JP2004065287A - X線ct装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度特性の変動を補正して、ストリークアーチファクトが無くCT値の誤差も小さくできるX線CT装置を提供する。
【解決手段】X線照射手段からのX線の立ち上りの時間遅れによるX線検出手段の出力感度特性の変動を補正する第一の補正手段と、前記X線照射手段からのX線ビームシフトによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動を補正する第二の補正手段と、前記X線の立ち上りの時間遅れとX線ビームシフトとによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動以外の出力感度の変動及びX線検出素子間のばらつきを補正する第三の補正手段とを備え、これらの補正手段で補正したデータを投影データに変換しこの変換した投影データから再構成画像を得る。
【選択図】 図2
【解決手段】X線照射手段からのX線の立ち上りの時間遅れによるX線検出手段の出力感度特性の変動を補正する第一の補正手段と、前記X線照射手段からのX線ビームシフトによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動を補正する第二の補正手段と、前記X線の立ち上りの時間遅れとX線ビームシフトとによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動以外の出力感度の変動及びX線検出素子間のばらつきを補正する第三の補正手段とを備え、これらの補正手段で補正したデータを投影データに変換しこの変換した投影データから再構成画像を得る。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はX線CT装置に関し、特にX線の立ち上がりの時間遅れ及びX線ビーム変動に起因するX線検出器の感度補正を施して高画質の断層画像を得るX線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線CT装置は、被検体の体軸を中心にして、X線源とX線検出器が円周方向に回転しながら、前記X線源からX線を放射し、それと対向して円弧状に配置された複数の検出素子を備えたX線検出器にて被検体を透過したX線量を検出し、この検出したデータに基づき画像処理装置にて断層像を再構成するものである。このようなX線CT装置において、X線検出器はチャンネル方向に1次元的に多数のX線検出素子が配列されており、X線ビームを回転させて被検体を走査するCT撮影(以下、CTスキャン又は単にスキャンともいう)中に、X線検出器は1回転にて1枚の断層像を得るためのデータを検出する。
【0003】
近年は、検査時間を短縮して装置のスループットの向上を図るために、これまでチャンネル方向に1次元的に多数のX線検出素子が配列されていたX線検出器を、スライス方向にも複数列配置する事により、1回のスキャンの間に複数のスライス分のX線量データを計測する事ができるマルチスライス型X線検出器を備えたX線CT装置が実用化されている。このように、X線CT装置のX線検出器は多数のX線検出素子で構成されており、このX線検出器には、高空間分解能及び高S/N(信号/ノイズ)が得られる、固体検出器が用いられている。この固体検出器は、入射X線を光に変換するシンチレータと、このシンチレータで変換された光を検出して電気信号として出力するシリコンフォトダイオードなどの光検出素子とから成るX線検出素子群を、X線源を中心として、シングルスライス型の場合はチャンネル方向に、マルチスライス型の場合はチャンネル方向及びこのチャンネル方向と直交するスライス方向に略円弧状に多数配列して構成される。
【0004】
このように、X線CT装置は多数のX線検出素子で被検体を透過したX線量を検出して、この検出データを用いて断層画像を再構成するために、前記X線検出器素子間の特性は均一であることが必要である。このため、各種の感度補正を行っているが、これらの感度補正はX線検出器単体のチャンネル毎(マルチスライス型の場合はスライス方向の検出器も含む)の感度差だけではなく、X線検出器の感度不均一性およびスキャナの回転によるX線ビーム位置の変動に起因するX線検出器出力の感度変化も含めた補正である。
【0005】
X線ビームの位置が変動する主な要因として、
(1)スキャナの回転運動により重力のかかる方向が回転体上の部品に対して回転周期で変化することによって該回転体本体の変形によるもの。
(2)X線管球の陽極の熱伸びによるX線焦点の変動によるもの。
(3)スキャナの回転運動によるX線検出器受光面の変位によるもの。
がある。これらによって生じるX線検出器の出力感度の変化に対して、スキャナ回転角度を変数とするチャンネル毎の感度変化を関数で近似して補正データとして感度補正に用いる方法や変動するX線ビーム位置を常に検出し、そのX線ビームを常に正規の位置へ補正するようにX線管球またはコリメータを移動させる方法が用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
スキャナ回転による力学的負荷及びX線管陽極の熱伸びによるX線ビーム変動に対するX線検出器の出力感度変動補正は上記の方法で対処できたが、X線検出器の出力感度不均一の要因として上記のほかにもX線の立ち上がりの時間遅れによるものも考慮しなければならない。
このX線の立ち上がりの時間遅れに起因する感度不均一は、スキャン速度がそれほど高速でない従来の場合は問題ではなかったが、今後の高速スキャンにおいては無視できないものとなる。以下、この問題について説明する。
【0007】
図11にX線管の陽極と陰極間に直流の高電圧(以下、これを管電圧と呼ぶ)を印加した場合の時間と前記管電圧の関係、すなわちX線の立ち上がり特性の一例を示す。
X線管の陽極と陰極間に管電圧を印加しても設定された管電圧の値まで瞬時に到達することは困難であり、少なからず時間遅れが発生する。このような時間遅れをX線立ち上り時間Txとして図11に示してある。
【0008】
X線検出器の出力は、入射されるX線のエネルギースペクトルに敏感な感度を持っているため、図11に示すように管電圧が設定値に達するまでにTxの時間遅れがあると、X線検出器の出力も前記管電圧の立ち上がり特性に対応して所定の時間遅れをもって立ち上がる。このような、管電圧の立ち上がり時間遅れに起因するX線検出器の出力特性の変化は、スキャナ回転が往復運動方式で、X線照射を開始する回転角度が常に一箇所に固定である場合には、上記従来技術で述べた回転角度位置を変数とする感度補正方法により補正でき、実用上問題はない。
【0009】
しかし、最近のスキャナ回転方式はスリップリングとブラシによる連続回転方式が主流となっており、この連続回転方式の採用により、スキャン開始指令から実際のスキャン開始までの時間およびスキャンとスキャンの間の時間を短縮するために、任意で複数の回転角度位置からX線照射を行うようになった。これにより、X線検出器の出力感度補正データを得るための校正スキャンのX線照射を開始する回転角度と本スキャンのそれとは一致しないことになり、X線の立ち上りの時間遅れによるX線検出器の出力感度変化分は該X線検出器の出力データから除去されていないことになる。
【0010】
このX線の立ち上りの遅れ時間Txがスキャン時間Tに対して十分に短ければX線検出器の出力感度変化の影響は画像上に現れにくいが、前記連続回転方式により、近年は1秒以下のサブセコンドスキャンが臨床的に有用とされ、一回転で最短0.5秒といった高速スキャンも実用化されている。このようなスキャンの短時間化の技術が進むにつれて、スキャン時間Tに対するX線の立ち上り遅れ時間Txの割合が増えることになり、X線検出器のチャンネル毎の出力感度のばらつきが除去されず、画像上にストリークアーチファクトが発生し、X線減弱量の不均一によるCT値の誤差も発生する。また、このような画質劣化は、半回転分のスキャンデータから画像再構成を行う方法においてはより顕著なものとなる。そこで、本発明の目的は、X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度特性の変動を補正して、ストリークアーチファクトが無くCT値の誤差も小さくできるX線CT装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の手段によって達成される。
【0012】
(1)被検体にX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を挟んで前記X線照射手段と対向する位置に配置され前記被検体の透過X線を検出する多数のX線検出素子で構成されたX線検出手段と、前記X線照射手段と前記X線検出手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段と、前記X線検出手段により検出したデータを補正する補正手段と、この補正手段で補正したデータを投影データに変換しこの変換した投影データから再構成画像を得る再構成手段を含むX線CT装置であって、前記補正手段は、前記X線照射手段からのX線の立ち上りの時間遅れによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動を補正する第一の補正手段と、前記X線照射手段からのX線ビームシフトによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動を補正する第二の補正手段と、前記X線の立ち上りの時間遅れとX線ビームシフトとによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動以外の出力感度の変動及びX線検出素子間のばらつきを補正する第三の補正手段とを備え、これらの補正手段で補正したデータを投影データに変換しこの変換した投影データから再構成画像を得る。
【0013】
(2)前記第一の補正手段は、被検体が無い状態でスキャンして得る第一の校正用感度データと、前記X線照射手段からのX線の照射開始角度を前記第一の校正用感度データ取得時におけるX線の立ち上がり時間に相当する角度位相分進ませた角度でスキャンして得る第二の校正用感度データと、これら第一の校正用感度データと第二の校正用感度データとを基にして前記X線照射手段からのX線の立ち上りの時間遅れによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動を補正する。
【0014】
(3)前記第一の校正用感度データ取得時のスキャンのX線の照射開始角度は任意の角度良い。
【0015】
(4)前記第一の校正用感度データと第二の校正用感度データのX線照射角度を同じにするための時間−位相シフト手段と、この時間−位相シフト手段でシフトした前記第一の校正用感度データと第二の校正用感度データに対応するデータの差分をとる差分手段と、前記X線の立ち上がり後は補正を行わない手段とを具備し、X線の立ち上がりの過程においては前記差分手段の出力を、X線の立ち上がり後においては前記補正を行わない手段の出力を前記第一の補正手段の出力とする。
【0016】
(5)前記第二の補正手段は、被検体が無い状態でスキャンして得る第三の校正用感度データを取得する手段と、この手段で取得した第三の校正用感度データと前記第一の補正手段の出力の差分をとる手段と、この差分データを前記X線照射手段の回転角度に変換する手段とを具備し、この変換手段の出力を前記第二の補正手段の出力とする。
【0017】
(6)前記第三の校正用感度データ取得時のスキャンのX線の照射開始角度は任意の角度で良い。
【0018】
(7)前記X線検出手段の出力と前記第一、第二及び第三の補正手段の出力との差分をとり、この差分データを前記X線照射手段の回転角度に変換して前記X線検出手段で検出した出力を補正し、この補正したデータを投影データに変換して再構成画像を得る。
【0019】
以上により、X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度特性の変動補正後データを用いて再構成画像を得るようにしたので、ストリークアーチファクトが無くCT値の誤差も小さくできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施形態により本発明をさらに詳細説明する。
図1は本発明の一実施形態に係わるX線CT装置の構成図である。このX線CT装置100は、操作コンソール1と、撮影テーブル10と、走査ガントリ20とを具備している。前記走査コンソール1は、操作者の指示や各種情報などを入力する入力装置2と、スキャン処理や各種補正処理や画像再構成などを実行する中央処理装置3と、制御信号などを撮影テーブル10と走査ガントリ20へ出力する制御インターフェース4と、走査ガントリ20で取得したデータを収集するデータ収集バッファ5と、画像を表示するCRT6と、各種のデータやプログラムを記憶する記憶装置7とを具備している。前記撮影テーブル10は、被検体をのせて体軸方向に移動させる。前記走査ガントリ20は、X線管21と、コリメータ22と、X線検出器23と、被検体の体軸の回りにX線管21やX線検出器23などを回転させる回転板27と、この回転板を回転制御する回転コントローラ24と、X線照射タイミングや強度などを調節するX線コントローラ25と、データ収集部26を具備し、このデータ収集部26で収集したX線計測データを操作コンソール1のデータ収集バッファ5に伝送する。
【0021】
上記構成のX線CT装置において、X線立ち上りの感度補正データを得るための校正スキャンとX線ビームシフトの感度補正データを得るための校正スキャンを行って、X線の立ち上り時間遅れとX線ビームシフトによるX線検出器の出力感度特性の変動を補正して、これらの感度補正後データを投影データに変換し、この投影データを再構成するものである。
【0022】
以下、これらの感度補正およびこれらの感度補正データを用いて本スキャンを行う実施例について説明する。
(a)X線の立ち上り時間遅れによる感度特性の変動補正(第一の補正手段) 図2は、X線立ち上りの感度補正データを得る校正スキャン手順の要部のフロー図である。この校正スキャンでは、2回のスキャンを行う。最初に一回目のエアスキャンを行い、校正用感度データAir1(t)を得る(第一のエアスキャン)。このデータAir1(t)はX線検出器の全チャネル分のデータであり、tは照射開始からの経過時間を示す。
この第一のエアスキャン時のX線照射開始角度は任意の角度でよい。
【0023】
図3に校正用感度データAir1(t)の波形を例示する。tは時間変数であり、データ収集開始をt=0とし、スキャン時間Tまでの範囲の値をとる。この時間変数tはデータ取込タイミングであり、取り込んだデータの時系列に相当し、Air1(t)は一回転におけるデータ取込のサンプリング総数分の配列を持つ離散的な関数である。なお、図3の波形は計測データをlog変換した値であり、これ以降に記述するX線検出器出力、感度データおよび感度補正前データもlog変換後の値として扱う。
【0024】
次に二回目のエアスキャンを行い、校正用感度データAir2(t)を得る(第二のエアスキャン)。
この第二のエアスキャンは、第一のエアスキャン時のX線照射開始角度に対してX線の立ち上りが十分に安定する時間Tsに相当する角度位相As進ませた角度で行う。
この角度位相Asは、360°回転に要する時間はスキャン時間Tであることから以下の計算で求められる。
As=360×Ts/T (1)
図4にこの校正用感度データAir2(t)の波形を例示する。
【0025】
次に、校正用感度データAir1(t)とAir2(t)の角度位相が同じとなるようにAir2(t)の時間位相をシフトさせてAir2’(t)に変換する(時間−位相シフト手段)。
Ts≦tの場合、
Air2’(t)=Air2(t−Ts) (2)
t<Tsの場合、
Air2’(t)=Air2(t−Ts+T) (3)
図5に校正用感度データAir2’(t)の波形を例示する。
【0026】
次にAir1(t)とAir2’(t)の差分データAirX(t)を計算する(差分手段)。
AirX(t)=Air1(t)−Air2’(t) (4)
図6にこの差分データAirX(t)を例示する。
【0027】
次に立ち上り感度補正に必要な波形は時間Tsまでであり、これ以降のデータは補正を行わないようにするため、補正値は以下のように置き換えをする。
t≦Tsの場合、
CorX(t)=AirX(t) (5)
Ts<tの場合、
CorX(t)=0 (6)
図7にこのX線立ち上りの感度補正データCorX(t)を例示する。
【0028】
(b)X線ビームシフトによる感度特性の変動補正(第二の補正手段)
図8は、X線ビームシフトの感度補正データを得る校正スキャン手順の要部のフロー図である。この校正スキャンは、あらかじめ立ち上り感度補正のデータが必要である。最初にエアスキャンを行い、校正用感度データAir3(t)を得る。このスキャンの照射開始角度は任意でよい。この校正用感度データAir3(t)の波形は図3,4と同様である。
【0029】
次に、このデータに対して立ち上りの感度補正を行うことにより回転角度に依存するデータを抽出する。
AirS(t)=Air3(t)−CorX(t) (7)
図9に(7)式で求めたAirS(t)の波形を例示する。
【0030】
上記の差分データAirS(t)は時間tに関する系列である。X線ビームシフトの感度変化はスキャナの回転角度に依存する傾向をもつ。よって、差分データAirS(t)を回転角度sの系列に変換する。時間tと回転角度sは以下の関係にある。
s=A3+360×t/T (8)
A3はエアスキャンの照射開始角度を示す。
回転角度sは360度周期であるので、
s>360度の場合、
s=A3+360×t/(T−360) (9)
として扱う。この関係をもとに差分データAirS(t)をX線ビームシフトの感度補正データCorS(s)は求められる。
【0031】
上記の方法で求められる感度補正データCorX(t)、CorS(s)はデータ取込のサンプリング総数分の配列を持つ離散的関数である。
別の実施形態として、この関数を近似して連続な関数として扱うことも可能である。
近似関数の例として、X線立ち上りの補正データCorX(t)は指数関数近似が適している。また、X線ビームシフトの補正データCorS(s)は回転に対する周期が見られることから三角関数近似が適している。
さらにまた、離散関数のままで扱うにはデータ点数が多すぎて、記憶装置の容量に対する割合が大きい場合は、データ点数を縮減させても良い。
【0032】
(c)本スキャン
上記(a),(b)の感度補正を行った後で本スキャンを行う。
図10は、被検体をスキャンしてCT画像を得る本スキャン手順の要部のフロー図である。最初に被検体をスキャンし、感度補正前のデータRD(t)を得る(第三
次に立ち上り感度補正を行う。
RD’(t)=RD(t)−CorX(t) (10)
【0033】
次に、X線ビームシフト補正データCorS(s)を本スキャンの照射開始角度A4をもとに角度位相が一致するような時間系列CorS(t)に変換する。
【0034】
次に、立ち上り感度補正後データRD’(t)からX線ビームシフト補正データCorSRD”(t)=RD’(t)−CorS(t) (11)
【0035】
このようにして求めた感度補正後データRD”(t)を投影データに変換し、この投影データを再構成してCT画像を得る。
【0036】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度特性の変動補正後データを用いて再構成画像を得るようにしたので、ストリークアーチファクトが無くCT値の誤差も小さくできるX線CT装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わるX線CT装置の構成図。
【図2】本発明によるX線立ち上りの感度補正データを得る校正スキャンのフロー図。
【図3】X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度変動補正のための第一のエアスキャンによる時間とX線検出器出力の関係を示す図。
【図4】X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度変動補正のための第二のエアスキャンによる時間とX線検出器出力の関係を示す図。
【図5】時間−位相シフトさせた図3の第一のエアスキャン時のX線検出器出力と図4の第二のエアスキャン時のX線検出器出力との差を示す図。
【図6】図3と図5の差分データを示す図。
【図7】X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度変動補正後のデータを示す図(第一の補正手段の出力)。
【図8】X線ビームシフトによるX線検出器の出力感度補正データを得る校正スキャンのフロー図。
【図9】X線ビームシフトによるX線検出器の出力感度補正データを示す図。
【図10】被検体をスキャンしてCT画像を得る本スキャンのフロー図。
【図11】X線照射手段のX線管の陽極と陰極間に印加される管電圧波形の立ち上り特性を示す図。
【符号の説明】
1・・・操作コンソール、2・・・入力装置、3・・・中央処理装置、4・・・制御インターフェース、5・・・データ収集バッファ、6・・・CRT、7・・・記憶装置、10・・・撮影テーブル、20・・・操作ガントリ、21・・・X線管、22・・・コリメータ、23・・・X線検出器24・・・回転コントローラ、25・・・X線コントローラ、26・・・データ収集部、27・・・回転板、100・・・X線CT装置
【発明の属する技術分野】
本発明はX線CT装置に関し、特にX線の立ち上がりの時間遅れ及びX線ビーム変動に起因するX線検出器の感度補正を施して高画質の断層画像を得るX線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線CT装置は、被検体の体軸を中心にして、X線源とX線検出器が円周方向に回転しながら、前記X線源からX線を放射し、それと対向して円弧状に配置された複数の検出素子を備えたX線検出器にて被検体を透過したX線量を検出し、この検出したデータに基づき画像処理装置にて断層像を再構成するものである。このようなX線CT装置において、X線検出器はチャンネル方向に1次元的に多数のX線検出素子が配列されており、X線ビームを回転させて被検体を走査するCT撮影(以下、CTスキャン又は単にスキャンともいう)中に、X線検出器は1回転にて1枚の断層像を得るためのデータを検出する。
【0003】
近年は、検査時間を短縮して装置のスループットの向上を図るために、これまでチャンネル方向に1次元的に多数のX線検出素子が配列されていたX線検出器を、スライス方向にも複数列配置する事により、1回のスキャンの間に複数のスライス分のX線量データを計測する事ができるマルチスライス型X線検出器を備えたX線CT装置が実用化されている。このように、X線CT装置のX線検出器は多数のX線検出素子で構成されており、このX線検出器には、高空間分解能及び高S/N(信号/ノイズ)が得られる、固体検出器が用いられている。この固体検出器は、入射X線を光に変換するシンチレータと、このシンチレータで変換された光を検出して電気信号として出力するシリコンフォトダイオードなどの光検出素子とから成るX線検出素子群を、X線源を中心として、シングルスライス型の場合はチャンネル方向に、マルチスライス型の場合はチャンネル方向及びこのチャンネル方向と直交するスライス方向に略円弧状に多数配列して構成される。
【0004】
このように、X線CT装置は多数のX線検出素子で被検体を透過したX線量を検出して、この検出データを用いて断層画像を再構成するために、前記X線検出器素子間の特性は均一であることが必要である。このため、各種の感度補正を行っているが、これらの感度補正はX線検出器単体のチャンネル毎(マルチスライス型の場合はスライス方向の検出器も含む)の感度差だけではなく、X線検出器の感度不均一性およびスキャナの回転によるX線ビーム位置の変動に起因するX線検出器出力の感度変化も含めた補正である。
【0005】
X線ビームの位置が変動する主な要因として、
(1)スキャナの回転運動により重力のかかる方向が回転体上の部品に対して回転周期で変化することによって該回転体本体の変形によるもの。
(2)X線管球の陽極の熱伸びによるX線焦点の変動によるもの。
(3)スキャナの回転運動によるX線検出器受光面の変位によるもの。
がある。これらによって生じるX線検出器の出力感度の変化に対して、スキャナ回転角度を変数とするチャンネル毎の感度変化を関数で近似して補正データとして感度補正に用いる方法や変動するX線ビーム位置を常に検出し、そのX線ビームを常に正規の位置へ補正するようにX線管球またはコリメータを移動させる方法が用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
スキャナ回転による力学的負荷及びX線管陽極の熱伸びによるX線ビーム変動に対するX線検出器の出力感度変動補正は上記の方法で対処できたが、X線検出器の出力感度不均一の要因として上記のほかにもX線の立ち上がりの時間遅れによるものも考慮しなければならない。
このX線の立ち上がりの時間遅れに起因する感度不均一は、スキャン速度がそれほど高速でない従来の場合は問題ではなかったが、今後の高速スキャンにおいては無視できないものとなる。以下、この問題について説明する。
【0007】
図11にX線管の陽極と陰極間に直流の高電圧(以下、これを管電圧と呼ぶ)を印加した場合の時間と前記管電圧の関係、すなわちX線の立ち上がり特性の一例を示す。
X線管の陽極と陰極間に管電圧を印加しても設定された管電圧の値まで瞬時に到達することは困難であり、少なからず時間遅れが発生する。このような時間遅れをX線立ち上り時間Txとして図11に示してある。
【0008】
X線検出器の出力は、入射されるX線のエネルギースペクトルに敏感な感度を持っているため、図11に示すように管電圧が設定値に達するまでにTxの時間遅れがあると、X線検出器の出力も前記管電圧の立ち上がり特性に対応して所定の時間遅れをもって立ち上がる。このような、管電圧の立ち上がり時間遅れに起因するX線検出器の出力特性の変化は、スキャナ回転が往復運動方式で、X線照射を開始する回転角度が常に一箇所に固定である場合には、上記従来技術で述べた回転角度位置を変数とする感度補正方法により補正でき、実用上問題はない。
【0009】
しかし、最近のスキャナ回転方式はスリップリングとブラシによる連続回転方式が主流となっており、この連続回転方式の採用により、スキャン開始指令から実際のスキャン開始までの時間およびスキャンとスキャンの間の時間を短縮するために、任意で複数の回転角度位置からX線照射を行うようになった。これにより、X線検出器の出力感度補正データを得るための校正スキャンのX線照射を開始する回転角度と本スキャンのそれとは一致しないことになり、X線の立ち上りの時間遅れによるX線検出器の出力感度変化分は該X線検出器の出力データから除去されていないことになる。
【0010】
このX線の立ち上りの遅れ時間Txがスキャン時間Tに対して十分に短ければX線検出器の出力感度変化の影響は画像上に現れにくいが、前記連続回転方式により、近年は1秒以下のサブセコンドスキャンが臨床的に有用とされ、一回転で最短0.5秒といった高速スキャンも実用化されている。このようなスキャンの短時間化の技術が進むにつれて、スキャン時間Tに対するX線の立ち上り遅れ時間Txの割合が増えることになり、X線検出器のチャンネル毎の出力感度のばらつきが除去されず、画像上にストリークアーチファクトが発生し、X線減弱量の不均一によるCT値の誤差も発生する。また、このような画質劣化は、半回転分のスキャンデータから画像再構成を行う方法においてはより顕著なものとなる。そこで、本発明の目的は、X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度特性の変動を補正して、ストリークアーチファクトが無くCT値の誤差も小さくできるX線CT装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の手段によって達成される。
【0012】
(1)被検体にX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を挟んで前記X線照射手段と対向する位置に配置され前記被検体の透過X線を検出する多数のX線検出素子で構成されたX線検出手段と、前記X線照射手段と前記X線検出手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段と、前記X線検出手段により検出したデータを補正する補正手段と、この補正手段で補正したデータを投影データに変換しこの変換した投影データから再構成画像を得る再構成手段を含むX線CT装置であって、前記補正手段は、前記X線照射手段からのX線の立ち上りの時間遅れによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動を補正する第一の補正手段と、前記X線照射手段からのX線ビームシフトによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動を補正する第二の補正手段と、前記X線の立ち上りの時間遅れとX線ビームシフトとによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動以外の出力感度の変動及びX線検出素子間のばらつきを補正する第三の補正手段とを備え、これらの補正手段で補正したデータを投影データに変換しこの変換した投影データから再構成画像を得る。
【0013】
(2)前記第一の補正手段は、被検体が無い状態でスキャンして得る第一の校正用感度データと、前記X線照射手段からのX線の照射開始角度を前記第一の校正用感度データ取得時におけるX線の立ち上がり時間に相当する角度位相分進ませた角度でスキャンして得る第二の校正用感度データと、これら第一の校正用感度データと第二の校正用感度データとを基にして前記X線照射手段からのX線の立ち上りの時間遅れによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動を補正する。
【0014】
(3)前記第一の校正用感度データ取得時のスキャンのX線の照射開始角度は任意の角度良い。
【0015】
(4)前記第一の校正用感度データと第二の校正用感度データのX線照射角度を同じにするための時間−位相シフト手段と、この時間−位相シフト手段でシフトした前記第一の校正用感度データと第二の校正用感度データに対応するデータの差分をとる差分手段と、前記X線の立ち上がり後は補正を行わない手段とを具備し、X線の立ち上がりの過程においては前記差分手段の出力を、X線の立ち上がり後においては前記補正を行わない手段の出力を前記第一の補正手段の出力とする。
【0016】
(5)前記第二の補正手段は、被検体が無い状態でスキャンして得る第三の校正用感度データを取得する手段と、この手段で取得した第三の校正用感度データと前記第一の補正手段の出力の差分をとる手段と、この差分データを前記X線照射手段の回転角度に変換する手段とを具備し、この変換手段の出力を前記第二の補正手段の出力とする。
【0017】
(6)前記第三の校正用感度データ取得時のスキャンのX線の照射開始角度は任意の角度で良い。
【0018】
(7)前記X線検出手段の出力と前記第一、第二及び第三の補正手段の出力との差分をとり、この差分データを前記X線照射手段の回転角度に変換して前記X線検出手段で検出した出力を補正し、この補正したデータを投影データに変換して再構成画像を得る。
【0019】
以上により、X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度特性の変動補正後データを用いて再構成画像を得るようにしたので、ストリークアーチファクトが無くCT値の誤差も小さくできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施形態により本発明をさらに詳細説明する。
図1は本発明の一実施形態に係わるX線CT装置の構成図である。このX線CT装置100は、操作コンソール1と、撮影テーブル10と、走査ガントリ20とを具備している。前記走査コンソール1は、操作者の指示や各種情報などを入力する入力装置2と、スキャン処理や各種補正処理や画像再構成などを実行する中央処理装置3と、制御信号などを撮影テーブル10と走査ガントリ20へ出力する制御インターフェース4と、走査ガントリ20で取得したデータを収集するデータ収集バッファ5と、画像を表示するCRT6と、各種のデータやプログラムを記憶する記憶装置7とを具備している。前記撮影テーブル10は、被検体をのせて体軸方向に移動させる。前記走査ガントリ20は、X線管21と、コリメータ22と、X線検出器23と、被検体の体軸の回りにX線管21やX線検出器23などを回転させる回転板27と、この回転板を回転制御する回転コントローラ24と、X線照射タイミングや強度などを調節するX線コントローラ25と、データ収集部26を具備し、このデータ収集部26で収集したX線計測データを操作コンソール1のデータ収集バッファ5に伝送する。
【0021】
上記構成のX線CT装置において、X線立ち上りの感度補正データを得るための校正スキャンとX線ビームシフトの感度補正データを得るための校正スキャンを行って、X線の立ち上り時間遅れとX線ビームシフトによるX線検出器の出力感度特性の変動を補正して、これらの感度補正後データを投影データに変換し、この投影データを再構成するものである。
【0022】
以下、これらの感度補正およびこれらの感度補正データを用いて本スキャンを行う実施例について説明する。
(a)X線の立ち上り時間遅れによる感度特性の変動補正(第一の補正手段) 図2は、X線立ち上りの感度補正データを得る校正スキャン手順の要部のフロー図である。この校正スキャンでは、2回のスキャンを行う。最初に一回目のエアスキャンを行い、校正用感度データAir1(t)を得る(第一のエアスキャン)。このデータAir1(t)はX線検出器の全チャネル分のデータであり、tは照射開始からの経過時間を示す。
この第一のエアスキャン時のX線照射開始角度は任意の角度でよい。
【0023】
図3に校正用感度データAir1(t)の波形を例示する。tは時間変数であり、データ収集開始をt=0とし、スキャン時間Tまでの範囲の値をとる。この時間変数tはデータ取込タイミングであり、取り込んだデータの時系列に相当し、Air1(t)は一回転におけるデータ取込のサンプリング総数分の配列を持つ離散的な関数である。なお、図3の波形は計測データをlog変換した値であり、これ以降に記述するX線検出器出力、感度データおよび感度補正前データもlog変換後の値として扱う。
【0024】
次に二回目のエアスキャンを行い、校正用感度データAir2(t)を得る(第二のエアスキャン)。
この第二のエアスキャンは、第一のエアスキャン時のX線照射開始角度に対してX線の立ち上りが十分に安定する時間Tsに相当する角度位相As進ませた角度で行う。
この角度位相Asは、360°回転に要する時間はスキャン時間Tであることから以下の計算で求められる。
As=360×Ts/T (1)
図4にこの校正用感度データAir2(t)の波形を例示する。
【0025】
次に、校正用感度データAir1(t)とAir2(t)の角度位相が同じとなるようにAir2(t)の時間位相をシフトさせてAir2’(t)に変換する(時間−位相シフト手段)。
Ts≦tの場合、
Air2’(t)=Air2(t−Ts) (2)
t<Tsの場合、
Air2’(t)=Air2(t−Ts+T) (3)
図5に校正用感度データAir2’(t)の波形を例示する。
【0026】
次にAir1(t)とAir2’(t)の差分データAirX(t)を計算する(差分手段)。
AirX(t)=Air1(t)−Air2’(t) (4)
図6にこの差分データAirX(t)を例示する。
【0027】
次に立ち上り感度補正に必要な波形は時間Tsまでであり、これ以降のデータは補正を行わないようにするため、補正値は以下のように置き換えをする。
t≦Tsの場合、
CorX(t)=AirX(t) (5)
Ts<tの場合、
CorX(t)=0 (6)
図7にこのX線立ち上りの感度補正データCorX(t)を例示する。
【0028】
(b)X線ビームシフトによる感度特性の変動補正(第二の補正手段)
図8は、X線ビームシフトの感度補正データを得る校正スキャン手順の要部のフロー図である。この校正スキャンは、あらかじめ立ち上り感度補正のデータが必要である。最初にエアスキャンを行い、校正用感度データAir3(t)を得る。このスキャンの照射開始角度は任意でよい。この校正用感度データAir3(t)の波形は図3,4と同様である。
【0029】
次に、このデータに対して立ち上りの感度補正を行うことにより回転角度に依存するデータを抽出する。
AirS(t)=Air3(t)−CorX(t) (7)
図9に(7)式で求めたAirS(t)の波形を例示する。
【0030】
上記の差分データAirS(t)は時間tに関する系列である。X線ビームシフトの感度変化はスキャナの回転角度に依存する傾向をもつ。よって、差分データAirS(t)を回転角度sの系列に変換する。時間tと回転角度sは以下の関係にある。
s=A3+360×t/T (8)
A3はエアスキャンの照射開始角度を示す。
回転角度sは360度周期であるので、
s>360度の場合、
s=A3+360×t/(T−360) (9)
として扱う。この関係をもとに差分データAirS(t)をX線ビームシフトの感度補正データCorS(s)は求められる。
【0031】
上記の方法で求められる感度補正データCorX(t)、CorS(s)はデータ取込のサンプリング総数分の配列を持つ離散的関数である。
別の実施形態として、この関数を近似して連続な関数として扱うことも可能である。
近似関数の例として、X線立ち上りの補正データCorX(t)は指数関数近似が適している。また、X線ビームシフトの補正データCorS(s)は回転に対する周期が見られることから三角関数近似が適している。
さらにまた、離散関数のままで扱うにはデータ点数が多すぎて、記憶装置の容量に対する割合が大きい場合は、データ点数を縮減させても良い。
【0032】
(c)本スキャン
上記(a),(b)の感度補正を行った後で本スキャンを行う。
図10は、被検体をスキャンしてCT画像を得る本スキャン手順の要部のフロー図である。最初に被検体をスキャンし、感度補正前のデータRD(t)を得る(第三
次に立ち上り感度補正を行う。
RD’(t)=RD(t)−CorX(t) (10)
【0033】
次に、X線ビームシフト補正データCorS(s)を本スキャンの照射開始角度A4をもとに角度位相が一致するような時間系列CorS(t)に変換する。
【0034】
次に、立ち上り感度補正後データRD’(t)からX線ビームシフト補正データCorSRD”(t)=RD’(t)−CorS(t) (11)
【0035】
このようにして求めた感度補正後データRD”(t)を投影データに変換し、この投影データを再構成してCT画像を得る。
【0036】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度特性の変動補正後データを用いて再構成画像を得るようにしたので、ストリークアーチファクトが無くCT値の誤差も小さくできるX線CT装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わるX線CT装置の構成図。
【図2】本発明によるX線立ち上りの感度補正データを得る校正スキャンのフロー図。
【図3】X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度変動補正のための第一のエアスキャンによる時間とX線検出器出力の関係を示す図。
【図4】X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度変動補正のための第二のエアスキャンによる時間とX線検出器出力の関係を示す図。
【図5】時間−位相シフトさせた図3の第一のエアスキャン時のX線検出器出力と図4の第二のエアスキャン時のX線検出器出力との差を示す図。
【図6】図3と図5の差分データを示す図。
【図7】X線の立ち上り時間遅れによるX線検出器の出力感度変動補正後のデータを示す図(第一の補正手段の出力)。
【図8】X線ビームシフトによるX線検出器の出力感度補正データを得る校正スキャンのフロー図。
【図9】X線ビームシフトによるX線検出器の出力感度補正データを示す図。
【図10】被検体をスキャンしてCT画像を得る本スキャンのフロー図。
【図11】X線照射手段のX線管の陽極と陰極間に印加される管電圧波形の立ち上り特性を示す図。
【符号の説明】
1・・・操作コンソール、2・・・入力装置、3・・・中央処理装置、4・・・制御インターフェース、5・・・データ収集バッファ、6・・・CRT、7・・・記憶装置、10・・・撮影テーブル、20・・・操作ガントリ、21・・・X線管、22・・・コリメータ、23・・・X線検出器24・・・回転コントローラ、25・・・X線コントローラ、26・・・データ収集部、27・・・回転板、100・・・X線CT装置
Claims (7)
- 被検体にX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を挟んで前記X線照射手段と対向する位置に配置され前記被検体の透過X線を検出する多数のX線検出素子で構成されたX線検出手段と、前記X線照射手段と前記X線検出手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段と、前記X線検出手段により検出したデータを補正する補正手段と、この補正手段で補正したデータを投影データに変換しこの変換した投影データから再構成画像を得る再構成手段を含むX線CT装置であって、前記補正手段は、前記X線照射手段からのX線の立ち上りの時間遅れによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動を補正する第一の補正手段と、前記X線照射手段からのX線ビームシフトによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動を補正する第二の補正手段と、前記X線の立ち上りの時間遅れとX線ビームシフトとによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動以外の出力感度の変動及びX線検出素子間のばらつきを補正する第三の補正手段とを備え、これらの補正手段で補正したデータを投影データに変換しこの変換した投影データから再構成画像を得ることを特徴とするX線CT装置。
- 前記第一の補正手段は、被検体が無い状態でスキャンして得る第一の校正用感度データと、前記X線照射手段からのX線の照射開始角度を前記第一の校正用感度データ取得時におけるX線の立ち上がり時間に相当する角度位相分進ませた角度でスキャンして得る第二の校正用感度データと、これら第一の校正用感度データと第二の校正用感度データとを基にして前記X線照射手段からのX線の立ち上りの時間遅れによる前記X線検出手段の出力感度特性の変動を補正することを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
- 前記第一の校正用感度データ取得時のスキャンのX線の照射開始角度は任意の角度であることを特徴とする請求項2に記載のX線CT装置。
- 前記第一の校正用感度データと第二の校正用感度データのX線照射角度を同じにするための時間−位相シフト手段と、この時間−位相シフト手段でシフトした前記第一の校正用感度データと第二の校正用感度データに対応するデータの差分をとる差分手段と、前記X線の立ち上がり後は補正を行わない手段とを具備し、X線の立ち上がりの過程においては前記差分手段の出力を、X線の立ち上がり後においては前記補正を行わない手段の出力を前記第一の補正手段の出力とすることを特徴とする請求項2に記載のX線CT装置。
- 前記第二の補正手段は、被検体が無い状態でスキャンして得る第三の校正用感度データを取得する手段と、この手段で取得した第三の校正用感度データと前記第一の補正手段の出力の差分をとる手段と、この差分データを前記X線照射手段の回転角度に変換する手段とを具備し、この変換手段の出力を前記第二の補正手段の出力とすることを特徴とする請求項1のX線CT装置。
- 前記第三の校正用感度データ取得時のスキャンのX線の照射開始角度は任意の角度であることを特徴とする請求項5に記載のX線CT装置。
- 前記X線検出手段の出力と前記第一、第二及び第三の補正手段の出力との差分をとり、この差分データを前記X線照射手段の回転角度に変換して前記X線検出手段で検出した出力を補正し、この補正したデータを投影データに変換して再構成画像を得ることを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
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