JP2004066335A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Al O 等の溶鋼中に懸濁する介在物をタンディッシュ内で安価に且つ効率良く除去し、清浄性の優れた鋼を連続鋳造する。
【解決手段】アルゴンと、溶鋼1に溶解可能な非酸化性ガスとの混合ガスを、タンディッシュ4内の溶鋼中若しくはタンディッシュ内に注入される溶鋼中に吹き込みながら、タンディッシュ内の溶鋼を鋳型5内に注湯する。その際に、混合ガスの吹き込み流量(Nm /min)を、溶鋼の通過流量(m /min)に対して1/100〜1/20の範囲内とすること、混合ガスのアルゴン濃度を、50体積%〜95体積%の範囲内とすること、更に、溶鋼に溶解可能な非酸化性ガスとして、窒素ガス、水素ガス、プロパンガスのうちの1種若しくは2種以上を用いることが好ましい。
【選択図】      図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼の連続鋳造方法に関し、詳しくは、溶鋼中に存在するAl O 等の酸化物系非金属介在物をタンディッシュ内で効率良く除去することの可能な連続鋳造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼中のAl O を主体とする酸化物系非金属介在物(以下「介在物」と記す)は、最終製品における表面疵等の欠陥の発生原因となるので、極力除去する必要があり、そのため、最終製品の品質に直接関与する連続鋳造工程では、清浄性の優れた鋳片を得る手段として、種々の介在物低減対策が実施されてきた。そして、生産性向上のために鋳片引抜き速度を高速度化させた最近の操業形態では、鋳型内における介在物の分離・除去に限界があり、更に、近年の要求される品質の厳格化も加味されて、溶鋼を鋳型に供給する以前のタンディッシュにおける清浄性向上が極めて重要になっている。
【0003】
タンディッシュ内における介在物除去手段としては、従来、種々の堰をタンディッシュに設け、タンディッシュ内における溶鋼流を制御して介在物の浮上・分離を促進させる方法が採用されてきた。更に、堰を使用しつつ、介在物の浮上・分離を一層促進させる手段として、特開昭63−157745号公報には、タンディッシュ内の溶鋼中へアルゴンの吹き込みを併用する方法が開示され、特開昭59−189050号公報には、石灰質系のフィルター形状の堰を用いる方法が開示されている。
【0004】
一方、タンディッシュ内の溶鋼に磁場を印加し、タンディッシュ内における溶鋼流を制御して介在物を低減する方法も提案されている。例えば特開昭58−22317号公報には、タンディッシュの外部から磁力を与え、この磁力によって溶鋼を水平回転させて、密度の小さい介在物を中心部に集中させ、中心部で浮上・分離させる方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、堰を用いる方法では、介在物同士の凝集・合体による浮上速度の促進は期待できず、積極的な介在物除去効果は少ないといわざるを得ない。更に、堰でタンディッシュ内を仕切るため、堰を通過する際に溶鋼の流動速度が増加し、これに起因してタンディッシュ内における滞在時間が平均的な滞在時間よりも短かくなる領域が発生してしまう。滞在時間が短くなった場合には、介在物の浮上時間が確保されず、介在物は溶鋼と共に鋳型内へ流出される。これらから判断すれば、堰の効果は、取鍋からタンディッシュ内に流出されたスラグを堰き止め、鋳型への注湯点直上までスラグが到達することを阻止し、当該注湯点におけるスラグの巻き込みを防止する点にあるといえる。
【0006】
タンディッシュ内へアルゴンを吹き込む方法では、介在物とアルゴンとの合体が起こり、介在物の見掛け密度が低下することによって浮上速度が増加し、介在物の分離・除去の促進が期待できる。しかしながら、従来、タンディッシュの底部煉瓦若しくは側壁煉瓦下部から吹き込んだアルゴンは、アルゴン気泡同士が合体して大きな気泡となるため、溶鋼中に滞在する時間が短く、介在物と遭遇する機会が少なくなり、期待したほどの介在物低減効果が発揮されていない。逆に、アルゴン気泡が大きいため、溶鋼湯面から放出する際に湯面の乱れが起こり、溶鋼が大気に露出して、溶鋼が酸化され、清浄性を悪化させることさえある。
【0007】
フィルター形状の堰を用いる方法は、介在物除去効果に優れるが、フィルターの目詰まりにより、長時間の除去効果を発揮することができない。又、フィルターが高額であり、大量生産の炭素鋼の連続鋳造には実用化されていない。
【0008】
タンディッシュ内の溶鋼に磁場を印加する方法は、溶鋼とは非接触であるため溶鋼の汚染が起こらないというメリットがある上に、介在物除去効果に優れるが、高額な磁場発生装置が必要であり、又、溶鋼の流動方向を所定方向に制御するために、タンディッシュを複雑な形状にする必要があり、これらによる製造コストの上昇が問題である。
【0009】
このように、従来のタンディッシュ内における介在物除去手段は、製造コストの増加が少ない場合には介在物低減効果が少なく、一方、介在物低減効果が期待できる場合には製造コストの上昇を招いており、介在物を安価に且つ効率良く低減する手段は未だ実用化されていないのが実状である。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、Al O 等の溶鋼中に懸濁する介在物をタンディッシュ内で安価に且つ効率良く除去し、清浄性の優れた鋼を鋳造することができる、鋼の連続鋳造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者等は鋭意検討を行った。以下に検討結果を説明する。
【0012】
溶鋼中にガスを吹き込む場合、生成するガス気泡の大きさは、ガス吹き込み用煉瓦、例えばポーラス煉瓦の気孔径に依存することが知られており、微細なガス気泡を得ようとする場合には、微細な気孔径を有するガス吹き込み用煉瓦が使用される。しかし、吹き込むガス種は通常アルゴンであり、アルゴンは、溶鋼との濡れ性が悪いため、溶鋼中に吹き込まれると直ちに気泡同士が合体して巨大化する。そのため、ガス吹き込み用煉瓦の気孔径を厳選したとしても、生成されるガス気泡の大きさは必ずしも制御されることにはならない。
【0013】
巨大化したガス気泡の溶鋼中における浮上速度は極めて速く、介在物との遭遇チャンスも少なくなり、ガス気泡による介在物除去効果は低減する。同時に、溶鋼湯面から雰囲気中に放散する際に湯面を激しく攪乱するため、雰囲気中の酸素ガスと溶鋼とが反応してAl O が生成され、却って溶鋼の清浄性を損なうことさえ発生する。
【0014】
そこで、本発明者等は、溶鋼とガス気泡との濡れ性を改善するために種々検討を重ねた。その結果、溶鋼に溶解可能なガスをアルゴンに混合し、この混合ガスを溶鋼中に吹き込むことによって、この混合ガスは溶鋼と良く濡れることから、ガス気泡の発生状況が格段に変化するとの知見を得た。溶鋼に溶解可能で、且つ、溶鋼を酸化しない非酸化性ガスとしては、窒素ガス、水素ガス、プロパンガス等を用いることができる。溶鋼に溶解可能であっても、CO ガスは溶鋼を酸化させ、却って溶鋼の清浄性が悪化するため、好ましくなく、同様に、COガスは溶鋼中のAlと反応してAl O を生成させることがあり、Al O が生成される場合には、清浄性が悪化するため、好ましくない。
【0015】
溶鋼に溶解可能なガス、例えば窒素ガス、水素ガス、又はプロパンガスをアルゴンに混合させ、これらの混合ガス雰囲気の中で溶鋼の表面張力を測定すると、アルゴン雰囲気中で測定した表面張力即ち純アルゴンと溶鋼との表面張力よりも小さくなる。溶鋼の表面張力は、アルゴン雰囲気中では1.8N/mであるが、窒素ガス雰囲気中では1.3N/m、水素ガス雰囲気中では1.5N/m、プロパンガス雰囲気中では1.3N/mである。又、これらの混合ガス雰囲気中では、例えば、アルゴン濃度が50体積%のアルゴンと窒素ガスとの混合ガスの場合には1.4N/m、アルゴン濃度が85体積%のアルゴンと水素ガスとの混合ガスの場合には1.6N/m、アルゴン濃度が50体積%のアルゴンとプロパンガスとの混合ガスの場合には1.4N/mになり、いずれも純アルゴンと溶鋼との表面張力よりも小さくなる。
【0016】
溶鋼中のガス気泡の半径Rは、下記の(1)式により決定されることが公知であり、(1)式で示されるように、ガスと溶鋼との表面張力が小さくなると気泡の半径Rは小さくなる。(1)式において、σはガスと溶鋼との表面張力(N/m)、P は気泡内ガス圧力(N/m )である。
【0017】
【数1】
Figure 2004066335
【0018】
尚、溶鋼中にガスを吹き込む場合、生成されるガス気泡の気泡内ガス圧力P がρ×g×Hで算出される圧力よりも高くなるように、吹き込み時の圧力を設定して吹き込む必要がある。気泡内ガス圧力P がρ×g×Hで算出される圧力よりも低い場合には、溶鋼静圧の方が大きくなり、ガス吹き込みを行うことはできない。但し、溶鋼中に吹き込まれたガスの気泡内ガス圧力P は、直ちにρ×g×Hで算出される溶鋼静圧と平衡することになる。ここで、ρは溶鋼の密度(=7000kg/m )、gは重力加速度(=9.8m/s)、Hはガス吹き込み位置から溶鋼湯面までの溶鋼深さ(m)である。
【0019】
タンディッシュ底部からガスを吹き込む場合、例えばタンディッシュ内の溶鋼深さが1.5mとすると、純アルゴンを吹き込んだ場合、タンディッシュ底部で存在可能なガス気泡半径Rは8.8μm(R= 2×1.8(N/m)/204200(N/m))であり、一方、アルゴン濃度が50体積%のアルゴンと窒素ガスとの混合ガスの場合のタンディッシュ底部におけるガス気泡半径Rは6.8μm(R= 2×1.4(N/m)/204200(N/m))になり、約25%減少する。
【0020】
実際には、溶鋼中に気泡が混在すると溶鋼−気泡間に界面が形成されるので、気泡が混在していない溶鋼に比べて、界面エネルギー分だけ系全体のエネルギーが増加する。系の安定性からは系全体のエネルギーが減少する方向に移行するので、系全体のエネルギーを減少させるために気泡同士の合体が起こり、界面積が減少する方向に移行する。従って、純アルゴンを吹き込んだ場合には、気泡同士の合体がより起こりやすく、大きな気泡が生成する。
【0021】
更に、気泡中の窒素ガス、水素ガス、プロパンガスは、溶鋼中に溶解していくため、溶鋼と良く濡れることになる。その結果、気泡表面に溶鋼が張り付いている状態になり、気泡同士の合体のためには、張り付いている溶鋼膜を取り除く力が必要となる。そのため、溶鋼に良く濡れるガスは合体しにくく、合体によって巨大化することが少ない。その上に、ガス気泡の上昇中、気泡中の溶鋼に溶解可能なガスが溶鋼に溶解していくため、気泡内ガス圧力P が変化しなければ気泡径は小さくなる。実際には上昇していくと溶鋼静圧の減少によって気泡の膨張が起こる。アルゴンと溶鋼に溶解可能なガスとの混合ガスの場合には、溶鋼に溶解可能なガスが溶解していくため、気泡径の拡大は小さく、微細気泡を生成させることができる。
【0022】
本発明は上記検討結果に基づきなされたもので、第1の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、アルゴンと、溶鋼に溶解可能な非酸化性ガスとの混合ガスをタンディッシュ内の溶鋼中に吹き込みながら、タンディッシュ内の溶鋼を鋳型内に注湯することを特徴とするものである。
【0023】
第2の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1の発明において、タンディッシュの底部又は側壁下部にポーラス煉瓦を配置し、当該ポーラス煉瓦から前記混合ガスを吹き込むことを特徴とするものである。
【0024】
第3の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、その一端を取鍋の溶鋼流出孔に密着させ、他端をタンディッシュ内の溶鋼に浸漬させた注入管を介して取鍋内の溶鋼をタンディッシュ内に注入する際に、注入管のタンディッシュ内溶鋼に浸漬させた部位に、注入管の内面側に露出させてポーラス煉瓦を配置し、当該ポーラス煉瓦から、アルゴンと、溶鋼に溶解可能な非酸化性ガスとの混合ガスを注入管内に吹き込みながら、取鍋内の溶鋼をタンディッシュ内に注入することを特徴とするものである。
【0025】
第4の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1ないし第3の発明のいずれかにおいて、前記混合ガスの吹き込み流量(Nm /min)を、溶鋼の通過流量(m /min)に対して1/100〜1/20の範囲内とすることを特徴とするものである。
【0026】
第5の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第4の発明において、前記混合ガスのアルゴン濃度を、50体積%〜95体積%の範囲内とすることを特徴とするものである。
【0027】
第6の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1ないし第5の発明のいずれかにおいて、溶鋼に溶解可能な非酸化性ガスとして、窒素ガス、水素ガス、プロパンガスのうちの1種若しくは2種以上を用いることを特徴とするものである。
【0028】
本発明では、溶鋼に溶解可能な非酸化性のガスをアルゴンと混合して、タンディッシュ内の溶鋼中、若しくはタンディッシュ内に注入される溶鋼中に吹き込むので、生成されるガス気泡が小さくなると共に、ガス気泡同士の溶鋼中における合体が防止され、微細なままのガス気泡を溶鋼中に混入させることが可能となり、介在物の当該気泡に捕捉される確率が高くなるため、高い清浄性を有する鋳片を製造することが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態の1例を示す図であって、本発明を実施した連続鋳造設備の概略図、図2は、図1に示す注入管の拡大図、図3は、図1に示すガス吹込羽口の拡大図である。
【0030】
図1に示すように、外殻を鉄皮19とし、内面を耐火物20で施工されたタンディッシュ4が、タンディッシュカー(図示せず)に搭載されて鋳型5の上方所定位置に配置され、又、タンディッシュ4の上方所定位置には、溶鋼1を収容した取鍋3が配置されている。
【0031】
取鍋3の底部には耐火物に嵌合して上ノズル9が設置され、この上ノズル9の下面側には、スライディングノズル10が設置されている。スライディングノズル10は溶鋼1の流量調整手段であり、このように、上ノズル9とスライディングノズル10とで取鍋3の溶鋼流出孔を形成している。このスライディングノズル10の下面側、即ち、取鍋3の溶鋼流出孔の下面側には、注入管6が接続されている。注入管6は、他端をタンディッシュ4内の溶鋼1に浸漬させながら、その内部に溶鋼1を通過させることにより、取鍋3からタンディッシュ4に注入される溶鋼1の空気による酸化を防止するためのものである。
【0032】
注入管6には、図2に示すように、その内部に空洞部であるスリット22が設けられ、このスリット22は、注入管6の内壁面に露出するようにして注入管6の先端部に埋め込まれたポーラス煉瓦21につながっており、又、スリット22は、注入管6に取り付けられたガス導入管23につながっている。ガス導入管23は、アルゴン供給配管(図示せず)並びに溶鋼1に溶解可能な非酸化性ガス供給配管(図示せず)につながっており、アルゴン供給配管及び非酸化性ガス供給配管からガス導入管23内に供給された、アルゴン及び溶鋼1に溶解可能な非酸化性ガスはガス導入管23内で混合され、スリット22を通り、ポーラス煉瓦21を介して注入管6の管内に吹き込まれる。溶鋼1に溶解可能な非酸化性ガスとしては、前述したように、窒素ガス、水素ガス、プロパンガスのうちの1種若しくは2種以上を用いることが好ましい。
【0033】
注入管6が設置された位置とは反対側のタンディッシュ4の底部には、耐火物20に嵌合して上ノズル11が設置され、この上ノズル11の下面側には、溶鋼1の流量を調整するためのスライディングノズル12が設置され、このスライディングノズル12の下面側には、浸漬ノズル7が設置されている。このように、上ノズル11とスライディングノズル12と浸漬ノズル7とで、タンディッシュ4から鋳型5への溶鋼流出孔13を形成している。
【0034】
そして、タンディッシュ4の底部には、注入管6が設置された位置と溶鋼流出孔13が設置された位置とのほぼ中間位置に、耐火物20に嵌合してガス吹込羽口14が設置されている。ガス吹込羽口14は、図3に示すように、ポーラス煉瓦15と、ポーラス煉瓦15を取り囲む鉄皮16と、鉄皮16に接続するガス導入管18とからなり、ガス導入管18が鉄皮16と接続する部位には、ポーラス煉瓦15と鉄皮16との間に、吹き込まれるガスを均一化させるための空間部17(「風箱」とも呼ぶ)が設置されている。
【0035】
ガス導入管18は、耐火物20及び鉄皮19を貫通して、アルゴン供給配管(図示せず)並びに溶鋼1に溶解可能な非酸化性ガス供給配管(図示せず)につながっており、アルゴン供給配管及び非酸化性ガス供給配管からガス導入管18内に供給された、アルゴン及び溶鋼1に溶解可能な非酸化性ガスは、ガス導入管18内及び空間部17で混合され、混合ガスとなって、ポーラス煉瓦15を介してタンディッシュ4内に吹き込まれる。この場合に、ポーラス煉瓦15はタンディッシュ4の幅方向全体にわたって設置することが好ましい。このような構成にすることで、タンディッシュ4を通過する溶鋼1の全量に対してガス吹き込みを行うことが可能になる。但し、ガス吹込羽口14をタンディッシュ4の側壁下部に配置してもよい。この場合には、タンディッシュ4を通過する全ての溶鋼1に対してガスを吹き込むことはできないが、少なくともガスが吹き込まれた領域ではガス吹き込みの効果が発揮される。
【0036】
このような構成の連続鋳造設備を用いて、取鍋3内に収容された溶鋼1を鋳型5内に注湯して、鋳片2を製造するに際しては、先ず、取鍋3内の溶鋼1をタンディッシュ4内に注入し、タンディッシュ4内に注入管6の先端が浸漬するに十分な量の溶鋼1を滞留させる。次いで、この状態を維持しつつ、タンディッシュ4内の溶鋼1を溶鋼流出孔13を介して鋳型5内に注湯する。鋳型5内に注湯された溶鋼1は鋳型5内で冷却されて凝固し、生成した凝固シェルを鋳型5の下方に連続的に引き抜く。そして、この間、鋳型5内の溶鋼湯面位置が一定位置になるように、鋳片引抜き速度に応じてスライディングノズル12の開度を調整すると共に、タンディッシュ4内の溶鋼湯面位置がほぼ一定になるように、スライディングノズル10の開度を調整しながら連続鋳造する。鋳型5内の溶鋼湯面にはモールドパウダー8を添加する。
【0037】
この連続鋳造の際に、注入管6に配置したポーラス煉瓦21、及び、タンディッシュ4の底部に配置したガス吹込羽口14の両者、又は、どちらか一方から、アルゴンと、溶鋼1に溶解可能な非酸化性ガスとの混合ガス(以下、単に「混合ガス」とも記す)を溶鋼1中に吹き込む。
【0038】
吹き込む混合ガスの流量(Nm /min)は、溶鋼1の通過流量(m /min)に対して1/100〜1/20の範囲、望ましくは1/50〜1/30の範囲とすることが好ましい。尚、溶鋼1の通過質量から通過流量を換算する際には、溶鋼1の密度を7000kg/m 程度とすればよい。混合ガスの流量が溶鋼1の通過流量に対して1/100未満では、吹き込むガス量が不足し、介在物の低減効果が少なく、一方、1/20を越えると、ガスが溶鋼湯面から雰囲気中に放散する際の溶鋼湯面の攪乱が大きくなり、雰囲気ガス中の酸素ガスと反応してAl O が生成され、却って清浄性が劣化する虞がある。この場合、注入管6とガス吹込羽口14の両方から吹き込む場合にも、それぞれのガス吹き込み量を、この範囲内とすることが好ましい。
【0039】
上記吹き込み流量の条件下で、更に、混合ガスのアルゴン濃度を50体積%〜95体積%の範囲内とすることが好ましい。窒素ガス、水素ガス、プロパンガスを溶鋼1中に吹き込むと、溶鋼1中の窒素濃度、水素濃度、炭素濃度が上昇するが、アルゴン濃度を50体積%以上とすることにより、窒素、水素及び炭素のピックアップ量を実害の無い範囲に抑えることができる。一方、アルゴン濃度が95体積%を越えると、混合ガスと溶鋼1との表面張力が純アルゴンの場合と大差なく、気泡の微細化効果が発揮されない。
【0040】
吹き込まれた混合ガスは、タンディッシュ4内の溶鋼1中に微細な気泡となって分散・浮上し、気泡中に溶鋼1中の介在物を吸着させ、次いで、タンディッシュ4内の溶鋼湯面に浮上する。そのため、介在物は効率良く溶鋼1から除去され、鋳型5へは介在物の少ない清浄な溶鋼1が注湯される。鋳型5内に注湯された溶鋼1は鋳型5内で冷却されて凝固し、清浄性の優れた鋳片2が鋳造される。
【0041】
尚、上記説明は単ストランド鋳造のタンディッシュ4における説明であるが、本発明は単ストランド鋳造に限るものではなく、多ストランド鋳造であっても上記に従って本発明を適用することができる。
【0042】
【実施例】
[実施例1]
図1に示す連続鋳造設備を用い、タンディッシュ底部に設置したガス吹込羽口から、80体積%アルゴン−20体積%窒素ガスの混合ガス(以下「Ar−20%N 混合ガス」と記す)を吹き込んだ。ガス吹込羽口の設置位置は、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入点から約2m離れた位置であり、タンディッシュ幅方向全面にガス吹込羽口を配置した。
【0043】
鋳造中には、タンディッシュ内のガス吹込羽口上を溶鋼が通過するため、ガス吹込羽口のポーラス煉瓦部は1000℃以上の高温状態にあり、このポーラス煉瓦内の気孔部分をAr−20%N 混合ガスが通過していくため、Ar−20%N 混合ガスは加熱され、ポーラス煉瓦から溶鋼中に吹き出される時には急激な熱膨張は起こらなかった。
【0044】
図4は、タンディッシュから鋳型への注湯量を5トン/min、即ち溶鋼の通過流量を0.714m /minとした鋳造中に、Ar−20%N 混合ガスの流量を5〜100Nl/minの範囲で変化させて鋳造したときの、スラブ鋳片から抽出した介在物量の調査結果を示す図である。この時のAr−20%N 混合ガス流量(Nl/min)と、タンディッシュ内を通過する溶鋼の通過流量(l/min)との体積比は、1/143〜1/7である。
【0045】
抽出介在物量は、Ar−20%N 混合ガスを7Nl/min以上とすること、即ち、Ar−20%N 混合ガス流量と溶鋼の通過流量との体積比を1/100以上とすることで安定して減少することが分かった。但し、Ar−20%N 混合ガス流量を40Nl/min以上にすると、介在物量が増加し、スラグ系の介在物が現出する頻度が高まった。この場合、タンディッシュ内の湯面を観察した結果では、ガス放出部位で湯面の乱れが起こっており、溶鋼が直接空気に露出し、溶鋼の酸化が起こることが推定された。
【0046】
Ar−20%N 混合ガス流量と溶鋼の通過流量との体積比を1/100〜1/20の範囲内としたスラブ鋳片を圧延して製造した極薄肉厚の飲料缶における不良品発生率は、従来の1/10であった。又、この体積比を1/40にしたまま、溶鋼の鋳型への注湯量を2〜6.4トン/minの範囲で変更した試験では、スラブ鋳片からの抽出介在物量は同じように少なくなることが分かった。
【0047】
[実施例2]
実施例1と同じ連続鋳造設備を用い、実施例1と同様なガス吹込羽口からアルゴンと窒素ガスとの混合ガス(以下「Ar−N 混合ガス」と記す)を吹き込みながらスラブ鋳片を鋳造した。但し、本実施例ではAr−N 混合ガス中の窒素ガス濃度を変化させた。即ち、Ar−N 混合ガスで、窒素ガス濃度を、0体積%(純アルゴン)、2体積%、5体積%、10体積%、20体積%、30体積%、40体積%、50体積%、60体積%に変化させた。タンディッシュ内の溶鋼通過質量は5トン/min(溶鋼の通過流量=0.714m /min)で、ガス吹込羽口からのAr−N 混合ガスの流量は35Nl/minとした。
【0048】
図5に、スラブ鋳片からの抽出介在物量と、Ar−N 混合ガス中のアルゴン濃度との関係を示す。この場合、抽出介在物は、アルミナ系とスラグ系(Ca−Si−Al−Mg−O系)とに分別した。Ar−N 混合ガス中の窒素ガス濃度が低くなると、スラグ系の介在物現出頻度が高くなり、一方、窒素ガス濃度を5体積%以上に増加させると、介在物量は減少した。
【0049】
この理由は、Ar−N 混合ガス中の窒素ガス濃度が増加すると、ガスと溶鋼との濡れ性が良くなり、吹き込んだガス気泡が合体しにくく、微細な気泡が溶鋼中を浮上し、溶鋼中に懸濁しているAl O 粒子を吸着し、浮上するためである。しかし、窒素ガス濃度が高くなると、溶鋼中の窒素含有量が増加し、窒素の規格値よりも高くなることがあった。そのため、Ar−N 混合ガスの吹き込み流量が35Nl/minの場合には、窒素ガス濃度を50体積%以下にすることが好ましいことが分かった。
【0050】
以上の結果から、Ar−N 混合ガス中の窒素ガス濃度は5〜50体積%の範囲がより効果的であることが分かった。
【0051】
【発明の効果】
本発明では、溶鋼に溶解可能な非酸化性のガスをアルゴンと混合して、タンディッシュ内の溶鋼中、若しくはタンディッシュ内に注入される溶鋼中に吹き込むので、生成されるガス気泡が小さくなると共に、ガス気泡同士の溶鋼中における合体が防止され、微細なままの気泡を溶鋼中に混入させることが可能となり、この気泡によって溶鋼中の介在物を効率良く除去することができ、高い清浄性を有する鋳片を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した連続鋳造設備の概略図である。
【図2】図1に示す注入管の拡大図である。
【図3】図1に示すガス吹込羽口の拡大図である。
【図4】Ar−20%N 混合ガスの流量を変化させたときの、スラブ鋳片から抽出した介在物量の調査結果を示す図である。
【図5】Ar−N 混合ガス中のアルゴン濃度を変化させたときの、スラブ鋳片から抽出した介在物量の調査結果を示す図である。
【符号の説明】
1 溶鋼
2 鋳片
3 取鍋
4 タンディッシュ
5 鋳型
6 注入管
7 浸漬ノズル
8 モールドパウダー
9 上ノズル
10 スライディングノズル
11 上ノズル
12 スライディングノズル
13 溶鋼流出孔
14 ガス吹込羽口
15 ポーラス煉瓦
16 鉄皮
17 空間部
18 ガス導入管
19 鉄皮
20 耐火物
21 ポーラス煉瓦
22 スリット
23 ガス導入管

Claims (6)

  1. アルゴンと、溶鋼に溶解可能な非酸化性ガスとの混合ガスをタンディッシュ内の溶鋼中に吹き込みながら、タンディッシュ内の溶鋼を鋳型内に注湯することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
  2. タンディッシュの底部又は側壁下部にポーラス煉瓦を配置し、当該ポーラス煉瓦から前記混合ガスを吹き込むことを特徴とする、請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
  3. その一端を取鍋の溶鋼流出孔に密着させ、他端をタンディッシュ内の溶鋼に浸漬させた注入管を介して取鍋内の溶鋼をタンディッシュ内に注入する際に、注入管のタンディッシュ内溶鋼に浸漬させた部位に、注入管の内面側に露出させてポーラス煉瓦を配置し、当該ポーラス煉瓦から、アルゴンと、溶鋼に溶解可能な非酸化性ガスとの混合ガスを注入管内に吹き込みながら、取鍋内の溶鋼をタンディッシュ内に注入することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
  4. 前記混合ガスの吹き込み流量(Nm /min)を、溶鋼の通過流量(m /min)に対して1/100〜1/20の範囲内とすることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の鋼の連続鋳造方法。
  5. 前記混合ガスのアルゴン濃度を、50体積%〜95体積%の範囲内とすることを特徴とする、請求項4に記載の鋼の連続鋳造方法。
  6. 溶鋼に溶解可能な非酸化性ガスとして、窒素ガス、水素ガス、プロパンガスのうちの1種若しくは2種以上を用いることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の鋼の連続鋳造方法。
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CN113927003A (zh) * 2021-10-18 2022-01-14 攀钢集团攀枝花钢钒有限公司 减少连铸过程中间包钢水增氮的方法

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