JP2004071081A - 光ピックアップ及びディスクドライブ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学系における収差を補正して性能の向上を図ると共に小型化を図る。
【解決手段】ディスク状記録媒体100の半径方向へ移動すると共に、ディスク状記録媒体へ向けてレーザー光を出射する発光素子14と、該発光素子から出射されたレーザー光をディスク状記録媒体の記録トラックに集光する対物レンズ13と、ディスク状記録媒体で反射されたレーザー光を戻り光として受光する受光素子18とを備えた光ピックアップ7において、発光素子と対物レンズとの間のレーザー光の光路中に収差補正用光学素子17を配置し、該収差補正用光学素子を、一対の対向する保護板間21、21に液晶層26を有し球面収差を補正する液晶素子19と、該液晶素子の少なくとも一方の保護板に設けられ色収差を補正する回折素子20とによって構成した。
【選択図】 図2
【解決手段】ディスク状記録媒体100の半径方向へ移動すると共に、ディスク状記録媒体へ向けてレーザー光を出射する発光素子14と、該発光素子から出射されたレーザー光をディスク状記録媒体の記録トラックに集光する対物レンズ13と、ディスク状記録媒体で反射されたレーザー光を戻り光として受光する受光素子18とを備えた光ピックアップ7において、発光素子と対物レンズとの間のレーザー光の光路中に収差補正用光学素子17を配置し、該収差補正用光学素子を、一対の対向する保護板間21、21に液晶層26を有し球面収差を補正する液晶素子19と、該液晶素子の少なくとも一方の保護板に設けられ色収差を補正する回折素子20とによって構成した。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光ピックアップ及びディスクドライブ装置についての技術分野に関する。詳しくは、光学系における収差を補正して性能の向上を図ると共に小型化を図る技術分野に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスク状記録媒体に対する情報信号の記録や再生を行うディスクドライブ装置があり、このようなディスクドライブ装置は、ディスクテーブルに装着されるディスク状記録媒体の半径方向へ移動し該ディスク状記録媒体に対して対物レンズを介してレーザー光を照射する光ピックアップを備えている。
【0003】
このようなディスクドライブ装置によって情報信号の記録や再生が行われるディスク状記録媒体には、例えば、CD(Compact Disc)やCDより記録密度の向上が図られたDVD(Digital Versatile Disc)と称されるものがある。
【0004】
記録密度を高めるためにはディスク状記録媒体の記録面上に集光されるビームスポットの径を小さくする必要があり、ビームスポットの径は、対物レンズの開口数をNAとしレーザー光の波長をλとすると、λ/NAで表され、開口数NAに反比例し、波長λに比例する。従って、記録密度の向上を図るためには、開口数NAを大きくすると共に波長λを小さくする必要がある。
【0005】
例えば、CDに対する光学系においては、開口数NAが約0.45であり、波長λが約780nmとされているのに対し、CDより記録密度の高いDVDに対する光学系においては、開口数NAが約0.6であり、波長λが約650nmとされている。
【0006】
ディスク状記録媒体については、一層の記録密度の向上を目的として、青色半導体レーザーを使用し記録密度がDVDの3乃至5倍程度のHD―DVDの開発が進められており、HD―DVDに対する光学系においては、開口数NAが約0.85であり、波長λが約405nmとされている。
【0007】
しかしながら、青色半導体レーザーのような短波長のレーザー光を用いる場合には、光学系に発生する収差の影響が大きくなる。特に、発光素子(半導体レーザー)の波長の変動による収差の影響が問題となる。
【0008】
波長変動は、動作環境の温度変化や発光素子の発光強度の変化等に起因して生じ、一般には、動作環境における温度が25℃付近にあるときに、1℃の温度変化により±0.07nm程度の波長変動が生じ、また、発光強度が1mW変化すると±0.04nm程度の波長変動が生じる。
【0009】
また、例えば、対物レンズの材料によっては、屈折率の波長依存性が大きく変動し、650nmのレーザー光に対して405nmのレーザー光を使用したときには波長依存性が5倍程度になるものがある。このように波長が短くなると、屈折率の変化率が大きくなるばかりでなく焦点深度も小さくなるため、特に、短波長のレーザー光を使用する場合には色収差の影響が大きくなる。
【0010】
一方、HD―DVDのディスク保護層の厚みは約0.1mm程度であるが、製造上±5乃至10μm程度の誤差が厚みムラとして生じる。このような厚みムラは、球面収差を発生させる要因となるが、短波長化及び高開口数化の下では、特に、厚みムラに基づく球面収差の影響が大きくなる。
【0011】
上記のような短波長のレーザー光を用いる光学系にあっては、上記した球面収差や色収差の影響が特に大きくなるため、従来から、これらの収差を補正する種々の手段が提案されている。
【0012】
図10は、収差の補正を行うようにした従来の光学系の一例を示すものである。
【0013】
この光学系aには、発光素子b、ビームスプリッターc、コリメーターレンズd、対物レンズe及び受光素子fが設けられ、コリメーターレンズdと対物レンズeとの間の光路中にビームエキスパンダーgと接合レンズhとが配置されている。
【0014】
ビームエキスパンダーgは第1のレンズiと第2のレンズjとが光軸方向において離間して配置されて成り、図示しないアクチュエーターによって第1のレンズi又は第2のレンズjの少なくとも一方が光軸方向へ移動可能とされている。第1のレンズiと第2のレンズjは、何れか一方のレンズが対物レンズe側に配置され、他方のレンズがコリメーターレンズd側に配置されている。ビームエキスパンダーgは、発生する球面収差をキャンセルする方向へ第1のレンズi又は第2のレンズjが光軸方向へ移動されることにより、球面収差を補正する機能を有する。
【0015】
接合レンズhは、例えば、正レンズkと負レンズlとが接合されて成り、色収差を補正する機能を有する。正レンズkと負レンズlは、何れか一方のレンズがビームエキスパンダーg側に配置され、他方のレンズがコリメーターレンズd側に配置されている。
【0016】
図11は、収差の補正を行うようにした従来の別の光学系の一例を示すものである。
【0017】
この光学系a′には、発光素子b、ビームスプリッターc、コリメーターレンズd、対物レンズe及び受光素子fが設けられ、コリメーターレンズdと対物レンズeとの間の光路中に液晶素子mと接合レンズhとが配置されている。
【0018】
液晶素子mは発生する球面収差をキャンセルする方向への電圧が液晶に印加されることにより、球面収差を補正する機能を有する。
【0019】
接合レンズhは、上記と同様に、色収差を補正する機能を有する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した光学系aは、ビームエキスパンダーgを備えているため、第1のレンズi又は第2のレンズjが離間して配置されると共にこれらの少なくとも一方を移動させるためのアクチュエーターが必要であるため、部品点数が多く、また、ビームエキスパンダーgや接合レンズh等の各種の光学要素を配置するために配置スペースが大きく、小型化を図ることができないという問題がある。また、アクチュエーターを必要とする分、機構が複雑であるという問題もある。
【0021】
光学系a′にあっては、ビームエキスパンダーgに代えて液晶素子mが配置されているため、光学系aより小型化を図ることができるものの、液晶素子mと接合レンズhが所定の間隔を置いて配置されているため、十分な小型化が確保されているとは言い難い。また、光学系aと同様に、色収差を補正するために、正レンズiと負レンズjとが貼り合わされた接合レンズhが用いられているので、2枚のレンズを必要とする分、光軸方向における厚みが厚くなり、小型化を阻害する要因となっている。
【0022】
一方、収差の補正を行うようにした光学系として、特開2001―209966号に記載された例がある。この光学系は、液晶層と該液晶層内に配置された回折素子とを有する回折光学素子を備え、回折素子によって球面収差を補正するようにしている。
【0023】
しかしながら、本号開示の発明の目的は、異なる3種類のディスク状記録媒体に対する互換性を確保することにあり、回折素子によって回折された0次の回折光を赤外についての情報読取光又は情報記録光として利用し、回折素子によって回折された1次以上の回折光を青及び赤についての情報読取光又は情報記録光として利用するものである。また、本号開示の液晶層は、各ディスク状記録媒体の種類に応じて対物レンズの開口数を変更する役割を果たすものである。
【0024】
そこで、本発明光ピックアップ及びディスクドライブ装置は、上記した問題点を克服し、光学系における収差を補正して性能の向上を図ると共に小型化を図ることを課題とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明光ピックアップ及びディスクドライブ装置は、上記した課題を解決するために、発光素子と対物レンズとの間のレーザー光の光路中に収差補正用光学素子を配置し、該収差補正用光学素子を、一対の対向する保護板間に液晶層を有し球面収差を補正する液晶素子と、該液晶素子の少なくとも一方の保護板に設けられ色収差を補正する回折素子とによって構成したものである。
【0026】
従って、本発明光ピックアップ及びディスクドライブ装置にあっては、液晶素子と回折素子とを各別に配置するための配置スペースを必要としないと共に、波長変動に伴う球面収差と色収差がそれぞれ液晶素子と回折素子とによって補正される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明光ピックアップ及びディスクドライブ装置の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0028】
ディスクドライブ装置1は、外筐2内に所要の各部材及び各機構が配置されて成る(図1参照)。
【0029】
外筐2内にはシャーシ3が配置され、該シャーシ3に図示しないスピンドルモーターが取り付けられている。スピンドルモーターのモーター軸にはディスクテーブル4が固定されている。
【0030】
シャーシ3には配置孔3aが形成され、ディスクテーブル4が配置孔3aを介してシャーシ3の上方へ突出されている。
【0031】
シャーシ3の下面側には、リードスクリュー5とガイド軸6、6とが平行な状態で配置されている。シャーシ3の配置孔3aには、光ピックアップ7がディスクテーブル4に装着されるディスク状記録媒体100の半径方向へ移動可能な状態で配置されている。
【0032】
光ピックアップ7は移動ベース8と該移動ベース8に設けられた所要の光学要素(光学素子)と移動ベース8上に支持された対物レンズ駆動装置9とを有し、移動ベース8の両端部がそれぞれガイド軸6、6に摺動自在に支持されている。移動ベース8に設けられた図示しないナット部材がリードスクリュー5に螺合され、移動ベース8に取り付けられた図示しない送りモーターによってリードスクリュー5が回転されると、ナット部材がリードスクリュー5の回転方向に応じた方向へ送られ、光ピックアップ7がガイド軸6、6に案内されてディスクテーブル4に装着されるディスク状記録媒体100の半径方向へ移動される。
【0033】
対物レンズ駆動装置9は固定部10と該固定部10に複数のサスペンション11、11、・・・を介して移動可能に支持された可動部12とを有し、該可動部12に対物レンズ13が保持されている(図1参照)。
【0034】
移動ベース8には、所要の各光学要素が配置されている(図2参照)。
【0035】
光学要素としては、発光素子14、ビームスプリッター15、コリメーターレンズ16、収差補正用光学素子17、上記対物レンズ駆動装置9に設けられた対物レンズ13及び受光素子18等であり、これらの各光学要素によってディスクドライブ装置1の光学系が構成される。
【0036】
発光素子14としては、例えば、半導体レーザーが用いられ、ディスク状記録媒体(HD―DVD)100に対して405nm付近の波長を有する青色レーザー光が出射される。
【0037】
ビームスプリッター15は、例えば、透過型であり、発光素子14から出射されたレーザー光を分離面15aで透過してコリメーターレンズ16へ導き、ディスク状記録媒体100で反射されたレーザー光の戻り光を反射して受光素子18へ導く機能を有する。
【0038】
コリメーターレンズ16は入射されたレーザー光の光束を平行光束にする機能を有し、対物レンズ13は入射されたレーザー光をディスク状記録媒体100の記録トラック上に集光させる機能を有する。
【0039】
収差補正用光学素子17は液晶素子19と回折素子20とが一体化されて構成されている(図2及び図3参照)。
【0040】
液晶素子19は互いに対向して配置された保護板21、21を有している。保護板21、21の材料としては、ガラス材料やポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ系樹脂等の各種の樹脂材料を用いることができるが、耐久性等を考慮するとガラス材料を用いることが好ましい。
【0041】
保護板21、21の内面21a、21aの外周部には、それぞれ薄膜状の導電性スペーサー22、22が設けられ、該導電性スペーサー22、22を介して筒状を為すシール部23が接着等により保護板21、21に固定されている。従って、保護板21、21とシール部23とによって密閉空間が形成され、この密閉空間が液晶封入空間24として形成されている。
【0042】
保護板21、21の内面21a、21aには、それぞれ透明な電極25、25が設けられている。電極25、25は、例えば、円板状に形成され、同心円状に分割された複数の電極パターン25a、25a、・・・によって構成されている(図4参照)。電極25、25は各電極パターン25a、25a、・・・が、それぞれ導電性スペーサー22、22を介して収差補正用の図示しない制御回路に接続されている。
【0043】
電極25、25の互いに対向する側の面には、図示はしないが、絶縁膜及び配向膜が被覆されている。
【0044】
液晶封入空間24には液晶が封入されて液晶層26が形成されている。
【0045】
回折素子20としては、例えば、フレネルレンズが用いられ、一方の面が輪帯状の複数のプリズム部を有する回折面20aとされている。回折面20aは、断面形状がブレーズ状(鋸歯状)に形成されている(図5参照)。回折素子20は液晶素子19の一方の保護板21、例えば、コリメーターレンズ16側に位置する保護板21の外面21b上に設けられ、回折面20aがコリメーターレンズ16側を向いている(図2参照)。
【0046】
回折素子20の溝深さをdとすると(図5参照)、波長依存性を有する色収差を補正するためにはd=λ(n―n′)であることが必要とされる。λはレーザー光の波長、nは回折素子20の材料の屈折率、n′は空気の屈折率である。回折素子20の材料としては、例えば、屈折率が1.5程度の後述する紫外線硬化樹脂が用いられ、λ=405nm、n=1.5、n′=1とすると、回折素子20の溝深さdは約0.8μmとされる。
【0047】
従って、回折素子20の溝深さを約0.8μmとすることにより、波長依存性を有する色収差を補正することが可能となる。
【0048】
回折素子20は、例えば、金型を用いて以下のようにして形成される(図6乃至図9参照)。
【0049】
先ず、金型27と液晶素子19とを上下で対向するように配置する(図6参照)。金型27は、その下面に回折面20aを形成するための金型面27aを有している。
【0050】
次に、保護板21の上面に紫外線硬化樹脂28を滴下し(図6参照)、金型27を下方へ移動する(図7参照)。金型27の下方への移動により、金型面27aに倣って紫外線硬化樹脂28に回折面20aが成形される。
【0051】
次いで、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂28を硬化させる(図8参照)。尚、図8に示すように、紫外線を金型27側から照射する場合には、金型27が紫外線を透過する材料によって形成されている必要がある。また、逆に、紫外線を液晶素子19側から照射する場合には、液晶素子19が紫外線によってダメージを受けない材料によって形成されている必要がある。
【0052】
紫外線硬化樹脂28が硬化したところで金型27を上方へ移動して離型する(図9参照)。
【0053】
金型27を離型することにより、保護板21上に液晶素子19と一体化された回折素子20が形成される(図9参照)。
【0054】
以上のように構成された光学系において、発光素子14から405nm付近の波長を有するレーザー光が出射されると、出射されたレーザー光はビームスプリッター15の分離面15aを透過されてコリメーターレンズ16によって平行光束とされ、収差補正用光学素子17及び対物レンズ13を介してディスクテーブル4に装着されたディスク状記録媒体100の記録面に照射される。ディスク状記録媒体100の記録面に照射されたレーザー光は、該記録面で反射されて戻り光として再び対物レンズ13、収差補正用光学素子17及びコリメーターレンズ16を介してビームスプリッター15に入射される。ビームスプリッター15に入射された戻り光は、ビームスプリッター15の分離面15aで反射されて受光素子18に入射される。
【0055】
上記のように発光素子14からレーザー光が出射されたときには、基準波長λ=405nmに対して、例えば、±6nm程度の範囲内(基準波長λ±0.015λの範囲内)における波長変動やディスク状記録媒体100の厚みムラ等に起因する各収差が発生する。このとき収差補正用光学素子17の回折素子20によって色収差が補正される。同時に、液晶素子19によって球面収差が補正される。
【0056】
液晶素子19による球面収差の補正は、発生する球面収差に応じてこの球面収差を打ち消す大きさの電圧を制御回路からの指令信号に応じて電極25、25に対して印加し、液晶層26の実質的な屈折率を変化させることにより行う。即ち、図4に示すように、各電極パターン25a、25a、・・・毎に球面収差を打ち消す大きさの電圧を印加し、液晶層26の屈折率を制御する。このように屈折率を制御することにより、液晶素子19に入射されるレーザー光に球面収差と逆相の波面変化が生じ、球面収差が補正される。
【0057】
液晶素子19にあっては、分割された電極パターン25a、25a、・・・毎に発生する球面収差に応じた電圧が印加されるため、球面収差の補正を効率的に行うことができる。
【0058】
尚、図4には、電極25に4つの電極パターン25a、25a、・・・を設けた例を示しているが、電極パターンの個数はこれに限られることはなく、個数を増減することにより所望の電圧分布を得ることができる。
【0059】
以上に記載した通り、ディスクドライブ装置1にあっては、発光素子14と対物レンズ13との間のレーザー光の光路中に収差補正用光学素子17を配置し、該収差補正用光学素子17を球面収差補正用の液晶素子19と該液晶素子19の保護板21上に設けられた色収差補正用の回折素子20とによって構成している。
【0060】
従って、色収差及び球面収差が補正されるため光ピックアップ7の良好な性能を確保することができると共に、液晶素子19と回折素子20との一体化により光軸方向における光学系の素子の配置スペースが小さくなるため光ピックアップ7の小型化を図ることができる。
【0061】
特に、405nm付近の短波長のレーザー光を使用する光ピックアップ7にあっては、収差が光ピックアップ7の性能に大きく影響するため、405nm付近の短波長のレーザー光を使用する光ピックアップ7に収差補正用光学素子17を用いることにより、光ピックアップ7の良好な性能の維持を効果的に図ることができる。
【0062】
尚、回折素子20の回折角は、その回折面20aの形状によって一義的に定められるため、ディスクテーブル4に装着されるディスク状記録媒体100、100、・・・毎のディスク保護層の厚みムラ等によってそれぞれ発生量が異なる球面収差に応じてこれを補正することは困難である。従って、上記のように、色収差を回折素子20によって補正し、装着されるディスク状記録媒体100、100、・・・毎に発生量が異なる球面収差に応じてこれを打ち消す大きさの電圧を印加することにより液晶素子19によって球面収差を補正するようにすれば、各収差を効率的に補正することができ、光ピックアップ7の良好な性能の維持を効率的に図ることができる。
【0063】
上記には、回折素子20をコリメーターレンズ16側に位置する保護板21の外面21b上に設けた例を示したが、逆に、回折素子20を対物レンズ13側に位置する保護板21の外面21b上に設けるようにしてもよい。
【0064】
また、回折素子20を保護板21の内面21a側に設け、液晶層26内に配置するようにしてもよい。
【0065】
さらに、上記には、発光素子14から基準波長が405nmであるレーザー光が出射される例について説明したが、基準波長は405nmに限られることはなく、本発明は任意の大きさの波長を有するレーザー光が出射される場合に広く適用することができる。
【0066】
上記した実施の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【0067】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、本発明光ピックアップは、ディスクテーブルに装着されるディスク状記録媒体の半径方向へ移動すると共に、ディスク状記録媒体へ向けてレーザー光を出射する発光素子と、該発光素子から出射されたレーザー光をディスク状記録媒体の記録トラックに集光する対物レンズと、ディスク状記録媒体で反射されたレーザー光を戻り光として受光する受光素子とを備えた光ピックアップであって、発光素子と対物レンズとの間のレーザー光の光路中に収差補正用光学素子を配置し、該収差補正用光学素子を、一対の対向する保護板間に液晶層を有し球面収差を補正する液晶素子と、該液晶素子の少なくとも一方の保護板に設けられ色収差を補正する回折素子とによって構成したことを特徴とする。
【0068】
従って、色収差及び球面収差が補正されるため光ピックアップの良好な性能を確保することができると共に、レーザー光の光軸方向における光学系の素子の配置スペースが小さくなるため光ピックアップの小型化を図ることができる。
【0069】
請求項2に記載した発明にあっては、上記発光素子から出射されるレーザー光の波長は、基準波長をλとしたときにλ±0.015λの範囲であるので、短波長のレーザー光を使用する光ピックアップにおいて、光ピックアップの良好な性能の維持を効果的に図ることができる。
【0070】
本発明ディスクドライブ装置は、ディスク状記録媒体が装着されて回転されるディスクテーブルと該ディスクテーブルに装着されるディスク状記録媒体の半径方向へ移動する光ピックアップとを備え、該光ピックアップがディスク状記録媒体へ向けてレーザー光を出射する発光素子と該発光素子から出射されたレーザー光をディスク状記録媒体の記録トラックに集光する対物レンズとディスク状記録媒体で反射されたレーザー光を戻り光として受光する受光素子とを有するディスクドライブ装置であって、発光素子と対物レンズとの間のレーザー光の光路中に収差補正用光学素子を配置し、該収差補正用光学素子を、一対の対向する保護板間に液晶層を有し球面収差を補正する液晶素子と、該液晶素子の少なくとも一方の保護板に設けられ色収差を補正する回折素子とによって構成したことを特徴とする。
【0071】
従って、色収差及び球面収差が補正されるため光ピックアップの良好な性能を確保することができると共に、レーザー光の光軸方向における光学系の素子の配置スペースが小さくなるため光ピックアップの小型化によるディスクドライブ装置の小型化を図ることができる。
【0072】
請求項4に記載した発明にあっては、上記発光素子から出射されるレーザー光の波長は、基準波長をλとしたときにλ±0.015λの範囲であるので、短波長のレーザー光を使用する光ピックアップにおいて、光ピックアップの良好な性能の維持を効果的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2乃至図9と共に本発明の実施の形態を示すものであり、本図はディスクドライブ装置の概略斜視図である。
【図2】光ピックアップに設けられた光学系の構成を示す概念図である。
【図3】収差補正用光学素子の拡大断面図である。
【図4】各電極パターンに印加される電圧と球面収差との関係を示す概念図である。
【図5】回折素子の一部を示す拡大断面図である。
【図6】図7乃至図9と共に回折素子の形成方法を示すものであり、本図は保護板に紫外線硬化樹脂が滴下された状態を示す側面図である。
【図7】金型が下方へ移動された状態を示す側面図である。
【図8】紫外線が照射されている状態を示す側面図である。
【図9】金型が離型され回折素子が形成された状態を示す側面図である。
【図10】従来のディスクドライブ装置に設けられた光学系の構成の一例を示す概念図である。
【図11】従来のディスクドライブ装置に設けられた別の光学系の構成の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
1…ディスクドライブ装置、4…ディスクテーブル、7…光ピックアップ、13…対物レンズ、14…発光素子、17…収差補正用光学素子、18…受光素子、19…液晶素子、20…回折素子、21…保護板、26…液晶層、100…ディスク状記録媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は光ピックアップ及びディスクドライブ装置についての技術分野に関する。詳しくは、光学系における収差を補正して性能の向上を図ると共に小型化を図る技術分野に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスク状記録媒体に対する情報信号の記録や再生を行うディスクドライブ装置があり、このようなディスクドライブ装置は、ディスクテーブルに装着されるディスク状記録媒体の半径方向へ移動し該ディスク状記録媒体に対して対物レンズを介してレーザー光を照射する光ピックアップを備えている。
【0003】
このようなディスクドライブ装置によって情報信号の記録や再生が行われるディスク状記録媒体には、例えば、CD(Compact Disc)やCDより記録密度の向上が図られたDVD(Digital Versatile Disc)と称されるものがある。
【0004】
記録密度を高めるためにはディスク状記録媒体の記録面上に集光されるビームスポットの径を小さくする必要があり、ビームスポットの径は、対物レンズの開口数をNAとしレーザー光の波長をλとすると、λ/NAで表され、開口数NAに反比例し、波長λに比例する。従って、記録密度の向上を図るためには、開口数NAを大きくすると共に波長λを小さくする必要がある。
【0005】
例えば、CDに対する光学系においては、開口数NAが約0.45であり、波長λが約780nmとされているのに対し、CDより記録密度の高いDVDに対する光学系においては、開口数NAが約0.6であり、波長λが約650nmとされている。
【0006】
ディスク状記録媒体については、一層の記録密度の向上を目的として、青色半導体レーザーを使用し記録密度がDVDの3乃至5倍程度のHD―DVDの開発が進められており、HD―DVDに対する光学系においては、開口数NAが約0.85であり、波長λが約405nmとされている。
【0007】
しかしながら、青色半導体レーザーのような短波長のレーザー光を用いる場合には、光学系に発生する収差の影響が大きくなる。特に、発光素子(半導体レーザー)の波長の変動による収差の影響が問題となる。
【0008】
波長変動は、動作環境の温度変化や発光素子の発光強度の変化等に起因して生じ、一般には、動作環境における温度が25℃付近にあるときに、1℃の温度変化により±0.07nm程度の波長変動が生じ、また、発光強度が1mW変化すると±0.04nm程度の波長変動が生じる。
【0009】
また、例えば、対物レンズの材料によっては、屈折率の波長依存性が大きく変動し、650nmのレーザー光に対して405nmのレーザー光を使用したときには波長依存性が5倍程度になるものがある。このように波長が短くなると、屈折率の変化率が大きくなるばかりでなく焦点深度も小さくなるため、特に、短波長のレーザー光を使用する場合には色収差の影響が大きくなる。
【0010】
一方、HD―DVDのディスク保護層の厚みは約0.1mm程度であるが、製造上±5乃至10μm程度の誤差が厚みムラとして生じる。このような厚みムラは、球面収差を発生させる要因となるが、短波長化及び高開口数化の下では、特に、厚みムラに基づく球面収差の影響が大きくなる。
【0011】
上記のような短波長のレーザー光を用いる光学系にあっては、上記した球面収差や色収差の影響が特に大きくなるため、従来から、これらの収差を補正する種々の手段が提案されている。
【0012】
図10は、収差の補正を行うようにした従来の光学系の一例を示すものである。
【0013】
この光学系aには、発光素子b、ビームスプリッターc、コリメーターレンズd、対物レンズe及び受光素子fが設けられ、コリメーターレンズdと対物レンズeとの間の光路中にビームエキスパンダーgと接合レンズhとが配置されている。
【0014】
ビームエキスパンダーgは第1のレンズiと第2のレンズjとが光軸方向において離間して配置されて成り、図示しないアクチュエーターによって第1のレンズi又は第2のレンズjの少なくとも一方が光軸方向へ移動可能とされている。第1のレンズiと第2のレンズjは、何れか一方のレンズが対物レンズe側に配置され、他方のレンズがコリメーターレンズd側に配置されている。ビームエキスパンダーgは、発生する球面収差をキャンセルする方向へ第1のレンズi又は第2のレンズjが光軸方向へ移動されることにより、球面収差を補正する機能を有する。
【0015】
接合レンズhは、例えば、正レンズkと負レンズlとが接合されて成り、色収差を補正する機能を有する。正レンズkと負レンズlは、何れか一方のレンズがビームエキスパンダーg側に配置され、他方のレンズがコリメーターレンズd側に配置されている。
【0016】
図11は、収差の補正を行うようにした従来の別の光学系の一例を示すものである。
【0017】
この光学系a′には、発光素子b、ビームスプリッターc、コリメーターレンズd、対物レンズe及び受光素子fが設けられ、コリメーターレンズdと対物レンズeとの間の光路中に液晶素子mと接合レンズhとが配置されている。
【0018】
液晶素子mは発生する球面収差をキャンセルする方向への電圧が液晶に印加されることにより、球面収差を補正する機能を有する。
【0019】
接合レンズhは、上記と同様に、色収差を補正する機能を有する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した光学系aは、ビームエキスパンダーgを備えているため、第1のレンズi又は第2のレンズjが離間して配置されると共にこれらの少なくとも一方を移動させるためのアクチュエーターが必要であるため、部品点数が多く、また、ビームエキスパンダーgや接合レンズh等の各種の光学要素を配置するために配置スペースが大きく、小型化を図ることができないという問題がある。また、アクチュエーターを必要とする分、機構が複雑であるという問題もある。
【0021】
光学系a′にあっては、ビームエキスパンダーgに代えて液晶素子mが配置されているため、光学系aより小型化を図ることができるものの、液晶素子mと接合レンズhが所定の間隔を置いて配置されているため、十分な小型化が確保されているとは言い難い。また、光学系aと同様に、色収差を補正するために、正レンズiと負レンズjとが貼り合わされた接合レンズhが用いられているので、2枚のレンズを必要とする分、光軸方向における厚みが厚くなり、小型化を阻害する要因となっている。
【0022】
一方、収差の補正を行うようにした光学系として、特開2001―209966号に記載された例がある。この光学系は、液晶層と該液晶層内に配置された回折素子とを有する回折光学素子を備え、回折素子によって球面収差を補正するようにしている。
【0023】
しかしながら、本号開示の発明の目的は、異なる3種類のディスク状記録媒体に対する互換性を確保することにあり、回折素子によって回折された0次の回折光を赤外についての情報読取光又は情報記録光として利用し、回折素子によって回折された1次以上の回折光を青及び赤についての情報読取光又は情報記録光として利用するものである。また、本号開示の液晶層は、各ディスク状記録媒体の種類に応じて対物レンズの開口数を変更する役割を果たすものである。
【0024】
そこで、本発明光ピックアップ及びディスクドライブ装置は、上記した問題点を克服し、光学系における収差を補正して性能の向上を図ると共に小型化を図ることを課題とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明光ピックアップ及びディスクドライブ装置は、上記した課題を解決するために、発光素子と対物レンズとの間のレーザー光の光路中に収差補正用光学素子を配置し、該収差補正用光学素子を、一対の対向する保護板間に液晶層を有し球面収差を補正する液晶素子と、該液晶素子の少なくとも一方の保護板に設けられ色収差を補正する回折素子とによって構成したものである。
【0026】
従って、本発明光ピックアップ及びディスクドライブ装置にあっては、液晶素子と回折素子とを各別に配置するための配置スペースを必要としないと共に、波長変動に伴う球面収差と色収差がそれぞれ液晶素子と回折素子とによって補正される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明光ピックアップ及びディスクドライブ装置の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0028】
ディスクドライブ装置1は、外筐2内に所要の各部材及び各機構が配置されて成る(図1参照)。
【0029】
外筐2内にはシャーシ3が配置され、該シャーシ3に図示しないスピンドルモーターが取り付けられている。スピンドルモーターのモーター軸にはディスクテーブル4が固定されている。
【0030】
シャーシ3には配置孔3aが形成され、ディスクテーブル4が配置孔3aを介してシャーシ3の上方へ突出されている。
【0031】
シャーシ3の下面側には、リードスクリュー5とガイド軸6、6とが平行な状態で配置されている。シャーシ3の配置孔3aには、光ピックアップ7がディスクテーブル4に装着されるディスク状記録媒体100の半径方向へ移動可能な状態で配置されている。
【0032】
光ピックアップ7は移動ベース8と該移動ベース8に設けられた所要の光学要素(光学素子)と移動ベース8上に支持された対物レンズ駆動装置9とを有し、移動ベース8の両端部がそれぞれガイド軸6、6に摺動自在に支持されている。移動ベース8に設けられた図示しないナット部材がリードスクリュー5に螺合され、移動ベース8に取り付けられた図示しない送りモーターによってリードスクリュー5が回転されると、ナット部材がリードスクリュー5の回転方向に応じた方向へ送られ、光ピックアップ7がガイド軸6、6に案内されてディスクテーブル4に装着されるディスク状記録媒体100の半径方向へ移動される。
【0033】
対物レンズ駆動装置9は固定部10と該固定部10に複数のサスペンション11、11、・・・を介して移動可能に支持された可動部12とを有し、該可動部12に対物レンズ13が保持されている(図1参照)。
【0034】
移動ベース8には、所要の各光学要素が配置されている(図2参照)。
【0035】
光学要素としては、発光素子14、ビームスプリッター15、コリメーターレンズ16、収差補正用光学素子17、上記対物レンズ駆動装置9に設けられた対物レンズ13及び受光素子18等であり、これらの各光学要素によってディスクドライブ装置1の光学系が構成される。
【0036】
発光素子14としては、例えば、半導体レーザーが用いられ、ディスク状記録媒体(HD―DVD)100に対して405nm付近の波長を有する青色レーザー光が出射される。
【0037】
ビームスプリッター15は、例えば、透過型であり、発光素子14から出射されたレーザー光を分離面15aで透過してコリメーターレンズ16へ導き、ディスク状記録媒体100で反射されたレーザー光の戻り光を反射して受光素子18へ導く機能を有する。
【0038】
コリメーターレンズ16は入射されたレーザー光の光束を平行光束にする機能を有し、対物レンズ13は入射されたレーザー光をディスク状記録媒体100の記録トラック上に集光させる機能を有する。
【0039】
収差補正用光学素子17は液晶素子19と回折素子20とが一体化されて構成されている(図2及び図3参照)。
【0040】
液晶素子19は互いに対向して配置された保護板21、21を有している。保護板21、21の材料としては、ガラス材料やポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ系樹脂等の各種の樹脂材料を用いることができるが、耐久性等を考慮するとガラス材料を用いることが好ましい。
【0041】
保護板21、21の内面21a、21aの外周部には、それぞれ薄膜状の導電性スペーサー22、22が設けられ、該導電性スペーサー22、22を介して筒状を為すシール部23が接着等により保護板21、21に固定されている。従って、保護板21、21とシール部23とによって密閉空間が形成され、この密閉空間が液晶封入空間24として形成されている。
【0042】
保護板21、21の内面21a、21aには、それぞれ透明な電極25、25が設けられている。電極25、25は、例えば、円板状に形成され、同心円状に分割された複数の電極パターン25a、25a、・・・によって構成されている(図4参照)。電極25、25は各電極パターン25a、25a、・・・が、それぞれ導電性スペーサー22、22を介して収差補正用の図示しない制御回路に接続されている。
【0043】
電極25、25の互いに対向する側の面には、図示はしないが、絶縁膜及び配向膜が被覆されている。
【0044】
液晶封入空間24には液晶が封入されて液晶層26が形成されている。
【0045】
回折素子20としては、例えば、フレネルレンズが用いられ、一方の面が輪帯状の複数のプリズム部を有する回折面20aとされている。回折面20aは、断面形状がブレーズ状(鋸歯状)に形成されている(図5参照)。回折素子20は液晶素子19の一方の保護板21、例えば、コリメーターレンズ16側に位置する保護板21の外面21b上に設けられ、回折面20aがコリメーターレンズ16側を向いている(図2参照)。
【0046】
回折素子20の溝深さをdとすると(図5参照)、波長依存性を有する色収差を補正するためにはd=λ(n―n′)であることが必要とされる。λはレーザー光の波長、nは回折素子20の材料の屈折率、n′は空気の屈折率である。回折素子20の材料としては、例えば、屈折率が1.5程度の後述する紫外線硬化樹脂が用いられ、λ=405nm、n=1.5、n′=1とすると、回折素子20の溝深さdは約0.8μmとされる。
【0047】
従って、回折素子20の溝深さを約0.8μmとすることにより、波長依存性を有する色収差を補正することが可能となる。
【0048】
回折素子20は、例えば、金型を用いて以下のようにして形成される(図6乃至図9参照)。
【0049】
先ず、金型27と液晶素子19とを上下で対向するように配置する(図6参照)。金型27は、その下面に回折面20aを形成するための金型面27aを有している。
【0050】
次に、保護板21の上面に紫外線硬化樹脂28を滴下し(図6参照)、金型27を下方へ移動する(図7参照)。金型27の下方への移動により、金型面27aに倣って紫外線硬化樹脂28に回折面20aが成形される。
【0051】
次いで、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂28を硬化させる(図8参照)。尚、図8に示すように、紫外線を金型27側から照射する場合には、金型27が紫外線を透過する材料によって形成されている必要がある。また、逆に、紫外線を液晶素子19側から照射する場合には、液晶素子19が紫外線によってダメージを受けない材料によって形成されている必要がある。
【0052】
紫外線硬化樹脂28が硬化したところで金型27を上方へ移動して離型する(図9参照)。
【0053】
金型27を離型することにより、保護板21上に液晶素子19と一体化された回折素子20が形成される(図9参照)。
【0054】
以上のように構成された光学系において、発光素子14から405nm付近の波長を有するレーザー光が出射されると、出射されたレーザー光はビームスプリッター15の分離面15aを透過されてコリメーターレンズ16によって平行光束とされ、収差補正用光学素子17及び対物レンズ13を介してディスクテーブル4に装着されたディスク状記録媒体100の記録面に照射される。ディスク状記録媒体100の記録面に照射されたレーザー光は、該記録面で反射されて戻り光として再び対物レンズ13、収差補正用光学素子17及びコリメーターレンズ16を介してビームスプリッター15に入射される。ビームスプリッター15に入射された戻り光は、ビームスプリッター15の分離面15aで反射されて受光素子18に入射される。
【0055】
上記のように発光素子14からレーザー光が出射されたときには、基準波長λ=405nmに対して、例えば、±6nm程度の範囲内(基準波長λ±0.015λの範囲内)における波長変動やディスク状記録媒体100の厚みムラ等に起因する各収差が発生する。このとき収差補正用光学素子17の回折素子20によって色収差が補正される。同時に、液晶素子19によって球面収差が補正される。
【0056】
液晶素子19による球面収差の補正は、発生する球面収差に応じてこの球面収差を打ち消す大きさの電圧を制御回路からの指令信号に応じて電極25、25に対して印加し、液晶層26の実質的な屈折率を変化させることにより行う。即ち、図4に示すように、各電極パターン25a、25a、・・・毎に球面収差を打ち消す大きさの電圧を印加し、液晶層26の屈折率を制御する。このように屈折率を制御することにより、液晶素子19に入射されるレーザー光に球面収差と逆相の波面変化が生じ、球面収差が補正される。
【0057】
液晶素子19にあっては、分割された電極パターン25a、25a、・・・毎に発生する球面収差に応じた電圧が印加されるため、球面収差の補正を効率的に行うことができる。
【0058】
尚、図4には、電極25に4つの電極パターン25a、25a、・・・を設けた例を示しているが、電極パターンの個数はこれに限られることはなく、個数を増減することにより所望の電圧分布を得ることができる。
【0059】
以上に記載した通り、ディスクドライブ装置1にあっては、発光素子14と対物レンズ13との間のレーザー光の光路中に収差補正用光学素子17を配置し、該収差補正用光学素子17を球面収差補正用の液晶素子19と該液晶素子19の保護板21上に設けられた色収差補正用の回折素子20とによって構成している。
【0060】
従って、色収差及び球面収差が補正されるため光ピックアップ7の良好な性能を確保することができると共に、液晶素子19と回折素子20との一体化により光軸方向における光学系の素子の配置スペースが小さくなるため光ピックアップ7の小型化を図ることができる。
【0061】
特に、405nm付近の短波長のレーザー光を使用する光ピックアップ7にあっては、収差が光ピックアップ7の性能に大きく影響するため、405nm付近の短波長のレーザー光を使用する光ピックアップ7に収差補正用光学素子17を用いることにより、光ピックアップ7の良好な性能の維持を効果的に図ることができる。
【0062】
尚、回折素子20の回折角は、その回折面20aの形状によって一義的に定められるため、ディスクテーブル4に装着されるディスク状記録媒体100、100、・・・毎のディスク保護層の厚みムラ等によってそれぞれ発生量が異なる球面収差に応じてこれを補正することは困難である。従って、上記のように、色収差を回折素子20によって補正し、装着されるディスク状記録媒体100、100、・・・毎に発生量が異なる球面収差に応じてこれを打ち消す大きさの電圧を印加することにより液晶素子19によって球面収差を補正するようにすれば、各収差を効率的に補正することができ、光ピックアップ7の良好な性能の維持を効率的に図ることができる。
【0063】
上記には、回折素子20をコリメーターレンズ16側に位置する保護板21の外面21b上に設けた例を示したが、逆に、回折素子20を対物レンズ13側に位置する保護板21の外面21b上に設けるようにしてもよい。
【0064】
また、回折素子20を保護板21の内面21a側に設け、液晶層26内に配置するようにしてもよい。
【0065】
さらに、上記には、発光素子14から基準波長が405nmであるレーザー光が出射される例について説明したが、基準波長は405nmに限られることはなく、本発明は任意の大きさの波長を有するレーザー光が出射される場合に広く適用することができる。
【0066】
上記した実施の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【0067】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、本発明光ピックアップは、ディスクテーブルに装着されるディスク状記録媒体の半径方向へ移動すると共に、ディスク状記録媒体へ向けてレーザー光を出射する発光素子と、該発光素子から出射されたレーザー光をディスク状記録媒体の記録トラックに集光する対物レンズと、ディスク状記録媒体で反射されたレーザー光を戻り光として受光する受光素子とを備えた光ピックアップであって、発光素子と対物レンズとの間のレーザー光の光路中に収差補正用光学素子を配置し、該収差補正用光学素子を、一対の対向する保護板間に液晶層を有し球面収差を補正する液晶素子と、該液晶素子の少なくとも一方の保護板に設けられ色収差を補正する回折素子とによって構成したことを特徴とする。
【0068】
従って、色収差及び球面収差が補正されるため光ピックアップの良好な性能を確保することができると共に、レーザー光の光軸方向における光学系の素子の配置スペースが小さくなるため光ピックアップの小型化を図ることができる。
【0069】
請求項2に記載した発明にあっては、上記発光素子から出射されるレーザー光の波長は、基準波長をλとしたときにλ±0.015λの範囲であるので、短波長のレーザー光を使用する光ピックアップにおいて、光ピックアップの良好な性能の維持を効果的に図ることができる。
【0070】
本発明ディスクドライブ装置は、ディスク状記録媒体が装着されて回転されるディスクテーブルと該ディスクテーブルに装着されるディスク状記録媒体の半径方向へ移動する光ピックアップとを備え、該光ピックアップがディスク状記録媒体へ向けてレーザー光を出射する発光素子と該発光素子から出射されたレーザー光をディスク状記録媒体の記録トラックに集光する対物レンズとディスク状記録媒体で反射されたレーザー光を戻り光として受光する受光素子とを有するディスクドライブ装置であって、発光素子と対物レンズとの間のレーザー光の光路中に収差補正用光学素子を配置し、該収差補正用光学素子を、一対の対向する保護板間に液晶層を有し球面収差を補正する液晶素子と、該液晶素子の少なくとも一方の保護板に設けられ色収差を補正する回折素子とによって構成したことを特徴とする。
【0071】
従って、色収差及び球面収差が補正されるため光ピックアップの良好な性能を確保することができると共に、レーザー光の光軸方向における光学系の素子の配置スペースが小さくなるため光ピックアップの小型化によるディスクドライブ装置の小型化を図ることができる。
【0072】
請求項4に記載した発明にあっては、上記発光素子から出射されるレーザー光の波長は、基準波長をλとしたときにλ±0.015λの範囲であるので、短波長のレーザー光を使用する光ピックアップにおいて、光ピックアップの良好な性能の維持を効果的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2乃至図9と共に本発明の実施の形態を示すものであり、本図はディスクドライブ装置の概略斜視図である。
【図2】光ピックアップに設けられた光学系の構成を示す概念図である。
【図3】収差補正用光学素子の拡大断面図である。
【図4】各電極パターンに印加される電圧と球面収差との関係を示す概念図である。
【図5】回折素子の一部を示す拡大断面図である。
【図6】図7乃至図9と共に回折素子の形成方法を示すものであり、本図は保護板に紫外線硬化樹脂が滴下された状態を示す側面図である。
【図7】金型が下方へ移動された状態を示す側面図である。
【図8】紫外線が照射されている状態を示す側面図である。
【図9】金型が離型され回折素子が形成された状態を示す側面図である。
【図10】従来のディスクドライブ装置に設けられた光学系の構成の一例を示す概念図である。
【図11】従来のディスクドライブ装置に設けられた別の光学系の構成の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
1…ディスクドライブ装置、4…ディスクテーブル、7…光ピックアップ、13…対物レンズ、14…発光素子、17…収差補正用光学素子、18…受光素子、19…液晶素子、20…回折素子、21…保護板、26…液晶層、100…ディスク状記録媒体
Claims (4)
- ディスクテーブルに装着されるディスク状記録媒体の半径方向へ移動すると共に、ディスク状記録媒体へ向けてレーザー光を出射する発光素子と、該発光素子から出射されたレーザー光をディスク状記録媒体の記録トラックに集光する対物レンズと、ディスク状記録媒体で反射されたレーザー光を戻り光として受光する受光素子とを備えた光ピックアップであって、
発光素子と対物レンズとの間のレーザー光の光路中に収差補正用光学素子を配置し、
該収差補正用光学素子を、一対の対向する保護板間に液晶層を有し球面収差を補正する液晶素子と、該液晶素子の少なくとも一方の保護板に設けられ色収差を補正する回折素子とによって構成した
ことを特徴とする光ピックアップ。 - 上記発光素子から出射されるレーザー光の波長は、基準波長をλとしたときにλ±0.015λの範囲である
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。 - ディスク状記録媒体が装着されて回転されるディスクテーブルと該ディスクテーブルに装着されるディスク状記録媒体の半径方向へ移動する光ピックアップとを備え、該光ピックアップがディスク状記録媒体へ向けてレーザー光を出射する発光素子と該発光素子から出射されたレーザー光をディスク状記録媒体の記録トラックに集光する対物レンズとディスク状記録媒体で反射されたレーザー光を戻り光として受光する受光素子とを有するディスクドライブ装置であって、
発光素子と対物レンズとの間のレーザー光の光路中に収差補正用光学素子を配置し、
該収差補正用光学素子を、一対の対向する保護板間に液晶層を有し球面収差を補正する液晶素子と、該液晶素子の少なくとも一方の保護板に設けられ色収差を補正する回折素子とによって構成した
ことを特徴とするディスクドライブ装置。 - 上記発光素子から出射されるレーザー光の波長は、基準波長をλとしたときにλ±0.015λの範囲である
ことを特徴とする請求項3に記載のディスクドライブ装置。
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