JP2004075480A - 熱処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱処理が行われる炉内に電力を供給できつつ、更に、炉内の温度を測定できつつ、炉からの熱損失を低減すること。
【解決手段】水蒸気改質反応器32の内部にはマイクロ流路43が形成されている。マイクロ流路43の内壁及び天井に改質触媒膜46が形成されており、マイクロ流路43の床に発熱抵抗膜47が形成されている。発熱抵抗膜47から外部の電源部60へリード線48,49が導かれており、電源部60からリード線48,49を通じて発熱抵抗膜47に電力が供給される。発熱抵抗膜47は、温度に電気抵抗が依存している。そして、発熱抵抗膜47に印加される電圧及び電流が電源部60によって測定され、測定電圧及び測定電流から発熱抵抗膜47の電気抵抗を求めることができ、結果として、マイクロ流路43の温度を測定することができる。
【選択図】  図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炉内において熱処理を行う熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、携帯型電話機、ノート型パソコン、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)及び電子手帳等といった小型の電子機器が進歩・発展を遂げている。小型の電子機器の電源としては、アルカリ乾電池及びマンガン乾電池等の一次電池並びにニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−水素蓄電池及びリチウムイオン電池等の二次電池が用いられている。エネルギーの利用効率の観点から一次電池及び二次電池を検証すると、エネルギーの有効利用が図られているとは必ずしも言えなかった。
【0003】
そこで、燃料電池は高いエネルギー利用効率を実現することができるため、一次電池及び二次電池の代替えのために燃料電池について研究・開発が盛んに行われている。燃料電池は、燃料と大気中の酸素を電気化学的に反応させて、化学エネルギーから電気エネルギーを直接取り出す装置である。燃料電池に用いる燃料としては水素が挙げられるが、常温で気体であることによる取り扱い・貯蔵に問題がある。アルコール類及びガソリンといった液体燃料を用いれば、液体燃料と高温の水蒸気を反応させることによって、発電に必要な水素を取り出す改質器が必要であるが、液体燃料を貯蔵するためのシステムが比較的小型でよい。
【0004】
改質型の燃料電池を小型の電子機器の電源として用いる場合には、燃料電池だけでなく改質器も小型化する必要がある。改質器は高温の状態で燃料を改質する場合があり、燃料の改質の程度を制御するために温度センサが必要となるが、温度センサとして熱電対を用いると一方の接点を一定の温度にしなければならず、小型の電源として設計が困難であった。
【0005】
図7は、従来の小型な改質器を用いた熱処理装置を示した図面である。図7に示すように、改質器100の内部にはチャンバー101が形成されており、チャンバー101内に触媒(図示略)及び発熱体102が設けられており、リード線103,104によって電源部105から発熱体102に通電している。また、抵抗体温度センサ108がチャンバー101内に配設され、抵抗体温度センサ108の配線109,110が温度測定部111に接続され、温度測定部111で熱起電力を測定することによってチャンバー101内の温度が測定される。
【0006】
リード線103,104を通じて電源部105から発熱体102に電力が供給され、発熱体102が発熱すると、供給管106を通じて供給された水と燃料が発熱体102によって加熱されて、水と燃料が触媒によって反応し、水素が生成される。また、水と燃料が反応する場合には適温があるため、温度測定部111で測定された温度を表す信号が制御部112に入力され、入力した信号に基づき制御部112が電源部105の電力を制御することで、チャンバー101内が適温に保たれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、発熱体102で発生した熱エネルギーが全て水と燃料の反応に利用されるのが望ましいが、リード線103,104及び配線109,110は低抵抗の導電体であるために少なくとも部分的に金属を含むが金属は熱伝導性がよく、チャンバー101内の熱が改質器100外へ伝導してしまい、チャンバー101内の熱エネルギーが損失する。改質器100自体が大きければ、リード線103,104及び配線109,110における熱損失は無視できるほど小さいが、改質器100が小さくなるにつれてリード線103,104及び配線109,110における熱損失の割合が大きくなっていく。従って、エネルギーの利用効率の良い小型の改質器100を提供するためにも、リード線103,104及び配線109,110による熱損失を十分に考慮しなければならない。仮にリード線103,104を省けば発熱体102に電力を供給できない。仮に配線109,110を省けば、チャンバー101の温度を測定することができないため、チャンバー101の温度を制御することが困難となってしまう。
そこで、本発明の課題は、改質器100のように熱処理が行われる炉内に電力を供給でき、更に、炉内の温度を測定できつつ、炉からの熱損失を低減することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る熱処理装置は、例えば図3、図4及び図6に示すように、
被熱処理原料が供給される内部空間(例えば、マイクロ流路43)を形成した熱処理炉(例えば、水蒸気改質反応器32)と、
電力の付与によって発熱し、電気抵抗が温度に依存し、前記内部空間に配された発熱抵抗体(例えば、発熱抵抗膜47)と、
前記発熱抵抗体に電力を供給する電力供給手段(例えば、電源部60)と、
前記電力供給手段から前記発熱抵抗体に供給される電力によって前記発熱抵抗体に流れる電流又は前記発熱抵抗体に印加された電圧のうちの少なくとも一方を測定することによって前記発熱抵抗体の電気抵抗を検知する測定手段(例えば、電源部60)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明では、電力供給手段から発熱抵抗体に電力が供給されると、発熱抵抗体が発熱して、熱処理炉の内部空間に供給された被熱処理原料が発熱抵抗体によって加熱される。そのため、被熱処理原料に対して熱処理が行われる。熱処理としては、被熱処理原料を相変化させることでも良いし、被熱処理原料を化学反応させることでも良いし、被熱処理原料の機械的特性・電気的特性を変化させることでも良い。
【0010】
発熱抵抗体の電気抵抗が温度に依存するため、発熱抵抗体の温度が変化すれば、発熱抵抗体の電気抵抗も変化する。従って、発熱抵抗体の電気抵抗を測定できれば、発熱抵抗体の温度を求めることができ、結果として、熱処理炉内の内部温度を求めることができる。そこで、発熱抵抗体に流れる電流及び発熱抵抗体に印加される電圧が測定手段によって測定されると、発熱抵抗体の電気抵抗を検知することができる。なお、電力供給手段が定電圧で電力を供給するのであれば、発熱抵抗体に流れる電流のみが測定手段によって測定されても、発熱抵抗体の電気抵抗を検知することができ、電力供給手段が定電流で電力を供給するのであれば、発熱抵抗体に印加される電圧のみが測定手段によって測定されても、発熱抵抗体の電気抵抗を検知することができる。発熱抵抗体の電気抵抗が検知されることで、発熱抵抗体の温度を求めることができるため、熱処理炉の内部空間に温度測定専用の素子を熱処理炉の内部空間に設ける必要がなく、更に、温度測定専用の配線を熱処理炉から外部へ導く必要がない。従って、従来に比較しても、熱処理炉の内部空間から外部へ導き出ている配線が少なくなり、熱処理炉からの熱損失が低減する。
【0011】
請求項2に記載の熱処理装置は、例えば図6に示すように、請求項1に記載の熱処理装置において、
前記測定手段によって検知された電気抵抗に基づき、前記電力供給手段から前記発熱抵抗体に供給する電力を制御する制御手段(例えば、制御部70)を更に備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明では、発熱抵抗体に供給する電力が制御手段によって制御されることで、発熱抵抗体の発熱エネルギーを制御することができ、発熱抵抗体の温度及び熱処理炉の内部空間の温度を調整することができる。
【0013】
請求項3に記載の熱処理装置は、請求項1又は2に記載の熱処理装置において、
前記発熱抵抗体は、k℃から100℃上昇したときの電気抵抗の温度係数R(k+100)/R(k)の変化率が−2%〜−7%であるか又は3%以上であることを特徴とする。
なお、温度T℃における発熱抵抗体の電気抵抗をR(T)として表している。
【0014】
請求項3に記載の発明では、発熱抵抗体の電気抵抗率の変化率が大きくなりすぎる場合には、発熱抵抗膜に与える電力を調整することで内部空間の温度を調整することが難しく、電気抵抗の変化率が小さすぎる場合には、発熱抵抗体で内部空間近傍の正確な温度を測定することが難しいが上述の範囲内であれば適切に温度を検知することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明の具体的な態様について説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
【0016】
図1は、本発明に係る熱処理装置が適用された発電システム1の基本構成を示したブロック図であり、図2は、発電システム1を部分的に破断して内部構成を概略的に示した斜視図である。
発電システム1は、燃料容器2と、燃料容器2と着脱自在である発電モジュール5と、を備える。発電モジュール5は、化学燃料を改質する改質手段3と、改質手段3により改質された燃料により発電する燃料電池4と、燃料電池4で発電された電力を蓄電し必要に応じて出力する蓄電部6と、蓄電部6から供給された電力により発電モジュール5全体に電力を分配する電源部60と、これら改質手段3、燃料電池4、蓄電部6、電源部60を電子制御する制御部70と、を有する。
【0017】
燃料容器2は、化学燃料と水が混合してなる燃料9を貯蔵するものである。化学燃料としては、メタノール(CHOH)及びエタノール(COH)等といったアルコール類並びにガソリン等のように水素元素を含む化合物が含まれている。本実施形態では、燃料容器2に貯蔵された燃料9は、メタノール及び水が等モルで均一に混合されたものである。
【0018】
発電モジュール5は、蓄電部6からの電気出力を外部に伝達する端子14を頭部に備え、また、燃料容器2との間で水のやりとりを行う管37を連結するための突起7と、燃料容器2の燃料9を供給する供給管11から燃料を取り込む突起8とを燃料容器2と対向する位置に備え、突起7及び突起8を燃料容器2に噛み合わせることによって燃料容器2に連結される。燃料容器2が発電モジュール5に連結されると、突起8が供給管11の先端にある封止膜12を破り、燃料9が供給管11内で毛細管現象等により発電モジュール5に供給される。
【0019】
改質手段3は、気化器31と、水蒸気改質反応器32と、水性シフト反応器33と、選択酸化反応器34と、から構成されている。気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33及び選択酸化反応器34はシリコン、アルミニウム合金やガラスなどからなる小型の基板に形成された溝に流体を流してこの流体を気化させるか或いは流体の少なくとも一部に化学反応を引き起こすマイクロリアクタとして機能するものである。
【0020】
気化器31は、燃料容器2から供給された燃料9に対する熱処理が行われる炉である。つまり、気化器31は、燃料容器2から供給された燃料9を加熱することで、燃料9を蒸発させるものである。気化器31で気化した混合気は、水蒸気改質反応器32へ供給される。
【0021】
水蒸気改質反応器32は、気化器31から供給された混合気に対する熱処理が行われる反応炉である。水蒸気改質反応器32内において熱処理が行われることで、化学反応式(1)のように、気化器31から供給された混合気が改質触媒で水素ガスと二酸化炭素ガスに改質する。
CHOH+HO→3H+CO …(1)
また、気化器31から供給された混合気が完全に水素ガスと二酸化炭素ガスに改質されない場合もあり、化学反応式(2)のように、水蒸気改質反応器32で微量の一酸化炭素ガスが生成される。
2CHOH+HO→5H+CO+CO …(2)
水蒸気改質反応器32で生成された水素ガス、二酸化炭素ガス及び一酸化炭素に加えて未反応の水蒸気は、水性シフト反応器33へ供給される。なお、水蒸気改質反応器32の詳細については後述する。
【0022】
水性シフト反応器33は、水蒸気改質反応器32から供給された混合気(水素ガス、二酸化炭素ガス、水蒸気及び一酸化炭素ガス)に対しての熱処理が行われる反応炉である。つまり、水性シフト反応器33は、化学反応式(3)のように、水蒸気改質反応器32から供給された混合気のうち一酸化炭素ガスを触媒で水性シフト反応させるものである。
CO+HO→CO+H …(3)
水蒸気改質反応器32において未反応だった水蒸気は水性シフト反応に用いられ、混合気の水蒸気及び一酸化炭素ガス濃度は非常に希薄になる。水性シフト反応器33から選択酸化反応器34へ混合気(水素ガス、二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガス等を含む)が選択酸化反応器34へ供給される。
上述の化学反応式(1)及び化学反応式(2)の各左辺の水は、予め燃料容器2のボトル39に封入されている燃料9に含まれているが、化学反応式(3)の左辺の水は、燃料9内に含まれる化学反応式(2)で未反応の水を利用してもよく、また後述する燃料電池4で生成された水をバルブ36で制御された水導入管38を介して水性シフト反応器33に導入させてもよく、またボトル39とは隔離された燃料容器2に溜まっている水を管37から水導入管38に毛細管現象等を利用して導入させることにより得ることもできる。
なお、燃料9に含有した化学燃料の濃度を高くするために化学反応式(2)の左辺の水として燃料電池4で生成された水をバルブ36で制御された水導入管38を介して水蒸気改質反応器32に導入させてもよく、またボトル39とは隔離された燃料容器2に溜まっている水を管37から水導入管38に毛細管現象等を利用して導入させることにより得ることもできる。
【0023】
選択酸化反応器34は、水性シフト反応器33から供給された混合気(水素ガス、二酸化炭素ガス、水蒸気及び一酸化炭素ガス)に対しての熱処理が行われる反応炉である。つまり、選択酸化反応器34は、水性シフト反応器33から供給された混合気のうち一酸化炭素ガスを触媒によって選択し、化学反応式(4)のように一酸化炭素ガスを酸化させるものである。
2CO+O→2CO …(4)
なお、化学反応式(4)の左辺の酸素は、発電モジュール5の通気孔35を介して大気中から選択酸化反応器34に取り込まれる。また、選択酸化反応器34には、化学反応式(4)の化学反応を選択的に促進する触媒が形成されているため、混合気に含まれる水素はほとんど酸化しない。選択酸化反応器34から燃料電池4へ混合気が供給されるが、その混合気には一酸化炭素ガスが殆ど含まれず、水素ガス及び二酸化炭素ガスの純度が非常に高い。選択酸化反応器34に水素とそれ以外の無害の副生成物とに分離できる機構が設けられていれば通気孔35からその副生成物を排出するようにしてもよい。
【0024】
燃料電池4は、発電モジュール5の周側面側に設けられている。燃料電池4は、触媒微粒子が付着した燃料極(カソード)と、触媒微粒子が付着した空気極(アノード)と、燃料極と空気極との間に介装されたフィルム状のイオン伝導膜とを具備する。燃料極には、選択酸化反応器34からの混合気が供給され、空気極には、発電モジュール5の外周に設けられたスリット13を介して大気中の酸素ガスが供給される。
【0025】
電気化学反応式(5)に示すように、燃料極に水素ガスが供給されると、燃料極に付着した触媒により電子の分離した水素イオンが発生し、水素イオンがイオン伝導膜を通じて空気極へ伝導し、燃料極より電子が取り出される。なお、選択酸化反応器34から供給された混合気のうち二酸化炭素ガスは、反応せずに外部に放出される。
3H→6H+6e …(5)
一方、電気化学反応式(6)に示すように、空気極に酸素ガスが供給されると、イオン導電膜を通過した水素イオンと、酸素ガスと、電子とが反応して、水が生成される。
6H+3/2O+6e→3HO …(6)
燃料電池4で以上のような電気化学反応が起こることによって、電気エネルギーが生成される。
【0026】
次に、熱制御機構について詳細に説明する。
図3は、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34を示した斜視図であり、図4は、図3におけるZ−Zで破断して示した断面図である。図3及び図4に示すように、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33及び選択酸化反応器34それぞれは、二つの基板41,42が重なり合って接合された構造となっており、これら基板41,42の接合部には葛折りとなったマイクロ流路43が形成されている。マイクロ流路43は、葛折りとなった溝が一方の面に形成された基板41を基板42に貼り合わせることによって形成される。溝は、基板41の一方の面にフォトリソグラフィー法、エッチング法等を適宜施すことによって形成される。基板41の寸法は、一例として、長さ15〜35mm程度、幅10〜25mm程度、厚さ0.4〜1mm程度であり、基板41の一面に設けられた葛折りの溝の寸法は、一例として、幅0.2〜0.8mm程度、深さ0.2〜0.6mm程度であり、全長は30〜1000mm程度である。
【0027】
マイクロ流路43の一方の端部には供給管44の端が連結しており、マイクロ流路43の他方の端部には排出管45の端が連結している。ここで、気化器31の供給管44は燃料容器2に通じており、気化器31の排出管45は水蒸気改質反応器32の供給管44に通じている。また、水蒸気改質反応器32の排出管45は、水性シフト反応器33の供給管44に通じている。水性シフト反応器33の排出管45は、選択酸化反応器34の供給管44に通じている。選択酸化反応器34の排出管45は、燃料電池4の燃料極に通じている。
【0028】
マイクロ流路43の内壁及び天井には改質触媒膜46がマイクロ流路43の一端から他端までマイクロ流路43に沿って形成されており、マイクロ流路43の床には発熱抵抗膜47がマイクロ流路43の一端から他端までマイクロ流路43に沿うように形成されている。改質触媒膜46は、化学燃料を改質して水素を生成することを促進するものである。ここで、水蒸気改質反応器32の場合には、上記化学反応式(1)で示された化学反応が改質触媒膜46によって促進され、水性シフト反応器33の場合には、上記化学反応式(3)で示された化学反応が改質触媒膜46によって促進され、選択酸化反応器34の場合には、上記化学反応式(4)で示された化学反応が改質触媒膜46によって促進される。つまり、改質触媒膜46の成分・種類などは、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34の間で異なっていても良い。また、気化器31の場合には、改質触媒膜46が成膜されていなくても良い。
【0029】
発熱抵抗膜47に電力が供給されると、発熱抵抗膜47が発熱する。発熱抵抗膜47に供給される電力をPとし、その電力により発熱抵抗膜47に印加される電圧をVとし、その電力により発熱抵抗膜47に流れる電流をIとし、発熱抵抗膜47の電気抵抗をRとしたら、V=I・R、P=V・I=I・Rとなる。
【0030】
発熱抵抗膜47の成分元素には、少なくともTa、Si、O及びNが含まれており、例えばTa−Si−O−N系の酸化物及びTa−Si−O−N−H系の酸化物がある。発熱抵抗膜47の物性としては、電気抵抗が温度に依存する。
発熱抵抗膜47をヒータ兼温度センサとして用いるためには、発熱抵抗膜47に電力を供給する配線の抵抗がノイズになるため、発熱抵抗膜47の抵抗は配線の抵抗に対して少なくとも1桁以上望ましくは2桁以上高い方が望ましく、例えば100Ω以上が好ましい。また発熱抵抗膜47をマイクロリアクタとして十分薄い厚さに実装するために200nm程度に設定すると、抵抗率が2mΩ・cm以上であることが好ましく、温度0℃の時の発熱抵抗膜47の電気抵抗R(0)に対する温度Tの時の電気抵抗R(T)の割合である温度係数R(T)/R(0)が温度の上昇に伴い低減する場合、100℃単位当たりの変化率が−2%〜−7%の範囲の材料が望ましく、温度係数R(T)/R(0)が温度の上昇に伴い増大する場合、100℃単位当たりの変化率が3%以上であればよい。つまりk℃から100℃上昇したときの電気抵抗の温度係数R(k+100)/R(k)の変化率が−2%〜−7%であるか又は3%以上であればよい。
【0031】
図5には、発熱抵抗膜47の温度と、電気抵抗との関係を測定した結果を示したグラフである。測定に用いた試験体として、発熱抵抗膜47と同成分の抵抗体が形成された基板を二種類準備した。一方の基板に形成された抵抗体αの成分を測定したら、全体に対する組成比で、Taが21.4%、Siが20.0%、Oが40.3%、Nが12.0%であり、その抵抗率の測定値は室温で2.7mΩ・cmであった。他方の基板に形成された抵抗体βの成分を測定したら、全体に対する組成比で、Taが28.4%、Siが22.5%、Oが30.0%、Nが12.0%であり、その抵抗率の測定値は室温で4.5mΩ・cmであった。そして、二種類の基板について、抵抗体α,βを定電流の直流電源に直列に接続し、基板に一方の極が0℃に維持されるように設定された熱電対の接点を貼り付け、輻射シールドとしてアルミニウム膜を基板に巻きつけ、アルミニウム膜ごと基板を真空断熱装置内にセットした。熱電対はデジタルボルトメータに接続されている。そして、真空雰囲気で基板を加熱し、熱電対で熱起電力を測定することで抵抗体α,βの温度を算出し、直流電源での電圧を測定することで抵抗体の電気抵抗を算出した。なお、図5の縦軸の電気抵抗については、ゼロ℃の時の電気抵抗で無次元化している。
【0032】
図5に示すように、どちらの抵抗体α,βでも、温度T℃(T>0)での温度係数R(T)/R(0)が低下する特性を持っている。また、どちらの抵抗体α,βでも、0℃から約300℃に温度が変化した場合に、k℃から100℃上昇したときの抵抗の温度係数R(k+100)/R(k)の変化率が−2%〜−7%の範囲内である。この測定結果に基づいて、抵抗体αについて温度と電気抵抗の関係を近似式で表すと、式(7)のようになり、抵抗体βについて温度と電気抵抗の関係を近似式で表すと式(8)のようになる。
Rα(T)/Rα(0)=1−4.05×10−4×T+2.23×10−7×T …(7)
(但し、Rα(T)はT℃の時の抵抗体αの電気抵抗)
Rβ(T)/Rβ(0)R/Rβ=1−4.14×10−4×T+2.23×10−7×T …(8)
(但し、Rβ(T)はT℃の時の抵抗体βの電気抵抗)
抵抗率が陰イオンの量に大きく依存するため、Ta、Si、O及びNを含む発熱抵抗膜47は、全体に対するOの組成比をz%とし、全体に対するNの組成比をw%としたら、z+w>40であれば温度変化に対する電気抵抗の変化が顕著になり、電気抵抗の変化を読み取ることで温度を測定する温度センサとして用いることが容易になるとともに図5に示すように組成比の多少の違いによって生じる抵抗率の違いに対する温度係数R(T)/R(0)の差がほとんど見られず、温度センサとしての製造ロット間の精度が高く且つ良好な薄膜ヒータとして利用することもできる。
【0033】
以上のような特性を持つ発熱抵抗膜47に電力を供給するために、マイクロ流路43の一端において発熱抵抗膜47にリード線48が接続されており、マイクロ流路43の他端において発熱抵抗膜47にリード線49が接続されている。各リード線48,49は、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34の外部に導き出ている。各リード線48,49は、発熱抵抗膜47に比較しても電気抵抗が無視してよいほど非常に低い。
【0034】
気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34はそれぞれ箱体50内の中空50aに支持体50bに支持されながら収められている。箱体50の内壁には輻射シールド膜51が形成されており、輻射シールド膜51は電磁波に対して高い反射性を有している。箱体50の外壁にも輻射シールド膜52が形成されている。輻射シールド膜51,52が箱体50に形成されているため、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34で発した電磁波がそれぞれ箱体50外へほとんど伝播せずに、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34へ反射し、熱輻射が抑えられている。
【0035】
箱体50内の中空50aは、気圧が非常に低く、真空圧となっている。中空50aが真空圧となっているため、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34から箱体50外へ放熱することが抑えられている。また、中空50aが真空となっているため、中空50aに対流が生じず、熱が気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34から伝達することが抑えられている。
【0036】
気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34から導き出た各リード線48,49は箱体50を貫通し、箱体50の外部へと導き出ている。更に、管44,45も箱体50を貫通し、箱体50の外部へと導き出ている。図4では、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34は、各支持体50bによってそれぞれ支持されて、それぞれの箱体50の内壁から離れている。気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34からそれぞれの箱体50の内壁が離れているため、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34からそれぞれの箱体50へ熱伝導することが抑えられている。
【0037】
次に、図6を用いて、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34を駆動するための電気系統について説明する。図6は、本発明に係る熱処理装置について具体的態様を示した全体図である。
直流の電源部60が箱体50の外部に設けられており、リード線48,リード線49が電源部60の端子に接続されており、電源部60は、リード線48,49を通じて発熱抵抗膜47に電力を供給するものである。また、電源部60は、制御部70からの制御信号に応じて発熱抵抗膜47に供給する電力を変更できる機能を有している。例えば、電源部60によって印加される電圧が一定であれば、電源部60はリード線48,49に流す電流を変更でき、電源部60によって流れる電流が一定であれば、電源部60はリード線48−リード線49に印加する電圧を変更できる。もちろん、電源部60が、電圧と電流の両方を変更できても良い。
【0038】
また、電源部60によって発熱抵抗膜47に印加される電圧が一定であれば、電源部60は発熱抵抗膜47に流す電流を測定し、電源部60によって流れる電流が一定であれば、電源部60は発熱抵抗膜47に印加する電圧を測定する。もちろん、電源部60が、電圧とともに電流を測定しても良い。
【0039】
電源部60から発熱抵抗膜47に印加する電圧及び発熱抵抗膜47に流れる電流が測定されると、電源部60において発熱抵抗膜47の電気抵抗を検知することができる。発熱抵抗膜47の電気抵抗が温度に依存するため、電源部60によって測定された電圧及び電流から発熱抵抗膜47の温度を算出することができ、結果としてマイクロ流路43の温度を算出することができる。
【0040】
電源部60の電力は制御部70によって制御されるが、電源部60によって流れる電流が一定である場合には制御部70は電源部60の電圧のみを制御し、電源部60によって印加される電圧が一定であれば制御部70が電源部60の電流のみを制御することで抵抗を測定する。
【0041】
また、電源部60で検知された電気抵抗が制御部70にフィードバックされるが、電源部60によって流れる電流が一定であれば、測定された電圧のみが制御部70にフィードバックされても良いし、電源部60によって印加される電圧が一定であれば、測定された電流のみが制御部70にフィードバックされても良い。電圧のみがフィードバックする場合には、制御部70においては電源部60の定電流のレベルが記憶されており、電流のみがフィードバックする場合には、制御部70においては電源部60の定電圧のレベルが記憶されている。これにより、制御部70において発熱抵抗膜47の電気抵抗が認識され、結果として発熱抵抗膜47の温度が認識される。
【0042】
この制御部70は、基本的には、電源部60で測定された電流及び電圧を表す信号に基づき、電源部60の電力を調整するが、汎用のCPU(central processing unit)等からなる演算処理装置、又は、専用の論理回路を有し、電源部60からの信号を処理して電源部60を制御するものである。また、制御部70は、フィードバックした電流及び電圧からオームの法則より発熱抵抗膜47の電気抵抗を算出する処理を行え、更に、発熱抵抗膜47の電気抵抗から発熱抵抗膜47の温度を算出する処理を行える。発熱抵抗膜47とマイクロ流路43が熱平衡となっていれば、発熱抵抗膜47の温度がマイクロ流路43内の温度に等しい。
【0043】
次に、発電システム1の動作の一例について説明する。
まず、制御部70から改質手段3を駆動するための制御信号が電源部60に入力されると、電源部60から気化器31の発熱抵抗膜47、水蒸気改質反応器32の発熱抵抗膜47、水性シフト反応器33の発熱抵抗膜47、選択酸化反応器34の発熱抵抗膜47それぞれには、加熱するための電力がそれぞれのリード線48,49を介して供給され、それぞれの発熱抵抗膜47が所定の温度になるように発熱する。電源部60においては、これら全ての発熱抵抗膜47に印加する電圧及び発熱抵抗膜47に流れる電流が常に測定され(但し、電源部60が定電圧であれば電流のみでも良いし、電源部60が定電流であれば電圧のみでも良い。)、測定された電圧及び電流を表す信号が電源部60から制御部70へ常に入力される。
【0044】
またこのとき、燃料容器2から気化器31に燃料9が供給され、気化器31において燃料9が蒸発し、気化器31内の気圧が大きくなって、対流が生じる。従って、メタノールと水の混合気が、気化器31から水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34、燃料電池4の順に自然に流れる。
【0045】
水蒸気改質反応器32においては、混合気が供給管44から排出管45へとマイクロ流路43を流れる。混合気がマイクロ流路43を流れている時には、混合気が発熱抵抗膜47で加熱される。そして、混合気が改質触媒膜46によって促進されて、混合気が上記化学反応式(1)・(2)のような反応を起こす。上記化学反応式(1)は吸熱反応であるため、混合気が発熱抵抗膜47によって加熱されることで、その反応速度が非常に速い。
【0046】
水性シフト反応器33においては、混合気が発熱抵抗体47で加熱されて上記化学反応式(3)のような反応を起こし、選択酸化反応器34においても同様に、混合気が発熱抵抗膜47によって加熱されて上記化学反応式(4)のような反応を起こす。そして、改質手段3で改質されて得た水素が供給された燃料電池4で電気化学反応が起きて、電気エネルギーが生成される。
【0047】
制御部60は、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33及び選択酸化反応器34を別個に温度制御する。
【0048】
詳細には、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33及び選択酸化反応器34の何れでも、発熱抵抗膜47の電圧及び電流を表す信号が電源部60から制御部70に適宜入力されているから、制御部70においては気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34それぞれの発熱抵抗膜47の電気抵抗が認識され、結果としてそれぞれの発熱抵抗膜47の温度が制御部70において認識される。つまり、気化器31の発熱抵抗膜47の抵抗を含む情報はリード線48,49を介して電源部60に伝達され、測定信号として制御部70に入力され、水蒸気改質反応器32の発熱抵抗膜47の抵抗を含む情報はリード線48,49を介して電源部60に伝達されるとともに測定信号として制御部70に入力され、水性シフト反応器33の発熱抵抗膜47の抵抗を含む情報はリード線48,49を介して電源部60に伝達されるとともに測定信号として制御部70に入力され、選択酸化反応器34の発熱抵抗膜47の抵抗を含む情報はリード線48,49を介して電源部60に伝達されるとともに測定信号として制御部70に入力される。このように気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34それぞれが所定の温度で安定するように、適宜測定信号がフィードバッグされる。
【0049】
そして、制御部70はそれぞれの発熱抵抗膜47の温度を調整する処理を行う。例えば、発熱抵抗膜47の温度が上閾値温度より高くなった場合、電源部60から発熱抵抗膜47に供給される電力を現在の電力より小さくなるように制御部70が電源部60を制御し、発熱抵抗膜47の温度が下閾値温度(但し、上閾値温度以下である。)より低くなった場合には、電源部60から発熱抵抗膜47に供給される電力を現在の電力より大きくなるように制御部70が電源部60を制御する。電源部60から発熱抵抗膜47に供給される電力が制御部70によって調整されることで、発熱抵抗膜47の温度が下閾値温度と上閾値温度との間に保たれる。制御部70は、このような制御を気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34それぞれ別個に行う。つまり、水蒸気改質反応器32の場合には、化学反応式(1)の反応速度が最も速くなるときの温度が、上閾値温度と下閾値温度との間になっているように、上閾値温度と下閾値温度が制御部70に設定されている。水性シフト反応器33の場合には、化学反応式(3)の反応速度が最も速くなるときの温度が、上閾値温度と下閾値温度との間になっているように、上閾値温度と下閾値温度が制御部70に設定されている。選択酸化反応器34の場合には、化学反応式(4)の反応速度が最も速くなるときの温度が、上閾値温度と下閾値温度との間になっているように、上閾値温度と下閾値温度が制御部70に設定されている。なお、発熱抵抗膜47の温度を、発熱抵抗膜47に流れる電流(但し、電源部60が定電圧)で換算しても良いし、発熱抵抗膜47に印加される電圧(但し、電源部60が定電流)で換算しても良いし、電圧と電流の両方で換算しても良い。
【0050】
以上のように本実施形態では、発熱抵抗膜47の温度状態に応じた電流及び電圧を測定して発熱抵抗膜47の電気抵抗を算出し、電気抵抗から一義的に定まる温度と所望の適温との間に差が生じた場合は、発熱抵抗膜47に流れる電流及び印加される電圧を変化させて適温範囲に制御するように、発熱抵抗膜47が加熱手段と温度センサを兼ねているので発熱抵抗膜47から露出された配線がリード線48,49のみで動作できる。つまり、電源部60から発熱抵抗膜47に電力がリード線48,49を通じて供給されるとともに、発熱抵抗膜47に印加された電圧及び発熱抵抗膜47に流れる電流がリード線48,49を通じて測定される。リード線48,49が電力供給用の配線と、発熱抵抗膜47の温度測定用の配線を兼ねているから、マイクロ流路43内の温度測定用の配線を別途設けてマイクロ流路43内から箱体50の外部へ導く必要がない。従って、本実施形態では従来に比較しても熱伝導性のよい配線を少なくすることができ、配線を通じての熱損失が低減する。
【0051】
また、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34が小さくなるにつれて配線を通じての熱損失の割合が大きくなるが、本実施の形態ではマイクロ流路43から箱体50の外部へ導き出た配線がリード線48,49のみであるため、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34を小型化してもリード線48,49を通じての熱損失の割合がそれ程大きくならない。従って、熱損失の観点から、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34は小型化するのに適している。
【0052】
また、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34それぞれの発熱抵抗膜47が、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34それぞれのマイクロ流路43内の混合気を加熱することと、それぞれのマイクロ流路43内の温度を測定することを兼ねているため、温度測定用の素子をマイクロ流路43内に設ける必要がない。そのため、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34の製造工程が簡略化される。
【0053】
また、熱電対は二つの接点の温度差を測定するものであるため、反対側の接点を零点補正しなければならない。そのため、従来では温度測定部111の回路構成が複雑であるが、本実施形態では零点補正をせずともマイクロ流路43内の温度を測定することができるから、電源部60において電圧又は電流を測定するための回路構成が温度測定部111の回路構成に比較しても簡略である。
【0054】
また、発熱抵抗膜47の成分元素にTa、Si、O及びNが含まれているため、発熱抵抗膜47が非常に高抵抗で発熱体として機能する。また、発熱抵抗膜47の成分元素にTa、Si、O及びNが含まれているため、0℃から約300℃の範囲ではk℃から100℃上昇したときの抵抗の温度係数R(k+100)/R(k)の変化率が−2%〜−7%の範囲内にあり温度センサとして適している。電気抵抗率の変化率が大きくなりすぎると、発熱抵抗膜47に与える電力を調整することでマイクロ流路43の温度を調整することが難しく、電気抵抗の変化率が小さすぎると、発熱抵抗膜47でマイクロ流路43の正確な温度を測定することが難しい。
【0055】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、改質手段3で熱処理して反応させる混合気がメタノールと水蒸気であったが、水素元素を含むものであればよく、その他のアルコール類と水蒸気の混合気であっても良いし、ガソリンと水の混合気であっても良い。但し、混合気の種類に応じて、改質触媒膜46の種類も変更するのが望ましい。
【0056】
また、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34内に形成された内部空間がマイクロ流路43であったが、単に空洞状のチャンバーであっても良い。
【0057】
また、上記実施形態では、気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34のそれぞれを箱体50で封止して積層しているため、供給管44及び排出管45が計八本露出し、そこから外に熱が漏れることになるが、一組の基板41,42に気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34を全て設けて一つの箱体50内に封止すれば、改質手段3全体で箱体50から露出される供給管44及び排出管45を計二本でよい。また気化器31、水蒸気改質反応器32、水性シフト反応器33、選択酸化反応器34が積層した状態で一つの箱体50で封止してもよい。
また上記実施形態では副生成物である一酸化炭素を除去する手段として水性シフト反応器33と選択酸化反応器34との両方を適用したが、一酸化炭素の濃度を十分に毒性が低い程度にすることができるのであれば、いずれか一方のみでもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、電力供給手段によって発熱抵抗体に流れる電流と、電力供給手段によって発熱抵抗体に印加される電圧とが測定手段によって測定されると、発熱抵抗体の電気抵抗を検知ことができる。発熱抵抗体の電気抵抗が温度に依存するため、発熱抵抗体の電気抵抗から発熱抵抗体の温度を求めることができ、結果として、内部空間の温度を測定することができる。従って、熱処理炉の内部空間に温度測定専用の素子を熱処理炉の内部空間に設ける必要がなく、更に、温度測定専用の配線を熱処理炉から外部へ導く必要がない。そのため、従来に比較しても、熱処理炉の内部空間から外部へ導き出ている配線が少なくなり、熱処理炉からの熱損失が低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱処理装置を適用した発電システム1の基本構成を示したブロック図。
【図2】発電システム1の略内部構造を示す斜視図。
【図3】前記発電システムに備わった気化器、水蒸気改質反応器、水性シフト反応器、選択酸化反応器を示した斜視図。
【図4】前記気化器、前記水蒸気改質反応器、前記水性シフト反応器、前記選択酸化反応器を示した断面図。
【図5】前記気化器、前記水蒸気改質反応器、前記水性シフト反応器、前記選択酸化反応器に備わった発熱抵抗膜の電気抵抗と温度との関係を示したグラフ。
【図6】本実施形態における熱処理装置を示したブロック図。
【図7】従来の改質器を示した図面。
【符号の説明】
1   発電システム(熱処理装置)
31   気化器(熱処理炉)
32   水蒸気改質反応器(熱処理炉)
33   水性シフト反応器(熱処理炉)
34   選択酸化反応器(熱処理炉)
43   マイクロ流路(内部空間)
47   発熱抵抗膜(発熱抵抗体)
48,49   リード線
60   電源部(電力供給手段、測定手段)
70   制御部(制御手段)

Claims (3)

  1. 被熱処理原料が供給される内部空間を形成した熱処理炉と、
    電力の付与によって発熱し、電気抵抗が温度に依存し、前記内部空間に配された発熱抵抗体と、
    前記発熱抵抗体に電力を供給する電力供給手段と、
    前記電力供給手段から前記発熱抵抗体に供給される電力によって前記発熱抵抗体に流れる電流又は前記発熱抵抗体に印加された電圧のうちの少なくとも一方を測定することによって前記発熱抵抗体の電気抵抗を検知する測定手段と、を備えることを特徴とする熱処理装置。
  2. 前記測定手段によって検知された電気抵抗に基づき、前記電力供給手段から前記発熱抵抗体に供給する電力を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  3. 前記発熱抵抗体は、k℃から100℃上昇したときの電気抵抗の温度係数R(k+100)/R(k)の変化率が−2%〜−7%であるか又は3%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理装置。
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