JP2004066259A - ロッカアームの軸穴打抜き装置 - Google Patents

ロッカアームの軸穴打抜き装置 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性を向上させることができるロッカアームの軸穴打抜き装置を提供すること。
【解決手段】ロッカアーム6の軸穴打抜き装置1は,第1ダイス21及び第2ダイス22を配設したダイスホルダー2と,一対の軸穴611を打ち抜くための一対のパンチ4と一対のスクラップ612をダイス穴211,221より払い出す払出しピン5とを進退可能に配設したパンチホルダー3とを備えている。ダイスホルダー2は,パンチホルダー3に対して,第1操作位置X1と第2操作位置X2との間を往復移動する。各操作位置X1,X2においては,それぞれ一方ではロッカアーム成形体60に対して一対の軸穴611を一対のパンチ4により打ち抜き,他方では前回に排出された一対のスクラップ612を払出しピン5により払い出す。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,エンジンにおけるバルブを開閉させるための駆動力を伝達するロッカアームの一対の側壁部に対して,ローラの主軸を挿入配置するための軸穴をそれぞれ打ち抜くロッカアームの軸穴打抜き装置に関する。
【0002】
【従来技術】
エンジンのカム軸に形成されたカムにより従動回転するローラを配設したタイプのロッカアームにおいては,上記ローラの主軸を挿入配置する軸穴をそれぞれ一対の側壁部に形成している。
そして,図20に示すごとく,上記軸穴962を形成するに際しては,軸穴打抜き装置9を用い,上記一対の側壁部961を形成したロッカアーム成形体96を打抜きダイス92に配置する。このとき,この打抜きダイス92の一部922は,上記一対の側壁部961同士の間に位置する。そして,それぞれパンチホルダー93に設けた一対のパンチ94により,上記ロッカアーム成形体96における一対の側壁部961の外側より打抜きを行うことにより,上記一対の軸穴962を形成している。
【0003】
ところで,上記軸穴962は一対の側壁部961にそれぞれ形成する必要があるため,上記一対のパンチ94は上記一対の側壁部961の外側よりそれぞれ上記打抜きを行う必要がある。そのため,この打抜きを行った後には,上記打抜きダイス92に設けたダイス穴921には,打抜き後の一対のスクラップ963が残る。そのため,この打抜き後には,上記パンチホルダー93の一方に設けた払出しピン95により上記一対のスクラップ963を上記ダイス穴921より払い出している。
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の軸穴打抜き装置9においては,上記打抜きを行う工程と上記一対のスクラップ963の払出しを行う工程とを交互に行う必要がある。そのため,上記軸穴962を形成するためのサイクルタイムが長くなり,ロッカアームの生産性の向上を妨げる要因となっている。
【0005】
なお,上記問題点を改善する方法として,上記打抜きダイスのダイス穴の下方に上記一対のスクラップを落下させるための落下口を設け,上記打抜き後に上記一対のスクラップを上記落下口より自由落下させる方法が考えられる。しかしながら,この方法によると,上記落下口の形成により,上記打抜きダイスの厚みが小さくなる。そのため,打抜きダイスの強度が低下してしまい,特に上記一対の側壁部の間の間隔が狭いロッカアームには対応することができない。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,打抜きダイスの強度低下を防止すると共に,生産性を向上させることができるロッカアームの軸穴打抜き装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
第1の発明は,ロッカアーム成形体における互いに対面する一対の側壁部にそれぞれ軸穴を打ち抜くロッカアームの軸穴打抜き装置において,
上記軸穴打抜き装置は,上記ロッカアーム成形体における一対の側壁部の間にそれぞれ挿入配置される複数の打抜きダイスを有するダイスホルダーと,該ダイスホルダーの左右両側に配置され,上記一対の側壁部にそれぞれ上記軸穴を打ち抜くための一対のパンチと,該一対のパンチをそれぞれ進退可能に配設したパンチホルダーとを備えており,
上記ダイスホルダーにおける複数の打抜きダイスには,上記一対のパンチと対向するダイス穴がそれぞれ設けてあり,
上記パンチホルダーには,上記ロッカアーム成形体より打ち抜いた一対のスクラップを上記ダイス穴より払い出す払出しピンが設けてあり,
上記ダイスホルダーと上記パンチホルダーとは,第1操作位置と第2操作位置との間に相対的に往復移動可能に配設してあり,
上記各操作位置においては,それぞれ一方では上記打抜きダイスに挿入配置した上記ロッカアーム成形体に対して上記一対のパンチにより上記各軸穴を打ち抜くと共に,他方では前回に上記各軸穴を打ち抜いたロッカアーム成形体の一対のスクラップを上記払出しピンにより払い出すよう構成してあることを特徴とするロッカアームの軸穴打抜き装置にある(請求項1)。
【0008】
本発明のロッカアームの軸穴打抜き装置は,上記ダイスホルダーに複数の打抜きダイスを設け,各打抜きダイスにおいて上記軸穴の打抜きを可能にし,かつ,この軸穴の打抜きと上記スクラップの払出しとを並行して行えるよう構成したものである。これを実現するために,本発明の軸穴打抜き装置は,上記複数の打抜きダイスを有するダイスホルダーと,上記一対のパンチを有するパンチホルダーと,上記払出しピンとを有している。
【0009】
そして,上記ロッカアーム成形体における一対の側壁部に上記軸穴をそれぞれ打ち抜く際には,上記ダイスホルダーと上記パンチホルダーとは,それぞれ上記軸穴の打抜きと上記スクラップの払出しとを並行して行う第1操作位置と第2操作位置との間に相対的に往復移動する。そして,各操作位置においては,一方では上記一対の軸穴を打ち抜く打抜き操作を行い,他方ではスクラップを払い出す払出し操作を行う。
【0010】
すなわち,上記各操作位置において,一方では,上記各軸穴の打抜きを行い,この打抜きにより形成された一対のスクラップは上記打抜きダイスのダイス穴に排出される。また,他方では,前回の上記各軸穴の打抜きの際に上記ダイス穴に排出された一対のスクラップを上記払出しピンにより払い出す。そして,これらの打抜き操作と払出し操作とを繰り返し行うことができる。
【0011】
そして,本発明においては,上記のごとく上記打抜き操作と上記払出し操作とを並行して行うことができる。そのため,上記打抜きダイスのダイス穴に排出された一対のスクラップを払い出すためだけに要する時間を省略することができる。そのため,短いサイクルタイムで上記ロッカアームにおける各軸穴の打抜きを行うことができ,単位時間当たりに上記各軸穴を打抜く回数を増加させることができる。それ故,本発明によれば,上記ロッカアームの生産性を向上させることができる。
【0012】
また,上記のごとく,本発明では,上記一対のスクラップを一旦は上記打抜きダイスのダイス穴に退け,その後,このダイス穴より払い出す。そのため,上記ダイス穴の下方に一対のスクラップを落下させるための落下口を設ける必要がなく,これによる打抜きダイスの強度の低下を防止することができる。それ故,本発明によれば,特に,一対の側壁部の間の間隔が狭いロッカアームに対しても,打抜きダイスの強度低下を防止すると共に,生産性を向上させることができる。
【0013】
なお,上記前回に上記各軸穴を打ち抜いたロッカアーム成形体の一対のスクラップとは,上記第1操作位置で上記打抜き操作及び払出し操作を行う際には,上記第2操作位置で打ち抜かれた一対のスクラップのことをいう。また,上記第2操作位置で上記打抜き操作及び払出し操作を行う際には,上記第1操作位置で打ち抜かれた一対のスクラップのことをいう。
また,上記一対のパンチの進退とは,各パンチが上記打抜きダイスに設けたダイス穴に対して近づいたり離れたりすることをいう。
【0014】
第2の発明は,ロッカアーム成形体における互いに対面する一対の側壁部にそれぞれ軸穴を打ち抜くロッカアームの軸穴打抜き装置において,
上記軸穴打抜き装置は,上記ロッカアーム成形体における一対の側壁部の間に挿入配置される打抜きダイスと,該打抜きダイスの左右両側に配置され,上記一対の側壁部にそれぞれ上記軸穴を打ち抜くための一対のパンチと,該一対のパンチをそれぞれ進退可能に配設したパンチホルダーとを備えており,
上記打抜きダイスには,上記一対のパンチと対向するダイス穴が設けてあり,上記打抜きダイスに挿入配置した上記ロッカアーム成形体に対して上記一対のパンチにより上記各軸穴を打ち抜くと共に該打抜きを行ったロッカアーム成形体の一対のスクラップを上記打抜きダイスのダイス穴に排出し,その後,上記一対のスクラップを上記一対のパンチの一方により払い出すよう構成してあることを特徴とするロッカアームの軸穴打抜き装置にある(請求項5)。
【0015】
本発明においては,上記一対のパンチの一方は,上記打抜きを行うときと上記払出しを行うときとで,進退のストロークを変更できる。すなわち,上記一対のパンチの一方は,上記打抜きを行うときには,打抜きができるだけの短いストロークに設定し,上記払出しを行うときには,上記パンチ穴を通過する長いストロークに設定する。そして,上記打抜きを行った後に上記払出しを行う。
【0016】
本発明においては,上記払出しを行う際に,上記打抜きダイスを移動させる必要がない。そのため,この移動のためだけに要する時間を省略することができる。そのため,短いサイクルタイムで上記ロッカアームにおける各軸穴の打抜きを行うことができ,単位時間当たりに上記各軸穴を打抜く回数を増加させることができる。それ故,本発明によっても,上記ロッカアームの生産性を向上させることができる。
【0017】
また,本発明においても,上記ダイス穴の下方に一対のスクラップを落下させるための落下口を設ける必要がなく,これによる打抜きダイスの強度の低下を防止することができる。それ故,本発明によっても,特に,一対の側壁部の間の間隔が狭いロッカアームに対して,打抜きダイスの強度低下を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記第1の発明にかかるロッカアームの軸穴打抜き装置は,上記一対のパンチ及び上記払出しピンをセットにして複数有することができる。そして,上記ダイスホルダーは,上記一対のパンチ及び払出しピンの数に対応して,上記打抜きダイスをさらに複数有することができる。この場合には,複数の上記打抜き操作及び払出し操作を並行して行うことができ,上記ロッカアームの生産性を一層向上させることができる。
【0019】
また,上記第1の発明において,上記第1操作位置と上記第2操作位置との間の相対的な往復移動は,上記ダイスホルダーを上記パンチホルダーに対して平行移動させる,又は上記パンチホルダーを上記ダイスホルダーに対して平行移動させることにより行い,上記払出しピンは,上記往復移動方向における上記パンチの両側にそれぞれ配設してあることが好ましい(請求項2)。
【0020】
この場合には,上記ダイスホルダーと上記パンチホルダーとによる相対的な往復移動を簡単に行うことができる。また,上記一対のパンチ及び上記払出しピンを上記パンチホルダーに配設する構造を簡単にすることができる。
また,この場合には,上記一対のパンチをまとめて1つと数えるとすると,上記パンチホルダーに設けた払出しピンの数は,上記一対のパンチの数に対して2倍とすることができる。
【0021】
また,上記ダイスホルダーと上記パンチホルダーとは,回転移動することにより,上記第1操作位置と上記第2操作位置との間を相対的に往復移動可能に配設することもできる。例えば,上記ダイスホルダーに対して,上記パンチホルダーを回転可能に配設することができる。そして,この場合のパンチホルダーは,180°毎回転することにより,上記ダイスホルダーにおける各打抜きダイスのダイス穴に,上記一対のパンチと上記払出しピンとを交互に対向させることができる。この場合でも,上記打抜き操作及び上記払出し操作を並行して行うことができる。
【0022】
また,上記複数の打抜きダイスは上記ダイスホルダーに対して着脱可能に配設してあることが好ましい(請求項3)。この場合には,上記ロッカアームにおける一対の軸穴のサイズを変更する際に,上記打抜きダイスを別の打抜きダイスに交換することにより容易にこれに対応することができる。
【0023】
また,上記一対のパンチの少なくとも一方と上記払出しピンとは,同じ駆動装置により駆動するよう構成することが好ましい(請求項4)。この場合には,上記軸穴打抜き装置の構造を簡単にすることができる。
なお,上記駆動装置としては,回転軸に配設したカム,又はシリンダ等により構成することができる。また,上記一対のパンチと上記払出しピンとは,別々の駆動装置により駆動することも勿論可能である。
【0024】
【実施例】
以下に,図1〜図16を用いて,本発明のロッカアームの軸穴打抜き装置にかかる実施例につき説明する。
(実施例1)
本例のロッカアーム6の軸穴打抜き装置1は,図1,図2に示すごとく,ロッカアーム成形体60における互いに対面する一対の側壁部61に,軸穴611をそれぞれ打ち抜くためのものである。
図3に示すごとく,上記軸穴打抜き装置1は,上記ロッカアーム成形体60における一対の側壁部61の間にそれぞれ挿入配置される複数の打抜きダイス20を有するダイスホルダー2を備えている。
【0025】
また,図4に示すごとく,この軸穴打抜き装置1は,上記一対の側壁部61にそれぞれ上記軸穴611を打ち抜くための一対のパンチ4と,この一対のパンチ4をそれぞれ進退可能に配設したパンチホルダー3とを備えている。また,各パンチ4を配設した各パンチホルダー3は,上記ダイスホルダー2の左右両側に配置されている。なお,左右方向とは,上記ロッカアーム成形体60の一対の側壁部61に対向する方向をいう。
【0026】
また,図3,図4に示すごとく,上記ダイスホルダー2における複数の打抜きダイス20には,上記一対のパンチ4を挿入可能なダイス穴211,221がそれぞれ設けてある。そして,図5に示すごとく,上記パンチホルダー3には,上記ロッカアーム成形体60より打ち抜いた一対のスクラップ612を上記ダイス穴211,221より払い出す払出しピン5が進退可能に設けてある。
【0027】
なお,上記一対のパンチ4の進退方向とは,各パンチ4が上記打抜きダイス20に設けたダイス穴211,221に対して近づいたり離れたりする方向をいう。また,上記払出しピン5の進退方向とは,払出しピン5が上記打抜きダイス20に設けたダイス穴211,221に対して近づいたり離れたりする方向をいう。
【0028】
また,図1に示すごとく,上記ダイスホルダー2と上記パンチホルダー3とは,第1操作位置X1と第2操作位置X2との間に相対的に往復移動可能に配設してある。
そして,上記軸穴打抜き装置1は,上記各操作位置においては,それぞれ一方では上記打抜きダイス20に挿入配置した上記ロッカアーム成形体60に対して上記一対のパンチ4により上記各軸穴611を打ち抜くよう構成されている。また,この軸穴打抜き装置1は,他方では前回に上記各軸穴611を打ち抜いたロッカアーム成形体60の一対のスクラップ612を上記払出しピン5により払い出すよう構成してある。
【0029】
以下に,これを詳説する。
図7に示すごとく,本例のロッカアーム6は,エンジン7のカム軸72に形成されたカム721により従動回転するローラ73を配設するタイプのものである。そして,ロッカアーム6は,エンジン7におけるバルブ71を開閉させるための駆動力を伝達する。また,ロッカアーム6は,上記ローラ73の主軸731を挿入配置する軸穴611をそれぞれ一対の側壁部61に形成してなる。
【0030】
図2に示すごとく,本例のロッカアーム成形体60は,ロッカアーム6の中間体であり,平板状の素材に中空穴64を形成し,その後,この中空穴64の両端部において一対の折り曲げ加工を行って成形したものである。そのため,ロッカアーム成形体60は,互いに対面するよう形成された一対の側壁部61と,この一対の側壁部61を連結する第1連結部62及び第2連結部63と,上記第1連結部62及び上記第2連結部63との間に形成された中空穴64とを有している。そして,上記第1連結部62と上記第2連結部63とは,上記一対の側壁部61と共に断面略U字形状を形成している。
【0031】
また,図7に示すごとく,本例では,上記第1連結部62には,エンジン7のバルブ71におけるバルブステム部711を支承する支承部621が形成してある。また,上記第2連結部63には,ロッカアーム6の回動中心となるピボット74に取り付けられる取付部631が形成してある。
そして,本例では,上記ロッカアーム成形体60における一対の側壁部61にそれぞれ軸穴611を打ち抜いて,ロッカアーム6を製造する。
【0032】
図7に示すごとく,自動車等のエンジン7において,上記ロッカアーム6は,カム軸72に設けたカム721の回転を受けて,エンジン7の吸排気口に配置したバルブ71を開閉させる。すなわち,上記ロッカアーム6は,上記カム721の回転に伴って上記ローラ73が従動回転すると共に,上記ピボット74を中心にして回動し,上記バルブ71を開閉させるよう構成されている。
【0033】
なお,上記バルブ71にはリテーナ712が設けてあると共にこのリテーナ712とエンジンケース70との間にはバネ75が配置されている。そして,このバネ75の力によって上記カム721と上記ローラ73との当接状態,上記ロッカアーム6の支承部621と上記バルブ71のバルブステム部711との当接状態が保たれている。
【0034】
次に,上記ロッカアーム6の軸穴打抜き装置1につき詳説する。
図1に示すごとく,本例においては,上記ダイスホルダー2と上記パンチホルダー3とは,平行移動することにより,上記第1操作位置X1と上記第2操作位置X2との間を相対的に往復移動可能に配設してある。本例では,上記ダイスホルダー2が上記パンチホルダー3に対して平行移動するよう構成してある。
なお,第1操作位置X1及び第2操作位置X2とは,上記一対の軸穴611の打抜き及び上記一対のスクラップ612の払出しを並行して行う各操作位置をいう。
【0035】
また,図6に示すごとく,本例のダイスホルダー2には,2つの打抜きダイス20が配設してある。この2つの打抜きダイス20は,上記第1操作位置X1において上記一対のパンチ4と対向する第1ダイス21と,上記第2操作位置X2において上記一対のパンチ4と対向する第2ダイス22とである。
これら第1ダイス21及び第2ダイス22は,上記ダイスホルダー2に対して着脱可能に配設してある。そして,上記第1ダイス21及び第2ダイス22は他のダイスにそれぞれ容易に交換できるようになっている。これにより,上記打抜きを行う軸穴611の直径を変更する際には,上記各ダイス21,22を他のダイスに交換することにより容易に対応することができる。
【0036】
また,図4に示すごとく,本例のパンチホルダー3は,上記パンチ4をそれぞれ1つ有する第1パンチホルダー31と,第2パンチホルダー32とである。そして,本例では,一回の打抜き操作で1つのロッカアーム成形体60に上記一対の軸穴611を打ち抜く。
また,上記第1パンチホルダー31には,上記パンチ4の一方と上記払出しピン5とが設けてあり,上記第2パンチホルダー32には,上記パンチ4の他方が設けてある。そして,上記ダイスホルダー2は,上記第1パンチホルダー31と上記第2パンチホルダー32との間の距離を保って,これらの間を往復移動方向A(図1,図6参照)において平行移動する。
【0037】
また,図6に示すごとく,上記払出しピン5は,上記第1パンチホルダー31に進退可能に複数設けてあり,上記往復移動方向Aにおける上記パンチ4の両側にそれぞれ配設してある。本例では,上記払出しピン5は2つ設けてある。この2つの払出しピン5は,上記第1操作位置X1において,上記第2ダイス22におけるダイス穴221に残っている一対のスクラップ612を払い出す第1払出しピン51と,上記第2操作位置X2において,上記第1ダイス21におけるダイス穴211に残っている一対のスクラップ612を払い出す第2払出しピン52とである。
【0038】
そして,上記一対のパンチ4をまとめて1つと数えるとすると,上記パンチホルダー3に設けた払出しピン5の数は,上記一対のパンチ4の数に対して2倍となっている。また,図示は省略するが,上記一対のパンチ4と上記2つの払出しピン5とは,同じ駆動装置により駆動するよう構成されている。本例の駆動装置は,回転軸に配設したカムにより構成している。
【0039】
次に,上記ロッカアーム6の軸穴打抜き装置1を用いて,上記ロッカアーム成形体60に一対の軸穴611を打ち抜く方法につき説明する。
図8に示すごとく,本例の軸穴打抜き方法においては,配置工程,打抜き払出し工程,取出工程及び移動工程の4つの工程を繰り返して,上記ロッカアーム成形体60に上記一対の軸穴611を打ち抜く。また,上記軸穴打抜き装置1は,上記第1操作位置X1と第2操作位置X2との2位置において上記打抜き操作及び払出し操作を行うため,上記4つの工程は,上記2つの操作位置において交互に行われる。
【0040】
図8は,上記軸穴打抜き方法における作業の流れを簡略的に示したものである。すなわち,本例では,上記各操作位置において,上記4つの工程による第1サイクルと第2サイクルとを行うことにより,2つのロッカアーム成形体60に一対の軸穴611を打ち抜く。
以下に,図8及び図9〜図16を用いて,上記軸穴打抜き方法における作業の流れを詳説する。
【0041】
第1サイクルにおいては,まず,図8のステップS101及び図9に示すごとく,第1配置工程にて,ロッカアーム成形体60を上記ダイスホルダー2における第1ダイス21に配置する。このとき,上記ダイスホルダー2は,上記第1操作位置X1に移動しており,上記第1ダイス21におけるダイス穴211と上記一対のパンチ4とが対向すると共に,上記第2ダイス22におけるダイス穴221と上記第1払出しピン51とが対向している。
【0042】
そして,図8のステップS102及び図10に示すごとく,第1打抜き払出し工程において,上記第1ダイス21に配置したロッカアーム成形体60に対して一対の軸穴611を打ち抜くと共に,前回の打抜きの際に第2ダイス22におけるダイス穴221に排出された一対のスクラップ612を第1払出しピン51により払い出す。また,上記打抜きの際には,上記第1ダイス21におけるダイス穴211には,打抜き後の一対のスクラップ612が排出される。
【0043】
そして,図8のステップS103及び図11に示すごとく,第1取出工程において,上記一対の軸穴611を打ち抜いたロッカアーム成形体60を,上記第1ダイス21より取り出す。その後,図8のステップS104及び図12に示すごとく,上記ダイスホルダー2を上記第2操作位置X2に移動させる。このとき,上記第2ダイス22におけるダイス穴221と上記一対のパンチ4とが対向すると共に,上記第1ダイス21におけるダイス穴211と上記第2払出しピン52とが対向する。こうして,上記第1サイクルが完了し,1つのロッカアーム成形体60に一対の軸穴611を形成する。
【0044】
次いで,第2サイクルにおいては,図8のステップS105及び図13に示すごとく,第2配置工程にて,次のロッカアーム成形体60を上記ダイスホルダー2における第2ダイス22に配置する。
そして,図8のステップS106及び図14に示すごとく,第2打抜き払出し工程にて,上記第2ダイス22に配置した次のロッカアーム成形体60に対して一対の軸穴611を打ち抜くと共に,上記第1打抜き払出し工程において,第1ダイス21におけるダイス穴211に排出された一対のスクラップ612を第2払出しピン52により払い出す。また,上記打抜きの際には,上記第2ダイス22におけるダイス穴221には,打抜き後の一対のスクラップ612が排出される。
【0045】
そして,図8のステップS107及び図15に示すごとく,第2取出工程において,上記一対の軸穴611を打ち抜いた次のロッカアーム成形体60を,上記第2ダイス22より取り出す。その後,図8のステップS108及び図16に示すごとく,上記ダイスホルダー2を上記第1操作位置X1に移動させる。こうして,上記第2サイクルが完了し,次のロッカアーム成形体60に一対の軸穴611を形成する。また,上記のようにして,上記第1サイクルと第2サイクルとを合わせて,2つのロッカアーム成形体60に一対の軸穴611を形成する。
そして,以下同様にして,上記第1サイクル及び第2サイクルを繰り返して,各ロッカアーム成形体60に一対の軸穴611を続けて打ち抜くことができる。
【0046】
本例のロッカアーム6の軸穴打抜き装置1は,上記ダイスホルダー2に第1ダイス21及び第2ダイス22を設け,各ダイス21,22において上記軸穴611の打抜きを可能にし,かつ,この軸穴611の打抜きと上記スクラップ612の払出しとを並行して行えるよう構成したものである。そして,上記ロッカアーム成形体60における一対の側壁部61に上記軸穴611をそれぞれ打ち抜く際には,上記ダイスホルダー2は,上記パンチホルダー3に対して上記第1操作位置X1と第2操作位置X2との間に相対的に往復移動する。そして,各操作位置においては,一方では上記一対の軸穴611を打ち抜く打抜き操作を,他方ではスクラップ612を払い出す払出し操作を,それぞれ並行して行うことができる。
【0047】
そのため,上記第1ダイス21のダイス穴211及び上記第2ダイス22のダイス穴221にそれぞれ排出された一対のスクラップ612を払い出すためだけに要する余分な時間を省略することができる。そのため,短いサイクルタイムで上記一対の軸穴611の打抜きを行うことができ,単位時間当たりに上記各軸穴611を打抜く回数を増加させることができる。
それ故,上記ロッカアーム6の生産性を向上させることができる。
【0048】
また,上記のごとく,本例では,上記一対のスクラップ612を,一旦は上記第1ダイス21のダイス穴211又は上記第2ダイス22のダイス穴221に退け,その後,これらのダイス穴211,221より払い出す。そのため,各ダイス穴211,221の下方に一対のスクラップを落下させるための落下口を設ける必要がなく,これによる第1ダイス21及び第2ダイス22の強度の低下を防止することができる。それ故,本例によれば,特に,一対の側壁部61の間の間隔が狭いロッカアーム6に対しても,第1ダイス21及び第2ダイス22の強度低下を防止すると共に,生産性を向上させることができる。
【0049】
(実施例2)
本例においては,図17,図18に示すごとく,本例の打抜きダイス25は1つであり,この打抜きダイス25に対して,上記打抜き及び払出しの各操作を行う。すなわち,本例における一方のパンチ401は,上記ロッカアーム成形体60より打ち抜いた一対のスクラップ612を上記打抜きダイス25のダイス穴251より払い出すよう,第1パンチホルダー310に対して進退のストロークが変更可能である。また,他方のパンチ402は,第2パンチホルダー320に対して進退可能である。また,上記打抜きダイス25は,ダイスホルダー26に配設してある。
【0050】
そして,図17に示すごとく,本例のロッカアーム6の軸穴打抜き装置1は,上記打抜きダイス25に挿入配置した上記ロッカアーム成形体60に対して一対のパンチ401,402により上記各軸穴611を打ち抜く。このとき,この打抜きを行ったロッカアーム成形体60の一対のスクラップ612は上記打抜きダイス25のダイス穴251に排出される。
そして,その後,図18に示すごとく,上記軸穴打抜き装置1は,上記一対のスクラップ612を上記一方のパンチ401により上記ダイス穴251より払い出す。その他の構成は上記実施例1と同様である。
【0051】
本例では,上記一方のパンチ401は,上記打抜きを行うときには,打抜きができるだけの短いストロークに設定し,上記払出しを行うときには,上記パンチ穴251を通過する長いストロークに設定する。そのため,上記払出しを行う際に,上記ダイスホルダー26を移動させる必要がない。そのため,この移動のためだけに要する時間を省略することができる。
【0052】
そして,図19におけるステップS201〜S204に示すごとく,1サイクルで配置工程,打抜き工程,取出工程及び払出し工程の4つの工程を行うことにより,上記ロッカアーム成形体60における各軸穴611の打抜きを繰り返し行うことができる。そのため,短いサイクルタイムで上記ロッカアーム成形体60における各軸穴611の打抜きを行うことができ,単位時間当たりに上記各軸穴611を打抜く回数を増加させることができる。それ故,本例によっても,上記ロッカアーム6の生産性を向上させることができる。
なお,上記払出し工程は上記取出工程の前に行っても勿論よい。その他,本例においても上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
(比較例)
本例では,比較のために,図21に,従来のロッカアーム96の軸穴打抜き装置9(図20参照)における一対の軸穴962の形成方法について示す。
同図において,従来のロッカアーム96の軸穴打抜き装置9では,配置工程,打抜き工程,第1移動工程,取出工程,払出し工程及び第2移動工程の6つの工程を繰り返して,ロッカアーム成形体96に一対の軸穴962を打ち抜く。
【0054】
すなわち,図21のステップS301の配置工程において,ロッカアーム成形体96を打抜きダイス92に配置する。次いで,S302の打ち抜き工程において,打抜きダイス92に配置したロッカアーム成形体96に一対の軸穴962を打ち抜く。次いで,S303の第1移動工程において,打抜きダイス92を払出し位置に移動させる。
【0055】
次いで,S304の取出工程において,一対の軸穴963を打ち抜いたロッカアーム成形体96を上記打抜きダイス92より取り出す。そして,S305の払出し工程において,上記打抜きダイス92のダイス穴921に排出された一対のスクラップ963を払い出す。その後,S306の第2移動工程において,上記打抜きダイス92を打抜き位置に移動させる。こうして,上記6つの工程を繰り返して,ロッカアーム成形体96に上記一対の軸穴962を形成する。
【0056】
上記のごとく,従来の軸穴打抜き装置9においては,1つのロッカアーム成形体96に一対の軸穴962を打ち抜くために,上記配置工程から上記第2移動工程までの6つの工程を行う必要がある。そのため,従来の軸穴打抜き装置9においては,上記本例の軸穴打抜き装置1に比べて,1サイクル当たりに上記払出し工程(S305)と上記第2移動工程(S306)との2つの工程が余分にあり,その分サイクルタイムが長くなる。
それ故,上記実施例1及び2の軸穴打抜き装置1によれば,上記2つの余分な工程を廃止することができ,短いサイクルタイムで上記一対の軸穴611の打抜きを行えることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,ロッカアームの軸穴打抜き装置を示す斜視説明図。
【図2】実施例1における,ロッカアームを示す斜視図。
【図3】実施例1における,ダイスホルダーを示す側面説明図。
【図4】実施例1における,一対のパンチを示す断面説明図。
【図5】実施例1における,払出しピンを示す断面説明図。
【図6】実施例1における,ロッカアームの軸穴打抜き装置を示す平面説明図。
【図7】実施例1における,ロッカアームをエンジンに配設した状態を示す説明図。
【図8】実施例1における,ロッカアームの軸穴打抜き方法における作業の流れを示すフローチャート。
【図9】実施例1における,ロッカアームの軸穴打抜き方法における第1配置工程を示す平面説明図。
【図10】実施例1における,ロッカアームの軸穴打抜き方法における第1打抜き払出し工程を示す平面説明図。
【図11】実施例1における,ロッカアームの軸穴打抜き方法における第1取出工程を示す側面説明図。
【図12】実施例1における,ロッカアームの軸穴打抜き方法における第1移動工程を示す平面説明図。
【図13】実施例1における,ロッカアームの軸穴打抜き方法における第2配置工程を示す平面説明図。
【図14】実施例1における,ロッカアームの軸穴打抜き方法における第2打抜き払出し工程を示す平面説明図。
【図15】実施例1における,ロッカアームの軸穴打抜き方法における第2取出工程を示す側面説明図。
【図16】実施例1における,ロッカアームの軸穴打抜き方法における第2移動工程を示す平面説明図。
【図17】実施例2における,ロッカアームの軸穴打抜き装置による打抜き工程を示す平面説明図。
【図18】実施例2における,ロッカアームの軸穴打抜き装置による払出し工程を示す平面説明図。
【図19】実施例2における,ロッカアームの軸穴打抜き装置による作業の流れを示すフローチャート。
【図20】従来例における,ロッカアームの軸穴打抜き装置を示す斜視説明図。
【図21】従来例における,ロッカアームの軸穴打抜き方法における作業の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
1...軸穴打抜き装置,
2...ダイスホルダー,
20...打抜きダイス,
21...第1ダイス,
211...ダイス穴,
22...第2ダイス,
221...ダイス穴,
3...パンチホルダー,
31...第1パンチホルダー,
32...第2パンチホルダー,
4...パンチ,
5...払出しピン,
51...第1払出しピン,
52...第2払出しピン,
6...ロッカアーム,
60...ロッカアーム成形体,
61...側壁部,
611...軸穴,
612...スクラップ,
7...エンジン,
71...バルブ,
721...カム,
73...ローラ,
731...主軸,
X1...第1操作位置,
X2...第2操作位置,

Claims (5)

  1. ロッカアーム成形体における互いに対面する一対の側壁部にそれぞれ軸穴を打ち抜くロッカアームの軸穴打抜き装置において,
    上記軸穴打抜き装置は,上記ロッカアーム成形体における一対の側壁部の間にそれぞれ挿入配置される複数の打抜きダイスを有するダイスホルダーと,該ダイスホルダーの左右両側に配置され,上記一対の側壁部にそれぞれ上記軸穴を打ち抜くための一対のパンチと,該一対のパンチをそれぞれ進退可能に配設したパンチホルダーとを備えており,
    上記ダイスホルダーにおける複数の打抜きダイスには,上記一対のパンチと対向するダイス穴がそれぞれ設けてあり,
    上記パンチホルダーには,上記ロッカアーム成形体より打ち抜いた一対のスクラップを上記ダイス穴より払い出す払出しピンが設けてあり,
    上記ダイスホルダーと上記パンチホルダーとは,第1操作位置と第2操作位置との間に相対的に往復移動可能に配設してあり,
    上記各操作位置においては,それぞれ一方では上記打抜きダイスに挿入配置した上記ロッカアーム成形体に対して上記一対のパンチにより上記各軸穴を打ち抜くと共に,他方では前回に上記各軸穴を打ち抜いたロッカアーム成形体の一対のスクラップを上記払出しピンにより払い出すよう構成してあることを特徴とするロッカアームの軸穴打抜き装置。
  2. 請求項1において,上記第1操作位置と上記第2操作位置との間の相対的な往復移動は,上記ダイスホルダーを上記パンチホルダーに対して平行移動させる,又は上記パンチホルダーを上記ダイスホルダーに対して平行移動させることにより行い,
    上記払出しピンは,上記往復移動方向における上記パンチの両側にそれぞれ配設してあることを特徴とするロッカアームの軸穴打抜き装置。
  3. 請求項1又は2において,上記複数の打抜きダイスは上記ダイスホルダーに対して着脱可能に配設してあることを特徴とするロッカアームの軸穴打抜き装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において,上記一対のパンチの少なくとも一方と上記払出しピンとは,同じ駆動装置により駆動されるよう構成してあることを特徴とするロッカアームの軸穴打抜き装置。
  5. ロッカアーム成形体における互いに対面する一対の側壁部にそれぞれ軸穴を打ち抜くロッカアームの軸穴打抜き装置において,
    上記軸穴打抜き装置は,上記ロッカアーム成形体における一対の側壁部の間に挿入配置される打抜きダイスと,該打抜きダイスの左右両側に配置され,上記一対の側壁部にそれぞれ上記軸穴を打ち抜くための一対のパンチと,該一対のパンチをそれぞれ進退可能に配設したパンチホルダーとを備えており,
    上記打抜きダイスには,上記一対のパンチと対向するダイス穴が設けてあり,
    上記打抜きダイスに挿入配置した上記ロッカアーム成形体に対して上記一対のパンチにより上記各軸穴を打ち抜くと共に該打抜きを行ったロッカアーム成形体の一対のスクラップを上記打抜きダイスのダイス穴に排出し,その後,上記一対のスクラップを上記一対のパンチの一方により払い出すよう構成してあることを特徴とするロッカアームの軸穴打抜き装置。
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