JP2004067655A - 化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】
【解決手段】化粧料として板形の大きさが50〜800μmの薄片状基質表面に、厚さが0.05〜0.6μmのチタン組成物の被覆層を形成し、該被覆層組成物からチタン組成物の被覆層を剥離して形成される剥離組成物から成る高虹彩色酸化チタンを用いる。薄片状基質は、天然マイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、シリカフレーク、アルミナフレーク、硫酸バリウムから選択され、70〜99重量%の酸化チタン又は、および水酸化チタンを含有する。また、鉄、亜鉛、コバルト、ニッケル、リチウム、ナトリウム、ビスマス、タングステン、スズ、シリカ、アルミナ、ジルコニウムからなる群より一種又は二種以上から選択される金属酸化物ないし金属水酸化物である1〜20重量%の補強剤を含む。
【選択図】図1
【解決手段】化粧料として板形の大きさが50〜800μmの薄片状基質表面に、厚さが0.05〜0.6μmのチタン組成物の被覆層を形成し、該被覆層組成物からチタン組成物の被覆層を剥離して形成される剥離組成物から成る高虹彩色酸化チタンを用いる。薄片状基質は、天然マイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、シリカフレーク、アルミナフレーク、硫酸バリウムから選択され、70〜99重量%の酸化チタン又は、および水酸化チタンを含有する。また、鉄、亜鉛、コバルト、ニッケル、リチウム、ナトリウム、ビスマス、タングステン、スズ、シリカ、アルミナ、ジルコニウムからなる群より一種又は二種以上から選択される金属酸化物ないし金属水酸化物である1〜20重量%の補強剤を含む。
【選択図】図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高虹彩色酸化チタン組成物を配合した化粧料に関するものであり、具体的には、薄片状の基質表面にチタン組成物を被覆し、更に、この被覆チタン組成物を剥離した新規なチタン組成物及びそれを配合した化粧料に関する。より、詳細には、滑らかな使用感触、自然な透明性、干渉作用によって色むらを抑え(肌の欠点補正効果)、しかもUV防御効果とフォトクロミック効果に優れた化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然雲母に酸化鉄、酸化チタン等の金属酸化物を被覆して、パール感を出すパール光沢顔料は、従来から公知である。この種の従来のパール光沢顔料は、光輝感が不十分で、色が鮮やかでなく、余色が濁る欠点があった。また合成マイカは、極めて透明度の高い製品が得られ、その点ではパール光沢顔料の優れた基質ということができる。しかしながら、合成マイカは結晶が硬く、ヘキ開しにくいため、通常の方法では表面の平滑性は天然マイカよりは劣るが、透明性と白色度が高いことから、酸化チタン等の薄膜を被覆するパール光沢顔料の基質として使用されるようになった。また、干渉色光輝性を上げるために板状酸化アルミニウムや板状酸化ケイ素を基質として酸化チタン等薄膜を被覆するパール光沢顔料として使用されていた。
【0003】
また、酸化チタンはその白色性、紫外線遮蔽能という特徴を生かして塗料、化粧品さらには樹脂または紙への添加材として広く用いられているが、これらは従来の方法で製造された等粒状の微粒子を利用しているため、塗布性、密着性、分散性等に問題があった。板状の酸化チタンの製法には特許第2979132号等が開示されているが、これは光沢や干渉色のない酸化チタンであった。
【0004】
ところで、元来、色彩は人間にとって生理的、心理的な影響を与える非常に重要な要素である。現に、色彩が人間に及ぼし得る生理的、心理的な効果を活用して安全で能率的な作業環境や健康で快適な生活環境を創世する手法であり、色彩学調整技術が様々な分野において活用されている。
【0005】
通常、物質に色彩を付与させる場合には、各種の着色顔料が用いられる。この着色顔料は、光の吸収や散乱などの現象を利用して好みの色彩を施すが、着色顔料のみでは、近年の色彩に対する多様な感性と意匠の要望には対応することができない。そこで、この着色顔料に加えて光の干渉現象を利用した顔料である二酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料が提供されている。この真珠顔料の大きな特徴は、角度によって微妙に色調が変化する「フリップ・フロップ効果」を付与し得ることである。
【0006】
この真珠光沢顔料は、化粧料、塗料、粘着剤、印刷インキ、樹脂練り込み等の各種の分野において用いられているが、以下のような欠点が指摘される。例えば、真珠光沢顔料は、天然雲母や合成雲母、アルミナ、シリカ、珪酸ガラス、ホウ酸ガラスなどの薄片状乃至板状の粒子を核とし、これに二酸化チタンを被覆し、その二酸化チタンの被覆量をコントロールすることによって様々な干渉色を持った真珠光沢を呈している。このために、このような真珠光沢顔料を化粧料や、塗料、印刷インキ、粘着剤、樹脂練り込み等に外用組成物の顔料として用いると、粒子の厚さが厚いために超薄膜としての膜厚制御ができないことや、粒子エッジの光散乱が強くなるために「フリップ・フロップ効果」による意匠効果に欠ける等の欠点がある。
【0007】
一方、酸化チタンの板状粒子の合成については、例えば、特許第2979132号に記載されている薄片状酸化チタンは、大きな比面積を有する多孔質体でチタン酸セシウムを酸水溶液と接触させて層状結晶を剥離・加熱することにより得られる薄片状酸化チタンであり、チタン酸からなる層状結晶を層1枚にまで剥離した結果、その厚みがナノメータレベルの非常に薄い酸化チタンを得ている。しかし、これは、余りにも薄いために、干渉色のない薄片状酸化チタンである。
【0008】
また、特開昭62−237936、特開昭62−247834、特開昭62−213833に記載されている板状酸化チタンは、チタンアルコラートのゾルゲルをドラムに付着して加熱させて酸化物とし、これをスクレーパでドラムから剥離して加熱焼成させて若干パール状の板状酸化チタンを得ているが、これは、スクレーパで剥離させるために粒子がカール状であることと粒子の厚さがミクロンオーダであるために、全く干渉色を発色させることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題点を解決しようとするものであり、干渉色による色彩が認められ得る新規で卓越した光輝感、色の鮮明度を発現し、しかも余色が濁らない高虹彩色酸化チタン組成物を配合することにより使用感触、透明性、干渉作用による色むらを抑え、しかもUV防御効果、フォトクロミック効果に優れていることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、上記問題点を解決するため鋭意研究の結果、高虹彩色酸化チタン組成物を製造するに際し、薄片状の基質表面にチタン組成物の被覆層を形成し、その被覆層を剥離することによってこの課題を解消する新規な高虹彩色酸化チタン組成物を提供するものである。
【0011】
より具体的には、薄片状基質表面には、アナターゼ型もしくはルチル型酸化チタンをベースとする金属酸化物及び又は金属水酸化物が被覆されて被覆層が形成され、この被覆層へアルカリ化合物を添加することで、薄片状基質表面から剥離した剥離組成物を得ることができる。この剥離組成物は、同時に所望の光沢で且つ干渉色を発色する組成物として提供される。
【0012】
即ち、本発明に係わる組成物は、天然マイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、シリカフレーク、アルミナフレーク、硫酸バリウムから選ばれる一種又は二種以上の薄片状基質と、その表面に被覆した酸化チタン組成物及び又は水酸化チタン組成物から成る。そして、高虹彩色酸化チタン組成物である剥離組成物は、この被覆組成物から、チタン組成物を剥離したものである。
【0013】
上記剥離組成物は、光沢において、アクリル系クリヤーラッカー30部に1部を混合し、白黒の隠蔽率試験紙、JISK5400に4ミルのアプリケーターで塗布し、隠蔽率試験紙の黒地において、堀場製グロスチェッカIG−330型で光沢を求めた値が60°で55〜90であり、発色は、光の干渉作用により発色する高虹彩色酸化チタン組成物である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の高虹彩色酸化チタン組成物に係わる被覆組成物の概念図であり、図2は、本発明の高虹彩色酸化チタン組成物の製法を示す概要図であり、図3は、本発明の被覆組成物のX線回折による分析結果のグラフであり、図4は、本発明の被覆組成物における酸化チタンの表面状態を示す顕微鏡写真であり、図5は、本発明の剥離組成物である酸化チタン組成物の干渉色とチタン層の膜厚の関係を示す表であり、図6は、剥離組成物である酸化チタン組成物の顕微鏡写真であり、図7は、剥離組成物である酸化チタン組成物の顕微鏡写真であり、図8は、本発明の剥離組成物である酸化チタン組成物の三次元光沢計による分析結果を示すグラフである。
【0015】
本発明に係わる高虹彩色酸化チタン組成物の被覆組成物及び高虹彩色酸化チタン組成物とその製法は、薄片状の基質表面に酸化チタンまたは水酸化チタンのチタン組成物から成る被覆層を形成した被覆組成物と、この被覆組成物に対して、被覆層のみを剥離することによって得られた剥離組成物と、その製法を開示したものであり、従来と異なる点は、所定の条件下で、剥離組成物を得ることで、これを化粧料等の幅広い用途に使用する際には、肌上に形成したこの剥離組成物を含む層において、光の干渉作用による従来にない高虹彩色の発色を得ることができる。
【0016】
本発明に係わる高虹彩色酸化チタン組成物の被覆組成物は、図1に図示の如く、薄片状基質1の表面にアナターゼ型もしくはルチル型酸化チタンをベースとする金属酸化物及び又は金属水酸化物を含む被覆層2を、光沢が得られる0.05〜0.6μmの特定の厚さまで被覆した組成物である。
【0017】
薄片状基質1は、平滑性に富み、その粒子の板形の大きさは、レーザー径で50〜800μmの範囲が好ましい。50μm以下では剥離した酸化チタン又は水酸化チタンの粒子径が細かすぎて、干渉光沢が十分に発揮できても酸化チタンが剥離しにくい。また、粒子の板形の大きさが、800μ以上になると、酸化チタン又は水酸化チタンの干渉光沢は十分に発揮できるが、剥離した粒子の機械的強度に弱いため応用する用途が限定される。
【0018】
最も好適には、100〜700μmの範囲である。100μm以下の基質を用いると、後述する剥離組成物の粒子が細かすぎて高虹彩色の干渉色の発色が弱くなる。また、基質の粒子径が700μmより大きくなると、剥離組成物の粒子による高虹彩色の干渉色の発色は強くなるが、粒子にザラツキ感が出て好ましくない。更に100〜300μmとすると、光沢が強く剥離が容易である。
【0019】
具体的に、この粒子径の範囲に入りやすい薄片状基質1としては、天然マイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、シリカフレーク、アルミナフレーク、硫酸バリウム等が挙げられる。シリカフレークは、その形状、及び表面の平滑性の度合いを制御することが比較的容易であり、更に、その表面に均一な被覆層2を、光沢が得られる特定の厚さまで被覆させることも比較的容易である等の点において薄片状基質1として選択するには好ましい素材である。
【0020】
薄片状基質1の粒子の厚さは特に規定されないが、0.1μm〜10μmの範囲が好ましい。粒子の厚さが0.1μm以下の場合、基質の周辺が丸くカールし、被覆した酸化チタン又は水酸化チタンの干渉光沢が十分に発揮できない。また、粒子の厚さが10μm以上になると、粒子の平面と厚さ方向に被覆した酸化チタン又は水酸化チタンが平面と厚さとで剥離した酸化チタン又は水酸化チタンの干渉色が異なるために、全体としての干渉光沢が不充分になる。
【0021】
被覆層2は、酸化チタン及び/又は水酸化チタン組成物を含む層であり、光沢が得られる特定の厚さまで被覆させる。これには、硫酸チタニルや四塩化チタンの可溶性水溶液またはチタンアルコラートの加水分解から得ることが好ましい。また、被覆層2は、シリカ及びまたはアルミナ・Zr・Ce・Zn等の補強剤を含むことにより、耐光性・剥離組成物の粉砕強度を向上させることができる。
【0022】
各粒子は、大きさ0.01〜0.05μm、好ましくは0.02〜0.04μmの集合体であるが、基質1の粒子の大きさ300μmの時に0.02μの酸化チタンまたは水酸化チタン組成物が最も剥離し易い。基質1の粒子の大きさが、800μmでは、被覆層2の粒子径は0.01μmと細かい粒子径でも剥離できるが、基質1の粒子径が100μm以下の大きさになると、被覆層2の粒子径も0.05μmの大きさにしないと剥離することができない。即ち、基質1の粒子径と被覆層2の粒子径とは逆比例の関係にある。
【0023】
本発明は、先ず、上記の図1に示す被覆組成物を形成し、次に、図2に示す如く、この被覆組成物から被覆層2を剥離し、これによって剥離組成物2aを最終的に得る。即ち、本発明に係わる高虹彩色酸化チタン組成物は、この被覆組成物の被覆層2である金属酸化物または金属水酸化物を薄片状基質1の表面から剥離して形成された剥離組成物2aである。
【0024】
薄片状基質1は、市販の薄片状粉体の使用も可能であるが、天然マイカ、合成マイカ、硫酸バリウム、シリカフレーク、アルミナフレーク等が使用される。例えば、インドのチップ状天然マイカを大気中800℃の温度で2時間焼成し、この焼成チッブ状天然マイカを上水に5日間浸す。このチップ状天然マイカをマスコロイダーで解砕し、分級してこれを得ることができる。
【0025】
また、剥離前に予め水ガラスや有機シリカ、可溶性アルミニウム塩等を用いて、シリカやアルミナ化合物で表面を更に被覆した後、被覆組成物を剥離することによって、耐候性が良く、しかもカールしない剥離組成物を得ることができる。
【0026】
被覆組成物は、上記の如く、先ず、薄片状基質1の表面に酸化チタンまたは水酸化チタン組成物を光沢が得られる特定の厚さまで被覆させて被覆層2を形成する。これには、硫酸チタニルや四塩化チタンの可溶性水溶液またはチタンアルコラートの加水分解から得ることが好ましい。
【0027】
剥離組成物を得るに際しては、予めこの被覆組成物を300〜800℃で焼成し、アルカリ中(pH8以上)にて薄板状基質から被覆層を剥離することにより、カールが無く平滑性に優れた剥離組成物を得ることができる。
【0028】
これにより、剥離組成物の光沢と干渉色が向上する。焼成温度が300℃より低い場合は、何れも、剥離組成物の粒子がカールし、800℃より高い場合は、剥離組成物の酸化チタンまたは水酸化チタンが凝集し、剥離後の光沢と干渉色が悪くなる。
【0029】
剥離組成物は、ろ過・水洗・乾燥後、500〜900℃にて焼成し、光沢保持、カールの防止を行う。また、その他、剥離後の後処理としては、酸化鉄・コバルト・ニッケル・リチウム・ナトリウム・カリウム、着色無機化合物でコートしたり、有機顔料をコートして有機顔料着色物とすることについては、各種の用途、実施態様により公知の方法により実現可能である。
【0030】
このようにして得られた剥離組成物である本発明の高虹彩色チタン組成物は、0.05〜0.6μm粒子の厚みが選択されている。これは、虹彩色を呈する幾何学的膜厚と光学的膜厚(膜厚×屈折率)の関係で説明すると、概ね、幾何学的厚さが0.05〜0.5μmで、光学的厚さが0.1〜0.9μmの範囲で厚さを選択することが好ましいことを示している。
【0031】
組成物が薄すぎると、所望する干渉色を生ずることが困難になり、好ましくない。逆に、組成物が厚すぎると、干渉色強度が厚みの散乱により干渉の強度が低下するため、好ましくない。
【0032】
表1は、本発明に係わる高虹彩色チタン組成物をテープ上に塗布し、この塗布テープを黒地上に置いた場合の干渉色と、チタン組成物の幾何学的厚さとの関係を示している。
【0033】
本発明の高虹彩色チタン組成物の粒径は、揃っているほど虹彩色の彩度は高くなる。即ち、薄板状の高虹彩色チタン組成物の粒子の各々において、散乱光により所望する干渉色を得ることを可能にしたものである。
【0034】
尚、本発明において、具体的に高虹彩色チタン組成物の粒径と薄板の形が揃っているとは、レーザー回折散乱径の平均粒径Aμmとすると、A±4μmの範囲に体積分布で60%以上、好ましくは、70%以上の頻度で分布すること、また、薄板の形は走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、倍率2,000倍で粒子数を数えた時、薄板形が粒子に接線を引き、厚さの1.5倍以上離れた粒子の数が10%未満であることが望ましい。
【0035】
この粒径(形)の均一性を保つために、薄片状基質の平滑性を調整する際に、粉砕、分級を入念に行うことが望ましい。天然雲母を選択する場合には、2〜8メッシュの原鉱石を湿式で攪拌粉砕し、水簸分級することによって、均一性に優れるものを選択することが望ましい。
【0036】
更に、平滑で粒子径の揃った薄片状基質表面に、チタン組成物を均一に被覆し、そのチタン組成物を剥離することが、干渉色をより均質に得るということで好ましい。
【0037】
上記の如く得られた剥離組成物である、本発明の高虹彩色酸化チタン組成物は、被覆組成物において光沢が得られる程度の特定の厚さとしたことから、これを塗料等の用途に使用するに際しては、直接的な表面反射光と入射して透過する際の反射された反射光とが干渉し合い、互いの位相のズレによる高虹彩色干渉色を得ることができる。
【0038】
本発明の高虹彩色酸化チタン組成物を塗布面において均一に塗布した層を形成した場合、これに光が当たると、塗布面の粒子表面からの反射光と、屈折率の異なる媒体で反射されたチタン組成物の粒子の透過光が互いに干渉を起こし、特定の干渉色の発色が得られる。この干渉色は、被覆組成物における被覆層の厚さを制御することにより決定される。
【0039】
(比較例1)
図8は、本発明の剥離組成物である酸化チタン組成物の三次元光沢計による分析結果を示すグラフである。
【0040】
本発明の剥離組成物を、アクリル系クリヤーラッカー30部に1部を混合し、白黒の隠蔽率試験紙、JISK5400に4ミルのアプリケーターで塗布し、隠蔽率試験紙の黒地において、三次元光沢計GCMS−4型で入射角45°、反射角(測色角)0〜75°の間を5°間隔で側色し、Labを求めた。
【0041】
比較顔料として、メルク社製イリオジン(以下、IRと略す)225、219、235を使用した。分析の結果から、本発明の酸化チタン組成物が広い範囲で干渉色を示すことが判明した。
【0042】
以下具体的な製造例について記載する。尚、これらの製造例により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0043】
(製造例1)
インド産のチップ状天然マイカ1.0キログラムを大気中800℃の温度で2時間燃成し、放冷後このチップ状焼成天然マイカを上水10リットルに浸漬させ、室温にて5日間放置した。このチップ状焼成天然マイカを間隔500μmの増幸産業社製マスコロイダーで2回通過、解砕し、解砕した焼成天然マイカを50リットル入れポリタンクに移し、これに0.02パーセントのヘキサメタ燐酸水溶液を加えて、全量を45リットルとした。
【0044】
プロペラ撹拌機で撹拌し、静置後5分で、上澄液を別の容器に移し、この操作を3回繰返し、0.1mm以上の大粒子を分級し、上澄液を標準篩10メッシュ(800μm)と65メッシュ(203μm)を用いて篩分級し、10〜65メッシュの粒子径が150g得た。
【0045】
次に、分級したマイカ150gに硫酸チタニル400gと上水7.5リットルを加えて、プロペラ撹拌しながら硫酸チタニルを溶解した。硫酸チタニルの溶解後、撹拌しながら加熱し、90℃以上の温度で4時間加水分解処理した。放冷後、水洗、ろ過し、150℃で乾燥した。更に、300℃で2時間焼成した。表面状態を観察するために1部を取り、日立S−2100B型電子顕微鏡(SEM)20,000倍で観察した。その結果は図4に示したように被覆組成物の粒子径が0.02μmの集合体であった。
【0046】
また、水洗粉末に10パーセントの荷性ソーダー水溶液を加えてpH11に調整し浸漬静置した。上澄に浮離した粉末をデカンテーション法で分級し、分級粉末をろ過、水洗した。水洗分級粉末に硫酸アルミニウム8.325グラムを5リットルに溶解した水溶液を加え、更にオキシ塩化ジルコニウム4グラムと尿素18グラム加えた。プロペラ撹拌しながら加熱し、80℃以上で5時間加水分解処理を行った。放冷後、水洗、ろ過し150℃で乾燥した。この乾燥粉末を大気中700℃2時間焼成した。得られた粉末は140グラムであった。
【0047】
この粉末を理学電機社製X線回折装置ミニフレックスで測定した。X線回折パターンは図3の(C)に示したようにブロードではあるが酸化チタンのアナターゼであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)2,000倍と20,000倍の結果図6に示したように薄片状の形で、板径の平均が10μm板の厚さが0.24μmであった。アクリル系のクリヤーラッカー30部に本品1グラムを混合し、白黒の隠厳率試験紙JISK5400に4ミルのアプリケーターで塗布し、黒地において、掘場製グロスチェッカIG−330型で光沢を求めた値が60°で85であった。
【0048】
また、黒地の色調角度依存性を調べるために村上色彩研究所製の3次元光沢度計GCMS−4型で入射度45°、測色取出し角0°〜75°において5°間隔で側色し、L・a・b変換して、色相であるabプロットした。結果を図8に示したように、緑色から青緑色、青色へと幅広い範囲で変化した。
【0049】
本品の組成を調べるために、0.2グラムを正確に秤量し、硫酸および硫酸アンモニウムを加え、加熱して溶解した。冷却後、水および塩酸を加えて、金属アルミニウムを加えて、チタンを還元し、冷却後チオシアン酸カリウム溶液を指示薬として、硫酸アンモニウム鉄(III)溶液で滴定して、酸化チタン量(パーセント)を求めた。この結果酸化チタンは95.0パーセントであった。また、アルミニウムとジルコニウムを定量するために、理学電機社製波長分散型蛍光X線分析装置ZSX100e型で、アルミニウムは394.40nmとジルコニウムは343.82nmのピーク高さを用いて、検量線法により定量した。その結果アルミニウムは酸化アルミニウムとして1.15パーセント、また、ジルコニウムは酸化ジルコニウムとして1.08パーセントであった。すなわち、本品の組成は酸化チタン95.0パーセント、酸化アルミニウム1.15パーセント、酸化ジルコニウム1.08パーセントの組成物であった。
【0050】
(製造例2)
合成マイカ(トピー工業製)のレーザー径150〜650μm平均径300μm、10キログラムを600リットルのジャケット付グラスライニングタンクに入れ、上水400リットルと塩化第二スズ175グラム及び1モル/リットル硫酸水溶液を加えて、PHを1.9に調製した。撹拌しながら加熱し、温度80℃に達してから3分の1モル/リットルの四塩化チタン塩酸水溶液と15パーセント荷性ソーダー水溶液を用いてPHを保持しながら四塩化チタン塩酸水溶液毎分0.12キログラムの流速で滴下し、10時間反応させた。
【0051】
放冷後、撹拌を止めて、上澄をデカンテーションした。残りの粉末に上水400リットルを加えて撹拌し、これに15パーセント荷性ソーダー水溶液を加えてPH6.5〜7.5に調製後ろ過、水洗し、150℃で乾燥した。乾燥粉末を大気中800℃で2時間焼成した。製造例1と同様に表面状態をSEMで観察した被覆粒子の大きさは0.016μmの集合体であった。
【0052】
焼成粉末を炭酸ナトリウム水溶液PH12の液400リットルに浸漬した。5日間浸漬後プロペラ撹拌で十分に分散させ、ヘキサメラ燐酸ソーダーの2パーセント水溶液2リットルを加え撹拌した。十分に分散後、上澄中の微粉末をデカンテーション法で分離した。この操作を繰り返し,上澄中の粉末を回収した。
【0053】
上澄液中の粉末は水洗、ろ過した。ろ過した粉末を荷性ソーダー水溶液PH9.2の液400リットルに浸潰させプロペラ撹拌で分散させた。PH9.2を保持しながら80℃に加熱し3モル/リットルの水ガラスの水溶液と6Nの塩酸水溶液を、水ガラスの水溶液の流速を毎分0.085リットルとし、2時間水ガラスの水溶液を加えた。更に2時間熟成させた後、放冷した。ろ過、水洗後、150℃乾燥し、粉末18キログラム得た。
【0054】
製造例1と同様な装置でX線回折を測定した。X線回折の結果ルチル型酸化チタンであった。SEM観察は図7に示したように薄片状の形で板径の平均が15μmで板の厚さが0.45μmであった。
【0055】
製造例1と同様に白黒隠蔽率試験紙JISK5400及び三次元光沢度計での測色、更には組成分析を行った。これらの結果グロスチェック値が60°において80で、測色の色調角度依存性も黄緑色から緑色、青緑色と幅広い範囲で変化した。また、組成分析の結果、酸化チタンが88.5パーセント、シリカが10.3パーセントであった。
【0056】
(製造例3)
レーザー径が50〜200μm、平均140μmのガラスフレーク(日本板硝子社製RCF140)1キログラムを40リットルの琺瑯引き容器に入れ、10パーセント硫酸チタニル水溶液17リットルと、0.06モル/リットルの硫酸水溶液5リットル、これに尿素100グラム、更に上水10リットルを加えて、プロペラ撹拌しながら、加熱し90℃以上の温度で6時間加水分解処理した。
【0057】
放冷後、デカンテーションを繰り返し水洗した。10パーセント荷性ソーダーと上水30リットルを加えて、液のPHを8.8とし加熱して80℃とした。PHと温度を保持しながら1モル/リットルの水ガラス水溶液0.85リットルと1N塩酸水溶液を、水ガラス水溶液が毎分0.014リットルの流速で1時間加えた。更に3時間熟成した。
【0058】
放冷後、製造例1と同様に表面状態をSEMで観察した処、被覆粒子の大きさは0.04μmとかなり大きい粒子であった。
【0059】
熟成した分散液に1モル/リットル炭酸ソーダー水溶液を加えてPH12とし4日間放置した。放置後プロペラ撹拌し静置後上澄液中の粉末をデカンテーション法で分離した。この操作を繰り返して上澄液中の粉末を回収した。回収した粉末を水洗、ろ過し150℃にて乾燥した。乾燥後更に大気中300℃で1時間焼成し、粉末650グラム得た。
【0060】
得られた粉末はX線回折の結果、かなりブロードのアナターゼ型であった。SEM観察の結果、薄板状の形をなし板径が平均8μmで厚さが0.35μmであった。
【0061】
製造例1と同様に物性試験を行った。その結果グロスチェッカ値が60°において60で測色の色調角度依存性も赤紫色から赤色・黄色と幅広い範囲で変化した。また、組成分析の結果、酸化チタンが70パーセント、シリカが2.8パーセント、他は水分であった。
【0062】
(製造例4)
インド産のチップ状天然マイカを製造例1と同一条件で解砕分級した。このマイカ1kgを40リットルの琺瑯引き容器に入れ、10%硫酸チタニル水溶液17リットルと、0.06モル/リットルの硫酸水溶液5リットル、これに尿素100g、更に上水10リットルを加えて、プロペラ撹拌しながら、加熱し90℃以上の温度で6時間加水分解処理した。
【0063】
法冷後、水洗・濾過した。これに10%苛性ソーダー水溶液と上水30リットルを加えて、液のpHを10としチッソガスで撹拌しながら加熱し80℃とした。pHと温度を保持しながら0.5モル/リットルの硫酸第一鉄水溶液0.2リットルと10%苛性ソーダー水溶液とを、硫酸第一鉄水溶液が毎分0.014リットルの流速で15分加えた。更にチッソガスから空気に切り替えて5時間撹拌した。
【0064】
法冷後、製造例1と同様に表面状態をSEMで観察した処、被覆粒子の大きさは0.04μmに更にその表面に0.3μmの粒子が点在していた。
【0065】
熟成した分散液に1モル/リットル炭酸ソーダー水溶液を加えてpH12とし4日間放置した。放置後プロペラ撹拌して、靜置後上澄液中の粉末をデカンテーション法で分離した。この操作を繰り返して上澄液中の粉末を回収した。回収した粉末を水洗、濾過し150℃にて乾燥した。乾燥後更に大気中500℃で1時間焼成した。焼成粉末650グラム得た。
【0066】
得られた粉末はX線回折の結果、ブロードの回折線であるがアナターゼ型と酸化鉄(Fe203)であった。SEM観察の結果、薄板状の形をなし板径が平均8μmで厚さが0.36μmであった。
【0067】
製造例1と同様に物性試験を行った。その結果外観色は赤みでグロスチェカ値が60°において60で測色の色調角度依存性も赤紫色から赤色・黄色と幅広い範囲で変化した。また、組成分析の結果、酸化チタンが99%、酸化鉄が1%であった。
【0068】
本発明は、上記の如く製造された剥離組成物を化粧料の用途として使用するものである。また、化粧料への剥離組成物の配合量は、0.5〜50重量%が好ましい。配合量が0.5重量%未満では、皮膚の色むらを抑える効果に乏しく。また、50重量%を越えると虹彩色が強くなり過ぎて好ましくない。
【0069】
本発明の化粧料としては、例えば、スキンケア、アンダーメイキャップ、サンスクリーン、クリームファンデーション、パウダーファンデーション、プレストパウダー、アイライナー、チークカラー、リップスチック、ネイルエナメル等の皮膚用化粧料として用いられるものが挙げられる。剤型は、特に限定されるものではない。また、これらの化粧料は、上記本発明の剥離組成物を配合する以外は、通常の化粧料と同様の方法で製造することが出来る。
【0070】
本発明の化粧料には、上記の剥離組成物以外に、通常化粧料に配合される粉体(顔料、色素、樹脂)、オイル、界面活性剤、フッ素化合物、樹脂、アルコール類、高分子化合物、紫外線防御剤、抗酸化剤、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、水、その他の成分を用途、剤型、目的等に応じて適宜配合することが出来る。
【0071】粉体としては、例えば、赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号A1レーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロンパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー、キチン、キトサン、アルギン酸カルシウム等の高分子、黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の着色顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等の体質顔料、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム等の紫外線防御粉体、雲母チタンなどのパール顔料、ベントナイト、スメクタイト等が挙げられる。これらの粉体の形状、大きさに特に制限はない。
【0072】
また、上記粉体は、従来公知の各種表面処理、例えば、シリコーン処理、シラン処理、フッ素化合物処理、金属石鹸処理、ワックス処理、脂肪酸処理、N−アシル化リジン処理、水溶性高分子化合物処理、樹脂処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等が行われていてもいなくとも構わない。
【0073】
オイルとしては、流動パラフィン、スクワラン、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、オリーブ油、ヒマシ油等の液体油、ワセリン、固型パラフィン、牛脂、ラノリン、蜜ロウ、鯨ロウ、コレステロール等の半固型〜固型脂、セタノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤、シリコーン系油剤、シリコーン誘導体等が挙げられる。
【0074】
界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(以下POEと略す)ソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POEポリオキシプロピレンアルキルエーテル、POEポリオキシプロピレンコポリマー、POEアルキルフェニルエーテル、POE硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミド等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、POEアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルエーテルリン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸加水分解コラーゲン塩、アミノ酸系陰イオン界面活性剤、スルホコハク酸系界面活性剤、オレフィンスルホン酸塩等の陰イオン性界面活性剤、レシチンや酢酸ベタイン系、イミダゾリニウムベタイン系等の両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0075】
アルコール類としては、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、等の多価アルコールが挙げられる。高分子化合物としては、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、メチルビニルエーテル−マレイン酸モノアルキルエステル共重合体、N−メタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキルエステル共重合体、ジエチル硫酸ビニルピロリドン−N、N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム等が挙げられる。
また、上記のその他の成分としては、アミノ酸、ヒアルロン酸等の保湿剤、オキシベンゾン、パラアミノ安ソ香酸エステル等の紫外線吸収剤、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤、パラベン、フェノキシエタノール等の防腐剤、イソプロピルメチルフェノール、トリクロロカルバン等の殺菌剤、コラーゲン、ケラチン、絹等のタンパクの加水分解物、クエン酸、クエン酸ナトリウム等のpH調整剤、植物抽出エキス、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤、塩化ナトリウム等の無機塩、キレート剤、色素、香料等が挙げられる。
【0076】
以下、その代表的な実施例を記載する。尚、これらの処方により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、化粧料への配合量は特に指定がない限り質量%である。実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験の方法について説明する。
【0077】
試験方法:滑らかな感触、自然な透明感、肌の欠点(キメ、色むら等)補正効果の評価項目それぞれについて、20名の専門パネルにとる使用テストを行い、下記の評価点基準に基づいて各人がつけた評価点を合計した。
【0078】
(評価点基準)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
(評価基準)
◎:合計点が80点以上。
○:合計点が60点以上80点未満である。
△:合計点が40点以上60点未満。
×:合計点が40点未満である。
【0079】
実施例1〜2,比較例1〜2を表1に示す処方のパウダリーファンデーションを、表1に示す1〜12を撹拌混合した後、均一に加熱混合した13〜20を加えて混合した。得られた混合物を粉砕して、容器に成型することにより調製した。
【0080】
【表1】
【0081】
上記実施例1〜2、比較例1〜2の官能試験評価結果を表2に示した。
【表2】
【0082】
表2から分かるように、本発明の製造例3を配合した、実施例1及び製造例4を配合した実施例2は剥離組成物による滑らかな使用感触と自然な透明感、干渉作用による色むらを抑える(肌の欠点補正効果)、また、実施例2はフォトクロミックにも優れた効果を得ることが出来た。
【0083】
一方、本発明の剥離組成物の代わりに酸化チタン被覆雲母を配合した比較例1及び比較例2は、滑らかな使用感触、自然な透明感、フォトクロミック効果に劣り、いずれの場合も本発明の効果を発揮し得ないことが分かる。
【0084】
以下、さらに種々の処方を本発明化粧料の実施例として示す。なを、上記の官能試験をこれら化粧料においても行ったところ、いずれの実施例の本発明化粧料においても優れたものであった。
【0085】
【0086】
1〜10の各成分を混合粉砕したところへ、11〜18の成分を混合したものを加えて撹拌混合し、さらに粉砕したものを容器に充填成型して、固形パウダリーファンデーションを得た。
【0087】
【0088】
1〜5を均一に撹拌混合したところへ、6〜8を加えて混合したものに、混合粉砕した9〜15を加えて分散する。これに加熱溶解した16〜25を加えて均一に乳化することにより、水中油型乳化化粧料を得た。
【0089】
【0090】10〜18の各成分を均一に混合したものへ、1〜7の各成分を混合粉砕したものを加えて分散させた。次に均一に混合溶解させた8〜9を加えて乳化、容器に充填して油中水型乳化化粧料を得た。
【0091】
【0092】1〜8の各成分を混合粉砕したところへ、9〜13の各成分を混合したものを加えて撹拌混合し、中皿に成型してアイシャドーを得た。
【0093】
【0094】70℃に加熱した11に12〜13を分散させ、これに均一溶解した10と14を加えて十分に撹拌する。別に加熱溶解させておいた1〜9に、これを加えて十分撹拌し、さらに15〜20を加えて分散撹拌し、その後容器に充填して油性ステイックを得た。
【0095】
【0096】1〜7を80℃に加熱溶解し十分混合した。この液に8〜11を加え、三本ロールにて混練した、混練スラリーを80℃に加熱して12〜15を加え撹拌混合し、口紅成型容器に流し込み充填し、口紅を得た。
【0097】
【0098】1〜9の各成分をディスパーで混合分散させ、容器にステンレスボールと共に充填して製品を得た。尚、本製品は使用前によく振って使用した。
【0099】
【0100】
1〜6を混合し、80℃に加熱、これに7〜11を加えて均一に撹拌分散する。更に、12を加え分散させ、別に作った16に17を加えこれを15に加え均一の溶液にし、これに18を加えた液を70℃に加熱してこれを加えて70℃ホモミキサーで乳化した。13〜14を加えて脱気きて容器に充填冷却して製品を得た。
【0101】
【0102】
1〜3及び7〜8を熱ローラーで十分混練して、これを4〜6に10を加えた液にいれ十分に混練する。均一になった液に9を加えて分散させ、容器に充填してネイルエナメルを得た。
【0103】
【発明の効果】
本発明は、上記の通り、干渉色による色彩が認められ得る新規で卓越した光輝感、色の鮮明度を発現し、しかも余色が濁らない高虹彩色酸化チタン組成物を提供することを可能とした。
高虹彩色酸化チタン組成物は、薄片状基質の表面に被覆層を形成した被覆組成物であり、薄片状基質の板形の大きさが50〜800μmで且つ被覆層の厚さが0.05〜0.6μmであり、該被覆層は、70〜95質量%のチタン組成物を含有する。この被覆組成物からチタン組成物の被覆層を剥離して形成される剥離組成物を高虹彩色酸化チタン組成物とする。更に、剥離した高虹彩色酸化チタン組成物(本文では剥離組成物と云う)を化粧料に配合することによって、滑らかな使用感触、自然な透明感、干渉作用による肌の色むらを抑える(肌の欠点補正効果)、紫外線防御効果、フォトクロミック効果等の点で、非常に優れた化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高虹彩色酸化チタン組成物に係わる被覆組成物の概念図である。
【図2】本発明の高虹彩色酸化チタン組成物の製法を示す概要図である。
【図3】本発明の被覆組成物のX線回折による分析結果のグラフである。
【図4】本発明の被覆組成物における酸化チタンの表面状態を示す顕微鏡写真である。
【図5】本発明の剥離組成物である酸化チタン組成物の干渉色とチタン層の膜厚の関係を示す表である。
【図6】剥離組成物である酸化チタン組成物の顕微鏡写真である。
【図7】剥離組成物である酸化チタン組成物の顕微鏡写真である。
【図8】本発明の剥離組成物である酸化チタン組成物の三次元光沢計による分析結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 薄片状基質
2 被覆層
2a 剥離組成物
【産業上の利用分野】本発明は、高虹彩色酸化チタン組成物を配合した化粧料に関するものであり、具体的には、薄片状の基質表面にチタン組成物を被覆し、更に、この被覆チタン組成物を剥離した新規なチタン組成物及びそれを配合した化粧料に関する。より、詳細には、滑らかな使用感触、自然な透明性、干渉作用によって色むらを抑え(肌の欠点補正効果)、しかもUV防御効果とフォトクロミック効果に優れた化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然雲母に酸化鉄、酸化チタン等の金属酸化物を被覆して、パール感を出すパール光沢顔料は、従来から公知である。この種の従来のパール光沢顔料は、光輝感が不十分で、色が鮮やかでなく、余色が濁る欠点があった。また合成マイカは、極めて透明度の高い製品が得られ、その点ではパール光沢顔料の優れた基質ということができる。しかしながら、合成マイカは結晶が硬く、ヘキ開しにくいため、通常の方法では表面の平滑性は天然マイカよりは劣るが、透明性と白色度が高いことから、酸化チタン等の薄膜を被覆するパール光沢顔料の基質として使用されるようになった。また、干渉色光輝性を上げるために板状酸化アルミニウムや板状酸化ケイ素を基質として酸化チタン等薄膜を被覆するパール光沢顔料として使用されていた。
【0003】
また、酸化チタンはその白色性、紫外線遮蔽能という特徴を生かして塗料、化粧品さらには樹脂または紙への添加材として広く用いられているが、これらは従来の方法で製造された等粒状の微粒子を利用しているため、塗布性、密着性、分散性等に問題があった。板状の酸化チタンの製法には特許第2979132号等が開示されているが、これは光沢や干渉色のない酸化チタンであった。
【0004】
ところで、元来、色彩は人間にとって生理的、心理的な影響を与える非常に重要な要素である。現に、色彩が人間に及ぼし得る生理的、心理的な効果を活用して安全で能率的な作業環境や健康で快適な生活環境を創世する手法であり、色彩学調整技術が様々な分野において活用されている。
【0005】
通常、物質に色彩を付与させる場合には、各種の着色顔料が用いられる。この着色顔料は、光の吸収や散乱などの現象を利用して好みの色彩を施すが、着色顔料のみでは、近年の色彩に対する多様な感性と意匠の要望には対応することができない。そこで、この着色顔料に加えて光の干渉現象を利用した顔料である二酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料が提供されている。この真珠顔料の大きな特徴は、角度によって微妙に色調が変化する「フリップ・フロップ効果」を付与し得ることである。
【0006】
この真珠光沢顔料は、化粧料、塗料、粘着剤、印刷インキ、樹脂練り込み等の各種の分野において用いられているが、以下のような欠点が指摘される。例えば、真珠光沢顔料は、天然雲母や合成雲母、アルミナ、シリカ、珪酸ガラス、ホウ酸ガラスなどの薄片状乃至板状の粒子を核とし、これに二酸化チタンを被覆し、その二酸化チタンの被覆量をコントロールすることによって様々な干渉色を持った真珠光沢を呈している。このために、このような真珠光沢顔料を化粧料や、塗料、印刷インキ、粘着剤、樹脂練り込み等に外用組成物の顔料として用いると、粒子の厚さが厚いために超薄膜としての膜厚制御ができないことや、粒子エッジの光散乱が強くなるために「フリップ・フロップ効果」による意匠効果に欠ける等の欠点がある。
【0007】
一方、酸化チタンの板状粒子の合成については、例えば、特許第2979132号に記載されている薄片状酸化チタンは、大きな比面積を有する多孔質体でチタン酸セシウムを酸水溶液と接触させて層状結晶を剥離・加熱することにより得られる薄片状酸化チタンであり、チタン酸からなる層状結晶を層1枚にまで剥離した結果、その厚みがナノメータレベルの非常に薄い酸化チタンを得ている。しかし、これは、余りにも薄いために、干渉色のない薄片状酸化チタンである。
【0008】
また、特開昭62−237936、特開昭62−247834、特開昭62−213833に記載されている板状酸化チタンは、チタンアルコラートのゾルゲルをドラムに付着して加熱させて酸化物とし、これをスクレーパでドラムから剥離して加熱焼成させて若干パール状の板状酸化チタンを得ているが、これは、スクレーパで剥離させるために粒子がカール状であることと粒子の厚さがミクロンオーダであるために、全く干渉色を発色させることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題点を解決しようとするものであり、干渉色による色彩が認められ得る新規で卓越した光輝感、色の鮮明度を発現し、しかも余色が濁らない高虹彩色酸化チタン組成物を配合することにより使用感触、透明性、干渉作用による色むらを抑え、しかもUV防御効果、フォトクロミック効果に優れていることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、上記問題点を解決するため鋭意研究の結果、高虹彩色酸化チタン組成物を製造するに際し、薄片状の基質表面にチタン組成物の被覆層を形成し、その被覆層を剥離することによってこの課題を解消する新規な高虹彩色酸化チタン組成物を提供するものである。
【0011】
より具体的には、薄片状基質表面には、アナターゼ型もしくはルチル型酸化チタンをベースとする金属酸化物及び又は金属水酸化物が被覆されて被覆層が形成され、この被覆層へアルカリ化合物を添加することで、薄片状基質表面から剥離した剥離組成物を得ることができる。この剥離組成物は、同時に所望の光沢で且つ干渉色を発色する組成物として提供される。
【0012】
即ち、本発明に係わる組成物は、天然マイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、シリカフレーク、アルミナフレーク、硫酸バリウムから選ばれる一種又は二種以上の薄片状基質と、その表面に被覆した酸化チタン組成物及び又は水酸化チタン組成物から成る。そして、高虹彩色酸化チタン組成物である剥離組成物は、この被覆組成物から、チタン組成物を剥離したものである。
【0013】
上記剥離組成物は、光沢において、アクリル系クリヤーラッカー30部に1部を混合し、白黒の隠蔽率試験紙、JISK5400に4ミルのアプリケーターで塗布し、隠蔽率試験紙の黒地において、堀場製グロスチェッカIG−330型で光沢を求めた値が60°で55〜90であり、発色は、光の干渉作用により発色する高虹彩色酸化チタン組成物である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の高虹彩色酸化チタン組成物に係わる被覆組成物の概念図であり、図2は、本発明の高虹彩色酸化チタン組成物の製法を示す概要図であり、図3は、本発明の被覆組成物のX線回折による分析結果のグラフであり、図4は、本発明の被覆組成物における酸化チタンの表面状態を示す顕微鏡写真であり、図5は、本発明の剥離組成物である酸化チタン組成物の干渉色とチタン層の膜厚の関係を示す表であり、図6は、剥離組成物である酸化チタン組成物の顕微鏡写真であり、図7は、剥離組成物である酸化チタン組成物の顕微鏡写真であり、図8は、本発明の剥離組成物である酸化チタン組成物の三次元光沢計による分析結果を示すグラフである。
【0015】
本発明に係わる高虹彩色酸化チタン組成物の被覆組成物及び高虹彩色酸化チタン組成物とその製法は、薄片状の基質表面に酸化チタンまたは水酸化チタンのチタン組成物から成る被覆層を形成した被覆組成物と、この被覆組成物に対して、被覆層のみを剥離することによって得られた剥離組成物と、その製法を開示したものであり、従来と異なる点は、所定の条件下で、剥離組成物を得ることで、これを化粧料等の幅広い用途に使用する際には、肌上に形成したこの剥離組成物を含む層において、光の干渉作用による従来にない高虹彩色の発色を得ることができる。
【0016】
本発明に係わる高虹彩色酸化チタン組成物の被覆組成物は、図1に図示の如く、薄片状基質1の表面にアナターゼ型もしくはルチル型酸化チタンをベースとする金属酸化物及び又は金属水酸化物を含む被覆層2を、光沢が得られる0.05〜0.6μmの特定の厚さまで被覆した組成物である。
【0017】
薄片状基質1は、平滑性に富み、その粒子の板形の大きさは、レーザー径で50〜800μmの範囲が好ましい。50μm以下では剥離した酸化チタン又は水酸化チタンの粒子径が細かすぎて、干渉光沢が十分に発揮できても酸化チタンが剥離しにくい。また、粒子の板形の大きさが、800μ以上になると、酸化チタン又は水酸化チタンの干渉光沢は十分に発揮できるが、剥離した粒子の機械的強度に弱いため応用する用途が限定される。
【0018】
最も好適には、100〜700μmの範囲である。100μm以下の基質を用いると、後述する剥離組成物の粒子が細かすぎて高虹彩色の干渉色の発色が弱くなる。また、基質の粒子径が700μmより大きくなると、剥離組成物の粒子による高虹彩色の干渉色の発色は強くなるが、粒子にザラツキ感が出て好ましくない。更に100〜300μmとすると、光沢が強く剥離が容易である。
【0019】
具体的に、この粒子径の範囲に入りやすい薄片状基質1としては、天然マイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、シリカフレーク、アルミナフレーク、硫酸バリウム等が挙げられる。シリカフレークは、その形状、及び表面の平滑性の度合いを制御することが比較的容易であり、更に、その表面に均一な被覆層2を、光沢が得られる特定の厚さまで被覆させることも比較的容易である等の点において薄片状基質1として選択するには好ましい素材である。
【0020】
薄片状基質1の粒子の厚さは特に規定されないが、0.1μm〜10μmの範囲が好ましい。粒子の厚さが0.1μm以下の場合、基質の周辺が丸くカールし、被覆した酸化チタン又は水酸化チタンの干渉光沢が十分に発揮できない。また、粒子の厚さが10μm以上になると、粒子の平面と厚さ方向に被覆した酸化チタン又は水酸化チタンが平面と厚さとで剥離した酸化チタン又は水酸化チタンの干渉色が異なるために、全体としての干渉光沢が不充分になる。
【0021】
被覆層2は、酸化チタン及び/又は水酸化チタン組成物を含む層であり、光沢が得られる特定の厚さまで被覆させる。これには、硫酸チタニルや四塩化チタンの可溶性水溶液またはチタンアルコラートの加水分解から得ることが好ましい。また、被覆層2は、シリカ及びまたはアルミナ・Zr・Ce・Zn等の補強剤を含むことにより、耐光性・剥離組成物の粉砕強度を向上させることができる。
【0022】
各粒子は、大きさ0.01〜0.05μm、好ましくは0.02〜0.04μmの集合体であるが、基質1の粒子の大きさ300μmの時に0.02μの酸化チタンまたは水酸化チタン組成物が最も剥離し易い。基質1の粒子の大きさが、800μmでは、被覆層2の粒子径は0.01μmと細かい粒子径でも剥離できるが、基質1の粒子径が100μm以下の大きさになると、被覆層2の粒子径も0.05μmの大きさにしないと剥離することができない。即ち、基質1の粒子径と被覆層2の粒子径とは逆比例の関係にある。
【0023】
本発明は、先ず、上記の図1に示す被覆組成物を形成し、次に、図2に示す如く、この被覆組成物から被覆層2を剥離し、これによって剥離組成物2aを最終的に得る。即ち、本発明に係わる高虹彩色酸化チタン組成物は、この被覆組成物の被覆層2である金属酸化物または金属水酸化物を薄片状基質1の表面から剥離して形成された剥離組成物2aである。
【0024】
薄片状基質1は、市販の薄片状粉体の使用も可能であるが、天然マイカ、合成マイカ、硫酸バリウム、シリカフレーク、アルミナフレーク等が使用される。例えば、インドのチップ状天然マイカを大気中800℃の温度で2時間焼成し、この焼成チッブ状天然マイカを上水に5日間浸す。このチップ状天然マイカをマスコロイダーで解砕し、分級してこれを得ることができる。
【0025】
また、剥離前に予め水ガラスや有機シリカ、可溶性アルミニウム塩等を用いて、シリカやアルミナ化合物で表面を更に被覆した後、被覆組成物を剥離することによって、耐候性が良く、しかもカールしない剥離組成物を得ることができる。
【0026】
被覆組成物は、上記の如く、先ず、薄片状基質1の表面に酸化チタンまたは水酸化チタン組成物を光沢が得られる特定の厚さまで被覆させて被覆層2を形成する。これには、硫酸チタニルや四塩化チタンの可溶性水溶液またはチタンアルコラートの加水分解から得ることが好ましい。
【0027】
剥離組成物を得るに際しては、予めこの被覆組成物を300〜800℃で焼成し、アルカリ中(pH8以上)にて薄板状基質から被覆層を剥離することにより、カールが無く平滑性に優れた剥離組成物を得ることができる。
【0028】
これにより、剥離組成物の光沢と干渉色が向上する。焼成温度が300℃より低い場合は、何れも、剥離組成物の粒子がカールし、800℃より高い場合は、剥離組成物の酸化チタンまたは水酸化チタンが凝集し、剥離後の光沢と干渉色が悪くなる。
【0029】
剥離組成物は、ろ過・水洗・乾燥後、500〜900℃にて焼成し、光沢保持、カールの防止を行う。また、その他、剥離後の後処理としては、酸化鉄・コバルト・ニッケル・リチウム・ナトリウム・カリウム、着色無機化合物でコートしたり、有機顔料をコートして有機顔料着色物とすることについては、各種の用途、実施態様により公知の方法により実現可能である。
【0030】
このようにして得られた剥離組成物である本発明の高虹彩色チタン組成物は、0.05〜0.6μm粒子の厚みが選択されている。これは、虹彩色を呈する幾何学的膜厚と光学的膜厚(膜厚×屈折率)の関係で説明すると、概ね、幾何学的厚さが0.05〜0.5μmで、光学的厚さが0.1〜0.9μmの範囲で厚さを選択することが好ましいことを示している。
【0031】
組成物が薄すぎると、所望する干渉色を生ずることが困難になり、好ましくない。逆に、組成物が厚すぎると、干渉色強度が厚みの散乱により干渉の強度が低下するため、好ましくない。
【0032】
表1は、本発明に係わる高虹彩色チタン組成物をテープ上に塗布し、この塗布テープを黒地上に置いた場合の干渉色と、チタン組成物の幾何学的厚さとの関係を示している。
【0033】
本発明の高虹彩色チタン組成物の粒径は、揃っているほど虹彩色の彩度は高くなる。即ち、薄板状の高虹彩色チタン組成物の粒子の各々において、散乱光により所望する干渉色を得ることを可能にしたものである。
【0034】
尚、本発明において、具体的に高虹彩色チタン組成物の粒径と薄板の形が揃っているとは、レーザー回折散乱径の平均粒径Aμmとすると、A±4μmの範囲に体積分布で60%以上、好ましくは、70%以上の頻度で分布すること、また、薄板の形は走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、倍率2,000倍で粒子数を数えた時、薄板形が粒子に接線を引き、厚さの1.5倍以上離れた粒子の数が10%未満であることが望ましい。
【0035】
この粒径(形)の均一性を保つために、薄片状基質の平滑性を調整する際に、粉砕、分級を入念に行うことが望ましい。天然雲母を選択する場合には、2〜8メッシュの原鉱石を湿式で攪拌粉砕し、水簸分級することによって、均一性に優れるものを選択することが望ましい。
【0036】
更に、平滑で粒子径の揃った薄片状基質表面に、チタン組成物を均一に被覆し、そのチタン組成物を剥離することが、干渉色をより均質に得るということで好ましい。
【0037】
上記の如く得られた剥離組成物である、本発明の高虹彩色酸化チタン組成物は、被覆組成物において光沢が得られる程度の特定の厚さとしたことから、これを塗料等の用途に使用するに際しては、直接的な表面反射光と入射して透過する際の反射された反射光とが干渉し合い、互いの位相のズレによる高虹彩色干渉色を得ることができる。
【0038】
本発明の高虹彩色酸化チタン組成物を塗布面において均一に塗布した層を形成した場合、これに光が当たると、塗布面の粒子表面からの反射光と、屈折率の異なる媒体で反射されたチタン組成物の粒子の透過光が互いに干渉を起こし、特定の干渉色の発色が得られる。この干渉色は、被覆組成物における被覆層の厚さを制御することにより決定される。
【0039】
(比較例1)
図8は、本発明の剥離組成物である酸化チタン組成物の三次元光沢計による分析結果を示すグラフである。
【0040】
本発明の剥離組成物を、アクリル系クリヤーラッカー30部に1部を混合し、白黒の隠蔽率試験紙、JISK5400に4ミルのアプリケーターで塗布し、隠蔽率試験紙の黒地において、三次元光沢計GCMS−4型で入射角45°、反射角(測色角)0〜75°の間を5°間隔で側色し、Labを求めた。
【0041】
比較顔料として、メルク社製イリオジン(以下、IRと略す)225、219、235を使用した。分析の結果から、本発明の酸化チタン組成物が広い範囲で干渉色を示すことが判明した。
【0042】
以下具体的な製造例について記載する。尚、これらの製造例により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0043】
(製造例1)
インド産のチップ状天然マイカ1.0キログラムを大気中800℃の温度で2時間燃成し、放冷後このチップ状焼成天然マイカを上水10リットルに浸漬させ、室温にて5日間放置した。このチップ状焼成天然マイカを間隔500μmの増幸産業社製マスコロイダーで2回通過、解砕し、解砕した焼成天然マイカを50リットル入れポリタンクに移し、これに0.02パーセントのヘキサメタ燐酸水溶液を加えて、全量を45リットルとした。
【0044】
プロペラ撹拌機で撹拌し、静置後5分で、上澄液を別の容器に移し、この操作を3回繰返し、0.1mm以上の大粒子を分級し、上澄液を標準篩10メッシュ(800μm)と65メッシュ(203μm)を用いて篩分級し、10〜65メッシュの粒子径が150g得た。
【0045】
次に、分級したマイカ150gに硫酸チタニル400gと上水7.5リットルを加えて、プロペラ撹拌しながら硫酸チタニルを溶解した。硫酸チタニルの溶解後、撹拌しながら加熱し、90℃以上の温度で4時間加水分解処理した。放冷後、水洗、ろ過し、150℃で乾燥した。更に、300℃で2時間焼成した。表面状態を観察するために1部を取り、日立S−2100B型電子顕微鏡(SEM)20,000倍で観察した。その結果は図4に示したように被覆組成物の粒子径が0.02μmの集合体であった。
【0046】
また、水洗粉末に10パーセントの荷性ソーダー水溶液を加えてpH11に調整し浸漬静置した。上澄に浮離した粉末をデカンテーション法で分級し、分級粉末をろ過、水洗した。水洗分級粉末に硫酸アルミニウム8.325グラムを5リットルに溶解した水溶液を加え、更にオキシ塩化ジルコニウム4グラムと尿素18グラム加えた。プロペラ撹拌しながら加熱し、80℃以上で5時間加水分解処理を行った。放冷後、水洗、ろ過し150℃で乾燥した。この乾燥粉末を大気中700℃2時間焼成した。得られた粉末は140グラムであった。
【0047】
この粉末を理学電機社製X線回折装置ミニフレックスで測定した。X線回折パターンは図3の(C)に示したようにブロードではあるが酸化チタンのアナターゼであった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)2,000倍と20,000倍の結果図6に示したように薄片状の形で、板径の平均が10μm板の厚さが0.24μmであった。アクリル系のクリヤーラッカー30部に本品1グラムを混合し、白黒の隠厳率試験紙JISK5400に4ミルのアプリケーターで塗布し、黒地において、掘場製グロスチェッカIG−330型で光沢を求めた値が60°で85であった。
【0048】
また、黒地の色調角度依存性を調べるために村上色彩研究所製の3次元光沢度計GCMS−4型で入射度45°、測色取出し角0°〜75°において5°間隔で側色し、L・a・b変換して、色相であるabプロットした。結果を図8に示したように、緑色から青緑色、青色へと幅広い範囲で変化した。
【0049】
本品の組成を調べるために、0.2グラムを正確に秤量し、硫酸および硫酸アンモニウムを加え、加熱して溶解した。冷却後、水および塩酸を加えて、金属アルミニウムを加えて、チタンを還元し、冷却後チオシアン酸カリウム溶液を指示薬として、硫酸アンモニウム鉄(III)溶液で滴定して、酸化チタン量(パーセント)を求めた。この結果酸化チタンは95.0パーセントであった。また、アルミニウムとジルコニウムを定量するために、理学電機社製波長分散型蛍光X線分析装置ZSX100e型で、アルミニウムは394.40nmとジルコニウムは343.82nmのピーク高さを用いて、検量線法により定量した。その結果アルミニウムは酸化アルミニウムとして1.15パーセント、また、ジルコニウムは酸化ジルコニウムとして1.08パーセントであった。すなわち、本品の組成は酸化チタン95.0パーセント、酸化アルミニウム1.15パーセント、酸化ジルコニウム1.08パーセントの組成物であった。
【0050】
(製造例2)
合成マイカ(トピー工業製)のレーザー径150〜650μm平均径300μm、10キログラムを600リットルのジャケット付グラスライニングタンクに入れ、上水400リットルと塩化第二スズ175グラム及び1モル/リットル硫酸水溶液を加えて、PHを1.9に調製した。撹拌しながら加熱し、温度80℃に達してから3分の1モル/リットルの四塩化チタン塩酸水溶液と15パーセント荷性ソーダー水溶液を用いてPHを保持しながら四塩化チタン塩酸水溶液毎分0.12キログラムの流速で滴下し、10時間反応させた。
【0051】
放冷後、撹拌を止めて、上澄をデカンテーションした。残りの粉末に上水400リットルを加えて撹拌し、これに15パーセント荷性ソーダー水溶液を加えてPH6.5〜7.5に調製後ろ過、水洗し、150℃で乾燥した。乾燥粉末を大気中800℃で2時間焼成した。製造例1と同様に表面状態をSEMで観察した被覆粒子の大きさは0.016μmの集合体であった。
【0052】
焼成粉末を炭酸ナトリウム水溶液PH12の液400リットルに浸漬した。5日間浸漬後プロペラ撹拌で十分に分散させ、ヘキサメラ燐酸ソーダーの2パーセント水溶液2リットルを加え撹拌した。十分に分散後、上澄中の微粉末をデカンテーション法で分離した。この操作を繰り返し,上澄中の粉末を回収した。
【0053】
上澄液中の粉末は水洗、ろ過した。ろ過した粉末を荷性ソーダー水溶液PH9.2の液400リットルに浸潰させプロペラ撹拌で分散させた。PH9.2を保持しながら80℃に加熱し3モル/リットルの水ガラスの水溶液と6Nの塩酸水溶液を、水ガラスの水溶液の流速を毎分0.085リットルとし、2時間水ガラスの水溶液を加えた。更に2時間熟成させた後、放冷した。ろ過、水洗後、150℃乾燥し、粉末18キログラム得た。
【0054】
製造例1と同様な装置でX線回折を測定した。X線回折の結果ルチル型酸化チタンであった。SEM観察は図7に示したように薄片状の形で板径の平均が15μmで板の厚さが0.45μmであった。
【0055】
製造例1と同様に白黒隠蔽率試験紙JISK5400及び三次元光沢度計での測色、更には組成分析を行った。これらの結果グロスチェック値が60°において80で、測色の色調角度依存性も黄緑色から緑色、青緑色と幅広い範囲で変化した。また、組成分析の結果、酸化チタンが88.5パーセント、シリカが10.3パーセントであった。
【0056】
(製造例3)
レーザー径が50〜200μm、平均140μmのガラスフレーク(日本板硝子社製RCF140)1キログラムを40リットルの琺瑯引き容器に入れ、10パーセント硫酸チタニル水溶液17リットルと、0.06モル/リットルの硫酸水溶液5リットル、これに尿素100グラム、更に上水10リットルを加えて、プロペラ撹拌しながら、加熱し90℃以上の温度で6時間加水分解処理した。
【0057】
放冷後、デカンテーションを繰り返し水洗した。10パーセント荷性ソーダーと上水30リットルを加えて、液のPHを8.8とし加熱して80℃とした。PHと温度を保持しながら1モル/リットルの水ガラス水溶液0.85リットルと1N塩酸水溶液を、水ガラス水溶液が毎分0.014リットルの流速で1時間加えた。更に3時間熟成した。
【0058】
放冷後、製造例1と同様に表面状態をSEMで観察した処、被覆粒子の大きさは0.04μmとかなり大きい粒子であった。
【0059】
熟成した分散液に1モル/リットル炭酸ソーダー水溶液を加えてPH12とし4日間放置した。放置後プロペラ撹拌し静置後上澄液中の粉末をデカンテーション法で分離した。この操作を繰り返して上澄液中の粉末を回収した。回収した粉末を水洗、ろ過し150℃にて乾燥した。乾燥後更に大気中300℃で1時間焼成し、粉末650グラム得た。
【0060】
得られた粉末はX線回折の結果、かなりブロードのアナターゼ型であった。SEM観察の結果、薄板状の形をなし板径が平均8μmで厚さが0.35μmであった。
【0061】
製造例1と同様に物性試験を行った。その結果グロスチェッカ値が60°において60で測色の色調角度依存性も赤紫色から赤色・黄色と幅広い範囲で変化した。また、組成分析の結果、酸化チタンが70パーセント、シリカが2.8パーセント、他は水分であった。
【0062】
(製造例4)
インド産のチップ状天然マイカを製造例1と同一条件で解砕分級した。このマイカ1kgを40リットルの琺瑯引き容器に入れ、10%硫酸チタニル水溶液17リットルと、0.06モル/リットルの硫酸水溶液5リットル、これに尿素100g、更に上水10リットルを加えて、プロペラ撹拌しながら、加熱し90℃以上の温度で6時間加水分解処理した。
【0063】
法冷後、水洗・濾過した。これに10%苛性ソーダー水溶液と上水30リットルを加えて、液のpHを10としチッソガスで撹拌しながら加熱し80℃とした。pHと温度を保持しながら0.5モル/リットルの硫酸第一鉄水溶液0.2リットルと10%苛性ソーダー水溶液とを、硫酸第一鉄水溶液が毎分0.014リットルの流速で15分加えた。更にチッソガスから空気に切り替えて5時間撹拌した。
【0064】
法冷後、製造例1と同様に表面状態をSEMで観察した処、被覆粒子の大きさは0.04μmに更にその表面に0.3μmの粒子が点在していた。
【0065】
熟成した分散液に1モル/リットル炭酸ソーダー水溶液を加えてpH12とし4日間放置した。放置後プロペラ撹拌して、靜置後上澄液中の粉末をデカンテーション法で分離した。この操作を繰り返して上澄液中の粉末を回収した。回収した粉末を水洗、濾過し150℃にて乾燥した。乾燥後更に大気中500℃で1時間焼成した。焼成粉末650グラム得た。
【0066】
得られた粉末はX線回折の結果、ブロードの回折線であるがアナターゼ型と酸化鉄(Fe203)であった。SEM観察の結果、薄板状の形をなし板径が平均8μmで厚さが0.36μmであった。
【0067】
製造例1と同様に物性試験を行った。その結果外観色は赤みでグロスチェカ値が60°において60で測色の色調角度依存性も赤紫色から赤色・黄色と幅広い範囲で変化した。また、組成分析の結果、酸化チタンが99%、酸化鉄が1%であった。
【0068】
本発明は、上記の如く製造された剥離組成物を化粧料の用途として使用するものである。また、化粧料への剥離組成物の配合量は、0.5〜50重量%が好ましい。配合量が0.5重量%未満では、皮膚の色むらを抑える効果に乏しく。また、50重量%を越えると虹彩色が強くなり過ぎて好ましくない。
【0069】
本発明の化粧料としては、例えば、スキンケア、アンダーメイキャップ、サンスクリーン、クリームファンデーション、パウダーファンデーション、プレストパウダー、アイライナー、チークカラー、リップスチック、ネイルエナメル等の皮膚用化粧料として用いられるものが挙げられる。剤型は、特に限定されるものではない。また、これらの化粧料は、上記本発明の剥離組成物を配合する以外は、通常の化粧料と同様の方法で製造することが出来る。
【0070】
本発明の化粧料には、上記の剥離組成物以外に、通常化粧料に配合される粉体(顔料、色素、樹脂)、オイル、界面活性剤、フッ素化合物、樹脂、アルコール類、高分子化合物、紫外線防御剤、抗酸化剤、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、水、その他の成分を用途、剤型、目的等に応じて適宜配合することが出来る。
【0071】粉体としては、例えば、赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号A1レーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロンパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー、キチン、キトサン、アルギン酸カルシウム等の高分子、黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の着色顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等の体質顔料、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム等の紫外線防御粉体、雲母チタンなどのパール顔料、ベントナイト、スメクタイト等が挙げられる。これらの粉体の形状、大きさに特に制限はない。
【0072】
また、上記粉体は、従来公知の各種表面処理、例えば、シリコーン処理、シラン処理、フッ素化合物処理、金属石鹸処理、ワックス処理、脂肪酸処理、N−アシル化リジン処理、水溶性高分子化合物処理、樹脂処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等が行われていてもいなくとも構わない。
【0073】
オイルとしては、流動パラフィン、スクワラン、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、オリーブ油、ヒマシ油等の液体油、ワセリン、固型パラフィン、牛脂、ラノリン、蜜ロウ、鯨ロウ、コレステロール等の半固型〜固型脂、セタノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤、シリコーン系油剤、シリコーン誘導体等が挙げられる。
【0074】
界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(以下POEと略す)ソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POEポリオキシプロピレンアルキルエーテル、POEポリオキシプロピレンコポリマー、POEアルキルフェニルエーテル、POE硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミド等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、POEアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルエーテルリン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸加水分解コラーゲン塩、アミノ酸系陰イオン界面活性剤、スルホコハク酸系界面活性剤、オレフィンスルホン酸塩等の陰イオン性界面活性剤、レシチンや酢酸ベタイン系、イミダゾリニウムベタイン系等の両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0075】
アルコール類としては、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、等の多価アルコールが挙げられる。高分子化合物としては、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、メチルビニルエーテル−マレイン酸モノアルキルエステル共重合体、N−メタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキルエステル共重合体、ジエチル硫酸ビニルピロリドン−N、N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム等が挙げられる。
また、上記のその他の成分としては、アミノ酸、ヒアルロン酸等の保湿剤、オキシベンゾン、パラアミノ安ソ香酸エステル等の紫外線吸収剤、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤、パラベン、フェノキシエタノール等の防腐剤、イソプロピルメチルフェノール、トリクロロカルバン等の殺菌剤、コラーゲン、ケラチン、絹等のタンパクの加水分解物、クエン酸、クエン酸ナトリウム等のpH調整剤、植物抽出エキス、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤、塩化ナトリウム等の無機塩、キレート剤、色素、香料等が挙げられる。
【0076】
以下、その代表的な実施例を記載する。尚、これらの処方により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、化粧料への配合量は特に指定がない限り質量%である。実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験の方法について説明する。
【0077】
試験方法:滑らかな感触、自然な透明感、肌の欠点(キメ、色むら等)補正効果の評価項目それぞれについて、20名の専門パネルにとる使用テストを行い、下記の評価点基準に基づいて各人がつけた評価点を合計した。
【0078】
(評価点基準)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
(評価基準)
◎:合計点が80点以上。
○:合計点が60点以上80点未満である。
△:合計点が40点以上60点未満。
×:合計点が40点未満である。
【0079】
実施例1〜2,比較例1〜2を表1に示す処方のパウダリーファンデーションを、表1に示す1〜12を撹拌混合した後、均一に加熱混合した13〜20を加えて混合した。得られた混合物を粉砕して、容器に成型することにより調製した。
【0080】
【表1】
【0081】
上記実施例1〜2、比較例1〜2の官能試験評価結果を表2に示した。
【表2】
【0082】
表2から分かるように、本発明の製造例3を配合した、実施例1及び製造例4を配合した実施例2は剥離組成物による滑らかな使用感触と自然な透明感、干渉作用による色むらを抑える(肌の欠点補正効果)、また、実施例2はフォトクロミックにも優れた効果を得ることが出来た。
【0083】
一方、本発明の剥離組成物の代わりに酸化チタン被覆雲母を配合した比較例1及び比較例2は、滑らかな使用感触、自然な透明感、フォトクロミック効果に劣り、いずれの場合も本発明の効果を発揮し得ないことが分かる。
【0084】
以下、さらに種々の処方を本発明化粧料の実施例として示す。なを、上記の官能試験をこれら化粧料においても行ったところ、いずれの実施例の本発明化粧料においても優れたものであった。
【0085】
【0086】
1〜10の各成分を混合粉砕したところへ、11〜18の成分を混合したものを加えて撹拌混合し、さらに粉砕したものを容器に充填成型して、固形パウダリーファンデーションを得た。
【0087】
【0088】
1〜5を均一に撹拌混合したところへ、6〜8を加えて混合したものに、混合粉砕した9〜15を加えて分散する。これに加熱溶解した16〜25を加えて均一に乳化することにより、水中油型乳化化粧料を得た。
【0089】
【0090】10〜18の各成分を均一に混合したものへ、1〜7の各成分を混合粉砕したものを加えて分散させた。次に均一に混合溶解させた8〜9を加えて乳化、容器に充填して油中水型乳化化粧料を得た。
【0091】
【0092】1〜8の各成分を混合粉砕したところへ、9〜13の各成分を混合したものを加えて撹拌混合し、中皿に成型してアイシャドーを得た。
【0093】
【0094】70℃に加熱した11に12〜13を分散させ、これに均一溶解した10と14を加えて十分に撹拌する。別に加熱溶解させておいた1〜9に、これを加えて十分撹拌し、さらに15〜20を加えて分散撹拌し、その後容器に充填して油性ステイックを得た。
【0095】
【0096】1〜7を80℃に加熱溶解し十分混合した。この液に8〜11を加え、三本ロールにて混練した、混練スラリーを80℃に加熱して12〜15を加え撹拌混合し、口紅成型容器に流し込み充填し、口紅を得た。
【0097】
【0098】1〜9の各成分をディスパーで混合分散させ、容器にステンレスボールと共に充填して製品を得た。尚、本製品は使用前によく振って使用した。
【0099】
【0100】
1〜6を混合し、80℃に加熱、これに7〜11を加えて均一に撹拌分散する。更に、12を加え分散させ、別に作った16に17を加えこれを15に加え均一の溶液にし、これに18を加えた液を70℃に加熱してこれを加えて70℃ホモミキサーで乳化した。13〜14を加えて脱気きて容器に充填冷却して製品を得た。
【0101】
【0102】
1〜3及び7〜8を熱ローラーで十分混練して、これを4〜6に10を加えた液にいれ十分に混練する。均一になった液に9を加えて分散させ、容器に充填してネイルエナメルを得た。
【0103】
【発明の効果】
本発明は、上記の通り、干渉色による色彩が認められ得る新規で卓越した光輝感、色の鮮明度を発現し、しかも余色が濁らない高虹彩色酸化チタン組成物を提供することを可能とした。
高虹彩色酸化チタン組成物は、薄片状基質の表面に被覆層を形成した被覆組成物であり、薄片状基質の板形の大きさが50〜800μmで且つ被覆層の厚さが0.05〜0.6μmであり、該被覆層は、70〜95質量%のチタン組成物を含有する。この被覆組成物からチタン組成物の被覆層を剥離して形成される剥離組成物を高虹彩色酸化チタン組成物とする。更に、剥離した高虹彩色酸化チタン組成物(本文では剥離組成物と云う)を化粧料に配合することによって、滑らかな使用感触、自然な透明感、干渉作用による肌の色むらを抑える(肌の欠点補正効果)、紫外線防御効果、フォトクロミック効果等の点で、非常に優れた化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高虹彩色酸化チタン組成物に係わる被覆組成物の概念図である。
【図2】本発明の高虹彩色酸化チタン組成物の製法を示す概要図である。
【図3】本発明の被覆組成物のX線回折による分析結果のグラフである。
【図4】本発明の被覆組成物における酸化チタンの表面状態を示す顕微鏡写真である。
【図5】本発明の剥離組成物である酸化チタン組成物の干渉色とチタン層の膜厚の関係を示す表である。
【図6】剥離組成物である酸化チタン組成物の顕微鏡写真である。
【図7】剥離組成物である酸化チタン組成物の顕微鏡写真である。
【図8】本発明の剥離組成物である酸化チタン組成物の三次元光沢計による分析結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 薄片状基質
2 被覆層
2a 剥離組成物
Claims (5)
- 板形の大きさが50〜800μmの薄片状基質表面に、厚さが0.05〜0.6μmのチタン組成物の被覆層を形成し、該被覆層組成物からチタン組成物の被覆層を剥離して形成される剥離組成物から成る高虹彩色酸化チタンを用いたことを特徴とする化粧料。
- 前記薄片状基質が、天然マイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、シリカフレーク、アルミナフレーク、硫酸バリウムから選択されることを特徴とする請求項1記載の化粧料。
- 前記剥離組成物が、70〜99重量%の酸化チタン又は、および水酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1記載の化粧料。
- 剥離高虹彩色酸化チタン組成物が、1〜20重量%の補強剤を含むことを特徴とする請求項3記載の化粧料。
- 前記補強剤が、鉄、亜鉛、コバルト、ニッケル、リチウム、ナトリウム、ビスマス、タングステン、スズ、シリカ、アルミナ、ジルコニウムからなる群より一種又は二種以上から選択される金属酸化物ないし金属水酸化物であることを特徴とする請求項4記載の化粧料。
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