JP2007298289A - 水底物体探査方法及び装置 - Google Patents

水底物体探査方法及び装置 Download PDF

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浩一郎 田中
Shinichi Sawada
信一 澤田
Hiroshi Sudo
拓 須藤
Takahiro Fukai
隆広 深井
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Abstract

【課題】水中航行体を小型化し、より低コスト化できる水底物体探査方法及び装置を提供する。
【解決手段】送波器2から広角度で広がる低周波を送波し、受波器4を水中航行体5の長手方向に複数個並べて配置し、これら複数個の受波器4による受波信号を合成開口処理することにより、水中航行体5の長手方向に幅が狭い範囲からの散乱波を検出すると共に、上記合成開口処理による検出範囲を水中航行体5の長手方向に順次走査させ、水中航行体5の位置と走査順との組み合わせにより、時間が異なる同一物体3からの複数の散乱波を抽出し、これらの散乱波を重ね合わせて物体3の存在を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、水中航行体を小型化し、より低コスト化できる水底物体探査方法及び装置に関する。
遺跡・遺物や器具・機械などの人工物からなる水没品の探査は音響探査で行われる。このような音響による水底物体探査においては、対象の物体が水底下に埋没していることが多い。ここで、水底下という用語の定義は、特許文献1と同様であり、水面から水底までを水中、砂、泥、礫等の固体部分の表面(音波に対して音響的な境界を形成する面)を水底、その固体部分の内部を水底下と言う。
埋没している物体を探査するためには、水底下にある物体からの散乱波を捉える必要がある。水底下では音波の減衰が大きいため、水底下にある物体からの散乱波は水中や水底面上にある物体からの散乱波よりもさらに微弱なものとなり、この微弱な信号を計測する必要がある。
また、水底に凹凸などがある場合には、それにより不必要な散乱波(水底散乱波)が発生し、この水底散乱波の受波レベルが物体からの散乱波の受波レベルよりも高くなると妨害になり探査ができなくなる。この水底散乱波のレベルは散乱波を発生する水底領域の面積に比例して大きくなるため、この面積が狭いほうが水底散乱波の影響を低減できる。そのため、水底下物体を探査するためには散乱波を発生する水底領域の面積を所定の範囲以下に絞った計測が必要となる。この水底領域の面積を絞るための方法として、送波で狭い指向性のものを使う、受波で狭い指向性のものを使う、またその組み合わせを使う方法がある。高周波では水底での反射や水底下での減衰が大きくなるため、低周波を用いる必要があるが、小型の装置により狭い指向性を実現するのは難しいという課題点がある。
さらに、物体にはその形状や性質に応じて特定の向きに音波を散乱させる性質がある。例えば、図10は物体が円筒体の場合のある高度の水平面における散乱波のレベルを模式的に示したものである。この図のように、散乱波のレベルの高い範囲は限定され、物体を探査するためにこの狭い範囲内で散乱波を捉える必要がある。
水没品の音響探査に有利な方法・装置として、(あ)パラメトリックソーナー+合成開口処理によるもの、(い)複数水中航行体を用いるものなどが提案されているが実用化されていない。
(あ)のパラメトリックソーナーは、送波で狭い指向性のものを使う方法である。パラメトリックソーナーとは、送波器を比較的高い近接した2つの周波数(例えば103kHZと100kHZ)で大振幅駆動させ、媒質の非線形相互作用により、その差音である低周波(この場合3kHz)が生じるようにすることにより、低周波音でありながら、指向性が強い送波が可能となるものである。パラメトリックソーナーから強い指向性の低周波、つまり広がる角度が狭い低周波を送波するので、散乱波の発生場所を限られた範囲に絞ることができる。また、合成開口処理は、受波で狭い指向性のものを使う方法である。合成開口処理とは、受波器の物理的な開口を越える大きさの仮想的開口を例えば水中航行体などが移動しながら散乱波を受波することにより実現する方法である。合成開口処理によって、より大きな開口を作るので合成前の受波器で得られる指向性と比べ、より鋭い指向性が得られる。そのため、限られた範囲からの散乱波だけを検出することができる。従って、パラメトリックソーナーと合成開口処理とを組み合われると、低周波による水底下探査が可能である。
(い)は、特許文献1に記載されたものであり、低周波の送波器を搭載して水中を移動する親機と、受波器を搭載して水中を移動する複数の子機とを使用し、複数箇所で受波した物体からの散乱波を探査する。この方式の利点の一つとして、物体の形状等に基づく散乱特性において、特定の方向に強く散乱が起きるような場合に、複数の子機が物体の周囲の各方角を通過するので、散乱の強い方向で受波する機会が増やせることがあげられる。
特開2004−184268号公報
パラメトリックソーナーは、その装置自体のサイズが例えば、1m角と大きく重量も重い。このため、パラメトリックソーナーを搭載して航行する水中航行体は、大型となる。水中航行体を船舶などに搭載して運用する場合には、その搭載スペースが限られるため大型なものは好ましくない。水中航行体のエネルギ源はバッテリであるが、パラメトリックソーナーが大音圧の差音を利用していることからエネルギ効率が低い。また、水中航行体が大型であることから、バッテリにも大容量が要求され、バッテリも大型化する。また、パラメトリックソーナーは、特注品であり、非常に高価なものである。従って、(あ)の方式は、水中航行体の大型化とコスト高に問題がある。
また、(あ)の方式は、送波も受波も指向性が鋭いため、物体に音波が当たる機会が少なく、物体からの散乱波が生じる機会が少なく、物体を見逃すことがある。
一方、(い)の方式は、複数の水中航行体を制御するのでシステムが複雑化すると共に、水中航行体が複数必要なことでコスト高となる。
水中航行体を1台だけ使用して送波も受波もその水中航行体で行うことができれば、もしくは少ない機数の水中航行体を使用して探査ができれば、コストを下げられる。しかし、物体が極端に偏った散乱指向性を有する場合に、水中航行体を1台だけもしくは少ない機数の水中航行体を使用して漏れなく物体を発見できるようにするには、何らかの工夫が必要である。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、水中航行体を小型化し、より低コスト化できる水底物体探査方法及び装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の方法は、水中に音波を送波する送波器と、物体からの散乱波を受波する受波器とを水中航行体に搭載し、その水中航行体を航行させつつ水底又は水底下にある物体を探査する水底物体探査方法において、上記送波器から広角度で広がる低周波を送波し、上記受波器を上記水中航行体の長手方向に複数個並べて配置し、これら複数個の受波器による受波信号を合成開口処理することにより、上記水中航行体の長手方向に幅が狭い範囲からの散乱波を検出すると共に、上記合成開口処理による検出範囲を上記水中航行体の長手方向に順次走査させ、上記水中航行体の位置と走査順との組み合わせにより、時間が異なる同一物体からの複数の散乱波を抽出し、これらの抽出結果を重ね合わせて上記物体の存在を判定するものである。
上記複数個の受波器による受波信号を上記水中航行体の位置ごとに合成開口処理てもよい。
上記水中航行体の検出範囲を水底に投影させて水底検出範囲とし、水底には固定の番地を想定し、異なる時間における上記水底検出範囲が水底の同一の番地に重なるよう、上記位置と上記走査順とを組み合わせてもよい。
また、本発明の装置は、上記水中航行体の検出範囲を水底に投影させて水底検出範囲とし、水底には固定の番地を想定し、異なる時間における上記水底検出範囲が水底の同一の番地に重なるよう、上記位置と上記走査順とを組み合わせものである。
上記合成開口処理手段は、上記複数個の受波器による受波信号を上記水中航行体の位置ごとに合成開口処理してもよい。
上記重ね合わせ手段は、上記水中航行体の検出範囲を水底に投影させて水底検出範囲とし、水底には固定の番地を想定し、異なる時間における上記水底検出範囲が水底の同一の番地に重なるよう、上記位置と上記走査順とを組み合わせてもよい。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)パラメトリックソーナーが不要なので、低コスト化できる。
(2)パラメトリックソーナーを搭載しないので、水中航行体を小型化できる。
(3)送波に広角度で広がる指向性を持った送波器を用いることと、受波に合成開口処理と重ね合わせ手段の組み合わせを用いることにより、探査できる範囲を広げることができる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1(a)及び図1(b)に示されるように、本発明に係る水底物体探査装置1は、水中に音波を送波する送波器2と、物体3からの散乱波を受波する受波器4と、これら送波器2及び受波器4を搭載する水中航行体5とを備え、その水中航行体5を航行させつつ水底又は水底下にある物体3を探査する水底物体探査装置において、上記送波器2は広角度で広がる指向性を持った低周波を送波する送波器2とし、上記受波器4は水中航行体5の長手方向に複数個並べて配置し、これら複数個の受波器4による受波信号を合成開口処理することにより、水中航行体5の長手方向に幅が狭い範囲からの散乱波を検出すると共に、上記合成開口処理による検出範囲を水中航行体5の長手方向に順次走査させる合成開口処理手段6と、上記水中航行体5の航行位置と走査順との組み合わせにより、時間が異なる同一物体3からの複数の散乱波を抽出し、これらの抽出結果を重ね合わせて上記物体の存在を判定する重ね合わせ手段7とを設けたものである。
ここで、水底物体探査装置1の細部を説明する前に、水中航行体5の部位と水中航行体5を基準にした方向についての定義を図11により行う。図11に示されるように、水中航行体5が葉巻型の細長い形状をしているものとし、その尖った端部の一方を頭部、他方を尾部と呼ぶ。頭部と尾部を結ぶ線に双方向を長手方向、それに直交する方向を幅方向と呼ぶ。そして、頭部が向いている方向を頭部方向、尾部が向いている方向を尾部方向と呼ぶ。頭部から尾部に至る途中の部分は側面と呼ぶ。幅方向の一方を右側方向、他方を左側方向と呼ぶ。紙面に向かう方向を底面方向、その反対方向を天面方向と呼ぶ。
図11で定義した部位や方向は、水中航行体5が航行する方向には依存せず、長手方向のどちらか一端を頭部としたとき反対端が尾部となる。よって、水中航行体5が尾部方向に航行することも有り得るし、左側又は右側方向、底面又は天面方向に航行してもよい。また、水中航行体5は、水中で3次元に自由な姿勢を取り、自由な向きに航行できるので、図11で定義した水中航行体5を基準にした方向は、水面や地球上の方位に束縛されない。例えば、底面が水底に臨んで水底と平行になるとは限らず、傾斜したり鉛直であったり、水面に臨んでいてもよい。しかし、以下では、説明を簡単にするため、水中航行体5は頭部尾部を水平にし、底面方向を鉛直方向にして頭部方向に航行しているものとする。
図1(a)は平面図、図1(b)は水中航行体5の後方より見た側面図である。水中航行体5に搭載された送波器2から送波された音波は、ある広い幅をもった指向性を持っており、指向性の中心軸が水底に対して傾いているので、水底においてある広い範囲の照射面を得る。
図2(a)に示されるように、水中航行体5は、頭部が丸みを帯びている円筒または楕円筒形などの外殻21と、その外殻21の頭部に取り付けた推進機構及び操舵機構22とを備え、外殻21には、送波器2と、複数個の受波器4からなる受波アレイ23と、プログラムを実行することにより合成開口処理手段6及び重ね合わせ手段7を実現するコンピュータ(図示せず)と、バッテリ(図示せず)とを搭載する。コンピュータは、推進機構及び操舵機構22を制御して水中航行体5が所定の航路に従って航行するようにする航行制御手段でもある。
受波アレイ23は、図示のように複数個の受波器4を水中航行体5の長手方向に所定間隔で並べた一次元アレイであるが、幅方向または上下方向にも複数の受波器4を並べた二次元アレイを用いてもよい。
送波器2は、広角度で広がる低周波を送波するもので、片側の指向幅θが例えば40°となる弱い指向性を有する。比較のため、図2(b)にパラメトリックソーナー24による指向性を示す。パラメトリックソーナー24は、指向幅θが例えば5°である。この実施形態では、送波器2は、指向性の中心が鉛直方向、つまり水中航行体5の底面方向に向けてあるが、指向性の中心は左右方向、つまり水中航行体5の幅方向や航行方向あるいはその反対方向、つまり水中航行体5の頭部方向あるいは尾部方向に傾けてもよい(以下、水中航行体5を基準とした方向は記載しない)。
送波器2が送波する音波は低周波であり、例えば3kHzである。送波器2が送波する音波が広がる角度は、航行方向前後にも広角度であり左右方向にも広角度であるのが好ましい。
図3に示されるように、水中航行体5から送波される低周波ビームにより音圧レベルがある一定値より高い音波は、物体3が位置する水平面(あるいは水底面でもよい)において所定の広さのエリアに到達できる。時間t1における送波到達エリアs1内の航行方向先端側に物体3が含まれている。その後の時間t2における送波到達エリアs2内のほぼ中央に物体3が含まれ、さらに、時間t3における送波到達エリアs3内の航行方向後尾側に物体3が含まれている。このように、時間経過に伴い水中航行体5が航行位置を進めていくと、ある時間t1〜t3の間は送波到達エリアs1〜s3内に物体3が含まれ、物体3から散乱波が生じるようになっている。時間t1より前及び時間t3より後の時間では、物体3が送波到達エリアs1〜s3外にあるため、物体3から散乱波が生じない。
実際には、同一の物体3から3回よりも多数回の散乱波を得るために、送波器2では、所定の短い時間刻みで断続的にパルス波を送波する。従って、送波到達エリアは図示よりも小刻みに多数形成される。
また、合成開口処理手段6は、公知のアルゴリズムに従って複数個の受波器4による受波信号を合成開口処理することにより、航行方向の幅が狭い範囲からの散乱波を検出するものである。
図2に示されるように、水中航行体5は複数個の受波器4が航行方向に所定間隔で並んでいる受波アレイ23を搭載または曳航している。ここで図4に基づいて合成開口処理を説明する。
あらかじめ設定される航路Lを速度Vで航行する水中航行体5(図4には示さず)は、水底からある高度の航路Lに沿って航行し、P0,P1,P2の各位置において、搭載している送波器2から一定時間間隔で送波パルス信号を送波する。その送波信号はある広い角度範囲で送波され、例えば、P0点においては、水底の範囲sに当たり散乱波となって、小開口L1の受信アレイ23の受波器4で受波される。この散乱波は、水中航行体5が速度Vで航行する間、次々に受波され水底の範囲sが航路Lと平行に移動する範囲を観測しながら、各時点での受波信号として、振幅と位相情報が記録装置に記録される。例えば、対象物の点目標Mは、水中航行体5の航路L上の点P0で送波パルスの音波の照射を受け始め、点P2で送波パルスの音波の照射を受け終わる。点目標Mからの散乱波はこの間受波され、その受波信号は距離情報と共に絶えず変化する相対速度に対応する位相情報を含んでおり、この受波情報を記録しておいて一括演算処理(合成開口処理)することにより、長い開口L2を有する受波アレイを用いた場合と実効的に同じ効果が得られる。このようにして、次々に各位置で受波した信号を記録しておいて合成することにより、実際に搭載している受波アレイ23の大きさの何倍もの大きさの大開口アレイを用いた場合と等価になり、いっそう強い指向性を得ることができる。
図5に示されるように、合成開口処理手段6は、合成開口処理において各受波器4からの受波信号を合成するときのパラメータを変更することにより、検出指向性の中心の向きを変えることができる。つまり、パラメータを順次変更して航行方向のベクトル成分が正の最大から負の最大まで順次異なる検出指向性r1〜r5を得ることができる。
送波器2からの送波到達エリアs内に図示のように物体3が含まれている場合、検出指向性r2が生じているとき散乱波が検出され、検出指向性r1,r3〜r5が生じているとき散乱波は検出されない。物体3が他の位置にあれば、他の検出指向性が生じているとき散乱波が検出される。検出指向性r1〜r5を順次切り換えることは、検出範囲を航行方向に順次走査させることに他ならない。なお、検出範囲の順次走査は、記憶している受信信号に対してパラメータを変更して合成開口処理を行うことで実現される。
次に、本発明の水底物体探査装置1の大まかな動作と作用効果を説明する。
図3で説明したように、本発明の水底物体探査装置1は、水中航行体5を航行させつつ送波器2から所定の短い時間刻みで繰り返しパルス波を送波する。図6(a)に示されるように、時間t1〜t3の経過に伴い送波到達エリアs1〜s3が得られる。どの送波到達エリアs1〜s3においても物体3が存在しているので、散乱が起きる。言い換えると、水中航行体5がかなり長い距離を航行する間、物体3からの散乱波を生じさせることができる。
このとき、物体3にも、その形状や材質に応じて特定の向きに音波を散乱させる性質、すなわち散乱指向性qがある。ここでは、図示のように散乱指向性qが強く(幅が狭い)、散乱指向性qの中心の向きが水中航行体5の左右方向よりやや傾いているものとする。このため、散乱指向性qの中に水中航行体5が入る時間帯は、時間t2と時間t3に挟まれた短い時間帯である。
一方、図5で説明したように、送波器2からの1回の送波に対して、送波到達エリアsからの散乱波を検出する検出指向性r1〜r5を順次切り換えて検出範囲を航行方向に順次走査させることができる。従って、図6(a)の時間t2と時間t3との間の時間帯において、何回かの送波を行うと、その送波回ごとに異なる検出範囲において物体3からの散乱波を検出することができる。重ね合わせ手段7は、このような水中航行体5の航行位置と走査順との組み合わせにより、時間が異なる同一物体3からの複数の散乱波を抽出する。
図6(b)に示されるように、時間を横軸に取り、通算の送波パルス番号を縦軸にとると、散乱波が抽出できたことを示す黒点が十分に多数個得られる。また、これにより、斜め前方や斜め後方からの広い範囲で物体からの散乱波を捉えることが可能となり、形状や性質に応じて特定の向きに音波を反射させる散乱指向性がある物体からの散乱波が捉えやすくなる。
パラメトリックソーナーを用いて鋭い指向性で送波する従来技術では、図6(c)に示されるように、時間t1〜t3に対応する送波到達エリアu1〜u3が得られるが、送波到達エリアu2とその直近の送波到達エリアしか物体3を含まない。このため、水中航行体5がごく短い距離を航行する間しか、物体3からの散乱波を生じさせることができない。そのため、散乱指向性qの中に水中航行体5が入る時間t2と時間t3との時間帯の中においても、物体3から散乱波を生じる機会が少なく、図6(d)に示されるように、時間を横軸に取り、通算の送波パルス番号を縦軸にとると、散乱波が抽出できたことを示す黒点がわずかな個数しか得られない。さらに、このことは斜め前方や斜め後方からの散乱波を捉えることを難しくしており、散乱指向性がある物体の場合に散乱波を捉えられない場合が生じてくる。
図6(a),(b)と図6(c),(d)を比較すると、水中航行体5の航行速度が同じ、送波パルスの時間刻みが同じならば、本発明のほうが散乱波を多く抽出できることがわかる。このように、本発明によれば、広角度で広がる低周波を送波するようにしたので、航行している間に同じ物体3から多くの散乱波を得ることができる。また、複数個の受波器による受波信号を合成開口処理することにより、幅が狭い範囲からの散乱波を検出するために水底の凹凸などによる不必要な散乱波の影響を低減できると共に、その検出範囲を順次走査させるようにしたので、航行位置と走査順との組み合わせにより、時間が異なる同一物体からの複数の散乱波を抽出することができ、これらの抽出結果を重ね合わせて物体3の存在を判定することで、物体3が特定な方向に出す散乱波を捕らえる機会を増やして、見逃しをなくすることができる。さらに、このことにより広角度の範囲をカバーできるため、斜め前方や斜め後方からの散乱波を捉えることが可能となり、散乱指向性がある物体の場合にも散乱波を捉えることができる範囲が広がる。これより、水中航行体の機数を少なくすることも可能となる。
次に、重ね合わせ手段7の具体的な動作を説明する。
図5で説明したように、検出指向性r1〜r5を順次切り換えて検出範囲を航行方向に順次走査させることができる。もちろん、実際には、狭い範囲からの散乱波を検出するために、検出指向性は図示よりも小刻みに多数形成される。
また、左右方向については、送波信号に短い送信パルス幅のパルス波を用いるため到達時間の違いにより散乱波の発生範囲を狭い範囲に限定できる(実際には、狭い範囲からの散乱波を検出するために、短い送信パルス幅を用いるため左右方向のメッシュ長さは図示よりも短く多数形成される)。従って、航行方向に対しての検出指向性の走査と左右方向に対しての到達時間の違いによる散乱波の発生範囲の限定を組み合わせれば、メッシュ状の検出範囲を形成でき、順次走査させることができる。そこで、図7(a)に示されるように、水中航行体5の周囲の水底に、合成開口処理によるメッシュ状の検出範囲を投影させて水底検出範囲71とすることができる。なお、図7(a)では、水底検出範囲71を説明用に水中航行体5の右側の限られた一部分のみ示してある。
この水底検出範囲71を図7(b)に取り出して示す。各々の水底検出範囲71に番号#1〜#16を付けて区別してある。これをプレフォームドメッシュ番号と呼ぶ。このように、重ね合わせ手段7は、水中航行体5の検出範囲を水底に投影させて水底検出範囲71とし、メッシュ状に形成される各々の水底検出範囲71に番号を付けて区別する。
図7(a)に示されるように、水中航行体5が時間t1の位置から時間t2,t3の位置へと航行すると、これに伴い水底検出範囲71も破線で示した水底検出範囲72、細破線示した水底検出範囲73のように移動する。これは、水底検出範囲71が水中航行体5を基準に定義されているからである。図示の都合上、水底検出範囲71,72,73はわずかずつ右にずらせて描いたが、実際は航行方向のみにずれる。
図8に示されるように、水底には固定の番地を想定しておく。水底の番地は、任意に決めてよいが、経緯度などを使って座標で表してもよい。ここでは、物体3が埋没している水底の番地をn番地とする。重ね合わせ手段7は、水中航行体5の時間t1,t2,…ごとの航行位置に応じて水底検出範囲71,72,…が同一の番地に重なるよう、航行位置と走査順(つまりプレフォームドメッシュ番号)とを組み合わせる。
図7(a)によれば、時間t2の航行位置における破線で示した複数の水底検出範囲72のうち、物体3からの散乱波が得られるのは、物体3の散乱指向性qが受波位置と一致するプレフォームドメッシュ番号#8,#12である。時間t3の航行位置における細破線で示した複数の水底検出範囲73のうち、物体3からの散乱波が得られるのは、プレフォームドメッシュ番号#4である。時間t1の航行位置における実線で示した水底検出範囲71のうちプレフォームドメッシュ番号#16は、物体3の散乱指向性qが受波位置とは異なる方向を向いているので散乱波は得られない。
この組み合わせを図6(c)と同様のグラフにプロットすると、図9に示されるように、時間t2の#8,#12、時間t3の#4において物体3からの散乱波が得られたことがわかる。実際には、同一の物体3から多数回の散乱波を得るために、送波器2では所定の短い時間刻みで断続的に音波を送波する。従って、散乱波は時間t2の#8,#12、時間t3の#4よりも多数点受波される。これらの抽出結果を重ね合わせて物体3の存在を判定することで、水底のn番地に物体3が埋没していることを高い確度で判断することができる。
なお、上記の実施形態では、水中航行体5が直線的に航行するものとしたが、曲線的に航行してもよいし、一定の領域を周回してもよい。
以上説明したように、本発明の水底物体探査装置1によれば、広角度で広がる低周波を送波するようにしたので、市販の低コストな送波器2を使用することができ、水底物体探査装置1が低コスト化できる。また、このような送波器2のサイズは30cm角程度で重量も軽いため、水中航行体5は小型となり、エネルギ源であるバッテリも小型化できる。
本発明の一実施形態を示す水底物体探査装置が稼働する水域の(a)平面図、(b)側面図である。 (a)は本発明の水底物体探査装置に用いる水中航行体の側面視構成及び送波特性図、(b)は従来用いているパラメトリックソーナーの送波特性図である。 本発明の水底物体探査装置における送波到達エリアの側面視概念図である。 本発明の水底物体探査装置における合成開口処理の概念図である。 本発明の水底物体探査装置における検出範囲の順次走査の側面視概念図である。 (a)は本発明の水底物体探査装置における送波到達エリアの移動を示す平面視概念図、(c)はそのときの散乱波抽出グラフ、(b)は従来の水底物体探査装置における送波到達エリアの移動を示す平面視概念図、(d)はそのときの散乱波抽出グラフである。 (a)は本発明の水底物体探査装置における合成開口処理による水底検出範囲とその移動を示す平面視概念図、(b)は各水底検出範囲に定義したプレフォームドメッシュ番号の図である。 本発明の水底物体探査装置における水底の番地の図である。 本発明の水底物体探査装置における水底の番地nに関する散乱波抽出グラフである。 散乱波のレベル分布を示す図である。 水中航行体を基準とした部位と方向を定義する図である。
符号の説明
1 水底物体探査装置
2 送波器
3 物体
4 受波器
5 水中航行体
6 合成開口処理手段
7 重ね合わせ手段

Claims (6)

  1. 水中に音波を送波する送波器と、物体からの散乱波を受波する受波器とを水中航行体に搭載し、その水中航行体を航行させつつ水底又は水底下にある物体を探査する水底物体探査方法において、上記送波器から広角度で広がる低周波を送波し、上記受波器を上記水中航行体の長手方向に複数個並べて配置し、これら複数個の受波器による受波信号を合成開口処理することにより、上記水中航行体の長手方向に幅が狭い範囲からの散乱波を検出すると共に、上記合成開口処理による検出範囲を上記水中航行体の長手方向に順次走査させ、上記水中航行体の位置と走査順との組み合わせにより、時間が異なる同一物体からの複数の散乱波を抽出し、これらの抽出結果を重ね合わせて上記物体の存在を判定することを特徴とする水底物体探査方法。
  2. 上記複数個の受波器による受波信号を上記水中航行体の位置ごとに合成開口処理することを特徴とする請求項1記載の水底物体探査方法。
  3. 上記水中航行体の検出範囲を水底に投影させて水底検出範囲とし、水底には固定の番地を想定し、異なる時間における上記水底検出範囲が水底の同一の番地に重なるよう、上記位置と上記走査順とを組み合わせることを特徴とする請求項1又は2記載の水底物体探査方法。
  4. 水中に音波を送波する送波器と、物体からの散乱波を受波する受波器と、これら送波器及び受波器を搭載する水中航行体とを備え、その水中航行体を航行させつつ水底又は水底下にある物体を探査する水底物体探査装置において、上記送波器は送波器から広角度で広がる指向性を持った低周波を送波する送波器とし、上記受波器は上記水中航行体の長手方向に複数個並べて配置し、これら複数個の受波器による受波信号を合成開口処理することにより、上記水中航行体の長手方向に幅が狭い範囲からの散乱波を検出すると共に、上記合成開口処理による検出範囲を上記水中航行体の長手方向に順次走査させる合成開口処理手段と、上記水中航行体の位置と走査順との組み合わせにより、時間が異なる同一物体からの複数の散乱波を抽出し、これらの抽出結果を重ね合わせて上記物体の存在を判定する重ね合わせ手段とを設けたことを特徴とする水底物体探査装置。
  5. 上記合成開口処理手段は、上記複数個の受波器による受波信号を上記水中航行体の位置ごとに合成開口処理することを特徴とする請求項4記載の水底物体探査装置。
  6. 上記重ね合わせ手段は、上記水中航行体の検出範囲を水底に投影させて水底検出範囲とし、水底には固定の番地を想定し、異なる時間における上記水底検出範囲が水底の同一の番地に重なるよう、上記位置と上記走査順とを組み合わせることを特徴とする請求項4又は5記載の水底物体探査装置。
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