JP2007293954A - 回折素子、対物レンズユニット、光ピックアップ及び光ディスク装置 - Google Patents

回折素子、対物レンズユニット、光ピックアップ及び光ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、良好な特性を呈し得る回折素子を実現することができる。
【解決手段】本発明は、以上の構成によれば、回折素子20は、第1空気界面IFaで発生する波面収差を相殺するようにカバー層20Dの表面形状を形成するようにする。
【選択図】図8

Description

本発明は回折素子に関し、例えば複数波長に対応した回折素子に適用して好適なものである。
従来、光ディスク装置の光ピックアップにおいて、光ビームの収差を補正するなどの目的で回折素子が用いられている。回折素子は、透明な板状の素子基板の表面に微細な溝状の回折格子を形成し、当該回折格子の山及び谷を通過する際の光路差によって光ビームを回折させるものである(例えば、特許文献1参照)。
この回折素子として、階段状の回折パターンを有するベース層を射出成型で形成すると共に、当該回折パターンを覆うカバー層を形成するようになされたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−202270公報
ところで、一般的に、射出成型で扁平な形状の成型品を形成する場合、射出時や冷却時の樹脂の温度ムラなどにより、成型品の長手方向がカーブするように歪む、いわゆる反りが発生する。
このように反りを有するベース層に対して平坦なカバー層を接合させて回折素子を形成する場合、例えば入射される入射面は反りによる表面歪を有する一方、出射面は表面歪を有さない状態となる。この結果回折素子では、光ビームが入射されると、入射面の表面歪によって波面収差を発生し、出射面からこの光ビームをそのまま出射するため、通過する光ビームに波面収差を発生させてしまい、回折素子としての特性が悪化するという問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、良好な特性を呈する回折素子、並びに当該回折素子を備えた対物レンズユニット、光ピックアップ及び光ディスク装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、入射された光ビームを当該光ビームの波長に応じて回折させる回折素子であって、空気との第1の界面となる一面に表面歪を有する第1の部材と、第1の部材の他面を覆って空気との第2の界面を形成し、一面で発生する波面収差を相殺するように形成された第2の部材とを設けるようにした。
これにより、第1の界面で発生した波面収差を第2の部材で相殺して回折素子総体として波面収差を発生させることを防止できる。
本発明によれば、第1の界面で発生した波面収差を第2の部材で相殺して回折素子総体として波面収差を発生させることを防止でき、かくして良好な特性を呈する回折素子、対物レンズユニット、光ピックアップ及び光ディスク装置を実現できる。
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)光ディスク装置の構成
(1−1)光ディスク装置の全体構成
図1において、1は本発明による回折素子を用いた光ディスク装置を示し、CD(Compact Disc)方式、DVD(Digital Versatile Disc)方式又はBD(Blu-ray Disc、登録商標)方式といった3方式のいずれかでなる光ディスク100を再生し得るようになされている。
この光ディスク装置1は、制御部2によって全体を統括制御するようになされており、光ディスク100が装填された状態で、図示しない外部機器からの再生指示等を受け付けると、当該制御部2から駆動部3及び信号処理部4を制御することにより当該光ディスク100に記録された情報を読み出すようになされている。
実際上、駆動部3は、制御部2の制御に基づき、スピンドルモータ5により光ディスク100を所望の回転速度で回転させ、スレッドモータ6により光ピックアップ7を光ディスク100の径方向であるトラッキング方向へ大きく移動させ、さらに2軸アクチュエータ8により対物レンズユニット9を光ディスク100に対して近接又は離隔させる方向であるフォーカス方向及びトラッキング方向の2方向へそれぞれ細かく移動させる。
これと並行して信号処理部4は、光ピックアップ7により対物レンズユニット9から所定の光ビームを光ディスク100の所望トラックに対して照射させ、その反射光の検出結果を基に再生信号を生成し、制御部2を介してこの再生信号を図示しない外部機器へ送出させる。
光ピックアップ7は、いわゆる3波長対応型となっており、対物レンズユニット9から、CD方式でなる光ディスク100(以下、これをCD方式ディスク100cと呼ぶ)に対して波長約780[nm]の光ビームを照射し、またDVD方式でなる光ディスク100(以下、これをDVD方式ディスク100dと呼ぶ)に対して波長約650[nm]の光ビームを照射し、さらにBD方式でなる光ディスク100(以下、これをBD方式ディスク100bと呼ぶ)に対して波長約405[nm]の光ビームを照射するようになされている。
このように光ディスク装置1は、CD方式、DVD方式、又はBD方式でなる光ディスク100に対してそれぞれの方式に適した光ビームを照射することにより、当該光ディスク100を再生し得るようになされている。
(1−2)光ピックアップの構成
図2に示すように、光ピックアップ7は、光ビームの光源として、CD方式用の波長約780[nm]でなる光ビーム(以下、これをCD用光ビームLcと呼ぶ)及びDVD方式用の波長約650[nm]でなる光ビーム(以下、これをDVD用光ビームLdと呼ぶ)を出射し得るレーザダイオード11と、BD方式用の波長約405[nm]でなる光ビーム(以下、これをBD用光ビームLbと呼ぶ)を出射し得るレーザダイオード12とを有している。
カップリングレンズ13は、レーザダイオード11から出射された光ビームの光学倍率を変換するようになされている。
ビームスプリッタ14は、反射透過面14Aにおいて、光ビームをその波長に応じて反射又は透過させるようになされており、当該反射透過面14Aにおいて、波長約780[nm]でなるCD用光ビームLc及び波長約650[nm]でなるDVD用光ビームLdを反射させ、また波長約405[nm]でなるBD用光ビームLbを透過させるようになされている。
偏光ビームスプリッタ15は、偏光面15Aにおいて、光ビームをその偏光方向により反射又は透過させるようになされており、ビームスプリッタ14側から入射された光ビームを透過させ、また偏光方向が調整された上でコリメータレンズ16側から入射された光ビームを反射させるようになされている。
コリメータレンズ16は、偏光ビームスプリッタ15から入射され発散光でなる光ビームを平行光に変換し、また立ち上げミラー17から入射され平行光でなる光ビームを収束光に変換するようになされている。
立ち上げミラー17は、コリメータレンズ16から入射される水平方向の光ビームを反射して垂直方向、すなわち光ディスク100に対してほぼ垂直に入射させる方向に立ち上げ、また1/4波長板18からほぼ垂直に入射された光ビームを水平方向に反射するようになされている。
1/4波長板18は、光ビームにおける一部成分の位相を1/4波長分遅延させることにより、立ち上げミラー17から入射される光ビームを直線偏光から円偏光へ変換し、或いは対物レンズユニット9から入射される光ビームを円偏光から直線偏光に変換するようになされている。
対物レンズユニット9は、図3に斜視図を示すように、略筒状でなる鏡筒部19(図3では一部切断面を示す)の下部に扁平な円盤状でなる回折素子20が取り付けられていると共に、当該鏡筒部19の上部から中央部にかけて、当該回折素子20とほぼ同様の大きさでなる扁平な円盤状部の下面に当該円盤よりも若干小径の紡錘形部が一体に形成されたような形状でなる対物レンズ21が取り付けられている。
対物レンズユニット9は、1/4波長板18から入射され平行光でなる光ビームを回折素子20及び対物レンズ21により収束光に変換し、これを光ディスク100の信号記録面に合焦させるようになされている。
また光ピックアップ7は、光ディスク100の信号記録面において反射され発散光となった光ビームを、対物レンズユニット9の対物レンズ21及び回折素子20により平行光に変換し、1/4波長板18により円偏光から直線偏光に変換し、立ち上げミラー17により水平方向、すなわち偏光ビームスプリッタ15が設けられている方向へ反射し、コリメータレンズ16により平行光から収束光に変換した後、偏光ビームスプリッタ15へ入射させる。
この場合、偏光ビームスプリッタ15は、光ビームの偏光方向に応じて偏光面15Aにおいて当該光ビームを反射し、これをコンバージョンレンズ22へ入射させる。
コンバージョンレンズ22は、CD用光ビームLc及びDVD用光ビームLdとBD用光ビームLbとの光学倍率の変換を行うようになされている。また光軸合成素子23は、レーザダイオード11から出射されたCD用光ビームLc及びDVD用光ビームLdの光軸とレーザダイオード12から出射されたBD用光ビームLbの光軸とを一致させるようになされている。
フォトディテクタ24は、その上面(すなわちコンバージョンレンズ22及び光軸合成素子23を通過した光ビームが照射される面)においてそれぞれ所定形状でなる複数の検出領域がそれぞれ所定の位置に形成されており、照射された光ビームの光量をそれぞれ検出して光電変換することにより複数の検出信号を生成し、これを信号処理部4(図1)へ供給するようになされている。
これに応じて信号処理部4は、フォトディテクタ24(図2)からの検出信号を用いた所定の演算処理等を行うことにより再生RF信号を生成し、当該再生RF信号を基に所定の復号化処理や復調処理等を経て再生信号を生成するようになされている。
また信号処理部4(図1)は、フォトディテクタ24(図2)からの検出信号を用いた所定の演算処理等を行うことにより、トラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号等といった駆動制御用の信号を生成し、これらを制御部2へ供給するようになされている。これに応じて制御部2は、駆動部3を介してトラッキング制御やフォーカス制御等を行い、光ディスク100に対する光ビームの照射状態を調整して再生信号を正常に生成し得るようになされている。
(1−2−1)CD方式ディスクの場合
実際上、制御部2(図1)は、所定のディスク種別判定手法により光ディスク100がCD方式ディスク100cであることを認識した場合、光ピックアップ7(図2)におけるレーザダイオード11の発光点11Aから発散光でなるCD用光ビームLcを発射させ、カップリングレンズ13を介してビームスプリッタ14へ入射させる。
光ピックアップ7は、ビームスプリッタ14によりCD用光ビームLcを反射透過面14Aにおいて反射させ、偏光ビームスプリッタ15を透過させて、コリメータレンズ16により発散光から平行光に変換し、立ち上げミラー17により水平方向から垂直方向に立ち上げ、1/4波長板18により直線偏光から円偏光に変換した後、当該CD用光ビームLcを対物レンズユニット9へ入射させる。
対物レンズユニット9は、1/4波長板18から入射されたCD用光ビームLcを回折素子20及び対物レンズ21により収束光に変換し、これをCD方式ディスク100cの信号記録面に合焦させる。
また対物レンズユニット9は、CD方式ディスク100cの信号記録面において反射され発散光となったCD用光ビームLcを、対物レンズ21及び回折素子20により平行光に変換し、1/4波長板18へ入射させる。
その後光ピックアップ7は、1/4波長板18に入射されたCD用光ビームLcを円偏光から直線偏光に変換させ、立ち上げミラー18により水平方向へ反射し、コリメータレンズ16により平行光から収束光に変換させた後、偏光ビームスプリッタ15により偏光面15Aにおいて反射させ、コンバージョンレンズ22及び光軸合成素子23を順次通過させてフォトディテクタ24へ照射させる。
フォトディテクタ24は、照射されたCD用光ビームLcの光量を複数の検出領域によりそれぞれ検出して複数の検出信号を生成し、これを信号処理部4(図1)へ供給する。
これに応じて信号処理部4は、複数の検出信号を基に再生RF信号を生成した上で再生信号を生成し、またトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号等といった駆動制御用の信号を生成するようになされている。
(1−2−2)DVD方式ディスクの場合
制御部2(図1)は、所定のディスク種別判定手法により光ディスク100がDVD方式ディスク100dであることを認識した場合、光ピックアップ7(図2)におけるレーザダイオード11の発光点11Bから発散光でなるDVD用光ビームLdを発射させ、カップリングレンズ13を介してビームスプリッタ14へ入射させる。
その後、光ピックアップ7は、CD方式ディスク100cの場合と同様、DVD用光ビームLdをカップリングレンズ13、ビームスプリッタ14、偏光ビームスプリッタ15、コリメータレンズ16、立ち上げミラー17及び1/4波長板18の順に通過又は反射させ、対物レンズユニット9において当該DVD用光ビームLdを回折素子20及び対物レンズ21により収束光に変換し、これをDVD方式ディスク100dの信号記録面に合焦させる。
また対物レンズユニット9は、CD方式ディスク100cの場合と同様、DVD方式ディスク100dの信号記録面において反射され発散光となったDVD用光ビームLdを、対物レンズ21、回折素子20により平行光に変換した後、1/4波長板18、立ち上げミラー17、コリメータレンズ16、偏光ビームスプリッタ15、コンバージョンレンズ22及び光軸合成素子23の順に通過又は反射させ、フォトディテクタ24へ照射させる。
フォトディテクタ24は、CD方式ディスク100cの場合と同様、照射されたDVD用光ビームLdの光量を複数の検出領域によって検出することにより複数の検出信号を生成し、これらを信号処理部4(図1)へ供給する。
これに応じて信号処理部4は、再生RF信号を生成した上で再生信号を生成し、またトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号等といった駆動制御用の信号を生成するようになされている。
(1−2−3)BD方式ディスクの場合
制御部2(図1)は、所定のディスク種別判定手法により光ディスク100がBD方式ディスク100bであることを認識した場合、光ピックアップ7(図2)におけるレーザダイオード12の発光点12Aから発散光でなるBD用光ビームLbを発射させ、ビームスプリッタ14へ入射させる。
この場合、ビームスプリッタ14は、BD用光ビームLbを反射透過面13Aにおいて透過させ、これを偏光ビームスプリッタ15へ入射させる。
その後光ピックアップ7は、CD方式ディスク100cの場合と同様、BD用光ビームLbを偏光ビームスプリッタ15、コリメータレンズ16、立ち上げミラー17及び1/4波長板18の順に通過又は反射させ、対物レンズユニット9において当該BD用光ビームLbを対物レンズ21により収束光に変換し、これをBD方式ディスク100bの信号記録面に合焦させる。
因みに対物レンズユニット9の回折素子20は、BD用光ビームLbを回折せずそのまま透過させるようになされている(詳しくは後述する)。
また対物レンズユニット9は、CD方式ディスク100cの場合と同様、BD方式ディスク100bの信号記録面において反射され発散光となったBD用光ビームLbを、対物レンズ21により平行光に変換した後、1/4波長板18、立ち上げミラー17、コリメータレンズ16、偏光ビームスプリッタ15、コンバージョンレンズ22及び光軸合成素子23の順に通過又は反射させ、フォトディテクタ24へ照射させる。
フォトディテクタ24は、CD方式ディスク100cの場合と同様、照射されたBD用光ビームLbの光量を複数の検出領域によって検出することにより複数の検出信号を生成し、これらを信号処理部4(図1)へ供給する。
これに応じて信号処理部4は、再生RF信号を生成した上で再生信号を生成し、またトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号等といった駆動制御用の信号を生成するようになされている。
このように光ピックアップ7は、光ディスク100がCD方式ディスク100c、DVD方式ディスク100d或いはBD方式ディスク100bのいずれであっても、対物レンズユニット9により、CD用光ビームLc、DVD用光ビームLd又はBD用光ビームLbを当該光ディスク100の信号記録面に合焦させ得ると共に、その反射光をフォトディテクタ24により検出し得るようになされている。
(1−3)対物レンズユニットの構成
次に、CD方式ディスク100c、DVD方式ディスク100d及びBD方式ディスク100bと、対物レンズユニット9との拡大断面図を図4に示す。
因みに、対物レンズユニット9には2軸アクチュエータ8(図1)が取り付けられているものの、図4では省略している。
一般に、CD方式、DVD方式及びBD方式では、互換性等の観点から、情報を読み出すための光ビームの波長、当該光ビームを集光する際の開口数、及び各光ディスク100における下面から信号記録面までの部分(いわゆるカバー層)の厚みがそれぞれ規格により規定されている。
具体的にCD方式では、波長が約780[nm]、開口数が約0.45、カバー層の厚みが1.2[mm]と規定されており、またDVD方式では、波長が約650[nm]、開口数が約0.6、カバー層の厚みが0.6[mm]と規定されており、さらにBD方式では、波長が約405[nm]、開口数が約0.85、カバー層の厚みが0.1[mm]と規定されている。
また対物レンズユニット9では、対物レンズ21の特性上、当該対物レンズ21からCD用光ビームLc、DVD用光ビームLd及びBD用光ビームLbがそれぞれ照射される場合の焦点距離がそれぞれ異なっている。
このため光ディスク装置1では、実際には光ディスク100の高さを固定したまま2軸アクチュエータ8(図1)を介して対物レンズユニット9の高さ(すなわち光ディスク100との間隔)を調整することにより、各光ビームを各光ディスクの信号記録面に合焦させるようになされている。
因みに図4では、説明の都合上、対物レンズユニット9を固定し光ディスク100の高さを変化させている。この結果、図4では、各光ディスクの下面の高さが異なっている。また図4では、CD方式ディスク100c、DVD方式ディスク100d及びBD方式ディスク100bについて、いずれもカバー層のみを表している。
ところで対物レンズ21は、BD用光ビームLbの相対的な強度やBD方式で規定されている開口数等の観点から、CD用光ビームLcやDVD用光ビームLdよりも優先して当該BD用光ビームLbに最適化された設計となっている。
このため対物レンズユニット9の対物レンズ21は、当該対物レンズ21の下側からBD用光ビームLbが平行光として入射されると、当該BD用光ビームLbを収束光に変換し、BD方式ディスク100bの信号記録面に合焦させることができる。
しかしながら対物レンズ21は、BD用光ビームLbに最適化されているため、仮にCD用光ビームLc又はDVD用光ビームLdが対物レンズ21の下側から平行光として入射された場合、収束光に変換することはできるものの、光線収差が発生してしまうため光ディスク100の信号記録層に正しく合焦させることができない。
そこで対物レンズユニット9は、回折素子20によりCD用光ビームLc又はDVD用光ビームLdのみを選択的に回折させ非平行光として対物レンズ21に入射させると共に、BD用光ビームLbを平行光のまま当該対物レンズ21に入射させるようになされている。
具体的に回折素子20は、CD用光ビームLcを回折すると共にDVD用光ビームLd及びBD用光ビームLbを回折しないようなホログラムでなる、CD用回折格子DGcが上層部20Aに形成されており、図4に示したように、当該CD用回折格子DGcによってCD用光ビームLcをやや外方へ回折させるようになされている。
すなわち回折素子20の上層部20Aは、DVD用光ビームLd及びBD用光ビームLbをそのまま透過させてCD用光ビームLcのみを選択的に回折させることができ、換言すれば、CD用光ビームLcの光線収差のみを補正するレンズとして機能することになる。
これに応じて対物レンズ21は、図4に示したように、回折素子20から入射されるCD用光ビームLcをその下面及び上面においてそれぞれ屈折させ、収束光に変換する。この結果、対物レンズユニット9は、CD用光ビームLcの光線収差を補正することができ、対物レンズ21から照射するCD用光ビームLcをCD方式ディスク100cの信号記録面に合焦させることができる。
また回折素子20は、DVD用光ビームLdを回折すると共にCD用光ビームLc及びBD用光ビームLbを回折しないようなホログラムでなるDVD用回折格子DGdが下面20Bに形成されており、図4に示したように、当該DVD用回折格子DGdによってDVD用光ビームLdをわずかに外方へ回折させるようになされている。
すなわち回折素子20の下面20Bは、CD用光ビームLc及びBD用光ビームLbをそのまま透過させ、DVD用光ビームLdのみを選択的に回折させることができ、換言すれば、DVD用光ビームLdの光線収差のみを補正するレンズとして機能することになる。
これに応じて対物レンズ21は、図4に示したように、回折素子20から入射されるDVD用光ビームLdをその下面及び上面においてそれぞれ屈折させ、収束光に変換する。この結果、対物レンズユニット9は、DVD用光ビームLdの光線収差を補正することができ、対物レンズ21から照射するDVD用光ビームLdをDVD方式ディスク100dの信号記録面に合焦させることができる。
このように対物レンズユニット9は、回折素子20の上層部20AによりCD用光ビームLcのみを回折させて光線収差を補正し、また回折素子20の下面20BによりDVD用光ビームLdのみを回折させて光線収差を補正することにより、BD用光ビームLbに最適化された対物レンズ21から照射するCD用光ビームLc、DVD用光ビームLd及びBD用光ビームLbを、CD方式ディスク100c、DVD方式ディスク100d、及びBD方式ディスク100bの信号記録面にそれぞれ合焦させ得るようになされている。
(1−4)回折素子の構成
回折素子20は、図5(A)に示すように、全体的に扁平な円盤状に形成されたベース層20Cを中心に構成されており、上述したように上層部20AにCD用回折格子DGcが形成され、また下面20BにDVD用回折格子DGdが形成されている。
ベース層20Cは、屈折率(nBASE=1.51)を有する透明な合成樹脂でなり、屈折率の異なる他の物質や空気との境界面において、光ビームを屈折させるようになされている。
一方上層部20Aは、図5(B)に部分拡大断面図を示すように、ベース層20Cの上面20Caに階段状でなるCD用回折パターンPTcが周期的に形成されており、その上側に透明な硬化樹脂でなるカバー層20Dが接合されている。
第1の回折パターンとしてのCD用回折パターンPTcは、3段の階段状に形成されており、全体の高さ、すなわち1段目と3段目との距離は約12[μm]とされ、またCD用回折パターンPTcごとの周期は最短部で約18[μm]とされている。またCD用回折パターンPTcは、図3に示したように、回折素子20の上面における、中心から外径の半分程度までの範囲に同心円状に形成されている。
カバー層20Dは、ベース層20Cと異なる屈折率(nCOVER=1.61)を有する材料によって構成されており、その下面が第1の回折パターンとしてのCD用回折パターンPTcと隙間無く接合するように形成されると共に、その上面が平面状に形成されている。
このように回折素子20の上層部20Aは、ベース層20Cの上面20Caに階段状でなるCD用回折パターンPTcが周期的に形成され、その上側に当該ベース層20Cと異なる屈折率を有するカバー層20Dが接合されており、これにより光ビームをその波長に応じて回折又は透過させ、結果的に、第1の波長の光ビームとしてのCD用光ビームLcのみを回折させるCD用回折格子DGcとして機能するようになされている。
ここで、回折素子20は、空気とベース層20Cとの第1空気界面IFa(図5(c))、ベース層20Cとカバー層20Dとの接合界面IFb及びカバー層20Dと空気との第2空気界面IFcとを有している。
ベース層20Cの上面20Caに形成されたCD用回折パターンPTcに歪が生じた場合、この歪によって波面収差が発生する。そして、回折格子による光の回折は回折パターンを介して接する2つの層の屈折率差によって生じるものであるから、この屈折率の差が大きいほど、回折パターンの歪による波面収差も大きくなる。
上述したように、ベース層20Cの屈折率nBASEが1.51であり、カバー層20Dの屈折率nCOVERが1.61であることから、空気の屈折率nAIRを1としたとき、第1空気界面IFaの屈折率差ΔnIFaは約0.5、接合界面IFbの屈折率差ΔnIFbは0.1、界面IFcの屈折率差ΔnIFcは約−0.6となり、同程度の値を示す第1空気界面IFaの屈折率差ΔnIFa及び第2空気界面IFcの屈折率差ΔnIFcと比較して、接合界面IFbの屈折率差ΔnIFbは約1/5程度の小さい値となる。
本発明の回折素子20では、接合界面IFbの屈折率差ΔnIFbが小さいことから、回折パターンが空気と界面を形成する従来の回折素子と比較して、CD用回折パターンPTcの歪に起因する波面収差を低減することができる。
一方、下面20Bは、図5(C)に部分拡大断面図を示すように、DVD用回折格子DGdが形成されている。この下面20Bは、他の物質に覆われていないため、直接空気に触れるようになされている。
第2の回折パターンとしてのDVD用回折パターンPTdは、5段の階段状に形成されており、全体の高さ、すなわち1段目と5段目との距離は約6[μm]となされ、またDVD用回折パターンPTdごとの周期は約170[μm]となされている。またDVD用回折パターンPTdは、図3に示したように、回折素子20の下面20Bにおける、中心から外径の2/3程度までの範囲に同心円状に形成されている。
このように回折素子20の下面20Bは、ベース層20Cの下側に階段状でなる第2の回折パターンとしてのDVD用回折パターンPTdが周期的に形成されており、これにより光ビームをその波長に応じて回折又は透過させ、結果的に、第2の波長の光ビームとしてのDVD用光ビームLdのみを回折させるDVD用回折格子DGdとして機能するようになされている。
このようにして、回折素子20は、BD用光ビームLbを透過させる一方、CD用光ビームLcを上層部20Aによって回折させ、DVD用光ビームLdを下面20Bによって回折させるようになされている。
ところで、回折素子20の製造方法としては、金型内に光学樹脂を充填して成型品を作製する射出成型が用いられている(詳しくは後述する)。ベース層20Cが扁平な円盤状でなることから、この射出成型でベース層20Cを形成した場合、射出時や冷却時の樹脂の温度ムラなどによってベース層20Cの上面及び下面がカーブする、いわゆる反りが発生することを避け得ない。
ここで、図6(A)に示すように、射出成型で形成された反りを有するベース層120C(回折パターンPTを省略して表す)の上面にUV(UltraViolet ray)レプリカ法(詳しくは後述する)で平坦なカバー層120Dを設けた従来の回折素子120において生じる波面収差について着目する。
図6(B)に示すように、この回折素子120は光ビームを第1空気界面IFaに入射する際、当該回折素子120の中心付近を通過する光ビームL1を位置Oで入射する一方、回折素子120の周縁部分を通過する光ビームL2を位置Oよりも進行方向側にある位置Pで入射するため、当該光ビームに波面収差を発生させる。
次いで、回折素子120は、接合界面IFbの屈折率差ΔnIFbが小さいため、この接合界面IFbにおいて新たな波面収差を殆ど発生させることなく、波面収差を有する光ビームをそのまま通過させる。
さらに、回折素子120は、一平面である第2空気界面IFc上の位置Qから光ビームL1及び光ビームL2を共に出射させるため、この第2空気界面IFcにおいて新たな波面収差を殆ど発生させることなく、光ビームをそのまま出射する。
従って、回折素子120では、光ビームを入射する際、第1空気界面IFaで波面収差を発生すると共に、この光ビームをそのまま出射するため、出射された光ビームは波面収差を有したままとなってしまう。
そこで、本発明の回折素子20では、第1空気界面IFaで発生する波面収差を相殺するように、カバー層20Dを形成するようにした。
具体的には、図7に示すように回折素子20は、第2空気界面IFcが第1空気界面IFaに有する表面歪とほぼ同一の曲率を有すると共に、第1空気界面IFaの凸状のカーブとは逆の凹状のカーブを有するようにカバー層20Dを形成した。
これにより、図8に示すように回折素子20(回折パターンPTを省略して表す)は、光ビームを第1空気界面IFaに入射する際、当該回折素子20の中心付近を通過する光ビームL1を位置Oで入射する一方、回折素子20の周縁部分を通過する光ビームL2を位置Oよりも進行方向側にある位置Pで入射するため、当該光ビームに第1の波面収差を発生させる。
次いで、回折素子20は、接合界面IFbの屈折率差ΔnIFbが小さいため、この接合界面IFbにおいて新たな波面収差を殆ど発生させることなく、波面収差を有する光ビームをそのまま通過させる。
そして、回折素子20は、当該回折素子20の中心付近を通過する光ビームL1を位置Rから出射する一方、回折素子20の周縁部分を通過する光ビームL2を位置Rよりも進行方向側にある位置Sから出射する。このとき回折素子20は、第1空気界面IFaにおいて発生した第1の波面収差とは逆の特性を有する第2の波面収差を新たに発生し、この第2の波面収差によって第1の波面収差を相殺する。
これにより、回折素子20は、波面収差を殆ど有さない光ビームを第2空気界面IFcから出射し得るようになされている。
(1−5)回折素子の製造方法
次に、回折素子20の製造方法について説明する。上述したように回折素子20は、ベース層20Cの上側に対し、カバー層20Dが接合されて構成されている。この回折素子20は、射出成型によって形成されたベース層20Cに対し、紫外線硬化樹脂(以下UV(UltraViolet ray)硬化樹脂と呼ぶ)を使用するUVレプリカ法によってカバー層20Dを接合することにより形成される。
すなわち回折素子20を製造する際には、図9(A)に示すように、射出金型101に射出成型用樹脂を注入し、冷却して固化させることにより、上面20CaにCD用回折パターンPTc、下面20CbにDVD用回折パターンPTdを有するベース層20Cを形成する。このとき、射出成型用樹脂の温度ムラなどによってベース層20C(図9(B))に反りが生じる。
次いで、図10(A)に示すように、このベース層20Cの上面20Caに、紫外線硬化樹脂(以下、UV硬化樹脂と呼ぶ)100を塗布し、図9(B)に示すように、カーブ面転写金型102をUV硬化樹脂100に対して押圧することにより、当該UV硬化樹脂100をベース層20Cの上面20Caに形成されているCD用回折パターンPTc(図5(C))に密着させる。さらに、ベース層20Cの下面側から紫外線を照射してUV硬化樹脂100を硬化させることにより、当該CD用回折パターンPTcを覆うカバー層20Dを形成する(図10(C))。
このとき、カーブ転写金型102には、ベース層20Cに有する表面歪により発生する表面収差を相殺するような曲率になるカーブ面をカバー層20Dに転写できるよう、当該表面歪みとほぼ同じ曲率になるベース層20Cの反りを模した凸状のカーブ面が予め形成されている。
これにより、カーブ転写金型102の型が転写されたカバー層20Dの表面には、ベース層20Cの反りとほぼ同じ曲率を有し、逆方向にカーブした凹状のカーブ面が形成されるようになされている。
(1−6)動作及び効果
以上の構成において、回折素子20は、空気とベース層20Cとの第1の界面となる第1空気界面IFaが発生する第1の波面収差とほぼ逆の第2の波面収差を発生させるように、カバー層20Dと空気との第2の界面となる第2空気界面IFcを第1空気界面IFaとほぼ平行になるような表面歪を有した状態で形成するようにした。
これにより、回折素子20は、従来のカバー層120D(図6(B))のように中心の厚さTd1と周縁部分の厚さTd2とが異なることがなく、カバー層20Dの厚さを中心と周縁部分とで同一となるTd3(図8(B))にすることができる。これにより、第1空気界面IFaで生じる波面収差を第2空気界面IFcで相殺でき、入射される平行波面を有する光ビームに波面収差を発生させることなく出射することができる。
さらに回折素子20は、ベース層20C及びカバー層20Dの屈折率差を小さく設定したため、接合界面IFbで殆ど波面収差を発生させない。
以上の構成によれば、回折素子20は、第1空気界面IFaで発生する波面収差を相殺するようにカバー層20Dの表面形状を形成することにより、回折素子20総体として波面収差を発生させず、かくして良好な特性を呈し得る回折素子、並びに当該回折素子を備えた対物レンズユニット、光ピックアップ及び光ディスク装置を実現できる。
(2)第2の実施の形態
(2−1)回折素子の構成
図11〜13は、第2の実施の形態を示すもので、図1〜10に示す第1の実施の形態に対応する部分を同一符号で示している。本実施の形態における光ディスク装置1の光ピックアップ7は、図11に示す回折素子25を有している。
この回折素子25は、図7に示す回折素子20と同様に射出成型によって形成されたベース層20Cに対し、当該回折素子20とは異なりその表面が平坦なカバー層25Dが接合されることによって形成されている。
この回折素子25では、カバー層25Dにおける屈折率を調整することにより、第1空気界面IFaで発生する第1の波面収差を相殺するようにカバー層25Dを形成している。
(2−2)回折素子の製造方法
次に、この回折素子25の製造方法について説明する。
この回折素子25は、図9及び図10を用いて説明した回折素子20と同様に、射出金型101を用いてベース層20Cを形成する。この後、カーブ面転写金型102の代わりに表面が平坦な平板金型103を用いて、カバー層20Dのときと同様の手順でカバー層25Dを形成する。
具体的に、ベース層20Cの上面20Caに、UV硬化樹脂100を塗布(図10(A))し、さらに平板金型103をUV硬化樹脂100に対して押圧することにより、当該UV硬化樹脂100をベース層20Cの上面20Caに形成されているCD用回折パターンPTc(図5(C))に密着させる。
この状態で、ベース層20Cの下面側から紫外線を照射してUV硬化樹脂100を硬化させることにより、当該CD用回折パターンPTcを平坦に覆うカバー層25Dを形成する。
このとき、本実施の形態における回折素子25では、照射する紫外線の強度分布を調整することによりカバー層25Dの屈折率を光ビームに対して直角方向に調整し、上述した第1空気界面IFaで発生する第1の波面収差をカバー層25Dで相殺するようになされている。
すなわち、カバー層25Dの厚さが小さい周縁部分の紫外線を殆ど透過させ、カバー層25Dの厚さが大きい中心へ向かうに従って紫外線の透過率が減少するような強度分布を有するフィルターを作製し、紫外線を発射する図示しないUV照射光源に対してこのフィルターを取り付ける。
これにより、図12に示すように、カバー層25Dの周縁部分では、大きなエネルギー量を有する紫外線が照射されるため、UV硬化樹脂を十分に硬化させて密度を上昇させ、かくして屈折率を上昇させることができる。
一方、カバー層25Dの中心では、紫外線のエネルギー量が不足するためUV硬化樹脂が十分に硬化することができず、密度が上昇しないためその屈折率を上昇させきることができない。
この結果、その周縁部分で屈折率が高く、中心へ行くに従って屈折率が低くなるようにカバー層25Dを形成することができる。
これにより、図13に示すように、回折素子25(回折パターンPTを省略して表す)は、光ビームを第1空気界面IFaに入射する際、当該回折素子20の中心付近を通過する光ビームL1を位置Oで入射する一方、回折素子25の周縁部分を通過する光ビームL2を位置Oよりも進行方向側にある位置Pで入射するため、当該光ビームに第1の波面収差を発生させる。
次いで、回折素子25は、接合界面IFbの屈折率差ΔnIFbが小さいため、この接合界面IFbにおいて新たな波面収差を殆ど発生させることなく、第1の波面収差を有する光ビームをそのまま通過させる。
そして、回折素子25は、カバー層25Dの中心付近の屈折率が周縁部分の屈折率より低いため、カバー層25D内で光ビームL1を光ビームL2よりもゆっくり進行させることにより、第1空気界面IFaで発生した第1の波面収差を相殺し、第2空気界面IFcとなる位置Tから光ビームL1及び光ビームL2を波面収差なく出射する。
これにより回折素子25は、平行波面を有する光ビームを入射すると、第1空気界面IFaで第1の波面収差を発生するが、この第1の波面収差を平行方向に屈折率が調整されたカバー層25Dで相殺して平行波面を有する光ビームとして出射し得るようになされている。
(2−3)動作及び効果
以上の構成によれば、回折素子25は、空気とベース層20Cとの第1の界面となる第1空気界面IFaが発生する第1の波面収差を相殺するように、カバー層25Dの厚さが小さくなる部分では屈折率が大きくなり、カバー層25Dの厚さが大きくなる部分では屈折率が小さくなるように屈折率を調整した。
これにより、光ビームがカバー層25Dを通過するのに要する時間を均一にして第1空気界面IFaで生じる波面収差をカバー層25Dで相殺でき、平行波面を有する光ビームに波面収差を発生させることなく、平行波面を有する光ビームとして第2の界面である第2空気界面IFcから出射することができる。
さらに、回折素子25は、紫外線の照射量を調整してUV硬化樹脂100の硬化状態を変化させることにより、カバー層25Dの屈折率を調整し、光ビームに対して直角方向に屈折率分布を形成するようにした。これにより、回折素子25は、工程数を増やすことなく簡易な作業で屈折率の調整を行うことができる。
以上の構成によれば、回折素子20は、第1空気界面IFaで発生する波面収差を相殺するように第1空気界面IFaが有する表面歪に応じて屈折率を調整してカバー層20Dを形成することにより、回折素子20総体として波面収差を発生させず、かくして良好な特性を呈し得る回折素子、並びに当該回折素子を備えた対物レンズユニット、光ピックアップ及び光ディスク装置を実現できる。
(3)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、ベース層20Cが上面20Ca側に収縮してカーブするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、下面20Cb側に収縮してカーブするようにしても良い。この場合、図10で用いた凸状のカーブ面転写金型102とは逆となる凹状のカーブを有するカーブ面転写金型102を用いてカバー層20Dを作製する。
さらに上述の実施の形態においては、カバー層20DとしてUV硬化樹脂を使用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を使用するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、ベース層20Cが樹脂の温度ムラなどに起因する反りによって第1空気界面IFaに表面歪を有するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の原因によって生じた第1空気界面IFaの表面歪が発生する第1の波面収差を相殺するようにカバー層20Dを形成することができる。
さらに上述の実施の形態においては、ベース層20Cが弧を描くようなカーブでなる表面歪を有するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば波線状などの様々な表面歪が発生する第1の波面収差を相殺するようにカバー層20Dを形成することができる。
また上述の実施の形態においては、ベース層25CがCD用回折パターンPTc側に収縮してカーブするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、DVD用回折パターンPTd側にカーブするようにしても良い。この場合、中心付近で強く、周縁部分へ行くに従って弱くなるように紫外線を照射することにより、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
さらに上述の実施の形態においては、紫外線の照射量を調整することによってカバー層25Dの屈折率を調整するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の方法を用いて屈折率の調整を行うようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、紫外線の光源にフィルターを取り付けることにより紫外線照射量を調整するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば光源自体が有する紫外線の強度分布をそのまま利用するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、ベース層20C及びカバー層20Dの屈折率差を小さくして接合界面IFbで波面収差を発生させないようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この屈折率差が大きい場合であっても、ベース層20Cの厚さが均一であれば接合界面IFbで波面収差を発生させないようにできる。
さらに上述の実施の形態においては、第1の空気界面IFaで生じる波面収差を第2の空気界面IFcの表面形状又はカバー層25Dの屈折率の調整によって相殺するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、第2の空気界面IFcの表面形状及びカバー層25Dの屈折率の調整を適宜組み合わせるようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、第1の部材としてのベース層20Cと、第2の部材としてのカバー層20Dとによって本発明の回折素子としての回折素子20を形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる第1の部材と、第2の部材ととによって本発明の回折素子を構成するようにしても良い。
本発明は、例えば各種電子機器に搭載される光ディスク装置に利用することができる。
光ディスク装置の全体構成を示す略線図である。 光ピックアップの構成を示す略線図である。 対物レンズユニットの構成を示す略線図である。 対物レンズユニット内の光路を示す略線図である。 回折素子の構成を示す略線図である。 平坦なカバー層の波面収差の説明に供する略線図である。 カバー層の製造方法の説明に供する略線図である。 第1の実施の形態におけるカバー層の波面収差の説明に供する略線図である。 ベース層の作製の説明に供する略線図である。 カバー層の作製の説明に供する略線図である。 第2の実施の形態における回折素子の界面を示す略線図である。 第2の実施の形態における紫外線の照射の説明に供する略線図である。 第2の実施の形態におけるカバー層の波面収差の説明に供する略線図である。
符号の説明
1……光ディスク装置、2……制御部、3……駆動部、4……信号処理部、7……光ピックアップ、9……対物レンズユニット、11……レーザダイオード、19……鏡筒部、20……回折素子、20A……上層部、20B……下層部、20C……ベース層、20D……カバー層、20Du……カバー上層、20Do……カバー下層、20E……回折パターン層、21……対物レンズ、DGc……CD用回折素子、DGd……DVD用回折素子、Lb……BD用光ビーム、Ld……DVD用光ビーム、Lc……CD用光ビーム、100……UV硬化樹脂、102……カーブ面転写金型、IFa……第1空気界面、IFb……接合界面、IFc……第2空気界面。

Claims (8)

  1. 入射された光ビームを当該光ビームの波長に応じて回折させる回折素子であって、
    空気との第1の界面となる一面に表面歪を有する第1の部材と、
    上記第1の部材の他面を覆って空気との第2の界面を形成し、上記一面で発生する波面収差を相殺するように形成された第2の部材と
    を具えることを特徴とする回折素子。
  2. 上記第2の界面は、
    上記一面が発生する波面収差とほぼ逆の波面収差を発生させるよう、表面形状が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の回折素子。
  3. 上記第1の部材及び上記第2の部材の屈折率差が、
    上記第1の部材及び空気の屈折率差、並びに上記第2の部材及び空気の屈折率差より小さい
    ことを特徴とする請求項1に記載の回折素子。
  4. 上記第2の部材は、
    上記一面で発生する波面収差を相殺するよう、上記光ビームに対して直角方向に屈折率分布が形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の回折素子。
  5. 上記第2の部材は、
    紫外線硬化樹脂によって形成され、硬化時に照射される紫外線量を調整することにより、上記屈折率分布が形成された
    ことを特徴とする請求項4に記載の回折素子。
  6. 光源から発射される光ビームを光ディスクに照射する対物レンズユニットであって、
    空気との第1の界面となる一面に表面歪を有する第1の部材と、上記第1の部材の他面を覆って空気との第2の界面を形成し、上記一面で発生する波面収差を相殺するように形成された第2の部材とを有し、入射される光ビームを当該光ビームの波長に応じて回折する回折素子と、
    上記回折素子と一体に構成され、上記回折素子から入射される上記光ビームを集光して光ディスクに照射する対物レンズと
    を具えることを特徴とする対物レンズユニット。
  7. 光ビームを発射する光源と、
    上記光ビームを集光して光ディスクに照射する対物レンズと、
    空気との第1の界面となる一面に表面歪を有する第1の部材と、上記第1の部材の他面を覆って空気との第2の界面を形成し、上記一面で発生する波面収差を相殺するように形成された第2の部材とを有し、入射される光ビームを当該光ビームの波長に応じて回折する回折素子と、
    を具えることを特徴とする光ピックアップ。
  8. 光ビームを発射する光源と、
    上記光ビームを集光して光ディスクに照射する対物レンズと、
    空気との第1の界面となる一面に表面歪を有する第1の部材と、上記第1の部材の他面を覆って空気との第2の界面を形成し、上記一面で発生する波面収差を相殺するように形成された第2の部材とを有し、入射される光ビームを当該光ビームの波長に応じて回折する回折素子と、
    上記対物レンズを上記光ディスクの所望のトラックに追従させるよう駆動する駆動部と
    を具えることを特徴とする光ディスク装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011044197A (ja) * 2009-08-20 2011-03-03 Ricoh Co Ltd 光学素子、および該光学素子を搭載した光ピックアップ装置

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