JP2004073246A - 洗濯機 - Google Patents

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Haruo Mamiya
間宮 春夫
Yasuyuki Horibe
堀部 泰之
Sukehito Ozeki
尾関 祐仁
Katsuji Onishi
大西 勝司
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Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

【課題】標準量よりも少ない量の洗剤で良好な洗いを実現する。
【解決手段】「洗剤半分コース」の洗い行程では、たとえば、浸透水位21Lの水に標準量の1/2の量の洗剤20gが投入されることにより高濃度の洗濯水が生成される。そして、洗濯槽2内にごく弱い浸透水流が形成されるとともに、高濃度の洗濯水が循環水拡散部材64から洗濯物に降り注がれることにより、高濃度の洗濯水に洗濯物が漬け置かれる(浸透行程)。次に、洗濯槽2内の水位が第1洗い水位36Lまで上げられ、その後、水位が段階的に上げられつつ、洗濯槽2内に相対的に弱い第1洗い水流が形成されるとともに、循環水拡散部材64から洗濯槽2内の洗濯物に洗濯水が降り注がれることによる洗いが行われる(第1洗い行程)。その後さらに、洗濯槽2内の水位が設定水位59Lまで上げられて、相対的に強い第2洗い水流による洗いが実行される(第2洗い行程)。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、洗濯物を収容した洗濯槽内に水流を発生させて、洗濯物の洗いを行う洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、洗濯物を収容した洗濯槽内に水流を発生させて、洗濯物の洗いおよびすすぎを行う洗濯機が広く知られている。この種の洗濯機では、洗い時には、洗濯槽内に洗濯物の量に応じた水位まで水が溜められ、その水位(水量)に応じた量の洗剤を使用者が投入することになっている。水位に応じた洗剤量は、一定以上の洗い性能を発揮できる量に決められており、洗濯機および洗剤の種類によって若干異なるが、一般的な家庭用渦巻式洗濯機では、たとえば、水30リットルに対して市販のコンパクト洗剤20g程度が適当(標準量)とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、環境汚染の問題がクローズアップされており、洗濯排水による川や湖の水質汚濁が懸念されている。洗濯排水による川や湖の水質汚濁を抑制するためには、洗濯に使用する洗剤量を減らして、洗濯排水に含まれる洗剤の量を少なくすればよいが、従来の洗濯機において、洗い時に投入する洗剤の量を標準量よりも少なくすると、十分な洗い性能を発揮できず、洗濯物に付着している汚れを良好に落とすことができない。
【0004】
そこで、この発明の目的は、標準量よりも少ない量の洗剤で良好な洗い性能を発揮できる洗濯機を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、洗濯物および洗濯水を収容することのできる洗濯槽(2)と、この洗濯槽内に溜められている洗濯水を汲み出し、その汲み出した洗濯水を上方から洗濯物に降り注ぐ洗濯水循環手段(61,62,63,64)と、上記洗濯槽内に収容されている洗濯物の量に応じた水位を設定する標準水位設定手段(44,100)と、この標準水位設定手段によって設定された水位よりも低い第1の洗い水位まで洗濯水を溜めた後、洗濯水に相対的に弱い第1の洗い水流を形成しつつ、上記洗濯水循環手段を制御して洗濯水を上記洗濯槽内の洗濯物に降り注ぐことにより、洗濯物の洗いを実行する第1の洗い実行手段(23,100)と、上記第1の洗い水位から上記標準水位設定手段によって設定された水位まで給水した後、洗濯水に相対的に強い第2の洗い水流を形成して、洗濯物の洗いを実行する第2の洗い実行手段(23,100)とを含むことを特徴とする洗濯機である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0006】
この洗濯機では、洗いに使用する洗剤は、上記標準水位設定手段によって設定された水位に応じた標準的な洗剤量(標準量)よりも少ない量でよい。ここで、標準的な洗剤量とは、たとえば、市販のコンパクト洗剤の場合、水30リットルに対してコンパクト洗剤20g程度である。
この発明によれば、標準量よりも少ない量の洗剤で洗濯物をきれいに洗うことができる。なぜなら、第1の洗い実行手段による洗濯物の洗い時における水位は、標準水位設定手段によって設定された水位よりも低い第1の洗い水位であるから、第1の洗い水位を適当に設定すれば、洗剤の量を標準量よりも少なくしても、洗濯水の濃度を標準水位設定手段によって設定された水位の水に標準量の洗剤を溶かした時の濃度よりも濃くすることができ、この濃度の濃い洗濯水で洗濯物を洗うことができるからである。
【0007】
また、使用洗剤量が少なければ、標準量の洗剤を使用した洗いを行った場合に比べて、洗濯物のすすぎ(洗い行程後のすすぎ行程)で費やす水量および時間を少なくすることができ、洗濯運転全体として運転時間の短縮を図ることができる。
なお、第1の洗い水流は、弱い水流であるから、洗濯槽内の水位が低くても、いわゆる布傷みを生じるおそれがない。
【0008】
また、洗濯槽内の水位が低く、かつ、水流が弱いことにより、洗濯物の上下の入れ替わりが不十分であっても、洗濯槽内の洗濯物に洗濯水が降り注がれることにより、洗濯水の水面上に浮き上がっている洗濯物から汚れを落とすことができ、洗濯物の洗いむらを少なくすることができる。
さらに、第1の洗い実行手段による洗いの後には、洗濯物の量に応じた水位まで給水されて、その水位で相対的に強い第2の洗い水流による洗いが行われるので、この洗い時には洗濯物の上下を上手く入れ替えることができ、これにより、たとえ第1の洗い実行手段による洗い後の洗濯物に洗いむらが生じていても、その洗いむらを解消することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、上記第1の洗い実行手段による洗濯物の洗いが実行される前に、上記第1の洗い水位以下の浸透水位まで洗濯水を溜めて、上記洗濯水循環手段を制御して洗濯水を上記洗濯槽内の洗濯物に降り注ぐことにより、洗濯物の漬け置きを実行する漬け置き実行手段(100)をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の洗濯機である。
この発明によれば、第1の洗い水位以下の浸透水位まで溜められた水に所定量の洗剤を溶かすことによって生成された洗濯水に洗濯物が漬け置きされ、このとき洗濯水が洗濯物に振りかけられることにより、洗濯水を洗濯物にむらなく浸透させることができ、洗濯物から汚れを浮き出させることができる。ゆえに、この漬け置きの後に、第1および第2の洗い実行手段による洗いを実行することにより、洗濯物をより一層きれいに洗うことができる。
【0010】
なお、洗濯物の漬け置きが行われる場合には、この漬け置きによって洗濯物から汚れが浮き出すので、第1の洗い実行手段による洗い時の洗濯水の濃度を、標準水位設定手段によって設定された水位の水に標準量の洗剤を溶かした時の濃度よりも濃くしなくてもよい。
請求項3記載の発明は、洗濯物および洗濯水を収容することのできる洗濯槽(2)と、この洗濯槽内に収容されている洗濯物の量に応じた水位を設定する標準水位設定手段(44,100)と、この標準水位設定手段によって設定された水位よりも低い浸透水位まで洗濯水を溜めて、洗濯物の漬け置きを実行する漬け置き実行手段(100)と、上記浸透水位から上記浸透水位以上であって上記標準水位設定手段が設定した水位よりも低い第1の洗い水位まで給水した後、洗濯水に相対的に弱い第1の洗い水流を形成して、洗濯物の洗いを実行する第1の洗い実行手段(23,100)と、上記第1の洗い水位から上記標準水位設定手段によって設定された水位まで給水した後、上記洗濯槽内の洗濯水に相対的に強い第2の洗い水流を形成して、洗濯物の洗いを実行する第2の洗い実行手段(23,100)とを含むことを特徴とする洗濯機である。
【0011】
この発明によれば、洗濯物の漬け置きが行われることにより、高濃度の洗濯水が洗濯物に浸透し、その浸透した洗濯水により、洗濯物に付着している汚れが分解されて浮き出す。そして、その洗濯物から浮き出した汚れが、第1および第2の洗い実行手段による洗い時に洗い落とされることにより、洗剤使用量が標準量よりも少なくても、洗濯物をきれいに洗うことができる。
また、使用洗剤量が少ないので、標準量の洗剤を使用した洗いを行った場合に比べて、洗濯物のすすぎ(洗い行程後のすすぎ行程)で費やす水量および時間を少なくすることができ、洗濯運転全体として運転時間の短縮を図ることができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、上記漬け置き実行手段による洗濯物の漬け置きの実行中に、上記洗濯槽内に溜められている洗濯水を上方から洗濯物に降り注ぐ手段(51,52,53,54,100)をさらに含むことを特徴とする請求項3記載の洗濯機である。
この発明によれば、水位が低いために洗濯物全体が洗濯水に漬からない場合であっても、洗濯水が洗濯物に上方から降り注がれることにより、洗濯水の水面上に浮き上がっている洗濯物に洗濯水を浸透させることができる。
【0013】
請求項5記載の発明は、上記第1の洗い実行手段による洗濯物の洗いの実行中に、上記洗濯槽内に溜められている洗濯水を上方から洗濯物に降り注ぐ手段(51,52,53,54,100)をさらに含むことを特徴とする請求項3または4記載の洗濯機である。
この発明によれば、洗濯槽内の水位が低く、かつ、水流が弱いことにより、洗濯物の上下の入れ替わりが不十分であっても、洗濯槽内の洗濯物に洗濯水が降り注がれることにより、洗濯水の水面上に浮き上がっている洗濯物から汚れを落とすことができ、洗濯物の洗いむらを少なくすることができる。
【0014】
請求項6記載の発明は、上記漬け置き手段による洗濯物の漬け置きの実行中に、洗濯水に上記第1の洗い水流よりもさらに弱い浸透水流を形成する手段(23,100)をさらに含むことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の洗濯機である。
この発明によれば、浸透水流の効果によって、洗濯水に漬かっている洗濯物に洗濯水を良好に浸透させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機の構成を一部簡略化して示す左断面図である。また、図2は、図1に示す洗濯機の上面を部分的に切り欠いて示す図であり、図3は、図1に示す洗濯機の右側面を一部切り欠いて示す図である。この洗濯機は、上面に開口11を有する箱形のハウジング1内に、洗濯物および洗濯水を収容可能な洗濯槽2が正面側に傾けて設けられた洗濯槽傾斜タイプの洗濯機である。洗濯槽傾斜タイプの洗濯機の利点の1つは、洗濯槽2が傾斜していることにより、使用者が洗濯槽2内の底部を視認しやすく、洗濯槽2内から洗濯物を取り出しやすいことである。
【0016】
ハウジング1の上面の開口11は、洗濯槽2内に対して洗濯物を出し入れするための開口である。開口11には、開閉可能な蓋12が設けられており、洗濯物の出し入れは蓋12を開いて行い、運転中(洗濯実行中)は蓋12を閉めておくようになっている。
ハウジング1の上面には、開口11の手前側に、複数の操作キーや表示器を配列した操作パネル13が設けられている。また、開口11の奥側には、外部の水道設備に至る給水ホースを接続するための給水ホース接続口14が設けられている。この給水ホース接続口14からは、ハウジング1の内部に向かって給水路31が延びている。給水路31の先端は、洗濯槽2の上方で開口することにより給水口32をなしている。給水路31の途中部には、給水弁33が介装されており、この給水弁33を開くと、上記給水ホースを介して供給されてくる水が、給水路31を通って給水口32に至り、給水口32から洗濯槽2内に向けて放水されるようになっている。
【0017】
洗濯槽2は、図示しない吊り棒でハウジング1から吊り下げられた外槽21と、この外槽21内に同軸に設けられたステンレス製の内槽22とを含む。内槽22の円筒状の周面には、多数の小孔221が形成されており、給水口32からの給水は、内槽22内に流入し、多数の小孔221を介して、外槽21内に溜められるようになっている。内槽22の底部には、外槽21内に溜められた水を攪拌して水流を発生させるためのパルセータ23が配設されている。
【0018】
外槽21の外底面には、軸受部41が設けられており、この軸受部41には、内槽22およびパルセータ23を支持するための回転軸42が回転自在に保持されている。回転軸42は、内槽軸421内に翼軸422を回転自在に挿通した2重シャフトの形態をなしていて、内槽軸421の先端が内槽22の底面に接続され、翼軸422の先端がパルセータ23に接続されている。
軸受部41には、たとえば、3相ブラシレスDCモータからなるモータ43の回転が入力されるようになっている。また、軸受部41には、モータ43の回転を翼軸422のみに伝えるか、内槽軸421と翼軸422との両方に伝えるかを切り換えるためのクラッチと、モータ43の回転が翼軸422のみに伝えられる場合に、そのモータ43の回転を予め定める減速比(たとえば、6.4)で減速するための減速機構とが備えられている。この構成により、パルセータ23のみをモータ43の回転数の上記減速比分の1の回転数で回転させることができ、また、内槽22およびパルセータ23をモータ43の回転数と同じ回転数で一体的に回転させることができる。
【0019】
外槽21の底面の最も低い位置には、外槽21内に溜められた水を排水するための排水路51が接続されている。排水路51の先端は、たとえば、ハウジング1の側面に形成された排水ホース接続口52に接続されている。また、排水路51の途中部には、外槽21からの排水を制御するための排水弁53が介装されている。排水弁53を閉じた状態で、外槽21内に水を溜めることができ、排水弁53を開くことにより、外槽21内に溜められた水を、排水路51および排水ホース接続口52に接続された排水ホースを通して排水することができる。
【0020】
洗濯槽2の下方には、循環ポンプ61が備えられている。循環ポンプ61の吸込口には、排水路51の排水弁53よりも上流側の部分から分岐した吸水管62が接続されている。一方、循環ポンプ61の吐出口には、送水管63が接続されている。送水管63は、洗濯槽2の上方まで延びて、先端が開口11の正面側縁部付近に配設された循環水拡散部材64に接続されている。この構成により、洗濯槽2(外槽21)内に水が溜められた状態で循環ポンプ61を駆動させると、洗濯槽2内の水が送水管63を通って汲み出され、その汲み出された水が送水管63を通って循環水拡散部材64に供給される。
【0021】
循環水拡散部材64は、洗濯槽2内に臨む放水口641を有しており、送水管63から循環水拡散部材64に供給された水は、その放水口641から洗濯槽2内に向けて放水される。すなわち、洗濯槽2内に水が溜められた状態で循環ポンプ61を駆動させると、洗濯槽2内に溜められた水が、吸水管62、送水管63および循環水拡散部材64で構成される循環水路を通って循環することになる。また、循環水拡散部材64は、放水口641から放水される循環水が内槽22内に向けて扇状に拡がるように形成されている。ゆえに、この循環水拡散部材64が設けられていることにより、洗濯槽2内の広い範囲に放水口641からの放水をかけることができる。
【0022】
外槽21の外周面下部には、洗濯槽2内に溜められた水を取り込んで電気分解するための電解槽7が取り付けられている。電解槽7は、薄型の箱状に形成されており、その内部は、正面から見て右側端部の上下2カ所で、それぞれ通水路71,72により洗濯槽2内と連通している。したがって、外部の水道設備から供給される水道水または風呂から汲み上げられた残り水(風呂に利用された水道水)などが洗濯槽2内に溜められると、その溜められた水が通水路71,72を通って電解槽7内に流入する。
【0023】
電解槽7内には、3枚の平行平板電極73,74,75が、電極73の平面を通水路71,72に対向させた状態で配置されている。3枚の平行平板電極73,74,75には、互いに対向する2つの電極が逆極性となるように直流電圧が印加される。すなわち、両端の電極73,75が陽極となり、中央の電極74が陰極となるように電圧が印加されるか、または、中央の電極74が陽極となり、両端の電極73,75が陰極となるように電圧が印加される。平行平板電極73,74,75に電圧が印加されると、各電極73,74,75間の水に電流が流れて、水(水道水)に含まれるHOと塩素成分との化学反応が起こり、各電極73,74,75間で、除菌力を有する次亜塩素酸(HClO)や汚れを分解する力を有する活性酸素(O )を含む電解水が生成される。
【0024】
電解槽7の底面には、正面から見て左端部付近に、電解槽7内で生成された電解水を吸水管62へ導くための電解水吸込管76が接続されている。電解水吸込管76は、先端が吸水管62に介装されたY字継手の枝管に接続されることにより、吸水管62を流れる水の方向に対して斜めに合流するように吸水管62に接続されている。この構成により、電極73,74,75に電圧を印加した状態で循環ポンプ61を駆動すると、外槽21内から汲み出されて送水管63を通る水に、電解槽7内で生成された電解水が電解水吸込管76を通って混入し、その電解水の混入した水が循環水拡散部材64から洗濯槽2内に向けて放水される。また、電解水吸込管76内の電解水が吸い出されることにより、洗濯槽2内から通水路71,72を通って電解槽7内に新たな水が流入する。この流入した水は、各電極73,74,75間を通り、その際に電解水となって、電解水吸込管76へと流出する。
【0025】
なお、電解水吸込管76は、吸水管62よりも内径の小さな管(たとえば、内径3.3mm)であって、この電解水吸込管76には、たとえば、吸水管62を流れる水の流量が毎分6〜8リットルの場合に、毎分1〜2リットルの電解水が流れるようになっている。これにより、各電極73,74,75間を通る水の流量が各電極73,74,75間における電解水の生成に適した流量となり、電解槽7内において電解水を良好に生成することができる。
【0026】
この洗濯機はさらに、少量(乾燥重量2kg程度)の洗濯物を乾燥させたり、洗濯運転後の洗濯槽2内を乾燥させたりする機能を有しており、図3に示すように、ハウジング1の右内側面には、その乾燥機能のための乾燥ユニット8が取り付けられている。ハウジング1の右側面下部には、正面側寄りの位置に空気を取り込むための吸気口15が形成されており、乾燥ユニット8は、その吸気口15から取り込まれる空気が流通する吸気ダクト81と、この吸気ダクト81の終端に接続されたブロワ82と、このブロワ82から送り出される空気を加熱するためのヒータ83と、ヒータ83の加熱により生成された温風が流通する温風ダクト84と、温風ダクト84を流通してくる温風を洗濯槽2内に導入するための導入部材85とを備えている。また、ハウジング1の右外側面には、吸気口15に塵埃が吸い込まれるのを防止するためのフィルタ86が着脱自在に取り付けられている。さらに、ヒータ83に関連して、このヒータ83による異常加熱を防止するためのサーモスタット87が設けられている。
【0027】
図4は、この洗濯機の電気的構成を示すブロック図である。この洗濯機は、商用交流電源からの交流電圧(AC100V)を所定電圧に降圧するためのトランス91と、このトランス91で降圧された交流電圧を直流電圧に変換するための交流−直流変換回路92とを備えており、電極73,74間および電極74,75間に印加される直流電圧は、その交流−直流変換回路92で作成されるようになっている。
【0028】
交流−直流変換回路92で作成される直流電圧は、さらに所定のマイコン動作電圧(DC5V)まで降圧されて、CPU、RAM、ROMおよびA/D変換器などを有するマイクロコンピュータ100に動作電圧として与えられるようになっている。
マイクロコンピュータ100には、操作パネル13が接続されており、この操作パネル13に配列された操作キーからの出力信号が与えられるようになっている。また、マイクロコンピュータ100には、洗濯槽2内の水位を検出する水位センサ24の検出信号が与えられるようになっている。水位センサ24には、たとえば、外槽21の底部に接続されたエアホース内の空気圧の変化に基づいて、洗濯槽2内の水位を無段階に検出できる構成のものが採用されている。さらにまた、マイクロコンピュータ100には、モータ43の回転角を検出する回転角センサ44の検出信号が与えられるようになっている。
【0029】
マイクロコンピュータ100は、操作パネル13や水位センサ24、回転角センサ44からの入力信号に基づいて、駆動回路101を介して、給水弁33、モータ43、トルクモータTM、循環ポンプ61、ブロワモータ821およびヒータ83の駆動を制御し、また、電解用駆動回路102を介して、電極73,74,75への直流電圧の印加を制御することにより、操作パネル13で設定された運転コースを実現する。操作パネル13で設定可能な運転コースとしては、たとえば、内槽22内に入れられた洗濯物の量に応じた水量および洗剤量で洗濯を実行する「標準コース」、この「標準コース」の約1/2の洗剤量で洗濯を実行する「洗剤半分コース」、脱水後もしくは半乾き状態の少量の洗濯物を乾燥させるための「ちょっと乾燥コース」、および洗濯槽2を洗浄するための「槽洗浄コース」が用意されている。
【0030】
なお、トルクモータTMは、排水弁53の開閉および軸受部41に備えられたクラッチ411の切換え動作の駆動源である。トルクモータTMが動作していないときには、排水弁53は閉じられて、クラッチ411はモータ43の回転をパルセータ23(翼軸422)のみに伝達する側に切り換えられている。そして、トルクモータTMを作動させて、図示しないワイヤを途中まで牽引することにより、排水弁53は閉じたまま、クラッチ411がモータ43の回転を内槽22およびパルセータ23(内槽軸421および翼軸422)の両方に伝える側に切り換えることができ、ワイヤをさらに牽引することにより、クラッチ411はそのままの状態で排水弁53を開くことができる。また、ブロワモータ821は、乾燥ユニット8に備えられたブロワ82の駆動源である。
【0031】
図5は、「洗剤半分コース」の運転動作を説明するためのタイミングチャートである。「洗剤半分コース」では、まず、洗剤が溶け込んだ水(以下「洗濯水」という。)で洗濯物を洗うための洗い行程が行われる。この洗い行程では、「標準コース」の約1/2の洗剤量で洗濯物の洗いを達成することができる。洗い行程の後は、洗濯物を濯ぐためのすすぎ行程と、このすすぎ行程で濯がれた洗濯物を脱水するための脱水行程とが行われる。
【0032】
すすぎ行程では、いわゆるシャワーすすぎ、ためすすぎもしくは注水すすぎ、またはこれらを組み合わせたすすぎ動作が行われることにより、洗い行程後の洗濯物が濯がれる。シャワーすすぎは、洗濯物が収容された内槽22を回転させつつ給水を行って、洗濯物を通過する水で洗剤成分を洗濯物から飛ばす手法である。また、ためすすぎは、洗濯槽2内に所定水位まで水を溜めた状態でパルセータ23を回転させて、これにより生じる水流で洗濯物から洗剤成分を溶け出させる手法であり、注水すすぎは、洗濯槽2へ給水し続けて、外槽21の周面の上部に形成された溢水口(図示せず)から水をオーバーフローさせながら、パルセータ23を左右交互に回転させて、これにより生じる水流で洗濯物から洗剤成分を溶け出させる手法である。
【0033】
なお、すすぎ性能の向上を図るために、すすぎ行程の実行前に、洗い行程後の洗濯水が含浸した洗濯物から洗濯水を脱水するための中間脱水行程が行われてもよい。脱水行程および中間脱水行程における洗濯物の脱水は、洗濯槽2から排水を行った後に、洗濯物を収容した内槽22を一方向に高速回転させることにより達成することができる。
洗い行程は、使用者により操作パネル13が操作されて、「洗剤半分コース」の運転実行が指示されたことに応答して開始される。洗い行程では、まず、マイクロコンピュータ100によって、洗濯槽2内に収容されている洗濯物の量(負荷量)を検出するための負荷量センシングが行われる。この負荷量センシングでは、たとえば、モータ43への給電を一定時間だけ行った後のモータ43(パルセータ23)の惰性回転量が求められる。モータ43の惰性回転量と負荷量との間には一定の関係があるから、この関係に基づいて、モータ43の惰性回転量から負荷量が検出される。
【0034】
つづいて、マイクロコンピュータ100により、負荷量センシングで検出された負荷量に応じた水位が設定される。具体的には、たとえば、10段階の負荷量ランク1〜10と10段階の水位(水量)とが一対一に対応づけて定められており、負荷量センシングで負荷量が検出されると、その検出された負荷量が負荷量ランク1〜10のいずれに属するかが判断される。そして、その検出負荷量の属する負荷量ランクに対応づけられている水位が、検出負荷量に応じた水位として設定される。負荷量ランク1〜10と水位との対応を下記表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 2004073246
【0036】
たとえば、負荷量センシングでの検出負荷量が負荷量ランク10に属する場合には、負荷量ランク10に対応づけられている水位59L(リットル)が、その検出負荷量に応じた水位として設定される。こうして負荷量に応じた水位が設定されると、給水弁33が開かれて、洗濯槽2への給水のための給水行程が開始される。このとき、排水弁53は閉じられており、給水口32から供給される水は洗濯槽2内に溜められていく。
【0037】
また、負荷量センシングによって負荷量が検出されると、その負荷量に応じた洗剤量(洗濯槽2内に投入すべき洗剤量)が、操作パネル13に配置されている表示器に表示される。この「洗剤半分コース」では、「標準コース」で使用する洗剤量の約1/2の洗剤量が、洗濯槽2内に投入すべき洗剤量として表示される。市販のコンパクト洗剤を使用する場合、水30リットルに対してコンパクト洗剤20g程度が標準量であり、たとえば、「標準コース」では、負荷量が負荷量ランク10に属する場合(水位59Lに設定された場合)、洗剤量40gが洗濯槽2内に投入すべき洗剤量として表示されるのに対し、「洗剤半分コース」では、負荷量が負荷量ランク10に属する場合、洗剤量20gが洗濯槽2内に投入すべき洗剤量として表示される。使用者は、操作パネル13の表示器に表示された洗剤量を見て、給水行程中に、その表示された量のコンパクト洗剤を洗濯槽2内に投入する。
【0038】
給水開始から1分間が経過し、かつ、洗濯槽2内の水位が負荷量ランク1に対応づけられている水位14Lよりも低いリセット水位に達すると、循環ポンプ61の駆動が開始される。循環ポンプ61の駆動により、洗濯槽2内の洗濯水が循環水路を通って循環し、洗濯槽2内の洗濯物に循環水拡散部材64の放水口641から放水される洗濯水が降り注がれる。
洗濯槽2内の水位が予め定める浸透水位に達すると、給水行程は終了であり、給水弁33が閉じられる。浸透水位は、負荷量に応じた設定水位以下の水位であり、たとえば、負荷量が負荷量ランク1に属する場合を除いて、負荷量ランク2に対応づけられている水位と同じ水位の21Lに定められている。したがって、負荷量が負荷量ランク7〜10に属する場合、給水行程終了時には、負荷量に応じた設定水位まで溜めた水に標準量の洗剤を溶かした場合よりも濃い洗濯水が洗濯槽2内に溜められている。たとえば、負荷量が負荷量ランク10に属する場合、給水行程終了時には、20gの洗剤が21Lの水に溶けているから、水30リットルに対して洗剤20gを溶かした時の洗濯水の濃度を100%とすると、濃度が約140%の洗濯水が洗濯槽2内に溜められていることになる。
【0039】
給水行程に引き続いて、洗濯物に洗濯水を浸透させて、洗濯物から汚れを浮き出させるための浸透行程が行われる。つまり、この浸透行程は、従来から洗濯物の汚れがひどい場合に任意に行われている、いわゆる洗濯物の漬け置きに相当する。
浸透行程では、モータ43への通電が、ON時間に比べてOFF時間が大幅に長くされたサイクル、たとえば、1秒間正回転ON−10秒間OFF−1秒間逆回転ON−10秒間OFFのサイクルで制御される。また、モータ43の目標回転数が540rpmに設定され、モータ43の加速時には、PWMインバータ制御により、その目標回転数540rpmまで27rpm/20msecの加速度で回転数が上げられていく。このモータ制御により、パルセータ23が左右交互に緩やかに回転される。そして、このパルセータ23の緩やかな回転により、洗濯槽2内には、ごく弱い浸透水流が形成される。さらに、その一方で、浸透行程中は循環ポンプ61が駆動し続けられて、循環水拡散部材64から洗濯槽2内の洗濯物に洗濯水が降り注がれる。これにより、洗濯水に漬かっている洗濯物には、浸透水流の効果によって洗濯水が良好に浸透し、洗濯水の水面上に浮き上がっている洗濯物には、循環水拡散部材64から降り注がれる洗濯水が良好に浸透する。ゆえに、洗濯槽2内の水位が低くても、洗濯槽2内の洗濯物にむらなく洗濯水を浸透させることができ、洗濯物から汚れを良好に浮き出させることができる。また、浸透水流が形成されることにより、たとえ給水行程で投入された洗剤が溶け残っていても、その溶け残っている洗剤を水に溶かし込むことができる。
【0040】
負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク1に属する場合を除いて、浸透行程開始から50秒間が経過した後に、給水弁33が10秒間だけ開かれ、約2Lの水が洗濯槽2内に補給される。この補給水は、浸透工程での布回りの悪化を防止するために行われるものである。つまり、洗濯槽2内に溜められた21Lの洗濯水の一部を洗濯物が吸収することにより、洗濯物が重くなるとともに、洗濯槽2内の水位(水面の位置)が下がると、浸透工程におけるパルセータ23の緩やかな回転では、洗濯物がほとんど動かず、洗濯物への洗濯水の浸透が悪くなるおそれがある。そこで、その水位低下を補うように給水を行うことにより、洗濯物の吸水による布回り(洗濯物の動き)の悪化を防止することができる。この補給水の結果、洗濯槽2内の水位が21Lから23Lに上昇する。
【0041】
また、負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク8〜10に属する場合には、浸透行程開始から一定の浸透時間(たとえば、3分間)が経過したことに応答して給水弁33が開かれる。そして、この給水により洗濯槽2内の水位が上がっていき、洗濯槽2内の水位が第1洗い水位に達すると、給水弁33が閉じられて、浸透行程は終了とされる。第1洗い水位は、たとえば、負荷量センシングで検出された負荷量の属する負荷量ランクよりも5ランク下の負荷量ランクに対応づけられた水位に設定されている。たとえば、負荷量が負荷量ランク10に属する場合、負荷量ランク5に対応づけられた水位36Lが第1洗い水位であり、洗濯槽2内の水位が第1洗い水位36Lに達すると、浸透行程は終了とされる。第1洗い水位まで補給水されることにより、洗濯槽2内の洗濯水は、水30リットルに対して洗剤20gを溶かした時の洗濯水の濃度にほぼ等しい濃度まで薄められる。
【0042】
なお、負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク1〜7に属する場合には、浸透行程開始から上記浸透時間が経過した時点で、浸透行程は直ちに終了とされる。
浸透行程終了後は、つづいて、浸透行程で洗濯物から浮き上がった汚れを落とすための第1洗い行程が開始される。この第1洗い行程では、1分ごとに10秒間の補給水が所定回数(たとえば、負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク10に属する場合は4回、負荷量ランク7〜9に属する場合は2回)行われることにより、洗濯槽2内の水位が段階的に上げられる。そして、その一方で、負荷量センシングで検出された負荷量の属する負荷量ランクに応じて、以下のように異なる態様でモータ43が制御される。
【0043】
負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク9,10に属する場合には、モータ43への通電が1.2秒間正回転ON−0.5秒間OFF−1.2秒間逆回転ON−0.5秒間OFFのサイクルで制御される。また、モータ43の目標回転数が720rpmに設定され、モータ43の加速時には、PWMインバータ制御により、その目標回転数720rpmまで29rpm/20msecの加速度で回転数が上げられていく。
【0044】
負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク7,8に属する場合には、モータ43への通電が1秒間正回転ON−0.6秒間OFF−1秒間逆回転ON−0.6秒間OFFのサイクルで制御される。また、モータ43の目標回転数が660rpmに設定され、モータ43の加速時には、PWMインバータ制御により、その目標回転数660rpmまで22rpm/20msecの加速度で回転数が上げられていく。
【0045】
負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク5,6に属する場合には、モータ43への通電が1秒間正回転ON−0.7秒間OFF−1秒間逆回転ON−0.7秒間OFFのサイクルで制御される。また、モータ43の目標回転数が600rpmに設定され、モータ43の加速時には、PWMインバータ制御により、その目標回転数600rpmまで17rpm/20msecの加速度で回転数が上げられていく。
【0046】
負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク1〜4に属する場合には、モータ43への通電が0.8秒間正回転ON−0.7秒間OFF−0.8秒間逆回転ON−0.7秒間OFFのサイクルで制御される。また、モータ43の目標回転数が540rpmに設定され、モータ43の加速時には、PWMインバータ制御により、その目標回転数540rpmまで15rpm/20msecの加速度で回転数が上げられていく。
【0047】
このモータ制御により、パルセータ23が左右交互に回転され、洗濯槽2内には、そのパルセータ23の回転による第1洗い水流が形成される。この第1洗い水流は、浸透水流よりも強い水流であるが、「標準コース」の洗い行程で洗濯槽2内に形成される水流よりも弱い水流である。ゆえに、負荷量に応じた設定水位よりも低い水位であっても、いわゆる布傷みを生じることなく、洗濯物から汚れを落とすことができる。
【0048】
ところが、洗濯槽2内の水位が低く、第1洗い水流が弱い水流であることから、洗濯物の上下の入れ替わりが不十分であり、洗濯物の洗いむらを生じるおそれがある。そこで、第1洗い行程中は、循環ポンプ61が駆動し続けられて、循環水拡散部材64から洗濯槽2内の洗濯物に洗濯水が降り注がれる。これにより、洗濯水の水面上に浮き上がっている洗濯物から汚れを落とすことができ、洗濯物の洗いむらを少なくすることができる。
【0049】
第1洗い行程の開始から一定の第1洗い時間(たとえば、10分間)が経過すると、モータ43の回転制御が中止される。そして、負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク3〜10に属する場合には、給水弁33が開かれて、洗濯槽2への給水が行われる。この給水により洗濯槽2内の水位が上がっていき、洗濯槽2内の水位が所定の第2洗い行程開始水位に達すると、第1洗い行程は終了とされて、第1洗い行程における洗いむらをより一層なくすための第2洗い行程が開始される。第2洗い行程開始水位は、たとえば、負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク8〜10に属する場合は、負荷量ランク8〜10よりもそれぞれ2ランク下の負荷量ランク6〜8に対応づけられた水位に設定され、負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク4〜7に属する場合は、負荷量ランク4〜7よりもそれぞれ1ランク下の負荷量ランク3〜6に対応づけられた水位に設定され、負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク3に属する場合は、その負荷量ランク3に対応づけられた水位に設定されている。
【0050】
第2洗い行程の開始後も、洗濯槽2への給水が所定時間続けられる。たとえば、負荷量センシングで検出された負荷量が負荷量ランク10に属する場合には、洗濯槽2への給水が第2洗い行程の開始後30秒間続けられる。第2洗い行程の開始から所定時間が経過した時点で閉じられた給水弁33は、第2洗い行程の開始から予め定める時間(たとえば、44秒間)が経過した時点で再び開かれ、その後、洗濯槽2内の水位が負荷量に応じた設定水位に達すると閉じられる。
【0051】
その一方で、第2洗い行程では、第2洗い行程の開始から1分間が経過した後に、洗濯物の回転状態(布回り状態)の判定が行われる。この布回り判定は、第2洗い行程でのモータ43の制御態様を決定するために行われるものであり、たとえば、1分ごとに行われる2回の布回り判定の結果に基づいて、モータ43の制御態様が下記表2に示す制御態様1〜5のいずれかに決定される。
【0052】
【表2】
Figure 2004073246
【0053】
この後、洗濯槽2内の水位が負荷量に応じた設定水位に達してから2分間が経過すると、布回り判定の結果に応じて決定された制御態様でモータ43が制御される。たとえば、制御態様1に決定された場合には、モータ43への通電が1.6秒間正回転ON−0.4秒間OFF−1.6秒間逆回転ON−0.4秒間OFFのサイクルで制御される。また、モータ43の目標回転数が780rpmに設定され、モータ43の加速時には、PWMインバータ制御により、その目標回転数780rpmまで39rpm/20msecの加速度で回転数が上げられていく。
【0054】
このモータ制御により、パルセータ23が左右交互に回転され、洗濯槽2内には、そのパルセータ23の回転による第2洗い水流が形成される。この第2洗い水流は、第1洗い水流よりも強い水流であり、「標準コース」の洗い行程で洗濯槽2内に形成される水流と同じ水流である。負荷量に応じた設定水位まで溜められた水に相対的に強い第2水流が形成されることにより、洗濯物の上下を上手く入れ替えることができ、第1洗い行程における洗いむらをより一層なくすことができる。
【0055】
なお、この実施形態では、第2洗い水流による洗い開始時に10秒間だけ補給水が行われる。
また、第2洗い水流による洗い開始と同時に循環ポンプ61が駆動停止され、その後、循環ポンプ61は停止されたままにされる。
第2洗い水流での洗いは、一定の第2洗い時間(たとえば、5分間)だけ行われる。この第2洗い時間に対して、第1洗い時間は長い時間(たとえば、10分間)に設定されている。このような時間配分にされているのは、第1洗い工程は、洗濯物から汚れを落とすことを主たる目的とした洗いであり、第2洗い工程は、第1洗い行程における洗いむらをより一層なくすための補助的な洗いだからである。すなわち、第1洗い工程で洗濯物の汚れの多くを落とし、この第1洗い工程で洗いむらがあった場合に、その洗濯物に残っている汚れを第2洗い工程で落とすことができるように、第1洗い時間および第2洗い時間が適当に設定されている。
【0056】
第2洗い水流による洗いが実行された後の所定時間(たとえば、60秒間)は、ほぐし水流を発生させるために、モータ43への通電が0.2〜0.5秒正回転ON−0.3秒間停止−0.2〜0.5秒逆回転ON−0.3秒間停止のサイクルで制御される。これにより、たとえ布絡みが生じていたとしても、その洗濯物は、ほぐし水流によって揺すられるように洗われるので、洗濯物の絡みがほぐれる。
【0057】
以上のように、「洗剤半分コース」の洗い行程では、負荷量ランク10の場合を例にとると、まず、浸透水位21Lの水に標準量の1/2の量の洗剤20gが投入されることにより高濃度の洗濯水が生成される。そして、洗濯槽2内にごく弱い浸透水流が形成されるとともに、高濃度の洗濯水が循環水拡散部材64から洗濯物に降り注がれることにより、高濃度の洗濯水に洗濯物が漬け置かれる(浸透行程)。次に、洗濯槽2内の水位が第1洗い水位36Lまで上げられ、その後、水位が段階的に上げられつつ、洗濯槽2内に「標準コース」の洗い行程で形成される水流よりも弱い第1洗い水流が形成されるとともに、循環水拡散部材64から洗濯槽2内の洗濯物に洗濯水が降り注がれることによる洗いが行われる(第1洗い行程)。その後さらに、洗濯槽2内の水位が設定水位59Lまで上げられて、「標準コース」の洗い行程で形成される水流とほぼ同じ強さの第2洗い水流による洗いが実行される(第2洗い行程)。
【0058】
浸透行程では、高濃度の洗濯水が洗濯物に浸透し、その浸透した洗濯水により、洗濯物に付着している汚れが分解されて浮き出す。そして、浸透行程で洗濯物から浮き出した汚れが第1洗い行程および第2洗い行程で洗い落とされることにより、洗剤使用量が標準量よりも少なくても、標準量の洗剤を使用した場合と同等の洗い性能を発揮することができる。
また、洗剤量が少ないので、標準量の洗剤を使用した洗い(「標準コース」での洗い)を行った場合に比べて、すすぎ行程で費やす水量および時間を少なくすることができ、洗濯運転全体として運転時間の短縮を図ることができる。
【0059】
さらに、同じ目標回転数で比較すると、第1の洗い行程でモータ43の回転を立ち上げる際の加速度は、第2の洗い行程でモータ43の回転を立ち上げる際の加速度以下に設定されている。これにより、負荷量に応じた設定水位よりも低い水位であっても、パルセータ23の回転開始時に洗濯物がパルセータ23から受ける衝撃による布傷みの発生を防止できる。
一方、浸透工程でモータ43の回転を立ち上げる際の加速度(=27rpm/20msec)は、第2の洗い行程で同じ目標回転数540rpmまでモータ43の回転を立ち上げる際の加速度15rpm/20msecよりも大きな値に設定されている。浸透工程では、モータ43の回転を少し急に立ち上げることにより、洗濯物を動かして、洗濯物に洗濯水をむらなく浸透させることが重要だからである。なお、このようにモータ43の回転を立ち上げる際の加速度を大きく設定しても、浸透工程では、モータ43への通電回数(ON回数)が少なく、また1回の通電時間(ON時間)も短いので、洗濯物の布傷みを生じるおそれはない。
【0060】
この発明の一実施形態の説明は以上のとおりであるが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば、浸透行程および第1洗い行程において、循環ポンプ61を駆動させないようにしてもよく、その場合であっても、ある程度良好な洗い性能を発揮することができる。
また、浸透行程を省略してもよく、この場合には、たとえば、第1洗い水位を上記実施形態の場合よりも低く設定するとともに、第1洗い行程では、必ず洗濯水が循環水拡散部材64から洗濯物に降り注がれるようにすることにより、ある程度良好な洗い性能を発揮することができる。
【0061】
さらに、水位センサ24は、上記の実施形態で説明した構成のものに限らず、たとえば、洗濯槽2内に溜まっている水の重量から水位を検出するものであってもよいし、洗濯槽2に供給される水の量から水位を検出するものであってもよい。
さらにまた、上記の実施形態では、洗濯槽傾斜タイプの洗濯機を取り上げたが、この発明は、洗濯槽が傾斜しておらず、洗濯槽の中心軸線がほぼ鉛直方向に延びた構成の洗濯機にも適用可能である。
【0062】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る洗濯機の構成を示す断面図である。
【図2】上記洗濯機を上方から見た図である。
【図3】上記洗濯機の右側面を一部切り欠いて示す図である。
【図4】上記洗濯機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】「洗剤低減コース」の運転動作を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
2   洗濯槽
23  パルセータ
43  モータ
44  回転角センサ
61  循環ポンプ
62  吸水管
63  送水管
64  循環水拡散部材
641 放水口
100 マイクロコンピュータ

Claims (6)

  1. 洗濯物および洗濯水を収容することのできる洗濯槽と、
    この洗濯槽内に溜められている洗濯水を上方から洗濯物に降り注ぐ洗濯水循環手段と、
    上記洗濯槽内に収容されている洗濯物の量に応じた水位を設定する標準水位設定手段と、
    この標準水位設定手段によって設定された水位よりも低い第1の洗い水位まで洗濯水を溜めた後、洗濯水に相対的に弱い第1の洗い水流を形成しつつ、上記洗濯水循環手段を制御して洗濯水を上記洗濯槽内の洗濯物に降り注ぐことにより、洗濯物の洗いを実行する第1の洗い実行手段と、
    上記第1の洗い水位から上記標準水位設定手段によって設定された水位まで給水した後、洗濯水に相対的に強い第2の洗い水流を形成して、洗濯物の洗いを実行する第2の洗い実行手段と
    を含むことを特徴とする洗濯機。
  2. 上記第1の洗い実行手段による洗濯物の洗いが実行される前に、上記第1の洗い水位以下の浸透水位まで洗濯水を溜めて、上記洗濯水循環手段を制御して洗濯水を上記洗濯槽内の洗濯物に降り注ぐことにより、洗濯物の漬け置きを実行する漬け置き実行手段をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
  3. 洗濯物および洗濯水を収容することのできる洗濯槽と、
    この洗濯槽内に収容されている洗濯物の量に応じた水位を設定する標準水位設定手段と、
    この標準水位設定手段によって設定された水位よりも低い浸透水位まで洗濯水を溜めて、洗濯物の漬け置きを実行する漬け置き実行手段と、
    上記浸透水位から上記浸透水位以上であって上記標準水位設定手段が設定した水位よりも低い第1の洗い水位まで給水した後、洗濯水に相対的に弱い第1の洗い水流を形成して、洗濯物の洗いを実行する第1の洗い実行手段と、
    上記第1の洗い水位から上記標準水位設定手段によって設定された水位まで給水した後、上記洗濯槽内の洗濯水に相対的に強い第2の洗い水流を形成して、洗濯物の洗いを実行する第2の洗い実行手段と
    を含むことを特徴とする洗濯機。
  4. 上記漬け置き実行手段による洗濯物の漬け置きの実行中に、上記洗濯槽内に溜められている洗濯水を上方から洗濯物に降り注ぐ手段をさらに含むことを特徴とする請求項3記載の洗濯機。
  5. 上記第1の洗い実行手段による洗濯物の洗いの実行中に、上記洗濯槽内に溜められている洗濯水を上方から洗濯物に降り注ぐ手段をさらに含むことを特徴とする請求項3または4記載の洗濯機。
  6. 上記漬け置き手段による洗濯物の漬け置きの実行中に、洗濯水に上記第1の洗い水流よりもさらに弱い浸透水流を形成する手段をさらに含むことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の洗濯機。
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