JP2004076507A - 建具用引手 - Google Patents
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Abstract
【課題】襖等の引戸を開閉するために手指が掛けられる引手において、指先の不自由な障害者や握力の低下した老人等を含め、誰に対しても平等に襖の開閉を容易にさせるユニバーサルデザインに準拠した建具用引手を提供する。
【解決手段】襖20等の引戸式建具を開閉する際に手指が掛けられる建具用引手において、該引手を浅い底面13と深い底面14とを形成する凹部12と、該凹部12の周囲に一体的に形成した鍔部11で構成するとともに、前記深い底面14を手の腹が入る大きさとし、指掛け部22を手の腹と合致し易い形状とした。
【選択図】 図2
【解決手段】襖20等の引戸式建具を開閉する際に手指が掛けられる建具用引手において、該引手を浅い底面13と深い底面14とを形成する凹部12と、該凹部12の周囲に一体的に形成した鍔部11で構成するとともに、前記深い底面14を手の腹が入る大きさとし、指掛け部22を手の腹と合致し易い形状とした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、襖や引戸等の建具に設けられる引手に係り、指先の不自由な障害者や老人を含め誰にとっても平等に扱いやすい建具用引手に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、襖や障子、引戸等の引戸式の建具には、手指を掛けて開閉を行い易くするために引手が設けられている。これらの引手は一般に、手指を引っ掛けるための指掛け凹部と、該指掛け凹部を建具の所定位置に固定するための鍔部とを有し、それらが一体成形されて、建具の所定位置に穿孔された貫通孔に取り付けられるようになっている。具体的には、図8に示すように引戸101の所定位置に穿孔された貫通孔101aに対して、二枚の引手100・100を引戸の表裏面から対向させて接着または、釘止めによって取り付けるようにしていたのである。
【0003】
しかし、このような従来の引手構造では、指が掛かる部分である指掛け凹部を最大でも引戸の厚みに対して半分の深さにしかすることができないため、指掛け凹部が浅くなり、指先の不自由な障害者や握力の低下した老人等にとっては、引戸の開閉が行いにくくなっていたのである。
上述の不具合に鑑みて、特開平8−240042号公報では、引戸の厚みに対して指掛け部分を最大限に深くすることで、引戸の開閉をより容易に為され得るようにした技術が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の引手構造においては、指掛け部分の深さに対して指が掛かり易いように考慮されているが、例えば、指先が不自由な人が引戸を引こうとする際の、引戸を引くための力の掛け方、指の掛かり方は考慮されていない。
そこで、本発明においては、指先の不自由な障害者や老人を含め誰にでも平等に扱い易いユニバーサルデザインに準拠した建具用引手を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、建具に取り付けられる引手において、手指を挿入して引き操作するための凹部と、該凹部の周囲に形成された鍔部とで引手を構成し、該凹部を左右一側の浅い底面と左右他側の深い底面の二段に形成し、深い底面を手の腹が入る大きさとしたものである。
【0007】
請求項2においては、請求項1に記載の建具用引手において、鍔部と凹部の深い底面との間の面、及び、浅い底面と深い底面の間に形成される境界面を曲面としたものである。
【0008】
請求項3においては、請求項1又は請求項2に記載の建具用引手において、前記凹部の浅い底面及び深い底面の周縁部に形成される角部に面取り加工を施したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の建具用引手の全体的な構成を示す斜視図、図2は同じく表面平面図、図3は図2におけるA−A矢視端面断面図、図4は本発明の建具用引手の裏面図、図5は本発明の建具用引手の使用例を示す図、図6は同じく別使用例を示す図、図7は別実施例の建具用引手の使用例を示す図、図8は従来の建具用引手の取付状態を示す要部断面図である。
【0010】
本発明の建具用引手の構成を図1、図2を用いて説明する。
但し、本実施例では、建具用引手を取り付ける建具として襖を採用して説明するが、本発明に係る建具用引手の用途は襖に限定されるものではなく、引戸式の建具全般に適応させることができる。
【0011】
図1、図2に示すように建具用引手1は、襖20を開閉するために手指が掛けられる指掛け部を有する引手本体10と、該引手本体10を襖の所定位置に固定するための固定部である鍔部11とから構成されている。前記鍔部11は薄い板状に構成され、平面視においては長方形の四隅を丸に切り欠いた形状を為し、その中心位置に引手本体10の形状に合わせた形状であって鍔部11より襖20の厚み方向中心側へ突出した凹部12が設けられている。そして、建具用引手1は合成樹脂等により射出成形等で引手本体10と鍔部11は一体成形されている。つまり、建具用引手1は全体として、引手本体10とその周縁部から外向きに突出した鍔部11で構成されている。
【0012】
次に、前記引手本体10について説明する。
引手本体10には凹部12が形成され、該凹部12は左右方向(図2において)のほぼ中心位置に上下方向の境界面21が形成されており、本実施例では境界面21を波状に湾曲した形状としている。該境界面21より左右一側(本実施例では右側で以後、図2において紙面上右側を右とする)が浅い底面13、左側が深い底面14に形成され、図3に示すように断面視においては柄杓形に形成されている。なお、前記凹部12は鍔部11より襖20の厚み方向中心側へ突出しており、該凹部12の奥面、すなわち、鍔部11と略平行に形成され凹部12の奥側にある面を底面とする。
前記深い底面14の位置は浅い底面13よりも鍔部11と反対側に位置している。すなわち、深い底面14は浅い底面13よりも襖20の厚み方向へ窪んだ位置にあり、引手本体10を襖20に装着した際に、襖20の裏面からはみ出さない程度に最大限深くされている。具体的には、深い底面14は襖の厚みに対して60〜80%程度の窪み深さとし、浅い底面13は襖の厚みに対して5〜15%程度の窪み深さをもたせている。
【0013】
また、凹部12の深い底面14と浅い底面13との間の境界面21と、深い底面14と鍔部11の間の該鍔部11と略直交する方向に形成された面22(境界面21と反対側の面)が、襖20を開閉する際の指掛け部となり、深い底面14の窪み深さに比例して、前記指掛け部の面積は大きくなる。そして、引手の窪みを上下方向に長く構成することで左右方向に長い窪みを構成した引手よりも大きく、かつ、操作性もよくなっている。そして深い底面14の上下方向の長さは大人の手の四本の指先(指の第一関節)が入る程度としている。更に、深い底面14が凹部12の左右中心線よりも左側に位置させ、言い換えれば、深い底面14が左右中心よりも左右一側に偏って配置することで、裏面同士を合わせて固定するとき、突出部は重なることがなく、従来の技術において図8を用いて説明した従来の引手に比して指掛け部の面積を広く、かつ、深く構成することができるのである。
また、境界面21は鍔部11に対して垂直とせず若干鋭角として傾斜させることで、表裏重ねた時に境界面21の浅い底面13側をできるだけ左右中心に配置しても当たることがなく、深い底面14が位置する凹部をできるだけ大きくすることができ、操作し易くできる。
【0014】
さらに、前記境界面21と浅い底面13との交差部分の出角18と、前記境界面21と深い底面14との交差部分の入り角19には面取り加工が施されて滑らかにされ、当たりを柔らかくしている。すなわち、凹部12の深い底面14及び浅い底面13の外周縁に形成される入角及び出角は断面視曲面としているのである。このように、襖を開閉する際に指掛け部22に手指を掛けたときに、角が手指に当接して痛くならないように配慮が為されている。
【0015】
また、図4に示すように、鍔部11の裏面側からは円筒形状の嵌合用突起25・25・・・が突出され、本実施例では四隅から突出している。該嵌合用突起25・25・・・は上下左右対称の位置に配置され、表裏から建具用引手1を合わせた時に嵌合用突起25・25同士が嵌合して固定できるように構成している。例えば、左右(または上下)一側より突出する嵌合用突起25・25にスプリングピン等の嵌合具26・26を突出し、左右(または上下)他側より突出する嵌合用突起25・25には前記嵌合具26・26を挿入して固定できる凹部25a・25aを形成する。
【0016】
このように、嵌合用突起25・25・・・を設けた建具用引手1を襖20に固定する際には、同形状の二つの建具用引手1・1を襖20の引手装着部に穿孔された貫通孔に対して、その表裏面から深い底面14と浅い底面13とを合わせるように互い違いに嵌合するのである。嵌合の際には、一方の建具用引手1の嵌合具26・26が、他方の建具用引手1の嵌合用突起25・25の凹部25a・25aに嵌入して固定するのである。
そして、互い違いに嵌合された二つの建具用引手1・1は鍔部11を襖の表裏面から突出して固定される。
なお、本実施例においては部品点数の削減の観点から同一の建具用引手1・1を嵌合することで襖に固定可能としたが、一方の建具用引手1の全ての嵌合用突起25・25・・・に嵌合具26・26・・・を取り付け、他方の建具用引手1の全ての嵌合用突起25・25・・・に嵌合具を挿入できる凹部25a・25a・・を設けることで嵌合することもできる。
【0017】
以上のような建具用引手1の構成により、襖の厚みに対して引手の指掛け部の深さを最大限に深くできるのである。また、浅い底面13の表面を小さな凹凸を形成した粗面とすることで、摩擦抵抗が大きくなり、手を押し当てて摩擦抵抗だけで襖を開け閉めできるようにしている。
また、襖に対して引手を嵌合式に装着したため、襖の張り替え時に引手の着脱が容易となる。さらに、釘等で固定する場合では、釘の打ちつけ面が指掛け部から突出して怪我をする虞があるが、本発明の建具用引手においては指掛け部にそのような突出面がないために、引手を引く際に怪我をする虞がないものである。
【0018】
また、前述において説明した建具用引手1の全体的なサイズは、従来のものと比較して大きくされており、指掛け部22を形成する深い底面14を手の腹が挿入できる面積に設計し、手の腹による襖の開閉を可能としている。さらに、前述したように、指掛け部における角部にはR加工が施されて丸くされているため、引手を手の腹で押圧した場合にも痛くないようにされているのである。このように、指先が不自由な障害者や握力の低下した老人にとっても手の腹で操作できるため襖の開閉が行いやすくなるのである。
【0019】
ここで、より具体的に説明するために本発明の建具用引手1の使用例を図5及び、図6により説明する。
図5においては、深い底面14に指を挿入した際の図であり、指掛け部の面積が従来のものより大きくなっており、指の掛かりが深く襖の開閉が行い易くなっている。また、図6においては、深い底面14に手の腹を挿入した際の図であり、半楕円形状に形成された指掛け部に親指の付根部分がうまく合致して引っ掛かり易くなっているのである。さらに、図示しないが小指の付根部分を境界面21に押し当てて、襖の開閉を行うこともできる。このように、指先を使わずに襖の開閉が行えるため、指先の自由・不自由に関わらず平等な操作性を提供できるのである。
【0020】
以上のように構成された建具用引手1は既存の引手のイメージからかけ離れた形状はしておらず、襖との調和を考慮したデザインとされており意匠性を損なわないものである。
【0021】
また、建具用引手は別実施形態として図7に示すような形態とすることもできる。
この場合、前述において説明した建具用引手1と引手本体の形状は異なるが、発明の趣旨は同様であり、引手本体50を深い底面54と浅い面53とで左右分割して指掛け部52の面積を大きくしており、また、手の腹で操作できるように引手本体50の開口面積を大きくし、手の腹が合致し易いように指掛け部52を「く」字状に折曲しているものである。該「く」の字に折曲された折曲部52aにはR加工が施されて手指を掛ける際に痛くないように配慮されている、さらに、引手本体50の左右方向中心位置の上下に突設される突起55の裏面側には嵌合用突起が設けられて、同形状の二つの引手を嵌合させることで襖への装着を可能としている。
このように、本発明は上述において説明した形態に限定されるものではなく、別形状の建具用引手であっても、本発明を適用することはできる。
【0022】
以上のように、一般の人にとっても、指先の不自由な障害者や握力の低下した老人等にとっても平等に扱い易いユニバーサルデザインに準拠した建具用引手を実現できるのである。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0024】
即ち、請求項1に示す如く、建具に取り付けられる引手において、手指を挿入して引き操作するための凹部と、該凹部の周囲に形成された鍔部とで引手を構成し、該凹部を左右一側の浅い底面と左右他側の深い底面の二段に形成し、深い底面を手の腹が入る大きさとしたので、指先の不自由な障害者や握力の低下した老人にとっても手の腹を用いて襖の開閉を容易に行うことができる。
【0025】
請求項2に示す如く、請求項1に記載の建具用引手において、鍔部と凹部の深い底面との間の面、及び、浅い底面と深い底面の間に形成される境界面を曲面としたので、襖を開閉する際に手指が指掛け部に掛かり易くなる。
【0026】
請求項3に示す如く、請求項1又は請求項2に記載の建具用引手において、前記凹部の浅い底面及び深い底面の周縁部に形成される角部に面取り加工を施したので、襖を開閉する際に指先や手が角に当接することがなく、襖の開閉を行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建具用引手の全体的な構成を示す斜視図。
【図2】同じく表面平面図。
【図3】図2におけるA−A矢視端面断面図。
【図4】本発明の建具用引手の裏面図。
【図5】本発明の建具用引手の使用例を示す図。
【図6】同じく別使用例を示す図。
【図7】別実施例の建具用引手の使用例を示す図。
【図8】従来の建具用引手の取付状態を示す要部断面図。
【符号の説明】
1 建具用引手
10 引手本体
12 凹部
13 浅い底面
14 深い底面
20 襖
22 指掛け部
【発明の属する技術分野】
本発明は、襖や引戸等の建具に設けられる引手に係り、指先の不自由な障害者や老人を含め誰にとっても平等に扱いやすい建具用引手に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、襖や障子、引戸等の引戸式の建具には、手指を掛けて開閉を行い易くするために引手が設けられている。これらの引手は一般に、手指を引っ掛けるための指掛け凹部と、該指掛け凹部を建具の所定位置に固定するための鍔部とを有し、それらが一体成形されて、建具の所定位置に穿孔された貫通孔に取り付けられるようになっている。具体的には、図8に示すように引戸101の所定位置に穿孔された貫通孔101aに対して、二枚の引手100・100を引戸の表裏面から対向させて接着または、釘止めによって取り付けるようにしていたのである。
【0003】
しかし、このような従来の引手構造では、指が掛かる部分である指掛け凹部を最大でも引戸の厚みに対して半分の深さにしかすることができないため、指掛け凹部が浅くなり、指先の不自由な障害者や握力の低下した老人等にとっては、引戸の開閉が行いにくくなっていたのである。
上述の不具合に鑑みて、特開平8−240042号公報では、引戸の厚みに対して指掛け部分を最大限に深くすることで、引戸の開閉をより容易に為され得るようにした技術が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の引手構造においては、指掛け部分の深さに対して指が掛かり易いように考慮されているが、例えば、指先が不自由な人が引戸を引こうとする際の、引戸を引くための力の掛け方、指の掛かり方は考慮されていない。
そこで、本発明においては、指先の不自由な障害者や老人を含め誰にでも平等に扱い易いユニバーサルデザインに準拠した建具用引手を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、建具に取り付けられる引手において、手指を挿入して引き操作するための凹部と、該凹部の周囲に形成された鍔部とで引手を構成し、該凹部を左右一側の浅い底面と左右他側の深い底面の二段に形成し、深い底面を手の腹が入る大きさとしたものである。
【0007】
請求項2においては、請求項1に記載の建具用引手において、鍔部と凹部の深い底面との間の面、及び、浅い底面と深い底面の間に形成される境界面を曲面としたものである。
【0008】
請求項3においては、請求項1又は請求項2に記載の建具用引手において、前記凹部の浅い底面及び深い底面の周縁部に形成される角部に面取り加工を施したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の建具用引手の全体的な構成を示す斜視図、図2は同じく表面平面図、図3は図2におけるA−A矢視端面断面図、図4は本発明の建具用引手の裏面図、図5は本発明の建具用引手の使用例を示す図、図6は同じく別使用例を示す図、図7は別実施例の建具用引手の使用例を示す図、図8は従来の建具用引手の取付状態を示す要部断面図である。
【0010】
本発明の建具用引手の構成を図1、図2を用いて説明する。
但し、本実施例では、建具用引手を取り付ける建具として襖を採用して説明するが、本発明に係る建具用引手の用途は襖に限定されるものではなく、引戸式の建具全般に適応させることができる。
【0011】
図1、図2に示すように建具用引手1は、襖20を開閉するために手指が掛けられる指掛け部を有する引手本体10と、該引手本体10を襖の所定位置に固定するための固定部である鍔部11とから構成されている。前記鍔部11は薄い板状に構成され、平面視においては長方形の四隅を丸に切り欠いた形状を為し、その中心位置に引手本体10の形状に合わせた形状であって鍔部11より襖20の厚み方向中心側へ突出した凹部12が設けられている。そして、建具用引手1は合成樹脂等により射出成形等で引手本体10と鍔部11は一体成形されている。つまり、建具用引手1は全体として、引手本体10とその周縁部から外向きに突出した鍔部11で構成されている。
【0012】
次に、前記引手本体10について説明する。
引手本体10には凹部12が形成され、該凹部12は左右方向(図2において)のほぼ中心位置に上下方向の境界面21が形成されており、本実施例では境界面21を波状に湾曲した形状としている。該境界面21より左右一側(本実施例では右側で以後、図2において紙面上右側を右とする)が浅い底面13、左側が深い底面14に形成され、図3に示すように断面視においては柄杓形に形成されている。なお、前記凹部12は鍔部11より襖20の厚み方向中心側へ突出しており、該凹部12の奥面、すなわち、鍔部11と略平行に形成され凹部12の奥側にある面を底面とする。
前記深い底面14の位置は浅い底面13よりも鍔部11と反対側に位置している。すなわち、深い底面14は浅い底面13よりも襖20の厚み方向へ窪んだ位置にあり、引手本体10を襖20に装着した際に、襖20の裏面からはみ出さない程度に最大限深くされている。具体的には、深い底面14は襖の厚みに対して60〜80%程度の窪み深さとし、浅い底面13は襖の厚みに対して5〜15%程度の窪み深さをもたせている。
【0013】
また、凹部12の深い底面14と浅い底面13との間の境界面21と、深い底面14と鍔部11の間の該鍔部11と略直交する方向に形成された面22(境界面21と反対側の面)が、襖20を開閉する際の指掛け部となり、深い底面14の窪み深さに比例して、前記指掛け部の面積は大きくなる。そして、引手の窪みを上下方向に長く構成することで左右方向に長い窪みを構成した引手よりも大きく、かつ、操作性もよくなっている。そして深い底面14の上下方向の長さは大人の手の四本の指先(指の第一関節)が入る程度としている。更に、深い底面14が凹部12の左右中心線よりも左側に位置させ、言い換えれば、深い底面14が左右中心よりも左右一側に偏って配置することで、裏面同士を合わせて固定するとき、突出部は重なることがなく、従来の技術において図8を用いて説明した従来の引手に比して指掛け部の面積を広く、かつ、深く構成することができるのである。
また、境界面21は鍔部11に対して垂直とせず若干鋭角として傾斜させることで、表裏重ねた時に境界面21の浅い底面13側をできるだけ左右中心に配置しても当たることがなく、深い底面14が位置する凹部をできるだけ大きくすることができ、操作し易くできる。
【0014】
さらに、前記境界面21と浅い底面13との交差部分の出角18と、前記境界面21と深い底面14との交差部分の入り角19には面取り加工が施されて滑らかにされ、当たりを柔らかくしている。すなわち、凹部12の深い底面14及び浅い底面13の外周縁に形成される入角及び出角は断面視曲面としているのである。このように、襖を開閉する際に指掛け部22に手指を掛けたときに、角が手指に当接して痛くならないように配慮が為されている。
【0015】
また、図4に示すように、鍔部11の裏面側からは円筒形状の嵌合用突起25・25・・・が突出され、本実施例では四隅から突出している。該嵌合用突起25・25・・・は上下左右対称の位置に配置され、表裏から建具用引手1を合わせた時に嵌合用突起25・25同士が嵌合して固定できるように構成している。例えば、左右(または上下)一側より突出する嵌合用突起25・25にスプリングピン等の嵌合具26・26を突出し、左右(または上下)他側より突出する嵌合用突起25・25には前記嵌合具26・26を挿入して固定できる凹部25a・25aを形成する。
【0016】
このように、嵌合用突起25・25・・・を設けた建具用引手1を襖20に固定する際には、同形状の二つの建具用引手1・1を襖20の引手装着部に穿孔された貫通孔に対して、その表裏面から深い底面14と浅い底面13とを合わせるように互い違いに嵌合するのである。嵌合の際には、一方の建具用引手1の嵌合具26・26が、他方の建具用引手1の嵌合用突起25・25の凹部25a・25aに嵌入して固定するのである。
そして、互い違いに嵌合された二つの建具用引手1・1は鍔部11を襖の表裏面から突出して固定される。
なお、本実施例においては部品点数の削減の観点から同一の建具用引手1・1を嵌合することで襖に固定可能としたが、一方の建具用引手1の全ての嵌合用突起25・25・・・に嵌合具26・26・・・を取り付け、他方の建具用引手1の全ての嵌合用突起25・25・・・に嵌合具を挿入できる凹部25a・25a・・を設けることで嵌合することもできる。
【0017】
以上のような建具用引手1の構成により、襖の厚みに対して引手の指掛け部の深さを最大限に深くできるのである。また、浅い底面13の表面を小さな凹凸を形成した粗面とすることで、摩擦抵抗が大きくなり、手を押し当てて摩擦抵抗だけで襖を開け閉めできるようにしている。
また、襖に対して引手を嵌合式に装着したため、襖の張り替え時に引手の着脱が容易となる。さらに、釘等で固定する場合では、釘の打ちつけ面が指掛け部から突出して怪我をする虞があるが、本発明の建具用引手においては指掛け部にそのような突出面がないために、引手を引く際に怪我をする虞がないものである。
【0018】
また、前述において説明した建具用引手1の全体的なサイズは、従来のものと比較して大きくされており、指掛け部22を形成する深い底面14を手の腹が挿入できる面積に設計し、手の腹による襖の開閉を可能としている。さらに、前述したように、指掛け部における角部にはR加工が施されて丸くされているため、引手を手の腹で押圧した場合にも痛くないようにされているのである。このように、指先が不自由な障害者や握力の低下した老人にとっても手の腹で操作できるため襖の開閉が行いやすくなるのである。
【0019】
ここで、より具体的に説明するために本発明の建具用引手1の使用例を図5及び、図6により説明する。
図5においては、深い底面14に指を挿入した際の図であり、指掛け部の面積が従来のものより大きくなっており、指の掛かりが深く襖の開閉が行い易くなっている。また、図6においては、深い底面14に手の腹を挿入した際の図であり、半楕円形状に形成された指掛け部に親指の付根部分がうまく合致して引っ掛かり易くなっているのである。さらに、図示しないが小指の付根部分を境界面21に押し当てて、襖の開閉を行うこともできる。このように、指先を使わずに襖の開閉が行えるため、指先の自由・不自由に関わらず平等な操作性を提供できるのである。
【0020】
以上のように構成された建具用引手1は既存の引手のイメージからかけ離れた形状はしておらず、襖との調和を考慮したデザインとされており意匠性を損なわないものである。
【0021】
また、建具用引手は別実施形態として図7に示すような形態とすることもできる。
この場合、前述において説明した建具用引手1と引手本体の形状は異なるが、発明の趣旨は同様であり、引手本体50を深い底面54と浅い面53とで左右分割して指掛け部52の面積を大きくしており、また、手の腹で操作できるように引手本体50の開口面積を大きくし、手の腹が合致し易いように指掛け部52を「く」字状に折曲しているものである。該「く」の字に折曲された折曲部52aにはR加工が施されて手指を掛ける際に痛くないように配慮されている、さらに、引手本体50の左右方向中心位置の上下に突設される突起55の裏面側には嵌合用突起が設けられて、同形状の二つの引手を嵌合させることで襖への装着を可能としている。
このように、本発明は上述において説明した形態に限定されるものではなく、別形状の建具用引手であっても、本発明を適用することはできる。
【0022】
以上のように、一般の人にとっても、指先の不自由な障害者や握力の低下した老人等にとっても平等に扱い易いユニバーサルデザインに準拠した建具用引手を実現できるのである。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0024】
即ち、請求項1に示す如く、建具に取り付けられる引手において、手指を挿入して引き操作するための凹部と、該凹部の周囲に形成された鍔部とで引手を構成し、該凹部を左右一側の浅い底面と左右他側の深い底面の二段に形成し、深い底面を手の腹が入る大きさとしたので、指先の不自由な障害者や握力の低下した老人にとっても手の腹を用いて襖の開閉を容易に行うことができる。
【0025】
請求項2に示す如く、請求項1に記載の建具用引手において、鍔部と凹部の深い底面との間の面、及び、浅い底面と深い底面の間に形成される境界面を曲面としたので、襖を開閉する際に手指が指掛け部に掛かり易くなる。
【0026】
請求項3に示す如く、請求項1又は請求項2に記載の建具用引手において、前記凹部の浅い底面及び深い底面の周縁部に形成される角部に面取り加工を施したので、襖を開閉する際に指先や手が角に当接することがなく、襖の開閉を行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建具用引手の全体的な構成を示す斜視図。
【図2】同じく表面平面図。
【図3】図2におけるA−A矢視端面断面図。
【図4】本発明の建具用引手の裏面図。
【図5】本発明の建具用引手の使用例を示す図。
【図6】同じく別使用例を示す図。
【図7】別実施例の建具用引手の使用例を示す図。
【図8】従来の建具用引手の取付状態を示す要部断面図。
【符号の説明】
1 建具用引手
10 引手本体
12 凹部
13 浅い底面
14 深い底面
20 襖
22 指掛け部
Claims (3)
- 建具に取り付けられる引手において、
手指を挿入して引き操作するための凹部と、該凹部の周囲に形成された鍔部とで引手を構成し、該凹部を左右一側の浅い底面と左右他側の深い底面の二段に形成し、深い底面を手の腹が入る大きさとしたことを特徴とする建具用引手。 - 請求項1に記載の建具用引手において、
鍔部と凹部の深い底面との間の面、及び、浅い底面と深い底面の間に形成される境界面を曲面としたことを特徴とする建具用引手。 - 請求項1又は請求項2に記載の建具用引手において、
前記凹部の浅い底面及び深い底面の周縁部に形成される角部に面取り加工を施したことを特徴とする建具用引手。
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JP2002241366A JP2004076507A (ja) | 2002-08-22 | 2002-08-22 | 建具用引手 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004076507A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021240265A1 (en) | 2020-05-27 | 2021-12-02 | Indoor Collection N.V. | Door with integrated grip or integrated fixation element for removable fixation of a grip |
-
2002
- 2002-08-22 JP JP2002241366A patent/JP2004076507A/ja active Pending
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