JP2004071907A - 結晶性膜の検査装置および検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶性膜の結晶状態を正確にかつ簡単に検査することができる結晶性膜の検査装置および検査方法を提供する。
【解決手段】単に青色画像を濃度値だけで領域分離するのではなく、青色画像とともに得られる赤色画像の平均濃度値に基づいて、領域を分離する。青色画像の濃度値は、たとえば結晶性膜1の濃度および白色照明による照度を含む撮像時の条件によって変化するが、この青色画像と同一の条件で得られる赤色画像の平均濃度値を用いて領域を分離するので、たとえば結晶性膜1の膜厚が変化するなど、撮像時の条件が変化しても、非晶質膜領域の画像領域と結晶膜領域の画像領域とを、正確に分離することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】単に青色画像を濃度値だけで領域分離するのではなく、青色画像とともに得られる赤色画像の平均濃度値に基づいて、領域を分離する。青色画像の濃度値は、たとえば結晶性膜1の濃度および白色照明による照度を含む撮像時の条件によって変化するが、この青色画像と同一の条件で得られる赤色画像の平均濃度値を用いて領域を分離するので、たとえば結晶性膜1の膜厚が変化するなど、撮像時の条件が変化しても、非晶質膜領域の画像領域と結晶膜領域の画像領域とを、正確に分離することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶性膜の検査装置および検査方法に関し、たとえばアクティブマトリックス形の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)などを製造する場合に、固相成長結晶化工程後に用いられる結晶性膜の検査装置および検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高解像度の要望が強い液晶表示素子およびイメージセンサーなどにおいては、駆動方式として、たとえばガラスなどの絶縁基板の一表面部に高性能な半導体素子を形成したアクティブマトリックス形の薄膜トランジスタ(TFT:Thin
Film Transistor)が用いられている。前記TFTには、薄膜状のシリコン半導体を用いるのが一般的である。薄膜状のシリコン半導体は、非晶質シリコンつまりアモルファスシリコンから成る非晶質シリコン半導体と、結晶性を有するシリコンから成る結晶性シリコン半導体との2つに大別される。
【0003】
非晶質シリコン半導体は、成膜温度が比較的低く、気相成長法によって比較的容易に製造することが可能であり、量産性に富むといった特徴を有するので、最も一般的に用いられている。しかし非晶質シリコン半導体は、結晶性シリコン半導体に比べて導電性などの物性が劣るので、高速特性を得るために結晶性シリコン半導体から成るTFTの製造技術の確立が強く求められている。
【0004】
特開平8−69968号公報には、結晶性シリコン半導体を形成する技術が開示されている。すなわち、基板の一表面部に、プラズマCVD(プラズマCVD:Chemical Vapor Deposition)法または減圧熱化学気相成長法などによって、アモルファスシリコン薄膜が形成される。このアモルファスシリコン薄膜に金属触媒を塗布し、固相成長結晶化工程を施した後、レーザアニール結晶化工程を経て、連続結晶粒界を有する結晶性シリコン半導体膜(以後、単に結晶膜と呼ぶ場合もある)が形成される。
【0005】
特開平11−204606号公報には、レーザアニール結晶化工程後、結晶膜に透過光を照射し、結晶膜の結晶状態を検査する技術が開示されている。この検査装置は、光源と、反射鏡と、集光レンズと、xyステージおよびxy駆動機構と、光強度測定装置とを有する。光源から発せられた光を、反射鏡、集光レンズを介してxyステージに支持された基板の結晶膜に照射し、その透過強度を前記光強度測定装置でもって測定する。xy駆動機構によってxyステージを移動駆動し、光源から発せられた光を、反射鏡、集光レンズを介して基板の結晶膜を透過させない光強度を、光強度測定装置で測定する。前記光強度に対する透過強度の比率に基づいて、結晶膜の結晶状態を判定するようになっている。
【0006】
特開平11−40637号公報には、基板の一表面部にアモルファスシリコン薄膜が形成された検査用基板を複数枚準備しておき、エキシマレーザアニール装置のエネルギー値を選択的に変化させ、各エネルギー値に対応する波長450nm付近の透過率を分光測定によって比較することによって、結晶膜の結晶状態を判定する技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平8−69968号公報に記載の従来技術では、固相成長結晶化工程における結晶化が不十分な場合、基板の一表面部のうち、非晶質シリコンのまま残留する領域は大きくなる。反対に、固相成長結晶化工程における結晶化が行過ぎた場合、基板の一表面部のうち、非晶質シリコンのまま残留する領域は小さくなる。固相成長結晶化工程では、結晶化されたいわゆるポリシリコンに対して、ある程度の面積比の非晶質シリコンを残しておくことが望ましい。これは、固相成長結晶化工程で、ある程度の面積比の非晶質シリコンを残しておき、その後のレーザアニール結晶化工程によって得られる結晶膜を用いて作製された薄膜トランジスタの方が電子移動度が高く、またVth(しきい電圧;トランジスタがONする時の電圧)が小さいためである。したがって前述のように固相成長結晶化工程における結晶化が不十分な場合および結晶化が進行し過ぎた場合には、不良基板として扱わなければならない。
【0008】
特開平11−204606号公報に記載の検査装置は、本来、レーザアニール結晶化工程後の結晶膜の結晶状態を検査するものであって、固相成長結晶化工程後の結晶性膜の結晶状態を検査するものではない。仮にこの検査装置を、固相成長結晶化工程後の結晶膜の結晶状態を検査する装置に適用した場合、同一の生産ロットで結晶性膜の膜厚が不所望に変化すると、結晶性膜の結晶状態すなわち結晶成長具合は、膜厚に大きく左右されて正確に判定することができなくなる。すなわちこの従来技術の検査装置においては、結晶性膜の透過強度の変化は、膜厚の変化によるものか、結晶性膜の結晶成長具合の違いに起因するものか判断することができないという問題がある。
【0009】
特開平11−40637号公報に記載の技術の装置も、レーザアニール結晶化工程後の結晶膜の結晶状態を検査するものである。前記装置を、固相成長結晶化工程後の結晶状態を検査する装置に仮に適用した場合にも、同一の生産ロットで結晶性膜の膜厚が不所望に変化すると、結晶性膜の結晶状態は、膜厚に大きく左右されて正確に判定することができなくなる。それ故、結晶性膜の結晶状態を正確に判定するためには、結晶性膜の膜厚を測定する測定装置などが別途必要になり、設備費用が高くつくなどの問題がある。
【0010】
したがって本発明の目的は、結晶性膜の結晶状態を正確にかつ簡単に検査することができるとともに、実用性の高い結晶性膜の検査装置および検査方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非晶質膜領域と結晶膜領域とが混在された結晶性膜に、青色成分および赤色成分を含む光を照射する照射手段と、
結晶性膜を撮像する撮像手段と、
照射手段および撮像手段を用いて撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに分離する領域分離手段とを有することを特徴とする結晶性膜の検査装置である。
【0012】
本発明に従えば、照射手段によって、結晶性膜に青色成分および赤色成分を含む光を照射したうえで、この結晶性膜を撮像手段を用いて撮像する。領域分離手段は、これら照射手段および撮像手段を用いて撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で2つの領域に分離する。結晶性膜を撮像して得られる青色画像は、非晶質膜領域の画像領域と結晶膜領域の画像領域とで濃度値が異なる。
【0013】
したがって結晶性膜における非晶質膜領域と結晶膜領域との混在比率を掌握することができる。しかも単に青色画像を濃度値だけで領域分離するのではなく、青色画像とともに得られる前記赤色画像の平均濃度値に基づいて、領域を分離する。青色画像の濃度値は、たとえば結晶性膜の濃度および照射手段による照度を含む撮像時の条件によって変化するが、この青色画像と同一の条件で得られる赤色画像の平均濃度値を用いて領域を分離するので、たとえば結晶性膜の膜厚が変化するなど、撮像時の条件が変化しても、非晶質膜領域の画像領域と、結晶膜領域の画像領域とを、正確に分離することができる。したがって、結晶性膜の膜厚など撮像時の条件を得る装置を必要とすることなく、領域分離が可能である。
【0014】
また本発明は、照射手段は、白色照明であることを特徴とする。
本発明に従えば、少なくとも青色成分および赤色成分を含む光を照射することができる照射手段を、白色照明によって簡単に実現することができる。
【0015】
また本発明は、撮像手段は光学顕微鏡を有することを特徴とする。
本発明に従えば、撮像手段は光学顕微鏡を有するので、光学顕微鏡によって高い空間分解能を実現することができ、結晶性膜を所望の拡大倍率で詳細に検査することが可能となる。
【0016】
また本発明は、非晶質膜領域と結晶膜領域とを有する結晶性膜に、青色成分および赤色成分を含む光を照射する第1の工程と、
第1の工程で照射された結晶性膜を撮像する第2の工程と、
撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに分離する第3の工程とを有することを特徴とする結晶性膜の検査方法である。
【0017】
本発明に従えば、第1の工程において、非晶質膜領域と結晶膜領域とを有する結晶性膜に、青色成分および赤色成分を含む光を照射し、第2の工程において、第1の工程で照射された結晶性膜を撮像する。第3の工程において、撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに分離する。したがって非晶質膜領域と結晶膜領域との混在比率を掌握することができる。しかも単に青色画像を濃度値だけで領域分離するのではなく、青色画像とともに得られる前記赤色画像の平均濃度値に基づいて、領域を分離する。青色画像の濃度値は、たとえば結晶性膜の濃度および照射手段による照度を含む撮像時の条件によって変化するが、この青色画像と同一の条件で得られる赤色画像の平均濃度値を用いて領域を分離するので、たとえば結晶性膜の膜厚が変化するなど、撮像時の条件が変化しても、非晶質膜領域の画像領域と、結晶膜領域の画像領域とを、正確に分離することができる。したがって、結晶性膜の膜厚など撮像時の条件を得る装置を必要とすることなく、領域分離が可能である。
【0018】
また本発明は、前記第2の工程は、青色成分の光に関して合焦させて撮像することを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、第2の工程は、青色成分の光に関して合焦させて撮像することによって、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに明確にかつ容易に分離することが可能になる。したがって、結晶性膜を非晶質膜領域と結晶膜領域とに明確に分離することが可能となる。
【0020】
また本発明は、非晶質膜を作製した後、非晶質膜を部分的に結晶化させて結晶性膜を作製する方法において、
前記結晶性膜の検査方法によって得られる非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率と、予め設定される非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率とを比較し、
この比較結果に基づいて、前記部分的に結晶化するための条件を調整することを特徴とする結晶性膜の作製方法である。
【0021】
本発明に従えば、非晶質膜を作製した後、非晶質膜を部分的に結晶化させて結晶性膜を作製し、検査によって得られる非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率と、予め設定される非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率とを比較する。この比較結果に基づいて、非晶質膜を部分的に結晶化するための条件を調整することができる。これによって非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率を所望の比率にした結晶性膜を作製することが可能になる。
【0022】
また本発明は、前記結晶性膜の検査方法によって得られる膜材の非晶質塊の最大径と、予め定められる非晶質塊の基準径とを比較し、この比較結果に基づいて、非晶質膜を部分的に結晶化するための条件を調整することを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、非晶質膜を作製した後、非晶質膜を部分的に結晶化させて結晶性膜を作製し、検査によって得られる膜材の非晶質塊の最大径と、予め定められる非晶質塊の基準径とを比較する。この比較結果に基づいて、非晶質膜を部分的に結晶化するための条件を調整することができる。これによって膜材の非晶質塊を所望の最大径未満にした結晶性膜を作製することが可能となる。
【0024】
また本発明は、前記結晶性膜の検査方法によって得られる膜材であって、
前記膜材の非晶質塊の最大径を少なくとも計測し得る非晶質塊の計測方法において、
前記検査方法によって得られる非晶質膜領域と結晶膜領域とを分離検出した2値画像に対して、膨張処理または収縮処理を行うことを特徴とする非晶質塊の計測方法である。
【0025】
本発明に従えば、結晶性膜の検査方法によって、非晶質膜領域と結晶膜領域とを分離検出した2値画像を得た後、この2値画像に対して膨張処理または収縮処理を行い、膜材の非晶質塊の最大径を計測することができる。したがって不所望の大きさの非晶質塊を、確実に計測することができ、それ故、たとえば電子移動度不良および画素欠陥などの原因となる非晶質膜領域を、未然に検出することが可能となる。
【0026】
本発明において、用語「結晶性膜」は、非晶質膜領域と結晶膜領域とが混在している状態の膜を意味する。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る結晶性膜1の検査装置2の構成を示す模式図であり、図2は、基板4に形成された結晶性膜1と検査装置2との関係を部分的に示す斜視図である。本実施形態は、たとえばアクティブマトリックス形の薄膜トランジスタなどを製造する場合に、固相成長結晶化工程後に得られる結晶性膜を検査する検査装置に、本発明の検査装置を適用した場合の一例を示す。以下の説明は、結晶性膜1の検査方法および結晶性膜1の作製方法についての説明をも含む。非晶質シリコン半導体膜(以後、単に非晶質膜と呼ぶ場合がある)を作製した後、この非晶質膜を、固相成長結晶化工程によって部分的に結晶化させて結晶性膜1を作製するものとする。
【0028】
図3は、基板4を厚み方向に拡大して示す断面図であって、基板4の一表面部に、結晶性膜を形成した後、結晶膜を形成する工程を段階的に示す概略説明図である。図3(a)に示される基板4は、電気絶縁性材料であるたとえばガラスなどから成る厚み方向から見てたとえば長方形の平板状基材5の表面部5aに、非晶質膜である非晶質シリコン層6が形成されて構成される。平板状基材5の板厚は、たとえば約0.7mmに形成されている。非晶質シリコン層6は、たとえばプラズマCVD(CVD:Chemical Vapor Deposition)法またはLPCVD(LPCVD:Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法によって形成され、たとえば約1000オングストローム(Å)以上1500Å以下程度の膜厚を有する。
【0029】
次に図3(b)に示すように、非晶質シリコン層6の一表面部6aに、たとえば酸化液が塗布され、この酸化液の働きによって酸化膜7が形成される。酸化膜7の一表面部7aに図示外の結晶化促進液が塗布され、その後図3(c)に示すように、酸化膜7の一表面部7aに、金属触媒を塗布するためのたとえば回転塗布装置38(図14および図16参照、単に塗布装置38ともいう)によって触媒堆積層8が形成される。触媒堆積層8が形成された図3(c)に示される基板4は、固相成長結晶化工程において、非晶質シリコン層6の結晶化が始まる温度、たとえば約550℃以上でもって加熱されて非晶質シリコン層6の結晶化が進行する。非晶質シリコン層6の結晶化がある程度進行した固相成長結晶化工程後に、結晶性膜1を、後述する検査装置2によって検査する。その後、エキシマレーザアニール結晶化工程において、エキシマレーザアニール装置を用いて、非晶質シリコン層6に対しレーザ光Raを照射する。その結果、非晶質シリコン層6は一度溶融し、冷却固化過程を経て多結晶化する。つまり基板4の一表面部に結晶膜が形成される。
【0030】
固相成長結晶化工程直後に結晶性膜1を検査する検査装置2は、xyステージ3と、xyステージ駆動機構9と、z軸駆動用モータ10と、撮像手段としてのカラーCCDカメラ11(CCD:Charge Coupled Device)および光学顕微鏡12と、照射手段としての白色照明13と、領域分離手段としての制御装置14と、ディスプレイ15と、キーボード16およびマウス17(図4参照)とを有する。xyステージ3は、基板4を吸着支持するステージであって、略長方形状のステージ3の長手方向に沿ったx方向と、吸着支持された基板4の厚み方向およびx方向に直交するy方向とに移動可能に構成されている。このxyステージ3は、ベースフレーム18に対しxおよびy方向に移動可能に支持されている。
【0031】
xyステージ駆動機構9は、カラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12と、白色照明9とに対し、結晶性膜1の任意の一部分を検査対象位置に選択的に移動する機構である。このxyステージ駆動機構9は、xyステージ3をx方向に移動駆動可能な駆動源を有する図示外のx方向駆動機構と、xyステージ3をy方向に移動駆動可能な駆動源を有する図示外のy方向駆動機構とを有する。z軸駆動用モータ10は、xyステージ3を、カラーCCDカメラ11に対し基板4の厚み方向(矢符zにて示す方向)に移動するつまりフォーカシング調整する機能を有する。
【0032】
カラーCCDカメラ11は、赤(R)、緑(G)、青(B)色から成るRGB画像19で撮像対象を撮像可能に構成されている。このカラーCCDカメラ11は、基板4の厚み方向一方に支持され、このカラーCCDカメラ11の撮像部に、光学顕微鏡12が取付けられている。したがってカラーCCDカメラ11は、基板4に形成された結晶性膜1を光学顕微鏡12を介して撮像可能に配置して設けられている。光学顕微鏡12は対物レンズ12aを有し、このカラーCCDカメラ11は、光学顕微鏡12を介してたとえば約128μm×128μmの矩形状の領域を撮像可能に構成されている。このように撮像手段は、カラーCCDカメラ11と、空間分解能の高い光学顕微鏡12とを有するので、結晶性膜1を所望の拡大倍率でもって詳細に検査することが可能となる。
【0033】
白色照明13はたとえばハロゲンランプから成る。この白色照明13は、ベースフレーム18に一体に設けられ、かつ、カラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12の略光軸方向に沿って、基板4の厚み方向他方に配設つまり配置して設けられている。この白色照明13は、たとえば約400nm以上約700nm以下の波長成分を有する白色光を、照射対象に照射可能に構成されている。照射対象である基板4の結晶性膜1に、基板4の厚み方向一方に向けて前記白色光を照射して透過させたうえで、この透過光をカラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12を用いて撮像するように構成されている。また白色照明13には、照射状態と非照射状態とを手動切替するための切替スイッチ13aと、照度を設定するための図示外のボリュームが付設されている。
【0034】
図4は、検査装置2の制御系のブロック図である。制御装置14は、中央演算処理装置20(CPU:Central Processing Unit)とロム21(ROM:ReadOnly Memory)とラム22(RAM:Random Access Memory)とから成るマイクロコンピュータと、バス23と、入出力インタフェース24と、駆動回路25,26,27とを有する。中央演算処理装置20とロム21とラム22とは、バス23を介して入出力インタフェース24に電気的に接続されている。制御装置14の内部において、入出力インタフェース24には画像ボード28が電気的に接続され、この画像ボード28とカラーCCDカメラ11とが電気的に接続されている。入出力インタフェース24には、入力手段であるキーボード16およびマウス17がそれぞれ電気的に接続されている。
【0035】
入出力インタフェース24には、駆動回路25,26,27を介してxyステージ駆動機構9、Z軸駆動用モータ10、ディスプレイ15がそれぞれ電気的に接続されている。ロム21には、撮像されたRGB画像19(図5a参照)を非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに分離して検出する後述の検出プログラムが格納されている。検出プログラムは中央演算処理装置20にて実行される。ラム22には、非晶質膜領域29と結晶膜領域30との混在比率が予め設定されて記録されている。ラム22には、後述する非晶質塊31の最大径Daの基準径が予め定められて記録されている。
【0036】
またロム21には調整プログラムが格納されている。調整プログラムは、検出プログラムによって得られる非晶質膜領域29の画像領域および結晶膜領域30の画像領域の混在比率と、予め設定された混在比率とを比較するとともに、検査によって得られる膜材の非晶質塊31の最大径Daである非晶質塊31の最大の短径(粒径ともいう)と、前記基準径とを比較する機能を有し、これら比較結果に基づいて、固相成長結晶化工程における条件、たとえば非晶質膜6に熱エネルギーを付与するための図示外の加熱炉の焼成温度およびその焼成時間などを調整するようになっている。画像ボード28は図示外のビデオラムを備え、このビデオラムは、カラーCCDカメラ11で撮像されたRGB画像19をRGB信号として書換え可能に記録する機能を有する。撮像画像は、画像ボード28、入出力インタフェース24、駆動回路27を介してディスプレイ15に常時出力される。
【0037】
図5は、撮像された画像の利用方法を段階的に示す説明図である。図6は、不良品と判定された画像領域の模式図であって、図6(a)は非晶質膜領域29の画像領域の比率が低過ぎる場合、図6(b)は非晶質膜領域29の画像領域の比率が高過ぎる場合、図6(c)は非晶質塊31の最大の短径Da(単に最大径Daともいう)が前記基準径以上の場合の青色画像19Bの模式図である。図7は、非晶質膜および結晶膜の波長に対する透過特性を示す図表であり、図8は、カラーCCDカメラ11の波長に対する分光特性を示す図表であり、図9は、各色成分における非晶質膜6および結晶膜の濃度値の関係を示す図表である。ここで青色画像19Bとは、青色の波長成分の光学像を光電変換して得られた画像である。緑色画像19Gとは、緑色の波長成分の光学像を光電変換して得られた画像である。赤色画像19Rとは、赤色の波長成分の光学像を光電変換して得られた画像である。また非晶質塊31の最大径Daとは、非晶質塊31の長手方向に直交する直径方向の寸法のうち、最大直径寸法と同義である。
【0038】
非晶質膜6と結晶膜とは、波長に対する透過特性が異なる。上述したように、たとえば約400nm以上700nm以下の波長成分を有する白色光を、基板4全体に向けて照射して透過させ、透過光をカラーCCDカメラ11を用いて撮像すると、カラーCCDカメラ11が受光する透過光の光量は、基板4における結晶化状態によって異なる。カラーCCDカメラ11の撮像領域内に、非晶質膜領域29と結晶膜領域30とが混在している場合には、撮像画像には透過率すなわち濃度値の違いで反映される。白色光のうち、約400nm以上500nm以下付近部において、結晶膜の光の透過率と非晶質膜6の光の透過率との間に大きな差がある。したがって赤,緑,青色画像19R,19G,19Bのうち、青色画像19Bにおいて、非晶質膜領域29の濃度値は低く、結晶膜領域30の濃度値は高い。このような特性を用いて、青色画像19Bを非晶質膜領域29の画像領域と、結晶膜領域30の画像領域とに分離して検出する。
【0039】
図7に示すように、波長約400nm以上500nm以下付近部における非晶質膜6の透過率は、波長約600nm以上700nm以下付近部における非晶質膜6の透過率よりも低く、波長約400nm以上500nm以下付近部における結晶膜の透過率は、波長約600nm以上700nm以下付近部における結晶膜の透過率より高い。したがって約400nm以上500nm以下付近部における波長構成と、約600nm以上700nm以下付近部における波長構成とが、同じ程度であり、かつ、カラーCCDカメラ11の受光感度がこれらの波長領域において同じ程度の場合、赤色画像19Rにおける平均濃度値は、青色画像19Bにおける結晶膜の濃度値と、非晶質膜6の濃度値との中間値に略等しくなる。
【0040】
また約600nm以上700nm以下付近部において、結晶膜の透過率と非晶質膜の透過率との差は小さい。つまり赤色画像19Rにおいては、非晶質膜領域29と結晶膜領域30とのコントラスト差は小さくなる。ここで図7〜図9に示すように、波長約400nm以上500nm以下付近部において、その結晶膜の濃度値と青色画像19Bの感度比とを積分した積分値32は、非晶質膜6の濃度値と青色画像19Bの感度比とを積分した積分値33よりも格段に大きくなる。
【0041】
波長約500nm以上600nm以下付近部において、その結晶膜の濃度値と緑色画像19Gの感度比とを積分した積分値34は、非晶質膜6の濃度値と緑色画像19Gの感度比とを積分した積分値35よりもやや大きくなる。波長約600nm以上700nm以下付近部において、その結晶膜の濃度値と赤色画像19Rの感度比とを積分した積分値36は、非晶質膜6の濃度値と赤色画像19Rの感度比とを積分した積分値37よりも若干大きくなる。この赤色画像19Rの平均濃度値を、青色画像19Bにおける非晶質膜領域29と結晶膜領域30との分離、検出用の濃度しきい値として用いている。
【0042】
それ故、透過率は、照明照度が変動しても変化しないことから、透過照明の波長成分が変動しない場合、照明照度の変動に影響されることなく濃度しきい値を設定することができる。この結果を用いて、赤色画像19R全体の平均濃度値を濃度しきい値として、青色画像19Bを2値化することによって、結晶膜領域30の画像領域と非晶質膜領域29の画像領域とを分離する。このとき前記濃度しきい値より小さい濃度値の領域を非晶質膜領域29の画像領域、前記濃度しきい値より大きい濃度値の領域を結晶膜領域30の画像領域として検出することができる。以下、非晶質膜領域29の画像領域を、単に非晶質膜領域29と呼ぶ場合もある。結晶膜領域30の画像領域を、単に結晶膜領域30と呼ぶ場合もある。
【0043】
図10は、固相成長結晶化工程によって得られる結晶性膜1を検査する工程を示すフローチャートである。ここでSi(i=1,2,3,…)はステップを示す。評価基板4をxyステージ3に吸着支持し、白色照明13の切替スイッチ13aを、非照射状態から照射状態に手動切替えしたうえで、ステップ1においてこの検査装置2の図示外の主電源を投入し、ステップ2で検査装置2の初期設定を行う。具体的に初期設定項目としては、白色照明13の照明照度と、評価基板4のxyステージ駆動機構9による検査位置などがある。
【0044】
カラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12によって撮像されたRGB画像19は、カラーCCDカメラ11からRGB信号として画像ボード28に送られ、さらに入出力インタフェース24および駆動回路27を介してディスプレイ15に常時出力される。ディスプレイ15に出力された透過画像を目視確認しつつ、前記初期設定項目である白色照明13の照度を設定し、xyステージ3を、xyステージ駆動機構9によってx方向およびy方向に移動して初期設定項目である検査位置を設定する。
【0045】
その後ステップ3に移行して、結晶膜領域30と非晶質膜領域29とのコントラスト差が大きくなるように最終的な評価画像として用いる青色画像19Bでフォーカシング調整する。ところで、RGB画像19をカラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12によって撮像する場合、赤、青、緑色成分の光に関してそれぞれ合焦させることが望ましいが、光学顕微鏡12の拡大倍率などによって3つの赤、青、緑色成分の光に関して合焦することは、各色成分の収差に起因して被写界深度が一致しないことから技術的に難しい。本検査装置2および結晶性膜1の検査方法によれば、非晶質膜領域29および結晶膜領域30を分離する濃度値情報は、青色画像19Bで行うため、少なくとも青色成分の光に関して合焦させればよい。ここで合焦とは、光学顕微鏡12の焦点が、撮像対象の結晶性膜1の表面に一致する状態をいう。さらに焦点は、青色成分の光が焦点位置にある状態をいう。
【0046】
ステップ4においては、中央演算処理装置20からバス23、入出力インタフェース24、駆動回路26を介してZ軸駆動用モータ10へ送られる命令によって、xyステージ3を矢符zにて示す基板4の厚み方向に移動駆動させつつ、結晶性膜1の画像を複数枚撮像する。この複数枚撮像された画像は、前記ビデオラムに書換え可能に記録される。すると前記検出プログラムは、複数枚の撮像画像のうちから、青色成分において濃度値の分散値の高い画像を選出する。
【0047】
フォーカスがずれる程、画像のコントラストは小さくなり、フォーカスがあっているとき、画像のコントラストは高くなる。換言すれば、画像のコントラストが高い、すなわち画像内の濃度値のばらつきが最も顕著な画像を、合焦画像とすることができる。したがって画像内の濃度値の分散値を算出、比較し、最も分散値の大きい画像すなわち最もコントラストの高い画像を合焦画像とする。その後、検出プログラムによって、RGB画像19を青色画像19Bと赤色画像19Rと緑色画像19Gとに分離する。
【0048】
次にステップ5に移行し、赤色画像19R全体の平均濃度値を、検出プログラムによって算出する。ステップ6において、前記平均濃度値を濃度しきい値として青色画像19Bを、2値化することによって非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに分離する。このとき濃度しきい値より小さい濃度値の領域を、非晶質膜領域29として検出し、前記濃度しきい値より大きい濃度値の領域を、結晶膜領域30として検出することができる。その後ステップ7において、非晶質塊31の短径Daを算出するとともに、非晶質膜領域29の面積を算出し、ステップ8において終了する。
【0049】
図11は、ロム21に格納された前記調整プログラムのフローチャートであって、結晶性膜1の検査によって得られる非晶質膜6の混在比率および非晶質塊31の短径Daと、予め設定される非晶質膜の混在比率および非晶質塊31の基準径とを比較するフローチャートである。ここでSi(i=10,11,12,…)はステップを示す。図12は、固相成長結晶化工程と、結晶性膜1の検査工程との関係を示すブロック図である。ステップ10においてこのプログラムをスタートさせ、ステップ11において、操作者によって初期値A1,A2,δを設定する。初期値A1は、青色画像19B全体のうち非晶質膜領域29の混在比率の最小値であり、初期値A2は、青色画像19B全体のうち非晶質膜領域29の混在比率の最大値である。ただし、初期値A1は初期値A2よりも小さく設定される。また初期値δは、非晶質塊31の基準径である。これら初期値A1,A2,δは、経験的に設定される。これら初期値A1,A2,δはラム22に記録される。
【0050】
次にステップ12に移行して、上述した結晶性膜1の検査によって得られる非晶質膜領域29の混在比率が、図6(a)に示すように初期値A1%以下と判定されると、ステップ14に移行する。前記非晶質膜領域29の混在比率が、図6(b)に示すように初期値A2%以上と判定されると、ステップ14に移行する。ステップ13において、上述した結晶性膜1の検査によって得られる膜材の非晶質塊31の最大径Daが、図6(c)に示すように初期値δ以上であると判定されると、ステップ14に移行する。
【0051】
ステップ14においては、検査対象の結晶性膜1は、不良品であると判定されてディスプレイ15に出力される。ステップ12において非晶質膜領域29の混在比率が、図5(c)に示すように、初期値A1%より大きく初期値A2%より小さいと判定され、ステップ13において膜材の非晶質塊31の最大径Daが初期値δ未満であると判定されると、ステップ15に移行し、本検査対象の結晶性膜1は、良品であると判定されてディスプレイ15に出力される。次にステップ16にて、次の検査対象の結晶性膜1があれば、ステップ17に移行する。ステップ17において初期値A1,A2,δを変更する場合には、ステップ11に戻る。初期値A1,A2,δを変更しない場合には、ステップ12に戻る。ステップ16で次に検査対象がない場合には、ステップ18に移行して終了する。
【0052】
以上のように、固相成長結晶化工程直後に、検査装置2によって検査対象の結晶性膜1は、良品であるか不良品であるかを判定することによって、結晶性膜1の成長不良などの不良検出を迅速にかつ確実に行うことができる。また図12に示すように、非晶質膜領域29の混在比率と初期値A1,A2とを比較し、非晶質塊31の最大径Daと基準径δとを比較し、これら比較結果の情報を固相成長結晶化工程にフィードバックすることによって、固相成長結晶化工程における、非晶質膜6を部分的に結晶化するための条件、たとえば加熱炉の焼成温度およびその焼成時間などを調整することができる。これによって、非晶質膜領域29および結晶膜領域30の混在比率を所望の比率にした結晶性膜1を作製することが可能になる。また、膜材の非晶質塊31を基準径δ未満の径にした結晶性膜1を作製することが可能になる。
【0053】
検査装置2によって検査された結晶性膜1の検査情報に基づいて、固相成長結晶化工程の前工程における金属触媒塗布濃度むらと、固相成長結晶化工程における炉内温度むらおよび焼成時間不良との要因を把握することもできる。したがって前記検査情報を管理することで、工程管理に役立てることができる。たとえば、塗布装置38によって塗布される触媒堆積層8に、後述する「濃度むら」があると、その同一基板4において、非晶質膜6の分布状態、非晶質塊31の粒径、非晶質膜領域29および結晶膜領域30の混在比率にも、x方向およびy方向の座標に応じた「むら」が発生する。ここで濃度とは、基板4における単位面積あたりの分子量であって、予め定められる分子の分子量である。つまり「濃度むら」とは、基板4の単位面積あたりの分子量が、x方向およびy方向の座標に応じて不所望にばらつくことと同義である。前記濃度は、たとえばX線などを用いて測定することができる。
【0054】
基準径となる基板4における膜材の非晶質塊31の粒径は、ラム22に記憶する。予め設定される基板4における非晶質膜領域29および結晶膜領域30の混在比率も、ラム22に記憶する。基準となる基板4における触媒堆積層8の濃度と、固相成長結晶化工程後の非晶質塊31の粒径、混在比率との関係も、ラム22に記憶しておく。したがって、検査対象となる基板4の非晶質塊31の粒径と、ラム22に記憶された基準径となる非晶質塊31の粒径とを比較するとともに、検査対象となる基板4の混在比率と、ラム22に記憶された混在比率とを比較することによって、塗布装置38によって形成される触媒堆積層8の濃度の増減値を調整することができる。
【0055】
図13は、非晶質膜が結晶膜に成長する過程を説明する説明図である。また非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに分離した2値画像を用いて、後工程すなわちエキシマレーザアニール結晶化工程における非晶質膜領域29の結晶化をシミュレーションすることによって、固相成長結晶化工程直後に残留している非晶質膜領域29が、前記後工程で結晶に成長するか否か判断する。これによって、結晶性膜1の結晶状態の良否と、塗布装置38に関する濃度の良否と、固相成長結晶化工程装置39(略称SPC装置:Solid−Phase Crystallization)に関する条件すなわち焼成温度およびその焼成時間の良否とを判断する。固相成長結晶化工程の後、非晶質膜領域29は、エキシマレーザアニール工程において結晶に成長する。図13に示すように、各非晶質膜領域29は、その外周部29aから内部に向かって、約Kμm程度のみ結晶に成長する(たとえばK=1.5)。
【0056】
したがって非晶質膜領域29の短径Daが、2Kμm以上である場合には、前記非晶質膜領域29は、エキシマレーザアニール工程後においても非晶質膜領域29の状態のまま結晶に成長にしない部分が最終的に残留する。このような非晶質膜領域29の残留部分は、たとえば液晶パネルにおいて電子移動度不良となり、画素欠陥となるので、エキシマレーザアニール工程後に結晶化しない非晶質膜領域29つまり前記短径Daが2Kμm以上である非晶質膜領域29を、固相成長結晶化工程直後に検出する必要がある。そこで非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに分離した2値画像から、短径Daが2Kμm以上の非晶質膜領域29を検出する。
【0057】
前記短径Daが2Kμm以上の非晶質膜領域29は、2値画像に対して、画像処理である膨張処理または収縮処理を行うことによって検出することが可能である。収縮処理とは、処理対象である非晶質膜領域29の図形成分の境界にある画素の値を、背景成分である結晶膜領域30の画素の値に変換して1画素分縮めることをいう。膨張処理は、図形成分を逆に1画素分膨らませることをいう。具体的には、2値画像において非晶質膜領域29の濃度値が、結晶膜領域30の濃度値より小さい場合には、膨張処理を行う。2値画像において非晶質膜領域29の濃度値が、結晶膜領域30の濃度値より大きい場合には、収縮処理を行う。
【0058】
このような膨張および収縮処理を、膨張および収縮サイズがKμmになるまで繰返す。たとえば膨張処理または収縮処理のフィルタサイズを8近傍とし、撮像画像の分解能が、K/5μmのとき、処理を5回繰返す。またはフィルタサイズがKμmとなるように、半径がKμmの円形のフィルタを作成し、膨張または収縮処理を1回行う。このような膨張処理または収縮処理によって、短径Daが2Kμm以下の非晶質膜領域29は消失し、短径Daが2Kμmより大きい非晶質膜領域29のみ残る。したがって、前記電子移動度不良および画素欠陥の原因となる非晶質膜領域29を、エキシマレーザアニール工程前に検出することができる。
【0059】
図14は、検査装置2と、SPC装置39と、塗布装置38との関係を示すブロック図である。上述した工程管理の方法についてさらに詳細に述べると、図14に示すように、制御部40は、検査装置2と、SPC装置39および塗布装置38とに独立して設けられている。この制御部40は、検査装置2からのフィードバック情報に基づいて、SPC装置39および塗布装置38に対して、フィードバック制御を行う。
【0060】
前記フィードバック情報としては、たとえば、撮像画像の基板4におけるxおよびy方向位置、非晶質膜領域29と結晶膜領域30との混在比率、非晶質塊31の粒径、非晶質膜領域29の形状(ここでの形状とは、非晶質魂31の短径が2Kより大きいか小さいかを判断するための形状と同義である。)などがあり、このような情報を、検査装置2から制御部40に送る。制御部40は、送られた前記情報に基づいて、SPC装置39および塗布装置38に対して、それぞれ運転条件の指令を送る。
【0061】
具体的には、予め取得しておいたSPC装置39の焼成温度と混在比率との関係、予め取得しておいた触媒堆積層8の濃度と混在比率との関係、予め取得しておいた触媒堆積層8の濃度と非晶質塊31の粒径との関係と、前記フィードバック情報とから、基板4におけるxおよびy方向位置に関して、必要な触媒堆積層8の濃度と、SPC装置39の焼成温度が最適値に対してどの程度過不足があったかを判定する。
【0062】
前記制御部40において判定した結果、SPC装置39の加熱炉の炉内温度すなわち焼成温度が、一定量高いまたは低いと判定された場合、SPC装置39に対して炉内温度を、前記一定量だけ下げるまたは上げる指令を送ることによって、次の基板4から最適状態で生産することが可能となる。また制御部40において判定した結果、触媒堆積層8の濃度が、一定量高いまたは低いと判定された場合には、塗布装置38に対して塗布濃度の増減値を指令することによって、次の基板4から最適状態で生産することが可能となる。
【0063】
また制御部40において判定した結果、SPC装置39の炉内温度調整および塗布装置38に関する濃度調整が、基板4のxおよびy方向の位置に応じて必要な場合には、SPC装置39および塗布装置38に対して、基板4のxおよびy方向の位置と調整量とをそれぞれ指令することによって、次の基板4から最適状態で生産することが可能となる。
【0064】
以上説明した結晶性膜1の検査装置2によれば、白色照明13によって、結晶性膜1に青色成分および赤色成分を含む光を照射したうえで、この結晶性膜1をカラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12を用いて撮像する。制御装置14は、白色照明13とカラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12とを用いて撮像された赤色画像19Rの平均濃度値に基づいて、青色画像19Bを、その濃度値で非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに分離する。
【0065】
したがって結晶性膜1における非晶質膜領域29と結晶膜領域30との混在比率を掌握することができる。しかも単に青色画像19Bを濃度値だけで領域分離するのではなく、青色画像19Bとともに得られる赤色画像19Rの平均濃度値に基づいて、領域を分離する。青色画像19Bの濃度値は、たとえば結晶性膜1の濃度および白色照明13による照度を含む撮像時の条件によって変化するが、この青色画像19Bと同一の条件で得られる赤色画像19Rの平均濃度値を用いて領域を分離するので、たとえば結晶性膜1の膜厚が変化するなど、撮像時の条件が変化しても、非晶質膜領域29の画像領域と、結晶膜領域30の画像領域とを、正確に分離することができる。したがって、結晶性膜1の膜厚など撮像時の条件を得る装置を必要とすることなく、領域分離が可能である。このように上述した検査装置2および検査方法によれば、結晶性膜1の結晶状態を正確にかつ簡単に検査することができるとともに、実用性を高くすることができる。
【0066】
また青色成分および赤色成分を含む光を、結晶性膜1に照射することができる照射手段は、白色照明13によって簡単に実現することができる。撮像手段は、カラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12を有するので、光学顕微鏡12によって高い空間分解能を実現することができ、結晶性膜1を所望の拡大倍率で詳細に検査することが可能となる。また本検査方法において、青色成分の光に関して合焦させて撮像することによって、青色画像19Bを、その濃度値で非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに明確にかつ容易に分離することが可能になる。したがって、結晶性膜1を非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに明確に分離することが可能となる。
【0067】
本発明の実施の他の形態として、非晶質膜領域の混在比率と予め設定される非晶質膜領域の初期値とを比較し、この比較結果だけに基づいて、検査対象の結晶性膜は、良品であるか不良品であるかを判定するとともに、固相成長結晶化工程における前記条件、たとえば加熱炉の焼成温度およびその焼成時間などを調整するようにする場合もあり得る。この場合には、膜材の非晶質塊の最大径と、基準径とを比較する必要がなくなるので、調整プログラム自体が簡単化し、結晶性膜の成長不良などの不良検出を一層迅速化することができる。
【0068】
図15は、検査装置2とSPC装置39Aと塗布装置38Aとの関係を示すブロック図であり、図16は、検査装置2AとSPC装置39と塗布装置38との関係を示すブロック図である。ただし前記実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。前記実施形態においては、制御部40は、検査装置2と、SPC装置39および塗布装置38とに独立して設けられているが、図15に示す形態においては、制御部40AはSPC装置39Aに設けられ、制御部40Bは塗布装置38Aに設けられている。制御部40Aは、SPC装置39Aの焼成温度が最適値に対してどの程度過不足があったかを判定し、制御部40Bは、触媒堆積層8の濃度が最適値に対してどの程度過不足があったかを判定することができる。また図16に示すように、制御部40Cを、検査装置2Aに一体に設けることも可能である。
【0069】
検査対象の結晶性膜を撮像する際、xyステージをz方向に移動駆動させずに、光学顕微鏡およびカラーCCDカメラを移動駆動させる構造にしてもよい。さらにxyステージを移動駆動させるとともに光学顕微鏡およびカラーCCDカメラを移動駆動させるようにすることも可能である。本発明の検査方法は、生産される全基板の結晶性膜の検査つまり全数検査であってもよく、全ての生産ロット単位内での結晶性膜の抜取り検査であってもよい。
【0070】
本発明の検査装置および検査方法は、必ずしもアクティブマトリックス形の薄膜トランジスタを製造する場合のみに適用されるものではない。本実施形態においては、前記混在比率、非晶質塊の最大径の基準径などを記録する手段としてラムを適用したが、ハードディスクなど他の記録手段を適用することも可能である。白色照明は、必ずしもハロゲンランプから成るものに限定されるものではない。その他、前記実施形態に、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において種々の部分的変更を行う場合もある。
【0071】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、領域分離手段は、照射手段および撮像手段を用いて撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに分離する。したがって結晶性膜における非晶質膜領域と結晶膜領域との混在比率を掌握することができる。しかも単に青色画像を濃度値だけで領域分離するのではなく、青色画像とともに得られる前記赤色画像の平均濃度値に基づいて、領域を分離する。青色画像の濃度値は、たとえば結晶性膜の濃度および照射手段による照度を含む撮像時の条件によって変化するが、この青色画像と同一の条件で得られる赤色画像の平均濃度値を用いて領域を分離するので、たとえば結晶性膜の膜厚が変化するなど、撮像時の条件が変化しても、非晶質膜領域の画像領域と、結晶膜領域の画像領域とを、正確に分離することができる。したがって、結晶性膜の膜厚など撮像時の条件を得る装置を必要とすることなく、領域分離が可能である。
【0072】
また本発明によれば、少なくとも青色成分および赤色成分を含む光を照射することができる照射手段を、白色照明によって簡単に実現することができる。
【0073】
また本発明によれば、光学顕微鏡によって高い空間分解能を実現することができ、結晶性膜を所望の拡大倍率で詳細に検査することが可能となる。
【0074】
また本発明によれば、第1の工程において、非晶質膜領域と結晶膜領域とを有する結晶性膜に、青色成分および赤色成分を含む光を照射し、第2の工程において、第1の工程で照射された結晶性膜を撮像する。第3の工程において、撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに分離する。したがって非晶質膜領域と結晶膜領域との混在比率を掌握することができる。しかも単に青色画像を濃度値だけで領域分離するのではなく、青色画像とともに得られる前記赤色画像の平均濃度値に基づいて、領域を分離する。青色画像の濃度値は、たとえば結晶性膜の濃度および照射手段による照度を含む撮像時の条件によって変化するが、この青色画像と同一の条件で得られる赤色画像の平均濃度値を用いて領域を分離するので、たとえば結晶性膜の膜厚が変化するなど、撮像時の条件が変化しても、非晶質膜領域の画像領域と、結晶膜領域の画像領域とを、正確に分離することができる。したがって、結晶性膜の膜厚など撮像時の条件を得る装置を必要とすることなく、領域分離が可能である。
【0075】
また本発明によれば、第2の工程は、青色成分の光に関して合焦させて撮像することによって、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに明確にかつ容易に分離することが可能になる。したがって、結晶性膜を非晶質膜領域と結晶膜領域とに明確に分離することが可能となる。
【0076】
また本発明によれば、非晶質膜を作製した後、非晶質膜を部分的に結晶化させて結晶性膜を作製し、検査によって得られる非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率と、予め設定される非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率とを比較する。この比較結果に基づいて、非晶質膜を部分的に結晶化するための条件を調整することができる。これによって非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率を所望の比率にした結晶性膜を作製することが可能になる。
【0077】
また本発明によれば、非晶質膜を作製した後、非晶質膜を部分的に結晶化させて結晶性膜を作製し、検査によって得られる膜材の非晶質塊の最大径と、予め定められる非晶質塊の基準径とを比較する。この比較結果に基づいて、非晶質膜を部分的に結晶化するための条件を調整することができる。これによって膜材の非晶質塊を所望の最大径未満にした結晶性膜を作製することが可能となる。
【0078】
また本発明によれば、結晶性膜の検査方法によって、非晶質膜領域と結晶膜領域とを分離検出した2値画像を得た後、この2値画像に対して膨張処理または収縮処理を行い、膜材の非晶質塊の最大径を計測することができる。したがって不所望の大きさの非晶質塊を、確実に計測することができ、それ故、たとえば電子移動度不良および画素欠陥などの原因となる非晶質膜領域を、未然に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る結晶性膜1の検査装置2の構成を示す模式図である。
【図2】基板4に形成された結晶性膜1と検査装置2との関係を部分的に示す斜視図である。
【図3】基板4の一表面部に、結晶膜を形成する工程を段階的に示す概略説明図である。
【図4】検査装置2の制御系のブロック図である。
【図5】撮像された画像の利用方法を段階的に示す説明図である。
【図6】不良品と判定された画像領域の模式図であって、図6(a)は非晶質膜領域29の画像領域の比率が低過ぎる場合、図6(b)は非晶質膜領域29の画像領域の比率が高過ぎる場合、図6(c)は非晶質塊31の最大径Daが基準径以上の場合の青色画像19Bの模式図である。
【図7】非晶質膜および結晶膜の波長に対する透過特性を示す図表である。
【図8】カラーCCDカメラ11の波長に対する分光特性を示す図表である。
【図9】各色成分における非晶質膜および結晶膜の濃度値の関係を示す図表である。
【図10】固相成長結晶化工程によって得られる結晶性膜1を検査する工程を示すフローチャートである。
【図11】結晶性膜1の検査によって得られる非晶質膜の混在比率および非晶質塊31の短径Daと、予め設定される非晶質膜の混在比率および非晶質塊31の基準径とを比較するフローチャートである。
【図12】固相成長結晶化工程と、結晶性膜1の検査工程との関係を示すブロック図である。
【図13】非晶質膜が結晶膜に成長する過程を説明する説明図である。
【図14】検査装置2とSPC装置39と塗布装置38との関係を示すブロック図である。
【図15】検査装置2とSPC装置39Aと塗布装置38Aとの関係を示すブロック図である。
【図16】検査装置2AとSPC装置39と塗布装置38との関係を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 結晶性膜
2 検査装置
6 非晶質シリコン層
10 z軸駆動用モータ
11 カラーCCDカメラ
12 光学顕微鏡
13 白色照明
14 制御装置
19 RGB画像
19B 青色画像
22 ラム
28 画像ボード
29 非晶質膜領域
30 結晶膜領域
31 非晶質塊
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶性膜の検査装置および検査方法に関し、たとえばアクティブマトリックス形の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)などを製造する場合に、固相成長結晶化工程後に用いられる結晶性膜の検査装置および検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高解像度の要望が強い液晶表示素子およびイメージセンサーなどにおいては、駆動方式として、たとえばガラスなどの絶縁基板の一表面部に高性能な半導体素子を形成したアクティブマトリックス形の薄膜トランジスタ(TFT:Thin
Film Transistor)が用いられている。前記TFTには、薄膜状のシリコン半導体を用いるのが一般的である。薄膜状のシリコン半導体は、非晶質シリコンつまりアモルファスシリコンから成る非晶質シリコン半導体と、結晶性を有するシリコンから成る結晶性シリコン半導体との2つに大別される。
【0003】
非晶質シリコン半導体は、成膜温度が比較的低く、気相成長法によって比較的容易に製造することが可能であり、量産性に富むといった特徴を有するので、最も一般的に用いられている。しかし非晶質シリコン半導体は、結晶性シリコン半導体に比べて導電性などの物性が劣るので、高速特性を得るために結晶性シリコン半導体から成るTFTの製造技術の確立が強く求められている。
【0004】
特開平8−69968号公報には、結晶性シリコン半導体を形成する技術が開示されている。すなわち、基板の一表面部に、プラズマCVD(プラズマCVD:Chemical Vapor Deposition)法または減圧熱化学気相成長法などによって、アモルファスシリコン薄膜が形成される。このアモルファスシリコン薄膜に金属触媒を塗布し、固相成長結晶化工程を施した後、レーザアニール結晶化工程を経て、連続結晶粒界を有する結晶性シリコン半導体膜(以後、単に結晶膜と呼ぶ場合もある)が形成される。
【0005】
特開平11−204606号公報には、レーザアニール結晶化工程後、結晶膜に透過光を照射し、結晶膜の結晶状態を検査する技術が開示されている。この検査装置は、光源と、反射鏡と、集光レンズと、xyステージおよびxy駆動機構と、光強度測定装置とを有する。光源から発せられた光を、反射鏡、集光レンズを介してxyステージに支持された基板の結晶膜に照射し、その透過強度を前記光強度測定装置でもって測定する。xy駆動機構によってxyステージを移動駆動し、光源から発せられた光を、反射鏡、集光レンズを介して基板の結晶膜を透過させない光強度を、光強度測定装置で測定する。前記光強度に対する透過強度の比率に基づいて、結晶膜の結晶状態を判定するようになっている。
【0006】
特開平11−40637号公報には、基板の一表面部にアモルファスシリコン薄膜が形成された検査用基板を複数枚準備しておき、エキシマレーザアニール装置のエネルギー値を選択的に変化させ、各エネルギー値に対応する波長450nm付近の透過率を分光測定によって比較することによって、結晶膜の結晶状態を判定する技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平8−69968号公報に記載の従来技術では、固相成長結晶化工程における結晶化が不十分な場合、基板の一表面部のうち、非晶質シリコンのまま残留する領域は大きくなる。反対に、固相成長結晶化工程における結晶化が行過ぎた場合、基板の一表面部のうち、非晶質シリコンのまま残留する領域は小さくなる。固相成長結晶化工程では、結晶化されたいわゆるポリシリコンに対して、ある程度の面積比の非晶質シリコンを残しておくことが望ましい。これは、固相成長結晶化工程で、ある程度の面積比の非晶質シリコンを残しておき、その後のレーザアニール結晶化工程によって得られる結晶膜を用いて作製された薄膜トランジスタの方が電子移動度が高く、またVth(しきい電圧;トランジスタがONする時の電圧)が小さいためである。したがって前述のように固相成長結晶化工程における結晶化が不十分な場合および結晶化が進行し過ぎた場合には、不良基板として扱わなければならない。
【0008】
特開平11−204606号公報に記載の検査装置は、本来、レーザアニール結晶化工程後の結晶膜の結晶状態を検査するものであって、固相成長結晶化工程後の結晶性膜の結晶状態を検査するものではない。仮にこの検査装置を、固相成長結晶化工程後の結晶膜の結晶状態を検査する装置に適用した場合、同一の生産ロットで結晶性膜の膜厚が不所望に変化すると、結晶性膜の結晶状態すなわち結晶成長具合は、膜厚に大きく左右されて正確に判定することができなくなる。すなわちこの従来技術の検査装置においては、結晶性膜の透過強度の変化は、膜厚の変化によるものか、結晶性膜の結晶成長具合の違いに起因するものか判断することができないという問題がある。
【0009】
特開平11−40637号公報に記載の技術の装置も、レーザアニール結晶化工程後の結晶膜の結晶状態を検査するものである。前記装置を、固相成長結晶化工程後の結晶状態を検査する装置に仮に適用した場合にも、同一の生産ロットで結晶性膜の膜厚が不所望に変化すると、結晶性膜の結晶状態は、膜厚に大きく左右されて正確に判定することができなくなる。それ故、結晶性膜の結晶状態を正確に判定するためには、結晶性膜の膜厚を測定する測定装置などが別途必要になり、設備費用が高くつくなどの問題がある。
【0010】
したがって本発明の目的は、結晶性膜の結晶状態を正確にかつ簡単に検査することができるとともに、実用性の高い結晶性膜の検査装置および検査方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非晶質膜領域と結晶膜領域とが混在された結晶性膜に、青色成分および赤色成分を含む光を照射する照射手段と、
結晶性膜を撮像する撮像手段と、
照射手段および撮像手段を用いて撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに分離する領域分離手段とを有することを特徴とする結晶性膜の検査装置である。
【0012】
本発明に従えば、照射手段によって、結晶性膜に青色成分および赤色成分を含む光を照射したうえで、この結晶性膜を撮像手段を用いて撮像する。領域分離手段は、これら照射手段および撮像手段を用いて撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で2つの領域に分離する。結晶性膜を撮像して得られる青色画像は、非晶質膜領域の画像領域と結晶膜領域の画像領域とで濃度値が異なる。
【0013】
したがって結晶性膜における非晶質膜領域と結晶膜領域との混在比率を掌握することができる。しかも単に青色画像を濃度値だけで領域分離するのではなく、青色画像とともに得られる前記赤色画像の平均濃度値に基づいて、領域を分離する。青色画像の濃度値は、たとえば結晶性膜の濃度および照射手段による照度を含む撮像時の条件によって変化するが、この青色画像と同一の条件で得られる赤色画像の平均濃度値を用いて領域を分離するので、たとえば結晶性膜の膜厚が変化するなど、撮像時の条件が変化しても、非晶質膜領域の画像領域と、結晶膜領域の画像領域とを、正確に分離することができる。したがって、結晶性膜の膜厚など撮像時の条件を得る装置を必要とすることなく、領域分離が可能である。
【0014】
また本発明は、照射手段は、白色照明であることを特徴とする。
本発明に従えば、少なくとも青色成分および赤色成分を含む光を照射することができる照射手段を、白色照明によって簡単に実現することができる。
【0015】
また本発明は、撮像手段は光学顕微鏡を有することを特徴とする。
本発明に従えば、撮像手段は光学顕微鏡を有するので、光学顕微鏡によって高い空間分解能を実現することができ、結晶性膜を所望の拡大倍率で詳細に検査することが可能となる。
【0016】
また本発明は、非晶質膜領域と結晶膜領域とを有する結晶性膜に、青色成分および赤色成分を含む光を照射する第1の工程と、
第1の工程で照射された結晶性膜を撮像する第2の工程と、
撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに分離する第3の工程とを有することを特徴とする結晶性膜の検査方法である。
【0017】
本発明に従えば、第1の工程において、非晶質膜領域と結晶膜領域とを有する結晶性膜に、青色成分および赤色成分を含む光を照射し、第2の工程において、第1の工程で照射された結晶性膜を撮像する。第3の工程において、撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに分離する。したがって非晶質膜領域と結晶膜領域との混在比率を掌握することができる。しかも単に青色画像を濃度値だけで領域分離するのではなく、青色画像とともに得られる前記赤色画像の平均濃度値に基づいて、領域を分離する。青色画像の濃度値は、たとえば結晶性膜の濃度および照射手段による照度を含む撮像時の条件によって変化するが、この青色画像と同一の条件で得られる赤色画像の平均濃度値を用いて領域を分離するので、たとえば結晶性膜の膜厚が変化するなど、撮像時の条件が変化しても、非晶質膜領域の画像領域と、結晶膜領域の画像領域とを、正確に分離することができる。したがって、結晶性膜の膜厚など撮像時の条件を得る装置を必要とすることなく、領域分離が可能である。
【0018】
また本発明は、前記第2の工程は、青色成分の光に関して合焦させて撮像することを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、第2の工程は、青色成分の光に関して合焦させて撮像することによって、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに明確にかつ容易に分離することが可能になる。したがって、結晶性膜を非晶質膜領域と結晶膜領域とに明確に分離することが可能となる。
【0020】
また本発明は、非晶質膜を作製した後、非晶質膜を部分的に結晶化させて結晶性膜を作製する方法において、
前記結晶性膜の検査方法によって得られる非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率と、予め設定される非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率とを比較し、
この比較結果に基づいて、前記部分的に結晶化するための条件を調整することを特徴とする結晶性膜の作製方法である。
【0021】
本発明に従えば、非晶質膜を作製した後、非晶質膜を部分的に結晶化させて結晶性膜を作製し、検査によって得られる非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率と、予め設定される非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率とを比較する。この比較結果に基づいて、非晶質膜を部分的に結晶化するための条件を調整することができる。これによって非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率を所望の比率にした結晶性膜を作製することが可能になる。
【0022】
また本発明は、前記結晶性膜の検査方法によって得られる膜材の非晶質塊の最大径と、予め定められる非晶質塊の基準径とを比較し、この比較結果に基づいて、非晶質膜を部分的に結晶化するための条件を調整することを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、非晶質膜を作製した後、非晶質膜を部分的に結晶化させて結晶性膜を作製し、検査によって得られる膜材の非晶質塊の最大径と、予め定められる非晶質塊の基準径とを比較する。この比較結果に基づいて、非晶質膜を部分的に結晶化するための条件を調整することができる。これによって膜材の非晶質塊を所望の最大径未満にした結晶性膜を作製することが可能となる。
【0024】
また本発明は、前記結晶性膜の検査方法によって得られる膜材であって、
前記膜材の非晶質塊の最大径を少なくとも計測し得る非晶質塊の計測方法において、
前記検査方法によって得られる非晶質膜領域と結晶膜領域とを分離検出した2値画像に対して、膨張処理または収縮処理を行うことを特徴とする非晶質塊の計測方法である。
【0025】
本発明に従えば、結晶性膜の検査方法によって、非晶質膜領域と結晶膜領域とを分離検出した2値画像を得た後、この2値画像に対して膨張処理または収縮処理を行い、膜材の非晶質塊の最大径を計測することができる。したがって不所望の大きさの非晶質塊を、確実に計測することができ、それ故、たとえば電子移動度不良および画素欠陥などの原因となる非晶質膜領域を、未然に検出することが可能となる。
【0026】
本発明において、用語「結晶性膜」は、非晶質膜領域と結晶膜領域とが混在している状態の膜を意味する。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る結晶性膜1の検査装置2の構成を示す模式図であり、図2は、基板4に形成された結晶性膜1と検査装置2との関係を部分的に示す斜視図である。本実施形態は、たとえばアクティブマトリックス形の薄膜トランジスタなどを製造する場合に、固相成長結晶化工程後に得られる結晶性膜を検査する検査装置に、本発明の検査装置を適用した場合の一例を示す。以下の説明は、結晶性膜1の検査方法および結晶性膜1の作製方法についての説明をも含む。非晶質シリコン半導体膜(以後、単に非晶質膜と呼ぶ場合がある)を作製した後、この非晶質膜を、固相成長結晶化工程によって部分的に結晶化させて結晶性膜1を作製するものとする。
【0028】
図3は、基板4を厚み方向に拡大して示す断面図であって、基板4の一表面部に、結晶性膜を形成した後、結晶膜を形成する工程を段階的に示す概略説明図である。図3(a)に示される基板4は、電気絶縁性材料であるたとえばガラスなどから成る厚み方向から見てたとえば長方形の平板状基材5の表面部5aに、非晶質膜である非晶質シリコン層6が形成されて構成される。平板状基材5の板厚は、たとえば約0.7mmに形成されている。非晶質シリコン層6は、たとえばプラズマCVD(CVD:Chemical Vapor Deposition)法またはLPCVD(LPCVD:Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法によって形成され、たとえば約1000オングストローム(Å)以上1500Å以下程度の膜厚を有する。
【0029】
次に図3(b)に示すように、非晶質シリコン層6の一表面部6aに、たとえば酸化液が塗布され、この酸化液の働きによって酸化膜7が形成される。酸化膜7の一表面部7aに図示外の結晶化促進液が塗布され、その後図3(c)に示すように、酸化膜7の一表面部7aに、金属触媒を塗布するためのたとえば回転塗布装置38(図14および図16参照、単に塗布装置38ともいう)によって触媒堆積層8が形成される。触媒堆積層8が形成された図3(c)に示される基板4は、固相成長結晶化工程において、非晶質シリコン層6の結晶化が始まる温度、たとえば約550℃以上でもって加熱されて非晶質シリコン層6の結晶化が進行する。非晶質シリコン層6の結晶化がある程度進行した固相成長結晶化工程後に、結晶性膜1を、後述する検査装置2によって検査する。その後、エキシマレーザアニール結晶化工程において、エキシマレーザアニール装置を用いて、非晶質シリコン層6に対しレーザ光Raを照射する。その結果、非晶質シリコン層6は一度溶融し、冷却固化過程を経て多結晶化する。つまり基板4の一表面部に結晶膜が形成される。
【0030】
固相成長結晶化工程直後に結晶性膜1を検査する検査装置2は、xyステージ3と、xyステージ駆動機構9と、z軸駆動用モータ10と、撮像手段としてのカラーCCDカメラ11(CCD:Charge Coupled Device)および光学顕微鏡12と、照射手段としての白色照明13と、領域分離手段としての制御装置14と、ディスプレイ15と、キーボード16およびマウス17(図4参照)とを有する。xyステージ3は、基板4を吸着支持するステージであって、略長方形状のステージ3の長手方向に沿ったx方向と、吸着支持された基板4の厚み方向およびx方向に直交するy方向とに移動可能に構成されている。このxyステージ3は、ベースフレーム18に対しxおよびy方向に移動可能に支持されている。
【0031】
xyステージ駆動機構9は、カラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12と、白色照明9とに対し、結晶性膜1の任意の一部分を検査対象位置に選択的に移動する機構である。このxyステージ駆動機構9は、xyステージ3をx方向に移動駆動可能な駆動源を有する図示外のx方向駆動機構と、xyステージ3をy方向に移動駆動可能な駆動源を有する図示外のy方向駆動機構とを有する。z軸駆動用モータ10は、xyステージ3を、カラーCCDカメラ11に対し基板4の厚み方向(矢符zにて示す方向)に移動するつまりフォーカシング調整する機能を有する。
【0032】
カラーCCDカメラ11は、赤(R)、緑(G)、青(B)色から成るRGB画像19で撮像対象を撮像可能に構成されている。このカラーCCDカメラ11は、基板4の厚み方向一方に支持され、このカラーCCDカメラ11の撮像部に、光学顕微鏡12が取付けられている。したがってカラーCCDカメラ11は、基板4に形成された結晶性膜1を光学顕微鏡12を介して撮像可能に配置して設けられている。光学顕微鏡12は対物レンズ12aを有し、このカラーCCDカメラ11は、光学顕微鏡12を介してたとえば約128μm×128μmの矩形状の領域を撮像可能に構成されている。このように撮像手段は、カラーCCDカメラ11と、空間分解能の高い光学顕微鏡12とを有するので、結晶性膜1を所望の拡大倍率でもって詳細に検査することが可能となる。
【0033】
白色照明13はたとえばハロゲンランプから成る。この白色照明13は、ベースフレーム18に一体に設けられ、かつ、カラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12の略光軸方向に沿って、基板4の厚み方向他方に配設つまり配置して設けられている。この白色照明13は、たとえば約400nm以上約700nm以下の波長成分を有する白色光を、照射対象に照射可能に構成されている。照射対象である基板4の結晶性膜1に、基板4の厚み方向一方に向けて前記白色光を照射して透過させたうえで、この透過光をカラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12を用いて撮像するように構成されている。また白色照明13には、照射状態と非照射状態とを手動切替するための切替スイッチ13aと、照度を設定するための図示外のボリュームが付設されている。
【0034】
図4は、検査装置2の制御系のブロック図である。制御装置14は、中央演算処理装置20(CPU:Central Processing Unit)とロム21(ROM:ReadOnly Memory)とラム22(RAM:Random Access Memory)とから成るマイクロコンピュータと、バス23と、入出力インタフェース24と、駆動回路25,26,27とを有する。中央演算処理装置20とロム21とラム22とは、バス23を介して入出力インタフェース24に電気的に接続されている。制御装置14の内部において、入出力インタフェース24には画像ボード28が電気的に接続され、この画像ボード28とカラーCCDカメラ11とが電気的に接続されている。入出力インタフェース24には、入力手段であるキーボード16およびマウス17がそれぞれ電気的に接続されている。
【0035】
入出力インタフェース24には、駆動回路25,26,27を介してxyステージ駆動機構9、Z軸駆動用モータ10、ディスプレイ15がそれぞれ電気的に接続されている。ロム21には、撮像されたRGB画像19(図5a参照)を非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに分離して検出する後述の検出プログラムが格納されている。検出プログラムは中央演算処理装置20にて実行される。ラム22には、非晶質膜領域29と結晶膜領域30との混在比率が予め設定されて記録されている。ラム22には、後述する非晶質塊31の最大径Daの基準径が予め定められて記録されている。
【0036】
またロム21には調整プログラムが格納されている。調整プログラムは、検出プログラムによって得られる非晶質膜領域29の画像領域および結晶膜領域30の画像領域の混在比率と、予め設定された混在比率とを比較するとともに、検査によって得られる膜材の非晶質塊31の最大径Daである非晶質塊31の最大の短径(粒径ともいう)と、前記基準径とを比較する機能を有し、これら比較結果に基づいて、固相成長結晶化工程における条件、たとえば非晶質膜6に熱エネルギーを付与するための図示外の加熱炉の焼成温度およびその焼成時間などを調整するようになっている。画像ボード28は図示外のビデオラムを備え、このビデオラムは、カラーCCDカメラ11で撮像されたRGB画像19をRGB信号として書換え可能に記録する機能を有する。撮像画像は、画像ボード28、入出力インタフェース24、駆動回路27を介してディスプレイ15に常時出力される。
【0037】
図5は、撮像された画像の利用方法を段階的に示す説明図である。図6は、不良品と判定された画像領域の模式図であって、図6(a)は非晶質膜領域29の画像領域の比率が低過ぎる場合、図6(b)は非晶質膜領域29の画像領域の比率が高過ぎる場合、図6(c)は非晶質塊31の最大の短径Da(単に最大径Daともいう)が前記基準径以上の場合の青色画像19Bの模式図である。図7は、非晶質膜および結晶膜の波長に対する透過特性を示す図表であり、図8は、カラーCCDカメラ11の波長に対する分光特性を示す図表であり、図9は、各色成分における非晶質膜6および結晶膜の濃度値の関係を示す図表である。ここで青色画像19Bとは、青色の波長成分の光学像を光電変換して得られた画像である。緑色画像19Gとは、緑色の波長成分の光学像を光電変換して得られた画像である。赤色画像19Rとは、赤色の波長成分の光学像を光電変換して得られた画像である。また非晶質塊31の最大径Daとは、非晶質塊31の長手方向に直交する直径方向の寸法のうち、最大直径寸法と同義である。
【0038】
非晶質膜6と結晶膜とは、波長に対する透過特性が異なる。上述したように、たとえば約400nm以上700nm以下の波長成分を有する白色光を、基板4全体に向けて照射して透過させ、透過光をカラーCCDカメラ11を用いて撮像すると、カラーCCDカメラ11が受光する透過光の光量は、基板4における結晶化状態によって異なる。カラーCCDカメラ11の撮像領域内に、非晶質膜領域29と結晶膜領域30とが混在している場合には、撮像画像には透過率すなわち濃度値の違いで反映される。白色光のうち、約400nm以上500nm以下付近部において、結晶膜の光の透過率と非晶質膜6の光の透過率との間に大きな差がある。したがって赤,緑,青色画像19R,19G,19Bのうち、青色画像19Bにおいて、非晶質膜領域29の濃度値は低く、結晶膜領域30の濃度値は高い。このような特性を用いて、青色画像19Bを非晶質膜領域29の画像領域と、結晶膜領域30の画像領域とに分離して検出する。
【0039】
図7に示すように、波長約400nm以上500nm以下付近部における非晶質膜6の透過率は、波長約600nm以上700nm以下付近部における非晶質膜6の透過率よりも低く、波長約400nm以上500nm以下付近部における結晶膜の透過率は、波長約600nm以上700nm以下付近部における結晶膜の透過率より高い。したがって約400nm以上500nm以下付近部における波長構成と、約600nm以上700nm以下付近部における波長構成とが、同じ程度であり、かつ、カラーCCDカメラ11の受光感度がこれらの波長領域において同じ程度の場合、赤色画像19Rにおける平均濃度値は、青色画像19Bにおける結晶膜の濃度値と、非晶質膜6の濃度値との中間値に略等しくなる。
【0040】
また約600nm以上700nm以下付近部において、結晶膜の透過率と非晶質膜の透過率との差は小さい。つまり赤色画像19Rにおいては、非晶質膜領域29と結晶膜領域30とのコントラスト差は小さくなる。ここで図7〜図9に示すように、波長約400nm以上500nm以下付近部において、その結晶膜の濃度値と青色画像19Bの感度比とを積分した積分値32は、非晶質膜6の濃度値と青色画像19Bの感度比とを積分した積分値33よりも格段に大きくなる。
【0041】
波長約500nm以上600nm以下付近部において、その結晶膜の濃度値と緑色画像19Gの感度比とを積分した積分値34は、非晶質膜6の濃度値と緑色画像19Gの感度比とを積分した積分値35よりもやや大きくなる。波長約600nm以上700nm以下付近部において、その結晶膜の濃度値と赤色画像19Rの感度比とを積分した積分値36は、非晶質膜6の濃度値と赤色画像19Rの感度比とを積分した積分値37よりも若干大きくなる。この赤色画像19Rの平均濃度値を、青色画像19Bにおける非晶質膜領域29と結晶膜領域30との分離、検出用の濃度しきい値として用いている。
【0042】
それ故、透過率は、照明照度が変動しても変化しないことから、透過照明の波長成分が変動しない場合、照明照度の変動に影響されることなく濃度しきい値を設定することができる。この結果を用いて、赤色画像19R全体の平均濃度値を濃度しきい値として、青色画像19Bを2値化することによって、結晶膜領域30の画像領域と非晶質膜領域29の画像領域とを分離する。このとき前記濃度しきい値より小さい濃度値の領域を非晶質膜領域29の画像領域、前記濃度しきい値より大きい濃度値の領域を結晶膜領域30の画像領域として検出することができる。以下、非晶質膜領域29の画像領域を、単に非晶質膜領域29と呼ぶ場合もある。結晶膜領域30の画像領域を、単に結晶膜領域30と呼ぶ場合もある。
【0043】
図10は、固相成長結晶化工程によって得られる結晶性膜1を検査する工程を示すフローチャートである。ここでSi(i=1,2,3,…)はステップを示す。評価基板4をxyステージ3に吸着支持し、白色照明13の切替スイッチ13aを、非照射状態から照射状態に手動切替えしたうえで、ステップ1においてこの検査装置2の図示外の主電源を投入し、ステップ2で検査装置2の初期設定を行う。具体的に初期設定項目としては、白色照明13の照明照度と、評価基板4のxyステージ駆動機構9による検査位置などがある。
【0044】
カラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12によって撮像されたRGB画像19は、カラーCCDカメラ11からRGB信号として画像ボード28に送られ、さらに入出力インタフェース24および駆動回路27を介してディスプレイ15に常時出力される。ディスプレイ15に出力された透過画像を目視確認しつつ、前記初期設定項目である白色照明13の照度を設定し、xyステージ3を、xyステージ駆動機構9によってx方向およびy方向に移動して初期設定項目である検査位置を設定する。
【0045】
その後ステップ3に移行して、結晶膜領域30と非晶質膜領域29とのコントラスト差が大きくなるように最終的な評価画像として用いる青色画像19Bでフォーカシング調整する。ところで、RGB画像19をカラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12によって撮像する場合、赤、青、緑色成分の光に関してそれぞれ合焦させることが望ましいが、光学顕微鏡12の拡大倍率などによって3つの赤、青、緑色成分の光に関して合焦することは、各色成分の収差に起因して被写界深度が一致しないことから技術的に難しい。本検査装置2および結晶性膜1の検査方法によれば、非晶質膜領域29および結晶膜領域30を分離する濃度値情報は、青色画像19Bで行うため、少なくとも青色成分の光に関して合焦させればよい。ここで合焦とは、光学顕微鏡12の焦点が、撮像対象の結晶性膜1の表面に一致する状態をいう。さらに焦点は、青色成分の光が焦点位置にある状態をいう。
【0046】
ステップ4においては、中央演算処理装置20からバス23、入出力インタフェース24、駆動回路26を介してZ軸駆動用モータ10へ送られる命令によって、xyステージ3を矢符zにて示す基板4の厚み方向に移動駆動させつつ、結晶性膜1の画像を複数枚撮像する。この複数枚撮像された画像は、前記ビデオラムに書換え可能に記録される。すると前記検出プログラムは、複数枚の撮像画像のうちから、青色成分において濃度値の分散値の高い画像を選出する。
【0047】
フォーカスがずれる程、画像のコントラストは小さくなり、フォーカスがあっているとき、画像のコントラストは高くなる。換言すれば、画像のコントラストが高い、すなわち画像内の濃度値のばらつきが最も顕著な画像を、合焦画像とすることができる。したがって画像内の濃度値の分散値を算出、比較し、最も分散値の大きい画像すなわち最もコントラストの高い画像を合焦画像とする。その後、検出プログラムによって、RGB画像19を青色画像19Bと赤色画像19Rと緑色画像19Gとに分離する。
【0048】
次にステップ5に移行し、赤色画像19R全体の平均濃度値を、検出プログラムによって算出する。ステップ6において、前記平均濃度値を濃度しきい値として青色画像19Bを、2値化することによって非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに分離する。このとき濃度しきい値より小さい濃度値の領域を、非晶質膜領域29として検出し、前記濃度しきい値より大きい濃度値の領域を、結晶膜領域30として検出することができる。その後ステップ7において、非晶質塊31の短径Daを算出するとともに、非晶質膜領域29の面積を算出し、ステップ8において終了する。
【0049】
図11は、ロム21に格納された前記調整プログラムのフローチャートであって、結晶性膜1の検査によって得られる非晶質膜6の混在比率および非晶質塊31の短径Daと、予め設定される非晶質膜の混在比率および非晶質塊31の基準径とを比較するフローチャートである。ここでSi(i=10,11,12,…)はステップを示す。図12は、固相成長結晶化工程と、結晶性膜1の検査工程との関係を示すブロック図である。ステップ10においてこのプログラムをスタートさせ、ステップ11において、操作者によって初期値A1,A2,δを設定する。初期値A1は、青色画像19B全体のうち非晶質膜領域29の混在比率の最小値であり、初期値A2は、青色画像19B全体のうち非晶質膜領域29の混在比率の最大値である。ただし、初期値A1は初期値A2よりも小さく設定される。また初期値δは、非晶質塊31の基準径である。これら初期値A1,A2,δは、経験的に設定される。これら初期値A1,A2,δはラム22に記録される。
【0050】
次にステップ12に移行して、上述した結晶性膜1の検査によって得られる非晶質膜領域29の混在比率が、図6(a)に示すように初期値A1%以下と判定されると、ステップ14に移行する。前記非晶質膜領域29の混在比率が、図6(b)に示すように初期値A2%以上と判定されると、ステップ14に移行する。ステップ13において、上述した結晶性膜1の検査によって得られる膜材の非晶質塊31の最大径Daが、図6(c)に示すように初期値δ以上であると判定されると、ステップ14に移行する。
【0051】
ステップ14においては、検査対象の結晶性膜1は、不良品であると判定されてディスプレイ15に出力される。ステップ12において非晶質膜領域29の混在比率が、図5(c)に示すように、初期値A1%より大きく初期値A2%より小さいと判定され、ステップ13において膜材の非晶質塊31の最大径Daが初期値δ未満であると判定されると、ステップ15に移行し、本検査対象の結晶性膜1は、良品であると判定されてディスプレイ15に出力される。次にステップ16にて、次の検査対象の結晶性膜1があれば、ステップ17に移行する。ステップ17において初期値A1,A2,δを変更する場合には、ステップ11に戻る。初期値A1,A2,δを変更しない場合には、ステップ12に戻る。ステップ16で次に検査対象がない場合には、ステップ18に移行して終了する。
【0052】
以上のように、固相成長結晶化工程直後に、検査装置2によって検査対象の結晶性膜1は、良品であるか不良品であるかを判定することによって、結晶性膜1の成長不良などの不良検出を迅速にかつ確実に行うことができる。また図12に示すように、非晶質膜領域29の混在比率と初期値A1,A2とを比較し、非晶質塊31の最大径Daと基準径δとを比較し、これら比較結果の情報を固相成長結晶化工程にフィードバックすることによって、固相成長結晶化工程における、非晶質膜6を部分的に結晶化するための条件、たとえば加熱炉の焼成温度およびその焼成時間などを調整することができる。これによって、非晶質膜領域29および結晶膜領域30の混在比率を所望の比率にした結晶性膜1を作製することが可能になる。また、膜材の非晶質塊31を基準径δ未満の径にした結晶性膜1を作製することが可能になる。
【0053】
検査装置2によって検査された結晶性膜1の検査情報に基づいて、固相成長結晶化工程の前工程における金属触媒塗布濃度むらと、固相成長結晶化工程における炉内温度むらおよび焼成時間不良との要因を把握することもできる。したがって前記検査情報を管理することで、工程管理に役立てることができる。たとえば、塗布装置38によって塗布される触媒堆積層8に、後述する「濃度むら」があると、その同一基板4において、非晶質膜6の分布状態、非晶質塊31の粒径、非晶質膜領域29および結晶膜領域30の混在比率にも、x方向およびy方向の座標に応じた「むら」が発生する。ここで濃度とは、基板4における単位面積あたりの分子量であって、予め定められる分子の分子量である。つまり「濃度むら」とは、基板4の単位面積あたりの分子量が、x方向およびy方向の座標に応じて不所望にばらつくことと同義である。前記濃度は、たとえばX線などを用いて測定することができる。
【0054】
基準径となる基板4における膜材の非晶質塊31の粒径は、ラム22に記憶する。予め設定される基板4における非晶質膜領域29および結晶膜領域30の混在比率も、ラム22に記憶する。基準となる基板4における触媒堆積層8の濃度と、固相成長結晶化工程後の非晶質塊31の粒径、混在比率との関係も、ラム22に記憶しておく。したがって、検査対象となる基板4の非晶質塊31の粒径と、ラム22に記憶された基準径となる非晶質塊31の粒径とを比較するとともに、検査対象となる基板4の混在比率と、ラム22に記憶された混在比率とを比較することによって、塗布装置38によって形成される触媒堆積層8の濃度の増減値を調整することができる。
【0055】
図13は、非晶質膜が結晶膜に成長する過程を説明する説明図である。また非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに分離した2値画像を用いて、後工程すなわちエキシマレーザアニール結晶化工程における非晶質膜領域29の結晶化をシミュレーションすることによって、固相成長結晶化工程直後に残留している非晶質膜領域29が、前記後工程で結晶に成長するか否か判断する。これによって、結晶性膜1の結晶状態の良否と、塗布装置38に関する濃度の良否と、固相成長結晶化工程装置39(略称SPC装置:Solid−Phase Crystallization)に関する条件すなわち焼成温度およびその焼成時間の良否とを判断する。固相成長結晶化工程の後、非晶質膜領域29は、エキシマレーザアニール工程において結晶に成長する。図13に示すように、各非晶質膜領域29は、その外周部29aから内部に向かって、約Kμm程度のみ結晶に成長する(たとえばK=1.5)。
【0056】
したがって非晶質膜領域29の短径Daが、2Kμm以上である場合には、前記非晶質膜領域29は、エキシマレーザアニール工程後においても非晶質膜領域29の状態のまま結晶に成長にしない部分が最終的に残留する。このような非晶質膜領域29の残留部分は、たとえば液晶パネルにおいて電子移動度不良となり、画素欠陥となるので、エキシマレーザアニール工程後に結晶化しない非晶質膜領域29つまり前記短径Daが2Kμm以上である非晶質膜領域29を、固相成長結晶化工程直後に検出する必要がある。そこで非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに分離した2値画像から、短径Daが2Kμm以上の非晶質膜領域29を検出する。
【0057】
前記短径Daが2Kμm以上の非晶質膜領域29は、2値画像に対して、画像処理である膨張処理または収縮処理を行うことによって検出することが可能である。収縮処理とは、処理対象である非晶質膜領域29の図形成分の境界にある画素の値を、背景成分である結晶膜領域30の画素の値に変換して1画素分縮めることをいう。膨張処理は、図形成分を逆に1画素分膨らませることをいう。具体的には、2値画像において非晶質膜領域29の濃度値が、結晶膜領域30の濃度値より小さい場合には、膨張処理を行う。2値画像において非晶質膜領域29の濃度値が、結晶膜領域30の濃度値より大きい場合には、収縮処理を行う。
【0058】
このような膨張および収縮処理を、膨張および収縮サイズがKμmになるまで繰返す。たとえば膨張処理または収縮処理のフィルタサイズを8近傍とし、撮像画像の分解能が、K/5μmのとき、処理を5回繰返す。またはフィルタサイズがKμmとなるように、半径がKμmの円形のフィルタを作成し、膨張または収縮処理を1回行う。このような膨張処理または収縮処理によって、短径Daが2Kμm以下の非晶質膜領域29は消失し、短径Daが2Kμmより大きい非晶質膜領域29のみ残る。したがって、前記電子移動度不良および画素欠陥の原因となる非晶質膜領域29を、エキシマレーザアニール工程前に検出することができる。
【0059】
図14は、検査装置2と、SPC装置39と、塗布装置38との関係を示すブロック図である。上述した工程管理の方法についてさらに詳細に述べると、図14に示すように、制御部40は、検査装置2と、SPC装置39および塗布装置38とに独立して設けられている。この制御部40は、検査装置2からのフィードバック情報に基づいて、SPC装置39および塗布装置38に対して、フィードバック制御を行う。
【0060】
前記フィードバック情報としては、たとえば、撮像画像の基板4におけるxおよびy方向位置、非晶質膜領域29と結晶膜領域30との混在比率、非晶質塊31の粒径、非晶質膜領域29の形状(ここでの形状とは、非晶質魂31の短径が2Kより大きいか小さいかを判断するための形状と同義である。)などがあり、このような情報を、検査装置2から制御部40に送る。制御部40は、送られた前記情報に基づいて、SPC装置39および塗布装置38に対して、それぞれ運転条件の指令を送る。
【0061】
具体的には、予め取得しておいたSPC装置39の焼成温度と混在比率との関係、予め取得しておいた触媒堆積層8の濃度と混在比率との関係、予め取得しておいた触媒堆積層8の濃度と非晶質塊31の粒径との関係と、前記フィードバック情報とから、基板4におけるxおよびy方向位置に関して、必要な触媒堆積層8の濃度と、SPC装置39の焼成温度が最適値に対してどの程度過不足があったかを判定する。
【0062】
前記制御部40において判定した結果、SPC装置39の加熱炉の炉内温度すなわち焼成温度が、一定量高いまたは低いと判定された場合、SPC装置39に対して炉内温度を、前記一定量だけ下げるまたは上げる指令を送ることによって、次の基板4から最適状態で生産することが可能となる。また制御部40において判定した結果、触媒堆積層8の濃度が、一定量高いまたは低いと判定された場合には、塗布装置38に対して塗布濃度の増減値を指令することによって、次の基板4から最適状態で生産することが可能となる。
【0063】
また制御部40において判定した結果、SPC装置39の炉内温度調整および塗布装置38に関する濃度調整が、基板4のxおよびy方向の位置に応じて必要な場合には、SPC装置39および塗布装置38に対して、基板4のxおよびy方向の位置と調整量とをそれぞれ指令することによって、次の基板4から最適状態で生産することが可能となる。
【0064】
以上説明した結晶性膜1の検査装置2によれば、白色照明13によって、結晶性膜1に青色成分および赤色成分を含む光を照射したうえで、この結晶性膜1をカラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12を用いて撮像する。制御装置14は、白色照明13とカラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12とを用いて撮像された赤色画像19Rの平均濃度値に基づいて、青色画像19Bを、その濃度値で非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに分離する。
【0065】
したがって結晶性膜1における非晶質膜領域29と結晶膜領域30との混在比率を掌握することができる。しかも単に青色画像19Bを濃度値だけで領域分離するのではなく、青色画像19Bとともに得られる赤色画像19Rの平均濃度値に基づいて、領域を分離する。青色画像19Bの濃度値は、たとえば結晶性膜1の濃度および白色照明13による照度を含む撮像時の条件によって変化するが、この青色画像19Bと同一の条件で得られる赤色画像19Rの平均濃度値を用いて領域を分離するので、たとえば結晶性膜1の膜厚が変化するなど、撮像時の条件が変化しても、非晶質膜領域29の画像領域と、結晶膜領域30の画像領域とを、正確に分離することができる。したがって、結晶性膜1の膜厚など撮像時の条件を得る装置を必要とすることなく、領域分離が可能である。このように上述した検査装置2および検査方法によれば、結晶性膜1の結晶状態を正確にかつ簡単に検査することができるとともに、実用性を高くすることができる。
【0066】
また青色成分および赤色成分を含む光を、結晶性膜1に照射することができる照射手段は、白色照明13によって簡単に実現することができる。撮像手段は、カラーCCDカメラ11および光学顕微鏡12を有するので、光学顕微鏡12によって高い空間分解能を実現することができ、結晶性膜1を所望の拡大倍率で詳細に検査することが可能となる。また本検査方法において、青色成分の光に関して合焦させて撮像することによって、青色画像19Bを、その濃度値で非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに明確にかつ容易に分離することが可能になる。したがって、結晶性膜1を非晶質膜領域29と結晶膜領域30とに明確に分離することが可能となる。
【0067】
本発明の実施の他の形態として、非晶質膜領域の混在比率と予め設定される非晶質膜領域の初期値とを比較し、この比較結果だけに基づいて、検査対象の結晶性膜は、良品であるか不良品であるかを判定するとともに、固相成長結晶化工程における前記条件、たとえば加熱炉の焼成温度およびその焼成時間などを調整するようにする場合もあり得る。この場合には、膜材の非晶質塊の最大径と、基準径とを比較する必要がなくなるので、調整プログラム自体が簡単化し、結晶性膜の成長不良などの不良検出を一層迅速化することができる。
【0068】
図15は、検査装置2とSPC装置39Aと塗布装置38Aとの関係を示すブロック図であり、図16は、検査装置2AとSPC装置39と塗布装置38との関係を示すブロック図である。ただし前記実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。前記実施形態においては、制御部40は、検査装置2と、SPC装置39および塗布装置38とに独立して設けられているが、図15に示す形態においては、制御部40AはSPC装置39Aに設けられ、制御部40Bは塗布装置38Aに設けられている。制御部40Aは、SPC装置39Aの焼成温度が最適値に対してどの程度過不足があったかを判定し、制御部40Bは、触媒堆積層8の濃度が最適値に対してどの程度過不足があったかを判定することができる。また図16に示すように、制御部40Cを、検査装置2Aに一体に設けることも可能である。
【0069】
検査対象の結晶性膜を撮像する際、xyステージをz方向に移動駆動させずに、光学顕微鏡およびカラーCCDカメラを移動駆動させる構造にしてもよい。さらにxyステージを移動駆動させるとともに光学顕微鏡およびカラーCCDカメラを移動駆動させるようにすることも可能である。本発明の検査方法は、生産される全基板の結晶性膜の検査つまり全数検査であってもよく、全ての生産ロット単位内での結晶性膜の抜取り検査であってもよい。
【0070】
本発明の検査装置および検査方法は、必ずしもアクティブマトリックス形の薄膜トランジスタを製造する場合のみに適用されるものではない。本実施形態においては、前記混在比率、非晶質塊の最大径の基準径などを記録する手段としてラムを適用したが、ハードディスクなど他の記録手段を適用することも可能である。白色照明は、必ずしもハロゲンランプから成るものに限定されるものではない。その他、前記実施形態に、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において種々の部分的変更を行う場合もある。
【0071】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、領域分離手段は、照射手段および撮像手段を用いて撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに分離する。したがって結晶性膜における非晶質膜領域と結晶膜領域との混在比率を掌握することができる。しかも単に青色画像を濃度値だけで領域分離するのではなく、青色画像とともに得られる前記赤色画像の平均濃度値に基づいて、領域を分離する。青色画像の濃度値は、たとえば結晶性膜の濃度および照射手段による照度を含む撮像時の条件によって変化するが、この青色画像と同一の条件で得られる赤色画像の平均濃度値を用いて領域を分離するので、たとえば結晶性膜の膜厚が変化するなど、撮像時の条件が変化しても、非晶質膜領域の画像領域と、結晶膜領域の画像領域とを、正確に分離することができる。したがって、結晶性膜の膜厚など撮像時の条件を得る装置を必要とすることなく、領域分離が可能である。
【0072】
また本発明によれば、少なくとも青色成分および赤色成分を含む光を照射することができる照射手段を、白色照明によって簡単に実現することができる。
【0073】
また本発明によれば、光学顕微鏡によって高い空間分解能を実現することができ、結晶性膜を所望の拡大倍率で詳細に検査することが可能となる。
【0074】
また本発明によれば、第1の工程において、非晶質膜領域と結晶膜領域とを有する結晶性膜に、青色成分および赤色成分を含む光を照射し、第2の工程において、第1の工程で照射された結晶性膜を撮像する。第3の工程において、撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに分離する。したがって非晶質膜領域と結晶膜領域との混在比率を掌握することができる。しかも単に青色画像を濃度値だけで領域分離するのではなく、青色画像とともに得られる前記赤色画像の平均濃度値に基づいて、領域を分離する。青色画像の濃度値は、たとえば結晶性膜の濃度および照射手段による照度を含む撮像時の条件によって変化するが、この青色画像と同一の条件で得られる赤色画像の平均濃度値を用いて領域を分離するので、たとえば結晶性膜の膜厚が変化するなど、撮像時の条件が変化しても、非晶質膜領域の画像領域と、結晶膜領域の画像領域とを、正確に分離することができる。したがって、結晶性膜の膜厚など撮像時の条件を得る装置を必要とすることなく、領域分離が可能である。
【0075】
また本発明によれば、第2の工程は、青色成分の光に関して合焦させて撮像することによって、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに明確にかつ容易に分離することが可能になる。したがって、結晶性膜を非晶質膜領域と結晶膜領域とに明確に分離することが可能となる。
【0076】
また本発明によれば、非晶質膜を作製した後、非晶質膜を部分的に結晶化させて結晶性膜を作製し、検査によって得られる非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率と、予め設定される非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率とを比較する。この比較結果に基づいて、非晶質膜を部分的に結晶化するための条件を調整することができる。これによって非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率を所望の比率にした結晶性膜を作製することが可能になる。
【0077】
また本発明によれば、非晶質膜を作製した後、非晶質膜を部分的に結晶化させて結晶性膜を作製し、検査によって得られる膜材の非晶質塊の最大径と、予め定められる非晶質塊の基準径とを比較する。この比較結果に基づいて、非晶質膜を部分的に結晶化するための条件を調整することができる。これによって膜材の非晶質塊を所望の最大径未満にした結晶性膜を作製することが可能となる。
【0078】
また本発明によれば、結晶性膜の検査方法によって、非晶質膜領域と結晶膜領域とを分離検出した2値画像を得た後、この2値画像に対して膨張処理または収縮処理を行い、膜材の非晶質塊の最大径を計測することができる。したがって不所望の大きさの非晶質塊を、確実に計測することができ、それ故、たとえば電子移動度不良および画素欠陥などの原因となる非晶質膜領域を、未然に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る結晶性膜1の検査装置2の構成を示す模式図である。
【図2】基板4に形成された結晶性膜1と検査装置2との関係を部分的に示す斜視図である。
【図3】基板4の一表面部に、結晶膜を形成する工程を段階的に示す概略説明図である。
【図4】検査装置2の制御系のブロック図である。
【図5】撮像された画像の利用方法を段階的に示す説明図である。
【図6】不良品と判定された画像領域の模式図であって、図6(a)は非晶質膜領域29の画像領域の比率が低過ぎる場合、図6(b)は非晶質膜領域29の画像領域の比率が高過ぎる場合、図6(c)は非晶質塊31の最大径Daが基準径以上の場合の青色画像19Bの模式図である。
【図7】非晶質膜および結晶膜の波長に対する透過特性を示す図表である。
【図8】カラーCCDカメラ11の波長に対する分光特性を示す図表である。
【図9】各色成分における非晶質膜および結晶膜の濃度値の関係を示す図表である。
【図10】固相成長結晶化工程によって得られる結晶性膜1を検査する工程を示すフローチャートである。
【図11】結晶性膜1の検査によって得られる非晶質膜の混在比率および非晶質塊31の短径Daと、予め設定される非晶質膜の混在比率および非晶質塊31の基準径とを比較するフローチャートである。
【図12】固相成長結晶化工程と、結晶性膜1の検査工程との関係を示すブロック図である。
【図13】非晶質膜が結晶膜に成長する過程を説明する説明図である。
【図14】検査装置2とSPC装置39と塗布装置38との関係を示すブロック図である。
【図15】検査装置2とSPC装置39Aと塗布装置38Aとの関係を示すブロック図である。
【図16】検査装置2AとSPC装置39と塗布装置38との関係を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 結晶性膜
2 検査装置
6 非晶質シリコン層
10 z軸駆動用モータ
11 カラーCCDカメラ
12 光学顕微鏡
13 白色照明
14 制御装置
19 RGB画像
19B 青色画像
22 ラム
28 画像ボード
29 非晶質膜領域
30 結晶膜領域
31 非晶質塊
Claims (8)
- 非晶質膜領域と結晶膜領域とが混在された結晶性膜に、青色成分および赤色成分を含む光を照射する照射手段と、
結晶性膜を撮像する撮像手段と、
照射手段および撮像手段を用いて撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに分離する領域分離手段とを有することを特徴とする結晶性膜の検査装置。 - 照射手段は、白色照明であることを特徴とする請求項1に記載の結晶性膜の検査装置。
- 撮像手段は光学顕微鏡を有することを特徴とする請求項1に記載の結晶性膜の検査装置。
- 非晶質膜領域と結晶膜領域とを有する結晶性膜に、青色成分および赤色成分を含む光を照射する第1の工程と、
第1の工程で照射された結晶性膜を撮像する第2の工程と、
撮像された赤色画像の平均濃度値に基づいて、青色画像を、その濃度値で非晶質膜領域と結晶膜領域とに分離する第3の工程とを有することを特徴とする結晶性膜の検査方法。 - 前記第2の工程は、青色成分の光に関して合焦させて撮像することを特徴とする請求項4に記載の結晶性膜の検査方法。
- 非晶質膜を作製した後、非晶質膜を部分的に結晶化させて結晶性膜を作製する方法において、
請求項4または5に記載の結晶性膜の検査方法によって得られる非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率と、予め設定される非晶質膜領域および結晶膜領域の混在比率とを比較し、
この比較結果に基づいて、前記部分的に結晶化するための条件を調整することを特徴とする結晶性膜の作製方法。 - 前記結晶性膜の検査方法によって得られる膜材の非晶質塊の最大径と、予め定められる非晶質塊の基準径とを比較し、この比較結果に基づいて、非晶質膜を部分的に結晶化するための条件を調整することを特徴とする請求項6に記載の結晶性膜の作製方法。
- 請求項4または5に記載の結晶性膜の検査方法によって得られる膜材であって、
前記膜材の非晶質塊の最大径を少なくとも計測し得る非晶質塊の計測方法において、
前記検査方法によって得られる非晶質膜領域と結晶膜領域とを分離検出した2値画像に対して、膨張処理または収縮処理を行うことを特徴とする非晶質塊の計測方法。
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