JP2004064853A - 小型携帯用発電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱電変換素子を用いて燃焼熱によって発電する際に酸素を強制的に送る装置を持たない。
【解決手段】2枚の同径の熱電変換素子円板2の間に、上記円板の外径にほぼ等しい外径の通気性中空円筒3とそれより小径の通気性中空円筒4とを挟んで形成した円環状の空間5に燃焼触媒を充填することにより燃焼触媒充填層5aを形成してなり、一方の上記円板の中央に上記小径の中空円筒4の内部に連通する燃料ガス入口孔7を穿設したものである。燃焼用の酸素は拡散により外周から燃料触媒充填層5a内に侵入し触媒燃焼が維持される。
【選択図】 図1
【解決手段】2枚の同径の熱電変換素子円板2の間に、上記円板の外径にほぼ等しい外径の通気性中空円筒3とそれより小径の通気性中空円筒4とを挟んで形成した円環状の空間5に燃焼触媒を充填することにより燃焼触媒充填層5aを形成してなり、一方の上記円板の中央に上記小径の中空円筒4の内部に連通する燃料ガス入口孔7を穿設したものである。燃焼用の酸素は拡散により外周から燃料触媒充填層5a内に侵入し触媒燃焼が維持される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯電話やノート型パソコンなどの電源として使用可能な小型携帯用発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話やノート型パソコンなどには乾電池を使用している。これらの乾電池の内、リチュウムイオン電池は高エネルギー密度(単位体積当たりの出力×時間)化が進んでいる。一方、IT技術の普及により、画像情報のやりとりや処理などでさらに高機能化技術の開発が進められている。
【0003】
このような高機能化に伴なう電源容量の増大に対応するには、さらに電池の高エネルギー密度化が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電池の高密度化は近い将来飛躍的に進むことは難しく、必要とされる電源寿命を満たすことができない。また、電池の生産に必要なエネルギーも非常に大きい。
【0005】
一方、燃料ガスを燃焼させて発生する熱エネルギーは、燃料重量当たりのエネルギーが電池に比べて、数十倍から百倍以上あり、電源として期待されている。しかし、燃焼熱を利用するガスタービンやピストンエンジンなどの従来の熱機関では、小型化をすると作動ガス容積に対する固体壁の面積比が大きくなる。そのため、摩擦損失や熱損失が増大して、効率は急激に低下し、1W程度の出力では自立作動させることも困難である。
【0006】
熱電素子を利用する試みは米国などであるが、すべて空気を強制的に供給する必要があり、構造が複雑になってしまう。
【0007】
本発明は従来技術のかかる問題点に鑑み案出されたもので、空気を強制的に供給することなく、燃料ガスを触媒燃焼させて発熱し、その熱により熱電変換素子を作動させて発電を行なうことができる小型携帯用発電機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願請求項1記載発明の小型携帯用発電機は、2枚の同形の熱電変換素子板の間に、上記板の外形にほぼ等しい外形の通気性中空筒とそれより小さい通気性中空筒とを挟んで形成した環状の空間に燃焼触媒を充填することにより燃焼触媒充填層を形成してなり、上記板の一方の中央に、上記小さい中空筒の内部に連通する燃料ガス入口孔を穿設したものである。
【0009】
上記熱電変換素子円板の外面には熱電変換素子円板の温度勾配を大きくするため多数の放熱フィンを植設してあるのが好ましい。
【0010】
請求項3記載発明の小型携帯用発電機は、2枚の同形の熱電変換素子板の間に、板の外形にほぼ等しい外形の環状に成形した通気性の燃焼触媒を挟んでなり、上記板の一方の中央には燃焼触媒の内部に連通する燃料ガス入口孔を穿設したものである。
【0011】
上記熱電変換素子板は円板であり、上記通気性中空筒は円筒であるのが好ましい。
【0012】
次に本発明の作用を説明する。燃料ガスは燃焼触媒充填層の中心から供給され、外周方向へ拡がる。空気中の酸素は燃焼触媒充填層の外周面から内部へ拡散する。燃料ガスの燃焼は燃料ガスと酸素が出会って混合する領域で、燃焼触媒によって維持される。熱電変換素子円板は燃焼触媒に当接する高温側と外面の低温側の温度差により発電を行なう。燃焼触媒充填層内部の温度は300〜600℃程度に維持するのが好ましい。
【0013】
発電機の始動は次のようにして行なう。1つの方法は発電機全体を外部の熱源で600℃程度に加熱し、その状態で燃料ガスを供給してやれば、燃焼は維持され発電が継続的に行なわれる。他の方法は低温の発電機の中心に燃料ガスを供給してやると、燃焼は燃焼触媒充填層の内部では行なわれず、燃料ガスは外周面から流出する。流出して燃料ガスにマッチで火をつけて燃焼させる。燃焼により燃焼触媒充填層が外周面から内部に向って加熱され、燃料ガスをしぼってやると次第に燃焼領域が燃焼触媒充填層内部へ移動し、内部で燃焼が維持されて発電が行なわれる。
【0014】
燃焼ガスは小型のボンベなどから供給され、酸素は拡散により供給されるため、これらの供給のための動力装置は不要であり、携帯が可能なまでに小型化が可能になって、携帯電話やノート型パソコンの電源として利用できる。電池などに比べ長時間電気を供給することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の小型携帯用発電機の断面図である。図において、1は小型携帯用発電機である。直径は1〜数cmで、1mW〜100Wの発電能力を持つ。2は熱電変換素子円板であり、上方板2aと下方板2bとからなる。上方板2aと下方板2bは同径である。3は大径の通気性中空円筒、4は小径の通気性中空円筒である。大径の通気性中空円筒3は熱電変換素子円板2の直径にほぼ等しい。通気性の中空円筒3、4の材質はセラミックスまたは焼結金属が好ましい。
【0016】
5は2枚の同径の熱電変換素子円板2の間に大径の通気性中空円筒3と小径の通気性中空円筒4とを挟んで形成した円環状の空間である。5aは上記円環状の空間5に燃焼触媒を充填して形成した燃焼触媒充填層である。燃焼触媒はアルミナなどのセラミックスの顆粒に白金やパラジュームなどの燃焼触媒を担持させたものである。6は放熱フィンである。放熱フィン6の形状は棒状であってもよいし、板状であってもよい。
【0017】
7は下方の熱電変換素子円板2bの中央に穿設された燃料ガスの入口孔であり、小径の中空円筒4の内部に連通している。8は上記入口孔7に挿入された配管であり、図示しない燃料ボンベに接続されている。燃料ガスは配管8の途中に設けられた、図示しないニードル弁により流量調節される。9は燃料ガス、10は燃焼ガス、11は空気中の酸素のそれぞれの流れを示す矢印である。
【0018】
ここで熱電変換素子について簡単に説明する。熱電変換素子は、ペルチェ素子ともいわれるものである。図3はペルチェ素子の概念図である。図において、2cはセラミックス板、2dは熱電素子であり、N型半導体とP型半導体とからなる。2eは接合用金属片である。Hは高温側、Lは低温側である。12は負荷である。図のようにペルチェ素子の両側に温度差があると発電が行なわれ、負荷12に電流が流れる。
【0019】
次に本実施形態の作用を説明する。燃料ガス9は燃焼触媒充填層5aの中心から供給され、半径方向へ拡がる。空気中の酸素11は燃焼触媒充填層5aの外周面から内部へ拡散する。燃料ガス9の燃焼は燃料ガス9と酸素11が出会って混合する領域で、燃焼触媒によって維持される。熱電変換素子円板2は燃焼触媒に当接する高温側Hと外面の低温側Lの温度差により発電を行なう。燃焼触媒充填層5a内部の温度は300〜600℃程度の維持するのが好ましい。
【0020】
発電機1の始動は次のようにして行なう。1つの方法は発電機1全体を外部の熱源で600℃程度に加熱し、その状態で燃料ガス9を供給してやれば燃焼は維持され発電が継続的に行なわれる。他の方法は低温の発電機の中心に燃料ガス9を供給してやると燃料ガス9は燃焼触媒充填層5aの内部では燃焼せず、外周面から流出する。流出した燃料ガス9にマッチで火をつけて燃焼させる。燃焼により燃焼触媒充填層5aが外周面から内部に向って加熱され、燃料ガス9をしぼってやると次第に燃焼領域が燃焼触媒充填層5a内部へ移動し、内部で燃焼が維持されて発電が行なわれる。
【0021】
燃料ガス9は燃料(ブタン)のボンベなどから供給され、酸素は拡散により供給されるため、これらの供給のための動力装置は不要であり、携帯が可能なまでに小型化が可能になり、携帯電話やノート型パソコンの電源として利用できる。
【0022】
物質輸送および熱拡散を考慮した解析結果によれば、燃焼発熱の50〜80%を熱電変換素子の熱流束とすることが可能でる。熱電変換素子に与える温度差は200℃程度となる。現在の熱電変換素子の熱流束に対する発電効率は4〜8%である。したがって、本発明の携帯用発電機の発電効率は燃料の熱エネルギーに対して2〜6%を達成することができる。現在、電池の製造に必要な一次エネルギーで電池の発電効率を評価すると約1%となるので、本発明は、その2〜6倍の効率となる。また、燃料ガス9の流量を変えると触媒層内の反応域が変化し、負荷変動に対応することが可能である。
【0023】
図4は本発明の小型携帯用発電機の作動の説明図であり、(A)は断面図、(B)は触媒充填層内における燃料ガスおよび酸素の濃度変化を示すグラフ、(C)は温度変化を示すグラフである。これらの図において、r1は触媒充填層の内径、r2は外径、hは高さである。また、rfは燃料と酸素とが出会って混合し、燃焼する領域の半径である。Yfは燃料濃度、Yo2は酸素濃度である。(B)に示すように、燃焼域rfではYf、Yo2は燃焼によって消滅している。Tsは燃焼触媒層の内部温度、Taは外部温度である。本来Tsはrfで最高になるが、r2が小さいので、この解析では燃焼触媒層内の温度Tsは一様であると仮定している。
【0024】
次に、燃焼に必要な酸素は強制的に送る必要がないことについて解析結果を説明する。先に述べたように、燃焼ガスは中心から半径方向に拡がり、酸素は外周境界から内側へ拡散する。空隙率ε=0.3として有効伝達率β=λe0/λgは、約30となり、ガス熱伝達より十分大きい。物質輸送については、熱伝達とのアナロジーを仮定する。解析は充填層内の温度を一様と仮定して進める。
【0025】
充填層内の燃料ガスの保存方程式は(1)式で表される。
【0026】
【数1】
r=r1において、質量保存法則により(2)式が得られる。
【0027】
【数2】
r1<r<rfでは燃焼反応は無いと仮定し、質量が保存されるので、(3)式が得られる。
【0028】
【数3】
数式(1)、(2)、(3)より(4)式が得られる。
【0029】
【数4】
r=rfでYf=0を境界条件とし、ρDF=const.を仮定して(4)式を積分すると、(5)、(5)’式が得られる。
【0030】
【数5】
rf<r<r2において、酸素の輸送方程式は、(6)式になる。
【0031】
【数6】
これを積分して、(7)が得られる。
【0032】
【数7】
r=rfでは、境界条件が(8)式になる。
【0033】
【数8】
よって、(7)式を積分すると(9)、(9)’式が得られる。
【0034】
【数9】
また、境界面(r=r2)に自然対流により供給される酸素質量流束は、内部で消費される量と等しくなるから(10)式のように表せる。
【0035】
【数10】
【0036】
ここで解析条件を次のように与えて実際に計算してみる。
燃料ガス流量(r1ρ1ν1):6.7E−5kg/s−m
密度×拡散係数 ρDFおよびρDO2は、それぞれ約0.3E−4 m2/s
(r1ρ1v1)/(βρD)=7.3e−2
r1=2mm,r2=10mm,rf=5mm
外周境界での酸素流束条件(10)式と連立した場合の解析結果を図5に示す。 図5は充填層内のガス濃度分布を示すグラフである。図5(A)において、横軸はr/rfであり、縦軸は燃料質量分率である。図5(B)において、横軸はr/rfであり、縦軸は酸素質量分率である。
【0037】
以上のように酸素は拡散のみで、充填層内部で触媒燃焼を維持できることがわかる。
【0038】
本発明は以上述べた実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。たとえば、燃焼触媒5bを通気性のある円環形状に成形したものである場合は、図2に示すような構造になる。すなわち、図1における大径と小径の通気性中空円筒3、4を省略することができる。また、熱電変換素子板は円板であり、通気性中空筒は円筒であるとして説明したが、それぞれ多角形や多角筒など他の形状であってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の小型携帯用発電機は、燃料ガスが小型のボンベから供給され、酸素が空気中から拡散により供給されるため、これらの供給のための動力装置が不要となり、携帯が可能なまでに小型化可能であり、携帯電話やパソコン用に長時間使用可能な電源として使用することができるなどの優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の小型携帯用発電機の断面図である。
【図2】本発明の小型携帯用発電機の他の実施形態の断面図である。
【図3】熱電変換素子の説明図である。
【図4】本発明の作用の解析結果を示す図である。
【図5】本発明の作用の解析結果を示すグラフである
【符号の説明】
1 小型携帯用発電機
2 熱電変換素子
3 大径の通気性中空円筒
4 小径の通気性中空円筒
5a 燃焼触媒充填層
6 放熱フィン
7 燃料ガス入口孔
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯電話やノート型パソコンなどの電源として使用可能な小型携帯用発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話やノート型パソコンなどには乾電池を使用している。これらの乾電池の内、リチュウムイオン電池は高エネルギー密度(単位体積当たりの出力×時間)化が進んでいる。一方、IT技術の普及により、画像情報のやりとりや処理などでさらに高機能化技術の開発が進められている。
【0003】
このような高機能化に伴なう電源容量の増大に対応するには、さらに電池の高エネルギー密度化が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電池の高密度化は近い将来飛躍的に進むことは難しく、必要とされる電源寿命を満たすことができない。また、電池の生産に必要なエネルギーも非常に大きい。
【0005】
一方、燃料ガスを燃焼させて発生する熱エネルギーは、燃料重量当たりのエネルギーが電池に比べて、数十倍から百倍以上あり、電源として期待されている。しかし、燃焼熱を利用するガスタービンやピストンエンジンなどの従来の熱機関では、小型化をすると作動ガス容積に対する固体壁の面積比が大きくなる。そのため、摩擦損失や熱損失が増大して、効率は急激に低下し、1W程度の出力では自立作動させることも困難である。
【0006】
熱電素子を利用する試みは米国などであるが、すべて空気を強制的に供給する必要があり、構造が複雑になってしまう。
【0007】
本発明は従来技術のかかる問題点に鑑み案出されたもので、空気を強制的に供給することなく、燃料ガスを触媒燃焼させて発熱し、その熱により熱電変換素子を作動させて発電を行なうことができる小型携帯用発電機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願請求項1記載発明の小型携帯用発電機は、2枚の同形の熱電変換素子板の間に、上記板の外形にほぼ等しい外形の通気性中空筒とそれより小さい通気性中空筒とを挟んで形成した環状の空間に燃焼触媒を充填することにより燃焼触媒充填層を形成してなり、上記板の一方の中央に、上記小さい中空筒の内部に連通する燃料ガス入口孔を穿設したものである。
【0009】
上記熱電変換素子円板の外面には熱電変換素子円板の温度勾配を大きくするため多数の放熱フィンを植設してあるのが好ましい。
【0010】
請求項3記載発明の小型携帯用発電機は、2枚の同形の熱電変換素子板の間に、板の外形にほぼ等しい外形の環状に成形した通気性の燃焼触媒を挟んでなり、上記板の一方の中央には燃焼触媒の内部に連通する燃料ガス入口孔を穿設したものである。
【0011】
上記熱電変換素子板は円板であり、上記通気性中空筒は円筒であるのが好ましい。
【0012】
次に本発明の作用を説明する。燃料ガスは燃焼触媒充填層の中心から供給され、外周方向へ拡がる。空気中の酸素は燃焼触媒充填層の外周面から内部へ拡散する。燃料ガスの燃焼は燃料ガスと酸素が出会って混合する領域で、燃焼触媒によって維持される。熱電変換素子円板は燃焼触媒に当接する高温側と外面の低温側の温度差により発電を行なう。燃焼触媒充填層内部の温度は300〜600℃程度に維持するのが好ましい。
【0013】
発電機の始動は次のようにして行なう。1つの方法は発電機全体を外部の熱源で600℃程度に加熱し、その状態で燃料ガスを供給してやれば、燃焼は維持され発電が継続的に行なわれる。他の方法は低温の発電機の中心に燃料ガスを供給してやると、燃焼は燃焼触媒充填層の内部では行なわれず、燃料ガスは外周面から流出する。流出して燃料ガスにマッチで火をつけて燃焼させる。燃焼により燃焼触媒充填層が外周面から内部に向って加熱され、燃料ガスをしぼってやると次第に燃焼領域が燃焼触媒充填層内部へ移動し、内部で燃焼が維持されて発電が行なわれる。
【0014】
燃焼ガスは小型のボンベなどから供給され、酸素は拡散により供給されるため、これらの供給のための動力装置は不要であり、携帯が可能なまでに小型化が可能になって、携帯電話やノート型パソコンの電源として利用できる。電池などに比べ長時間電気を供給することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の小型携帯用発電機の断面図である。図において、1は小型携帯用発電機である。直径は1〜数cmで、1mW〜100Wの発電能力を持つ。2は熱電変換素子円板であり、上方板2aと下方板2bとからなる。上方板2aと下方板2bは同径である。3は大径の通気性中空円筒、4は小径の通気性中空円筒である。大径の通気性中空円筒3は熱電変換素子円板2の直径にほぼ等しい。通気性の中空円筒3、4の材質はセラミックスまたは焼結金属が好ましい。
【0016】
5は2枚の同径の熱電変換素子円板2の間に大径の通気性中空円筒3と小径の通気性中空円筒4とを挟んで形成した円環状の空間である。5aは上記円環状の空間5に燃焼触媒を充填して形成した燃焼触媒充填層である。燃焼触媒はアルミナなどのセラミックスの顆粒に白金やパラジュームなどの燃焼触媒を担持させたものである。6は放熱フィンである。放熱フィン6の形状は棒状であってもよいし、板状であってもよい。
【0017】
7は下方の熱電変換素子円板2bの中央に穿設された燃料ガスの入口孔であり、小径の中空円筒4の内部に連通している。8は上記入口孔7に挿入された配管であり、図示しない燃料ボンベに接続されている。燃料ガスは配管8の途中に設けられた、図示しないニードル弁により流量調節される。9は燃料ガス、10は燃焼ガス、11は空気中の酸素のそれぞれの流れを示す矢印である。
【0018】
ここで熱電変換素子について簡単に説明する。熱電変換素子は、ペルチェ素子ともいわれるものである。図3はペルチェ素子の概念図である。図において、2cはセラミックス板、2dは熱電素子であり、N型半導体とP型半導体とからなる。2eは接合用金属片である。Hは高温側、Lは低温側である。12は負荷である。図のようにペルチェ素子の両側に温度差があると発電が行なわれ、負荷12に電流が流れる。
【0019】
次に本実施形態の作用を説明する。燃料ガス9は燃焼触媒充填層5aの中心から供給され、半径方向へ拡がる。空気中の酸素11は燃焼触媒充填層5aの外周面から内部へ拡散する。燃料ガス9の燃焼は燃料ガス9と酸素11が出会って混合する領域で、燃焼触媒によって維持される。熱電変換素子円板2は燃焼触媒に当接する高温側Hと外面の低温側Lの温度差により発電を行なう。燃焼触媒充填層5a内部の温度は300〜600℃程度の維持するのが好ましい。
【0020】
発電機1の始動は次のようにして行なう。1つの方法は発電機1全体を外部の熱源で600℃程度に加熱し、その状態で燃料ガス9を供給してやれば燃焼は維持され発電が継続的に行なわれる。他の方法は低温の発電機の中心に燃料ガス9を供給してやると燃料ガス9は燃焼触媒充填層5aの内部では燃焼せず、外周面から流出する。流出した燃料ガス9にマッチで火をつけて燃焼させる。燃焼により燃焼触媒充填層5aが外周面から内部に向って加熱され、燃料ガス9をしぼってやると次第に燃焼領域が燃焼触媒充填層5a内部へ移動し、内部で燃焼が維持されて発電が行なわれる。
【0021】
燃料ガス9は燃料(ブタン)のボンベなどから供給され、酸素は拡散により供給されるため、これらの供給のための動力装置は不要であり、携帯が可能なまでに小型化が可能になり、携帯電話やノート型パソコンの電源として利用できる。
【0022】
物質輸送および熱拡散を考慮した解析結果によれば、燃焼発熱の50〜80%を熱電変換素子の熱流束とすることが可能でる。熱電変換素子に与える温度差は200℃程度となる。現在の熱電変換素子の熱流束に対する発電効率は4〜8%である。したがって、本発明の携帯用発電機の発電効率は燃料の熱エネルギーに対して2〜6%を達成することができる。現在、電池の製造に必要な一次エネルギーで電池の発電効率を評価すると約1%となるので、本発明は、その2〜6倍の効率となる。また、燃料ガス9の流量を変えると触媒層内の反応域が変化し、負荷変動に対応することが可能である。
【0023】
図4は本発明の小型携帯用発電機の作動の説明図であり、(A)は断面図、(B)は触媒充填層内における燃料ガスおよび酸素の濃度変化を示すグラフ、(C)は温度変化を示すグラフである。これらの図において、r1は触媒充填層の内径、r2は外径、hは高さである。また、rfは燃料と酸素とが出会って混合し、燃焼する領域の半径である。Yfは燃料濃度、Yo2は酸素濃度である。(B)に示すように、燃焼域rfではYf、Yo2は燃焼によって消滅している。Tsは燃焼触媒層の内部温度、Taは外部温度である。本来Tsはrfで最高になるが、r2が小さいので、この解析では燃焼触媒層内の温度Tsは一様であると仮定している。
【0024】
次に、燃焼に必要な酸素は強制的に送る必要がないことについて解析結果を説明する。先に述べたように、燃焼ガスは中心から半径方向に拡がり、酸素は外周境界から内側へ拡散する。空隙率ε=0.3として有効伝達率β=λe0/λgは、約30となり、ガス熱伝達より十分大きい。物質輸送については、熱伝達とのアナロジーを仮定する。解析は充填層内の温度を一様と仮定して進める。
【0025】
充填層内の燃料ガスの保存方程式は(1)式で表される。
【0026】
【数1】
r=r1において、質量保存法則により(2)式が得られる。
【0027】
【数2】
r1<r<rfでは燃焼反応は無いと仮定し、質量が保存されるので、(3)式が得られる。
【0028】
【数3】
数式(1)、(2)、(3)より(4)式が得られる。
【0029】
【数4】
r=rfでYf=0を境界条件とし、ρDF=const.を仮定して(4)式を積分すると、(5)、(5)’式が得られる。
【0030】
【数5】
rf<r<r2において、酸素の輸送方程式は、(6)式になる。
【0031】
【数6】
これを積分して、(7)が得られる。
【0032】
【数7】
r=rfでは、境界条件が(8)式になる。
【0033】
【数8】
よって、(7)式を積分すると(9)、(9)’式が得られる。
【0034】
【数9】
また、境界面(r=r2)に自然対流により供給される酸素質量流束は、内部で消費される量と等しくなるから(10)式のように表せる。
【0035】
【数10】
【0036】
ここで解析条件を次のように与えて実際に計算してみる。
燃料ガス流量(r1ρ1ν1):6.7E−5kg/s−m
密度×拡散係数 ρDFおよびρDO2は、それぞれ約0.3E−4 m2/s
(r1ρ1v1)/(βρD)=7.3e−2
r1=2mm,r2=10mm,rf=5mm
外周境界での酸素流束条件(10)式と連立した場合の解析結果を図5に示す。 図5は充填層内のガス濃度分布を示すグラフである。図5(A)において、横軸はr/rfであり、縦軸は燃料質量分率である。図5(B)において、横軸はr/rfであり、縦軸は酸素質量分率である。
【0037】
以上のように酸素は拡散のみで、充填層内部で触媒燃焼を維持できることがわかる。
【0038】
本発明は以上述べた実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。たとえば、燃焼触媒5bを通気性のある円環形状に成形したものである場合は、図2に示すような構造になる。すなわち、図1における大径と小径の通気性中空円筒3、4を省略することができる。また、熱電変換素子板は円板であり、通気性中空筒は円筒であるとして説明したが、それぞれ多角形や多角筒など他の形状であってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の小型携帯用発電機は、燃料ガスが小型のボンベから供給され、酸素が空気中から拡散により供給されるため、これらの供給のための動力装置が不要となり、携帯が可能なまでに小型化可能であり、携帯電話やパソコン用に長時間使用可能な電源として使用することができるなどの優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の小型携帯用発電機の断面図である。
【図2】本発明の小型携帯用発電機の他の実施形態の断面図である。
【図3】熱電変換素子の説明図である。
【図4】本発明の作用の解析結果を示す図である。
【図5】本発明の作用の解析結果を示すグラフである
【符号の説明】
1 小型携帯用発電機
2 熱電変換素子
3 大径の通気性中空円筒
4 小径の通気性中空円筒
5a 燃焼触媒充填層
6 放熱フィン
7 燃料ガス入口孔
Claims (4)
- 2枚の同形の熱電変換素子板の間に、上記板の外形にほぼ等しい外形の通気性中空筒とそれより小さい通気性中空筒とを挟んで形成した環状の空間に燃焼触媒を充填することにより燃焼触媒充填層を形成してなり、上記板の一方の中央に、上記小さい中空筒の内部に連通する燃料ガス入口孔を穿設したことを特徴とする小型携帯用発電機。
- 上記熱電変換素子板の外面には多数の放熱フィンを植設してある請求項1記載の小型携帯用発電機。
- 2枚の同形の熱電変換素子板の間に、板の外形にほぼ等しい外形の環状に成形した通気性の燃焼触媒を挟んでなり、上記板の一方の中央には燃焼触媒の内部に連通する燃料ガス入口孔を穿設したことを特徴とする小型携帯用発電機。
- 上記熱電変換素子板は円板であり、上記通気性中空筒は円筒である請求項1ないし請求項3記載の小型携帯用発電機。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2002218006A JP2004064853A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 小型携帯用発電機 |
Publications (1)
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Cited By (1)
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DE102013022190A1 (de) | 2013-12-31 | 2015-07-02 | Daan Reiling | Vorrichtung und Verfahren zur direkten Umwandlung von thermischer Energie in elektrische Energie |
-
2002
- 2002-07-26 JP JP2002218006A patent/JP2004064853A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE102013022190A1 (de) | 2013-12-31 | 2015-07-02 | Daan Reiling | Vorrichtung und Verfahren zur direkten Umwandlung von thermischer Energie in elektrische Energie |
WO2015101408A1 (de) | 2013-12-31 | 2015-07-09 | Ortwin Gerrit Siebelder | Vorrichtung und verfahren zur direkten umwandlung von thermischer energie in elektrische energie |
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