JP2022145494A - 画像処理装置、補正方法及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】補正を行うこと。【解決手段】実施形態に係る画像処理装置は、処理回路を備える。処理回路は、複数の検出器チャンネルを用いて対称ファントムをスキャンすることによりサイノグラムデータを収集し、前記複数の検出器チャンネルのうちの中央の検出器チャンネルにおいて前記サイノグラムデータを分割することにより生成される第1サイノグラムデータを鏡像複写することにより、鏡像複写サイノグラムデータを生成し、前記鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより第1再構成画像を出力し、前記第1再構成画像に基づいて補正パラメーターを決定する。【選択図】図14

Description

本明細書及び図面に開示の実施形態は、画像処理装置、補正方法及びプログラムに関する。
CT(Computed Tomography:CT)投影データを測定するために、エネルギー積分型検出器(Energy-Integrating Detector:EID)および/または光子計数検出器(Photon-Counting Detector:PCD)が用いられている。PCDは、スペクトルCTを実行するための能力など多くの利点があり、スペクトルCTにおいて、PCDは、入射X線のカウント数をエネルギービンと呼ばれるスペクトル成分に分解し、エネルギービンが集合的にX線ビームのエネルギースペクトルをカバーするようにしている。非スペクトルCTとは異なり、スペクトルCTでは、異なるX線減衰をX線エネルギーの関数として示す異なる材料に基づく情報が生成される。これらの差異により、スペクトル分解された投影データを異なる材料成分に分解でき、例えば、物質弁別の2つの材料成分は、骨および水となり得る。
Emil Y. SIDKY, et al, "A robust method of x-ray source spectrum estimation from transmission measurements: Demonstrated on computer simulated, scatter-free transmission data", JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, Vol. 97, Issue 12, 2005年, 124701 Xinhui DUAN, "CT scanner x-ray spectrum estimatioin from transmission measurements", MEDICAL PHYSICS, Vol. 38, No. 2, 2011年2月, p993-997 Jannis DICKMANN, et al, "A count rate-dependent method for spectral distortion correction in photon couting CT", SPIE PROCEEDINGS, MEDICAL IMAGING: Physics of Medical Imaging, Vol: 10573, 2018年3月9日,1057311
本明細書及び図面の開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、補正を行うことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
実施形態に係る画像処理装置は、処理回路を備える。処理回路は、複数の検出器チャンネルを用いて対称ファントムをスキャンすることによりサイノグラムデータを収集し、前記複数の検出器チャンネルのうちの中央の検出器チャンネルにおいて前記サイノグラムデータを分割することにより生成される第1サイノグラムデータを鏡像複写することにより、鏡像複写サイノグラムデータを生成し、前記鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより第1再構成画像を出力し、前記第1再構成画像に基づいて補正パラメーターを決定する。
図1は、PCDのためのPCDビン応答関数S(E)の例を示す図である。 図2は、物質弁別補正および処理のワークフローを示す図である。 図3は、異なる材料に対する正規化された線減衰係数を示す図である。 図4は、パイルアップ補正テーブルPが個々のmA毎に生成され用いられる、補正構造設計の模式図を示す図である。 図5は、全体の電流(mA)範囲に対して共通のパイルアップ補正テーブルPが生成される、別の補正構造設計の模式図を示す図である。 図6は、補正スキャン手順を示す図である。 図7は、異なる検出器画素における補正スラブ経路長を示す図である。 図8は、検出器領域内における患者診察台またはその他の可動機構の少なくとも一部に沿ってZ方向に補正スラブが整列する、補正スラブ設計の例を示す図である。 図9は、分解補正および処理のために用いてもよい、様々な加算方式を示す図である。 図10は、異なるX線管位置によって、どのようにして補正中のスラブスキャンのために異なる経路長が生成され得るかを示す、模式図である。 図11は、測定における角度オフセットに基づく異なる検出器画素における補正スラブ経路長を示す図である。 図12は、2つの異なる角度オフセットのための様々な検出器チャンネルに対する効果的な経路長を示す、グラフである。 図13は、自動補正を実行する例示的方法を示すフローチャートである。 図14は、あるX線管オフセット角度についてサイノグラムの鏡映を作る方法を示す図である。 図15Aは、異なるオフセット角度に対応する左鏡映画像に対応する一連の画像を示す図である。 図15Bは、異なるオフセット角度に対応する一連の左鏡映画像のグラフを示す図である。 図16Aは、異なるオフセット角度に対応する右鏡映画像に対応する一連の画像を示す図である。 図16Bは、異なるオフセット角度に対応する一連の右鏡映画像のグラフを示す図である。 図16Cは、異なるオフセット角度に対応する一連の左鏡映画像のグラフおよび一連の右鏡映画像のグラフをそれぞれ示す図である。 図17Aは、X線管オフセット角度を推定するために用いられる円形の関心領域(Region Of Interest:ROI)を有する例示的な鏡映画像を示す図である。 図17Bは、X線オフセット角度を識別するために用いられる相関係数の絶対値とX線管オフセット角度の間の相関を示すグラフである。 図17Cは、X線管オフセット角度を推定するために用いられる長方形のROIを有する例示的な鏡映画像を示す図である。 図18は、実施形態に係るX線CT装置の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、画像処理装置、補正方法及びプログラムの実施形態について詳細に説明する。
本明細書全体を通して「一実施形態」または「実施形態」に言及することは、該実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本出願の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するが、それらが全ての実施形態に存在することを示すものではない。
したがって、本明細書全体を通して様々な箇所における「一実施形態では」または「実施形態では」という句があるとしても、必ずしも本出願の同じ実施形態を指すものではない。さらに、前記特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態と適宜組み合わせてもよい。
本開示は、物質弁別のための光子計数CTスキャナーシステムに関し、該CTスキャナーシステムは、X線放射線を照射する1つ以上のX線管と、CTスキャナーシステムの画像再構成領域(Field Of View:FOV)を通って伝播するX線放射線を受信するためのアレイ状の検出器画素と、を備える。
コンピューター断層撮影(Computed Tomography:CT)システムおよび方法が、医用イメージングおよび診断のために一般に用いられる。CTシステムは、一般的に、一連の投影角度で被検体を通した投影画像を生成する。X線管などの放射線源は被検体に放射線を照射し、異なる角度において投影画像が生成される。被検体の画像を、投影画像から再構成できる。
従来、CT投影データを測定するために、エネルギー積分型検出器(Energy-Integrating Detector:EID)および/または光子計数検出器(Photon-Counting Detector:PCD)が用いられている。PCDは、スペクトルCTを実行するための能力など多くの利点があり、スペクトルCTにおいて、PCDは、入射X線のカウント数をエネルギービンと呼ばれるスペクトル成分に分解し、エネルギービンが集合的にX線ビームのエネルギースペクトルをカバーするようにしている。非スペクトルCTとは異なり、スペクトルCTでは、異なるX線減衰をX線エネルギーの関数として示す異なる材料に基づく情報が生成される。これらの差異により、スペクトル分解された投影データを異なる材料成分に分解でき、例えば、物質弁別の2つの材料成分は、骨および水となり得る。
PCDは応答時間が早いとはいえ、臨床X線イメージングであることを示す高いX線束率において、検出器の時間応答内に1つの検出器上で複数のX線検出事象が起こり得る。この現象はパイルアップと呼ばれる。補正されないままの場合、パイルアップ効果によりPCDエネルギー応答が歪んで、PCDからの再構成画像が劣化することもあり得る。これらの効果が補正されると、スペクトルCTは、従来のCTと比較して多くの利点がある。スペクトルCTは、撮像された被検体から完全な細胞組織の特性情報を抽出するため、改善された物質弁別などスペクトルCT技術から、多くの臨床適用により利益がもたらされる。
スペクトルCTのために、より効果的に半導体ベースのPCDを用いるための1つの課題は、投影データの物質弁別をロバストかつ効率的に実行することである。例えば、検出プロセスにおけるパイルアップの補正は不十分となる可能性があり、これらの難点により、物質弁別の結果から得られる材料成分が劣化する。
光子計数CTシステムにおいて、直接変換を用いる半導体ベースの検出器は、個々の入射する光子のエネルギーを分解し積分時間毎に複数のエネルギービンにおけるカウント数を測定できるように、設計されている。しかし、そのような半導体材料(例えば、CdTe/CZT)における検出の物理的過程によっては、検出器エネルギー応答が、関連するフロントエンドの電子機器における電子雑音の他、エネルギー付与および電荷誘導プロセスにおける電荷共有効果、kエスケープ効果、および散乱効果により大きく劣化したり歪んだりする。信号誘導時間が限られているため、高い計数率の条件において、パルスパイルアップによっても、上述のようにエネルギー応答が歪む。
信号誘導プロセスの特定のモデリングであって、それにより測定毎の順方向モデルの正確性が決まるモデリングを用い、物理学理論やモンテカルロシミュレーションに基づくだけでは、そうした検出器応答をPCDのために正確にモデル化することは、統合型検出器システムのセンサー材料の非均一性および複雑さゆえに難しい。また、入射X線管スペクトルモデリングにおける不確定性により、モデリングによって順方向モデルにおいて別の誤差が生じ、これら全ての要因が、PCD測定からの物質弁別精度を、ひいては生成されたスペクトル画像を劣化させることになる。
文献で同様の問題を解決するために、補正方法が提案されてきた。共通した考え方は、順方向モデルを補正測定と一致するように修正するために、様々な既知の経路長の複数の透過測定を用いることである。考え方には、従来のCTにおいてX線スペクトルの推定に適用されたものもあれば(非特許文献1および非特許文献2を参照)、組み合わされたシステムスペクトル応答を推定するために、後にPCDに適用されたものもある(非特許文献3を参照)。しかし、特に標準の第3世代CTジオメトリーにおける適用実現性を考慮すると、補正方法の詳細設計および実行において多くのバリエーションがあり得る。
光子計数エネルギー分解検出器(Photon Counting Energy-Resolving Detector:PCD)を用いる透過測定において、順方向モデルは次の式(1)で表すことができる。
Figure 2022145494000002
ここで、S(E)は、以下の式(2)で定義されるビン応答関数である。
Figure 2022145494000003
ここで、R(E,E)は検出器応答関数であり、EbLおよびEbHは、各計数ビンの高エネルギー閾値および低エネルギー閾値である。図1は、PCDのための典型的なS(E)関数のモデル例を示し、エネルギーウィンドウを超える長い裾の部分は、電荷共有効果、kエスケープ効果および散乱効果によって誘起される。低エネルギーの裾の部分は、主として、関連する電子雑音からエネルギー分解能が限られていることに起因する。Nは空気スキャンからの全線束であり、μおよびlはm番目の基礎材料の線減衰係数および経路長である。w(E)は、正規化された入射X線スペクトルである。実際には、w(E)およびS(E)の両方は正確には既知ではなく、これらを組み合わせて、以下で加重ビン応答関数と呼ぶ1つの項Swb(E)=w(E)S(E)にすることができる。Swb(E)を測定により補正できれば、低線束条件における分解問題をうまく解決できる。
高線束スキャン条件(例えば、数パーセントのパルスパイルアップ)では、パルスパイルアップによって測定において余分なスペクトルの歪みが生じる。パイルアップ効果を補正する1つの方法は、追加の補正項(例えば、測定された計数率を入力として用いる上記の非特許文献3を参照)を導入することである。そして、このタイプの追加の補正は、線束に依存しない加重ビン応答Swb(E)の正確な推定に基づく。標準サイズの第3世代CTシステムにおいてSwb(E)をどのようにして推定するかが、本出願において解決される第1の課題である。
典型的なCT臨床スキャン条件において、測定によっては数パーセントまたはそれより高いパイルアップに直面することはよくある。物質弁別に結果として生じる影響は、線束と同様に測定スペクトルにより左右される。実際の検出器応答を知らなければ、順方向モデルに適応させるために、限られた数の透過測定を行うことしかできない。臨床現場における標準サイズのCTシステムにとって、実現可能な補正手順を持つことは極めて重要である。したがって、どのようにしてモデルを効率的にパラメーター化して補正手順を最適化するかが、本出願において解決される第2の課題である。
標準サイズのCTシステムにおけるそのような2ステップの補正を実行するさらなる実用上の課題には以下が挙げられる。ビーム前濾過(例えば、ボウタイフィルター)に起因するファン角度に依存する加重スペクトル応答、X線管の動作仕様および据え置きのシステムジオメトリーによって制限された最小の線束、全画素にわたる様々な検出器応答を伴う標準サイズの検出器リング補正、システム内補正ファントムの位置決めのための限られた空間、散乱線除去グリッド(Anti-Scatter-Grid:ASG)を有する回転システム上で補正するときの複雑さ、補正の系統誤差および関連する機械設計許容誤差、エネルギー分解能の均一性問題、計数、およびエネルギー閾値設定のドリフトなどを有する非理想的な検出器などである。
上記の非理想的な要因は、システム停止時間を大きくは増やすことのない同様の補正手順/ワークフローを保ちつつ、はるかに簡単な検出器応答モデリングおよび関連する補正を有する従来のEIDベースのシステムに匹敵する画像品質を達成する上で、光子計数CTのために考慮する必要がある。
1つの限定されない実施形態では、物質弁別のためのPCD順方向モデルのための2ステップの補正方法が適用される。この方法は、1)期待値最大化(Expectation Maximization:EM)法を用いる線束に依存しない加重ビン応答関数Swb(E)の推定、および、2)パイルアップ補正項の推定、の2つの部分からなる。
個々のビンにおけるカウント数をN、全てのエネルギービンにおける総カウント数をNtotとし、エネルギー(E)および測定ビンカウント数(N,Ntot)の関数をP(E,N,Ntot)とする。補正された順方向モデルは以下の式(3)で表される。
Figure 2022145494000004
ここで、2つの材料だけを用いる代わりに、方法では、ポリプロピレン、水、アルミニウム、チタン/銅、およびkエッジ材料などの2~5つの異なる材料を用いて、低線束において加重ビン応答関数Swb(E)を補正する。より慎重に選んだ材料を補正で用いることで、全経路長の数を減らせ、同等またはより良好な結果が得られる。
まず、ステップ1について説明する。入射スペクトルにおける特徴的なピークを取得するための適切な管スペクトルモデリングと、PCDスペクトル応答をシミュレートするための物理モデルとを用いて、Swb(E)の初期推測を実行することができる。EM法(例えば、非特許文献1を参照)を用いることにより、少しの透過測定に基づいて、この非常に悪い状態の問題に対してSwb(E)を確実に推定することができる。
ここで、P(E,N,Ntot)は、ステップ1において一定であると見なされる。補正された順方向モデルは、以下の式(4)で示される1次方程式のシステムに単純化することができる。
Figure 2022145494000005
通常、データ測定の回数(M)は、未知数の数(Emax)よりもはるかに少ない。データ収集のポアソン分布を前提とすると、未知のエネルギービン応答関数Swb(E)の最適推定を見つけるために、以下に示すように反復EMアルゴリズムを導出することができる。
低線束データ収集を用いて、ビン応答関数を推定する場合、パイルアップ効果補正Pは既知の項(例えば、定数)であると見なされる。そのため、モデルは以下の式(5)のように単純化される。
Figure 2022145494000006
j番目の測定に対する減衰した経路長は、以下の式(6)により表せる。
Figure 2022145494000007
このとき、各測定jについて、次の式(7)が得られる。
Figure 2022145494000008
M回の測定では、データ収集は以下の式(8)に示されるように、マトリクス形式で記述できる。
Figure 2022145494000009
または、以下の式(9)が成り立つ。
Figure 2022145494000010
EM反復アルゴリズムを適用することにより、Swbは以下の式(10)により推定できる。
Figure 2022145494000011
wb(E)の更新された式は、以下の式(11)で表される。
Figure 2022145494000012
次に、ステップ2について説明する。一度、Swb(E)が検出器画素毎に各管電圧(kVp)設定における補正から推定されると、システム上のソフトウェア補正テーブルとして保存される。これは、より高い線束スキャンにおけるパイルアップ補正項P(E,N,Ntot)をさらに推定するために、入力として用いられる。そして、基礎材料の経路長を推定するため、両方のテーブルが被検体/患者スキャンにおいて物質弁別のために用いられる。
補正テーブルは、システム/検出器性能のバリエーションに基づいて時々更新される。これもまた、反復手順として設計できる。画像品質が品質確認用ファントムで十分に良くなければ、この補正プロセスは、反復の最後に更新された補正テーブルを初期推定として用いて、繰り返される。
上記プロセスの高レベルのワークフローを図2に示す。ステップ1)~4)は補正ワークフローを示し、ステップ5)~8)は、スペクトル画像を生成するために、患者/被検体の実際のスキャンにおいてどのように補正テーブルを用いるかを示す。
まず、様々な材料スラブに対する一連の低線束スキャンを、X線管に印加されるピーク電位である各管kVp設定において収集する。典型的なCTシステムは、異なるスキャンプロトコルに対して異なるエネルギースペクトルをX線管から生成する、70~140kVpの少しのkVp設定をサポートする。CTスキャンのために、管の電源を入れる前に、mAとkVpの両方を予め選択する必要がある。次に、低線束の加重ビン応答関数Swbを推定し、推定したSwbと共に高線束スラブスキャンを用いて、パイルアップ補正項Pにおける追加パラメーターを推定する。検出器画素毎のSwbおよびPの推定補正テーブルを用いて、均一の水ファントムまたは均一の既知の材料が複数差し込まれたファントムなどの品質ファントムに対して、補正の品質をチェックする。画像品質を既定の基準で評価し、合格であれば、現在の補正テーブルを保存してから、以下の患者/被検体スキャンデータ処理のために用いる。合格でない場合は、反復の最後のSwbおよびPを初期推定として用いて、手順は最初の3つのステップに戻る。ここで、一般的に検査される基準は、画像CT数精度、均一性、空間分解能、雑音およびアーチファクトである。この補正の品質をチェックするために、これらの尺度は全て、特に、補正が十分に良くないことを示す画像内のリングまたは帯状のようなアーチファクト、および精度は、チェックされるべきである。
この補正のための最適な材料および経路長を選ぶために、エネルギーに対する正規化された線減衰係数の曲線(図3)を用いて、互いに異なる材料を選ぶことができる。例えば、ポリプロピレン、水、アルミニウム、チタンは、そのような補正にとって優れた組み合わせのグループであり、人体に存在する一般的な物質の広範囲をカバーする。
補正測定において低線束条件を満たしてフローチャートにおけるパイルアップ効果を最小にするために、ステップ1において、nτ<xを用いることを選択できる。ここで、xは0.005~0.01であり、nは最低管線束設定での画素計数率であり、τはPCD特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)の有効不感時間である。この条件を満たすことにより、それぞれ選択された補正材料の最短の経路長を計算でき、その他の経路長は、経路長または結果として生じる測定計数率のいずれかにおいて等間隔に配置することにより、選択することができる。
ステップ3におけるパイルアップ補正項Pの補正について、高いmA設定でのスキャンのために、同じスラブ材料および経路長を用いる。補正データはmA毎にグループ化、およびmA設定毎に異なる補正テーブルを生成でき(図4)、または、(例えば、低mAから高mAまで、高mAから低mAまで、または最も頻繁に用いられる値を最初に用いて)全ての線束範囲における測定を含めて、連続するmA設定に対して共通の補正テーブルを生成することもできる(図5)。
統計的変動の影響を最小限にするために、補正測定は十分な統計データを持って行うべきである。1つの限定されない例では、補正において伝達された統計的誤差を最小限にするために、典型的な積分期間として、1000回以上の統計データを用いる。補正測定の各エネルギービンbを用いて、対応するSwb(E)およびP(E,N,Ntot)が更新される。
少ないエネルギービンでは限られた数の測定しかできないため、推定は非常に悪い状態にある。この場合、良い初期推定が、EM法に制約を加えることになるので、正確な推定にとって極めて重要である。非理想的な検出器に対応するための設計バリエーションの1つは、Sの初期推定においてエネルギーウィンドウをより柔軟にビン毎に設定することであり、特に、ASICの実際のエネルギー閾値設定に少しバリエーションを持たせることである。低い閾値をxkeV以下、高い閾値をykeV以上に設定することにより、初期Sは以下の式(12)になる。
Figure 2022145494000013
ここで、x、yは、EM問題に対して制約を加えつつも、ASIC性能における特定のバリエーションを許容するために、5~10keVの間で選択できる。
本出願に記載する設計は、補正において2つ以上の材料を用い、これによりPCDの加重ビン応答関数推定問題の制約に対する感度を高めることができる。
さらに、前記方法は、E、NおよびNtotの関数である高線束パイルアップ補正項Pに対して異なるパラメーター表示を用いる。総カウント数の項Ntotは、真のパイルアップ現象をより好適に近似するために導入され、これにより、パラメーター数が少ない高線束条件におけるモデル性能を大きく改善することができる。
加えて、非理想的な検出器/ASIC性能に対応するために、エネルギー閾値ウィンドウを拡大することにより、加重ビン応答関数の初期推定を計算することも可能である。
物質弁別のためのPCD順方向モデルのための2ステップの補正方法が提案される。この方法は、1)最先端のEM法を用いる線束に依存しない加重ビン応答関数Swb(E)の推定、および、2)個々のビンにおけるカウント数をN、全てのエネルギービンにおける総カウント数をNtotとする測定ビンカウント数P(N,Ntot)およびエネルギー(E)の関数であるパイルアップ補正項(E,N,Ntot)の推定、の2つの部分からなる。補正された順方向モデルは、式(3)で示すように表すことができる。
さらに、式(3)の順方向PCD測定モデルを補正するために、一実施形態では、少なくとも1つの所定の材料および既知の厚さの少なくとも1つのスラブを、CTスキャナーのFOV内に水平に載置する。所定材料のスラブを用いることにより、スラブの線減衰係数が分かるようにしてもよい。さらに、スラブの厚さが分かることにより、スラブを通るX線放射線の経路長が分かるようにしてもよい。スラブ測定は、X線管がCTスキャナー上の固定位置に置かれ様々な線束レベルで動作する、固定スキャンによって実行することができる。
一実施形態では、経路長サンプル数および同じスラブを用いる有効範囲を増やすために、複数の固定X線管位置でスラブスキャンを行うこともできる。
ガントリーが回転しているときに患者/被検体スキャンに適用するため、追加の空気スキャンを各回転速度で行うことで、ASGが回転時に歪む際の各画素について追加の影の影響を補正することができる。空気スキャンにより生成され得る空気補正テーブルに、積分時間当たりに各画素に到達する光子の数に関するデータが含まれてもよい。
第3世代ジオメトリーにおける標準サイズのリング補正では、ボウタイフィルタリングおよび典型的なスキャン対象の被検体の形状によっては、周辺検出器のための補正材料の経路長が主要検出器とは異なるように設計されてもよい。ファンビームの縁に向かってより狭い経路長範囲を用いることができ、材料毎の経路長範囲の関係は、ボウタイフィルターの材料および形状に基づいて導出することができる。加えて、補正測定を実行するために、複数材料のスラブファントムを設計してもよい。
図6は、補正方法600の一実施形態を示す。ステップS610において、まず既知の材料のスラブを載置し、経路長が既知で制御されるように、CTスキャナーの患者診察台上に水平に配置する。次に、S620において、CTガントリー上に配置された1つ以上の固定X線管(例えば、3つの異なる位置にある3つの異なるX線管)により、スラブをスキャンする。このスキャンから、次のステップS630において、上述したように物質弁別補正処理を実施し、分解補正テーブルを生成する。さらに、S640において、回転速度の範囲で空気スキャンを実施し、空気補正テーブルを生成する。S650において、(既知の回転速度で)患者/被検体スキャンを収集する。次に、ファントム/被検体スキャン処理のために、S660において分解補正テーブル、空気補正テーブル、および患者/被検体スキャンを用いることができ、補正された順方向モデルが利用される。
スラブ補正経路長(L)の範囲を、臨床スキャンにおける最大減衰長さ(例えば、
water=0.1―40cm、Lbone=0.1-10cm)をカバーするように設計してもよい。これは、異なるスキャンプロトコルに対して、一群の代表的な臨床スキャンを通して推定することができる。この範囲は、典型的な患者の形状およびサイズに起因してFOVの縁部が中央部と比べてはるかに少ない減衰を通常受けるため、ファン角度となり得る。補正経路長範囲の選択は、異なる解剖学的組織に焦点を当てる異なるイメージング作業によって決まり得る。また、患者が大き過ぎるかアイソセンターから大きくずらす必要があるかいずれかの異常な場合をよりよくカバーするために、補正経路長範囲をファン角度全体にわたって共通にすることもできる。言い換えると、補正精度および効率を改善するために、異なるファン角度において様々な補正経路長範囲を用いてもよい。最良の画像品質を生成するために、順方向モデル補正のために用いられるスラブスキャンを、イメージング作業に基づいて選択することができる。
第3世代CTにおける典型的なファンビーム有効範囲では、この補正のために、図7に示すように、検出器アレイ全体にわたって実際の経路長がわずかに異なる、フラットスラブが用いられる。これらの補正スキャンの検出器画素毎の実際の経路長Lは、以下の式(13)により計算することができる。
Figure 2022145494000014
ここで、Tは補正スラブの厚さであり、θは、行とチャンネルとからなる検出器モジュールブレード(Detector Module Blade:DMB)上の検出器画素iの投影ファン角度である。
経路長誤差を最小限にするために、異なるスラブおよび厚さでの補正を、回転のない静的なスキャン構成を用いて実行してもよい。スラブは、検出器アレイ全体をカバーするよう十分大きく、かつ全てのデータ収集の間は水平にしっかり保たれるべきである。厚いスラブに対して、CTガントリーのボアサイズにより1箇所だけでもスラブ位置が検出器表面全体をカバーできない場合、当該スラブ位置を調整することができ、複数のスキャンを用いて検出器表面全体をカバーすることもできる。別の実施形態では、異なるスラブおよび厚さでの補正を、回転するスキャン構成を用いて実行してもよい。
異なる回転速度を持つその他のシステム変化量(例えば、管線束、ASG影など)を、空気スキャンおよび比較検出器によって取得し、その結果に応じて順方向モデルの空気線束項Nについて補正してもよい。例えば、異なる視点において検出器全体にわたって入射線束の変化を引き起こす回転中の他のビーム経路の変化だけでなく、ASGの歪みも補正するために、各回転速度における空気スキャンを患者/被検体スキャンの前に実行してもよい。
図8に示すように、少なくとも患者診察台の長さの一部に沿った方向において、様々な補正スラブを、長い「くさび状」のファントムになるよう、組み合わせることができる。この結果、診察台(または、スラブを運ぶ移送機構であれば何でも)の位置を移動させることにより、ファントムを再配置せずに各補正経路長を検出することができ、補正プロセスが速められる。
ボウタイフィルター後のファンビーム全体にわたるスペクトル変化および異なる検出器画素にまたがる検出器応答変化を取り込むために、この補正プロセスを各ボウタイ/フィルター構成と共に画素毎に実行してもよい。組み合わせ画素モード(NT×NC)について、フィルター構成毎に組み合わせられた画素の合計(または平均)の測定に基づいて、この補正を実行してもよい。例えば、図9は、分解補正および処理のための様々な加算方式を示し、次の被検体スキャン物質弁別で、対応する補正されたテーブルと共に加算パターンの1つを用いることができる。図9に示した加算方式は、A)3×3組み合わせモードなどの大きい画素ピッチにわたる加算、B)1×3組み合わせモードなどの行方向にわたる加算、C)3×1組み合わせモードなどのチャンネル方向にわたる加算、およびD)1×1などの個々の小さい画素に基づく補正である。
スラブ構成毎に補正経路長の組み合わせを増やすために、図10に示すように、スラブをX-Y平面に固定して水平に保ちながら、X線管を様々な位置に配置することができる。図10は、複数の管位置によって、どのようにしてこの補正でスラブスキャンのために異なる経路長が生成され得るかを示す、模式図である。一例として、あるスラブ厚Tについて、ファン角度φに位置する検出器画素iにおいて、管が異なる位置(-θ,0,θ)にあるとき、測定経路長はそれぞれ以下の式(14)~式(16)で表される。
Figure 2022145494000015
Figure 2022145494000016
Figure 2022145494000017
ここで、x=θ-φ、x=θ+φである。一実施形態では、φの典型的な範囲を0~25度としてもよく、θをスラブ厚間隔に応じて20~60度の間から選択することもできる。このパークアンドシュート(park and shoot)方式を用いることにより、検出器チャンネルのほとんどについて経路長サンプルを3倍にすることができ、ひいては、同じまたはより大きい経路長範囲をカバーするために必要な補正スラブの数を大幅に減らすことができる。また、上述の同じ計算方法に従って、補正サンプル数をさらに増やすために、管を3箇所よりも多い位置に置くこともできる。広いコーン状の有効範囲のシステムについては、チャンネル方向および行方向の両方における投影角度に基づいて、補正経路長を計算する必要がある。
一実施形態では、経路長の不確定性を低減/抑制することから、スラブは平たく補正中は水平に保たれる。別の実施形態では、経路長が既知で制御されている限り、スラブは必ずしも平たくなくても、また水平でなくてもよい。さらに、一実施形態では、スラブのそれぞれが、単一の材料で作られている。別の実施形態では、スラブは、必ずしも単一の材料だけで構成されていなくてもよい。例えば、スラブが複数の材料を含んでもよい。スラブ用の材料の例として、ポリプロピレン、水、アルミニウム、チタン/銅、細胞組織代替物、その他のポリマー、ステンレス鋼またはその他の金属、kエッジ材料、および様々な細胞組織模擬材料が挙げられる。
先に説明した図7は、固定スキャンによりPCD順方向モデルを補正するように用いられるフラットスラブを含む、第3世代CTを示している。PCD順方向モデルのこの補正は、固定スキャンを実行している間の様々なパラメーターの測定中に生じる測定誤差を含んでもよい。固定スキャン構成中のこれらの測定誤差は、補正精度に悪影響を及ぼす。これらの測定誤差は、補正における誤差の原因となって出力画像における画像品質アーチファクトを生じさせる、実際の測定値とは異なる測定値をもたらす。固定スキャンを実行している間の測定パラメーターの1つが、スラブ経路長である。スラブ経路長の測定中のあらゆる誤差が、スラブ経路長誤差とも呼ばれ、補正精度に直接影響を及ぼす。スラブ経路長を測定するために、教師画像(ground truth)経路長と同様にスラブ厚が測定される。スラブ厚の測定は、制御されて非常に適切に測定することができるため、スラブ経路長は正確に測定することができる。しかし、教師画像経路長を測定する工程で、誤差が生じることがある。教師画像経路長誤差とも呼ばれる教師画像長さの測定における誤差は、補正が難しい。これは、測定管パーキング位置とも呼ばれる固定スキャン中のスラブと透過投影の間の相対位置の測定における誤差に起因して、教師画像経路長誤差は生じることがあるためである。したがって、スラブ経路長誤差が、管パーキング位置の測定における誤差により生じ、これによって各検出器画素における測定のための入射角度において系統誤差を生じることで、固定スキャン構成中の補正精度に悪影響を及ぼす。
図11は、フラットスラブ1102に対する固定スキャン構成1100において測定される管パーキング位置の誤差を示す。図11は、測定における数度の角度オフセットが教師画像経路長の測定において誤差を生じさせるため、実用スキャン画像における画像品質アーチファクトの原因となることを示している。一実施形態では、以下に詳細に説明するように、固定スキャン構成中の補正精度は、実際の経路長および検出器アレイ全体にわたるオフセット経路長を用いて、実行される。
焦点-1 1104からの放射線が、フラットスラブ1102に入射する。放射線経路1106は、フラットスラブ1102を通過し放射線検出器1110の位置1108における画素「i」によって検出される、焦点-1 1104からの放射線を示している。放射線検出器1110は、検出器画素の行とチャンネルとで構成される。放射線検出器1110により放射線1106が検出されると、放射線検出器1110に接続された処理モジュールが、検出器画素iに対する実際の経路長L1114を計算する。Lは以下の式(17)により計算することができる。
Figure 2022145494000018
ここで、T1116は補正フラットスラブ1102の厚さであり、θ1118は入射放射線1106と放射線検出器1110に対する垂線1120の間の検出器画素iの投影ファン角度である。
さらに、測定管パーキング位置において数度の角度オフセットθ’1122がある状況について説明する。この状況では、管パーキング位置の測定における誤差により焦点-1 1104が焦点-1’ 1124にシフトする。ここで、θ’1122は、入射放射線1126と放射線検出器1110に対する垂線1128の間の、放射線検出器1110上の検出器画素iの投影ファン角度である。さらに、この数度のオフセットθ’1122により、経路長L’1130における測定誤差が生じ、さらに教師画像経路長における誤差が生じることになり、そしてこの誤差が、誤って補正された順方向モデルを介して実用のスキャン画像に転送されて出力された実用のスキャン画像における画像品質アーチファクトの原因となる。図12を参照すると、図示されたグラフ1200は、2つの曲線1202および1204を示し、それぞれ、管パーキング位置からの2つの異なる角度オフセットについて、様々な検出器チャンネルに対する有効経路長を表している。第1の曲線1202は、0度のオフセットにおける名目上の管位置を示し、経路長Lを有する。第2の曲線1204は、管が少し5度だけシフトしている状況を示す。このようにすると、以下の式(18)及び式(19)で表される検出器チャンネルファン角度φおよびτの関数である係数fによって、経路長はもうL’にシフトしている。
Figure 2022145494000019
Figure 2022145494000020
図12は、X線管角度がそれぞれ0度および5度の場合の、検出器チャンネル1208にわたって厚さTが4cmのスラブの計算された経路長1202および1204の例を示している。図示されているように、計算された経路長において2つの曲線1202と1204とで明らかな違いがある。
すなわち、X線管角度が0のとき、曲線1202は経路長Lが4.06cmよりわずかに短いと算出された測定において誤差のない理想的状況を示し、最短経路長を有する検出器チャンネルは、合計320のチャンネルのうちほぼ検出器チャンネル160を中心とする。一般的に、検出器チャンネル番号が0から増えるにつれて、曲線1202の経路長の値は、(ほぼ検出器チャンネル160において)最短経路長になるまで最初減少し、その後、最大角度に対応する検出器チャンネルに達するまで再び増加し始める。
さらに、X線管角度が5度のとき、曲線1204は、検出器チャンネル番号0において約4.01の経路長から最初始まる。曲線1204の経路長の値は、チャンネル番号が増えるにつれて最初減少し、約75のチャンネル番号に達した後、経路長の値は再び増加し始める。この曲線のオフセットは、低い番号のチャンネルに向かうほどガントリー/管がより大きくオフセットし、測定において誤差が生じることを示している。
さらに、ガントリー/管が反対方向に向かって、すなわち、高いチャンネル番号に向かって、オフセットしている構成(図示せず)では、対応する経路長曲線の左側は、高い経路長の値から始まり、経路長の値は、最短経路長になるまで最初減少し、その後、再び増加し、曲線がグラフ1200の右側と比べて左側で不釣り合いに高くなるであろう。そのようなアンバランスは、ガントリー/管が高い番号のチャンネルに向かうほどオフセットし、測定において誤差も生じることを示すであろう。
図13は、自動補正方法1300の一実施形態を示し、補正精度を改善するために、少なくとも1つのファントムから鏡映画像を用いることにより、固定スラブスキャンについてスラブ座標系を基準にしてX線管/検出器位置の自動補正を示している。
ステップS1302において、まず、角度オフセットが0の中央位置にX線管が置かれることを前提として、経路長が既知であり制御されるように既知の材料のスラブが配置される。一実施形態では、スラブは、既知の厚さのフラットスラブである。CTガントリー上に配置された1つ以上の固定X線管が、固定スキャンに基づく補正情報データを収集するために、スラブをスキャンする。固定スキャンの補正情報データは、スラブ厚の測定と、固定位置に置かれ、様々なkVpおよび線束レベルで動作する1つ以上の固定X線管により、角度オフセットが0の中央位置において実行されるスキャンに基づく、教師画像スラブ経路長の計算と、を含む。一実施形態では、このステップにおいて、実際のX線管角度に関するオフセットが未知であるので、補正情報データが収集されるときに角度オフセットが0であることを前提として、固定スキャンが実行される。
ステップS1304において、X線管角度に関するオフセットτがτ=0であるということを前提として収集された補正情報データに基づいて、かつ、スラブの1つ以上の既知の材料に基づいて、図6および式1~7を参照して先に説明したように、順方向PCD測定モデルを補正する。さらに、S1302における固定スラブスキャン中に、先に計算された教師画像スラブ経路長を順方向PCD測定モデルに用いて、初期補正テーブルが生成される。
ステップS1306において、アイソセンターに配置された円柱均一ファントムなどの補正ファントムに対して、回転スキャンを実行する。補正ファントムの回転スキャンのために、固定スラブスキャンから得られる前に補正された順方向PCD測定モデルを回転スキャンと同期させられるように、S1302において固定スラブスキャンで選択されたのと同じkVp値が選択される。さらに、回転スキャン中に用いられるmA値は、固定スラブスキャン中に用いられるmA設定の範囲内にある。サイノグラムデータ1402を生成するために、S1304において計算された順方向補正モデルを用いて、複数の検出器チャンネルに対してCTガントリー上に配置された1つ以上の固定X線管に関するτ=0度のオフセットにおけるX線管角度の初期推定と共に、回転スキャンを実行する。サイノグラムデータ1402について、図14を参照して説明する。ステップS1304において生成された順方向PCD測定モデルの補正テーブルを用いて、図6において先に説明した物質弁別プロセスにより補正ファントムの経路長を推定する。この推定された経路長を用いて、検出器チャンネル(例えば、X線検出器に含まれるチャンネル1~チャンネルN)に対してファントムに関するサイノグラムデータ1402を補正または生成する。
別の実施形態では、サイノグラムデータ1402を生成するために、S1304で計算された順方向補正モデルを用いて、複数の検出器チャンネルのサブセットに対してCTガントリー上に配置された1つ以上の固定X線管に関するτ=0度のオフセットにおけるX線管角度の初期推定と共に、回転スキャンを実行してもよい。複数の検出器チャンネルのサブセットは、円柱均一ファントムのアイソセンターについて点対称である。差分画像において、中心のROIは、補正データにおいて管角度オフセットに最も影響されやすく、用いる円柱ファントムに対してFOVが十分に大きければ、中心のチャンネルだけを用いることも可能である。
ステップS1308において、図14に示すように、サイノグラムデータ1402が対称軸1402aで区切って左半分1404と右半分1406に分割され、左半分1404が検出器チャンネル1~チャンネルN/2-1の曲線に対応し、右半分1406が検出器チャンネルN/2~チャンネルNの曲線に対応する。次に、サイノグラムデータ1402の左半分1404が鏡像複写され、左鏡映サイノグラムデータ1408または左鏡像複写サイノグラムデータとも呼ばれる左鏡映投影1408が生成される。さらに、サイノグラムデータ1402の右半分1406が鏡像複写され、右鏡映サイノグラムデータ1410または右鏡像複写サイノグラムとも呼ばれる右鏡映投影1410が生成される。したがって、左鏡映投影1408および右鏡映投影1410は、サイノグラムデータ1402から生成された鏡映サイノグラムである。さらに、左鏡映投影1408は再構成されることで左鏡映画像1412が生成され、右鏡映投影1410が再構成されることで右鏡映画像1414が生成される。
ステップS1310において、左鏡映画像1412および右鏡映画像1414の少なくとも1つに対して解析を行うことで、左鏡映画像1412および右鏡映画像1414に対応する少なくとも1つのパラメーター(例えば、ハウンズフィールド単位(Hounsfield Unit:HU)バイアスの大きさの差)を決定する。(さらに、本明細書では、左鏡映画像および右鏡映画像の少なくとも1つをそのまま用いることに的を絞って説明する一方で、特に画像の中心における、画像の左右に延在する帯など、代替の実施形態でこれらの画像の従属部分を用いることができる。)そして、少なくとも1つのパラメーターが前に格納された閾値を超えるか否か、例えば、左鏡映画像1412および右鏡映画像1414に関するHUバイアスの大きさの差が前に格納された閾値を超えるか否かを判断する。この閾値は、再構成された左画像および右画像の少なくとも1つに関する、合格許容範囲の指標である。一実施形態では、前に格納された閾値は0.5HUであり、左鏡映画像1412および右鏡映画像1414に関するHUバイアスの大きさの差が0.5HUよりも小さい場合は、再構成左画像および再構成右画像に関する合格許容範囲が満たされる。さらに、左鏡映画像1412および右鏡映画像1414に関するHUバイアスの大きさの差が0.5HUよりも大きい場合は、再構成左画像および再構成右画像に関する合格許容範囲は満たされない。
別の実施形態では、ステップS1310において、左鏡映画像1412だけに対して解析を行うことで、左鏡映画像1412に対応する少なくとも1つのパラメーター(例えば、HUバイアスの大きさ)を決定する。そして、少なくとも1つのパラメーターが前に格納された閾値を超えるか否か、例えば、左鏡映画像1412に関するHUバイアスの大きさが前に格納された閾値を超えるか否かを判断する。この閾値は、再構成左画像に関する合格許容範囲の指標である。一実施形態では、前に格納された閾値は0.5HUであり、左鏡映画像1412に関するHUバイアスの大きさが0.5HUよりも小さい場合は、再構成左画像に関する合格許容範囲が満たされる。さらに、左鏡映画像1412に関するHUバイアスの大きさが0.5HUよりも大きい場合は、再構成左画像に関する合格許容範囲は満たされない。
別の実施形態では、ステップS1310において、右鏡映画像1414に対して解析を行うことで、右鏡映画像1414に関する少なくとも1つのパラメーター(例えば、HUバイアスの大きさ)を決定する。そして、少なくとも1つのパラメーターが前に格納された閾値を超えるか否か、例えば、右鏡映画像1414に関するHUバイアスの大きさが前に格納された閾値を超えるか否かを判断する。この閾値は、再構成右画像に関する合格許容範囲の指標である。一実施形態では、前に格納された閾値は0.8HUであり、右鏡映画像1414に関するHUバイアスの大きさが0.8HUより小さい場合は、再構成右画像に関する合格許容範囲が満たされる。さらに、右鏡映画像1414に関するHUバイアスの大きさが0.8HUよりも大きい場合は、再構成右画像に関する合格許容範囲は満たされない。
一実施形態では、パラメーターが閾値よりも小さい場合は(例えば、HUバイアスの大きさの差が前に格納された閾値を超えない場合)、推定X線管角度とスラブ補正測定の実際のX線管角度の推定差が十分に小さいと判断する。そして、方法は「YES」分岐をとり、ステップS1318に進む。
一方、ステップS1310で、少なくとも1つの画像が許容範囲テストに合格しない(例えば、HUバイアスの大きさの差が、前に格納された閾値を超えない)と判断された場合は、(最初にτ=0のオフセットであると見なされる)推定X線管角度とスラブ補正測定中の実際のX線管角度のオフセットが容認できないほど高いと判断する。したがって、τ=0のオフセットであるX線管角度の初期推定を更新することで決定されたパラメーター(例えば、HUバイアスの大きさの差)を低減することになっていると判断され、方法は「NO」分岐をとり、ステップS1312に進む。ステップS1312において、(初期推定τ=0の)X線管角度の初期推定をτ=0+δの新たなオフセット推定に更新する。ここで、δはオフセット量(例えば、5度)である。したがって、X線管角度の更新された推定は、τ=5度のオフセットである。ここで、固定スキャン中にτ=0において計算された教師画像スラブ経路長を、τ=5度のオフセットにおけるX線管角度の更新された推定に基づいて、再計算する。
ステップS1314において、順方向PCD測定モデルが、新たな推定における(τ=5度のオフセットにおける)X線管角度の更新された推定、フラットスラブの既知の材料、および測定されたスラブ厚に基づいて、再補正される。さらに、再計算された教師画像スラブ経路長を順方向PCD測定モデルで用いて、更新された補正テーブルが生成される。ステップS1314で生成された補正テーブルを用いて、図6に関する先に説明した物質弁別プロセスにより、ファントムを通る経路長が再推定される。再推定された経路長を用いて、X線検出器に含まれる検出器チャンネル(例えば、チャンネル1~チャンネルN)についてファントムに関するサイノグラム1402が、再補正される。
ステップS1316において、再補正されたサイノグラム1402に基づいて、更新された左鏡映画像および更新された右鏡映画像の少なくとも1つが再構成される。更新された左鏡映画像および/または更新された右画像を再構成する方法は、ステップS1308において図14を参照して先に説明したように、サイノグラム1402から左鏡映画像1412および右鏡映画像1414を再構成する方法とほぼ同様である。更新された左鏡映画像および/または更新された右画像が再構成されると、方法はステップS1310に戻る。
ここで、ステップS1310において、更新された左鏡映画像および更新された右鏡映画像の少なくとも1つに対して再び解析を行うことで、計算されたパラメーター(例えば、HUバイアスの大きさの差)がその許容テストに今度は合格するか否かを判断する。例えば、HUバイアスの大きさの差が前に格納された閾値を超えるか否かを判断するために比較する。このため、比較の結果、HUバイアスの大きさの差が前に格納された閾値を超える場合は、τ=5度のオフセットにおけるX線管角度の更新された推定と補正測定中の実際のX線管角度の間に容認できないほど高いオフセットがまだあると判断される。したがって、オフセット角度0+δの現在の更新された推定は、判断されたHUバイアスの大きさの差を減らすために、再度更新されるべきと判断され、方法は「NO」分岐をとり、ステップS1312に進む。
しかし、再びステップS1310において、HUバイアスの大きさの差が前に格納された閾値を超えない場合は、補正測定中の実際のX線管角度が十分近く推定されたと判断される。そして、方法は「YES」分岐をとり、ステップS1318に進む。
ステップS1318において、合格点を満たす再構成左画像および再構成右画像に関する補正テーブルが、CTに関するメモリー装置すなわち記憶装置に格納される。
実施形態では、補正ファントムは、実際のX線管角度を求めるために、モデル化できる十分に知られている特性を有する他のどのような種類のファントムを含んでもよい。同様または異なる密度および/または減衰特性を有する他の材料も可能であるが、このファントムの例示的なサイズは直径が20cm~40cmの範囲内であってもよく、ファントムの例示的な材料は水であってもよい。ファントムの回転スキャンのために、スラブスキャン中と同じkVpが選択され、この結果、補正された順方向モデルが適切に適用される。均一ファントムをスキャンするためのmA設定は、スラブをスキャンする間に用いられるmA設定の範囲内である。ファントムの経路長サイノグラムが、X線管角度の初期最良推定値を用いてスラブスキャン中のスラブの経路長を計算する、最初に補正されたPCD順方向モデルを用いて推定される。ファントムスキャンサイノグラムは、検出器チャンネルの中央から左半分と右半分に分割され、さらに、分割されたサイノグラムの左/右の鏡映を作ることで左鏡映サイノグラムおよび右鏡映サイノグラムが生成され、左鏡映画像および右鏡映画像が、標準のフィルター補正逆投影(Filtered Back Projection:FBP)を用いて生成される。鏡映画像の中心が、X線管角度におけるオフセットの影響を最も受けやすいため、鏡映画像の中心を用いて、X線管角度に関するオフセットを最高の精度で決定する。
別の実施形態では、方法1300の動作を実行するために、他のどのような種類の補正ファントムを用いてもよい。一実施形態では、ファントムがわずかに中心からずれているときに、方法1300の動作を実行してもよい。別の実施形態では、補正ファントムは、そのようなスキャンのためにCTシステムアイソセンターの近くに載置される。
図15Aは、補正スキャンにおけるX線管角度に関する異なる推定されたオフセットτにおける、再構成された左鏡映画像1412の4つで1組の画像1500Aである。画像1502、1504、1506、および1508は、それぞれτ=1度、τ=-1度、τ=5度、およびτ=-5度の推定X線管角度から得られる再構成された左鏡映画像である。画像1502、1504、1506、および1508は、ファントムの中心において最大のHUバイアスを示し、半径方向における緩やかなバイアス変化も示している。これらの条件のいずれかまたは両方を用いることで、推定X線管角度が正確か否かを判断することができる。
図15Bは、スラブ補正測定中のX線管角度に関する様々なオフセットτにおける、左鏡映画像1412(図14)に関するHUバイアスの大きさのグラフ1500Bを示す。グラフ1500Bは、τ=1度、τ=-1度、τ=3度、τ=-3度、τ=5度、およびτ=-5度の推定X線管角度から得られる左鏡映画像に関するHUバイアスの大きさをそれぞれ表す、曲線1510、1512、1514、1516、1518、および1520を示している。曲線1510、1512、1518、および1520は、図15Aの左鏡映画像1502、1504、1506、および1508にそれぞれ対応する。
図16Aは、補正スキャンにおけるX線管角度に関する異なる推定されたオフセットτにおける、再構成された右鏡映画像1412の4つで1組の画像1600Aである。画像1602、1604、1606、および1608は、それぞれτ=1度、τ=-1度、τ=5度、およびτ=-5度の推定X線管角度から得られる再構成された右鏡映画像である。画像1602、1604、1606、および1608は、ファントムの中心において最大のHUバイアスを示し、半径方向における緩やかなバイアス変化も示している。これらの条件のいずれかまたは両方を用いることで、推定X線管角度が正確か否かを判断することができる。
図16Bは、スラブ補正測定中のX線管角度に関する様々なオフセットτにおける、右鏡映画像1412(図14)に関するHUバイアスの大きさのグラフ1600Bを示す。グラフ1600Bは、τ=1度、τ=-1度、τ=3度、τ=-3度、τ=5度、およびτ=-5度の推定X線管角度から得られる右鏡映画像に関するHUバイアスの大きさをそれぞれ表す、曲線1610、1612、1614、1616、1618、および1620を示している。曲線1610、1612、1618、および1620は、図16Aの右鏡映画像1602、1604、1606、および1608にそれぞれ対応する。
図16Cは、図15Bのグラフ1500Bおよび図16Bのグラフ1600Bを比較のために並べて示す。1500Bおよび1600BのHUバイアスの大きさを解析することで、これらのバイアスの差が算出される。左鏡映画像と右鏡映画像のHUバイアスの大きさの差が大きいほど、オフセット角度が大きい。真のオフセット角度は、左鏡映画像と右鏡映画像のHUバイアスの大きさの差が最小または完全に無いときに、識別される。したがって、グラフ1500Bにより表された左鏡映画像のHUバイアスの大きさと比較すると、グラフ1600Bにより表される右鏡映画像のHUバイアスの大きさは、同様の大きさを有するが、同じ管オフセット角度で反対の方向にある。グラフ1500Bによって示されるように、実際のX線管角度が曲線1512で表されたτ=-1度のオフセットであるとき、τ=-1度の推定されたオフセットは、オフセットの最小値として識別される。さらに、グラフ1600Bによって示されるように、実際のX線管角度が曲線1612で表されたτ=-1度のオフセットであるとき、τ=-1度の角度は、オフセットの最小値として識別される。
図17Aは、ファントム画像1700-1を示し、この画像に関するX線管角度に対するオフセットτが合格許容範囲を満たすか否かを判断するために、円形のROI1702Aが解析される。ファントム画像1700-1は、図14に示す左鏡映画像1412または右鏡映画像1414であってもよい。代わりに、左鏡像投影サイノグラム1408から直接再構成された画像と右鏡像投影サイノグラム1410から直接再構成された画像の差である差分画像を用いてもよい。
ROI1702A内の画素毎に異なるX線管角度において、ROI1702Aについての(図14を参照して先に説明したように)左鏡映画像および右鏡映画像の少なくとも1つを生成するために、ROI1702Aに対応する補正パラメーターが図13の動作の実行に基づいて計算される。さらに、ROI1702Aに関する補正パラメーター(例えば、HUバイアスの大きさ)が、左鏡映画像および右鏡映画像の少なくとも1つに基づいて、いくつかの異なるX線管角度のそれぞれについて算出される。X線管角度についていくつかの異なるオフセット角度のそれぞれに関連付けられたROI1702Aに関する(例示的な補正パラメーターとしての役割を果たす)HUバイアスの大きさが、図17Bのグラフ1700-2にプロットされる。
グラフ1700-2は、(軸1710上の)ROI1702Aの例示的な1組の絶対平均値と(軸1712上の)例示的な管オフセット角度の間の相関を示す。図示するように、点1714eは最小値を有し、0に近いX線管角度において最適値τを示す。1714eのいずれかの側のX線管角度に対応する他の点1714fおよび1714dは、わずかに高く、のこりの点1714c、1714g、1714h、1714b、1714i、および1714aは、これらが最適値τから遠ざかるにつれてよりいっそう悪くなっている。使用対象のX線管角度を決定するための反復方法の一実施形態では、方法により、補正パラメーターとしてROI1702Aの計算された絶対平均値の最小値が算出される。当業者には明らかではあるが、図17Cに示すように再構成画像1700-3において上下左右の中心に配置された左右のROI帯1702Cなど、円形のROI以外の他の形状を用いることもできる。
反復プロセスの間、方法は、(1)ひとたび閾値より低い補正パラメーターが求まればX線管角度の探索を停止するか、または(2)推定X線管角度の全範囲にわたって追加の補正パラメーターの算出を継続してから、補正パラメーターが局所的ピーク(例えば、最大または最小)になる角度を選択するか、のいずれかが可能である。例えば、推定X線管角度が、点1714aに対応する角度において最初選択され、次のチェック毎に増やされるのであれば、第1実施形態では、点1714dが特定の閾値よりも低かったと見なしてプロセスを終了することも可能である。しかし、第2実施形態では、プロセスはステップ1714iに対応する角度まで継続するであろう。そして、点1714eに対応する角度は、最小ピークとして選択されるであろう。代わりに、かかる継続的なプロセスを用いたヒューリスティック方法を用いて、1714aから開始しており、点1714fは1714eよりも既に良い結果であるので、点1714fに対する補正パラメーターを計算した後に停止することも可能である。したがって、再構成画像は、1714fに対応する角度よりも大きい角度に対しては、生成しなくてもよいだろう。
さらに別の最適化方法では、方法は、推定X線管角度を0となるように最初選択してから、0のそれぞれの側(例えば、-1および1)の角度に対応する点において、続いて、多くの角度において(例えば、第1の側における一連の-1、-2、-3、-4、その他、および、第2の側における一連の1、2、3、4、その他を用いて)、補正パラメーターをチェックする。いずれかの側の補正パラメーターが当該側の前の補正パラメーターよりも悪化する場合、当該側における探索を中止することができる。そして、方法は、ピーク値が求められるまで、それぞれの側における現在最良の選択の間の点を、(例えば、多数の二等分演算のため、片側におけるエントリー間の距離を二等分することにより)決定することができる。
鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより生成される再構成画像に基づいて補正パラメーターを決定する工程に関して、これまで説明してきたが、ファントムがチャンネルのアイソセンターに載置される場合、サイノグラムデータから直接補正パラメーターを決定することも可能である。そのような一実施形態では、システムおよび方法は、検出器チャンネルの2つの対称セット間(例えば、検出器チャンネルの左半分と右半分の間)の均一性の尺度(例えば、差)を計算する。計算された均一性の尺度が、サイノグラムデータ専用の閾値に適合する(または代わりに、当該閾値を満たすこれらの均一性の尺度の中で最良の均一性の尺度である)場合、対応するX線管オフセット角度が決定されたことになる。
当然のことながら、一実施形態では、上述の技術はCT装置またはスキャナーに適用可能である。図18は、CT装置またはスキャナーに含まれる水平X線撮影ガントリーの実施態様を示す。図18に示すように、X線撮影ガントリー1950(側面から図示)は、X線管1951、環状フレーム1952、および多列または2次元アレイ型X線検出器1953を備える。X線管1951およびX線検出器1953は、回転軸RAの周囲に回転可能に支持される環状フレーム1952上に被検体OBJ(例えば、患者)を挟んで正反対の位置に取り付けられる。回転ユニット1157は、被検体OBJ(例えば、患者)を図示されたページの奥または手前へ軸RAに沿って移動させている間に、環状フレーム1952を0.4秒/回転などの高い速度で回転させる。
以下に、本発明に係るX線CT装置の実施形態を、添付の図面を参照して説明する。なお、X線CT装置は、X線管およびX線検出器が検査対象の被検体の周囲を一緒に回転する回転/回転型装置や、多数の検出素子がリング形や平面形に配列され、X線管だけが検査対象の被検体の周囲を回転する固定/回転型装置など、様々な種類の装置を含む。本発明はいずれの種類にも適用することができる。今回の場合、現在主流となっている回転/回転型を例として説明する。
マルチスライスX線CT装置は、高電圧発生器1959をさらに備える。高電圧発生器1959は、X線管1951がX線を発生するように、スリップリング1958を通してX線管1951に印加される管電圧を発生する。X線検出器1953は、被検体OBJ(例えば、患者)を透過した放射X線を検出するために、被検体OBJ(例えば、患者)を挟んでX線管1951の反対側に位置する。X線検出器1953は、個々の検出器素子またはユニットをさらに備え、PCDであってもよい。第4世代ジオメトリーシステムでは、X線検出器1953は、360°配置で被検体OBJ(例えば、患者)の周囲に配置された複数の検出器の1つであってもよい。
CT装置は、X線検出器1953から検出された信号を処理するための他の装置をさらに備える。データ収集回路すなわちデータ収集システム(Data Acquisition System:DAS)1954は、X線検出器1953から出力された信号をチャンネル毎に電圧信号に変換し、当該信号を増幅し、さらにデジタル信号に変換する。X線検出器1953およびDAS1954は、所定の1回転当たりの総投影数(Total Number Of Projections Per Rotation:TPPR)を扱うように構成されている。
上記のデータは、非接触データ送信器1955を通してX線撮影ガントリー1950の外側のコンソールに収容されている前処理装置1956に送られる。前処理装置1956は、生データに対して感度補正などの特定の補正を行う。メモリー1962は、再構成処理の直前の段階で投影データとも呼ばれる結果データを格納する。メモリー1962は、再構成装置1964、入力装置1965、および表示装置1966と一緒に、データ/コントロールバス1961を介してシステムコントローラー1960に接続されている。システムコントローラー1960は、CTシステムを駆動するのに十分なレベルに電流を制限する電流調整器1963を制御する。一実施形態では、システムコントローラー1960は、上述したように、最適化されたスキャン収集パラメーターを実装する。再構成装置1964は、方法600および1300などの上記の技術を実行するように構成された回路を備えてもよい。
本明細書に記載する方法およびシステムは、数多くの技術に実装され得るが、概して、本明細書に記載する技術を実行するためのイメージング装置および/または処理回路に関するものである。一実施形態では、処理回路は、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、ジェネリックアレイロジック(Generic Array Of Logic:GAL)、プログラマブルアレイロジック(Programmable Array Of Logic:PAL)、論理ゲートの1回限りのプログラミングを可能にするための回路(例えば、ヒューズの使用)または再プログラム可能な論理ゲート、のうちの1つまたはそれらの組み合わせとして実装される。さらに、処理回路は、本明細書に記載のプロセスを実行するようにコンピュータープロセッサーを制御するためのコンピューター命令(バイナリーの実行可能命令および/または解釈されたコンピューター命令)を格納する内蔵および/または外付けの不揮発性コンピューター可読メモリー(例えば、RAM、SRAM、FRAM(登録商標)、PROM、EPROM、および/またはEEPROM)を有するコンピュータープロセッサー回路を備えてもよい。コンピュータープロセッサー回路は、それぞれ1つのスレッドまたは複数のスレッドをサポートし、それぞれ1つのコアまたは複数のコアを有するシングルプロセッサーまたはマルチプロセッサーを実装してもよい。
また、本開示の実施形態は、以下の補足項目に記載するものであってもよい。
(1)複数の検出器チャンネルを用いて対称ファントムをスキャンすることによりサイノグラムデータを収集する工程と、前記収集されたサイノグラムデータの第1サイノグラムデータおよび第2サイノグラムデータであって、前記複数の検出器チャンネルのうちの中央の検出器チャンネルにおいて前記サイノグラムデータを分割することにより生成される第1サイノグラムデータおよび第2サイノグラムデータの少なくとも1つを鏡像複写することにより、鏡像複写サイノグラムデータを生成する工程と、前記鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより第1再構成画像を出力する工程と、前記第1再構成画像に基づいて補正パラメーターを決定する工程と、を含む補正方法。
(2)前記複数の検出器チャンネルを用いてスラブをスキャンすることにより補正情報データを収集する工程と、前記収集された補正情報データに基づいて順方向補正モデルを補正する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
(3)前記第1再構成画像に基づいてX線管角度オフセット量を推定する工程と、前記推定されたX線管角度オフセットおよび前記第1再構成画像に基づいて前記補正パラメーターを決定する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
(4)(a)前記決定された補正パラメーターに基づいて、オフセット量により前記推定X線管角度を更新する工程と、(b)前記更新された推定X線管角度を用いて、更新されたサイノグラムデータを生成する工程と、(c)前記更新されたサイノグラムデータの第1サイノグラムデータおよび第2サイノグラムデータであって、前記複数の検出器チャンネルのうちの前記中央の検出器チャンネルにおいて前記更新されたサイノグラムデータを分割することにより生成される第1サイノグラムデータおよび第2サイノグラムデータの少なくとも1つを鏡像複写することにより、更新された鏡像複写サイノグラムデータを生成する工程と、(d)前記更新された鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより第2再構成画像を出力する工程と、(e)前記第3再構成画像に基づいて、更新された補正パラメーターを決定する工程と、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
(5)前記補正パラメーターが特定の閾値に適合する推定X線管角度を決定するために、(a)から(e)の工程を繰り返す工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
(6)前記補正パラメーターが前記決定された補正パラメーターのうちのピークである推定X線管角度を決定するために、(a)から(e)の工程を繰り返す工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
(7)前記対称ファントムは円柱ファントムである、請求項1に記載の方法。
(8)前記鏡像複写サイノグラムデータを生成する工程は、前記収集されたサイノグラムデータの前記第1サイノグラムデータおよび前記第2サイノグラムデータを鏡像複写することにより、鏡像複写サイノグラムデータを生成する工程を含み、前記第1再構成画像を出力する工程は、第1および第2鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより、前記第1再構成画像および第2再構成画像をそれぞれ出力する工程を含み、前記第1再構成画像に基づいて前記補正パラメーターを決定する工程は、前記第1再構成画像および前記第2再構成画像の少なくとも一部の間の相関の程度を算出することにより、前記第1再構成画像と前記第2再構成画像に基づいて前記補正パラメーターを決定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
(9)前記相関の程度は、前記第1再構成画像および前記第2再構成画像の少なくとも一部における均一性の程度を含む、請求項8に記載の方法。
(10)既知の線減衰係数および既知の経路長を有する前記スラブを、X線スキャナーシステムにおける既知の位置に配置されたX線管でスキャンする工程と、前記スラブをスキャンする工程に基づき物質弁別データを生成する工程と、ある回転速度において前記X線管を用いる空気スキャンに基づいて、空気補正データを生成する工程と、少なくとも前記物質弁別データおよび前記空気スキャンに基づいて、前記X線スキャナーシステムのための前記順方向モデルを補正する工程と、をさらに含む、請求項2に記載の方法。
(11)複数の検出器チャンネルを用いて対称ファントムをスキャンすることによりサイノグラムデータを収集し、前記収集されたサイノグラムデータの第1サイノグラムデータおよび第2サイノグラムデータであって、前記複数の検出器チャンネルのうちの中央の検出器チャンネルにおいて前記サイノグラムデータを分割することにより生成される第1サイノグラムデータおよび第2サイノグラムデータの少なくとも1つを鏡像複写することにより、鏡像複写サイノグラムデータを生成し、前記鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより第1再構成画像を出力し、前記第1再構成画像に基づいて補正パラメーターを決定する、ように構成された処理回路を備えるイメージング装置。
(12)前記処理回路は、前記複数の検出器チャンネルを用いてスラブをスキャンすることにより補正情報データを収集し、前記収集された補正情報データに基づいて順方向補正モデルを補正する、ようにさらに構成される、請求項11に記載の装置。
(13)前記処理回路は、前記第1再構成画像に基づいてX線管角度オフセット量を推定し、前記推定されたX線管角度オフセットおよび前記第1再構成画像に基づいて前記補正パラメーターを決定する、ようにさらに構成される、請求項11に記載の装置。
(14)前記処理回路は、(a)前記決定された補正パラメーターに基づいて、オフセット量により前記推定X線管角度を更新し、(b)前記更新された推定X線管角度を用いて、更新されたサイノグラムデータを生成し、(c)前記更新されたサイノグラムデータの第1サイノグラムデータおよび第2サイノグラムデータであって、前記複数の検出器チャンネルのうちの前記中央の検出器チャンネルにおいて前記更新されたサイノグラムデータを分割することにより生成される第1サイノグラムデータおよび第2サイノグラムデータの少なくとも1つを鏡像複写することにより、更新された鏡像複写サイノグラムデータを生成し、(d)前記更新された鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより第2再構成画像を出力し、(e)前記第3再構成画像に基づいて、更新された補正パラメーターを決定する、ようにさらに構成される、請求項13に記載の装置。
(15)前記処理回路は、前記補正パラメーターが特定の閾値に適合する推定X線管角度を決定するために、(a)から(e)の機能を繰り返すようにさらに構成される、請求項14に記載の装置。
(16)前記処理回路は、前記補正パラメーターが前記決定された補正パラメーターのうちのピークである推定X線管角度を決定するために、(a)から(e)の機能を繰り返すようにさらに構成される、請求項14に記載の装置。
(17)前記対称ファントムは円柱ファントムである、請求項11に記載の装置。
(18)鏡像複写サイノグラムデータを生成するように構成された前記処理回路は、前記収集されたサイノグラムデータの前記第1サイノグラムデータおよび前記第2サイノグラムデータを鏡像複写することにより、鏡像複写サイノグラムデータを生成するように構成された処理回路を含み、前記第1再構成画像を出力するように構成された前記処理回路は、前記第1および第2鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより、前記第1再構成画像および第2再構成画像をそれぞれ出力するように構成された処理回路を含み、
前記第1再構成画像に基づいて前記補正パラメーターを決定するように構成された前記処理回路は、前記第1再構成画像および前記第2再構成画像の少なくとも一部の間の相関の程度を算出することにより、前記第1再構成画像と前記第2再構成画像に基づいて前記補正パラメーターを決定するように構成された処理回路を含む、請求項11に記載の装置。
(19)前記相関の程度は、前記第1再構成画像および第2再構成画像の少なくとも一部における均一性の程度を含む、請求項18に記載の装置。
(20)前記処理回路は、既知の線減衰係数および既知の経路長を有する前記スラブを、X線スキャナーシステムにおける既知の位置に配置されたX線管でスキャンし、前記スラブをスキャンする工程に基づき物質弁別データを生成し、ある回転速度において前記X線管を用いる空気スキャンに基づいて、空気補正データを生成し、少なくとも前記物質弁別データおよび前記空気スキャンに基づいて、前記X線スキャナーシステムのための前記順方向モデルを補正する、ようにさらに構成される、請求項12に記載の装置。
(21)あるX線管角度において複数の検出器チャンネルについてスラブをスキャンすることによって補正情報データを収集する工程と、X線管角度の推定値である推定X線管角度において前記収集された補正情報データに基づき順方向補正モデルを補正する工程と、前記順方向補正モデルに基づいて前記推定X線管角度におけるサイノグラムデータを生成するために、前記複数の検出器チャンネルについて補正ファントムをスキャンする工程と、前記複数の検出器チャンネルを分割する対称軸の第1の側において、前記生成されたサイノグラムデータのサブセットの鏡映を作ることにより、鏡映サイノグラムデータを生成する工程と、前記対称軸によって切り離された、前記鏡映サイノグラムデータおよび前記補正されたサイノグラムデータのサブセットを再構成することにより、再構成画像を出力する工程と、前記鏡映サイノグラムデータに対応する前記再構成画像の部分と前記補正されたサイノグラムデータのサブセットに対応する前記再構成画像の部分の間の相関に基づいて、補正パラメーターを決定する工程と、を含む補正方法。
(22)前記決定された補正パラメーターに基づくオフセット量により前記推定X線管角度を更新する工程と、再補正されたサイノグラムデータを生成するために、前記更新された推定X線管角度に基づいて前記サイノグラムデータを再生成する工程と、前記対称軸の第1の側において、前記再補正されたサイノグラムデータのサブセットの鏡映を作ることにより、別の鏡映サイノグラムデータを生成する工程と、前記対称軸によって切り離された、前記別の鏡映サイノグラムデータおよび前記再補正されたサイノグラムデータのサブセットを再構成することにより、別の再構成画像を出力する工程と、前記別の鏡映サイノグラムデータに対応する前記再構成画像の部分と前記再補正されたサイノグラムデータのサブセットに対応する前記再構成画像の部分の間の前記相関に基づいて、更新された補正パラメーターを決定する工程と、をさらに含む、請求項21に記載の方法。
(23)前記補正されたサイノグラムデータと前記鏡映サイノグラムデータの間の大きさの差が閾値を満たすか否かを判断する工程と、前記補正されたサイノグラムデータと前記鏡映サイノグラムデータの間の大きさの差が前記閾値を満たすことを前記判断が示す場合、前記決定された補正パラメーターを格納する工程と、をさらに含む、請求項21に記載の方法。
(24)前記補正されたサイノグラムデータと前記鏡映サイノグラムデータの間の大きさの差が前記閾値を満たさないと前記判断が示す場合、オフセット量により前記推定X線管角度を更新する工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。
(25)円形均一ファントムである前記補正ファントムを、アイソセンターにおいてX線スキャナーシステムでスキャンする工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
(26)前記補正ファントムをスキャンする工程は、円柱ファントムである前記円形均一ファントムの周りの回転スキャンにより実行される、請求項25に記載の方法。
(27)既知の線減衰係数および既知の経路長を有する前記スラブを、X線スキャナーシステムにおける既知の位置に配置されたX線管でスキャンする工程と、前記スラブをスキャンする工程に基づき物質弁別データを生成する工程と、ある回転速度において前記X線管を用いる空気スキャンに基づいて、空気補正データを生成する工程と、少なくとも前記物質弁別データおよび前記空気スキャンに基づいて、前記X線スキャナーシステムのための順方向モデルを補正する工程と、をさらに含む請求項21に記載の方法。
(28)前記物質弁別データは、加重ビン応答およびパルスパイルアップ補正項を含む、請求項27に記載の方法。
(29)前記X線スキャナーシステムは光子計数CTスキャナーシステムである、請求項27に記載の方法。
(30)前記X線スキャナーシステムは第3世代光子計数CTスキャナーシステムである、請求項27に記載の方法。
(31)あるX線管角度において複数の検出器チャンネルについてスラブをスキャンすることによって補正情報データを収集し、X線管角度の推定値である推定X線管角度において前記収集された補正情報データに基づき順方向補正モデルを補正し、前記順方向補正モデルに基づいて前記推定X線管角度におけるサイノグラムデータを生成するために、前記複数の検出器チャンネルについて補正ファントムをスキャンし、前記複数の検出器チャンネルを分割する対称軸の第1の側において、前記生成されたサイノグラムデータのサブセットの鏡映を作ることにより、鏡映サイノグラムデータを生成し、前記対称軸によって切り離された、前記鏡映サイノグラムデータおよび前記補正されたサイノグラムデータのサブセットを再構成することにより、再構成画像を出力し、前記鏡映サイノグラムデータに対応する前記再構成画像の部分と前記補正されたサイノグラムデータのサブセットに対応する前記再構成画像の部分の間の相関に基づいて、補正パラメーターを決定する、ように構成された処理回路を備えるシステム。
(32)前記処理回路は、前記決定された補正パラメーターに基づくオフセット量により前記推定X線管角度を更新し、再補正されたサイノグラムデータを生成するために、前記更新された推定X線管角度に基づいて前記サイノグラムデータを再生成し、前記対称軸の第1の側において、前記再補正されたサイノグラムデータのサブセットの鏡映を作ることにより、別の鏡映サイノグラムデータを生成し、前記対称軸によって切り離された、前記別の鏡映サイノグラムデータおよび前記再補正されたサイノグラムデータのサブセットを再構成することにより、別の再構成画像を出力し、前記別の鏡映サイノグラムデータに対応する前記再構成画像の部分と前記再補正されたサイノグラムデータのサブセットに対応する前記再構成画像の部分の間の前記相関に基づいて、更新された補正パラメーターを決定する、ように構成される、請求項31に記載のシステム。
(33)前記処理回路は、前記補正されたサイノグラムデータと前記鏡映サイノグラムデータの間の大きさの差が閾値を満たすか否かを判断し、前記補正されたサイノグラムデータと前記鏡映サイノグラムデータの間の大きさの差が前記閾値を満たすことを前記判断が示す場合、前記決定された補正パラメーターを格納する、ように構成される、請求項11に記載のシステム。
(34)前記処理回路は、前記補正されたサイノグラムデータと前記鏡映サイノグラムデータの間の大きさの差が前記閾値を満たさないことを前記判断が示す場合、オフセット量により前記推定X線管角度を更新するように構成される、請求項33に記載のシステム。
(35)前記処理回路は、円形均一ファントムである前記補正ファントムを、アイソセンターにおいてX線スキャナーシステムでスキャンするように構成される、請求項31に記載のシステム。
(36)前記補正ファントムをスキャンする工程は、円柱ファントムである前記円形均一ファントムの周りの回転スキャンにより実行される、請求項35に記載のシステム。
(37)前記処理回路は、既知の線減衰係数および既知の経路長を有する前記スラブを、X線スキャナーシステムにおける既知の位置に配置されたX線管でスキャンし、前記スラブをスキャンする工程に基づき物質弁別データを生成し、ある回転速度において前記X線管を用いる空気スキャンに基づいて、空気補正データを生成し、少なくとも前記物質弁別データおよび前記空気スキャンに基づいて、前記X線スキャナーシステムのための順方向モデルを補正する、ように構成される、請求項31に記載のシステム。
(38)前記物質弁別データは、加重ビン応答およびパルスパイルアップ補正項を含む、請求項37に記載のシステム。
(39)前記X線スキャナーシステムは光子計数CTスキャナーシステムである、請求項37に記載のシステム。
(40)前記X線スキャナーシステムは第3世代光子計数CTスキャナーシステムである、請求項37に記載のシステム。
上記内容に鑑みて、本明細書に示す実施形態の様々な修正および変更が可能である。したがって、請求の範囲内で、本明細書に具体的に記載された以外のやり方で、本開示を実践してもよい。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、補正を行うことができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1956 前処理装置
1962 メモリー
1964 再構成装置
1965 入力装置
1966 表示装置

Claims (12)

  1. 複数の検出器チャンネルを用いて対称ファントムをスキャンすることによりサイノグラムデータを収集し、
    前記複数の検出器チャンネルのうちの中央の検出器チャンネルにおいて前記サイノグラムデータを分割することにより生成される第1サイノグラムデータを鏡像複写することにより、鏡像複写サイノグラムデータを生成し、
    前記鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより第1再構成画像を出力し、
    前記第1再構成画像に基づいて補正パラメーターを決定する、処理回路
    を備える、画像処理装置。
  2. 前記処理回路は、
    前記複数の検出器チャンネルを用いてスラブをスキャンすることにより補正情報データを収集し、
    前記収集された補正情報データに基づいて順方向補正モデルを補正するように更に構成される、請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記処理回路は、
    前記第1再構成画像に基づいてX線管角度オフセット量を推定し、
    前記推定されたX線管角度オフセットおよび前記第1再構成画像に基づいて前記補正パラメーターを決定するように更に構成される、請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 前記処理回路は、
    (a)前記決定された補正パラメーターに基づいて、推定X線管角度を更新し、
    (b)前記更新された推定X線管角度を用いて、更新されたサイノグラムデータを生成し、
    (c)前記複数の検出器チャンネルのうちの前記中央の検出器チャンネルにおいて前記更新されたサイノグラムデータを分割することにより生成される第1サイノグラムデータを鏡像複写することにより、更新された鏡像複写サイノグラムデータを生成し、
    (d)前記更新された鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより第2再構成画像を出力し、
    (e)前記第2再構成画像に基づいて、更新された補正パラメーターを決定する、
    ように更に構成される、請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記処理回路は、
    前記補正パラメーターが特定の閾値に適合する前記推定X線管角度を決定するために、(a)から(e)の処理を繰り返すようにさらに構成される、請求項4に記載の画像処理装置。
  6. 前記処理回路は、
    前記補正パラメーターが前記決定された補正パラメーターのうちのピークである前記推定X線管角度を決定するために、(a)から(e)の処理を繰り返すようにさらに構成される、請求項4に記載の画像処理装置。
  7. 前記対称ファントムは円柱ファントムである、請求項1~6のいずれか一つに記載の画像処理装置。
  8. 前記処理回路は、前記複数の検出器チャンネルのうちの中央の検出器チャンネルにおいて前記サイノグラムデータを分割することにより生成されるサイノグラムデータであって、前記第1サイノグラムデータとは異なる第2サイノグラムデータを鏡像複写することにより、第2の鏡像複写サイノグラムデータを生成し、
    前記第2の鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより第2再構成画像を出力し、
    前記第1再構成画像および前記第2再構成画像の少なくとも一部の間の相関の程度を算出することにより、前記補正パラメーターを決定する、請求項1に記載の画像処理装置。
  9. 前記相関の程度は、前記第1再構成画像および前記第2再構成画像の少なくとも一部における均一性の程度を含む、請求項8に記載の画像処理装置。
  10. 前記処理回路は、
    既知の線減衰係数および既知の経路長を有する前記スラブを、X線CT装置における既知の位置に配置されたX線管でスキャンし、
    前記スラブをスキャンする工程に基づき物質弁別データを生成し、
    ある回転速度において前記X線管を用いる空気スキャンに基づいて、空気補正データを生成し、
    少なくとも前記物質弁別データおよび前記空気スキャンに基づいて、前記X線CT装置のための前記順方向補正モデルを補正する、
    ようにさらに構成される、請求項2に記載の画像処理装置。
  11. 複数の検出器チャンネルを用いて対称ファントムをスキャンすることによりサイノグラムデータを収集し、
    前記複数の検出器チャンネルのうちの中央の検出器チャンネルにおいて前記サイノグラムデータを分割することにより生成される第1サイノグラムデータを鏡像複写することにより、鏡像複写サイノグラムデータを生成し、
    前記鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより第1再構成画像を出力し、
    前記第1再構成画像に基づいて補正パラメーターを決定する、補正方法。
  12. 複数の検出器チャンネルを用いて対称ファントムをスキャンすることによりサイノグラムデータを収集し、
    前記複数の検出器チャンネルのうちの中央の検出器チャンネルにおいて前記サイノグラムデータを分割することにより生成される第1サイノグラムデータを鏡像複写することにより、鏡像複写サイノグラムデータを生成し、
    前記鏡像複写サイノグラムデータを再構成することにより第1再構成画像を出力し、
    前記第1再構成画像に基づいて補正パラメーターを決定する処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
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