JP2004069117A - 音響標的 - Google Patents
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Abstract
【課題】水底の近くを含めた水中を低速航走・沈降などの運動する標的の音響的反響を模擬できる音響標的を提供することができるようにする。
【解決手段】外部からの音波を検知する受波器14と、音波を外部に発信する送波器15と、受波器14からの検知信号に基づき送波器15から発信する音波を制御する制御部17と、これら受波器14及び送波器15及び制御部17を水中で移動させる水中航走体11とが備えられていることを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】外部からの音波を検知する受波器14と、音波を外部に発信する送波器15と、受波器14からの検知信号に基づき送波器15から発信する音波を制御する制御部17と、これら受波器14及び送波器15及び制御部17を水中で移動させる水中航走体11とが備えられていることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクティブソーナーを備えた水中追跡航走体の追尾性能の評価・訓練の際の標的となる音響標的に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の音響標的としては、水面に浮かせたブイから吊下ロープを用いて水中に吊下するタイプの音響標的が用いられていた。
【0003】
この音響標的には、水中追跡航走体のアクティブソーナーからの探信音を検知する受波器と、音波をアクティブソーナーに返信する送波器と、受波器で受けた探信音に基づいて、アクティブソーナーに返信する音波を制御する制御部とが備えられている。
【0004】
上記の構成の音響標的には、例えば、特開平11−248824号公報に記載されているような、運動する標的を模擬するためのドップラ機能や、レンジレート機能が設けられている。
【0005】
ドップラ機能とは、標的に当たり跳ね返ってきたアクティブソーナーの探信音の周波数が、標的の運動方向によって、元の周波数より、高くなったり低くなったりするのを模擬する機能である。
具体的には、水中追跡航走体のアクティブソーナーから発せられた探信音は、音響標的の受波器で検知され、検知された探信音は、制御部で、その周波数を高周波側もしくは低周波側にシフトされる。周波数をシフトされた探信音は、音響標的の送波器から水中追跡航走体のアクティブソーナーに向けて返信される。
【0006】
また、レンジレート機能とは、間欠的に発せられるアクティブソーナーの探信音に対する返信音の間隔が、水中追跡航走体と標的の相対距離の変化によって、長くなったり短くなったりするのを模擬する機能である。
具体的には、水中追跡航走体のアクティブソーナーから発せられた間欠的な探信音は、音響標的の受波器で検知され、検知された探信音は、制御部で、その探信音検出から返信音発信までの間隔を長くもしくは短くされる。返信音間隔を変更された返信音は、音響標的の送波器から水中追跡航走体のアクティブソーナーに向けて返信される。
【0007】
また、目標の大きさを模擬する際には、探信音が目標の各所から跳ね返ってきて、跳ね返りの探信音が長く聞こえるため、これを模擬するために、受波器で検知した探信音は時間的に引き伸ばして返信される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の音響標的においては、アクティブソーナーからの探信音を受波器で全部検知して、検知した探信音をドップラ付加、レンジ変化等の加工を施した後、送波器から返信している(エコーリピート方式)ので、近くに水底などの送波器からの返信音を反響させる物体が存在すると、反響した返信音が受波器に検知され、検知された返信音が再び送波器から発信され、反響した返信音がまた受波器に検知され、無限にこれが繰り返されるハウリングを起こすという問題があった。
【0009】
このハウリングを防ぐためには、送波器の返信音の反響が、受波器に入らないように、送波器と受波器との配置を工夫したり、吸音部材を送波器と受波器との間に設けたり、または、送波器、受波器の指向特性を鋭いものにしたりしなければならないという問題があった。
【0010】
また、返信音の方位を分解・解析できるアクティブソーナーに対して、目標の大きさを模擬するために、探信音を時間的に引き伸ばして返信しても、実際の目標では、目標の各所から探信音が跳ね返り、アクティブソーナーからみると広い角度範囲から音が跳ね返ってくるのに対し、一ヶ所からしか音が返信されないので、返信音の方位を分解・解析できるアクティブソーナーにその点を識別されてしまい模擬にならないという問題があった。
【0011】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、水底の近くを含めた水中を低速航走・沈降などの運動する標的の音響的反響を模擬できる音響標的を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の音響標的では、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1にかかる発明は、外部からの音波を検知する前記受波器と、音波を外部に発信する前記送波器と、前記受波器からの検知信号に基づき前記送波器から発信する音波を制御する前記制御部と、これら前記受波器及び前記送波器及び前記制御部を水中で移動させる前記水中航走体とが備えられていることを特徴とする。
【0013】
この発明にかかる音響標的によれば、前記水中航走体が前記送波器を水中で移動させることができるので、前記水中航走体を水底付近において低速航走等の運動をさせながら音波を発信させることにより、音響標的が、水底付近で低速航走等の運動をしている状態を模擬する音波を発信することができる。
【0014】
請求項2にかかる発明は、外部からの音波を検知する前記受波器と、音波を外部に発信する複数の前記送波器と、前記受波器からの検知信号に基づき各前記送波器から発信する音波を制御する前記制御部と、各前記送波器を水中で曳航する前記水中航走体とが備えられていることを特徴とする。
【0015】
この発明にかかる音響標的によれば、前記水中航走体が各前記送波器を水中で移動させることができるので、前記水中航走体を水底付近において低速航走等の運動をさせながら音波を発信させることにより、音響標的が、水底付近で低速航走等の運動をしている状態を模擬する音波を発信することができる。
【0016】
さらに、前記水中航走体に複数の前記送波器が曳航されているので、これら複数の前記送波器から、例えば水中追跡航走体などの発信先に、音波を発信することにより、水中追跡航走体に向けて、広い角度範囲から音波を発信することができる。
【0017】
請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載の音響標的において、前記制御部は、前記受波器からの検知信号を受けた場合に、前記記憶部に予め設定された音波を前記送波器から発信させることを特徴とする。
【0018】
この発明にかかる音響標的によれば、前記制御部は、前記受波器で検知した音波を用いるのではなく、前記記憶部に予め設定された音波を用いて前記送波器から発信させるので、前記受波器からの検知信号に水底等で反響した前記送波器から発信した音波が含まれていても、ハウリングを起こすことなく、設定された音波を発信させることができる。
【0019】
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の音響標的において、前記制御部は、前記受波器で検知した音波の強さに応じて、前記送波器から発信する音波の強さを変える制御をすることを特徴とする。
【0020】
この発明にかかる音響標的によれば、前記制御部は、前記受波器で検知した音波の強さに応じて、前記送波器から発信する音波の強さを変えられるので、音響標的が、実際の距離よりも遠く、または近くに存在する目標を模擬する音波を発信することができる。
【0021】
請求項5にかかる発明は、請求項3または4に記載の音響標的において、前記制御部は、前記受波器からの検知信号を受け場合に、それ以降の前記受波器からの検知信号を無視すること特徴とする。
【0022】
この発明にかかる音響標的によれば、前記制御部は、前記受波器からの検知信号を受けると、以降の検知信号は無視するので、前記制御部は、水底等で反射した前記送波器から発信された音波の含まれた、以降の検知信号の影響を受けないため、ハウリングを起こすことなく音波を発信することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1、図2はこの発明の第一の実施形態を示す図である。
図1、図2に示すように、音響標的10は、UUV(Unmanned Underwater Vehicle、無人水中航走体)(水中航走体)11と、このUUV11に設けられた、水中追跡航走体12のアクティブソーナー13からの探信音を検知する受波器14と、アクティブソーナー13に向けて返信音を発信する送波器15と、受波器14からの検知信号に基づいて、記憶部16に記憶された返信音を送波器15から発信するよう制御する制御部17とを主な構成要素として構成されている。
【0024】
上記の構成からなる音響標的10においては、受波器14は、水中航走体12のアクティブソーナー13の探信音を検知して、検知した探信音の強さに比例した検知信号を制御部17に出力する。検知信号が入力された制御部17は、記憶部16に記憶されている返信音を、検知信号の強さに対して予め設定された割合で増幅して、送波器15から発信させる。同時に、制御部17は、図3に示すように、一定期間、受波器14からの信号を無視するブランキングを行う。
【0025】
上記の構成によれば、UUV11が、水底付近を低速で航走、沈降等することにより、水底付近を低速航走、沈降等する目標の模擬をすることができる。
そして、制御部17が、受波器14で検知した探信音を用いるのではなく、受波器14からの検知信号に基づき、記憶部16に記憶された返信音を送波器15から発信させることにより、音響標的10は、水底等で反射された返信音を再び受波器14で検知して起こす、ハウリングを防ぐことができ、水底付近での低速航走、沈降等する目標の模擬をすることができる。
【0026】
また、予め設定された返信音を送波器15から発信することにより、水底等で反射した探信音や返信音等の雑音(残響)の中から、確実に音響標的からの返信音をアクティブソーナー13に検知させることができる。このため、水底付近での低速航走、沈降等する目標の模擬により適した音響標的となることができる。
【0027】
さらに、制御部17は、ブランキング制御を行うことにより、水底等からの反射した返信音を無視することができ、ハウリングをより確実に防ぐことができるため、水底付近での低速航走、沈降等する目標の模擬をすることができる。
【0028】
また、制御部17は、検知信号の強さに対して予め設定された割合で増幅された返信音を、送波器15から発信させるので、音響標的10は、実際のアクティブソーナーとの距離よりも遠く、または近くの水底付近を低速航走・沈降等する目標を模擬することができる。
【0029】
図4は、この発明の第二の実施形態を示す図である。音響標的50の基本的構成は図2に示すものと同様であり、同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。図4において、曳航音響標的51は、受波器14と、送波器15と、記憶部16と、制御部17とを備えており、これら複数の曳航音響標的51は、互いに所定間隔を開けて、一列に連なった状態で、UUV11に曳航されている。
【0030】
上記の構成による音響標的50においては、アクティブソーナー13の探信音に対して、曳航された複数の曳航音響標的51の受波器14が、それぞれ独自に、探信音を検知し、受波器14の検知信号に対して、制御部17が、それぞれ独自に、記憶部16に記憶された返信音を送波器15から発信する。
このとき同時に、探信音の大きさに対して予め設定された割合で返信音を増幅する制御と、ブランキング制御とが行われている。
【0031】
上記の構成による音響標的50においては、複数の曳航音響標的51は、それぞれ独自に、アクティブソーナー13の探信音に対して返信音を発信するので、サイズの大きな目標を模擬したとき、アクティブソーナー13からみて、模擬した返信音の方位と、距離と、返信音の間隔等とのパラメータの整合性がとれた返信音を発信することができる。そのため、返信音の方位と距離とを分解・解析できるアクティブソーナーに対しても、目標のサイズまで含んだ模擬をすることができる。
【0032】
図5はこの発明の第三の実施形態を示す図である。音響標的60の基本的構成は図2に示すものと同様であり、同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。図5において、UUV11には、受波器14と、記憶部16と、制御部17とが設けられており、複数の送波器15が、UUV11に曳航されている。
【0033】
上記の構成による音響標的60においては、アクティブソーナー13の探信音は、UUV11に設けられた受波器14に検知され、検知信号を制御部17に出力する。検知信号が入力された制御部17は、記憶部16に記憶された返信音を、複数ある送波器15から、予め設定された間隔で順次発信するよう制御する。
このとき同時に、探信音の大きさに対して予め設定された割合で返信音を増幅する制御と、ブランキング制御とが行われている。
【0034】
上記の構成による音響標的60においては、受波器14で検知されたアクティブソーナー13の探知音に対して、UUV11に曳航された複数の送波器15から、予め設定された間隔で順次返信音が発信されるので、サイズの大きな目標を模擬したときの、返信音の方位の整合性がとれた返信音を発信できる。そのため、返信音の方位を分解・解析できるアクティブソーナーに対しても、目標のサイズまで含んだ模擬をすることができる。
また、受波器14と記憶部16と制御部17とが、それぞれ一つずつ音響標的60に備えられていればよいので、必要な部品点数が削減されて、コストを低くすることができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、音響標的が水底付近を低速航走等の運動をしながら、前記送波器から音波を発信するので、水底付近を低速航走等する目標を模擬することができるという効果を奏する。
【0036】
請求項2に係る発明によれば、音響標的が水底付近を低速航走等の運動をしながら、前記送波器から音波を発信するので、水底付近を低速航走等する目標を模擬することができ、曳航された複数の前記送波器から音波を発信するため、アクティブソーナーに対して、広い角度範囲から音波を発信することができるため、角度分解能力を持つアクティブソーナーに対しても、目標の大きさまで含んだ模擬をすることができるという効果を奏する。
【0037】
請求項3に係る発明によれば、前記受波器からの検知信号に反響した音波が含まれていても、ハウリングを起こすことなく、予め設定された音波を前記送波器から発信するため、反響の影響が大きな水底付近でも、安定して音波を発信することができるので、水底付近を低速航走等する目標を確実に模擬することができるという効果を奏する。
【0038】
請求項4に係る発明によれば、音響標的が、検知した音波の強さに応じて、発信する音波の強さを変えることにより、遠くの水底付近、または近くの水底付近を低速航走等する目標を模擬することができるという効果を奏する。
【0039】
請求項5に係る発明によれば、前記制御部は、初めの検知信号により発信された音波の含まれた、以降の検知信号の影響を受けないため、ハウリングを起こすことなく音波を発信することができ、水底付近を低速航走等する目標を確実に模擬することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による音響標的の一実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明による音響標的の一実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明による音響標的の一実施形態の制御方法を示す説明図である。
【図4】本発明による音響標的の別の実施形態を示す模式図である。
【図5】本発明による音響標的のさらに別の実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
10、50、60 音響標的
11 UUV(水中航走体)
14 受波器
15 送波器
16 記憶部
17 制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクティブソーナーを備えた水中追跡航走体の追尾性能の評価・訓練の際の標的となる音響標的に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の音響標的としては、水面に浮かせたブイから吊下ロープを用いて水中に吊下するタイプの音響標的が用いられていた。
【0003】
この音響標的には、水中追跡航走体のアクティブソーナーからの探信音を検知する受波器と、音波をアクティブソーナーに返信する送波器と、受波器で受けた探信音に基づいて、アクティブソーナーに返信する音波を制御する制御部とが備えられている。
【0004】
上記の構成の音響標的には、例えば、特開平11−248824号公報に記載されているような、運動する標的を模擬するためのドップラ機能や、レンジレート機能が設けられている。
【0005】
ドップラ機能とは、標的に当たり跳ね返ってきたアクティブソーナーの探信音の周波数が、標的の運動方向によって、元の周波数より、高くなったり低くなったりするのを模擬する機能である。
具体的には、水中追跡航走体のアクティブソーナーから発せられた探信音は、音響標的の受波器で検知され、検知された探信音は、制御部で、その周波数を高周波側もしくは低周波側にシフトされる。周波数をシフトされた探信音は、音響標的の送波器から水中追跡航走体のアクティブソーナーに向けて返信される。
【0006】
また、レンジレート機能とは、間欠的に発せられるアクティブソーナーの探信音に対する返信音の間隔が、水中追跡航走体と標的の相対距離の変化によって、長くなったり短くなったりするのを模擬する機能である。
具体的には、水中追跡航走体のアクティブソーナーから発せられた間欠的な探信音は、音響標的の受波器で検知され、検知された探信音は、制御部で、その探信音検出から返信音発信までの間隔を長くもしくは短くされる。返信音間隔を変更された返信音は、音響標的の送波器から水中追跡航走体のアクティブソーナーに向けて返信される。
【0007】
また、目標の大きさを模擬する際には、探信音が目標の各所から跳ね返ってきて、跳ね返りの探信音が長く聞こえるため、これを模擬するために、受波器で検知した探信音は時間的に引き伸ばして返信される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の音響標的においては、アクティブソーナーからの探信音を受波器で全部検知して、検知した探信音をドップラ付加、レンジ変化等の加工を施した後、送波器から返信している(エコーリピート方式)ので、近くに水底などの送波器からの返信音を反響させる物体が存在すると、反響した返信音が受波器に検知され、検知された返信音が再び送波器から発信され、反響した返信音がまた受波器に検知され、無限にこれが繰り返されるハウリングを起こすという問題があった。
【0009】
このハウリングを防ぐためには、送波器の返信音の反響が、受波器に入らないように、送波器と受波器との配置を工夫したり、吸音部材を送波器と受波器との間に設けたり、または、送波器、受波器の指向特性を鋭いものにしたりしなければならないという問題があった。
【0010】
また、返信音の方位を分解・解析できるアクティブソーナーに対して、目標の大きさを模擬するために、探信音を時間的に引き伸ばして返信しても、実際の目標では、目標の各所から探信音が跳ね返り、アクティブソーナーからみると広い角度範囲から音が跳ね返ってくるのに対し、一ヶ所からしか音が返信されないので、返信音の方位を分解・解析できるアクティブソーナーにその点を識別されてしまい模擬にならないという問題があった。
【0011】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、水底の近くを含めた水中を低速航走・沈降などの運動する標的の音響的反響を模擬できる音響標的を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の音響標的では、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1にかかる発明は、外部からの音波を検知する前記受波器と、音波を外部に発信する前記送波器と、前記受波器からの検知信号に基づき前記送波器から発信する音波を制御する前記制御部と、これら前記受波器及び前記送波器及び前記制御部を水中で移動させる前記水中航走体とが備えられていることを特徴とする。
【0013】
この発明にかかる音響標的によれば、前記水中航走体が前記送波器を水中で移動させることができるので、前記水中航走体を水底付近において低速航走等の運動をさせながら音波を発信させることにより、音響標的が、水底付近で低速航走等の運動をしている状態を模擬する音波を発信することができる。
【0014】
請求項2にかかる発明は、外部からの音波を検知する前記受波器と、音波を外部に発信する複数の前記送波器と、前記受波器からの検知信号に基づき各前記送波器から発信する音波を制御する前記制御部と、各前記送波器を水中で曳航する前記水中航走体とが備えられていることを特徴とする。
【0015】
この発明にかかる音響標的によれば、前記水中航走体が各前記送波器を水中で移動させることができるので、前記水中航走体を水底付近において低速航走等の運動をさせながら音波を発信させることにより、音響標的が、水底付近で低速航走等の運動をしている状態を模擬する音波を発信することができる。
【0016】
さらに、前記水中航走体に複数の前記送波器が曳航されているので、これら複数の前記送波器から、例えば水中追跡航走体などの発信先に、音波を発信することにより、水中追跡航走体に向けて、広い角度範囲から音波を発信することができる。
【0017】
請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載の音響標的において、前記制御部は、前記受波器からの検知信号を受けた場合に、前記記憶部に予め設定された音波を前記送波器から発信させることを特徴とする。
【0018】
この発明にかかる音響標的によれば、前記制御部は、前記受波器で検知した音波を用いるのではなく、前記記憶部に予め設定された音波を用いて前記送波器から発信させるので、前記受波器からの検知信号に水底等で反響した前記送波器から発信した音波が含まれていても、ハウリングを起こすことなく、設定された音波を発信させることができる。
【0019】
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の音響標的において、前記制御部は、前記受波器で検知した音波の強さに応じて、前記送波器から発信する音波の強さを変える制御をすることを特徴とする。
【0020】
この発明にかかる音響標的によれば、前記制御部は、前記受波器で検知した音波の強さに応じて、前記送波器から発信する音波の強さを変えられるので、音響標的が、実際の距離よりも遠く、または近くに存在する目標を模擬する音波を発信することができる。
【0021】
請求項5にかかる発明は、請求項3または4に記載の音響標的において、前記制御部は、前記受波器からの検知信号を受け場合に、それ以降の前記受波器からの検知信号を無視すること特徴とする。
【0022】
この発明にかかる音響標的によれば、前記制御部は、前記受波器からの検知信号を受けると、以降の検知信号は無視するので、前記制御部は、水底等で反射した前記送波器から発信された音波の含まれた、以降の検知信号の影響を受けないため、ハウリングを起こすことなく音波を発信することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1、図2はこの発明の第一の実施形態を示す図である。
図1、図2に示すように、音響標的10は、UUV(Unmanned Underwater Vehicle、無人水中航走体)(水中航走体)11と、このUUV11に設けられた、水中追跡航走体12のアクティブソーナー13からの探信音を検知する受波器14と、アクティブソーナー13に向けて返信音を発信する送波器15と、受波器14からの検知信号に基づいて、記憶部16に記憶された返信音を送波器15から発信するよう制御する制御部17とを主な構成要素として構成されている。
【0024】
上記の構成からなる音響標的10においては、受波器14は、水中航走体12のアクティブソーナー13の探信音を検知して、検知した探信音の強さに比例した検知信号を制御部17に出力する。検知信号が入力された制御部17は、記憶部16に記憶されている返信音を、検知信号の強さに対して予め設定された割合で増幅して、送波器15から発信させる。同時に、制御部17は、図3に示すように、一定期間、受波器14からの信号を無視するブランキングを行う。
【0025】
上記の構成によれば、UUV11が、水底付近を低速で航走、沈降等することにより、水底付近を低速航走、沈降等する目標の模擬をすることができる。
そして、制御部17が、受波器14で検知した探信音を用いるのではなく、受波器14からの検知信号に基づき、記憶部16に記憶された返信音を送波器15から発信させることにより、音響標的10は、水底等で反射された返信音を再び受波器14で検知して起こす、ハウリングを防ぐことができ、水底付近での低速航走、沈降等する目標の模擬をすることができる。
【0026】
また、予め設定された返信音を送波器15から発信することにより、水底等で反射した探信音や返信音等の雑音(残響)の中から、確実に音響標的からの返信音をアクティブソーナー13に検知させることができる。このため、水底付近での低速航走、沈降等する目標の模擬により適した音響標的となることができる。
【0027】
さらに、制御部17は、ブランキング制御を行うことにより、水底等からの反射した返信音を無視することができ、ハウリングをより確実に防ぐことができるため、水底付近での低速航走、沈降等する目標の模擬をすることができる。
【0028】
また、制御部17は、検知信号の強さに対して予め設定された割合で増幅された返信音を、送波器15から発信させるので、音響標的10は、実際のアクティブソーナーとの距離よりも遠く、または近くの水底付近を低速航走・沈降等する目標を模擬することができる。
【0029】
図4は、この発明の第二の実施形態を示す図である。音響標的50の基本的構成は図2に示すものと同様であり、同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。図4において、曳航音響標的51は、受波器14と、送波器15と、記憶部16と、制御部17とを備えており、これら複数の曳航音響標的51は、互いに所定間隔を開けて、一列に連なった状態で、UUV11に曳航されている。
【0030】
上記の構成による音響標的50においては、アクティブソーナー13の探信音に対して、曳航された複数の曳航音響標的51の受波器14が、それぞれ独自に、探信音を検知し、受波器14の検知信号に対して、制御部17が、それぞれ独自に、記憶部16に記憶された返信音を送波器15から発信する。
このとき同時に、探信音の大きさに対して予め設定された割合で返信音を増幅する制御と、ブランキング制御とが行われている。
【0031】
上記の構成による音響標的50においては、複数の曳航音響標的51は、それぞれ独自に、アクティブソーナー13の探信音に対して返信音を発信するので、サイズの大きな目標を模擬したとき、アクティブソーナー13からみて、模擬した返信音の方位と、距離と、返信音の間隔等とのパラメータの整合性がとれた返信音を発信することができる。そのため、返信音の方位と距離とを分解・解析できるアクティブソーナーに対しても、目標のサイズまで含んだ模擬をすることができる。
【0032】
図5はこの発明の第三の実施形態を示す図である。音響標的60の基本的構成は図2に示すものと同様であり、同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。図5において、UUV11には、受波器14と、記憶部16と、制御部17とが設けられており、複数の送波器15が、UUV11に曳航されている。
【0033】
上記の構成による音響標的60においては、アクティブソーナー13の探信音は、UUV11に設けられた受波器14に検知され、検知信号を制御部17に出力する。検知信号が入力された制御部17は、記憶部16に記憶された返信音を、複数ある送波器15から、予め設定された間隔で順次発信するよう制御する。
このとき同時に、探信音の大きさに対して予め設定された割合で返信音を増幅する制御と、ブランキング制御とが行われている。
【0034】
上記の構成による音響標的60においては、受波器14で検知されたアクティブソーナー13の探知音に対して、UUV11に曳航された複数の送波器15から、予め設定された間隔で順次返信音が発信されるので、サイズの大きな目標を模擬したときの、返信音の方位の整合性がとれた返信音を発信できる。そのため、返信音の方位を分解・解析できるアクティブソーナーに対しても、目標のサイズまで含んだ模擬をすることができる。
また、受波器14と記憶部16と制御部17とが、それぞれ一つずつ音響標的60に備えられていればよいので、必要な部品点数が削減されて、コストを低くすることができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、音響標的が水底付近を低速航走等の運動をしながら、前記送波器から音波を発信するので、水底付近を低速航走等する目標を模擬することができるという効果を奏する。
【0036】
請求項2に係る発明によれば、音響標的が水底付近を低速航走等の運動をしながら、前記送波器から音波を発信するので、水底付近を低速航走等する目標を模擬することができ、曳航された複数の前記送波器から音波を発信するため、アクティブソーナーに対して、広い角度範囲から音波を発信することができるため、角度分解能力を持つアクティブソーナーに対しても、目標の大きさまで含んだ模擬をすることができるという効果を奏する。
【0037】
請求項3に係る発明によれば、前記受波器からの検知信号に反響した音波が含まれていても、ハウリングを起こすことなく、予め設定された音波を前記送波器から発信するため、反響の影響が大きな水底付近でも、安定して音波を発信することができるので、水底付近を低速航走等する目標を確実に模擬することができるという効果を奏する。
【0038】
請求項4に係る発明によれば、音響標的が、検知した音波の強さに応じて、発信する音波の強さを変えることにより、遠くの水底付近、または近くの水底付近を低速航走等する目標を模擬することができるという効果を奏する。
【0039】
請求項5に係る発明によれば、前記制御部は、初めの検知信号により発信された音波の含まれた、以降の検知信号の影響を受けないため、ハウリングを起こすことなく音波を発信することができ、水底付近を低速航走等する目標を確実に模擬することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による音響標的の一実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明による音響標的の一実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明による音響標的の一実施形態の制御方法を示す説明図である。
【図4】本発明による音響標的の別の実施形態を示す模式図である。
【図5】本発明による音響標的のさらに別の実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
10、50、60 音響標的
11 UUV(水中航走体)
14 受波器
15 送波器
16 記憶部
17 制御部
Claims (5)
- 外部からの音波を検知する受波器と、音波を外部に発信する送波器と、前記受波器からの検知信号に基づき前記送波器から発信する音波を制御する制御部と、これら前記受波器及び前記送波器及び前記制御部を水中で移動させる水中航走体とが備えられていることを特徴とする音響標的。
- 外部からの音波を検知する受波器と、音波を外部に発信する複数の送波器と、前記受波器からの検知信号に基づき各前記送波器から発信する音波を制御する制御部と、各前記送波器を水中で曳航する水中航走体とが備えられていることを特徴とする音響標的。
- 請求項1または2に記載の音響標的において、
前記制御部は、前記受波器からの検知信号を受けた場合に、記憶部に予め設定された音波を前記送波器から発信させることを特徴とする音響標的。 - 請求項3に記載の音響標的において、
前記制御部は、前記受波器で検知した音波の強さに応じて、前記送波器から発信する返信音の強さを変えることを特徴とする音響標的。 - 請求項3または4に記載の音響標的において、
前記制御部は、前記受波器からの検知信号を受けた場合に、それ以降の前記受波器からの検知信号を無視すること特徴とする音響標的。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0738275A (ja) * | 1993-07-22 | 1995-02-07 | Tdk Corp | 小型無線機器の性能評価用測定室 |
JP2014231929A (ja) * | 2013-05-28 | 2014-12-11 | 日本電気株式会社 | 音響標的 |
US12025753B2 (en) | 2020-02-05 | 2024-07-02 | Dspace Gmbh | Test device for testing a distance sensor operating with ultrasonic waves |
-
2002
- 2002-08-02 JP JP2002226548A patent/JP2004069117A/ja active Pending
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JP7558796B2 (ja) | 2020-02-05 | 2024-10-01 | ディスペース ゲー・エム・ベー・ハー | 超音波で動作する距離センサをテストするための検査装置 |
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