JP2008140473A - 回折素子、光ピックアップ及び光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】再生信号の品質を向上させ得る回折素子を実現する。
【解決手段】回折素子20の一の光学面における中心付近から第1の光ビームであるCD用光ビームLcの光束径付近までに設けられ、CD用光ビームLcを回折させる一方、CD用光ビームLcよりも光束径が大きく、CD用光ビームとは波長の異なる第2の光ビームであるBD用光ビームLbを回折させることなく透過させる第1の回折パターンとしてのCD用回折パターンPTcと、一の光学面におけるCD用光ビームLcの光束径付近よりも外側に設けられ、BD用光ビームLbの光強度を補正するための光強度補正用回折パターンPTbとを設ける。
【選択図】図10
【解決手段】回折素子20の一の光学面における中心付近から第1の光ビームであるCD用光ビームLcの光束径付近までに設けられ、CD用光ビームLcを回折させる一方、CD用光ビームLcよりも光束径が大きく、CD用光ビームとは波長の異なる第2の光ビームであるBD用光ビームLbを回折させることなく透過させる第1の回折パターンとしてのCD用回折パターンPTcと、一の光学面におけるCD用光ビームLcの光束径付近よりも外側に設けられ、BD用光ビームLbの光強度を補正するための光強度補正用回折パターンPTbとを設ける。
【選択図】図10
Description
本発明は回折素子、光ピックアップ及び光ディスク装置に関し、例えば複数波長に対応した回折素子に適用して好適なものである。
従来、光ディスク装置においては、使用されるレーザ光の波長などが異なる例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びBD(Blu-ray Disc:登録商標)などの各種方式のうち、複数の方式の光ディスクに対応するようになされたものがある。
このような光ピックアップとして、対物レンズの前段に回折素子を設け、CD及びDVD用のレーザ光を回折させる一方、BD用のレーザ光をそのまま透過させることにより、各レーザ光を一つの対物レンズに適合させ、3つの波長のレーザ光を1つの対物レンズで集光することのできる技術が確立されつつある(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−302270公報
かかる構成の光ピックアップでは、BD用のレーザ光を回折素子に透過させたとき、回折素子に設けられた回折パターンの影響により、BD用のレーザ光におけるスポットサイズが回折素子を透過させない場合よりも大きくなってしまい、再生信号の品質が低下するという問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、再生信号の品質を向上し得る回折素子、光ピックアップ及び光ディスク装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明の回折素子においては、一の光学面における中心付近から第1の光ビームの光束径付近までに設けられ、当該第1の光ビームを回折させる一方、当該第1の光ビームよりも光束径が大きく、当該第1の光ビームとは波長の異なる第2の光ビームを回折させることなく透過させる第1の回折パターンと、一の光学面における第1の光ビームの光束径付近よりも外側に設けられ、第2の光ビームの光強度を補正するための第2の回折パターンとを設けるようにした。
これにより、第2の回折パターンによって第1の回折パターンより外側部分に入射される第2の光ビームに対する透過率の変化を小さくすることができるため、通過後の第2の光ビームの光強度分布を滑らかにすることができ、当該第2の光ビームが集光されたときのスポットサイズを小さくすることができる。
また本発明の光ピックアップ及び光ディスク装置においては、第1の光ビーム及び当該第1の光ビームよりも光束径が大きく、当該第1の光ビームとは波長の異なる第2の光ビームを出射する光源と、第1の光ビームを回折させるとともに第2の光ビームを回折させずに透過する回折素子と、当該回折素子から入射された第1又第2の波長の光ビームを集光する対物レンズとが一体となった対物レンズユニットとを設け、回折素子は、一の光学面における中心付近から第1の光ビームの光束径付近までに設けられ、当該第1の光ビームを回折させる一方、第2の光ビームを回折させることなく透過させる第1の回折パターンと、一の光学面における第1の光ビームの光束径付近よりも外側に設けられ、第2の光ビームの光強度を補正するための第2の回折パターンとを有するようにした。
これにより、第2の回折パターンによって第1の回折パターンより外側部分に入射される第2の光ビームに対する透過率の変化を小さくすることができるため、通過後の第2の光ビームの光強度分布を滑らかにすることができ、当該第2の光ビームが対物レンズによって集光されたときのスポットサイズを小さくすることができる。
本発明によれば、第2の回折パターンによって第1の回折パターンより外側部分に入射される第2の光ビームに対する透過率の変化を小さくすることができるため、通過後の第2の光ビームの光強度分布を滑らかにすることができ、当該第2の光ビームが集光されたときのスポットサイズを小さくすることができ、かくして再生信号の品質を向上し得る回折素子、光ピックアップ及び光ディスク装置を実現することができる。
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)光ディスク装置の構成
(1−1)光ディスク装置の全体構成
図1において、1は本発明による回折素子を用いた光ディスク装置を示し、CD(Compact Disc)方式、DVD(Digital Versatile Disc)方式又はBD(Blu-ray Disc、登録商標)方式といった3方式のいずれかでなる光ディスク100を再生し得るようになされている。
(1−1)光ディスク装置の全体構成
図1において、1は本発明による回折素子を用いた光ディスク装置を示し、CD(Compact Disc)方式、DVD(Digital Versatile Disc)方式又はBD(Blu-ray Disc、登録商標)方式といった3方式のいずれかでなる光ディスク100を再生し得るようになされている。
この光ディスク装置1は、制御部2によって全体を統括制御するようになされており、光ディスク100が装填された状態で、図示しない外部機器からの再生指示等を受け付けると、当該制御部2から駆動部3及び信号処理部4を制御することにより当該光ディスク100に記録された情報を読み出すようになされている。
実際上、駆動部3は、制御部2の制御に基づき、スピンドルモータ5により光ディスク100を所望の回転速度で回転させ、スレッドモータ6により光ピックアップ7を光ディスク100の径方向であるトラッキング方向へ大きく移動させ、さらに2軸アクチュエータ8により対物レンズユニット9を光ディスク100に対して近接又は離隔させる方向であるフォーカス方向及びトラッキング方向の2方向へそれぞれ細かく移動させる。
これと並行して信号処理部4は、光ピックアップ7により対物レンズユニット9から所定の光ビームを光ディスク100の所望トラックに対して照射させ、その反射光の検出結果を基に再生信号を生成し、制御部2を介してこの再生信号を図示しない外部機器へ送出させる。
光ピックアップ7は、いわゆる3波長対応型となっており、対物レンズユニット9から、CD方式でなる光ディスク100(以下、これをCD方式ディスク100cと呼ぶ)に対して波長約780[nm]の光ビームを照射し、またDVD方式でなる光ディスク100(以下、これをDVD方式ディスク100dと呼ぶ)に対して波長約650[nm]の光ビームを照射し、さらにBD方式でなる光ディスク100(以下、これをBD方式ディスク100bと呼ぶ)に対して波長約405[nm]の光ビームを照射するようになされている。
このように光ディスク装置1は、CD方式、DVD方式、又はBD方式でなる光ディスク100に対してそれぞれの方式に適した光ビームを照射することにより、当該光ディスク100を再生し得るようになされている。
(1−2)光ピックアップの構成
図2に示すように、光ピックアップ7は、光ビームの光源として、CD方式に対応する波長約780[nm]でなる光ビーム(以下、これをCD用光ビームLcと呼ぶ)及びDVD方式に対応する波長約650[nm]でなる光ビーム(以下、これをDVD用光ビームLdと呼ぶ)を出射し得るレーザダイオード11と、BD方式に対応する波長約405[nm]でなる光ビーム(以下、これをBD用光ビームLbと呼ぶ)を出射し得るレーザダイオード12とを有している。
図2に示すように、光ピックアップ7は、光ビームの光源として、CD方式に対応する波長約780[nm]でなる光ビーム(以下、これをCD用光ビームLcと呼ぶ)及びDVD方式に対応する波長約650[nm]でなる光ビーム(以下、これをDVD用光ビームLdと呼ぶ)を出射し得るレーザダイオード11と、BD方式に対応する波長約405[nm]でなる光ビーム(以下、これをBD用光ビームLbと呼ぶ)を出射し得るレーザダイオード12とを有している。
カップリングレンズ13は、レーザダイオード11から出射された光ビームの光学倍率を変換するようになされている。
ビームスプリッタ14は、反射透過面14Aにおいて、光ビームをその波長に応じて反射又は透過させるようになされており、当該反射透過面14Aにおいて、波長約780[nm]でなるCD用光ビームLc及び波長約650[nm]でなるDVD用光ビームLdを反射させ、また波長約405[nm]でなるBD用光ビームLbを透過させるようになされている。
偏光ビームスプリッタ15は、偏光面15Aにおいて、光ビームをその偏光方向により反射又は透過させるようになされており、ビームスプリッタ14側から入射された光ビームを透過させ、また偏光方向が調整された上でコリメータレンズ16側から入射された光ビームを反射させるようになされている。
コリメータレンズ16は、偏光ビームスプリッタ15から入射され発散光でなる光ビームを平行光に変換し、また立ち上げミラー17から入射され平行光でなる光ビームを収束光に変換するようになされている。
立ち上げミラー17は、コリメータレンズ16から入射される水平方向の光ビームを反射して垂直方向、すなわち光ディスク100に対してほぼ垂直に入射させる方向に立ち上げ、また1/4波長板18からほぼ垂直に入射された光ビームを反射して水平方向に寝かせるようになされている。
1/4波長板18は、光ビームにおける一部成分の位相を1/4波長分遅延させることにより、立ち上げミラー17から入射される光ビームを直線偏光から円偏光へ変換し、或いは対物レンズユニット9から入射される光ビームを円偏光から直線偏光に変換するようになされている。
対物レンズユニット9は、図3に斜視図を示すように、略筒状でなる鏡筒部19(図3では一部切断面を示す)の下部に扁平な円盤状でなる回折素子20が取り付けられていると共に、当該鏡筒部19の上部から中央部にかけて、当該回折素子20とほぼ同様の大きさでなる扁平な円盤状部の下面に当該円盤よりも若干小径の紡錘形部が一体に形成されたような形状でなる対物レンズ21が取り付けられている。
対物レンズユニット9は、1/4波長板18から入射され平行光でなる光ビームを回折素子20及び対物レンズ21により収束光に変換し、これを光ディスク100の信号記録面に合焦させるようになされている。
また光ピックアップ7は、光ディスク100の信号記録面において反射され発散光となった光ビームを、対物レンズユニット9の対物レンズ21及び回折素子20により平行光に変換し、1/4波長板18により円偏光から直線偏光に変換し、立ち上げミラー17により水平方向、すなわち偏光ビームスプリッタ15が設けられている方向へ寝かせ、コリメータレンズ16により平行光から収束光に変換した後、偏光ビームスプリッタ15へ入射させる。
この場合、偏光ビームスプリッタ15は、光ビームの偏光方向に応じて偏光面15Aにおいて当該光ビームを反射し、これをコンバージョンレンズ22へ入射させる。
コンバージョンレンズ22は、CD用光ビームLc及びDVD用光ビームLdとBD用光ビームLbとの光学倍率の変換を行うようになされている。また光軸合成素子23は、レーザダイオード11から出射されたCD用光ビームLc及びDVD用光ビームLdの光軸とレーザダイオード12から出射されたBD用光ビームLbの光軸とを一致させるようになされている。
フォトディテクタ24は、その上面(すなわちコンバージョンレンズ22及び光軸合成素子23を通過した光ビームが照射される面)においてそれぞれ所定形状でなる複数の検出領域がそれぞれ所定の位置に形成されており、照射された光ビームの光量をそれぞれ検出して光電変換することにより複数の検出信号を生成し、これを信号処理部4(図1)へ供給するようになされている。
これに応じて信号処理部4は、フォトディテクタ24(図2)からの検出信号を用いた所定の演算処理等を行うことにより再生RF信号を生成し、当該再生RF信号を基に所定の復号化処理や復調処理等を経て再生信号を生成するようになされている。
また信号処理部4(図1)は、フォトディテクタ24(図2)からの検出信号を用いた所定の演算処理等を行うことにより、トラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号等といった駆動制御用の信号を生成し、これらを制御部2へ供給するようになされている。これに応じて制御部2は、駆動部3を介してトラッキング制御やフォーカス制御等を行い、光ディスク100に対する光ビームの照射状態を調整して再生信号を正常に生成し得るようになされている。
(1−2−1)CD方式ディスクの場合
実際上、制御部2(図1)は、所定のディスク種別判定手法により光ディスク100がCD方式ディスク100cであることを認識した場合、光ピックアップ7(図2)におけるレーザダイオード11の発光点11Aから発散光でなるCD用光ビームLcを発射させ、カップリングレンズ13を介してビームスプリッタ14へ入射させる。
実際上、制御部2(図1)は、所定のディスク種別判定手法により光ディスク100がCD方式ディスク100cであることを認識した場合、光ピックアップ7(図2)におけるレーザダイオード11の発光点11Aから発散光でなるCD用光ビームLcを発射させ、カップリングレンズ13を介してビームスプリッタ14へ入射させる。
光ピックアップ7は、ビームスプリッタ14によりCD用光ビームLcを反射透過面14Aにおいて反射させ、偏光ビームスプリッタ15を透過させて、コリメータレンズ16により発散光から平行光に変換し、立ち上げミラー17により水平方向から垂直方向に立ち上げ、1/4波長板18により直線偏光から円偏光に変換した後、当該CD用光ビームLcを対物レンズユニット9へ入射させる。
対物レンズユニット9は、1/4波長板18から入射されたCD用光ビームLcを回折素子20及び対物レンズ21により収束光に変換し、これをCD方式ディスク100cの信号記録面に合焦させる。
また対物レンズユニット9は、CD方式ディスク100cの信号記録面において反射され発散光となったCD用光ビームLcを、対物レンズ21及び回折素子20により平行光に変換し、1/4波長板18へ入射させる。
その後光ピックアップ7は、1/4波長板18に入射されたCD用光ビームLcを円偏光から直線偏光に変換させ、立ち上げミラー18により水平方向へ寝かせ、コリメータレンズ16により平行光から収束光に変換させた後、偏光ビームスプリッタ15により偏光面15Aにおいて反射させ、コンバージョンレンズ22及び光軸合成素子23を順次通過させてフォトディテクタ24へ照射させる。
フォトディテクタ24は、照射されたCD用光ビームLcの光量を複数の検出領域によりそれぞれ検出して複数の検出信号を生成し、これを信号処理部4(図1)へ供給する。
これに応じて信号処理部4は、複数の検出信号を基に再生RF信号を生成した上で再生信号を生成し、またトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号等といった駆動制御用の信号を生成するようになされている。
(1−2−2)DVD方式ディスクの場合
制御部2(図1)は、所定のディスク種別判定手法により光ディスク100がDVD方式ディスク100dであることを認識した場合、光ピックアップ7(図2)におけるレーザダイオード11の発光点11Bから発散光でなるDVD用光ビームLdを発射させ、カップリングレンズ13を介してビームスプリッタ14へ入射させる。
制御部2(図1)は、所定のディスク種別判定手法により光ディスク100がDVD方式ディスク100dであることを認識した場合、光ピックアップ7(図2)におけるレーザダイオード11の発光点11Bから発散光でなるDVD用光ビームLdを発射させ、カップリングレンズ13を介してビームスプリッタ14へ入射させる。
その後、光ピックアップ7は、CD方式ディスク100cの場合と同様、DVD用光ビームLdをカップリングレンズ13、ビームスプリッタ14、偏光ビームスプリッタ15、コリメータレンズ16、立ち上げミラー17及び1/4波長板18の順に通過又は反射させ、対物レンズユニット9において当該DVD用光ビームLdを回折素子20及び対物レンズ21により収束光に変換し、これをDVD方式ディスク100dの信号記録面に合焦させる。
また対物レンズユニット9は、CD方式ディスク100cの場合と同様、DVD方式ディスク100dの信号記録面において反射され発散光となったDVD用光ビームLdを、対物レンズ21、回折素子20により平行光に変換した後、1/4波長板18、立ち上げミラー17、コリメータレンズ16、偏光ビームスプリッタ15、コンバージョンレンズ22及び光軸合成素子23の順に通過又は反射させ、フォトディテクタ24へ照射させる。
フォトディテクタ24は、CD方式ディスク100cの場合と同様、照射されたDVD用光ビームLdの光量を複数の検出領域によって検出することにより複数の検出信号を生成し、これらを信号処理部4(図1)へ供給する。
これに応じて信号処理部4は、再生RF信号を生成した上で再生信号を生成し、またトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号等といった駆動制御用の信号を生成するようになされている。
(1−2−3)BD方式ディスクの場合
制御部2(図1)は、所定のディスク種別判定手法により光ディスク100がBD方式ディスク100bであることを認識した場合、光ピックアップ7(図2)におけるレーザダイオード12の発光点12Aから発散光でなるBD用光ビームLbを発射させ、ビームスプリッタ14へ入射させる。
制御部2(図1)は、所定のディスク種別判定手法により光ディスク100がBD方式ディスク100bであることを認識した場合、光ピックアップ7(図2)におけるレーザダイオード12の発光点12Aから発散光でなるBD用光ビームLbを発射させ、ビームスプリッタ14へ入射させる。
この場合、ビームスプリッタ14は、BD用光ビームLbを反射透過面13Aにおいて透過させ、これを偏光ビームスプリッタ15へ入射させる。
その後光ピックアップ7は、CD方式ディスク100cの場合と同様、BD用光ビームLbを偏光ビームスプリッタ15、コリメータレンズ16、立ち上げミラー17及び1/4波長板18の順に通過又は反射させ、対物レンズユニット9において当該BD用光ビームLbを対物レンズ21により収束光に変換し、これをBD方式ディスク100bの信号記録面に合焦させる。
因みに対物レンズユニット9の回折素子20は、BD用光ビームLbを回折せずそのまま透過させるようになされている(詳しくは後述する)。
また対物レンズユニット9は、CD方式ディスク100cの場合と同様、BD方式ディスク100bの信号記録面において反射され発散光となったBD用光ビームLbを、対物レンズ21により平行光に変換した後、1/4波長板18、立ち上げミラー17、コリメータレンズ16、偏光ビームスプリッタ15、コンバージョンレンズ22及び光軸合成素子23の順に通過又は反射させ、フォトディテクタ24へ照射させる。
フォトディテクタ24は、CD方式ディスク100cの場合と同様、照射されたBD用光ビームLbの光量を複数の検出領域によって検出することにより複数の検出信号を生成し、これらを信号処理部4(図1)へ供給する。
これに応じて信号処理部4は、再生RF信号を生成した上で再生信号を生成し、またトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号等といった駆動制御用の信号を生成するようになされている。
このように光ピックアップ7は、光ディスク100がCD方式ディスク100c、DVD方式ディスク100d或いはBD方式ディスク100bのいずれであっても、対物レンズユニット9により、CD用光ビームLc、DVD用光ビームLd又はBD用光ビームLbを当該光ディスク100の信号記録面に合焦させ得ると共に、その反射光をフォトディテクタ24により検出し得るようになされている。
(1−3)対物レンズユニットの構成
次に、CD方式ディスク100c、DVD方式ディスク100d及びBD方式ディスク100bと、対物レンズユニット9との拡大断面図を図4に示す。
次に、CD方式ディスク100c、DVD方式ディスク100d及びBD方式ディスク100bと、対物レンズユニット9との拡大断面図を図4に示す。
因みに、対物レンズユニット9には2軸アクチュエータ8(図1)が取り付けられているものの、図4では省略している。
一般に、CD方式、DVD方式及びBD方式では、互換性等の観点から、情報を読み出すための光ビームの波長、当該光ビームを集光する際の開口数、及び各光ディスク100における下面から信号記録面までの部分(いわゆるカバー層)の厚みがそれぞれ規格により規定されている。
具体的にCD方式では、波長が約780[nm]、開口数が約0.45、カバー層の厚みが1.2[mm]と規定されており、またDVD方式では、波長が約650[nm]、開口数が約0.65、カバー層の厚みが0.6[mm]と規定されており、さらにBD方式では、波長が約405[nm]、開口数が約0.85、カバー層の厚みが0.1[mm]と規定されている。
また対物レンズユニット9では、対物レンズ21の特性上、当該対物レンズ21からCD用光ビームLc、DVD用光ビームLd及びBD用光ビームLbがそれぞれ照射される場合の焦点距離がそれぞれ異なっている。さらに各方式の光ビームでは、その光束径がそれぞれ異なっており、BD方式、DVD方式、CD方式の順で小さくなる。
このため光ディスク装置1では、実際には光ディスク100の高さを固定したまま2軸アクチュエータ8(図1)を介して対物レンズユニット9の高さ(すなわち光ディスク100との間隔)を調整することにより、各光ビームを各光ディスクの信号記録面に合焦させるようになされている。
因みに図4では、説明の都合上、対物レンズユニット9を固定し光ディスク100の高さを変化させている。この結果、図4では、各光ディスクの下面の高さが異なっている。また図4では、CD方式ディスク100c、DVD方式ディスク100d及びBD方式ディスク100bについて、いずれもカバー層のみを表している。
ところで対物レンズ21は、BD用光ビームLbの相対的な強度やBD方式で規定されている開口数等の観点から、CD用光ビームLcやDVD用光ビームLdよりも優先して当該BD用光ビームLbに最適化された設計となっている。
このため対物レンズユニット9の対物レンズ21は、当該対物レンズ21の下側からBD用光ビームLbが平行光として入射されると、当該BD用光ビームLbを収束光に変換し、BD方式ディスク100bの信号記録面に合焦させることができる。
しかしながら対物レンズ21は、BD用光ビームLbに最適化されているため、仮にCD用光ビームLc又はDVD用光ビームLdが対物レンズ21の下側から平行光として入射された場合、収束光に変換することはできるものの、収差が発生してしまうため光ディスク100の信号記録層に正しく合焦させることができない。
そこで対物レンズユニット9は、回折素子20によりCD用光ビームLc又はDVD用光ビームLdのみを選択的に回折させ非平行光として対物レンズ21に入射させると共に、BD用光ビームLbを平行光のまま当該対物レンズ21に入射させるようになされている。
具体的に回折素子20は、CD用光ビームLcを回折すると共にDVD用光ビームLd及びBD用光ビームLbを回折しないようなホログラムでなる、CD用回折格子DGcが上層部20Aに形成されており、図4に示したように、当該CD用回折格子DGcによってCD用光ビームLcをやや外方へ回折させるようになされている。
すなわち回折素子20において一の光学面としての上層部20Aは、DVD用光ビームLd及びBD用光ビームLbをそのまま透過させてCD用光ビームLcのみを選択的に回折させることができ、換言すれば、CD用光ビームLcの収差のみを補正するレンズとして機能することになる。
これに応じて対物レンズ21は、図4に示したように、回折素子20から入射されるCD用光ビームLcをその下面及び上面においてそれぞれ屈折させ、収束光に変換する。この結果、対物レンズユニット9は、CD用光ビームLcの収差を補正することができ、対物レンズ21から照射するCD用光ビームLcをCD方式ディスク100cの信号記録面に合焦させることができる。
また回折素子20は、DVD用光ビームLdを回折すると共にCD用光ビームLc及びBD用光ビームLbを回折しないようなホログラムでなるDVD用回折格子DGdが下層部20Bに形成されており、図4に示したように、当該DVD用回折格子DGdによってDVD用光ビームLdをわずかに外方へ回折させるようになされている。
すなわち回折素子20において他の光学面としての下層部20Bは、CD用光ビームLc及びBD用光ビームLbをそのまま透過させ、DVD用光ビームLdのみを選択的に回折させることができ、換言すれば、DVD用光ビームLdの収差のみを補正するレンズとして機能することになる。
これに応じて対物レンズ21は、図4に示したように、回折素子20から入射されるDVD用光ビームLdを下面及び上面においてそれぞれ屈折させ、収束光に変換する。この結果、対物レンズユニット9は、DVD用光ビームLdの収差を補正することができ、対物レンズ21から照射するDVD用光ビームLdをDVD方式ディスク100dの信号記録面に合焦させることができる。
このように対物レンズユニット9は、回折素子20の上層部20AによりCD用光ビームLcのみを回折させて収差を補正し、また回折素子20の下層部20BによりDVD用光ビームLdのみを回折させて収差を補正することにより、BD用光ビームLbに最適化された対物レンズ21から照射するCD用光ビームLc、DVD用光ビームLd及びBD用光ビームLbを、CD方式ディスク100c、DVD方式ディスク100d、及びBD方式ディスク100bの信号記録面にそれぞれ合焦させ得るようになされている。
(1−4)回折素子の構成
回折素子20は、図5(A)に示すように、全体的に扁平な円盤状に形成されたベース層20Cを中心に構成されており、上述したように上層部20AにCD用回折格子DGcが形成され、また下層部20BにDVD用回折格子DGdが形成されている。
回折素子20は、図5(A)に示すように、全体的に扁平な円盤状に形成されたベース層20Cを中心に構成されており、上述したように上層部20AにCD用回折格子DGcが形成され、また下層部20BにDVD用回折格子DGdが形成されている。
ベース層20Cは、所定の屈折率を有する透明な合成樹脂でなり、屈折率の異なる他の物質や空気との境界面において、光ビームを屈折させるようになされている。
一方上層部20Aは、図5(B)に部分拡大断面図を示すように、ベース層20Cの上面20Caに階段状でなるCD用回折パターンPTcが形成されており、その上側に透明な硬化樹脂でなるカバー層20Dが接合されている。
第1の回折パターンとしてのCD用回折パターンPTcは、3段の階段状に形成されており、全体のパターン深さ、すなわち1段目と3段目との距離は12[μm]とされ、CD用光ビームLcを回折させる角度に応じてその周期p(詳しくは後述する)が設定されている。またCD用回折パターンPTcは、図3に示したように、CD用光ビームLcの光束径よりも若干大きくなるように、回折素子20の上面における、中心から外径の半分程度までの範囲に同心円状に形成されている。なお光束径とは、ビームの最大光強度に対して1/e2の光強度となる径をいう。
第3の部材としてのカバー層20Dは、第1の部材としてのベース層20Cと異なる屈折率を有する材料によって構成されており、その下面が第1の回折パターンとしてのCD用回折パターンPTcと隙間無く接合するように形成されると共に、その上面が平面状に形成されている。
このように回折素子20の上層部20Aは、ベース層20Cの上面20Caに階段状でなるCD用回折パターンPTcが周期的に形成され、その上側に当該ベース層20Cと異なる屈折率を有するカバー層20Dが接合されており、これにより光ビームをその波長に応じて回折又は透過させ、結果的に、第1の波長の光ビームとしてのCD用光ビームLcのみを回折させるCD用回折格子DGcとして機能するようになされている。
一方、下層部20Bは、図5(C)に部分拡大断面図を示すように、平面状に形成されたベース層20Cの下面20Cbに、DVD用回折格子DGdが形成された回折パターン層20Eが接合されて形成されている。
第2の部材としての回折パターン層20Eは、第1の部材としてのベース層20Cと略同等の屈折率を有する透明な樹脂でなり、階段状でなるDVD用回折パターンPTdが下面側に周期的に形成されている。なお回折パターン層20Eの下面は、他の物質に覆われていないため、直接空気に触れるようになされている。
第2の回折パターンとしてのDVD用回折パターンPTdは、5段の階段状に形成されており、全体のパターン深さ、すなわち1段目と5段目との距離は6[μm]となされ、DVD用光ビームLdを回折させる角度に応じて、中心部分から外周部へ向けて徐々にその周期pが大きくなるように形成されている。またDVD用回折パターンPTdは、図3に示したように、DVD用光ビームLdの光束径よりも若干大きくなるように、回折素子20の下面における、中心から外径の2/3程度までの範囲に同心円状に形成されている。
このように回折素子20の下層部20Bは、ベース層20Cの下側に接合された回折パターン層20Eに階段状でなる第2の回折パターンとしてのDVD用回折パターンPTdが形成されており、これにより光ビームをその波長に応じて回折又は透過させ、結果的に、第2の波長の光ビームとしてのDVD用光ビームLdのみを回折させるDVD用回折格子DGdとして機能するようになされている。
(2)光強度補正用回折パターン
かかる構成に加えて本実施の形態の回折素子20には、CD用回折パターンPTcの外側にBD用光ビームLbの光強度を補正する光強度補正用回折パターンが設けられている。次に、この光強度補正用回折パターンについて説明する。
かかる構成に加えて本実施の形態の回折素子20には、CD用回折パターンPTcの外側にBD用光ビームLbの光強度を補正する光強度補正用回折パターンが設けられている。次に、この光強度補正用回折パターンについて説明する。
(2−1)BD用光ビームLbの入射光強度
一般的に、回折格子の周期pが小さくなると、当該回折格子で回折されず透過させるべき波長の光ビームに対する透過率が低下する、いわゆるベクトル効果という現象が生じる。このベクトル効果は、回折格子の周期pが一定の値よりも小さくなると発現し、回折格子の周期pが小さくなるにつれて大きく現れる。
一般的に、回折格子の周期pが小さくなると、当該回折格子で回折されず透過させるべき波長の光ビームに対する透過率が低下する、いわゆるベクトル効果という現象が生じる。このベクトル効果は、回折格子の周期pが一定の値よりも小さくなると発現し、回折格子の周期pが小さくなるにつれて大きく現れる。
上述したように、対物レンズ21はBD用光ビームLbに対して最適化されており、DVD方式はCD方式と比較して開口数や焦点距離がBD方式に比較的近いことから、DVD用光ビームLdに発生する収差よりもCD用光ビームLcに発生する収差の方が大きくなる。
従って回折素子20では、CD用光ビームLcに発生する収差を補正するため、CD用回折パターンPTcの周期pをDVD用回折パターンPTdの周期pよりも小さくし、収差の補正効果(すなわち回折角度)を大きくするようになされている(図4)。
このためCD用回折パターンPTcは中心付近においてはその周期pが大きく、BD用光ビームLbに対してベクトル効果を生じさせないものの、外周部分に向かい周期pが小さくなると、BD用光ビームLbに対してベクトル効果を生じさせるようになり、BD用光ビームLbの透過率を低下させるようになる。
なお、DVD用回折パターンPTdはその周期pが十分に大きく、BD用光ビームLbに対して上述したベクトル効果を生じさせることがなく、BD用光ビームLbに対して殆ど透過率を低下させることがないため、以下、CD用回折パターンPTcのみについて述べる。
まず、図6に示すようなCD用回折パターンPTcの外側が平坦に形成されている従来の回折素子20aについて説明する。なお図6ではCD用回折パターンPTcの周期pを分かりやすくするために、CD用回折パターンPTcの形状を簡略化して示している。
従来の回折素子20aでは、中心から外側に向けてCD用回折パターンPTcの周期pが徐々に小さくなってその透過率(図示しない)が徐々に低下し、周期pが最小になって透過率が最小になった時点でCD用回折パターンPTcが無くなり、ベース層20Cの表面が平坦になって再び透過率がほぼ100%となる。
従って図7に示すように従来の回折素子20aに入射される入射光Lb1が、図8に破線で示すように最大の光強度が1でなる矩形の均一な光強度を有する場合、従来の回折素子20aを通過したBD用光ビームLb(以下、これを回折素子通過光Lb2と呼ぶ)の光強度(実線で示す)は、CD用回折パターンPTcの周期pに応じた透過率の影響により、周期pの大きい中心部分ではほぼ1を示すものの、周期pの小さい外周側にいくにつれて約0.8まで低下し、ベース層20Cの表面にCD用回折パターンPTcが無くなると再びほぼ1を示すようになる。
この結果、CD用回折パターンPTcが無くなった部分において回折素子通過光Lb2の光強度分布に急激な段差が生じているため、この回折素子通過光Lb2が対物レンズ21によって集光されると、集光された回折素子通過光Lb2(以下、これをスポット光Lb3と呼ぶ)(図7)に生じる回折現象によって、スポット光Lb3におけるスポットサイズSSが大きくなってしまう。
実際上、従来の回折素子20aを通過した場合のスポット光Lb3のスポットサイズSSは約0.61[μm]であり、従来の回折素子20aを通過しない場合のスポット光Lb3のスポットサイズSS=約0.58[μm]と比較して大きくなる。なお図9に示すように、スポットサイズSSは、スポット光Lb3において1度目に光強度がゼロになるときのスポット光Lb3の直径を意味し、いわゆるAiry半径の2倍となる。
(2−2)光強度補正用回折パターンPTbの構成
図10に示すように、本実施の形態の回折素子20は、CD用回折パターンPTcの外側にCD用回折パターンPTcとパターン深さ方向の形状(以下、これをパターン深さ形状と呼ぶ)がほぼ同一な光強度補正用回折パターンPTcを設けている。なお図10では、図6と同様にCD用回折パターンPTcの形状を簡略化して示している。
図10に示すように、本実施の形態の回折素子20は、CD用回折パターンPTcの外側にCD用回折パターンPTcとパターン深さ方向の形状(以下、これをパターン深さ形状と呼ぶ)がほぼ同一な光強度補正用回折パターンPTcを設けている。なお図10では、図6と同様にCD用回折パターンPTcの形状を簡略化して示している。
図11に破線で示すように、回折素子20に入射される入射光Lb1の光強度分布は実際にはガウス分布を成しており、その光強度は中心付近で最も大きく、外側に向かって小さくなっている。従って、仮に光強度補正用回折パターンPTbをCD用回折パターンPTcの最外周とほぼ同一かつ一定の周期pで形成した場合には、入射光Lb1に対する光強度補正用回折パターンPTbの透過率は内側、外側に拘らずほぼ一定となる一方、入射光Lb1の光強度補正用回折パターンPTbを通過する領域における光強度は外側に向かって徐々に低下するため、図11に実線で示すように、回折素子通過光Lb2の光強度分布は外側へ向かって低下することになる。
ここで対物レンズ21に入射する回折素子通過光Lb2の光強度分布は、一般的に中心と外側とで光量差が小さく、矩形に近い状態であることが好ましく、このときにスポット光Lb3におけるスポットサイズSSを最も小さくすることができる。
そこで回折素子20では、図12に破線で示す入射光Lb1の光強度が低下するのとは対称的に入射光Lb1に対する透過率が上昇するように、光強度補正用回折パターンPTb(図10)の最内周の周期pをCD用回折パターンPTcの最外周の周期pから外側に向かって徐々に大きく形成している。
これにより回折素子20は、入射光Lb1の光強度の低下を光強度補正用回折パターンPTbの入射光Lb1に対する透過率の上昇によって補うことができるため、回折素子通過光Lb2におけるCD用ビームLcの光束径付近よりも外側の領域の光強度分布を平坦にして回折素子通過光Lb2の中心と外側とにおける光量差を極力小さくすることができる。
また回折素子20では、CD用回折パターンPTcの最外周の周期pに対して、光強度補正用回折パターンPTbの最内周の周期pが近く(例えば±10%以内)なるように設定し、光強度補正用回折パターンPTbをCD用回折パターンPTcと連続的に形成している。
これにより回折素子20は、光強度補正用回折パターンPTbとCD用回折パターンPTcとの間における入射光Lb1に対する透過率の変化を小さくすることができるため、図12に実線で示すように回折素子通過光Lb2の光強度分布に段差をなくすことができる。
この結果、回折素子20では、スポット光Lb3におけるスポットサイズSSを、従来の回折素子20aを通過しない場合のスポット光Lb3のスポットサイズSS=約0.58[μm]と同等の約0.58[μm]にし得るようになされている。
(3)動作及び効果
以上の構成において、光ピックアップ7の回折素子20では、一の光学面である上層部20Aにおける中心付近から第1の光ビームであるCD用光ビームLcの光束径付近までに設けられ、当該CD用光ビームLcを回折させる一方、当該CD用光ビームLcよりも光束径が大きく、当該CD用光ビームとは波長の異なる第2の光ビームであるBD用光ビームLbを回折させることなく透過させる第1の回折パターンとしてのCD用回折パターンPTcと、上層部20AにおけるCD用光ビームLcの光束径付近よりも外側に設けられ、BD用光ビームLbの光強度を補正するための光強度補正用回折パターンPTbを設けるようにした。
以上の構成において、光ピックアップ7の回折素子20では、一の光学面である上層部20Aにおける中心付近から第1の光ビームであるCD用光ビームLcの光束径付近までに設けられ、当該CD用光ビームLcを回折させる一方、当該CD用光ビームLcよりも光束径が大きく、当該CD用光ビームとは波長の異なる第2の光ビームであるBD用光ビームLbを回折させることなく透過させる第1の回折パターンとしてのCD用回折パターンPTcと、上層部20AにおけるCD用光ビームLcの光束径付近よりも外側に設けられ、BD用光ビームLbの光強度を補正するための光強度補正用回折パターンPTbを設けるようにした。
これにより回折素子20は、上層部20Aの外周部においてCD用回折パターンPTcが無くなることによる透過率の急激な上昇を抑制することができるため、光強度補正用回折パターンPTbを設けない場合と比較して、回折素子20を通過したBD用光ビームLbである回折素子通過光Lb2における光強度分布を滑らかにすることができ、当該回折素子通過光Lb2が対物レンズ21によって集光されたスポット光Lb3におけるスポットサイズSSを小さくすることができる。
また回折素子20では、光強度補正用回折パターンPTbのパターン深さ形状をCD用回折パターンPTcのパターン深さ形状と同等にすると共に、光強度補正用回折パターンPTbの最内周の周期pをCD用回折パターンPTcの最外周の周期pと近い若しくは同一にすることにより、光強度補正用回折パターンPTbをCD用回折パターンPTcと連続的に形成する。
これにより回折素子20は、CD用回折パターンPTcから光強度補正用回折パターンPTbに至る透過率の変化を小さくすることができるため、回折素子通過光Lb2における光強度分布から段差をなくしてスポット光Lb3におけるスポットサイズSSを一段と小さくすることができる。
また光強度補正用回折パターンPTbとCD用回折パターンPTcのパターン深さ形状を揃えることにより、これら2つの回折パターンを1つの回折パターンとみなして同一の工程内で形成することが可能となるため、ベース層20Cにおける回折パターンの形成を容易にすることができる。
さらに回折素子20では、光強度補正用回折パターンPTbの周期pが外側に向かって徐々に大きくなるように形成することにより、CD用光ビームLcの光束径よりも外側の領域における透過率を外側に向かって徐々に上昇させ、外側に向かって光強度が低下する入射光Lb3の光強度分布を矩形に近い状態に補正することができるため、光強度補正用回折パターンPTbの周期pを一定にする場合と比較して、スポット光Lb3におけるスポットサイズSSを一段と小さくすることができると共に、スポット光Lb3全体の光強度を大きくすることができる。
また回折素子20では、入射光Lb1における光強度分布と対称的に当該入射光Lb1に対する透過率を上昇させるように光強度補正用回折パターンPTbを形成することにより、回折素子通過光Lb2における光強度補正用回折パターンPTbを通過した領域の光強度分布を平坦にすることができ、回折素子通過光Lb2全体としての光強度の低下を最小限に抑制しながら、スポット光Lb3におけるスポットサイズSSを、回折素子20を通過しない場合のスポット光Lb3のスポットサイズSSと同等にまで小さくすることができる。
以上の構成によれば、回折素子20では、CD用光ビームLcの光束径付近よりも外側にBD用光ビームLbの光強度分布を補正するための光強度補正用回折パターンPTbを設けることにより、CD用回折パターンPTcより外側部分における入射光Lb1に対する透過率の変化を小さくして回折素子通過光Lb2の光強度分布を滑らかにすることができるため、スポット光Lb3におけるスポットサイズSSを小さくすることができ、かくして再生信号の品質を向上させることができる回折素子、光ピックアップ及び光ディスク装置を実現できる。
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、入射光Lb1における光強度の低下と相反させて入射光Lb1に対する透過率を上昇させるようにその周期pが外側に向かって徐々に大きくなるよう光強度補正用回折パターンPTbを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば光強度補正用回折パターンPTbの周期pをCD用回折パターンPTcの最外周と同一の一定周期pで形成したり、CD用光ビームLcの光束径よりも外側の領域における光強度分布が徐々に小さく若しくはほぼ一定になるように、その周期pを徐々に大きく、若しくはほぼ一定になるように形成しても良い。
なお上述の実施の形態においては、入射光Lb1における光強度の低下と相反させて入射光Lb1に対する透過率を上昇させるようにその周期pが外側に向かって徐々に大きくなるよう光強度補正用回折パターンPTbを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば光強度補正用回折パターンPTbの周期pをCD用回折パターンPTcの最外周と同一の一定周期pで形成したり、CD用光ビームLcの光束径よりも外側の領域における光強度分布が徐々に小さく若しくはほぼ一定になるように、その周期pを徐々に大きく、若しくはほぼ一定になるように形成しても良い。
また上述の実施の形態においては、光強度補正用回折パターンPTbの最内周の周期pがCD用回折パターンPTcの最外周の周期pとが近く若しくは同一であり、2つの回折パターンが繋がるように形成されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば本来ならベクトル効果を発現しない周期pで光強度補正用回折パターンPTbを形成した場合であっても、ベクトル効果を発現するCD用回折パターンPTcが隣接する影響により、この光強度補正用回折パターンPTbによって回折素子通過光Lb2の光強度分布を滑らかにする効果を得ることができる。
さらに上述の実施の形態においては、回折素子20にはベース層20CにおけるCD用回折パターンPTcが形成された面に対して平坦なカバー層20Dが設けられ、ベース層20Cにおける平坦な一面にDVD用回折パターンPTdを有する回折パターン層20Eが設けられるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば平坦な2面を有するベース層20Cに対してCD用回折パターンPTcを有する回折パターン層20Daと、DVD用回折パターンPTdを有する回折パターン層20Eが設けられるようにしても良い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
さらに上述の実施の形態においては、CD用回折パターンPTcがCD用光ビームLcを回折させ、BD用光ビームLbを透過させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、透過させる光ビームの光束径が回折させる光ビームの光束径より大きければ、いずれの波長でなる光ビームを用いた場合でも本発明を適用することができる。
さらの上述の実施の形態においては、CD用回折パターンPTcがBD用光ビームLbに対して生じる透過率の低下と対称的に光強度補正用パターンPTbを設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばCD用回折パターンPTcに加えて他の光学面である下層部20Bに形成される第3の回折パターンとしてのDVD用回折パターンPTdがBD用光ビームLbに対して透過率の低下を生じさせるような場合には、DVD用回折パターンPTdの外側に第4の回折パターンとしての光強度補正用パターンPT4を設けるようにしても良い。
この場合、例えば単体の光強度補正用パターンPT4に対してBD用光ビームLbが入射された場合において、BD用光ビームLbのDVD用光ビームLdの光束径付近よりも外側の領域における光強度分布が平坦になるように光強度補正用パターンPT4の周期pを設定する。そして回折素子20への入射光Lb1におけるCD用光ビームLcの光束径よりも外側の領域において、ガウス分布による入射光Lb1の光強度の低下と対称的に透過率を大きくするのに加えて、DVD用回折パターンPTdによって透過率が減少する分だけ付加的に透過率を大きくするように光強度補正用パターンPTbの周期pを設定することにより、回折素子20総体として、CD用光ビームLcの光束径よりも外側の領域における回折素子通過光Lb2の光強度分布を平坦にすることが可能となる。
同様に第3の回折パターンとしてのDVD用回折パターンPTdがBD用光ビームLbに対してベクトル効果を生じさせるような場合において、DVD用回折パターンPTdの透過率に応じて光強度補正用パターンPTbの周期pを適宜設定することにより、光強度補正用パターンPT4を設けることなく、回折素子20総体として、CD用光ビームLcの光束径よりも外側の領域における回折素子通過光Lb2の光強度分布を平坦にすることも可能である。
これにより、CD用光ビームLcよりも大きくDVD用光ビームLdよりも小さいためにDVD用回折パターンPTdのみによって透過率が減少する領域について、DVD用回折パターンPTdによる透過率の減少に拘らず、その光強度分布が平坦になるようにBD用光ビームLbの光強度分布を補正することができる。
さらに上述の実施の形態においては、光源としてのレーザダイオード12と、対物レンズユニットとしての対物レンズユニット9とによって光ピックアップとしての光ピックアップ7を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成による光源と、対物レンズユニットとによって本発明の光ピックアップを構成するようにしても良い。
本発明は、複数の波長でなる光ビームを利用する種々の光学素子でも利用できる。
1……光ディスク装置、7……光ピックアップ、9……対物レンズユニット、19……鏡筒部、20、120……回折素子、20A……上層部、20B……下層部、20C……ベース層、20D……カバー層、20E……回折パターン層、21……対物レンズ、DGc……CD用回折格子、DGd……DVD用回折格子、DG……回折格子、PTc……CD用回折パターン、PTd……DVD用回折パターン、PTb……光強度補正用回折パターン。
Claims (9)
- 一の光学面における中心付近から第1の光ビームの光束径付近までに設けられ、当該第1の光ビームを回折させる一方、当該第1の光ビームよりも光束径が大きく、当該第1の光ビームとは波長の異なる第2の光ビームを回折させることなく透過させる第1の回折パターンと、
上記一の光学面における上記第1の光ビームの光束径付近よりも外側に設けられ、上記第2の光ビームの光強度を補正するための第2の回折パターンと
を具えることを特徴とする回折素子。 - 上記第2の回折パターンは、
上記第1のパターンと同等のパターン深さ形状を有しており、最内周の周期が上記第1の回折パターンの最外周の周期と近い若しくは同一であることにより、当該第1の回折パターンと連続的に形成されている
を具えることを特徴とする請求項1に記載の回折素子。 - 上記第2の回折パターンは、
その周期が外側に向かって大きくなるように形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の回折素子。 - 上記第2の回折パターンは、
上記第1の光ビームの光束径よりも外側の領域における光強度分布が平坦になるように上記第2の光ビームの光強度分布を補正する
ことを特徴とする請求項3に記載の回折素子。 - 上記一の光学面と対向する他の光学面に設けられ、上記第1及び第2の光ビームを透過させる一方、当該第1及び第2の光ビームとは波長が異なる第3の光ビームを回折させる第3の回折パターン
を具えることを特徴とする請求項1に記載の回折素子。 - 上記第2の光ビームよりもその光束径が小さい上記第3の光ビームの光束径の外側に、上記第2の光ビームの光強度を補正するための第4の回折パターン
を具えることを特徴とする請求項5に記載の回折素子。 - 上記第2、第3及び第4の回折パターンは、
総体として上記第2の光ビームにおける上記第1の回折パターンよりも外側の領域の光強度分布が平坦になるような周期で形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の回折素子。 - 第1の光ビーム及び当該第1の光ビームよりも光束径が大きく、当該第1の光ビームとは波長の異なる第2の光ビームを出射する光源と、
上記第1の光ビームを回折させるとともに上記第2の光ビームを回折させずに透過する回折素子と、当該回折素子から入射された上記第1又第2の波長の光ビームを集光する対物レンズとが一体となった対物レンズユニットと
を有する光ピックアップであって、
上記回折素子は、
一の光学面における中心付近から上記第1の光ビームの光束径付近までに設けられ、当該第1の光ビームを回折させる一方、上記第2の光ビームを回折させることなく透過させる第1の回折パターンと、
上記一の光学面における上記第1の光ビームの光束径付近よりも外側に設けられ、上記第2の光ビームの光強度を補正するための第2の回折パターンと
を有する
ことを特徴とする光ピックアップ。 - 第1の光ビーム及び当該第1の光ビームよりも光束径が大きく、当該第1の光ビームとは波長の異なる第2の光ビームを出射する光源と、上記第1の光ビームを回折させるとともに上記第2の光ビームを回折させずに透過する回折素子と、当該回折素子から入射された上記第1又第2の波長の光ビームを集光する対物レンズとが一体となった対物レンズユニットとを有する光ピックアップにより、光ディスクに対して上記第1又は第2の光ビームを照射する光ディスク装置であって、
上記回折素子は、
一の光学面における中心付近から上記第1の光ビームの光束径付近までに設けられ、当該第1の光ビームを回折させる一方、上記第2の光ビームを回折させることなく透過させる第1の回折パターンと、
上記一の光学面における上記第1の光ビームの光束径付近よりも外側に設けられ、上記第2の光ビームの光強度を補正するための第2の回折パターンと
を有することを特徴とする光ディスク装置。
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