JP2004072365A - 光通信装置、光通信データ出力方法、および光通信データ解析方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パルス位置変調(PPM)におけるオン/オフ位置を反転させた反転パルス位置変調(反転PPM)処理を通信データシーケンスに対して施して反転PPM信号を適用した光通信を行なう。本構成により、高いデューテイサイクル、すなわちパルスのオン時間が長いパルスデータを適用した通信が可能となり、例えば照明装置あるいはディスプレイ装置において可視光を適用した通信を行なう場合に、照明の照度を低下させることなく、またディスプレイの輝度レベルを低下させることなく通信を実行することが可能となる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信装置、光通信データ出力方法、および光通信データ解析方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。さらに、詳細には、改良されたパルス位置変調(PPM:Pulse Position Modulation)方式を適用した光通信を実行する装置、方法に関し、特に可視光領域での光通信に適した光通信装置、光通信データ出力方法、および光通信データ解析方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、光を用いた無線(ワイヤレス)通信が様々な分野で利用されている。光あるいは電波を用いた無線(ワイヤレス)通信は、データ伝送路としてのケーブルが不要であることから、例えば携帯機器間での通信や、PC、PDA等の機器間相互通信、あるいはPCとプリンタあるいはディスプレイ等その他の周辺機器との通信等、様々な機器間通信において利用されている。特に、光通信は、電波を用いた通信方式に比較して低コストであり、電磁放射ノイズによる影響も受けないため、今後ますます利用範囲が広がるものと予測される。
【0003】
従来の光通信方式としては、例えば赤外線等によって光強度を変化させた例えばパルス信号列を生成し、受信機側でパルス信号を解析する構成等がある。光通信においては、このような光強度変調処理による変調信号が使用される場合が多い。
【0004】
光強度変調信号は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、あるいはレーザーダイオード(LD:Laser diode)の発する光の変調光を出力し、受信側で強度解析を行なってデータを取得する。光通信における情報伝送においては、光の波長に関するコヒーレンシーが利用されることは少なく、主に光強度が利用される。これは、光信号の波長は、1014Hz以上であるためコヒーレント検出が困難であり、一方、強度変調信号の復調処理は簡易であり、受信側での処理負担が少ないからである。
【0005】
光強度変調方式として、代表的な方式としては、例えばオンオフキーイング(OOK:On Off Keying)のように通信データに基づいて輝度自身を決定する方式、あるいは、輝度変化パルスのパルス位置に基づいて情報を載せるパルス位置変調(PPM:Pulse Position Modulation)方式がある。
【0006】
図1を参照して、オンオフキーイング(OOK:On Off Keying)および、パルス位置変調(PPM:Pulse Position Modulation)方式について説明する。
【0007】
図1(a)は、通信データシーケンスを示し、(b)は、オンオフキーイング(OOK)方式による光データシーケンス、(c)〜(e)は、異なる態様のパルス位置変調(PPM)方式による光データシーケンスを示している。
【0008】
(b)に示すオンオフキーイング(OOK)は、通信データのビットが[1]のとき、パルスを生成し、通信データのビットが[0]のときパルスを生成しないというパルス生成規則に基づいて、データ系列に基づいて出力する光強度を制御して通信データに対応するパルス列を送受信する方式である。例えば通信データのビット列が1101であれば、設定パルスをハイ,ハイ、ロー,ハイ等のように、ビット列に従って設定する。
【0009】
(c)〜(e)は、パルス位置変調(PPM:Pulse Position Modulation)方式によるデータ転送処理例を示している。パルス位置変調(PPM)は、異なる輝度レベルに基づくパルス列を生成した信号であり、予め定められたシンボル長内に設定したパルス列に基づいてデータが読み取られる。
【0010】
(c)に示す例は、シンボル長(またはフレーム)を2つのパルス幅に設定した例であり、パルスの存在する部分が、光信号の存在する部分あるいは輝度レベルが高い部分、パルスの存在しない部分が、光信号の存在しない部分あるいは輝度レベルが低い部分である。2つのパルス幅に設定した領域の前半にパルスがある場合を[1]、後半にパルスがある場合を[0]として設定する。各シンボル長におけるパルス配列を識別することにより、データが判別される。
【0011】
(d)に示す例は、フレームを4つのパルス幅に設定した例であり、各フレームにおいて、[00]、[01]、[10]、[11]の4種類のデータを示す。4つのパルス幅に設定した領域の第1番目にパルスがある場合を[11]、第2番目にパルスがある場合を[10]、第3番目にパルスがある場合を[01]、第4番目にパルスがある場合を[00]として設定する。各フレームにおけるパルス配列を識別することにより、データが判別される。
【0012】
(e)に示す例は、フレームを8つのパルス幅に設定した例であり、各フレームにおいて、[000]〜[111]の8種類のデータを示す。8つのパルス幅に設定した領域の何番目にパルスがあるかによって、[000]〜[111]の8種類のデータのいずれかが示される。
【0013】
このような、オンオフキーイング(OOK)あるいは、パルス位置変調(PPM)信号による光通信を例えば可視光を適用して実行する場合を想定する。
【0014】
図2に示すように、データ送信手段としての発光手段を持つ送信機110と、データ受信手段としての受光手段を持つ受信機120とからなり、可視光を適用した光送受信を行なう構成とする。
【0015】
送信機の発光手段は、可視光を出力する発光手段であり、例えば日常の室内灯、屋外灯等の照明に用いることが可能である。あるいは、画像出力用のディスプレイとしての適用も可能である。
【0016】
しかし、日常光として適用しながら、あるいは画像出力用のディスプレイとして適用しながら、上述したオンオフキーイング(OOK)あるいは、パルス位置変調(PPM)信号による光通信を実行すると、パルスのある領域のみにおいて発光され、パルスのない領域では発光が停止されることになる。その結果、照明としての明るさが低下し、また、ディスプレイとしての輝度が減少することになる。
【0017】
すなわち、可視光を用いた通信を実行しながら、その光出力手段を照明として適用したり、あるいは画像出力用のディスプレイとして適用することは困難である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、例えば可視光を適用した光データの送受信構成において、輝度の低下を抑え、光出力手段を照明として適用したり、あるいは画像出力用のディスプレイとして適用することを可能とする光通信装置および光通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面は、
光通信データの出力を行なう送信機としての光通信装置であり、
パルス位置変調(PPM)におけるオン/オフ位置を反転させた反転パルス位置変調(反転PPM)処理を通信データシーケンスに対して施して反転PPM信号シーケンスを生成する変調信号生成手段と、
前記変調信号生成手段において生成した反転PPM信号シーケンスに対応する出力制御信号を出力する出力制御手段と、
前記出力制御手段の出力する出力制御信号に基づいて、前記通信データシーケンスに基づく反転PPM信号シーケンスに対応する光信号シーケンスを出力する出力手段と、
を有することを特徴とする光通信装置にある。
【0020】
さらに、本発明の光通信装置の一実施態様において、前記出力手段の出力する光信号シーケンスは、可視光領域の波長を有する光信号であることを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明の光通信装置の一実施態様において、前記出力手段は、可視光を照射する照明手段であることを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明の光通信装置の一実施態様において、前記出力手段は、画像を出力するディスプレイであることを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明の光通信装置の一実施態様において、前記光通信装置は、さらに、画像データに対して、前記変調信号生成手段において生成した反転PPM信号シーケンスを重畳して重畳信号を生成する重畳処理手段を有し、前記出力制御手段は、前記重畳処理手段において生成した重畳信号に対応する出力制御信号を前記ディスプレイのピクセル輝度制御信号として出力する構成であることを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明の光通信装置の一実施態様において、前記重畳処理手段は、フィールドシーケンシャル方式に従った画像データの各タイムフレームのオンフレームに変調信号シーケンスを重畳する処理を実行する構成であることを特徴とする。
【0025】
さらに、本発明の第2の側面は、
受光素子を有する受光手段と、前記受光素子の受光信号の解析を実行し、受光信号の解析に基づいて受光信号パターンに対応する変調信号シーケンスを取得するとともに、取得した変調信号シーケンスに対応する通信データシーケンスを取得する処理を実行する信号解析手段を有する受信機としての光通信装置であり、
前記信号解析手段は、
前記変調信号シーケンスとして、パルス位置変調(PPM)においてオン/オフ反転処理を施した反転パルス位置変調(反転PPM)信号を取得し、前記反転パルス位置変調(反転PPM)信号の解析により反転パルス位置変調(反転PPM)信号に対応する通信データシーケンスを取得する処理を実行する構成であることを特徴とする光通信装置にある。
【0026】
さらに、本発明の光通信装置の一実施態様において、前記受光手段は、フィールドシーケンシャル方式に従った画像データの各タイムフレームのオンフレームに反転パルス位置変調(反転PPM)信号シーケンスを重畳した信号を受信し、前記信号解析手段は、前記各タイムフレームのオンフレーム中の反転パルス位置変調(反転PPM)信号シーケンスを取得して解析を実行する構成であることを特徴とする。
【0027】
さらに、本発明の第3の側面は、
光通信データの出力を行なう送信機における光通信データ出力方法であり、
パルス位置変調(PPM)におけるオン/オフ位置を反転させた反転パルス位置変調(反転PPM)処理を通信データシーケンスに対して施して反転PPM信号シーケンスを生成する変調信号生成ステップと、
前記変調信号生成ステップにおいて生成した反転PPM信号シーケンスに対応する出力制御信号を出力する出力制御ステップと、
前記出力制御ステップにおいて出力する出力制御信号に基づいて、前記通信データシーケンスに基づく反転PPM信号シーケンスに対応する光信号シーケンスを出力する出力ステップと、
を有することを特徴とする光通信データ出力方法にある。
【0028】
さらに、本発明の光通信データ出力方法の一実施態様において、前記出力ステップにおいて出力する光信号シーケンスは、可視光領域の波長を有する光信号であることを特徴とする。
【0029】
さらに、本発明の光通信データ出力方法の一実施態様において、前記出力ステップは、可視光を照射する照明手段を適用して可視光による光信号シーケンスを出力するステップであることを特徴とする。
【0030】
さらに、本発明の光通信データ出力方法の一実施態様において、前記出力ステップは、画像を出力するディスプレイを適用して可視光による光信号シーケンスを出力するステップであることを特徴とする。
【0031】
さらに、本発明の光通信データ出力方法の一実施態様において、前記光通信データ出力方法は、さらに、画像データに対して、前記変調信号生成ステップにおいて生成した反転PPM信号シーケンスを重畳して重畳信号を生成する重畳処理ステップを有し、前記出力制御ステップは、前記重畳処理ステップにおいて生成した重畳信号に対応する出力制御信号を前記ディスプレイのピクセル輝度制御信号として出力することを特徴とする。
【0032】
さらに、本発明の光通信データ出力方法の一実施態様において、前記重畳処理ステップは、フィールドシーケンシャル方式に従った画像データの各タイムフレームのオンフレームに変調信号シーケンスを重畳する処理を実行する構成であることを特徴とする。
【0033】
さらに、本発明の第4の側面は、
光通信データの受信、解析を行なう光通信データ解析方法であり、
受光素子を有する受光手段において光信号を受信する受光ステップと、
前記光信号の解析により、通信データシーケンスを取得する処理を実行する信号解析ステップとを有し、
前記信号解析ステップは、
パルス位置変調(PPM)においてオン/オフ反転処理を施した反転パルス位置変調(反転PPM)信号を前記受光手段の受信光信号に基づいて取得し、前記反転パルス位置変調(反転PPM)信号の解析により反転パルス位置変調(反転PPM)信号に対応する通信データシーケンスを取得する処理を実行することを特徴とする光通信データ解析方法にある。
【0034】
さらに、本発明の光通信データ解析方法の一実施態様において、前記受光ステップは、フィールドシーケンシャル方式に従った画像データの各タイムフレームのオンフレームに反転パルス位置変調(反転PPM)信号シーケンスを重畳した信号を受信するステップであり、前記信号解析ステップは、前記各タイムフレームのオンフレーム中の反転パルス位置変調(反転PPM)信号シーケンスを取得して解析を実行することを特徴とする。
【0035】
さらに、本発明の第5の側面は、
光通信データの出力を行なう送信機における光通信データ出力処理を実行するコンピュータ・プログラムであって、
パルス位置変調(PPM)におけるオン/オフ位置を反転させた反転パルス位置変調(反転PPM)処理を通信データシーケンスに対して施して反転PPM信号シーケンスを生成する変調信号生成ステップと、
前記変調信号生成ステップにおいて生成した反転PPM信号シーケンスに対応する出力制御信号を出力する出力制御ステップと、
前記出力制御ステップにおいて出力する出力制御信号に基づいて、前記通信データシーケンスに基づく反転PPM信号シーケンスに対応する光信号シーケンスを出力する出力ステップと、
を有することを特徴とするコンピュータ・プログラムにある。
【0036】
さらに、本発明の第6の側面は、
光通信データの受信、解析を行なう光通信データ解析処理を実行するコンピュータ・プログラムであって、
受光素子を有する受光手段において光信号を受信する受光ステップと、
前記光信号の解析により、通信データシーケンスを取得する処理を実行する信号解析ステップとを有し、
前記信号解析ステップは、
パルス位置変調(PPM)においてオン/オフ反転処理を施した反転パルス位置変調(反転PPM)信号を前記受光手段の受信光信号に基づいて取得し、前記反転パルス位置変調(反転PPM)信号の解析により反転パルス位置変調(反転PPM)信号に対応する通信データシーケンスを取得する処理を実行するステップを含むことを特徴とするコンピュータ・プログラムにある。
【0037】
【作用】
本発明の構成によれば、パルス位置変調(PPM)におけるオン/オフ位置を反転させた反転パルス位置変調(反転PPM)処理を通信データシーケンスに対して施して反転PPM信号シーケンスを適用した光通信を行なう構成としたので、高いデューテイサイクル、すなわちパルスのオン時間が長いパルスデータを適用した通信が可能となり、例えば照明装置あるいはディスプレイ装置において可視光を適用した通信を行なう場合に、照明の照度を低下させることなく、またディスプレイの輝度レベルを低下させることなく通信を実行することが可能となる。
【0038】
また、本発明の構成によれば、視覚可能な画像データに対して、通信データに基づく変調信号シーケンスを重畳し出力することが可能であり、通常の画像データとともに通信データを送信することが可能となる。
【0039】
また、本発明の構成によれば、反転PPM信号によってデータを送受信する構成としたことにより、受信機における受信信号のエラーレートの低下が可能となり、正確なデータ通信が実現される。
【0040】
なお、本発明のコンピュータ・プログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な汎用コンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体、例えば、CDやFD、MOなどの記憶媒体、あるいは、ネットワークなどの通信媒体によって提供可能なコンピュータ・プログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、コンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
【0041】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の光通信装置および光通信方法について詳細に説明する。
【0043】
本発明の光通信装置としての送信機および受信機の一実施例を図3を参照して説明する。図3は、通信データを光信号として出力する光出力手段313を備えた送信機310と、光信号を受信する受光手段321を備えた受信機320の構成を示している。
【0044】
ここでは、通信データに基づいて変調された信号からなる可視光波長領域の光信号を送受信データとした例を示す。従って、送信機310の光出力手段313は、可視光を出力する例えば照明手段、あるいはディスプレイ手段(例えば強誘電性LCD、あるいは、有機ELディスプレイ等)によって構成可能である。一方、受信機320の受光手段321は、可視光波長領域の光を受信し電機信号に変換する例えばCCD、CMOSイメージセンサーによって構成される。
【0045】
送信機310中の光出力手段313は、受信機320に対して光変調信号を送信するのみならず、照明として、あるいは画像表示ディスプレイとしての期能を有し、照明としてしようしながら、あるいは画像表示を実行しながらのデータ通信を実行し、輝度レベルを低下させない通信を実現する。
【0046】
なお、図には示していないが、受信機320の受光手段321は、例えばレンズを含む光学系を介して送信機310の光出力手段313の出力する光データをセンサー面に結像する。
【0047】
送信機310の変調信号生成手段311は、例えばビット情報列によって構成される通信データシーケンスを輝度変化情報に変調し、変調信号シーケンスを生成する。出力制御手段312は、変調信号生成手段311において生成した変調信号シーケンスに対応する出力制御信号を光出力手段313に出力し、光出力手段313は、出力制御信号に基づいて、通信データシーケンスに対応した輝度変化を発生させて、データ出力を行なう。
【0048】
送信機310の変調信号生成手段311の実行する変調方式について、図4を用いて説明する。本実施例において、適用する変調方式は、反転PPM変調方式であり、先に図2を参照して説明した従来のPPM方式におけるパルスのオン/オフを反転させた構成を持つ、
【0049】
先に図1を参照して説明したPPM変調方式は、各フレームにおいて設定可能な複数のパルス位置のいずれか1つの位置にパルスを発生してデータを表現する構成である。例えば図1(c)の4−PPM構成では、フレーム中の第1スロットがオン=00、フレーム中の第2スロットがオン=01、フレーム中の第3スロットがオン=10、フレーム中の第4スロットがオン=11を、それぞれ示していた。
【0050】
本実施例においては、これら各スロットのオン(High)/オフ(Low)を反転させる変調方式、すなわち、反転PPM変調方式を実行する。
【0051】
図4(a)は、通信データシーケンスを示し、(b)〜(d)は、異なる態様の反転パルス位置変調(PPM)方式による光データシーケンスを示している。
【0052】
(b)に示す例は、フレーム(シンボル長)を2つのパルス幅に設定した反転2−PPMによるデータシーケンス例である。パルスの存在する部分が、光信号の存在する部分あるいは輝度レベルが高い部分、パルスの存在しない部分が、光信号の存在しない部分あるいは輝度レベルが低い部分である。2つのパルス幅に設定した領域の前半のパルス設定領域(前半スロット)にパルスがない場合を[1]、後半のパルス設定領域(後半スロット)にパルスがない場合を[0]として設定する。各フレームにおけるパルス配列を識別することにより、データが判別される。
【0053】
(c)に示す例は、フレームを4つのパルス幅に設定した例であり、各フレームにおいて、[00]、[01]、[10]、[11]の4種類のデータを示す。4つのパルス幅に設定した領域の第1番目のパルス設定領域(第1スロット)にパルスがない場合を[11]、第2番目のパルス設定領域(第2スロット)にパルスがない場合を[10]、第3番目のパルス設定領域(第3スロット)にパルスがない場合を[01]、第4番目のパルス設定領域(第4スロット)にパルスがない場合を[00]として設定する。各フレームにおけるパルス配列を識別することにより、データが判別される。
【0054】
(d)に示す例は、フレームを8つのパルス幅に設定した例であり、各フレームにおいて、[000]〜[111]の8種類のデータを示す。8つのパルス幅に設定した領域の何番目のパルス設定領域にパルスがないかによって、[000]〜[111]の8種類のデータのいずれかが示される。
【0055】
このように、反転パルス位置変調(Inverted PPM)方式では、従来のPPM方式による光信号列に比較して、高いデューテイ、すなわちON(High)となったパルスが多く存在する。
【0056】
フレームを2パルス間隔として設定した反転2−PPM方式では、従来の2−PPM方式と、パルス密度が変わらないが、フレームを4パルス間隔として設定した反転4−PPM方式では、従来の4−PPM方式と比較して、パルス密度が1/4から3/4に変化し、結果として、照明光の明るさ、あるいはディスプレイの輝度レベルの低下が抑制され、反転4−PPM方式を適用することにより、照明あるいはディスプレイの使用状態に大きな変化をもたらすことなく、通信データの送信が可能となる。
【0057】
さらに、フレームを8パルス間隔として設定した反転8−PPM方式では、従来の8−PPM方式と比較して、パルス密度が1/8から7/8に変化し、反転4−PPM方式の場合より、さらに、照明光の明るさ、あるいはディスプレイの輝度レベルの低下が抑制される。このように反転PPM方式を適用することにより、照明あるいはディスプレイの通常の使用状態を維持したまま、通信データを送信することが可能となる。
【0058】
従来のPPM方式と、反転PPM方式について、デューテイサイクルで比較すると、以下のようになる。
2−PPM:50%,反転2−PPM:50%
4−PPM:25%,反転4−PPM:75%
8−PPM:12.5%,反転8−PPM:87.5%
である。
【0059】
一般式で示すと、反転n−PPMにおいて、そのデューテイサイクルは、(1−(1/n))×100%であり、従来のn−PPMでは、デューテイサイクルは、100/nとなる。従って、nが大であるほど、反転n−PPMにおいてはデューテイサイクルが大となり、照明光の明るさ、あるいはディスプレイの輝度レベルの低下が小さくなる。
【0060】
送信機310が反転PPM変調データを光出力手段313を介して表示、送信した場合、受信機320側ではCCD、CMOS等の受光素子センサーを持つ受光手段321から信号を取り出し、フレーム定義位置判別のためのフレーム同期処理の後、各フレームのスロット(パルス設定領域)のパルス位置を検出することで復調、すなわち通信データの取得を行う。
【0061】
すなわち、受信機320は、受光手段321の受光素子の受信光信号の解析を実行し、受光素子の解析に基づいて反転PPM変調データシーケンスを取得するとともに、取得した反転PPM変調データシーケンスに対応する通信データシーケンス(ビット列)を取得する処理を実行する信号解析手段を有する。
【0062】
信号解析手段は、復調対象の変調信号、すなわち反転PPM信号の復調処理構成を有する。図3には、反転PPM変調信号の復調処理を実行する信号解析手段として、スロット積分手段322、データ変換手段323からなる構成を示している。
【0063】
図3に示す構成を持つ信号解析手段の処理について説明する。スロット積分手段322において、フレームのスロット位置を判別するためクロックからクロック情報を入力して、受光手段321において受信した反転PPM信号を構成する各スロットの積分処理を行なう。すなわち、予め定められた各ビット情報に対応するスロットパータン(コード)と受信信号とのマッチング積分を行い、積分値が最大のコードを最尤のコードとして選択し、データ変換手段323において、取得コードに基づくデータ(ビット情報)取得処理を行なう。
【0064】
このように、本発明の反転PPM信号を用いた光データ通信においては、高いデューテイサイクルを維持した通信が可能となり、例えば照明装置あるいはディスプレイ装置において可視光を適用した通信を行なう場合に、照明の照度を低下させることなく、またディスプレイの輝度レベルを低下させることなく通信を実行することが可能となる。
【0065】
また、反転PPM信号によってデータを送受信することで、受信機における受信信号のエラーレートも低下させることが可能となる。図5を参照して、反転PPM信号と、従来のPPM信号によるデータ送受信におけるエラー率について説明する。
【0066】
図5は、X軸に受信機における信号レベル(W)、Y軸に受信データのビットエラー率(BER)を示した図であり、コンピュータを用いたシミュレーション結果を示す。白丸が従来のパルス位置変調(PPM)方式による光通信、黒丸が本発明の反転パルス位置変調(反転PPM)方式による光通信のプロットを示している。なお、シミュレーションは、受信機におけるノイズ=0dBm(1e−3Watt)とし、パルス位置変調(PPM)および反転パルス位置変調(反転PPM)における最大パワーレベルは等しいものとして実行した。
【0067】
図5から理解されるように、反転パルス位置変調(反転PPM)方式による光通信の場合のほうが、従来のパルス位置変調(PPM)方式による光通信に比較して、同じ信号レベルにおいて、低いエラー率となっており、正確なデータ通信が実現される。
【0068】
次に、送信機310の光出力手段313としてLCD等のディスプレイ装置を用い、視覚可能な画像をディスプレイ装置に表示しながら表示画像に重畳して通信用データを表示、送信する構成について説明する。ここでは、ディスプレイ装置のうち、輝度制御をピクセルのオンの時間の長短によって制御する方式(フィールドシーケンシャル方式)を用いた表示処理方式による構成を持つ装置に、データを重畳する処理について説明する。ただし、本発明はフィールドシーケンシャル方式に限らずあらゆる表示方式に適応可能である。
【0069】
図6を参照して、一般のフィールドシーケンシャル方式によるカラー画像の表示方法について説明する。フィールドシーケンシャル方式では、ディスプレイを構成する各ピクセルにおいて、各ピクセル表示色に従ってR,G,BそれぞれのON/OFF時間を設定したフレームを連続して出力することにより、各色を表示する。すなわち、各ピクセルのR,G,Bの輝度はそれぞれのオン時間の長短によってコントロールされる。
【0070】
図6に示すように、各ピクセルに対応して、Rタイムフレーム、Gタイムフレーム、Bタイムフレームが、順次設定され、各フレームにおいて、R,G,BのそれぞれのON時間として、Rオンフレーム、Gオンフレーム、Bオンフレーム、各RGBのオンフレームの設定時間に基づいて各ピクセルの表示色が決定する。この処理により、ディスプレイを構成するピクセルの色が設定され、ディスプレイ全体として画像データが表示されることになる。
【0071】
このようなフィールドシーケンシャル方式によるカラー画像表示方式において、図4を用いて説明した反転PPM変調方式に従った光パルスデータを表示画像に重畳する。
【0072】
図7に示す送信機310の変調信号生成手段311が、通信データを構成するビット情報に基づいて図4に示す反転PPM変調信号を生成する。さらに、図7に示す重畳処理手段411において、視覚可能な画像信号に反転PPM変調信号を重畳し、重畳信号を生成する。
【0073】
重畳処理手段411による信号生成処理について、図8を参照して説明する。先に図6を参照して説明したように、視覚画像は、フィールドシーケンシャル方式によるカラー画像表示であり、R,G,BそれぞれのON/OFF時間を設定したフレームを連続して出力することにより各ピクセルの色が表示される。
【0074】
通信データは、各タイムフレーム中のオンフレームの領域を利用して重畳される。図には、Rオンフレームに通信データを重畳した例を示している。Rオンフレーム内に例えば4スロット(2ビット)からなる反転PPM変調データからなるPPMフレームを連続して複数組み込む構成とする。
【0075】
すなわち、図7の重畳処理手段411は、画像データにおいてR,G,Bの各信号がオンとなった位置において、通信データの反転PPM変調信号を重畳し、重畳信号を生成する。ここでの重畳処理は、反転PPM信号のスロットがオンとなった位置では、画像信号のオン状態を維持し、反転PPM信号のスロットがオフとなった位置では、画像信号のRまたはGまたはBの信号をオフとする設定である。
【0076】
図7の出力制御手段312は、重畳処理手段411の生成した重畳信号に基づいて、光出力手段313、すなわちディスプレイに対するピクセル輝度制御信号を出力する。
【0077】
前述のように、反転PPM信号は、例えば図4を参照して説明した4スロット構成を持つ反転4−PPMにおいて、いずれの信号(00〜11)においても、オン:オフの割合は3:1であり、全体としての輝度の減少は少なく抑えることができる。
【0078】
また、ディスプレイとして強誘電性LCDを用いれば、その応答時間は100マイクロセカンド前後であり、反転PPM信号のスロット単位を100マイクロセカンド前後に設定することが可能であり、画像信号としての劣化レベルは視覚上ほとんど問題のないレベルに抑えることが可能となる。
【0079】
図9にRオンフレームに通信データを重畳した場合のRオンフレームの信号変化を示す。前述のように、Rオンフレームに対して、反転PPM変調信号が重畳されることにより、3/4がオン、1/4がオフとなったPPMフレームをn個格納し、データとしては、2×nビットの情報を格納したPPMフレームをRフレーム中に重畳することができる。
【0080】
本方式では、フィールドシーケンシャル方式によるカラー画像表示におけるR,G,Bそれぞれのオンフレームに連続して通信データに基づくPPMフレームを重畳することになるので、R,G,Bすべてのオンフレームにおいて、3/4がオン、1/4がオフとなったPPMフレームが重畳され、R,G,Bとも同様の輝度変化が発生し、偏った色の変化は発生しない。
【0081】
なお、通信データを重畳する場合に画像データ自体の調整を予め実行する構成としてもよい。例えば、R,G,Bの輝度レベルを通信データの重畳によって低下する分、予めアップするように重畳処理以前に補正する。
【0082】
具体的には、例えば4スロットのPPMフレームを用いる場合は、通信データの重畳により、3/4の輝度レベル低下が予測されるので、オリジナル画像データのR,G,Bレベルを4/3倍に設定する補正を実行した後、通信データを重畳する構成とすれば、通信データの重畳による画像データの劣化を抑えることができる。
【0083】
次に、図10以下を参照して、送信機の光出力手段として、ディスプレイを適用した構成例について説明する。図10に示す例は、ビデオプロジェクタ511を用いて、通信データを重畳した画像を投影し、投影画像を二次元センサーを備えた受像機512,514において受信し、受信データ(画像)をPC等のデータ処理装置513,515において処理することによって通信データを取得する構成である。
【0084】
ビデオプロジェクタ511は、例えばインターネットを介して通信データを受信し、これを、予めビデオプロジェクタ511内のメモリに格納した画像データに重畳して、スクリーンに投影する。この投影画像を各受像機において受信し、受信したデータをデータ処理装置としてのPCに出力し、上述したPPM信号の解析により、画像中のPPM変調信号を取り出して、取り出した信号に基づいてデータ、すなわち各PPMフレームに設定されたビット情報を取得する。
【0085】
この例ではビデオプロジェクタ511が、例えば家庭内でのワイヤレスのアクセスポイントとなっており、このビデオプロジェクタ511はインターネットなどから高速に取り込まれたデータを、表示すべき画像に畳み込み、表示をする。人間が画像を見ても変調されていない画像と何ら変わらない画像を見ることができる。
【0086】
各受像機512,515では、レンズ等によって構成される光学系を介して画像が光センサー上に撮り込まれ、取得データが、PC等のデータ処理装置に出力され、センサーのとり込みデータ(輝度変化データ)について復調処理がなされる。
【0087】
図11は、ディスプレイを有するビデオカメラレコーダ間で通信データを重畳した画像により通信を実行する例を示している。ここでは各ビデオカメラレコーダ521,523には液晶モニター522,524が備えられ、液晶モニターに通信データを重畳した画像データを表示する。
【0088】
各ビデオカメラレコーダ521,523は、カメラ部を介して、液晶モニター522,524に表示された画像を撮り込み、カメラ内部の二次元センサーにおいて、各画素の輝度変化情報を読み取り、カメラ内部のデータ処理手段において、輝度変化情報に基づく通信データの取得処理を行なう。各ビデオカメラレコーダ521,523は、ディスプレイとしては、例えば強誘電性ディスプレイ、あるいは有機ELディスプレイ等の高速変調が可能な素子が使用される。図に示すように2台のビデオカメラレコーダを合い向かわせることにより、可視光を用いたデータ送受信を行うことが出来る。
【0089】
図12は、カメラ機能およびディスプレイ機能を持つ携帯電話531,541間での通信処理例を示している。それぞれの携帯電話531,541は、カメラ部533,543を介して、それぞれ互いのディスプレイ532,542に表示された画像を撮り込み、携帯電話531,541内部のカメラ部533,543において、画素の輝度変化情報を読み取り、携帯電話531,541内部のデータ処理手段において、輝度変化情報に基づく通信データの取得処理を行なう。
【0090】
それぞれの携帯電話531,541のディスプレイは、例えば強誘電性ディスプレイ、あるいは有機ELディスプレイ等の高速変調が可能な素子を使用することで、高速データ通信が可能となる。
【0091】
上述した各機器において、取得画像からのデータ取得処理、通信データの変調処理、あるいは画像に対する変調データの重畳処理を実行するデータ処理手段のハードウェア構成例を図13を参照して説明する。データ処理手段は、例えばPC等によって構成可能であるが、上述したように、カメラ、携帯電話、ビデオプロジェクタ等の各機器に組み込むことも可能である。図13を参照して、上述した処理を実行するデータ処理手段構成を説明する。
【0092】
CPU(Central processing Unit)711は、各種アプリケーションプログラムや、OS(Operating System)を実行するプロセッサである。上述の通信データの変調処理、画像データに対するデータ重畳処理、あるいは受信画像についてのデータ取得処理を実行する。ROM(Read−Only−Memory)712は、CPU711が実行するプログラム、あるいは演算パラメータとしての固定データを格納する。RAM(Random Access Memory)713は、CPU711の処理において実行されるプログラム、およびプログラム処理において適宜変化するパラメータの格納エリア、ワーク領域として使用される。
【0093】
HDD714はハードディスクの制御を実行し、ハードディスクに対する各種データ、プログラムの格納処理および読み出し処理を実行する。バス720はPCI(Peripheral Component Internet/Interface)バス等により構成され、各モジュール、入出力インタフェース721を介した各入出力装置とのデータ転送を可能にしている。
【0094】
入力部715は、例えば前述したCMOS等の高速応答性のセンサーであり、センサーによって撮り込まれた画像に基づいて、CPU711において、データ取得プログラムが実行されて通信データが取得される。出力部716は、例えば前述した照明、ディスプレイ(例えば強誘電性ディスプレイ、あるいは有機ELディスプレイ)等であり、例えばCPU711において通信データの重畳処理プログラムが実行されて通信データを重畳した画像が表示される。
【0095】
通信部717は、例えばインターネット、LAN等の各種ネットワークを介した通信を実行する通信処理部であり、画像データ、あるいは画像に重畳すべき通信データ、あるいは通信データを重畳済みの画像データの送受信処理に適用される。
【0096】
ドライブ718は、フロッピーディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体719の記録再生を実行するドライブであり、各記録媒体719からのプログラムまたはデータ再生、記録媒体719に対するプログラムまたはデータ格納を実行する。
【0097】
各記憶媒体に記録されたプログラムまたはデータを読み出してCPU711において実行または処理を行なう場合は、読み出したプログラム、データは入出力インタフェース721、バス720を介して例えば接続されているRAM713に供給される。
【0098】
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0099】
なお、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0100】
例えば、プログラムは記憶媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことができる。あるいは、プログラムはフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
【0101】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記憶媒体にインストールすることができる。
【0102】
また、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。
【0103】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の構成によれば、パルス位置変調(PPM)におけるオン/オフ位置を反転させた反転パルス位置変調(反転PPM)処理を通信データシーケンスに対して施して反転PPM信号シーケンスを適用した光通信を行なう構成としたので、高いデューテイサイクル、すなわちパルスのオン時間が長いパルスデータを適用した通信が可能となり、例えば照明装置あるいはディスプレイ装置において可視光を適用した通信を行なう場合に、照明の照度を低下させることなく、またディスプレイの輝度レベルを低下させることなく通信を実行することが可能となる。
【0104】
また、本発明の構成によれば、視覚可能な画像データに対して、通信データに基づく変調信号シーケンスを重畳し出力することが可能であり、通常の画像データとともに通信データを送信することが可能となる。
【0105】
また、本発明の構成によれば、反転PPM信号によってデータを送受信する構成としたことにより、受信機における受信信号のエラーレートの低下が可能となり、正確なデータ通信が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】光通信におけるデータシーケンスと光信号の対応例を示す図である。
【図2】光通信における光データの送受信構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る光通信装置における送信機および受信機の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る光通信装置において適用可能な反転PPM変調方式について説明する図である。
【図5】本発明に係る光通信装置において適用可能な反転PPM方式と従来のPPM方式についてのビットエラー率の比較図である。
【図6】フィールドシーケンシャル表示方式の処理について説明する図である。
【図7】本発明に係る光通信装置において、画像に通信データを重畳してデータ送受信を行なう送信機および受信機の構成を示すブロック図である。
【図8】フィールドシーケンシャル表示方式に通信データを重畳する処理について説明する図である。
【図9】フィールドシーケンシャル表示方式に通信データを重畳する処理について説明する図である。
【図10】本発明に係る光通信装置の適用例について説明する図である。
【図11】本発明に係る光通信装置の適用例について説明する図である。
【図12】本発明に係る光通信装置の適用例について説明する図である。
【図13】本発明に係る光通信装置のデータ処理手段構成例について示す図である。
【符号の説明】
110 送信機
120 受信機
310 送信機
311 変調信号生成手段
312 出力制御手段
313 光出力手段
320 受信機
321 受光手段
322 スロット積分手段
323 データ変換手段
411 重畳処理手段
511 ビデオプロジェクタ
512,514 受像機
513,515 データ処理装置
521,523 ビデオカメラレコーダー
522,524 液晶モニター
531,541 携帯電話
532,542 ディスプレイ
533,543 カメラ
711 CPU
712 ROM
713 RAM
714 HDD
715 入力部
716 出力部
717 通信部
718 ドライブ
719 記憶媒体
720 バス
721 入出力インタフェース
Claims (18)
- 光通信データの出力を行なう送信機としての光通信装置であり、
パルス位置変調(PPM)におけるオン/オフ位置を反転させた反転パルス位置変調(反転PPM)処理を通信データシーケンスに対して施して反転PPM信号シーケンスを生成する変調信号生成手段と、
前記変調信号生成手段において生成した反転PPM信号シーケンスに対応する出力制御信号を出力する出力制御手段と、
前記出力制御手段の出力する出力制御信号に基づいて、前記通信データシーケンスに基づく反転PPM信号シーケンスに対応する光信号シーケンスを出力する出力手段と、
を有することを特徴とする光通信装置。 - 前記出力手段の出力する光信号シーケンスは、可視光領域の波長を有する光信号であることを特徴とする請求項1に記載の光通信装置。
- 前記出力手段は、可視光を照射する照明手段であることを特徴とする請求項1に記載の光通信装置。
- 前記出力手段は、画像を出力するディスプレイであることを特徴とする請求項1に記載の光通信装置。
- 前記光通信装置は、さらに、
画像データに対して、前記変調信号生成手段において生成した反転PPM信号シーケンスを重畳して重畳信号を生成する重畳処理手段を有し、
前記出力制御手段は、
前記重畳処理手段において生成した重畳信号に対応する出力制御信号を前記ディスプレイのピクセル輝度制御信号として出力する構成であることを特徴とする請求項4に記載の光通信装置。 - 前記重畳処理手段は、
フィールドシーケンシャル方式に従った画像データの各タイムフレームのオンフレームに変調信号シーケンスを重畳する処理を実行する構成であることを特徴とする請求項5に記載の光通信装置。 - 受光素子を有する受光手段と、前記受光素子の受光信号の解析を実行し、受光信号の解析に基づいて受光信号パターンに対応する変調信号シーケンスを取得するとともに、取得した変調信号シーケンスに対応する通信データシーケンスを取得する処理を実行する信号解析手段を有する受信機としての光通信装置であり、
前記信号解析手段は、
前記変調信号シーケンスとして、パルス位置変調(PPM)においてオン/オフ反転処理を施した反転パルス位置変調(反転PPM)信号を取得し、前記反転パルス位置変調(反転PPM)信号の解析により反転パルス位置変調(反転PPM)信号に対応する通信データシーケンスを取得する処理を実行する構成であることを特徴とする光通信装置。 - 前記受光手段は、フィールドシーケンシャル方式に従った画像データの各タイムフレームのオンフレームに反転パルス位置変調(反転PPM)信号シーケンスを重畳した信号を受信し、
前記信号解析手段は、
前記各タイムフレームのオンフレーム中の反転パルス位置変調(反転PPM)信号シーケンスを取得して解析を実行する構成であることを特徴とする請求項7に記載の光通信装置。 - 光通信データの出力を行なう送信機における光通信データ出力方法であり、
パルス位置変調(PPM)におけるオン/オフ位置を反転させた反転パルス位置変調(反転PPM)処理を通信データシーケンスに対して施して反転PPM信号シーケンスを生成する変調信号生成ステップと、
前記変調信号生成ステップにおいて生成した反転PPM信号シーケンスに対応する出力制御信号を出力する出力制御ステップと、
前記出力制御ステップにおいて出力する出力制御信号に基づいて、前記通信データシーケンスに基づく反転PPM信号シーケンスに対応する光信号シーケンスを出力する出力ステップと、
を有することを特徴とする光通信データ出力方法。 - 前記出力ステップにおいて出力する光信号シーケンスは、可視光領域の波長を有する光信号であることを特徴とする請求項9に記載の光通信データ出力方法。
- 前記出力ステップは、可視光を照射する照明手段を適用して可視光による光信号シーケンスを出力するステップであることを特徴とする請求項9に記載の光通信データ出力方法。
- 前記出力ステップは、画像を出力するディスプレイを適用して可視光による光信号シーケンスを出力するステップであることを特徴とする請求項9に記載の光通信データ出力方法。
- 前記光通信データ出力方法は、さらに、
画像データに対して、前記変調信号生成ステップにおいて生成した反転PPM信号シーケンスを重畳して重畳信号を生成する重畳処理ステップを有し、
前記出力制御ステップは、
前記重畳処理ステップにおいて生成した重畳信号に対応する出力制御信号を前記ディスプレイのピクセル輝度制御信号として出力することを特徴とする請求項12に記載の光通信データ出力方法。 - 前記重畳処理ステップは、
フィールドシーケンシャル方式に従った画像データの各タイムフレームのオンフレームに変調信号シーケンスを重畳する処理を実行する構成であることを特徴とする請求項13に記載の光通信データ出力方法。 - 光通信データの受信、解析を行なう光通信データ解析方法であり、
受光素子を有する受光手段において光信号を受信する受光ステップと、
前記光信号の解析により、通信データシーケンスを取得する処理を実行する信号解析ステップとを有し、
前記信号解析ステップは、
パルス位置変調(PPM)においてオン/オフ反転処理を施した反転パルス位置変調(反転PPM)信号を前記受光手段の受信光信号に基づいて取得し、前記反転パルス位置変調(反転PPM)信号の解析により反転パルス位置変調(反転PPM)信号に対応する通信データシーケンスを取得する処理を実行することを特徴とする光通信データ解析方法。 - 前記受光ステップは、フィールドシーケンシャル方式に従った画像データの各タイムフレームのオンフレームに反転パルス位置変調(反転PPM)信号シーケンスを重畳した信号を受信するステップであり、
前記信号解析ステップは、
前記各タイムフレームのオンフレーム中の反転パルス位置変調(反転PPM)信号シーケンスを取得して解析を実行することを特徴とする請求項15に記載の光通信データ解析方法。 - 光通信データの出力を行なう送信機における光通信データ出力処理を実行するコンピュータ・プログラムであって、
パルス位置変調(PPM)におけるオン/オフ位置を反転させた反転パルス位置変調(反転PPM)処理を通信データシーケンスに対して施して反転PPM信号シーケンスを生成する変調信号生成ステップと、
前記変調信号生成ステップにおいて生成した反転PPM信号シーケンスに対応する出力制御信号を出力する出力制御ステップと、
前記出力制御ステップにおいて出力する出力制御信号に基づいて、前記通信データシーケンスに基づく反転PPM信号シーケンスに対応する光信号シーケンスを出力する出力ステップと、
を有することを特徴とするコンピュータ・プログラム。 - 光通信データの受信、解析を行なう光通信データ解析処理を実行するコンピュータ・プログラムであって、
受光素子を有する受光手段において光信号を受信する受光ステップと、
前記光信号の解析により、通信データシーケンスを取得する処理を実行する信号解析ステップとを有し、
前記信号解析ステップは、
パルス位置変調(PPM)においてオン/オフ反転処理を施した反転パルス位置変調(反転PPM)信号を前記受光手段の受信光信号に基づいて取得し、前記反転パルス位置変調(反転PPM)信号の解析により反転パルス位置変調(反転PPM)信号に対応する通信データシーケンスを取得する処理を実行するステップを含むことを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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