ヘテロダイン信号の位相のずれを検出することを特徴とする光ヘテロダイン干渉計。 - 請求項1に記載の光ヘテロダイン干渉計において、
前記動作を、前記基準信号の一周期内の任意の点と、当該任意の点より位相がπ/2大きい点と、前記任意の点より位相がπ大きい点と、前記任意の点より位相が3π/2大きい点との4つの点に同期して行うことによって4つの積分値を求め、当該4つの積分値に基づいて前記基準信号に対する前記ヘテロダイン信号の位相のずれを検出することを特徴とする光ヘテロダイン干渉計。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光ヘテロダイン干渉計において、
前記光源は、半導体レーザと、互いに周波数が僅かに異なる2つの発振器と、前記2つの発振器によって駆動される2つの周波数変調素子とを含み、
前記2つの発振器より得られる信号同士のビート信号を生成し、当該ビート信号を前記基準信号として、
前記半導体レーザから発せられたビームを2つのビームに分離し、当該2つのビームを前記2つの周波数変調素子によってそれぞれ変調して周波数の僅かに異なる2つのビームとし、
前記動作における前記計測対象物の前記被計測面と前記参照面とへの前記可干渉性を有するビームの前記一定時間の入射は、前記基準信号に同期して前記一定時間だけ前記半導体レーザを点灯させることによって行い、前記周波数の僅かに異なる2つのビームのうちの一方を前記計測対象物の前記被計測面へ前記一定時間だけ入射させ、前記周波数の僅かに異なる2つのビームのうちのもう一方を前記参照面へ前記一定時間だけ入射させることを特徴とする光ヘテロダイン干渉計。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光ヘテロダイン干渉計において、
前記光源は、偏光方向が異なりかつ周波数の僅かに異なる2つのビームを発するゼーマンレーザと、当該ゼーマンレーザから発せられた前記2つのビームを遮断するためのシャッタとを含み、
前記ゼーマンレーザから発せられた前記2つのビームを干渉させることによって生じるビート信号を前記基準信号として、
前記動作における前記計測対象物の前記被計測面と前記参照面とへの前記可干渉性を有するビームの前記一定時間の入射は、前記基準信号に同期して前記一定時間だけシャッタを開けて前記ゼーマンレーザから発せられた前記2つのビームを通過させることによって行い、前記2つのビームのうちの一方を前記計測対象物の前記被計測面へ前記一定時間だけ入射させ、前記2つのビームのうちのもう一方を前記参照面へ前記一定時間だけ入射させることを特徴とする光ヘテロダイン干渉計。
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JP2002235920A JP2004077223A (ja) | 2002-08-13 | 2002-08-13 | 光ヘテロダイン干渉計 |
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JP2002235920A Withdrawn JP2004077223A (ja) | 2002-08-13 | 2002-08-13 | 光ヘテロダイン干渉計 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007240344A (ja) * | 2006-03-09 | 2007-09-20 | Fujitsu Ltd | 動的形状計測方法及び動的形状計測装置 |
JP2009212320A (ja) * | 2008-03-05 | 2009-09-17 | Hitachi High-Technologies Corp | 荷電粒子線装置、および、変位検出回路 |
EP2220456A4 (en) * | 2007-12-14 | 2016-08-03 | Intekplus Co Ltd | SURFACE MEASUREMENT MEASUREMENT METHOD AND METHOD OF MEASURING SURFACE FORM |
-
2002
- 2002-08-13 JP JP2002235920A patent/JP2004077223A/ja not_active Withdrawn
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EP2220456A4 (en) * | 2007-12-14 | 2016-08-03 | Intekplus Co Ltd | SURFACE MEASUREMENT MEASUREMENT METHOD AND METHOD OF MEASURING SURFACE FORM |
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