JP2004075877A - 内孔を有するポリマー粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】重合性紫外線吸収モノマーを共重合させることによりポリマー粒子を生成し、さらに、その内部に空孔を有する粒子とすることで、水中に安定に分散し、かつ、幅広い波長で高い紫外線遮蔽能を有するポリマー粒子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリマー粒子は、(a)架橋性モノマー1〜50重量%、(b)親水性モノマー1〜94重量%、(c)重合性紫外線吸収モノマー5〜49重量%、および前記モノマー(a),(b),(c)と共重合が可能なその他の重合性モノマー0〜93重量%よりなる重合性モノマー成分のコポリマー100重量部と、前記コポリマーとは異なる組成の異種ポリマー1〜100重量部と、を含み、内孔を有する。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリマー粒子は、(a)架橋性モノマー1〜50重量%、(b)親水性モノマー1〜94重量%、(c)重合性紫外線吸収モノマー5〜49重量%、および前記モノマー(a),(b),(c)と共重合が可能なその他の重合性モノマー0〜93重量%よりなる重合性モノマー成分のコポリマー100重量部と、前記コポリマーとは異なる組成の異種ポリマー1〜100重量部と、を含み、内孔を有する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線吸収剤を含み、かつ、内部に空孔を持つ新規な構造および組成の中空重合体粒子に関する。さらに詳しくは、本発明は、塗料、コーティング剤、紙加工、写真フィルム用等の用途に有用である、紫外線遮蔽能を持つ中空重合体粒子に関するものである。
【0002】
【背景技術】
基材を紫外線から保護するための方法として、大別して、(1)基材そのものに光安定剤あるいは紫外線吸収剤を練り込む方法、(2)基材に紫外線吸収能を持つコーティング材を塗布し、紫外線の透過を防止する方法が考えられる。本発明は、このうち後者のコーティングによる基材の保護の観点から有用な材料に関する。
【0003】
紫外線の透過を防止するためのコーティング材の製法として、無機粒子をコーティング材に配合する方法、あるいは紫外線吸収剤をコーティング材中に分散させる方法が考えられる。
【0004】
これらの方法のうち、前者の無機粒子をコーティング材に分散、配合させる方法は、紫外線領域の吸収が弱いこと、および、水性での分散が難しい、すなわち、無機分散体の比重が重いためにコーティング材の下部に沈降すること、などの問題がある。また、後者の紫外線吸収剤をコーティング材に分散させる方法は、紫外線吸収剤の水への分散が困難であることが主要な問題として挙げられる。すなわち、紫外線吸収剤は極性溶媒にしか溶けないが、この紫外線吸収剤の極性溶媒溶液を水中に分散させることはきわめて困難である。
【0005】
また、紫外線遮蔽能という観点からは、無機粒子を用いた場合には短波長側の遮蔽能が劣り、紫外線吸収剤のみを用いた場合には長波長側の遮蔽能が劣る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、重合性紫外線吸収モノマーを共重合させることによりポリマー粒子を生成し、さらに、その内部に空孔を有する粒子とすることで、水中に安定に分散し、かつ、幅広い波長で高い紫外線遮蔽能を有するポリマー粒子およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるポリマー粒子は、(a)架橋性モノマー1〜50重量%、(b)親水性モノマー1〜94重量%、(c)重合性紫外線吸収モノマー5〜49重量%、および前記モノマー(a),(b),(c)と共重合が可能なその他の重合性モノマー0〜93重量%よりなる重合性モノマー成分のコポリマー100重量部と、
前記コポリマーとは異なる組成の異種ポリマー1〜100重量部と、
を含み、内孔を有する。
【0008】
本発明の内孔を有するポリマー粒子は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
【0009】
第1の方法;上記の重合性モノマー成分100重量部を、この重合性モノマー成分によるコポリマーとは異なる組成の異種ポリマーの粒子1〜100重量部の存在下において水性分散媒体中に分散させて、前記異種ポリマーの粒子に重合性モノマー成分を吸収させ、次いで、重合性モノマー成分を重合させる方法。
【0010】
第2の方法;上記の重合性モノマー成分100重量部に異種ポリマー1〜100重量部を溶解し、この溶液を水性分散媒体中に微分散させた後、前記重合性モノマー成分を重合させる方法。
【0011】
本発明の内孔を有するポリマー粒子は、通常、単一の内孔を有する。このポリマー粒子は、その外径がたとえば10μm以下という小粒径のものでありながら、その殻を構成するものが架橋されたコポリマーであるため、優れた機械的強度および耐熱性を有する。しかも、本発明の内孔を有するポリマー粒子は、内孔が単一であってポリマー粒子の外径に対して小さい径の中空部分によって形成されるため、内孔を利用して種々の用途に供することができる。
【0012】
特に、本発明にかかる内孔を有するポリマー粒子は、重合性モノマー成分として特定割合の重合性紫外線吸収モノマーを含むため、ポリマー粒子そのものが紫外線吸収能を有する。さらに、本発明にかかるポリマー粒子は、重合性紫外線吸収モノマーに起因する紫外線吸収能の他に、ポリマー粒子が有する内孔によって紫外線散乱能を有する。ポリマー粒子そのものの吸収、および内孔を有する粒子による散乱の2つの作用により、波長の依存性の少ない紫外線遮蔽能を得ることができる。内孔を有するポリマー粒子が優れた紫外線散乱能を有するのは、通常のポリマー粒子であれば粒子と外部の界面による光の散乱のみであるが、内孔を有するポリマー粒子の場合は外壁と内孔との界面においても光を散乱することができることによる。そして、重合性紫外線吸収モノマーに起因する紫外線吸収能は、特に短波長側で顕著であり、一方、内孔に起因する紫外線散乱能は、特に長波長側で顕著である。したがって、紫外線吸収能および紫外線散乱能の両者の相乗作用によって、本発明のポリマー粒子によれば、広い波長範囲の紫外線に対して優れた紫外線遮蔽能を達成できる。
【0013】
本発明のようにポリマー粒子の内部に内孔が形成されるメカニズムは、必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。すなわち、本発明のポリマー粒子が生成する過程において、水性分散媒体中に架橋性モノマーを含有する重合性モノマーのほかに異種ポリマーが粒子もしくは溶液の状態で共存されることにより、重合時において、異種ポリマーの相分離により分散粒子内に核が形成される。そして、この核に、生成しつつあるポリマーの重合収縮、すなわち重合性モノマーが重合してポリマーに変換する際の体積変化が効果的に集中して生じる。その結果、ポリマーの内部に内孔(通常、単一の内孔)が形成されて架橋ポリマーによる中空体が形成され、異種ポリマーは当該中空体の内面側に付着した状態で存在するものと考えられる。
【0014】
そして、架橋性モノマーを重合性モノマーの必須の成分として使用するため、重合反応とともに架橋が生じて形成されるポリマー粒子が変形し難い状態となるところに重合収縮が同時に進行して粒子内部に歪が発生する。そして、この歪が粒子内部にある異種ポリマーを核としてこれに集中し、その結果ポリマー粒子内部に単一の内孔が生成し、そしてこれが拡大するものと推定される。ちなみに、異種ポリマーが存在しない場合には、単一の内孔は形成されず、単に粒子内部に無数の微小な孔が発生して多孔質粒子となる。
【0015】
また、異種ポリマーとともに油性物質を存在させることにより、内孔の径がコントロールされたポリマー粒子が得られる。更に内孔を有するポリマー粒子中の水あるいは油性物質を除去することにより、中空ポリマー粒子を得ることができる。また、内孔に含まれる油性物質をそのまま内蔵させた状態とするか、あるいは上述のようにして得られた中空ポリマー粒子の内孔に目的に応じて各種の物質を吸収させることにより、カプセル状ポリマー粒子を得ることができる。
【0016】
本発明にかかる内孔を有するポリマー粒子は、その製造方法にも依存するが、たとえば、外径が0.01〜2μmであって、内径が外径の0.2〜0.9倍であることが望ましい。
【0017】
ポリマー粒子の外径が2μmを越えると、長波長側での散乱能が大きすぎて透明性が必要な用途には不向きである。また、ポリマー粒子の外径が0.01μmより小さいと紫外線が透過してしまい、散乱能が劣る。ポリマー粒子の内径が外径の0.2倍より小さいと、内径が小さくなりすぎ、紫外線を透過してしまう。
ポリマー粒子の内径が外径の0.9倍より大きいと、十分な機械的強度が得られなくなり、中空構造を維持できなくなることがある。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の内孔を有するポリマー粒子は、(a)架橋性モノマー、(b)親水性モノマー(c)重合性紫外線吸収モノマー、および(d)必要に応じて用いられる他のモノマーからなる重合性モノマー成分の重合体、すなわち架橋されたコポリマーにより構成される。
【0019】
前記(a)架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートなどのジビニル系モノマーあるいはトリビニル系モノマーを例示することができ、特にジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
【0020】
上記架橋性モノマーの使用量は、通常、モノマー全成分100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは2〜20重量部である。なお、ここにおける架橋性モノマーの使用量は、通常架橋性モノマー材料に含まれている不活性溶剤および単官能の非架橋性モノマー成分を除いた純品換算とする。架橋性モノマーの使用量が過小であると、重合中の粒子の強度が不十分となって粒子全体が収縮してしまい、粒子内部の重合収縮による歪が不足して単一の内孔が形成されなくなり、あるいは単一の内孔を有するポリマー粒子が形成されたとしても強度が小さくなるなどの問題を生ずる。一方、架橋性モノマーの使用量が過大であると、異種ポリマーが、重合中に生成するポリマー粒子の外側に排斥される傾向が生じ、その結果得られるポリマー粒子が真球状とならず、凹凸のある塊状粒子となる問題を生ずる。
【0021】
前記(b)親水性モノマーとしては、ビニルピリジン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、酢酸ビニル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのビニル系モノマーを例示することができ、特に、1〜94重量%、好ましくは5〜90重量%の割合で使用されるメチルメタクリレート、ビニルピリジン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、および1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%の割合で使用されるメタクリル酸などの不飽和カルボン酸が好ましい。
【0022】
これらの親水性モノマーは、水に対する溶解度が0.5重量%以上、特に1重量%以上であることが好ましい。また親水性モノマーの使用量は、使用する異種ポリマーの種類、量あるいは油性物質の有無、種類等によってその最適量は異なるが、通常モノマー全成分100重量部に対して1〜94重量部、好ましくは5〜90重量部、特に10〜90重量部の範囲であることが好ましい。
【0023】
ここで、親水性モノマーとして用いられる不飽和カルボン酸の割合は0.5〜40重量%、好ましくは1〜20重量%である。また、親水性モノマーがビニルピリジン、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのときには、その使用量は40重量%以内であることが好ましい。なお、親水性が大きい架橋性モノマー、例えばエチレングリコールジメタクリレート、グリシジルメタクリレート等は、架橋性モノマーとしてと同時に親水性モノマーとして使用することができる。親水性モノマーの使用量が過小であると、異種ポリマーの相分離が不十分であったり、あるいは異種ポリマーがポリマー粒子の表面に露出するなどして、内孔の形成が不確実となる問題を生ずる。
【0024】
前記(c)重合性紫外線吸収モノマーとしては、2−〔2’ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−2H―ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール、3−(2H−1,2,3ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル=メタクリレートなどを例示できる。これら重合性紫外線吸収モノマーは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0025】
重合性紫外線吸収モノマーの使用量は、期待される紫外線吸収能、使用する異種ポリマーの種類、量あるいは油性物質の有無、種類等によってその最適量は異なるが、通常モノマー全成分100重量部に対して5〜49重量部、好ましくは6〜45重量部、特に7〜40重量部の範囲であることが好ましい。重合性紫外線吸収モノマーの使用量が過小であると、充分な紫外線吸収能を得ることができない。また、重合性紫外線吸収モノマーの使用量が過多であると、重合時に良好な共重合ができず、凝集物が発生しやすい。
【0026】
前記(d)必要に応じて用いられるモノマーとしては、ラジカル重合性を有するものであれば特に制限されず、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル単量体、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィンなどを例示することができ、特にスチレンが好ましい。
【0027】
重合性モノマーの重合反応においては、その水性分散体中に異種ポリマーが共存した状態とされることにより、重合時におけるポリマー粒子内部での内孔の形成が促進される。この異種ポリマーは、少なくとも、上記重合性モノマー(a)〜(d)が重合されて得られるポリマーとは異なる種類あるいは組成のポリマーであること、および重合性モノマーに溶解しやすいものであること、が必要とされる。
【0028】
このような異種ポリマーとしては、具体的には、ポリスチレン、カルボキシ変性ポリスチレン、カルボキシ変性スチレンブタジエンコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、スチレンアクリルエステルコポリマー、スチレンメタクリルエステルコポリマー、アクリルエステルコポリマー、メタクリルエステルコポリマー、カルボキシ変性スチレンアクリルエステルコポリマー、カルボキシ変性スチレンメタクリルエステルコポリマー、カルボキシ変性アクリルエステルコポリマー、カルボキシ変性メタクリルエステルコポリマーなどが例示される。これらのうち、特にポリスチレンまたはスチレン成分を50重量%以上含むスチレンコポリマーが好ましい。
【0029】
異種ポリマーの使用量は、全モノマー100重量部に対し1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部、更に好ましくは5〜20重量部である。異種ポリマーの使用量が1重量部より少ないと内孔、特に単一の内孔を形成する効果が小さく、一方異種ポリマーの使用量が100重量部より多いとかえって単一の内孔の形成が抑制される傾向が生じるという問題を生ずる。
【0030】
異種ポリマーを水性分散体中に存在させて重合を行なう方法としては、
(1)異種ポリマーを固体粒子の状態で用い、この粒子を水性媒体中に分散させ、これに重合性モノマーおよび必要があれば油性物質を吸収させた後重合する方法、および
(2)異種ポリマーを重合性モノマーおよび必要があれば油性物質に溶解して溶液状態とし、この油性溶液を水性分散媒体中に分散させた後重合する方法などを採用することができる。
【0031】
異種ポリマーを上記(1)の方法によって粒子状態で用いる場合には、これが種(シード)ポリマー粒子として機能し、これに重合性モノマーおよび油性物質が吸収されることから、異種ポリマーは重合性モノマーおよび油性物質の吸収性が良好であることが好ましい。そのためには、異種ポリマーは分子量が小さいものであることが好ましく、例えば、その数平均分子量が20,000以下、好ましくは10,000以下、さらに好ましくは700〜7,000である。なお、ここにおける数平均分子量は、異種ポリマーをその良溶媒に溶かし、得られた溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、浸透圧分子量測定装置、蒸気圧低下法分子量測定装置などの通常の方法で測定して得られるものである。
【0032】
異種ポリマーの数平均分子量が20,000より大きいと、種ポリマー粒子に吸収されないモノマーが多くなり、これが水性分散体中において種ポリマー粒子と別個に重合し、その結果、内孔を有するポリマー粒子とならない粒子が多量に生成するだけでなく、重合系が不安定となる問題を生じやすい。また、種ポリマー粒子として用いられる異種ポリマーの粒子径は、目的とする内孔を有するポリマー粒子の外径の0.3〜0.8倍であることが好ましい。このような種ポリマー粒子として用いられる異種ポリマーを製造する方法は特に制限されないが、例えば連鎖移動剤を比較的多量に使用した乳化重合あるいは懸濁重合などの製造方法を用いることができる。
【0033】
また、異種ポリマーを種ポリマー粒子として用いる場合には、この種ポリマー粒子に予め水に対する溶解度が10−3重量%以下の高親油性物質を吸収させておくことにより、種ポリマー粒子に対する重合性モノマーおよび油性物質の吸収能力を増大することができる。このように種ポリマー粒子に高親油性物質を吸収させる手段を用いる場合には、異種ポリマーの数平均分子量は20,000以下でなくともよい。上記高親油性物質としては、1−クロルドデカン、オクタノイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシドなどを例示することができる。これらの高親油性の物質を種ポリマー粒子に吸収させるためには、高親油性物質を微分散させた水性分散体を調製し、この分散体と種ポリマー粒子の水性分散体とを混合して高親油性物質と種ポリマー粒子とを接触させるとよい。
【0034】
種ポリマー粒子を用いた場合に得られる内孔を有するポリマー粒子の粒子径は、種ポリマー粒子が重合性モノマーおよび油性物質を吸収して肥大化した粒子の粒子径とおおよそ一致する。このため、種ポリマー粒子の粒子径、重合性モノマーおよび油性物質に対する種ポリマー粒子の相対的使用量などを調整することにより、生成する内孔を有するポリマー粒子の粒子径をコントロールすることができる。具体的には、内孔を有するポリマー粒子の製造において、紫外線遮蔽能、白色度および隠ペい力の優れた0.2〜2μmの粒子径の中空ポリマー粒子を得るためには、種ポリマー粒子として0.12〜0.13μmの粒子径のものを用いればよい。また、種ポリマー粒子を用いることは、粒子径が1μm以下の小粒径の内孔を有するポリマー粒子を製造する場合に、小粒径のモノマー液滴を容易にそして安定に形成できる点で特に好ましい。
【0035】
異種ポリマーを前記(2)の方法で使用する場合には、異種ポリマーの分子量は特に制限されず、数平均分子量が20,000以上のものを好ましく使用することができる。
【0036】
本発明においては、必要に応じて油性物質を用いることができ、かかる油性物質としては、水に対する溶解度が0.2重量%以下の親油性のものであれば特に制限されず、植物油、動物油、鉱物油、合成油のいずれも使用することができる。本発明においては、油性物質を用いなくとも内孔を有するポリマー粒子を得ることができるが、油性物質を用いることにより、その使用量などを調節することにより内孔の径を確実にコントロールすることができる。
【0037】
前記油性物質としては、ラード油、オリーブ油、ヤシ油、ヒマシ油、綿実油、灯油、ベンゼン、トルエン、キシレン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、二硫化炭素、四塩化炭素などを例示することができる。また、油性物質としては、さらにオイゲノール、ゲラニオール、シクラメンアルデヒド、シトロネラール、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレートなどの高沸点油も用いることができる。これらの高沸点油を用いると、コア中に香料、可塑剤などが含まれたカプセル状ポリマー粒子が得られる。
【0038】
油性物質の使用量は、通常、モノマー全成分100重量部に対して0〜1,000重量部、好ましくは0〜300重量部である。なお、架橋性モノマー材料として供給されるもののなかに通常含有される不活性溶剤類も、ここにおける油性物質として算入することができる。上記油性物質の使用量が過大であると相対的にモノマー成分が不足してポリマーの外殻の膜厚が薄くなり、カプセルの強度が不十分となって圧潰されやすいという問題を生ずる。
【0039】
また、前記油性物質の概念には、既に述べた重合性モノマーを含むことができる。この場合には、重合工程において、生成するポリマー粒子の内部に重合性モノマーが残った状態で重合を停止させることにより、この残余のモノマーを油性物質として代用することができる。この場合、重合収率は97%以下、好ましくは95%以下に留める必要がある。このためには、少量の重合抑制剤を加えて重合する方法、重合途中で反応系の温度を下げる方法、あるいは重合途中で重合停止剤を加えて重合を停止させる方法などを採用することができる。
【0040】
また、前記油性物質には、染料、洗剤、インク、香料、接着剤、医薬、農薬、肥料、油脂、食品、酵素、液晶、塗料、防錆剤、記録材料、触媒、化学反応体、磁性体、その他劣化、蒸発、取り扱い中の圧力等に対してカプセル化による物理的な保護を必要とする種々のものを、用途に応じて溶解または分散させておくことができる。
【0041】
上記重合性モノマーの重合は、異種ポリマーおよび必要に応じて加えられる油性物質が共存する微小の分散油滴のなかで重合が行なわれる。重合プロセスにおいては、異種ポリマーの相分離による核が発生し、この核を中心にポリマーの架橋重合反応とともに重合収縮が生ずるために単一の内孔が形成され、さらにポリマーの外壁を通して水などが内孔に入り込み、あるいは油性物質が存在する場合には、該油性物質が内孔に集中して内孔が拡大するものと考えられる。
【0042】
この重合反応は、水性分散媒体中に分散された液滴のなかで重合が進行するという点からすれば、本質的には懸濁重合と考えられる。しかし、前述した(1)の方法における場合のように、粒子状の種ポリマー粒子を用いることにより、得られるポリマー粒子の外径が0.2〜2μm程度であり、また重合時に界面活性剤および水溶性重合開始剤を使用することもできる点からすると、見掛け上、乳化重合と同様な重合形態を採ることができる。
【0043】
この重合反応においては、分散安定剤として、通常の重合において用いられる界面活性剤あるいは、有機もしくは無機の懸濁保護剤および分散剤を使用することができる。一般的に、1μm前後より小さい粒子径の内孔を有するポリマー粒子を製造する場合には、界面活性剤を主体に使用し、1μm前後より大きい粒子径の内孔を有するポリマー粒子を製造する場合には、懸濁保護剤を主体に使用するとよい。
【0044】
前記界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物塩などのアニオン系乳化剤が挙げられ、更にポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン系界面活性剤を併用することも可能である。
【0045】
前記有機系の懸濁保護剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどの親水性合成高分子物質、ゼラチン、水溶性澱粉などの天然親水性高分子物質、カルボキシメチルセルロースなどの親水性半合成高分子物質などを挙げることができる。また、前記無機系の懸濁保護剤としては、例えばマグネシウム、バリウム、カルシウムなどのリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、亜鉛華、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどを挙げることができる。
【0046】
また、前記分散剤としては、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、スチレンアクリル酸共重合体塩、スチレン無水マレイン酸部分加水分解物などを挙げることができる。
【0047】
重合開始剤は油溶性の重合開始剤あるいは水溶性の重合開始剤のいずれも使用することができる。しかし、異種ポリマーを種ポリマー粒子の状態で用い、かつ粒子径が1μm程度以下の小粒子径の内孔を有するポリマー粒子の重合を行なう場合には、水溶性重合開始剤を用いることが好ましく、このことにより、種ポリマー粒子に吸収されない大粒径のモノマー液滴における重合を防止することができる。これ以外の場合には、目的としている内孔を有するポリマー粒子のほかに不要の新ポリマー粒子が生成することを防止するために、油溶性重合開始剤を使用することが好ましい。
【0048】
前記水溶性重合開始剤としては、過硫酸塩類、あるいは過酸化水素−塩化第一鉄、クメンヒドロペルオキシド−アスコルビン酸ナトリウムなどのレドックス系の開始剤が例示される。前記油溶性重合開始剤としては、ベレゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリルなどが例示される。
【0049】
本発明のポリマー粒子を構成する架橋されたコポリマーのための重合性モノマー成分においては、架橋性モノマーの使用量が比較的多いため、重合速度が大きい場合が多い。このため、大きな重合容器において重合を行なう場合、重合成分のすべてを重合容器内に入れて重合を行なう、いわゆる一括重合法を用いると重合系の温度コントロールが困難となって重合反応が暴走する危険がある。従って、本発明においては、通常、このような危険を避けるために、モノマー成分をそのままの状態であるいはエマルジョンなどの状態で重合中に連続的にもしくは分割的に重合容器に供給する、いわゆるインクリメント重合法を採用することもできる。重合性モノマー、油性物質および異種ポリマーは、これらが同一の分散粒子の中に共存した分散体の状態で重合系に供給されることが好ましい。
【0050】
重合反応において油性物質を用いた場合には、その油性物質が、ベンゼン、トルエン、キシレン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルメタクリレートなどの比較的揮発性の高い溶剤あるいはモノマーの場合は、得られた内孔を有するポリマー粒子の分散体に対して、減圧処理、蒸留処理、スチームストリップ処理、気体バブリング処理あるいはこれらの処理を併用した処理を行なうことにより、前記油性物質を容易に水と置換することができ、その結果内部に水を含む含水中空ポリマー粒子が得られる。また、油性物質を含むカプセル状ポリマー粒子あるいは上述のように油性物質を水と置換して得られる含水中空ポリマー粒子を水性分散媒体より分離して乾燥処理することにより、内部に空間を有する中空ポリマー粒子が得られる。
【0051】
本発明の中空ポリマー粒子は、前述したように紫外線遮蔽能に優れ、特に、基材を紫外線から保護するためのコーティング材料、塗料、紙加工用組成物、写真フィルム用組成物などの材料として有用である。さらに、本発明の中空ポリマー粒子は、光沢、隠ぺい力等に優れたプラスチックピグメントとして有効であるのみならず、さらに粒子径を小さくすることにより、透明性を出しながらさらに紫外線遮蔽能を発現させることも可能となる。本発明によって得られ、内部に油性物質を含むカプセル状ポリマー粒子、あるいは中空ポリマー粒子の内孔に香料、薬品、農薬、インク成分等の有用成分を浸漬処理、減圧または加圧浸漬処理等の手段により封入して得られるカプセル粒子は、内部に含まれた有用成分に応じて各種用途に利用することができる。
【0052】
【実施例】
(実施例1)
スチレン98部、メタクリル酸2部およびt−ドデシルメルカプタン10部を、水200部にラウリル硫酸ナトリウム0.5部および過硫酸カリウム1.0部を溶かした水溶液に入れ、撹拌しながら70℃で8時間重合してポリマー粒子を得た。このポリマー粒子は、平均粒子径0.22μm、トルエン不溶分3%、GPCによる数平均分子量4,100、重量平均分子量と数平均分子量との比Mw/Mn=2.4であった。次に、このポリマー粒子を種ポリマー粒子として用い、このポリマー粒子を固形分で10部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.1部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3部および水850部に分散した。
これにメチルメタクリレート60部、重合性紫外線吸収モノマーとして3−(2H−1,2,3ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル=メタクリレート20部、ジビニルベンゼン(純品換算)10部、スチレン10部およびトルエン20部の混合物を加えて70℃で1時間撹拌したところ、上記物質の約半量が種ポリマー粒子に吸収された。残余は未吸収であったが、重合の進行にしたがって重合粒子中に吸収された。
【0053】
これに過硫酸0.5部を水50部に溶解させた水溶液を添加し、そのまま70℃で5時間重合したところ、重合収率98%で、トルエンを粒子内部に含むカプセル粒子の分散液が得られた。この分散液に対してスチームストリップ処理を行ったところ、このポリマー粒子は中央部が透けており、ほぼ完全な球形のカプセル粒子であることが分かった。このカプセル状ポリマー粒子は、外径が0.51μm、内径が0.3μmであった。
【0054】
(比較例1〜4)
比較例1〜3として、以下の点で実施例1と異なる他は、実施例1と同様にしてポリマー粒子を得た。すなわち、比較例1では重合性紫外線吸収モノマーを含まない場合、比較例2では種ポリマー粒子を用いない場合、比較例3では重合性紫外線吸収モノマーおよび種ポリマー粒子の両方を含まない場合の例である。比較例4では無機粒子を用いた場合の例である。
【0055】
(紫外線遮蔽性)
各ポリマー粒子および無機粒子の紫外線遮蔽能を評価するために、短波長側として300nm、長波長側として390nmでの紫外線遮蔽率を測定した。紫外線遮蔽率は、紫外線透過率を1から引いたもので、数値が大きいほど紫外線を遮断する性質を示す。
【0056】
実施例1では、重合性紫外線吸収モノマーを含む、外径が0.5μm、内径0.3μmの中空ポリマー粒子が得られた。このポリマー粒子の場合、波長300nmの紫外線遮蔽率は70%、波長390nmの紫外線遮蔽率は80%と、いずれも高い紫外線遮蔽性を示した。
【0057】
これに対し、比較例1は重合性紫外線吸収モノマーを用いない中空ポリマー粒子の例で、長波長側は70%とまずまずの紫外線遮蔽率を示したが、短波長側は30%と紫外線遮蔽性が劣った。比較例2は重合性紫外線吸収モノマーを含む中空でない中実ポリマー粒子の例で、短波長側の紫外線遮蔽率は重合性紫外線吸収モノマーを用いた効果により大きいが、長波長側ではほとんど遮蔽効果がなかった。比較例3は重合性紫外線吸収モノマーを用いず、また、中空でもない例であり、短波長側および長波長側のいずれの遮蔽性もほとんど得ることができなかった。比較例4は無機粒子として酸化チタンを用いた例で、短波長側の紫外線遮蔽性は優れるが、長波長性の紫外線遮蔽性は劣る。また、比較例4では、貯蔵中に粒子が沈降するので使用前に再度撹拌する必要があり、また撹拌しても簡単には再度分散しない場合もあり、実際の使用上、困難がある。以上の結果を表1に示す。また、実施例および比較例のポリマー粒子および無機粒子について行った分散後の貯蔵安定性の試験結果についても表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
(実施例2,比較例5)
実施例2は、重合性紫外線吸収モノマーの使用量が好ましい範囲の上限の例であり、重合性紫外線吸収モノマーを45部用いた他は実施例1と同様にしてポリマー粒子を得た。このポリマー粒子は、短波長側の紫外線遮蔽性は優れるものの、重合性紫外線吸収モノマーが粒子に十分に吸収されずに一部析出することがわかった。
【0060】
比較例5は、重合性紫外線吸収モノマーがさらに多い場合の例で、ポリマー粒子が得られなかった。以上の結果を表2に表す。また、実施例および比較例のポリマー粒子について行った分散後の貯蔵安定性の試験結果についても表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外線遮蔽能を有する、内孔を有するポリマー粒子であってしかもポリマーが架橋されたコポリマーよりなるものが提供される。このポリマー粒子は、ポリマー層と確実に区画された内孔が形成されていて全体が中空状の架橋されたコポリマーよりなる小粒径のポリマー粒子であり、しかも、重合性紫外線吸収モノマーを用いているので、両者の相乗作用によって広い波長範囲で優れた紫外線遮蔽能を有する。さらに、本発明のポリマー粒子は、機械的強度ならびに耐熱性などの点で優れた特性を有するものであり、また製造も容易なものである。
【0063】
本発明の中空ポリマー粒子は、内孔内の油性物質を除去して内孔が中空状態の中空ポリマー粒子あるいは内孔に水を含んだ状態の含水中空ポリマー粒子として得ることもでき、また、内孔に油性物質あるいはその他の物質を含んだ状態のカプセル状ポリマー粒子として得ることもできる。
【0064】
そして、本発明の中空ポリマー粒子は、前述したように紫外線遮蔽能に優れ、特に、基材を紫外線から保護するためのコーティング材料、塗料、紙加工用組成物、写真フィルム用組成物などの材料として有用である。さらに、本発明の中空ポリマー粒子は、その粒径などの点から特異な光学性能を持ち、隠ぺい力、白色度および光沢などの点で優れており、軽量、高吸収性、高吸油性の充填剤として種々の用途、例えば塗料、紙塗工用組成物の配合剤、インクジェット紙の吸水性充填剤、製紙工程の内添充填剤、修正インキあるいは修正リボン用の高隠ぺい性顔料等として用いることができる。
【0065】
また、本発明の中空ポリマー粒子は、カプセル化が良好であり、しかも機械的強度、耐熱性に優れるなどの特徴を有している。そして、この中空ポリマー粒子は、コアとして内部に溶剤、可塑剤、香料、インク、農薬、医薬、香味料等の各種油溶性の物質を含有することができるだけでなく、さらにこれらの物質を徐々に放散させる徐放性機能を有し、マイクロカプセル材料として多くの分野に利用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線吸収剤を含み、かつ、内部に空孔を持つ新規な構造および組成の中空重合体粒子に関する。さらに詳しくは、本発明は、塗料、コーティング剤、紙加工、写真フィルム用等の用途に有用である、紫外線遮蔽能を持つ中空重合体粒子に関するものである。
【0002】
【背景技術】
基材を紫外線から保護するための方法として、大別して、(1)基材そのものに光安定剤あるいは紫外線吸収剤を練り込む方法、(2)基材に紫外線吸収能を持つコーティング材を塗布し、紫外線の透過を防止する方法が考えられる。本発明は、このうち後者のコーティングによる基材の保護の観点から有用な材料に関する。
【0003】
紫外線の透過を防止するためのコーティング材の製法として、無機粒子をコーティング材に配合する方法、あるいは紫外線吸収剤をコーティング材中に分散させる方法が考えられる。
【0004】
これらの方法のうち、前者の無機粒子をコーティング材に分散、配合させる方法は、紫外線領域の吸収が弱いこと、および、水性での分散が難しい、すなわち、無機分散体の比重が重いためにコーティング材の下部に沈降すること、などの問題がある。また、後者の紫外線吸収剤をコーティング材に分散させる方法は、紫外線吸収剤の水への分散が困難であることが主要な問題として挙げられる。すなわち、紫外線吸収剤は極性溶媒にしか溶けないが、この紫外線吸収剤の極性溶媒溶液を水中に分散させることはきわめて困難である。
【0005】
また、紫外線遮蔽能という観点からは、無機粒子を用いた場合には短波長側の遮蔽能が劣り、紫外線吸収剤のみを用いた場合には長波長側の遮蔽能が劣る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、重合性紫外線吸収モノマーを共重合させることによりポリマー粒子を生成し、さらに、その内部に空孔を有する粒子とすることで、水中に安定に分散し、かつ、幅広い波長で高い紫外線遮蔽能を有するポリマー粒子およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるポリマー粒子は、(a)架橋性モノマー1〜50重量%、(b)親水性モノマー1〜94重量%、(c)重合性紫外線吸収モノマー5〜49重量%、および前記モノマー(a),(b),(c)と共重合が可能なその他の重合性モノマー0〜93重量%よりなる重合性モノマー成分のコポリマー100重量部と、
前記コポリマーとは異なる組成の異種ポリマー1〜100重量部と、
を含み、内孔を有する。
【0008】
本発明の内孔を有するポリマー粒子は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
【0009】
第1の方法;上記の重合性モノマー成分100重量部を、この重合性モノマー成分によるコポリマーとは異なる組成の異種ポリマーの粒子1〜100重量部の存在下において水性分散媒体中に分散させて、前記異種ポリマーの粒子に重合性モノマー成分を吸収させ、次いで、重合性モノマー成分を重合させる方法。
【0010】
第2の方法;上記の重合性モノマー成分100重量部に異種ポリマー1〜100重量部を溶解し、この溶液を水性分散媒体中に微分散させた後、前記重合性モノマー成分を重合させる方法。
【0011】
本発明の内孔を有するポリマー粒子は、通常、単一の内孔を有する。このポリマー粒子は、その外径がたとえば10μm以下という小粒径のものでありながら、その殻を構成するものが架橋されたコポリマーであるため、優れた機械的強度および耐熱性を有する。しかも、本発明の内孔を有するポリマー粒子は、内孔が単一であってポリマー粒子の外径に対して小さい径の中空部分によって形成されるため、内孔を利用して種々の用途に供することができる。
【0012】
特に、本発明にかかる内孔を有するポリマー粒子は、重合性モノマー成分として特定割合の重合性紫外線吸収モノマーを含むため、ポリマー粒子そのものが紫外線吸収能を有する。さらに、本発明にかかるポリマー粒子は、重合性紫外線吸収モノマーに起因する紫外線吸収能の他に、ポリマー粒子が有する内孔によって紫外線散乱能を有する。ポリマー粒子そのものの吸収、および内孔を有する粒子による散乱の2つの作用により、波長の依存性の少ない紫外線遮蔽能を得ることができる。内孔を有するポリマー粒子が優れた紫外線散乱能を有するのは、通常のポリマー粒子であれば粒子と外部の界面による光の散乱のみであるが、内孔を有するポリマー粒子の場合は外壁と内孔との界面においても光を散乱することができることによる。そして、重合性紫外線吸収モノマーに起因する紫外線吸収能は、特に短波長側で顕著であり、一方、内孔に起因する紫外線散乱能は、特に長波長側で顕著である。したがって、紫外線吸収能および紫外線散乱能の両者の相乗作用によって、本発明のポリマー粒子によれば、広い波長範囲の紫外線に対して優れた紫外線遮蔽能を達成できる。
【0013】
本発明のようにポリマー粒子の内部に内孔が形成されるメカニズムは、必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。すなわち、本発明のポリマー粒子が生成する過程において、水性分散媒体中に架橋性モノマーを含有する重合性モノマーのほかに異種ポリマーが粒子もしくは溶液の状態で共存されることにより、重合時において、異種ポリマーの相分離により分散粒子内に核が形成される。そして、この核に、生成しつつあるポリマーの重合収縮、すなわち重合性モノマーが重合してポリマーに変換する際の体積変化が効果的に集中して生じる。その結果、ポリマーの内部に内孔(通常、単一の内孔)が形成されて架橋ポリマーによる中空体が形成され、異種ポリマーは当該中空体の内面側に付着した状態で存在するものと考えられる。
【0014】
そして、架橋性モノマーを重合性モノマーの必須の成分として使用するため、重合反応とともに架橋が生じて形成されるポリマー粒子が変形し難い状態となるところに重合収縮が同時に進行して粒子内部に歪が発生する。そして、この歪が粒子内部にある異種ポリマーを核としてこれに集中し、その結果ポリマー粒子内部に単一の内孔が生成し、そしてこれが拡大するものと推定される。ちなみに、異種ポリマーが存在しない場合には、単一の内孔は形成されず、単に粒子内部に無数の微小な孔が発生して多孔質粒子となる。
【0015】
また、異種ポリマーとともに油性物質を存在させることにより、内孔の径がコントロールされたポリマー粒子が得られる。更に内孔を有するポリマー粒子中の水あるいは油性物質を除去することにより、中空ポリマー粒子を得ることができる。また、内孔に含まれる油性物質をそのまま内蔵させた状態とするか、あるいは上述のようにして得られた中空ポリマー粒子の内孔に目的に応じて各種の物質を吸収させることにより、カプセル状ポリマー粒子を得ることができる。
【0016】
本発明にかかる内孔を有するポリマー粒子は、その製造方法にも依存するが、たとえば、外径が0.01〜2μmであって、内径が外径の0.2〜0.9倍であることが望ましい。
【0017】
ポリマー粒子の外径が2μmを越えると、長波長側での散乱能が大きすぎて透明性が必要な用途には不向きである。また、ポリマー粒子の外径が0.01μmより小さいと紫外線が透過してしまい、散乱能が劣る。ポリマー粒子の内径が外径の0.2倍より小さいと、内径が小さくなりすぎ、紫外線を透過してしまう。
ポリマー粒子の内径が外径の0.9倍より大きいと、十分な機械的強度が得られなくなり、中空構造を維持できなくなることがある。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の内孔を有するポリマー粒子は、(a)架橋性モノマー、(b)親水性モノマー(c)重合性紫外線吸収モノマー、および(d)必要に応じて用いられる他のモノマーからなる重合性モノマー成分の重合体、すなわち架橋されたコポリマーにより構成される。
【0019】
前記(a)架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートなどのジビニル系モノマーあるいはトリビニル系モノマーを例示することができ、特にジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
【0020】
上記架橋性モノマーの使用量は、通常、モノマー全成分100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは2〜20重量部である。なお、ここにおける架橋性モノマーの使用量は、通常架橋性モノマー材料に含まれている不活性溶剤および単官能の非架橋性モノマー成分を除いた純品換算とする。架橋性モノマーの使用量が過小であると、重合中の粒子の強度が不十分となって粒子全体が収縮してしまい、粒子内部の重合収縮による歪が不足して単一の内孔が形成されなくなり、あるいは単一の内孔を有するポリマー粒子が形成されたとしても強度が小さくなるなどの問題を生ずる。一方、架橋性モノマーの使用量が過大であると、異種ポリマーが、重合中に生成するポリマー粒子の外側に排斥される傾向が生じ、その結果得られるポリマー粒子が真球状とならず、凹凸のある塊状粒子となる問題を生ずる。
【0021】
前記(b)親水性モノマーとしては、ビニルピリジン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、酢酸ビニル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのビニル系モノマーを例示することができ、特に、1〜94重量%、好ましくは5〜90重量%の割合で使用されるメチルメタクリレート、ビニルピリジン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、および1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%の割合で使用されるメタクリル酸などの不飽和カルボン酸が好ましい。
【0022】
これらの親水性モノマーは、水に対する溶解度が0.5重量%以上、特に1重量%以上であることが好ましい。また親水性モノマーの使用量は、使用する異種ポリマーの種類、量あるいは油性物質の有無、種類等によってその最適量は異なるが、通常モノマー全成分100重量部に対して1〜94重量部、好ましくは5〜90重量部、特に10〜90重量部の範囲であることが好ましい。
【0023】
ここで、親水性モノマーとして用いられる不飽和カルボン酸の割合は0.5〜40重量%、好ましくは1〜20重量%である。また、親水性モノマーがビニルピリジン、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのときには、その使用量は40重量%以内であることが好ましい。なお、親水性が大きい架橋性モノマー、例えばエチレングリコールジメタクリレート、グリシジルメタクリレート等は、架橋性モノマーとしてと同時に親水性モノマーとして使用することができる。親水性モノマーの使用量が過小であると、異種ポリマーの相分離が不十分であったり、あるいは異種ポリマーがポリマー粒子の表面に露出するなどして、内孔の形成が不確実となる問題を生ずる。
【0024】
前記(c)重合性紫外線吸収モノマーとしては、2−〔2’ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−2H―ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール、3−(2H−1,2,3ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル=メタクリレートなどを例示できる。これら重合性紫外線吸収モノマーは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0025】
重合性紫外線吸収モノマーの使用量は、期待される紫外線吸収能、使用する異種ポリマーの種類、量あるいは油性物質の有無、種類等によってその最適量は異なるが、通常モノマー全成分100重量部に対して5〜49重量部、好ましくは6〜45重量部、特に7〜40重量部の範囲であることが好ましい。重合性紫外線吸収モノマーの使用量が過小であると、充分な紫外線吸収能を得ることができない。また、重合性紫外線吸収モノマーの使用量が過多であると、重合時に良好な共重合ができず、凝集物が発生しやすい。
【0026】
前記(d)必要に応じて用いられるモノマーとしては、ラジカル重合性を有するものであれば特に制限されず、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル単量体、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィンなどを例示することができ、特にスチレンが好ましい。
【0027】
重合性モノマーの重合反応においては、その水性分散体中に異種ポリマーが共存した状態とされることにより、重合時におけるポリマー粒子内部での内孔の形成が促進される。この異種ポリマーは、少なくとも、上記重合性モノマー(a)〜(d)が重合されて得られるポリマーとは異なる種類あるいは組成のポリマーであること、および重合性モノマーに溶解しやすいものであること、が必要とされる。
【0028】
このような異種ポリマーとしては、具体的には、ポリスチレン、カルボキシ変性ポリスチレン、カルボキシ変性スチレンブタジエンコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、スチレンアクリルエステルコポリマー、スチレンメタクリルエステルコポリマー、アクリルエステルコポリマー、メタクリルエステルコポリマー、カルボキシ変性スチレンアクリルエステルコポリマー、カルボキシ変性スチレンメタクリルエステルコポリマー、カルボキシ変性アクリルエステルコポリマー、カルボキシ変性メタクリルエステルコポリマーなどが例示される。これらのうち、特にポリスチレンまたはスチレン成分を50重量%以上含むスチレンコポリマーが好ましい。
【0029】
異種ポリマーの使用量は、全モノマー100重量部に対し1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部、更に好ましくは5〜20重量部である。異種ポリマーの使用量が1重量部より少ないと内孔、特に単一の内孔を形成する効果が小さく、一方異種ポリマーの使用量が100重量部より多いとかえって単一の内孔の形成が抑制される傾向が生じるという問題を生ずる。
【0030】
異種ポリマーを水性分散体中に存在させて重合を行なう方法としては、
(1)異種ポリマーを固体粒子の状態で用い、この粒子を水性媒体中に分散させ、これに重合性モノマーおよび必要があれば油性物質を吸収させた後重合する方法、および
(2)異種ポリマーを重合性モノマーおよび必要があれば油性物質に溶解して溶液状態とし、この油性溶液を水性分散媒体中に分散させた後重合する方法などを採用することができる。
【0031】
異種ポリマーを上記(1)の方法によって粒子状態で用いる場合には、これが種(シード)ポリマー粒子として機能し、これに重合性モノマーおよび油性物質が吸収されることから、異種ポリマーは重合性モノマーおよび油性物質の吸収性が良好であることが好ましい。そのためには、異種ポリマーは分子量が小さいものであることが好ましく、例えば、その数平均分子量が20,000以下、好ましくは10,000以下、さらに好ましくは700〜7,000である。なお、ここにおける数平均分子量は、異種ポリマーをその良溶媒に溶かし、得られた溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、浸透圧分子量測定装置、蒸気圧低下法分子量測定装置などの通常の方法で測定して得られるものである。
【0032】
異種ポリマーの数平均分子量が20,000より大きいと、種ポリマー粒子に吸収されないモノマーが多くなり、これが水性分散体中において種ポリマー粒子と別個に重合し、その結果、内孔を有するポリマー粒子とならない粒子が多量に生成するだけでなく、重合系が不安定となる問題を生じやすい。また、種ポリマー粒子として用いられる異種ポリマーの粒子径は、目的とする内孔を有するポリマー粒子の外径の0.3〜0.8倍であることが好ましい。このような種ポリマー粒子として用いられる異種ポリマーを製造する方法は特に制限されないが、例えば連鎖移動剤を比較的多量に使用した乳化重合あるいは懸濁重合などの製造方法を用いることができる。
【0033】
また、異種ポリマーを種ポリマー粒子として用いる場合には、この種ポリマー粒子に予め水に対する溶解度が10−3重量%以下の高親油性物質を吸収させておくことにより、種ポリマー粒子に対する重合性モノマーおよび油性物質の吸収能力を増大することができる。このように種ポリマー粒子に高親油性物質を吸収させる手段を用いる場合には、異種ポリマーの数平均分子量は20,000以下でなくともよい。上記高親油性物質としては、1−クロルドデカン、オクタノイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシドなどを例示することができる。これらの高親油性の物質を種ポリマー粒子に吸収させるためには、高親油性物質を微分散させた水性分散体を調製し、この分散体と種ポリマー粒子の水性分散体とを混合して高親油性物質と種ポリマー粒子とを接触させるとよい。
【0034】
種ポリマー粒子を用いた場合に得られる内孔を有するポリマー粒子の粒子径は、種ポリマー粒子が重合性モノマーおよび油性物質を吸収して肥大化した粒子の粒子径とおおよそ一致する。このため、種ポリマー粒子の粒子径、重合性モノマーおよび油性物質に対する種ポリマー粒子の相対的使用量などを調整することにより、生成する内孔を有するポリマー粒子の粒子径をコントロールすることができる。具体的には、内孔を有するポリマー粒子の製造において、紫外線遮蔽能、白色度および隠ペい力の優れた0.2〜2μmの粒子径の中空ポリマー粒子を得るためには、種ポリマー粒子として0.12〜0.13μmの粒子径のものを用いればよい。また、種ポリマー粒子を用いることは、粒子径が1μm以下の小粒径の内孔を有するポリマー粒子を製造する場合に、小粒径のモノマー液滴を容易にそして安定に形成できる点で特に好ましい。
【0035】
異種ポリマーを前記(2)の方法で使用する場合には、異種ポリマーの分子量は特に制限されず、数平均分子量が20,000以上のものを好ましく使用することができる。
【0036】
本発明においては、必要に応じて油性物質を用いることができ、かかる油性物質としては、水に対する溶解度が0.2重量%以下の親油性のものであれば特に制限されず、植物油、動物油、鉱物油、合成油のいずれも使用することができる。本発明においては、油性物質を用いなくとも内孔を有するポリマー粒子を得ることができるが、油性物質を用いることにより、その使用量などを調節することにより内孔の径を確実にコントロールすることができる。
【0037】
前記油性物質としては、ラード油、オリーブ油、ヤシ油、ヒマシ油、綿実油、灯油、ベンゼン、トルエン、キシレン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、二硫化炭素、四塩化炭素などを例示することができる。また、油性物質としては、さらにオイゲノール、ゲラニオール、シクラメンアルデヒド、シトロネラール、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレートなどの高沸点油も用いることができる。これらの高沸点油を用いると、コア中に香料、可塑剤などが含まれたカプセル状ポリマー粒子が得られる。
【0038】
油性物質の使用量は、通常、モノマー全成分100重量部に対して0〜1,000重量部、好ましくは0〜300重量部である。なお、架橋性モノマー材料として供給されるもののなかに通常含有される不活性溶剤類も、ここにおける油性物質として算入することができる。上記油性物質の使用量が過大であると相対的にモノマー成分が不足してポリマーの外殻の膜厚が薄くなり、カプセルの強度が不十分となって圧潰されやすいという問題を生ずる。
【0039】
また、前記油性物質の概念には、既に述べた重合性モノマーを含むことができる。この場合には、重合工程において、生成するポリマー粒子の内部に重合性モノマーが残った状態で重合を停止させることにより、この残余のモノマーを油性物質として代用することができる。この場合、重合収率は97%以下、好ましくは95%以下に留める必要がある。このためには、少量の重合抑制剤を加えて重合する方法、重合途中で反応系の温度を下げる方法、あるいは重合途中で重合停止剤を加えて重合を停止させる方法などを採用することができる。
【0040】
また、前記油性物質には、染料、洗剤、インク、香料、接着剤、医薬、農薬、肥料、油脂、食品、酵素、液晶、塗料、防錆剤、記録材料、触媒、化学反応体、磁性体、その他劣化、蒸発、取り扱い中の圧力等に対してカプセル化による物理的な保護を必要とする種々のものを、用途に応じて溶解または分散させておくことができる。
【0041】
上記重合性モノマーの重合は、異種ポリマーおよび必要に応じて加えられる油性物質が共存する微小の分散油滴のなかで重合が行なわれる。重合プロセスにおいては、異種ポリマーの相分離による核が発生し、この核を中心にポリマーの架橋重合反応とともに重合収縮が生ずるために単一の内孔が形成され、さらにポリマーの外壁を通して水などが内孔に入り込み、あるいは油性物質が存在する場合には、該油性物質が内孔に集中して内孔が拡大するものと考えられる。
【0042】
この重合反応は、水性分散媒体中に分散された液滴のなかで重合が進行するという点からすれば、本質的には懸濁重合と考えられる。しかし、前述した(1)の方法における場合のように、粒子状の種ポリマー粒子を用いることにより、得られるポリマー粒子の外径が0.2〜2μm程度であり、また重合時に界面活性剤および水溶性重合開始剤を使用することもできる点からすると、見掛け上、乳化重合と同様な重合形態を採ることができる。
【0043】
この重合反応においては、分散安定剤として、通常の重合において用いられる界面活性剤あるいは、有機もしくは無機の懸濁保護剤および分散剤を使用することができる。一般的に、1μm前後より小さい粒子径の内孔を有するポリマー粒子を製造する場合には、界面活性剤を主体に使用し、1μm前後より大きい粒子径の内孔を有するポリマー粒子を製造する場合には、懸濁保護剤を主体に使用するとよい。
【0044】
前記界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物塩などのアニオン系乳化剤が挙げられ、更にポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン系界面活性剤を併用することも可能である。
【0045】
前記有機系の懸濁保護剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどの親水性合成高分子物質、ゼラチン、水溶性澱粉などの天然親水性高分子物質、カルボキシメチルセルロースなどの親水性半合成高分子物質などを挙げることができる。また、前記無機系の懸濁保護剤としては、例えばマグネシウム、バリウム、カルシウムなどのリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、亜鉛華、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどを挙げることができる。
【0046】
また、前記分散剤としては、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、スチレンアクリル酸共重合体塩、スチレン無水マレイン酸部分加水分解物などを挙げることができる。
【0047】
重合開始剤は油溶性の重合開始剤あるいは水溶性の重合開始剤のいずれも使用することができる。しかし、異種ポリマーを種ポリマー粒子の状態で用い、かつ粒子径が1μm程度以下の小粒子径の内孔を有するポリマー粒子の重合を行なう場合には、水溶性重合開始剤を用いることが好ましく、このことにより、種ポリマー粒子に吸収されない大粒径のモノマー液滴における重合を防止することができる。これ以外の場合には、目的としている内孔を有するポリマー粒子のほかに不要の新ポリマー粒子が生成することを防止するために、油溶性重合開始剤を使用することが好ましい。
【0048】
前記水溶性重合開始剤としては、過硫酸塩類、あるいは過酸化水素−塩化第一鉄、クメンヒドロペルオキシド−アスコルビン酸ナトリウムなどのレドックス系の開始剤が例示される。前記油溶性重合開始剤としては、ベレゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリルなどが例示される。
【0049】
本発明のポリマー粒子を構成する架橋されたコポリマーのための重合性モノマー成分においては、架橋性モノマーの使用量が比較的多いため、重合速度が大きい場合が多い。このため、大きな重合容器において重合を行なう場合、重合成分のすべてを重合容器内に入れて重合を行なう、いわゆる一括重合法を用いると重合系の温度コントロールが困難となって重合反応が暴走する危険がある。従って、本発明においては、通常、このような危険を避けるために、モノマー成分をそのままの状態であるいはエマルジョンなどの状態で重合中に連続的にもしくは分割的に重合容器に供給する、いわゆるインクリメント重合法を採用することもできる。重合性モノマー、油性物質および異種ポリマーは、これらが同一の分散粒子の中に共存した分散体の状態で重合系に供給されることが好ましい。
【0050】
重合反応において油性物質を用いた場合には、その油性物質が、ベンゼン、トルエン、キシレン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルメタクリレートなどの比較的揮発性の高い溶剤あるいはモノマーの場合は、得られた内孔を有するポリマー粒子の分散体に対して、減圧処理、蒸留処理、スチームストリップ処理、気体バブリング処理あるいはこれらの処理を併用した処理を行なうことにより、前記油性物質を容易に水と置換することができ、その結果内部に水を含む含水中空ポリマー粒子が得られる。また、油性物質を含むカプセル状ポリマー粒子あるいは上述のように油性物質を水と置換して得られる含水中空ポリマー粒子を水性分散媒体より分離して乾燥処理することにより、内部に空間を有する中空ポリマー粒子が得られる。
【0051】
本発明の中空ポリマー粒子は、前述したように紫外線遮蔽能に優れ、特に、基材を紫外線から保護するためのコーティング材料、塗料、紙加工用組成物、写真フィルム用組成物などの材料として有用である。さらに、本発明の中空ポリマー粒子は、光沢、隠ぺい力等に優れたプラスチックピグメントとして有効であるのみならず、さらに粒子径を小さくすることにより、透明性を出しながらさらに紫外線遮蔽能を発現させることも可能となる。本発明によって得られ、内部に油性物質を含むカプセル状ポリマー粒子、あるいは中空ポリマー粒子の内孔に香料、薬品、農薬、インク成分等の有用成分を浸漬処理、減圧または加圧浸漬処理等の手段により封入して得られるカプセル粒子は、内部に含まれた有用成分に応じて各種用途に利用することができる。
【0052】
【実施例】
(実施例1)
スチレン98部、メタクリル酸2部およびt−ドデシルメルカプタン10部を、水200部にラウリル硫酸ナトリウム0.5部および過硫酸カリウム1.0部を溶かした水溶液に入れ、撹拌しながら70℃で8時間重合してポリマー粒子を得た。このポリマー粒子は、平均粒子径0.22μm、トルエン不溶分3%、GPCによる数平均分子量4,100、重量平均分子量と数平均分子量との比Mw/Mn=2.4であった。次に、このポリマー粒子を種ポリマー粒子として用い、このポリマー粒子を固形分で10部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.1部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3部および水850部に分散した。
これにメチルメタクリレート60部、重合性紫外線吸収モノマーとして3−(2H−1,2,3ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル=メタクリレート20部、ジビニルベンゼン(純品換算)10部、スチレン10部およびトルエン20部の混合物を加えて70℃で1時間撹拌したところ、上記物質の約半量が種ポリマー粒子に吸収された。残余は未吸収であったが、重合の進行にしたがって重合粒子中に吸収された。
【0053】
これに過硫酸0.5部を水50部に溶解させた水溶液を添加し、そのまま70℃で5時間重合したところ、重合収率98%で、トルエンを粒子内部に含むカプセル粒子の分散液が得られた。この分散液に対してスチームストリップ処理を行ったところ、このポリマー粒子は中央部が透けており、ほぼ完全な球形のカプセル粒子であることが分かった。このカプセル状ポリマー粒子は、外径が0.51μm、内径が0.3μmであった。
【0054】
(比較例1〜4)
比較例1〜3として、以下の点で実施例1と異なる他は、実施例1と同様にしてポリマー粒子を得た。すなわち、比較例1では重合性紫外線吸収モノマーを含まない場合、比較例2では種ポリマー粒子を用いない場合、比較例3では重合性紫外線吸収モノマーおよび種ポリマー粒子の両方を含まない場合の例である。比較例4では無機粒子を用いた場合の例である。
【0055】
(紫外線遮蔽性)
各ポリマー粒子および無機粒子の紫外線遮蔽能を評価するために、短波長側として300nm、長波長側として390nmでの紫外線遮蔽率を測定した。紫外線遮蔽率は、紫外線透過率を1から引いたもので、数値が大きいほど紫外線を遮断する性質を示す。
【0056】
実施例1では、重合性紫外線吸収モノマーを含む、外径が0.5μm、内径0.3μmの中空ポリマー粒子が得られた。このポリマー粒子の場合、波長300nmの紫外線遮蔽率は70%、波長390nmの紫外線遮蔽率は80%と、いずれも高い紫外線遮蔽性を示した。
【0057】
これに対し、比較例1は重合性紫外線吸収モノマーを用いない中空ポリマー粒子の例で、長波長側は70%とまずまずの紫外線遮蔽率を示したが、短波長側は30%と紫外線遮蔽性が劣った。比較例2は重合性紫外線吸収モノマーを含む中空でない中実ポリマー粒子の例で、短波長側の紫外線遮蔽率は重合性紫外線吸収モノマーを用いた効果により大きいが、長波長側ではほとんど遮蔽効果がなかった。比較例3は重合性紫外線吸収モノマーを用いず、また、中空でもない例であり、短波長側および長波長側のいずれの遮蔽性もほとんど得ることができなかった。比較例4は無機粒子として酸化チタンを用いた例で、短波長側の紫外線遮蔽性は優れるが、長波長性の紫外線遮蔽性は劣る。また、比較例4では、貯蔵中に粒子が沈降するので使用前に再度撹拌する必要があり、また撹拌しても簡単には再度分散しない場合もあり、実際の使用上、困難がある。以上の結果を表1に示す。また、実施例および比較例のポリマー粒子および無機粒子について行った分散後の貯蔵安定性の試験結果についても表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
(実施例2,比較例5)
実施例2は、重合性紫外線吸収モノマーの使用量が好ましい範囲の上限の例であり、重合性紫外線吸収モノマーを45部用いた他は実施例1と同様にしてポリマー粒子を得た。このポリマー粒子は、短波長側の紫外線遮蔽性は優れるものの、重合性紫外線吸収モノマーが粒子に十分に吸収されずに一部析出することがわかった。
【0060】
比較例5は、重合性紫外線吸収モノマーがさらに多い場合の例で、ポリマー粒子が得られなかった。以上の結果を表2に表す。また、実施例および比較例のポリマー粒子について行った分散後の貯蔵安定性の試験結果についても表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外線遮蔽能を有する、内孔を有するポリマー粒子であってしかもポリマーが架橋されたコポリマーよりなるものが提供される。このポリマー粒子は、ポリマー層と確実に区画された内孔が形成されていて全体が中空状の架橋されたコポリマーよりなる小粒径のポリマー粒子であり、しかも、重合性紫外線吸収モノマーを用いているので、両者の相乗作用によって広い波長範囲で優れた紫外線遮蔽能を有する。さらに、本発明のポリマー粒子は、機械的強度ならびに耐熱性などの点で優れた特性を有するものであり、また製造も容易なものである。
【0063】
本発明の中空ポリマー粒子は、内孔内の油性物質を除去して内孔が中空状態の中空ポリマー粒子あるいは内孔に水を含んだ状態の含水中空ポリマー粒子として得ることもでき、また、内孔に油性物質あるいはその他の物質を含んだ状態のカプセル状ポリマー粒子として得ることもできる。
【0064】
そして、本発明の中空ポリマー粒子は、前述したように紫外線遮蔽能に優れ、特に、基材を紫外線から保護するためのコーティング材料、塗料、紙加工用組成物、写真フィルム用組成物などの材料として有用である。さらに、本発明の中空ポリマー粒子は、その粒径などの点から特異な光学性能を持ち、隠ぺい力、白色度および光沢などの点で優れており、軽量、高吸収性、高吸油性の充填剤として種々の用途、例えば塗料、紙塗工用組成物の配合剤、インクジェット紙の吸水性充填剤、製紙工程の内添充填剤、修正インキあるいは修正リボン用の高隠ぺい性顔料等として用いることができる。
【0065】
また、本発明の中空ポリマー粒子は、カプセル化が良好であり、しかも機械的強度、耐熱性に優れるなどの特徴を有している。そして、この中空ポリマー粒子は、コアとして内部に溶剤、可塑剤、香料、インク、農薬、医薬、香味料等の各種油溶性の物質を含有することができるだけでなく、さらにこれらの物質を徐々に放散させる徐放性機能を有し、マイクロカプセル材料として多くの分野に利用することができる。
Claims (12)
- (a)架橋性モノマー1〜50重量%、(b)親水性モノマー1〜94重量%、(c)重合性紫外線吸収モノマー5〜49重量%、および前記モノマー(a),(b),(c)と共重合が可能なその他の重合性モノマー0〜93重量%よりなる重合性モノマー成分のコポリマー100重量部と、
前記コポリマーとは異なる組成の異種ポリマー1〜100重量部と、
を含む、内孔を有するポリマー粒子。 - 請求項1において、
前記内孔の径は、平均で外径の0.2〜0.9倍である、内孔を有するポリマー粒子。 - 請求項1または2において、
前記異種ポリマーの数平均分子量は、700〜20,000である、内孔を有するポリマー粒子。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記内孔に液体を含む、内孔を有するポリマー粒子。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記内孔は中空状である、内孔を有するポリマー粒子。 - (a)架橋性モノマー1〜50重量%、(b)親水性モノマー1〜94重量%、(c)重合性紫外線吸収モノマー5〜49重量%、および前記モノマー(a),(b),(c)と共重合が可能なその他の重合性モノマー0〜93重量%よりなる重合性モノマー成分100重量部を、これらの重合性モノマー成分によるコポリマーとは異なる組成の異種ポリマーの粒子1〜100重量部の存在下において水性分散楳体中に分散させ、前記異種ポリマーの粒子に前記重合性モノマー成分を吸収させ、ついで、前記重合性モノマー成分を重合させる工程を含む、内孔を有するポリマー粒子の製造方法。
- (a)架橋性モノマー1〜50重量%、(b)親水性モノマー1〜94重量%、(c)重合性紫外線吸収モノマー5〜49重量%、および前記モノマー(a),(b),(c)と共重合が可能なその他の重合性モノマー0〜93重量%よりなる重合性モノマー成分100重量部に、この重合性モノマー成分によるコポリマーとは異なる組成の異種ポリマー1〜100重量部を溶解し、この溶液を水性分散楳体中に分散させ、ついで、前記重合性モノマー成分を重合させる工程を含む、内孔を有するポリマー粒子の製造方法。
- 請求項6において、
前記異種ポリマーの粒子径は、内孔を有するポリマー粒子の外径の0.3〜0.8倍である、内孔を有するポリマー粒子の製造方法。 - 請求項6ないし8のいずれかにおいて、
前記異種ポリマーの数平均分子量は、700〜20,000である、内孔を有するポリマー粒子の製造方法。 - 請求項6ないし9のいずれかにおいて、
前記重合性モノマー成分とともに油性物質を用いることにより、該油性物質をその内孔に含むポリマー粒子を得る、内孔を有するポリマー粒子の製造方法。 - 請求項6ないし10のいずれかにおいて、
前記内孔に含まれる水もしくは油性物質を除去して中空状のポリマー粒子を得る工程を含む、内孔を有するポリマー粒子の製造方法。 - 請求項6ないし10のいずれかにおいて、
前記内孔に含まれる水もしくは油性物質をそれぞれ他の液体と置換することにより、該液体が内孔に含まれるカプセル状ポリマー粒子を得る工程を含む、内孔を有するポリマー粒子の製造方法。
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