JP2004068091A - 成膜処理装置および成膜処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の技術では、ロードロック室や基材搬送室など成膜処理以外の周辺機能を含めて装置全体が構成されており、装置全体の大型化、設備コストの増大、メンテナンスや機種切替えや新規機種立上げ時間が非常にかかる、生産量に対する柔軟性に劣るなどの課題がある。
【解決手段】複数個の被成膜基材2の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室1を備え、該成膜処理室1内の構成部材が、被成膜処理基材2に対して実質的に同様な構成および配置されてあり、さらに、該成膜処理室1から排気を行うための排気手段11までの排気経路上に少なくとも1室以上の予備真空室10を備える事を特徴とする成膜処理装置を用いる事により、搬入出、真空引き、成膜処理の全工程を一台で完結できる小型の装置を実現する事ができ、前期課題を解決することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】複数個の被成膜基材2の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室1を備え、該成膜処理室1内の構成部材が、被成膜処理基材2に対して実質的に同様な構成および配置されてあり、さらに、該成膜処理室1から排気を行うための排気手段11までの排気経路上に少なくとも1室以上の予備真空室10を備える事を特徴とする成膜処理装置を用いる事により、搬入出、真空引き、成膜処理の全工程を一台で完結できる小型の装置を実現する事ができ、前期課題を解決することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、減圧された真空状態の成膜処理室において被成膜処理基材の表面に対して成膜処理を施すための成膜処理装置および成膜処理方法に関する技術分野に属し、例えば、機械部品、軸受、刃物、工具、光学部品、磁気記録装置、磁気記録媒体、光学記録装置、光学記録媒体、半導体、光学部品、光触媒製品など用いられる部品表面の成膜処理に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来の成膜装置は、様々な分野において真空下において被成膜処理基材に成膜処理を行なう成膜処理装置および成膜処理方法が利用されている。特に代表的な分野では、半導体製造分野、光学式情報記録ディスク面の成膜処理、磁気記録ディスク面の成膜処理、容器内面のコーティングなどがある。
【0003】
これらの製造工程でよく用いられている第1の製造方法として、枚葉型マルチチャンバシステムがある。この方法は、例えば特許第2688555号や特開平6−267806で開示されるような方式である。装置中心付近に密閉減圧された基板搬送室が配置され、その周囲に複数の処理室およびロードロック室が配置された構造をとる。該装置上流ラインから、成膜処理を行なうために被成膜基材(シリコンウエハ等)が、一旦ロードロック室に搬入され、減圧される。基板搬送室内には、ロードロック室に搬入された被成膜基材を各処理室に搬送させるための搬送手段が設置されている。複数配置されている処理室は、種々の工程に応じた機能をもつチャンバが設置されている。例えば、加熱チャンバ、スパッタチャンバ、CVDチャンバ、冷却チャンバなどの処理室がある。所定のプロセス条件を満たすべく各処理室および搬送手段が適切に制御されるように構成されており、各処理完了後にロードロック室より被成膜基材を搬出する。被成膜処理基材は、ウエハ一枚毎でも可能であるし、ホルダに固定し、多数個同時処理する事も可能である。装置の内部全体が真空状態に保たれており、非常に強力な大型の真空ポンプ備えられている。
【0004】
第2の代表的な従来の製造方法として、インライン型マルチチャンバシステムがある。例えば、特開平8−7268に公開されているような製造方法であり、各処理室が直線状に配置され、その中をホルダに固定された被成膜処理基材が順次搬送され、成膜処理を施される。被成膜処理基材はライン上流側に位置するロードロック室から搬入され、所定の真空度まで減圧された後、以降の各処理室に搬送される。各プロセス条件に従って処理が行なわれる。各処理室は、例えば、スパッタチャンバ、CVDチャンバ、冷却チャンバ、バッファチャンバなどである。この方法においても装置全体が所定の真空度に減圧されており、非常に強力な大型の真空ポンプが備えられている。
【0005】
第3の代表的な従来の製造方法としてペットボトルなどの容器内面に成膜するための成膜方法がある。例えば、特許第3115252号で開示されているような成膜方法であり、容器1本が丁度収まるように構成された成膜処理室がサークル状に多数配置されており、全体が回転しながら、被成膜容器の搬入、真空引き、洗浄、CVD成膜処理、大気圧開放、搬出を連続的に行なう。各成膜処理室は、容器外側を包む真空室壁面を一方の電極とし、容器の中に挿入してある原料ガス供給口を兼ねた棒状の電極から構成される。複数ある成膜処理室は、数個づつグループ化され、各グループ毎に、電源、原料ガス供給経路、排気経路の共用化が図られている場合もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術では、シリコンウエハ、CD、DVD、ペットボトルなど形状や大きさが標準規格に合致しているような製品を非常に高い生産性で処理することを目的としている処理方法であり、非常に高いスループットを実現する事が可能である。しかしながら、装置全体として装置規模が大きくなるという短所がある。例えば、従来技術の代表例としてあげた第1、第2の処理方法ではロードロック室、基板搬送室などの成膜処理室以外の周辺機能部分が大きく、また、これらの配置に関しても制約条件があり、装置の占有面積が大きくなってしまう。また、大きな装置全体の内部を所定の真空度に保つためには非常に強力な大きい排気手段を必要とする。さらに、メンテナンス等からの復帰時装置立上までに真空引きに要する時間が非常に長くなってしまう。また、個々の成膜処理室では、所定のプロセス条件で成膜処理するために独立のターボポンプを使用されている。
【0007】
第3の従来例では、成膜処理室はペットボトル専用に構成され比較的シンプルな構造をしているが、これらを回転させる機構、搬入、搬出、原料ガス供給、電力供給など共通部分の構造が複雑かつ規模が大きく、装置全体としては占有面積が大きく複雑な装置となってしまう課題がある。
【0008】
全ての従来技術例に共通していえる事であるが、生産性の優劣に関わらず、共用する部分が必要かつ規模が大きくなり、たとえ装置の生産能力を犠牲にしても、共有機能の部分は必要であり、装置全体の規模や占有面積は極端に小さくはならない。逆に、生産性は、装置全体の構成に関わる要素が大きく、生産性を向上させるためには、大規模な装置全体の構成変更がともなうい容易な事ではない。
【0009】
即ち従来技術による成膜方法では、規格製品などの小品種大量型の成膜処理方法としては優れているが、多品種少量生産には向いていない。今日の市場要求として、商品寿命の短縮、多品種化により、多品種小ロット生産および垂直立上げの要求が強くなっている。また、規格製品ではない被成膜基材や、従来まで表面の成膜処理を施していなかった部材など、多分野にわたる製品に成膜処理を応用されるようになってきている。また、必要とされる膜自体の構成も複雑な多層膜だけではなく、DLCなどの保護膜や下地層、中間層を含む2〜3層の比較的単純な膜構造のものも多くなってきている。
【0010】
こうした背景の中で、本発明の目的は、装置規模を非常に小さくし、面積生産性、設備コストを抑えるための成膜処理方法を実現する事である。具体的には、装置内に被成膜基材の搬送手段を備えず、成膜処理室に直接搬入出させる方式をとり、同一成膜処理室において被成膜基材を移動させることなく、複数工程の成膜処理を施すことにより、該成膜処理室とこれに必要な原料ガス供給手段、電力供給手段、排気手段を備えた成膜処理装置および成膜処理方法を実現する事である。
【0011】
本発明によれば、該目的を実現できると共に、試作や製品立上初期・生産全盛期・機種切替え末期などの生産量に応じて装置稼動台数を増減させる事により容易に調整できる。
【0012】
一般的に、1台あたりを低コスト・小型化した装置を複数台備えたラインにおいては、機種切替時間の短縮や複数機種生産などメリットが大きい。研究や試作などの対応にも柔軟に対応可能である。製造業などで多く用いられているセル生産方式への適応可能性も十分に備えている。ここで、セル生産方式とは、1人または少数の作業者が、複数の装置や計測器などを操作することにより、一連の複数工程をこなし、少量多品種の生産性を高める事のできる生産形態の事をいう。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の成膜処理方法は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを用い、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理方法であって、
該成膜処理室から排気を行うための排気手段までの排気経路上に備えられた少なくとも1室以上の予備真空室を用いて排気を行う排気工程と、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてある少なくとも2組以上の成膜室を用いて、複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう成膜処理工程とを行う事を特徴とする成膜処理方法である。
【0014】
また、好ましくは、各々の該成膜処理室に接続されているガス供給経路のコンダクタンス、および、排気経路のコンダクタンスが実質的に同等になるように構成されているガス供給経路および排気経路を用いて、複数備えられた前期成膜処理室に供給する原料ガス量を均一化する事を特徴とする成膜処理方法である。
【0015】
さらに好ましくは、各々の成膜処理室毎に供給されるガス量を個々に制御する事ができるガス流量制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎に供給される供給電力を個々に制御する事ができる電力制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎の真空圧力を個々に制御する事ができる真空圧力制御手段のうちいずれかひとつ、好ましくは、二つ以上の組合せの制御手段を用いて、被成膜処理基材表面に成膜される薄膜の膜質および膜厚を均一化する事を特徴とする成膜処理方法である。
【0016】
本発明によれば、高速な排気が可能となり、成膜処理室に直接搬入出させる方式が可能となり、同一成膜処理室において被成膜処理基材を移動させることなく、減圧工程、複数の成膜処理工程を実施する事をでき、1台で成膜処理を完結することが実現できる。さらに、均一性が高く、個体差の少ない、安定した膜質の多数個同時成膜を実現することができる。これにより、装置全体の規模を小さくする事が可能となり、面積生産性の向上や、設備コストの低減が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の成膜処理装置は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを備え、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理装置であって、
複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を備え、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてあり、さらに、該成膜処理室から排気を行うための排気手段までの排気経路上に少なくとも1室以上の予備真空室を備える事を特徴としたものである。
【0018】
これにより、1台の装置にて同時に複数の成膜処理を行う事が可能であり、さらに、予備真空室を用いて排気効率を高めることにより、排気に要する時間を短縮する事が可能であるため、非常に面積生産性を実現する事が可能となる。また、各の構成部材が同様な構成および配置がなされているために、個体差が非常に少なく、膜質のばらつきを最小限に押さえることが可能であるという作用を有する。
【0019】
本発明の請求項2に記載の成膜処理装置は、請求項1記載の成膜処理装置において、前期被成膜処理基材1基材毎に前記成膜処理室が構成されている事を特徴とするものである。
【0020】
これにより、成膜処理室内の構成部材の形状や配置を1つの被成膜処理基材に最適化する事が可能であり、被成膜処理基材の部位による膜質や膜厚の差を少なく抑えることができるという作用を有する。特に、シャフトやスリーブのような円筒形状等の複雑な形状である部材の円筒表面や円筒内面などを成膜処理する場合、電極やターゲットの形状および配置が非常に重要となり、この要素により均一性の優劣が決定されるといっても過言ではなく、これらの自由度を高く有する本発明により、個体における均一性を非常に高くする事が可能である。
【0021】
本発明の請求項3に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至2記載の成膜処理装置において、前記被成膜処理基材の搬入出工程、減圧工程、成膜処理工程が、複数個の被成膜基材全てに対して実質的に同時に行う事を特徴とするものである。
【0022】
これにより、各工程毎の独立性を高く保つ事を実現でき、各工程に要する時間、成膜処理を施す際の真空度、供給電力、原料ガス供給量などの条件の自由度を高める事が可能となる作用を有している。この作用により、最適な成膜プロセス条件で工程を行うことができ、非常に良好な膜質を、高い生産性で行う事が可能となる。
【0023】
本発明の請求項4に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至3記載の成膜処理装置において、前期成膜処理室に前期被成膜基材の搬入出するための開閉可能な搬入出口を備え、大気圧下で前期被成膜処理基材の搬入出を行う事を特徴とするものである。
【0024】
これにより、ロードロック室を必要とせず、装置全体の小型化および設備コスト抑制を実現でき、面積生産性を非常に高くする事を実現できるという作用を有する。また、被成膜処理基材の搬入出工程を含んだ意味での装置の完結性、独立性が高くなり、試作やプロセス検証を容易に行う事が可能となり、新規機種の立上げ、切替時間の短縮が可能となる。さらに、インライン設備としては言うまでもなく、バッチ用途としての構成に最適な構成となり、セル生産方式への適応性を備える。
【0025】
本発明の請求項5に記載の成膜処理装置は、請求項4記載の成膜処理装置において、前期被成膜処理基材の搬入出を行うに際して、成膜処理室内に窒素または不活性ガスを充填された状態で搬入出を行う事を特徴とするものである。
【0026】
これにより、成膜処理室内構成部材やターゲット等の水蒸気や不要ガスにより汚染や酸化、金属表面での不要ガスの吸着を防ぐことができるという作用を有する。この作用により、成膜工程において不要ガスの残留を防ぎ、良好な膜質の維持が可能となる。特に、ターゲットの酸化や不要ガス吸着は、膜質や膜構造の機械的特性への影響が非常に顕著であり、これを防止することが可能でる。また、真空引きを安定して良好な条件を維持することができ、真空引き時間の延長を防止するという効果がある。
【0027】
本発明の請求項6に記載の成膜処理装置は、請求項4乃至5記載の成膜処理装置において、前期被成膜処理基材の搬入出を行うに際して、前期成膜処理室の周辺雰囲気が窒素または不活性ガスの雰囲気下で搬入出を行う事を特徴とするものである。
【0028】
これにより、成膜処理室内構成部材やターゲット等の水蒸気や不要ガスにより汚染や酸化、金属表面での不要ガスの吸着を防ぐ事をさらに確実に行うことができるという作用を有する。
【0029】
本発明の請求項7に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至6記載の成膜処理装置において、前記予備真空室が実質的に真空度の異なる少なくとも2室以上の予備真空室で構成されている事を特徴とするものである。
【0030】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0031】
本発明の請求項8に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至7記載の成膜処理装置において、成膜処理室を真空粗引きするための第2の排気手段を備える事を特徴とするものである。
【0032】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0033】
本発明の請求項9に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至7の成膜処理装置において、前記成膜処理室の容積の総和に対して、前記予備真空室の容積が100倍以上である事を特徴とするものである。
【0034】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0035】
本発明の請求項10に記載の成膜処理装置は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを備え、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理装置であって、
複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を備え、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてあり、各々の該成膜処理室に接続されているガス供給経路のコンダクタンス、および、排気経路のコンダクタンスを実質的に同等になるように構成されている事を特徴とするものである。
【0036】
これにより、各の構成部材が同様な構成および配置がなされている成膜処理室において同時に成膜処理を実施する際に、最も簡単な構成により、原料ガスの供給量および成膜圧力を均一化する事が可能であり、膜質のばらつきを最小限に抑え、均一性を非常に高くすることが可能であるという作用を有する。
【0037】
本発明の請求項11に記載の成膜処理装置は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを備え、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理装置であって、
複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を備え、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてあり、各々の成膜処理室毎に供給されるガス量を個々に制御する事ができるガス流量制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎に供給される供給電力を個々に制御する事ができる電力制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎の真空圧力を個々に制御する事ができる真空圧力制御手段のうちいずれかひとつ、好ましくは、二つ以上の組合せの制御手段を備える事を特徴とするものである。
【0038】
これにより、各の構成部材が同様な構成および配置がなされている成膜処理室において同時に成膜処理を実施する際に、原料ガスの供給量、成膜圧力、供給電力を制御する事により、膜質のばらつきを最小限に抑え、均一性を非常に高くすることが可能であるという作用を有する。特に、制御できないパラメータによる膜質や特性のわずかな差を、制御可能なパラメータを補正的に制御する事により、結果として個体差が少なく、極めて均一性の高い成膜処理を行う事が可能となる。
【0039】
本発明の請求項12に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至11記載の成膜処理装置において、少なくとも中間層を成膜処理する工程と表面層を成膜処理する工程を同一の成膜処理室にて行う事を特徴とするものである。
【0040】
これにより、被成膜処理基材を把持しなおしたり、別の成膜処理室に搬入出を行う必要が無く、これに掛かる時間を短縮する事が可能であり、生産性を高めることができるという作用を有する。また、成膜処理室を工程毎に備える必要がなく、数を最小限に抑える事ができ、装置全体として小型化が可能となる。
【0041】
本発明の請求項13に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至11記載の成膜処理装置において、少なくとも2種類以上の成膜工法を、同一の成膜処理室にて行うことが可能である事を特徴とするものである。
【0042】
これにより、各工程の自由度が非常に高くする事が可能であり、特に、成膜工法による制限がないという条件下で、成膜処理工程の最適化が実現できるという作用を有する。
【0043】
本発明の請求項14に記載の成膜処理装置は、請求項12乃至13記載の成膜処理装置において、各々の成膜処理室内にスパッタターゲットを備え、前記ガス供給手段に少なくともスパッタ用原料ガスおよびCVD用原料ガスの2種類のガスを供給できるガス供給手段を備え、同一成膜処理室においてスパッタ法による成膜およびCVD法による成膜が選択的に、若しくは、複合的に成膜処理可能である事を特徴とするものである。
【0044】
これにより、成膜工法の中でも一般的に良く用いられ、良好な成膜を実現できるスパッタ工法および高周波CVD工法による成膜処理が実現可能であり、多層成膜構造にて成膜する際に各層において最適な成膜工法を選択できるという作用を有する。また、スパッタ工法と高周波CVDを複合的に用いることにより、膜中の成分組成や含有率を段階的または連続的に変化させるような、混合層や傾斜構造層を形成させる事が可能となる。
【0045】
本発明の請求項15に記載の成膜処理装置は、請求項14記載の成膜処理装置において、前記被成膜基材の表面にスパッタ法により中間層を形成させた後、CVD法により硬質炭素膜層を形成させる事を特徴とするものである。
【0046】
これにより、例えば、シャフト、スリーブ、軸受け、ベアリングなど機械部材のうち、摺動や回転時における低摩擦、耐摩耗性の高い成膜処理が必要とされる部材を製造することができるという作用を有する。
【0047】
本発明の請求項16に記載の成膜処理方法は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを用い、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理方法であって、
該成膜処理室から排気を行うための排気手段までの排気経路上に備えられた少なくとも1室以上の予備真空室を用いて排気を行う排気工程と、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてある少なくとも2組以上の成膜室を用いて、複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう成膜処理工程とを行う事を特徴とするものである。
【0048】
これにより、1台の装置にて同時に複数の成膜処理を行う事が可能であり、さらに、予備真空室を用いて排気効率を高めることにより、排気に要する時間を短縮する事が可能であるため、非常に面積生産性を実現する事が可能となる。また、各の構成部材が同様な構成および配置がなされているために、個体差が非常に少なく、膜質のばらつきを最小限に押さえることが可能であるという作用を有する。
【0049】
本発明の請求項17に記載の成膜処理方法は、請求項16記載の成膜処理方法において、前期被成膜処理基材1基材毎に構成されている前記成膜処理室を用いて成膜処理を行う事を特徴とするものである。
【0050】
これにより、成膜処理室内の構成部材の形状や配置を1つの被成膜処理基材に最適化する事が可能であり、被成膜処理基材の部位による膜質や膜厚の差を少なく抑えることができるという作用を有する。特に、シャフトやスリーブのような円筒形状等の複雑な形状である部材の円筒表面や円筒内面などを成膜処理する場合、電極やターゲットの形状および配置が非常に重要となり、この要素により均一性の優劣が決定されるといっても過言ではなく、これらの自由度を高く有する本発明により、個体における均一性を非常に高くする事が可能である。
【0051】
本発明の請求項18に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至17記載の成膜処理方法において、前記被成膜処理基材の搬入出工程、減圧工程、成膜処理工程が、複数個の被成膜基材全てに対して実質的に同時に行う事を特徴とするものである。
【0052】
これにより、各工程毎の独立性を高く保つ事を実現でき、各工程に要する時間、成膜処理を施す際の真空度、供給電力、原料ガス供給量などの条件の自由度を高める事が可能となる作用を有している。この作用により、最適な成膜プロセス条件で工程を行うことができ、非常に良好な膜質を、高い生産性で行う事が可能となる。
【0053】
本発明の請求項19に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至18記載の成膜処理方法において、前期成膜処理室に前期被成膜基材の搬入出するための開閉可能な搬入出口を用い、大気圧下で前期被成膜処理基材の搬入出を行う事を特徴とするものである。
【0054】
これにより、ロードロック室を必要とせず、装置全体の小型化および設備コスト抑制を実現でき、面積生産性を非常に高くする事を実現できるという作用を有する。また、被成膜処理基材の搬入出工程を含んだ意味での装置の完結性、独立性が高くなり、試作やプロセス検証を容易に行う事が可能となり、新規機種の立上げ、切替時間の短縮が可能となる。さらに、インライン設備としては言うまでもなく、バッチ用途としての構成に最適な構成となり、セル生産方式への適応性を備える。
【0055】
本発明の請求項20に記載の成膜処理方法は、請求項19記載の成膜処理方法において、前期被成膜処理基材の搬入出を行うに際して、成膜処理室内に窒素または不活性ガスを充填された状態で搬入出を行う事を特徴とするものである。
【0056】
これにより、成膜処理室内構成部材やターゲット等の水蒸気や不要ガスにより汚染や酸化、金属表面での不要ガスの吸着を防ぐことができるという作用を有する。この作用により、成膜工程において不要ガスの残留を防ぎ、良好な膜質の維持が可能となる。特に、ターゲットの酸化や不要ガス吸着は、膜質や膜構造の機械的特性への影響が非常に顕著であり、これを防止することが可能でる。また、真空引きを安定して良好な条件を維持することができ、真空引き時間の延長を防止するという効果がある。
【0057】
本発明の請求項21に記載の成膜処理方法は、請求項19乃至20記載の成膜処理方法において、前期被成膜処理基材の搬入出を行うに際して、前期成膜処理室の周辺雰囲気が窒素または不活性ガスの雰囲気下で搬入出を行う事を特徴とするものである。
【0058】
これにより、成膜処理室内構成部材やターゲット等の水蒸気や不要ガスにより汚染や酸化、金属表面での不要ガスの吸着を防ぐ事をさらに確実に行うことができるという作用を有する。
【0059】
本発明の請求項22に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至21記載の成膜処理方法において、前記成膜処理室の不要ガスを排出するために減圧する際に、真空粗引きを行なうための第1の排気工程と、所定の初期到達真空度になるまで真空度を高めるための第2の排気工程により減圧を行なう事を特徴とするものである。
【0060】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0061】
本発明の請求項23に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至22記載の成膜処理方法において、前記予備真空室として実質的に真空度の異なる少なくとも2室以上の予備真空室を用い、第1の排気工程では、2つの該予備真空室のうち真空度が比較的低い側の該予備真空室を経由して排気を行い、第2の排気工程では、真空度が比較的高い側の該予備真空室を経由して排気を行なう事を特徴とするものである。
【0062】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0063】
本発明の請求項24に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至22記載の成膜処理方法において、成膜処理室を真空粗引きするに際し、前記予備真空室を経由せずに排気を行う事ができる第2の排気手段を用いて排気を行う第1の排気工程と、前期予備真空室を用いてさらに高真空状態まで真空引きを行う第2の排気工程により排気を行う事を特徴とするものである。
【0064】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0065】
本発明の請求項25に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至24の成膜処理方法において、前記成膜処理室の容積の総和に対して、容積が100倍以上である前記予備真空室を用いる事を特徴とするものである。
【0066】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0067】
本発明の請求項26に記載の成膜処理方法は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを用い、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理方法であって、
該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置された、複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を用い、各々の該成膜処理室に接続されているガス供給経路のコンダクタンス、および、排気経路のコンダクタンスが実質的に同等になるように構成されているガス供給経路および排気経路を用いて、複数備えられた前期成膜処理室に供給する原料ガス量を均一化する事を特徴とするものである。
【0068】
これにより、各の構成部材が同様な構成および配置がなされている成膜処理室において同時に成膜処理を実施する際に、最も簡単な構成により、原料ガスの供給量および成膜圧力を均一化する事が可能であり、膜質のばらつきを最小限に抑え、均一性を非常に高くすることが可能であるという作用を有する。
【0069】
本発明の請求項27に記載の成膜処理方法は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを用い、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理方法であって、
該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置された、複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を用い、各々の成膜処理室毎に供給されるガス量を個々に制御する事ができるガス流量制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎に供給される供給電力を個々に制御する事ができる電力制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎の真空圧力を個々に制御する事ができる真空圧力制御手段のうちいずれかひとつ、好ましくは、二つ以上の組合せの制御手段を用いて、被成膜処理基材表面に成膜される薄膜の膜質および膜厚を均一化する事を特徴とするものである。
【0070】
これにより、各の構成部材が同様な構成および配置がなされている成膜処理室において同時に成膜処理を実施する際に、原料ガスの供給量、成膜圧力、供給電力を制御する事により、膜質のばらつきを最小限に抑え、均一性を非常に高くすることが可能であるという作用を有する。特に、制御できないパラメータによる膜質や特性のわずかな差を、制御可能なパラメータを補正的に制御する事により、結果として個体差が少なく、極めて均一性の高い成膜処理を行う事が可能となる。
【0071】
本発明の請求項28に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至27記載の成膜処理方法において、少なくとも中間層を成膜処理する工程と表面層を成膜処理する工程を同一の成膜処理室にて行う事を特徴とするものである。
【0072】
これにより、被成膜処理基材を把持しなおしたり、別の成膜処理室に搬入出を行う必要が無く、これに掛かる時間を短縮する事が可能であり、生産性を高めることができるという作用を有する。また、成膜処理室を工程毎に備える必要がなく、数を最小限に抑える事ができ、装置全体として小型化が可能となる。
【0073】
本発明の請求項29に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至27記載の成膜処理方法において、少なくとも2種類以上の成膜工法を、同一の成膜処理室にて行うことが可能である事を特徴とするものである。
【0074】
これにより、各工程の自由度が非常に高くする事が可能であり、特に、成膜工法による制限がないという条件下で、成膜処理工程の最適化が実現できるという作用を有する。
【0075】
本発明の請求項30に記載の成膜処理方法は、請求項28乃至29記載の成膜処理方法において、各々の成膜処理室内にスパッタターゲットを備え、前記ガス供給手段に少なくともスパッタ用原料ガスおよびCVD用原料ガスの2種類のガスを供給できるガス供給手段を備え、同一成膜処理室においてスパッタ法による成膜およびCVD法による成膜が選択的に、若しくは、複合的に成膜処理可能である事を特徴とするものである。
【0076】
これにより、成膜工法の中でも一般的に良く用いられ、良好な成膜を実現できるスパッタ工法および高周波CVD工法による成膜処理が実現可能であり、多層成膜構造にて成膜する際に各層において最適な成膜工法を選択できるという作用を有する。また、スパッタ工法と高周波CVDを複合的に用いることにより、膜中の成分組成や含有率を段階的または連続的に変化させるような、混合層や傾斜構造層を形成させる事が可能となる。
【0077】
本発明の請求項31に記載の成膜処理方法は、請求項30記載の成膜処理方法において、前記被成膜基材の表面にスパッタ法により中間層を形成させた後、CVD法により硬質炭素膜層を形成させる事を特徴とするものである。
【0078】
これにより、例えば、シャフト、スリーブ、軸受け、ベアリングなど機械部材のうち、摺動や回転時における低摩擦、耐摩耗性の高い成膜処理が必要とされる部材等を製造することができ、良好な摺動特性、耐摩耗性を実現できるという作用を有する。
【0079】
本発明の請求項32に記載の成膜処理さらた部材は、請求項1乃至15記載のいずれかの成膜処理装置、若しくは、請求項16乃至31記載のいずれかの成膜処理方法により成膜処理されたものである。
【0080】
これにより、良好な摺動特性、耐摩耗性を備えた部材を用いる事により、高精度で、信頼性が非常に高く、耐久性に優れた、
本発明の請求項33に記載の製品は、請求項32記載の部材を用いたものである。
【0081】
これにより、良好な摺動特性、耐摩耗性を備えた部材を用いる事により、高精度で、信頼性が非常に高く、耐久性に優れた製品を実現できるという作用がある。
また、摩擦係数が安定して低い特徴があり、製品の手動部、回転部を作動させるための駆動力が小さくてすむ為に、小型化、低消費電力化に大きく貢献できるという作用も兼ねて備える。
【0082】
(実施の形態1)
以下に、本発明の請求項に記載された発明の良好な実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0083】
図1は、本発明における成膜処理装置の主要部の構成を示したものである。
【0084】
1a,1bは、成膜処理室を示している。成膜処理室の容積および内面積は、真空引き時間を大きく支配する要素となり、可能な限り容積および内面積は小さい事が好ましい。
【0085】
成膜処理室1a,1b内には、被成膜処理基材2a,2bを設置するつための基材支持台3a、3bが設けられている。4a,4bは、ガス供給口であり、成膜処理に必要な原料ガスやスッパタ用ガスなどが供給できるようになっている。
【0086】
5a、5bは、排気バルブであり、これを開閉する事により、成膜処理室の排気を行う事が出来る。特に、原料ガスを供給しながら、真空処理室の圧力を測定しながら所定の圧力になるように制御して成膜処理を行う場合には、排気バルブの開口面積を制御する事の出来るコンダクタンスバルブやゲートバルブが好ましい。
【0087】
6a,6bは、被成膜処理基材に対して成膜に必要な電力を供給できるよう接続された電極であり、真空中での異常放電が発生しないように、電流導入端子7a,7bを介して適切に構成されている。
【0088】
成膜処理室1a,1bの一端には、被成膜処理基材の搬入出用の開口が設けられており、成膜処理時において真空処理室を密閉でき、所定の真空度を保てるような開閉可能な蓋9aが備えられている。図中では、蓋9aと真空パッキン8aによる構成を示しているが、ゲートバルブなどを用いる事も可能である。また、図に示す部分に限らず、別の部位が着脱でき、例えば成膜処理室全体が図中の上方向に分離できる構造となっていても構わない。搬入出動作を移載用ロボット等で移載する事を前提とした場合、複数ある成膜処理室の搬入出用の開口は、同一方向に開いていることが好ましく、本例の図では、装置上方に該開口があり、被成膜処理基材は、垂直上下方向に搬入出が行われるように構成している。
【0089】
10は、予備真空室であり、本装置稼働中は、常時所定の真空度以下になるよう真空状態を保持している。図では、説明のため一つの室としてイメージできるように示しているが、容積や内面積が所定の用件を満たしていれば、配管形状であっても全く同様の効果がある。
【0090】
11は、主排気手段としての真空ポンプであり、例えば、ターボ分子ポンプ、ロータリーポンプ、クライオポンプ、油拡散ポンプ、イオンポンプなどを用いる事が可能である。使用する真空ポンプの特性により動作可能な圧力範囲があり、粗引き用の副真空ポンプ(図示せず)および切替用バルブ(図示せず)を併用する事が一般的である。主排気手段11の予備真空室側には主排気手段用バルブ12が設けられている。
【0091】
成膜処理室1a,1b、予備真空室10、および配管類の内壁は、電解研磨処理やベーキング処理などを施し、高真空時におけるガス放出量の低減対策を行っておくのが好ましい。到達真空度の維持、真空引き時間の短縮のためには、定期的にベーキングを行うのが好ましく、ヒーターなどベーキング手段(図示せず)を備えるのが好ましい。
【0092】
図2、図3、図4は、本発明における成膜処理装置の成膜処理室を詳しく示した図である。特に、被成膜処理基材2の形状や成膜処理を施す面によって、成膜処理室1の構造が異なる。
【0093】
図2は、被成膜処理基材2の形状が、シャフトなどの円筒形状である基材の円筒表面に成膜処理を行うのに好適な成膜処理室の一例である。成膜処理室1の概略形状は円筒形状の真空容器を基本とした構造が好適であるが、他の形状でも問題はない。被成膜処理基材2は、円筒形状である成膜処理室の中心軸線上に配置されるのが好ましい。これを把持できるように基材支持台3が備えらている。基材支持台3には、電極が備えられており、被成膜処理基材2を把持した状態で電極と適切に接続される構造となっている。電極は、真空中で異常放電やリークが発生しない様にセラミックスなどの絶縁材料で適切に絶縁処理をほどこされる事が望ましい。電極は成膜処理室外部より高周波電力を供給できるように電流導入端子7を介して電力供給切替スイッチに接続され、高周波電力供給手段35または接地電位に切り替える事が出来るようになっている。図中には示していないが、電力供給手段の中には、マッチングボックスやブロッキングコンデンサなど適切に電力供給を行う為の各構成要素が含まれている。また、図1では、電力制御手段16a,16bに接続されているが、電力供給手段17a、17b(高周波電源35も含む)の中で供給電力自体を制御するのでも同様の効果がある。被成膜処理基材2を中心として同心円筒上に円筒形状のスパッタ用ターゲット30が配置している。ターゲットは、被成膜処理基材側の電極とは別の電極に接続され、電流導入端子33を介して電力供給切替スイッチ36に接続され、直流電力供給手段37に接続されるか、もしくは、接地電位に接続されるように切り替える事ができるようになっている。ターゲットの背面、すなわち、外側に図のように磁界形成手段31を備える。例えば、永久磁石や電磁石を用いる事が可能であるが、磁界を形成する手段であれば手段でも同様の効果が得られる。磁界形成手段31は、ターゲット30の背面またはバッキングプレート(図示せず)に取付ける事も可能である。ターゲット表面上にトンネル状の磁界を形成することによりターゲット30表面近傍のプラズマ密度を上げる事が出来、スパッタレートを高くし、成膜速度を速くする事が可能となる。
【0094】
ターゲット30と被成膜処理基材2の間に、移動可能な円筒状のシャッター32が備えてある。直線導入器(図示せず)などに取付られて、スパッタ法による成膜工程の場合には、完全に待避した状態になって作用を及ぼさず、スパッタ以外の工法、例えばCVD法等によって成膜処理を行う場合には、ターゲット30の表面の汚染を防止すると共に、成膜処理室1の内壁と等電位、すなわち、接地電位の電極として機能するものである。
【0095】
4は原料ガスやスッパッタ用ガスを成膜処理室1内に供給するためのガス供給口である。このガス供給口4は、原料ガス供給手段18に接続されている。図1中に示す原料ガス供給手段18は、ほんの一例に過ぎず、被成膜処理の種類、膜質、成膜プロセスなどに応じて、適切な原料ガスおよび構造をとる必要がある。一般的には、図のような、貯蔵用のガスボンベ27、ガスを切替え、または、混合のためのバルブ28、ガス流量を制御する事の出来るガス流量制御手段29から構成され、各ガス種毎に備えれられている。ガス流量制御手段29には、例えば、マスフローコントローラー等を使用する事が可能である。図中では、常温気体の原料ガスでガスボンベを備える構成で示しているが、常温液体、常温個体の原料ガスを使用する事も可能であるが、この場合には、貯蔵形態、構造が異なる他、気化装置の必要性、再液化や再個体化を防止する対策手段が必要となる。(図示せず)
成膜処理室1には排気バルブ5が備えられ、開閉する事により、成膜処理室1内のガスを排気する事ができる。全開および全閉のみできる開閉バルブでも良いが、任意位置で開口度を調整できるコンダクタンスバルブやゲートバルブが好ましい。また、ガス供給口4と排気バルブ5の配置は、ガスの流れの経路上に被成膜処理基材が配置されるようにし、被成膜処理基材2に対して成膜面全体が均等にガス拡散できるような配置が望ましい。
【0096】
成膜処理室1の一部には、被成膜処理基材2を外部より搬入出可能な搬入出口が備えられ、成膜処理工程中は、所定の真空度に減圧できるように、真空パッキン8を介して、蓋9が備えられている。
【0097】
本発明は、大気圧下から成膜室を減圧する特徴があり、成膜処理室1の容積および内面積が大きく影響する。このため、容積および成膜処理室内面の総表面積を可能な限り小さくする事が望ましい。
【0098】
図3は、被成膜処理基材2の形状がプレート状の平面である場合において、その表面に成膜処理を行うのに好適な成膜処理室の一例である。基本的な構造は、図2で説明した被成膜処理基材2が円筒状表面の場合と同等であり、被成膜処理基材の成膜処理面に合せて、ターゲットの形状および配置、シャッターの形状および配置、また、これらに関連する構成要素の形状および配置が異なるだけである。図3の例では、基材支持台3上にプレート状の被成膜処理基材1を把持し、この上面の成膜処理を行う。ターゲット30は、該成膜処理面に対向するように配置されており、その背面側に磁界形成手段31を備えている。また、シャッター32は、ターゲット30と被成膜処理基材2間を図中の矢印のように摺動し、ターゲット30の表面を覆ったり、開放する事が可能となるよう備えられている。上記以外は、図2と同様であるので説明は省略する。
【0099】
図4は、被成膜処理基材2の形状がハブ、軸受け、スリーブなどの円筒形状である場合において、その内面に成膜処理を行うのに好適な成膜処理室の一例を示している。基材支持台3上に円筒形状の被成膜処理基材1を把持し、この内面の成膜処理を行う。ターゲット30は、棒状もしくは円筒状の形状とし、被成膜処理基材2の中に挿入された位置に備えられる。被成膜処理基材2の中心軸とターゲット30の中心軸が同心軸となるように配置されるのが好ましい。さらに、ターゲット30の円筒内部には、磁界形成手段31が備えられている事が望ましい。また、シャッター32は、円筒形状であり、ターゲット30と被成膜処理基材2間を図中の矢印のように摺動し、ターゲット30の表面を覆ったり、開放する事が可能となるよう備えられている。被成膜処理基材の外側を成膜しない場合には、基材支持台の形状の工夫(図示せず)や、防着板(図示せず)の配置などをするとよい。上記以外は、図2と同様であるので説明は省略する。
【0100】
図5(a)は、本発明における成膜処理装置本体を上側からみた構成の一例を示したものである。
成膜処理室1a〜1fは図のように本体中心として円周上に配置されている。本実施例では、6室の成膜処理室1a〜1fを示しているが、個数に特に制限はない。原料ガス供給手段18から供給される原料ガスは、装置中心付近まで配管で接続される。各成膜処理室1a〜1fまでの配管経路は、装置中心から放射状に配置され、配管長、配管径、配管形状(取り回し)がほぼ同様にすることが可能となる。その結果、供給経路のコンダクタンスの均一化を実現する事が可能であり、成膜処理の膜質、膜厚の均一化が実現できる。これは一例に過ぎず、コンダクタンスを同等にした構成であれば、本実施例の配置、配管経路に限るものではない。
【0101】
また、各ガス供給経路において、望ましくは、15a〜15fのようなガス流量制御手段を備えると好適である。これにより、個々の成膜処理室1a〜1fに供給する原料ガスの供給量を個別に調整または制御することができる。例えば、マスフローコントローラーのように可変制御できるものが好ましいが、コンダクタンスバルブ等でも構わない。また、オリフィスのように意図的にコンダクタンスの支配的要因を設け、これを調整する事により、コンダクタンスを均一化させることが可能であり、成膜処理の膜質、膜厚の均一化が実現できる。
【0102】
16a〜16fは、電力制御手段であり、例えば、L、C、Rのいずれか、または、組合せにより構成され、パラメーターを可変する事により、個々の成膜処理室1a〜1fに供給する電力を制御する事が可能となる。図5(a)および(b)には、電力供給に関連する構成要素(34〜37)、原料ガス供給手段18は省略している。
図5(b)は、本発明における成膜処理装置本体を下側からみた構成の一例を示したものである。実際には外観上みることはできないが、排気バルブ5a〜5fは、図のように、本体中心として円周上に配置され、予備真空室10に排気されるようになっている。主排気手段は、本体中心軸上に配置するため、個々の成膜処理室からの排気経路の形状、配管径(開口径)が同等となり、コンダクタンスが同等にする事が可能であり、成膜処理の膜質、膜厚の均一化が実現できる。これは一例に過ぎず、コンダクタンスを同等にした構成であれば、本実施例の配置、配管経路に限るものではない。
【0103】
図6(a)、(b)は、本発明における成膜処理装置の本体部をユニット化し、複数ユニット構成にした装置全体を上側および下側からみた構成の一例を示している。図に示すような配管する事により、ガス供給手段、主排気手段を共有化し、かつ、経路のコンダクタンスを均一化する事が可能となり、成膜処理の膜質、膜厚の均一化が実現できる。これは一例に過ぎず、コンダクタンスを同等にした構成であれば、本実施例の配置、配管経路に限るものではない。
【0104】
上記構成の装置を用いて、成膜処理を行う工程について、以下に説明する。
【0105】
まず、成膜処理を行うに先立って、本装置が成膜処理実効可能な待機状態にある事が必要である。具体的には、主排気手段11により、予備真空室10が所定の真空度に到達している状態にしておく。
【0106】
次に、被成膜処理基材2の搬入を行う。被成膜処理基材を搬入するために、搬入/搬出口の蓋を開放状態にし、被成膜処理基材を成膜処理室1a,1b内の基材支持台の上に移載し、把持する。被成膜処理基材の形状や方向にもよるが、把持機構としては、基材支持台に単に載せるだけでも良いし、ロック機構が有っても良い。被成膜処理基材を搬入後、蓋を閉める。ここで、被成膜基材の搬入/搬出にあたり、雰囲気は空気中でも行えるが、ターゲットや成膜処理室内壁の酸化、および、不要ガスの混入を低減の為に窒素(N2)やアルゴン(Ar)雰囲気中で行うのが好ましい。
【0107】
その後、成膜処理室1内を所定の真空度にするために排気を行う。成膜処理室の排気バルブ5a,5bを開け、成膜処理室内の圧力を予備真空室10に開放する事により、短時間で減圧する事が可能である。例えば、成膜処理室1a,1bの容積の総和と予備真空室の容積の比が1:100であれば、バルブ5a,5bを開放するだけで圧力は短時間で1/100に下げることが可能である。さらに減圧するために、主排気手段11により、所定の初期到達真空度に達するまで真空引きを行う。例えば、1×10E−4Pa、好ましくは、1×10E−5Paまで減圧を行う。これにより、以降の成膜処理を行うに際し、不要ガスを排除する事ができる。成膜条件の内容や成膜すべき膜質の要求仕様により、初期到達真空度は、更に高真空にする必要がある場合もあるし、逆に低真空で良い場合もある。
【0108】
続いて、成膜処理工程を実施する。例えば、第1層目にスパッタ法によるチタン(Ti)層を成膜する例を挙げて説明する。図2、3、4のいずれの構成においても、成膜処理工程は基本的に同等であるので図1および図2を代表例として説明する。
【0109】
スパッタ法の場合、被成膜処理基材2に対向するように配置されたターゲット30を用いて成膜処理を行う。ターゲット材質は、本例では、チタン(Ti)を用いているが、成膜組成やプロセス等により異なり、ターゲットとして用いる事のできる材質であれば、何でも使用する事が可能であり、限定されるものではない。 スパッタ工程を実施する場合には、シャッター32は待避する位置へ移動させておき、ターゲット30の表面を被成膜処理基材2の間を遮らないようにしておく。
【0110】
スパッタ工程では、まず、スパッタ用ガスであるアルゴン(Ar)ガスをガス供給口4より供給しながら、成膜処理室1の圧力が所定の圧力を維持するように排気バルブ5を制御する。また、ターゲット30に直流電力供給手段37の陰極側が接続されるように直流電力切替用スイッチ36を直流電力供給手段37側に切替えるとともに、被成膜処理基材2が接地電位になるように高周波電力切替用スイッチを接地電位側へ切替える。成膜処理室は常時接地電位に接続されている。
【0111】
ターゲット30と被成膜処理基材2の間に電圧を印加することにより、アルゴン(Ar)ガスが励起され、プラズマ状態となりプラズマが形成される。これによりTiターゲット30に叩きつけられるチタンのスパッタ粒子が生成される。スパッタ粒子は対向して配置している被成膜処理基材2の表面に堆積しチタン層を生成する。この場合、ターゲット30表面のプラズマ密度をあげているための磁界形成手段31をターゲット30の背面に備えているため、成膜レートを向上させることが実現する事ができる。
【0112】
スパッタ法に限らず、全ての真空成膜法において、成膜プロセスを支配する要素は色々あるが、重要なパラメーターの中で、成膜圧力、供給電力、原料ガス供給量がある。これらの条件を全て同じにすると同等な膜質が得られる事が期待でき、全てについて制御可能とすることが最も好ましい。即ち、各々の成膜処理室に供給する原料ガス量を制御するためのガス流量制御手段15a〜15f、供給する電力を制御するための電力制御手段16a〜16f、成膜処理室1a〜1f内の成膜圧力の制御するための排気バルブ5a〜5fを制御する手段のうち、いずれか一つ、好ましくは、組合せにより制御することによって、全ての被成膜処理基材2a〜2fに成膜される膜質の個体差を極めて少なくすることが可能となる。
【0113】
次に、第2層目を成膜する方法について説明する。例えば、硬質炭素膜(ダイアモンドライクカーボン、アモルファスカーボンなど)を高周波CVD法にて成膜する方法について例を挙げて説明する。
【0114】
CVD法を行うに先立って、ターゲットの汚染を防止するために、シャッター32を被成膜処理基材2とターゲット30の間に挿入し、ターゲット30の表面を覆い隠すようにする。その後、原料ガスとして炭化水素ガス、例えばメタン(CH4)、クメン(C9H12)、ベンゼン(C6H6)などをガス供給口4から供給しながら、成膜処理室1の圧力が所定の圧力を維持するように制御する。例えば、真空圧力計(図示せず)により成膜処理室1内の圧力を観ながら、排気バルブ5の開口度を調整する事により成膜処理室1内の圧力を所定の真空度になるよう制御する事ができる。成膜処理室1は、常時接地電位に接続されており、この内壁面は接地電極として機能する。被成膜処理基材2に高周波電力を供給する事ができる様、高周波電力供給切替用スイッチ34を高周波電力供給手段35側に切替える。被成膜処理基材2に高周波電力を供給することにより、原料ガスが励起されてプラズマ状態となり、成膜処理室1の内壁と被成膜処理基材2の間にプラズマが生成される。プラズマ化された炭化水素が被成膜処理基材2の表面に打ち込まれ、硬質炭素膜を形成する。
【0115】
上記説明の中では、成膜処理室1内の圧力を制御するために成膜処理室用の排気バルブ5で制御する方法を例に挙げたが、該排気バルブ5は全開状態にした状態で、主排気手段用バルブ12の開口度を制御する事により、複数の成膜処理室1a,1b内の圧力を制御する事が可能である。この場合、圧力制御に用いる真空圧力計(図示せず)は、予備真空室10に備えられている事が好ましい。
【0116】
以上のような工程により、中間層をスパッタ法によりチタン層を、表面層を高周波CVD法により硬質炭素膜を形成する事が可能となる。
【0117】
本実施の形態では、中間層にTiをスパッタ法により成膜した後、高周波CVD法によりDLC層を成膜した例に挙げたのだが、本発明は、成膜方法、成膜工程、膜構造、膜質、基材などに対して全く依存する事無く、応用が可能であり、同様の効果が得られるものである。また、スパッタ法のみや高周波CVD法のみの工程で行う事も可能である。更に、直流電力供給と高周波電力供給を同時に行うことにより混合層や傾斜構造をもつ成膜処理を行う事も可能である。
【0118】
成膜処理終了後、被成膜処理基材2の搬出を行う。まず、各成膜処理室用の排気バルブ5を閉じ、成膜処理室内の圧力を大気圧まで昇圧する。この場合、成膜処理室内壁やターゲットの表面状態に悪影響を及ぼしにくい、窒素(N2)や不活性ガス、例えば、アルゴン(Ar)などを充填して大気圧まで戻すのが好ましい。大気圧まで昇圧した後、搬入/搬出用の蓋9を開放し、被成膜処理基材2の搬出を行う。ここで、搬入出を行っている間に、予備真空室10の真空度を上げるために主排気用バルブ12を開放し、主排気手段11により真空引きを行うと、次サイクルまでのロス時間を短縮する事が可能である。
【0119】
ここで、上記説明では省略したが、成膜処理に先立って、被成膜処理基材2の表面の洗浄工程(ボンバード)やターゲットの表面洗浄(プレスパッタ)などの工程を行う場合が一般的である。これらについて詳しい説明は省略するが、動作的には上記スパッタ法、および、高周波CVD法と同じであり、原料ガスを不活性ガスであるアルゴン(Ar)等を用い、プロセス条件、特に圧力条件をかえて処理を行うものである。
【0120】
(実施の形態2)
以下に、本発明の請求項に記載された発明の良好な第2の実施の形態について、図7を用いて説明する。
【0121】
図7は、(実施の形態1)において各成膜処理室1a、1b毎に備えられている排気バルブ5a、5bのバルブの代替として、排気バルブ14に置換えた構造をとる。構造上、複数の成膜処理室は排気バルブ14近傍で一つの閉空間として繋がっているが、被成膜処理基材およびこれを取巻く成膜処理室内壁(高周波CVD時の接地電極)やスパッタターゲットとの相対位置関係は同等であり、成膜の個体差極小化における優位性は損なわれない。高価である排気バルブの個数を減らす事が可能となる。
【0122】
上記以外の構造、および、動作説明については、(実施の形態1)と基本的に同じであるので説明は省略する。
【0123】
(実施の形態3)
以下に、本発明の請求項に記載された発明の良好な第3の実施の形態について、図8を用いて説明する。
【0124】
図8は、(実施の形態1)における構成に加えて、成膜処理室1からの排気/減圧を高速に行うために第2の排気手段を備えている。
【0125】
21は、第2の排気手段であり、大気圧から動作可能な真空ポンプを備え、例えば、ロータリーポンプが最も一般的に用いられる。23a,23bは第2の排気手段用の排気バルブであり、各成膜処理室毎に備えられている。成膜処理室の容積および内壁表面の総面積が排気時間に大きく関与するために、排気バルブ23a,23bは可能な限り、成膜処理室1a,1bの近傍に配置する事が好ましい。
排気バルブ23a,23bと第2の排気手段21は直接排気経路で接続されてもよいが、さらに好ましくは、この排気経路上に第2の予備真空室22を備えていると好適である。
【0126】
上記以外の構成は、(実施の形態1)と同様の構成である。
【0127】
動作について、以下に説明する。但し、(実施の形態1)と同じ部分は説明を簡略化する。
【0128】
まず、装置の待機状態として主排気手段により予備真空室10を所定の真空度、例えば1×10E−5に減圧し保持するとともに、更に第2の排気手段により第2の予備真空室22内を所定の真空度、例えば、1×10E−2Paになるまで減圧し、保持しておく。
【0129】
また、被成膜処理基材2を成膜処理室内1の基材支持台3a上に移載、把持するために、蓋9a,9bを開けて被成膜処理基材の搬入、把持を行う。
【0130】
次に、第2の排気手段用の排気バルブ23a,23bを開き、第2の排気手段21によって所定の真空度、例えば。1×10E−1Paになるまで真空引きを行う。この時、第2の予備真空室22の容積を成膜処理室1a,1bの容積の総和に対して、100倍の容積であると仮定した場合、第2の排気バルブ23a,23bを開く事によって、短時間で圧力を約1/100にする事が可能である。また、図では、説明のため一つの室としてイメージできるように示しているが、容積や内面積が所定の用件を満たしていれば、配管形状であっても全く同様の効果がある。
【0131】
成膜処理室1a,1b内の真空度が所定の真空度に到達した後、第2の排気バルブ23a,23bを閉じた後、第1の排気バルブ5a、5bを開き、主排気手段によって所定の初期到達真空度まで真空引きを行う。前記同様、成膜処理室1a,1bと予備真空室10の容積比率によって、高速に減圧する事が可能となる。
【0132】
初期到達真空度に達した後、被成膜処理基材2a,2bの成膜処理、成膜処理室1a,1b内の大気圧まで昇圧、被成膜処理基材2a,2bに搬出を実施する。これらについては、(実施の形態1)と全く同様であるので、省略する。
【0133】
(実施の形態4)
以下に、本発明の請求項に記載された発明の良好な第4の実施の形態について、図9を用いて説明する。
【0134】
図9は、(実施の形態3)において各成膜処理室毎に備えられている第2の排気バルブ23a,23bのバルブの代替として、排気バルブ24に共用化して置換えた構造をとる。構造上、複数の成膜処理室1a,1bは排気経路により一つの閉空間として繋がっているが、被成膜処理基材およびこれを取巻く成膜処理室内壁(高周波CVD時の接地電極)やスパッタターゲットとの相対位置関係は同等であり、成膜の個体差極小化における優位性は損なわれない。成膜処理室1a,1b内の総容積および総内面積に関して若干増加するものの、高価なバルブ数を減らすことが可能である。
【0135】
上記以外の構造、および、動作説明については、(実施の形態3)と基本的に同じであるので説明は省略する。
【0136】
(実施の形態5)
以下に、本発明の請求項に記載された発明の良好な第5の実施の形態について、図10を用いて説明する。
【0137】
図10は、(実施の形態4)において各成膜処理室毎に備えられている排気バルブ5a,5bのバルブの代替として、排気バルブ14に置換えた構造をとる。構造上、複数の成膜処理室は排気バルブ14近傍で一つの閉空間として繋がっているが、被成膜処理基材およびこれを取巻く成膜処理室内壁(高周波CVD時の接地電極)やスパッタターゲットとの相対位置関係は同等であり、成膜の個体差極小化における優位性は損なわれない。また、この空間は、(実施の形態4)の排気経路と同等な機能を有する為、総容積および総内面積の不要な増加を排除する観点において、この空間を排気経路として共用する事が望ましい。
【0138】
上記以外の構造、および、動作説明については、(実施の形態5)と基本的に同じであるので説明は省略する。
【0139】
この実施形態によって、高価である排気バルブの個数を減らす事が可能となる。
【0140】
(実施の形態6)
以下に、本発明の請求項に記載された発明の良好な第6の実施の形態について、図11を用いて説明する。
【0141】
図11は、(実施の形態1)において、開閉機能を有する隔壁26、好ましくは、開口径の大きいゲートバルブにより、予備真空室10を2つの異なる予備真空室に分割した構造をとり、各成膜処理室1a,1b側に位置する側の予備真空室を低真空用予備真空室10aとし、主排気手段側に位置する予備真空室を高真空用予備真空室10bとする。さらに低真用予備真空室10aには、第2の排気手段21により排気出来るように構成されている。低真空用予備真空室10aには、第2の排気経路の開閉を行うためのバルブ25が備えられている。バルブ25と第2の排気手段21は直接排気経路で接続されてもよいが、さらに好ましくは、この排気経路上に第2の予備真空室22を備えていると好適である。図では、説明のため一つの室としてイメージできるように示しているが、容積や内面積が所定の用件を満たしていれば、配管形状であっても全く同様の効果がある。
【0142】
また、図には示していないが、(実施の形態2)をもとに、予備真空室10を本実施の形態のように構造変更する事も可能であり、同様な効果が期待できる。
【0143】
上記以外の構造については、(実施の形態1)と基本的に同じであるので説明は省略する。
【0144】
動作について、以下に説明する。但し、(実施の形態1)と同じ部分は説明を簡略化する。
【0145】
装置の待機状態として主排気手段により高真空用予備真空室10bを所定の真空度、例えば1×10E−5に減圧し保持しておく。また、排気バルブ25を開放した状態で、第2の排気手段により低真空用予備真空室10a内を所定の真空度、例えば、1×10E−2Paになるまで減圧し、保持しておく。
【0146】
まず、被成膜処理基材2a,2bを成膜処理室内1a,1bの基材支持台3a、3b上に移載、把持するために、蓋9a,9bを開けて被成膜処理基材の搬入、把持を行う。
【0147】
次に、成膜処理室の排気バルブ5a,5bを開け、成膜処理室内の圧力を低真空用予備真空室10bに開放する事により、短時間で減圧する事が可能である。
【0148】
例えば、成膜処理室1a,1bの容積の総和と予備真空室の容積の比が1:100であれば、バルブ5a,5bを開放するだけで圧力は短時間で1/100に下げることが可能である。さらに減圧するために第2の排気手段21により所定の真空度になるまで排気を行う。主排気手段11で排気可能な所定の真空度、例えば、1×10E2Pa程度になった後、排気バルブ25を閉じてから、予備真空室の隔壁となっているゲートバルブ26を開放し、高真空用予備真空室10bに圧力開放し、減圧を行う。この時、高真空用予備真空室10bの容積が、成膜処理室1a,1bおよび低真空用予備真空室10aの容積の総和に対して、100倍の容積であると仮定した場合、ゲートバルブ26を開く事によって、短時間で圧力を約1/100にする事が可能である。また、図では、説明のため一つの室としてイメージできるように示しているが、容積や内面積が所定の用件を満たしていれば、配管形状であっても全く同様の効果がある。
【0149】
さらに、主排気手段によって所定の初期到達真空度、例えば、1×10E−4Pa、好ましくは、1×10E−5Paまで減圧を行う。これにより、以降の成膜処理を行うに際し、不要ガスを排除する事ができる。成膜条件の内容や成膜すべき膜質の要求仕様により、初期到達真空度は、更に高真空にする必要がある場合もあるし、逆に低真空で良い場合もある。
【0150】
初期到達真空度に達した後、被成膜処理基材2a,2bの成膜処理、成膜処理室1a,1b内の大気圧まで昇圧、被成膜処理基材2a,2bに搬出を実施する。これらについては、(実施の形態1)と全く同様であるので、省略する。
【0151】
以上、本発明の良好な実施の形態における構成ならびに動作について代表的な例を挙げて説明したが、これらは一例に過ぎず、同等機能をもった手段の置換えや実質的に同効果が得られるような動作の変更などは、本発明の請求範囲に属するものである。
【0152】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、成膜処理室に直接搬入さする方式をとり、同一成膜処理室において被成膜処理基材を移動させることなく、減圧工程、複数の成膜処理工程を実施する事を可能とし、1台で成膜処理を完結することが実現できる。さらに、均一性が高く、個体差の少ない、安定した膜質の多数個同時成膜を実現し、これにより、装置全体の規模を小さくする事が可能となり、面積生産性の向上や、設備コストの低減が実現できる。
【0153】
特に、異なる成膜方法、例えば、スパッタ法と高周波CVD法を同一成膜処理室にて行う事ができ、連続して複数の工程を実施することが可能であるので、成膜プロセスの自由度が高くなるという効果がある。
【0154】
また、本発明の成膜処理装置および成膜処理方法により、試作や製品立上初期・生産全盛期・機種切替え末期などの生産量に迅速に対応可能となる。
【0155】
1台あたりを低コスト・小型化できるため、本体部をユニット化し、複数ユニット構成の装置またはラインを構築する事が可能となり、機種切替時間の短縮や複数機種生産などトータルとしての装置稼働率を高くできるメリットがある。研究や試作などの対応にも柔軟に対応可能である。製造業などで多く用いられているセル生産方式への適応可能であるなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を示した模式的な構成図
【図2】本発明に関わる成膜処理装置における成膜処理室の一例を示した模式的な構成図
【図3】本発明に関わる成膜処理装置における成膜処理室の一例を示した模式的な構成図
【図4】本発明に関わる成膜処理装置における成膜処理室の一例を示した模式的な構成図
【図5】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を上部からみた構成(a)、および、下部からみた構成(b)を示した模式的な構成図
【図6】本発明に関わる成膜処理装置における複数ユニットで構成した装置の一例を上部からみた構成(a)、および、下部からみた構成(b)を示した模式的な構成図
【図7】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を示した模式的な構成図
【図8】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を示した模式的な構成図
【図9】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を示した模式的な構成図
【図10】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を示した模式的な構成図
【図11】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を示した模式的な構成図
【符号の説明】
1、1a、1b〜1f:成膜処理室
2、2a、2b〜2f:被成膜処理基材
3、3a、3b〜3f:基材支持台
4、4a、4b〜4f:ガス供給口
5、5a、5b〜5f:排気バルブ
6、6a、6b:電極
7:電流導入端子
8:真空パッキン
9:搬入出用蓋
10:予備真空室
10a:低真空用予備真空室
10b:高真空用予備真空室
11:主排気手段
12:主排気手段用バルブ
13:排気口
14:排気バルブ
15:ガス流量制御手段
16:電力制御手段
17:電源供給手段
18:原料ガス供給手段
21:第2の排気手段
22:粗引き用予備真空室
23、24:粗引き用排気バルブ
26:予備真空室用の隔壁バルブ
27:ガスボンベ
28:バルブ
29:ガス流量制御手段
30:スパッタターゲット
31:磁界形成手段
32:シャッター
33:電流導入端子
34、36:電力供給切替スイッチ
35:高周波電力供給手段
37:直流電力供給手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、減圧された真空状態の成膜処理室において被成膜処理基材の表面に対して成膜処理を施すための成膜処理装置および成膜処理方法に関する技術分野に属し、例えば、機械部品、軸受、刃物、工具、光学部品、磁気記録装置、磁気記録媒体、光学記録装置、光学記録媒体、半導体、光学部品、光触媒製品など用いられる部品表面の成膜処理に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来の成膜装置は、様々な分野において真空下において被成膜処理基材に成膜処理を行なう成膜処理装置および成膜処理方法が利用されている。特に代表的な分野では、半導体製造分野、光学式情報記録ディスク面の成膜処理、磁気記録ディスク面の成膜処理、容器内面のコーティングなどがある。
【0003】
これらの製造工程でよく用いられている第1の製造方法として、枚葉型マルチチャンバシステムがある。この方法は、例えば特許第2688555号や特開平6−267806で開示されるような方式である。装置中心付近に密閉減圧された基板搬送室が配置され、その周囲に複数の処理室およびロードロック室が配置された構造をとる。該装置上流ラインから、成膜処理を行なうために被成膜基材(シリコンウエハ等)が、一旦ロードロック室に搬入され、減圧される。基板搬送室内には、ロードロック室に搬入された被成膜基材を各処理室に搬送させるための搬送手段が設置されている。複数配置されている処理室は、種々の工程に応じた機能をもつチャンバが設置されている。例えば、加熱チャンバ、スパッタチャンバ、CVDチャンバ、冷却チャンバなどの処理室がある。所定のプロセス条件を満たすべく各処理室および搬送手段が適切に制御されるように構成されており、各処理完了後にロードロック室より被成膜基材を搬出する。被成膜処理基材は、ウエハ一枚毎でも可能であるし、ホルダに固定し、多数個同時処理する事も可能である。装置の内部全体が真空状態に保たれており、非常に強力な大型の真空ポンプ備えられている。
【0004】
第2の代表的な従来の製造方法として、インライン型マルチチャンバシステムがある。例えば、特開平8−7268に公開されているような製造方法であり、各処理室が直線状に配置され、その中をホルダに固定された被成膜処理基材が順次搬送され、成膜処理を施される。被成膜処理基材はライン上流側に位置するロードロック室から搬入され、所定の真空度まで減圧された後、以降の各処理室に搬送される。各プロセス条件に従って処理が行なわれる。各処理室は、例えば、スパッタチャンバ、CVDチャンバ、冷却チャンバ、バッファチャンバなどである。この方法においても装置全体が所定の真空度に減圧されており、非常に強力な大型の真空ポンプが備えられている。
【0005】
第3の代表的な従来の製造方法としてペットボトルなどの容器内面に成膜するための成膜方法がある。例えば、特許第3115252号で開示されているような成膜方法であり、容器1本が丁度収まるように構成された成膜処理室がサークル状に多数配置されており、全体が回転しながら、被成膜容器の搬入、真空引き、洗浄、CVD成膜処理、大気圧開放、搬出を連続的に行なう。各成膜処理室は、容器外側を包む真空室壁面を一方の電極とし、容器の中に挿入してある原料ガス供給口を兼ねた棒状の電極から構成される。複数ある成膜処理室は、数個づつグループ化され、各グループ毎に、電源、原料ガス供給経路、排気経路の共用化が図られている場合もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術では、シリコンウエハ、CD、DVD、ペットボトルなど形状や大きさが標準規格に合致しているような製品を非常に高い生産性で処理することを目的としている処理方法であり、非常に高いスループットを実現する事が可能である。しかしながら、装置全体として装置規模が大きくなるという短所がある。例えば、従来技術の代表例としてあげた第1、第2の処理方法ではロードロック室、基板搬送室などの成膜処理室以外の周辺機能部分が大きく、また、これらの配置に関しても制約条件があり、装置の占有面積が大きくなってしまう。また、大きな装置全体の内部を所定の真空度に保つためには非常に強力な大きい排気手段を必要とする。さらに、メンテナンス等からの復帰時装置立上までに真空引きに要する時間が非常に長くなってしまう。また、個々の成膜処理室では、所定のプロセス条件で成膜処理するために独立のターボポンプを使用されている。
【0007】
第3の従来例では、成膜処理室はペットボトル専用に構成され比較的シンプルな構造をしているが、これらを回転させる機構、搬入、搬出、原料ガス供給、電力供給など共通部分の構造が複雑かつ規模が大きく、装置全体としては占有面積が大きく複雑な装置となってしまう課題がある。
【0008】
全ての従来技術例に共通していえる事であるが、生産性の優劣に関わらず、共用する部分が必要かつ規模が大きくなり、たとえ装置の生産能力を犠牲にしても、共有機能の部分は必要であり、装置全体の規模や占有面積は極端に小さくはならない。逆に、生産性は、装置全体の構成に関わる要素が大きく、生産性を向上させるためには、大規模な装置全体の構成変更がともなうい容易な事ではない。
【0009】
即ち従来技術による成膜方法では、規格製品などの小品種大量型の成膜処理方法としては優れているが、多品種少量生産には向いていない。今日の市場要求として、商品寿命の短縮、多品種化により、多品種小ロット生産および垂直立上げの要求が強くなっている。また、規格製品ではない被成膜基材や、従来まで表面の成膜処理を施していなかった部材など、多分野にわたる製品に成膜処理を応用されるようになってきている。また、必要とされる膜自体の構成も複雑な多層膜だけではなく、DLCなどの保護膜や下地層、中間層を含む2〜3層の比較的単純な膜構造のものも多くなってきている。
【0010】
こうした背景の中で、本発明の目的は、装置規模を非常に小さくし、面積生産性、設備コストを抑えるための成膜処理方法を実現する事である。具体的には、装置内に被成膜基材の搬送手段を備えず、成膜処理室に直接搬入出させる方式をとり、同一成膜処理室において被成膜基材を移動させることなく、複数工程の成膜処理を施すことにより、該成膜処理室とこれに必要な原料ガス供給手段、電力供給手段、排気手段を備えた成膜処理装置および成膜処理方法を実現する事である。
【0011】
本発明によれば、該目的を実現できると共に、試作や製品立上初期・生産全盛期・機種切替え末期などの生産量に応じて装置稼動台数を増減させる事により容易に調整できる。
【0012】
一般的に、1台あたりを低コスト・小型化した装置を複数台備えたラインにおいては、機種切替時間の短縮や複数機種生産などメリットが大きい。研究や試作などの対応にも柔軟に対応可能である。製造業などで多く用いられているセル生産方式への適応可能性も十分に備えている。ここで、セル生産方式とは、1人または少数の作業者が、複数の装置や計測器などを操作することにより、一連の複数工程をこなし、少量多品種の生産性を高める事のできる生産形態の事をいう。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の成膜処理方法は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを用い、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理方法であって、
該成膜処理室から排気を行うための排気手段までの排気経路上に備えられた少なくとも1室以上の予備真空室を用いて排気を行う排気工程と、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてある少なくとも2組以上の成膜室を用いて、複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう成膜処理工程とを行う事を特徴とする成膜処理方法である。
【0014】
また、好ましくは、各々の該成膜処理室に接続されているガス供給経路のコンダクタンス、および、排気経路のコンダクタンスが実質的に同等になるように構成されているガス供給経路および排気経路を用いて、複数備えられた前期成膜処理室に供給する原料ガス量を均一化する事を特徴とする成膜処理方法である。
【0015】
さらに好ましくは、各々の成膜処理室毎に供給されるガス量を個々に制御する事ができるガス流量制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎に供給される供給電力を個々に制御する事ができる電力制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎の真空圧力を個々に制御する事ができる真空圧力制御手段のうちいずれかひとつ、好ましくは、二つ以上の組合せの制御手段を用いて、被成膜処理基材表面に成膜される薄膜の膜質および膜厚を均一化する事を特徴とする成膜処理方法である。
【0016】
本発明によれば、高速な排気が可能となり、成膜処理室に直接搬入出させる方式が可能となり、同一成膜処理室において被成膜処理基材を移動させることなく、減圧工程、複数の成膜処理工程を実施する事をでき、1台で成膜処理を完結することが実現できる。さらに、均一性が高く、個体差の少ない、安定した膜質の多数個同時成膜を実現することができる。これにより、装置全体の規模を小さくする事が可能となり、面積生産性の向上や、設備コストの低減が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の成膜処理装置は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを備え、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理装置であって、
複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を備え、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてあり、さらに、該成膜処理室から排気を行うための排気手段までの排気経路上に少なくとも1室以上の予備真空室を備える事を特徴としたものである。
【0018】
これにより、1台の装置にて同時に複数の成膜処理を行う事が可能であり、さらに、予備真空室を用いて排気効率を高めることにより、排気に要する時間を短縮する事が可能であるため、非常に面積生産性を実現する事が可能となる。また、各の構成部材が同様な構成および配置がなされているために、個体差が非常に少なく、膜質のばらつきを最小限に押さえることが可能であるという作用を有する。
【0019】
本発明の請求項2に記載の成膜処理装置は、請求項1記載の成膜処理装置において、前期被成膜処理基材1基材毎に前記成膜処理室が構成されている事を特徴とするものである。
【0020】
これにより、成膜処理室内の構成部材の形状や配置を1つの被成膜処理基材に最適化する事が可能であり、被成膜処理基材の部位による膜質や膜厚の差を少なく抑えることができるという作用を有する。特に、シャフトやスリーブのような円筒形状等の複雑な形状である部材の円筒表面や円筒内面などを成膜処理する場合、電極やターゲットの形状および配置が非常に重要となり、この要素により均一性の優劣が決定されるといっても過言ではなく、これらの自由度を高く有する本発明により、個体における均一性を非常に高くする事が可能である。
【0021】
本発明の請求項3に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至2記載の成膜処理装置において、前記被成膜処理基材の搬入出工程、減圧工程、成膜処理工程が、複数個の被成膜基材全てに対して実質的に同時に行う事を特徴とするものである。
【0022】
これにより、各工程毎の独立性を高く保つ事を実現でき、各工程に要する時間、成膜処理を施す際の真空度、供給電力、原料ガス供給量などの条件の自由度を高める事が可能となる作用を有している。この作用により、最適な成膜プロセス条件で工程を行うことができ、非常に良好な膜質を、高い生産性で行う事が可能となる。
【0023】
本発明の請求項4に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至3記載の成膜処理装置において、前期成膜処理室に前期被成膜基材の搬入出するための開閉可能な搬入出口を備え、大気圧下で前期被成膜処理基材の搬入出を行う事を特徴とするものである。
【0024】
これにより、ロードロック室を必要とせず、装置全体の小型化および設備コスト抑制を実現でき、面積生産性を非常に高くする事を実現できるという作用を有する。また、被成膜処理基材の搬入出工程を含んだ意味での装置の完結性、独立性が高くなり、試作やプロセス検証を容易に行う事が可能となり、新規機種の立上げ、切替時間の短縮が可能となる。さらに、インライン設備としては言うまでもなく、バッチ用途としての構成に最適な構成となり、セル生産方式への適応性を備える。
【0025】
本発明の請求項5に記載の成膜処理装置は、請求項4記載の成膜処理装置において、前期被成膜処理基材の搬入出を行うに際して、成膜処理室内に窒素または不活性ガスを充填された状態で搬入出を行う事を特徴とするものである。
【0026】
これにより、成膜処理室内構成部材やターゲット等の水蒸気や不要ガスにより汚染や酸化、金属表面での不要ガスの吸着を防ぐことができるという作用を有する。この作用により、成膜工程において不要ガスの残留を防ぎ、良好な膜質の維持が可能となる。特に、ターゲットの酸化や不要ガス吸着は、膜質や膜構造の機械的特性への影響が非常に顕著であり、これを防止することが可能でる。また、真空引きを安定して良好な条件を維持することができ、真空引き時間の延長を防止するという効果がある。
【0027】
本発明の請求項6に記載の成膜処理装置は、請求項4乃至5記載の成膜処理装置において、前期被成膜処理基材の搬入出を行うに際して、前期成膜処理室の周辺雰囲気が窒素または不活性ガスの雰囲気下で搬入出を行う事を特徴とするものである。
【0028】
これにより、成膜処理室内構成部材やターゲット等の水蒸気や不要ガスにより汚染や酸化、金属表面での不要ガスの吸着を防ぐ事をさらに確実に行うことができるという作用を有する。
【0029】
本発明の請求項7に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至6記載の成膜処理装置において、前記予備真空室が実質的に真空度の異なる少なくとも2室以上の予備真空室で構成されている事を特徴とするものである。
【0030】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0031】
本発明の請求項8に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至7記載の成膜処理装置において、成膜処理室を真空粗引きするための第2の排気手段を備える事を特徴とするものである。
【0032】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0033】
本発明の請求項9に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至7の成膜処理装置において、前記成膜処理室の容積の総和に対して、前記予備真空室の容積が100倍以上である事を特徴とするものである。
【0034】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0035】
本発明の請求項10に記載の成膜処理装置は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを備え、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理装置であって、
複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を備え、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてあり、各々の該成膜処理室に接続されているガス供給経路のコンダクタンス、および、排気経路のコンダクタンスを実質的に同等になるように構成されている事を特徴とするものである。
【0036】
これにより、各の構成部材が同様な構成および配置がなされている成膜処理室において同時に成膜処理を実施する際に、最も簡単な構成により、原料ガスの供給量および成膜圧力を均一化する事が可能であり、膜質のばらつきを最小限に抑え、均一性を非常に高くすることが可能であるという作用を有する。
【0037】
本発明の請求項11に記載の成膜処理装置は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを備え、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理装置であって、
複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を備え、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてあり、各々の成膜処理室毎に供給されるガス量を個々に制御する事ができるガス流量制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎に供給される供給電力を個々に制御する事ができる電力制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎の真空圧力を個々に制御する事ができる真空圧力制御手段のうちいずれかひとつ、好ましくは、二つ以上の組合せの制御手段を備える事を特徴とするものである。
【0038】
これにより、各の構成部材が同様な構成および配置がなされている成膜処理室において同時に成膜処理を実施する際に、原料ガスの供給量、成膜圧力、供給電力を制御する事により、膜質のばらつきを最小限に抑え、均一性を非常に高くすることが可能であるという作用を有する。特に、制御できないパラメータによる膜質や特性のわずかな差を、制御可能なパラメータを補正的に制御する事により、結果として個体差が少なく、極めて均一性の高い成膜処理を行う事が可能となる。
【0039】
本発明の請求項12に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至11記載の成膜処理装置において、少なくとも中間層を成膜処理する工程と表面層を成膜処理する工程を同一の成膜処理室にて行う事を特徴とするものである。
【0040】
これにより、被成膜処理基材を把持しなおしたり、別の成膜処理室に搬入出を行う必要が無く、これに掛かる時間を短縮する事が可能であり、生産性を高めることができるという作用を有する。また、成膜処理室を工程毎に備える必要がなく、数を最小限に抑える事ができ、装置全体として小型化が可能となる。
【0041】
本発明の請求項13に記載の成膜処理装置は、請求項1乃至11記載の成膜処理装置において、少なくとも2種類以上の成膜工法を、同一の成膜処理室にて行うことが可能である事を特徴とするものである。
【0042】
これにより、各工程の自由度が非常に高くする事が可能であり、特に、成膜工法による制限がないという条件下で、成膜処理工程の最適化が実現できるという作用を有する。
【0043】
本発明の請求項14に記載の成膜処理装置は、請求項12乃至13記載の成膜処理装置において、各々の成膜処理室内にスパッタターゲットを備え、前記ガス供給手段に少なくともスパッタ用原料ガスおよびCVD用原料ガスの2種類のガスを供給できるガス供給手段を備え、同一成膜処理室においてスパッタ法による成膜およびCVD法による成膜が選択的に、若しくは、複合的に成膜処理可能である事を特徴とするものである。
【0044】
これにより、成膜工法の中でも一般的に良く用いられ、良好な成膜を実現できるスパッタ工法および高周波CVD工法による成膜処理が実現可能であり、多層成膜構造にて成膜する際に各層において最適な成膜工法を選択できるという作用を有する。また、スパッタ工法と高周波CVDを複合的に用いることにより、膜中の成分組成や含有率を段階的または連続的に変化させるような、混合層や傾斜構造層を形成させる事が可能となる。
【0045】
本発明の請求項15に記載の成膜処理装置は、請求項14記載の成膜処理装置において、前記被成膜基材の表面にスパッタ法により中間層を形成させた後、CVD法により硬質炭素膜層を形成させる事を特徴とするものである。
【0046】
これにより、例えば、シャフト、スリーブ、軸受け、ベアリングなど機械部材のうち、摺動や回転時における低摩擦、耐摩耗性の高い成膜処理が必要とされる部材を製造することができるという作用を有する。
【0047】
本発明の請求項16に記載の成膜処理方法は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを用い、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理方法であって、
該成膜処理室から排気を行うための排気手段までの排気経路上に備えられた少なくとも1室以上の予備真空室を用いて排気を行う排気工程と、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてある少なくとも2組以上の成膜室を用いて、複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう成膜処理工程とを行う事を特徴とするものである。
【0048】
これにより、1台の装置にて同時に複数の成膜処理を行う事が可能であり、さらに、予備真空室を用いて排気効率を高めることにより、排気に要する時間を短縮する事が可能であるため、非常に面積生産性を実現する事が可能となる。また、各の構成部材が同様な構成および配置がなされているために、個体差が非常に少なく、膜質のばらつきを最小限に押さえることが可能であるという作用を有する。
【0049】
本発明の請求項17に記載の成膜処理方法は、請求項16記載の成膜処理方法において、前期被成膜処理基材1基材毎に構成されている前記成膜処理室を用いて成膜処理を行う事を特徴とするものである。
【0050】
これにより、成膜処理室内の構成部材の形状や配置を1つの被成膜処理基材に最適化する事が可能であり、被成膜処理基材の部位による膜質や膜厚の差を少なく抑えることができるという作用を有する。特に、シャフトやスリーブのような円筒形状等の複雑な形状である部材の円筒表面や円筒内面などを成膜処理する場合、電極やターゲットの形状および配置が非常に重要となり、この要素により均一性の優劣が決定されるといっても過言ではなく、これらの自由度を高く有する本発明により、個体における均一性を非常に高くする事が可能である。
【0051】
本発明の請求項18に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至17記載の成膜処理方法において、前記被成膜処理基材の搬入出工程、減圧工程、成膜処理工程が、複数個の被成膜基材全てに対して実質的に同時に行う事を特徴とするものである。
【0052】
これにより、各工程毎の独立性を高く保つ事を実現でき、各工程に要する時間、成膜処理を施す際の真空度、供給電力、原料ガス供給量などの条件の自由度を高める事が可能となる作用を有している。この作用により、最適な成膜プロセス条件で工程を行うことができ、非常に良好な膜質を、高い生産性で行う事が可能となる。
【0053】
本発明の請求項19に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至18記載の成膜処理方法において、前期成膜処理室に前期被成膜基材の搬入出するための開閉可能な搬入出口を用い、大気圧下で前期被成膜処理基材の搬入出を行う事を特徴とするものである。
【0054】
これにより、ロードロック室を必要とせず、装置全体の小型化および設備コスト抑制を実現でき、面積生産性を非常に高くする事を実現できるという作用を有する。また、被成膜処理基材の搬入出工程を含んだ意味での装置の完結性、独立性が高くなり、試作やプロセス検証を容易に行う事が可能となり、新規機種の立上げ、切替時間の短縮が可能となる。さらに、インライン設備としては言うまでもなく、バッチ用途としての構成に最適な構成となり、セル生産方式への適応性を備える。
【0055】
本発明の請求項20に記載の成膜処理方法は、請求項19記載の成膜処理方法において、前期被成膜処理基材の搬入出を行うに際して、成膜処理室内に窒素または不活性ガスを充填された状態で搬入出を行う事を特徴とするものである。
【0056】
これにより、成膜処理室内構成部材やターゲット等の水蒸気や不要ガスにより汚染や酸化、金属表面での不要ガスの吸着を防ぐことができるという作用を有する。この作用により、成膜工程において不要ガスの残留を防ぎ、良好な膜質の維持が可能となる。特に、ターゲットの酸化や不要ガス吸着は、膜質や膜構造の機械的特性への影響が非常に顕著であり、これを防止することが可能でる。また、真空引きを安定して良好な条件を維持することができ、真空引き時間の延長を防止するという効果がある。
【0057】
本発明の請求項21に記載の成膜処理方法は、請求項19乃至20記載の成膜処理方法において、前期被成膜処理基材の搬入出を行うに際して、前期成膜処理室の周辺雰囲気が窒素または不活性ガスの雰囲気下で搬入出を行う事を特徴とするものである。
【0058】
これにより、成膜処理室内構成部材やターゲット等の水蒸気や不要ガスにより汚染や酸化、金属表面での不要ガスの吸着を防ぐ事をさらに確実に行うことができるという作用を有する。
【0059】
本発明の請求項22に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至21記載の成膜処理方法において、前記成膜処理室の不要ガスを排出するために減圧する際に、真空粗引きを行なうための第1の排気工程と、所定の初期到達真空度になるまで真空度を高めるための第2の排気工程により減圧を行なう事を特徴とするものである。
【0060】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0061】
本発明の請求項23に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至22記載の成膜処理方法において、前記予備真空室として実質的に真空度の異なる少なくとも2室以上の予備真空室を用い、第1の排気工程では、2つの該予備真空室のうち真空度が比較的低い側の該予備真空室を経由して排気を行い、第2の排気工程では、真空度が比較的高い側の該予備真空室を経由して排気を行なう事を特徴とするものである。
【0062】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0063】
本発明の請求項24に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至22記載の成膜処理方法において、成膜処理室を真空粗引きするに際し、前記予備真空室を経由せずに排気を行う事ができる第2の排気手段を用いて排気を行う第1の排気工程と、前期予備真空室を用いてさらに高真空状態まで真空引きを行う第2の排気工程により排気を行う事を特徴とするものである。
【0064】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0065】
本発明の請求項25に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至24の成膜処理方法において、前記成膜処理室の容積の総和に対して、容積が100倍以上である前記予備真空室を用いる事を特徴とするものである。
【0066】
これにより、成膜処理室の真空引きにおいて、更に排気効率をあげる事が可能であり、排気時間を短縮する事によって、生産性を向上させることができるという作用を有する。
【0067】
本発明の請求項26に記載の成膜処理方法は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを用い、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理方法であって、
該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置された、複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を用い、各々の該成膜処理室に接続されているガス供給経路のコンダクタンス、および、排気経路のコンダクタンスが実質的に同等になるように構成されているガス供給経路および排気経路を用いて、複数備えられた前期成膜処理室に供給する原料ガス量を均一化する事を特徴とするものである。
【0068】
これにより、各の構成部材が同様な構成および配置がなされている成膜処理室において同時に成膜処理を実施する際に、最も簡単な構成により、原料ガスの供給量および成膜圧力を均一化する事が可能であり、膜質のばらつきを最小限に抑え、均一性を非常に高くすることが可能であるという作用を有する。
【0069】
本発明の請求項27に記載の成膜処理方法は、減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを用い、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理方法であって、
該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置された、複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を用い、各々の成膜処理室毎に供給されるガス量を個々に制御する事ができるガス流量制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎に供給される供給電力を個々に制御する事ができる電力制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎の真空圧力を個々に制御する事ができる真空圧力制御手段のうちいずれかひとつ、好ましくは、二つ以上の組合せの制御手段を用いて、被成膜処理基材表面に成膜される薄膜の膜質および膜厚を均一化する事を特徴とするものである。
【0070】
これにより、各の構成部材が同様な構成および配置がなされている成膜処理室において同時に成膜処理を実施する際に、原料ガスの供給量、成膜圧力、供給電力を制御する事により、膜質のばらつきを最小限に抑え、均一性を非常に高くすることが可能であるという作用を有する。特に、制御できないパラメータによる膜質や特性のわずかな差を、制御可能なパラメータを補正的に制御する事により、結果として個体差が少なく、極めて均一性の高い成膜処理を行う事が可能となる。
【0071】
本発明の請求項28に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至27記載の成膜処理方法において、少なくとも中間層を成膜処理する工程と表面層を成膜処理する工程を同一の成膜処理室にて行う事を特徴とするものである。
【0072】
これにより、被成膜処理基材を把持しなおしたり、別の成膜処理室に搬入出を行う必要が無く、これに掛かる時間を短縮する事が可能であり、生産性を高めることができるという作用を有する。また、成膜処理室を工程毎に備える必要がなく、数を最小限に抑える事ができ、装置全体として小型化が可能となる。
【0073】
本発明の請求項29に記載の成膜処理方法は、請求項16乃至27記載の成膜処理方法において、少なくとも2種類以上の成膜工法を、同一の成膜処理室にて行うことが可能である事を特徴とするものである。
【0074】
これにより、各工程の自由度が非常に高くする事が可能であり、特に、成膜工法による制限がないという条件下で、成膜処理工程の最適化が実現できるという作用を有する。
【0075】
本発明の請求項30に記載の成膜処理方法は、請求項28乃至29記載の成膜処理方法において、各々の成膜処理室内にスパッタターゲットを備え、前記ガス供給手段に少なくともスパッタ用原料ガスおよびCVD用原料ガスの2種類のガスを供給できるガス供給手段を備え、同一成膜処理室においてスパッタ法による成膜およびCVD法による成膜が選択的に、若しくは、複合的に成膜処理可能である事を特徴とするものである。
【0076】
これにより、成膜工法の中でも一般的に良く用いられ、良好な成膜を実現できるスパッタ工法および高周波CVD工法による成膜処理が実現可能であり、多層成膜構造にて成膜する際に各層において最適な成膜工法を選択できるという作用を有する。また、スパッタ工法と高周波CVDを複合的に用いることにより、膜中の成分組成や含有率を段階的または連続的に変化させるような、混合層や傾斜構造層を形成させる事が可能となる。
【0077】
本発明の請求項31に記載の成膜処理方法は、請求項30記載の成膜処理方法において、前記被成膜基材の表面にスパッタ法により中間層を形成させた後、CVD法により硬質炭素膜層を形成させる事を特徴とするものである。
【0078】
これにより、例えば、シャフト、スリーブ、軸受け、ベアリングなど機械部材のうち、摺動や回転時における低摩擦、耐摩耗性の高い成膜処理が必要とされる部材等を製造することができ、良好な摺動特性、耐摩耗性を実現できるという作用を有する。
【0079】
本発明の請求項32に記載の成膜処理さらた部材は、請求項1乃至15記載のいずれかの成膜処理装置、若しくは、請求項16乃至31記載のいずれかの成膜処理方法により成膜処理されたものである。
【0080】
これにより、良好な摺動特性、耐摩耗性を備えた部材を用いる事により、高精度で、信頼性が非常に高く、耐久性に優れた、
本発明の請求項33に記載の製品は、請求項32記載の部材を用いたものである。
【0081】
これにより、良好な摺動特性、耐摩耗性を備えた部材を用いる事により、高精度で、信頼性が非常に高く、耐久性に優れた製品を実現できるという作用がある。
また、摩擦係数が安定して低い特徴があり、製品の手動部、回転部を作動させるための駆動力が小さくてすむ為に、小型化、低消費電力化に大きく貢献できるという作用も兼ねて備える。
【0082】
(実施の形態1)
以下に、本発明の請求項に記載された発明の良好な実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0083】
図1は、本発明における成膜処理装置の主要部の構成を示したものである。
【0084】
1a,1bは、成膜処理室を示している。成膜処理室の容積および内面積は、真空引き時間を大きく支配する要素となり、可能な限り容積および内面積は小さい事が好ましい。
【0085】
成膜処理室1a,1b内には、被成膜処理基材2a,2bを設置するつための基材支持台3a、3bが設けられている。4a,4bは、ガス供給口であり、成膜処理に必要な原料ガスやスッパタ用ガスなどが供給できるようになっている。
【0086】
5a、5bは、排気バルブであり、これを開閉する事により、成膜処理室の排気を行う事が出来る。特に、原料ガスを供給しながら、真空処理室の圧力を測定しながら所定の圧力になるように制御して成膜処理を行う場合には、排気バルブの開口面積を制御する事の出来るコンダクタンスバルブやゲートバルブが好ましい。
【0087】
6a,6bは、被成膜処理基材に対して成膜に必要な電力を供給できるよう接続された電極であり、真空中での異常放電が発生しないように、電流導入端子7a,7bを介して適切に構成されている。
【0088】
成膜処理室1a,1bの一端には、被成膜処理基材の搬入出用の開口が設けられており、成膜処理時において真空処理室を密閉でき、所定の真空度を保てるような開閉可能な蓋9aが備えられている。図中では、蓋9aと真空パッキン8aによる構成を示しているが、ゲートバルブなどを用いる事も可能である。また、図に示す部分に限らず、別の部位が着脱でき、例えば成膜処理室全体が図中の上方向に分離できる構造となっていても構わない。搬入出動作を移載用ロボット等で移載する事を前提とした場合、複数ある成膜処理室の搬入出用の開口は、同一方向に開いていることが好ましく、本例の図では、装置上方に該開口があり、被成膜処理基材は、垂直上下方向に搬入出が行われるように構成している。
【0089】
10は、予備真空室であり、本装置稼働中は、常時所定の真空度以下になるよう真空状態を保持している。図では、説明のため一つの室としてイメージできるように示しているが、容積や内面積が所定の用件を満たしていれば、配管形状であっても全く同様の効果がある。
【0090】
11は、主排気手段としての真空ポンプであり、例えば、ターボ分子ポンプ、ロータリーポンプ、クライオポンプ、油拡散ポンプ、イオンポンプなどを用いる事が可能である。使用する真空ポンプの特性により動作可能な圧力範囲があり、粗引き用の副真空ポンプ(図示せず)および切替用バルブ(図示せず)を併用する事が一般的である。主排気手段11の予備真空室側には主排気手段用バルブ12が設けられている。
【0091】
成膜処理室1a,1b、予備真空室10、および配管類の内壁は、電解研磨処理やベーキング処理などを施し、高真空時におけるガス放出量の低減対策を行っておくのが好ましい。到達真空度の維持、真空引き時間の短縮のためには、定期的にベーキングを行うのが好ましく、ヒーターなどベーキング手段(図示せず)を備えるのが好ましい。
【0092】
図2、図3、図4は、本発明における成膜処理装置の成膜処理室を詳しく示した図である。特に、被成膜処理基材2の形状や成膜処理を施す面によって、成膜処理室1の構造が異なる。
【0093】
図2は、被成膜処理基材2の形状が、シャフトなどの円筒形状である基材の円筒表面に成膜処理を行うのに好適な成膜処理室の一例である。成膜処理室1の概略形状は円筒形状の真空容器を基本とした構造が好適であるが、他の形状でも問題はない。被成膜処理基材2は、円筒形状である成膜処理室の中心軸線上に配置されるのが好ましい。これを把持できるように基材支持台3が備えらている。基材支持台3には、電極が備えられており、被成膜処理基材2を把持した状態で電極と適切に接続される構造となっている。電極は、真空中で異常放電やリークが発生しない様にセラミックスなどの絶縁材料で適切に絶縁処理をほどこされる事が望ましい。電極は成膜処理室外部より高周波電力を供給できるように電流導入端子7を介して電力供給切替スイッチに接続され、高周波電力供給手段35または接地電位に切り替える事が出来るようになっている。図中には示していないが、電力供給手段の中には、マッチングボックスやブロッキングコンデンサなど適切に電力供給を行う為の各構成要素が含まれている。また、図1では、電力制御手段16a,16bに接続されているが、電力供給手段17a、17b(高周波電源35も含む)の中で供給電力自体を制御するのでも同様の効果がある。被成膜処理基材2を中心として同心円筒上に円筒形状のスパッタ用ターゲット30が配置している。ターゲットは、被成膜処理基材側の電極とは別の電極に接続され、電流導入端子33を介して電力供給切替スイッチ36に接続され、直流電力供給手段37に接続されるか、もしくは、接地電位に接続されるように切り替える事ができるようになっている。ターゲットの背面、すなわち、外側に図のように磁界形成手段31を備える。例えば、永久磁石や電磁石を用いる事が可能であるが、磁界を形成する手段であれば手段でも同様の効果が得られる。磁界形成手段31は、ターゲット30の背面またはバッキングプレート(図示せず)に取付ける事も可能である。ターゲット表面上にトンネル状の磁界を形成することによりターゲット30表面近傍のプラズマ密度を上げる事が出来、スパッタレートを高くし、成膜速度を速くする事が可能となる。
【0094】
ターゲット30と被成膜処理基材2の間に、移動可能な円筒状のシャッター32が備えてある。直線導入器(図示せず)などに取付られて、スパッタ法による成膜工程の場合には、完全に待避した状態になって作用を及ぼさず、スパッタ以外の工法、例えばCVD法等によって成膜処理を行う場合には、ターゲット30の表面の汚染を防止すると共に、成膜処理室1の内壁と等電位、すなわち、接地電位の電極として機能するものである。
【0095】
4は原料ガスやスッパッタ用ガスを成膜処理室1内に供給するためのガス供給口である。このガス供給口4は、原料ガス供給手段18に接続されている。図1中に示す原料ガス供給手段18は、ほんの一例に過ぎず、被成膜処理の種類、膜質、成膜プロセスなどに応じて、適切な原料ガスおよび構造をとる必要がある。一般的には、図のような、貯蔵用のガスボンベ27、ガスを切替え、または、混合のためのバルブ28、ガス流量を制御する事の出来るガス流量制御手段29から構成され、各ガス種毎に備えれられている。ガス流量制御手段29には、例えば、マスフローコントローラー等を使用する事が可能である。図中では、常温気体の原料ガスでガスボンベを備える構成で示しているが、常温液体、常温個体の原料ガスを使用する事も可能であるが、この場合には、貯蔵形態、構造が異なる他、気化装置の必要性、再液化や再個体化を防止する対策手段が必要となる。(図示せず)
成膜処理室1には排気バルブ5が備えられ、開閉する事により、成膜処理室1内のガスを排気する事ができる。全開および全閉のみできる開閉バルブでも良いが、任意位置で開口度を調整できるコンダクタンスバルブやゲートバルブが好ましい。また、ガス供給口4と排気バルブ5の配置は、ガスの流れの経路上に被成膜処理基材が配置されるようにし、被成膜処理基材2に対して成膜面全体が均等にガス拡散できるような配置が望ましい。
【0096】
成膜処理室1の一部には、被成膜処理基材2を外部より搬入出可能な搬入出口が備えられ、成膜処理工程中は、所定の真空度に減圧できるように、真空パッキン8を介して、蓋9が備えられている。
【0097】
本発明は、大気圧下から成膜室を減圧する特徴があり、成膜処理室1の容積および内面積が大きく影響する。このため、容積および成膜処理室内面の総表面積を可能な限り小さくする事が望ましい。
【0098】
図3は、被成膜処理基材2の形状がプレート状の平面である場合において、その表面に成膜処理を行うのに好適な成膜処理室の一例である。基本的な構造は、図2で説明した被成膜処理基材2が円筒状表面の場合と同等であり、被成膜処理基材の成膜処理面に合せて、ターゲットの形状および配置、シャッターの形状および配置、また、これらに関連する構成要素の形状および配置が異なるだけである。図3の例では、基材支持台3上にプレート状の被成膜処理基材1を把持し、この上面の成膜処理を行う。ターゲット30は、該成膜処理面に対向するように配置されており、その背面側に磁界形成手段31を備えている。また、シャッター32は、ターゲット30と被成膜処理基材2間を図中の矢印のように摺動し、ターゲット30の表面を覆ったり、開放する事が可能となるよう備えられている。上記以外は、図2と同様であるので説明は省略する。
【0099】
図4は、被成膜処理基材2の形状がハブ、軸受け、スリーブなどの円筒形状である場合において、その内面に成膜処理を行うのに好適な成膜処理室の一例を示している。基材支持台3上に円筒形状の被成膜処理基材1を把持し、この内面の成膜処理を行う。ターゲット30は、棒状もしくは円筒状の形状とし、被成膜処理基材2の中に挿入された位置に備えられる。被成膜処理基材2の中心軸とターゲット30の中心軸が同心軸となるように配置されるのが好ましい。さらに、ターゲット30の円筒内部には、磁界形成手段31が備えられている事が望ましい。また、シャッター32は、円筒形状であり、ターゲット30と被成膜処理基材2間を図中の矢印のように摺動し、ターゲット30の表面を覆ったり、開放する事が可能となるよう備えられている。被成膜処理基材の外側を成膜しない場合には、基材支持台の形状の工夫(図示せず)や、防着板(図示せず)の配置などをするとよい。上記以外は、図2と同様であるので説明は省略する。
【0100】
図5(a)は、本発明における成膜処理装置本体を上側からみた構成の一例を示したものである。
成膜処理室1a〜1fは図のように本体中心として円周上に配置されている。本実施例では、6室の成膜処理室1a〜1fを示しているが、個数に特に制限はない。原料ガス供給手段18から供給される原料ガスは、装置中心付近まで配管で接続される。各成膜処理室1a〜1fまでの配管経路は、装置中心から放射状に配置され、配管長、配管径、配管形状(取り回し)がほぼ同様にすることが可能となる。その結果、供給経路のコンダクタンスの均一化を実現する事が可能であり、成膜処理の膜質、膜厚の均一化が実現できる。これは一例に過ぎず、コンダクタンスを同等にした構成であれば、本実施例の配置、配管経路に限るものではない。
【0101】
また、各ガス供給経路において、望ましくは、15a〜15fのようなガス流量制御手段を備えると好適である。これにより、個々の成膜処理室1a〜1fに供給する原料ガスの供給量を個別に調整または制御することができる。例えば、マスフローコントローラーのように可変制御できるものが好ましいが、コンダクタンスバルブ等でも構わない。また、オリフィスのように意図的にコンダクタンスの支配的要因を設け、これを調整する事により、コンダクタンスを均一化させることが可能であり、成膜処理の膜質、膜厚の均一化が実現できる。
【0102】
16a〜16fは、電力制御手段であり、例えば、L、C、Rのいずれか、または、組合せにより構成され、パラメーターを可変する事により、個々の成膜処理室1a〜1fに供給する電力を制御する事が可能となる。図5(a)および(b)には、電力供給に関連する構成要素(34〜37)、原料ガス供給手段18は省略している。
図5(b)は、本発明における成膜処理装置本体を下側からみた構成の一例を示したものである。実際には外観上みることはできないが、排気バルブ5a〜5fは、図のように、本体中心として円周上に配置され、予備真空室10に排気されるようになっている。主排気手段は、本体中心軸上に配置するため、個々の成膜処理室からの排気経路の形状、配管径(開口径)が同等となり、コンダクタンスが同等にする事が可能であり、成膜処理の膜質、膜厚の均一化が実現できる。これは一例に過ぎず、コンダクタンスを同等にした構成であれば、本実施例の配置、配管経路に限るものではない。
【0103】
図6(a)、(b)は、本発明における成膜処理装置の本体部をユニット化し、複数ユニット構成にした装置全体を上側および下側からみた構成の一例を示している。図に示すような配管する事により、ガス供給手段、主排気手段を共有化し、かつ、経路のコンダクタンスを均一化する事が可能となり、成膜処理の膜質、膜厚の均一化が実現できる。これは一例に過ぎず、コンダクタンスを同等にした構成であれば、本実施例の配置、配管経路に限るものではない。
【0104】
上記構成の装置を用いて、成膜処理を行う工程について、以下に説明する。
【0105】
まず、成膜処理を行うに先立って、本装置が成膜処理実効可能な待機状態にある事が必要である。具体的には、主排気手段11により、予備真空室10が所定の真空度に到達している状態にしておく。
【0106】
次に、被成膜処理基材2の搬入を行う。被成膜処理基材を搬入するために、搬入/搬出口の蓋を開放状態にし、被成膜処理基材を成膜処理室1a,1b内の基材支持台の上に移載し、把持する。被成膜処理基材の形状や方向にもよるが、把持機構としては、基材支持台に単に載せるだけでも良いし、ロック機構が有っても良い。被成膜処理基材を搬入後、蓋を閉める。ここで、被成膜基材の搬入/搬出にあたり、雰囲気は空気中でも行えるが、ターゲットや成膜処理室内壁の酸化、および、不要ガスの混入を低減の為に窒素(N2)やアルゴン(Ar)雰囲気中で行うのが好ましい。
【0107】
その後、成膜処理室1内を所定の真空度にするために排気を行う。成膜処理室の排気バルブ5a,5bを開け、成膜処理室内の圧力を予備真空室10に開放する事により、短時間で減圧する事が可能である。例えば、成膜処理室1a,1bの容積の総和と予備真空室の容積の比が1:100であれば、バルブ5a,5bを開放するだけで圧力は短時間で1/100に下げることが可能である。さらに減圧するために、主排気手段11により、所定の初期到達真空度に達するまで真空引きを行う。例えば、1×10E−4Pa、好ましくは、1×10E−5Paまで減圧を行う。これにより、以降の成膜処理を行うに際し、不要ガスを排除する事ができる。成膜条件の内容や成膜すべき膜質の要求仕様により、初期到達真空度は、更に高真空にする必要がある場合もあるし、逆に低真空で良い場合もある。
【0108】
続いて、成膜処理工程を実施する。例えば、第1層目にスパッタ法によるチタン(Ti)層を成膜する例を挙げて説明する。図2、3、4のいずれの構成においても、成膜処理工程は基本的に同等であるので図1および図2を代表例として説明する。
【0109】
スパッタ法の場合、被成膜処理基材2に対向するように配置されたターゲット30を用いて成膜処理を行う。ターゲット材質は、本例では、チタン(Ti)を用いているが、成膜組成やプロセス等により異なり、ターゲットとして用いる事のできる材質であれば、何でも使用する事が可能であり、限定されるものではない。 スパッタ工程を実施する場合には、シャッター32は待避する位置へ移動させておき、ターゲット30の表面を被成膜処理基材2の間を遮らないようにしておく。
【0110】
スパッタ工程では、まず、スパッタ用ガスであるアルゴン(Ar)ガスをガス供給口4より供給しながら、成膜処理室1の圧力が所定の圧力を維持するように排気バルブ5を制御する。また、ターゲット30に直流電力供給手段37の陰極側が接続されるように直流電力切替用スイッチ36を直流電力供給手段37側に切替えるとともに、被成膜処理基材2が接地電位になるように高周波電力切替用スイッチを接地電位側へ切替える。成膜処理室は常時接地電位に接続されている。
【0111】
ターゲット30と被成膜処理基材2の間に電圧を印加することにより、アルゴン(Ar)ガスが励起され、プラズマ状態となりプラズマが形成される。これによりTiターゲット30に叩きつけられるチタンのスパッタ粒子が生成される。スパッタ粒子は対向して配置している被成膜処理基材2の表面に堆積しチタン層を生成する。この場合、ターゲット30表面のプラズマ密度をあげているための磁界形成手段31をターゲット30の背面に備えているため、成膜レートを向上させることが実現する事ができる。
【0112】
スパッタ法に限らず、全ての真空成膜法において、成膜プロセスを支配する要素は色々あるが、重要なパラメーターの中で、成膜圧力、供給電力、原料ガス供給量がある。これらの条件を全て同じにすると同等な膜質が得られる事が期待でき、全てについて制御可能とすることが最も好ましい。即ち、各々の成膜処理室に供給する原料ガス量を制御するためのガス流量制御手段15a〜15f、供給する電力を制御するための電力制御手段16a〜16f、成膜処理室1a〜1f内の成膜圧力の制御するための排気バルブ5a〜5fを制御する手段のうち、いずれか一つ、好ましくは、組合せにより制御することによって、全ての被成膜処理基材2a〜2fに成膜される膜質の個体差を極めて少なくすることが可能となる。
【0113】
次に、第2層目を成膜する方法について説明する。例えば、硬質炭素膜(ダイアモンドライクカーボン、アモルファスカーボンなど)を高周波CVD法にて成膜する方法について例を挙げて説明する。
【0114】
CVD法を行うに先立って、ターゲットの汚染を防止するために、シャッター32を被成膜処理基材2とターゲット30の間に挿入し、ターゲット30の表面を覆い隠すようにする。その後、原料ガスとして炭化水素ガス、例えばメタン(CH4)、クメン(C9H12)、ベンゼン(C6H6)などをガス供給口4から供給しながら、成膜処理室1の圧力が所定の圧力を維持するように制御する。例えば、真空圧力計(図示せず)により成膜処理室1内の圧力を観ながら、排気バルブ5の開口度を調整する事により成膜処理室1内の圧力を所定の真空度になるよう制御する事ができる。成膜処理室1は、常時接地電位に接続されており、この内壁面は接地電極として機能する。被成膜処理基材2に高周波電力を供給する事ができる様、高周波電力供給切替用スイッチ34を高周波電力供給手段35側に切替える。被成膜処理基材2に高周波電力を供給することにより、原料ガスが励起されてプラズマ状態となり、成膜処理室1の内壁と被成膜処理基材2の間にプラズマが生成される。プラズマ化された炭化水素が被成膜処理基材2の表面に打ち込まれ、硬質炭素膜を形成する。
【0115】
上記説明の中では、成膜処理室1内の圧力を制御するために成膜処理室用の排気バルブ5で制御する方法を例に挙げたが、該排気バルブ5は全開状態にした状態で、主排気手段用バルブ12の開口度を制御する事により、複数の成膜処理室1a,1b内の圧力を制御する事が可能である。この場合、圧力制御に用いる真空圧力計(図示せず)は、予備真空室10に備えられている事が好ましい。
【0116】
以上のような工程により、中間層をスパッタ法によりチタン層を、表面層を高周波CVD法により硬質炭素膜を形成する事が可能となる。
【0117】
本実施の形態では、中間層にTiをスパッタ法により成膜した後、高周波CVD法によりDLC層を成膜した例に挙げたのだが、本発明は、成膜方法、成膜工程、膜構造、膜質、基材などに対して全く依存する事無く、応用が可能であり、同様の効果が得られるものである。また、スパッタ法のみや高周波CVD法のみの工程で行う事も可能である。更に、直流電力供給と高周波電力供給を同時に行うことにより混合層や傾斜構造をもつ成膜処理を行う事も可能である。
【0118】
成膜処理終了後、被成膜処理基材2の搬出を行う。まず、各成膜処理室用の排気バルブ5を閉じ、成膜処理室内の圧力を大気圧まで昇圧する。この場合、成膜処理室内壁やターゲットの表面状態に悪影響を及ぼしにくい、窒素(N2)や不活性ガス、例えば、アルゴン(Ar)などを充填して大気圧まで戻すのが好ましい。大気圧まで昇圧した後、搬入/搬出用の蓋9を開放し、被成膜処理基材2の搬出を行う。ここで、搬入出を行っている間に、予備真空室10の真空度を上げるために主排気用バルブ12を開放し、主排気手段11により真空引きを行うと、次サイクルまでのロス時間を短縮する事が可能である。
【0119】
ここで、上記説明では省略したが、成膜処理に先立って、被成膜処理基材2の表面の洗浄工程(ボンバード)やターゲットの表面洗浄(プレスパッタ)などの工程を行う場合が一般的である。これらについて詳しい説明は省略するが、動作的には上記スパッタ法、および、高周波CVD法と同じであり、原料ガスを不活性ガスであるアルゴン(Ar)等を用い、プロセス条件、特に圧力条件をかえて処理を行うものである。
【0120】
(実施の形態2)
以下に、本発明の請求項に記載された発明の良好な第2の実施の形態について、図7を用いて説明する。
【0121】
図7は、(実施の形態1)において各成膜処理室1a、1b毎に備えられている排気バルブ5a、5bのバルブの代替として、排気バルブ14に置換えた構造をとる。構造上、複数の成膜処理室は排気バルブ14近傍で一つの閉空間として繋がっているが、被成膜処理基材およびこれを取巻く成膜処理室内壁(高周波CVD時の接地電極)やスパッタターゲットとの相対位置関係は同等であり、成膜の個体差極小化における優位性は損なわれない。高価である排気バルブの個数を減らす事が可能となる。
【0122】
上記以外の構造、および、動作説明については、(実施の形態1)と基本的に同じであるので説明は省略する。
【0123】
(実施の形態3)
以下に、本発明の請求項に記載された発明の良好な第3の実施の形態について、図8を用いて説明する。
【0124】
図8は、(実施の形態1)における構成に加えて、成膜処理室1からの排気/減圧を高速に行うために第2の排気手段を備えている。
【0125】
21は、第2の排気手段であり、大気圧から動作可能な真空ポンプを備え、例えば、ロータリーポンプが最も一般的に用いられる。23a,23bは第2の排気手段用の排気バルブであり、各成膜処理室毎に備えられている。成膜処理室の容積および内壁表面の総面積が排気時間に大きく関与するために、排気バルブ23a,23bは可能な限り、成膜処理室1a,1bの近傍に配置する事が好ましい。
排気バルブ23a,23bと第2の排気手段21は直接排気経路で接続されてもよいが、さらに好ましくは、この排気経路上に第2の予備真空室22を備えていると好適である。
【0126】
上記以外の構成は、(実施の形態1)と同様の構成である。
【0127】
動作について、以下に説明する。但し、(実施の形態1)と同じ部分は説明を簡略化する。
【0128】
まず、装置の待機状態として主排気手段により予備真空室10を所定の真空度、例えば1×10E−5に減圧し保持するとともに、更に第2の排気手段により第2の予備真空室22内を所定の真空度、例えば、1×10E−2Paになるまで減圧し、保持しておく。
【0129】
また、被成膜処理基材2を成膜処理室内1の基材支持台3a上に移載、把持するために、蓋9a,9bを開けて被成膜処理基材の搬入、把持を行う。
【0130】
次に、第2の排気手段用の排気バルブ23a,23bを開き、第2の排気手段21によって所定の真空度、例えば。1×10E−1Paになるまで真空引きを行う。この時、第2の予備真空室22の容積を成膜処理室1a,1bの容積の総和に対して、100倍の容積であると仮定した場合、第2の排気バルブ23a,23bを開く事によって、短時間で圧力を約1/100にする事が可能である。また、図では、説明のため一つの室としてイメージできるように示しているが、容積や内面積が所定の用件を満たしていれば、配管形状であっても全く同様の効果がある。
【0131】
成膜処理室1a,1b内の真空度が所定の真空度に到達した後、第2の排気バルブ23a,23bを閉じた後、第1の排気バルブ5a、5bを開き、主排気手段によって所定の初期到達真空度まで真空引きを行う。前記同様、成膜処理室1a,1bと予備真空室10の容積比率によって、高速に減圧する事が可能となる。
【0132】
初期到達真空度に達した後、被成膜処理基材2a,2bの成膜処理、成膜処理室1a,1b内の大気圧まで昇圧、被成膜処理基材2a,2bに搬出を実施する。これらについては、(実施の形態1)と全く同様であるので、省略する。
【0133】
(実施の形態4)
以下に、本発明の請求項に記載された発明の良好な第4の実施の形態について、図9を用いて説明する。
【0134】
図9は、(実施の形態3)において各成膜処理室毎に備えられている第2の排気バルブ23a,23bのバルブの代替として、排気バルブ24に共用化して置換えた構造をとる。構造上、複数の成膜処理室1a,1bは排気経路により一つの閉空間として繋がっているが、被成膜処理基材およびこれを取巻く成膜処理室内壁(高周波CVD時の接地電極)やスパッタターゲットとの相対位置関係は同等であり、成膜の個体差極小化における優位性は損なわれない。成膜処理室1a,1b内の総容積および総内面積に関して若干増加するものの、高価なバルブ数を減らすことが可能である。
【0135】
上記以外の構造、および、動作説明については、(実施の形態3)と基本的に同じであるので説明は省略する。
【0136】
(実施の形態5)
以下に、本発明の請求項に記載された発明の良好な第5の実施の形態について、図10を用いて説明する。
【0137】
図10は、(実施の形態4)において各成膜処理室毎に備えられている排気バルブ5a,5bのバルブの代替として、排気バルブ14に置換えた構造をとる。構造上、複数の成膜処理室は排気バルブ14近傍で一つの閉空間として繋がっているが、被成膜処理基材およびこれを取巻く成膜処理室内壁(高周波CVD時の接地電極)やスパッタターゲットとの相対位置関係は同等であり、成膜の個体差極小化における優位性は損なわれない。また、この空間は、(実施の形態4)の排気経路と同等な機能を有する為、総容積および総内面積の不要な増加を排除する観点において、この空間を排気経路として共用する事が望ましい。
【0138】
上記以外の構造、および、動作説明については、(実施の形態5)と基本的に同じであるので説明は省略する。
【0139】
この実施形態によって、高価である排気バルブの個数を減らす事が可能となる。
【0140】
(実施の形態6)
以下に、本発明の請求項に記載された発明の良好な第6の実施の形態について、図11を用いて説明する。
【0141】
図11は、(実施の形態1)において、開閉機能を有する隔壁26、好ましくは、開口径の大きいゲートバルブにより、予備真空室10を2つの異なる予備真空室に分割した構造をとり、各成膜処理室1a,1b側に位置する側の予備真空室を低真空用予備真空室10aとし、主排気手段側に位置する予備真空室を高真空用予備真空室10bとする。さらに低真用予備真空室10aには、第2の排気手段21により排気出来るように構成されている。低真空用予備真空室10aには、第2の排気経路の開閉を行うためのバルブ25が備えられている。バルブ25と第2の排気手段21は直接排気経路で接続されてもよいが、さらに好ましくは、この排気経路上に第2の予備真空室22を備えていると好適である。図では、説明のため一つの室としてイメージできるように示しているが、容積や内面積が所定の用件を満たしていれば、配管形状であっても全く同様の効果がある。
【0142】
また、図には示していないが、(実施の形態2)をもとに、予備真空室10を本実施の形態のように構造変更する事も可能であり、同様な効果が期待できる。
【0143】
上記以外の構造については、(実施の形態1)と基本的に同じであるので説明は省略する。
【0144】
動作について、以下に説明する。但し、(実施の形態1)と同じ部分は説明を簡略化する。
【0145】
装置の待機状態として主排気手段により高真空用予備真空室10bを所定の真空度、例えば1×10E−5に減圧し保持しておく。また、排気バルブ25を開放した状態で、第2の排気手段により低真空用予備真空室10a内を所定の真空度、例えば、1×10E−2Paになるまで減圧し、保持しておく。
【0146】
まず、被成膜処理基材2a,2bを成膜処理室内1a,1bの基材支持台3a、3b上に移載、把持するために、蓋9a,9bを開けて被成膜処理基材の搬入、把持を行う。
【0147】
次に、成膜処理室の排気バルブ5a,5bを開け、成膜処理室内の圧力を低真空用予備真空室10bに開放する事により、短時間で減圧する事が可能である。
【0148】
例えば、成膜処理室1a,1bの容積の総和と予備真空室の容積の比が1:100であれば、バルブ5a,5bを開放するだけで圧力は短時間で1/100に下げることが可能である。さらに減圧するために第2の排気手段21により所定の真空度になるまで排気を行う。主排気手段11で排気可能な所定の真空度、例えば、1×10E2Pa程度になった後、排気バルブ25を閉じてから、予備真空室の隔壁となっているゲートバルブ26を開放し、高真空用予備真空室10bに圧力開放し、減圧を行う。この時、高真空用予備真空室10bの容積が、成膜処理室1a,1bおよび低真空用予備真空室10aの容積の総和に対して、100倍の容積であると仮定した場合、ゲートバルブ26を開く事によって、短時間で圧力を約1/100にする事が可能である。また、図では、説明のため一つの室としてイメージできるように示しているが、容積や内面積が所定の用件を満たしていれば、配管形状であっても全く同様の効果がある。
【0149】
さらに、主排気手段によって所定の初期到達真空度、例えば、1×10E−4Pa、好ましくは、1×10E−5Paまで減圧を行う。これにより、以降の成膜処理を行うに際し、不要ガスを排除する事ができる。成膜条件の内容や成膜すべき膜質の要求仕様により、初期到達真空度は、更に高真空にする必要がある場合もあるし、逆に低真空で良い場合もある。
【0150】
初期到達真空度に達した後、被成膜処理基材2a,2bの成膜処理、成膜処理室1a,1b内の大気圧まで昇圧、被成膜処理基材2a,2bに搬出を実施する。これらについては、(実施の形態1)と全く同様であるので、省略する。
【0151】
以上、本発明の良好な実施の形態における構成ならびに動作について代表的な例を挙げて説明したが、これらは一例に過ぎず、同等機能をもった手段の置換えや実質的に同効果が得られるような動作の変更などは、本発明の請求範囲に属するものである。
【0152】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、成膜処理室に直接搬入さする方式をとり、同一成膜処理室において被成膜処理基材を移動させることなく、減圧工程、複数の成膜処理工程を実施する事を可能とし、1台で成膜処理を完結することが実現できる。さらに、均一性が高く、個体差の少ない、安定した膜質の多数個同時成膜を実現し、これにより、装置全体の規模を小さくする事が可能となり、面積生産性の向上や、設備コストの低減が実現できる。
【0153】
特に、異なる成膜方法、例えば、スパッタ法と高周波CVD法を同一成膜処理室にて行う事ができ、連続して複数の工程を実施することが可能であるので、成膜プロセスの自由度が高くなるという効果がある。
【0154】
また、本発明の成膜処理装置および成膜処理方法により、試作や製品立上初期・生産全盛期・機種切替え末期などの生産量に迅速に対応可能となる。
【0155】
1台あたりを低コスト・小型化できるため、本体部をユニット化し、複数ユニット構成の装置またはラインを構築する事が可能となり、機種切替時間の短縮や複数機種生産などトータルとしての装置稼働率を高くできるメリットがある。研究や試作などの対応にも柔軟に対応可能である。製造業などで多く用いられているセル生産方式への適応可能であるなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を示した模式的な構成図
【図2】本発明に関わる成膜処理装置における成膜処理室の一例を示した模式的な構成図
【図3】本発明に関わる成膜処理装置における成膜処理室の一例を示した模式的な構成図
【図4】本発明に関わる成膜処理装置における成膜処理室の一例を示した模式的な構成図
【図5】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を上部からみた構成(a)、および、下部からみた構成(b)を示した模式的な構成図
【図6】本発明に関わる成膜処理装置における複数ユニットで構成した装置の一例を上部からみた構成(a)、および、下部からみた構成(b)を示した模式的な構成図
【図7】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を示した模式的な構成図
【図8】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を示した模式的な構成図
【図9】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を示した模式的な構成図
【図10】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を示した模式的な構成図
【図11】本発明に関わる成膜処理装置における全体構成の一例を示した模式的な構成図
【符号の説明】
1、1a、1b〜1f:成膜処理室
2、2a、2b〜2f:被成膜処理基材
3、3a、3b〜3f:基材支持台
4、4a、4b〜4f:ガス供給口
5、5a、5b〜5f:排気バルブ
6、6a、6b:電極
7:電流導入端子
8:真空パッキン
9:搬入出用蓋
10:予備真空室
10a:低真空用予備真空室
10b:高真空用予備真空室
11:主排気手段
12:主排気手段用バルブ
13:排気口
14:排気バルブ
15:ガス流量制御手段
16:電力制御手段
17:電源供給手段
18:原料ガス供給手段
21:第2の排気手段
22:粗引き用予備真空室
23、24:粗引き用排気バルブ
26:予備真空室用の隔壁バルブ
27:ガスボンベ
28:バルブ
29:ガス流量制御手段
30:スパッタターゲット
31:磁界形成手段
32:シャッター
33:電流導入端子
34、36:電力供給切替スイッチ
35:高周波電力供給手段
37:直流電力供給手段
Claims (33)
- 減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを備え、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理装置であって、
複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を備え、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてあり、さらに、該成膜処理室から排気を行うための排気手段までの排気経路上に少なくとも1室以上の予備真空室を備える事を特徴とする成膜処理装置。 - 請求項1記載の成膜処理装置において、前期被成膜処理基材1基材毎に前記成膜処理室が構成されている事を特徴とする成膜処理装置。
- 請求項1乃至2記載の成膜処理装置において、前記被成膜処理基材の搬入出工程、減圧工程、成膜処理工程が、複数個の被成膜基材全てに対して実質的に同時に行う事を特徴とする成膜処理装置。
- 請求項1乃至3記載の成膜処理装置において、前期成膜処理室に前期被成膜基材の搬入出するための開閉可能な搬入出口を備え、大気圧下で前期被成膜処理基材の搬入出を行う事を特徴とする成膜処理装置。
- 請求項4記載の成膜処理装置において、前期被成膜処理基材の搬入出を行うに際して、成膜処理室内に窒素または不活性ガスを充填された状態で搬入出を行う事を特徴とする成膜処理装置。
- 請求項4乃至5記載の成膜処理装置において、前期被成膜処理基材の搬入出を行うに際して、前期成膜処理室の周辺雰囲気が窒素または不活性ガスの雰囲気下で搬入出を行う事を特徴とする成膜処理装置。
- 請求項1乃至6記載の成膜処理装置において、前記予備真空室が実質的に真空度の異なる少なくとも2室以上の予備真空室で構成されている事を特徴とする成膜処理装置。
- 請求項1乃至7記載の成膜処理装置において、成膜処理室を真空粗引きするための第2の排気手段を備える事を特徴とする成膜処理装置。
- 請求項1乃至7の成膜処理装置において、前記成膜処理室の容積の総和に対して、前記予備真空室の容積が100倍以上である事を特徴とする成膜処理装置。
- 減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを備え、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理装置であって、
複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を備え、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてあり、各々の該成膜処理室に接続されているガス供給経路のコンダクタンス、および、排気経路のコンダクタンスを実質的に同等になるように構成されている事を特徴とする成膜処理装置。 - 減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを備え、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理装置であって、
複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を備え、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてあり、各々の成膜処理室毎に供給されるガス量を個々に制御する事ができるガス流量制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎に供給される供給電力を個々に制御する事ができる電力制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎の真空圧力を個々に制御する事ができる真空圧力制御手段のうちいずれかひとつ、好ましくは、二つ以上の組合せの制御手段を備える事を特徴とする成膜処理装置。 - 請求項1乃至11記載の成膜処理装置において、少なくとも中間層を成膜処理する工程と表面層を成膜処理する工程を同一の成膜処理室にて行う事を特徴とする成膜処理装置。
- 請求項1乃至11記載の成膜処理装置において、少なくとも2種類以上の成膜工法を、同一の成膜処理室にて行うことが可能である事を特徴とする成膜処理装置。
- 請求項12乃至13記載の成膜処理装置において、各々の成膜処理室内にスパッタターゲットを備え、前記ガス供給手段に少なくともスパッタ用原料ガスおよびCVD用原料ガスの2種類のガスを供給できるガス供給手段を備え、同一成膜処理室においてスパッタ法による成膜およびCVD法による成膜が選択的に、若しくは、複合的に成膜処理可能である事を特徴とする成膜処理装置。
- 請求項14記載の成膜処理装置において、前記被成膜基材の表面にスパッタ法により中間層を形成させた後、CVD法により硬質炭素膜層を形成させる事を特徴とする成膜処理装置。
- 減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを用い、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理方法であって、
該成膜処理室から排気を行うための排気手段までの排気経路上に備えられた少なくとも1室以上の予備真空室を用いて排気を行う排気工程と、該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置されてある少なくとも2組以上の成膜室を用いて、複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう成膜処理工程とを行う事を特徴とする成膜処理方法。 - 請求項16記載の成膜処理方法において、前期被成膜処理基材1基材毎に構成されている前記成膜処理室を用いて成膜処理を行う事を特徴とする成膜処理方法。
- 請求項16乃至17記載の成膜処理方法において、前記被成膜処理基材の搬入出工程、減圧工程、成膜処理工程が、複数個の被成膜基材全てに対して実質的に同時に行う事を特徴とする成膜処理方法。
- 請求項16乃至18記載の成膜処理方法において、前期成膜処理室に前期被成膜基材の搬入出するための開閉可能な搬入出口を用い、大気圧下で前期被成膜処理基材の搬入出を行う事を特徴とする成膜処理方法。
- 請求項19記載の成膜処理方法において、前期被成膜処理基材の搬入出を行うに際して、成膜処理室内に窒素または不活性ガスを充填された状態で搬入出を行う事を特徴とする成膜処理方法。
- 請求項19乃至20記載の成膜処理方法において、前期被成膜処理基材の搬入出を行うに際して、前期成膜処理室の周辺雰囲気が窒素または不活性ガスの雰囲気下で搬入出を行う事を特徴とする成膜処理方法。
- 請求項16乃至21記載の成膜処理方法において、前記成膜処理室の不要ガスを排出するために減圧する際に、真空粗引きを行なうための第1の排気工程と、所定の初期到達真空度になるまで真空度を高めるための第2の排気工程により減圧を行なう事を特徴とする成膜処理方法。
- 請求項16乃至22記載の成膜処理方法において、前記予備真空室として実質的に真空度の異なる少なくとも2室以上の予備真空室を用い、第1の排気工程では、2つの該予備真空室のうち真空度が比較的低い側の該予備真空室を経由して排気を行い、第2の排気工程では、真空度が比較的高い側の該予備真空室を経由して排気を行なう事を特徴とする成膜処理方法。
- 請求項16乃至22記載の成膜処理方法において、成膜処理室を真空粗引きするに際し、前記予備真空室を経由せずに排気を行う事ができる第2の排気手段を用いて排気を行う第1の排気工程と、前期予備真空室を用いてさらに高真空状態まで真空引きを行う第2の排気工程により排気を行う事を特徴とする成膜処理方法。
- 請求項16乃至24の成膜処理方法において、前記成膜処理室の容積の総和に対して、容積が100倍以上である前記予備真空室を用いる事を特徴とする成膜処理方法。
- 減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを用い、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理方法であって、
該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置された、複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を用い、各々の該成膜処理室に接続されているガス供給経路のコンダクタンス、および、排気経路のコンダクタンスが実質的に同等になるように構成されているガス供給経路および排気経路を用いて、複数備えられた前期成膜処理室に供給する原料ガス量を均一化する事を特徴とする成膜処理方法。 - 減圧可能な成膜処理室と、該成膜処理室にガスを供給するためのガス供給手段と、該成膜処理室の減圧するための排気手段と、プラズマを発生させるための電力供給手段とを用い、被成膜処理基材の表面に成膜処理を行うための成膜処理方法であって、
該成膜処理室内の構成部材が、被成膜処理基材に対して実質的に同様な構成および配置された、複数個の被成膜基材の成膜処理を同時に行なう事ができる少なくとも2組以上の成膜室を用い、各々の成膜処理室毎に供給されるガス量を個々に制御する事ができるガス流量制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎に供給される供給電力を個々に制御する事ができる電力制御手段、若しくは、各々の成膜処理室毎の真空圧力を個々に制御する事ができる真空圧力制御手段のうちいずれかひとつ、好ましくは、二つ以上の組合せの制御手段を用いて、被成膜処理基材表面に成膜される薄膜の膜質および膜厚を均一化する事を特徴とする成膜処理方法。 - 請求項16乃至27記載の成膜処理方法において、少なくとも中間層を成膜処理する工程と表面層を成膜処理する工程を同一の成膜処理室にて行う事を特徴とする成膜処理方法。
- 請求項16乃至27記載の成膜処理方法において、少なくとも2種類以上の成膜工法を、同一の成膜処理室にて行うことが可能である事を特徴とする成膜処理方法。
- 請求項28乃至29記載の成膜処理方法において、各々の成膜処理室内にスパッタターゲットを備え、前記ガス供給手段に少なくともスパッタ用原料ガスおよびCVD用原料ガスの2種類のガスを供給できるガス供給手段を備え、同一成膜処理室においてスパッタ法による成膜およびCVD法による成膜が選択的に、若しくは、複合的に成膜処理可能である事を特徴とする成膜処理方法。
- 請求項30記載の成膜処理方法において、前記被成膜基材の表面にスパッタ法により中間層を形成させた後、CVD法により硬質炭素膜層を形成させる事を特徴とする成膜処理方法。
- 請求項1乃至15記載のいずれかの成膜処理装置、若しくは、請求項16乃至31記載のいずれかの成膜処理方法により成膜処理された部材。
- 請求項32記載の部材を用いた製品。
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