JP2004064838A - リニアアクチュエータ、それを用いたポンプ装置並びにコンプレッサー装置 - Google Patents
リニアアクチュエータ、それを用いたポンプ装置並びにコンプレッサー装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】渦電流損が小さく、かつ、安価に製造可能なヨークを用いたリニアアクチュエータ、それを用いたそれを用いたポンプ装置並びにコンプレッサー装置を提供すること。
【解決手段】インナーヨーク3と、インナーヨーク3との間に第1の間隙6、および第2の間隙7を構成するアウターヨークと、間隙6、7内に平板状のマグネット9を備える可動体5とを有するリニアアクチュエータ1において、アウターヨーク4は、断面U字形状にプレス加工してなる複数枚の磁性薄板40を内側から外側に積層された構造を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】インナーヨーク3と、インナーヨーク3との間に第1の間隙6、および第2の間隙7を構成するアウターヨークと、間隙6、7内に平板状のマグネット9を備える可動体5とを有するリニアアクチュエータ1において、アウターヨーク4は、断面U字形状にプレス加工してなる複数枚の磁性薄板40を内側から外側に積層された構造を備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアアクチュエータ、それを用いたポンプ装置並びにコンプレッサー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリンダ内でピストンが直線運動するようなポンプ装置やコンプレッサー装置でも、それに使用されるアクチュエータは、回転運動を出力するモータが使用されているため、モータの出力軸とピストンとの間でクランクシャフトで回転運動を直線運動に変換している。このため、力の伝達効率が低いという問題点がある。
【0003】
そこで、図9に示すように、インナーヨーク103と、このインナーヨーク103に対して軸線方向と直交する位置で対向して、インナーヨーク103との間に軸線方向で離間する第1の隙間109Aおよび第2の隙間109Bを構成するアウターヨーク104と、アウターヨーク104、第1の隙間109A、インナーヨーク103、第2の隙間109Bを磁路とする交番磁界を発生させるコイル108と、インナーヨーク103とアウターヨーク104との間において交番磁界に連動して軸線方向に交互に駆動される可動体106とを有するリニアアクチュエータが検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成のリニアアクチュエータにおいて、インナーヨーク103、およびアウターヨーク104を通常の焼結体で製造すると比較的、安価に製造できるが、渦電流損が大きいという問題点がある。また、渦電流損が小さくなるように特殊な磁粉を用いて焼結体を製造すると高価になるという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、渦電流損が小さく、かつ、安価に製造可能なヨークを用いたリニアアクチュエータ、それを用いたそれを用いたポンプ装置並びにコンプレッサー装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、インナーヨークと、該インナーヨークの外周面との間に軸線方向で離間する第1の隙間および第2の隙間を形成するように当該インナーヨークの周りに配置されたアウターヨークと、前記インナーヨークを囲むように巻回されて前記アウターヨーク、前記第1の隙間、前記インナーヨーク、前記第2の隙間、および前記アウターヨークを磁路として前記第1の隙間および前記第2の隙間に交番磁界を発生させるコイルと、前記インナーヨークと前記アウターヨークとの間において軸線方向に交互に磁気駆動される可動体とを有するリニアアクチュエータにおいて、前記アウターヨークは、前記コイルを囲むように屈曲する複数枚の磁性薄板が絶縁層を挟んで内側から外側に積層されてなることを特徴とする。
【0007】
本発明のリニアアクチュエータにおいて、コイルに交流電流を通電すると、アウターヨーク、第1の隙間、インナーヨーク、第2の隙間を経て再びアウターヨークに至る磁路に交番磁界が発生し、この交番磁界に連動して、可動体は、軸線方向に往復駆動される。従って、可動体から往復直線運動を出力することができる。また、本発明において、アウターヨークは、コイルを囲むように屈曲する複数枚の磁性薄板が絶縁層を挟んで内側から外側に積層されているため、一体品からなるヨークを用いたものと比較して渦電流に起因する損失が小さい。また、アウターヨークは、所定形状のプレス加工した磁性薄板を積層することにより形成できるため、安価に製造することができる。
【0008】
本発明において、前記アウターヨークは、例えば、断面U字形状に折り曲げられた複数枚の前記磁性薄板が前記絶縁層を挟んで内側から外側に積層されてなる断面U字形状の一対のヨーク片を内側同士が向き合うように軸線方向で重ねることにより構成されている。このように構成すると、アウターヨークがコイルを囲むような形状を有している場合でも、磁性薄板については断面U字形状といった簡単な折り曲げ形状でよく、このような形状であればプレス加工で容易に実現できる。
【0009】
本発明において、前記アウターヨークは、軸線方向からみたときに円環状となるように形成されていることが好ましい。このように構成すると、周方向全体から可動体に対する推力を得ることができる。
【0010】
本発明において、前記アウターヨークは、軸線方向からみたときに多角形の辺に相当する位置に複数、分割して配置されていることが好ましい。このように構成すると、円環状のマグネットを用いなくても板状のマグネットで済むので、量産に適している。
【0011】
本発明において、前記磁性薄板は、プレス加工により折り曲げ形成されてなることが好ましい。
【0012】
本発明に係るリニアアクチュエータは、各種流体を供給するためのポンプ装置、あるいはコンプレッサー装置として利用できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明を適用したリニアアクチュエータを説明する。
【0014】
[実施の形態1]
図1(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形態1に係るリニアアクチュエータの要部平面図、および半断面図である。図2は、このリニアアクチュエータに用いたアウターヨークの説明図である。図3は、このアウターヨークを構成する磁性薄板の説明図である。図4(A)、(B)はそれぞれ、このリニアアクチュエータの動作を示す説明図である。
【0015】
図1(A)、(B)において、本形態のリニアアクチュエータ1は、各種流体を供給するためのポンプ装置、あるいはコンプレッサー装置に用いられるもので、ステータ側を保持するフレーム2と、このフレーム2に対して軸線Lに沿って往復移動可能な可動体5とから構成されている。
【0016】
フレーム2には、円筒状のインナーヨーク3が配置されているとともに、その外周側にはアウターヨーク4が配置されている。
【0017】
アウターヨーク4は、断面U字形状を備えた上下2つのヨーク片41、42から構成されている。各々のヨーク片41、42において、その内側で軸線方向に折れ曲がった部分410、420(第1のアウターヨーク部分)が、インナーヨーク3の外周面に対して、軸線方向で離間する第1の隙間6、および第2の隙間7を介して対向している。
【0018】
アウターヨーク4において、2つのヨーク片41、42の内側に構成された空間内には、円環状の平面形状を備えたボビン80に巻回されたコイル8が配置され、このコイル8は、インナーヨーク3の周りを囲んでいる。また、アウターヨーク4において、外側で軸線方向に折れ曲がった部分411、421(第2のアウターヨーク部分)は、コイル8の外側を覆っている
可動体5は、例えば、Nd−Fe−B系の希土類磁石、あるいは樹脂マグネットからなる円筒状のマグネット9を備えた樹脂成形品であり、このマグネット9は、表裏がそれぞれ反対の極に着磁されている。
【0019】
可動体5は、マグネット9がインナーヨーク3とアウターヨーク4との第1の隙間6と、第2の隙間7に跨るように配置されている。また、可動体5の底部51は、丸棒状あるいは円筒状の作動軸(図示せず)の基端側の固定部になっている。
【0020】
本形態において、アウターヨーク4を構成するヨーク片41、42は、図2に示すように、断面U字形状を有する円筒体であり、内側同士が向き合うように軸線方向で重ねられて、内側にコイル8を配置する空間が構成されている。
【0021】
ヨーク片41、42はいずれも、図3に示すように、断面U字形状に絞り加工(プレス加工)してなる磁性薄板40を異なるサイズで形成し、そのうち、サイズが大きいものの内側にサイズが小さなものを嵌めこんだ構造になっている。ここで、磁性薄板40は、表裏が薄い絶縁層(図示せず)で覆われた状態にあり、ヨーク片41、42では、磁性薄板40が薄い絶縁層を挟んで内側から外側に積層された構造になっている。
【0022】
また、図1に示すように、インナーヨーク3も、カップ状に絞り加工(プレス加工)された磁性薄板40の底部を除去した円筒状のものが絶縁層(図示せず)を挟んで内側から外側に積層された構造になっている。
【0023】
このように構成したリニアアクチュエータ1において、マグネット9の内側の面がS極に着磁され、外側の面がN極に着磁されている場合には、図4(A)、(B)に示すように、点線の矢印B1、B2で示す磁界が発生している。この状態でコイル8に交流電流を流したとき、図4(A)に示すように、図面の向こう側から手前側に電流が流れている期間では、点線の矢印B3に示す磁界が発生し、第1の隙間6の側では、マグネット9からの磁界とコイル8からの磁力線の向きが同一であるに対して、第2の隙間7の側ではマグネット9からの磁界とコイル8からの磁力線の向きが反対である。その結果、マグネット9には、軸線方向における下方(第2の隙間7の方)に向かう力が作用する。
【0024】
これに対して、図4(B)に示すように、図面の手前側から向こう側に電流が流れている期間では、点線の矢印B4に示す磁界が発生し、第1の隙間6の側では、マグネット9からの磁界とコイル8からの磁力線の向きが反対であるに対して、第2の隙間7の側ではマグネット9からの磁界とコイル8からの磁力線の向きが同一である。その結果、マグネット9には、軸線方向における上方(第1の隙間6の方)に向かう力が作用する。
【0025】
このようにしてマグネット9には、コイル8による交番磁界の向きに対応して、軸線方向に加わる力の向きが入れ代わるので、それと一体の可動体5が軸線方向に振動し、可動体5に取り付けられたピストンから往復直線運動を出力することができる。
【0026】
また、アウターヨーク4は、コイル8を囲むように屈曲する複数枚の磁性薄板40が絶縁層を挟んで内側から外側に積層されているため、一体品からなるヨークを用いたものと比較して渦電流に起因する損失が小さい。
【0027】
さらに、アウターヨーク4は、所定形状のプレス加工した磁性薄板40を積層することにより形成できるため、安価に製造することができる。しかも、磁性薄板40は、断面U字形状に加工されており、このような断面U字形状であれば、絞り加工で容易に実現できる。
【0028】
さらにまた、アウターヨーク4、インナーヨーク3、およびマグネット9は、軸線方向からみたときに円環状となるように形成されているため、周方向全体から可動体5に対する推力を得ることができる。
【0029】
[実施の形態2]
図5(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形態2に係るリニアアクチュエータの要部平面図、およびその改良例に係るリニアアクチュエータの要部平面図である。図6は、このリニアアクチュエータに用いたアウターヨークの説明図である。図7は、このアウターヨークを構成する磁性薄板の説明図である。なお、本形態のリニアアクチュエータの基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する機能を有する部分には同一の符号を付して説明する。また、本形態のリニアアクチュエータの縦断面などは、図1(B)および図4と同様に表わされるため、図1(B)も参照して説明する。
【0030】
図1(B)および図5(A)において、本形態のリニアアクチュエータ1も、各種流体を供給するためのポンプ装置、あるいはコンプレッサー装置に用いられるもので、インナーヨーク3の外周側にはアウターヨーク4が配置されている。
【0031】
本形態において、インナーヨーク3は、軸線方向からみたときに正八角形の辺に相当する位置に分割、配置され、周方向に等角度間隔に8枚、配置された状態にある。各インナーヨーク3は、平板状を有しており、アウターヨーク4との対向面(外面)、およびその裏面(内面)のいずれもが平面になっている。
【0032】
本形態においては、アウターヨーク4も、軸線方向からみたときに正八角形の辺に相当する位置に分割、配置され、周方向に等角度間隔に8個、配置された状態にある。
【0033】
アウターヨーク4は、断面U字形状を備えた上下2つのヨーク片41、42から構成されている。各々のヨーク片41、42において、その内側で軸線方向に折れ曲がった部分410、420(第1のアウターヨーク部分)が、インナーヨーク3の外周面に対して、軸線方向で離間する第1の隙間6、および第2の隙間7を介して対向している。
【0034】
本形態において、アウターヨーク4を構成するヨーク片41、42は、図6に示すように、断面U字形状を有しており、内側同士が向き合うように軸線方向で重ねられて、内側にコイル8を配置する空間が構成されている。
【0035】
ここで、ヨーク片41、42はいずれも、図7に示すように、断面U字形状にプレス加工してなる磁性薄板40を異なるサイズで形成し、そのうち、サイズが大きいものの内側にサイズが小さなものを嵌めこんだ構造になっている。ここで、磁性薄板40は、表裏が薄い絶縁層(図示せず)で覆われた状態にあり、ヨーク片41、42では、断面U字形状にプレス加工してなる磁性薄板40が薄い絶縁層を挟んで内側から外側に積層された構造になっている。
【0036】
再び図1(B)および図5において、インナーヨーク3は、平板状に打ち抜き加工(プレス加工)された磁性薄板40が絶縁層(図示せず)を挟んで内側から外側に積層された構造になっている。
【0037】
アウターヨーク4において、2つのヨーク片41、42の間に構成される空間内には、円環状の平面形状を備えたボビン80に巻回されたコイル8が配置され、このコイル8は、インナーヨーク3の周りを囲んでいる。また、アウターヨーク4において、外側で軸線方向に折れ曲がった部分411、421(第2のアウターヨーク部分)は、コイル8の外側を覆っている。
【0038】
本形態でも、可動体5は、例えば、Nd−Fe−B系の希土類磁石、あるいは樹脂マグネットからなるマグネット9がインナーヨーク3とアウターヨーク4との第1の隙間6と、第2の隙間7に跨るように配置されている。
【0039】
ここで、マグネット9としては平板状のものが用いられ、可動体5において、マグネット9は、樹脂製のマグネット保持部52に形成されている溝520に両端を差し込んだ状態で保持されている。また、マグネット保持部52は、軸線方向からみたときに略三角形の平面形状をしており、三角形の頂点に相当する部分は、隣接するインナーヨーク3の間に楔状に入り込んでる一方、三角形の底辺に相当する部分は、隣接するアウターヨーク4の間に入り込んでいる。
【0040】
このように構成したリニアアクチュエータ1においても、実施の形態1について図4を参照して説明したように、コイル8による交番磁界の向きに対応して、マグネット9に対して軸線方向に加わる力の向きが入れ代わるので、それと一体の可動体5が軸線方向に振動し、可動体5に取り付けられたピストンから往復直線運動を出力することができる。
【0041】
また、アウターヨーク4は、コイル8を囲むように屈曲する複数枚の磁性薄板40が絶縁層を挟んで内側から外側に積層されているため、一体品からなるヨークを用いたものと比較して渦電流に起因する損失が小さい。
【0042】
さらに、アウターヨーク4は、所定形状のプレス加工した磁性薄板40を積層することにより形成できるため、安価に製造することができる。しかも、磁性薄板40は、断面U字形状に加工されており、このような断面U字形状であれば、絞り加工で容易に実現できる。
【0043】
また、本形態では、アウターヨーク4およびインナーヨーク3は、各々平面的な対向面をもっているが、周方向において等角度間隔に8体、配置されているため、実質的には、アウターヨーク4およびインナーヨーク3の対向面を円弧状に構成したのと同等の磁気効率をもって駆動力を発生させることができ、かつ、このような形状のインナーヨーク3やアウターヨーク4であれば量産が容易である。また、アウターヨーク4およびインナーヨーク3の対向面が平面であれば、平板状のマグネット9を使用でき、このようなマグネット9も量産が容易である。それ故、本形態によれば、量産可能な安価なリニアアクチュエータ1を提供することができる。
【0044】
また、可動体5は、軸線方向に起立する細長いマグネット保持部52とを備え、これらのマグネット保持部52は、軸線方向からみたときに略三角形の平面形状をもって、隣接するインナーヨーク3の間、および隣接するアウターヨーク4の間に入り込んでいる。従って、マグネット9として、強力な平板状のマグネット9を使用しても、隣接するマグネット9の磁力によってマグネット6の姿勢や形状などが変わってしまうことを防止でき、組み立てやすいという利点ある。
【0045】
なお、上記形態では、円環状に巻回されたコイル8を用いたが、図5(B)に示すように、コイル8が略多角形に巻回されて、アウターヨーク4の内側を通る部分が直線的になっていることが好ましい。このように構成すると、コイル8を円状に巻回した場合と違って、コイル8とアウターヨーク4との間に隙間88(図5(A)を参照)が発生しない。従って、狭い空間内でコイル8の巻回数を増やすことができ、リニアアクチュエータ1の性能を向上することができる。逆に言えば、コイル8の巻回数を同一としたとき、アウターヨーク4の半径方向の幅を狭くでき、小型化を図ることができる。
【0046】
また、磁気効率という観点から、上記形態では、インナーヨーク3、およびアウターヨーク4をそれぞれ8体としたが、それ以外の多角形であってもよい。
【0047】
[ポンプ装置並びにコンプレッサー装置への搭載例]
本発明を適用したリニアアクチュエータ1については、図8(A)、(B)、(C)を参照して説明するように、ポンプ装置並びにコンプレッサー装置に適用できる。
【0048】
図8(A)、(B)、(C)はそれぞれ、本発明を適用したエアーポンプ装置の平面図、断面図、および底面図であり、図8(B)において、リニアアクチュエータ1に相当する部分は太線で囲ってある。
【0049】
図8(A)、(B)、(C)において、本形態のエアーポンプ装置100では、リニアアクチュエータ1の可動体5に対して作動軸110の基端側がワッシャ151、152を介してナット153で連結され、作動軸110は、インナーヨーク3を保持するフレーム2の穴16を貫通する状態にある。作動軸110の基端側は、フレーム2に保持された軸受154によって支持され、かつ、作動軸110の周りには2本のスプリング161、162が装着されている。2本のスプリング161、162のうち、作動軸110の基端側に装着されたスプリング161は、フレーム2の穴16内に形成されている段差17と、作動軸110に装着されたE型止め輪163で両端が支持され、作動軸110の先端側に装着されたスプリング162は、E型止め輪163と、フレーム2の底部に固定されたスプリング押さえ164とによって両端が支持されている。
【0050】
フレーム2の底部には、エアー吸い込み口171およびエアー吐出口172を備えたケース170がボルト173で固定され、エアー吸い込み口171にはフィルタ174が装着されている。ケース170の内側にはシリンダケース120が配置され、シリンダケース120の底部において、エアー吸い込み口171と対峙する部分には、バルブ押さえ143によってバルブ141が固定され、エアー吐出口172と対峙する部分にはバルブ押さえ144によってバルブ142が固定されている。
【0051】
シリンダケース120の内部は、シリンダケース120の底部との間にシリンダ室122を構成するピストン130が配置され、このピストン130の側面には、シリンダケース120の内周側面との気密を確保するための加圧リング135が装着されている。
【0052】
ピストン130に対しては、作動軸110の先端部分がワッシャ137、138およびOリング136を介してナット139で固定されており、作動軸110の振動によって、ピストン130が軸線方向に駆動される。従って、リニアアクチュエータ1によって作動軸110が軸線方向の基端側(図面に向かって上方)に移動すると、エアー吸い込み口171からシリンダ室122内に空気が吸い込まれ、リニアアクチュエータ1によって作動軸110が軸線方向の先端側(図面に向かって下方)に移動すると、シリンダ室122内の空気がエアー吐出口172から吐出される。また、このような作動軸110の振動に対してスプリング161、162が共振するので、小型のリニアアクチュエータ1を用いたエアーポンプ装置100であっても、優れたポンプ特性を備えている。
【0053】
[その他の実施の形態]
なお、上記形態では、可動体50の方にマグネット9を設け、それをインナヨーク3とアウターヨーク4との間に配置したが、可動体50に磁性体を設ける一方、アウターヨーク3とインナヨーク4に対して磁気的に結合するようにマグネットを配置して、図4に実線の矢印B1、B2で示すバイアス磁界を発生させたリニアアクチュエータに本発明を適用してもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のリニアアクチュエータにおいて、コイルに交流電流を通電すると、アウターヨーク、第1の隙間、インナーヨーク、第2の隙間を経てアウターヨークに至る磁路に交番磁界が発生し、この交番磁界に連動して、可動体は、軸線方向に往復駆動される。従って、可動体から往復直線運動を出力することができる。また、本発明において、アウターヨークは、コイルを囲むように屈曲する複数枚の磁性薄板が絶縁層を挟んで内側から外側に積層されているため、一体品からなるヨークを用いたものと比較して渦電流に起因する損失が小さい。また、アウターヨークは、所定形状のプレス加工した磁性薄板を積層することにより形成できるため、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形態1に係るリニアアクチュエータの要部平面図、および半断面図である。
【図2】図1に示すリニアアクチュエータに用いたアウターヨークの説明図である。
【図3】図2に示すアウターヨークを構成する磁性薄板の説明図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ、図1に示すリニアアクチュエータの動作を示す説明図である。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形態2に係るリニアアクチュエータの要部平面図、およびその改良例に係るリニアアクチュエータの要部平面図である。
【図6】図5に示すリニアアクチュエータに用いたアウターヨークの説明図である。
【図7】図6に示すアウターヨークを構成する磁性薄板の説明図である。
【図8】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、本発明を適用したリニアアクチュエータを備えたエアーポンプ装置の平面図、断面図、および底面図である。
【図9】従来のリニアアクチュエータの説明図である。
【符号の説明】
1 リニアアクチュエータ
2 フレーム
3 インナーヨーク
4 アウターヨーク
5 可動体
6 第1の隙間
7 第2の隙間
8 コイル
9 マグネット
40 磁性薄板
41、42 ヨーク片
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアアクチュエータ、それを用いたポンプ装置並びにコンプレッサー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリンダ内でピストンが直線運動するようなポンプ装置やコンプレッサー装置でも、それに使用されるアクチュエータは、回転運動を出力するモータが使用されているため、モータの出力軸とピストンとの間でクランクシャフトで回転運動を直線運動に変換している。このため、力の伝達効率が低いという問題点がある。
【0003】
そこで、図9に示すように、インナーヨーク103と、このインナーヨーク103に対して軸線方向と直交する位置で対向して、インナーヨーク103との間に軸線方向で離間する第1の隙間109Aおよび第2の隙間109Bを構成するアウターヨーク104と、アウターヨーク104、第1の隙間109A、インナーヨーク103、第2の隙間109Bを磁路とする交番磁界を発生させるコイル108と、インナーヨーク103とアウターヨーク104との間において交番磁界に連動して軸線方向に交互に駆動される可動体106とを有するリニアアクチュエータが検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成のリニアアクチュエータにおいて、インナーヨーク103、およびアウターヨーク104を通常の焼結体で製造すると比較的、安価に製造できるが、渦電流損が大きいという問題点がある。また、渦電流損が小さくなるように特殊な磁粉を用いて焼結体を製造すると高価になるという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、渦電流損が小さく、かつ、安価に製造可能なヨークを用いたリニアアクチュエータ、それを用いたそれを用いたポンプ装置並びにコンプレッサー装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、インナーヨークと、該インナーヨークの外周面との間に軸線方向で離間する第1の隙間および第2の隙間を形成するように当該インナーヨークの周りに配置されたアウターヨークと、前記インナーヨークを囲むように巻回されて前記アウターヨーク、前記第1の隙間、前記インナーヨーク、前記第2の隙間、および前記アウターヨークを磁路として前記第1の隙間および前記第2の隙間に交番磁界を発生させるコイルと、前記インナーヨークと前記アウターヨークとの間において軸線方向に交互に磁気駆動される可動体とを有するリニアアクチュエータにおいて、前記アウターヨークは、前記コイルを囲むように屈曲する複数枚の磁性薄板が絶縁層を挟んで内側から外側に積層されてなることを特徴とする。
【0007】
本発明のリニアアクチュエータにおいて、コイルに交流電流を通電すると、アウターヨーク、第1の隙間、インナーヨーク、第2の隙間を経て再びアウターヨークに至る磁路に交番磁界が発生し、この交番磁界に連動して、可動体は、軸線方向に往復駆動される。従って、可動体から往復直線運動を出力することができる。また、本発明において、アウターヨークは、コイルを囲むように屈曲する複数枚の磁性薄板が絶縁層を挟んで内側から外側に積層されているため、一体品からなるヨークを用いたものと比較して渦電流に起因する損失が小さい。また、アウターヨークは、所定形状のプレス加工した磁性薄板を積層することにより形成できるため、安価に製造することができる。
【0008】
本発明において、前記アウターヨークは、例えば、断面U字形状に折り曲げられた複数枚の前記磁性薄板が前記絶縁層を挟んで内側から外側に積層されてなる断面U字形状の一対のヨーク片を内側同士が向き合うように軸線方向で重ねることにより構成されている。このように構成すると、アウターヨークがコイルを囲むような形状を有している場合でも、磁性薄板については断面U字形状といった簡単な折り曲げ形状でよく、このような形状であればプレス加工で容易に実現できる。
【0009】
本発明において、前記アウターヨークは、軸線方向からみたときに円環状となるように形成されていることが好ましい。このように構成すると、周方向全体から可動体に対する推力を得ることができる。
【0010】
本発明において、前記アウターヨークは、軸線方向からみたときに多角形の辺に相当する位置に複数、分割して配置されていることが好ましい。このように構成すると、円環状のマグネットを用いなくても板状のマグネットで済むので、量産に適している。
【0011】
本発明において、前記磁性薄板は、プレス加工により折り曲げ形成されてなることが好ましい。
【0012】
本発明に係るリニアアクチュエータは、各種流体を供給するためのポンプ装置、あるいはコンプレッサー装置として利用できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明を適用したリニアアクチュエータを説明する。
【0014】
[実施の形態1]
図1(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形態1に係るリニアアクチュエータの要部平面図、および半断面図である。図2は、このリニアアクチュエータに用いたアウターヨークの説明図である。図3は、このアウターヨークを構成する磁性薄板の説明図である。図4(A)、(B)はそれぞれ、このリニアアクチュエータの動作を示す説明図である。
【0015】
図1(A)、(B)において、本形態のリニアアクチュエータ1は、各種流体を供給するためのポンプ装置、あるいはコンプレッサー装置に用いられるもので、ステータ側を保持するフレーム2と、このフレーム2に対して軸線Lに沿って往復移動可能な可動体5とから構成されている。
【0016】
フレーム2には、円筒状のインナーヨーク3が配置されているとともに、その外周側にはアウターヨーク4が配置されている。
【0017】
アウターヨーク4は、断面U字形状を備えた上下2つのヨーク片41、42から構成されている。各々のヨーク片41、42において、その内側で軸線方向に折れ曲がった部分410、420(第1のアウターヨーク部分)が、インナーヨーク3の外周面に対して、軸線方向で離間する第1の隙間6、および第2の隙間7を介して対向している。
【0018】
アウターヨーク4において、2つのヨーク片41、42の内側に構成された空間内には、円環状の平面形状を備えたボビン80に巻回されたコイル8が配置され、このコイル8は、インナーヨーク3の周りを囲んでいる。また、アウターヨーク4において、外側で軸線方向に折れ曲がった部分411、421(第2のアウターヨーク部分)は、コイル8の外側を覆っている
可動体5は、例えば、Nd−Fe−B系の希土類磁石、あるいは樹脂マグネットからなる円筒状のマグネット9を備えた樹脂成形品であり、このマグネット9は、表裏がそれぞれ反対の極に着磁されている。
【0019】
可動体5は、マグネット9がインナーヨーク3とアウターヨーク4との第1の隙間6と、第2の隙間7に跨るように配置されている。また、可動体5の底部51は、丸棒状あるいは円筒状の作動軸(図示せず)の基端側の固定部になっている。
【0020】
本形態において、アウターヨーク4を構成するヨーク片41、42は、図2に示すように、断面U字形状を有する円筒体であり、内側同士が向き合うように軸線方向で重ねられて、内側にコイル8を配置する空間が構成されている。
【0021】
ヨーク片41、42はいずれも、図3に示すように、断面U字形状に絞り加工(プレス加工)してなる磁性薄板40を異なるサイズで形成し、そのうち、サイズが大きいものの内側にサイズが小さなものを嵌めこんだ構造になっている。ここで、磁性薄板40は、表裏が薄い絶縁層(図示せず)で覆われた状態にあり、ヨーク片41、42では、磁性薄板40が薄い絶縁層を挟んで内側から外側に積層された構造になっている。
【0022】
また、図1に示すように、インナーヨーク3も、カップ状に絞り加工(プレス加工)された磁性薄板40の底部を除去した円筒状のものが絶縁層(図示せず)を挟んで内側から外側に積層された構造になっている。
【0023】
このように構成したリニアアクチュエータ1において、マグネット9の内側の面がS極に着磁され、外側の面がN極に着磁されている場合には、図4(A)、(B)に示すように、点線の矢印B1、B2で示す磁界が発生している。この状態でコイル8に交流電流を流したとき、図4(A)に示すように、図面の向こう側から手前側に電流が流れている期間では、点線の矢印B3に示す磁界が発生し、第1の隙間6の側では、マグネット9からの磁界とコイル8からの磁力線の向きが同一であるに対して、第2の隙間7の側ではマグネット9からの磁界とコイル8からの磁力線の向きが反対である。その結果、マグネット9には、軸線方向における下方(第2の隙間7の方)に向かう力が作用する。
【0024】
これに対して、図4(B)に示すように、図面の手前側から向こう側に電流が流れている期間では、点線の矢印B4に示す磁界が発生し、第1の隙間6の側では、マグネット9からの磁界とコイル8からの磁力線の向きが反対であるに対して、第2の隙間7の側ではマグネット9からの磁界とコイル8からの磁力線の向きが同一である。その結果、マグネット9には、軸線方向における上方(第1の隙間6の方)に向かう力が作用する。
【0025】
このようにしてマグネット9には、コイル8による交番磁界の向きに対応して、軸線方向に加わる力の向きが入れ代わるので、それと一体の可動体5が軸線方向に振動し、可動体5に取り付けられたピストンから往復直線運動を出力することができる。
【0026】
また、アウターヨーク4は、コイル8を囲むように屈曲する複数枚の磁性薄板40が絶縁層を挟んで内側から外側に積層されているため、一体品からなるヨークを用いたものと比較して渦電流に起因する損失が小さい。
【0027】
さらに、アウターヨーク4は、所定形状のプレス加工した磁性薄板40を積層することにより形成できるため、安価に製造することができる。しかも、磁性薄板40は、断面U字形状に加工されており、このような断面U字形状であれば、絞り加工で容易に実現できる。
【0028】
さらにまた、アウターヨーク4、インナーヨーク3、およびマグネット9は、軸線方向からみたときに円環状となるように形成されているため、周方向全体から可動体5に対する推力を得ることができる。
【0029】
[実施の形態2]
図5(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形態2に係るリニアアクチュエータの要部平面図、およびその改良例に係るリニアアクチュエータの要部平面図である。図6は、このリニアアクチュエータに用いたアウターヨークの説明図である。図7は、このアウターヨークを構成する磁性薄板の説明図である。なお、本形態のリニアアクチュエータの基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する機能を有する部分には同一の符号を付して説明する。また、本形態のリニアアクチュエータの縦断面などは、図1(B)および図4と同様に表わされるため、図1(B)も参照して説明する。
【0030】
図1(B)および図5(A)において、本形態のリニアアクチュエータ1も、各種流体を供給するためのポンプ装置、あるいはコンプレッサー装置に用いられるもので、インナーヨーク3の外周側にはアウターヨーク4が配置されている。
【0031】
本形態において、インナーヨーク3は、軸線方向からみたときに正八角形の辺に相当する位置に分割、配置され、周方向に等角度間隔に8枚、配置された状態にある。各インナーヨーク3は、平板状を有しており、アウターヨーク4との対向面(外面)、およびその裏面(内面)のいずれもが平面になっている。
【0032】
本形態においては、アウターヨーク4も、軸線方向からみたときに正八角形の辺に相当する位置に分割、配置され、周方向に等角度間隔に8個、配置された状態にある。
【0033】
アウターヨーク4は、断面U字形状を備えた上下2つのヨーク片41、42から構成されている。各々のヨーク片41、42において、その内側で軸線方向に折れ曲がった部分410、420(第1のアウターヨーク部分)が、インナーヨーク3の外周面に対して、軸線方向で離間する第1の隙間6、および第2の隙間7を介して対向している。
【0034】
本形態において、アウターヨーク4を構成するヨーク片41、42は、図6に示すように、断面U字形状を有しており、内側同士が向き合うように軸線方向で重ねられて、内側にコイル8を配置する空間が構成されている。
【0035】
ここで、ヨーク片41、42はいずれも、図7に示すように、断面U字形状にプレス加工してなる磁性薄板40を異なるサイズで形成し、そのうち、サイズが大きいものの内側にサイズが小さなものを嵌めこんだ構造になっている。ここで、磁性薄板40は、表裏が薄い絶縁層(図示せず)で覆われた状態にあり、ヨーク片41、42では、断面U字形状にプレス加工してなる磁性薄板40が薄い絶縁層を挟んで内側から外側に積層された構造になっている。
【0036】
再び図1(B)および図5において、インナーヨーク3は、平板状に打ち抜き加工(プレス加工)された磁性薄板40が絶縁層(図示せず)を挟んで内側から外側に積層された構造になっている。
【0037】
アウターヨーク4において、2つのヨーク片41、42の間に構成される空間内には、円環状の平面形状を備えたボビン80に巻回されたコイル8が配置され、このコイル8は、インナーヨーク3の周りを囲んでいる。また、アウターヨーク4において、外側で軸線方向に折れ曲がった部分411、421(第2のアウターヨーク部分)は、コイル8の外側を覆っている。
【0038】
本形態でも、可動体5は、例えば、Nd−Fe−B系の希土類磁石、あるいは樹脂マグネットからなるマグネット9がインナーヨーク3とアウターヨーク4との第1の隙間6と、第2の隙間7に跨るように配置されている。
【0039】
ここで、マグネット9としては平板状のものが用いられ、可動体5において、マグネット9は、樹脂製のマグネット保持部52に形成されている溝520に両端を差し込んだ状態で保持されている。また、マグネット保持部52は、軸線方向からみたときに略三角形の平面形状をしており、三角形の頂点に相当する部分は、隣接するインナーヨーク3の間に楔状に入り込んでる一方、三角形の底辺に相当する部分は、隣接するアウターヨーク4の間に入り込んでいる。
【0040】
このように構成したリニアアクチュエータ1においても、実施の形態1について図4を参照して説明したように、コイル8による交番磁界の向きに対応して、マグネット9に対して軸線方向に加わる力の向きが入れ代わるので、それと一体の可動体5が軸線方向に振動し、可動体5に取り付けられたピストンから往復直線運動を出力することができる。
【0041】
また、アウターヨーク4は、コイル8を囲むように屈曲する複数枚の磁性薄板40が絶縁層を挟んで内側から外側に積層されているため、一体品からなるヨークを用いたものと比較して渦電流に起因する損失が小さい。
【0042】
さらに、アウターヨーク4は、所定形状のプレス加工した磁性薄板40を積層することにより形成できるため、安価に製造することができる。しかも、磁性薄板40は、断面U字形状に加工されており、このような断面U字形状であれば、絞り加工で容易に実現できる。
【0043】
また、本形態では、アウターヨーク4およびインナーヨーク3は、各々平面的な対向面をもっているが、周方向において等角度間隔に8体、配置されているため、実質的には、アウターヨーク4およびインナーヨーク3の対向面を円弧状に構成したのと同等の磁気効率をもって駆動力を発生させることができ、かつ、このような形状のインナーヨーク3やアウターヨーク4であれば量産が容易である。また、アウターヨーク4およびインナーヨーク3の対向面が平面であれば、平板状のマグネット9を使用でき、このようなマグネット9も量産が容易である。それ故、本形態によれば、量産可能な安価なリニアアクチュエータ1を提供することができる。
【0044】
また、可動体5は、軸線方向に起立する細長いマグネット保持部52とを備え、これらのマグネット保持部52は、軸線方向からみたときに略三角形の平面形状をもって、隣接するインナーヨーク3の間、および隣接するアウターヨーク4の間に入り込んでいる。従って、マグネット9として、強力な平板状のマグネット9を使用しても、隣接するマグネット9の磁力によってマグネット6の姿勢や形状などが変わってしまうことを防止でき、組み立てやすいという利点ある。
【0045】
なお、上記形態では、円環状に巻回されたコイル8を用いたが、図5(B)に示すように、コイル8が略多角形に巻回されて、アウターヨーク4の内側を通る部分が直線的になっていることが好ましい。このように構成すると、コイル8を円状に巻回した場合と違って、コイル8とアウターヨーク4との間に隙間88(図5(A)を参照)が発生しない。従って、狭い空間内でコイル8の巻回数を増やすことができ、リニアアクチュエータ1の性能を向上することができる。逆に言えば、コイル8の巻回数を同一としたとき、アウターヨーク4の半径方向の幅を狭くでき、小型化を図ることができる。
【0046】
また、磁気効率という観点から、上記形態では、インナーヨーク3、およびアウターヨーク4をそれぞれ8体としたが、それ以外の多角形であってもよい。
【0047】
[ポンプ装置並びにコンプレッサー装置への搭載例]
本発明を適用したリニアアクチュエータ1については、図8(A)、(B)、(C)を参照して説明するように、ポンプ装置並びにコンプレッサー装置に適用できる。
【0048】
図8(A)、(B)、(C)はそれぞれ、本発明を適用したエアーポンプ装置の平面図、断面図、および底面図であり、図8(B)において、リニアアクチュエータ1に相当する部分は太線で囲ってある。
【0049】
図8(A)、(B)、(C)において、本形態のエアーポンプ装置100では、リニアアクチュエータ1の可動体5に対して作動軸110の基端側がワッシャ151、152を介してナット153で連結され、作動軸110は、インナーヨーク3を保持するフレーム2の穴16を貫通する状態にある。作動軸110の基端側は、フレーム2に保持された軸受154によって支持され、かつ、作動軸110の周りには2本のスプリング161、162が装着されている。2本のスプリング161、162のうち、作動軸110の基端側に装着されたスプリング161は、フレーム2の穴16内に形成されている段差17と、作動軸110に装着されたE型止め輪163で両端が支持され、作動軸110の先端側に装着されたスプリング162は、E型止め輪163と、フレーム2の底部に固定されたスプリング押さえ164とによって両端が支持されている。
【0050】
フレーム2の底部には、エアー吸い込み口171およびエアー吐出口172を備えたケース170がボルト173で固定され、エアー吸い込み口171にはフィルタ174が装着されている。ケース170の内側にはシリンダケース120が配置され、シリンダケース120の底部において、エアー吸い込み口171と対峙する部分には、バルブ押さえ143によってバルブ141が固定され、エアー吐出口172と対峙する部分にはバルブ押さえ144によってバルブ142が固定されている。
【0051】
シリンダケース120の内部は、シリンダケース120の底部との間にシリンダ室122を構成するピストン130が配置され、このピストン130の側面には、シリンダケース120の内周側面との気密を確保するための加圧リング135が装着されている。
【0052】
ピストン130に対しては、作動軸110の先端部分がワッシャ137、138およびOリング136を介してナット139で固定されており、作動軸110の振動によって、ピストン130が軸線方向に駆動される。従って、リニアアクチュエータ1によって作動軸110が軸線方向の基端側(図面に向かって上方)に移動すると、エアー吸い込み口171からシリンダ室122内に空気が吸い込まれ、リニアアクチュエータ1によって作動軸110が軸線方向の先端側(図面に向かって下方)に移動すると、シリンダ室122内の空気がエアー吐出口172から吐出される。また、このような作動軸110の振動に対してスプリング161、162が共振するので、小型のリニアアクチュエータ1を用いたエアーポンプ装置100であっても、優れたポンプ特性を備えている。
【0053】
[その他の実施の形態]
なお、上記形態では、可動体50の方にマグネット9を設け、それをインナヨーク3とアウターヨーク4との間に配置したが、可動体50に磁性体を設ける一方、アウターヨーク3とインナヨーク4に対して磁気的に結合するようにマグネットを配置して、図4に実線の矢印B1、B2で示すバイアス磁界を発生させたリニアアクチュエータに本発明を適用してもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のリニアアクチュエータにおいて、コイルに交流電流を通電すると、アウターヨーク、第1の隙間、インナーヨーク、第2の隙間を経てアウターヨークに至る磁路に交番磁界が発生し、この交番磁界に連動して、可動体は、軸線方向に往復駆動される。従って、可動体から往復直線運動を出力することができる。また、本発明において、アウターヨークは、コイルを囲むように屈曲する複数枚の磁性薄板が絶縁層を挟んで内側から外側に積層されているため、一体品からなるヨークを用いたものと比較して渦電流に起因する損失が小さい。また、アウターヨークは、所定形状のプレス加工した磁性薄板を積層することにより形成できるため、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形態1に係るリニアアクチュエータの要部平面図、および半断面図である。
【図2】図1に示すリニアアクチュエータに用いたアウターヨークの説明図である。
【図3】図2に示すアウターヨークを構成する磁性薄板の説明図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ、図1に示すリニアアクチュエータの動作を示す説明図である。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形態2に係るリニアアクチュエータの要部平面図、およびその改良例に係るリニアアクチュエータの要部平面図である。
【図6】図5に示すリニアアクチュエータに用いたアウターヨークの説明図である。
【図7】図6に示すアウターヨークを構成する磁性薄板の説明図である。
【図8】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、本発明を適用したリニアアクチュエータを備えたエアーポンプ装置の平面図、断面図、および底面図である。
【図9】従来のリニアアクチュエータの説明図である。
【符号の説明】
1 リニアアクチュエータ
2 フレーム
3 インナーヨーク
4 アウターヨーク
5 可動体
6 第1の隙間
7 第2の隙間
8 コイル
9 マグネット
40 磁性薄板
41、42 ヨーク片
Claims (7)
- インナーヨークと、該インナーヨークの外周面との間に軸線方向で離間する第1の隙間および第2の隙間を形成するように当該インナーヨークの周りに配置されたアウターヨークと、前記インナーヨークを囲むように巻回されて前記アウターヨーク、前記第1の隙間、前記インナーヨーク、前記第2の隙間、および前記アウターヨークを磁路として前記第1の隙間および前記第2の隙間に交番磁界を発生させるコイルと、前記インナーヨークと前記アウターヨークとの間において前記交番磁界に連動して軸線方向に往復駆動される可動体とを有するリニアアクチュエータにおいて、
前記アウターヨークは、前記コイルを囲むように屈曲する複数枚の磁性薄板が絶縁層を挟んで内側から外側に積層されてなることを特徴とするリニアアクチュエータ。 - 請求項1において、前記アウターヨークは、断面U字形状に折り曲げられた複数枚の前記磁性薄板が前記絶縁層を挟んで内側から外側に積層されてなる断面U字形状の一対のヨーク片を内側同士が向き合うように軸線方向で重ねることにより構成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
- 請求項2において、前記アウターヨークは、軸線方向からみたときに円環状となるように形成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
- 請求項2において、前記アウターヨークは、軸線方向からみたときに多角形の辺に相当する位置に複数、配置されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
- 請求項3または4において、前記磁性薄板は、プレス加工により折り曲げ形成されてなることを特徴とするリニアアクチュエータ。
- 請求項1ないし5のいずれかに規定するリニアアクチュエータを用いたことを特徴とするポンプ装置。
- 請求項1ないし5のいずれかに規定するリニアアクチュエータを用いたことを特徴とするコンプレッサー装置。
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2002
- 2002-07-26 JP JP2002217510A patent/JP2004064838A/ja active Pending
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