JP2004068574A - 板状建材およびその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】この出願発明は、孔を板状建材に設けることにより完全に固着でき、落下を防止することができる板状建材及びその施工方法を提供することを目的とする。
【解決手段】この出願発明は、建築体に接着剤により取り付けられる板状建材において、板状建材に線材を取り付けるための孔が設けられていることを特徴とする板状建材及びその施工方法に関する。
【選択図】 図1
【解決手段】この出願発明は、建築体に接着剤により取り付けられる板状建材において、板状建材に線材を取り付けるための孔が設けられていることを特徴とする板状建材及びその施工方法に関する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願発明は、建築体に取り付けるタイル等の板状建材及びその取付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】板状建材を建築体に取り付ける場合には、たとえば、板状建材および建築体の双方に凹凸面を設け、或いは、板状建材、たとえば、タイルを取り付けるための突起を建築体の表面に形成し、タイルの裏面にはこの突起が入り込む凹部を設け、突起と凹部との係合とタイル下端側の裏面と建築体との間を接着剤によってタイルを固着している。
しかし、接着剤は時間の経過と共に劣化するため、接着剤のみによる固着は必ずしも永久には完全な固着ができず剥離して落下するという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この出願発明は、このような問題を解決するものであり、孔を板状建材に設けることにより完全に固着でき、落下を防止することができることを見い出しこの出願発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】この出願発明は、建築体に接着剤により取り付けられる板状建材、とくに、裏面に凹凸を形成した板状建材において、板状建材に線材を取り付けるための孔が設けられている板状建材に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】この出願発明は、板状建材に孔が複数個設けられていることがとくに好ましい。また、孔が端部を斜めに貫通して設けられているときは1個でもよい。
孔は2〜3個設けられていることが好ましく、2個設けられていることがとくに好ましい。孔が板状建材の端部に貫通して設けられているときは1個でよい。孔は板状建材の中央部に設けられることが好ましいが、端部に斜めに貫通して設けられていることが好ましい。また、板状建材の端部に貫通して設けられていることが好ましい。なお、板状建材の裏面に凹凸があるときはその凸部に設けてもよい。
板状建材は、板状の建材を意味するものであり、たとえば、タイルなどがとくに好ましい。
板状建材の裏面には、凹凸が設けられていることがとくに好ましい。
板状建材の表面には、複数の孔を通る線の位置に溝を設けることができる。
溝の深さは、線が埋まる程度あるいはさらに接着剤で平らに覆える程度が好ましい。
【0006】
この出願発明の孔は小さな孔が好ましいが、小さな孔の直径は、4mm以下を意味し、2mm以下が好ましく、0.05〜1mmであることがより好ましく、0.2〜1mmであることがとくに好ましい。
孔は板状建材を製造するときに予め設けてもよいし、板状建材を製造した後に穿孔してもよい。
板状建材を製造後に穿孔する場合には、所望の板状建材の必要な場所に所望の大きさの孔を必要な数あけることができる。
穿孔する機械としては、小さな孔を開孔できるものが好ましいが、例えば、直径の小さな刃を持つ電動ドリルが好ましい。
【0007】
この出願発明の板状建材を建築体に接着するときは、板状建材に線材を取り付ける。
線材は、通常の線材が使用されるが、ステンレス、アルミニウムが好ましい。線材の太さは、3mm以下を意味し、0.01〜1mmが好ましいが、0.1〜0.5mmがとくに好ましい。
【0008】
この出願発明の板状建材は、 線材に固定材が取り付けられていることが好ましい。
また、線材は、固定材が取り付けられている網状物または線状物と接合していることが好ましい。
固定材が取り付けられている網状物または線状物に線材を接合するときは、複数の板状建材の線材を網状物または線状物に接合して網状物または線状物に固定材を設けることができる。
複数の板状建材は、それぞれを網状体または線状物に接合してもよいが、予め板状建材を複数個連結しておき、そのひとつを網状体または線状体に接合してもよい。
網状物は、とくに限定されないが、ラス金網が好ましい。
線状物は一本の線からなってもよいが、固定材により固定された一本の線と、板状建材の線材に取り付けるためのたるみを持った線の二本の線からなることが好ましい。たるみのある線がある場合には、板状建材の線材の取付が容易になる。また、線状物は、建築体に横に固定してもよいし、縦に固定してもよい。
固定材としては、従来使用されているものが使用できるが、例えば、先端が広がるカールプラグのようなもの、あるいはグリップアンカーなどを建築体に打ち込んでおき、ビスで止めることが完全に固定できるのでとくに好ましい。
【0009】
【作用】この出願発明の板状建材は、板状建材に孔があり、その孔を線材を取り付けることにより、接着剤による接着力だけではなく、線材によって板状建材を保持するので、接着剤が時間の経過と共に劣化することにより接着力が低下しても、板状建材を建築体に固着することができ、剥離して落下するという危険を防ぐことができる。
また、固定材が網状物または線状物に取り付けられているときは、板状建材ごとに固定材を打ち込む必要がないので、施工が簡単である。
網状物または線状物を固定する固定材の数はとくに限定されないが、20cm〜60cmピッチで固定することがとくに好ましい。
網状物または線状物は、広い部分で施工することが好ましいが、一辺が30cm以上の広さであることがとくに好ましい。
網状物または線状物に板状建材を接合するときは、複数個の板状建材を一度に取り付けることができるが、2〜4枚、とくに、3枚が施工しやすいので好ましい。
【0010】
板状建材の接着剤は、通常使用されるものが使用され、たとえば、モルタル、シリコン系接着剤、変性シリコン系接着剤、ブチルゴム系接着剤、エポキシ系接着剤等のような有機質接着剤が使用される。
【0011】
また、建築体は、従来使用されているものが使用され、接着剤を塗布する部分に凹凸を設けることによって、接着剤によって強固に板状建材を固着することができる。このようにすることにより剥離を防止することができ、また、接着力を増強することができる。
建築体としては、建物の躯体、下地用ボード、テラス、塀その他がある。
【0012】
また、固定材の端部は接着剤によって封止するように取付けることによって、固定材が建築体を貫通する部分への雨水等の浸潤をさらに防ぐことができ、固定材の腐食を防止することができ建築体側への影響をより一層なくすことができる。
【0013】
この出願発明の板状建材に設けられた孔が小さいときは、外観もよく、また、雨水の侵入による固定具の腐食を防止することができ、建築体の取付け強度を大きくするばかりでなく、建築体側への湿気の影響や建築体側への水の浸潤が防止される。
【0014】
【実施例】
以下、実施例によって、この出願発明を具体的に説明する。
図1はこの出願発明の板状建材の平面図であり、図2は線材を取り付けた板状建材の断面図であり、図3は線材を取り付けた他の板状建材の断面図であり、図4は線材に固定材を取り付けた板状建材であり、図5は固定材を取り付けた網状物に線材を接合した板状建材であり、図6は横に固定した二本の線からなる線状物に線材を接合した板状建材であり、図7は縦に固定した二本の線からなる線状物に線材を接合した板状建材の側面図であり、図8は建築体にこの出願発明の板状建材を取り付けた状態を示す断面図であり、図9は建築体にこの出願発明の板状建材を取り付けた状態を示す他の断面図であり、1は板状建材、2は孔、3は線材、4はビス、5は固定材、6は接着剤、7は建築体、8は網状物、9は線状物をそれぞれ示す。
【0015】
実施例1
裏面に凹凸を有する長辺が12cm、短辺が4.5cm、厚みが1cmの板状建材であるタイル1に、電動ドリルにより上端から2.2cm左端から5.5cmの位置及びさらにそこから右に1cm離れた位置に直径0.3mmの孔2をあける。
このようにして製造した2個の孔を有する板状建材であるタイルの孔2に、直径が0.2mm、長さが20cmのステンレスの線材3を通し、その先端をビス4に取り付ける。
予め孔をあけた建築体の孔に、固定材であるカールプラグ5を打ち込み、このカールプラグ5にステンレスの線材3を取り付けたビス4をねじ込み、ステンレスの線材3を有する板状建材であるタイル1を接着剤のタイル圧着用セメント(太平洋マテリアル社製)6で建築体7に接着する。
このようにして接着した板状建材であるタイルは、板状建材であるタイルが線材で建物の躯体に固定されているので、接着剤が劣化しても剥離することはない。
【0016】
実施例2
裏面に凹凸を有する一辺が10cm、厚みが1cmの板状建材であるタイル1に、電動ドリルにより上端から5cm左端から4.5cmの位置及びさらにそこから右に1cm離れた位置に直径0.4mmの孔2をあけ、両方の孔を通る線の位置に深さが1mmの溝を設ける。
このようにして製造した2個の孔を有する板状建材であるタイルの孔2に、直径が0.3mm、長さが20cmのステンレスの線材3を溝の上から通し、溝の線の上を板状建材であるタイルと同じ色の塗料を塗布する。
固定材であるカールプラグ5を予め孔をあけた建築体7に打ち込む。このカールプラグ5にステンレスの線材3を取り付けたビス4をねじ込む。
ついで、板状建材であるタイル1を接着剤であるタイル圧着用セメント(太平洋マテリアル社製)6で建築体7に接着する。
このようにして接着した板状建材であるタイルは、板状建材であるタイルが線材および固定材で建築体に固定されているので、接着剤が劣化しても剥離することはない。
また、板状建材であるタイルの表面の線材は塗料が塗布されているので、さらに目立たない。
【0017】
実施例3
裏面に凹凸を有する長辺が12cm、短辺が6cm、厚みが1cmの板状建材であるタイル1の短辺の側面に、電動ドリルにより上端から0.5cmの位置及び裏面で端部から1cm離れた位置に直径0.3mmの貫通の孔2をあける。
このようにして製造した貫通孔を有する板状建材であるタイルの孔2に、直径が0.2mm、長さが20cmのステンレスの線材3を通し、その先端をステンレスの網状物8に接合する。同様にして3個の板状建材であるタイルを網状物に接合する。
なお、網状物は予め孔をあけた建築体の孔に、固定材であるカールプラグ5を打ち込み、このカールプラグ5にステンレスの網状物8を取り付けたビス4をねじ込むことにより建築体に固定する。
網状物にステンレスの線材3を有する板状建材であるタイル1を接合した後、接着剤のタイル圧着用セメント(太平洋マテリアル社製)6で建築体7に接着する。
このようにして接着した板状建材であるタイルは、線材で建物の躯体に固定されているので、接着剤が劣化しても剥離することはない。
【0018】
実施例4
既存の板状建材であるタイルが広い部分で剥離している場合には、つぎのようにして板状建材であるタイルを取り付ける。
剥離した板状建材であるタイルおよびその周辺のタイルを取り除く。周辺の板状建材であるタイルは、タイル目地にダイヤモンドカッターで切り込みを入れて丁寧に取り除き、また、モルタル層が剥離することによりタイルが剥離するものは、モルタルも取り除く。
この作業のときに、養生シートでカバーすることにより取り除いたタイル及びモルタル等が落ちないようにする。
板状建材であるタイルを取り除いた後、モルタルを取り除き、面の不陸をカップサンダーで平滑に削り、下地モルタルの定着のためダイヤモンドカッター等でスクラッチを入れる。
ついで、固定材であるM6のグリップアンカー5を使用し、コンクリート下地に約500mmピッチでちどりに打ち込む。固定材の打ち込み後に下地モルタルが入らないようパッカーを詰めておく。
下地モルタルはエマルジョン(4倍液)+セメント+砂または硅砂を練り混ぜ使用する。
なお、下地モルタルを塗布する前に、コンクリート下地に水或いはエマルジョンを塗り湿しを行う。
接着剤である下地モルタル6の塗布は平滑に仕上げる。
接着剤であるタイル貼り付けモルタル6は、太平洋マテリアル製のタイル貼り付けモルタルを使用する。
下地モルタルが硬化した後、網状物である金網8をあらかじめ打ち込んだアンカーにボルトで締め付け固定する。
板状建材であるタイル1の落下防止のため、タイルの側面より内面に向かって直径が1〜2mmの貫通孔をあけ直径が0.3mmステンレスの線材3を結束する。
ステンレスの線材3の付いた3個の板状建材であるタイルがステンレスの線材3で接続されているタイルを、接着剤である貼り付けモルタル6を下地及びタイル1の裏面に押し塗りしビブラートしながらタイル1を貼り付ける。
面積が大きい場合は下から横1列ずつ貼り付ける。
2列目からは板状建材であるタイル1の横白地間に発泡目地材を入れ貼り付ける。
板状建材であるタイル1を貼り付けた後、あらかじめタイル1に結束してあるステンレスの線材3を下地の網状物である金網8に結束する。板状建材であるタイルの位置より上に結束することが好ましい。
板状建材であるタイル1を貼り付け、接着剤であるモルタル6が硬化後、発泡目地材を取り除き目地仕上げを行う。目地仕上げ材は目地用モルタルを塗り込み仕上げる。目地用モルタルは周囲の色と同等のものを選んでおくことが好ましい。
このようにすることにより、板状建材であるタイルが剥離した箇所を網状物である金網8を利用して補修する。この板状建材であるタイルは、ステンレスの線材3で金網に結束されているので、剥離して脱落することはない。
網状物の代わりに線状物を縦または横に建築体に固定材で固定することにより同様にして板状建材であるタイルを建築体に取り付ける。
【0019】
【発明の効果】この出願発明により、建築して時間が経過することにより接着剤が劣化しても、ビルなどの壁面に取り付けられた板状建材が剥離して落下するという危険を解決することができる。
したがって、板状建材の剥離による落下事故を防ぐことができるので安全であり、しかも、建築後の補修の費用を削減することができる。
建築体に凹凸を設けることにより板状建材の剥離をさらに防止することができ、線材に固定材を取り付けることによりさらに板状建材の剥離を防止することができる。
固定材として、例えば、カールプラグのような先端が広がるものがついている場合はより強固に板状建材を固定できる。
しかも、板状建材の孔が小さいときは、外観上もとくに目立つことはなく、装飾上も優れている。また、孔が大きいときは、その上から塗料を塗布することにより、外観をよくし、しかも、雨の侵入を防ぐことができる。
また、固定材が網状物または線状物に取り付けられているときは、板状建材ごとに固定材を打ち込む必要がなく、施工が簡単であるので、広い部分を施工するときには好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願発明の板状建材の平面図。
【図2】線材を取り付けた板状建材の断面図。
【図3】線材を取り付けた他の板状建材の断面図。
【図4】線材に固定材を取り付けた板状建材。
【図5】固定材を取り付けた網状物に線材を接合した板状建材。
【図6】横に固定した二本の線からなる線状物に線材を接合した板状建材。
【図7】縦に固定した二本の線からなる線状物に線材を接合した板状建材の側面図。
【図8】建築体にこの出願発明の板状建材を取り付けた状態を示す断面図。
【図9】建築体にこの出願発明の板状建材を取り付けた状態を示す他の断面図。
【符号の簡単な説明】
1 板状建材
2 孔
3 線材
4 ビス
5 固定材
6 接着剤
7 建築体
8 網状物
9 線状物
【発明の属する技術分野】この出願発明は、建築体に取り付けるタイル等の板状建材及びその取付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】板状建材を建築体に取り付ける場合には、たとえば、板状建材および建築体の双方に凹凸面を設け、或いは、板状建材、たとえば、タイルを取り付けるための突起を建築体の表面に形成し、タイルの裏面にはこの突起が入り込む凹部を設け、突起と凹部との係合とタイル下端側の裏面と建築体との間を接着剤によってタイルを固着している。
しかし、接着剤は時間の経過と共に劣化するため、接着剤のみによる固着は必ずしも永久には完全な固着ができず剥離して落下するという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この出願発明は、このような問題を解決するものであり、孔を板状建材に設けることにより完全に固着でき、落下を防止することができることを見い出しこの出願発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】この出願発明は、建築体に接着剤により取り付けられる板状建材、とくに、裏面に凹凸を形成した板状建材において、板状建材に線材を取り付けるための孔が設けられている板状建材に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】この出願発明は、板状建材に孔が複数個設けられていることがとくに好ましい。また、孔が端部を斜めに貫通して設けられているときは1個でもよい。
孔は2〜3個設けられていることが好ましく、2個設けられていることがとくに好ましい。孔が板状建材の端部に貫通して設けられているときは1個でよい。孔は板状建材の中央部に設けられることが好ましいが、端部に斜めに貫通して設けられていることが好ましい。また、板状建材の端部に貫通して設けられていることが好ましい。なお、板状建材の裏面に凹凸があるときはその凸部に設けてもよい。
板状建材は、板状の建材を意味するものであり、たとえば、タイルなどがとくに好ましい。
板状建材の裏面には、凹凸が設けられていることがとくに好ましい。
板状建材の表面には、複数の孔を通る線の位置に溝を設けることができる。
溝の深さは、線が埋まる程度あるいはさらに接着剤で平らに覆える程度が好ましい。
【0006】
この出願発明の孔は小さな孔が好ましいが、小さな孔の直径は、4mm以下を意味し、2mm以下が好ましく、0.05〜1mmであることがより好ましく、0.2〜1mmであることがとくに好ましい。
孔は板状建材を製造するときに予め設けてもよいし、板状建材を製造した後に穿孔してもよい。
板状建材を製造後に穿孔する場合には、所望の板状建材の必要な場所に所望の大きさの孔を必要な数あけることができる。
穿孔する機械としては、小さな孔を開孔できるものが好ましいが、例えば、直径の小さな刃を持つ電動ドリルが好ましい。
【0007】
この出願発明の板状建材を建築体に接着するときは、板状建材に線材を取り付ける。
線材は、通常の線材が使用されるが、ステンレス、アルミニウムが好ましい。線材の太さは、3mm以下を意味し、0.01〜1mmが好ましいが、0.1〜0.5mmがとくに好ましい。
【0008】
この出願発明の板状建材は、 線材に固定材が取り付けられていることが好ましい。
また、線材は、固定材が取り付けられている網状物または線状物と接合していることが好ましい。
固定材が取り付けられている網状物または線状物に線材を接合するときは、複数の板状建材の線材を網状物または線状物に接合して網状物または線状物に固定材を設けることができる。
複数の板状建材は、それぞれを網状体または線状物に接合してもよいが、予め板状建材を複数個連結しておき、そのひとつを網状体または線状体に接合してもよい。
網状物は、とくに限定されないが、ラス金網が好ましい。
線状物は一本の線からなってもよいが、固定材により固定された一本の線と、板状建材の線材に取り付けるためのたるみを持った線の二本の線からなることが好ましい。たるみのある線がある場合には、板状建材の線材の取付が容易になる。また、線状物は、建築体に横に固定してもよいし、縦に固定してもよい。
固定材としては、従来使用されているものが使用できるが、例えば、先端が広がるカールプラグのようなもの、あるいはグリップアンカーなどを建築体に打ち込んでおき、ビスで止めることが完全に固定できるのでとくに好ましい。
【0009】
【作用】この出願発明の板状建材は、板状建材に孔があり、その孔を線材を取り付けることにより、接着剤による接着力だけではなく、線材によって板状建材を保持するので、接着剤が時間の経過と共に劣化することにより接着力が低下しても、板状建材を建築体に固着することができ、剥離して落下するという危険を防ぐことができる。
また、固定材が網状物または線状物に取り付けられているときは、板状建材ごとに固定材を打ち込む必要がないので、施工が簡単である。
網状物または線状物を固定する固定材の数はとくに限定されないが、20cm〜60cmピッチで固定することがとくに好ましい。
網状物または線状物は、広い部分で施工することが好ましいが、一辺が30cm以上の広さであることがとくに好ましい。
網状物または線状物に板状建材を接合するときは、複数個の板状建材を一度に取り付けることができるが、2〜4枚、とくに、3枚が施工しやすいので好ましい。
【0010】
板状建材の接着剤は、通常使用されるものが使用され、たとえば、モルタル、シリコン系接着剤、変性シリコン系接着剤、ブチルゴム系接着剤、エポキシ系接着剤等のような有機質接着剤が使用される。
【0011】
また、建築体は、従来使用されているものが使用され、接着剤を塗布する部分に凹凸を設けることによって、接着剤によって強固に板状建材を固着することができる。このようにすることにより剥離を防止することができ、また、接着力を増強することができる。
建築体としては、建物の躯体、下地用ボード、テラス、塀その他がある。
【0012】
また、固定材の端部は接着剤によって封止するように取付けることによって、固定材が建築体を貫通する部分への雨水等の浸潤をさらに防ぐことができ、固定材の腐食を防止することができ建築体側への影響をより一層なくすことができる。
【0013】
この出願発明の板状建材に設けられた孔が小さいときは、外観もよく、また、雨水の侵入による固定具の腐食を防止することができ、建築体の取付け強度を大きくするばかりでなく、建築体側への湿気の影響や建築体側への水の浸潤が防止される。
【0014】
【実施例】
以下、実施例によって、この出願発明を具体的に説明する。
図1はこの出願発明の板状建材の平面図であり、図2は線材を取り付けた板状建材の断面図であり、図3は線材を取り付けた他の板状建材の断面図であり、図4は線材に固定材を取り付けた板状建材であり、図5は固定材を取り付けた網状物に線材を接合した板状建材であり、図6は横に固定した二本の線からなる線状物に線材を接合した板状建材であり、図7は縦に固定した二本の線からなる線状物に線材を接合した板状建材の側面図であり、図8は建築体にこの出願発明の板状建材を取り付けた状態を示す断面図であり、図9は建築体にこの出願発明の板状建材を取り付けた状態を示す他の断面図であり、1は板状建材、2は孔、3は線材、4はビス、5は固定材、6は接着剤、7は建築体、8は網状物、9は線状物をそれぞれ示す。
【0015】
実施例1
裏面に凹凸を有する長辺が12cm、短辺が4.5cm、厚みが1cmの板状建材であるタイル1に、電動ドリルにより上端から2.2cm左端から5.5cmの位置及びさらにそこから右に1cm離れた位置に直径0.3mmの孔2をあける。
このようにして製造した2個の孔を有する板状建材であるタイルの孔2に、直径が0.2mm、長さが20cmのステンレスの線材3を通し、その先端をビス4に取り付ける。
予め孔をあけた建築体の孔に、固定材であるカールプラグ5を打ち込み、このカールプラグ5にステンレスの線材3を取り付けたビス4をねじ込み、ステンレスの線材3を有する板状建材であるタイル1を接着剤のタイル圧着用セメント(太平洋マテリアル社製)6で建築体7に接着する。
このようにして接着した板状建材であるタイルは、板状建材であるタイルが線材で建物の躯体に固定されているので、接着剤が劣化しても剥離することはない。
【0016】
実施例2
裏面に凹凸を有する一辺が10cm、厚みが1cmの板状建材であるタイル1に、電動ドリルにより上端から5cm左端から4.5cmの位置及びさらにそこから右に1cm離れた位置に直径0.4mmの孔2をあけ、両方の孔を通る線の位置に深さが1mmの溝を設ける。
このようにして製造した2個の孔を有する板状建材であるタイルの孔2に、直径が0.3mm、長さが20cmのステンレスの線材3を溝の上から通し、溝の線の上を板状建材であるタイルと同じ色の塗料を塗布する。
固定材であるカールプラグ5を予め孔をあけた建築体7に打ち込む。このカールプラグ5にステンレスの線材3を取り付けたビス4をねじ込む。
ついで、板状建材であるタイル1を接着剤であるタイル圧着用セメント(太平洋マテリアル社製)6で建築体7に接着する。
このようにして接着した板状建材であるタイルは、板状建材であるタイルが線材および固定材で建築体に固定されているので、接着剤が劣化しても剥離することはない。
また、板状建材であるタイルの表面の線材は塗料が塗布されているので、さらに目立たない。
【0017】
実施例3
裏面に凹凸を有する長辺が12cm、短辺が6cm、厚みが1cmの板状建材であるタイル1の短辺の側面に、電動ドリルにより上端から0.5cmの位置及び裏面で端部から1cm離れた位置に直径0.3mmの貫通の孔2をあける。
このようにして製造した貫通孔を有する板状建材であるタイルの孔2に、直径が0.2mm、長さが20cmのステンレスの線材3を通し、その先端をステンレスの網状物8に接合する。同様にして3個の板状建材であるタイルを網状物に接合する。
なお、網状物は予め孔をあけた建築体の孔に、固定材であるカールプラグ5を打ち込み、このカールプラグ5にステンレスの網状物8を取り付けたビス4をねじ込むことにより建築体に固定する。
網状物にステンレスの線材3を有する板状建材であるタイル1を接合した後、接着剤のタイル圧着用セメント(太平洋マテリアル社製)6で建築体7に接着する。
このようにして接着した板状建材であるタイルは、線材で建物の躯体に固定されているので、接着剤が劣化しても剥離することはない。
【0018】
実施例4
既存の板状建材であるタイルが広い部分で剥離している場合には、つぎのようにして板状建材であるタイルを取り付ける。
剥離した板状建材であるタイルおよびその周辺のタイルを取り除く。周辺の板状建材であるタイルは、タイル目地にダイヤモンドカッターで切り込みを入れて丁寧に取り除き、また、モルタル層が剥離することによりタイルが剥離するものは、モルタルも取り除く。
この作業のときに、養生シートでカバーすることにより取り除いたタイル及びモルタル等が落ちないようにする。
板状建材であるタイルを取り除いた後、モルタルを取り除き、面の不陸をカップサンダーで平滑に削り、下地モルタルの定着のためダイヤモンドカッター等でスクラッチを入れる。
ついで、固定材であるM6のグリップアンカー5を使用し、コンクリート下地に約500mmピッチでちどりに打ち込む。固定材の打ち込み後に下地モルタルが入らないようパッカーを詰めておく。
下地モルタルはエマルジョン(4倍液)+セメント+砂または硅砂を練り混ぜ使用する。
なお、下地モルタルを塗布する前に、コンクリート下地に水或いはエマルジョンを塗り湿しを行う。
接着剤である下地モルタル6の塗布は平滑に仕上げる。
接着剤であるタイル貼り付けモルタル6は、太平洋マテリアル製のタイル貼り付けモルタルを使用する。
下地モルタルが硬化した後、網状物である金網8をあらかじめ打ち込んだアンカーにボルトで締め付け固定する。
板状建材であるタイル1の落下防止のため、タイルの側面より内面に向かって直径が1〜2mmの貫通孔をあけ直径が0.3mmステンレスの線材3を結束する。
ステンレスの線材3の付いた3個の板状建材であるタイルがステンレスの線材3で接続されているタイルを、接着剤である貼り付けモルタル6を下地及びタイル1の裏面に押し塗りしビブラートしながらタイル1を貼り付ける。
面積が大きい場合は下から横1列ずつ貼り付ける。
2列目からは板状建材であるタイル1の横白地間に発泡目地材を入れ貼り付ける。
板状建材であるタイル1を貼り付けた後、あらかじめタイル1に結束してあるステンレスの線材3を下地の網状物である金網8に結束する。板状建材であるタイルの位置より上に結束することが好ましい。
板状建材であるタイル1を貼り付け、接着剤であるモルタル6が硬化後、発泡目地材を取り除き目地仕上げを行う。目地仕上げ材は目地用モルタルを塗り込み仕上げる。目地用モルタルは周囲の色と同等のものを選んでおくことが好ましい。
このようにすることにより、板状建材であるタイルが剥離した箇所を網状物である金網8を利用して補修する。この板状建材であるタイルは、ステンレスの線材3で金網に結束されているので、剥離して脱落することはない。
網状物の代わりに線状物を縦または横に建築体に固定材で固定することにより同様にして板状建材であるタイルを建築体に取り付ける。
【0019】
【発明の効果】この出願発明により、建築して時間が経過することにより接着剤が劣化しても、ビルなどの壁面に取り付けられた板状建材が剥離して落下するという危険を解決することができる。
したがって、板状建材の剥離による落下事故を防ぐことができるので安全であり、しかも、建築後の補修の費用を削減することができる。
建築体に凹凸を設けることにより板状建材の剥離をさらに防止することができ、線材に固定材を取り付けることによりさらに板状建材の剥離を防止することができる。
固定材として、例えば、カールプラグのような先端が広がるものがついている場合はより強固に板状建材を固定できる。
しかも、板状建材の孔が小さいときは、外観上もとくに目立つことはなく、装飾上も優れている。また、孔が大きいときは、その上から塗料を塗布することにより、外観をよくし、しかも、雨の侵入を防ぐことができる。
また、固定材が網状物または線状物に取り付けられているときは、板状建材ごとに固定材を打ち込む必要がなく、施工が簡単であるので、広い部分を施工するときには好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願発明の板状建材の平面図。
【図2】線材を取り付けた板状建材の断面図。
【図3】線材を取り付けた他の板状建材の断面図。
【図4】線材に固定材を取り付けた板状建材。
【図5】固定材を取り付けた網状物に線材を接合した板状建材。
【図6】横に固定した二本の線からなる線状物に線材を接合した板状建材。
【図7】縦に固定した二本の線からなる線状物に線材を接合した板状建材の側面図。
【図8】建築体にこの出願発明の板状建材を取り付けた状態を示す断面図。
【図9】建築体にこの出願発明の板状建材を取り付けた状態を示す他の断面図。
【符号の簡単な説明】
1 板状建材
2 孔
3 線材
4 ビス
5 固定材
6 接着剤
7 建築体
8 網状物
9 線状物
Claims (9)
- 建築体に接着剤により取り付けられる板状建材において、板状建材に線材を取り付けるための孔が設けられていることを特徴とする板状建材。
- 裏面に凹凸を形成した板状建材であることを特徴とする請求項1に記載の板状建材。
- 孔が複数個設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の板状建材。
- 孔の直径が0.1〜1mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の板状建材。
- 板状建材に線材が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の板状建材。
- 線材に固定材が取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の板状建材。
- 線材が、固定材が取り付けられている網状物または線状物と接合していることを特徴とする請求項5に記載の板状建材。
- 請求項5〜7のいずれかに板状建材が取り付けられていることを特徴とする建築体。
- 板状建材に孔をあけ、孔に線材を通し、線材を固定材に取り付けて固定材を建築体に固定し、あるいは固定材により建築体に固定されている網状物または線状物に接続し、さらに、接着剤により板状建材を固着することを特徴とする取付方法。
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JP2013032667A (ja) * | 2011-08-03 | 2013-02-14 | Nippon Togyo:Kk | 剥落防止タイルおよびそれを用いた剥落防止構造 |
JP2018084073A (ja) * | 2016-11-22 | 2018-05-31 | Toto株式会社 | 無機質板の固定構造、無機質板の固定方法、およびそのための固定具 |
JP2021095687A (ja) * | 2019-12-13 | 2021-06-24 | 株式会社竹中工務店 | 仕上材張付け構造 |
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2002
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