JP2004071602A - ヒートシンクおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のヒートシンクに比較して放熱性能を向上させることができるヒートシンクおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】フィン取付面2aを有する金属展伸材製放熱ベース2と、放熱ベース2のフィン取付面2aに、フィン取付面2aに対して立ち上がり状にかつ互いに間隔をおいて並列状に設けられた複数の金属展伸材製放熱フィン3とを備えている。放熱ベース2のフィン取付面2aに、複数の溝4を間隔をおいて並列状に形成する。放熱フィン3の基端部3aを溝4内に入れる。ダイキャストにより溝4内を埋めるように固定用金属塊5を鋳造し、固定用金属塊5により放熱ベース2と放熱フィン3とを一体化する。
【選択図】 図1
【解決手段】フィン取付面2aを有する金属展伸材製放熱ベース2と、放熱ベース2のフィン取付面2aに、フィン取付面2aに対して立ち上がり状にかつ互いに間隔をおいて並列状に設けられた複数の金属展伸材製放熱フィン3とを備えている。放熱ベース2のフィン取付面2aに、複数の溝4を間隔をおいて並列状に形成する。放熱フィン3の基端部3aを溝4内に入れる。ダイキャストにより溝4内を埋めるように固定用金属塊5を鋳造し、固定用金属塊5により放熱ベース2と放熱フィン3とを一体化する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、民生用、産業用を問わずあらゆる分野の発熱部材に用いられ、発熱部材の構成要素である発熱体、たとえば電子機器においては電子部品から発せられる熱を放熱するヒートシンクおよびその製造方法に関する。
【0002】
以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとし、「銅」という用語には、純銅の他に銅合金を含むものとする。
【0003】
【従来の技術】
従来、ヒートシンクとしては、板状の放熱ベースと、放熱ベースの片面に立ち上がり状にかつ並列状に一体成形された複数の板状放熱フィンとよりなるアルミニウム押出形材製のものが用いられていた。
【0004】
しかしながら、最近では、電子部品などからなる発熱体の高性能化に伴って発熱量が著しく増大しており、ヒートシンクの高性能化が求められているが、従来のアルミニウム押出形材製ヒートシンク場合、その製法上、隣接する放熱フィン間の間隔(フィン間隔)に対する放熱フィンの高さ(フィン高さ)の比であるトング比(フィン高さ/フィン間隔)に上限があり、フィン間隔を小さくかつフィン高さを大きくすることができないので、高性能化の要求に応じきれていないという問題があった。
【0005】
そこで、このような問題を解決したヒートシンクとして、板状の放熱ベースと放熱フィンとがダイキャストにより一体に鋳造されたヒートシンク(特開平11−195738号公報参照)や、並列状に配された複数の放熱フィンと、全ての放熱フィンの一端部を鋳ぐるむようにダイキャストにより鋳造された板状の放熱ベースとよりなるヒートシンク(特開平8−316378号公報、特開平11−31771号公報参照)や、板状の放熱ベースに複数の溝が並列状に形成され、各溝内に放熱フィンの一端部が嵌め入れられ、放熱ベースにおける溝の両側をかしめることにより、放熱フィンが放熱ベースに固定されたヒートシンク(特開平9−2983809号公報参照)などが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、放熱ベースおよび放熱フィンがダイキャストにより一体に鋳造された従来のヒートシンク、および放熱ベースがダイキャストにより鋳造された従来のヒートシンクにおいては、次のような問題があることが判明した。すなわち、発熱体は、通常、放熱ベースにおけるフィン取付面とは反対側の受熱面の中央部に熱的に接触させられるが、放熱性能を向上させるためには、発熱体から発せられる熱を、フィン取付面全体に拡散させて全ての放熱フィンから放熱させる必要がある。そして、放熱ベースの肉厚が小さいと、発熱体から発せられる熱は放熱ベースのフィン取付面の中央部に集中して伝わり、フィン取付面全体に拡がりにくくなるので、全ての放熱フィンを放熱のために有効に寄与させることができなくなり、放熱性能が低下する。したがって、放熱ベースの肉厚は所定厚さ以上にしなければならないが、放熱ベースがダイキャストにより形成されている場合であっても、その内部には微小な気孔が存在することは避けられず、放熱ベースの肉厚を所定厚さ以上にすると、微小気孔の数も多くなり、気孔の存在に起因して熱伝達抵抗が大きくなる。その結果、やはり発熱体から発せられる熱がフィン取付面全体に拡がりにくくなり、放熱性能が低下する。
【0007】
また、放熱ベースに複数の溝が並列状に形成され、各溝内に放熱フィンの一端部が嵌め入れられ、放熱ベースにおける溝の両側をかしめることにより、放熱フィンが放熱ベースに固定されたヒートシンクでは、放熱ベースと放熱フィンとの間の伝熱面積が不足するとともに、機械的接合のため熱抵抗が大きく、その結果放熱性能が十分ではないという問題がある。
【0008】
この発明の目的は、上記問題を解決し、従来のヒートシンクに比較して放熱性能を向上させることができるヒートシンクおよびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によるヒートシンクは、フィン取付面を有する金属展伸材製放熱ベースと、放熱ベースのフィン取付面に、フィン取付面に対して立ち上がり状にかつ互いに間隔をおいて並列状に設けられた複数の金属展伸材製放熱フィンとを備えており、放熱フィンが、放熱ベースと放熱フィンの基端部との間にダイキャストにより鋳造されかつ放熱フィンの全長にわたる固定用金属塊によって放熱ベースに一体化されているものである。
【0010】
請求項2の発明によるヒートシンクは、請求項1の発明において、放熱フィンの基端が放熱フィンのフィン取付面に当接させられ、固定用金属塊が、放熱ベースのフィン取付面と放熱フィンの両側面とにまたがるようにすみ肉状に形成されているものである。
【0011】
請求項3の発明によるヒートシンクは、請求項1の発明において、放熱ベースのフィン取付面に、複数の溝が間隔をおいて並列状に形成されており、放熱フィンの基端部が溝内に入れられ、固定用金属塊が溝内を埋めるように形成されているものである。
【0012】
請求項4の発明によるヒートシンクは、請求項3の発明において、溝における開口よりも底側の部分に、開口幅よりも幅の広い部分が設けられているものである。
【0013】
請求項5の発明によるヒートシンクは、請求項4の発明において、溝の幅が、開口から底に向かって徐々に拡がっているものである。
【0014】
請求項6の発明によるヒートシンクは、請求項1〜5のうちのいずれかの発明において、固定用金属塊中に存在する気孔の大きさが、100μm以下となされているものである。
【0015】
請求項7の発明によるヒートシンクは、請求項1〜6のうちのいずれかの発明において、放熱ベースと放熱フィンとが同種の金属からなるものである。
【0016】
請求項8の発明によるヒートシンクは、請求項7の発明において、放熱ベースおよび放熱フィンがそれぞれアルミニウムからなるものである。
【0017】
請求項9の発明によるヒートシンクは、請求項1〜6のうちのいずれかの発明において、放熱ベースと放熱フィンとが異種の金属からなるものである。
【0018】
請求項10の発明によるヒートシンクは、請求項9の発明において、放熱ベースが銅からなり、放熱フィンがアルミニウムからなるものである。
【0019】
請求項11の発明によるヒートシンクは、請求項1〜10のうちのいずれかの発明において、放熱ベースおよび放熱フィンと固定用金属塊とが、冶金的に接合されているものである。
【0020】
請求項12の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項2記載のヒートシンクを製造する方法であって、金属展伸材製放熱ベースと、金属展伸材製放熱フィンと、放熱ベース収容部、放熱フィン収容部、および放熱ベース収容部に収容される放熱ベースのフィン取付面と放熱フィン収容部に収容される放熱フィンの基端部両側面との間に形成された固定用金属塊鋳造用キャビティを有するダイキャスト用金型とを用意し、ダイキャスト用金型の放熱ベース収容部に放熱ベースを、放熱フィン収容部に放熱フィンをそれぞれ収容した後、溶融金属に圧力をかけて固定用金属塊鋳造用キャビティ内に注入し、ダイキャストにより固定用金属塊を放熱ベースのフィン取付面と放熱フィンの両側面とにまたがるようにすみ肉状に形成し、固定用金属塊により放熱ベースと放熱フィンとを一体化することを特徴とするものである。
【0021】
請求項13の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項3記載のヒートシンクを製造する方法であって、フィン取付面を有するとともにフィン取付面に複数の溝が間隔をおいて並列状に形成されている金属展伸材製放熱ベースと、金属展伸材製放熱フィンと、放熱ベース収容部、および放熱ベース収容部内に収容される放熱ベースの溝に臨む放熱フィン収容部を有するダイキャスト用金型とを用意し、ダイキャスト用金型の放熱ベース収容部内に放熱ベースを収容するとともに、放熱フィン収容部内に放熱フィンをその基端部が放熱ベースの溝内に入り込むように収容し、溶融金属に圧力をかけて放熱ベースの溝内に注入し、ダイキャストにより溝を埋めるように固定用金属塊を形成し、固定用金属塊により放熱ベースと放熱フィンとを一体化することを特徴とするものである。
【0022】
請求項14の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項13の発明において、溝における開口よりも底側の部分に、開口幅よりも幅の広い部分を設けておくものである。
【0023】
請求項15の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項14の発明において、溝の幅が、開口から底に向かって徐々に拡がっているものである。
【0024】
請求項16の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項12〜15のうちのいずれかの発明において、溶融金属の注入時に、放熱ベースの温度を200℃以上でかつ融点未満とするものである。
【0025】
請求項17の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項16の発明において、放熱ベースの温度を300℃以上とするものである。
【0026】
請求項18の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項16または17の発明において、ダイキャスト用金型に収容する前に、放熱ベースを加熱するものである。
【0027】
請求項19の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項16〜18のうちのいずれかの発明において、ダイキャスト用金型に収容した後に、放熱ベースを加熱するものである。
【0028】
請求項20の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項12〜19のうちのいずれかの発明において、放熱ベースおよび放熱フィンにおける鋳造される固定用金属塊と接触する部分に、放熱ベースおよび放熱フィンを形成する金属よりも融点の低いフラックスを塗布しておくものである。
【0029】
請求項21の発明による発熱部材は、請求項1〜11のうちのいずれかに記載されたヒートシンクと、発熱体とを備えており、発熱体がヒートシンクにおけるフィン取付面以外に設けられた受熱面に熱的に接触させられているものである。
【0030】
請求項22の発明による発熱部材は、請求項21の発明において、発熱体が、カーナビゲーションシステムの表示装置基板、自動車用ITS(Intelligent Transport System)の表示装置基板、電気自動車の制御回路基板、電気自動車の発熱部、パーソナルコンピュータのCPU、テレビ電話の回路基板、および携帯電話の中継基地局の回路基板からなる群から選択された1つからなるものである。
【0031】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0032】
図1はこの発明によるヒートシンクの一例を示し、図2はその製造方法を示す。なお、以下の説明において、図面の上下、左右をそれぞれ上下、左右といい、図面の紙面表側を前、これと反対側を後というものとする。
【0033】
図1において、ヒートシンク(1)は、上面がフィン取付面(2a)となされるとともに、下面が受熱面(2b)となされた方形板状金属展伸材製放熱ベース(2)と、放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)に、フィン取付面(2a)に対して立ち上がり状となりかつ左右方向に等間隔をおいて並列状となるように形成された複数の板状金属展伸材製放熱フィン(3)とを備えている。
【0034】
放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)には、前後方向に伸びる複数の溝(4)が左右方向に等間隔をおいて並列状となるように形成されている。溝(4)の左右両側面は、溝(4)の開口から底側に向かって左右方向外方に傾斜しており、これにより溝(4)の幅が上端(開口側)から下方(底側)に向かって徐々に拡がっている。なお、溝(4)の幅は、上端(開口)から下端(底)まで同一幅であってもよい。放熱ベース(2)の肉厚は3〜30mm程度であることが好ましい。また、溝(4)の開口幅は放熱フィン(3)の肉厚により異なるが、放熱フィン(3)の両面と溝(4)の開口の両側縁との間に、それぞれ1〜5mm程度の隙間が存在することが好ましい。また、溝(4)の底幅は開口幅の1〜3倍程度であることが好ましい。なお、底幅が開口幅の1倍であるということは、溝(4)の幅が上端(開口)から下端(底)まで同一幅になっていることである。さらに、溝(4)の深さは1〜20mm程度であることが好ましい。放熱ベース(2)はアルミニウムや銅などの熱伝導性に優れた金属展伸材により形成されるが、アルミニウムの場合、たとえば押出により形成され、銅の場合、たとえば押出により形成される。
【0035】
放熱フィン(3)は、下端部(3a)(基端部)が溝(4)内に入れられており、溝(4)内全体を埋めるようにダイキャストにより鋳造された固定用金属塊(5)によって放熱ベース(2)に一体化されている。放熱フィン(3)の肉厚は0.1〜5mm程度であることが好ましい。放熱フィン(3)はアルミニウムや銅などの熱伝導性に優れた金属展伸材により形成される。
【0036】
固定用金属塊(5)に存在する気孔の大きさは、100μm以下となされていることが好ましい。また、固定用金属塊(5)はアルミニウムや銅などの熱伝導性に優れた金属で形成されるが、ダイキャストの容易性を考慮するとアルミニウムで形成されることが好ましい。
【0037】
ヒートシンク(1)の製造方法は図2に示すとおりである。
【0038】
まず、フィン取付面(2a)に溝(4)を有する放熱ベース(2)と、放熱ベース収容部(11)、放熱フィン収容部(12)および放熱ベース(2)の溝(4)内に溶融金属を注入する湯口系(13)を有するダイキャスト用金型(10)とを用意する。ダイキャスト用金型(10)は固定型(10A)と可動型(10B)とよりなり、固定型(10A)と可動型(10B)との境界部分に放熱ベース収容部(11)が形成されている。また、可動型(10B)に、下端が、放熱ベース収容部(11)に収容される放熱ベース(2)の溝(4)に臨む放熱フィン収容部(12)と、放熱ベース収容部(11)に収容される放熱ベース(2)の溝(4)内に溶融金属を注入する複数の湯口系(13)が左右方向に間隔をおいて形成されている。左右両端の湯口系(13)はそれぞれ左右両端の溝(4)よりも左右方向外方に形成されており、左右両端の溝(4)内に溶融金属を注入する。他の湯口系(13)は左右方向に隣接する溝(4)間に形成されており、その両側の溝(4)内に溶融金属を注入する。また、固定型(10A)および可動型(10B)は、それぞれヒータ(14)(15)を内蔵している。
【0039】
そして、放熱ベース(2)を放熱ベース収容部(11)内に溝(4)が上方を向くように収容するとともに、放熱フィン収容部(12)内に放熱フィン(3)をその下端部(3a)が放熱ベース(2)の溝(4)内に入り込むように収容する(図2(a)参照)。このとき、固定型(10A)に設けた温度センサ(図示略)により、放熱ベース(2)の受熱面(2b)の中央部の温度を検出しうるとともに、可動型(10B)に設けた温度センサ(図示略)により、放熱フィン(3)の上端部の温度を検出しうるようにしておく。
【0040】
その後、溶融金属に圧力をかけた状態で、湯口系(13)を通して放熱ベース(2)の溝(4)内に注入し、溝(4)内全体を埋めるように固定用金属塊(5)を形成し、固定用金属塊(5)により放熱ベース(2)と放熱フィン(3)とを一体化する(図2(b)参照)。なお、溶融金属の注入時には、ヒータ(15)により可動型(10B)を加熱しおく。圧力のかけられた溶融金属を注入すると、高圧の溶融金属が放熱ベース(2)の溝(4)の内周面および放熱フィン(3)の下端部(3a)の両側面に衝突したさいに、溶融金属により放熱ベース(2)および放熱フィン(3)が加熱されることによって放熱ベース(2)および放熱フィン(3)の地金とその表面に形成されている酸化皮膜との熱膨張差により酸化皮膜にクラックが入るとともに、溶融金属から高圧力を受けるので、酸化皮膜が破壊されて放熱ベース(2)表面および放熱フィン(3)表面から押しのけられる。したがって、ダイキャストにより鋳造される固定用金属塊(5)が放熱ベース(2)および放熱フィン(3)と冶金的に接合することになり、これらの接合が堅固に行われるとともに放熱ベース(2)および放熱フィン(3)間での熱伝導性が優れたものになる。
【0041】
こうして、ヒートシンク(1)が製造される。
【0042】
上述したような製造方法において、溶融金属の注入時に、上記図示しない温度センサにより検出される放熱ベース(2)の受熱面(2b)中央部の温度および放熱フィン(3)上端部の温度を、それぞれ200℃以上でかつ融点未満とすることが好ましく、300℃以上でかつ融点未満とすることが望ましい。放熱ベース(2)の受熱面(2b)中央部の温度および放熱フィン(3)上端部の温度をこのような温度にするためには、ダイキャスト用金型(10)に収容する前に放熱ベース(2)および放熱フィン(3)を加熱したり、ダイキャスト用金型(10)に収容した後に放熱ベース(2)および放熱フィン(3)をヒータ(14)(15)により加熱したり、あるいはダイキャスト用金型(10)に収容する前および後のいずれにおいても放熱ベース(2)および放熱フィン(3)を加熱したりするのがよい。この場合、地金と酸化皮膜との熱膨張率の差により酸化皮膜を破壊する効果が一層向上する。
【0043】
さらに、放熱ベース(2)および放熱フィン(3)をダイキャスト用金型(10)に収容する前に、放熱ベース(2)の溝(4)の内周面および放熱フィン(3)の下端部(3a)の両側面に、それぞれ放熱ベース(2)および放熱フィン(3)を形成する金属よりも融点の低いフラックスを塗布しておくことが好ましい。この場合、溶融金属が放熱ベース(2)の溝(4)内周面および放熱フィン(3)の下端部(3a)両側面に衝突したさいに、溶融金属の有する熱によりフラックスが溶融し、その結果溝(4)内周面および下端部(3a)両側面の酸化皮膜が破壊される。したがって、酸化皮膜を破壊することにより得られる効果が一層向上する。フラックスとしては、放熱ベース(2)および放熱フィン(3)がアルミニウム製や銅製の場合には、フッ素化合物または塩素化合物の錯体化物、たとえばKAlF4を主成分とするものが用いられる。また、放熱ベース(2)および放熱フィン(3)が異種金属からなる場合には、フラックスとしては融点の低い金属よりもさらに融点の低いものが用いられる。
【0044】
図3はこの発明によるヒートシンクの他の例の実施形態を示す。
【0045】
図3に示すヒートシンク(20)の場合、放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)には溝は形成されておらず、放熱フィン(3)の下端(基端)が放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)に当接させられ、放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)と放熱フィン(3)の下端部の両側面とにまたがるようにダイキャストによりすみ肉状に鋳造され、かつ放熱フィン(3)の前後方向の全長にわたる固定用金属塊(21)によって、放熱フィン(3)が放熱ベース(2)に一体化されている。
【0046】
図3に示すヒートシンク(20)の製造方法は図4に示すとおりである。
【0047】
まず、フィン取付面(2a)に溝を有しない放熱ベース(2)と、放熱ベース収容部(31)、下端が放熱ベース収容部(31)よりも若干上方に位置する複数の放熱フィン収容部(32)、固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)、および固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)内に溶融金属を注入する複数の湯口系(34)を有するダイキャスト用金型(30)とを用意する。ダイキャスト用金型(30)は固定型(30A)と可動型(30B)とよりなり、固定型(30A)と可動型(30B)との境界部分に放熱ベース収容部(31)が形成されている。また、可動型(30B)に、放熱フィン収容部(32)と、固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)と、湯口系(34)とが形成されている。固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)は、放熱ベース収容部(31)内に収容された放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)と、放熱フィン収容部(32)内に下端部が下方に突出するように収容された放熱フィン(3)の下端部の両側面とにまたがるように形成されている。湯口系(34)は、左右両端の放熱フィン収容部(32)の左右方向外側部分および隣接する放熱フィン収容部(32)間の部分に形成されている。左右両端の湯口系(34)はそれぞれ左右両端の固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)内に溶融金属を注入する。他の湯口系(34)はその左右両側の固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)内に溶融金属を注入する。また、固定型(30A)および可動型(30B)は、それぞれヒータ(14)(15)を内蔵している。
【0048】
そして、放熱ベース(2)を放熱ベース収容部(31)内に収容するとともに、放熱フィン収容部(32)内に放熱フィン(3)をその下端が放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)に当接するように収容する(図4(a)参照)。このとき、固定型(30A)に設けた温度センサ(図示略)により、放熱ベース(2)の受熱面(2b)の中央部の温度を検出しうるとともに、可動型(30B)に設けた温度センサ(図示略)により、放熱フィン(3)の上端部の温度を検出しうるようにしておく。
【0049】
その後、溶融金属に圧力をかけた状態で、湯口系(34)を通して固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)内に注入し、固定用金属塊(21)を鋳造してこの固定用金属塊(21)により放熱ベース(2)と放熱フィン(3)とを一体化する(図4(b)参照)。なお、溶融金属の注入時には、ヒータ(15)により可動型(30B)を加熱しておく。圧力のかけられた溶融金属を注入すると、高圧の溶融金属が放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)および放熱フィン(3)の下端部の両側面に衝突したさいに、溶融金属により放熱ベース(2)および放熱フィン(3)が加熱されることによって放熱ベース(2)および放熱フィン(3)の地金とその表面に形成されている酸化皮膜との熱膨張差により酸化皮膜にクラックが入るとともに、溶融金属から高圧力を受けるので、酸化皮膜が破壊されて放熱ベース(2)表面および放熱フィン(3)表面から押しのけられる。したがって、ダイキャストにより鋳造される固定用金属塊(21)が放熱ベース(2)および放熱フィン(3)と冶金的に接合することになり、これらの接合が堅固に行われるとともに放熱ベース(2)および放熱フィン(3)間での熱伝導性が優れたものになる。
【0050】
こうして、ヒートシンク(20)が製造される。
【0051】
図4に示す製造方法においても、図2に示す製造方法の場合と同様な方法で、溶融金属の注入時に、上記図示しない温度センサにより検出される放熱ベース(2)の受熱面(2b)中央部の温度および放熱フィン(3)上端部の温度を、それぞれ200℃以上でかつ融点未満とすることが好ましく、300℃以上でかつ融点未満とすることが望ましい。
【0052】
さらに、図2に示す製造方法の場合と同様に、放熱ベース(2)および放熱フィン(3)をダイキャスト用金型(30)に収容する前に、放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)および放熱フィン(3)の下端部の両側面に、それぞれ放熱ベース(2)および放熱フィン(3)を形成する金属よりも融点の低いフラックスを塗布しておくことが好ましい。用いるフラックスの種類は、図2に示す製造方法の場合と同じである。
【0053】
図1および図3に示すこの発明によるヒートシンク(1)(20)は、冷却が必要とされる発熱体を具備した発熱部材に、発熱体が受熱面(2b)に熱的に接触するようにして用いられる。発熱体としては、カーナビゲーションシステムの表示装置基板、自動車用ITSの表示装置基板、電気自動車の制御回路基板、電気自動車のその他の発熱部、パーソナルコンピュータのCPU、テレビ電話の回路基板、および携帯電話の中継基地局の回路基板などが挙げられる。
【0054】
次に、この発明の具体的実施例について、比較例とともに説明する。具体的実施例のヒートシンクは図1に示す構成のものであり、製造方法は図2に示すとおりである。
【0055】
実施例1〜11
放熱ベース(2)として、幅60mm、長さ80mm、肉厚10mmであり、フィン取付面(2a)にその長さ方向(前後方向)に伸びる6つの溝(4)が幅方向(左右方向)に所定間隔をおいて形成されたものを用意した。溝(4)の寸法は、開口幅2.8mm、底幅4.2mm、深さ5mmである。また、放熱フィン(3)として、前後方向の長さ80mm、肉厚1.2mmで、高さの異なるものを複数用意した。
【0056】
そして、放熱ベース(2)の溝(4)の内周面および放熱フィン(3)へのフラックスの塗布、溶融金属注入時の放熱ベース(2)および放熱フィン(3)の温度、ならびに隣接する放熱フィン(3)間の間隔(フィン間隔)に対する放熱フィン(3)の高さ(フィン高さ)の比であるトング比(フィン高さ/フィン間隔)の条件を種々変え、60トンプレスによってJIS ADC12からなる700℃の溶融金属に圧力をかけて内圧が70MPaとなるように調整し、固定用金属塊を鋳造して11種類のヒートシンク(1)を製造した。ここで、放熱ベース(2)の温度は、上述した図示しない温度センサにより検出される受熱面(2b)中央部の温度であり、放熱フィン(3)の温度は上述した図示しない温度センサにより検出される上端部の温度である。また、フラックスとしては、KAlF4を主成分とするものを使用した。実施例11は、放熱ベース(2)および放熱フィン(3)をダイキャスト用金型の放熱ベース収容部および放熱フィン収容部内に収容する前および後のいずれにおいても加熱しなかったものである。
【0057】
比較例1
放熱ベースおよび放熱フィンを、押出加工により一体に形成してヒートシンクを製造した。
【0058】
比較例2
フィン取付面に複数の溝が並列状に形成された放熱ベースを用意し、各溝内に展伸材製放熱フィンの一端部を嵌め入れ、放熱ベースにおける溝の両側をかしめることにより、放熱フィンを放熱ベースに固定し、ヒートシンクを製造した。
【0059】
なお、比較例1〜2において、放熱ベースは、幅60mm、長さ80mm、肉厚10mmであり、放熱フィンの肉厚は2.8mmである。
【0060】
実施例1〜11および比較例1〜2のヒートシンクを表1に示す。なお、表1の材料の欄は、JISの呼称記号を示す。
【0061】
【表1】
【0062】
評価試験
実施例1〜11については、横断面における全溝(4)の周長(図1における各溝(4)の内周面の周長×溝数)および全放熱フィン(3)の固定用金属塊(5)と接触している部分の表面の長さの合計に対する固定用金属塊(5)が溝(4)内周面および放熱フィン(3)に冶金的に接合されている部分の長さの合計の割合である接合率(%)、固定用金属塊(5)の横断面積に対する固定用金属塊(5)中に存在する気孔の面積率の割合である欠陥率(%)、および放熱ベース(2)の受熱面(2b)の中央部に10mm角のヒータブロックを取り付けて加熱したさいの熱抵抗を求めた。さらに、比較例1〜2については、放熱ベースの受熱面の中央部に10mm角のヒータブロックを取り付けて加熱したさいの熱抵抗を求めた。熱抵抗は、放熱フィンの先端部と放熱ベースの受熱面の中央部との温度差(℃)を、ヒータブロックの出力(W)で除したものである。その結果も表1に示す。
【0063】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜11のヒートシンクの熱抵抗は、比較例1〜2のヒートシンクの熱抵抗よりも小さく、その結果優れた放熱性能が得られることが分かる。
【0064】
【発明の効果】
請求項1の発明のヒートシンクによれば、フィン取付面を有する金属展伸材製放熱ベースと、放熱ベースのフィン取付面に、フィン取付面に対して立ち上がり状にかつ互いに間隔をおいて並列状に設けられた複数の金属展伸材製放熱フィンとを備えており、放熱フィンが、放熱ベースと放熱フィンの基端部との間にダイキャストにより鋳造されかつ放熱フィンの全長にわたる固定用金属塊によって放熱ベースに一体化されているので、隣接する放熱フィン間の間隔(フィン間隔)に対する放熱フィンの高さ(フィン高さ)の比であるトング比(フィン高さ/フィン間隔)を任意に設定することができ、フィン間隔を小さくかつフィン高さを大きくすることが可能になる。しかも、放熱フィンが、放熱ベースと放熱フィンの基端部との間にダイキャストにより形成されかつ放熱フィンの全長にわたる固定用金属塊によって放熱ベースに一体化されているので、両者間での熱伝達抵抗は、従来のかしめにより放熱フィンが放熱ベースに固定されたヒートシンクに比べて小さい。したがって、従来のヒートシンクに比べて放熱性能が向上する。
【0065】
また、放熱ベースが金属展伸材からなるので、その内部にはごくわずかな微小気孔しか存在せず、放熱ベース自身の熱伝達抵抗は、ダイキャストにより成形された従来の放熱ベースに比べて小さくなる。その結果、放熱ベースの肉厚を、放熱ベースにおけるフィン取付面以外の部分に熱的に接触させられた発熱体から発せられる熱がフィン取付面全体に速やかに拡散するのに適したものにすることができ、全ての放熱フィンを放熱のために有効に寄与させることが可能になる。しかも、放熱フィンも金属展伸材からなるので、放熱フィン自身の熱伝達抵抗は小さくなる。したがって、放熱ベースおよび放熱フィンが金属展伸材製ことにより、放熱性能が向上する。
【0066】
さらに、請求項1の発明のヒートシンクによれば、放熱性能が従来のものに比べて向上するので、コンパクト化を図った上で、従来と同程度の放熱性能を得ることができる。
【0067】
請求項3の発明によれば、放熱ベースおよび放熱フィンと固定用金属塊との伝熱面積を大きくすることができ、固定用金属塊を介しての放熱ベースから放熱フィンへの熱伝達性が向上する。したがって、放熱性能が向上する。
【0068】
請求項4および5の発明によれば、放熱ベースおよび放熱フィンと固定用金属塊との伝熱面積を大きくする効果が優れたものとなる。
【0069】
請求項6の発明によれば、固定用金属塊中に存在する気孔の大きさが、100μm以下となされているので、固定用金属塊の熱伝達抵抗の増大を抑制することができ、その結果放熱性能の低下を防止することが可能になる。溝内に充填されている固定用金属塊は、放熱ベースの一部分を構成することになり、この固定用金属塊の熱伝達抵抗が増大すれば、請求項1の発明のところで述べた、フィン取付面以外の部分に熱的に接触させられた発熱体から発せられる熱がフィン取付面全体に速やかに拡散する効果が低下するおそれがある。
【0070】
請求項9の発明によれば、放熱ベースと放熱フィンとを、それぞれ放熱性能を向上させる上で最適な材質のものにすることができる。
【0071】
請求項11の発明によれば、固定用金属塊を介しての放熱ベースから放熱フィンへの熱伝達性が優れたものになる。
【0072】
請求項12の発明のヒートシンクの製造方法によれば、高圧の溶融金属が放熱ベースのフィン取付面および放熱フィンの基端部の両側面に衝突したさいに、溶融金属により放熱ベースおよび放熱フィンが加熱されることによって放熱ベースおよび放熱フィンの地金とその表面に形成されている酸化皮膜との熱膨張差により酸化皮膜にクラックが入るとともに、溶融金属から高圧力を受けるので、酸化皮膜が破壊されて放熱ベース表面および放熱フィン表面から押しのけられる。したがって、ダイキャストにより形成される固定用金属塊が放熱ベースおよび放熱フィンと冶金的に接合することになり、両者の接合が堅固に行われるとともに、固定用金属塊を介しての放熱ベースから放熱フィンへの熱伝導性が優れたものになる。そして、製造されたヒートシンクは請求項2および11と同様な効果を奏する。
【0073】
請求項13の発明のヒートシンクの製造方法によれば、高圧の溶融金属が放熱ベースの溝の内周面および放熱フィンの溝内に入れられた部分の表面に衝突したさいに、溶融金属により放熱ベースおよび放熱フィンが加熱されることによって放熱ベースおよび放熱フィンの地金とその表面に形成されている酸化皮膜との熱膨張差により酸化皮膜にクラックが入るとともに、溶融金属から高圧力を受けるので、酸化皮膜が破壊されて放熱ベース表面および放熱フィン表面から押しのけられる。したがって、ダイキャストにより形成される固定用金属塊が放熱ベースおよび放熱フィンと冶金的に接合することになり、両者の接合が堅固に行われるとともに、固定用金属塊を介しての放熱ベースから放熱フィンへの熱伝導性が優れたものになる。そして、製造されたヒートシンクは請求項3および11と同様な効果を奏する。
【0074】
請求項14および15の発明によれば、それぞれ請求項4および5の発明と同様な効果を奏する。
【0075】
請求項16の発明によれば、放熱ベースおよび放熱フィンの地金とその表面に形成されている酸化皮膜との熱膨張差に起因する酸化皮膜へのクラック発生効果が向上する。
【0076】
請求項17の発明によれば、放熱ベースおよび放熱フィンの地金とその表面に形成されている酸化皮膜との熱膨張差に起因する酸化皮膜へのクラック発生効果が一層向上する。
【0077】
請求項20の発明によれば、溶融金属が放熱ベースおよび放熱フィンに衝突したさいに、フラックスが溶融し、その結果放熱ベース表面および放熱フィン表面の酸化皮膜が破壊される。したがって、ダイキャストにより形成される固定用金属塊が放熱ベースおよび放熱フィンと確実に冶金的に接合することになり、両者の接合が堅固になるとともに、固定用金属塊を介しての放熱ベースから放熱フィンへの熱伝導性が優れたものになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるヒートシンクの実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のヒートシンクを製造する方法を示す垂直断面図である。
【図3】この発明によるヒートシンクの他の実施形態を示す正面図である。
【図4】図3のヒートシンクを製造する方法を示す垂直断面図である。
【符号の説明】
(1)(20):ヒートシンク
(2):放熱ベース
(2a):フィン取付面
(3):放熱フィン
(3a):基端部
(4):溝
(5)(21):固定用金属塊
(10)(30):ダイキャスト用金型
(11)(31):放熱ベース収容部
(12)(32):放熱フィン収容部
(33):固定用金属塊鋳造用キャビティ
【発明の属する技術分野】
この発明は、民生用、産業用を問わずあらゆる分野の発熱部材に用いられ、発熱部材の構成要素である発熱体、たとえば電子機器においては電子部品から発せられる熱を放熱するヒートシンクおよびその製造方法に関する。
【0002】
以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとし、「銅」という用語には、純銅の他に銅合金を含むものとする。
【0003】
【従来の技術】
従来、ヒートシンクとしては、板状の放熱ベースと、放熱ベースの片面に立ち上がり状にかつ並列状に一体成形された複数の板状放熱フィンとよりなるアルミニウム押出形材製のものが用いられていた。
【0004】
しかしながら、最近では、電子部品などからなる発熱体の高性能化に伴って発熱量が著しく増大しており、ヒートシンクの高性能化が求められているが、従来のアルミニウム押出形材製ヒートシンク場合、その製法上、隣接する放熱フィン間の間隔(フィン間隔)に対する放熱フィンの高さ(フィン高さ)の比であるトング比(フィン高さ/フィン間隔)に上限があり、フィン間隔を小さくかつフィン高さを大きくすることができないので、高性能化の要求に応じきれていないという問題があった。
【0005】
そこで、このような問題を解決したヒートシンクとして、板状の放熱ベースと放熱フィンとがダイキャストにより一体に鋳造されたヒートシンク(特開平11−195738号公報参照)や、並列状に配された複数の放熱フィンと、全ての放熱フィンの一端部を鋳ぐるむようにダイキャストにより鋳造された板状の放熱ベースとよりなるヒートシンク(特開平8−316378号公報、特開平11−31771号公報参照)や、板状の放熱ベースに複数の溝が並列状に形成され、各溝内に放熱フィンの一端部が嵌め入れられ、放熱ベースにおける溝の両側をかしめることにより、放熱フィンが放熱ベースに固定されたヒートシンク(特開平9−2983809号公報参照)などが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、放熱ベースおよび放熱フィンがダイキャストにより一体に鋳造された従来のヒートシンク、および放熱ベースがダイキャストにより鋳造された従来のヒートシンクにおいては、次のような問題があることが判明した。すなわち、発熱体は、通常、放熱ベースにおけるフィン取付面とは反対側の受熱面の中央部に熱的に接触させられるが、放熱性能を向上させるためには、発熱体から発せられる熱を、フィン取付面全体に拡散させて全ての放熱フィンから放熱させる必要がある。そして、放熱ベースの肉厚が小さいと、発熱体から発せられる熱は放熱ベースのフィン取付面の中央部に集中して伝わり、フィン取付面全体に拡がりにくくなるので、全ての放熱フィンを放熱のために有効に寄与させることができなくなり、放熱性能が低下する。したがって、放熱ベースの肉厚は所定厚さ以上にしなければならないが、放熱ベースがダイキャストにより形成されている場合であっても、その内部には微小な気孔が存在することは避けられず、放熱ベースの肉厚を所定厚さ以上にすると、微小気孔の数も多くなり、気孔の存在に起因して熱伝達抵抗が大きくなる。その結果、やはり発熱体から発せられる熱がフィン取付面全体に拡がりにくくなり、放熱性能が低下する。
【0007】
また、放熱ベースに複数の溝が並列状に形成され、各溝内に放熱フィンの一端部が嵌め入れられ、放熱ベースにおける溝の両側をかしめることにより、放熱フィンが放熱ベースに固定されたヒートシンクでは、放熱ベースと放熱フィンとの間の伝熱面積が不足するとともに、機械的接合のため熱抵抗が大きく、その結果放熱性能が十分ではないという問題がある。
【0008】
この発明の目的は、上記問題を解決し、従来のヒートシンクに比較して放熱性能を向上させることができるヒートシンクおよびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によるヒートシンクは、フィン取付面を有する金属展伸材製放熱ベースと、放熱ベースのフィン取付面に、フィン取付面に対して立ち上がり状にかつ互いに間隔をおいて並列状に設けられた複数の金属展伸材製放熱フィンとを備えており、放熱フィンが、放熱ベースと放熱フィンの基端部との間にダイキャストにより鋳造されかつ放熱フィンの全長にわたる固定用金属塊によって放熱ベースに一体化されているものである。
【0010】
請求項2の発明によるヒートシンクは、請求項1の発明において、放熱フィンの基端が放熱フィンのフィン取付面に当接させられ、固定用金属塊が、放熱ベースのフィン取付面と放熱フィンの両側面とにまたがるようにすみ肉状に形成されているものである。
【0011】
請求項3の発明によるヒートシンクは、請求項1の発明において、放熱ベースのフィン取付面に、複数の溝が間隔をおいて並列状に形成されており、放熱フィンの基端部が溝内に入れられ、固定用金属塊が溝内を埋めるように形成されているものである。
【0012】
請求項4の発明によるヒートシンクは、請求項3の発明において、溝における開口よりも底側の部分に、開口幅よりも幅の広い部分が設けられているものである。
【0013】
請求項5の発明によるヒートシンクは、請求項4の発明において、溝の幅が、開口から底に向かって徐々に拡がっているものである。
【0014】
請求項6の発明によるヒートシンクは、請求項1〜5のうちのいずれかの発明において、固定用金属塊中に存在する気孔の大きさが、100μm以下となされているものである。
【0015】
請求項7の発明によるヒートシンクは、請求項1〜6のうちのいずれかの発明において、放熱ベースと放熱フィンとが同種の金属からなるものである。
【0016】
請求項8の発明によるヒートシンクは、請求項7の発明において、放熱ベースおよび放熱フィンがそれぞれアルミニウムからなるものである。
【0017】
請求項9の発明によるヒートシンクは、請求項1〜6のうちのいずれかの発明において、放熱ベースと放熱フィンとが異種の金属からなるものである。
【0018】
請求項10の発明によるヒートシンクは、請求項9の発明において、放熱ベースが銅からなり、放熱フィンがアルミニウムからなるものである。
【0019】
請求項11の発明によるヒートシンクは、請求項1〜10のうちのいずれかの発明において、放熱ベースおよび放熱フィンと固定用金属塊とが、冶金的に接合されているものである。
【0020】
請求項12の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項2記載のヒートシンクを製造する方法であって、金属展伸材製放熱ベースと、金属展伸材製放熱フィンと、放熱ベース収容部、放熱フィン収容部、および放熱ベース収容部に収容される放熱ベースのフィン取付面と放熱フィン収容部に収容される放熱フィンの基端部両側面との間に形成された固定用金属塊鋳造用キャビティを有するダイキャスト用金型とを用意し、ダイキャスト用金型の放熱ベース収容部に放熱ベースを、放熱フィン収容部に放熱フィンをそれぞれ収容した後、溶融金属に圧力をかけて固定用金属塊鋳造用キャビティ内に注入し、ダイキャストにより固定用金属塊を放熱ベースのフィン取付面と放熱フィンの両側面とにまたがるようにすみ肉状に形成し、固定用金属塊により放熱ベースと放熱フィンとを一体化することを特徴とするものである。
【0021】
請求項13の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項3記載のヒートシンクを製造する方法であって、フィン取付面を有するとともにフィン取付面に複数の溝が間隔をおいて並列状に形成されている金属展伸材製放熱ベースと、金属展伸材製放熱フィンと、放熱ベース収容部、および放熱ベース収容部内に収容される放熱ベースの溝に臨む放熱フィン収容部を有するダイキャスト用金型とを用意し、ダイキャスト用金型の放熱ベース収容部内に放熱ベースを収容するとともに、放熱フィン収容部内に放熱フィンをその基端部が放熱ベースの溝内に入り込むように収容し、溶融金属に圧力をかけて放熱ベースの溝内に注入し、ダイキャストにより溝を埋めるように固定用金属塊を形成し、固定用金属塊により放熱ベースと放熱フィンとを一体化することを特徴とするものである。
【0022】
請求項14の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項13の発明において、溝における開口よりも底側の部分に、開口幅よりも幅の広い部分を設けておくものである。
【0023】
請求項15の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項14の発明において、溝の幅が、開口から底に向かって徐々に拡がっているものである。
【0024】
請求項16の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項12〜15のうちのいずれかの発明において、溶融金属の注入時に、放熱ベースの温度を200℃以上でかつ融点未満とするものである。
【0025】
請求項17の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項16の発明において、放熱ベースの温度を300℃以上とするものである。
【0026】
請求項18の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項16または17の発明において、ダイキャスト用金型に収容する前に、放熱ベースを加熱するものである。
【0027】
請求項19の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項16〜18のうちのいずれかの発明において、ダイキャスト用金型に収容した後に、放熱ベースを加熱するものである。
【0028】
請求項20の発明によるヒートシンクの製造方法は、請求項12〜19のうちのいずれかの発明において、放熱ベースおよび放熱フィンにおける鋳造される固定用金属塊と接触する部分に、放熱ベースおよび放熱フィンを形成する金属よりも融点の低いフラックスを塗布しておくものである。
【0029】
請求項21の発明による発熱部材は、請求項1〜11のうちのいずれかに記載されたヒートシンクと、発熱体とを備えており、発熱体がヒートシンクにおけるフィン取付面以外に設けられた受熱面に熱的に接触させられているものである。
【0030】
請求項22の発明による発熱部材は、請求項21の発明において、発熱体が、カーナビゲーションシステムの表示装置基板、自動車用ITS(Intelligent Transport System)の表示装置基板、電気自動車の制御回路基板、電気自動車の発熱部、パーソナルコンピュータのCPU、テレビ電話の回路基板、および携帯電話の中継基地局の回路基板からなる群から選択された1つからなるものである。
【0031】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0032】
図1はこの発明によるヒートシンクの一例を示し、図2はその製造方法を示す。なお、以下の説明において、図面の上下、左右をそれぞれ上下、左右といい、図面の紙面表側を前、これと反対側を後というものとする。
【0033】
図1において、ヒートシンク(1)は、上面がフィン取付面(2a)となされるとともに、下面が受熱面(2b)となされた方形板状金属展伸材製放熱ベース(2)と、放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)に、フィン取付面(2a)に対して立ち上がり状となりかつ左右方向に等間隔をおいて並列状となるように形成された複数の板状金属展伸材製放熱フィン(3)とを備えている。
【0034】
放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)には、前後方向に伸びる複数の溝(4)が左右方向に等間隔をおいて並列状となるように形成されている。溝(4)の左右両側面は、溝(4)の開口から底側に向かって左右方向外方に傾斜しており、これにより溝(4)の幅が上端(開口側)から下方(底側)に向かって徐々に拡がっている。なお、溝(4)の幅は、上端(開口)から下端(底)まで同一幅であってもよい。放熱ベース(2)の肉厚は3〜30mm程度であることが好ましい。また、溝(4)の開口幅は放熱フィン(3)の肉厚により異なるが、放熱フィン(3)の両面と溝(4)の開口の両側縁との間に、それぞれ1〜5mm程度の隙間が存在することが好ましい。また、溝(4)の底幅は開口幅の1〜3倍程度であることが好ましい。なお、底幅が開口幅の1倍であるということは、溝(4)の幅が上端(開口)から下端(底)まで同一幅になっていることである。さらに、溝(4)の深さは1〜20mm程度であることが好ましい。放熱ベース(2)はアルミニウムや銅などの熱伝導性に優れた金属展伸材により形成されるが、アルミニウムの場合、たとえば押出により形成され、銅の場合、たとえば押出により形成される。
【0035】
放熱フィン(3)は、下端部(3a)(基端部)が溝(4)内に入れられており、溝(4)内全体を埋めるようにダイキャストにより鋳造された固定用金属塊(5)によって放熱ベース(2)に一体化されている。放熱フィン(3)の肉厚は0.1〜5mm程度であることが好ましい。放熱フィン(3)はアルミニウムや銅などの熱伝導性に優れた金属展伸材により形成される。
【0036】
固定用金属塊(5)に存在する気孔の大きさは、100μm以下となされていることが好ましい。また、固定用金属塊(5)はアルミニウムや銅などの熱伝導性に優れた金属で形成されるが、ダイキャストの容易性を考慮するとアルミニウムで形成されることが好ましい。
【0037】
ヒートシンク(1)の製造方法は図2に示すとおりである。
【0038】
まず、フィン取付面(2a)に溝(4)を有する放熱ベース(2)と、放熱ベース収容部(11)、放熱フィン収容部(12)および放熱ベース(2)の溝(4)内に溶融金属を注入する湯口系(13)を有するダイキャスト用金型(10)とを用意する。ダイキャスト用金型(10)は固定型(10A)と可動型(10B)とよりなり、固定型(10A)と可動型(10B)との境界部分に放熱ベース収容部(11)が形成されている。また、可動型(10B)に、下端が、放熱ベース収容部(11)に収容される放熱ベース(2)の溝(4)に臨む放熱フィン収容部(12)と、放熱ベース収容部(11)に収容される放熱ベース(2)の溝(4)内に溶融金属を注入する複数の湯口系(13)が左右方向に間隔をおいて形成されている。左右両端の湯口系(13)はそれぞれ左右両端の溝(4)よりも左右方向外方に形成されており、左右両端の溝(4)内に溶融金属を注入する。他の湯口系(13)は左右方向に隣接する溝(4)間に形成されており、その両側の溝(4)内に溶融金属を注入する。また、固定型(10A)および可動型(10B)は、それぞれヒータ(14)(15)を内蔵している。
【0039】
そして、放熱ベース(2)を放熱ベース収容部(11)内に溝(4)が上方を向くように収容するとともに、放熱フィン収容部(12)内に放熱フィン(3)をその下端部(3a)が放熱ベース(2)の溝(4)内に入り込むように収容する(図2(a)参照)。このとき、固定型(10A)に設けた温度センサ(図示略)により、放熱ベース(2)の受熱面(2b)の中央部の温度を検出しうるとともに、可動型(10B)に設けた温度センサ(図示略)により、放熱フィン(3)の上端部の温度を検出しうるようにしておく。
【0040】
その後、溶融金属に圧力をかけた状態で、湯口系(13)を通して放熱ベース(2)の溝(4)内に注入し、溝(4)内全体を埋めるように固定用金属塊(5)を形成し、固定用金属塊(5)により放熱ベース(2)と放熱フィン(3)とを一体化する(図2(b)参照)。なお、溶融金属の注入時には、ヒータ(15)により可動型(10B)を加熱しおく。圧力のかけられた溶融金属を注入すると、高圧の溶融金属が放熱ベース(2)の溝(4)の内周面および放熱フィン(3)の下端部(3a)の両側面に衝突したさいに、溶融金属により放熱ベース(2)および放熱フィン(3)が加熱されることによって放熱ベース(2)および放熱フィン(3)の地金とその表面に形成されている酸化皮膜との熱膨張差により酸化皮膜にクラックが入るとともに、溶融金属から高圧力を受けるので、酸化皮膜が破壊されて放熱ベース(2)表面および放熱フィン(3)表面から押しのけられる。したがって、ダイキャストにより鋳造される固定用金属塊(5)が放熱ベース(2)および放熱フィン(3)と冶金的に接合することになり、これらの接合が堅固に行われるとともに放熱ベース(2)および放熱フィン(3)間での熱伝導性が優れたものになる。
【0041】
こうして、ヒートシンク(1)が製造される。
【0042】
上述したような製造方法において、溶融金属の注入時に、上記図示しない温度センサにより検出される放熱ベース(2)の受熱面(2b)中央部の温度および放熱フィン(3)上端部の温度を、それぞれ200℃以上でかつ融点未満とすることが好ましく、300℃以上でかつ融点未満とすることが望ましい。放熱ベース(2)の受熱面(2b)中央部の温度および放熱フィン(3)上端部の温度をこのような温度にするためには、ダイキャスト用金型(10)に収容する前に放熱ベース(2)および放熱フィン(3)を加熱したり、ダイキャスト用金型(10)に収容した後に放熱ベース(2)および放熱フィン(3)をヒータ(14)(15)により加熱したり、あるいはダイキャスト用金型(10)に収容する前および後のいずれにおいても放熱ベース(2)および放熱フィン(3)を加熱したりするのがよい。この場合、地金と酸化皮膜との熱膨張率の差により酸化皮膜を破壊する効果が一層向上する。
【0043】
さらに、放熱ベース(2)および放熱フィン(3)をダイキャスト用金型(10)に収容する前に、放熱ベース(2)の溝(4)の内周面および放熱フィン(3)の下端部(3a)の両側面に、それぞれ放熱ベース(2)および放熱フィン(3)を形成する金属よりも融点の低いフラックスを塗布しておくことが好ましい。この場合、溶融金属が放熱ベース(2)の溝(4)内周面および放熱フィン(3)の下端部(3a)両側面に衝突したさいに、溶融金属の有する熱によりフラックスが溶融し、その結果溝(4)内周面および下端部(3a)両側面の酸化皮膜が破壊される。したがって、酸化皮膜を破壊することにより得られる効果が一層向上する。フラックスとしては、放熱ベース(2)および放熱フィン(3)がアルミニウム製や銅製の場合には、フッ素化合物または塩素化合物の錯体化物、たとえばKAlF4を主成分とするものが用いられる。また、放熱ベース(2)および放熱フィン(3)が異種金属からなる場合には、フラックスとしては融点の低い金属よりもさらに融点の低いものが用いられる。
【0044】
図3はこの発明によるヒートシンクの他の例の実施形態を示す。
【0045】
図3に示すヒートシンク(20)の場合、放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)には溝は形成されておらず、放熱フィン(3)の下端(基端)が放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)に当接させられ、放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)と放熱フィン(3)の下端部の両側面とにまたがるようにダイキャストによりすみ肉状に鋳造され、かつ放熱フィン(3)の前後方向の全長にわたる固定用金属塊(21)によって、放熱フィン(3)が放熱ベース(2)に一体化されている。
【0046】
図3に示すヒートシンク(20)の製造方法は図4に示すとおりである。
【0047】
まず、フィン取付面(2a)に溝を有しない放熱ベース(2)と、放熱ベース収容部(31)、下端が放熱ベース収容部(31)よりも若干上方に位置する複数の放熱フィン収容部(32)、固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)、および固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)内に溶融金属を注入する複数の湯口系(34)を有するダイキャスト用金型(30)とを用意する。ダイキャスト用金型(30)は固定型(30A)と可動型(30B)とよりなり、固定型(30A)と可動型(30B)との境界部分に放熱ベース収容部(31)が形成されている。また、可動型(30B)に、放熱フィン収容部(32)と、固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)と、湯口系(34)とが形成されている。固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)は、放熱ベース収容部(31)内に収容された放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)と、放熱フィン収容部(32)内に下端部が下方に突出するように収容された放熱フィン(3)の下端部の両側面とにまたがるように形成されている。湯口系(34)は、左右両端の放熱フィン収容部(32)の左右方向外側部分および隣接する放熱フィン収容部(32)間の部分に形成されている。左右両端の湯口系(34)はそれぞれ左右両端の固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)内に溶融金属を注入する。他の湯口系(34)はその左右両側の固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)内に溶融金属を注入する。また、固定型(30A)および可動型(30B)は、それぞれヒータ(14)(15)を内蔵している。
【0048】
そして、放熱ベース(2)を放熱ベース収容部(31)内に収容するとともに、放熱フィン収容部(32)内に放熱フィン(3)をその下端が放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)に当接するように収容する(図4(a)参照)。このとき、固定型(30A)に設けた温度センサ(図示略)により、放熱ベース(2)の受熱面(2b)の中央部の温度を検出しうるとともに、可動型(30B)に設けた温度センサ(図示略)により、放熱フィン(3)の上端部の温度を検出しうるようにしておく。
【0049】
その後、溶融金属に圧力をかけた状態で、湯口系(34)を通して固定用金属塊鋳造用キャビティ(33)内に注入し、固定用金属塊(21)を鋳造してこの固定用金属塊(21)により放熱ベース(2)と放熱フィン(3)とを一体化する(図4(b)参照)。なお、溶融金属の注入時には、ヒータ(15)により可動型(30B)を加熱しておく。圧力のかけられた溶融金属を注入すると、高圧の溶融金属が放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)および放熱フィン(3)の下端部の両側面に衝突したさいに、溶融金属により放熱ベース(2)および放熱フィン(3)が加熱されることによって放熱ベース(2)および放熱フィン(3)の地金とその表面に形成されている酸化皮膜との熱膨張差により酸化皮膜にクラックが入るとともに、溶融金属から高圧力を受けるので、酸化皮膜が破壊されて放熱ベース(2)表面および放熱フィン(3)表面から押しのけられる。したがって、ダイキャストにより鋳造される固定用金属塊(21)が放熱ベース(2)および放熱フィン(3)と冶金的に接合することになり、これらの接合が堅固に行われるとともに放熱ベース(2)および放熱フィン(3)間での熱伝導性が優れたものになる。
【0050】
こうして、ヒートシンク(20)が製造される。
【0051】
図4に示す製造方法においても、図2に示す製造方法の場合と同様な方法で、溶融金属の注入時に、上記図示しない温度センサにより検出される放熱ベース(2)の受熱面(2b)中央部の温度および放熱フィン(3)上端部の温度を、それぞれ200℃以上でかつ融点未満とすることが好ましく、300℃以上でかつ融点未満とすることが望ましい。
【0052】
さらに、図2に示す製造方法の場合と同様に、放熱ベース(2)および放熱フィン(3)をダイキャスト用金型(30)に収容する前に、放熱ベース(2)のフィン取付面(2a)および放熱フィン(3)の下端部の両側面に、それぞれ放熱ベース(2)および放熱フィン(3)を形成する金属よりも融点の低いフラックスを塗布しておくことが好ましい。用いるフラックスの種類は、図2に示す製造方法の場合と同じである。
【0053】
図1および図3に示すこの発明によるヒートシンク(1)(20)は、冷却が必要とされる発熱体を具備した発熱部材に、発熱体が受熱面(2b)に熱的に接触するようにして用いられる。発熱体としては、カーナビゲーションシステムの表示装置基板、自動車用ITSの表示装置基板、電気自動車の制御回路基板、電気自動車のその他の発熱部、パーソナルコンピュータのCPU、テレビ電話の回路基板、および携帯電話の中継基地局の回路基板などが挙げられる。
【0054】
次に、この発明の具体的実施例について、比較例とともに説明する。具体的実施例のヒートシンクは図1に示す構成のものであり、製造方法は図2に示すとおりである。
【0055】
実施例1〜11
放熱ベース(2)として、幅60mm、長さ80mm、肉厚10mmであり、フィン取付面(2a)にその長さ方向(前後方向)に伸びる6つの溝(4)が幅方向(左右方向)に所定間隔をおいて形成されたものを用意した。溝(4)の寸法は、開口幅2.8mm、底幅4.2mm、深さ5mmである。また、放熱フィン(3)として、前後方向の長さ80mm、肉厚1.2mmで、高さの異なるものを複数用意した。
【0056】
そして、放熱ベース(2)の溝(4)の内周面および放熱フィン(3)へのフラックスの塗布、溶融金属注入時の放熱ベース(2)および放熱フィン(3)の温度、ならびに隣接する放熱フィン(3)間の間隔(フィン間隔)に対する放熱フィン(3)の高さ(フィン高さ)の比であるトング比(フィン高さ/フィン間隔)の条件を種々変え、60トンプレスによってJIS ADC12からなる700℃の溶融金属に圧力をかけて内圧が70MPaとなるように調整し、固定用金属塊を鋳造して11種類のヒートシンク(1)を製造した。ここで、放熱ベース(2)の温度は、上述した図示しない温度センサにより検出される受熱面(2b)中央部の温度であり、放熱フィン(3)の温度は上述した図示しない温度センサにより検出される上端部の温度である。また、フラックスとしては、KAlF4を主成分とするものを使用した。実施例11は、放熱ベース(2)および放熱フィン(3)をダイキャスト用金型の放熱ベース収容部および放熱フィン収容部内に収容する前および後のいずれにおいても加熱しなかったものである。
【0057】
比較例1
放熱ベースおよび放熱フィンを、押出加工により一体に形成してヒートシンクを製造した。
【0058】
比較例2
フィン取付面に複数の溝が並列状に形成された放熱ベースを用意し、各溝内に展伸材製放熱フィンの一端部を嵌め入れ、放熱ベースにおける溝の両側をかしめることにより、放熱フィンを放熱ベースに固定し、ヒートシンクを製造した。
【0059】
なお、比較例1〜2において、放熱ベースは、幅60mm、長さ80mm、肉厚10mmであり、放熱フィンの肉厚は2.8mmである。
【0060】
実施例1〜11および比較例1〜2のヒートシンクを表1に示す。なお、表1の材料の欄は、JISの呼称記号を示す。
【0061】
【表1】
【0062】
評価試験
実施例1〜11については、横断面における全溝(4)の周長(図1における各溝(4)の内周面の周長×溝数)および全放熱フィン(3)の固定用金属塊(5)と接触している部分の表面の長さの合計に対する固定用金属塊(5)が溝(4)内周面および放熱フィン(3)に冶金的に接合されている部分の長さの合計の割合である接合率(%)、固定用金属塊(5)の横断面積に対する固定用金属塊(5)中に存在する気孔の面積率の割合である欠陥率(%)、および放熱ベース(2)の受熱面(2b)の中央部に10mm角のヒータブロックを取り付けて加熱したさいの熱抵抗を求めた。さらに、比較例1〜2については、放熱ベースの受熱面の中央部に10mm角のヒータブロックを取り付けて加熱したさいの熱抵抗を求めた。熱抵抗は、放熱フィンの先端部と放熱ベースの受熱面の中央部との温度差(℃)を、ヒータブロックの出力(W)で除したものである。その結果も表1に示す。
【0063】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜11のヒートシンクの熱抵抗は、比較例1〜2のヒートシンクの熱抵抗よりも小さく、その結果優れた放熱性能が得られることが分かる。
【0064】
【発明の効果】
請求項1の発明のヒートシンクによれば、フィン取付面を有する金属展伸材製放熱ベースと、放熱ベースのフィン取付面に、フィン取付面に対して立ち上がり状にかつ互いに間隔をおいて並列状に設けられた複数の金属展伸材製放熱フィンとを備えており、放熱フィンが、放熱ベースと放熱フィンの基端部との間にダイキャストにより鋳造されかつ放熱フィンの全長にわたる固定用金属塊によって放熱ベースに一体化されているので、隣接する放熱フィン間の間隔(フィン間隔)に対する放熱フィンの高さ(フィン高さ)の比であるトング比(フィン高さ/フィン間隔)を任意に設定することができ、フィン間隔を小さくかつフィン高さを大きくすることが可能になる。しかも、放熱フィンが、放熱ベースと放熱フィンの基端部との間にダイキャストにより形成されかつ放熱フィンの全長にわたる固定用金属塊によって放熱ベースに一体化されているので、両者間での熱伝達抵抗は、従来のかしめにより放熱フィンが放熱ベースに固定されたヒートシンクに比べて小さい。したがって、従来のヒートシンクに比べて放熱性能が向上する。
【0065】
また、放熱ベースが金属展伸材からなるので、その内部にはごくわずかな微小気孔しか存在せず、放熱ベース自身の熱伝達抵抗は、ダイキャストにより成形された従来の放熱ベースに比べて小さくなる。その結果、放熱ベースの肉厚を、放熱ベースにおけるフィン取付面以外の部分に熱的に接触させられた発熱体から発せられる熱がフィン取付面全体に速やかに拡散するのに適したものにすることができ、全ての放熱フィンを放熱のために有効に寄与させることが可能になる。しかも、放熱フィンも金属展伸材からなるので、放熱フィン自身の熱伝達抵抗は小さくなる。したがって、放熱ベースおよび放熱フィンが金属展伸材製ことにより、放熱性能が向上する。
【0066】
さらに、請求項1の発明のヒートシンクによれば、放熱性能が従来のものに比べて向上するので、コンパクト化を図った上で、従来と同程度の放熱性能を得ることができる。
【0067】
請求項3の発明によれば、放熱ベースおよび放熱フィンと固定用金属塊との伝熱面積を大きくすることができ、固定用金属塊を介しての放熱ベースから放熱フィンへの熱伝達性が向上する。したがって、放熱性能が向上する。
【0068】
請求項4および5の発明によれば、放熱ベースおよび放熱フィンと固定用金属塊との伝熱面積を大きくする効果が優れたものとなる。
【0069】
請求項6の発明によれば、固定用金属塊中に存在する気孔の大きさが、100μm以下となされているので、固定用金属塊の熱伝達抵抗の増大を抑制することができ、その結果放熱性能の低下を防止することが可能になる。溝内に充填されている固定用金属塊は、放熱ベースの一部分を構成することになり、この固定用金属塊の熱伝達抵抗が増大すれば、請求項1の発明のところで述べた、フィン取付面以外の部分に熱的に接触させられた発熱体から発せられる熱がフィン取付面全体に速やかに拡散する効果が低下するおそれがある。
【0070】
請求項9の発明によれば、放熱ベースと放熱フィンとを、それぞれ放熱性能を向上させる上で最適な材質のものにすることができる。
【0071】
請求項11の発明によれば、固定用金属塊を介しての放熱ベースから放熱フィンへの熱伝達性が優れたものになる。
【0072】
請求項12の発明のヒートシンクの製造方法によれば、高圧の溶融金属が放熱ベースのフィン取付面および放熱フィンの基端部の両側面に衝突したさいに、溶融金属により放熱ベースおよび放熱フィンが加熱されることによって放熱ベースおよび放熱フィンの地金とその表面に形成されている酸化皮膜との熱膨張差により酸化皮膜にクラックが入るとともに、溶融金属から高圧力を受けるので、酸化皮膜が破壊されて放熱ベース表面および放熱フィン表面から押しのけられる。したがって、ダイキャストにより形成される固定用金属塊が放熱ベースおよび放熱フィンと冶金的に接合することになり、両者の接合が堅固に行われるとともに、固定用金属塊を介しての放熱ベースから放熱フィンへの熱伝導性が優れたものになる。そして、製造されたヒートシンクは請求項2および11と同様な効果を奏する。
【0073】
請求項13の発明のヒートシンクの製造方法によれば、高圧の溶融金属が放熱ベースの溝の内周面および放熱フィンの溝内に入れられた部分の表面に衝突したさいに、溶融金属により放熱ベースおよび放熱フィンが加熱されることによって放熱ベースおよび放熱フィンの地金とその表面に形成されている酸化皮膜との熱膨張差により酸化皮膜にクラックが入るとともに、溶融金属から高圧力を受けるので、酸化皮膜が破壊されて放熱ベース表面および放熱フィン表面から押しのけられる。したがって、ダイキャストにより形成される固定用金属塊が放熱ベースおよび放熱フィンと冶金的に接合することになり、両者の接合が堅固に行われるとともに、固定用金属塊を介しての放熱ベースから放熱フィンへの熱伝導性が優れたものになる。そして、製造されたヒートシンクは請求項3および11と同様な効果を奏する。
【0074】
請求項14および15の発明によれば、それぞれ請求項4および5の発明と同様な効果を奏する。
【0075】
請求項16の発明によれば、放熱ベースおよび放熱フィンの地金とその表面に形成されている酸化皮膜との熱膨張差に起因する酸化皮膜へのクラック発生効果が向上する。
【0076】
請求項17の発明によれば、放熱ベースおよび放熱フィンの地金とその表面に形成されている酸化皮膜との熱膨張差に起因する酸化皮膜へのクラック発生効果が一層向上する。
【0077】
請求項20の発明によれば、溶融金属が放熱ベースおよび放熱フィンに衝突したさいに、フラックスが溶融し、その結果放熱ベース表面および放熱フィン表面の酸化皮膜が破壊される。したがって、ダイキャストにより形成される固定用金属塊が放熱ベースおよび放熱フィンと確実に冶金的に接合することになり、両者の接合が堅固になるとともに、固定用金属塊を介しての放熱ベースから放熱フィンへの熱伝導性が優れたものになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるヒートシンクの実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のヒートシンクを製造する方法を示す垂直断面図である。
【図3】この発明によるヒートシンクの他の実施形態を示す正面図である。
【図4】図3のヒートシンクを製造する方法を示す垂直断面図である。
【符号の説明】
(1)(20):ヒートシンク
(2):放熱ベース
(2a):フィン取付面
(3):放熱フィン
(3a):基端部
(4):溝
(5)(21):固定用金属塊
(10)(30):ダイキャスト用金型
(11)(31):放熱ベース収容部
(12)(32):放熱フィン収容部
(33):固定用金属塊鋳造用キャビティ
Claims (22)
- フィン取付面を有する金属展伸材製放熱ベースと、放熱ベースのフィン取付面に、フィン取付面に対して立ち上がり状にかつ互いに間隔をおいて並列状に設けられた複数の金属展伸材製放熱フィンとを備えており、放熱フィンが、放熱ベースと放熱フィンの基端部との間にダイキャストにより鋳造されかつ放熱フィンの全長にわたる固定用金属塊によって放熱ベースに一体化されているヒートシンク。
- 放熱フィンの基端が放熱ベースのフィン取付面に当接させられ、固定用金属塊が、放熱ベースのフィン取付面と放熱フィンの両側面とにまたがるようにすみ肉状に形成されている請求項1記載のヒートシンク。
- 放熱ベースのフィン取付面に、複数の溝が間隔をおいて並列状に形成されており、放熱フィンの基端部が溝内に入れられ、固定用金属塊が溝内を埋めるように形成されている請求項1記載のヒートシンク。
- 溝における開口よりも底側の部分に、開口幅よりも幅の広い部分が設けられている請求項3記載のヒートシンク。
- 溝の幅が、開口から底に向かって徐々に拡がっている請求項4記載のヒートシンク。
- 固定用金属塊中に存在する気孔の大きさが、100μm以下となされている請求項1〜5のうちのいずれかに記載のヒートシンク。
- 放熱ベースと放熱フィンとが同種の金属からなる請求項1〜6のうちのいずれかに記載のヒートシンク。
- 放熱ベースおよび放熱フィンがそれぞれアルミニウムからなる請求項7記載のヒートシンク。
- 放熱ベースと放熱フィンとが異種の金属からなる請求項1〜6のうちのいずれかに記載のヒートシンク。
- 放熱ベースが銅からなり、放熱フィンがアルミニウムからなる請求項9記載のヒートシンク。
- 放熱ベースおよび放熱フィンと固定用金属塊とが、冶金的に接合されている請求項1〜10のうちのいずれかに記載のヒートシンク。
- 請求項2記載のヒートシンクを製造する方法であって、金属展伸材製放熱ベースと、金属展伸材製放熱フィンと、放熱ベース収容部、放熱フィン収容部、および放熱ベース収容部に収容される放熱ベースのフィン取付面と放熱フィン収容部に収容される放熱フィンの基端部両側面との間に形成された固定用金属塊鋳造用キャビティを有するダイキャスト用金型とを用意し、ダイキャスト用金型の放熱ベース収容部に放熱ベースを、放熱フィン収容部に放熱フィンをそれぞれ収容した後、溶融金属に圧力をかけて固定用金属塊鋳造用キャビティ内に注入し、ダイキャストにより固定用金属塊を放熱ベースのフィン取付面と放熱フィンの両側面とにまたがるようにすみ肉状に形成し、固定用金属塊により放熱ベースと放熱フィンとを一体化することを特徴とするヒートシンクの製造方法。
- 請求項3記載のヒートシンクを製造する方法であって、フィン取付面を有するとともにフィン取付面に複数の溝が間隔をおいて並列状に形成されている金属展伸材製放熱ベースと、金属展伸材製放熱フィンと、放熱ベース収容部、および放熱ベース収容部内に収容される放熱ベースの溝に臨む放熱フィン収容部を有するダイキャスト用金型とを用意し、ダイキャスト用金型の放熱ベース収容部内に放熱ベースを収容するとともに、放熱フィン収容部内に放熱フィンをその基端部が放熱ベースの溝内に入り込むように収容し、溶融金属に圧力をかけて放熱ベースの溝内に注入し、ダイキャストにより溝内を埋めるように固定用金属塊を形成し、固定用金属塊により放熱ベースと放熱フィンとを一体化することを特徴とするヒートシンクの製造方法。
- 溝における開口よりも底側の部分に、開口幅よりも幅の広い部分を設けておく請求項13記載のヒートシンクの製造方法。
- 溝の幅が、開口から底に向かって徐々に拡がっている請求項14記載のヒートシンクの製造方法。
- 溶融金属の注入時に、放熱ベースの温度を200℃以上でかつ融点未満とする請求項12〜15のうちのいずれかに記載のヒートシンクの製造方法。
- 放熱ベースの温度を300℃以上とする請求項16記載のヒートシンクの製造方法。
- ダイキャスト用金型に収容する前に、放熱ベースを加熱する請求項16または17記載のヒートシンクの製造方法。
- ダイキャスト用金型に収容した後に、放熱ベースを加熱する請求項16〜18のうちのいずれかに記載のヒートシンクの製造方法。
- 放熱ベースおよび放熱フィンにおける鋳造される固定用金属塊と接触する部分に、放熱ベースおよび放熱フィンを形成する金属よりも融点の低いフラックスを塗布しておく請求項12〜19のうちのいずれかに記載のヒートシンクの製造方法。
- 請求項1〜11のうちのいずれかに記載されたヒートシンクと、発熱体とを備えており、発熱体がヒートシンクにおけるフィン取付面以外に設けられた受熱面に熱的に接触させられている発熱部材。
- 発熱体が、カーナビゲーションシステムの表示装置基板、自動車用ITSの表示装置基板、電気自動車の制御回路基板、電気自動車の発熱部、パーソナルコンピュータのCPU、テレビ電話の回路基板、および携帯電話の中継基地局の回路基板からなる群から選択された1つからなる請求項21記載の発熱部材。
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