JP2004067074A - エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外周に縫製部を有するエアバッグが展開するときに、その縫製部が乗員と接触しないようにする。
【解決手段】乗員に対向する第1基布36と、その反対側の第2基布37とを外周の縫製部38で縫製したエアバッグ32を折り畳む過程で、リテーナ22に固定されるエアバッグ32の基部と外周とを破断可能な連結部材39で連結する。エアバッグ32の基部と外周とが連結部材39で連結されているので、エアバッグ32は連結部材39によって形状を規制されながら膨張し、最終的に張力に耐えられなくなった連結部材39を破断して展開する。そのために、連結部材39に連結されたエアバッグ32の外周の展開が遅れ、他の部分に比べて固い縫製部39が乗員と接触するのを防止することができる。
【選択図】   図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外周に縫製部を有して折り畳まれたエアバッグおよびインフレータをリテーナに支持し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスでエアバッグを膨張させて車室内に展開させるエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の衝突時にステアリングホイールの中央部から車室内に展開して乗員を拘束するエアバッグは、一般に2枚の円形の基布を外周において縫製したもので、その一方の基布の中央の開口に固定されたインフレータが発生するガスで偏平な球状に膨張する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エアバッグの基布の縫製部は、その部分で基布が重ね合わされて厚くなることや、縫製糸の剛性の影響でエアバッグの他の部分よりも固くなる。従って、エアバッグが展開する過程で乗員を柔らかく拘束するには縫製部と乗員と接触を避けることが望ましく、そのためにはエアバッグの中央部に対して外周部を遅れて展開させる必要がある。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、外周に縫製部を有するエアバッグが展開するときに、その縫製部が乗員と接触しないようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、外周に縫製部を有して折り畳まれたエアバッグおよびインフレータをリテーナに支持し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスでエアバッグを膨張させて車室内に展開させるエアバッグ装置において、エアバッグを折り畳む過程で、リテーナに固定される基部とエアバッグの外周とを連結部材で連結し、エアバッグは膨張時に連結部材を破断して膨張することを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
【0006】
上記構成によれば、折り畳んだエアバッグがインフレータが発生するガスで膨張して車室内に展開するときに、エアバッグの基部と外周とが連結部材で連結されているので、エアバッグは連結部材によって形状を規制されながら膨張し、最終的に張力に耐えられなくなった連結部材を破断して展開する。そのために、連結部材に連結されたエアバッグの外周の展開が遅れ、他の部分に比べて固い外周の縫製部が乗員と接触するのを防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0008】
図1〜図9は本発明の第1実施例を示すもので、図1は自動車の車室前部の斜視図、図2は図1の2−2線拡大断面図、図3はエアバッグモジュールの分解斜視図、図4はエアバッグの分解斜視図、図5はエアバッグの折り畳みの第1工程を示す図、図6はエアバッグの折り畳み順序を示す第1分図、図7はエアバッグの折り畳み順序を示す第2分図、図8はエアバッグの折り畳み順序を示す第3分図、図9はエアバッグの展開時の作用説明図である。
【0009】
図1に示すように、運転席シート11の前方に配置されたステアリングホイール12の内部に運転席用のエアバッグモジュール13が収納される。
【0010】
図2および図3に示すように、ステアリングホイール12は、ステアリングシャフト14の後端にナット15で固定されたボス部16と、ボス部16に固定されたフロントカバー17と、フロントカバー17の後面にボルト18…で固定されたリヤカバー19と、フロントカバー17から放射状に延びる複数のスポーク部20…と、スポーク部20…の外周に連なるステアリングホイール本体部21とを備える。リヤカバー19の内周面にリテーナ22がボルト18…で共締めされており、このリテーナ22にエアバッグモジュール13が支持される。リヤカバー19の内面には、エアバッグ32の膨張時に破断する薄肉のティアライン19a(図2参照)が形成される。
【0011】
エアバッグモジュール13は、燃焼により高圧ガスを発生する推薬を充填したインフレータ31と、基布を縫製して構成したエアバッグ32と、エアバッグ32の基部を固定する固定リング33とを備える。リテーナ22の前面および後面に、インフレータ31の外周に形成したフランジ31aと固定リング33とが重ね合わされ、固定リング33に設けたボルト34…およびナット35…で固定される。このとき、リテーナ22の後面と固定リング33との間にエアバッグ32の基部が挟まれて固定される。
【0012】
図4に示すように、円形のエアバッグ32は後ろ側(乗員に対向する側)の第1基布36と、その前面に重ね合わされる第2基布37とを備え、第1、第2基布36,37は外周の縫製部38で一体に縫製される。エアバッグ32の基部となる第2基布37の中央にはインフレータ31を囲む円形の開口37aと、エアバッグ32の膨張時にガスの一部を逃がすベントホール37b,37bと、ボルト34…が貫通するボルト孔37c…とが形成される。第1、第2基布36,37の外周には複数本(実施例では4本)の細い布製の連結部材39…の一端が縫製部38において縫製されており、連結部材39…の他端にボルト孔39a…が形成される。
【0013】
次に、エアバッグ32の折り畳み順序を、図5〜図8に基づいて説明する。
【0014】
先ず、図6(a)に示すように平坦に広げたエアバッグ32の内部に、第2基布37の開口37aから固定リング33を挿入し、固定リング33に設けた4本のボルト34…を第2基布37の4個のボルト孔37c…に挿入しておく。続いて、図6(b)に示すように45°傾斜した2本の折り線L1,L1により前側に折り畳む。このとき、図5に示すように、2本の連結部材39,39のボルト孔39a,39aを4本のボルト34…のうちの2本に挿通する。更に、図6(c)に示すようにエアバッグ32を前記2本の折り線L1,L1と直交する2本の折り線L2,L2で前側に折り畳み、他の2本の連結部材39,39のボルト孔39a,39aを他の2本のボルト34,34に挿通する。
【0015】
上述のようにして正方形になったエアバッグ32の左半部を、図7(d)に示すように折り線L3で後側に折り畳んだ後、図7(d)〜(f)に示すように先端側から左向きに巻き取るように折り畳む。続いて、エアバッグ32の右半部を、図7(g)に示すように左半部と左右対称に折り畳む。続いて、縦長になったエアバッグ32の上半部を、図8(h)に示すように、折り線L4で後側に折り畳んだ後、図8(h)〜(l)に示すように先端側から上向きに巻き取るように折り畳む。続いて、エアバッグ32の下半部を、図8(m)〜(o)に示すように上半部と略上下対称に折り畳み、正方形のブロック状にしてエアバッグ32の折り畳みを完了する。尚、実施例では上半部の折り畳み回数(図8(h)〜(l)参照)は、下半部の折り畳み回数(図8(m)〜(o)参照)よりも多くなっている。
【0016】
折り畳みを完了したエアバッグ32の第2基布37の開口37aから内部にインフレータ31を挿入した状態で、固定リング33に設けられて第2基布37の4個のボルト孔37c…および連結部材39…の4個のボルト孔39a…を貫通する4本のボルト34…を、更にリテーナ22およびインフレータ31のフランジ31aを貫通させてナット35…で締結することで、第2基布37の開口37aの周囲と連結部材39…の他端とが固定リング33およびリテーナ22間に挟まれて固定される。
【0017】
しかして、車両の衝突時に所定値以上の加速度が検出されるとインフレータ31が点火し、折り畳まれたエアバッグ32がインフレータ31が発生するガスで膨張を開始する。エアバッグ32が膨張する圧力を受けたリヤカバー19はティアライン19aが破断し、そこに形成された開口からエアバッグ32が車室内に展開する。
【0018】
図9に示すように、エアバッグ32が膨張する過程で折り畳みが解けるときに4本の連結部材39…が突っ張ることで、連結部材39…が連結されたエアバッグ32の外周の縫製部38が前方に引かれ、第1基布36が丸みを帯びて後方に膨張する。これにより、第1基布36よりも固い縫製部38が乗員に接触することが回避される。エアバッグ32の膨張が更に進行すると、連結部材39…が張力に耐えられなくなって破断することで、エアバッグ32は最終的な形状に展開する。このように、連結部材39…の作用でエアバッグ32の膨張形状をコントロールすることで、膨張するエアバッグ32の固い縫製部38が乗員と接触することを回避して乗員を柔らかく拘束することができる。
【0019】
図10および図11は本発明の第2実施例を示すもので、図10は前記図5に対応する図、図11は図10の11−11線断面図である。
【0020】
第1実施例のエアバッグ32の4本の連結部材39…は、エアバッグ32の外周から径方向外向きに延びているが、第2実施例のエアバッグ32の4本の連結部材39は、エアバッグ32の外周から径方向内向きに、つまり第1基布36および第2基布37の間に挟まれるように延びており、その他の構造は第1実施例と同じである。
【0021】
また第2実施例のエアバッグ32は、その折り畳みの手順の初期部分において第1実施例と異なっている。即ち、第1実施例では円形のエアバッグ32を先ず正方形に折り畳む際に、図6(b)に示すように45°傾斜した2本の折り線L1,L1により前側に折り畳み、更に図6(c)に示すようにエアバッグ32を前記2本の折り線L1,L1と直交する2本の折り線L2,L2で前側に折り畳んでいる。それに対して、第2実施例では折り線L1,L1,L2,L2に関するエアバッグ32の折り畳みを、袋を裏返すように内向きに折り畳んでいる(図11参照)。
【0022】
その結果、4本の連結部材39…はエアバッグ32の内部で第2基布37の中心の開口37aに向かって近づくため、この段階で前記開口37aからエアバッグ32の内部に固定リング33を挿入し、固定リング33の4本のボルト34…を4本の連結部材39…の4個のボルト孔39a…および第2基布37の4個のボルト孔37c…に挿通する。その後は、第1実施例と同様に、図7(d)〜図8(o)の手順でエアバッグ32の折り畳みを完了する。
【0023】
しかして、この第2実施例によれば、上述した第1実施例の作用効果に加えて、エアバッグ32の固い縫製部38が内向きに折り畳まれていて最後に展開することで、その縫製部38が乗員と接触することを一層確実に回避することができる。
【0024】
図12〜図14は本発明の第3実施例を示すもので、図12は折り畳み前のエアバッグを示す図、図13および図14はエアバッグの折り畳み順序を示す図である。
【0025】
図12を図5(第1実施例)と比較すると明らかなように、第1実施例のエアバッグ32は4本の連結部材39…を備えているのに対し、第2実施例のエアバッグ32は上下に各1本、合計2本の連結部材39,39を備えている。これらの連結部材39,39は幅広であって容易に破断できないため、その破断を補助するためのミシン目39bがボルト孔39a,39aの近傍に設けられる。第2実施例のエアバッグ32のその他の構造は第1実施例と同じである。
【0026】
次に、エアバッグ32の折り畳み順序を、図13および図14に基づいて説明する。
【0027】
先ず、平坦に広げたエアバッグ32の内部に、第2基布37の開口37aから固定リング33を挿入し、固定リング33に設けた4本のボルト34…(図4参照)を第2基布37の4個のボルト孔37c…に挿入しておく。続いて、図13(a)〜図14(d)に示すように、エアバッグ32の左半部および右半部を左右対称形状にジクザグに折り畳み、全体として縦長の長方形状にする。続いて、図14(e)〜図14(g)に示すように、縦長の長方形状のエアバッグ32の上半部および下半部を上下対称形状にジクザグに折り畳み、全体として正方形状にして折り畳みを完了する。その際に、エアバッグ32の上半部(あるいは下半部)の折り畳みが完了する図14(f)、図14(g)の段階で、上側(あるいは下側)の連結部材39の各2個のボルト孔39a,39aに固定リング33の各2本のボルト34,34を挿通する。
【0028】
しかして、この第3実施例によっても、エアバッグ32が膨張する過程で折り畳みが解けるときに2本の連結部材39,39が突っ張ることで、連結部材39,39に連結されたエアバッグ32の外周が前方に引かれ、第1基布36が丸みを帯びて後方に膨張する。これにより、第1基布36よりも固い縫製部38が乗員に接触することが回避される。エアバッグ32の膨張が更に進行すると、連結部材39,39のミシン目39b,39bが張力に耐えられなくなって破断することで、エアバッグ32は最終的な形状に展開し、第1実施例と同様の作用効果を達成することができる。
【0029】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0030】
例えば、実施例では運転席用のエアバッグモジュール13を例示したが、本発明は助手席用あるいはその他の用途のエアバッグモジュールに対しても適用することができる。
【0031】
また連結部材39…は布製に限定されず、張力により破断するものであれば糸や紐のような部材であっても良い。
【0032】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、折り畳んだエアバッグがインフレータが発生するガスで膨張して車室内に展開するときに、エアバッグの基部と外周とが連結部材で連結されているので、エアバッグは連結部材によって形状を規制されながら膨張し、最終的に張力に耐えられなくなった連結部材を破断して展開する。そのために、連結部材に連結されたエアバッグの外周の展開が遅れ、他の部分に比べて固い外周の縫製部が乗員と接触するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車の車室前部の斜視図
【図2】図1の2−2線拡大断面図
【図3】エアバッグモジュールの分解斜視図
【図4】エアバッグの分解斜視図
【図5】エアバッグの折り畳みの第1工程を示す図
【図6】エアバッグの折り畳み順序を示す第1分図
【図7】エアバッグの折り畳み順序を示す第2分図
【図8】エアバッグの折り畳み順序を示す第3分図
【図9】エアバッグの展開時の作用説明図
【図10】本発明の第2実施例に係る、前記図5に対応する図
【図11】図10の11−11線断面図
【図12】本発明の第3実施例に係る折り畳み前のエアバッグを示す図
【図13】エアバッグの折り畳み順序を示す第1分図
【図14】エアバッグの折り畳み順序を示す第2分図
【符号の説明】
22    リテーナ
31    インフレータ
32    エアバッグ
38    縫製部
39    連結部材

Claims (1)

  1. 外周に縫製部(38)を有して折り畳まれたエアバッグ(32)およびインフレータ(31)をリテーナ(22)に支持し、車両の衝突時にインフレータ(31)が発生するガスでエアバッグ(32)を膨張させて車室内に展開させるエアバッグ装置において、
    エアバッグ(32)を折り畳む過程で、リテーナ(22)に固定される基部とエアバッグ(32)の外周とを連結部材(39)で連結し、エアバッグ(32)は膨張時に連結部材(39)を破断して膨張することを特徴とするエアバッグ装置。
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US9027963B2 (en) 2011-08-22 2015-05-12 Takata Corporation Tension member for airbag, and airbag device

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