JP2004076729A - 始動用ポンプ - Google Patents

Abstract

【課題】化学的及び熱的攻撃の両者に耐え、長期間にわたりその弾性を保持し、その材料が安価であり、更に再使用が容易である、始動用ポンプを提供する。
【解決手段】始動用ポンプが、２つの接続区画（２）に接続する弾性的に変形可能な中央区画（１）を有する筐体を具備しており、前記筐体が、高分子弾性体の外側層（３）と、前記ポンプ内部に存在する流体に対して障壁を形成する材料の内側層（４）とを具備する、始動用ポンプを本発明は提供する。
【選択図】　　　図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、始動用ポンプに係り、特別には自動車の燃料供給回路に取り付けられるように設計された始動用ポンプに関する。
【０００２】
【従来の技術】
始動用ポンプは、高分子弾性体（エラストマー）から製作されること、及び中央区画を有する筐体を提供することが知られており、その中央区画は、筐体が最大体積を有する休止状態と、加圧状態との間で弾性的に変形可能である。筐体は、中央区画の出口と入口とにおいて接続区画を具備しており、それ（接続区画）は逆止弁を具備しており、その逆止弁は、筐体が加圧されるそれぞれの時に、流体を決められた方向において通過可能にするように配置される。
【０００３】
最近の自動車のエンジン（特には共通の噴射ユニットを有するディーゼルエンジン）は、高い平均温度において作動する特徴を有しており、燃料は、例えば１５０℃までの頂点（ピーク）状態において、連続ベースで１２５℃まで上昇することが可能である。
【０００４】
加えて、そのタイプのエンジンに具備される供給回路において、始動用ポンプは、供給回路の噴射ポンプに平行に設置可能であり、もはや該供給回路に直列ではないので、始動用ポンプの内部はもはや、そこを通り流れる燃料を有さないが、しかし逆に澱んだ燃料を含む。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
その様な条件の下で、筐体を形成するために現在使用される材料は、種々の理由のために早まって経年劣化する傾向があることが観察されるはずである。
【０００６】
第１に、燃料が高温で有する酸性は、温度変化の大きい振幅が組み合わされて筐体を早めに劣化させる。
【０００７】
第２に、そのタイプのエンジンに使用される最近の燃料に含まれる添加物は、特に高温において、筐体の材料にとって特に腐食性を有する。
【０００８】
更に、澱んだ燃料は、筐体の材料の多孔内に自然に浸透し、それにより材料内に含まれる充填物を溶解してそれに弾力性を与える。
【０００９】
その様な制約を満足させる始動用ポンプの筐体を製作するために、フッ素エラストマー（高分子弾性体）タイプの材料を使用することが検討されてきており、前記材料は、化学的及び熱的攻撃の両者に耐え、更に長期間にわたりその弾性を保持する。しかし、大量生産の条件での使用の観点に関して、その材料は高価過ぎることに加えて、それはまた再使用（リサイクル）が困難である。
【００１０】
本発明の目的は、上記の欠点を具備しない始動用ポンプを提供することである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
本発明は、高分子弾性体材料の弾性のある外側層と、ポンプ内に存在する流体に対して障壁（バリア）を形成する内側層とを具備する筐体を有する多層式始動用ポンプを提供する。
【００１２】
内側層は、燃料が外側層の高分子弾性体に貫通すること、又は該高分子弾性体と化学的に反応することを防止する
【００１３】
結局、該外側層は、標準タイプの高分子弾性体により製作可能であり、前記標準タイプの高分子弾性体は、温度変化のみに暴露されており、長期間にわたりその弾性特性を保持可能である。
【００１４】
この方法で得られる筐体は確かに、通常の高分子弾性体の単一層に比べてより高価であるが、しかしフッ素エラストマーの単一層の筐体に比べるとかなりより安価に留まる。加えて、それは再利用がより容易である。
【００１５】
本発明の別の特徴及び利点は、添付図面を参照して、特に本発明の制限されない実施の形態に関する以下の記述から理解できる。
【００１６】
【発明の実施の形態】
図面を参照すると、始動用ポンプの筐体は、それ自体が既知な状態で、手により変形可能な大径の中央区画１を具備しており、中央区画１は２つの接続区画２に関係しており、前記接続区画２は、該中央区画のいずれかの側に伸張しており、逆止弁（図示されない）を具備する。
【００１７】
本発明において始動用ポンプの筐体は、多層式であり、外側層３と内側層４とを具備する。
この場合において、外側層３は、通常のタイプの高分子弾性体、好適には熱可塑性ポリエステルエステル（ＴＰＥＥ）により製作されており、それは良好な弾性が筐体の中央区画１に与えられることを可能にしており、温度の大きな変化に耐える。
【００１８】
内側層４自体は以下の材料から製作されることが好ましい。
ポリアミド（ＰＡ）
ポリフェニレンスルホン（ｐｏｌｙｐｈｅｎｙｌｅｎｅ　ｓｕｌｆｏｎｅ）（ＰＰＳ）
ポリフェニレンスルホン（ＰＰＳ）とポリアミド（ＰＡ）の混合物
ポリアミド（ＰＡ）とポリオレフィン（ＰＯ）の混合物
ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）
【００１９】
これらの材料は、炭化水素ベース、又は更にはアルコールベース又はエステルベースの燃料等の種々の広範囲の燃料に対して効果的な障壁（バリア）を形成する。
【００２０】
適用可能な場合には、中間接着層が、外側層３と内側層４との間に形成されて前記２つの層間の良好な接着を確保可能である。
【００２１】
本発明において、内側層４に関する上記の材料は一般的に、外側層３に使用される材料に比べてより弾性が少ないので、層の厚みは始動用ポンプの弾性に影響を与え得る。
【００２２】
図示される実施の形態において、筐体の中央区画１は直径４０ｍｍであり、内側と外側の層の最小厚みはそれぞれ０．３ｍｍと０．５５ｍｍであり、その一方で接続区画２は、直径２１ｍｍで、内側と外側の層の最小厚みは、それぞれ０．５５ｍｍと０．８５ｍｍである。
【００２３】
多くの実験が実施されて、下記の寸法がその結果として出された。
内側層の厚み：０．１ｍｍから１ｍｍ
外側層の厚み：０．１ｍｍから２ｍｍ
内側層の局部の相対的厚みは、筐体の総局部厚みの３０％から４０％の範囲にあることが好ましい。
【００２４】
この相対的厚みの範囲は、筐体が満足な弾性を保持可能にする。
【００２５】
その様な始動用ポンプは、ポンプの構成要素の層を共有押出成形（ｃｏｅｘｔｒｕｄｉｎｇ）により形成して、多層式チューブを形成可能であり、その後チューブ（即ち、押出成形機の出口に設置された可動なモールドを有する装置により）を一連（ｓｔｒｉｎｇ）の始動用ポンプに形成し、始動用ポンプはそれをその後単に切断すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は、本発明の始動用ポンプの筐体の長手方向の断面を示す。
【符号の説明】
１…中央区画
２…接続区画
３…外側層
４…内側層

Claims (6)

1. 始動用ポンプにおいて、この始動用ポンプが、
   ２つの接続区画（２）に接続する弾性的に変形可能な中央区画（１）を有する筐体を具備しており、
   前記ポンプは、
   前記筐体が、高分子弾性体の外側層（３）と、前記ポンプ内部に存在する流体に対して障壁を形成する材料の内側層（４）とを具備する、
   ことを特徴とする始動用ポンプ。
2. 前記筐体は、前記外側層（３）と前記内側層（４）との間に中間接着層を更に具備することを特徴とする請求項１に記載の始動用ポンプ。
3. 内側層（４）は以下の材料のいずれか一項：
   ポリアミド、
   ポリフェニレンスルホン、
   ポリフェニレンスルホンとポリアミドの混合物、
   ポリアミドとポリオレフィンの混合物、
   ポリブチレンテレフタレート、
   から製作されることを特徴とする請求項１に記載の始動用ポンプ。
4. 前記内側層（４）の厚みは、０．１ｍｍから１ｍｍの範囲にあることを特徴とする請求項１に記載の始動用ポンプ。
5. 前記外側層（３）の厚みは、０．１ｍｍから２ｍｍの範囲にあることを特徴とする請求項１に記載の始動用ポンプ。
6. 前記内側層（４）の局部の相対的厚みは、前記筐体の総局部厚みの３０％から４０％の範囲にあることを特徴とする請求項１に記載の始動用ポンプ。

Images